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スキーガイド・実践マニュアル

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スキーガイド・実践マニュアル
スキーガイド・実践マニュアル
目的
スキーガイドを実践するために必要な知識
スキーガイドを実践するために必要な技術
スキーガイドを運営するための方法
GOAL
スキーガイドで参加者の満足度を向上させる事
JUST DO
IT!
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
<目次>
1
スキーガイドの基礎知識
2
スキーガイドの用語解説
3
参加者のニーズ分析
4
スキーガイドの職能
5
スキーガイドの実行の流れ
6
実行前の行動
7
装備
8
準備運動と装着
9
ナビゲーション
10
安全管理
11
技術指導
12 テクニックアドバイス(使用用具別)
13 テクニックアドバイス(雪質・条件)
14 テクニックアドバイス(タクティクス)
15
用具のアドバイス
16
行程管理
17
楽しませるナビゲーション
18
サービス・ホスピタリティ
19
自然解説
20
環境保全
21
コミュニケーション
22 情報提供
23 満足度向上とリピート
24 困ったときのアドバイス(ケース・スタディ)
25 資料・情報集
1 スキーガイドの基礎知識
P1
(解説)
まずはじめのスキーガイドについての基礎的な知識を紹介します。
<基礎的な知識>
・「スキーガイド」とは
積雪がある山岳や斜面を何らかの方法で斜面を登り、下りについてはスキー等で滑走しながら移
動しそれを安全に楽しく案内する行為となります。
もちろん職業的なガイド資格を有するガイドが報酬を受け取るために行う仕事となります。
・スキー等とは
山スキー・テレマーク・スノーボード・クロカンスキーも含みます。
・登り方について
想定出来るのは、リフト・ゴンドラ・ロープウェイ・ヘリコプターなどの機動力
自力登山についてもシールをつけたスキー及びスノーシューなど用具を使うことが多いです。
・JMGA の定める職能
日本山岳ガイド協会ではスキーガイド・ステージ1の職能範囲を定めています。
その内容について(JMGA ウェブサイトより抜粋)
国 内 で四 季 を通 じて整 備 された登 山 道 、および無 積 雪 期 での整 備 された登 山 道 において登 山 ガイ
ド行 為 を行 う事 が出 来 る。但 し、スキーガイド分 野 は別 に資 格 を取 得 する。
<活 動 エリア>
無 積 雪 期 の一 般 登 山 道 。登 山 地 図 の実 線 で示 されたコース。破 線 、難 路 と示 された登 山 道 は除 く。
沢 登 りはできない。
積 雪 期 は、森 林 限 界 を越 えない範 囲 。
例 :北 八 ヶ岳 中 山 峠 ~高 見 石 、縞 枯 山 、北 横 岳 まで。天 狗 岳 ・硫 黄 岳 は範 囲 外 。
・職能外の行為
下記の内容については職能範囲外となるので決してやってはいけません
もしくはスキーガイド・ステージⅡの資格が必要です。
■スキーガイド・ステージ Ⅱ
ピッケル、アイゼン、ロープなどを使用せず登高できる雪山で、ゲレンデや、一般交通
路に隣接しないエリアでのスキー・スノーボードガイドを行うことが出来る。
この資格は登山ガイドステージ Ⅱ・Ⅲ、山岳ガイド資格の付帯資格となる。
<活 動 エ リ ア >
登山ガイドステージⅡの範囲に準じる。
2
スキーガイドの用語解説
P2
(解説)
このレポートをより良く理解するために、専門的な用語を解説します。
<用語解説>
・「バックカントリー」 裏山という意味ですがこのレポーとではゲレンデ以外という事になります
・「クロスカントリー」 雪の積もった野山を駆けるスポーツ
・「オフピステ」
スキー場などスキー等で滑走するために整備されたコースに対し、雪が
降った自然のままの状態、非圧雪の状態のコースの事。
・「テレマーク」
ノルウェー南部のてれマルク地方を中心に発展したスキー技術。歩くこと
も滑ることもできるスキー道具
・「アバランチ」
avalanche(英)で「雪崩」
・「雪庇」
山や地形的に崖などに積もった雪が何らかの影響で斜面にせり出して
いつ崩れだしてもおかしくない状況の事
・「ブッシュ」
ゲレンデやオフピステのコース上に樹木や植物が残存している状況
・「ツリーホール」
立木のまわりに出来た雪穴
・「デブリ」
雪崩によって堆積した雪のかたまりや岩石が崩落してできる堆積した
岩や土砂
・「リスクアセスメント」
・「雪崩ビーコン」
想定するリスク洗い出し、数値化すること
積雪時における登山や山スキーなど、雪崩に遭遇する危険のある場合に
携行する小型の機器であり、電波の発射及び受信が可能である。同行者
が雪崩に巻き込まれ雪の中に埋没してしまった場合、埋没した人が携行
しているビーコンから発射される電波を救助者のビーコンで受信するこ
とにより、埋没した人の位置を探索できる。
(アバランチトランシーバー)
・「プローブ」
アルミやカーボン製の折りたたみ式の探索棒です。雪に突き刺し
ビーコンで見つけた遭難者の場所を特定したり、積雪の料を調べたりします。
(ドイツ語ではゾンデ棒)
・「ショベル」
このレポートでは雪を掘ったり、固めたりするためのスコップ
・「ホワイトアウト」 吹雪やガス等でまわりが真っ白となり、視界が悪くなる事
・「ツボ足」
バックカントリーやゲレンデにおいてスキー靴や登山靴のまま雪面に穴を開
けて、歩く事
・「カービングターン」
スキー板のエッジやサイドカーブを利用し、出来るだけ細いシュプール
を心がけるターン技術
・「シュテム・ターン」
ドイツ語でターンのきっかけじ V 字型に開きだす事
・「ジャンプ・ターン」
ターンのキッカケ時、ジャンプする事
3
参加者のニーズ分析
(解説)
実践的に参加者が求めるニーズは何なのか?どのようなニーズがあるのか?
それを思考することで提供するサービスが理解出来ます。
<参加者の想定ニーズ>
□ゲレンデ以外を滑って楽しみたい
□その山岳エリアを滑って楽しみたい
□パウダーなど自然の状態の雪質を滑って楽しみたい
□その山を登って(移動)して楽しみたい
□そのツアーにより景色や自然環境を楽しみたい
□その行動を体験してみたい(ファッション)
□そのガイドと行動を共にしたい
□知り合いや仲間と行動を共有したい(コミュニティ)
□運動したい(健康になりたい)
□非日常を体験したい
<想定する感情的なニーズ>
□ドキドキしたい(スリルとスピードを味わいたい)
□リラックスしたい
□癒やされたい
□快感を得たい(気持ちよくなりたい)
□上達を実感したい
□冒険したい(チャレンジしたい)
□ホメられたい・自慢したい(認められたい)SNS などに公開したい
□お金を使いたい
<その他のきっかけ>
・そのエリア(山)へ言ってみたかった(滑ってみたかった)
・業者や仲間に誘われた(誰かの推薦)
・魅力的な情報・広告
★重要
日帰りのツアー参加者は「滑りに来ている」
できれば「登りたくない」と思っている(ヘリスキーがベストだがお金がかかる)
P3
4
スキーガイドの職能
P4
(解説)
職業的なスキーガイドとして必要と思われる職能はどのようなものがあるのか?
その内容とカテゴリーを紹介します。
<スキーガイドの職能>
●ナビゲーション
予定したルートを迷わず、しっかりトレースする内容です。
●安全管理
ツアー中のアクシデントを防ぐための予防や行動です。
さらに搬送を含めた、アクシデントの対処も含みます。
●技術指導
ツアー参加者がより快適に楽しめるためや、安全を管理するために必要な技術的な指導です。
●楽しませるナビゲーション
予定したルート上において、滑走ラインの指示、地形の楽しみ方、雪質的な楽しみ方などを
提供します。
●サービス・ホスピタリティ
参加者に対してのサービスやホスピタリティの行動です。
●環境保全
自然環境への配慮はもちろん、ルール・マナーの伝達、保全のための啓蒙活動などです。
●自然解説
自然や環境に対しての解説です
●コミュニケーション
参加者との信頼関係や良好的な関係を築くための行動です。
●行程管理
スケジュールを予定通り実行するための時間の管理です。
●用具のアドバイス
より、今後楽しむためのアドバイスやメンテナンス等を含めたアドバイスです
●情報提供
他エリアの情報など、楽しみ方を広げるための情報の提供です。
などがあります。
★重要
冬季シーズンであり、滑走するという行動から実は危険度が高く、通常の登山ガイド
に加え、提供する職能は多いです。
5
スキーガイドの実行の流れ
P5
(解説)
スキーガイドを実行する流れを紹介します。
<スキーガイド実行の流れ>
1ツアーの企画
⇓
・スケジュ-ル
・テーマ(ターゲット)
・料金
・内容 (場所・ルート・行程)
2下見(訂正)
⇓
・リスクアセスメント
3告知・広告
⇓
4集客
⇓
・条件の確認
・技術・経験レベルの把握
5ご案内
⇓
・スケジュール
・装備・服装
・集合・解散場所など
6実行
⇓
7改善(次回のために)
★重要
基本的には通常の登山ツアーと同じ要領となりますが、
スキーガイドの場合は参加者の技術レベルを確認し、適切な対応や場合によっては
参加をお断りする決断が必要となります。
特にお会いする参加者については慎重にレベルを確認する必要があります。
(技術的に滑走が出来なかったり、大幅に遅れるなどはパーティ全体のリスクが向上します)
対処法としてはレクチャーやスクールの開催など、とにかくその参加者が参加可能であるか
見極める事が重要です。
6
実行前の行動
P6
(解説)
スキーガイドを実行する際、実行前に行なわなければならない行動を紹介します。
この行動を怠ると過失になる可能性があります。なによりもリスクを大幅に減らすために
必要な事です。
<実行前の7つの行動>
1 下見
実際に行動するルートを下見します。その下見の元、リスクアセスメントを行います
2 リスクアセスメント
リスクアセスメントにより、想定したリスクに対し、リスクを軽減するための対策や必要な装備
を洗い出します。
3 装備や当日の条件の連絡
参加者に対し、必要な装備を連絡します。
又、おおまかな実行日に気象や気温、条件等分かる範囲でお伝えします。
・予想気温
・予想積雪量
・危険箇所の連絡(雪崩・雪庇・クレパスなど)
4 レベル・経験の確認
再度、最終的に参加者の経験や滑走技術のレベルを確認します
(山スキー・スノボ・テレマークなどについても)
5 健康・コンディショニングの確認
現在のコンディションや持病・常用薬などを聞き出します。
又、危急時において連絡する場合の相手と連絡先番号を聞き出します。
(個人情報の取り扱いに注意しましょう)
6 当日の連絡先の確認
当日のミート場所・ガイドの連絡先(携帯番号)など確認します
7 保険加入の確認
参加者の保険加入について確認します
★重要
実行前の段取りがリスクを左右します。
◇参考資料
P7
●参加者様へのお願い
(ガイドもベストを尽くしますが、よろしくお願いします。)
<リスクを軽減するための連絡>
・情報
当日の予想気温約(
)度 C です。
・最近の情報
(例 雪崩箇所あり ・落石形跡あり
・他伝達
(
・崩落 ・クレパス
)
)
下記についてメールにてご連絡下さいませ(個人情報厳守)
□前日は十分な睡眠をおねがいします
□持病(膝・腰・肩・過度な高血圧・高脂血症・過度な糖尿・心臓病・脳疾患)
□常用薬
□その他お伝えしておきたいこと (
)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
<ご用意頂くもの>
忘れてしまった場合は参加をお断りする事があります
・必要装備
□雨具(セパレートタイプ)
・お水の量(ペットボトル)□1本
□2本
□3本
□お湯
・用意して欲しい靴
□登山靴
□アイゼン
□スノーシュー
□和環
・絶対必要
□行動食
□ビーコン
□ショベル
□プローブ
・必要な服装(防寒具)
□ダウン
□フリース
□長袖シャツ
・装備
□ヘルメット□ハーネス
□バーナー
□クッカー
・小物
□サングラス□ゴーグル
□日除け防止
□手袋
・その他
□携帯
□保健所コピー□お金
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
★緊急連絡体制リスト
TEL
順番
● 携帯使用の有無
所轄警察署 110
(
)
所轄消防署 119
(
)
(
)
救急病院
(
)
(
)
ツアーエージェント(
)
グループ事務所
(
(
)
)
(
)
緊急時家族連絡
(
)(
)
(
)
ガイド組織
(
)
保険会社
(
(
)
)
地元救助隊
(
(
)
)
スキー場
(
(
)
)
宿泊先(
(
)
)
(
(
)
)
(
)
他
● 衛星電話、無線連絡の利用箇所
● AED 設置場所
● 救急車利用のおおよその病院までの到着時間
Km
H
● ヘリ利用のおおよその病院までの到着時間
「スキーガイド・リスクアセスメントフォーマット」
●ベーシック
P8
@尾瀬ガイドネット
危険度を数値化して評価します
○○○◯スキーツアー
※リスク 100 に近いほど危険度が高い
指導者と団体責任者が相互認識できます
チエック
リスクの見積もり
←
低い
★印
備考
高い →
1
気象(季節)
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ ( )
2
自然環境(災害
3
ルート(危険箇所)
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ ( ) クレパス・雪庇
4
行程時間(登行距離)
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ ( )
(
5
コンディション
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ ( )持病・睡眠・疲労度
6
混雑度
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ ( )人気エリア・マニアック
7
連絡(携帯)
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ ( )携帯アンテナ
8
レスキュー条件
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ (
9
他社不満
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ ( )同行者・他人
)
10 年齢・経験度
降雪予想・カミナリ
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ ( ) 雪崩・崩落・過去データ
)時間(
)km
)大まかな所要時間(
)
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ ( )登山歴・スポーツ・運動
P
●多面的リスク
@尾瀬ガイドネット
危険度を数値化して評価します
○○○◯スキーツアー
い
※
ポイントが 0 に近いほど危険度が高
指導者と団体責任者が相互認識できます
チエック
リスクの見積もり
←
1
2
ガイドレシオ
サポート(アシスタント)
★印
備考
低減 →
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ ( )人数比が少ないほど有利
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ ( )サポートが多いほど有利
3
クッション時間(予備日)
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ ( )時間的余裕
4
避難施設・小屋
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ ( )避難できる場所や箇所
5
コミュニケーション
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ ( )リピーター(信頼・理解)
6
経済力
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ ( )経済力がある程悩まない
7
メンタル・センス
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ ( )メンタルが強いほど早い
8
情報入手
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ ( )情報量が多いほど有利
9
ガイド装備
★★★★★★★★★★★☆ ( )ツエルト・GPS・他
10 ガイド能力・経験
★★★★★★★★★★★☆ ( )救命講習・AED
7
装備
P9
(解説)
基本的には積雪期のガイディングプラス、滑走のために必要な道具や装備となります。
又、冬季シーズンであり、低体温症などのリスクも高いためそれを予防するために必要な服装や
装備も加算されます。
<服装>
スキーガイドにおいてはハイク UP では発汗し、滑走中は防寒したり、レイヤリングに適した
服装が基本となります。(速乾性と保温の重ね着の調整)その中で快適に過ごせるものが必要で
す。
・アウター
撥水性・保温性・給汗発散性
(ゴアテックス系)
・中間着
防水性・保温性・防護性
(ダウンフリース系)
・インナー
吸水性・速乾性・快適性
(速乾性下着)
・パンツ
基本的にはスキー用
<全員が携帯する装備>
・ビーコン
・プローブ
・ショベル
・ツエルト
・ヘットランプ
<全員の携帯が望ましい装備>
・予備のグローブ
・ヘッドランプ
<ガイドに必要な装備>
・GPS
・WAX
・修理道具
★重要
冬季シーズンは天候が急変したり、雪崩のリスクもあります。
滑走時においても転倒や、樹木等への衝突、参加者同士での衝突も可能性があります。
ガイドとして最悪を想定した服装と装備が必要となります。
8
準備運動と装着
P10
(解説)
夏季シーズンの登山と比較し、冬季シーズンは外気の温度が違います。さらに滑走からスタート
する際は体調的リスクが高まります。そこで十分な準備運動が必要となります。
又、寒かったり風が強い場所における用具の装着において時間がかかりすぎる場合も、大幅に
リスクが向上します。これらを解決するための方法を紹介します。
<準備運動について>
・ウォーム UP の役目
「血流を上げる、(暖気する事)」と「関節の可動域」を広げる事が大きな目的となります。
ガイドとして、そのことを参加者に伝える事が大事です。
・運動方法
基本的には筋肉をゆっくり伸ばす、ストレッチ運動が効果的です。
この際は軽く反動をつけても構いません。
・負傷箇所が多い部位は念入りに
負傷箇所が多い場所は必ず取り入れましょう。
(上腕部・手首・ふくろ剥ぎ・ハムストリング・内もも内転筋・アキレス腱・足首)
・関節回しに注意
最新のスポーツ医学では肩関節・首間接・足首間接の回し過ぎはスポーツ外傷と
なりやすので、ほどほどにしましょう。
・深呼吸を忘れずに
メンタル的なストレスや不安を少なくするために、ゆっくりとした深呼吸を行いましょう。
<装着> 例えば、スノーシュー・アイゼン・シール・スキーバインディングなどです。
・しっかりと装着方法をお伝えしましょう。
(できれば事前に暖かい場所でシュミレーションすることが望ましい)
・ガイドが積極的にサポート(助け)しましょう。
特に慣れない方は、雪面がフラット出ない場所等では装着にかなり時間がかかります。
ただ指示や、伝達するだけでは解決しませんので、積極的に履かせて上げましょう。
又、ベテランの方へは協力していただくようお願いしましょう。
★重要
滑り出しは装着チェックを忘れずに!
自分でうまく装着出来たとしても、雪がついていたり、締め付けが甘かったりします。
滑りはじめについては必ずガイドが装着状態をチェックし OK の合図を出しましょう。
9
ナビゲーション
P11
(解説)
ここでいうナビゲーションとは目的地まで安全に案内する。(導く)という事になります。
ナビゲーションは2つに分かれます。登行と滑走です。
<登行のナビゲーション>
特にバックカントリーについてはスキー場のリフトやゴンドラを利用し、そこを起点とします。
地形図上に明確に記載されていることがほとんどなので、その場所を明確に位置確認しましょう。
その後は通常の積雪期の登山と基本的には同じになります。
天候が優れている時は、明確な目標物やランドマークを見極め、地形図上で現在位置を確認しま
しょう。(2万5千分の1の地形図とコンパスが必要です)
<滑走のナビゲーション>
滑走におけるナビゲーションとしては、まずはそのルートの大まかなイメージを持つことが重要で
す。そのためにはあらかじめ地形図上に滑走ラインを書き込んで置く必要があります。
●滑走ラインの書き込みの際の留意点
・崖・急斜面などの危険箇所がないか?
・その参加者に適した斜度か?
・明確な位置確認がしやすいルートか?
●行動
・地形図上で地形を読みとり、イメージトレーニングしておきましょう
・現地においては絶えず整地し位置確認を徹底しましょう。(クロスベアリング)
・ホワイトアウト時ではコンパスを用いて地形図上でしっかりと進行方向をセッティング
しましょう。
・慣れたルートにおいては特に「思い込み」に注意しましょう。
・効果的に GPS を活用しましょう。
●私、今どこにいるの?(現在地を知る)
①地図上で判断できる2箇所以上の目標物を見つける
②身体の正面に持ったコンパスのプレートの矢印を目標物を向ける
③角度が分かったら地図上で磁北線とリング内の線を平行に合わせ、目標物からの平
行線を引く
④別の目標も同様に確認し、地図上に引いた線の交点が現在地
P12
●ここに行きたいんですけど?
(目的の方向を知る)
①地形図上の現在地を磁針の中心に、目的地をプレート矢印で定める
(または、現在地と目的地をコンパスの長編で結ぶ)
②地形図の位置~地形図と磁北を合わせる
③コンパスを胸の前に持ち、身体を回転させて磁北と磁針を合わせる
④身体の正面(プレートの矢印)が目的地方向
●ホワイトアウトナビゲーション
未知の場所へ踏み込んだ時、または、ホワイトアウト等の条件により、コンパスと地形
図を使って進まなければならないときに必要となる。また、この技術を習得することは、
大きな自信となるだろう。
<ポイント>
①ベアリング
コンパスを使用し、二点間の目標物の角度を計測すること
②ホワイトアウトナビゲーション
ベアリングにより、算出した角度と地形図から得られる目標物までの距離の情報をもとに
進行方向を決め、そのポイントごとに進んでいく方法
<テクニック>
① 地形図に磁北線を引いておく(4cmピッチ)
② 地形図上にルート上のポイントを書き込む
③ そのポイントを直線で結ぶ
④ コンパスで方位を調べる
⑤ 地形図をその方位とだいたい合わせる
⑥ 地形図上で目標物までのだいたいの距離をコンパス定規で測る
⑦ 目標物やポイントを目で確認する
⑧ 地形図上で現在地から目的地に向けコンパスのフチを当てる
⑨ コンパスのリングを回して磁北線とコンパスの赤い針を重ねる(もしくは、平行にする)
⑩ コンパスの赤い針とリングに表示されている矢印重ねる
⑪ コンパス前方の矢印が指す方向がポイントや目的地の方向となる
★重要
スキーガイドにとって GPS の所持は当たり前です。
10
安全管理
P13
(解説)
スキーガイドにおける安全管理は基本的には登山ガイドと同じです。
ただし、冬山においては危険度が数倍向上します。ガイドはその事をよく理解する必要がありま
す。このレポートでは特に冬山においてのアクシデントを回避するための内容を紹介します。
<スキーガイドの安全管理カテゴリー>
A 参加者自身の体調を管理する
□疲労
こまめな休憩(ガイドの観察)
□低体温症
ガイドのアドバイス(冷やさない努力)
□凍傷
風と濡れに注意 (絶えず動かせる。声がけをする)
□装備の重量
分担する・過度な重量は控える(ガイドがチェックする)
B 自然条件におけるリスクを管理する
□雪庇
地形を読み取り想定する(近づけさせない)
□見えない岩
地形や雪質を想定し(注意がけをする)
□樹木・ブッシュ (注意がけをする)
□スノーブリッジ・クレパス・ツリーフォール 地形や雪質を想定し(注意がけをする)
□雪質の変化
アドバイスする
□ホワイトアウト 下記記載
C 天候等によるリスクを管理する
□天候の急変・強風・雪質の変化
(想定内で準備しておく)
D 参加者自身によるリスクを管理する
□自己転倒
(技術指導と滑走ラインのアドバイス)
□滑落
(想定内で準備しておく)
□用具の損傷(破損)
(想定内で準備しておく)
□自己のスキー用具の衝突
(防具、ヘルメット等装着)
E 他者におけるリスクを管理する
□他者による衝突
(相手の技術レベルや能力を見極める)
□滑走ラインの妨害 (相手の技術レベルや能力を見極める)
□雪崩誘引
(想定内で準備しておく)
P14
<ホワイトアウト対策>
ホワイトアウトとは、吹雪やガス等でまわりが真っ白となり、視界が悪くなる事
●ホワイトアウトの予防
天候予測で近づかない
(想定内で準備しておく)
過去の例で近づかない
(想定内で準備しておく)
●ホワイトアウトの対処
素直に GPS を活用する
素直に元のシュプールや足跡を引き返す
<雪崩対策>
●予防
・情報の入手 (天候・現地情報・現地の案内指示・過去の記録やデータなど)
※現実的には現地の管理者や消防署などのエキスパートが正しくないこともよくある
(エキスパートエラー)自分の直感を信じて決断する。
・テストを行う
周囲の観察 (雪質・解け具合・樹木などの様子・風の雰囲気など)
弱層テスト (コンプレッションテスト)
⇒ スマホで写真を記録しておく
※現実的には滑る部分ですべてテストを行う場合、大幅な時間が必要である。
一つのゲレンデさえ、数メートル離れるとデータが違う
やらないよりはやった方が良い(何かのために記録しておくことが重要)
・危険察知能力をみがく
ホームのエリアにおいては感覚を研ぎ澄ませ、データを記録しておくことが重要である
●対処
・発生直前
まずは「アバランチ」と大声を上げ、周囲に知らせる
とにかく安全な場所はどこか見極めそこへマッハで急ぐ
パニックとならないように呼吸を意識しながら滑る
(とっさの行動が必要である)
・巻き込まれたら
口と鼻を手で押さえる (現実的には出来ない)
意識がある場合は鼻や口のまわりの雪を除雪し、呼吸出来るようにする
自力で立ち上がる
P15
●救助 (もし雪崩を目撃したら)
雪崩発生後ガイドの行動例
1
2秒落ち着く(呼吸する)
2
周囲の確認 (二次災害・どこが安全か・再度雪崩は起きないか>)
3
参加者を安全な場所に避難させる
元気な参加者がいる場合
⇒ 1名 救助要請の連絡
110番
1名 記録係
場所と状況
時系列でメモさせる
(スマホ音声録音)
他
4
救助チームを結成する
チームに役目を決める(指示する)
後方の観察・確認
◯
◯
◯
◯
◯
◯
◯
◯
◯
◯
◯
◯
プローブ部隊
ビーコン部隊
◎ リーダー (残存品の捜索)
5
ビーコンを受信用に切り替える
6
ビーコン捜索
7
埋没者信号受信
8
埋没者掘り出し(スコップ)
9
情報入手
10
救命手当
⇒
プローブ棒で確認
(パーティの人数)
・意識の確認 ・呼吸の確認 ・バイタルサインの確認
低体温処置 心肺停止処置 AED など
★重要
スピードが勝負(15分以内が決めて)
人数が多いほど有利である。
日頃のトレーニングが重要である。
現実的には自分のパーティが遭難した場合は意味が無い
又、時間が立った場合は「遺体の捜索」となる事が多い。
11
技術指導
P16
(解説)
スキーガイドの業務として、一番困るのは参加者の秘術レベルが低いことです。
技術レベルが低いほど転倒が多く危険です。さらに滑走時間が長いためその分リスクが高まりま
す。そこでスキーガイドはそのような参加者に対し技術指導しながら案内するようになります。
技術指導の能力がスキーガイドの評価を左右します。
スキー指導者やコーチなどはその部分にすぐれているため有利となります。
<ガイドが行う7つの技術指導>
1登りをスムースに行うための技術指導
2滑走ライン(どこを滑ると安全か)の作戦指導
3安全に方向を変換する技術の指導
4転倒率を低くするための技術指導
5悪雪時・悪条件化でターンを容易にするための技術指導
6疲労を低減するための技術指導
7その他必要な技術指導
<実践的なアドバイス>
1登りをスムースに行うための技術指導
(主に登りを容易に疲れずにするための技術指導です)
□適切なルートを指示する (斜度が急斜面過ぎないか?)
□正しい歩行運動を指示する (足の運び屋置き方は適切か?)
□正しいストックの使い方を指示する(ストックの付く位置は適切か?)
□正しい歩幅のスタンスを指示する (コマタで歩かせる)
□正しいペース配分を指示する (疲労度に応じた休憩)
□シール装着時の重心バランスの取り方の指導 (重心バランスが良いか?)
□ラッセル時の脚部の運動方法の指導
(スノーシュー歩行)
・装着方法の指導
・スタンスの指導
・レールウォーク意識の指導
・登りの指導(ヒールアップ)
・下りの指導 (トウアップ)
・堅雪やアイスバーン時の注意点
(無駄な動きがないか?)
P17
2滑走ライン(どこを滑ると安全に楽しめるか)の作戦指導
(主にどこをどのように滑ると転ばないかの指導です)
□スタート地点とゴール地点の指示の明確な指示 (目標物の設定)
□滑走ラインの指導・ルートファインディング(回転弧・スピード・リズム)
□その区間の危険箇所の伝達 (回避方法)
□参加者のレベルに合った滑走ラインのイメージトレーニング指導
(シュミレーション)
3安全に方向を変換する技術の指導
(特に危険な箇所や状態で方向を変換しなければならない時に必要な技術指導)
□踏み変えによる方向変換
□キックターンによる方法変換
□腰をおろした(転倒スタイル)による方向変換
□ジャンプターンによる方向変換
□その場所やシュチュエーションではどの方向変換技術が適切かの指導
<おまけ1>
技術上達のためのスキーコーチの着眼点
(スキーコーチはお客様のどこをみているか?)
1 視線
(まずはスキーヤーがどこを見て滑っているか)
すべての情報は目から入手します。 その情報を元に次の状況を予測し、それに適した
行動や技術を開始します。ですから視線(目線)が重要です。
2 現状のバランス幅 (バランス能力)
現状の姿勢やバランスで「転びやすいか?」「転びづらいか?」が分かります。
さらに運動出来るかが見極められます。
(現状のバランスが不安定な状態で新たな技術を指導しても出来る訳がありません)
3 バランス調整力
(バランス適応能力)
バックカントリーやゲレンデにおいて雪質や斜度・地形は絶えず変化します。
そのためバランスはそれに合わせて調整していく必要があります。
その調整は主に体全体の関節で調整します。
要は素早くそのバランスに合わせて関節を動かせるか?に着眼します。
P18
4転倒率を低くするための技術指導
(転倒率を低くするために必要な事はバランス能力向上と滑走技術の習得です)
●「なぜ、参加者は転ぶのか?」
(転倒のメカニズムを理解し、それを回避するためのアドバイスをする)
A 自己判断転倒
・危険箇所突入や衝突の可能性が大きくなり、それを回避するために
自ら転倒する(ブレーキとなる)
・滑走中アンバランスとなり、そのまま進行すると大きな転倒(クラッシュ)となる
可能性があるためその前に、自ら転倒する(安全な姿勢で転ぶ)
想定内の転倒
B バランスの乱れによる転倒
・何んらかの誘引(急ブレーキ、障害物、他者)によりバランスを崩して転倒する
想定外の転倒
・技術不足によるバランスを確保出来ずに転倒する
(急斜面・悪雪・悪条件・起伏など)
想定内の転倒
●転倒率を低くするための技術指導
□
A の自己判断による転倒では出来るだけ安全な転び方を指導し
イメージトレーニングしておく
・スキー
おしりを左右斜めに移動し、両手を上げて顎を引く
・スノボ
フロントサイドではヘッドスライディングのように(膝関節を曲げる)
バックサイドでは視線を転ぶ方向に向け顎を引く
・テレマーク 新雪・深雪時においては勇気を出し、斜め前方に回転するように転ぶ
□ B の想定外のバランスの乱れによる転倒率を低くするためには
「出来るだけ想定外の情報を伝達しておく」事が重要である
スキーガイドの能力となる。
□ B の想定内の転倒については日頃のトレーニングや経験に左右される
スキーガイドとしてはいかにツアー前に練習させるか、自分の技術レベルを
把握させることができるか?が重要となる。
P19
5悪雪時・悪条件化でターンを容易にするための技術指導
(特に技術レベル、経験レベルが低い参加者においてはアドバイスする必要がある)
●悪雪時におけるターン技術の指導
(あくまでも参加者のレベルを把握し、最も効果的な技術をアドバイスする)
※実技的な指導となるので詳しいことは省略します。
・スキー
□山開きシュテムターン
□谷開きシュテムターン
□山開きシュテムウムシュタイク (踏み変えターン)
□ジャンプターン (テール・トップ・全体)
・スノボ
□ズレの少ないターン
□ジャンプターン (テール・全体)
・テレマーク
□山開きシュテムターン
□谷開きシュテムターン
□山開きシュテムウムシュタイク (踏み変えターン)
□ジャンプターン (テール・トップ・全体)
☆スキーガイドとして重要なのは
1参加者のレベルを見分けられる事
2そのレベルに合った技術を見せられること(真似させられること)
3真似しやすいようなアドバイスをすること
4体でその表現が出来ること
5言葉による表現ができること
P20
6疲労を低減するための技術指導
(技術的に優れた参加者においても疲労が大きくなるとリスクが増大します)
☆「疲労の原因」
・そもそも筋力や体力がない
・装備の重量が大きい
・寒さや暑さによる体力の消耗
・エネルギー・水分不足による消耗
・技術にムダが多いための体力的な消耗
・メンタル的な不安による疲労
●ガイドが行う、疲労を低減するための技術指導
□参加者の筋力・体力・年齢に合わせたルートと時間設定
□装備の重量の確認と減らす努力
□参加者の体温調整アドバイス(レイヤリング)
□エネルギー・水分補給の指示
□技術的における効率のアドバイス
□リラックスさせる(不安を少なくさせるトーク)
7その他必要な技術指導
(現実的な課題と技術指導)
その他必要な技術指導についてはセンスやメンタル的な指導が必要となる。
センスとはトータル的(多面的)な状況判断を行うために必要な能力です。
参加者は大きく分けて3つに分類されえます。
・センスがある人
・普通の人
・センスがない人
ガイドは参加者のリスク管理する際、その参加者はどれか見極める事が必要となり
そのセンスに合わせた指導やアドバイスが必要である。
特に重要なのは「だいたい、アクシデントを引き起こすのはセンスがない人」が多い
「アドバイスが理解できない、上達が遅い人はセンスがない人」である。
よってスキーガイドは「センスがない人に偏って管理する必要がある」
☆重要
そもそもセンスがない人がお客様である
P21
(まとめ)
☆課題
・現実的には滑走技術の指導やアドバイスを提供しても「上達やマスターは見込めない」
(マスターするためにはバランス経験をたくさん反復する必要がある)
・現実的にはツアー中、技術指導や「アドバイスしている時間がない」
・現実的には複数の参加者に対しアドバイスするため、個人個人では
「ほとんど効果が低い」
・現実的にはツアー中、参加者のセンスを向上させる事は限りなく不可能でる
(センスは幼少期に形成される)
<おまけ2>
上達のためのレッスンの実例
(スキーコーチはどのようにレッスンを組み立てるのか?)
1 参加者の技術レベルをチェック
⇓
2 最も必要な技術目標を設定
⇔
⇓
悪い姿勢やバランスを指示
⇓
3 デモンストレーション (やってみせる) アドバイス
⇓
⇓
4 部分的にトライさせる
バランス矯正
⇓
5
⇓
トータル的に完成させる
(斜度・スピード・リズム変化・長い距離)
⇓
6
反復練習 (楽しみながら、滑走料を多くする)
⇓
7
ややマスター
⇓
新たな目標設定
うまく出来ない
⇓
元の技術に戻る
★スキーガイドでの留意点
・あくまでも滑ることよりは降りることを優先する
・スピードよりは安定性
・流行よりは基礎技術
12 テクニックアドバイス(使用用具別)
P22
(解説)
使用用具別に分けたガイドに必要な知識や特性、テクニックのアドバイスを紹介します。
基本的特性や技術はゲレンデスキーと同じですがこのレポートではその特性と比較して必要な
知識や技術を紹介します。自分がマスターするのはもちろん、参加者に対しての指導方法やトー
クとして活用しましょう。最近ではツアー参加者において使用用具が異なる参加者が同時に参加
するケースが増えています。ガイドとしては特性や特徴を理解し、使用用具に合わせたアドバイ
スを提供する事が必要となっています。
<アルペンスキー(山スキー)特性>
・軽量性
☆
・体力・筋力 ☆
・操作性
☆☆☆
・バランス
(その人による)
・パウダー ☆☆
・悪雪
☆☆☆
・アイスバーン
・急斜面
・平地
☆
・ショートターン☆☆☆
☆☆☆
☆☆☆
●特徴
・新雪では抵抗が大きいため、スキー板をズラしづらい
・アイスバーンでズレを多くした場合はバランスの確保がむずかしい
・テレマークやスノボと比較し、重量が思い登行では体力が必要。
●アドバイス
・悪条件の時はズレの少ないターン(カービングターン)を意識するよりは、ズレ幅の大きい
コントロールを主にしたターン技術を目指す。
・新雪やアイスバーン等では逆にカービングターンを意識する
・ゲレンデのアルペンスキー経験者においては馴染みやすい
P23
<テレマークスキー特性>
・軽量性
☆☆☆
・体力・筋力 ☆☆☆
・操作性
☆☆
・バランス
(その人による)
・パウダー ☆☆
・悪雪
☆☆
・アイスバーン ☆
・急斜面
・平地
☆☆☆
・ショートターン☆
☆
●特徴
・アルペンスキーと比較した特徴としてはスキー板を前後(上下)に位置させるスタンスなの
で理論的にはアルペンスキーよりもバランス幅が広い
・運動的にも両膝の捻転が少ないため、膝の損傷を防げる(負担が少ない)
高齢者や膝に不安を抱えている人には適している
・筋力的にもアルペンスキーと比較して軽量なので負担が少ない
・急斜面とショートターンは不利である
・悪条件や樹林帯ではアルペンスキーに比較し交互運動のためタイムラグがある
(少し時間がかかる)
・平坦な場所ではかかとが浮いて歩く動作に移行しやすいので有利
・アルペンスキーと比較し、自己を主張しやすい(目立つ)ファッション的にも
個性を主張(アピール)しやすい
●アドバイス
・高速で急斜面を降りる場合は超ロングターンを意識する
・悪条件の時はズレの少ないターン(カービングターン)を意識するよりは、ズレ幅の大きい
コントロールを主にしたターン技術を目指す。
・新雪やアイスバーン等では逆にカービングターンを意識する
・樹林内(狭い場所)においてはショートターンを意識する
・テレマークターンにおいては脚部を交互的に動かすため歩行と似ている
P24
<スノボ特性>
・軽量性
☆
・体力・筋力 ☆☆☆
・操作性
☆
・バランス (その人による)
・パウダー ☆☆☆
・悪雪
・急斜面(その人による)・平地
☆☆
・アイスバーン
☆
☆
・ショートターン☆
●特徴
・アルペンスキーと比較した特徴としてまずは横乗りスタンスであり、両足を固定、や
や同時に動かす運動となるためバランス
・幅が広いのでパウダー対応的には浮力があり、滑りやすい
・横乗りスタンスのためバックサイド(背中側)には死角が存在する
・両足固定なので静止時は座る姿勢となる
・若い方に人気があり、あこがれとなっている
・経験が浅くても中級レベルまでは上達スピードが早い
・もしもの時は誰かを背負いながら滑るなど、横乗りのため「利便性」は低い
・サーフィンやスケートボード同様、横乗りスポーツはバランス的におもしろい
●アドバイス
・高速で急斜面を降りる場合はロングターンを意識する
・悪条件の時はズレの少ないターン(カービングターン)を意識するよりは、ズレ幅の大きい
コントロールを主にしたターン技術を目指す。
・新雪やアイスバーン等では逆にカービングターンを意識する
・樹林内(狭い場所)においてはショートターンを意識する
・平地の際は素直に歩く
☆重要
現実的にどの用具が優れているか、どの用具が適しているかは
「その人の経験や能力によります。
」
又、技術的な上達具合も「その人の経験や能力によります。
」
要するに「その人がその用具を使いこなせるか」
「技術をマスターしているか?」
が重要です。
13 テクニックアドバイス(雪質・条件)
P25
(解説)
スキーガイドとして理解すること(伝達すること)はその日のルートにおいてゲレンデと比較し
バックカントリーでは「刻一刻と雪質が変化する」と言うことです。さらに同じルート、同じ場
所
においても時期が違うと「まったく条件や雪質が違う」と言うことです。そこで参加者において
も変化する雪質を予測し、それに適応した技術や戦略で滑る必要があります。
<パウダー>
●知識
・パウダーにおいても良質のパウダーとやや重めのパウダーがある。
・パウダーにおいてはどのくらいの降雪量があり、どのくらい沈むのか?が重要です。
「要するにパウダーは軽さが決めて」
●技術
・上級者にとっては滑りやすいので問題ない
・抵抗が大きいのである程度スピードを活用する
・テクニック的には普通に滑る
<圧雪>
●知識
・
「圧雪」とは圧雪車による人工的な圧雪と、バックカントリーにおける
他のスキーヤーやボーダーによる圧雪がある
「圧雪においても圧雪具合による」
●技術
・全体的に圧雪されている状態ではゲレンデと同じなので問題ない
・部分的な圧雪の場合はバランスを乱しやすくなるので、注意する
・テクニック的には普通に滑る
<アイスバーン>
●知識
・アイスバーンにおいてもややアイスバーンからスケートリンククラスまである。
「アイスバーンはエッジの危機具合が決めて」
●技術
・上級者にとっては滑りやすいので問題ない
・エッジを立てすぎても、立てなさすぎてもバランスを崩す
・テクニック的には普通に滑る
P26
<湿雪>
●知識
・湿雪においてもやや重めの雪から春先のヘビー級まである
・水分が多いので滑走性が悪い
「湿雪は WAX やメンテナンスが決めて」
●技術
・上級者にとっては普通に滑る
・急ブレーキがかかるので、前後のバランスに注意する
・滑走性が割るのでスピードを利用する
<ザラメ雪>
●知識
「ザラメ雪」とは春先に多い、砂糖のザラメのような雪質である。
(気温の上昇で一度溶けた雪が結晶状に固まる)
・固まったザラメ雪は比較的滑りやすい
・固まったザラメ雪は午後になると溶け始め悪雪となる
「ザラメ雪の条件時は午前で終了する」
●技術
・上級者にとっては普通に滑る
・溶け始めたザラメ雪はスキーが埋まりやすくなるので注意
・急激や荷重やプレスを控える
<クラフト雪>(モナカ)
●知識
「クラフト雪」とは春先に多い、和菓子のモナカのように表面が固く中が柔らかいような雪質
(気温の上昇で表面の雪が溶け、夜間その雪が固まる)
・モナカ雪ではスキーの接雪している部分だけが中に埋もれてしまうため
「どうにもならない」
「モナカ雪は滑らない、ツアー中止を決断する」
●技術
・上級者にとっては片方づつ、空中に持ち上げる
・ジャンプターンも有効だが、着地の際危険である
・素直にキックターン
P27
<春の汚れ雪>
●知識
「春の汚れ雪」とは春先に発生する中国大陸からの黄砂や花粉などで雪面の表面が
汚れている状態の事です。最近は温暖化の影響によりその汚れが微生物に分解され
コールタール状となっており、著しく滑走性が悪い状態の時があります。
・今後増えると予想されます。
「仕事だっと思ってあきらめる」
●技術
・特に必要な技術はない
・メンタル的にダメージがあるので、メンタルを強くする
<春の堅雪>
●知識
「春の堅雪」とは春先に多いクラフト(モナカ)雪の表面が著しく堅い状況の事です。
(気温が上昇した場合は溶け始め最終的にはモナカ雪になります)ところが気温が上昇しなか
ったり早朝時においてはアイスバーンのように堅いままである。
「春の堅雪はチャンスである」
●技術
・上級者にとっては普通に滑る
・アイスバーンよりはエッジが効きやすので滑りやすい
・カービングターンが有効である
<スプーン・カット>
●知識
「スプーン・カット」とは春先や残雪期に多く、太陽光や風の影響により雪面がスプーンで削
りとられたような状況になっている事です。
・スプーン・カットにはその場所により、サイズがまちまちである。
●技術
・とくに必要な技術はないが、振動が多いため筋力疲労度が大きい
・とくに必要な技術はないが、雪質が堅いため転倒すると致命的となる
・とくに必要な技術はないが、スピードオーバーに注意する
☆重要
技術的に優れている人、あらゆる雪質に対処できる。
14 テクニックアドバイス(タクティクス)
P28
(解説)
スキーガイドとして参加者を安全に楽しませるためには、メンタル的なサポート及び安全のための
タクティクス(作戦)とより楽しむためのタクティクス(作戦)を伝えると効果的である。
参加者に「勇気を与え」そして「リスクを削減」するために必要です。
●登行
気持ち的にはスキーツアー参加者は登りたくないと考えています。
登行においてのタクティクスは「楽しく滑るイメージ」を期待させる事です。
●パウダー
基本的にツアーに参加するスキーヤー(ボーダー)はパウダーが大好きです。
一部経験的に苦手な方もいます。その方への技術的なタクティクスは
「おもったより浅まわりでスピードを出せ!」
メンタル的なタクティクス
「転んでも痛くないので、十分に楽しめ!」
●急斜面・アイスバーン
慣れないスキーヤーでは急斜面やアイスバーンでは恐怖心があります。
それを克服するための技術的なタクティクスは
「深回りのターンを意識し、オーバースピードとならないようにコントロールしろ!」
メンタル的なタクティクス
「気持ちで負けるな!」
☆重要
スキーガイドにとって、参加者のレベルに応じてタクティクス(作戦)を伝えることが
必
要です。その参加者が転倒せず、無事に通過できることを再優先するため方法を伝えな
ければいけません。そこで参加者のレベルで出来る技術や滑走ラインはどこか?を組み
立ててあげる事がタクティクスとなります。
(例)
・無理せずトラバースしましょう
・個々は板を外し、歩きましょう
・あそこの平らな部分まで移動しましょう
・そこの場所でターン(方向変換)しましょう
・半径◯◯mぐらいで滑りましょう
・あそこまで〇〇ターンぐらいでいきましょう
・時速〇〇くらいでお願いします。
15
用具のアドバイス
P29
(解説)
ツアー参加者にとって、経験豊富なガイドによる用具のアドバイスは非常にうれしいものです。
新しい情報や現場での情報は今後、用具を購入する際の基準となります。
もちろん用具のアドバイスはガイドの職能であり、料金に含まれています。
<最新用具の傾向について>
●アルペンキー板について
・ロッカースキーが大頭して来ている
ロッカースキーとは従来のアルペンスキーと比較し、ベント(キャンバー)が少なく、接雪面
が多い、又前後がやや反り上がっているという特徴がある。
メリットとしては左右に振りやすい、操作がしやすくなる
デメリットとしては直進安定性が低い。いわゆるカービングターンがしづらい
・新雪用に幅広な板が多い(ファットスキー)
幅が広いほど、新雪時抵抗による浮力がよくなる。(悪雪時でも同様)
●テレマークスキー板について
・テレマークにおいても新雪用が出てきている
●スノボについて
・バックカントリーのブームにより新雪専用のカットスタイルが人気がある
軽量であり、浮力が高いためパウダーでの操作が楽である
●ブーツ
・ほとんどがプラスチック製である
(より軽量となっている)
●バインディング
・軽量化が進んでいる
・より使いやすくなっている
★重要
ガイドが絶えず、用具に関し興味を抱き、情報を仕入れる事が重要です。
又アドバイスはカタログ上の情報ではなく、実体験に伴う、生の情報が喜ばれる。
16
行程管理
P30
(解説)
スキーガイドにおける行程管理は基本的には登山ガイドと同じです。
ただし、冬山においては危険度が数倍向上しますので夏山よりはクッション時間を多く取りまし
ょう。又日没も早いので、終了時間についても早めにしましょう。
<スキーガイドの工程作成法>
□終了時間の1時間前に真の終了時間を設定する
□その終了時間から逆算方式により各ポイントの到着時間を設定する
□その各ポイントの到着時間に15分のクッション時間を儲ける
□クッション時間を加算した各ポイントの通貨時間を行程表に書き込む
□逆算方式により決められたスタート(集合時間)を30分早めに設定する
<スキーガイドの実践的行程管理法>
・とにかく「はやめ・はやめ」の行動を呼びかける
・設定した各ポイント時間と照らし合わせて行動する
・予定より遅い場合は以降のポイント間で少しずつ、時間を縮める努力をする
・予定早い場合は、自然解説や技術アドバイス等で時間を伸ばす努力をする
・予定より早く終了してしまった場合は、情報提供や次回のためのミーティング等で
コミュニケーションすると喜ばれます。
・悪天候時における余暇的な時間が発生した場合の対処としては下記の内容のプログラムを儲け
る
□技術的なレッスンをする
□ロープワーク等のデモンストレーションをする
□ビバーク等のシュミレーションをする
□雪像を掘ってみる
<他> 冬季シーズンのスキーツアーにおいては悪天候の中止となる可能性が高い
そのため、対策として代替の案を用意しておく事が必要です。
(できれば中止によるガイド料の返金をしないようにする)
★重要
何よりも優先させるのは「安全」である。
多少遅くなっても「安全」を優先させた行動をする事が必要である。
17
楽しませるナビゲーション
P31
(解説)
スキーガイドにおけるナビゲーションの中で、安全を確保出来る範囲内で参加者は滑る楽しさを
期待して参加しています。そこでスキーガイドは楽しく滑る事を目的としたナビゲーションを提
供することが必要です。
基本的には楽しく滑るためのポイントは(パウダーなど良質なコンディション・長い距離・気持
よく)となります。
<滑走中の楽しさ例>
・快適に滑る楽しさ
□スピード感
(スピードを出す・直滑降)
□爽快感
(パウダー・樹林スラローム)
など
・克服する楽しさ
□斜面を転倒せず滑り降りる
(急斜面・悪雪・深雪・ロングコース) など
・冒険的(アドベンチャー的)楽しさ
□スリル (地形を利用したジャンプ・安全な雪庇ジャンプ・地形を利用したハーフパイプ)
□緊張(急斜面のトラバース・スプーンカットの斜面・アイスバーン) など
これらを味わえるようなナビゲーションが必要です。
(パウダーについて)
参加者全員がパウダーを楽しめるようにガイドが滑走ラインを調整・指示します
安全を確保出来る範囲内で参加者を先に滑らせることも重要です。
(しっかりと停止位置や進行方向を指示する)
とにかくコース上でパウダーで滑走出来るラインを探しだす事が必要です。
<楽しめるナビゲーションの留意点>
・ガイドとしてその参加者のレベルに応じたナビゲーションを行う
(一人ひとりに違う事を指示する)
・あくまでも安全を優先し、管理出来る範囲内で行う
(最悪を想定した範囲内で行う)
・滑走についての快適に滑るためのナビゲーションをする
(スピード・リズム・視線とうのアドバイスをする
★重要
「楽しませながらも明確にやストップ場所や注意点を指示する」
18
サービス・ホスピタリティ
P32
(解説)
スキーガイドはサービス業です。サービス業におけるサービスはすべて料金に含まれています。
その中でも「お得感」や「うれしい」と思う感情を引き出す行為をサービスといたします。
スキーガイドはそれを提供しましょう。
サービス業であるスキーガイドにとって、サービス業の基本であるホスピタリティも重要です。
満足度向上やリピートの戦略的にも重要です。
●「スキーガイドのサービス」とは
実践的なガイディングに関連した「おまけ」や、いわゆるおみやげ的な「おまけ」になります。
<スキーガイドのお客様に喜ばれるサービス例>
・WAX を塗ってあげる
・用具を調整してあげる
・ツアー中、参加者が得する行動(お茶など)を提供する
など
<参加者が喜びそうなおまけ>
・地産の食物
・地産のおみやげ
・ガイドツアーの記念になるもの
など
●「スキーガイドのホスピタリティ」とは
サービス業全体と同じです。例えば参加者に参加して頂いてありがたい「感謝の気持ちや
愛情」です。また気配りとして参加者がして欲しい事を「先回りして提供すること」も含みま
す。何よりも参加者の気持ちを理解し、それを解決するための行動がホスピタリティとなります。
<スキーガイドのホスピタリティ例>
・写真を撮ってあげる
・荷物(ザック)を背負う際手伝う
・何か必要な事をする際、すこし手伝う
★重要
サービスとホスピタリティは連動しています。現実的には相手を思う気持ちがあっても、行動しな
ければ伝わりません。さらに相手が気づいてくれないと意味がありません。
過剰にやりすぎる場合は「相手にストレスを与えてしまいます」
19
自然解説
P33
(解説)
スキーガイドにおいても夏山同様、自然解説を提供します。
なぜならば、スキー等の滑走を楽しむということは自然の中で行う体験だからです。
基本的に参加者は自然に興味があり、自然が大好きです。そこでガイドが解説すると
それは非常にうれしく、ありがたいのです。
<スキーガイドの自然解説の素材例>
・そのエリアの気候や気象条件について
・見える山並みや地形
・雪と風で作られる風景や減少
・樹木等(冬芽含む)
・雪質(結晶)について
・アニマル・トラッキング(雪面に残された動物の足跡)
など
<スキーガイドの解説方法>
・登行中
登行を妨げたり、披露中のストレスとなる状況では解説を控える
(休憩と連動させる事がベスト)
・休憩中や時間がある時
観察したり、5感を使いしっかり解説する
(ルーペやサンプル・資料)
・滑走中
滑走の妨げとなる場合は控える
(例えば遅れている参加者を待っている間などで解説)
<スキーガイド中の解説時の留意点>
・危険箇所では控える
・風向きに配慮する(参加者に風が当たらない立ち位置)
・いつもより沖な声で(風や降雪で声が伝わりづらい)
・いつもよりオーバーアクションで(参加者とガイドのスタンスが遠いためつたわりづらい)
★重要
自然解説は一方的に行うよりは参加型(やり取り型)にする。
出来るだけ相手のニーズ(興味があること)に会わせる。
20
環境保全
P34
(解説)
スキーガイドも登山ガイド同様、環境保全について貢献する必要があります。
スキーガイドの仕事そのものが環境保全と密接に関係しています。
要するに環境を保全出来ない場合、仕事が出来なくなるからです。
<環境保全の知識>
「環境保全とは」 現状の環境を保全しようと努力することです。
「保護とは」立ち入らないでそこをありのままの姿を維持しようと努力することです
要するにスキーガイドのツアーではそのエリアへ立ち入る事になるので
あくまでも保全活動となります。
現在、国家的に観光と保全を結びつけた「エコツーリズム」が推進されています。
エコツーリズムの目的は「保全と活用」です。それを理解しておきましょう。
<スキーガイドの環境保全行動例>
・環境にダメージを与えない
積雪量は少ない状況において、湿原等で植生を痛める可能性の場所は控える
(30cm以上が必要)
特別保護区等で規制や立ち入り制限がある場所には立ち入らない
・ゴミやし尿等は持ち帰る
ゴミはもちろん、携帯トイレ等でし尿も持ち帰る
(特に排泄物やトイレットペーパーなどは雪に埋めても凍っており、雪解けと共に出現する)
・ルールやマナーを伝達する
そのエリアにおけるルールやマナーをしっかりと伝達しましょう。
・軽い啓蒙活動をしましょう。
環境を保全する意味や目的等を軽く解説に盛り込みましょう。
(あくまでも軽くお伝えしましょう)
「基本的には夏山ガイドと同じです」
★重要
最も大事なことは参加者におもいっきり自然の中で楽しんでもらう事です。
さらに自然の素晴らしさを実感してもらう事です。
それを経験した参加者は「自然を保全しよう」という意識が芽生えます。
21
コミュニケーション
P35
(解説)
サービス業であるスキーガイドにとってコミュニケーションはかなり重要です。
参加者に分かりやすく注意したり、楽しい自然解説を実行するためには良好なコミュニケーショ
ンが効果的です。さらに仲良くなるための信頼関係を構築するのもコミュニケーションです。
要するに参加者とガイドが意思を伝えるのにはコミュニケーションしかありません。
<コミュニケーションの目的>
相手の信頼関係を構築する事
<なコミュニケーションの内容>
・言葉
・口調
・ジェスチャー
要するに言語によるものと非言語を組み合わせて行います。
<スキーガイドにおけるコミュニケーション術>
・安全管理や指示・諸注意について
□わかりやすい表現を用いる
□オーバーアクションで伝える
□感情を表現する
・自然解説
□わかりやすい表現を用いる(専門用語は使わない)
□タイトル(結論)から先に伝える
□1分以内に終わらせる
・雑談中(休憩中)
□笑顔を意識する
□自己開示する
□ホメる
□笑わせる
□よく聞く
□うなづく
など
★重要
コミュニケーションの基本は「笑顔」「アイコンタクト」「ホメる」です。
22 情報提供
P36
(解説)
一般的なガイド業務において、参加者に対して情報を提供することは当たり前です。
特にスキーツアーにおいては全国的に情報量が少ないので、ガイドから得られる情報は貴重と
なります。そこでそれを期待して参加しています。
<ガイドが提供する一般的な情報>
・おススメの温泉施設
・おススメのレストラン
・おススメの宿泊施設
・おススメのおみやげ品
・そのエリアへの交通アクセス情報
など
<参加者が期待するスキーガイドの情報>
・そのエリアの積雪情報
・そのエリアのコンディション
・そのエリアのおススメルート
・そのエリアの安全管理の情報 (雪崩・危険箇所)
・そのエリアの仲間の情報
・用具の情報
・ガイドが持つ他のエリアの情報
・ガイドが経験したハプニング情報
など
★重要
ガイドが提供する情報については、出来るだけ鮮度がありガイドが経験した情報が喜ばれます。
雑誌やパンフレットに記載されていない情報がベストとなります。
又、最近では SNS の普及により、その情報が全国的に拡散されます。
SNS により個人情報の管理はもちろん、ガイドの発信する情報にも責任を持たなくてはいけませ
ん。特に写真撮影等では肖像権が発生しますので注意が必要です。
23 満足度向上とリピート
P37
(解説)
参加者に対し、満足度を向上させる事はガイドを職業として行くうえで非常に重要です。
満足度がある場合は、次回参加(リピート)にも結びつくからです。
満足度を向上させるためにベストを尽くしましょう。
<満足度のメカニズム>
満足度とは参加者がどのくらい満足出来たか?という感情です。
その満足度は支払った料金に比較した場合と参加者が期待していたイメージとの差により判断さ
れます。
「支払った料金に比較して、それ以上価値があった(楽しかった)」
「想定したイメージと比較して、それ以上の価値があった(楽しかった)」
このような場合は満足度が向上します。
ただし、その満足度向上を目指すためにガイド料金やツアー料金を低く設定した場合、満足度は
向上できますが、集客の事を考えると低料金では価値を下げてしまいます。
要するに、満足度と価格設定のバランスを考えて努力する必要があります。
<リピートについて>
ガイドとして再度、参加していただくことはビジネス的にも感情的にもうれしい事です。
いかにリポーターを増やすかが勝負となります。ただし満足度を向上させても
リピートするとは限りません。リピートさせるには条件が必要です。
重要なのは一度参加した方が、又参加したくなるようなツアーを実行する事です。
★ガイドのリピート戦略
・ツアー内容で満足度を向上させる(最高の体験を提供する)
・ガイドの人間的な魅力を増大させる
(魅了する)
・次回の目標を設定する (モチベーションをプレゼントする)
・チャレンジの必要性を作る
(リベンジを誓う)
・次回参加の必要性を作る
(魅力的な商品を紹介する)
・次回参加の利便性を向上させる
(次回割引・会員割引・おまけ・特典・プレゼントなど)
・仲間(コミュニティ)を形成する
・再会を誓う(約束する)
「これ以上はコンサルティング依頼した方だけにお伝えします」
24 困ったときのアドバイス(ケース・スタディ)
P38
(解説)
ここでは、スキーガイドで活躍中の皆様から寄せられるケース・スタディを共有しましょう。
Q1
A
当日、集合場所に来てもらったら装備が足らない(忘れてしまった)
現地で購入したり、レンタル出来ないか検討しましょう。
もし、それが出来なかった場合は素直にお断りしましょう。
申込の際や契約の際、その事をしっかり記載し、説明しておくことが重要です。
「当日、装備等に不備がある場合はツアー参加をお断りすることとなります」
Q2
口頭でレベルを確認し、参加を認めたが、現場で確認するとレベル的に無理な参加者
である。
A
素直にお断りしましょう。
(料金はレッスン参加費や、次回のためのストックに回しましょう。
)
そのようなレベルの方を集めたツアーを企画しましょう。
Q3
A
Q4
A
Q5
A
Q6
A
Q7
A
Q8
A
ガイドのいうことを聞かない
料金を返金し、離脱証明にサインしてもらう
危険な事にチャレンジし過ぎる
料金を返金し、離脱証明にサインしてもらう
参加者が急に倒れて意識がない(搬送するべきか OR 救助要請か)
迷わず、救助要請です。
参加者が重すぎて搬送できない
迷わず、救助要請です。
レベルが足りないがどうしても参加したいと願う(年齢的にもきびしい)
迷わずお断りする。
悪天候時、ツアーを実行するべきか?中止にするべきか?
悩んだら中止です。
(料金を返金しなくてもよいように代替プログラムを用意する)
☆重要 各事業者において困った事と解決策を記録しておく事が重要です。
25 資料・情報集
P39
(解説)
今回、作成にあたって役立ったサイトを紹介します。
又、JMGA で行われている検定の際の内容(チェックシート)を記載します。
<情報>
統計によると、バックカントリースキー中の事故は、2004 年以降 10 年間で
発生数
59件
死亡者23人
◆交通事故 VS スキーアクシデント
・交通事故発生率
(0,002%)
・ゲレンデスキーでのアクシデント発生率 (0,02%)
・登山事故発生率
年間登山者数数(1200 万人)÷ 年間参加者数(2000)×100(0,016%)
※交通事故と比較しスキーアクシデントは10倍高い
交通事故と比較し登山事故は8倍高い
<参考サイト集>
●http://bcski.yukigesho.com/
(全般情報)
●http://backcountry.sports.coocan.jp/dictionary.html
●http://matome.naver.jp/odai/2142036223240521001
(全般情報)
(事故データ)
●http://bunanokai.chu.jp/pdf/060211_sky.pdf (技術指導)
<最後のまとめ>
結論
P40
スキーガイドにとって最も必要な能力は「予測力」です。
「予測力」とは数秒・数分・数時間先の状況や光景を予測することです。
いかにその予測の精度を上げられるか?
という事です。
例えば
・気象条件の予測
・この先の地形の予測
・斜面変化や雪質の予測
・潜む危険箇所の予測
・参加者の疲労やコンディションの予測
・参加者の転倒予測
・参加者のニーズの予測
などです
「予測」ができるからこそ、安全管理の予防の行動や配慮が出来ます。
「予測」ができるからこそ、斜面状況に合わせたバランスや技術を変化させる事が出来ま
す。
「予測」ができるからこそ、参加者のニーズに答える事が可能となります。
「予測」ができるからこそ、次回ツアーの企画を組み立てられます。
スキーガイドにとっては「予測力」がすべてです。
「予測力」を身につけるためには「経験やデータ」が必要です。
出来るだけたくさんのガイド経験と滑走経験が必要です。
若手スキーガイドに必要な事は出来るだけ「経験を積む」と言うことです。
ベテランガイドにおいては「経験があるだけではダメです」
経験から予測する力が必要です。
そしてリスクを回避するためには
その「予測力」から「決断」
「実行」する事が必要です。
まずは「予測力」から始まります。
2015,11 月
長内 覚
◆JMGA 検定チェックリスト
1.装備
省略
2.安全管理と顧客のケア
1 当該地域の気象、地形、コース状況等を把握しているか
2 悪天候、危急時の対策はできているか
3 顧客の体力、技術、経験等を把握しているか
4 挨拶、自己紹介、顧客の紹介 5 コース概要の説明と行動上の諸注意等の説明
6 顧客の装備チェック、健康、体調の確認
7 適切なオーダーと間隔の指示
8 ビーコンチェック(受信、発信機能グループチェック)
9 登高、滑降方法、停止場所の指示と徹底
10 顧客の体力、疲労具合、パーティ全体の掌握と配慮
11 危険地帯通過時の注意喚起と十分な配慮
12 休憩場所の指示と安全確保は適切か
13 顧客に安心感を与え、不安や緊張感を解消する努力を したか
14 スキー、シール等の着脱場所の指示は適切か
15 常に時間を考慮した行動をしているか
16 山岳スキーを楽しませているか (自然解説、技術指導等サービス)
17 顧客を最後まで安全にガイディングできたか
18 顧客の力量に応じたルート選択とペース配分
3.ナビゲーション
1 行動表の作成(プリペレーション)
2 地形図、コンパス、高度計によるナビゲーション(登行時)
3 地形図、コンパス、高度計によるナビゲーション(下降時)
4.危険地帯の通過と回避 (危険予知と危機管理)
(クライアントとの間隔の指示)
1 雪崩地帯
2 雪庇
3 アイスバーン
4 谷、沢、尾根、樹林帯
P41
P42
5.山岳スキー登行技術
1 平地移動
2 緩斜面の登行とターン(大きい円弧)
3 急斜面の登行とターン(ジグザグ)
、キックターン
4 クライミングサポートの使用時 ver.2013
5 スキーアイゼン(クトー)使用時
6 スキーをはずしての登行(ザックに担ぐ、肩に担ぐ、他)
7 地形に応じたルート選択
6.山岳スキー下降(滑降)低速技術 SAJ SIA 等の技能検定基準を参考にする
1 プルーク(全制動)
2 片プルーク(半制動)
3 デラパージュ(横滑り)斜め後方で距離は適宜、急停止
4 プルークターン(プルークボーゲン)
5 シュテムターン
6 キックターン(急斜面)左右
7.山岳スキー下降(滑降)高速技術 SAJ SIA 等の技能検定基準を参考にする
1 パラレルターン 大回り (SAJ2 級程度)
2 パラレルターン 中回り
3 パラレルターン 小回り
4 スケーティング(平地)
8.山岳スキー下降(滑降)実践技術 SAJ SIA 等の技能検定基準を参考にする
1 オフピステ、ピステでの斜面状況に応じた安全重視の滑り
2 ロングコースでの総合的な滑降技術
3 斜面状況・顧客の技術に応じて、スキーで引率できている か
(滑走の順番・間隔・コースどり)
P43
9.ガイドとしての資質
1 危険に対する事前の認識と判断力
2 危険に対する予知予見と事前回避能力
3 困難(危険)な状況下における的確な判断と行動
4 指導力、統率力、責任感、義務感、信頼性
5 受験態度、言動、マナー、積極性
6 この分野に相応しい技術、知識、体力および精神力
7 ガイドとしての心構え (常に顧客の安全を考慮して行動したか)
8 ガイドとしての資質 (サービス精神、説明責任、接客態度) ver.2013
【講習・研修】 山岳スキーにおけるレスキュー技術(講習、研修)
1 要救助者とパーティの安全確保
2 救助のプランニング(セルフレスキュー、救助要請)
3 応急処置(低体温症)
4 ソリを造っての搬送
5 ツエルト等を利用したシート搬送
危急時に於けるビバーク(講習、研修)
1 雪洞の構築 (スキー等を使用する)
2 雪洞の構築 (雪洞とツエルトの利用)
雪崩対策技術(講習、研修)
1 天候、積雪(降雪量)
、雪質の判断
2 雪と雪崩の知識
3 弱層テスト(ハンドテスト、コンプレッションテスト)
4 雪崩ビーコン捜索技術(シャベル、ゾンデを使用)
・・END・・
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