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IPマルチキャストを活用しテレビジョンシステムを刷新 より利便性

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IPマルチキャストを活用しテレビジョンシステムを刷新 より利便性
[導入事例]
IPマルチキャストを活用しテレビジョンシステムを刷新
より利便性の高い公共交通を実現するための新たな基盤に
大阪市交通局
大阪市内の市営地下鉄7路線とニュートラムを運営する大阪市交通局。ここでは経営効率化と利用者の
利便性向上を推進するため、2004年8月から運転指令所の統合が始まっている。これに伴い実施され
たのが、運行の確実性・安全性の確保や、異常事態発生時の迅速な対応を行うために導入されてきた、
テレビジョンシステムの再構築である。これまで専用ネットワーク上で動いていたこのシステムを、約
500台のシスコ製スイッチで構成された多目的IPネットワークへと移行しているのだ。スパースモー
ドのIPマルチキャストによって、多数のカメラの画像もストレスなく配信できる環境を実現。また冗長化
技術の活用で、極めて高い信頼性の確保にも成功している。
●導入の背景/ 課題
経営効率化と利便性・安全性向上を目指して指令所統合へ
・1992年以降乗車人員が減少傾向になり、
より効率
テレビジョンシステムの再構築も必要に
的な経営が必須条件に。利便性・安全性に関する乗
客ニーズも多様化。これらを両立させる経営課題
1990年代に入ってから、
公共交通機関の経営は年々厳しいものになっている。少子化や情報化の
の克服のため、
これまでは路線毎に分散配置されて
進展、
バブル経済崩壊後の景気低迷などといった社会経済情勢の構造的変化のあおりを受け、
鉄道
いた運転指令所の統合を開始。
・運行の確実性・安全性を確保するため、1981年か
やバスの乗車人員は年々減少する傾向にあるからだ。
しかしその一方で、
公共交通機関は通勤通学
らテレビジョンシステムが導入されていたが、
これ
や経済活動、
地域住民の日常生活に欠かせない存在であり、
正確な運行と安全性の確保、
利便性の
は専用システムのため高価で自由度が乏しく、運転
指令所の統合に伴い新しいシステムへの移行が必
要求は高まるばかりである。地下鉄サリン事件が発生した1995年以降は、
テロ対策の重要性も高まっ
要となった。
ている。
コストダウンと利便性・安全性の向上をいかにして両立するかは、
公共交通機関にとって極め
・コスト・パフォーマンスを高めるため、IP ベースの
多目的ネットワークの構築を決定。多数のカメラか
ら送られる動画をこの上でストレスなく配信できる
ようにするため、スパースモードのIPマルチキャス
トを採用した。
●導入ソリューション
・ネットワークインフラストラクチャー
・スパースモードのIP マルチキャスト
- Catalyst6509
- Catalyst4006
て重要な経営課題なのである。
この課題に対して積極的にアプローチし続けているのが、
大阪市交通局である。同局は1933年に
公営交通初の地下鉄を梅田∼心斎橋間で開業し、
現在では地下鉄7路線とニュートラムから構成され
る122.2kmに及ぶ路線を運営。1日平均車両走行キロ数は30万キロを超えており、
乗車人員も1日平均
で240万に達する、
文字通り
“大阪市民の足”
を担う存在だといえるだろう。
大阪市交通局では、
地下鉄の運営にあたって積極的に先進技術を取り入れており、
安全性の向上
と機械化による経営の効率化に務めてきた。1981年に運行を開始したニュートラムでは、
コンピュータ制
- Catalyst2950
御による自動運転を実現している。
また1990年に、
わが国で初めてリニアモーター駆動車両を採用した
- Catalyst4506
小断面地下鉄路線である長堀鶴見緑地線を開業。その後、
自動運転システムやホーム監視用運転台
・QoS
モニタなどの乗務員支援設備を導入して、
1996年には営業中の同路線のワンマン運転化も成し遂げ
●導入効果(期待される導入効果)
ている。先進技術の導入を積極的に進めているのだ。
・運転指令所ですべての路線の状況が一目瞭然にな
り、非常対策室や電気指令所、駅長室等とも画像を
その一環として2004年度から始まったのが、
運転指令所の統合である。
「これまで市営地下鉄7路
共有できるため、異常事態発生時の対応措置をさら
線の指令所は、
各路線毎に分散配置されていました」
と説明するのは、
大阪市交通局で技術部 信号
に迅速化できる。
・カメラ画像で運行状況を確認しやすくなるため、外
通信課長を務める近藤氏。
これらを2012年度までに、
建設中の地下鉄8号線を含めてすべて、
新たに
部に対する運行情報提供もこれまで以上に積極的
建設された輸送指令所に一本化するというのである。すでに南森町に設置されていた市営地下鉄・谷
に行える。
・改札口などにカメラを設置して、駅務機器の遠隔監
視を行いながら、乗客の問い合わせに即応できる効
率的な駅務形態を実現する新しいシステムの導入が
容易となる。
・局内のIT基盤であるとともに、テレビ会議システム
(2004年度内に導入予定)との連携で情報化をさ
らに推進できる。
町線の運転指令所は、
2004年8月に輸送指令所へと移行しており、
御堂筋線の運転指令所も年度内
に移行を完了する予定。
この後も順次、
運転指令所の統合化が進められる計画だ。
「これによって地
下鉄ネットワーク全体に関する情報の一元化を図り、
路線間連携による指令業務の高度化や適時的確
な情報提供による乗客サービスの向上などが可能になります。
また危機管理体制も、
これまで以上に強
化することができます」
・今後導入が予定されている鉄道ICカード「PiTaPa」
これに伴い、
これまで運転指令所や駅で利用されてきたテレビジョンシステムの再構築も進められて
のシステムなどでも、
このネットワークを活用できる。
いる。大阪市交通局では、
運行の確実性・安全性の確保や異常時の迅速な復旧等を目的に、
1981年
IPマルチキャストを活用しテレビジョンシステムを刷新
より利便性の高い公共交通を実現するための新たな基盤に
大阪市交通局
からCCTVカメラとモニタを光ファイバで接続した監視ネットワークを構築しており、
2000年までに全路
線への導入を完了している。
これによって出庫時の車両番号や車種の確認、
列車の行き先表示や前
部標識のチェック、
ホームの混雑状況の把握、
異常事態発生時の状況確認などを、
テレビ画像によって
行えるようになっていたのだ。
これを今回、
IPベースの多目的ネットワークへと移行しているのである。
「以前のテレビジョンシステムは専用システムなので高価であり、
大がかりな映像切替器を使わざるを
えないわりには映像選択表示の自由度も制限されていました」
というのは、
大阪市交通局 技術部 信
号通信課で課長代理を務める尾植氏。通信は駅から運転指令所に伝送する“ポイント・
トゥ・ポイント”
型であり、
用途毎にシステムが林立するという状況だったという。
「このままではカメラ画像の有効利用
が難しく、
運転指令所の統合にも対応できません。汎用的に利用できる多目的ネットワークの構築が求
められていたのです」
「多目的ネットワークの構築によって、
複数システムの林立という問題を解消できます。
その結果、
格段に高いコスト・パフォーマンスを実現できるのです」
大阪市交通局
建設技術本部 技術部
信号通信課長
近藤 文雄 氏
約500台のシスコ製スイッチで
IP ベースの多目的ネットワークを実現
多目的ネットワーク構築の仕様検討が始まったのは2001年度。その翌年には発注が行われ、
システ
ム・インテグレータが決定している。そして2003年1月にはネットワーク構築作業に着手。合計119に上
る駅と本局、
事業所、
輸送指令所を結ぶ大規模なネットワークを、
2004年3月に完成させている。
このネッ
トワークの構築で大量導入されたのが、
シスコのスイッチ製品群である。導入されたスイッチの総数は約
500。
これらが合計 119に上る駅と輸送指令所、
本局、
事業所等に設置されているのである。
ネットワーク全体を大まかに見ると、
コア部分と支線部分、
本局部分に分けることができる。
コア部分は
3 つのコアと13のサブコアから構成されており、
各コアにはCatalyst6509×2 台、
各サブコアはCatalyst4006×2台の冗長構成になっている。支線部分のスイッチにはCatalyst2950、
輸送指令所と本局
ではCatalyst4506が採用されている。
スイッチ間の接続には、
複数種類のメディアが使い分けられている。
まずコア間の接続には8Gbpsま
たは4Gbpsの光ファイバを複数線構成で使用。
コアとサブコアの間は、
2Gbpsまたは1Gbpsの光ファイ
バが利用されている。支線部分の接続は、
1Gbps/100Mbpsの光ファイバや100Mbpsのメタルケーブ
ル、
VSDL、
ADSLを利用。
また本局では1Gbpsの光ファイバと100Mbpsのメタルケーブルが使われて
いる。
このネットワーク上で利用できるカメラの台数は、
現時点では約300台。
カメラが撮影した画像は、
まず
MPEG2/4エンコーダによってMPEG2(6Mbps)とMPEG4(384kbps)のデータにエンコードされ、
スパー
スモードのIPマルチキャストによって、
輸送指令所に伝送される。輸送指令所では集合型 MPEG2デ
コーダで画像データをデコードし、
大型の運行表示盤に画像を表示。
この他にも指令卓上でMPEG2ま
たはMPEG4の画像を表示したり、
OAパソコンでもソフトウェアデコードした画像を表示できるようになっ
ている。
「IPリーチャブルな場所であれば、
どこででもカメラ画像を利用できます」
と尾植氏。輸送指令
ネットワーク構成図
所だけではなく本局のオフィスや駅長室でも、
現場の状況をリアルタイムに画像で確認できるのだという。
またIPベースの多目的ネットワークであるため、
用途は画像配信だけに制約されない。局内の情報化
を積極的に推進するための情報インフラとしても、
大きな期待が寄せられているという。
「ひとつのネット
各コアにはCatalyst6509 ×2 台、各サブコアは
Catalyst4006×2台の冗長構成になっている。
支線部分にはCatalyst2950、輸送指令所と本局
ではCatalyst4506が採用されている。
「このネットワークなら、
IPリーチャブルな場所であればどこででも
カメラ画像を利用できます。
これによって情報伝達も円滑化され、
措置対応も迅速化されるはずです」
大阪市交通局
建設技術本部 技術部 信号通信課
課長代理
尾植 和裕 氏
ワークを複数の用途で利用できれば、
システムの林立という問題も解消できます」
というのは近藤氏。
「こ
れによって格段に高いコスト・パフォーマンスを実現できるのです」
キーテクノロジーは IPマルチキャスト
シスコの人的サポートも高く評価
このネットワーク構築で最も重要なポイントになったのが、
カメラ画像をストレスなく利用者に提供できる
IPネットワークを実現することだった。そのために採用されたのがスパースモードのIPマルチキャストであ
る。デンスモードを採用しなかった理由は、
一度すべてのポートをマルチキャストネットワークに参加させた
上で、
必要ないポートを切り離すという、
デンスモードの方式が効率的ではないと判断したからだ。
これに
対してスパースモードでは、
必要な経路のみを選択してマルチキャストネットワークへの参加が行える。
また円滑な列車運行と安全性確保に欠かせないネットワークであるため、
可用性・信頼性の確保も重
要な要件となった。万一障害が発生しても、
30秒以内に切り替え・復旧できることが要求されたという。
これに対しては、
ネットワーク主要部の機器・経路の冗長化や、
MSDPを利用したランデブー・ポイント(RP)
の多重化などで対応している。
このような技術的なニーズに対し、
シスコ製品が高いレベルで応えていることはいうまでもない。
しかし
それだけではなく人的サポートの面でも、
シスコは高い評価を受けている。ネットワーク機能仕様検討段
階ではシスコのSEがサポートを実施、
ネットワーク構築段階でもコンサルティング・サービス(Advanced
Services)を利用しており、
その質の高さに満足しているというのだ。
サブコア8
コアⅢ
IPマルチキャストによって、
輸送指令所に伝送され、
大型の
運行表示盤に画像を表示する。
また指令卓上やOAパソコ
ンでも画像を表示できるようになっている。
通信機器室、
事業所 等
事業所、駅長室、
運輸長室 等
券売機室 等
支線1
支線2
末端
コアⅠ
サブコア2
サブコア1
サブコアⅡ
コアⅡ
コア
サブコア
「ネットワーク機器のトップメーカーだけあって、
シスコは提案やアドバイスは非常に的確でした。
最新のネットワーク技術の凄さも、
改めて感じています」
大阪市交通局
建設技術本部 技術部 信号通信課
衣笠 毅 氏
「さすがにネットワーク機器のトップメーカーだけあって、
提案内容やアドバイスの的確さは素晴らしい
Profile
ものでした」
というのは、
大阪市交通局 技術部 信号通信課の衣笠氏。本番稼働後の安定性も極め
て高いという。
「最新のネットワーク技術の凄さを、
改めて感じることができました」
大阪市交通局
危機管理体制の強化と利便性向上に大きな効果
事業開始:1903 年(地下鉄事業は1933 年)
本局:大阪府大阪市西区九条南1-12-62
営業キロ数:122.2km
鉄道 ICカードシステムでも活用を予定
駅数:119 駅
それでは多目的ネットワークの導入によって、
どのような効果が期待されているのだろうか。尾植氏は
保有車両数:1268 両
次のようなメリットが考えられると説明する。
乗車人員数:約240 万人/日
まず第1は対応措置の迅速化だ。駅など現場の状況を輸送指令所(統合された運転指令所)
で一
大阪市内の市営地下鉄 7 路線、ニュートラム、市
目瞭然に把握できる上、
同じ画像を指令所だけではなく本局の非常対策室や電気指令所、
駅長室で
も共有できるため、
列車運行異常時にどのような対応を行うべきかを短時間で意思決定できるのである。
これによって迅速なダイヤ回復や区間運行を実施できれば、
利用者の利便性も高まることになる。
第2は情報提供の積極化である。
カメラ画像が利用しやすくなれば、
その情報に基づいた情報発信
が容易になるからである。
このメリットを活かすため今回の運転指令所の統合では、
新たに「旅客指令」
バス、市営観光バス等を運営。市営地下鉄と
ニュートラムの営業距離は合計で122.2kmに達
しており、大阪市民にとって欠かすことのできな
い“足”として、重要な役割を果たしている。
“お
客様第一主義”のもと、安全で便利で快適な輸送
サービスを提供することを経営理念の筆頭に掲
げており、利用案内サービスやカードシステムの
と呼ばれる部門が輸送指令所に設置される。
これは広報機能を担当するものであり、
乗客やマスコミ、
拡充にも積極的に取り組んでいる。
職員に対して運行状況などの情報提供を行う。
http://www.kotsu.city.osaka.jp/
第3は改札口などにカメラを設置して、
駅務機器などの遠隔チェックを行いながら乗客の問い合わせ
に即応できる設備の構築も可能となるので、
サービスレベルを維持しながら効率的に駅業務を行う新し
いシステムの導入が容易となる。
第4は局内の情報伝達の円滑化。多目的ネットワークなので、
オフィス内のIT基盤としても利用可能
だからだ。
また2004年度中にテレビ会議システムを導入することも計画されており、
これと現場の画像
配信を連携させることで、
相互の情報伝達量が飛躍的に増大することも期待されている。
そして第 5 が I Tを活用したサービスの推進が容易になることだ。大阪市交通局では、
スルッと
KANSAI協議会が仕様を策定した鉄道ICカード「PiTaPa(ピタパ)」の導入が計画されているが、
この
ICカードシステムのデータ伝送でも多目的ネットワークを活用する予定だという。
大阪市交通局にはテレビジョンシステムや局内のOA環境だけではなく、
制御系のネットワークも複数
存在する。
「今後はこれらもこの多目的ネットワークに統合していきます」
と近藤氏。
また十分に感度の
高いカメラが導入できるようになれば、
将来はトンネル内へのカメラ展開も考えているという。今回行われ
た多目的ネットワークの構築は、
運転指令所の統合を円滑化するのみならず、
新たな取り組みを推進す
るためのインフラとしても重要な役割を果たすものなのだ。
©2004 Cisco Systems, Inc. All rights reserved.
Cisco、
Cisco Systems、
およびCiscoロゴは米国およびその他の国におけるCisco Systems, Inc.の商標または登録商標です。
その他、
記載されている会社名、
製品名は各社の商標、
登録商標または登録サービスマークです。
この資料の記載内容は2005年1月現在のものです。
この資料に記載された仕様は予告なく変更する場合があります。
シスコシステムズ株式会社
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