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高齢高血圧患者における認知機能と運動機能との関連
岡 山医誌 (1993) 105, 575∼587 高齢 高血圧 患者 にお け る認 知機 能 と運動機 能 との関連 岡 山 大 学 医 学 部 衛 生 学 教 室(指 松 岡 導:青 宏 明 (平 成5年3月12日 Key words:高 齢 高 血 圧 症,ミ 緒 言 山 英 康 教 授) 受 稿) ニ ・メ ン タ ル ・ス テ ー ト,運 動 発 達 年 齢,重 回帰分 析 とか ら,高 血圧症 患者 は認 知機 能低 下や 運動 機 能低 下 をきたす 高危 険群 と考 え られ,高 齢者 に 国際 的に例 を見 ない 急速 な老齢 人 口の増大 に お け る認知機 能低 下 と運動 機能 低下 との相互 の 伴 な って痴呆 患 者や 寝 た き り患 者 も増加 してお 関連 を検 討す るため に実施 した今 回の研 究 の対 り,こ れ ら患者 の発 生予 防 に関 す る対策 が急 が 象 として,外 来通 院 中の高 血圧 症 患者 を設定 し れ てい る1).高齢者 の認知 機 能低 下 及び運 動機 能 た. 低下 は,と もに 日常 生 活の 自立性 に大 き く関 与 収縮 期 血圧160mmHg以 上,ま たは拡 張期 血 す る要 因で あ り2),認知 機能 低 下 と運動 機 能低 下 圧95mmHg以 の予 防 は痴呆 や 寝 た き りの 患者 の発生 予 防の 主 ため にK病 院 内科 に通 院 中の65歳 以上 の高血 圧 眼 とな るであ ろ う. 上 であ って,降圧剤 投 与 を受 け る 症 患者 は215名 で あ った.今 回 の研 究 は認 知機 能 認知機 能低 下 は 日常生 活 の活動 性低 下 を介 し 低 下 と運動 機 能低 下 との相互 の関連 を明 らか に て 二次 的 な運 動機 能低 下 を もた ら し,運 動機 能 す る こ とを 目的 としたため,認 知 機能 低 下 と運 低下 も 日常生 活 の活動 性 低 下 を介す る二 次的 な 動 機能 低下 を もた らす 明 らか な原疾 患 を有す る 認知 機能 低下 を もた らす可能 性 が指摘 され てお 症 例30例 を除外 した185例 全例 を調 査 対 象 と し り3),痴呆 患者 で高 頻度 に歩行 障害 を ともな うと た. の観 察4)も あ るな ど,両 者 に は密 接 な関 連の あ 認知 機能 低 下の 原疾 患 として除外 したの は, るこ とが うかが わ れ るが,高 齢 者の 認知機 能低 臨床 的 にア ルツハ イマ ー病 と診 断 され てい る症 下 と運動 機能 低下 との 関連 につ い ては,こ れ ま 例5名,肝 で検討 され た報告 が 見 当た らない. 動 機能 低下 の 原疾 患 を有 す る症例 として除外 し そ こで本研 究 で は高齢 者 の認知 機能 低 下 と運 動 機能 低 下 との関連 を明 らかに したい と考 えた. 目 性脳 症 の症例4名 であ る.一 方,運 たの は,Yahr stage II以上 のパー キン ソン病 の 症 例6名,骨 関節疾 患 に よ る寝 た き りの症 例7 名 で あ る.脳 血管 障害 の既往 を有 す る症例 に つ いて は,認 知機 能低 下や 運動 機能 低下 へ の脳 血 的 高齢 者 の認 知機 能低 下 と運 動機 能低 下 との相 互 の 関連 を明 らか にす るため に本研 究 を実施 し 管 障害 の寄 与 を検討 す るため に除外 しなか った た. 栄 養実 施 中の 患者8名 は調査 困難 症例 として 除 研 究 対 が,脳 血管 障害 後 の高度 球麻 痺 の症例 で,経 管 外 した.ア ル ツハ イマー 病や パー キン ソン病 の 象 症例 は,全 例神 経 内科専 門 医の外 来 に通 院 中の 本邦 で の痴 呆症側 の 過半 数 が脳 血管性 痴呆 で 患 者 で あっ た. さ らに認 知機 能 の評価 に あ た り,調 査 を実 施 あ り5),高血圧 は脳血 管性 痴 呆の 危険 因子 であ る との報告6)が あ る.ま た,脳 血管 障害後 遺症 が した185例 中2例 は外 国籍 で 日本語 の理 解が不 十 高齢 者 の寝 た き りの主 要 な原 因 とな って い るこ 分 で あ った ため,ま た1例 は高度 の感 覚 性失 語 575 576 松 症 の た め,認 岡 知機 能 の評 価 が 困難 な症例 と して 宏 明 片 足 立 ち(72ヵ 月)ま での運 動機 能 の達成 水 準 分 析 か ら除 外 し,残 る182例 を認 知 機 能 関 連 の 要 を測 定 し,最 低 得 点0ヵ 因分 析 の 対 象 と し た.ま ま で の 月 齢 換 算 で 表 現 す る指 標 で あ る.MOAの あ た り,182例 た,運 動 機 能 の 評 価 に 中 さ らにYahr ン ソ ン病 の 症 例2例 stage IIの パ ー キ と,変 形 性 膝 関 節 症 に よ る 疼 痛 の 急 性 増 悪 の た め に,ま たは変 形性 腰椎 症 に よる疼痛 の 急性 増悪 の ため に運動 機能 の測定 が 困 難 で あ っ た症 例 各3例 を 除 外 した174例 を運 動 機 能 関 連 の 要 因分 析 の 対 象 と し た.認 知機 能 成 人 の 運 動 機 能,と 月 か ら最 高 得 点72ヵ 月 くに 脳 血 管 障 害 の 回復 や 予 後 予 測 で の 有 用 性 は す で に 報 告15)が あ る. 認 知 機 能 に 関 連 す る要 因 に つ い て は,年 齢や 学 歴 との 関 連9)-11),16),17),虚 血 性 心 疾 患 や 糖 尿 病, 高 脂 血 症,高 ヘ マ ト ク リ ッ ト,肥 満,喫 煙等の 血 管 性 危 険 因 子 との 関 連18)が 指 摘 さ れ て い る. と運 動 機 能 との 相 互 の 関 連 の 分 析 に は,こ の174 ま た,飲 酒 と認 知 機 能 低 下 との 関 連19)も 指 摘 さ 例 を調 査 対 象 と し た. れ て お り,こ れ ら の 要 因 の 認 知 機 能 との 関 連 の 調 査 方 有 無 を検 討 す る必 要 が あ る と考 え た.一 法 上 記 の185例 全 例 に つ い て,所 要 時 間 約1時 の 認 知 機 能 測 定 と運 動 機 能 測 定,質 問 診,一 般 理 学 診 察,神 間 問表 に よ る 経 学 的 診 察,血 算,空 腹 時 の 血 液 生 化 学 検 査 を 実 施 し た. ら な か っ た が,脳 因 子,脊 回の 研 究 の 目的 は 両 測 定 値 間 の 関 連 性 の 評 価 で あ る 量 性 の あ る指 標 が 必 要 で あ る と考 え, 血管 障害 の既往 や 血 管性 危 険 椎 変 形,腰 痛,膝 経 学 的 診 察,血 問 表 に よ る問 診 や 理 学 的 診 察,神 算,空 腹 時 血液 生化 学検 査 に加 え て 診 療 録 を 点 検 し,脳 血 管 障 害 や 虚 血 性 心 疾 患,糖 尿 病,高 脂 血 症,高 また認知 機能 測 定 の際 に高 い運動 機能 を必要 と 痛 症,膝 し た り,認 知 機 能 が 低 下 し て い る ため に 運 動 機 現 在 の 血 圧 管 理 の 良 否,学 能 測 定 の 課 題 の理 解 が 困 難 と な る よ う な相 互 の 関 節 症,肥 満,喫 食 事 摂 取 状 況,飲 な い こ とか ら,認 知 機 能 の 測 定 に はFolsteinの 関 す る質 問 を含 み,2週 Mini-Mental い,診 Examination (MMSE)7) の 森 ら に よ る 日本 語 版8)を 使 用 した.MMSEの い て は,す のWechsler 得 点 に 影 響 を及 ぼ す 諸 要 因11)に つ で に 欧 米 で 報 告 が あ り,日 本 語 版 で Adult Intelligence Scale8)や 長 谷 川 らの 簡 易 痴 呆 診 査 ス ケ ー ル(HDRS)と 関12)も 良 好 で あ る.HDRSと の相 異 な り動 作 性 テ ス トを含 ん で い る た め,運 酒 歴 の 有 無, 歴 な ど を 調 査 し た. 酒,喫 煙 量,学 歴,職 歴等 に 間 の 留 め 置 き調 査 を 行 察 時 に 再 度 全 項 目に つ い て 医 師 が 確 認 を 行 っ た. 認 知 機 能 の 尺 度 と して の 妥 当 性 や 再 現 性9),10),及 びMMSEの ヘ マ ト ク リ ッ ト,腰 煙 歴,飲 質 問 表 に は 上 記 の 疾 患 の 既 往 歴 や 健 康 習 慣, 干 渉 の な い 尺 度 で 両 機 能 を測 定 し な け れ ば な ら State 関節 痛 等の 関与 が予 想 さ れ た. そ こ で,質 認 知 機 能 と運 動 機 能 の 測 定 に つ い て,今 た め,定 方,運 動 機 能 に 関 連 す る要 因 に つ い て の 報 告 は 見 当 た 動 麻 痺 の 高 度 な症 例 で の 実 施 が 困 難 で あ る と の 指 摘13)が あ る が,今 回 の 対 象 患 者 は 外 来 通 院 中 の 患 者 で あ り,よ り包 理 学 的 診 察 で は 安 静 座 位 で の左 上 腕 動 脈 血 圧 や 体 重,身 長,脊 椎 変 形 の 有 無 を診 察 し,神 経 学 的 診 察 で は 脳 血 管 障 害 の 既 往 を示 す 神 経 徴 候 の 有 無 や 除 外 疾 患 の 有 無 を再 度 確 認 し た.脳 管 障 害 や 虚 血 性 心 疾 患,糖 尿 病,高 ヘ マ トク リ ッ ト,肥 満 の 有 無,服 血 脂 血 症,高 薬 内容 につ い て は,診 療 録 お よ び 調 査 時 の 血 算 と血 液 生 化 学 検 査 結 果 を 参 照 し た. 脳 血 管 障 害 に つ い て は 病 歴 の 中 で,急 性発 症 括 的 な 認 知 機 能 評 価 が 可 能 で あ る こ とや 国 際 比 の 神 経 脱 落 徴 候 の 既 往 を有 す る症 例 を “脳 血 管 較 が 可 能 な こ と等 の 理 由 か ら,MMSEを 障 害 の 既 往 有 り” と し た.虚 認知機 て は,病 歴 の 中 で狭 心 痛 に相 当 す る胸 痛 の 既 往 能 の 尺 度 と して 採 用 し た. 運 動 機 能 の 測 定 に は 運 動 発 達 年 齢 テス ト(The motor age test-MOA)14)を 使 用 し た.MOA は 下 肢 と体 幹 の 運 動 機 能 に つ い て,小 発 達 の 経 過 に 準 じて,頚 血性 心疾 患 につ い 定(3ヵ 児 の運動 月)か ら閉 眼 を有 す るか,ま た は 明 らか な 心 筋 梗 塞 の 既 往 を 有 す る症 例 を “虚 血 性 心 疾 患 有 り” と した.糖 尿 病 に つ い て は 現 在 血 糖 降 下 療 法 を受 け て い る か,ま た は 空 腹 時 血 糖 値130mg/dl以 上 と し た. 高齢 高 血圧 患者 に おけ る認知 機 能 と運動 機 能 との 関連 表1 MMSE実 MMSE実 577 施 患 者 と除外 患者 の 年 齢 及 び性 別 の 構 成 施患者の年 齢及 び性別の構成 除外患者の年齢 及び性別の構成 高 脂 血 症 は 現 在 抗 高 脂 血 症 剤 を服 薬 中 か 現 在 の 散 的 で あ る た め,低 総 コ レ ス テ ロー ル 値220mg/dl以 カ テ ゴ リー 変 数 と し て 取 り扱 う こ とが 妥 当20)と 上 と し,高 ヘ マ 学 歴 群 と高 学 歴 群 の2群 の ト ク リ ッ トは 調 査 時 の 血 算 でHct 45%以 上 とし の 考 え に 基 づ い て 高 等 小 学 校 卒 以 下 を低 学 歴, た.肥 index 25.4以 旧制 中学校 また は女学校 中退以上 を高学 歴 とし 満 は 調 査 時 のbody 上 と し た.診 mass 察 時 の安 静 座 位 の 左 上 腕 動 脈 で 測 た.こ れ らの カ テ ゴ リー 変 数 に つ い て は,各 群 定 した 血 圧 値 に も とづ い て,収 縮 期160mmHg以 の 得 点 の平 均 値 に つ い て 対 応 の な いt-検 定 を行 上,ま た は拡 張 期95mmHg以 っ て有 意 差 の 有 無 を検 討 した.喫 上 を“血 圧 管 理 不 良 ”,そ れ 以 外 を “血 圧 管 理 良 好 ” と し た.腰 症 と膝 関 節 症 に つ い て は,病 以 内 に1ヵ 痛 歴 の 中 で最 近1年 月 以 上 に わ た り腰 痛 や 膝 関 節 痛 の あ に つ い て は,男 性 の み を対 象 と し て 喫 煙 ・飲 酒 歴 な し,禁 煙 ・禁 酒 後,喫 煙 ・飲 酒 中 の3群 で の 一 元 配 置 分 散 分 析 を行 っ た.MMSE及 っ た症 例 と し,脊 椎 変 形 に つ い て は 視 診 上 明 ら MOAと か な側 弯,ま 積 率 相 関 係 数 とSpearmanの た は 円 背 を 認 め た症 例 と した. MMSEとMOAの 害 や 虚 血 性 心 疾 患,糖 トク リ ッ ト,肥 満,脊 症 等 の 有 無 に よ る2群 単 変 量 解 析 に 続 い て,カ 得 点 は 連 続 変 数 と して 取 り 扱 い,関 連 要 因 に つ い て は,性 尿 病,高 (男性=0,女 別 及 び脳血 管 障 し=0,あ 脂 血 症,高 1),学 椎 変 形,腰 痛 症,膝 ヘマ 関節 の カ テ ゴ リー 変 数 と した. 学 歴 に つ い て は 連 続 値 を取 り う る が,分 布 が離 間 び 年 齢 と の 関 連 に つ い て は,Pearsonの 順 位 相 関 係 数 を求 め た.有 意 確 率 は両 側 確 率5%と 統 計解 析 の方 法 煙 歴 と飲 酒 歴 性=1),既 り=1),血 往 症 及 び 現 疾 患(な 圧 管 理(良=0,不 歴(低 学 歴=0,高 ミー 変 数 を与 え,各 した. テ ゴ リー 変 数 に 性 別 学 歴=1)な 良= どの ダ 変 数 間 の 相 関 係 数 行 列 を求 め た.単 変 量 で の 有 意 差 に 交 絡 要 因 が 疑 わ れ る 場 合 は,相 関 係 数 行 列 の 結 果 に も とづ い て 重 回 578 松 岡 表2 MMSEの *:対 応 の な いt-検 定 **:一 元 配 置分 散分 析 宏 明 分 布 と平 均 値 の検 定 ( 表3 年 齢 とMMSEと )内 は% の相 関 高 齢高 血圧 患 者 にお け る認知 機能 と運 動機 能 との関連 表4 MMSEに *:ダ ミー 変 数 ***:ダ 男(0),女(1) ミー 変 数 ****:ダ **:ダ 正 常 血 圧(0),高 ミー 変 数 関 わ る諸要 因 の相 関 係 数行 列 ミー 変数 高 等 小 学校 卒 以 下(0),旧 制 中学 及 び 女 学校,実 の 関 連 に つ いて は,MMSE そ れ ぞ れ に 有 意 の 関 連 を持 つ 要 因 を 業 学 校 卒 以 上(1) 回 帰 分 析 を行 っ た.重 例 で他 の症例 に 比 し認知機 能 の低 下 して い る傾 向 が認 め られた が,統 計 的 な有 意差 は 認め られ の間 の重 ず,認 知 機能 低下 の症 例 は,認 知機 能低 下 の た 回帰分 析 で の変数 選択 に め に飲 酒の継 続 が不可 能 となって い るこ とが推 修 飾 因 子 と し て,MMSEとMOAと に よ るstepwise法 結 果 MMSEに り(1) 男性 の 喫煙歴 や飲 酒歴 につ いて は,禁 酒後 の症 MMSEとMOAと つ い て は,F値 疾 患 な し(0),あ 血 圧(1) 帰分析 を実施 した. とMOAの 579 を用 い た21). 察 され る.学 歴 につ いて は高 学歴群 が低 学歴 群 に 比 し有 意 に高得 点 で あっ た. と 考 察 連 続変 数 であ る年齢 とMMSEと の相 関 は表 3に 示 す ご と く,脳 血 管 障害 の ない症例 では有 ついて 解 析 を行 っ た182例 と除 外 患 者33例 の 年 齢 及 び 性 別 の 構 成 は 表1に 示 す ご と く,除 外 患 者 で ア 意 の負 の相 関 を認 め たが,脳 血管 障害 を有 す る 症例 で は有意 の相 関 は認め られ なか った.学 歴 ル ツ ハ イ マ ー 病 の 患 者 が 高 齢 女 性 に 多 く,球 麻 を低 学歴 と高学 歴 の2群 に分 割 して検討 する と, 痺 患 者 は 若 年 者 に 多 か っ た.今 各群 で年 齢 とMMSEと 者 を対 象 と し た の で,外 回 は外来 通院 患 来 通院 に 困難 を きたす 高 齢 者 や 重 症 例 が 選 択 的 に 脱 落 し て い る と考 え ら れ る.182例 の間 に明 らか な相 関 は 認め られな か った. カテ ゴ リー 分類 に ダ ミー 変数 を与 えて計 算 し た各要 因間の相 関係数 行 列 は表4に 示 すご とく, の 平 均 年 齢 は76.0±5.9(SD),性 別 に よ る5歳 階 層 の 年 齢 構 成 に有 意 差 は 認 め ら 年齢 との相 関 で脳 血管 障害 が若年 者 に多いのは, れ な か っ た(x2=3.85, 今 回の調査 が外来 通院 患者 を対 象 として い るた p=0.57). カ テ ゴ リー 分 類 に よ る群 間 のMMSE得 ヘ マ トク リ ッ ト等 の 有 無 で, 有 意 差 は 認 め ら れ な か っ た.一 方,脳 従 来 の報告20)と一致 して いた.年 齢 要 因 との交 性 別 で は 有 意 差 を認 め ず,虚 MMSEに め に,高 齢者 や重 症例 が選 択 的に脱 落 した もの と考 え られ るが,そ の ため に 認知機 能 と年齢 と の 間に逆相 関が もた らされた とは考 え られ ない. 一方,学 歴 と年齢 との間 には 負の相 関 を認 め, 布 と平 均 値 のt-検 定 の 結 果 は表2に 病,高 点分 脂 血 症,高 示 す ご と く, 血性 心疾 患や 糖 尿 血 管 障 害 の 既 往 を 有 す る群 で は 脳 血 管 障 害 の 既 絡 に よ り学歴 とMMSEと 往 の な い群 に 比 し,有 意 にMMSEは て い る可能 性 や,学 歴 との 交 絡 に よ り年 齢 と 低値 を示 し た.肥 満 に つ い て は 肥 満 の あ る群 が,な に 比 し有 意 に 高 得 点 で あ っ た.血 で は,MMSEに い群 圧管 理 の良 否 明 らか な 有 意 差 を認 め な か った. MMSEと の 関連 が もた ら され の 関連が もた らされてい る可能 性 も否 定 で きない ため,学 歴 と年 齢 のMMSEへ の寄 与 につ いて は重 回帰分 析 での検 討 が必要 と考 え 580 松 表6 MOA実 MOA実 岡 明 施患者 と除外 患者の年齢及び性別の構成 施患者の年齢及 び性別の構成 腰 痛 や 膝 関 節 痛,パ ー キ ン ソ ン病 の ため にMOAの た.一 宏 方,従 分 析 か ら除 外 した 患者 の 年 齢 及 び性 別 の構 成 来 報 告6)さ れ て い る高 ヘ マ ト ク リ ッ トと認 知 機 能 低 下 との 関 連 に つ い て,単 解 析 で は 明 ら か な 関 連 を認 め な か っ た が,相 係 数 行 列 で 男 性 や 虚 血 性 心 疾 患,高 表5 MMSEの 重 回帰 分析 の結 果 変量 関 学歴 と高ヘ マ ト ク リ ッ トとの 関 連 が 認 め られ た.な お,虚 血 性 心 疾 患 と高 ヘ マ トク リ ッ ト との 関 連 に つ い て は,従 来 か ら指 摘 さ れ て い る22)通 りで あ つ た. 単 変 量 で 有 意 の 関 連 を 認 め た肥 満 につ い て は, 自由度 調 整 済 重相 関 係 数 0.34457 p<0.0001 相 関 係 数 行 列 で 女 性 や 高 脂 血 症 との 関 連 が 認 め られ るが,交 絡 に よ りMMSEと 肥満 との関連 を も た ら し う る要 因 は 明 らか に で き な か っ た. 年 齢 及 び 性 別,脳 血管 障害 の既 往 の有 無や 血 管 性 危 険 因 子 の 有 無,血 独 立 変 数 と し て,MMSE得 施 した.F>2.0を 圧 管 理 の 良 否,学 歴 を 点 の 重 回 帰 分 析 を実 基 準 と して,stepwise法 り変 数 選 択 を 行 っ た結 果 は 表5に で は 学 歴 と認 知 機 能 との 間 に 有 意 の 関 連 が 指 摘 さ れ て お り,年 齢 とMMSEと の 間の逆 相 関に つ い て も,従 来 の 欧 米 で の 報 告11),23)と一 致 し, 本 邦 で はMatsubayashiら27)が 年 齢 との 逆 相 関 が あ る こ と を報 告 して い る. 示 す ご と く, 脳 血 管 障 害 の 既 往 の 有 無 と学 歴,年 独 立 変 数 と し て選 択 さ れ た が,肥 に よ 象 の 選 択 に 疑 問 が 残 さ れ る.欧 米 で の 報 告23)-26) 齢,肥 満が 満 の標 準偏 回 帰 係 数 の 有 意 性 は 認 め られ な か っ た.標 準偏 回 MOAに ついて MOAを 実 施 し た174例 の性 別 及 び 年 齢 構 成, 除 外 患 者 の 構 成 は 表6に 示 す ご と く,分 析 患 者 帰 係 数 の 絶 対 値 で 評 価 す る と,脳 血 管 障 害 の 既 の 平 均 年 齢 は75.8±5.9(SD),性 往 の 有 無 が 最 も大 き な寄 与 を示 し て い た が,学 年齢 階層 の構 成 につ いて有 意差 を認め なか った 歴 及 び 年 齢 と もに 有 意 の 相 関 を 認 め,こ れ らの 要 因 の 認 知 機 能 低 下 へ の 関 与 が 認 め られ た. 本 邦 で の 高 齢 者 に お け る 認 知 機 能 と学 歴 との (x2=2.37, p=0.79). 群 間 のMOAの 分 布 と平 均 値 の 有 意 差 検 定 を 行 な っ た 結 果 は 表7に 示 す ご と くで あ っ た.分 関 連 を検 討 した報 告 は 少 な く,加 藤 ら13)はHDRS 布 の 表 示 に あ た り,MOAは 改 訂 版(HDRS-II)の のcut-offが IIとMMSEと 作 成 に あ た り,HDRS- の 間 に 高 い相 関 を 認 め て い るが, 学 歴 と の 間 に は相 関 を 認 め て い な い.し か し, 別 に よ る5歳 と くに 正 常 と異 常 設 け ら れ て い な い た め,174例 4分 位 値 に 基 づ い て4群 MMSEと の各 に 分 け た. 同様 に,脳 血 管 障 害 の 既 往 を有 す る この研 究 は 大学病 院 の外 来 に通 院 中の痴 呆症例 群 は,既 往 の な い 群 と比 較 して 有 意 の 低 下 を 認 と養 護 老 人 ホ ー ム 入 所 中 の 正 常 老 人 を対 象 と し め た が,MOAで は女 性 が 男 性 に 比 し低 得 点 で て お り,学 歴 と認 知 機 能 との 関 連 を検 討 す る 対 あ っ た.ま 圧管 理 につ い ては管 理 良好群 た,血 高齢 高 血圧 患 者 におけ る認知機 能 と運 動機 能 との 関連 表7 MOAの *:対 応 の な いt-検 定 **:一 で 有 意 に 高 得 点 で あ っ た が,他 や 糖 尿 病,高 脂 血 症,高 方,脊 分布 と平均 値 の検 定 ( )内 は% の虚 血性 心疾 患 に つ い て 有 意 の 差 を 認 め な か っ た.男 性 の み の ヘ マ トク リ ッ ト,肥 満 検 討 で は,飲 酒 や 喫 煙 との 関 連 は 明 らか で な く, な どの 有 無 に つ い て は,MOAに め な か っ た.一 元 配 置分 散 分 析 581 有 意の 差 を認 椎 変 形 を 有 す る群 で は, 脊 椎 変 形 の な い 群 に 比 し,有 意 のMOAの 低下 を 認 め た.腰 痛 症 や 膝 関 節 症 の 有 無 で は,MOA MMSEと 同 様 に 禁 酒 後 の 症 例 でMOAの 傾 向 を認 め た が,MOA低 低下 下 のた めに禁 酒 した と も考 え ら れ る. 年 齢 とMOAと の間 の相 関 は表8に 示 す ご と 582 松 岡 表8 MOAと *:ダ ミー 変 数 ***:ダ 男(0),女(1) ミー 変 数 正 常 血 圧(0),高 明 年 齢 との相 関 表9 MOAに 関 わ る諸 要 因の 相 関係 数 行 列 **:ダ 疾 患 な し(0),疾 ミー 変 数 患 あ り(1) 血 圧(1) く,性 別や 脳 血 管障 害 の有 無 を問わ ず,年 齢 と MOAと 宏 表10 MOAの 重 回 帰分 析 の 結 果 の 間に は有 意の 負 の相関 を認 め たが, 脊 椎変 形 の有 無 で2群 に分 割 して検 討 す る と, 脊 椎変 形 を有 す る群 で は年 齢 とMOAと の間 に 有 意 の相 関 を認 め なか った. カテ ゴ リー 変数 にMMSEの 場合 と同様 に ダ ミー変 数 を与 え て算 出 した相 関係 数行 列 は表9 に示す ご と く,性 別 につ い ては血圧 管 理 の良 否 や 脳血 管 障害 の既 往 の有 無 との関 連 を認め た. 自由 度調 整 済 重相 関 係 数 0.60975 p<0.00001 脊 椎変 形 を有 す る症例 は女 性や 肥満 の な い症 例 との関 連 を示 してお り,従 来報 告 され て い る骨 性別 や年 齢,脳 血管 障害 の既往 の有 無,血 圧 粗 し ょう症 の危 険 因子28)と脊椎 変 形 との関 連 を 管 理 の良否,脊 椎変 形 の有 無等 の,単 変 量解 析 示 唆 して い る と考 えた.腰 痛症 につ いて は膝 関 にお いてMOAと 節症 との関 連 を認 め た.膝 関 節症 につ い ては, は相互 の関 連が 認 め られ,と くに女性 や 脊椎 変 従 来 報告29)され て い る肥満 との相 関 を認 めた. 形 有 り,加 齢 な どの要 因は いずれ もMOAの の 関連 が示 唆 され た要 因間 に 低 高齢 高血 圧 患者 に おけ る認知 機 能 と運動 機 能 との関 連 表11 MMSEとMOAと 下 に関連 して い るため,単 変 量 のt-検 定 や相 関 583 の相関 表12 MMSEとMOAと の 重 回帰分 析 の 結 果 係数 の検 定 に よ る評 価 に と どま らず,重 回帰分 析 での検 討 が必要 と考 え た.MMSEと MOAを 同様 に MOAに よるMMSEの 予測 基 準変数 とし,各 要 因 を説明変 数 と し て重 回帰 分析 を行 っ た. 変 数 選 択 にF>2を 基 準 と したstepwise法 を 用 い た 結 果 は 表10に 示 す ご と く,脊 椎 変 形 と脳 血 管 障 害 既 往 の 有 無,年 齢,虚 血 性心 疾 患の有 無,血 圧 管 理 の 良 否 の 順 で 変 数 が 選 択 され た が, 標 準 偏 回 帰 係 数 の 有 意 確 率 で は,虚 の 有 無 と血 圧 管 理 の 良 否 は5%の し て い な か っ た.重 相 関 係 数 は0.609で よ るMOAの p<0.00001 予測 血性 心疾 患 有 意 水 準 に達 あ っ た.単 変 量 で 有 意 の 関 連 回帰分 析 で は変数 と して 選 択 さ れ な か っ た が,単 変 量 での性 別 に よ 自由度 調 整 済 重相 関 係 数 0.69495 p<0.00001 差 は 脊 椎 変 形 の 有 無 との 交 絡 に よ っ て も た ら さ れ た と も考 え ら れ る.一 係 数 の 有 意 確 率 は5%に 方,偏 回帰 達 し な か っ た が,単 変 量 で 有 意 差 を 認 め な か っ た虚 血 性 心 疾 患 有 りが, MOAの MMSEに 0.54257 回 帰 分 析 の 自由 度 調 整 済 重 を 認 め た 性 別 に つ い て,重 るMOAの 自由度 調 整 済 重相 関 係 数 高 水 準 に 関 連 す る 要 因 と して 選 択 さ れ た こ とに つ い て,Komachiら30)が 指 摘 して い 価 す るにあ たっ ては,年 齢や 脳 血管 障害 の寄 与 を検討 す る必要 が あ る と考 え,年 齢や 脳 血管 障 害の既 往 を含 め た重 回帰分析 を行 った. MMSEに つ い て は 重 回 帰 分 析 に お いて 有 意 の 標 準 偏 回 帰 係 数 を持 ち,独 立変数 として選択 さ る よ う な他 の 複 雑 な 要 因 との 交 絡 に つ い て の 検 れ た脳 血 管 障 害 の 既 往 の 有 無 や 学 歴,年 討 が 残 さ れ て い る. の 要 因 に,MOAを 回 帰 分 析 を行 っ た.MOAに MMSEとMOAと MMSEとMOAと の 関連 両 指 標 間 の 単 相 関 を 表11に 示 し た.脳 の 有 無 や 年 齢75歳 以 上,未 つ い て も 同 様 に, 脊 椎 変 形 や 脳 血 管 障 害 の 既 往 の 有 無,年 の 関 連 を検 討 す る た め に, 血 管障 害 満 を問 わず有 意の 相 関 が 認 め られ た.年 齢 に つ いて はMMSEとMOA の 要 因 にMMSEを 齢など 独 立変 数 として追加 して重 回 帰 分 析 を行 っ た.変 して,stepwise法 齢など 独 立変 数 として追加 して重 数 選 択 はF>2を 基準 と に よ っ た. 結 果 は 表12に 示 す ご と く,MMSEを の 両 指 標 と も に加 齢 に 伴 な う低 下 を示 し,脳 血 と し た と き,MOAや 管 障 害 の 既 往 を有 す る群 は 両 指 標 と も に 低 下 し の 有 無 が 独 立 変 数 と し て選 択 さ れ た.MOAと て い た.MMSEとMOAと 学 歴 は 有 意 の 標 準 偏 回 帰 係 数 を認 め た が,脳 の 間 での相 関 を評 学 歴,脳 従 属 変数 血 管障 害 の既往 血 584 松 岡 宏 明 管 障 害 の既 往 の有 無 につ いて,標 準偏 回帰 係数 の 機 能 低 下 の 成 因 に つ い て は,食 の有 意性 は認 め られ なか っ た.標 準偏 回帰 係数 歴 等 を含 め た よ り一 層 幅 広 い 検 討 が 今 後 必 要 で の絶 対値 はMOAが あ ろ う. もっ と も高 く,MOAを 独 事 要 因や 生活 立 変数 として加 え なか った時 の 自由度 調 整済 み 重相 関係 数0.34457に 比 し,MOAを 結 独 立変数 と 語 して加 え ると,重相 関係 数 は0.54257と 上 昇 した. 一方 ,MOAを 従属 変 数 とした とき,脊 椎 変 連 を 明 らか に す る た め に,外 形 の有 無 やMMSE,脳 上 の 高 血 圧 症 患 者185名 の 認 知 機 能 と運 動 機 能 血管 障害 の既 往 の有無, 年 齢 な どの全 ての変数 が,有 意 の標 準偏 回帰 係 数 を持 って独 立 変数 と して選 択 され た.MMSE を独 立変 数 と して加 えなか った時 の 自由度調 整 済 み重相 関 係数0.60975に 比 し,MMSEを 独立 高 齢 者 の 認 知 機 能 低 下 と運 動 機 能 低 下 との 関 及 び,そ の 関 連 要 因 を調 査 し た. 認 知 機 能 の 評 価 に は ミニ ・メ ン タ ル ・ス テ ー ト(MMSE)を,運 年 齢(MOA)を 動機 能 の評価 には運 動発 達 用 い た.年 変数 として加 え る と,重相 関係数 は0.69495に 上 害,血 管 性 危 険 因 子,血 昇 した. 形,腰 痛 症,膝 脳血 管障 害 に よ る認知 機 能低 下 と運動 機能 低 来 通 院 中 の65歳 以 齢 及 び 性,脳 圧 管 理,学 血 管障 歴,脊 椎変 関 節 症 の 有 無 と こ れ ら機 能 との 関 連 を 重 回 帰 分 析 に よ り検 討 した.さ らに そ れ 下 はす でに知 られて い るが,今 回の研 究で は脳 ぞ れ の機 能 と有 意 の 関 連 を認 め た変 数 を 含 め て, 血 管障 害 の既 往 と独立 してMMSEとMOAと MMSEとMOAと の 間 に高 い相 関 を認め た.脳 血管 障害 の既往 の て検 討 し た. な い高 血圧 患 者 の加齢 に伴 な う認知 機能 低下 の MMSEに の 関 連 を重 回 帰 分 析 を用 い は 年 齢 と脳 血 管 障 害,学 歴 が独 立 し 成 因につ い ては現 在 も不 明の 点が 多 いが,近 年, た 有 意 の 関 連 を示 した.MOAに 画 像 所 見 で の 白質 病 変 と認知 機 能 低 下 との 関 管 障 害,脊 連31),32)が 報 告 されつ つ あ る.一 方,高 齢者 の運 た.こ れ らの 関 連 要 因 を含 め た上 で行 ったMMSE 動 機能 低 下 の病 態 に関 して,筋 や 関節 等の 末梢 とMOAと 椎 変 形 が 独 立 し た 有 意 の 関 連 を示 し の 関 連 の 重 回 帰 分 析 で は,他 運 動器 の障害 や視 力,深 部 感 覚,前 庭 器等 の末 とは 独 立 してMMSEとMOAと 梢 感覚 器 の 障害,中 枢 神 経障 害 な どの関与 が報 関 連 を 認 め た. 告33)され て い る.今 回の研 究 で も運動機 能 の低 は年 齢 と脳 血 の要 因 の 間 に有 意 の 高 齢 高 血 圧 患 者 の 認 知 機 能 低 下 と運 動 機 能 低 下 に脊 椎 変形 の 関与 が認 め られ,同 時 にMMSE 下 と の 間 に,年 低 下 に 反映 され る中枢 神 経障 害 の関与 も認 め ら は 独 立 し て 関 連 を認 め た こ とか ら,両 者 に 共 通 れ た.Masdowら34)は の 病 因 が 関 与 して い る と推 察 し た. 高 齢者 の易 転倒 性及 び運 齢や 脳血 管障 害 の既往 の有 無 と 動 機 能 の低 下 と前頭葉 白質病 変 との関 連 を報告 してい る.認 知機 能 障害 が基 底核 部 の血流低 下 稿 を終 え るに 当 た り,終 始 懇 切 な御 指 導,御 校 閲 を伴 な って い る との報 告35)もあ り,基 底核 部 の を賜 わ っ た岡 山大 学 医学 部衛 生 学教 室,青 山英康 教 血 流低 下 が運 動機 能 障害 を もた らす可 能性 も考 授 に 深甚 の謝 意 を表す る と と もに,御 指 導 い た だ い え られ る. た三 野善 央助 教 授,津 田敏 秀 講 師に 感 謝 します 。本 の 間の 関 研 究 に御 協 力 くだ さ い ま した衛 生 学教 室 の諸 先 生, 連 は,高 齢者 の 認知機 能低 下 と運 動機 能低 下 が 国立 静 岡病 院 神 経 内科 の 諸 先 生 に感 謝 いた します. 今 回 の研 究 で のMMSEとMOAと 共 通 の病 態 に基づ いて発 現 して い る可 能性 を示 唆 す る もの であ り,そ の病 態 につ い ての画像 所 見 や生 理学 的所見 を交 えた検 討が 重要 な意 義 を 持 つ もの と考 え られ る.一 方,今 回 の高血圧 症 患 者 に 限定 して の研究 では,脳 血 管障 害以 外 の 血 管性 危 険 因子 と認知 機能 低 下及 び運 動機 能低 下 との関連 は明 らか に で きなか ったが,こ れ ら 高 齢 高血圧 患 者 にお け る認知機 能 と運 動機 能 との 関連 文 1) 青 山 英 康:地 域 医 療 の 概 念 と そ の 変 貌;地 2) Barberger-Gateau 585 献 域 医 療,青 山 英 康 編,中 央 法 規 出 版,東 京 (1984) pp 2-25 . 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After controlling other variables, there was a signifi cant correlation between performances of MMSE and MOA. The correlation between cognitive and motor function, which was independent of increasing age and cerebrovascular disease, may indicate common pathogenic mechanisms underlying cognitive and motor deteri oration in elderly patients with hypertension.