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FOMCの 3 月会合

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FOMCの 3 月会合
☆ トピックス
FOMCの 3 月会合
作成者 津本 肇
● 3 月会合で決まったのは、①政策金利引き上げの条件としていた「失業率 6.5%」をなくし、資産購入終了
後、相当な期間、現行のゼロ金利を継続すること、②650 億ドル購入している長期国債と MBS の購入額を
50 億ドルずつ減らし、550 億ドルへ 100 億ドル減額すること、であった。
● 一方、2015 年の利上げ開始が明確になった。この結果、債券市場から株式市場等への資金のシフト、ド
ル高が進行しよう。米ドル金利の上昇で、他通貨での運用の誘因は小さくなるだろう。
1. FOMCとは
連邦公開市場委員会 (Federal Open Market Committee, FOMC) は、アメリカの金融政策決定機関である。定期
的会合は年間 8 回開かれ、政策金利の誘導目標および公定歩合が決定される。FRB 理事と 12 人の地区連邦準備
銀行総裁およびニューヨーク連銀第 1 副総裁が参加者だが、議決権は、FRB 理事と 5 人の地区連銀総裁(ニューヨ
ーク連邦準備銀行総裁と、毎年持ち回りで選ばれる他地区連銀の総裁 4 人)のみが保持する。
2014 年に投票権のあるメンバー
氏名・役職
前職
考え方
イエレン議長
副議長
ハト派
フィッシャー副議長 イスラエル中央銀行総裁
中立
タルーロ理事
ジョージタウン大学ローセンター教授
ややハト派
ブレイナード理事
財務次官(国際問題担当)
ややハト派
パウエル理事
超党派政策センター客員研究員
中立
スタイン理事
ハーバート大学教授
ややタカ派
氏名・役職
連銀名
ダドリー総裁
ニューヨーク連銀
ハト派
コチャラコタ総裁
ミネアポリス連銀
ハト派
ピアナルト総裁
クリーブランド連銀
ややハト派
プロッサー総裁
フィラデルフィア連銀
タカ派
フィッシャー総裁
ダラス連銀
タカ派
出所:FRB ホームページ等から投資情報部作成
2. 3 月 18 日、19 日の会合で決まったこと
会合終了後の 3 月 19 日に発表された声明によれば、
会合で決まったことは、以下の 2 点である。
① 2014 年 2 月の失業率が 6.7%に低下しているこ
とから、現行の政策金利(FFレート)引き上げ
の条件としていた「失業率 6.5%」をなくし、資産
購入を終了後も相当な期間、現行のゼロ金利
を継続する。
② 長期国債と MBS の購入額を 50 億ドルずつ減ら
し、550 億ドルへ 100 億ドル減額する。
ステータス
上院承認待ち
上院承認待ち
上院承認待ち
資産購入額の減額スケジュール(4 月以降予想)
FOMCの
開催予定日時
資産購入額の予想(億ドル)
米国債
MBS
1 月 28-29 日
350
300
3 月 18-19 日
300
250
4 月 29-30 日
250
200
6 月 17-18 日
200
150
7 月 29-30 日
150
100
9 月 16-17 日
100
50
10 月 28-29 日
50
0
12 月 16-17 日
0
0
出所:FRB ホームページより、投資情報部作成
合計
650
550
450
350
250
150
50
0
昨年 12 月の FOMC 以降、3 月まで会合が開かれる
たびに、毎回 100 億ドルずつ減額している。このペース
で減額していけば、10 月に一気に 150 億ドル減額してゼロにするか、12 月にゼロになると見込まれる。
このレポートは投資の判断となる情報の提供を目的としたものです。銘柄の選択、投資の最終決定は、ご自身の判断でなさるようにお願い致し
ます。なお、株式は値動きのある商品であるため、元本を保証するものではありません。
☆ トピックス
3. 参加者が今後の米国経済の先行きをどうみているか?(経済予測の要約)
同時に発表された「経済予測の要約」によれば、今回の FOMC に参加した FRB 理事 3 人と 12 人の地区連
銀総裁およびニューヨーク連銀第 1 副総裁が今後の米国経済についてどのようにみているかが示されている。
GDP については、2014 年は
2%台後半、2015 年は 3%台、
2016 年は 2%台後半の成長を
見込んでいる。失業率について
は、2014 年は 6%台前半、2015
年以降は 5%台に低下すると予
想し、好景気は持続すると予想
している。
その一方、インフレは、2%を
超えることはないと予想してい
る。
経済予測の中央傾向値(注)
GDP
失業率
インフレ率(PCE)
実績
今回予想
実績
今回予想
実績
今回予想
2009 年
-0.2%
-
9.9%
-
1.2%
-
2010 年
2.8%
-
9.5%
-
1.3%
-
2011 年
2.0%
-
8.7%
-
2.6%
-
2012 年
2.0%
-
7.8%
-
1.7%
-
2013 年
2.5%
-
7.0%
-
1.0%
-
2014 年
-
2.8~3.0%
-
6.1~6.3%
-
1.5~1.6%
2015 年
-
3.0~3.2%
-
5.6~5.9%
-
1.5~2.0%
2016 年
-
2.5~3.0%
-
5.2~5.6%
-
1.7~2.0%
出所:FRBホームページより、投資情報部作成
注:中央傾向値は、数値の高い 3 人および低い 3 人を除いた数値
次に、参加者が金利見通しをどう見ているかである。
利上げ開始時期については、参加者 16 人中 13 人が
2015 年が適切だと考えている。
また、利上げの平均的イメージであるが 2015 年末に
現在 0.25%の政策金利が 0.98%へ引き上げられ、2016
年末までにはさらに 1.35%引き上げられ 2.33%に上昇
すると見込んでいる。しかし、長期的な金利予想 3.90%
には到底及ばない低い金利水準を予想している。
利上げ開始時期
2014 年
2015 年
2016 年
1人
13 人
2人
出所:FRB ホームページより、投資情報部作成
政策金利見通しの中央傾向値の平均
2014 年末
2015 年末
2016 年末
長期
0.25%
0.98%
2.33%
3.90%
出所:FRB ホームページより、投資情報部作成
4. イエレン議長が資産購入終了後、6 ヶ月で利上げと答えたのは?
FOMC 終了後の記者会見の席上、イエレン議長が、ロイターの記者の質問に対し、資産購入は今年の秋に
終了し、利上げ開始はその 6 カ月程度後に行われると答え、市場に動揺が走った。それまで、市場は利上げ
開始は、2015 年後半から 2016 年に行われると予想していたからだ。
しかし、前述のように、FOMC 参加者の大半は 2015 年末には、現行 0.25%の政策金利は 0.98%に上昇す
ると予想している。0.25%ずつの利上げならば、3 回利上げすることが必要になる。今年 10 月の会合で資産購
入を終了した場合、半年後は 2015 年 4 月になる。ここから、FOMC の会合 2 回に 1 回ごとに、利上げすると
年末には 1%となり、なんら矛盾することはない。2016 年は、2015 年末比 1.35%利上げが必要になっており、
0.25%ずつの利上げなら、5~6 回利上げが必要になる。2016 年は、8 回開かれる FOMC の大半で利上げが
行われることになる。
5. 金融市場への影響
2015 年以降の金利の上昇による影響は何だろうか?
ひとつは、債券市場から株式市場等への資金のシフトである。次に、米国の金利が他国より相対的に高く
なることによるドル高である。今まで米ドルはほぼゼロ金利だったため、金利の高い通貨で運用した方が有利
だったが、金利の上昇で今後は米ドルで運用する機会が増えると考えられる。
このレポートは投資の判断となる情報の提供を目的としたものです。銘柄の選択、投資の最終決定は、ご自身の判断でなさるようにお願い致し
ます。なお、株式は値動きのある商品であるため、元本を保証するものではありません。
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