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クラウドサービスが引き続き伸長する見通し
エイジア (2352・東証マザーズ) 2016 年 7 月 6 日 クラウドサービスが引き続き伸長する見通し メール配信システムなどを提供 ベーシックレポート 自社開発の CRM(Customer Relationship Management)ソフトウェ アを中心としたアプリケーションの企画・開発・販売・保守などを手 (株)QUICK 前田 俊明 掛ける。パッケージを用いることで 低価格・短期間での導入を可能と している。パッケージ導入型に加 会 社 概 要 え、クラウドサービス型も提供す る。CRM ソフトウェアは「WEBCAS 所 在 地 東京都品川区 代 表 者 美濃 和男 設 立 年 月 資 本 1995/4 金 322 百万円 場 日 U R L 2005/10/5 種 価 16/3 期の連結業績は売上高が前期比 11%増の 11.5 億円、営業利益 は同 34%増の 2.4 億円。重点強化してきたクラウドサービスが順調に やメールコンテンツ制作事業)と協力したコンサルティングサービス 情報・通信業 主 要 指 標 2 0 1 6 / 7 /5 現在 株 など各種製品を展開する。 推移したことに加え、子会社 FUCA(マーケティングコンサルティング http://www.azia.jp/ 業 ル配信システム「WEBCAS e-mail」 16/3 期は高採算のクラウドサービスが伸び 3 割強の営業増益 (2016/3/31 現在) 上 (ウェブキャス)」ブランドでメー が伸長した。2 桁増収を確保するとともに、高採算のクラウドサービス の構成比が上がり、採算性も改善。営業利益率は同 3.6 ポイント上昇 し 20.9%となった。 2,000 円 17/3 期はインフラ増強など戦略的な投資を実施 3,320 円 (5/31) 1,420 円 (1/12) 12.8 億円(前期比 12%増)、営業利益 2.7 億円(同 13%増)を予想す 発行済株式数 2,326,200 株 含めた人材投資など戦略投資を実施する見通し。これらの費用が利益 売 買 単 位 100 株 の伸びを抑えるが、2 桁営業増益は確保できよう。主力のアプリケーシ 時 価 総 額 4,652 百万円 ョン事業は前期比 14%増収を見込む。クラウドサービス重視により、 予 想 配 当 20.0 円 ライセンス販売とこれに係るライセンス保守は減少するものの、クラ 89.11 円 ウドサービスが伸びる見通し。新製品・サービスを相次ぎ投入してい 年 初 来 高 値 年 初 来 安 値 ( 会 社 予 想 ) E P S ( ア ナ リ ス ト ) 実 績 業 P B R 績 3.59 倍 動 向 売上高 百万円 17/3 期の連結業績について企業価値研究所は会社計画並みの売上高 る。クラウドサービス提供用サーバーなどインフラ増強や新卒採用を ることも売上を押し上げよう。 前期比 % 営業利益 百万円 前期比 % 経常利益 百万円 前期比 % 当期純利益 百万円 前期比 % EPS 円 績 1,145 11.1 239 34.1 242 34.2 161 47.9 81.05 想 (2016 年 5 月発表) 1,265 10.4 265 10.7 270 11.2 180 11.8 87.65 アナリスト予想 1,280 11.7 270 12.8 275 13.2 183 13.7 89.11 2018/3 ア ナ リ ス ト 予 想 1,430 11.7 330 22.2 335 21.8 227 24.0 110.53 2016/3 実 会 2017/3 社 予 アナリストレポート・プラットフォーム 1 会 社 会 社 概 概 要 要 会社概要 主に大企業・中堅企業向けに e メールを活用した販売促進ソリューション 会社概要 を提供する。社名のエイジアはアジアに由来。創業当初より日本だけでなく、 海外展開を視野に入れていた。 経 営 者 経営者 代表取締役 美濃 和男 1989 年、第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。05 年、同社に入社し取締 役。09 年、創業者である江藤晃氏に代わり代表取締役に就任、現在に至る。 行 動 憲 章 行動憲章 以下の行動憲章を掲げ、社員・役員が遂行するすべての企業活動の指針と している。 エイジアは、 「お客様に満足を買っていただく」ため、有用かつ信頼性の 高い製品・サービスを提供し続けるよう行動します。 また、 「公正で透明性の高い企業活動を行う」ため、法令及び社内規程を 遵守するとともに、社会倫理を尊重し、誠実に行動します。 さらに、これらの行動を通して、社会から常に貢献を認められる企業であ ることを目指します。 アナリストレポート・プラットフォーム 2 会 社 沿 概 要 革 沿革 1995 年 4月 ホームページ制作を主たる事業として、資本金 1,000 万円で東京都品川区大井にエイジアを設立 会社概要 1997 年 6月 2001 年 10 月 メール配信システム「WEBCAS e-mail」を発売 2002 年 2月 アンケートシステム「WEBCAS formulator」を発売 6月 「WEBCAS」ASP 事業を開始 12 月 2003 年 1月 ウェブサイトの受託開発を中心とした事業を開始 「WEBCAS connector」 「WEBCAS manager」を発売 日本証券業協会のグリーンシート エマージング銘 柄に指定される 2004 年 2月 「WEBCAS」のホスティングサービスを開始 2005 年 10 月 東京証券取引所マザーズに株式を上場 2006 年 10 月 メール共有管理システム「WEBCAS mailcenter」を発 売 2007 年 10 月 2010 年 3月 CMS「WEBCAS creator」を発売 アンケートシステム高機能版「WEBCAS formulator PRO」を発売 2012 年 11 月 スマートフォン・PC 自動最適化 HTML 作成ツール「SMO for 2013 年 6月 WEBCAS」を発売 スマートフォン向けフォームデザイン最適化ツール 「SFO for WEBCAS」を発売 10 月 FUCA を連結子会社化 12 月 通 知 メ ー ル 販 促 シ ス テ ム 「 WEBCAS marketing receipt」を発売 2014 年 6月 データベース作成システム「WEBCAS DB creator」 を発売 電子レシートメール送信サービス「レシートメール」 を発売 2015 年 5月 SMS 配信システム「WEBCAS SMS」を発売 CRM システム「WEBCAS CRM」を発売 11 月 セグメント抽出型 LINE メッセージ配信システム 「WEBCAS taLk」を発売 12 月 DM 印刷・配送サービス「WEBCAS DM」を発売 (出所)有価証券報告書 アナリストレポート・プラットフォーム 3 会 大 社 概 株 要 主 大株主 株主 所有株式数 (株) 所有比率 (%) 1 フュージョンパートナー 615,000 26.43 2 SBI 証券 110,400 4.74 3 美濃 和男 63,200 2.71 4 西田 徹 59,200 2.54 5 北村 秀一 52,200 2.24 6 システムインテグレータ 32,800 1.41 7 中西 康治 31,300 1.34 8 松井証券 17,800 0.76 8 長沼 淳 15,500 0.66 鈴木 隆廉 13,800 0.59 会社概要 10 (出所)有価証券報告書 筆頭株主フュージョ ンパートナーが同社 株式の一部を売却 アナリストレポート・プラットフォーム 16 年 3 月末時点で筆頭株主のフュージョンパートナーは、5 月以降に同社 株式の一部を順次売却。6 月 20 日時点の所有比率は 4.30%まで低下してい る。 4 会 事 社 業 概 の 内 要 容 事業の内容 自社開発の CRM(Customer Relationship Management:顧客の購入・利 用履歴や苦情・意見など企業と顧客とのあらゆる接点での情報を統合管理す 会社概要 る経営手法)ソフトウェアを中心としたアプリケーションの企画・開発・販 売・保守を手掛ける。CRM ソフトウェアは「WEBCAS(ウェブキャス) 」ブラン ドで各種製品をシリーズ展開する。顧客毎にシステムを受託開発するのでは なく、パッケージシステムを用いることで低価格・短期間での導入を実現。 パッケージ製品では対応していない機能要件に対しても顧客の要望に応じ て個別カスタマイズを施すことができる柔軟な設計となっている。提供形態 としてサーバー導入型と月額課金をベースとするクラウドサービス型があ り、サーバー導入型「WEBCAS」については保守サービスも提供する。 「WEBCAS」シリーズを活用したメールマーケティングのプランニングおよ びメールコンテンツの企画・制作、 「WEBCAS」シリーズの付加機能開発、ホ ームページ・ウェブコンテンツの企画・制作、各種システムの受託開発・保 守なども提供する。 売 上 構 成 売上構成 アプリケーションとサービスソリューションの 2 事業を展開。アプリケー ション事業は「WEBCAS」シリーズの企画・開発などを手掛ける。連結売上高 の 8 割強を占める主力事業(16/3 期) 。サービスソリューション事業は、 「WEBCAS」シリーズを活用したインターネットマーケティングのプランニン グ・コンサルティングやメールコンテンツの企画・制作、「WEBCAS」のカス タマイズ、ウェブサイト・企業業務システムの開発、ホームページ制作など を手掛ける。 図1.16/3期事業別売上構成比 15.9% 84.1% アプリケーション サービスソリューション (出所)決算短信より当研究所作成 アナリストレポート・プラットフォーム 5 事 業 営 業 概 活 要 動 会社概要 営業活動 営業活動は、同社の営業部門であるセールスマーケティンググループが営 業および販売を担う。こうした直接販売のほか、一部で販売協力契約を締結 したパートナー企業(販売代理店)を通じた間接販売も行う(図 2 参照) 。 図2.事業系統図 (出所)有価証券報告書 製品・サービスの種類 製品・サービスの種類 「WEBCAS」シリーズは用途に応じて各種展開しており、メール配信システ ム「WEBCAS e-mail」を中核にアンケートシステム「WEBCAS formulator」 、 メール共有システム「WEBCAS mailcenter」などがある(表 1 参照)。 「WEBCAS e-mail」は毎時 300 万通を実現する高速メール生成機能やマー ケティング成果を高めるための外部システム連携に加え、様々なデバイスへ の対応を進めており、大規模運用から複雑な運用まで柔軟に対応できる。同 業他社の製品に比べ高性能を強みとし、特に大量の顧客データを扱う通信販 売業界との相性が良く業界大手向けでは高シェアを誇る。同社によれば、通 信販売業界の売上高上位 5 社のうち 4 社が同社のメール配信システムを採用 している。 「WEBCAS formulator」は、パソコン、スマートフォン、携帯電話に対応 したウェブアンケート、資料請求・問い合わせ、キャンペーンやイベント応 募などのフォーム入力ページを作成できるウェブアンケートシステム。 アナリストレポート・プラットフォーム 6 事 業 概 要 「WEBCAS mailcenter」は、企業の問い合わせ窓口に届く大量のメールや フォームからの問い合わせをサーバー上で一元管理することで、複数の部署 会社概要 や担当者がグループウェアとして共有・管理することができるシステム。こ れにより返信漏れ・二重対応を防ぎながら効率的に返信対応することが可能 となる。 表1.主な製品・サービス 製品名 内容 メール配信システム 毎時300万通以上の高速配信が可能な、PC・携帯対応メール配信システム WEBCAS e-mail アンケートシステム 誰でも簡単にWebアンケートや各種Webフォームを作成できるシステム WEBCAS formulator メール共有システム 問い合わせ窓口に届いたメールなどからの問い合わせをサーバー上で一元管理することで、 WEBCAS mailcenter 適切なメール対応を実現するシステム 顧客管理システム データベースや登録フォーム作成、顧客情報管理が行える顧客管理システム WEBCAS CRM LINEメッセージ配信システム LINEビジネスコネクトを活用し、LINEでのセグメント抽出型メッセージ配信を実現 WEBCAS taLk テキストマイニングシステム アンケート自由記入項目や問い合わせ、SNS投稿等を分析できるテキストマイニングシステム WEBCAS Sense Analyzer 通知メール販促システム ECシステムなど業務システムから送信される自動通知メールにオススメ情報などを盛り込む WEBCAS marketing receipt ことで、販促機能を付加できるクラウドサービス 携帯メール配信エンジン 携帯メール配信にまつわる各種トラブルを解決するメール配信エンジン(MTA) WEBCAS Mobile Express SMS配信システム 携帯電話あてに短いメッセージの一斉送信が可能なSMS配信システム WEBCAS SMS ダイレクトメール印刷・郵送サービス DMハガキやビジネスレター(挨拶状)の印刷から郵送までを、インターネット上から発注できる WEBCAS DM サービス (出所)会社ホームページより当研究所作成 製品・サービスの特徴 製品・サービスの特徴 「WEBCAS」シリーズは様々なオペレーティングシステム(OS) ・データベ ース・Web サーバー・Mail サーバーに対応しているため、導入の際にクライ アントの使用環境に左右されにくい。顧客情報などの複数のデータベースと も自由に接続・連携ができ、それぞれのデータベースから同一の条件で顧客 情報を抽出することができる。 「WEBCAS」シリーズは EC(electronic commerce:電子商取引)運営企 業やメーカー、生命保険、金融機関、官公庁など大手企業を中心に 2500 社 以上の採用実績がある。導入企業の予算や用途、運用環境などに応じ、自社 環境に導入できるパッケージ導入版からサーバー管理が不要なクラウドサ ービスまで、幅広い提供形式・料金プランを用意。サーバー導入型は大手企 業を中心に中堅企業までを主な提供対象とし、クラウドサービス型(SaaS) は大手企業から中堅企業、クラウドサービス型(ASP)は中堅企業から中小 企業を主な提供対象としている。 パッケージ導入型は導入費用が高くなるが、自社環境にシステムを構築す るため個人情報などを厳重に管理し易い。クラウドサービス型はパッケージ 導入型より低価格での導入が可能。共有アプリケーションを利用することで アナリストレポート・プラットフォーム 7 事 業 概 要 安価かつ迅速に導入可能な ASP 型に加え、カスタマイズにも対応する SaaS 型も提供する。 メール配信システム「WEBCAS e-mail」の場合、表 2 のような提供形式・ 会社概要 価格体系を用意している。 表2.「WEBCAS e-mail」の提供形式・価格体系 クラウドサービス(月額課金) ASP型 SaaS型 「WEBCAS」の各機能を、インターネットを 「WEBCAS」の各機能を、インターネットを通 通じて、顧客が利用期間に応じてレンタル じて、顧客が利用期間に応じてレンタルでき 概要 できるサービス。顧客企業が共有でアプ るサービス。顧客専用のアプリケーションを リケーションを利用するため、安価かつ迅 用意することができるため、大規模運用や 速に利用できる。 他システムとの連携、カスタマイズが可能。 初期費用:3万円~ 初期費用:50万円~ 費用 月額費用:1万円~ 月額費用:10万円~ 利用開始まで2営業日 クラウド環境ながら必要な機能をカスタマイ 特徴 ズで拡張可能 契約期間は最短1カ月 など VPN等で自社のデータベースとも接続可能 (出所)会社ホームページ、有価証券報告書より当研究所作成 形式 海 外 展 開 パッケージ導入版 導入型 「WEBCAS」をパッケージとして提供する 形式。自社サーバーに導入して運用する ことができるため、自社環境で個人情報 を厳重に管理したい場合などに向く。 ライセンス費用:400万円~ 保守費用:別途 自社の既存システムとフレキシブルに連 携可能 自社のセキュリティポリシーに対応可能 海外展開 同社は、 「メールアプリケーションのエイジアから、e コマース売上 UP ソ リューションを世界に提供するエイジアへ」を掲げ、中長期的に新興国を中 心とした海外で事業活動の領域を拡大していく方針。社名の通り、中国、タ イ、マレーシアなどアジア地域への進出事例がある。 海外事業は、国内で要員に不足感があったほか、国内市場の開拓を優先し ていたことから本格的に展開するには至っていない。アジアは市場拡大が期 待されることから、中長期的なテーマとして注目したい。 アナリストレポート・プラットフォーム 8 競 合 分 析 高性能を武器に低 価格製品と一線を 会社概要 画す 同社のようなメール配信システムを扱う事業者は国内に数多くある。同社 の製品よりも低価格で提供する事業者も多いが、同社では低価格路線から距 離を置いている。同社の製品は大規模配信などが可能な高性能を特徴として おり、信頼性や機能性、柔軟性などシステム性能に対する要求水準が高い大 手企業~中堅企業向けを中心に据えている。中小企業向けも対象としている ものの、高機能を前面に押し出すことで、価格競争に巻き込まれないように している。高機能・高価格帯の市場に対応した製品を供給可能な業者は限ら れる模様で、実質的な競合先はそれほど多くないようだ。また、製品の提供 形態もパッケージによる提供とクラウドサービスによる提供と顧客の利用 形態に対応している。 同社によると、顧客への提案活動などで競合する類似企業としてはパイプ 売上規模は 劣勢 だが、営業利益率 は競合並みを確 保 ド HD(3919)やシナジーマーケティングなど複数社ある。このうち、シナ ジーマーケティングは 14 年にヤフー(4689)が子会社化し上場廃止となり、 上場会社で類似企業はパイプド HD に絞られる。ここでは業績面からパイプ ド HD と比較してみたい。エイジアは 3 月決算、パイプド HD は 2 月決算であ ることから、ここでは年度表記に統一する。なお、パイプド HD はパイプド ビッツが単独株式移転によりパイプド HD を設立し、パイプド HD が 15 年 9 月に東証 1 部に上場した(パイプドビッツは 15 年 8 月に上場廃止) 。パイプ ド HD の業績は 14 年度までパイプドビッツを採用。 両社の業績推移を見ると(図 3、4 参照) 、パイプド HD はメール配信シス テム事業以外の事業領域が広いこともあり、売上高は同社より大きく、営業 利益も同社を一貫して上回っている。ただ、同社は規模の面では劣勢に立つ 一方、収益性では遜色がない。営業利益率をみると、09 年度は差が付いて いたが、11 年度以降は同じ軌道を描き水準も拮抗。15 年度はパイプド HD の営業利益率が低下したが、同社は 20%前後を維持している。16 年度は会 社計画ベースで両社ともに 20%前後となる見通し。現状では、両社ともに 高めの営業利益率を確保できており、過当競争には陥っていないとみてよさ そうだ。 同社では、利益率の高いクラウドサービスの拡大を成長の柱に据えている。 クラウドサービスはカスタマイズが可能な SaaS 型と比較的安価に導入でき る ASP 型を手掛けることで幅広い需要に対応。売り上げが順調に伸びており、 採算性の向上に寄与している。 アナリストレポート・プラットフォーム 9 競 合 分 析 財務面を見ると、健全性を示す自己資本比率はエイジアが 81%、パイプ 財務体質は健全 会社概要 ド HD は 49%(ともに 15 年度) 。エイジアは有利子負債もなく財務体質は健 全と考えられる。パイプド HD の自己資本比率は 14 年度に 78%あったが、 自己株式買取等とその原資として有利子負債が増加したことから、自己資本 比率が低下した。 図3.エイジア、パイプドHDの業績推移 (百万円) 6,000 (百万円) 1,200 売上高 (パイプドHD)-左軸 売上高 (エイジア)-左軸 営業利益 (パイプドHD)-右軸 営業利益 (エイジア)-右軸 5,000 4,000 3,000 1,000 800 600 2,000 400 1,000 200 0 09年度 10年度 11年度 12年度 13年度 14年度 15年度 0 16年度 会社計画 (注)エイジアは3月期、13年度から連結決算 パイプドHDは2月期、14年度までパイプドビッツ。14年度から連結決算 (出所)決算短信より当研究所作成 図4.営業利益率の推移 (%) 30 20 10 パイプドHD 0 09年度 10年度 11年度 12年度 13年度 14年度 エイジア 15年度 16年度 会社計画 (注)エイジアは3月期、13年度から連結決算 パイプドHDは2月期、14年度までパイプドビッツ。14年度から連結決算 (出所)決算短信より当研究所作成 アナリストレポート・プラットフォーム 10 業 績 業績解説 16/3 期の連結業績は売上高が前期比 11%増の 11.5 億円、営業利益は同 会社概要 34%増の 2.4 億円。重点強化してきたクラウドサービスが順調に推移したこ とに加え、子会社 FUCA(マーケティングコンサルティングやメールコンテ ンツ制作事業)と協力したコンサルティングサービスが伸長した。2 桁増収 を確保するとともに、高採算のクラウドサービスの構成比が上がり、採算性 も改善。営業利益率は同 3.6 ポイント上昇し 20.9%となった。 表3.16/3期の業績動向 15/3期 通期 A 1,031 売上高 事業別 アプリケーション サービスソリューション 営業利益 経常利益 純利益 (出所)決算短信などより当研究所作成 855 175 178 181 108 B 1,145 962 182 239 242 161 単位:百万円 16/3期 通期 B/A B-A 11.1% 115 12.5% 4.3% 34.1% 34.2% 47.9% 107 8 61 62 52 事業別売上高をみると、アプリケーションは同 13%増の 9.6 億円。継続 アプリケーション事 業は 13%増収 的に収入が得られ高収益のクラウドサービスの販売強化に努めた。クラウド サービスの販売拡大を狙い、8 本の新たな製品・サービスを順次リリース(表 4 参照)。こうした拡販努力もありクラウドサービスは同 19%増加した(図 5 参照) 。 顧客がクラウドサービスを選択する傾向が強まっていることから、 オンプレミス型(顧客自身の環境にシステムを構築し、運用する形態)のラ イセンス販売は前期並みだったものの、全体では 2 桁増収となった。 表4.16/3期にリリースした新製品・サービス 発売年月 15年 5月 サービス内容 SMS配信システム「WEBCAS SMS」 シンプルCRMシステム「WEBCAS CRM」 7月 VOYAGE MARKETINGとの業務提携によるキャンペーン支援サービス 「WEBCAS キャンペーン支援パック」 9月 オムニチャネル対応のためシステムインテグレータと製品連携 11月 LINEビジネスコネクトを活用したメッセージ配信システム「WEBCAS taLk」 デジタルポストとの業務提携によるDM配信サービス「WEBCAS DM」 16年 3月 全国自治体向けCRMサービス「WEBCAS 地方創生応援パック」 アマゾンウェブサービス(AWS)対応の高速メール配信サービス 「WEBCAS e-mail for AWS」 (出所)会社資料より当研究所作成 アナリストレポート・プラットフォーム 11 業 績 図5.クラウドサービス売上高の推移 会社概要 (百万円) 750 (%) 50 金額-左軸 前期比-右軸 600 40 450 30 300 20 150 10 0 12/3期 13/3期 (出所)決算説明資料より当研究所作成 14/3期 15/3期 16/3期 0 サービスソリューションは同 4%増の 1.8 億円。FUCA との連携を密にとり ながらコンサルティングサービスの新規受注に注力したことでコンサルテ ィングサービスが伸びた。一方、後述の「マーケティングオートメーション WEBCAS Auto Relations」の開発にエンジニアを投入するため受託開発案 件の受注を抑制。受託開発とこれに付随するデザインは減少した。 同社は「WEBCAS」シリーズの戦略製品と位置づける「マーケティングオー マーケティングオー トメーション分野の 新製品を発売 トメーション WEBCAS Auto Relations」を発売した。従来は 3 月に発売 予定だったが、品質を向上させるため 6 月 27 日に延期していた。マーケテ ィングオートメーションとは、一人ひとり異なるユーザーの趣味嗜好に合わ せた One to One(1 対 1)のコミュニケーション施策を自動で行うための マーケティングツール(システムイメージは図 6 参照) 。米国を中心にマー ケティング活動を自動化するマーケティングオートメーションが拡大中で、 日本国内でもマーケティングオートメーションの導入を検討する企業が増 えるなど関心が高まっている。同社も対応製品を投入し市場拡大に備える。 今後は、国内市場が拡大するにつれ新規参入が相次ぎ競争が激しくなりそ うだ。こうした中で同社が「WEBCAS」シリーズで培った技術力や導入企業数 で 2500 社以上に達する顧客基盤を武器に一定のシェアを獲得できれば、収 益拡大に繋がる。期待したい。 同社では 15 年 9 月から各媒体や展示会・イベント・セミナーなどを通じ て製品の認知度向上に向けたマーケティング活動に取り組んできた。既に引 き合いもあり、17/3 期は関連売上高で 30 百万円を計画。19/3 期には 3.1 億 円に引き上げる計画だ。 アナリストレポート・プラットフォーム 12 業 績 図6.WEBCAS Auto Relationsのシステムのイメージ 会社概要 (出所)会社ホームページより 会社計画 17/3 期の連結業績について会社側は売上高 12.7 億円(前期比 10%増)、 営業利益 2.7 億円(同 11%増)を計画。クラウドサービス提供用サーバー などのインフラ増強や新卒採用を含めた人材投資、ESOP(従業員による株式 所有計画)など戦略的な投資を予定する。これらの費用が利益の伸びを抑え る見通し。今期の重点施策として、主力製品「WEBCAS e-mail」のバージョ ンアップや機能強化のほか、 「WEBCAS Auto Relations」についても次期バ ージョンを開発する。人材整備にも引き続き注力する。同社では、持続的な 成長に向けた新製品・サービスの開発力の強化を目的に積極的に人材を採用 し、陣容を拡大してきた。子会社 FUCA を含め連結全体の役職員数は 16/3 期 末で 94 名体制となっている(図 7 参照) 。 図7.役職員数の推移 (人) 100 80 60 子会社従業員 子会社役員 従業員 役員 94 88 FUCA 子会社化 56 17 74 7 2 2 58 62 7 7 17 1 53 40 46 49 7 7 69 20 0 12/3期末 13/3期末 14/3期末 (注)従業員、子会社従業員は契約・派遣社員を含む (出所)会社資料より当研究所作成 アナリストレポート・プラットフォーム 15/3期末 7 16/3期末 13 業 績 表5.業績見通し 16/3期 実績 会社概要 17/3 期は 12% 増収、13%営業増 益を予想 会社 計画 A 売上高 1,145 1,265 事業別 アプリケーション 962 1,093 サービスソリューション 182 173 営業利益 239 265 経常利益 242 270 純利益 161 180 (出所)決算短信などより当研究所作成 17/3期 当研究所予想 今回 従来 B B/A 1,300 1,280 11.7% → 290 292 186 1,100 180 270 275 183 14.2% -1.4% 12.8% 13.2% 13.7% 単位:百万円 18/3期 当研究所予想 今回 C C/B 1,430 11.7% 1,250 180 330 335 227 13.6% 0.0% 22.2% 21.8% 24.0% 当研究所予想 当研究所は 17/3 期の連結業績について、会社計画並みの売上高 12.8 億円 (前期比 12%増)、営業利益 2.7 億円(同 13%増)を予想する。インフラ増 強などの費用が想定以上にかさむことから、利益予想を引き下げた。それで も 2 桁営業増益は確保できよう。 事業別売上高では、アプリケーションは前期比 14%増収と全体を牽引す る見通し。クラウドサービス重視もあり、ライセンス販売とこれに係るライ センス保守は減少するものの、クラウドサービスが伸びる見通し。新製品・ サービスを相次ぎ投入していることも売上を押し上げよう。サービスソリュ ーションは同微減収を予想。大型案件への依存度が高く、こうした案件の受 注成否により売上高がブレ易い。先行きが見通しにくいことから、会社計画 と同じく保守的に織り込んだ。 18/3 期は 12% 増収、22%営業増 益を予想 翌 18/3 期について当研究所は売上高 14.3 億円(前期比 12%増)、営業利 益 3.3 億円(同 22%増)を予想する。アプリケーション事業はクラウドサ ービスを中心に拡大を見込む。16 年 6 月に投入した戦略製品「WEBCAS Auto Relations」も貢献する見通し。サービスソリューション事業は、大型案件 の受注成否が見極めにくいこともあり、前期並みを見込んだ。 アナリストレポート・プラットフォーム 14 (出所)㈱QUICK 上記チャート図の一部又は全部を、方法の如何を問わず、また、有償・無償に関わらず第三者に配布してはいけません。 上記チャート図に過誤等がある場合でも㈱QUICK 社及び東京証券取引所は一切責任を負いません。 上記チャート図の複製、改変、第三者への再配布を一切行ってはいけません。 2014/3 株 価 推 移 2015/3 2017/3 予 2016/3 (アナリスト) 株価(年間高値) 円 1,989 1,489 2,700 - 株価(年間安値) 円 678 880 879 - 月間平均出来高 百株 15,058 3,980 13,770 - 売 上 高 百万円 1,007 1,031 1,145 1,280 営 業 利 益 百万円 242 178 239 270 経 常 利 益 百万円 238 181 242 275 百万円 130 108 161 183 業 績 推 移 当 期 純 利 益 E P S 円 70.09 56.33 81.05 89.11 R O E % 17.1 12.4 15.6 15.0 流動資産合計 百万円 914 1,020 1,134 - 固定資産合計 百万円 138 148 271 - 資 百万円 1,052 1,169 1,405 - 産 合 計 貸借対照表 流動負債合計 百万円 167 197 238 - 主 要 項 目 固定負債合計 百万円 13 8 12 - 負 百万円 181 205 250 - 株主資本合計 百万円 813 918 1,128 - 純 資 産 合 計 百万円 871 963 1,155 - 営業活動による CF 百万円 114 131 185 - 投資活動による CF 百万円 -42 -25 84 - 財務活動による CF 百万円 -17 -8 20 - 現金及び現金同等 物の期末残高 百万円 542 639 930 - キャッシュフ ロー計算書 主 要 項 目 債 合 計 アナリストレポート・プラットフォーム 15 リ ス ク 分 析 事 業 関 会社概要 す る リ に ス ク 事業に関するリスク ※競合他社について 自社開発アプリケーション「WEBCAS」シリーズが属する CRM 市場は、ベン チャー企業を中心に多数の企業が参入している分散型市場となっている。し かし、資金力、ブランド力を有する大手企業の参入や全く新しいコンセプト 及び技術を活用した画期的なシステムを開発した競合他社が出現した場合 には、同社の事業に影響を及ぼす可能性がある。 ※法的規制について 電子メールによる一方的な商業広告の送りつけ(いわゆる迷惑メール)の 問題に対応するため、「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律」が 制定されている。主要製品「WEBCAS e-mail」に制約を受ける事実はないが、 悪徳業者が迷惑メール等に利用できないよう、「WEBCAS e-mail」が接続す るメールサーバーには技術的制限をかけている。これにより、悪徳業者がメ ールサーバーを意図的に変更し、制限を避けてメール配信をすることができ ない仕組みになっている。 販売先に対しては、「メール配信を行う際は、顧客からメールを受け取る 許可を必ず得ること」を確認又は指導してから販売しているほか、迷惑メー ルの配信業者への販売防止のため、納入先を調査している。しかし、 「WEBCAS e-mail」が悪徳業者に利用され、信用の失墜が生じた場合には、同社の業績 に影響を及ぼす可能性がある。 ※納期遅延等 アプリケーション事業では、自社製品「WEBCAS」のカスタマイズを行って おり、サービスソリューション事業でも顧客からの個別仕様に基づきウェブ サイトや企業業務システムの開発、コンテンツ制作などを行う。その際、開 発案件で想定外の工数増加や納期遅延等が生じた場合には、同社の業績に影 響を及ぼす可能性がある。 アナリストレポート・プラットフォーム 16 デ ィ ス ク レ ー マ ー 1.本レポートは、株式会社東京証券取引所(以下「東証」といいます。 )が実施する「アナリストレポー ト・プラットフォーム」を利用して作成されたものであり、東証が作成したものではありません。 会社概要 2.本レポートは、本レポートの対象となる企業が、その作成費用を支払うことを約束することにより作 成されたものであり、その作成費用は、当該企業が東証に支払った金額すべてが、東証から株式会社 QUICK (以下「レポート作成会社」といいます。 )に支払われています。 3.本レポートは、東証によるレビューや承認を受けておりません(ただし、東証が文面上から明らかに 誤りがある場合や適当でない場合にレポート作成会社に対して指摘を行うことを妨げるものではありま せん) 。 4.レポート作成会社及び担当アナリストには、この資料に記載された企業との間に本レポートに表示さ れる重大な利益相反以外の重大な利益相反の関係はありません。 5.本レポートは、投資判断の参考となる情報の提供を唯一の目的として作成されたもので、有価証券の 取引及びその他の取引の勧誘又は誘引を目的とするものではありません。有価証券の取引には、相場変 動その他の要因により、損失が生じるおそれがあります。また、本レポートの対象となる企業は、投資 の知識・経験、財産の状況及び投資目的が異なるすべての投資者の方々に、投資対象として、一律に適 合するとは限りません。銘柄の選択、投資判断の最終決定は、投資者ご自身の判断でなされるようにお 願いいたします。 6.本レポート作成にあたり、レポート作成会社は本レポートの対象となる企業との面会等を通じて、当 該企業より情報提供を受けておりますが、本レポートに含まれる仮説や結論は当該企業によるものでは なく、レポート作成会社の分析及び評価によるものです。また、本レポートの内容はすべて作成時点の ものであり、今後予告なく変更されることがあります。 7.本レポートは、レポート作成会社が信頼できると判断した情報に基づき記載されていますが、東証及 びレポート作成会社は、本レポートの記載内容が真実かつ正確であり、そのうちに重要な事項の記載が 欠けていないことやこの資料に記載された企業の発行する有価証券の価値を保証又は承認するものでは ありません。本レポート及び本レポートに含まれる情報は、いかなる目的で使用される場合におきまし ても、投資者の判断と責任において使用されるべきものであり、本レポート及び本レポートに含まれる 情報の使用による結果について、東証及びレポート作成会社は何ら責任を負うものではありません。 8.本レポートの著作権は、レポート作成会社に帰属しますが、レポート作成会社は、本レポートの著作 権を東証に独占的に利用許諾しております。そのため本レポートの情報について、東証の承諾を得ずに 複製、販売、使用、公表及び配布を行うことは法律で禁じられています。 <指標の説明について> 本レポートに記載の指標に関する説明は、東京証券取引所ウェブサイトに掲載されております。 参照 URL ⇒ http://www.jpx.co.jp/listing/ir-clips/analyst-report/02.html アナリストレポート・プラットフォーム 17