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消費者の電子マネー利用メカニズムの実証研究 - C

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消費者の電子マネー利用メカニズムの実証研究 - C
関東 10 ゼミ討論会 2007
IT・通信・メディア班
消費者の
消費者の電子マネー
電子マネー利用
マネー利用メカニズム
利用メカニズムの
メカニズムの実証研究
秋本祐子 今井俊彦 鈴木重考
谷澤渓介 浜岡洋太 古橋尚也
東京学芸大学教育学部 久保知一研究室第2期生
要旨
近年、電子マネーは消費者に徐々に浸透し始めているが、消費者の電子マネー利用の因果関係は
明らかになっていない。本論の目的は、なぜ、消費者は電子マネーを利用するのかということを説
明するためのモデルの提唱と、そこから得られた知見を基に、カード運営会社に新提案を行うこと
である。この問題を解明するために、行動意図モデルと技術受容モデルを検討し、これらの統合モ
デルに普及度、知覚ネットワーク規模、知覚リスクを組み込んで、消費者の電子マネー利用メカニ
ズムをモデル化した。その後、ランダム・サンプリング・データを用いて共分散構造分析を行った。
分析の結果、既存研究の仮説群に加え、知覚ネットワーク規模・知覚リスクは態度に、知覚ネット
ワーク規模は普及度に、知覚リスクは利用意図にそれぞれ有意な影響を与えていることがわかった。
キーワード
電子マネー、行動意図モデル、利用意図、普及度、技術受容モデル、機能性、ネットワーク外部
性、知覚リスク
1.イントロダクション
近年、電子マネーが徐々に消費者に浸透し始めている。電子マネーとはデジタルデータに金銭価値(バ
リュー)をもたせたものである。大嶋 (2004) によると、電子マネーはネットワーク型電子マネー1と IC
カード型電子マネー2に分類され、IC カード型電子マネーはさらに、その決済方法から銀行決済型3、クレ
1
ネットワーク型電子マネーとは、一般にインターネット等のネットワークに接続される汎用端末等のハ
ードディスク等を管理保存媒体とする電子マネーである。ネットワーク通信が必要なため利用範囲が限定
される (大嶋 2004)。
2
IC カード型電子マネーとは、プラスチックカードに大量データを保存、高速演算処理を可能にした IC
チップを埋め込んだものであり、携帯性に優れ、セキュリティーが高いという特徴がある (大嶋 2004)。
3
銀行決済型とは、発行主体が銀行であり、利用者の預金口座と連動して電子マネーに金銭的価値を与え
る仕組みである (大嶋 2004)。
1
ジット決済型4、現金決済型5に分けることができる。本研究では、このうち Suica や Edy に代表される現
金決済型の IC カード型電子マネーを研究対象とし、以下これを電子マネーと呼ぶ。ここ数年、IC カード
型電子マネーは、少額決済手段として急速な広がりを見せており、多くの企業が IC カード型電子マネー
市場へこぞって参入してきている6。
電子マネーはプラスチックカードに埋め込まれた IC チップに金銭価値をチャージし、決済時に加盟店
に設置された端末に電子マネーをかざすことで決済が完了する。決済された代金は、カード運営会社を通
じて、加盟店に支払われる(図1)
。
図 1.プリペイド型電子マネーのしくみ
利用手数料
カード運営会社
加 盟 店
利用代金
利用代金
バリュー発行会社
バリュー 発行会社
商品
バリューチャージ
消
費
者
カード発行会社
お金の流れ
商品の流れ
出典:岩田 (2007), p.94 に基づき、筆者により修正。
これまで私たちは比較的小額の買い物をする際、財布から小銭を取り出し、レジで支払いをしてきた。
しかし、電子マネーを利用することにより、これまでとは異なり、小銭を持ち歩かなくても買い物が出来
るようになるなど、日々の生活に大きな変革がもたらされる可能性がある。電子マネーの現状はこのよう
にマーケティング研究者にとって非常に興味深いものであり、近年研究がさかんに行われているが、それ
は分類研究や事例研究の域を越えないものである7。それゆえ、電子マネーという新技術の利用メカニズ
ムを解明しようとする本研究の意義は大きいと考えられる。
電子マネー利用のメカニズムを考察するには、2 つの視点が考えられる。第一は電子マネーを所持、利
4
クレジット決済型とは、発行主体がクレジットカード会社であり、既存のクレジットカード決済を利用
することで電子マネーに金銭的価値を与える仕組みである (大嶋 2004)。
5
現金決済型とは、現金と直接交換することで電子マネーに金銭的価値を与える仕組みである。発行主体
が金融機関に限定されないため、他業種や民間企業からの参入が可能である (大嶋 2004)。
6
主な電子マネーの導入時期は Edy (2001 年 11 月)、Suica (2004 年 3 月)、PASMO (2007 年 3 月)、nanaco (2007
年 4 月)、WAON (2007 年 4 月) である。Suica は 2001 年 11 月に IC 乗車券として誕生したが、電子マネー
としての利用が始まったのは 2004 年 3 月である。
7
たとえば大嶋 (2004) は、電子マネーの管理保存媒体、決済方法、価値管理方式、流通形態からの分類
2
用する消費者側の視点であり、第二は端末を設置する企業側の視点である。電子マネーという新技術の利
用メカニズムを解明しようとするならば、この両者の視点からアプローチしていく必要があるだろう。し
かし、企業側からアプローチには、研究上の限界があると考えられる。端末を設置するコンビニエンス・
ストアなどの加盟店のオーナーの立場からすれば、その設置は自らの意思決定によるものではない。設置
を決めるのはチェーンの本部であり、実証分析のためのサンプル・サイズが小さくならざるをえない。よ
って、企業の電子マネー利用のメカニズムを解明することは困難である。また、もし小規模サンプルを用
いて解明できたとしても、その解がその他の企業にもあてはまるとは考えにくい。一方、消費者側は、各
加盟店とは異なり、自ら利用の意思決定を行う。それゆえ、消費者側については大サンプルを用いた実証
分析を行うことが可能であり、その結果、電子マネーの利用メカニズムの解明が期待されるのである。
電子マネーを利用する消費者は、その使いやすさや支払いの効率性の向上、電子マネーの端末の増加に
より、電子マネーを身近な財と感じるようになり、電子マネーへの態度を高め、利用意図を持つであろう。
また、電子マネーを利用する際に生じる、紛失の恐れやクレジットカードの利用で懸念されることの多い
予期せぬ使いすぎへの不安などの知覚されたリスクは、消費者の電子マネーへの態度を下げ、同様に利用
意図を下げるであろう。そして、その知覚されたリスクが大きければ、消費者は、この生活を一変させる
可能性を持つ技術を利用するとは限らない。かくして、本研究の目的は、消費者についての因果モデルを
提唱し、消費者がなぜ電子マネーを採用するのかを説明するために実証分析を行い、その分析結果に基づ
き新提案を行うことである。
本研究は以下のように構成される。まず、第 2 節においては、先行研究のレビューを行う。具体的には、
モデル構築の理論的背景となる行動意図モデルと技術受容モデルを検討する。第 3 節においては、以上の
2 つのモデルを統合してネットワーク外部性と知覚リスクを組み込み、消費者の電子マネー利用メカニズ
ムを描き出し、理論モデルに基づき仮説を提唱する。理論的分析に続いて行われるのは実証分析である。
第 4 節では調査方法に言及し、第 5 節で構造方程式モデルの分析結果を検討する。第 6 節では前節での分
析結果に基づき新提案を行う。最終節では、この分析結果と新提案について考察を重ね、本研究の限界、
及び今後の研究課題に言及し、次なる研究への橋渡しを行う。
2.先行研究の
先行研究のレビュー
なぜ消費者が特定の製品を購買あるいは利用することを決定したのか、これを説明するモデルとして行
動意図モデルと技術受容モデルがある。消費者の電子マネー利用メカニズムを説明するモデルを構築する
ために、まずこの2つのモデルを検討する。
や、電子マネーの次世代通貨としての適合についての記述にとどまっている。
3
○行動意図モデル
行動意図モデルは、社会行動は、その行動がもたらす効果とその行動への周囲の評価に依存すると主張
する合理的行為理論 (Theory of Reasoned Action) である (Fishbein and Ajzen 1975)。このモデルは、製品を
利用することの望ましさを示す「態度 (attitude toward using) 」と自分にとって重要な他者からの期待を示
す「主観的規範 (subjective norm)」が、製品を利用する意思を示す「行動意図 (behavioral intention)」を高
め、それが「行動 (behavior)」につながると主張している。
図 2.行動意図モデル(TRA)
態度
(+)
(+)
行動意図
主観的規範
行動
(+)
出典:Fishbein. M. & I. Ajzen (1975) pp.334
このモデルの変数の一つである主観的規範は、“ある他者の自分にとっての重要度”と“その他者がある製
品の使用を望ましいと思う程度”の積である8。しかし、電子マネーの利用は、他者の期待からの影響を受
けにくいものと考えられるため、この主観的規範は本論のモデルには適用しがたいであろう。
○技術受容モデル
電子商取引研究で最も利用されている理論的枠組は、Davis (1985) の技術受容モデル (Technology
Acceptance Model) である。技術受容モデルは、行動意図モデルに基づき、コンピュータなどのシステム
利用が仕事や作業のパフォーマンスを向上させる可能性を予測するものであった。現在では様々な分野で
応用され、多くの研究が蓄積されている9。このモデルによると、その技術の習得・利用のしやすさの程
度を示す「使いやすさ (ease of use) 」が、新たな技術が消費者の要求・ニーズに見合うものであり作業の
生産性を向上させる程度を示す「有用性 (usefulness) 」と態度を高め、さらに有用性も態度を高める。そ
して態度が行動意図へつながる。
技術受容モデルでは、態度に影響を及ぼす変数は使いやすさと有用性のみであるが、この2つの変数だ
けでは、電子マネー利用のメカニズムは解明できないであろう。それゆえ技術受容モデルをこのままオリ
例えば、学生 S はその指導教員 T を尊敬しており、S は Windows を使いたいが、T は Mac ユーザーで
あるとする。ここで S は T の意見を尊重し、Mac を利用するかもしれない。このとき「S が T を尊敬する
程度」と「T が S に Mac を勧める程度」の積が、S にとっての主観的規範となる。
9
E コマースの利用を、技術受容モデルを用いて研究したものとして Moon and Kim (2001) や Barnes and
Huff (2003)、Lu (2003) がある。さらに、Cheong and Park (2005) が韓国で、Hung et al. (2003) が台湾、Bruner
and Kumar (2005) が米国において M コマース(携帯商取引:携帯電話を用いた消費者行動)受容の実証
研究を行っているが、日本においては E コマースや電子マネー利用の実証研究はいまだ行われていない。
8
4
ジナルの形で電子マネー利用研究に援用することは問題があると考えられる。
図 3.技術受容モデル(TAM)
使いやすさ
(+)
(+)
態度
(+)
有用性
行動意図
(+)
出典:Davis (1986)
3.仮説の
仮説の提唱および
提唱および統合
および統合モデル
統合モデル
本節では、消費者の電子マネー利用のメカニズムを分析するためにオリジナルのモデルを構築する。そ
のために、本節では第一に上述の2つのモデルを統合し、第二にいくつかの概念を追加する。
○モデルの統合
まず行動意図モデルの概念を変換する。本論が研究対象とする電子マネーは、購買行動を起こすとい
うものではなく、決済をする際に利用するものであるため、行動意図ではなく「利用意図 (intention to
use) 」を用いる方が適切であろう。また、主観的規範という概念には、他者の自分にとっての重要性とい
う変数が含まれている。しかし、電子マネー利用にはこうした他者の重要性はそれほど重要ではないと考
えられる。むしろ、バンドワゴン効果10の方が働いていると考えられる。よって本研究では、主観的規範
を「普及度」に変更する。普及度は、
「周囲の人間がその財を使用している程度」と定義される。例えば、
周りの人が電子マネーを使っているのを見て、自分も使ってみようと思うことがあるだろう。それゆえ、
普及度は利用意図を高めると考えられる。
次に技術受容モデルの概念を変換する。本論では、有用性を「機能性 (performance)」に置き換える。
実際の形状を確認できない財に技術受容モデルを応用する場合は、有用性という概念より機能性や効率性
という概念がより適切である (Dabholkar and Bagozzi 2002)11。「機能性」とは、
「新たに導入した技術が、
これまでの作業能率を向上させるという尺度」である。電子マネーの本質的なサービスが決済の利便性で
あることを考えると、有用性よりも機能性の方が我々のモデルに適切である。ここまでに変換された概念
バンドワゴン効果については多数の研究が行われており、その定義に対しては諸説があるが、
Leibenstein (1950) はこの概念を「他者が同じ財を購入することによって自分の効用が上昇する効果」と定
義している。
11
岡崎 (2004) は、効率性を「新たに導入した技術やサービスが自分の投資する時間とエネルギーに見合
い、かつ自分のライフスタイルや価値観とマッチしているという尺度」と定義しているが、この定義は投
入産出の効率性とニーズ合致度とのダブル・ミーニングであると考えられる。
10
5
を用いて、以下の仮説を提唱する。
仮説 1:使いやすさは機能性に正の影響を与える。
仮説 2:使いやすさは態度に正の影響を与える。
仮説 3:機能性は態度に正の影響を与える。
仮説 4:普及度は利用意図に正の影響を与える。
仮説 5:態度は利用意図に正の影響を与える。
この仮説に基づき、2つのモデルを統合したパス図が図4に示されている。
図 4:統合モデル
使いやすさ
(+)
機能性
(+)
態度
(+)
利用意図
(+)
(+)
普及度
○新概念の追加
続いて図4のモデルをさらに拡大する。第一にネットワーク外部性を検討する。ネットワーク外部性と
は、ある財やその補完財のユーザー数が増えるにつれて、その財の消費から得られる効用が増大する効果
である。ネットワーク外部性は直接的ネットワーク外部性と間接的ネットワーク外部性の2つに区分され
る (Katz & Shapiro, 1994)。例えば携帯電話のような通信ネットワークでは、その加入者が多いほどネット
ワークの価値が高まる。このように、ネットワークの規模が直接的に消費者の効用を高める効果を直接的
ネットワーク外部性と呼ぶ。しかし電子マネーは、消費者が増加しても電子マネーの利用から得られる効
用に変化はないため、直接的ネットワーク外部性は発生しないと考えられる。一方、間接的ネットワーク
外部性とは、財の利用者数ではなく、補完財の充実によってもとの財から得られる効用が増大する効果で
ある12。間接的ネットワーク外部性は、補完性のあるコンポーネントから構成されるシステム全般に当て
はまる。電子マネーは端末の存在によって初めて決済システムとして成立するものであり、電子マネーと
端末は互いに補完性を持つことから、電子マネーには間接的ネットワーク外部性が働く。このような因果
経路で、加盟店の端末の充実は、電子マネーの利用から得られる効用を高めると考えられる。そこで、間
接的ネットワーク外部性を「知覚ネットワーク規模」として本論が提唱するモデルに組み込む。知覚ネッ
トワーク規模は、
「電子マネーを利用可能な場所が身の回りに多いと感じる程度」と定義される。店舗に
間接的ネットワーク外部性の例として、ゲーム産業におけるハードウェアとソフトウェアの関係が挙げ
られる。ゲーム機(ハードウェア)は、その補完財であるソフトウェアの充実によってその価値が高まり、
12
6
おける端末の設置数が増加すれば、電子マネーを利用するインセンティブが働き、電子マネーへの態度が
高まると考えられる。また、電子マネーを使える場所が増えると、周囲の人間の電子マネー利用が拡大し、
それによって、自分自身も電子マネーを使う気になると考えられる。ここから、知覚されたネットワーク
規模は、態度、普及度、利用意図のそれぞれに正の影響を与えると考えられる。
仮説 6:知覚ネットワーク規模は態度に正の影響を与える。
仮説 7:知覚ネットワーク規模は普及度に正の影響を与える。
仮説 8:知覚ネットワーク規模は利用意図に正の影響を与える。
第二に「知覚リスク (Perceived Risk) 」を検討する。電子マネーの利用が拡大する一方で、電子マネー
の利用には不安すなわち知覚リスクが伴うと考えられる。知覚リスクは Bauer (1960) により提唱された概
念である13。本論では知覚リスクを「電子マネーの利用に際して、消費者が抱く不安や危険」と定義し、
モデルに組み込む。新しい技術を利用する場合に各人が感じる様々な懸念や不安は、その技術への態度や、
利用するか否かの意思決定に重要な役割を果たす。電子マネー利用においてもこれは同様であり、知覚リ
スクは態度及び利用意図に負の影響を与えると考えられる。
仮説 9:知覚リスクは態度に負の影響を与える。
仮説 10:知覚リスクは利用意図に負の影響を与える。
これまでに提唱された仮説は、図5に示す構造方程式モデルとして表現される。本論ではこのモデルを
Tune Model (Technology Using and Network Externality Model)と呼ぶ。
図 5. Tune Model
知覚リスク
(-)
(-)
使いやすさ
(+)
機能性
(+)
態度
(+)
利用意図
(+)
(+)
(+)
知覚ネット
ワーク規模
普及度
(+)
ゲーム機の使用から得られる効用も高まる。
13
この概念を、Cox and Rich (1964) は「ある特定の購買意思決定において消費者が知覚するリスクの性質
と量」と定義し(p.32)、青木 (2005) は「消費者が商品を購買し、消費・使用する際に主観的に感じる何ら
かの危険のことである」と定義している (p.72)。
7
4.調査方法
Tune Model の経験的妥当性をテストするため、質問紙調査を行った。質問票の作成は、青木(2005)、
Klopping and McKinney (2004)、Davis (1986)、田中他 (2005) を参考にしつつ、電子マネー利用にも援用可
能な項目を改良して進められた。モデルの検証の精度を上げるために、神奈川県の私立大学でプリテスト
(n=102) の後、その後さらなる検討を行い質問項目を開発した。
本論では、ランダム・サンプリング・データを収集した。学術的・実践的に価値のあるデータを収集す
るためには、街頭調査や大学生へのアンケートなどの作為抽出では不十分である。よいサンプルの条件と
は「偏りがないこと」であり、そのためにはランダム・サンプリングを用いてデータを収集する必要があ
る (松井他、2005)。しかし、住民基本台帳を利用し個人を特定する伝統的なデータ収集・消費者調査は経
済的に不可能であった14。そこで、アメリカなど住民基本台帳の閲覧が認められていない国で用いられて
いるエリア・サンプリングという方法を採用することにした。
エリア・サンプリングとは、国勢調査区を無作為に抽出したのち、その地点内の世帯を住宅地図で無作
為に抽出し、世帯調査であればその世帯を、個人調査であればその世帯内の個人を対象とする調査対象の
抽出方法である (平松、2006) 15。本論では有効回答率を 15%と見積もり、2200 戸に質問用紙を配布した。
配布に際しては、調査員が各戸に投函し、郵便により返送していただいた。配布ルールは以下の通りであ
る。
まず、自治体の選定にあたっては、交通機関の選択肢が JR、私鉄、自動車、自転車、徒歩と多岐にわ
たることから、東京都国分寺市を選択した。そして、国分寺市の 19 の町から Excel のランダム・サンプリ
ング機能を利用し、6 つの町16を抽出した。各番地内では、1 丁目 1 番 1 号をスタートとし、3 号おきに配
布することにした17。集合住宅については、最初と最後の部屋にポスティングすることにした18。各ブロ
ックにポスティングする戸数は、ブロック数を考慮し、調整した19。しかし、実際にポスティングを開始
すると、正確な番地が表示されていない住所が非常に多く、配布ルールを変更せざるを得なかった。そこ
で、各ブロック内で 3 号おきに配布するという当初のルールを、ブロック内で 2 軒おきに配布することに
例えば国分寺市の場合、住民の名前・住所・性別・年齢のコピーは認められておらず、筆記での転写の
みが認められている。転写には 1 件あたり 200 円の費用がかかる。また、閲覧スペースには同時に 2 人し
か入れない。さらに、ノートパソコンや乱数表、デジタルカメラなどは一切持ち込めず、市役所で渡され
る用紙と鉛筆のみが使用可能である。以上は、国分寺市のケースであるが、その他の自治体もほとんど同
じ条件を課している。
15
平松 (2006) の他に、大谷他 (1999) がアメリカのギャラップ世論調査所の例を取り上げながらエリア・
サンプリングの方法を具体的に述べている (133 135 頁)。
16
本町・西元町・光町・富士本・戸倉・西町がそれにあたる。
17
例えば、1 丁目 1 番 1 号の次は 1 丁目 1 番 4 号という具合である。
18
空室の場合は、最初の部屋は次の部屋、最後の部屋は前の部屋にポスティングした。
14
8
変更した。こうして、2200 通の質問紙を配布し、478 通が回収された。回収率は 21.7%であり、当初の見
込みよりも大きいサンプル・サイズを得ることが出来た。回収された質問紙から、欠損値のあるものや著
しく回答に隔たりのあるもの20を除くと、有効回答は 420 通(有効回答率 19.1%)であった。
5.分析結果
図4に示された因果モデルを、統計ソフト SPSS® Student Version 11.0 for Windows®および AMOS 5.0 を
用いて共分散構造分析によって経験的にテストした。まず、潜在変数の信頼性分析を行ったところ、クロ
ンバックの α 係数は全て.070 を上回った (村上 2006)。それゆえ、本論が設定した変数は十分に信頼され
るものであると考えられる。
表 1:信頼性の検定 (n=420)
潜在変数 観測変数の数 クロンバックの α 信頼性係数
使いやすさ 3 .9003
機能性 3 .7346
態度 3 .8684
利用意図 2 .8594
普及度 3 .7745
知覚ネットワーク規模 3 .8333
知覚リスク 3 .7426
次に、モデルの全体的評価を行う。このモデルに対するχ2 値は 478.0 で、自由度は 156、有意確率は.000
であった。適合度指標 GFI および自由度調整適合度指標 AGFI は各々.900 および.865 で、高い適合度を示
している。平均二乗誤差平方根 RMSEA は.070 であり、データがこのモデルに適合していることを示唆し
ている。
続いてモデルの部分的評価を行う。その中でも、まず行動意図モデルおよび技術受容モデルに準拠した
仮説 1 から 5 に関しての評価を行う。使いやすさは機能性及び態度に対して有意かつ正の影響を与えてい
た (β=.316, t=7.982,p<0.01 及びβ=.117, t=2.052, p<0.05)。これは、電子マネーの使い勝手のよさが支払い時
の効率の向上につながり、また、その使いやすさは電子マネーへの態度を高めるであろうという仮説 1 及
び 2 を支持する結果である。係数を比較すると、使いやすさは態度よりも機能性に強い影響を与えている
ことがわかった。次に、機能性は態度に対して有意かつ正の影響を与えていた (β=.532, t=4.735, p<0.01)。
これは、支払い時の効率の向上が、電子マネーへの態度を高めるであろうという仮説 3 を支持する結果で
19
20
本町・西元町・富士本が 4 軒、光町が 3 軒、戸倉・西町が 2 軒とした。
例えば、回答が全て1である質問紙のことである。
9
ある。係数を比較すると、機能性は、態度に対して使いやすさよりも強い影響を与えている。消費者は、
単に電子マネーが使いやすいということよりも、その利用によって日々の生活の効率が高まることから、
電子マネーへの態度を高めていると考えられる。次に、普及度は利用意図に対して有意かつ正の影響を与
えていた (β=.652, t=6.471, p<0.01)。これは、周囲の人が電子マネーを使っているのを知って、自分も電子
マネーを使う気になるという仮説 4 を支持する結果である。また、態度は利用意図に対して有意かつ正の
影響を与えていた (β=.699, t=12.544, p<0.01)。これは、電子マネーに対し好印象を持っているほど、電子
マネーを使う気になるという仮説 5 を支持する結果である。
表 2:構造方程式モデルの推定結果 (n=420)
H1 使いやすさ → 機能性 (+) .316 (t= 7.982)**
H2 使いやすさ → 態度 (+) .117
(t= 2.052)*
H3 機能性 → 態度 (+) .532 (t= 4.735)**
H4 普及度 → 利用意図 (+) .652 (t=
H5 態度 → 利用意図 (+) .699 (t= 12.544)**
H6 知覚ネットワーク規模 → 態度 (+) .244 (t= 3.905)**
H7 知覚ネットワーク規模 → 普及度 (+) .372 (t= 7.782)**
6.471)**
H8 知覚ネットワーク規模 → 利用意図 (+) -.098 (t= -1.591)
H9 知覚リスク → 態度 (-) -.373 (t= -6.883)**
H10 知覚リスク → 利用意図 (-) -.242 (t= -5.099)**
(注記) **:1%水準で有意、*:5%水準で有意。
χ2=478.061(d.f.=156), p<.001
GFI=.900, AGFI=.865; RMSEA=.070, RMR=.164; AIC=586.061
続いて、モデルに新しい概念を組み込んだ仮説 6 から 10 までの評価を行う。知覚ネットワーク規模は
態度及び普及度に対して有意かつ正の影響を与えていた (β=.244, t=3.905, p<0.01 及び.372, t=7.782,
p<0.01)。これは、電子マネーを利用できる場所の増加によって、電子マネーへの態度を高めるという仮説
6 と、周囲の人が電子マネーを利用するようになるという仮説 7 を支持する結果である。一方、知覚ネッ
トワーク規模は利用意図に対して有意かつ正の影響は与えておらず (β=-.098, t=-1.591, p>0.05)、仮説 8
は棄却された。消費者は、単に電子マネーを利用できる場所が増えたからといっても、電子マネーを利用
しようとは思わないものと考えられる。最後に、知覚リスクは態度及び利用意図に対して有意かつ負の影
響を与えていた(β=-.373, t=-6.883, p<0.01 及びβ=-.242, t=-5.099, p<0.01)。これは、電子マネー利用
に際して知覚されるリスクが、電子マネーへの態度を低め、また利用意図をも低めるという仮説 9 及び 10
10
を支持する結果である。分析結果は表2および図6に示されている。
以上の分析では、態度に影響を与える使いやすさ、機能性、知覚ネットワーク規模、知覚リスクの 4 つ
の変数の中で、機能性が最も強い影響を与えていた。また、利用意図に影響を与える変数は、有意になっ
た態度、普及度、知覚リスクの 3 つの変数のみを考えれば、知覚リスクの影響力は最小であることもわか
った。知覚リスクの態度への係数は、利用意図への係数よりも小さく、リスクを知覚していると、利用し
ようと思うよりも前に電子マネーへの態度を低めていることが考えられる。
図 6:Tune Model 分析結果 (n=420)
知覚ネット
知覚リスク
ワーク規模
使いやすさ
.699**
.316**
s
機能性
-.242**
-.373**
. 117*
態度 利用意図
.532*
-.098
.244*
.652**
知覚ネット
ワーク規模
.372**
普及度
(注記)
**:1%水準で有意、*:5%水準で有意。
実線:有意、破線:非有意。
6.新提案
以上の分析結果に基づき、本節では、消費者の電子マネー利用を促進するための新提案を考察する。消
費者の電子マネー利用に直接影響を与えているのは利用意図である。その利用意図に対し、正の影響を与
えているのは態度と普及度であり、負の影響を与えているのは知覚リスクである。そのため、態度、普及
度を大きくするとともに、知覚リスクを小さくすることが消費者の電子マネー利用促進に必要であること
は明らかであろう。その中でも利用意図に対し最も大きい影響力を持っているのは態度である。一方で、
態度は知覚リスクによって負の影響を受けている。つまり、態度を拡大するだけでなく、同時に知覚リス
クを縮小しなければ、効果的に電子マネーの利用促進を図ることはできないと考えられる。ここで、普及
度に注目したい。仮説として提唱してはいないものの、知覚リスクと普及度の因果関係を挿入してモデル
を分析してみた。その結果が図 7 である。興味深いことに、普及度は知覚リスクに対して有意かつ負の影
響を与えている (β=-.296, t=-4.545, p<0.01)。これは、周囲の利用状況により安心が生まれ、懸念や不
11
安が下がるということを示している。知覚リスクへ負の効果を持つ普及度に対して正の影響を与えている
のは知覚ネットワーク規模である。その上、知覚ネットワーク規模は態度に対しても正の影響を与えてい
る。すなわち、知覚ネットワーク規模は態度および普及度に対し正の影響を及ぼし、なおかつ間接的に知
覚リスクに対し負の影響を及ぼすと考えられる。
以上の理由から本章では、消費者の電子マネー利用促進のために最も重要であると考えられる知覚ネッ
トワーク規模の拡大、ならびに知覚リスクの縮小、およびその具体案を提案する。
図 7:普及度に着目した分析結果 (n=420)
知覚ネット
知覚リスク
ワーク規模
-.296**
. 116*
.699**
.558**
機能性
-.218**
-.389**
使いやすさ
態度 利用意図
.315**
-.063
.199**
知覚ネット
ワーク規模
.538**
.324**
普及度
知覚ネットワーク規模とは、「電子マネーを利用可能な場所が身の回りに多いと感じる程度」のことで
あるから、知覚ネットワーク規模を高めるためには、端末が設置されている加盟店を増やし、かつそれを
消費者に知覚させることが重要となる。そこで本論では、現在端末の普及が進んでいるコンビニエンス・
ストアに加えて、ファーストフード・チェーン店や大型スーパーマーケットなどへの端末の設置支援や促
進により力を入れることを提案する。ファーストフード・チェーン店や大型スーパーマーケットでは、顧
客の回転率が重視されるので、電子マネーによる決済時間の短縮がインセンティブとなり、比較的開拓し
やすいと考えられる。また、店舗の立場からすれば、端末の設置にかかるコスト、端末設置後に課される
利用手数料を考えると、積極的に端末を設置しようとは考えにくいため、購買履歴などの情報の充実やポ
イント付加といった、店舗へのマーケティング支援を強化することもやはり必要であろう。
知覚リスクとは、「電子マネーの利用に際して、消費者が抱く不安や危険」のことであるから、知覚リ
スクを低めるためには、カードを無くすかもしれない、カードにいくら入っているか分からない、といっ
た不安を解消する必要がある。そこで我々は、
「おサイフケータイ21」やそのサービスの普及を積極的に推
21
「おサイフケータイ」は株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモの登録商標であるが、au、ソフトバンクモ
12
し進めることを提案する。
おサイフケータイは、プラスチックカードの電子マネーとは違い、利用者を自分に限定できる、紛失時
に遠隔でロックをかけることで不正利用を防止できるという機能がある。また、プラスチックカードの電
子マネーが、端末のある店頭やチャージ機でしか残高を確認できないのに対して、おサイフケータイなら
チャージ額をいつでも確認することが可能であるため、上述した不安の解消につながると考えられる。
おサイフケータイの可能性は、単に不安の解消にとどまるものではない。買物や交通機関の利用履歴が
確認できるため、家計管理の手助けとなるほか、店舗、事業者側にとっての優れたマーケティング・ツー
ルとなり得る22。
以上のように、ファーストフード・チェーン店や大型スーパーマーケットなどへの端末の設置支援や促
進によって加盟店を増やし、おサイフケータイやそのサービスの普及促進によって不安を解消することで、
知覚ネットワーク外部性を高め、知覚リスクを低めることができる。それによって電子マネーの利用意図
が高まることが期待できる23。
7.本論の
本論の知見と
知見と今後の
今後の課題
今日、電子マネーの普及をめぐる企業間の競争は激しさを増している。電子マネー運営会社の収益を上
げることはもちろんのこと、加盟店のコスト削減、消費者の利便性などにとってもメリットは大きく、社
会構造を大きく変化させる可能性は高い。本論は2つの既存モデル、すなわち行動意図モデルと技術受容
モデルを統合し、さらに電子マネーと端末間の間接的ネットワーク外部性を規定する「知覚ネットワーク
規模」と、電子マネーを使用する際に消費者が感じる知覚リスクを規定する「知覚リスク」をオリジナル
の変数として加えた因果モデルを提唱し、消費者の電子マネー利用メカニズムを解明しようと試みてきた。
構築されたモデルは、国分寺市内で無作為に抽出した家計に対するアンケート調査から得られたデータ
を用い、構造方程式モデルによって経験的にテストに付された。分析結果が示唆することには、電子マネ
ーの普及戦略において、知覚ネットワーク規模が消費者の態度、また間接的に利用意図に正の効果を与え
ていることから、加盟店を増やすことが効果的な戦略と考えられる。また、知覚リスクが態度、利用意図
ともに負の効果を与えていることから、電子マネー利用に対する消費者の不安を解消することが効果的な
バイルといった各キャリアともに使用しているため、ここでは電子マネーとして使用可能な IC チップの
内蔵された携帯電話一般を指す。
22
岩田 (2007) によると、メールや新機能を活用したさまざまな販売促進が個店単位でできるようになり、
これまでのカード会社を基点として展開されてきたマーケティングから、店舗を中心としたマーケティン
グへの転換が起こる。
23
日本経済新聞社が行った調査によると、電子マネーに対する不満として「使える店舗が少ない」(51.7%)
が最も多く、このほか「紛失した際の補償がないといったセキュリティーの不安」(33.1%) があった (日
本経済新聞 2007 年 11 月 12 日夕刊)。これは本研究における知覚ネットワーク規模を高め、知覚リスクを
13
戦略と考えられる。
将来の研究課題として、調査対象の拡大が挙げられる。今回は鉄道利用者が多い地域を対象としたため、
所有する電子マネーの種類に偏りが見られた。今後は、鉄道利用者が少ない地域にも調査の幅を広げる必
要があると思われる。とはいえ、電子マネーに関するマーケティング研究が少ない中で、本論は先駆的な
研究として意義あるものと主張できるものであろう。
下げることが有効であるという我々の提案を支持するものであるといえる。
14
付録:電子マネーに関するアンケート調査
東京学芸大学久保研究室第 2 期生
秋本祐子 今井俊彦 鈴木重考 谷澤渓介 浜岡洋太 古橋尚也
○ごあいさつ
現在、私どもは電子マネーについて研究を進めています。このたび、電子マネーの利用者の
意識調査のために以下のアンケートを作成いたしました。回答結果はコンピュータで統計的に
処理され、プライバシーは保護されます。また、学術研究以外の目的で使用されることもござ
いません。大変お手数ではございますが、なにとぞご協力のほど、よろしくお願いいたします。
○電子マネーについて
現在、さまざまな電子マネーが利用されています。それらの中でも私どもは「IC カード
型電子マネー」に絞って調査を進めております。「IC カード型電子マネー」には以下のよ
うなものがあります。
【Edy】(ビットワレット株式会社)
【Suica】
(JR 東日本)
【PASMO】
(株式会社パスモ)
【WAON】(イオン株式会社)
【nanaco】
(株式会社アイワイ・カード・サービス)
※なお、Edy に関しては、上記のカードだけでなく、
このマークのついているカード全てが対
象となります。
15
このアンケートではこれらを電子マネーと呼びます。以下の質問に対して、上記の電子
マネーを念頭においてお答えください。なお、上記5つの電子マネーをお持ちでない方は
イメージで構いませんのでお答えください。
設問1)電子マネーについておたずねします。あてはまる番号に○印をお付けください。
電子マネーをお持ちでない方はイメージで構いませんのでお答えください。
【 5 ――― 4 ――― 3 ――― 2 ――― 1 】
そう思う
ややそう
思う
どちらでも
ない
ややそう
思わない
そう思わない
0101 使い方がわかりやすい
5-4-3-2-1
0102 使いやすい
5-4-3-2-1
0103 教える人がいなくても使える
5-4-3-2-1
0104 思い通りに使える
5-4-3-2-1
0105 使い方に悩まない
5-4-3-2-1
0106 マニュアルがなくても使える
5-4-3-2-1
0201 支払いにかかる時間が短くなる
5-4-3-2-1
0202 レジの通過が早くなる
5-4-3-2-1
0203 買い物に役立つ
5-4-3-2-1
0204 小銭を持ち歩かなくてすむ
5-4-3-2-1
0205 現金よりも便利である
5-4-3-2-1
0301 カードをなくす不安がある 5-4-3-2-1
0302 電子マネーでの支払いは使いすぎる不安がある
5-4-3-2-1
0303 いくらチャージされているかわからないことに不安がある
0401 電子マネーを利用できる場所が多くなったと思う
5-4-3-2-1
5-4-3-2-1
0402 電子マネーをチャージできる場所が多くなったと思う 5-4-3-2-1
0403 電子マネーを利用できる店舗が多くなったと思う
5-4-3-2-1
0501 電子マネーで買い物・交通手段を利用することが好きだ
5-4-3-2-1
0502 電子マネーで買い物・交通手段をすることは良いアイデアだ 5-4-3-2-1
0503 電子マネーで買い物・交通手段をすることは望ましい
5-4-3-2-1
0504 電子マネーでの支払いが好きだ
5-4-3-2-1
16
0601 自分の周りで多くの人が電子マネーを利用するようになった 5-4-3-2-1
0602 電子マネーを使っている人をよく見かけるようになった 5-4-3-2-1
0603 電子マネーの広告をよく目にするようになった
5-4-3-2-1
0701 普段から電子マネーを使おうと思っている
5-4-3-2-1
0702 これからも電子マネーを利用するつもりである
5-4-3-2-1
設問2)あなたが普段最も使っている電子マネーは以下のうちどれですか。一つの番号に
だけ○印をお付けください。なお、どれも使っていない方は設問4にお進みください。
1.
Edy
2.
鉄道系(Suica・PASMO)
3.
流通系(WAON・nanaco)
設問3)あなたがお使いの電子マネーの機能について、あなたがどれくらい評価している
かお答えください。あてはまる番号に○印をお付けください。
【 5 ――― 4 ――― 3 ――― 2 ――― 1 】
非常に
評価する
やや
そう評価する
どちらでも
ない
あまり
評価しない
まったく
評価しない
1301 ポイントがたまる
5-4-3-2-1
1302 ポイントに互換性がある(ポイントとマイレージなど)
5-4-3-2-1
1303 残高確認ができる
5-4-3-2-1
1304 買い物のとき割引される
5-4-3-2-1
1305 オートチャージができる
5-4-3-2-1
1306 なくしても再発行ができる
5-4-3-2-1
1307 支払いの履歴が表示される
5-4-3-2-1
17
設問4)あなたご自身のことについておたずねします。
1401 あなたの性別をお答えください。どちらかに○印をお付けください。
1.男
2.女
1402 あなたの年代を教えてください。
1.10代以下 2.20代
5.50代
3.30代
4.40代
6.60代以上
1403 あなたが現在お持ちの電子マネーは以下のうちのどれですか。あてはまる番号全てに
○印をお付けください。
1.Edy
2.Suica
3.PASMO
5.Nanaco
6.持っていない
4.WAON
1404 あなたは電子マネーを何のために使っていますか。あてはまる番号一つにだけ○印を
お付けください。
1.支払いのみ
2.交通機関のみ
3.両方
次の質問には、上の質問(1406)で「支払いのみ」または「両方」とお答えになった方の
みお答えください。
1405 支払いの際、あなたはどれくらい電子マネーを使っていますか。あてはまる番号一つ
にだけ○印をお付けください。
1.ほぼ毎日
2.3日に1回ぐらい
4.1 ヵ月に1回ぐらい
5.支払いにはほとんど使わない
18
3.1週間に1回ぐらい
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