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本邦における足・爪白癬の疫学調査成績

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本邦における足・爪白癬の疫学調査成績
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日皮会誌:111(14)
,2101―2112,2001(平13)
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本邦における足・爪白癬の疫学調査成績
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Japan Foot Week 研究会
渡辺
東
要
晋一1)
西本勝太郎2)
5)
6)
禹彦
古賀
哲也
旨
浅沼
廣幸3)
原田昭太郎
俊雄4)
楠
7)
いか,あるいは気付いていても不充分な治療しか受け
わが国における足疾患,特に足・爪白癬の頻度を知
ていない実態も明らかとなった.また白癬の感染リス
る目的で,1999 年および 2000 年の 5 月第 3 週に受診
ク因子についても考察をおこなったが,今後感染予防
した皮膚科外来患者を対象に,足疾患に関する無作為
を考える上で興味のある結果が得られた.これらの患
調査を行った.その結果,2 年間で計 21,820 例が集積さ
者の QOL を高めるためにも,また家庭内感染を防ぐ
れ,足にトラブルを持つ患者は,14,087 例(64.6%)で
ためにも,足・爪白癬患者を積極的に治療すべきだと
あった.このうち 8,737 例(40.0%)は足の真菌症で,
考えられた.
ついで「うおのめ・たこ」2,826 例(13.0%),
「いぼ・ほ
くろ」1,259 例(5.8%)の順であった.この成績は同様
はじめに
に行われたヨーロッパの調査結果とほぼ同じで,足の
日本医真菌学会が行っている疫学調査1)∼3)による
真菌症が多いことがわかった.そこで,2000 年度の調
と,皮膚真菌症は皮膚科新来患者の 13% を占め,その
査においては,受診理由を「真菌症の疑い」と「真菌
88% が白癬であるとされている.さらに白癬の 64%
症以外」に分けて別個に集計したところ,前者では
が足白癬であり,爪白癬が 21% を占めることから,足
3,231 3,420 例(94.5%)に,後 者 で は 1,723 8,804 例
・爪白癬は皮膚科新来患者の少なくとも 7% を占める
(19.6%)に真菌感染症を見いだした.この真菌感染症
ことがわかる.しかしこの統計はあくまでも皮膚科を
に関与する要因をさぐる目的で,得られた背景因子を
受診した患者の集計であり,我が国における足・爪白
多重ロジスティック回帰分析により解析したところ,
癬患者の実態とは必ずしも一致しない.何故ならば,
「加齢」
「
,男性」
「
,高コレステロール血症」
「
,ゴルフ」
,
足白癬を主訴に来院する患者はなんらかの自覚症状が
「同居家族に真菌症あり」などに有意に高いオッズ比が
ある人だけなので,多くの自覚症状がない足白癬患者
認められた.治療に関しては,外用剤による治療が主
は病院での集計結果に反映されないからである.また
であり,爪白癬においても 2 3 が外用剤のみの治療で
望月らが行った足白癬の疫学調査では,本邦では 1,100
あった.また美容上の問題点ばかりでなく,歩行困難
∼1,500 万人の足白癬の潜在患者がいると推計してい
などの支障を訴える患者も少なくなかった.今回の調
る4).しかし,この疫学調査は,アンケート調査を基に
査では,皮膚科外来患者のみを対象としたが,40% に
したもので,実際に医師の診察を受けているわけでは
およぶ足・爪白癬患者が存在することが明らかとなっ
ないため,信頼性に乏しい.このように足・爪白癬は
た.またその病変の多くが,患者自身が気付いていな
common disease の割には我が国における実態はまだ
1)
帝京大学医学部皮膚科
2)
長崎市立市民病院皮膚科
3)
浅沼皮膚科医院
4)
くすのき皮膚科
5)
市立堺病院皮膚科
6)
九州大学医学部皮膚科
7)
NTT 東日本関東病院皮膚科
平成13年 6 月27日受付,平成13年10月 5 日掲載決定
特掲
東京都板橋区加賀 2―11―1
別刷請求先:
(〒173―8605)
帝京大学医学部皮膚科 渡辺 晋一
充分わかっていない.
一方,1997 年から 1998 年にかけてヨーロッパ5)6),
アジア7)の国々で行われた Achilles Project は,外来患
者における足・爪白癬を含むすべての足疾患について
の疫学調査であり,予想以上に足・爪白癬患者が多い
ことがわかった.そこで,わが国においても足疾患の
実態を探る目的で,Japan Foot Week(JFW)研究会を
組織し,皮膚科外来患者における足疾患に関する無作
為調査を全国皮膚科専門医にお願いした.
2102
渡辺
図1
晋一ほか
アンケート用紙
材料と方法
あるいは「真菌症以外の理由」で受診したか, どの
日本皮膚科学会会員名簿から抽出した全国の皮膚科
専門医 2,000 名に以下のようなお願いをした.つまり,
5 月の第 3 週(1999 年 5 月 17 日∼22 日,2000 年 5 月
くらいの時間靴をはいているか, 治療・家族内感染
の有無などを質問項目に加えた.
さらに白癬に関連するリスク要因をさぐる目的で,
15 日∼20 日)に外来受診した患者の中から無作為に
「年齢」
「
,性別」
「
,基礎疾患」
「
,靴をはいている時間」
,
20 名を抽出し,その患者の足の疾患,症状を調査票
「スポーツ」
「
,気候(都道府県の平均気温)
」
「
,家族内感
(図 1)に従って記載してもらった.患者にはあらかじ
染(調査対象者の申告による)
」
等の白癬患者背景因子
め調査の内容を説明し,承諾を得ることにした.
調査項目はヨーロッパ,アジアの国々で行われた
Achilles Project の調査項目に準じて,
性別,年齢,
が白癬発症にどのように寄与・関連しているかを多変
量解析手法である「多重ロジスティック回帰分析」を
用いて解析し,その結果をオッズ比で表した.
結
基礎疾患,職業,日常的な履物などの背景素因やよく
果
合,その種類,足または趾爪真菌症があった場合,
その部位,診断根拠,治療の有無,爪の状態, QOL
21,820 例の症例が集積されたが,1999 年と 2000 年に
に対する影響などである.また 1999 年度に行われた調
行われた 2 度の調査とも,疾患の頻度に大きな差はみ
査結果から,皮膚科外来を受診する患者にみられた足
られなかった.両年度をまとめて集計すると,足に何
疾患のなかで真菌感染症が最も多いことがわかったの
らかの問題のある人は 14,087 例(64.6%)であった.そ
で, 2000 年の調査では, 「真菌症またはその疑い」
,
の内訳は「真菌感染症」が 8,737 例(40.0%)と最も多
行うスポーツ, 足に問題があるかどうか,あった場
1)足疾患の内訳
1999 年 度 は 9,281 例,2000 年 度 は 12,539 例 の 計
皮膚科外来における足・爪白癬
図1
2103
アンケート用紙
く,ついで
「うおのめ・たこ」
が 13.0%,
「いぼ・ほくろ」
が 5.8% の順であった(図 2)
.2000 年度は調査対象
12,539 例のうち,
「真菌症または疑い」で受診した人は
3,420 例(27.3%)で,
「その他の皮膚疾患」で受診した
人は 8,804 例であった.そして前者の大部分
(94.5%)
が
実際に真菌感染症と診断されたが,後者でも真菌感染
症と診断された人は 1,723 例
(19.6%)
であった
(図 3)
.
2)真菌感染症の内訳
真菌感染症と診断された 8,737 例(他の疾患との重
複例あり)
における感染部位は,足のみが 4,519 例
(51.7
%)
,足 と 爪 合 併 例 3,078 例(35.2%)
,爪 の み 1,032
図 2 全調査対象症例(n=21,820)における足の疾患
(重複例を含む)
例(11.8%),未回答 108 例(1.2%)であった.また足
の罹患部位は,足底(57.9%),趾間(55.1%)が多く,
次いで趾腹,足縁,足背の順であり,爪の真菌症との
菌培養が行われ, 原因菌としては皮膚糸状菌が 95%,
合併は約半数にみられた(表 1).また足底と趾間の足
カンジダ 1%,その他・不明が 4% であった.このうち
白癬合併率は 51.6% であった.
カンジダはコンタミネーションの可能性もあり,その
真菌感染症の診断根拠として,回答があった 8,406
他・不明の 4% の中には皮膚糸状菌の培養失敗例も含
例のうち,臨床所見に加えて直接鏡検が行われたのは
まれているため,足真菌症の原因菌は殆どが白癬菌で
6,502 例(77.3%)であった.また 180 例(2.1%)で真
あると考えられる.そのため,以下は足・爪白癬を足
2104
渡辺
晋一ほか
表1
図3
真菌感染部位
受診理由別の真菌感染症頻度の違い
レステロール血症」「
,骨関節の病気」
のある人は足・爪
・爪真菌症の同義語として扱うことにする.
3)足・爪白癬患者の背景
白癬の合併が有意に多く,
「心臓・血管に問題」のある
足・爪白癬患者の性別は男性 4,476 例
(51.7%)
,女性
人は足白癬の合併が有意に少ないことがわかった.一
4,182 例(48.3%)で,性別頻度に大きな差はみられな
方合併する皮膚病では,
「掌蹠多汗症」
「
,体部の真菌症」
かった(未回答 79 例)
.また年齢別の真菌症罹患率に
患者に足・爪白癬の合併が多いのに対し,
「アトピー性
ついて真菌症全体,足白癬単独例,爪白癬合併例別に
皮膚炎」
「
,いぼ・ほくろ」
「
,魚の目・たこ」など,
「掌蹠
分けて集計したところ,年齢とともに足に白癬を有す
多汗症」「
,体部の真菌症」
以外の皮膚病患者では足・爪
る患者は増加するが,50∼60 歳台にピークに達し,そ
白癬の合併は有意に少なかった(図 5).行っているス
の後はむしろ減少する傾向を示した(図 4).この傾向
ポーツでは「ゴルフ」,
「ジョギング」をしている人に足
は足白癬単独患者にもみられたが,ピークに達する年
・爪白癬が多く,
「サッカー」を行っている人はむしろ
齢は若く,またその後の減少傾向もより顕著であった.
足・爪白癬が少ないことがわかった(図 6).しかし,
しかし爪白癬併発例は,年齢とともに増加し,減少す
これらの結果は他の要因も複雑に絡み合うため,額面
ることはなかった.
どうり受け入れることはできない.例えばアトピー性
また基礎疾患別の真菌感染の合併率をみると,基礎
皮膚炎は基本的には小児の病気であるため,アトピー
疾患では「糖尿病(血糖値が高いものも含む)
」
「
,高コ
性皮膚炎患者に足白癬が少ないのは,年齢で説明でき
図4
年齢別真菌感染症頻度
皮膚科外来における足・爪白癬
2105
図6
図5
スポーツ別の真菌感染合併率
基礎疾患別の真菌感染合併率
るし,ゴルフにしても一般には年配者が行うスポーツ
であるので,これも年齢によるものと説明ができるか
らである.
4)足・爪白癬患者に関連するリスク要因
そこで,各要因を独立したリスク要因として評価が
可能である多重ロジスティック回帰分析を行い,足・
爪白癬と関連するリスク要因を検討した.表 2 に真菌
図7
真菌症の家庭内感染状況
感染症を「真菌症全体」,
「足白癬単独例」と「爪白癬の
併発例」についてそれぞれの多重ロジスティック回帰
結果を示した.統計学的検定は Wald 検定を用いた.足
感染の内訳としては「配偶者」が約半数を占めた(図
・爪白癬とその他の皮膚病の相関性をみてみると,
「掌
7)
.この訴えは女性から 61.5%,男性からが 38.5% で
蹠多汗症」と「体部の真菌症」で正の相関性がみられ
あった.
たが,
「アトピー性皮膚炎」や「その他の皮膚病」など
また「足白癬単独例」と「爪白癬の併発例」に分け
では負の相関性が認められた.しかしながら今回の調
た群で,一方のみに統計学的に有意であったものは
「糖
査が皮膚科を受診した人を対象
(hospital-based)とし,
尿病」
「
,心臓・血管に問題」
「
,サッカー」
「
,エアロビク
地域一般からのランダムサンプリングではないため,
ス・ダンス」
「
,武 道」
「
,水 泳」
「
,靴 を 8 時 間 以 上 履 く」
この結果を普遍的事実としてとらえることはできな
で,特に検定値 p が 0.001 以下のものを列挙すると
「糖
い.そこで足・爪白癬とその他の皮膚病の関連はその
尿病」
「
,心臓・血管に問題」
「
,水泳」
「
,靴を 8 時間以上
結果のみを表 2 に記すことにする.
履く」であった.つまり「糖尿病」は爪白癬併発例と
「真菌症全体」
「
,足白癬単独例」
「
,爪白癬併発例」
のす
正の相関性があり,
「心臓・血管に問題」は足白癬単独
べての群で,リスク因子として統計学的に有意であっ
例と負の相関,
「水泳」
「
,靴を 8 時間以上履く」
は足白癬
たものは,
「加齢」
「
,男性」
「
,高コレステロール血症」
,
単独例と正の相関性があることがわかった.
「骨・関節の病気」
「
,ゴルフ」
「
,平均気温」
「
,同居家族に
5)足・爪白癬患者の QOL
真菌症あり」であった.とくに「同居家族に真菌症あ
「足白癬単独例」
「
,爪白癬併発例」に分けてそれぞれ
り」のオッズ比が他の要因に比べ著しく高く,家族内
の群の QOL をみてみると,
「足白癬単独例」の場合は
2106
渡辺
表2
晋一ほか
真菌症リスクへの背景因子の寄与度:多重ロジスティック回帰による検討
「痒みあり」が 45.1% と高く,
「爪白癬併発例」では「美
容上の問題」が 24.4% と高かった.次いで「靴下・靴
などを履くのに支障」
「
,歩行困難」
「
,仕事・その他の活
動に支障」
の順であり,これらの QOL の低下は爪白癬
併発例で目立った(図 8)
.
皮膚科外来における足・爪白癬
2107
図9
図8
真菌感染症の治療内容
足白癬・趾爪白癬と QOL
図 10
治療の有無による QOL
6)足・爪白癬患者の治療実態
う一つは皮膚科専門医を訪れた 19,588 例の外来患者6)
2000 年度の調査においては,真菌症治療の実態につ
についての検討である.本邦で は Japan Foot Week
いて調査を行った.足白癬のみの場合,
「外用剤のみ」
が
研究会を組織し,この Achilles Project を基に,日本の
91.4% と大部分を占めた.また「爪白癬併発例」でも
実情に合うように一部調査内容を変更し,日本皮膚科
「外用剤のみ」
が 63.2% と多く,爪白癬でも多くの場合
学会会員名簿から抽出した全国の皮膚科専門医 2,000
外用剤のみの治療しか受けていないことが明らかと
名に,皮膚科を受診する外来患者の足疾患の調査を依
なった
(図 9)
.さらに治療の有無による QOL をみてみ
頼した.その結果は 21,820 例の皮膚科外来患者が集積
ると何らかの自覚症状がある場合は治療を受けている
され,ヨーロッパの皮膚科専門医を訪れた 19,588 例の
が,そうでない場合は未治療であることが多かった
(図
外来患者の調査に匹敵するものとなった.今回の調査
10)
.
結果で明らかにされたように,皮膚科外来の受診者に
考
察
は,40.0% におよぶ足または爪白癬の患者が存在した.
1997∼1998 年にヨーロッパ 18 カ国で足に関する疫
そしてこの結果は 1999 年度と 2000 年度でほぼ同様で
学調査 Achilles Project が実施された.この調査は大
あったため,年による変動はほとんどないと考えられ
き く 2 つ の 試 験 に 分 け,1 つ は General Practitioner
た.ヨーロッパ5)6),アジア7)の皮膚科医が行った調査
5)
(皮膚科非専門医)を訪れた 76,457 例の外来患者 ,も
でも足・爪白癬患者の占める割合は 40% 以上と報告
2108
渡辺
晋一ほか
れる.むしろそれより興味深いのは,足白癬以外の理
されており,ほぼ同様の成績が得られた.
今回の調査は足の真菌症として集積したため,白癬
由で来院した患者に白癬が 20% 近くみられたことで
以外の真菌症が混ざっている可能性もある.しかし,
ある.これは白癬を自覚しない潜在患者が我が国で 20
我が国での皮膚科外来における真菌症の 88% は白癬
%近く存在することを意味する.我が国での足白癬の
で,カンジダ症,癜風はそれぞれ 8.6%,3.3% と少なく,
疫学調査1)∼4)は数多く行われているが,多くは病院を
しかも足に癜風が生ずることはまずない.また足の真
受診した患者から推計されたもので,白癬患者の実態
菌症に皮膚カンジダ症が混ざっている可能性がある
とは異なる.実際,ベッドで寝ている入院患者の足を
が,指間びらん症と比べ,カンジダ性趾間びらん症は
みると足白癬を合併していたり,他の病気を主訴に来
少ない.たとえ趾間からカンジダが培養されることが
院した患者の足をみてみると足白癬を発見することは
あっても,足白癬に二次的にカンジダが腐生している
多い.しかもこれらの患者は自覚症状がない.つまり
場合が多い.従って足の真菌症は殆どが白癬と考えら
自覚症状がないまま放置している足白癬患者が相当い
れる.また爪真菌症の中では爪白癬が大部分を占め,
ると思われるが,その実数は充分わかっていない.今
次いで爪カンジダ症であるが,他の真菌による爪真菌
回の疫学調査から,足白癬の自覚がない人でも,これ
症は極めて稀である.しかも指爪の爪カンジダ症は存
から足白癬が増え始める 5 月に調査すれば 20% 近く
8)
在するが,趾爪のカンジダ症は極めて稀である .確か
に白癬がみつかることがわかった.つまり我が国には
に白癬菌以外の真菌による爪真菌症は存在するが,そ
人口の 20%,つまり 2,500 万人ほどの白癬患者がいる
の大部分は指爪の爪真菌症で,しかもそれはなんらか
ということで,6,
7 月の足白癬ピーク時に同様な調査
の爪の変形に真菌が腐生した場合が多い.従って今回
を行えばさらにその実数が増すと思われる.
得られた足の真菌症はほとんどが白癬と考えてさしつ
また真菌症の罹患部位としては,趾間,足底が最も
かえない.また真菌症の診断として臨床所見に加え,
多く,次いで爪の順であり,また足白癬のほぼ半数に
直接鏡検を 77.3% しか行っていないため,残りの 23
爪白癬を合併していることがわかった.爪白癬の頻度
%は必ずしも白癬とはいえない.しかし診断したのは
は報告者によりばらつきがあるが,最も症例が多い滝
皮膚科専門医であり,直接鏡検を行わない場合の足白
沢によると10),足白癬の 1 3 に爪白癬を合併している
癬正解率は皮膚科専門医で大体 80% 程度であるので,
とされている.しかし,今回の調査ではそれより頻度
足白癬でない症例が混ざっている可能性はせいぜい 4
は高く,我が国には 1,100 万人の爪白癬患者がいると
%程度であり,これは誤差範囲内であると考えられた.
推計された.
2000 年度の調査結果では,水虫を主訴に来院した患
一般に足白癬の感染経路は図 11 のように考えられ
者の 94.5% が白癬患者と高頻度であったが,これは今
る.つまり足白癬患者の足から がれ落ちた鱗屑内に
回の調査が 5 月というちょうど足白癬患者が増え始め
白癬菌が存在する.これらの鱗屑は家庭内の畳,床,
る時期に行ったためと考えられる.確かに水虫を主訴
絨毯に撒き散らされており11),特にスリッパや風呂場
に来院する患者を調べたところ,実際に足白癬だった
の足拭きマットには高率に白癬菌が存在する12)13).こ
人は 2 3 程度で,残りの 1 3 は足白癬以外の皮膚疾患
の菌は長期間生存しているため,これが共同居住者間
であったとの報告がある9).このように自称水虫患者
の白癬の感染源になる.つまりこれらの鱗屑が足白癬
には多くの非白癬患者が含まれているのは事実である
に罹患していない人の足に付着することがあり,特に
が,季節的変動が著しく,冬期に来院する自称水虫患
風呂上がりの足は濡れているため,これらの鱗屑は付
者はほとんどが非白癬患者であるのに対し,暖かく
着しやすい.しかし足が乾燥すれば,足に付着した鱗
なってから来院する自称水虫患者は足白癬であること
屑は皮膚から離れ落ちてしまうため,足白癬になるこ
が多い.実際滝沢をはじめいくつかの報告では,皮膚
とはない.しかし足が濡れたまま靴下を履くなどによ
科を受診する足白癬患者数は 12 月,1 月には最低の値
り,白癬菌が長期間足に付着していると,足白癬が発
であるが,暖かくなると徐々に増加し,6,7 月にピーク
症することになる.
二宮らの実験によると14),湿度 100
10)
に達し,9 月以降減少する .つまり 5 月の足白癬患者
%では皮膚に付着した白癬菌が角層内に侵入するのに
数は 12 月,1 月の足白癬患者数の 5∼6 倍である.今回
24 時間以上を要するが,傷のついた角層に侵入するた
は 5 月に行った調査であるため,足白癬を主訴として
めには 12 時間ですむという.そのため,あか擦りなど
来院する患者が 27.3% と多かったのは当然と考えら
で,ごしごし擦った角層では 12 時間程度菌を付着させ
皮膚科外来における足・爪白癬
2109
るだけで感染する可能性がある.このような状況下に
あれば容易に白癬は感染し,今度は新たに足白癬と
なった患者までが家庭内白癬の感染源になる.
以上のような経緯で足白癬は感染するので,家の中
で裸足で歩く習慣のある日本では,足白癬の感染機会
が多い.そのため日本の足白癬は,基本的には家族内
感染によって蔓延すると考えられる.患者の申告なの
で,必ずしも正しいというわけではないが,今回の調
査でも同居している家族が真菌症を有している頻度が
高く,上記のような感染経路を裏付ける結果となった.
一方アメリカでの家族内感染については,統計学的に
有意差はないもののオッズ比が 1 以下で15),日本と逆
の結果になった.これは,欧米では家庭でも靴を履き,
シャワーを浴びても個々人でお湯や足ふきマットを替
図 11
足白癬の感染経路
えるため,家庭内の感染機会が少ないと考えられた.
また足白癬を発症するためには,感染機会だけでな
く,足に付着した白癬菌が長期間足に付着し続ける必
増す.したがって年齢とともに足白癬が増えるのは当
要がある.そのためには,菌が付着したまま,靴下を
然といえる.しかも長い間足白癬を有していると爪白
履き,靴を履き続ける必要がある.実際今回の調査で
癬を合併するようになる.足白癬は,治療により,あ
も靴を一日 8 時間以上履く人と,そうでない人を比較
るいは冬期になると自然に軽快することもあるが,爪
すると,
「靴を 8 時間以上履く」で足白癬のオッズ比が
白癬は経口薬できちんと治療しないと治らない.しか
高いという結果が得られた.しかも「靴を 8 時間以上
し爪白癬の経口療法を受けている人は少ないので,基
履く」と爪白癬併発例では有意な相関性が認められな
本的には爪白癬は治ることがない.そのため爪白癬の
かったことから,靴を履いている時間は足白癬発症に
頻度は年齢に比例して増加すると考えられ,今回の疫
は関与するものの,爪白癬発症にあまり関与していな
学調査でもそれが裏付けられた.一方足白癬も年齢と
いことがわかった.このことから,当然一日中靴を履
ともに増加するが,今回の集計では 50 歳以降は足白癬
き続けなければならないサラリーマンの方が,家庭内
単独の頻度が減少する傾向にあった(図 4).この理由
で裸足でいる時間が多い小児や家庭の主婦よりは足白
として足白癬初発時には症状があるため治療を熱心に
癬の頻度が高いはずである.しかしこれを裏付ける統
行うが,略治すると治療を中止することを毎年繰り返
計学的データは少ない.実際今回の調査でも足白癬の
し,足白癬から爪白癬へと進展し,今回の調査では
「爪
実数は男女でほとんど差が認められず,今までに得ら
合併例」として処理されたためと考えられる.実際,
れた足白癬の統計でも,有意な男女差は認められてい
多重ロジスティック回帰分析を行うと,足白癬も年齢
ない10).しかしヨーロッパ,アジアで行われた Achil-
とともにその頻度が上昇することがわかる.また 50
5)
∼7)
男性の方が足白癬が多いことが示
歳以降は定年退職などにより,靴を履いて外出する時
されている.そこで今回我が国で行った疫学調査を多
間が少なくなるため,爪白癬は残っていても多少足白
重ロジスティック回帰分析したところ,我が国でも男
癬の症状が軽快することもあるため,
「足白癬単独例」
性の方が足・爪白癬になりやすいことが統計学的に示
と「年齢」のオッズ比は「爪白癬併発例」と「年齢」よ
された.
りも低いと思われた.
les Project では
また従来の足白癬の統計では 20 歳を過ぎると急激
10)
今回の調査で都道府県の平均気温と足・爪白癬で有
に足白癬の頻度が増す が,これは,社会人になると当
意な関連が認められたが,
「平均気温」と「爪白癬」の
然靴を履く時間が増えるため,長期間白癬菌が足に付
関連よりも「平均気温」と「足白癬」の関連の方が強
着している時間が増し,足白癬を発症するためと考え
かった.これは爪白癬の発症には気温はあまり強く関
られる.さらに同居人に足白癬患者がいれば,年齢と
与しないことを意味する.また「平均気温」と足・爪
ともに感染機会が増えるので,足白癬となる可能性も
白癬のオッズ比の値は,
「年齢」
「
,男性」
「
,靴を 8 時間以
2110
渡辺
晋一ほか
上履く」と足・爪白癬のオッズ比よりは低かったが,
つまり糖尿病を有している足白癬患者は爪白癬になり
これは足・爪白癬の発症に影響を及ぼすのは室温より
やすいということである.そこで糖尿病がある患者は
も靴下や靴を履く習慣の方がより強いためと思われ
足白癬の段階できちんと治療をし,爪白癬にならない
14)
た.実際二宮らの実験では ,皮膚糸状菌が角層内に
ようにより一層注意を払う必要がある.
侵入するのに,温度より湿度の方が重要な要因である
また骨関節の病気と足・爪白癬との間に相関性が認
ことが確かめられている.またアジア地区ではタイ,
められた.骨関節の病気の詳細が不明なため,断言で
フィリピン,インドネシアといった高温多湿の国の方
きないが,関節リウマチなどのため,関節が変形して
が日本,中国,韓国といった国より足白癬の頻度が少
いると,趾間が密着し足白癬になりやすく,また爪に
7)
なかったが ,これはタイ,フィリピン,インドネシア
過度の荷重がかかり,爪の変形を来しやすく,そこに
では普通のサラリーマンでもサンダル履きが多く,靴
二次的に真菌が寄生しやすいためと考えられた.しか
下や靴を履く習慣が少ないためと考えられた.
し「高コレステロール血症」と足・爪白癬では正の相
白癬と患者が行っているスポーツとの関連をみてみ
関が認められたのに対し,
「心臓・血管に問題」と足・
ると,有意検定で p 値が 0.001 以下のものは
「足・爪白
爪白癬では負の相関がみられた.一方北アメリカで行
癬」と「ゴルフ」
「
,足・爪白癬」と「水泳」
「
,足白癬単
われた疫学調査では高コレステロール血症や循環器系
独例」と「水泳」であった.一般にゴルフは予約がし
疾患を有している人の方が爪白癬を発症しやすいこと
てあれば雨が降ってもゴルフを行い,長時間湿った靴
が統計的に示され15),循環器疾患に関しては我が国の
を履いている.しかも,ゴルフ後は入浴し,足拭きマッ
疫学調査と異なる結果が得られた.これは今回,
「心臓
トから白癬菌を拾い,そのまま靴下・靴を履き,菌を
・血管に問題」という質問が,漠然としている上に心
付着させたまま帰宅することが多い.そのため,他の
臓以外の病気や不定愁訴が混ざっている可能性がある
スポーツよりは足白癬に罹患しやすいといえる.また
ためと考えられた.いずれにせよ,欧米,我が国とも
水泳の場合も水に濡れてふやけた足に足拭きマットな
高コレステロール血症と足・爪白癬で正の相関がみら
どから白癬菌が付着しやすいためと考えられる.しか
れたことは,興味ある新知見で,今後の検討課題にな
し爪白癬は足が濡れていることよりは足白癬を有して
ると思われる.
いるかどうかがその発症に関与するため,水泳との因
一方,白癬とその他の皮膚病との関連をみてみると,
果関係は認められなかった.一方ゴルフでは弱いなが
足の湿度が足白癬の発症に影響するため,掌蹠多汗症
ら爪白癬との相関性が認められたが,これはゴルフで
では足白癬が発症しやすいと考えられる.事実今回の
は歩いたり,スイングをする時に爪へ荷重がかかり,
疫学調査でも掌蹠多汗症と足白癬で 2.14 と高いオッ
荷重がかかった爪へ白癬菌が侵入しやすいためと考え
ズ比が認められた.しかし掌蹠多汗症と爪白癬併発例
られる.
では有意なオッズ比が得られたもののその値は 1.39
白癬と基礎疾患の関連をみてみると,従来より糖尿
で,掌蹠多汗症と足白癬ほど強い相関性は認められな
病患者では種々の感染症が多いといわれているが,糖
かった.また体部の真菌症のオッズ比が 2∼2.7 と高い
尿病患者における足・爪白癬の合併率は,必ずしも正
値が得られたが,体部白癬の発症機序を考えると当然
確にわかっているわけではなく,諸家により異なる.
の結果と考えられる.一方アトピー性皮膚炎,乾癬,
これはサンプル数や集積された母集団が異なるためで
掌蹠多汗症,湿疹などの皮膚病では,足・爪白癬患者
ある.
最近の欧米の報告では16),550 名の糖尿病患者を
は有意に少ないことが示された.これは皮膚角質細胞
調べたところ 26% に爪真菌症がみつかり,正常人より
には defencin などの抗菌物質が存在しているためと
は 2.8 倍爪真菌症が多いとされている.しかし我が国
考えられる.特に乾癬病巣では defencin が大量に存在
では糖尿病患者での足・爪白癬の罹患率は充分検討さ
する17)ことから,乾癬病巣では白癬に罹患することが
れているわけではない.今回の調査で,糖尿病患者と
少ないと考えられている.しかしながら今回の調査が
足・爪白癬の組み合わせでは有意な相関性があること
皮膚科を受診した人を対象としているため,サンプリ
がわかったが,糖尿病と足白癬単独例の組み合わせで
ングのバイアスがかかっているため,これらの皮膚病
は,統計学的に有意な相関は認められなかった.この
罹患者の方が足・爪白癬になりにくいと結論づけるこ
ことは糖尿病は爪白癬の発症には関与するが,足白癬
とはできない.
の発症には大きな影響を及ぼさないことを意味する.
一方,真菌症の治療実態として,足,趾爪白癬とも
皮膚科外来における足・爪白癬
2111
前者に対しては 91%,後者に対しても 63% に外用剤
ありふれた皮膚病は,その治療の役割を OTC がにな
単独で治療されており,特に趾爪白癬に対する不十分
う可能性がある.しかし爪白癬の治療は将来的にも
な治療が爪白癬が 50 歳を過ぎても減少しない要因の
OTC に代わる可能性はなく,皮膚科専門医が治療の責
一つになっている可能性がある.今回の検索では,単
任を負うし,目の前に存在する多数の爪白癬患者の治
なる患者へのアンケート調査などではなく,日常実際
療を放棄する手はない.
に真菌症の診療に従事している皮膚科専門医を選んで
確かに,他に薬を飲んでいるからとか,自覚症状が
行ったものであるため,通常は見逃されやすい,ごく
ないからという理由で,治療を拒否する爪白癬患者が
軽い皮疹についても診断される結果となり,その信頼
多いのも事実である.しかし,そのような患者に実際
度は高いものと考えられる.また今回の主要調査項目
直接鏡検で菌がいるのをみせたり,あるいは培養した
として真菌感染症のリスク要因を多重ロジスティック
真菌をみせると,やはり治療して欲しいと前言を撤回
回帰分析をおこなったが,この解析方法は,その発症
する人が多い.ようは爪白癬を治療しないとそこが感
要因に様々な因子が関与している場合,他の因子を排
染源になり患者本人ばかりでなく,家族にも白癬をう
除し,特定の因子だけが関与するか否かを解析する方
つす可能性があることを懇切丁寧に説明すれば,基礎
法である.従来漠然と「年齢」
「
,男性」
「靴を 8 時間以上
疾患のない多くの患者は治療に同意するものである.
履く」
「
,同居家族に真菌あり」
「
,気温」などが真菌感染
ところが現実には,飲み薬は副作用があるから治療し
のリスク要因と考えられていたが,実際にそれを裏付
ないほうがよい,と皮膚科医に言われたという患者が
ける統計データはほとんどなかったが,今回の調査結
いる.実際爪白癬では美容上の問題以外,自覚症状に
果を多重ロジスティック回帰分析することにより真菌
乏しいのは事実である.しかし今回の調査結果から,
感染のリスク要因を明らかにすることができた.
我々の予想以上に歩行困難,仕事・その他の活動に支
何れにせよ皮膚科外来受疹患者のなかには,40% に
障,靴下・靴などを履くのに支障をきたす人が多く,
上る足・爪真菌症患者が存在し,しかもその 35% は患
痛みを訴える人は 14% 近くに存在した.従ってこのよ
者自身が白癬との自覚がないため,足を診察しなけれ
うな患者の QOL を高めるためにも,またこれらの患
ば見逃されているということである.このことは,患
者が感染源となり,特に家庭などの集団生活の中で,
者の訴えがなくても,足を診察すればその 20%,夏に
新しい患者を作ることを防ぐためにも,積極的に治療
検査すればそれ以上の足白癬あるいは爪白癬患者を発
を行うべきであり,その治療法は,有効な外用療法が
見することができるということである.しかも,通常
ない現在,内服療法が第一選択となり,その担い手は
の足白癬であれば OTC でも治療が可能であるが,爪
皮膚科専門医である.
白癬は経口抗真菌薬の治療が必要で,皮膚科医がその
治療の担い手である.今後予想されるさらなる医療費
最後に今回の疫学調査に協力いただいた皮膚科専門医の
先生がたに深謝いたします.
の高騰により,湿疹・皮膚炎,にきび,水虫といった
文
1)日本医真菌学会疫学調査委員会:1991 年次皮膚
真菌症疫学調査成績,真菌誌,34:493―502, 1993.
2)同:1992 年次疫学調査成績,真菌誌,36:87―95,
1995.
3)同:1996 年次疫学調査成績,真菌誌,41:187―196,
2000.
4)望月真弓,朝長文弥,久米 光,奥平雅彦:皮膚真
菌症の潜在患者 アンケート調査及び市販薬販売
量の観点から,真菌誌,26:200―206, 1985.
5) Haneke E : Achilles foot-screening project :
background , objectives and design , J Eur Acad
Dermatol Venereol , 12(Suppl. 1):S2―S5, 1999.
6) Roseeuw D : Achilles foot screening project :
preliminary results of patients screened by dermatologists , J Eur Acad Dermatol Venereol , 12
献
(Suppl. 1)
:S 6―S 9, 1999.
7)Noppakun N:Achilles Project in Asia, 6th Asian
Dermatological Congress, Nov. 11―13, 2001 Bangkok, Thailand.
8)渡辺晋一,関 利仁,下妻道郎,鄭
憲,滝沢清
宏:爪カンジダ症,日皮会誌,93:19―31, 1983.
9)楠 俊雄,楠万左子:開業医における水虫患者の
実態,日皮会誌,105:483, 1995.
10)滝沢清宏:浅在性白癬,山村雄一,久木田淳,佐野
栄春,清寺 真編:現代皮膚科学大系,7 B,中山
書店,東京,1982, 26―70.
11)新村陽子:白癬患者および家塵からの皮膚糸状菌
の分離,真菌誌,26:74―80, 1985.
12)藤広満智子:足白癬患者からの白癬菌散布状態の
検討,真菌誌,34:43―55, 1993.
2112
渡辺
13)加藤卓郎,木村京子,谷口裕子,丸山隆児,西岡
清:共同浴場利用後の非罹患者の足底からの皮膚
糸状菌の分離 複数利用による個人,男女の比較,
真菌誌,37:223―227, 1996.
14)二宮淳也:温度,湿度,角層の外傷が皮膚糸状菌の
人角層内への侵入に及ぼす影響,真菌誌,41:5―
9, 2000.
15)Ghannoum MA, Hajjeh RA, Scher R, Konnikov N,
Gupta AK, Summerbell R , et al : A large-scale
North American study of fungal isolates from
晋一ほか
nails: The frequency of onychomycosis , fungal
distribution , and antifungal susceptibility patterns, J AM Acad Dermatol , 43:641―648, 2000.
16) Gupta AK , Konnikov N , MacDonald P , et al :
Prevalence and epidemiology of toenail onychomycosis in diabetic subjects:a multicentre survey, Brit J Dermatol , 139:665―671, 1998.
17) Harder J , Bartels J , Christophers E , Schroder
JM:A peptide antibiotics from human skin, Nature, 387:861, 1997.
An Epidemiological Study to Assess the Prevalence of
Tinea Pedis et Ungium in Japan
Shinichi Watanabe1), Katsutaro Nishimoto2), Hiroyuki Asanuma3), Toshio Kusunoki4),
Nobuhiko Higashi5), Tetsuo Koga6)and Shotaro Harada7)
1)
Teikyo University School of Medicine, 2)Nagasaki Municipal Hospital, 3)Asanuma Dermatology Clinic,
4)
Kusunoki Dermatology Clinic, 5)Sakai Municipal Hospital, 6)Kyusyu University School of Medicine,
7)
Kanto Medical Center NTT EC
(Receive June 7, 2001;accepted for publication October 5, 2001)
A random sampling survey of dermatology outpatients was conducted during the third week of May in
1999 and 2000 to determine the frequency of foot disease, especially of tinea pedis et ungium in Japan. The results of the survey showed that, of the 21,820 cases that were accumulated over the two years that the survey
was carried out, there were 14,087 cases(64.6%)of patients with foot disorder. Among them, there were 8,737
cases(40.0%)of fungal infections, 2,826 cases(13.0%)of“corn and callus”
, and 1,259 cases(5.8%)of“wart
and mole”. The results of a survey conducted in Europe were similar;they showed that there were many
cases of tinea pedis. According to that survey carried out in 2000, fungal infections were found in 3,181 3,420
(93.0%)patients who indicated the reason for their visit was ’
the possibility of a fungal infection', and fungal
infections were found in 1,723 8,804(19.6%)patient who indicated their visit was for something“other than
a fungal infection”
.
A multiple logistic regression analysis on the background factors obtained was applied to identify the factors associated with the fungal infections;“aging”,“ male”,“ hypercholesterolemia”,“ golf”, and“cohabiter
with a person with mycosis”showed high odds ratios. Topical treatment alone was the main therapy employed; two-thirds of the treatments were also topical in cases of tinea ungium. Other than esthetic problems, numerous patients complained at troubles such as difficulties with walking. Although dermatology outpatients alone were targeted in this survey, almost 40% of the patients had tinea pedis or and ungium. Moreover, the survey also revealed that many people did not recognize their own fungal infections and that patients may have received insufficient treatment even if they had identified their infections. Risk factors for
fungal infections were analyzed as well, and interesting results were obtained for preventing infection in the
future. It is considered that tinea pedis et ungium should be treated aggressively to enhance the QOL of these
patients and to prevent household transmissions.
(Jpn J Dermatol 111:2101∼2112, 2001)
Key words:foot diseases, dermatologist, fungal infection, tinea pedis et ungium, epidemiology
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