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Title 連続時間軸上における世帯の自動車保有更新行動及び世 帯内での
Title Author(s) Citation Issue Date URL 連続時間軸上における世帯の自動車保有更新行動及び世 帯内での配分・利用行動に関する研究( Dissertation_全文 ) 山本, 俊行 Kyoto University (京都大学) 2000-07-24 https://doi.org/10.11501/3172827 Right Type Textversion Thesis or Dissertation author Kyoto University 連続時間軸上における世帯 の自動車保有更新行動 及び世帯内での配分・利用 行動に関する研究 J ) 2000年 4 山本俊行 目次 第 1章 序章 l .1 研 究 の 背 宗 と 目 的 1 .2 本 論 文 の 情 成 第 l章 参 考 文 献 7 nHunxuoδ 第 2章 4 従来の研究と本研究の位置付け 2. 1 従来の研究 2 .1 .1 静 的 モ デ ル 2. 1 .3 更 新 行 動 モ デ ル 2. 2 本研究の方針 3. 6 結語 4 . 3 . 1 車 種 -メ イ ン ド ラ イ パ 一選 択 モ デ ル 4 . 3 . 2 年 間 走 行 距 離 モ デル 4. 4 推定結果 4. 4. 1 車 種 ・メ イ ン ド ラ イ パ ー 選 択 モ デ ル 4. 4. 2 年間走行距離モデル 4. 5 結語 0 6 第 4章 参 考 文 献 勺 4. 3 モデルの概要 只u ζ 4 . 2 デ ータ の 概 要 o nU ハU A U ζ Jf 0 3 3 J、 3J3 I Q3 4. 4 444 4 戸 4. 1 概説 U寸 世帯内での配分を考慮した自動車の車種選択と利用の分析 J 第 4章 吋 第 3章 参 考 文 献 -勺L A qJ1 J 3 . 5 感度分析 斗 、J o o n y A 戸 3. 4 推定結果 フ-フ-今' '﹄ 今L 3 . 3 デ ータ の 概 要 ι 3. 2 世帯内での自動車利用の競合を考慮した交通機関選択モデル 門ノ 3. 1 概説 λU寸 世帯内での自動車利用の競合を考慮した交通機関選択行動の分析 勺L 第 3章 ハU 第 2章 参 考 文 献 u くJ n x J 勺 Ill i -- 2 .1 .2 動 的 状 態 モ デ ル 第 5章 回顧データを用いた自動車保有期間の分析 50 1 概説 . 5 50 2 データの概~ 5. 1 5 3 生存時間解析手法 . 5 3 5 j法 4 重み付き推定} 5. 55 5 報告モデル . 5 56 6 保有期間モデル 5. 57 7 結語 . 5 60 第 5章 参 考 文 献 第 6章 保有意向を考慮、したパネルデータを用いた自動車保有期間の分析 62 64 1 概説 . 6 64 2 データの概要 . 6 65 3 白動車保有期間 ・保有予定期間同時モデルの概要 . 6 66 4 推定結果 6. 69 5 結語 6. 72 第 6章 参 考 文 献 74 取り替え更新行動の分析 2 時間柄 11よでの世帯の自動車取り替え更新行動 . 7 5 データの概要 . 7 6 推定結果 . 7 7 結語 . 7 7 4 説明変数の時間軸上での変化の考慮 7. / 珂 3 自動車取り替え更新行動モデル . 7 勺/ 巧 / 1 概説 . 7 5 5 6 6 9 1 1 iO3 5 7f ' O QUQUQO 属性の変化による影響と取り替え更新行動問の相互作用 を考慮した世帯の自動車 第 7章 第 7章 参 考 文 献 r hu nynyny 6 結語 . 8 U QJ 5 感度分析 . 8 X 口 4 捻定結果 8. 月/ハU ' l A U T 3 データの概要 . 8 δ 2 モデルの概要 . 8 口 1 概説 . 8 b ハ f O 車検制度が自動車取り替え更新行動に及ぼす影響の分析 U H n 第 8章 第 8章 第 9章 第 9章 参考文献 。 同 員 号 ロ 士 c , < 市 参考文献 99 100 5 0 1 第 1章 序 論 .1 研究の背景と目的 1 する 自動車の普及は人々の交通行動に大きな影響をうえ,現 在でもなお,多くの人々が所イI 、 最も有力な乗り物である.我が固においては 1960年代に自動車.の普-及が始まった.その後の 2 { J 11 l i T 速な経済成長に伴なう所得水準の向上によって一般世 帯の購買力が増加したこと,道路笹 1 進み自動車の利便性が向上したことなどの理由により,自動車保有台数は鴛~的に増加を続け . 自動車産業は我 ) 9 9 9 000万台を趨えている(運輸省, 1 た結果,現在では,自動車保有台数は 7, あたりの保 帯7 世 が固有数の産業に育ち,日本の経済成長を左右するほ どの規模となっている. 1 有台数は l台を超え,今なお増加を続けている .これは,世帯において複数台保有が進んできた 台に変 ことによるものであり,以前は一家に l台と考えられていた自動車に対する怠識が l人に l 化しつつあることを示すものである . 000億什キ 自動車保有の進展と共に自動車の利用は飛躍的に増加 した .自動車走行台キロは 6, ロ(運輸省大臣官房統計調査部編, )に達している.自動車は,利用したいとき にいつでも 8 9 9 1 利用できるといった随時性,出発地から目的地まで直 嬢ドア・ツー・ドアで移動することがで きるという機動性,荷物を持たずにすむといった快適 性等 パスや鉄道等の公共交通機関には ない利便性の高さゆえに現代生活においては必要不可 欠の生活具となっている(運輸省大臣官 . 自動車の利用は人々の交通行動を変えただけでなく, 生活スタイルに 房統計調査部編, 1998) も影響を及ぼしている.自動車によるアクセスを前提 とした,大型ショッピングセンターやレ ストラン, レジャー施設等の 一連 の郊外型庖舗の発生により,それまで居住地近辺や都 心で行 われていた活動が郊外で行われるようになり,それら の活動頻度や時間,活動の質そのものも 変化している . 自動車利用の拡大によって,購入車種も多様化を見せ ており,近年では,ステ ーションワゴンやワンボックスワゴン,オフロード 4WD等 の ,いわゆる RV車の増加も見 られ る. 一方で ,このような自動車保有・利用の増加により様々な問 題が引き起こされている. 交通 渋滞はその代表的なものであり,我が国の多くの都市 においては交通渋滞が慢性化している. 2兆円との推計(建設省 交通渋滞による時間的な損失が経済に与える影響は膨 大であり年間で 1 )もある.また,個々の利用者に与える心理的な疲労に よる損失も無視できない.従来 9 9 9 , 1 編 では ,交通渋滞を解消するための方法として,道路整備に 莫大な投資がなされてきた .高規格 377kmに達しているが,交通渋滞は未だ解消されていない. 0年度末で 7, 道路の総延長は平成 1 近年では,都心部における新規道路整備は物理的,経 済的にも現実的な対策ではなくなってき ており,供給側ではなく需要側を対象とした対策であ る交通需要管理等の対策が注目を集めて いる .実際,時差出動やフレックス勤務等の通勤交通を時間 的に分散させるための施策やノマー ク ・アンド・ライド等の自動車から公共交通機関への転換 を促す施策が実施されている他,混 tSystem) 技術 r o p s n a r tT n e g i l l e t n I 雑料金制度等についても検討が進められている . また, ITS ( を活用した渋滞対策も進められており, VICS( V e h i c l eI n f o r m a t i o nandCommunicationSystem)等 構成員間での相互作用の結果として決定されるものである (BhatandKoppelman,1 9 9 3 ) . 世帯内 によるリアルタイムの欠通情報の提供が実現している他, AHS(Advancedc r u i s ea s s i s tHighway での自動車の利用を考えた場合,我が国では世帝内の全ての白動車免許保布者が f l分専用の自 Systems)に よ る 卓 群 の 高 速 隊 列 定 行 技 術 な ど の 自 動 運 転 に 関 す る 技 術 の 実 用 化 が 検 討 さ れ て い 動車を保有している訳ではないため,自動車を選択肢集合に 含む交通機関選択行動をモデル化 る.ただし,これらの技術を効字的に利用するためには車両問で相互に通信し,複数の車両が する際には世帯内での自動車の割り当てをモデル化する事が不可欠である.交通需要管 l ' R施策 協調することが不可欠で、 あり それらの技術を装備した車両への転換を促進する必要がある . の実施によって,世帯構成員の l人が自動車による通勤を鉄道利用へと転換した時,家に残さ 自動車による環境汚染も大きな問題となっている.従来は,騒音や振動といった局地的な環 れた自動車が,他の構成員によって通勤や買い物等に利用されるとい った交通需要管理施策に 境問題が主流であったが,近年では,排気ガスに含まれる CO2による地球規模の環境汚染が大 よる波及的な効果は,個々人の交通行動が独立と仮定した場合には予測できない. ヲは地球温暖化を促進させ,人類の生活環境や生物の生息環境 きな問題となってきている • CO 本研究では,世帯構成員の交通機関選択行動を世帯が保有する自動車の割り当て行動と捉え, に広範で深刻な影響を生じさせるおそれがある.地球温暖化を防ぐため各分野における対策が 世帯構成員聞の自動車利用の競合を明示的に考慮した分析を行うことにより,交通需要管理施 求められており 策等の実施 に伴なう交通需要予測手法の発展を目指す . ここで,個々人の日々の交通機関選択 交通分野においても自動車車両単体からの排出抑制を図ると共に,交通需要 位均等の対策によってより地球環境への負荷の少ない交通システムの構築が求められている . 行動はそれ までの習慣に強く影響されるものであることが明らかとなっている ( Ba n i s t e r,1 9 7 8 ) . 白動車車両からの排出抑制に関しては,これまでより格段に低燃費の自動車や,電気とガソリ つ ま り,世帯内での日々の自動車の割り当ては,その時点までの習慣的な割り当てに大きな影 ンのハイブリッド自動卓などが既に商用化されているものの,電気自動車等のより優れた低公 響を受けるものと考えられる.習慣的な割り当ては 一 般 的にはメインドライパーという 言葉で 一 動 車 の 普 及 の 促 進 が 課 題 で あ る .燃費に応じて自動車の保有税率に格差を設ける「グリ ー 表現されるものであり,本研究では,交通機関選択行動に対する習慣の影響を考慮する方法と ン税制」の 2000年度の税制改革での実現が検討されており,低燃)(費車への転換が期待されてい して,メ イ ン ドライパーの存在を明示的に考慮した日々の自動車の配分をモデル化することと る. する . 交 通 事 故 の 問 題 も 未 だ 十 分 な 解 決 が な さ れ て い な い 問 題 で あ る .交 通 事 故 は 高 度 成 長 期 の さらに , 日々の交通機関選択行動に対する習慣は,一旦形成されると交通サービス水準等の 1970年に交通事故死亡者数が年間 1 6. 0 0 0人 を 超 え て ピ ー ク を 迎 え た 後 , 同 年 に 制 定 さ れ た 交 通 変 化 に対する感度が鈍くなることが指摘されている . ただし,そのような習慣に陥った交通機 安全対策恭本法に法づく懸命の交通安全対策によって減少されたものの,現在でもなお年間約 関選択行動であっても , 自動車の購入等の自らの環境の変化によって習慣から解放され,各選 1 0, 000人の命が交通事故によって奪われている(総務庁編, 1 99 8 ).車両の安全性を向上させるた 択肢の交通サービス水準等を十分考慮して交通機関選択行動を行うことも指摘されている めに,エア・バッグや ABS(Ant i l ockBre akSyst em) 等の安全装備が既に実用化されており,一 ( B a n i s t e r ,1978). す なわ ち,交通需要管理施策等によって交通サービス水準を変更した場令で J来をあげている.今後もさらに安全性の高い車両が市場に導入される事が期待される . 定の交} あっても,その影響が直ちに現れるとは限らず ,交通サービス水準の変化以降の自動車の買い これらの安全装備は既に保有している車両に対して追加的に装備されることは まれ で あ り , - 替え ,追加購入,購入を伴なわない破棄(本研究では,これらを総称して取りを与え更新行動と ι製造された車両に後から装備することが不可能な場合もあるため,これらの安全装備を普及 呼ぶ)時になっ て,初 めて交通行動に変化を及ぼす可能性がある.よって,交通需要管理施策 させるためには新卓への買い替えを促進させる 必 要がある . の動的な影響を把握するた め には , 世帯の自動車取り替え更新行動をも分析する必要が生じる. 」こで,交通需要管埋胞策の事前評価を行うためには,交通需要管理施策による自動車利用 方 , ITS 技術を装備した自動車の普及や,低公害車,低燃費車への転換,高度な安全装備 の変化を予測する必要がある.交通需要管理施策は自動車利用者に働きかけるものであるため, を備えた自動車の普及等を予測するためには ,世帯の車種選択行動を動的な視点で分析するこ 人 々 の 門 動 車 利 用 行 動 に 対 す る 理 解 が 不 可 欠 で あ る .従 来 の 集 計 型 の 需 要 予 測 手 法 に 対 し て とが不可欠である .従来の静的な自動車保有分析では,世帯聞の世帯構成や交通サービス水準 個々人の交通行動を対象とした非集計行動モデルが数多く権築されているのは,まさにこのよ 等の差に よ り自動車保有台数や保有車種の違いを説明する形となっており,静的な自動車保有 つな理由によるものであり,その柔軟なフレームワークによって段々な交通需要管理施策時の 分析では ,暗に均衡状態を仮定しているといえよう .実際には,世帯構成や交通サービス水準 需要予測に通則されてきた(北村, 1 996). 非 集 計 交 通 行 動 モ デ ル で は , 各 個 人 を 選 択 主 体 と し 等 の 変 化 に よって保有台数や保有車種を即時的に対応させるとは考えられず,対応行動には時 て選択行動をモデル化し,それらの選択行動結果を集計することによって総量的な需要予測を 間的な遅れが存在するものと考えられる . また,世帯構成や交通サービス水準等が変化した場 行う .伝統的な非集計交通行動モデルにおいては個々人の選択行動は互いに独立であると仮定 合に生じる保有台数の変化や保有車種の変化と一致する保証はない . このことは,複数台保有 されており,他者の選択結呆が自らの選択行動に及ぼす影響について考慮されていない . しか 世帯が保有している自動車を同時に買い替えることがほとんど無いことからも明らかであろう . しながら,世帯内の悶々人の活動・交通行動は,それぞれ独立に決定されるのではなく,世帯 すなわち,世帯がどのような車種の自動車を何台保有しているかといった状態を記述するので つ 3 はなく,世帝がどの日与点でどのような自動車取り答え更新行動を行い, 第1 章序論 1 .1 研 究 の 背長 と 目的 1 . 2 本論文の構成 どのような車種を購入 宣 するのか,とい った時間軸ヒでの行動を記述する必要がある(Kitamura,1 9 9 2 ) . 第2 章 従来の研究と本研究の位置付け 2. 1 従来の研究 2. 2 本研究の方針 本研究では,時間軸上での白動車取り答え更新行動の分析,および取り替え更新時の車種選 I 択行動を分析することにより,時間軸上での世帝の自動車取り替え更新行動を抱握することを 的とする . ここで 自動車取り替え更新時期と取り替え更新の種類には密接な関係があると の認識から世帯の取り答え更新時期と取り替え更新種類の同時決定モデルを構築する . また, 取り替え更新時の卓極選択行動には,その自動卓を誰が使うのかといった世帯内での自動車の 配分が大きな影響を及ぼすものと考え,購入車種とメインドライパーの同時選択モデルを構築 する . さらに,構築したモデルを用いて車検制度の変更に対する感度分析を行うことにより , ITS 技術を装備した自動車の普及や,低公害車,低;燃費車への転換 ,高度な安全装備を備えた 自動車保有期間の分析 第3 章 3. 1 3. 2 3. 3 3 . 4 3 . 5 3. 6 第5 章 世 帯 内 で の 自 動 車 利 用 の競 合 を考 慮、した交通機 関 選択 行動 の 分 析 概説 世帯内での自動車利用の競合を考 慮した交通機関選択行動モデル データの概要 推定結果 感度分析 5 .1 5 . 2 5. 3 5 . 4 5. 5 5 . 6 5 . 7 土 中 土 口 圭 口 口 五 自動車の普及等を促進するための施策評価への適用可能性を検討する . 第4 章 1 .2 本 論 文 の 構 成 本 論 文 は , 図 ト lに示すように 9章から構成される . 第 l章では,本研究の背景について述べ , 世帯内での自動車の配分という観点からの交通機 関選択行動,および,時間軸上での動的な自動車取り替え更新行動,車種選択行動の分析の 必 4. 1 4. 2 4. 3 4. 4 4 . 5 第6 章 世 帯 内 で の 配 分 を 考 慮、した自動車 の車種選択と利用の分析 概説 データの概要 モデルの概要 推定結果 6 .1 6. 2 6 . 3 6. 4 6 . 5 J ‘ 士 口号 口口 丘 J 回顧 デ ー タ を 用 い た自動車保有期 聞の分析 概説 データの概要 生存時間解析手法 重み付き推定方法 報告モデル 保有期間モデル 4 土 士 uu 三口 丘 保 有 意向 を考慮、 したパネ ル データ を用 い た 自動 車 保 有 期 間 の 分 析 概説 データの概要 自動車保有期間・保有予定期間同 時モデルの概要 推定結果 4 士 ・ 士 ロ三 ロロ 五 ノ 安性について述べた .第 2章 で は , 世 帯 の 自 動 車 保 有 ・利用に関する既存の研究を概観し,そ 自動車取り 替 え更新 れに慕づいて木研究における分析の基本的な方法論について再び検討する. 第 3~ では交illÍ機関選択行動に焦点をあて ー 行動の分析 第 7章 属性 の 変 化 に よる 影 響 と 取 り替え 更 新 行動 問 の相互影響を考慮した 世帯 の自動車 取り 替 え更新行動の 分析 7. 1 概説 7. 2 時間軸上での世帯の自動車取り替 え更新行動 7 . 3 自動車取り替え更新行動モデル 7. 4 説明変数の時間軸上での変化の考 世帯内での自動車の配分によって世帯構成員の 利川交通機関が決定されるとの観点から世帯の交通機関選択行動モデルを構築し,その有効性 を検討する.その際 日々の交通機関選択行動には習慣が大きな影響を及ぼしていると考えら れるため,メインドライパーの存在を明示的に考慮した自動車の配分をモデル 化 する . 第 4 L~そでは,車種選択行動,および , │ 自動車の 利 用状況を表す指標である年間走行距離に焦 点をあて,購入車極とメインドライパーの同時決定モデル,お よび,車種 , メインドライバ ー 慮 を考慮した各保有自動車の年間走行距離モデルを情築する .複数台保有世帯においては継続し 7. 5 データの概要 7 . 6 推定結果 て保有する日動卓の車極を条件として購入車種が決定され,継続保有自動車の世帯内での再配 7. 7 結語 分も行われる可能性があること また J 守 各保有自動車の使い分け等により年間走行距離に相互 第8 章 作用があることを考慮した分析を行う . 第 522,および,第 6章では時間軸上での世帯の自動車取り替え更新行動の基礎的な分析と . _ して,各保有自動車の保有期間の分析を行う . 自動車保有期間は一般に調査が実施 される期間 に比べて長いため 各自動車にの購入から売却までを観測出来ない場合が多く,その影響を考 慮した調任,および,分析の必要性がある .第 5章では断面調公によって得られた回顧デ ー タ を用いた分析を行う.回顧データには記憶の忘却に伴なう報告漏れが存在するため,報告漏れ こイ、ドなうバイアスを 4 ・慮した分析を行う .第 6章ではパネル調査によって得られた調査時点間 8.1 8. 2 8 . 3 8 . 4 8. 5 8 . 6 + │ お 章 結論 │ の行動データを別いた分析を行う . このようなデータには対象となる自動車が調査開始時点で 図1 1 本論文の構成 4 車検制度が自動車取り 替 え更新 行 動 に及 ぼ す 影響 の分析 概説 モデルの概要 データの概要 推定結果 感度分析 結語 J 既に保有されているケースが多く存在するため,そのような途中からの観測ケースについても 第 l章 参 考 文 献 分 析 対 象 と し て 取 り 扱 う 形 で モ デ ル を 構 築 す る . さらに,自動車保有期間に関する意向と実│擦 の保有期間を同時にモデル化することにより,個人間の非観測異質性を考慮した分析を行う . 第 5章,第 6章 で 得 ら れ た 知 見 を 基 に , 続 く 第 7章 , 第 8章 で は 各 自 動 車 の 保 有 期 間 の 決 定 も 内 包 す る 形 で 世 帯 の 自 動 宅 取 り 替 え 更 新 行 動 を 分 析 す る . 第 7章 で は 世 帯 内 の 他 の 保 有 自 動 車や連続する取り替え更新聞の相互作用,および,世帯属性の変化による影響等に焦点をあて た 分 析 を 行 う . 第 8章 で は , 車 検 制 度 , お よ び , 車 種 選 択 行 動 が 自 動 車 取 り 替 え 更 新 行 動 に 及 ぼす影響を考慮したモデルを構築すると共に,車検制度の変更に伴なう自動車取り替え更新行 B a n i s t e r,D. ( 1 9 7 8 ) The i nf 1uence of h a b i tf o r m a t i o n 00 modal c h o i c e- ah e u r i s t i c model, T r a n s p o r t a t i ・ on, Vo. l7, p p .1 9・23 .R . and F .S . Koppelman ( 1 9 9 3 )A c o o c e p t u a l framework ofi o d i v i d u a la c t i v i t y program Bhat,C r a n s p o r t a t i o nRese ar c hA,Vol .27A,p p .433-446 g e n e r a t i o o,T K itamura,R .( 1 9 9 2 ) A review ofdynamic v e h i c l eh o l d i n g s models aod a p r o p o s a lf o r av e h i c l e P r o c e e d i n g s01JapanS o c i e t yo f C i v i lE n g i n e e r s, No.440IIV-16,p p .1 3 2 9 . t r a n s a c t i o n smodel, 動の変化をシミュレーションによって分析することにより,自動車保有行動に影響を及ぼすと 運輸省(1999) 平 成 1 0年 度 運 輸 白 書 , 大 蔵 省 印 刷 局 , 東 尽 . 考えられる交通施策の評価手法としての適用可能性を検討する . 9 9 8 ) 陸運統計要覧平成 1 0年 版 , 日 本 自 動 車 会 談 所 , 東 京 . 運 輸 省 大 臣 官 房 統 計 調 査 部 編 (1 厳 後 に , 第 9章では,本研究の各章で構築したモデルの関係について述べるとともに.,それ ら の 分 析 を 通 じ て 得 ら れ た 知 見 を ま と め る . そ し て , 今 後 の 研 究 で 取 り組むべき課題に-ついて 北 村 隆 一 (1996) 交 通 需 要 予 測 の 課 題 : 次 世 代 手 法 の 構 築 に 向 け て , 土 木 学 会 論 文 集 , No. p .1 7・3 0 . 530/ IV3 0,p 建 設 省 編 (1999) 平 成 1 1年 度 版 建 設 白 書 , 大 蔵 省 印 刷 局 , 東 京 . 示す. 0年 度 版 交 通 安 全 白 書 , 大 蔵 省 印 刷 局 , 東 京 . 総務庁編(1998) 平 成 1 6 7 第 2章 従来の研究と本研究の位置付け 自動車保有行動の芝異の関係をモデル化することによって門動車保布行動に及ぼす影科を係る 分析手法である.初期の自動車保有分析の多くは静的モデルの枠組みによるものである.静的 ノド章では,世情の自動車保 1 f. 利 用 行 動 に 関 す る 従 来 の 研 究 を 概 観 し , 本 研 究 で の 位 置 付 け 動車利用行動の結* モ デ ル が 対 象 と す る 主 な 行 動 要 素 は 保 有 台 数 の 選 択 , 保 有 卓 種 の 選 択 , ドl . 1 で は , 従 米 の 自 動 Iド 保 # ・ 利 用 行 動 の 分 析 を 時 間 軸 及 び 分 析 対 象 の 観 点 か ら 分 類 を行う. 2 と し て の 年 間 走 行 距 離 や ト リ ッ プ 発 生 頻 度 の 3要素である.当然の事ながらそれぞれは涜:岐に . 2では,弁々の分析手法を概観した結果を踏まえて本研究での分析手法の方針を述べ, する. 2 関連しており全てを同時に考慮したモデルシステムも提案されている.ここでは個々のモデル 従来の研究における位置付けを示す . 化 について示した後,それらを組み合わせたモデルシステムについて示す. a)保 有 台 数 選 択 モ デ ル 2. 1 従来 の研究 自動車保有分析のごく初期の段階から保有台数を予測するモデルは数多く構築されてきた 1年 や 数 年 ( LermanandBen-Ak iva,1 9 7 6 ;Mogr i dge,1 978 ;Tran,1 980).我 が 国 で も い く つ か の 研 究 が 行 わ れ と い っ た 長 い 期 間 の 中 で 行 動 が 生 起 す る と い う 特 徴 を 持 つ . よって , 自動車保有行動の分析を ている(森地他 ,1 984;佐佐木他, 1 986;建設省土木研究所, 1 988;小宮-久保田, 1 991 )他 , 行うにあたり,行動をどのように観測するかによって異なったモデルの構造が用いられている . 近年でも ,モ デ ル の 構 造 等 に 関 し て い く つ か の 研 究 が 行 わ れ て い る ( BhatandKoppe l man,1 9 9 3 ; すなわち,ある時点に観測時点を間定してその時点での自動車保有状態を観測する静的モデル , l,1 9 9 5 ;BhatandPulugu r ta,1998 ). Pendyalae ta. 自動車保有行動は,交通機関選択行動や経路選択行動等の選択行動とは異なり, 』定の時間間隔毎に観測することにより各時点での自動車保有状態を観測する動的状態モデル , 保有台数選択モデルは,観測!時点の世帯の自動車保有台数を被説明変数とし,同じ時点の世 一定の H 寺山間隔毎,あるいは連続時間軸上での観測により自動車保有状態の更新行動を観測す 帯属性と自動車属性を説明変数とするモデルである.説明変数には,位帯収入の他,白動車保 る吏新行動モデルである . 有の費用として自動車購入費用や自動車維持費用,公共交通機関の利用可能性,世情の就業者 交通行動分析手法全体の発展に作ない自動車保有分析においても静的モデルから動的モデル T r a i n,1 986). 我 が 国 の 研 究 で は , 佐 佐 木 他 (1 986) 数等が有意な要因として導入されている ( 987) が へ の 移 行 が 進 ん で い る . 静 的 モ デ ル に 対 す る 動 的 モ デ ル の 優 位 性 に つ い て は Kitamura(1 は 世 帯 の ラ イ フ サ イ ク ル ステー ジを, 小 宮 ・久 保 田 (1 9 9 1) は駐車場所制約を導入している. まとめているように,個人間の「差異」に基づくモデルが個人の行動「変化」を再現出来る保 ただし , 自 動 車 保 有 の 費 用 は 実 際 に は 保 有 車 種 に よ っ て 異 な る た め 注 意 が 必 要 で あ る .Lerman 証はなく,行動変化を予測するためにはどのような状況下で個々人がその行動を変化するのか 1976)の モ デル で は 平 均 的 な 費 用 と し て あ る 一 定 の 費 用 を 用 い て お り , 他 の 値 and Ben-Akiva ( と い う 縦 断 固 訓 任 に 基 づ く 動 的 モ デ ル を 用 い た 方 が 理 論 的 な 妥 当 性 が 高 い .実際, Goodwi n を用い た場合にもパラメ ータ の 推 定 値 が 影 響 さ れ な か っ た こ と に よ り 妥 当 性 を 主 張 し て い る . 1動半保イT台 数 に 対 す る 世 帯 収 入 の 影 響 を 分 析 し , 同 一 時 点 内 で の 世 帯 問 の 差 異 に 基 (1 993)は ( しかし なが ら,現在の よ うな向車種中にもバリエーションやグレードをいくつも設けるとし、っ づく!日長皮と同-例人内の時点問の差異に基づく感度が異なるという知見を得ている . さらに , た メーカー に よるワイド ・バ リ エ ー ション戦略の下では,平均費用の算出は困難である .また, 並行動モデルは基本的に世帯や個人の意思決定をモデル化するものであり,更新行動の結果 交j 平均 価 格 が 一 定 で 車 両 価 格 帯 が 広 が っ た 場 合 等 の 影 響 を 考 慮 す る こ と が 出 来 な い . ただし,こ としての内勤 r p .保 有 状 態 を モ デ ル 化 す る よ り も 更 新 行 動 そ の も の を モ デ ル 化 す る 方 が 自 然 で あ の問題に 対 しては ,保 有 台 数 と 車 種 の 同 時 選 択 行 動 を モ デ ル 化 す る こ と に よ り , 車 種 毎 の 許 用 Kitamura,1 9 9 2 ) . 人ノド釘的に自動事保有行動の再現性が高いものと期待される ( を考慮 す る という方法が取られており,こ れ に つ い て は 後 で 述 べ る . )J, 自 動 車 保 布 行 動 は 様 々 な 行 動 要 素 を 含 ん で お り , 個 々 の 分 析 目 的 に 応 じ て そ れ ぞ れ の 保 有 台 数 選 択 モ デ ル の 定 式化 には,オ ー ダード -ロジット ・モデル,あるいは多項ロジット・ 行動要去に着上i した分析が行われてきた . その│努 ,個 々 の 行 動 要 素 は 非 常 に 密 接 に 関 係 し て お モデル が 適 用 さ れ る 事 が ほ と ん ど で あ る . これら 2つ の モ デ ル の 間 で は 世 帯 が 自 動 車 保 有 す る り,相互に影響を及ぼしているものの ,得 ら れ る デ ー タ や 分 析 手 法 の 限 界 に よ っ て そ の 他 の 行 ことに よって得られ る効用に対する仮設が異なっている.つまり,前者のモデルの場合には, 動要点を外生的に促えていることも多い.もちろん復数の行動要素を同時に考慮した分析も行 世 帯 が 自 動 車 保 有 の 必 要 性 を潜 在 的 に 感 じ て お り , そ の 潜 在 的 な 必 要 性 が 高 い ほ ど 多 く の 自 動 わ れ て お り , そ の よ う な 分 析 で は 行 動 問 の 相 互 作 用 が モ デ ル 化 されている . ただし ,複 数 の 行 車 を保 有 す る, というもので あ る.一 方 ,後 者 の モ デ ル の 場 合 に は , 保 有 台 数 と は 独 立 に 決 定 動 要 素 を モ デ ル 化 す る た め に は そ れ に 応 じ て 必 要 と な る デ ー タの質量が増える事が問題となる . される潜在的な 必 要 性 と い っ た も の は 仮 定 せ ず , 保 有 し な い 場 合 , 1台 保 有 し た 場 合 ,… とい 以下では, 3つ の モ デ ル の 構 造 毎 に , 各 行 動 要 素 お よ び 行 動 要 素 群 の 分 析 手 法 を 示 す . うように個々の台数を保有した場合に世帯が得られる効用を比較し,最も高い効用が得られる r ta( 1 998 ) は同ーのデータに対して 台 数 を 保 有 す る , と い う と い う も の で あ る .BhatandPulugu 2 .1 .1 静 的 モ デ ル 静 的 モ デ ル は l時点における向動車保有状態、の観測に基いて,個々の個人や世帯聞の差異と 両 モ デ ル を 適 用 し 比 較 分 析 を 行 っ た 結 果 , 多 項 ロ ジ ッ ト ・モ デ ル の 方 が 勝 っ て お り , 個 々 の 台 数を保有した場合の効用を比較するという行動仮説の方が妥当性が高いという結論を得ている . 9 のみを対象としてサイズを選択肢とする E巨極選択モデルを情築しているケース ( LaveandT r a i n b ) 車種選択モデル 車樟選択モデルは,世帯が保有する車種を選択肢とし,世帯属性と自動車属性を説明変数と するモデルである.説明変数としては,世帯収入,世帯構成人数,世帝主の年齢,保有自動車 数等が世帯以性として,自動車購入費用,自動車維持費用や燃費,来車定員や重量,車長とい 1 979) もある.これは,小さいサイズの自動卓の保布佐併が活気自重V JI Vへの転換の f i 草花;伝安を 形成するとの認識に基づき電気自動卓の需要予測を念頭においたものである. 電 気 自 動 車 等 の 需 要 予 測 を 行 う た め に は , 現 在 , 市 場 に 出 回 っていない屯気向動車の,航続 った車両サイズを去す指標,宅齢,馬力等が自動車属性としてモデルに導入されている (Trai n, 距離や充電時間等といった未知の属性の影響についてもモデルに導入する必要がある.よ って 1978). Beggs,eta , . l 1981 ) では, SP調査データに基づく 電気自動車の需要予測等を目的とした研究 ( ただし 既に述べたように非常に多くの車種が市場に存在するため,選択肢集合の設定は容 分析が行われている .SPデ ー タ に 基 づ く 分 析 で は 提 示 す る 代 替 選 択 肢 数 を 制 限 す る こ と に よ 易ではない.すなわち,市場ーに存在する個々の卓種をそれぞれ選択肢とする場合には,ロジツ り,選択肢問の独立性を保つことが容易である. しかしながら,従来より SP データ 一般 の 信 Ben -Aki vaa ndLerman,1 985) トモデルの適用に際して仮定される選択肢問の誤差項の独立性 ( が成り立たない.また 選択肢数が膨大となるため各選択肢の属性データの用意,及び,推定 計 算 に 要 す る 費 用 が 高 く な る .個 々 の 車 種 を 選 択 肢 と し た 分 析 と し て は Man s k i and Sherman 頼性の低さについては数多くの指摘がなされており 卓種選択行動についても例外ではないも のと思われる . 車 種 選 択 モ デ ル の 定 式 化 に は 主 に ロ ジ ッ ト モ デ ル が 用 い ら れ て き た .通 常 の ロ ジ ッ ト モ デ ル では線形効用関数が用いられており,複数の属性問の補償可能性が仮定されている .もちろん, ( 1 9 8 0 )の研究がある. 選択肢間の独立性を確保し,選択肢数を抑えるために,車種を集約したクラスを選択肢とし 種選択行動が補償型の選択構造に基づく保証はなく, Re ckera ndGo lob(1 979), Mur t aughand た場合には,選択肢の属性として複数の車種からなるクラスをどのように表すかが問題となる . 1980) は非補償型の選択構造を仮定した車種選択モデルの構築を行っている .いずれの Gladwin( このような問題に対しては,ネステイツド ・ロジット ・モ デ ル の 考 え 方 に 基 づ き , ク ラ ス に 属 分析においても世帯が最初に考慮する要因は車両サイズであるという知見を得ている. する個々の車種の効用のログサム変数をクラスの属性として説明変数に用いることが望ましい. c)走 行 距 離 モ デ ル しかしながら,実際に個々の車種の効用値を用いてログサム値を計算するには,個々の車種を 世帯の自動車利用状況を表す指標として 1年 間 や 1カ月間の走行距離を被説明変数とする 選択肢とする場合と問機に計算費用が膨大となる .McFadden(1978 )は ク ラ ス に 属 す る 車 種 数 が 走 行 距 離 モ デ ル が 主 に 構 築 さ れ て き た .もちろん,実際の自動車利用行動は日々行われており, 大きくなるにつれて 走行距離は一定期間内の交通発生選択 ログサム変数の値が以下の式で近似されることを示している . 目的地選択行動選択 及び交通機関選択行動結果によ る自動車利 用 を 集 計 したものである . よって ,走 行 距 離 モ デ ル は こ れ ら の 行 動 を 簡 略 的 に モ デ 州十 ( 2 .1 ) C 2 ル化し た ものと捉える事が可能である .走 行 距 離 モ デ ル を 用 い る こ と に よ っ て ガソリン価格 の高騰や低燃費車両の市場導入による自動車走行距離の変化,走行距離の変化の結果としての 燃 料 消 費 量 の 変化 を予測することが可能となる . ただし,へはクラスに属する車種数 , Wc2は ク ラ ス に 属 す る 車 種 の 効 用 の 分 散 を 表 す .モデルの 走行距離モデルの被説明変数としては 世帯内の各保有自動車の走行距離.を個別にモデル化 推 定 時 に は 個 々 の 唯 種 の 効 用 は 既 知 で は な い た め , 車種の個々の属性値の分散を用いることと す る場合, 及び¥ そ れ らの和を求め 2 .1 )で表される近似を車極選択モデルに適用した分析としては ,Train( 1986)の 研 究 が なる .式 ( 車問の走行距離の相互作用が明示的に取り扱えること ある . 属性を説明変数に導入しやすい等によって,ほとんどの分析 ( Ma nne r i ng,1 98 3 ; Hens h e r,1 9 8 5 ; 個々の ' n 1 去を集約するクラスについては,車両サイズによる分類が一般的である Trai n,1 9 7 9 ;BeggsandCar del,1980;建設省土木研究所, (Lave and 1 9 88;青 島 他 , 1991;石田 他 , 1994) ものの,ブランドをクラスとして設定している事例 (LaveandBradley,1 980;Chandras ekharan, e t a , . l 1994) もある .これらは,分析の目的によって決定されるものであり,前者においては燃料 価格の変化の影響 ガソリン消費量の予測や電気自動車の潜在需要の予測が分析の目的である のに対して,後者においてはブランドロイヤリティーや国産車と輸入車の競合状態等に焦点を 世帯の総走行距離をモデル化する場合がある .保 有 自 動 及び 車種属性やメインドライパーの Golob,e ta. l,1996a,1996b) では各保有自動車の走行距離をモデル化している . その他の有意な 説明変数としては 最寄り駅までの距離や所要時間等の公共交通機関の利便性を表現する要因 を含む世帯属性が用いられている. 各保有自動車の走行距離をモデル化する場合,当該自動車以外の走行距離を説明変数として 用いるため,保有自動車数毎に世帯をセグメント分割し,各セグメント毎にモデルを構築する こととなる .例 え ば 2台保有世帯は以下の連立方程式で表される. 当てたものである. さ ら に , 世 情 が 保 有 す る 全 て の 自 動 車 で は な く , 世 帝 が 保 有 す る 最 も サ イ ズ の小 さい自動車 . a・‘ , , ハU 1 1 ; r V~= α , VMT2 +s IX,+γ I +λIZ+ ε l ( 2. 2 ) Z+ε2 X2+九 VMT 九+ λ2 2= α2V~ +s2 = - Lv lーα 仏 v ただし , VMT ,は保有自動車 iの走行距離 ,X,は保有自動車 iの属性ベクトル , Y ,は保有自動 tは誤差項 を表し, αtは未知 車 iのメインドライパー属性ベクトル ,Z は世帯属性ベクトル, ε ' i, : ' 1 λ f は未知パラメータベクトルを表す. パラメータ , s 1-αd 古(y-c"y-士 以P(YII山 "-sll,,) U1 = ν α ( 2 . 3) y - U2=-LU-C2l一 C 叫γ ( Z " .+ε -s2 1V2 1 ) +土 叫γ ( Z2 2+ε 2-snV2) 2 α+土 P2121212122l P22222 ε l '8 2は独立ではなく互いに相関を持つと考えられるため,誤差相関を考慮可能な推定方法が 9 8 3 ;Hensher,1985) で は 3SLS( t h r e es t a g el e a s ts quar e s ) 用いられる.初期の研究 (Mannering,1 ただし , Ui は台数 iの間接効用 ,y は世帯収入 ,c l j ' Z , , ) υ v は i台保有の場合の 口動車 jの 自 が 用 い ら れ て い た が , 計 算 技 術 の 発 達 に よ り , 近 年 の 研 究 (Golob,e ta , . l1 996a,1 996b) では構 l /km ) を去し , 8,;は正 規分布 に 動車費用,メインドライパー属性や世帯属性ベクトル,燃費 ( 造方符式モデル (SEM:S t r u c t u r a lE q u a t i o n sModel) が 用いられるようになってきている . j iは未知パラメータ, I I ; は未知パラメータベクトルを 表す . 従 う 誤 差 項 を 表 す .α ,s また,定行距離が常に正の値を取ることから,走行距離の替わりに走行距離の対数を用いて 2 . 3 )から以下の式が導かれる . ロワの恒等式により,走行距離に関して式 ( , . l 1996a,1996b) もある . いる研究 (Golob,eta さらに,保布自動車が複数の場合には,各自動車を一定の順番に並べる必要がある(保有自 1 とするかを決定することに.なる ). +ε" l nx y-c " )+y "Z,, -sI , V1 1=αln( 1 Z2 l nx2 y-C2 十九I 1-s2 1V2 1+ε 2 1 1=αln( 1-C 2) 順序付けの方法としては車齢等を用いる事も考えられるが,多くの場合,分析者の主観的な基 l nx2=αl n( y-C +Y 2Z2 2 1 2-s2 'V2+ε 1-C 2 n) 動 車 が 2台 の 場 合 に は , ど ち ら の 自 動 車 を 式 ( 2. 2 )の l二 ( 2. 4 ) 准に頼らざるを得ないため,未知パラメータを全ての保有自動車に対して共通とすることによ ってこの 問題を回避することが多い . u は i台保有の場合の自動車 jの 走 行 距 離 を 表 す .前述の走行距離モデルと同様に, ただし, x d ) 統合モデ ル 2. 3) ,( 2. 4)中のいくつかの未知パラメータは共通と仮定されることも多い. 式( いくつかの研究では 保打台数の選択 保有車種の選択,および走行距離が相互に密接に関 連していることを考慮したモデルシステムが提案されている . 2.4)による回帰モデルと式 従 来 , 離 散 ・連 続 選 択 モ デ ル は 誤 差 項 の 相 関 を 考 慮 し た 上 で , 式 ( ( 2. 3) に よる離散選択モデルとして逐次的に推定されて来た . Tr a i n(1 986) は式 ( 2. 3 )の効用関数 台数の選択と保有卓磁の選択を組み合わせたモデルとして, Trai n (1 98 6 ) は保有台数の 保イf を線形化 した上でロジットモデルを用いて逐次的なパラメータ推定を行っている .近年の 計 算 選択を上位 レベル,保有車種の選択を下位レベルとするネスティッド ・ロジット ・モデルを構 997)では効用関数の簡略化なしに,同時推定によ って未 機の計算能力の向上により, deJong(1 筑している . ネステイッド・ロジット ・モデルを適用することにより 知 パ ラメータの推定が行われている. 保有台数選択モデル構 築の際に問題であった平均自動車費用を算出する必要が無くなり,車種選択レベルの効用関数 離 散 連 続 選 択 モ デ jレの他,保有台数の選択と走行距離の統合モデルとして SEM を用いたモ に個々の車種の自動車費用を導入することによって,ログサム変数を通じて保有台数選択に及 1998 )も構築されている .保有台数は連続変数ではなく離散変数であるため, SEM デル Golob ( D Jf巨費 用の影響を考慮可能となる . ぼす(!i を 用 い る 際 に は 従 属 変 数 の 離 散 性 を 考 慮 し た パ ラ メ ー タの推定法を用いる必要がある .Gol ob 万,保有台数の選択や保有車種の選択と走行距離モデルを統合する│僚には,前者が離散的 選択行動であるのに対して後者が連続的選択行動であることから,離散連続選択モデルを適用 ( 1 99 8 )は,変数の正規性が成り立たない場合にも有効な ADFWLS 推 定量 を用いてパラメータ 推定を行っている . した分析 (Tr a i n,1 9 8 6 ;deJ ong,1 997) が行われている . deJ ong(1 99 7 ) は 0台 , 1台 , 2台を選 いずれのモデルにおいても,自動車保有と利用の相互作用を明示的にモデルに導入しており, 択 肢 と す る 保 有 台 数 の 選 択 と 走 行 距 離 の 決 定 を 組 み 合 わ せ た 離 散 ・連続選択モデルを構築して ガソリン価格の変化 による自動車保有への影響や車両価格の変化による自動車利用への影響等 おり,間接効用関数を以下のように定式化している. が的確に把握することが可能である. 2 .1.2 動 的 状 態 モ デ ル 静的モデルは,自動車保有状態をその時点の属性値によって説明しようとするものであった. つまり,ある時点の自動車保有状態は,それ以前の過去の自動車保有状態とは独立であり,説 1 2 1 3 明変数の属性他の変化に即時的に対応し,常に均衡状態にあることを暗黙的に仮定していた. 頑健であるものの,単純に l時 点 前 の 自 動 車 保 有 台 数 を 説 明 変 欽 と し て ) J I Iえるだけのモデルで しかしながら,個々の世情では保有自動車の買い替え等は l年 や 数 年 と い っ た 長 い 期 間 の 中 で は,状態依存や系列相関に関して誤った結論を導く可能性があることを心している. も頻繁に行われるわけではない.ある時点の自動車保有状態は反応遅れや状態依存等を含んで b)動的自動車利用モ デル おり,過 Lの!こ i 動車保有状態や自動車保有に影響をうえる説明変数の過去の属性値もモデルに . I J r f f j等を被説明変数 動的自動車利用モデルは,一定時間間隔毎の自動車走行距離やトリップI 導入する:必要がある.以下では,離散時間軸上での各時点の自動車保有 ・不Ij用状態を,過去の とするモデルである .説明変数や時間間隔は前述の動的自動車保有台数モデルと問機であと. 状態の影響を考-慮した形でモデル化する,動的状態モデルについて概観する . HensherandSmith( 1 98 2 )は AndersonandHs i ao( 1 9 8 2 )による方法を用いて初期値の設定問題につ a ) 動的保有台数モデル いて よ り厳密な取り扱いをしている他,系列相関の時刻依存性や時点によって変化しない変数 f 台数モデルは, 一定 時 間 間 隔 毎 の 自 動 車 保 有 台 数 を 被 説 明 変 数 と し , 各 時 点 の 世 帯 動的保1属性と自動車属性を説明変数とするモデルである .時間間隔としては, 1年が用いられること が 一般的である . 説 明 変 数 と し て は , 静 的 モ デ ル と 同 様 の 変 数 が 用 い ら れ て い る . ただし, と非観測異質性の相関等について複数のモデルを比較検討している. c)動 的 自 動 車 保 有 ・ 利 用 統 合 モ デ ル 動的統合モデルでは,一定時間間隔毎の自動車保有台数あるいは保有車極の選択と,走行距 1 時 点 前 の 自 動 車 保 有 台 数 , あ る い は l台保有ダミーや 2台保有ダミーを説明変数に加えること 離やトリップ時間, トリップ数等を被説明変数とし,それらを統一的に説明するモデルである. 1時 点 前 の 世 帝 属 性 値 等 を 遅 れ 効 果 と し 説明変数はこれ まで述べた動的保有台数モデルや動的自動車利用モデル等で用いているものと て説明変数に取り入れることもある .Kit amura(1 9 8 9 ) は l時点前の値に加えて l時点前からの 同様 の変数である .モ デ ル の 構 造 と し て は , 静 的 な 統 合 モ デ ル と 同 様 に , 離 散 ・ 連 続 選 択 モ デ 属性値の変化を表す変数を説明変数に加えて分析を行っており,世帯内の免許保有者数や世帯 ル ( Mannering,1 985;Hensher,1 986;Hensher ,e ta. l,1 989) や 誤 差 項 の 相 関 を 考 慮 し た 限 定 従 属 変 により,臼動車保有台数の状態依存性を表す.また, 収入について, 1時 点 前 よ り 増 え た 場 合 と 減 っ た 場 合 で は , その効果が異なることを示してい 数 を含 む 連 立 方 程 式 モ デ ル (Kitamura,1 987;Meurs,1993), SEM ( GolobandvanWis s e n,1 9 8 9 ; る.さらに ,各 時 点 の 誤 差 項 が 互 い に 相 関 し て い る と 仮 定 す る こ と に よ り , 自 動 車 保 有 に 関 す Golob,1 9 9 0 ;vanWissenandGolob,1992 ) 等 の モ デ ル が 用 い ら れ て い る .いずれのモデルにおい る世帯問の非観測異質性を表す . ても自動車保有と 利 用の相互作用や誤差相関をモデルに導入しており, K itamura( 1 9 8 7 ) は,時 Ki t amur aandBunch( 1 9 90) は 4時点のパネル調査によって得られたデータを用いて,オ ー ダー 刻 fの内生変数 Y1 (t ) ,Y2 ( t ) ,および外生変数 X] ( t ) ,X2 ( t ),誤差項 CI( t ) ,c 2( t ) 構成されるモデルシ ド・プロピット・モデルを適用した動的保有台数モデルを構築している . I時 点 前 の 自 動 車 保 ス テ ム について,変数聞の関係を表 2 1の よ うに分類している .実際のモデルの推定にあたっ 有台数を説明変数に月 jしEる た め に , 被 説 明 変 数 と し て 用 い ら れ る の は , 2時点目から 4 時点目 ては , 表中のいくつかの関係の存在を仮定したモデルが推定されており,自動車保有台数の選 までの 31 I j点の自動車保有台数である .パラメータ推定の際には, 1番 最 初 の 時 点 の 自 動 車 保 択 とト リップ数は独立で あ るとの知見を得ている . 有台数を静的モデルにより准定し 実 際 の 自 動 車 保 有 台 数 を 推 定 値 で 置 き か え る こ とに よ り , 表2 1 変数聞の関係 動的モデルで問題となる初期値の設定の問題を解消している . 同時的効果 さらに,誤売項を以下のように定式化し ,系 列 相 関 が 時 点 に 依 存 せ ず 一 定 と 仮 定 し た 場 合 と 外生変数と 外生変数 時点に依存すると仮定した場合の結果を比較している . │ 慣性的効果 遅れ効果 X1 (t )付 X2 ( t ) 内生変数と外生変数 ε( i , t ) =αt (片( i ) +U( i , t ) ( 2 .5) 内生変数と内生変数 誤差項間 i, t ) は世帯 iの時点 ただし, ε( 点 f f の誤差項 ,q( i )は世帯 iの 非 観 測 異 質 性 ,U( i,t ) は世帯 l,時 ただし ,付 は相関関係を表し, また O> O . に独立な誤完工員を表し, α( t ) は未 知パラメータを表す . α( t )を時点に依存せず一定とする 1 ) を時点に依存し変 こ と に よ り 系 列 相 関 の 影 響 が 一定 で あ る と 仮 定 す る こ と と な る .一方, α( 化すると仮定する場合には,さらに , U ( i,t ) の分散についても時点に依存して変化すると仮定 2 .1.3 更 新 行 動 モ デ ル 静的モデルや動的状態モデルでは,観測j 時点の世帯の自動車保有状態をモデル化していたの した場令と時点に依存せず一定と仮定した場合の比較を行っている .分析の結果より , 自動 に対し て , 更 新 行 動 モ デ ル は 保 有 状 態 の 変 化 を も た ら す 行 動 を モ デ ル 化 す る も の で あ る . 保有台数に関する強い状態依存性を縫認した他,説明変数のパラメータの推定値はモデル問で Kitamura ( 1992) は , 更 新 行 動 モ デ ル が 動 的 状 態 モ デ ル よ り 優 れ て い る 点 と し て ,以下のように 1 4 1 5 離散選択モデルを構築している. しかしながら,この分析では,通常のパネル訓告i のように まとめている. ・自動宅市場モデルの要素として自動車の購買,中古車市場への供給,スクラップの需要予 測モデルとして別し 3ることが出来る. 定間隔毎の観測を行っているわけではなく,居住地の変更を与件としてモデル化が行われてお り,自動車保有台数の変化の時期を予測することが出来ない.よって,予測モデルとして用い -史新費用 (トランザクションコスト)の論理的整合的な取り扱いが可能である . るには新たに居住地の変更行動をモデル化する必要がある. -更新費用の非対称性(自動車を新たに追加する方が自動車を手放すより費用がかかる)を b) 連 続 時 刻 モ デ ル 表現可能であり,それらの更新費用を更新を行わない場合の費用(自動車を維持するため 更新行動を行うかという視点から,更新行動の時期をモデル化する方法がある.更新行動時期 の針刑は史新する費用より大抵低い)と比較可能である . -自動 r t [保 有 期 間 を 内 生 変 数 と し て 取 り 扱 う こ と で 離散時刻モデルでは,各観測時点間の更新行動の有無をモデル化していたのに対して,いつ 自動車保有に関する長期的な意思決定 をモデル化することが可能である . をモデル化する場合には,離散時刻モデルで問題となった同 一 世帯からの繰り返し観測の問題 が解消されるだけでなく,観測時点を外生的に設定する:必要が無く,連続的な時間制上で更新 -自動車利用を自動車更新に関する意思決定に影響を与える要因として論理的整合的に取り 扱うことが可能である . 行動を予測可能となる.もちろん,連続変数としての出力結果は予測結果を分析者が一定の期 間毎にまとめることが可能であるため,予測が柔軟に行えるという利点がある.また,各世帯 5意的な仮定をおく必要もない. が l年 毎 に 自 動 車 取 り 替 え 更 新 行 動 の 実 施 を 検 討 す る と い っ た 7 a ) 離散時刻モデル I上 で の 自 動 車 保 有 行 動 を 表 す 離 散 時 刻 モ デ ル で は 離散時友J パネル調査等による各観測時点 問の更新行動の有無およびその種類を被説明変数としてモデル化するものである. 連 続 時 刻 モ デ ル に は , 主 に パ ラ メ ト リ ッ ク な 生 存 時 間 モ デ ル (Hensherand Mannering,1994) が適用される.自動車取り替え更新行動は買い替え,追加購入,購入を伴なわない破棄等,複 Hocherrnane ta. l(1983)は 更 新 行 動 を 行 う か 否 か の 選 択 を 上 位 レ ベ ル , 更 新 行 動 を 行 う 場 合 の 数 の 種 類 か ら な る 行 動 で あ り , 競 合 危 険 モ デ jレの適用が適切であると考えられる. しかしなが 購入車種を下位レベルとするネスティッド・ ロジ ット ・モ デ ル を 構 築 し て い る . 対 象 は 更 新 行 ら,いくつかの分析では競合を仮定せず,単独のハザード関数を用いたモデル化が行われてい 動前の時点で 0台保有の世帯と l台 保 有 世 帯 に 限 ら れ て お り , 更 新 行 動 の 種 類 と し て は そ れ ぞ る. れ 0台保有世帯には新規購入, 1台保有世帯には買い 替えが考慮されているのみであり ,複数 ManneringandWinston(1991), deJ ong(1996)では,世帯を対象とするのではなく個々の保有 台保イfについては考慮されていない .また推定に用いたデータは断面調査によるものであり, 自動車に着目し,世帯が各々の自動車をどのぐらいの期間保有するかを予測するモデルを構築 過去 1年 間 を 対 象 期 間 と し て 吏 新 行 動 の 有 無 を モ デ ル 化している.よ って している.これらのモデルは世帯の全ての自動 車取り替え更新行動を表したものではないため, 時点毎に同一の世 情が選択を繰り返すことによる非観測異質性の影響については全く考慮されていない. y y 去として 非観測異質性を考慮する ) る ベータロジスティック分布を用いた分析が行われてい ( ManskiandG o l d i n .1 98 3 ;Berkovec,1985・Smith,e ta , . 1 1991). ベータロジスティック分布を 自 動 車 保 有 に 関 す る 基 礎 的 な 知 見 を 与 え る に と ど ま っ て い る . 実 際 , Mannering and Winston (1991)はブランドを選択肢とする車種選択モデ jレと組み合わせることによ り,アメリカ市場で の国産車と輸入車の競合状態の記述から国内自動車産業の衰退を予測している. 更新行動を行 Bunche ta . l(1996)は世帯を対象とし,更新行動聞の期間を被説明変数とするモデル化を行 っ つまでの複数の時点での選択(時点 lか ら 観 測 を 始 め て 時 点 fで 更 新 行 動 を 行 った場合 ,更新 て い る . こ の モ デ ル は , 電 気 自 動 車 の 需 要 予 測 の た め の モ デ ル シ ス テ ム の 要素として用いられ 行動を行わなかった t-1回の選択と更新を行った l回 の 選 択)を観測 したものとして,各時点 ており,更新行動の種類を問わず,更新行動の発生時期のみを予測するものとなっている.よ における選択効用に時点問に共通なベータロジスティック分布に従う非観測異質性を仮定する って単独のハザード関数を用いており,更新行動の種類は決定されない. 実際,モデルシステ ものである. ムの他の要素として,更新行動の発生を与件とし,買い替えを行うか追加購入を行うかという 月jしEた 分 析 で は , 各 離 散 時 点 に お け る 更 新 行 動 の 選 択 を 離 散 選 択 モ デ ル で 表 し ただし, ManskiandGoldin(1983),Berkovec(1985) では自動車の廃棄のみを取り扱っており, 世帝の行動を対象としたモデルというよりは 自動車市場モデルの一要素としてのモデルとい 選択を上位レベル,車種選択を下位レベルとするネステイツド・ロジット・モデル(複数保有 世帯に対しては買い替え時にいずれの保有自動車を買いかえるかとし Eう選択を中位レベルに加 ta. l(1991) では, 1 う側面が強く,世帯問の観測異質性等は考慮されていない .一方, Smithe えている)を構築しており,更新行動の種類の決定についてはそちらのモデルで考慮する形と ム保有世帯の貰い替え行動のみを対象としており ta , . l 1996).ただし,このようなモデル化では, 買い替えを行う時期 なっている (Brownstone,e 追加購入や購入を伴なわない保有自動車の 破棄といった保有台数の増減に伴なう行動は考慮されていない. な お , 我 が 国 で は , 安 藤 他 (1997) が 居 住 地 の 変 更 に 伴 な う 自 動 車 保 有 台 数 の 変 化 を 記 述 す るために,増車,変化無し 減車を選択肢として引っ越しに伴なう自動車取り替え更新行動の 1 6 と追加購入を行う時期は変わらず,更新行動の種類は更新行動時期に影響を与えないという仮 定が置かれている. 一方,競合危険モデルを適用し,更新行動の種類の決定と更新行動時期の決定を同時に取り 1 7 扱うモデル化も行われており, G i 1 b e r t( 1 9 9 2 )は 世 情 が 保 有 す る 個 々 の 自 動 車 を 対 象 と し て , 新 、 Iを行うと 有 期 間 の モ デ ル 化 を 行 う . 第 5章では自動車保有期間を去す確率分布形について検 J 車との買い答え,ヰl占車との買い替え,購入を伴なわない破棄の 3つ の 更 新 行 動 の 種 類 を 競 合 ともに,回顧データによる報告漏れを考慮したモデルの推定を行うことにより,断面調任によ 危険として取り扱い,更新行動碕頒の選択とその時期の決定を競合危険モデルによってモデル る回顧データの有効な利用方法を提案する.第 6章ではパネル調貨に法づくデータを用いたモ 化している. また,世骨子を対象とし競合危険モデルを適用した分析としては, Hensher (1998) デルの推定を行うと共に,将来の自動車保有意向に関するデータを同時に用いることにより, の分析がある. Hensher(1998)は , Gilbert (1 9 9 2 )と同機に新車との買い替え,中古車との買い替 世帯聞の非観測異質性をモデルに導入する方法を提案し i l b e r t( 1992)と異なりいず えを更新行動種頒の選択肢とした競合危険モデルを椛築している. G 行動のずれが存在するかを示す. どのような世引に意向と実│僚の保有 れの保布自動車を買い答えるかという選択を考慮しておらず,世帯の買い答え行動聞の期間を 第 7章 で は , 第 5章,第 6章 の 結 果 を 踏 ま え て 世 情 の 自 動 車 取 り 答 え 更 新 行 動 を モ デ ル 化 す 予測するものである.そのため, G1 ib e r t( 1 9 9 2 ) の分析で考慮されていたような個々の自動車属 る.従 来 の 研 究 で は 自 動 車 保 有 期 間 の モ デ ル 化 と 自 動 車 取 り 替 え 更 新 行 動 の モ デ ル 化 は 個 別 に 性は説明変数に含まれていない . 行われており,相互に整合性が取れていなかった.本研究では各自動車の保有期間モデルを内 包する形で取り替え更新行動モデルを構築することにより 2 . 2 本研究の方針 自動車保有期間の決定と取り答え 更新行動の意思決定を統一的に捉えることとなる. さらに,動的状態モデルではその存在が確 2 . 1で 概 観 し た よ う に 初 期 の 自 動 車 保 有 - 利 用 行 動 分 析 は 主 に 静 的 な モ デ ル に よ っ て 世 帯 の 認されていたものの,生存時間解析手法を自動車保有に適用したこれまでの研究では与慮され 自動車保有台数,保有車種 ,年 間 走 行 距 離 等 の 自 動 車 利 用 状 況 を 個 別 に 分 析 す る も の で あ っ た . て こ な か っ た , 自 動 車 取 り 替 え 更 新 行 動 に 影 響 を 与 え る 要 因 の 遅 れ 効 果 や 変 化 の 非 対 称 t:をモ しかしながら,これらの行動は相互に密接な関係を持っており , 1つ の 行 動 変 化 は そ れ 以 外 の デ jレに導入し,その影響を明らかにする . 行動の変化を述鎖的に引き起こすため,他の要素は固定した上で, 1つの要素のみを取り出し Y 第 8章 で は , 第 4章 で 構 築 し た 車 種 ・メ イ ン ド ラ イ パ 一 同 時 選 択 モ デ ル を 第 7章で構築した て政策評価を行おうとすることには問題が生じる.このような問題を解決するために各々の行 自動車取り替え更新行動モデルに組み合わせると共に 動 状 態 が 均 衡 状 態 に あ る も の と 仮 定 し た 統 合 モ デ ル が 開 発 さ れ る よ う に な っ た .統 合 モ デ ル で 徴的な車検制度が自動車取り替え更新行動に及ぼす影響を取り入れるためのモデルの拡張を行 は 何 ら か の 政 策 を 実 施 し た 際 に 各 世 帯 の 自 動 車 保 有 ・利 用 状 態 が ど の よ う に 変 化 す る か を 統 一 う.構 築 し た モ デ ル を 用 い て 車 検 制 度 の 変 更 に 伴 な う 自 動 車 取 り 替 え 更 新 行 動 変 化 の シ ミ ュ レ 的に予測することが可能である. しかし,世帯が常に環境に対して均衡状態にあるとは考えら ーション分析を行い,モデルの政策評 価 へ の 適 用 可 能 性 を 検 討 す る . れないこと,さらには時間制上での「状態 Jをモデル化するのではなく, I 行動」をモデル化す るノJが 保 々 な 妥 因 を 論 理 的 墜 合 的 に 取 り 扱 う 事 が 可 能 で あ る との観点から,動的モデル,さら なお,第 9章では,これらの分析の結果得られた知見をまとめるとも に今後の自動車保有 ・ 利用分析において必要とされる発展の方向について述べる. には向動車取り答え史新行動モデルへと分析手法の発展を遂げている . 、二生存時 研究では,近年,自動事取り答え更新行動モデルの構築に用いられるようになっ f 間 解 析 手 法 を 適 用 し , 連 続 時 間 軸 上 で の 取 り 替 え 更 新 行 動 の モ デ jレ化を行う .また, これまで の研'先であまり分析されていない自動車利用行動の要素として,世帯内での自動車の配分行動 (メインドライパーの決定)を取り仁げ,その 他 の 自 動 車 保 有 ・利用行動との相互作用のモデ ル化を行う . 第 3章 で は 世 帯 内 で の 自 動 車 の 配 分 を 与 件 と し た 世 帯 構 成 員 の 交 通 機 関 選 択 行 動 の 分 析 を 行 い,世 ~I付の内動車配分行:p)J が直接的な交通需要を引き起こす交通機関選択行動に及ぼす影響 を明らかにする .第 4章では世有J の 車 種 選 択 と 世 帯 内 で の 配 分 行 動 の 同 時 選 択 モ デルを構築し, 動車配分行動が車径選択行動に及ぼす影響,および車種選択行動が自動車配分行動に及ぼす 影響を明らかにする .ま た 我が国の自動車取り替え更新行動に特 世情内での配分を考慮した年間走行距離モデルを構築することに より世'市内での白動車の配分が年間走行距離に及ぼす影響を明らかにする . 第 5草:以降では,生存時間解析子 j 去を用いた世帯の自動車取り替え更新行動モデルの発展を 目指した分析を行う . まず,第 5章,第 6章 で は 世 帝 の 保 有 す る 各 自 動 車 に 着 目 し , 自 動 車 保 1 9 第 2章 参 考 文 献 .F .(1998)A mode!ofhouseho!dc h o i c eofa c t i v i t yp a r t i c i p a t i o nandm o b i l i ty ,l nGa r !i ng,T . , Golob,T L a i t i l a,T . and Westin,K. 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Recker,W.W.andGolob,T .F .(1979)A non-compensatorymodeloftranspo口a t i o nbehaviorbasedon e q u e n t i a lc o n s i d e r a t i o nofa t t r i b u t e s,T r αn s p o r t a t i o nRe s e a r chB,Vol . 13B,p p .269・2 8 0 . mith,N.C .,Hensher,D .A .andWrigle,N.( 1 9 9 1 )A d i s c r e t ec h o i c esequencemodel:methodandan i l l u s t r a t i v ea p p l i c a t i o nt oautomobilet r a r 22 23 第 3章 世帯内での自動車利用の競合を考慮、した交通機関選択行動の (1997) は,自動車利用自粛行動を対象として,社会的相庄作用を考慮したモデル化を行 って 止併惰成員間の十日正作別をモデル化し いる. しかしながら,自動車利用の競合という観点から i 分析 た研究は行われていない. 3 .1 概説 本 研 究 で は , 世 帯 内 で の 自 動 車 利 用 の 競 合 を 考 慮 す る ギ に よ り , 自 動 車 利 用 の 背 反 性 を 明 /0 交通機関選択行動は,非集計交通行動分析の分野で最も初期から分析の対象とされてきた. これは,交通機関選択行動が自動車交通需要に最も直接的な影響を及ぼすという本質的な重要 的 に 導 入 し た , 世 帯 に お け る 交 通 機 関 選 択 モ デ ル の 憎 築 を 行 う . す な わ ち, M t情が保有する 動車の配分問題として世帯構成員の交通機関選択行動をモデル化するものである. 性に加えて,選択肢集合が明確である事,選択肢集合から最も効用の高い選択肢を選択すると 日々の交通機関選択行動はそれまでの習慣が大きな影響を与えているとの指摘がなされて U いう離散選択行動の仮定がなじみやすい事,代替選択肢属性データが比較的容易に収集できる る ( Ba n i s t e r,1 9 7 8 ;Verplankene ta , . l 1998).世 管 内 で の 自 動 車 の 配 分 問 題 と し て 交 通 機 関 選 択 行 事等が原闘であると考えられる ( 北村他, 2000). 動を捉えた場合,メインドライパーは自動車利用に対する習慣性が他の情成員よりも強いと考 古典的な離散選択行動モデルでは,個人はそれぞれ他者とは独立に選択肢集合を持っており, えられるため,メインドライパーの存在は世帯構成員の自動車利用に大きな影響を及ぼすと考 個々人の選択行動は他持とは独立に行われ,選択結果は他者の選択に影響を与えないという仮 えられる . しかしながら,世帯によってメインドライパーの自動車利用に対する優先度は異な 定が置かれている ( Ben-AkivaandLerman,1985). 交 通 機 関 選 択 分 析 の 枠 組 み で は , あ る 個 人 が るものと考えられる .本 章 で は , メ イ ン ド ラ イ パ ー の 影 響 の 世 帯 聞 に お け る 異 質 性 を モ デ ル に 動車を選択することで,自動車需要量が増大したとしても,経路所要時間に与える影響は微 導入し,モデルの現実性,精度の向上を目指す. 小であり,経路所要時間は固定的なものとして外生的に与えるといったことが行われている . 実際,需要量の増大によるサービス水準の変化等の影響については,モデル構築時には問題と 3 . 2 世 帯 内 で の 自 動 車 利 用 の 競 合 を 考 慮 し た 交 通 機 関 選 択 行動モデ ル トワークモデルを組み合わす事により,この 一般に,世帯の保有する各自動車にはメインドライパーが存在する事が多く,当該自動車の ような影響を考慮している .一 方 , 自 動 車 の 利 用 可 能 性 を 考 え た 場 合 , 世 帯 の 保 有 白 動 車 は 限 利用に関してメインドライパーが優先権を持つものと考えられる. しかしながら,メインドラ られており,ある世帯構成員が自動車を利用すると,他の世帯構成員がその自動車を利用でき イパーは他の世帯構成員の自動車利用に関する要求を勘案し ないため,選択肢から自動卓が除かれるといった自動宅利用の背反性が世帯構成員の交通機関 の世帯構成員に自動車を利用させるといった行動をとる事も考えられる. しかし,メインドラ 選択行動に大きな影響を与えていると考えられる.交通需要管理施策の実施によって通勤に用 イパーとその他の世帯構成員との関係は世帯によって異なるものと考えられ,メインドライノ ー いられなくな った門動卓が世 f u内 の 他 の 構 成 員 に 利 用 さ れ る 等 の , 世 帯 内 で の 自 動 車 の 利 用 パ ーによっては他の世帯構成員による利用を全く考慮しない場合や,メインドライパーといって ターンの変化を子測するためには も当該自動車の利用に関してそれほどの優先権を持たず,他の世帯構成員と差別化されない場 ならず,予測時に交通機関選択モデルと道路ネ y 世帯における自動車利用の競合を考慮した分析が必要で、あ る. し か し な が ら , こ の よ う な 個 々 人 の 選 択 肢 集 合 の 相 互 依 存 性 は 従 来 の 交 通 機 関 選 択 行 動 分 析において卜分考慮されてきたとは 言 えない. 従 来 の 分 析 で は , メ イ ン ド ラ イ パ ー ( 各 自 動 車 の 優 先 的 利 用 者 ) を示すダミー変数や世帝の 自らの自動車利用を取りやめ他 合も考えられる . 保 有 自 動 車 が l台の場合 メインドライパーが世帯の保有する自動車の利用に関して絶対的 な優先権を持つ世帯においては まずメインドライパーが自動車利用選択行動を行い,その結 自動車保有台数,免許保有者数といった説明変数を交通機関選択モデルの説明変数に導入する 果メインドライパーが利用しない場合のみ他の世帯構成員が当該自動車を利用する事ができる 事 で 世 帯 内 で の 競 合 に よ る 影 響 を 考 慮 し て き た . ま た , 山 本 他 (1996) は,他の世帯構成員の ものと考えられる . よ っ て , こ の よ う な 世 帯 に お け る 自 動 車 利 用 選 択 構 造 は , 図 -1に示すよ 動車利 J l l確 率 と 世 帯 の 保 有 自 動 車 数 か ら 算 出 さ れ る 自 動 車 利 用 可 能 確 率 と , 自 動 車 が 利 用 可 うに,メインドライパーの交通機関選択行動を上位レベル,メインドライパーが自動車を利用 能であるという条件付きの交通機関選択確率からなる交通機関選択モデルを構築している . しかし,このような方法では,ある佐帯構成員が世帯の自動車を利用する場合にそれ以外の i 世帯構成員が川時にその自動宅を利用する事ができないという自動車利用の背反性が明示的に しない場合の下位レベルの選択として それ以外の世帯構成員による利用を選択肢とする, 2 段階のロジットモデルとして定式化できると考えられる. これに対し,メインドライパーが優先権を全く持たない世帯においては,世帯権成員全員が 対 等 に 自 動 車 利 用 選 択 を 行 う も の と 考 え ら れ る . よって,このような世帯における自動車利用 取り扱われていない. 近年では,個々人の選択が独立ではなく他者の選択との相互作用を明示的に考慮した交通機 構造は,各世帯構成員を選択肢と捉えた多項ロジットモデルに従うものと考えられる. 相乗り交通を対象として, 関選択モデルもいくつか構築されている .小 林 他 (1996) は,送迎 ・ さらに ,これら両極の聞に位置する一般的な場合として,メインドライパーが他の世帯構成 送迎サービスを提供する人と享受する人の相互作用を考慮したモデル化を行っており,森川他 員の自動車利用に関する要求を勘案し,自らの交通機関選択を行う位帯においては,メインド 24 25 ライパーが白動車を利用しない場合の効用に,他の世帯構成員が当該自動車を利用した場-合に 得られる利他的効用(小林他, 1996)を加 え た 形 の 図 3- 1のツリー構造を持つネスティッド・ ロジットモデルとして表刻できる. 朴 以叫十 pイ十[卜μlnイ{~ト飢叫州p収 l 医 2 l 以 叫 州 p 以 哨 此 仇 叫 州 K 九 附 ( 川 釈 仇 1 川 ) ド +e 以 叩 X 叫 刊 イ p 十 十 [ 卜 μl イ nト ト ト 以 叫 p ば 州 似 州 州 川 川 ( 似 川 凡 川 ) }J i= 2,3, . ・ ・ , ん+1 ( 3 . 2 ) ヱ 叫 ( 侃 凡 九J ここで,一般的な McFadden(1978) タイプのネステイツドロジットモデルでは,式 ( 3 . 1 ), ( 3 . 2 ) 中のん( i=2,3, .・ ・,In +1 )が V μ とな っており,本研究での定式化とは異なっている .ノ ド研究 n lI 』他の構成員 ( ι )が利用する での定式化は Daly(1987) による定式化と一致するものである.KoppelmanandWen(1998) は両 タイプのネステイツドロジットモデ jレを比較し,前者の定式化が効用最大化理論と整合的であ 図 3-1 世 帯 構 成 員 の 交 通 機 関 選 択 構 造 る一方で,後者の定式化は周辺確率と条件付確率の論理に基づく定式化であるが効月 j最大化理 ここで,世帯での自動車利用を考えた場合, 他 の 世 帯 構 成 員とスケジュールの調整を行い, 論と整合的でないと述べている. しかしながら,本研究では,メインドライパーは利他的効用 出発時刻を変更することにより両者が自動車を利用するという行動が考えられるが,本研究で l t帝構成よ l を自らの効用に組み入れて選択を行っていること,及び,メインドライパー以外の ! は交通の発生は所与とし,出発時刻の変更等は取り扱わない.このような仮定は従来の交通機 はメインドライパーが自動車を選択しない場合にのみ自動車を利用する可能性があることをモ 関選択モデルにおいても用いられてきたものであり デル化する一方で, McFadden タ イ プ の 定 式 化 で 仮 定 さ れ て い る よ う な 選 択 肢 問 の 相 関 につし 世帯構成員問のスケジュールの調整を含 . .. , ん + 1の ては考慮していない.すなわち, McFaddenタイプの定式化では, μ が選択肢 2,3, めた交通機関選択行動モデルの情築は今後の課題である . n 動車保イ J 台数が l台の場合, 1 8才 以 上 の 世 帯 構 成 員 ι 人か らなる世帝 n において "メイン 類似性を表すのに対して,本研究では μ はメインドライパーが利他的効用をどの程度考慮する かを表すものである . さらに, μ二 1の場合には,多項ロジットモデルに 一 致するため,位帯に n( 1 ) を以下の式で表わす. ドライパーが自動 lドを利用する確率 P おける自動車の割り当てに関してメインドライパーの優先権が存在しない状態を表わすと捉え ( 3 . 1) ることが可能である. 一 一 方 , μ=0の場合には, 2段 階 ロ ジ ッ ト モ デ ル に 一致し,はじめにメイ ン ド ラ イ パ ー が 自 ら の 効 用 の み に よ っ て 交 通 機 関 選 択 を 行 い , メ イ ン ド ラ イ パ ー が 自動卓を利 用 し な か っ た 場 合 の み , 他 の 世 帯 構 成 員 間 で 当 該 自 動 車 の 割 り 当 て が 決 定 さ れ る 事 を 4交わす. このように, μ は世帯におけるメインドライパーと他の世帯構成員の関係を表わすパラメー ただし , Vnl, V ' li( i= 2, 3. ,••, 1 ふ に( , 1+1) は , そ れ ぞ れ メ イ ン ド ラ イ パ ーが自動車を利用した場合 タと解釈する事が可能である. しかしながら,通常のネステイツド ・ロジットモデルにおいて の 効 用 , そ の 他 の 世 帯 構 成 員 が 利 用 し た 場 合 の 効 用 , 誰 も 利 用 し な い 場 合 の 効 用 を 表 わ す .ま は , μは 全 世 帯 共 通 と 仮 定 さ れ る こ と と な る . 本 研 究 で は , 位 帯 に お け る メ イ ン ド ラ イ パ ー と た , μ はスケールノ てラメータである . そ の 他 の 世 帯 構 成 員 の 関 係 は 世 帯 毎 に 異 な る も の と 考 え , 世 帯 聞 の 異質性を μ に導入するた n( i )( i= 2, 3,...,ん),および誰も 自動車を 一方 , そ の 他 の 世 帯 構 成 員 が 自 動 車 を 利 用 す る 確 率 P めに,以下の式に示すように μ を構造化する (Baht,1997). 利用しない 4 在宅 P n( l l l + l ) は以下の式で表わされる. μ=μ。 叫 ( a Xn) ( 3 . 3 ) ただし, μ。は未知パラメータ, α は 未 知 パ ラ メ ー タ ベ ク ト ル ,Xnは説明変数ベクトルを表わす. 保 有 台 数 が 2台以上の世帯についても同様の定式化が可能となるものと考えられるものの, 選択肢聞の誤差相関について考慮が不可欠となりモデルの構造が複雑化するため本研究では取 26 27 表 3-1よ り 動車を l台保有する世帯が全世符:の 56%を占めている事, 及 び , 世 帯 構 成 人 り扱っていない. 未知パラメータの准定に際しては,式( 3 . 3 )を式 ( 3. 1) ,( 3 . 2 )に 代 入 し , 線 形 の 効 用 関 数 を 仮 定 することによって, 最/亡推定法を適用し 全てのパラメータの同時推定を行う . 数より保有台数の方が少ない世帯が多いことが分かる.よって本研究では, l台で, 1 8才 以上の世帯構成員全員が個人調査票に回答しており,問答内符に不備の保し 2 4 2 世帯を対象として未知パラメータの推定を行うものとした.京都市 3 . 3 データの概要 自動車保有台数 f イ主主を対象として実施さ れた調査では,個人調査票が予備調査で参加意思を示した人数分だけ配布されており,必ずし 本 章 で は , 平 成 9年 度 に 神 戸 市 居 住 者 及 び 大 阪 市 居 住 者 を 中 心 と し た 地 域 を 対 象 と し て 行 わ も1 8才 以 上 の 世 帯 構 成 員 全 員 に 調 査 票 が 配 布 さ れ て い な い 事 , お よ び 1 8オ 以 上 の 全 て の 世 帯 れたアンケート調査, 及び, 同じく平成 9年 度 に 京 都 市 居 住 者 を 対 象 と し て 行 わ れ た ア ン ケ ー 構成員が調査に参加していた場合でも, l 人でも 記入漏れがあると, その 吐十 │; ?のデータが利用 ト調査から得られたデータを用いた実証分析を行う . 前 者 の 調 査 は 兵 庫 県 南 部 地域にお ける交 できない事等からパラメータ推定に用いたサンプル数が少なくなっている.今後の調査設計を , 0 0 0 通 網 の 整 備 効 果 を 把 爆 す る 事 を 目 的 と し た パ ネ ル 調 査 の 第 l回目 にあたる .対 象 地 域 の 5 行う上で考慮すべき点である. 世 帝 を 対 象 と し て 世 帯 調 査 票 l枚 と 個 人 調 査 票 3枚 を 郵送に よ り配布した .得 ら れ た サ ン プ ル 数は 4 7 0出:帯(回収ユ字 9. 4%), 回 収 個 人 票 総 数 は 8 5 9枚 と な っ た . 一 方 , 後 者 の 調 査 は 京 都 市 地 下 鉄 点 西 線 開 通 に 伴 な う 影 響 評 価 を 目 的 と し た パ ネ ル 調 査 の 事 前 調 査 に あ た る .予 備 調 査 で 3. 4 推定結果 3 . 3で述べた 2 4 2世 帯 を サ ン プ ル と し て 用 い て 推 定 を 行 った結果を表 3-2に示す . 調食への参加意思を示した り 7 1 世 帯 を 対 象 と し て 世 帯 調査 票 l枚と 予 備 調 食 時 に 参加 意 思 を 調 査 を 実 施 す る こ と が 望 ま し い と 考 え ら れ る .両 調 査 は 抽 出 率 等 に 違 い が あ る も の の , 本 研 究 保 有 台 数 の ク ロ ス 分 析 を 行 っ た 結 果 を 表 3-1 に示 - i1i1i1i とした. 1 8才以上の 仕上帝構成 員 数 と 自 動 京阪神都市圏の都市部に居住する世帯を分析対象 す. ι 一ク一ド許成 T-3 、 2, 3, " ' , 2, 3, '・ , '1 1 / 2, 3, '・ "[ / 1 2, 3, ・ ' 2, 3, ・ ・ ・ , ん ん+1 ん+1 ん+1 ι 1 4. 5 1 3 . 7 9 0 . 2 0 1 .2 5 2 . 0 7 0 . 6 6 1 .1 1 1 .1 3 1 . 41 0 . 1 9 0. 0 2 1 1 .7 4 1 .6 3 0. 3 0 0. 6 7 0 . 8 8 5 . 7 2 0. 5 3 0 . 3 6 0 . 2 0 0. 6 6 0 . 1 6 0. 40 0 . 6 9 0. 6 3 0 . 6 2 ・ 1 .9 4 鳴 1. 41 F' 恥 探 る. L L O 一γい動茸ノち ω 乃初一 7 入 十4 米 4M 石 山崎-m 一 件白 川訓 一点微動向 T 一 i t J 山市 一 川 LY者 認 一作品差荷山 ?保員 人 一 一 一'劃 ・ :0 . 0 5未満 ミ一二日川ノ ():総合計のパーセント .四 捨 五 入 の た め 合 計 は 一 致 し ない. mm 合計 ( 2 3. 3 ) 6 7 1 ( 2 9 . 5 ) 3 1 0 ( 1 3 . 6 ) 1 3 2 ( 5 . 8 ) 2 2 7 6 ( 10 0 . 0 ) U 6人 以 上 ( 0. 8 ) 3 2 ( 1. 4 ) 2 7 ( 1 .2 ) 2 0 ( 0 . 9 ) 1 0 3 ( 4. 5 ) zy 5人 ( 3 . 8 ) ( 1 4 . 7 ) ( 4. 1 ) 7 7 4 2 2 1 4 0 4 ) ( 1 8 . 5 ) ( 6. 2 ) ( 3. 2 8 1 7 3 8 2 ( l .2 ) ( 7 .6 ) ( 3 . 6 ) 1 0 6 0 4 2 4 ) ( 2 . 6 ) ( 1 .8 ) ( 0. 4 8 9 1 2 8 2 4 0 2 .5 ) ( 5 6 . 3 ) ( 1 7 . 7 ) ( 21 r 4人 ω 表 3-1 1 8才 以 上 の世 帯構 成 人 数 と 自 動 車 保 有 台 数 の 分 布 1 8才 以上 の 世 帯 保有台数 構成人数 0台 i 台 2台 3台以上 合 計 1 人 1 4 4 4 1 5 1 1 91 1 .8 ) ( 0. 2 ) ( ー ) ( 8. 4 ) ( 6. 3 ) ( 1 4 4 2 5 2 4 0 5 4 4 1 2人 1 1 .1 ) ( 1 .8 ) ( 0 . 2 ) ( 1 9. 4 ) ( 6 . 3 ) ( 8 6 3 3 4 9 3 1 8 5 3 1 3人 t直 イ 0. 7 9 0. 1 3 0. 0 0 1 0 1 .1 2 4 . 3 3 0 . 2 2 0 . 5 4 0 . 5 1 3. 46 可 では, 向調査データを統合することにより Coef . 1 i 1ム 1 i 1 i 1 i 査 の 布 無 に よ る も の と 思 わ れ る .今後の調査 設 計 を 行 う 上 で , 調 査 費 用 の 削 減 の 点 か ら も予備 司J 1 4¥jf4 両 調 査 は 個 別 の 目 的 を 持 つ も の の , 調 査 内 容 は 似 通 っており, 回 収 率 の 大 幅 な 違 い は 予 備 調 分 O) ネ J h u町 吸 い 6 3 . 1 % ),回収個人票総数は 3 . 9 4 4枚となった. 表3 -2 推 定結 果 選択肢 , 町 町町駅問、れ一ト附ド M 、↑一数か 一 mLr 一 一円 一ル要時ハい換一一ミダル車問 一ダ ミ 者 パ ミ 茂 一 数 川 数一べ所要用りミミダ学べ間 用ミ上ダ有ルダ用一ル 6z! 変一 レ車所費乗ダダ者通項 一 レ時 差 利ダ以車保項亡、王東 一 プ 4草 釈 位要用速性才古午文一ナ帯通一ン一一古選 明 一 位 動 道 道 道 性 齢 業 勤 数一 下所費高男日中免忠一ス的世並日一 説一 よ自鉄鉄鉄男年就通定 一 サ叫ん中 該 . 0 0 0世 帯 ( 回収求 示 し た 人 数 分 の 個 人 調 査 票 を 郵 送 に よ り 配 布 した. 得 ら れ た サ ン プ ル 数 は 2 当 表 3-2よ り ど 値 が 2 4 6 . 7となっておりモデルの有意性が確認される.個々のパラメータにつ 2 8 2 9 ては,統計的に有志;とならなかったものが見受けられるものの,妥当な符号を持っているも されたものと考えられる.さらに,世帯構成員問の相互作用を考慮したモデルの巾では,多項 ヒ位レベルと下位レベルにおいて異なる効用関数を仮定し ロジットモデル, 2 段 階 ロ ジ ッ ト モ デ ル , ネ ス テ イ ツ ド ・ロ ジ ッ ト モ デ ル , 本 研 究 で 従 案 す る た が , メ イ ン ド ラ イ パ ー で は 男 性 ダ ミ ー が すiの イ1 !Iをとっているのに対して,下位レベルでは正 スケールパラメータの異質性を考慮したネステイツド・ロジットモデル,の1 1 1 買に最終尤度が向 の値をとっており,性別の影響はメインドライパーか告かによって異なる事が示された . 2他 は 上 す る 結 果 と な っ た .本 研 究 の モ デ ル と ネ ス テ イ ツ ド ・ ロ ジ ッ ト モ デ ル と の 差 を 表 す χ のと考えられる.今回の推定では, スケールパラメータについては, μ。が1.03 となっており 1 .00と有意差はなく,通常はメイ 9. 8( 二2x{ ( 1 6 3. 6 )一( 15 8 . 7 ) } )( df=2 ) となり,統計的な有怠差が確認された. ンドライパーといっても他の世帝構成員と対等に自動車利用選択を行っているという結果とな っ た . た だ し , 統 計 的 有 意 性 は 低 く そ の よ う な 傾 向 は 明 ら か で は な い .一 方 , 普 通 乗 用 車 ダ ミ 3 . 5 感度分析 ー が 負 と な っ て お り , 当 該 白 動 車 が 普 通 乗 用 車 で あ る 場 合 に は , ス ケ ー ル パ ラ メ ー タ が 0. 46二 ( 本 研 究 で 構 築 したモデル,通常のネスティッド・モデル, 2 段 階 ロ ジ ッ ト モ デ ル , 多 項 ロ ジ x p (・0 . 8 0 ) ) となる .こ れ よ り , 普 通 乗 用 車 の メ イ ン ド ラ イ バ ー , は 他 の 小 型 乗 用 車 や 軽 自 1 . 0 3xe ッ トモ デ ル を 対 象 と し て 感 度 分 析 を 行 っ た 結 果 を 表 3-4に示す. 2項 ロ ジ ッ ト モ デ ル に つ い て 動車のメインドライパーに比べて利他的効用をそれほど考慮せず,自らの効用に基づいて交通 は,仮 定 よ り世帯内の 他 の 構 成 員 の サ ー ビ ス 水 準 に 全 く 影 響 を 受 け な い た め 機 関 選 択 を 行 っ て い る 傾 向 が 強 い こ と が 示 さ れ た . また,世帯主ダミ ーが負と な っており , 世 ての ケー ス で 0となるた め , 表には示していない.なお,表中の他は( 3.4)式で表わされる弾性 借 主 が メ イ ン ド ラ イ パ ー の 場 合 , ス ケ ー ル パ ラ メ ー タ が 0. 1 7( 二 1 .03xexp( ー 1 .7 9 ))となり?ほとん 値 で あ る. 交互弾性値が全 ど他の世帝構成員の事を考慮していないと解釈される . さらに,世帯主でかつ普通乗用車のメ E~I =1S i /S i =1 .03xexp( 1 .79+ ー0 .80 )) となり, 他 の世 インドライパーの場合,スケールパラメ ー タは 0 . 0 7 7( 情構成員の ~J~ を考慮する度合が低い.今回のパラメータ推定では , 特に下位レベルの未知パラ しJ ( 3. 4 ) a c j /c j メータの推定値が統計的に有意とならず,今回の結果だけから本モデルの妥当性を示すには至 っていない .今 後 , 更 な る デ ー タ 収 集 を 行 い , モ デ ル を 適 用 す る こ と に よ っ て モ デ ル の 妥 当 性 ただ し , C1 は 世 帯 構成 員 iの 交 通 サ ー ビス 水準 , Siは 世帯構成員 iの 自 動 車 選 択 卒 を 表 す . を硲認する必要がある . 表 3-4 感 度 分 析 結 果 本 研 究 で 併 築 し た モ デ ル と の 比 I鮫 の た め に , 本 モ デ ル で 用 い た の 同 様 の 変 数 を用 い て い く つ C; 二 鉄道所要時間 か の モ デ ル を 構 築 し た . 比 較 し た モ デ ル は , 世 帯 聞 に お け る 相 互 作 用 の 異 質 性 を 考 慮 し な いネ ステイツド・ロジットモデル ロジ y トモデル メ イ ン ド ラ イ パ ー が 絶 対 的 な 優 先 権 を 持 つ 事 を 仮 定 し た 2段 階 全 て の 世 帯 情 成 員 が 対 等 に 選 択 を 行 う 事 を 仮 定 し た 多項 ロ ジッ トモ デ ル , お 帝 │ 人jの 各 個 人 が 独 立 に 選 択 を 行 う も の と 仮 定 し , 各 世 帯 構成 員 を意 思 決 定 主 体 と した 2 よび 1そ r .flロジ y メイ ンド ライノて ー 非利 用 非 メ イ ンl 非メイ ン2 ( j= メイ ン ドライパー) 本モデル 2. 920 3 . 5 0 3 3 . 5 0 3 3 . 5 0 3 NL 2 . 6 1 1 3 . 1 2 6 3 . 1 2 6 3 . 126 ML 2 .605 3. 1 2 4 3 . 1 2 4 3 .1 2 4 2段 階 2 . 6 2 4 3. 1 48 3. 1 48 3. 1 48 トモデルである . 各 々 の モ デ ル に よる 最 終 尤 度 を 表 3-3に示す . C. 二 自 動 車 所 要 時 関 心 =メ イン ドライパー) 表 3-3 モ デ ル の 比 較 メ イ ン ドライ ノてー 以也 本研究のモデル ネステイツド ・ロジッ トモ デ ル 2段階ロジッ トモ デ ル 多項ロジットモデル 2項 ロ ジ ッ ト モ デ ル 1 5 8 . 7 1 6 3 . 6 ー1 6 3. 6 ー 1 6 4 . 9 ー1 9 9 . 3 表 3-3において,まず 2項 ロ ジ ッ ト モ デ ル と 他 の 4つ の モ デ ル を 比 較 す る 事 に よ り ,世 帯 に お け る 構 成 員 間 の 相 互 作 用 を 考 慮 し た 万 が 適 合 度 が 高 く な る 事 が 確 認 さ れ る .こ の結果より, 交通需要予測を行う I~ には,同-位イザのいずれかの世帯構成員が自動車を利用する事で他の世 非利 用 非 メ イ ンl 非メイ ン2 本 モデル 2 . 0 5 9 1 . 9 4 0 1 . 9 4 0 1 . 9 4 0 ML 2 .080 1 .960 1 . 9 6 0 1 .960 c . ニ所 要 時 間 差 。 ニ非 メ イ ン 1 ) ML NL 本モデル ー 0. 002 メインドライノ〈 ー 0. 000 0. 001 0. 002 0 . 0 0 6 0. 003 非利 用 0 . 0 5 9 0 . 080 0. 064 非メイン l 0. 002 0 . 0 0 6 0. 003 非メイン 2 帝構成員がその自動車を利用できないという白明の関係をモデルに導入することの有用性が示 30 NL 2 . 080 1 . 9 5 6 1 . 9 5 6 l .956 3 1 2段 階 2. 067 1 .947 1 . 947 1 .947 2段 階 0 . 0 0 0 0. 006 0. 073 ー 0. 006 衣 3-4より,メインドライパーの交通サービス水準が変化した場合には,いずれのモデルで てきたものである. しかしながら,現実の世帯での自動車利用を考えた場合,他の世帝権成員 表には示していないものの, 2 項ロ とスケジュールの調整を行い,出発時刻を変更することによ り向者が白動車を利用するという 需要予測を大きく誤る可能性があることを示している . ま 行動は十分考えられる.このような現象を考慮するためには,アクテイビティ分析の枠組みに た,本研究で提案したモデルが最も弾性値が大きくなっており,交通施策を施行して交通サー よるモデル化が不可欠である.世帯構成員問のスケジュールの調援を含めた交通機関選択行動 ビス水準が変化した際,異質性を考慮しない場合では施策効果を過小評価してしまう可能性が モデルの構築は今後の課題である . このようなモデルが現実のものとなれば あることを示している. 一方,非メインドライパーの交通サービス水準が変化した場合には, 使い回しゃ同乗といった自動車の利用形態を再現することが可能となる. も各ドライパーの弾性値の傾向は似通っている.ただし ジットモデルを適用した場合には ノドモデルと 2段階ロジットモデルから得られるメインドライパ ーの弾性値がネスティッド -ロ ジットモデルや多項ロジ y トモデルから得られるものに比べて低いという結果となった. 3. 6 結語 本章では,世情における自動車利用に関する競合を考慮した交通機関選択モデルを構築した . このモデルの特徴は,従来,個人は独立に交通機関選択を行うとされてきた仮定を緩和し,世 帯内での自動車利用の背反性を明示的に取り入れていること 及び スケールパラメータを構 造化する事により世帯問の自動車利用優先権についての異質性を表しているという点にある . 京阪神地域の都市部で実施されたアンケート調査に基づく 利用データを用いて実証分析を行 った結果 1 8 才以上の世帯構成員全員の時間 本研究で構築したモデルにより世帯における構成 員聞の相互作用を考慮することで大幅なモデル精度の向上が確認された . また,世帯主や普通 乗用車のメインドライパーは他者の効用を考慮する傾向が弱いことが示された . さらに,世帯 問における相花作用の児質性を考慮しないネステイツド ・ロジットモデル,メインドライパー が絶対的な優先権を持つ事を仮定した 2段 階 ロ ジ ッ ト モ デ ル 全ての世帯構成員が対等に選択 を行う事を仮定した多項ロジットモデル,および世帯内の各個人が独立に選択を行うものと仮 定し,各位帯榊 j 北員を意思決定主体とした 2項ロジットモデルの 4つのモデルとの 比較を行っ た結果,わずかではあるが,世帯聞の異質性を考慮する事によるモデルの精度の向上が見られ た.ただし,今回のパラメータ推定では,特にメインドライパ一以外の世帯構成員の自動車配 分行動に関する未知パラメータの推定値が統計的に有意とならず,今回の結果だけから本モデ ルの安当性を示すには至っていない .今後 更なるデータ収集を行い,モデルを適用すること によってモデルの妥当性を格認する必要がある .感度分析の結果からは,メインドライパーの 交通サービス水準が変化した場合には 上記のモデルのうち 2 項ロジットモデル以外のいず れのモデルでも各ドライパーの弾性値の傾向は似通っている .ただし, 2項 ロジットモデルを 適用したぬ-合には,需要予測を大きく誤る可能性があることを示している . また,本研究で提 案したモデルが最も弾性値が大きくなっており,交通施策を施行して交通サービス水準が変化 した際,異質性を考慮しない場合では施策効果を過小評価してしまう可能性があることを示し ている. 今回の分析では各世帯情成員の交通の発生は所与とし,出発時刻も固定されているものと仮 定してモデル化を行った.このような仮定は従来の交通機関選択モデルでも暗黙的に用いられ 32 3 3 世帯内における 第 3章 参 考 文 献 第 4章 B a n i s t e r, D . ( 1 9 7 8 ) The i n f l u e n c e of h a b i t formation on modal c h o i c e -a h e u r i s t i c model, 4 .1 概 説 世帯内での配分を考慮した自動車の車種選択と利用の分析 交通需要予測に不可欠な要因である位帯における自動車保有に関する将来予測を行う場合, T r a n s p o r t a t i o n,Vo. l7,p p .1 9・23 .( 1997)Covarianceheterogeneityi nn e s t e dl o g i tmodels:econometrics t r u c t u r eanda p p l i c a t i o n Bhat,C r a n s p o r tピl t i o nResearchB,Vo. 131,No.l,p p .1 1 2 1 t oi n t e r c i t yt r a v e l,T .R .( 1 9 8 5 )D i s c r e t eChoiceAnαf y s i s : Theoηノ αndA p p l i c a t i o nt oT r a v e f Ben-Akiva,M.andLerman,S あ る 時 点 で の 保 布 状 態 の モ デ ル 化 で は な く , 時 間 制 上 に お け る 世 帯 の 自 動 宅 保 有 行動をモデル 化 す る 事 に よ り , 整 合 的 な 予測が可能となると考えられる(Kitamura,1992). 近年, U. } :r mI~U ヒ における世帯の自動車取替更新行動を分析するために 生存時間解析手法を川いたモデル化が 行われている (deJong,1996;Hensher,1998).その│祭,位帯の保有する車種や,各自動rfIの 主な Demαnd ,TheMITP r e s s,M a s s a c h u s e t t s . ,A.(1987)Estimating‘ t r e e 'l o g i tmodels,T r a n s p o r t a t i o nRese a r chB,Vo. l2 1B,p p .251-267. Daly 運転者の属性,年間走行距離等で表わされる利用状況は,自動車取替更新行動モデルの主要な .S . and Wen,C.-H. (1998) Altemative nested l o g i tmodels: s t r u c t u r e,p r o p e r t i e s and Koppelman,F 説明変数として導入されており,将来の自動車保有行動を予測するためには r a n s p o r t a t i o nResearchB,Vol .32B, p p .289・2 9 8 . e s t i m a t i o n,T 1 9 7 8 )Modeli n gt h ec h o i c eofr e s i d e n t i a ll o c a t i o n,T r a n s p o r t a t i 仰 R esearchRecord ,No . McFadden,D.( 世帯のポ積選択 行動や,世帯内での自動車の配分,各自動車の利用状況の精綴なモデル化が必要といえる. また, J 丘年,環境問題が大きな社会的関心事となっており 環境に対する負何を考えた場合 においても,車種により環境への負荷が異なることから,世帯の車種選択行動や各保有白動車 672,p p .72・7 7 . .,A a r t s,H., vanKn ippenberg,A.andMoonen,A.( 1998)Habitv e r s u splannedbehaviout : Verplanken,B af i e l dexperiment,B r i t i s hJournαfofS o c i a fP! : J ychofogy, Vol .37,p p .1 1ト 1 2 8 . 北 村 降 一 , 森 川 高 行 , 佐 々 木 邦 明 , 藤 井 聡 , 山 本 俊 行 (2000) 交 通 行 動 の 分 析 と モ デ リ ン グ 毎の利用状況を分析する必要がある . 本章では,時間軸上における世帯の自動車取替更新行動モデルシステムのサブモデルとして 用いる事を前提として,世帯における車種選択行動,世帯内での自動車の配分,および,各門 動車の年間走行距離を予測するためのモデルシステムを構築する事を目的とする. ( mimeograph) 小林潔司, l'与多秀行,多々納裕一(1996)送 迎 ・相乗 り行動のためのランダム ・ マ ッチングモデ IV3 1,p p .4 9 5 8 . ルに│均する研究,土木学会論文集, No.536/ 森川 r E 3行,旧「ド小百合,荻野成康(1 997) 社 会 的 相 互 作 用 を 取 り 入 れ た 個 人 選 択 モ デ ル - 自 動 . r i I 平I J J f j白j蔚行動への適用一,土木学会論文集, No.569/ IV36,p p .5 3 6 3 . 世帯における自動車保有に関しては,我が国でもこれまで数多くの分析が行われてきた.時 間軸を考慮した動的な分析として,青島他 (1991) 石 田 他 (1994) は複数台保有世帯に対して 自動車の買い替えのつながりを考えた「保有系列」という概念を用いて主な利用者や車種,利用 目 的 等 の 分 析 を 行 っ て い る . ま た , 石 田 他 (1994) は同様の概念を用いて年間走行距離につい 山本俊行,藤井総,吉田洋,北村隆 一 (1 996) 世 帯 構 成 員 聞 の 関 係 に 基 づ い た 自 動 車 利 用 可 能 ても分析を行っている .こ れ ら の 分 析 結 果 か ら , 保 有 系 列 に よ っ て 車 種 や 主 な 運 転 者 , 年 間 走 f 曜と与を考慮した 機関選択モデルの構築,土木計画学研究・論文集, No.13,p p .535-542. 行距離が異なることが確認されている . しかしながら,これらの研究は定量的な予測モデルを 提供するものではない. 本研究では,車種選択行動と世帯内での自動車の配分は密接な関係があること,さらに,各 保有自動車の利用状況を表わす年間走行距離も 車種やメインドライパーによって大きく異な る と の 認 識 の 下 , 世 帯 内 で の 配 分 を 考 慮 し た 購 入車種選択行動モデルと,車径とメインドライ バーの影響を考慮した年間走行距離モデルを構築する. 4 . 2 データの概要 本 研 究 で は , 平 成 9年 に 京 都 市 民 を 対 象 と し て 行 わ れ た ア ン ケ ー ト 調 査 「 京 都 市 民 の 交 通 行 動についての調査」の一部,及び,車種毎の自動車の属性についての集計データを用いた実証 的な分析を行った.この調査はパネル調査の第 l回調査にあたり 第 2回調査は平成 1 0年 に 行 われている.予備調査で調査への参加を表明した 3. 17 1 世帯に対し,世帯調査票 l枚 と , 個 人 調 査 票 を 予 備 調 査 で 被 験 者 の 回 答 し た 参 加 人 数 分 郵 送 配 布 し た . 第 l回調査で得られたサンプ 34 35 ル欽は 1 , 954世帝(回収率 61 .6%),同収個人 票 総数は 3, 943枚 と な った . 分 析 に は ア ン ケ ー ト 調 査 か ら得ら れたデータのうち, l 仕帯属性-個人属性・世帯保有自動車に関するデータ,及び自 距 離 計 を 調 査 し , そ の 差 を 年 間 定 行 距 離 と す る と い ったパネル分析を行うことが必要であると 思われる. 動 車 の属 性 デ ー タ を 用 い た . 同 収 世 情 の 自 動 車 保 有 台 数 分 布 を 表 4-1に示す.平均保有台数は 数∞ ムロ5 ド研究では,得られたサンプ jレ数の制 約1.1台 で , 複 数 台 保 布 世 帯 は 約 20%存在する.なお, ノ 限か ら, 1台保イ了世骨?と 2台保有世帯を対象として. 世帯の自動車保有台数別にモデソレを構築 4 0 0 した. 3 0 0 表 4-1 自 動 車 保 有 台 数 の 分 布 o 1 2 3+ 不 明 合 計 台数 世帯数 375 1 0 9 5 356 97 3 1 1954 19.2%56.0%18.2% 4 . 90 / 0 1 .6% 2 0 0 1 0 0 。 3 9 サ ン プ ル 世 帯 の 保 有 す る 自 動 車 の 車 種 分 布 を 表 4-2に示す.新車として購入されている自動 車 が 75%ね 度 と な っ た 他 , 車 種 と し て は 小 型 乗 用 車 , 普 通 乗 用 車 , 軽 乗 用 車 の 順 で 保 有 割 合 が 1 5 2 1 2 7 3 3 年間走行距離 3 9 4 5 (1 000km) 図 4-1 年 間 走 行 距 離 の 分 布 白川 口長が示された. 9 I , f 重 軽自動車 新車 241 11 .9% 84 4.1% 325 1 6 . 0% 中内市. 表 4-2 保 有 車 種 の 分 布 ラ イ ト ハ ゃ ン ・ ワ 小型乗用 普通乗用 コ ン 車 車 824 1 1 0 329 40.6% 1 6.2% 5.4% 294 8 5 29 1 4.5% 4.2% 1 . 4% 1 1 1 8 414 1 3 9 55.1% 6 . 8% 20. 4% 4 . 3 モデルの概要 その他 計 28 1 . 4% 6 0 . 3% 34 1.7% 1 5 3 2 75.5% 498 24.5% 2030 既に述べたように,世帯の購入車種選択行動は 世帯内での自動車の配分と密接な関係があ る.本研究では,車種選択を上位レベル,世帯内での配分を下位レベルとおいた多次元選択行 動を想定し,車種・メインドライパー選択行動をネステイツド・ロジットモデルとして定式化し た . ま た , 車 種 , メ イ ン ド ラ イ パ ー, 世 帯 属 性 を 説 明 変 数 と し , 年 間 走 行 距 離 の 対 数 を 被 説 明 変数とした年間走行距離モデルを構築する事によって 自動車の利用に車極やメインドライパ ーが及ぼす影響を考慮し,年間走行距離モデルの予測精度の向上を図った. 車種選択モデルと年間走行距離モデルの聞の相互作用をモデル化した研究として, T r a i n これまでのよt I純 選 択 モ デ ル は , 排 気 量 に よ る カ テ ゴ リ ー を 選 択 肢 と す る 少 数 の 選 択 肢 か ら な るモデル ( LaveandT r a i n,1979;BeggsandC a r d e l l,1 9 8 0 ; 建設省土木研究所, 1 9 8 8 ;青島他, 1 9 9 1; 山田他, t 994) か ら , 排 気 量 の カ テ ゴ リ ー と 自 動 車 の 製 造 年 式 及 び ブ ラ ン ド , 自 動 車 の 形 状 の eJong( 19 9 7 ) は 離 散 連 続 選 択 モ デ ル の 枠 組 み を 適 用 し た モ デ ル 化 を 行 っている.これ ( 1 9 8 6 ),d ら の モ デ ル で は , 世 帯 が 車 種 選 択 行 動 と 年 間 走 行 距 離 の 選 択 に お い て 統一 的 な 効 用 関 数 に 基 づ き効用最大化を行うことを仮定している.そのため 両モデルのいくつかのパラメータを共通 Manski and Sherman,1 9 8 0) まで 組み合わせを選択肢とする大規模な選択肢からなるモデル ( とし,理論的整合性を保っている.離散連続選択モデルで鍵となるのは収入と車両価格(固定 続々なものがある .本 研 究 で は , 選 択 肢 の 違 い に よ っ て 世 帯 内 に お け る 配 分 や 走 行 距 離 が 異 な 費用を表す),車両の燃費(変動費用を表す)である.本研究では離散連続選択モデルで用いら る可能性を与-慮可能である事,及び環境に対する影響の遠いが考慮可能である事,一方でモデ れるようなパラメータの制限は加えないものの jレの准定可能性の観点から出来るだけ少数の選択肢である事等を考慮して,表 を除く 4つの車槌と 購入時に新車か 4-2の「その他」 中 古 車 か の 組 み 合 わ せ か ら な る 8つの選択肢からなる 半種選択モデルを惰築する事とした. それぞれの変数をモデルに導入し,その影響 を確認するものとする . 両モデルを用いた自動車利用状況の予測を行う場合には ルの出力を年間走行距離モデルの入力として用いる事となる 車 種 ・メインドライパ 一選択モデ すなわち,はじめに各世帯構成 次 に 年 間 定 行 距 離 の 分 布 を 図 4一 lに 示 す . 大 部 分 の 自 動 車 の 年 間 走 行 距 離 が 15000km以下 員 の 属 性 , 世 帯 の 属 性 ( 及 び, 複 数 保 有 世 帯 の 場合 に は 車 種 選 択 時 に 継 続 し て 保 有 さ れ る 事 に で,さらに 3000km-6000kmの範聞と 9000km. _15000kmの 範 囲 の 頻 度 が 非 常 に 高 く な っ て い なる既存の自動車(以下では既存車と呼ぶ)の属性)を入力として,新規に購入する自動車 ( 以 る.これは,被験者が世間呆有自動車の年間 k行 距 離 を 正 確 に 把 握 し て い な か っ た た め ,5000km 下では購入車と呼ぶ)の車種,及び や 1000km とい った , 非 常 に き り の い い 値 の 回 答 が 多 か っ た 事 に よ る も の と 思 わ れ る より正 篠 な デ ー タ を 作 る た め に は , 現 在 の 走 行 距 離 計 の 読 み を 調 査 で 記 録 し , さ ら に l年後もう 一度 36 購 入 車 と 既 存 車 ( 複 数 保 有 世 帯 の み ) それぞれのメイン ドライパ ーを 車 種 ・ メ イ ン ド ラ イ バ ー 選 択 モ デ ル に て 出 力 す る .次に,各自動車の車径,メイ ンドライパーの属性 及び世帯属性を入力として 3 7 各自動車の年間走行距離を年間走行距離モ なってきているものの,依然として選択肢数が多い場合に収束解を得ることは困難である デルにて算出する. ( GreeneandEconometricSoftware,I n c .,1 998) . 実 際 , 庭 井 他 (1 9 9 3, 1 9 9 8) の研究でも選択肢 数は 3つ に 限 定 さ れ て い る . こ の よ う な 問 題 に 対 し , ロ ジ ッ ト モ デ jレを基本とし,選択肢間の 4.3.1 車 種 ・ メ イ ン ド ラ イ パ 一 選 択 モ デ ル l合保有佐帯(ここでの保有台数は車種選択を行い自動車を購入した後の保有台数を示す.) については, 針重選択レベルでは, 4 . 2で述べた 8つの選択肢からなるモデルを構築した.ま E 8才 以 上 の 世 帯 た,メインドライパ一選択レベルでは ,メインドライパーとなる可能性のある 1 構成員の各々を選択肢としたモデルを構築した. 誤 差 相 関 を 表 す 誤 差 項 を 新 た に 導 入 し た Mixed Logit Model によ ってプロピットモデルの近似 を行うことが可能であることが McFaddenandTrain(2000)によ って示されている. MixedLogitModelにおいては,パラメータの推定に際し,プロピットモデルと同校に誤差項 の数値積分,あるいはシミュレーションによる効用値の計算を必要とする.清水・ 尾 井 (t 999) 方 , 2台 保 右 世 帯 に つ い て の モ デ ル 化 に 際 し て は , 世 帯 は 同 時 に 2台の自動車を買い替え は鉄道経路の選択モデルに Mixed Logi tMode l を適用し,プロピ ッ トモデルを適用した場合と る と い っ た 行 動 を と る 事 は ま れ で あ り , 多 く の 場 合 , 以 前 に は 1台保有であった世帯が,その の比較を行っている . そ の 結 果 , 計 算 時 間 や パ ラ メ ー タ の 安 定 性 の 点 で プ ロ ピ ットモデルの方 自動車はそのまま保有して,新たに自動車を追加購入したり,既に 2台 保 有 し て い る 世 帯 が l が優れていることを示した. 台をそのまま保有して,もう l台を買い替えるといった行動をとること,および, 4. 1で述べ しかしながら, Tr ai n( 2000) は MixedLogi tModelのパラメータ推定の際にシミ ュレーション た よ う に , あ る 時 点 に お け る 自 動 車 保 有 状 態 を モ デ jレ化するのでなく,時間軸上で、の世帯の行 ton法を用いることにより,これまでのシミュレーションに比べて大幅な計算 H 、 ? 手法として Hal 動 を モ デ jレ化する必要があることから,車種選択レベルにおいては,既存車の保有を与件とし, 問の短縮が可能であることを示している.本研究で対象としている車種選択モデルの選択肢は 8選 択 肢 ) を 選 択 肢 と す る モ デ ル を 構 築 し た . ま た , メ イ ン ド ラ イ パ ー 選 択 レ 購入車の車荷 ( 8で あ り , プ ロ ビ ッ ト モ デ ル で は 収 束 解 が 得 ら れ な い 可 能 性 が 高 く , 一 方 で MixedL o g i tModel ベルでは,購入車と既存車の, 2 台 の 自 動 車 の メ イ ン ド ラ イ パ ー の 全 て の 組 み 合 わ せ を 選 択 肢 を適用した場合には計算時間の短縮が見こまれるため,後者のモデルを適用した分析を行つ. とした.よってメインドライパーとなる可能性のある 1 8才 以 上 の 世 帯 構 成 員 が n人の場合,同 Mi xedLogi tModel を用いた場合の車種選択レベルの効用関数は以下の式で表される. の世帯構成員が両方の自動車のメインドライパーとなる選択肢も含めがの選択肢を持つこ ととなる.なお 82+ 83+ 85+ Ui=si X i+ηl δ1+ η2 η3 η4 δ4+ η5 η6 δ6+ε 両レベルにおいて,既存車の属性を説明変数として用いることとなるが,こ I ( 4 . l ) の 説明変数は モデルの内生変数で あ る た め , 既 存 車 の 選 択 時 で の 選 択 の 誤 差 項 と の 系 列 相 関 が イ パL :する坊令には推定にバイアスが生じる. しかしながら,今回の推定では系列相関は存在し ただし ,Uiは選択肢 iの効用 ,s iは未知パラメータベクトル ,Xiは説明変数ベクトルを表す . ηlから η6は各々平均 0,分散 σlから σ6の正規分布, δlは 選 択 肢 が 新 車 の 場 合 に し そ ないと仮定しバイアスの補正は行っていない . ま た , そ の 他 の 説 明 変 数 値 に つ い て は 自 動 車 購 また, L f点 と 調 査 H 手点で変化しないものと仮定し,調査時点での説明変数値を用いた. 入I れ以外の場合に Oをとるダミー変数, 8 6は各々,選択肢が中古車の場合,軽自動車の場 2から δ 財宝選択レベルにおいては,新車/中古車のそれぞれに共通の非観測異質性が存在する場合 合 ,小 型 乗 用 車 の 場 合 ,普通乗用車の場合,ライトパン・ワゴンの場合に 1 ,それ以外の場合に と粍白:助軍/小型乗用車/普通乗用車/ライトパン・ワゴンのそれぞれのカテゴリ ー に共通の 0をとるダミー変数を表す .εtは 通 常 の , 選 択 肢 間 で 独 立 で 同 一 の ガ ン ベ ル 分 布 に 従 う 誤 差 項 非観測異質性が存在する場合,さらには,そのいずれにも非観測異質性が存在する場合も考え を表す . E られる.前者 2つ の 場 合 に は , 新 車 / 中 古 車 の 区 別 と カ テ ゴ リ ー の 区 別 を 各 々 の レ ベ ル と す る パラメ ー タの推定に際しては,以下の尤度関数を最大化することになる. ネステイツド・ロジットモデルを適用することでモデル化が可能である . しかしながら両方に 非観測異質性が存在する場合にはネステイツドロジットモデルの適用は不適切となる . このような選択肢聞の複雑な相関関係をモデル化する│僚には,プロピットモデルのような誤 差 項 の 共 分 散 構造に制限のないモデルの適用が必要である .実 際 , 大 都 市 圏 に お け る 鉄 道 経 路 の 選 択 の よ う に , 選 択 肢 聞 に 経 路 の 重 複 が 存 在 す る よ う な 場 合 に プ ロ ピ ッ ト モ デ jレを適用した 経路選択行動のモデル化が行われてきた(屋井他, 1 993, 1 9 9 8 ) . しかしながら,プロピットモ f . . .f ~ Pi ( l 7 11 . ,. . , T h)土ゅ(~I ). .. ~ø( 引いηl η l:-h=-l σ1 l σ1)σ6 l σ6) J L= .. .dη6 u+ 1 7m8 p ( i l η1"', 1 76)=8ex p(μi+川 刊 8 m+ηs わ が ,+川) 8n+ηuδu叫ん +ηs ( sjXj+ηn 8 8, +ηふ ) s+η, ( 4 . 2 ) エ 叫 デルのパラメータ推定に際しては効用値の計算に数値積分が必要とされるため,計算コストが ただし,ゆ(・ )は標準正規確率密度関数を表す. 高くなるという問題がある . 数値続分を回避する方法として,シミュレーションによる効用値の計算が用いられるように シミュレ ー ションを用いた推定時には,式( 4 . 2 )の数値積分を回避するため,標準正規硲率分 38 39 は段階推定法によって推定されている. 布から後数の点をサンプリングし,サンプリングした点を用いて P ( i lη1"'"η6) の値を算出し, l台 保 有 世 帯 に 対 す る モ デ ル の 推 定 結 果 を 友 4-3.4に示す.友 4-3より その点がサンプリングされる保卒を重みとした,重みイ寸き平日を関数値とするという方法がとら メインドライパー t値 が 118(df=9) で あ り , モ デ ル の 有 意 性 が 確 認 さ れ た . 個 々 の パ れる.サンプリング法として最も単純な方法はランダムサンプリングであるが,ランダムサン 選択レベルにおいては , プリングを用いた場合には ラメータに着目すると,男性がメインドライパーになる傾向jが白川、事 サンプリング数を増やすことによる関数値の収束性が低いという がメインドライパーになる傾向が低い事が示されている.また 問題がある.そのため,多くのサンプリングが必要となり,計算負荷が高い. 帯構成員がメインドライパーになる傾向が高い事が示されており Halton法 は 分 布 の 範 凶 を う ま く 網 羅 す る よ う に サ ン プ ル が 取 ら れ る た め , サ ン プ ル し た 点 を 免許保有年数が短い方 卓種によって異なる属性の世 怪向動車の場合には無職の l 川いて計・ t rさ れ た 選 択 確 半 の 分 散 が ラ ン ダ ム サ ン プ リ ン グ の 場 合 に 比 べ て 小 さ い と い う 特 徴 を 世帯構成員がメインドライパーとなる傾向が高い事,普通来別曜の場合には, 5 0 } -以ヒの世帯 持つ.さらに,サンプリングが直前のサンプリングでは取られなかった範囲から取られるため, 構成員がメインドライパーになる傾向が高い事が示された. 連続するケースの選択確率が負の相関を持ち,全体としての尤度関数の分散を低くするという 表 4-3 メインドライパ一選択レベル推定結果 ( 1台保有) 0分の 特徴を持つ.これらの特徴により, Halton法 を 用 い た 場 合 に は ラ ン ダ ム サ ン プ リ ン グ の 1 変数 l程度のサンプリング数で同程度の推定精度を持っている. 推定値 1 .07 0 . 0 3 ー 0. 7 9 ー 1 .90 ー 0 . 6 4 1 . 40 1 . 8 1 1 .6 2 2 . 0 8 男性ダミー 免許保有年数 免 許 保 有 年 数 3年以内 免 許 保 有 年 数 20年 以 上 世帯主×大家族 軽自動車×無職 小 型乗用車×主婦 普 通 乗 用 車 X50才 以 上 × 男 性 普 通 乗 用 車 X50才 以 上 × 女 性 サ ン プ ル 数 880, L ( O )二 ・ 217,L (s )= 1 5 8, χ2二 118( d f= 9 ) 4.3.2 年 間 走 行 距 離 モ デ ル l台 保 有 世 帯 に つ い て は , 年 間 走 行 距 離 の 対 数 を 被 説 明 変 数 と し , 自 動 車 属 性 , メ イ ン ド ラ イパ-属性,世情属性を説明変数とする,通常の重回帰モデルを適用しモデルを構築した . 方 , 2 台保有世帯については,各自動車の走行距離が相互に影響を与える可能性があること, 及び各々の自動車による走行距離に対して共通の非観測要因が影響を与える可能性があること を考慮するために,構造方程式モデル ( SEM:Stn 川 u r a lEquationModels) ( ] りr e s k o g .andSorbom, 1 9 9 3) の 枠 組 み を 附 い て 以 下 の よ う に 定 式化 し た . 式 ( 4. 3 )は , 世 帯 属 性 が そ れ ぞ れ の 自 動 車 に t イ 直 5 . 2 9 2. 47 1 .9 3 1 .8 3 唱 1 .5 3 1 .7 9 1 .34 1 .52 1 . 44 らえる影科は共通であり,自動車属性やメインドライパーの属性が当該自動車の走行距離に与 次に,車種選択レベルでは,多項ロジットモデル,新車/中古車の区別を上位レベルにおい える影響は,購入した順序に依存しない事を仮定している . 区別を 上 位 レベルにおいたネスティッドロジットモデル, MixedLogitModelの各モデルを推定 d B 、, , 、 ﹃ 〆 ' E 、 ﹁A、、 Bl q4 1Illa1111J Cし Cし ﹁111111し 1EaaEEJ + rEEaEEL z nn nn ++ A 寸Ill1﹂ 1 ﹁ r,r, A mm ++ qL ﹁tlill--L ﹁ 'l + 111J 11111 xx 円 r i l ' L ﹁ 川 i ﹁, lili--﹂ 寸 ハU n ハU + ﹁h L r11111111 VA ハ U 1114111tl﹂ 寸 九 η円Y ﹄ ri--IL ﹂ --111111 ﹁ 、 lil111 'l uy JVJ ハU η ρ ' 寸 一 一 I lilt-tl J , ﹁11111 1し r, たネステイツドロジットモデル,軽自動車/小型乗用車/普通乗用車/ライトパン・ワゴンの した. 推定結果を 表 4-4に示す .表 4-4より最終尤度は軽自動車/小型乗用車/普通乗用車/ラ ただし ,yは自動車 iの 年 間 定 行 距 離 の 対 数 ( i:購 入 ) 1 1 貢序), , . ンドライパーの属性ベクトル x tは自動車 iの 自動車属性とメイ Z は世帯属性ベクトル, ε Jは誤差項を表わす.また ,s ,r は イトパン・ワゴンを上位レベルとしたネスティッドロジットモデルが最も高いものの,小型乗 用車とライトパン ・ワゴンのログサム変数の値が負となっており,特に小型乗用車のログサム e l e c t i v i t y 矢口パラメータを表わす.なお,保有台数別にモデルを構築することに よって,推定時に S 変数は統計的にも有意であるため 効用理論との整合性を持たない.それ以外のモデルに関し b i a sの 影 響 を 受 け る こ と が 危 慎 さ れ る も の の , 今 回 の 推 定 で は こ れ に 対 す る 修 正 は 行 っ て い な ては,最終尤度がほぼ同じであり,モデル聞の優劣は見られない.また,選択肢聞の相関を表 し 、 すパラメータも統計的に有意とはなっていない.以上より 今回のサンプルを用いた車産選択 行動においては選択肢問の相関の存在は確認されなかった.よって以降では,多項ロジットモ デルの結果について詳細に述べる. 4 . 4 推定結果 はじめに,メインドライパー選択レベルのログサム変数の推定値が 0 . 2 6となり,統計的にも 4 . 4 . 1 車種・メインドライバ-選択モデル 車 種 ・ メ イ ン ド ラ イ パ 一 選 択 モ デ jレの准定には, 備の慨いサンプル, 3.で 述 べ た サ ン プ ル の う ち , デ ー タ に 不 1台保有世帯 8 80世帯, 2台 保 有 世 帯 267世帯のデータを用いた . モデル 40 有意であることから ,メイン ドライパーの選択による効用が車種選択に影響を与えていること が確認された. 4 1 新宅ダミーの f他 が 非 常 に 高 く , 中 古 車 よ り も 新 車 が 選 択 さ れ る 傾 向 が 顕 著 で あ る 事 が 示 さ 導入し ,購 入 車 の 車 種 選 択 行 動 を モ デ ル 化 す る .本研究では, 4. 2 で述べた調査で得られた 2 れている . 41種に共通な変欽としては, 5 人 以 上 の 大 家 族 で は 乗 車 定 員 の 多 い 車 種 が 選 択 さ れ 台保有世帯のデータについて,保有期間の長い方の自動車を既存車とし,保有期間の短い方を t μ 、 負 年 収 500万円未 j 前の低収入世帯では車両価格の低い車種が選択される傾向が る傾向が l 購 入 車 と 仮 定 し て モ デ ル を 推 定 し た .こ こで, 2台保有世帯のうち,以前は 3台保有しており 高いずL が示された.世情年収 500万円から 1 500万円未満の中収入世帯では車両価格が高し、車種 l 台を破棄 した世帯 に つ い て は , 上 述 の 仮 定 が 成 り 立 た な い 場 合 も 布 り 作 る が , 過 去 の i 収併史 が遅択される傾向が高い結果となったが,これについては価格の顕示的効果 ( Veb1en,1889)の 新行動に関するデータが得られていないため,今回はそれに十ドう推定ぷ乏については考慮して 影 響 も 考 え ら れ る も の の , 更 な る 分 析 が必要と考えられる. いない. p 表 4-5 より,メインドライパー選択レベルにおいては,購入車,既存車に関わ らず, 60才 1台保有 ) 表 4-4 車 種 選 択 レ ベ ル 推 定 結 果 ( NL2 NL1 加1 L 変数 大家族×自動車の定員 軽 自 動 車 x1 8才以上の子供有 5才以下の子供有 小型釆用車x 小型乗用車×世帯主 30J"未満 小型乗用車×高収入世情 並通乗用車×世帯主 50才 以 上 両価格×低収入世帯 車両価絡×中収入世帯 新車ダミー ログサム変数 選択肢問の相関パラメータ$ 推定値 1 . 2 7 ー0 . 7 6 1 .6 1 0 . 5 1 0 . 8 9 ー0 . 40 0 . 0 3 0 . 0 2 l .26 0 . 2 6 値 t 推定値 7. 37 1 .20 3 . 8 ー0 . 7 7 1 .6 1 9 . 5 1 0. 47 1 .38 0 . 9 6 2. 7 2 . 5 0 . 3 8 2. 6 ー0 . 0 3 0. 02 3 . 3 5 0 . 8 2 1 2. 4 2 . 5 7 0 . 3 1 t f 直 0 . 7 0 0. 38 新E ' l ぺ 「 ,l , -~I 巨 粍 I 降I I ~動 即助)p卓 I 小生~来川車 l ( (. i L f u辰川 t巨 } I ノ え ン・ ワゴン L ( b ) χー 1517 624 1 5 1 8 622 ー MixedL o g i t 推定値 t 値 値 推定値 t 1 .77 5. 45 . 3 8 1 .27 7 0 . 1 50. 44 0 . 7 63. 7 7 2 . 7 0 6 . 3 9 1 .6 1 9 . 5 2 2 . 2 5 2 . 3 6 0. 5 1 l .38 . 6 9 2 . 7 1 2. 0 . 8 9 2 7 0 0 . 0 2 0 ー0 . 412 . 5 0 . 0 5 ー0 . 0 32 . 5 2 ー0 . 0 31 .8 5 . 9 5 0 . 0 2 3. 3 5 0 . 0 5 4 3 2 . 1 8 1 .0 1 1 .5 1 2 . 9 0 0 . 2 6 2 . 5 7 0 . 5 6 4. 49 3 . 1 1 6 . 8 5 3 . 8 2 9 . 6 4 1 . 3 0 2 . 8 7 2 . 3 3 2. 42 3 . 1 1 1 .1 4 l .50 0 . 6 7 0 . 0 1 0. 89 0 . 6 13 . 7 7 0 . 0 3 1 .06 0 . 0 20 . 2 2 1 4 5 2 754 0. 1 7 0 . 1 1 8 3 0 . 9 7 0. 0. 01 0 . 0 3 0 . 0 0 0 . 0 1 . 1 2 0. 0 5 0 0 . 0 0 0. 0 1 -1518 622 サ ン プ ル 数 880,L ( O )=喝 1829 ただし, M L は多項ロジットモデル ,NL1 は新車 / 中 古 車 の 区 別を上位レベルとするネステ イツ ドロジットモデル, NL2 は軽 自 動 車 /小 型 乗 用 車/普通乗用車/ラ イトパン・ワゴンの区別を 上 位レベルとするネスティッ ドロ ジッ トモデルを 表す . 事選択肢間の相関パラメータはネスティッ ドの場合 ,ロ グサム変数を表し, MixedLogitMode1 の場 4 .1 )のりの標準偏差を表す. 合は式 ( 以上の世帯構成 員 がメインドライパーになる 傾向が低い事,普通乗用車の場合には世情主がメ インドライパーとなる傾向が高い事が示さ れた. さらに ,既存 車 か , 購 入 車 か , ということが メ イ ン ド ラ イ パ ← 選 択 に 影 響 を 与 え る こ と が示されている .特 に , 既 存 車 が小 型乗用車の場合 には,既存車の配分に関して息子や娘の効用が高く推定されており,統計的に有意であること から,既存車が小型乗用車の世帯が新し く自動車を購入した場合,購入車を世情主が利用し, 既 存 車 を 息 子 や 娘 に 譲 る と い う よ う な , 世 帯 内 に お け る 自 動 車の再配分が行われていることを 示 し て い る も の と 考 え ら れ る . な お , 同 一 運 転 者 ダ ミ ー が 有 意 に 負 で あ る 事 か ら は 世 帯 が 2ム の 自 動 車 を 保 有 す る 場 合 に は 同 一 の 世 帯 構 成 員 が 2台とものメインドライパーとなる傾向が非 常に低い事を示している . 表 4-5 メインドライパ一選択レベル推定結果 ( 2台保有) 変数 イ 直 推定値 t 2 . 1 6 5. 7 5 購入車×世帯主×普通乗用車 2 . 3 4 2 . 2 3 ×主婦×子供 が 2 人以上 1 .39 4 . 8 7 X60歳 以 上 0 . 5 3 1. 43 既 存 車 X60歳 以 上 0 . 0 4 3. 9 5 ×年 齢 1 .63 3. 5 8 ×世帯主×普通乗用車 0. 7 2 2 . 1 2 ×息子,娘×小型乗用車 ×娘 l .1 6 3. 9 2 同一 運 転 者 ダミー l .90 7 . 8 0 サ ン プ ル 数 267,L ( O )ニ 522,L(戸 ) ニ400, χ2 二 2 45(df=9 ) 1 8才 以 上 の 子 供 の い る 世 帯 で は 軽 自 動 車 が 選 択 さ れ る 傾 向 が 低 次 に , 車 種 選 択 レ ベ ル で は l台保 有 世 帯 の モ デ ル と 同 様 に , 多 項 ロ ジ ッ ト モ デ jレ,新車/中 く , 5才 以 ド の 子 供 の い る 世 帯 で は 小 型 乗 用 車 が 選 択 さ れ る 傾 向 が 高 い な ど , 世 帯 に お け る 子 古車の区別を上位レベルにおいたネステイツドロジットモデル,軽自動車/小型乗用車/普通 供 の 存 在 が そ の 世 帯 の 車 種 選 択 に 影 響 を 及 ぼ し て い る 事 が 確 認 さ れ た .世 帯 主 の 年 齢 が 30才 未 乗用車/ライトパン・ワゴンの区別を上位レベルにおいたネステイツドロジットモデル, Mixed 満の場f合には 小 型乗用車を選択する傾向が高く L o g i tMode1の 各 モ デ jレを推定した. 車位別の説明変数としては 50才 以 上 の 場 合 に は 普 通 乗 用 車 を 選 択 す る 傾 向が低いなと二世情主の年齢が車種選択行動に与える影響も確認された . 次に, 2台保有世存j;に対するモデルの推定結果を表 4-5, 6に示す .なお, 4 . 3で述べたよう に , 推 定 結 果 を 表 4-6に示す. 表 4-6よ り最終尤度は l台保有 世 帯 のモデル と同織に軽自動車 /小型乗用 車 / 普 通 乗 用 車 /ライトパン・ワゴンを 上位 レベルとしたネ スティ ッド ロジ ットモ 2 台保千j・世帯に対しては,既存車と購入車を区別し,既存車の属性を説明変数としてモデルに デルが最も高く,他の 3つ の モ デ ル 間 で は 有 意 な 差 は 見 ら れ な い . 軽 自 動 車 / 小 型 乗 用 車 / 普 42 43 j 邑来 J n巨 / ラ イ ト パ ン ・ ワ ゴ ン を 上 位 レ ベ ル と し た ネ ス テ イ ツ ド ロ ジ ッ ト モ デ ル で は , ロ グ サ l ム変数の偵は効 mJffi~命との整合性をもつものであるが,いずれのログサム変数も統計的に有意 と な っ て お ら ず , 選 択 肢 問 の 相 関 の 存 在 を 示 す も の で は な い . よ って 2台 保 有 世 帯 の モ デ ル に ついても以降では,多項ロジットモデルの結果について詳細に述べる . 大家族×自動車の定 中古事×世都主 30歳 未 満 5才以下の子供ヂT 小担采用車x F 小 )T;~ 来用 f在×世帯:主 6 0 歳以上 燃料消費(l/km)x中収入世帯: 卓│可価絡×低収入世帯 新宅ダミー 同 - r巨穐ダ、一 ログサム変数 選択肢問の相関ノ々ラメータ本 新車 r t古 卓 怪自動車 小型乗用車 幹通乗用車 ノ く ン・ ワゴン L ( b ) χ- 推定値 0. 44 1 . 2 5 0 . 6 7 0 . 7 8 0 . 2 3 0 . 3 5 1 .40 0 . 6 8 0 . 2 7 t 値 推定値 2 . 8 6 0. 44 . 49 0 . 7 6 1 2 . 0 4 0 . 6 7 2 . 9 0 0. 77 0 . 2 3 2 . 0 7 0 . 3 1 1. 40 0 . 9 4 8 . 9 4 0 . 6 8 5 . 1 0 0 . 2 7 2. 0 2 響を受けている事を示すものと考えられる.その他, 1台保有世帝の推定結呆と同級に, 5人以 f , . f 5_ J 以下の子供のいる!片帯 で 上の大家族では乗車定員の多い車種が選択される傾向が高い ' は小型乗用車が選択される傾向が高い事,低収入世帝では車両価終の低い車花が選択される傾 向が高い事,新車が選択される傾向が高い事が示された 表 4-6 車 種 選 択 レ ベ ル 推 定 結 果 ( 2台 保 有) ML NL1 NL2 変数 あ り , 中 収 入 世 帯 に お い て は , 車 種 選 択 行 動 が 経 済合 男 性 以 外 の 心 理 的 ・ 社 会 学 的 な 要 因 の 影 MixedL o g i t t 値 推定値 t 値推定値 t 値 42 2 . 8 6 0 . 3 9 2. . 7 6 0. 6 3 4 . 5 8 0 2 . 0 3 1 .38 l .36 . 7 6 2 . 8 9 1 .54 1 .24 0 . 2 1 l 2 . 0 3 .98 0 . 2 4 l 0 .38 1 . 32 0. 40 1 .29 1 .0 1 0 . 7 7 1 .64 l .1 9 4 . 7 8 0 . 9 8 0. 7 0 4 . 7 5 0 . 8 2 4 . 0 2 5 . 1 1 2 . 0 0 0 . 2 5 1 . 5 8 44 2 . 2 0 0. 4.4.2 年 間 走 行 距 離 モ デ ル 年間走行距離モデルの推定には, 4. 4. 1で 用 い た サ ン プ ル の う ち , メ イ ン ド ラ イ パ ー の 個 人 調 査 票 が 特 定 可 能 で あ り , か つ 調 査 票 に 不 備 の 無 い サ ン フ。 ル , 世 帯 213世 帯 そ れ ぞ れ の デ ー タ を 用 い た . .1 7とI J はじめに, 1台 保 有 世 帯 に 対 す る 推 定 結 果 を 表 4一 7に示す .表 4-7より, R2値 が 0 さく,推定されたモデルによって世帯の自動車年間走行距離が説明される割合 が低い事を示し r a i n( 1 9 8 6 )の 推 定 結 果 に お い て も ど 値 は l台 保 有 世 帯 で 0 . 1 1 4, 2台 保 有 世 ている.ただし, T 帯 で 0. 1 1 7に と ど ま っ て お り , 年 間 走 行 距 離 の 予 測 の 困 難 性 が 表 れ る 結 果 と な っ た . 1 .57 1 .59 0 . 7 4 0 . 7 4 0 . 2 7 1 .00 0 . 2 5 0 . 9 1 0 . 2 9 1 .0 1 0 . 2 9 0 . 9 0 4 5 8 1 9 0 0 . 8 8 0 . 3 0 0 . 3 4 0 . 1 1 0 . 0 1 0 . 0 2 0 . 0 0 0 . 0 1 0 . 5 1 0 . 5 2 0 . 0 0 0 . 0 0 4 6 2 1 8 2 1台保有) 表 4-7 年 間 走 行 距 離 モ デ ル 推 定 結 果 ( 行 窓 で あ る こ と か ら 1台 保 有 世 帯 に 対 す る モ デ ル の 推 定 結 果 と 同 様 に , メ イ ン ド ラ イ パ ー の 選 説明変数 定数項 加速性能 加 速 性 能 x30才 未 満 保有期間 世帯主×女性 50才 以 上 × 女 性 6 才 以 下 子 供 2人 以 上 低収入世帯 運転初心者×最小回転半径 通勤通学非利用 通勤利用 業務利用 最寄り駅までの時間 燃料消費 ( l / k m)x低 収 入 世 帯 燃 料 消 費 (1 / 同 )x中 収 入 世 帯 燃料消費 ( l / k m )x高 収 入 世 帯 択による効用が車待選択に影響を与えていることが確認された. サ ン プ ル 数 819, R2二 4 6 2 1 8 2 4 6 3 1 8 0 サ ン プ ル 数 267,L (0)=-553 ただし, ML は多項ロジットモデル, NLl は 新 車 / 中 古 車 の 区 別 を 上 位 レ ベ ル と す る ネ ス テ イ ツ ドロジットモデル, NL2 は経 自 動 車 /小 型 乗 用 車/ 普通 乗 用 車 / ラ イ ト パ ン ・ワゴン の 区 別 を 上 位レベルとするネスティッドロジットモデルを表す . 寧選択肢│間の相関パラメータはネステイ ツ ドの場合,ログサム変数を表し, MixedL o g i tModel の場 4 .1 )のりの際準偏差を去す . 合 は 式( . 2 7となり,統計的にも はじめに,メインドライパー選択レベルのログサム変数の推定値は 0 同 一『巨袷ダミーの.j f E定値が, 0.68 と正の値を取っており, t値 も 非 常 に 高 く 統 計 的 に 有 意 と なっている.この事は 1台 保 有 世 帯 819世情, 2台 保 有 2 合保ィ7 世帯においては 既存の保有車種と同じ車種を選択する傾向 があることを I~ すものと考えられる .また,世帯 主が 30 歳未満の場合には中古車を選択する傾 向が日く, 60.1以仁の場合には小型乗用車を選択する傾向が高い事が示された . 推定値 8 . 1 2 5 . 2 7 2 . 5 6 0 . 0 5 6 0 . 8 3 0 . 3 4 7 0 . 2 0 幽 1 .25 ー0 . 0 7 5 0 . 2 9 0 . 2 4 3 0. 41 1 0.0078 1 5 . 5 6 0 . 0 2 3 0 . 1 3 7 0 . 1 7, a d jR2=0 . 1 5 t 値 3 9 . 0 3 3 . 1 5 2 . 5 2 4 . 6 3 2 . 3 6 1 .80 1 .34 2 . 1 3 3 . 5 3 2 . 8 2 2 . 7 4 4 . 5 8 1 .49 1 .87 0 . 0 1 0 . 0 8 各 パ ラ メ ー タ の 推 定 結 果 か ら は , ま ず , 加 速 性 能 の 良 い 車 種 で は 走 行 距 離 が 長 く な る 事 ,メ イ ン ド ラ イ パ ー が 30才 未 満 の 場 合 に は そ の 傾 向 が よ り 顕 著 に な る 事 が 示 さ れ た . 保有期間の長 い 自 動 車 ほ ど 走 行 距 離 が 短 い 事 , 女 性 の 世 帯 主 が メ イ ン ド ラ イ パ ー の 場 合 や 6才 以 下 の 子 供 が 2人 以 上 い る 世 帯 , 低 収 入 世 帯 で は 走 行 距 離 が 短 く な る 事 が 示 さ れ た . メ イ ン ド ラ イ バ ー が 50 中収入社帯では燃料消費(l/km)の 大 き い 自 動 車 を 選 択 す る 傾 向 が 高 い 事 が 示 さ れ た が . これ 才以上の女性の場合に走行距離が長くなる結果となった事については,現在免許を保有してい については l台 保 有 世 帯 の 准 定 結 果 と 同 機 に , 中 収 入 世 帯 の 車 種 選 択 行 動 の 特 性 を 示 す も の で る 50才 以 上 の 女 性 の 割 合 が少なく,自動 車 の 必 要 性 の 高 い 女 性 の み が 免 許 を 取 得 し 自 動 車 を 利 44 45 用しているためと考えられる . その他,通勤や通学,業務等の日常的な自動車不J I用頻度や最寄 として用いることを前提として,世帝における購入車種の選択行動, t~上帯内での白動車の配分, り駅までの距離といった交通サービス水準が走行距離に及ぼす影響が確認された . および,各 自動車の年間走行距維の分析を行った .世帯内 での自動車の配分と卓径選択は官、接 販後に,消費者の合坦的行動を仮定した離散連続選択モデルで重要な役割を果たす,燃料消 に関係していること,また,年間走行距離は,車種や主な運転者の属性に大きな影響を受ける 費に関するパラメータの推定結果は低収入世帯では正となり ,中収入世帯, 高 収 入 世 帯 で は 有 との認識に基づき,車種 ・メインドライバ一同時選択選択モデル,及び,車極とメインドライ 意とならなかった . これは,燃料費に対するドライパ ー の 対 応 行 動 が合理的でないか, それほ ノ〈ーを与件とした各保有自動 車 の 年 間 走 行 距 離 モ デ ル を 構 築 し た . 車種選択行動については,ネステイツドロジットモデルの枠組みでは考慮できないような復 ど敏感ではない事を示すものと考えられる . 雑 な 選 択 肢 問 の 相 関 が 考 え ら れ た た め , プ ロ ビ ッ トモデルの近似として近年利用 されるように 表 4-8 年 間 走 行 距 離 モ デ ル 推 定 結 果 ( 2台保有) 説明変数 推定値 d 直 司 1 .8 2 0. 3 1 p 0 . 1 1 1 .37 世帯構成人数 41 3. 42 0. 通勤利用ダミー 3 . 5 1 0 . 4 5 由活動利用ダミー 2. 20 ー0 . 2 1 女性ダミー 1 .39 5 . 9 7 l / km )X低 収 入 世 帯 燃料消費 ( 1 .94 5 . 2 6 l / km )X中収入世帯 燃料消費 ( 1 .89 6 . 7 3 l / k m)X高 収 入 世 帯 燃料消費 ( . 5 1 ),v a r ( ε 2 )二 1 . 6 7 8 ( t値 :4 . 5 1 ), v a r ( ε 1 ) =1 . 6 8 ( t値 :4 c o v ( ε l, e2 二 1 . 41( t値 :2 . 8 7 ) ) . 7 1 サ ン プ ル 数 21 3,GFI=0.97,AGFI二 0 なってきている MixedL o g i tModelを適用したモデル化を行 った . 推定の結果から,メインドライパーの選択による効用が車種の選択に 影響を与えていること , 自動車の属性やメインドライパーの属性が年間走行距離に影響を 与えて いることが示された . 車 種 の 選 択 に 関 し て は , 本 研 究 で 用 い た サ ン プ ル に 関 し て は 選 択 肢 問 の誤差効用の 相関は認め られなかった.また, 2 台保有世帯に関しては,車種選択について既存車と同 一車穫を選択す る傾向があることが示された. 年間走行距離モデルについては, 1台 保有 世 帯 を 対 象 と し た 重 回 帰 モ デ ル の 推 定 結 果 か ら は 車種によって年間走行距離が異なること,およびメインドライパーの属性が年間走行距離に影 響を及ぼすことが示された .一方で, 2台 保 有 世 帯 を 対 象 とした SEMによる推定結果からは, メ イ ン ド ラ イ パ ー の 属 性 に よ る 影 響 は 確 認 で き た も の の 車 種 に よ る 影 響 は 確 認 で き な か った . 2台保有世帯に対して巌尤推定法により未知パラメ ータを推定した結果を 表 4-8に示す .表 さらに,各保有自動車に対して共通の世帯間の非観測異質性の存在も確認された. 2 台保有世 4-8より,決定係数を表わす GFIは 0 . 9 7とまずまずの値をとっているものの,自由度で、修正 帯 に つ い て は l台保有世帯に比べてサンプル数が少ないため,今後はより多くのサンプル数を した決定係数を表わす AGFlは 0 . 7 1とな りモデル全 体 の 推 定 精 度 は そ れ ほ ど 高 く な い 結 果 と な 対象としてモデルの推定を行う必要があるものと考えられる. しかしながら,推定結果より, った. 各 保 有 自 動 車 問 の 年 間 走 行 距 離 に 負 の 相 互 作 用 が 存 在 す る こ と が 確 認 さ れ て お り , 保 有 自動 I圧作 用 を 表 わ す pの推定値は 0 . 3 1 と負の値と統計的にもある程度有意であ │何円動 車問のキj の使い分けが存在することが示された.これらの結果を合わせると複数台保有世帯では,特定 るという結果が得られた . この結果は,一方の自動車利用が多くなるともう一方の自動車利用 の車種に対する晴好性が存在するために同じような自動車を購入し が 少 な く な る こ と を 窓│ 床し,複数台保有世帯での自動車利用には,保有自動車の使い分けが存 の使い分けが行われていることを意味するものと考えられる. 今後の課題としては,モデルの同時推定や離散連続モデルの適用 任することを示す ものである. その他, 1台 保 有 世 帯 の 准 定 結 果 と は 異 な り , 有 意 な 説 明 変 数 が そ れ ほ ど 得 ら れ な か っ た も や調査方法の改良等がある. 止帯の准定結果と同様に , 通勤,業務での利用によって走行距離が長くなる事 のの , 1台保布 i などが示された.また,燃料消費に関するパラメ ータは い ず れ も 正 の 値 を と っ て お り , 燃 料 費 に対する合理 的行部Jは確認されなか った .ま た,誤差項の共分散が有意に正の値をとっており, 世 俗 内 の 各 自 動 車 の 走 行 距 離 に 共 通 に 影 響 を 与 え る 非 観 測 異 質 性 の 存 在 を 示 し て い る .今後, サンプル数の拡大やより詳細な世帯属性に関する調査項目の設定等により,年間走行距離に影 響 を 及 ぼ す 要 因 の さ ら な る 解 明 が必要と考え られる . 4 . 5 結語 本研究では,時間軸上における世帯の自動車取り替え更新行動モデルシステムのサブモデル 46 47 状況に応じて保有 自動車 自動車属性データの改善 第 4章 参 考 文 献 屋井鉄雄,岩倉成志,伊藤誠 (1993) 鉄道ネ y トワークの需要と余剰の推計法について,上木 計 画 学 研 究 ・論文集, No.ll,pp.81-88 Beggs,S .D . and C a r d e l l,N. S . (1980) Choice ofs m a l l e s tc a r by m u l t i v e h i c l e households and t h e demandf o re l e c t r i cv e h i c l e s,T r a n s p o r t a t i o nResearchA,Yo. l14A, p p .389-404. 屋井鉄雄,中川隆広,石塚順一 (1998) シミュレーション法による情造化プロビットモデルの 推定特性,土木学会論文集, No.604/ 1Y-41, p p .1 1 2 1 i s s a g r e g a t e model system ofv e h i c l e holding d u r a t i o n,t y p e choice and u s e, de Jong,G. (1996) A d 7 子αn s p o r t a t i o nRωe a r c h,Yo. l30B,No.4,p p .263・2 7 6 . .(1997)A microeconomicmodeloft h ej o i n td e c i s i o nonc a rownershipandc a ruse,1 n deJ ong,G.C Stopher,P.and Lee-Gosselin,M. ( e d s . )U nderstandingT r a v e lBehaviouri nanEra0 1Change, E l s e v i e r,Oxford,p p .483-503. Greene,W. H. and Econometric Software,I n c .( 1998)LIMDEPv e r s i o n7 . 0 User' sManu α1Reνi s e d E d i t i o n,EconometricSoftware,A u s t r a l i a . o r automobile t r a n s a c t i o n s : competing r i s km u l t i s p e l l Hensher,D. 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00 CJ) 0 . . . . . . . . ト3 . . . . . . σコ . . . 寸‘ . . . コ ば 。 ~→ 保有期間お よび経過期間(年) 図 5-1 保 有 期 間 お よ び 経 過 期 間 の 分 布 性を検討することを目的とする . 調 査 時 に 保 有 し て い る 自 動 車 の デ ー タの内 50 買い替え購入によるものについては,その買い 51 答えによって手放された自動[巨が,同 一世 帯 内 の 過 去 に 保 有 し て い た 自 動 車 の デ ー タ と し て 調 査で回答されているべきである.アンケート調査では 質問項目として 過去に保有されていた自動車に関する その自動宅が買い答えによって手欣された場合,買い替えによって購入され 3 生存時間解析手法 . 5 自動車の保有期間は,すべて正の他を持ち, しばしば分布の裾が右に長いことから,分布の Tしている白動車,あるいは過去に保有していた他の自 動車の中でどの自 た自動宅が,現化イ呆 1 正規性を前提とした手法は必ずしも適切とは限らない.そのため,本研究では,生存時間解析 動車であるかということについても回答を得ている.そのため,買い答えによって手放された 手法を適用した分析を行う . 生存時間解析手法は,去~?怪の時友IJ からあるが象が発生するまでの 白動車と購入された自動車を対応させることが可能となっている.買い答えによって購入され 期間を解析の対象とし,その期間を生存時間と呼ぶ.生存時間解析手法は主に,生命体,機械 た白動車に対応して,手放された自動車がデータとして得られていない場合,報告漏れが生じ の寿命等の分析に用いられてきた . て い る も の と 存 え ら れ る . 報 告 台 数 ・ 報 告 漏 れ 台 数 の 分 布 を 図 5-2に示す . 分析に際し,事象が発生したデータのみを用いて分析を行った場合 幽 5-2より,買い替えから現在までの期間が長いほど,買い替 えによって手放された自動車 ほど一定時間内の観測で事象が発生するケースが少なくなるため 生存時間が長いデータ 舵定結果にバイアスが生じ について報告される確率が減少していることが読み取 れる .買い替えから l年 以 内 の 場 合 , 報 る.生 存 時 閥 解 析 手 法 で は , 事 象 が 観 測 さ れ な い ケ ー ス に つ い て も , 生 存 時 間 が 観 測 さ れ て い 程度であるが,年数が増えるにしたがって急激に報告確 率は減少しており, 5年 告確窄は 50% た期間 以上 で あ る と い う 情 報 を 用 い て 対 象 デ ー タに含めた分析を行う.このようなデータは打 以上経過するとほとんど報告されていない . これは,データを収集する方法として,過去につ ち切りを受けたデータと 呼 ばれる . 本研究においても,現在世帯において保有している向動 lP~ いての記憶を呼び戻し,回答をつのる回顧調査が用い られた事による影響を示している . 回顧 については ,手 放 す 時 点 が 調 査 時 点 で は 観 測 さ れ て い な い た め , 保 有 期 間 が 特 定 で き な い . 以 調査は, 1回 の 調 査 で 複 数 時 点 の 行 動 等 に つ い て 質 問 す る こ と で , 多 く の 情 報 を 得 る こ と が 可 下 で は , 自 動 車 保 有 期 間 を 生 存 時 間 と し た ,生存時間解析手法による,打ち切りを受けたデー 能であるが,人間の記憶には限界があるため,報告漏れや,不正確な回答といった問題に対し タも分析に含めた分析方法について述べる . て与慮することが必要で、あると考えられる.特に,報 告漏れが系統的である場合には,それら のデータを用いた推定結果はバイアスを受けるため,分析にあたり,それらのバイアスを補正 生存時間を表わす確率変数を Tで表わすと ,累 積 分 布 関 数 下の式で表わされる . することが必要となる.本研究で用いるデ ー タについても,図 5-2に見られる よ うに,自動車 ← ) Tく t r( F( P t /d ) t ( F =d t) !( 則│問が長いほど,その臼動車について報告がされてい ないという系統的な報告漏れが存在 保イI するため,それを考応:した分析を行う必要がある . (台数) ここで,生存時間が,打ち切りを受けるまでの経過期 間 0 0 1 tは以 ,および確字密度関数パ ) ) (t F 1) . 5 ( ) 2 . 5 ( f以 上 で あ る 確 率 を 表 わ す , 生 存 関 数 )で表わされる . 3 5. )は,式 ( t ( S t) ( )= 1-F T~ t ( r =P t) ( S -報告漏 れ台数 ロ報 告台数 ) 3 . 5 ( がよく用いられる. ) t 生 存 時 間 解 析 手 法 に お い て は , こ れ ら の 関 数 に 加 え て ハ ザ ー ド 関 数 h( ハ ザ ー ド関数は , 時点 f まで 事 象 が 発 生 し て い な い と い う 条 件 下 で 時 点 Iの瞬間に事象が発生 5.4)で表わされる . するという条件付き確率密度を表わすものであり ,式 ( 。 5 E 図 0 1 5 1 0 2 )= .l i~ t h( ) (t )_! T三 t l >Tミ t .t 6 中+t .t 6 t ) t ( S 4) 5. ( い替え か ら現在 までの期 間(年) -2 報 告 台 数 ・報 告 漏 れ 台 数 の 分 布 5 生存時間に影響を及ぼす要因をモデルに取り入れる方法として,比例ハザードモデルと加速 )で表わされる. 5 . 5 モデルの 2つの方法がある .比例ノ¥ザードモデルは式 ( 2 5 3 5 わされる. h ( μ)=h o ( 巾 xp(-s X ) ( 5 . 5 ) r / f ( [ l x )=.rl~~1 \ ~~)6 exp(-断 1 exp~ _~76 exp(;; 前L~ [ r (1 /8 1 8 J" ^ P l ( 5 f O 1 ) ただし ,h ( J( t )は全ての説明変数が Oの時のハザード関数であり,基準ハザード関数と呼ばれる. ( 5 . 9 ) ! 2 2 pは未知パラメータ ベクトル ,Xは説明変数ベクトルである.比例ノ 1ザードモデルでは,説明変 f (・ ) は 完全ガンマ関欽を表わす . δが lの 場 合 は ワ イ ブ ル 数値が時間とともに変化する場合(時間依存性を持つ説明変数)もモデルに導入することが可能 ただし, 8 は形状パラメータ であり, で ある. しかしながら,比例ハザードモデルでは 分布に帰着し, δが Oの場合は対数正規分布に帰着する. 異なる説明変数値を持つサンプル問でのハ 対数正規分布,対数ロジスティ ック分布は ザード関数の比率は時間的に変化しないという制約がある. 方,h l [速 モ デ ル は 式 ( 5 . 6 )で表わされる. いずれもハザード関数が時間の経過とともに 5 .1 0 ),( 5 . 1 1 )で表わ 一旦増大した後,減少するというー峰性を持つ .確率 密 度 関 数 は そ れ ぞ れ 式 ( される . S ( μ )=S t [ e x p (-s X ) ] ( 5. 6 ) P l ( 1 7 ) 2 ! パt l X )=古以 加速モデルでは,説明変数は時間のスケールを直媛変更する形で生存時間に対して影響を与 える.そのため,比例ハザードモデルのような制約が存在しない.本研究では,時間依存性を J ( t I X )=f 1 Y 1 - 叫 持つ説明変数をモデルに用いないため,ハザード関数の比率に関する制約の無い加速モデルを ( 5 . 1 0 ) s X ) j1 {+texp(一 阪) f ( 5 .1 1) Y (- 用いて分析を行う. 本研究では,自動車保有期間の分布として,指数分布,ワイブル分布,一般化ガンマ分布, ただし, σは形状パラメータである. 対 数 正 規 分 布 , 対 数 ロ ジ ス テ ィ ッ ク 分 布 の 5つ の 分 布 を 用 い て モ デ ル の 推 定 を 行 い , 自 動 車 保 分布に つ い て 検 討 す る . 指 数 分 布 は ハ ザ ー ド 関 数 が 時 点 に よ ら ず 一定の値を持つ . これ 有期!日l は,それまでの経過期間が事象の発生する確率に影響を与えないことを表わしており,この性 5.4 重 み 付 き 推 定 方 法 本研究では,世帯が現在保有している自動車と,過去に保有していた自動車に関するデータ を用いて自動車保有期間モデルを構築する .このうち,過去に保有していた自動卓に関しては, 質を無-記憶性と呼ぶ .イ峰 率 密 度 関 数 は 式( 5 . 7 )で表わされる . 前述のように,報告漏れに伴うバイアスが含まれるものと考えられる.そこで,得られたデー f (μ)=ω(-s X )叫{-t 叫(-s X ) } ( 5 . 7 ) タに対して重み付けを行う事によって バイアスの補正を行う. 重み付けによる補正は以下の手順で行う .ま ず ワイブル分布は,事象が発生する要因が複数存在し それぞれ独立である場合の生存時間分 れに関してプロビットモデルを適用し,報告モデルを構築する.そして,推定結果を用いて報 告確率 布 を 表 わ し て お り , 線 率 密 度 関 数 は 式( 5 . 8 )で表わされる. 過去に保有していた自動車の報告・報告漏 p ;を算出し,母集団シェアとサンプル内シェアの比で表わされる重み W を算出する.報 i 告 モ デ ル に お い て は ,データとし て得られている買い替え行動を対象として J ( t l x )=γ y s X )叫{-t叫(ーがl r ) } Y e x p (- y-I ( 5 . 8 ) その買い替えに よって売却された自動車が報告されているか否かを外的基準としたモデルを構築した ( 買 い替 えを伴わない売却についても ,別 途報告モデルを構築し 報告確率を算出するのが妥当である と考えられる . しかしながら,今回の調査からは,買い替えを伴わない売却によって手放され ただし ,y は形状パラメータであり, げ〉イ直が lより大きい場合には,ハザード関数は時間とと もに増大し, 1 よ り小さい場合にはハザード関数が時間とともに減少するため る確ギの時間依存性を考慮することが可能である • 事象の発生す Y I J {1の 場 合 は ハ ザ ー ド 関 数 が一定となり, た自動車に対する報告漏れのデータを得ることは不可能である . そのため,今回は買い替えと 買い替えを伴わない売却では,その際に手放された自動車の報告確率に差が無いものと考え, 買い替えによって手放された自動車に関して算出された報告モデルのパラメータを,買い替え を伴わない売却によって手放された自動車にも適用することとした .).現在保有されている自 ワイブ jレ分布は指数分布-に帰話する . 般 化 ガ ン マ 分 布 は ワ イ ブ ル 分 布 を よ り 一 般 化 し た 分 布 で あ り , 確 率 密 度 関 数 は 式( 5. 9 )で表 54 動 車 の 報 告 確 率 は !とし,算出された重みを用いて WESML推 定 量 (weightedexogenoussample 5 5 maximum l i k e l i h o o de s t i m a t o r )により保イ江期間モデルの准定を行うことによって,報告漏れに関 す る パ イ ア ス を 補 正 す る こ と が 可 能 と な る .士 、I 数尤度関数 L ',及 び W1 は以下の式で、表わされる. 大きく統計的に非常に有意となっている.賃貸住吉居住世情では,持ち家山:併に比べて,自動 車保有期間が相対的に短い為に 買い答えからの経過期間が同ーであっても 保有していた自動車の購入時期が比較的最近となるため ・ = 去 円叫 ( 5 . 1 2 ) l L 報告倍率が尚くなることを示してい ると考えられる .保 有 期 間 に 対 す る 賃 貸 , 持 ち 家 の 影 響 に つ い て は , 後 述 の 保 有 期 間 モ デ ル に おいて確認されている. 一月 ︽ pt i m 一 む ( 5 . 1 3 ) 表 5-1 報 告 モ デ ル の 推 定 結 果 推定値 グ i εに ( a Y , )グ i εに 戸=J 1 φ 1 保有自動車属性 自動車保有台数 -0.039 リース車保有台数 0. 080 社用車保有台数 0 .1 2 4 買い替えからの経過期間 ( 月) -0.0037 世帯属性 世帯構成夫婦と子供 ( 0-15才) -0. 087 0 . 1 97 夫 婦 と 子 供 ( 16 -20才) 0.1 7 8 独身 有職者数 0.049 子供数 ( 0 1 5才) 0.063 子供数 ( 1 6 2 0才) 0.064 学生数 0. 0 6 5 昨年家を出た人数 -0.10 8 賃貸 0.126 -0.067 60, 000未 満 世帯収入 $ ( 5 .1 4) ただし ,V "は 現 在 保 有 さ れ て い る 自 動 車 の 集 合 , ん は 過 去 に 保 有 さ れ て い た 自 動 車 の 集 合 を 表 わし , n はサンプル数を表わす.また, φ(引ま標準 正 規 分 布 関 数 , aは報告モデルの推定パラ メータベクトル , Y,は説明変数ベクトルを表わす. なお, WESML 准 定 量 を別いて推定を行った場合,推定されたパラメータの共分散行列は, 漸近有効では無く, t値 の 推 定 値 に バ イ ア ス が 生 じ る .WESML推 定 量 に 対 し て は,通常の共分 IL1と,推定値において , W 1 を ! と し て 算 出 さ れ る 共 分 散 行 列 。 に よ り , 式 ( 5 . 1 5 )で表わさ 散行チJ れる共分散行ダI J . . [を 用 い る こ と に よ っ て , こ の よ う な バ イ ア ス を 修 正するこ と が 可 能 で あ る $100, 000以 上 ( ManskiandLerman,1977). 1 E=Q. 1 . Q ( 1 6) L ( O ) L(c) L(b) -2{L(0)ーL(b)}(dη 5 . 5 報告モデル ) -2{L(c)ーL(b)}(df 5.2 で 述 べ た 報 告 ・ 報 告 漏 れ に 関 す る デ ー タ を 用 い て 報告 モ デ jレを 推 定 し た . 説 明 変 数 と し 動 車 が 買 い 併 え ら れ て か ら の 経 過 期 間 等 を 用 い た . 推 定 結 果 を 表 5-1に示す.表 5-1では, パラメータが正であれば,値が大きくなるほど報告される確率が高くなることを示している . n :v、替えからの経過期間のパラメータの t値 が 大 き く , 統 計 的 に 非 常 に 有 意 で 6から 20才 の 子 あり,報告-硲半に大きな影響をうえていることが確認された .ま た,夫婦と 1 供のいる i 世帯では報告確率は低く,運転免許保有者数が多いほど報告確率が低くなることが示 された.これ らの 佐 帯 で は , 円 動 車 を 利 用 す る 利 用 す る 人 数 が 多 く , 自 動 車 の 管 理 に つ い て も 複数の人間が関係していることが考えられるため 報告確率が低くなることが推測される.独 身 世 帯 に お い て も 報 告 確 率 が 低 く な る こ と が 示 さ れ て い る . また,賃貸のパラメータの t値 が 56 1 .00 1 .2 9 1 .3 9 -12.77 1 .1 4 -2.21 -2.47 1 .6 8 2.07 1 .6 9 1 .6 9 1 .70 2.62 1 .2 7 1 .30 -2.56 1 .9 1 -2.67 9 0 1 5393 報告台数 報告漏れ台数 ては,アンケート調査時の世情属性,および現在保有している自動車属性,報告されるべき t値 -0.097 0 .1 4 6 0. 1 6 1 0. 3 98 6294 -4363 -2585 -2142 3 8 4 1( 1 8 ) 285( 1 7 ) 運転者数 運転者数>自動車保有台数 定数項 サンプル数 ノ ド研究においても,..[を用いることによって, t値 の 推 定 値 を 修 正 す る こ と と す る . 推定結果より, : nい答え以前に 5 . 6 保有期間モデル 報 告 モ デ ル の 結 果 を 用 い て , 式( 5 . 1 2 )により, 5つ の 姥率 分 布 に 対 し て 同 ー の 説 明 変 数 を 用 い て保有期間モデルを推定した.推定に用いたサンプルは,現在保有している自動 車 7280台と, 過 去 に 保 有 し て い た 自 動 車 863台であり 保有期間モデルに用いた説明変数は自動車属性,世 帯属性,およびその自動車の主な運転者の属性である. 5 つの確率分布 による最終尤度を表 5 -2に示す. 表 5-2 よ り , ワ イ ブ jレ分布,及び一 般 化 ガ ン マ 分 布 に お い て 最 終 尤 度 が 最 も 高 く な る こ と 57 が/長された.次いで,対数ロジスティック分イI T, 対 数 正 規 分 布 の 1 1 買となっており,指数分布に 二度が最も低くなっている.これらの結朱より, おいては最終A ワイフ司、 ル分布,一般化ガンマ分 布においては,日寺!日j 依存性を~)痘することが可能となっているために最終え度が高く,指数分 表 布においてはU . } :削 依 存 性 を 考 慮 し て い な い た め に 最 終 危 度 が 低 く な っ て い る も の と 考 え ら れ る . 5-3 保 有 期 間 モ デ ル の 推 定 結 果 重みイすき また,対数正規分布や対数ロジスティック分布と比較した場合においても,長く保有している 動事はど,次の瞬間に売却する可能性が高くなるといった自動車保有に関する時間依存性を 推定値 明示的にモデル化しているワイブル分布,一般化ガンマ分布の優位性が示されているものと考 定数項 えられる. 一般 化 ガ ン マ 分 布 は そ の 特 殊 形 と し て , ワ イ ブ ル 分 布 を 内 包 し て い る が , 両 分 布 に 自動車属性 保有形態 の推定値は, よ る 最 終 尤 度 の 差 は ほ と ん ど 無 い .実際, 一 般 化 ガ ン マ 分 布 の 形 状 パ ラ メ ー タ 6 0.991となっており 8 =1に対する t検 定 の 結 果 も 有 意 と は な ら な か った .一 般化 ガ ン マ 分 布 を 用いた推定結果は,自動卓保有期間分布が統計的にワイブル分布に帰着されることを示してい る. 以 上 の 結 果 よ り , 自 動 車 保 有 期 間 の 分 布 と し て は , ワ イ ブ ル 分 布 が 妥 当 で あ る と 考 え ら れ る. 表 5-2 5つ の 確 率 分 布 に よ る 最 終 尤 度 確率分布 最終尤度 指数分布 6174 ワイブル分布 -5884 一 般化 ガ ン マ 分 布 -5884 対数正規分布 -6087 対 数 ロ ジ ス テ ィ y ク分イfJ ・5 927 購入時 の 比 較 の た め , 報 告 確 率 に よ る 重 み 付 け を 行 わ な い 場 合 の 推 定 結 果 を 表 5-3 ( モ デ ル B)に示 検定の結果から , 推定 さ れ た モ デ ル は 定 数 項 の み に よ る モ デ す . 表 5-3 (モデル A)より , χz 性別 ル に 比 べ て 有 意 で あ る こ と が 確 認 さ れ た .形状 パラメータの推定結果より, 1 / ' ' ( は lよ り 有 意 に 小さいことが統計的に示されており,自動車保有期間が正の時間依存性を持つことが確認され た. 次 に , 自 動 車 属 性 の 推 定 パ ラ メ ー タ を 見 る と , 中 古 車 ダ ミ ー の パ ラ メ ー タ の t値 が 大 き く 統 計的に非常に有怠である .中古車として購入した自動車は新車に 比べて,耐用 年数が低くなる ため , 保 布 期 間 が 短 く な っ て い る も の と 考 え ら れ る . パラメ ータ値よ り,中 古 車 は 新 車 に 比 べ = e x p (0. 5 31 ) )倍 の 保 有 期 間 で あ る と い う 結 果 が 示 さ れ て い る . リ ー ス 車 ,社 て,てfZ均で 0 . 5 8 8( 用車についても,自家保有車に比べて保有期間が短くなることが統計的に示された . こ れ ら の パ ラ メ ー タ 値 は 中 古 車 ダ ミ ー と 同 様 に 絶 対 値 が 大 き く ,保 有 期 間 に 与 え る 影 響 が 大 リース車 社用車 中古車 0・1 5才) 夫婦と子供 ( 夫 婦 と 子供 ( 1 6・20才) 夫婦と子供とその他の大人 独身者 夫婦とその他の大人 女性 職業 営業 自営業 退職者 個人年収 $20, 000未 満 S100. 000以上 形j 犬ノてラメータ(l / y ) サ ン プ jレ数 。 L ( L ( s ) ζ旦2 *Ho :y =1に対する 2 . 2 7 4 . 6 3 5. 46 ー1 5 . 7 7 0. 498 ー 0. 402 0. 61 9 3 . 1 9 ー1 .7 1 2 . 5 5 0 . 1 9 0 . 8 8 1 . 4 0. 169 0. 132 0.288 0.057 0. 008 0 . 0 7 0 ー 0. 387 4 . 2 2 2 . 8 5 5. 75 1 .22 0. 1 3 ー 1 .1 6 3. 52 0 . 1 3 1 0 . 1 1 9 0. 2 81 0.046 0 . 0 0 4 0 . 0 9 8 ー 0. 546 1 .73 1 .32 2 . 9 4 0 . 5 1 0 . 0 3 0 . 8 5 6 . 2 7 0. 44 0.089 0.152 ー 0.012 0 . 0 4 3 0.099 ー 0. 026 ー 0.088 ー 0. 1 1 3 0.167 1 .56 2 . 2 3 ー 0. 13 0 . 8 0 1 .75 1 .1 3 2 . 8 4 3. 1 2 8 . 8 1 0 . 1 1 9 0 . 2 1 3 ー 0. 024 0. 265 0 . 1 2 8 ー 0. 051 0. 1 1 0 0. 186 0.322 1 .36 1 .86 0 . 1 6 3 . 0 5 1 .40 1. 46 2 . 1 4 3. 40 9 . 1 6 0 . 2 9 0. 46 0 . 0 7 2 . 1 8 0 . 2 7 0 . 6 0 0 . 3 8 1 .1 1 1 . 6 9 7 ー 0.100 0 . 5 2 8 0 . 1 8 9 0 . 0 9 2 0.048 0 . 5 1 7 11 .78 3 . 2 2 4 . 0 0 ー1 . 43 1 .5 1 1 .30 6 . 2 4 1 0 . 5 5 ' 1 .702 0 . 0 8 0 ー 0 . 6 9 8 0 . 2 5 2 ー 0 . 0 2 8 0 . 0 9 8 0 . 5 4 6 7 . 2 8 ー 1 .60 3 . 9 9 1 .27 ー 0. 2 9 1 .65 4 . 2 7 20. 45 ' 0 . 0 2 0. 34 0 . 7 8 0 . 2 7 0. 54 0 . 7 0 0 . 1 9 0 . 6 3 0. 685 8143 -6377 -5883 988(26) 喧 t値 , 料 Ho :戸。=ん に対する t値 (氏はモデル A に よ る 推 定 値 , s bは モ デ ル B に よ る 推 定 値 ) き い も の と 考 え ら れ る . 車 極 に つ い て は , 小 型 乗 用 車 , 大 型 乗 用 車 , ス ポ ー ツ カ ーの いずれも が , 中 型 乗 用 車 に 比 べ て 保 有 期 間 が 長 く な る と い う 結 果 と な っ た .小型乗用 車 に つ い て は , 米 5 tイ 直 “ 0. 462 ー 0 . 6 2 5 0. 5 31 司 Mini,Subcompact Large,Luxury S p o r tc a r Pick-upt r u c k Van U t i l i t yv e h i c l e 年間走行距離/10, 000mile 世帯属性 世帯構成 t他 4.348 車種 子供数 大人数 賃貸 自動車保有台数 運転者虜佐 年齢/100才 ワイブ jレ 分 布 を 用 い た 推 定 結 果 を 表 5-3(モデル A)に 示 す . さ ら に , 表 5-3 ( モ デ ル A)と *みなし モデルA 59 0.664 8143 -2973 -2706 536( 2 6 ) 0 . 1 3 0. 06 0 . 1 1 0 . 0 9 0 . 2 2 1 .1 3 国 3 . 8 7 国では比較的近年にな って普及してきたという事情もあ って,サンプルが現在保有している自 として, 5 つの確率分布に対して推定を行うことにより,自動車保有期間の分布形状に関する 動曜に偏 っていることの影響が疑われる.これについては今後,新たなデータ収集を行い検討 検討を行った.その結果,時間依存性を考慮することの可能なワイブル分布が適切であること を加える必要があるものと考えられる.大型乗用車,スポーツカーについては,車両価格も高 が示された.推定結果より,世帯の保有する自動車の取り答え更新行動は正の 8 . : )問依存性を持 く,丈夫であることから保有期間が長くなることが考えられる.年間走行距離のパラメータも っており,世帯は買い替えや追加購入を行った直後はその白動 E巨を手欣す確唱は低く,その自 統計的に布意で、 あり,年間走行距離が長くなるほど車両の消耗が激しく,保有期聞が短くなる 動車の保有期間が長くなるにつれて,その自動車を手欣す確半が高くなることが示された.ま ことを示しているものと考えられる. た,本章では,断面調査によって自動車保有期間の分析を行うために,調査 ~I手に過去の自動山 世子育属性についてみると,大人数のパラメータが統計的に有意となっており,自動車を運転 取り替え更新行動に関する質問を行うことによって得られた回顧データを月!いた分析を行 った. する可能性のある大人の人数が多いほど,保有期間が短くなることが示された .反対に,自動 回顧データでは,過去の行動に関して忘却が生じるため,データに報告漏れが生じる.報告漏 車保有台数のパラメータが統計的に非常に有意であり,自動車保有台数が多いほど,保有期間 れはランダムに発生するのではなく,時点を過去に遡るにしたがって報告漏れの確率は高くな が長くなることを示している.これらのことから 同ーの自動車を複数人で利用したり,複数 るものと考えられる.よって,本研究の分析対象である自動車保有期間と報告漏れには正の相 の自動車を 一人で利用じたりといった,個々の自動車の利用形態が保有期間に大きな影響を及 関が考えられる.本研究では,アンケート調査による報告漏れを考慮するために,報告モデル ぼすことが推測される.また,賃貸ダミーのパラメータが統計的に有意であり,賃貸住宅居住 を構築し,その結果を用いてデータに重み付けを行った.推定結果より 世帯は,持ち家世帯に比べて保有期聞が短くなることを示している .賃貸住宅居住世帯の中に いることで報告漏れによるパラメータ,及び t値の推定値に対するバイアスを除去することが は,生活スタイルを頻繁に変更する世帯が多いため,自動車保有についても頻繁に取替更新行 出来たと考えられる . WESML推定量を用 本章では,世帯聞における自動車保有行動の異質性を捉えるために,保有期間に影響を与え 動を行っていることが考えられる . 主な運転者の属性についてみると,年齢のパラメータが統計的に非常に有意であり ,若者ほ る要因として,世帯属性等を取り上げたが,自動車保有期間には,その他にも自動車市場の動 ど噌女子の変化や事故等の予定外要因によって保有期間が短くなることを示しているものと考え 向やマクロレベルでの社会経済状況といった要因が影響を与えているものと考えられる.今後 られる.予定外要因の影響については後述の保有予定期間モデルとの比較によって確認する . は,そのような要因もモデルに導入することにより 職業については,営業ダミーが統計的に有意であり,仕事上,自動車利用が頻繁であ り,車両 考えられる . また,今回は,同一世帯が保有する複数の自動車を個別にモデル化したため,世 の約半E が激しいことが考えられる.個人収入については, $100, 000以上の個人収入を持つ個人 帯内の自動車問の相互影響が明示的には考慮されていない. しかしながら,世帯は複数の保有 の白動 lドの保有期間が短いことが統計的に示されており,自動車購入に伴う資金の豊富さが保 自動車に対して独立に意思決定を行っている訳ではなく,総合的に判断しているものと考えら 有期間jに影響を与えていることが確認された .また,女性ダミーのパラメータが統計 的 に 有 意 れる . これについては第 7章,第 8章にて世帯が保有する自動車問の相互影響を明示的に考慮 であることから,女性は,安全性や信頼性を重視して,頻繁に買い替えを行っていることが推 した分析を行う . 測される. 次に,モデル A とモデル Bの推 定値の差について t検 定を行なった .t値そのものは, c o v ( s ", s h ) = O を仮定しており,実際よりも過小な値が算出されていると考えられる . よって,表 5-3 での値が有意ならば,実際にも有意であると考えられる.結果から,定数項 ,自動 車 保 有 台 数 等について,統計的に有意な差があることが確認できた .以上よ り,報告確率による重み付け を行わない場合,保有期間モデルの推定結果に対し,報告漏れによるバイアスが含 まれること が確認できたと考えられる.重み付け推定を行うことにより ,よ り精度の高い自動車保有期間 の推定が可能となることが示された. 5 . 7 結語 本章では,時間軸上で、の世帯の自動車取替更新行動をモデル化するための基礎的な研究とし て,生存時間モデルを適用した自動車保有期間に関する分析を行った.自動車保有期間の分布 60 6 1 より精紋な分析を行う必要があるものと 第 5章 参 考 文 献 藤 井 聡 , 大 塚 祐 一 郎 , 北 村 隆 一 ・門 間 俊 幸 (1997) 時 間 的 空 間 的 制 約 を 考 J . i l :した生活行動軌跡 を 再 現 す る た め の 行 動 シ ミ ュ レ ー シ ョ ン の 構 築 , 土 木 計 画 学 研 究 ・ 論 文 集 , No. 14,p p . de Jong,G. 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て,保有期間モデルと保有予定期間モデルの差が環境の変化や晴好の変化といった予定外要凶 の影響を示すものとなる . 一方 ,自動車保有行動は,合理的経済的判断だけでなく ステイタスシンボルやライフスタ するため,過去の自動車取り替え更新行動ほど報告漏れが生じやすい .よ って ,自動車保有期 イ ル と い っ た 観 測 困 難 な 要 因 に 影 響 を 受 け る こ と が 呉 他 (1999) の研究でも明らかとなってい 間が長いほど報告漏れが生じやすいというバイアスが生じる.前章では報告モデルを構築する る. 自動車保有期間の分析を行なう際には,このような非観測異質性を考慮することで,より ことにより,報告漏れによるバイアスを補正する形でモデルの推定を行った . しかしながら, 精度の高い分析が可能になるものと考えられる .本章では,このような非観測異質性は保有予 動車保有期間に影響を与える要因については 本来ならば自動車を購入した時点からのデー タを必要とするものの,自動車取り替え更新行動と同様に記憶の忘却が存在するため p 過去の 定期間と実際の保有期間にともに影響を及ぼし,その影響は正の相関を持つものと仮定するこ とにより, massp o i n tmodelを適用した分析を行う. 時点での情報が得られなかった要因については調査時点での値を用いざるを得なかった . また , 報告がなされていたとしても,過去の事象に関する記憶は往々にして不正確になる可能性が高 い.本市では,回顧調査による問題点を回避し ,より精微なモデルの構築を目的として,パネ ル調査によって得られたデータを用いた分析を行う . パネル調査においては,調査の対象期間中の自動車取り替え更新行動 ,及び世帯属性や運転 6 . 2 データの概要 本章で用いるデータは前章と同様に,米国カリフォルニアナト│ のサンデイエゴ地域を除く都市 Bunch e t 部において実際された世帯調査によって得られたパネルデータに基づくものである ( l .,1 9 9 5 ;Golobe ta , . l 1 9 9 6 ) . 第 l階調査は 1993年に実施され,第 2回調査は 1994年,第 3 a 将属性等の変化をより正確に観測することが可能となる. しかしながら,自動車保有期間に対 回調査は 1996年に実施されている.本章では第 l回調査と第 2回調査で得られたデータを用し してパネル調査期間が十分長い場合は稀である . よって,パネル調査期間中の自動車取り替え た分析を行う.第 l階調査,および第 2回調査のいずれの調査にも回答したサンプルは 2 . 8 5 7 民新行動のみを用いてモデル化を行う場合には,数多く存在する取り替え更新行動が観測され 世帯であった. ないケースも合めたモデルの推定を行う必要がある .本研究でも, 1年の間隔で行われた 2時 第 l回調査では,世帯属性や日常の通勤通学行動を含む世帯構成員の全ての個人の属性に加 点のパネル調資によって得られたデータを用いた分析を行うため ,全ての世帯が調査期間中に えて,第 l回調査時点で保有していた自動車の属性,調査以前に保有していた自動車の属性, 取り持え更新行動を行っている訳ではない .本研究では,取り替え更新行動を行っていない世 および調査時点以後の自動車取り替え更新行動意向についてのデータが得られている. 一方 , 帯についても,パネル調査の開始時点で既に保有されている自動車について調査が開始 される 第 2回調査では,第 l回調査以後の実際の自動車取り替え更新行動の時期や種類,世帯属性や まで取り替え更新行動が行われなかったという情報,および,調査終了時点でも取り替え更新 世帯構成員の個人属性の変化についてのデータを得ている. 行動が行われていないという情報を用いることにより,モデル推定のための有効な データとし て取り扱う. 世帯における自動車保有期間は 本 章 は ,実際の自動車保有期間と保有予定期間を同時にモデル化することによって自動車保 有期間に与える予定要因と予定外要因の影響を把握することを目的とするものである .本パネ 様々な要因によって決定される.購入当初から,一定期間 ル調査では ,第 i回調査時に世帯が保有していた各自動車について 第 l回調査時点での保有 保有したら次の白動車に買い替えようと予定している場合もあれば,事故や故障によって突然 予定期間,及び第 2回調査までの実際の保有期間(第 2回調査時点においても当該自動車が保 寅い替える場合も与えられる .これ らの様々な要因は ,予定要因と予定外要因とに大別するこ 有されている場合には,保有期間が第 2回調査時点までの期間より長いという打ち切りを含ふ とが可能である.ここで,予定要因とは,世帯が自動車を購入する際に予定していた,将来の 保有期間)のいずれもが観測されている . よって 64 65 本研究では第 l回調査時点で世帯が保有し ていた各自動卓を対象とし,自動車保有期間モデルと白動車保有予定期間モ デルの両者に同 ー 前節で述べたように,保有期間と保有予定期間のいずれについても第 l問調資時に世'市が保 有していた自動車を対象としたモデルを併築する .保有期間に関しては,第 2問調査時点まで のサンプルを用いた分析を行う . 第 l回調査においては,世帝が予定している次の自動車取り替え更新行動意 向として,そ の に世帯が当該自動車を手放しているケースと第 2回調査時点でも依然として保有されているケ 時期および取り答え更新行動極頒について回答を得ている .取 り替え更新行動種頒 としては, ースの 2通 りのケ ースが存在する.第 2回調査時点以前に買い替えや破棄が行われた自動車に 保有自動車のうちの l台の買い替え,破棄,および追加購入があり,複数台保有 世帯が買い 替 つい ては,保有期間が第 l回調 査時までの期間 ,V,以上という条件の Fで,自動 [ [ I保有期]間が えや彼棄を行う場合にはどの自動車につい て取 り替え更新行動を行うかについて も回答を得て fであることが観測された条件付確率密度を以下の式で表す . いる .取り替え吏新行動を行う時期については, 1年未満, 1年か ら 2年 , 3年 か ら 4年 , 5年 Pr~+dt >TミtlT三ν ] =五Q 以上の 4 つの別問からの選択という形で回答を得ている.保有予定期間モデルを構築する上で 准定に反映させるということも考えられる . しかしながら ( 6 . 1) S ( v ) は, より具体的な取り替え更新行動時期について回答 を得ることによ ってモデルのパラメータ 将来の自動車取り替え更新行動予 定についてそのような詳細な時期を 意識していると は考えられず,そのようなデータを得たと しても信頼性が低くなり,モデルの推定精度が低下する可能性も考えられる. 将来の自動車取り替え更新行動に関しては ,次に予定しているもののみについて回答を得て いるため ,全て の保有 自動車について保有予定期間が回答されている訳ではない.次の取り替 ただし ,j (t ) は確率密度関数を表し , S ( t ) は生存関数を 表す . 一方,第 2回調査時点でも世帯が依然、として保有している自動車については p 保有期間が第 l回調査時までの 期間 , 円 以 上 と い う 条 件 の 下 で,保有期間が t以上であることが観測された 条件付確率を以下の式で表す . え更新行動予定が買い替えや破棄の場合,その他の保有自動車については保有予定期間がその 取り替え更新行動時期以降という意向であると解釈し,次の取り替え更新行動予定が追加購入 P r [T2 :t l T三ν ] =型 S ( v ) の場合,全ての保有自動車について保有予定期聞がその取り替え更新行動時期以降という意向 ( 6 . 2 ) であると解釈し ,各保有自動車につい て保有予定期間の特定を行 った.よ って,第 l回調査時 点で保有されている各自動車の保有予定期 間は,次の取り替え更新行動予定が当該自動車に関 同様に,保有予定期間については,第 l回調査時点の各保有自動車に関して,保有予定期間 する買い砕えか破 棄 でかつ 取 り 替 え 更 新 行 動 予 定 時 期 が l年未満, 1年から 2年 , 3年から 4 が第 l回調査から l年未満, 1年 か ら 2年 , 3年から 4年という形の有限期間で表されるケース 年の J 易-合には有限期 間で表されるのに 対して,次の取り 替え更新行動予定が当該自動車以外の と,下限のみを持つ半有限期間として表されるケースが存在する.保有予定期間が第 l回調査 買い替えか破来の場合 , あるいは追加購入の場合,取り替え更新行動予定日寺期が 5年以上の場 時までの期間,円以上という条件の下で,保有予定期間が t lから t 2 までの期間であることが観 u には保有予定期品 │j が下限のみを持つ半有限期間として表される. 分析に別いたサンプル数は 2. 6 8 8台分の保有予定期間 測された条件付確率を以下の式で表す. および同数の保有期間に関するデー タである.これらのサンプルのうち, 565 台 ( 2 1%)について実際に買い替えや破棄が行われ S ( tl ) -S ( t2) S ( ν ) p r [ t 2>T三訂収 t l I た. 一方,残りの 2, 1 2 3台 (79%) の自動車については,第 2 回調査時においても世帯が保有 ( 6 . 3 ) しており,保有期間に関しては第 2回調査時点までよりも長いという情報のみが得られた. 存時間解析手法を用いた分析においては,このような,保有期間が完全に観測できないケ 保有予定期間が第 l回調査時までの期間 ,V,以上という条件の下で,保有期間が f以上の期 ースを含んだ形であってもバイアスを生じさせること無くパラメ ータの推定が可能である .今 間であることが観測された条件付確率は,実際の保有期間の場合と同様に式 ( 6 . 2 )で表される . 後,より長期 的なパネル調貨を 実施することによ り,完全 な保有期間データを得られる可能性 保有期間,及び保有予定期間を表す確率分布形としては指数分布,ワイブル分布, 一般化ガン が高まりモデルの推定精度の向上も考えられる. マ分布,対数ロジスティック分布,対数正規分布 ゴンペルツ分布等 複数の確率分布形の適 用 が 考 え ら れ る も の の , 自 動 車 保 有 期 間 に 関 す る 前 章 で の 分 析 結 果 よ り , 本 章では保有期間, 6 . 3 自動車保有期間・保有予定期間同時モデルの概要 本研究では,世帯が保有する自動車の保有期間と保有予定期間の双方を生存時間として捉え, 及び保有予定期間のいずれにもワイブル分布を適用した分析を行う.生存 時間モ デルに影響を 及ぼす要因をモデルに取り入れる方法として,比例ハザードモデルと加速モデルの 2つの方法 がある.前章 ではハザード関数の比率に関 する制約を避けるため加速モデルを用 いた分析を行 生存時間解析手法を適用した分析を行う . 66 6 7 った も の の , ワ イ ブ ル 分 布 を 適 用 す る 場 合 に は 加 速 モ デ ル と 比 例 ハ ザ ードモデ ルは 一致する . ル,および保有予定期間モデルのハザード関数は以下の式で、 表される . 本章では以下のハザード関数を用いて要因をモデルに取り入れることとする. 九( f u │XA)=YJ b y fl 叫 h ( μ)=f 1 Y1 - 叫 s X ) (- μ 同一 自動車に関する実際の保有期間と保有予定期間との問の 相 関 を 考慮するために , 本 研 究 l I ( 九t ( 6. 4 ) ただし , yは形状パラメータ , s はパラメ ータ ベクトル ,X は影響要因のベクトルを表す . ( sX一 九 ) ( 6 . 6 ) ただし ,ha,hb, はそれぞれ保有期間モデル,および保 有 予 定 期 間 モ デ ル の ハ ザ ー ド 関 数 を 表 す . o i n tmodelを適用した場合 の 尤 度 関 数 は 以下の式で表される. 以上より, massp で は 保 有 期 間 と 保 有 予 定 期 間 に 共 通 の 非 観測 異 質 性 の 存 在 を 仮 定 したモデル化を行う. st a t e dp r e f e r e n c e) 調査と RP ( r e v e a l e dp r e f e r e n c e) 調 査 の回答聞 同ー の被験者に対する SP ( 喜 久 に存花する共通の非観測異質性や , パ ネ ル 調 査 に よ る 複 数 時 点 で の 同 ー の交通行動に関する回 L= ( i k │ 川 答 間 に 存 在 す る 共 通 の 非 観 測異 質 性 を モ デ ル に 取 り 入 れる方法として,これまでの研究では、 ( 6 . 7 ) i s t r i b u t i o n model と mass p o i n t modelが用い られ てきた (Heckman and W i l l e s,1 9 7 7 ; に mlxlOg d , . l1 9 8 7 ;Uncles,1 9 8 7 ;K itamuraandBunch,1 9 9 0 ;Meurs,1 9 9 3 ;Abdel-Atye ta . l,1 9 9 5 ;西 Dunne ta 井他 ,1995;杉 恵他 , 1 9 9 6 ) . mixingd i s t r i b u t i o nmode1は非観測異質性が何らかの分布形を持つと n a s sp o i n tmodelでは非観測異質性を有限個の離散点によ って表現する. 仮定するのに対して, r ただし ,f aお よ び 孔 は 保 有 期 間 の 確 率 密 度 関 数 , お よ び 生 存 関 数 を 表 し ,Sbは保有予定期 間 そのため,分布形に関して前もって仮定を設ける必要がない.非観測異質性について理論的に α , は当該自動車が第 2回 調 査 時 点 ま で に 手 放 さ れ て い る 場 合 に し の生存関数を表す.また ,d 分 布 形 を 仮 定 で き な い 場 合 ,あるいは非観測 異質 性 が 複 数 の セ グ メ ン ト と し て 捉 え る 事 が 可 能 それ以外の場合に Oをとるダミー変数 ,db は 保 有 予 定 期 間 が 有 限 期 間 で 表 さ れ る 場 合 に し そ な場合には, massp o i n tmodelの適用が効果的であると考えられる.本研究では自動車保有期間 れ以外の場合に 0をとるダミー変数を表す . に関する i l t, ; 育 問の 異 質 性 は , 常 に 新 車 を 購 入 し 2, 3年 保 有 す る 毎 に 次 々 と 買 い 替 え を 行 う 世 帯 や i台の自動車をスクラップに なるまで 長 く 保 有 す る 世 帯 の 存 在 な ど , 正 規 分 布 等 の 確 率 分 布 に従うというよりは自動車保有期 間 に 対 す る 異 な った傾向を持つ複数のセグメントとして捉え る事が可能であると考え , massp o i n tmodelを適用したモデル化を行う. 6 . 4 推定結果 6 . 2で述べたデータに対し, 6 . 3で 述 べ た モ デ ル を 適 用 し て パラメータを推定した.推定に用 いた説明変数の定義を表 6-1に , 得 ら れ た 推 定 結 果 を 表 6-2に示す.モデルは保有期間と保 massp o i n tmodelにおいては ,要因パラメータの定数項が確率的に有限個の離散値をとること 異 質 性が J個の離散点によ って表現されると仮定する場合には, によって表現される .非観測j 以下の式が成り立つ. 有予定期間のいずれのモデルにおいても 2つ の 離 散 点 を 持 つ massp o i n tによるものである . 2であるのに対して,非観測 異質性を考慮 非観測異質性を考慮しない場合の最終尤度は・ 5257. .3 と な っ て お り , 両 モ デ ル 問 の ど 値 は 9 2 . 6 (自由度 3) と, 1%の した場合の最終尤度は・ 5211 有意度で非観測異質性を考慮することでモデルの推定精度が向上していることが示された.ま ヱ Pj= 1 , j=l 1=~らと いう帰無仮説に対する f 検定値は保有期間においては 19 , 36 ,保有予定期間におい た , δ ( 6 . 5 ) Pj>0,j= 1 , 2, . ・ ・, J ては 3 4 . 3 8 といずれの場合においても棄却される.よって非観測異質性は保有期間,および保 有予定期間の両者に影響を及ぼしていることが示された. 同様に 3つの離散点を持つ massp o i n tmodel を推定した結果,最終尤度は 2つ の 離 散点を持 ただし, !-うは非観測異質性が j 番 目 の 値 を と る 確 率 を 表 す . こ の 確 率 は 全 サ ン プ ル 中 で 各 々 の o i n tmodelと比較して 1 0 . 0向上した .これ はど値で 2 0 . 0 (自由度 3) となり,統計的 つ massp 値 を と る セ グ メ ン トの構成比率を表すも のと解釈することが可能である. に有意なものである .しかしな がら, 3番 目 の 離 散 点 を と る 篠 率 が 0. 026と 3%未満という結果 ここで,非観測異質性がとる j番 目の値が保有期間 モ デ ル お よ び 保 有 予 定 期 間 モ デ ル に お い 異 質 性 が j番 目 の 値 を と る 場 合 の 保 有 期 間 モ デ て,それぞれん ,8 h jで表されるとすると,非観測l 68 とな り, 2 つの離散点でほぼ全体の非観測 異質性が説明でき ていることが示された.よ って本 o i n tmodelの結果の解釈を行つ. 章で は 2つの離散点を持つ massp 69 表 6-1 説 明 変 数 の 定 義 定義 笠 宮 ム 自動車属性 2 ドアクーペ スポーツカー ユーティリティ車 年間定行距離ダミ一 車齢 中古 I!( リース,社用唯 表 6-2 自動 車保 有期 間 お よび 保 有 予 定 期 間 同 時 選 択 モ デ ル 1:車種が 2 ドアクーペの時, 0:そ れ 以 外 の 時 1:車槌がスポーツカーの時, 0 そ れ 以 外 の 時 1:卓種がパン, トラック,スポーツユーテイリティの時, 0:そ れ以外の時 1:年間走行距離が 1 5, 000mil e以上の時, 0:そ れ 以 外 の 時 購入時の車齢 1:中占卓として購入された自動車の時/ 0 そ れ 以 外 の 時 1:リース車,あるいは社用車の時, 0 そ れ 以 外 の 時 保有期間 Coe. f 保有予定期間 t st at . Coe. f 自動車属性 2 ドアクーペ 0. 1 5 7 3 .1 5 . 81 0 . 0 4 0 0 1 .7 9 ス ポ ー ツカ ー 0 . 1 17 2. 2 8 0 . 1 4 1 2 . 8 3 0 . 3 4 ユ ーテ ィリ テ ィ車 0. 1 57 3. 16 0 .292 6. 49 2. 06 0 .244 5 . 07 ー 0 .299 7. 03 車齢 0. 0 15 1 .8 3 ー . 3 3 0. 0 15 2 中古車 ー 0. 72114 . 7 4 0. 3 9 2 8 . 7 9 5 .05 リー ス , 社用 車 0421 .47 ー 1 .1 ー 0. 58211 .66 7 . 3 5 ー 0. 1 0 9 2 . 3 5 0. 9 6 年間走行距離ダミー 0. 8 7 。。 。 世帯属性 供ダミー 1:世帯内に子供がいる時, 0 そ れ 以 外 の 時 保有台数 世帯が保有する自動車台数 1:賃貸住宅に居住している時, 0: そ れ 以 外 の 時 賃貸住宅ダミー 駐車場ダミー 1:世帯が保有する敷地内に駐車可能の時, 0 そ れ 以 外 の 時 1:世 帯 の 年 間 収 入 が $1 25, 000以上の時, 0 そ れ 以 外 の 時 高収入ダミー メインドライパー属性 保有台数 0 . 0 5 1 1 .22 0 . 1 12 3. 0 7 0. 21 7 6. 6 7 6 . 9 8 年齢 賃 貸 住 宅 ダ ミー 0. 1 0 2 2. 1 2 0 . 323 7 . 3 8 48 3. 駐車場ダミ ー 0. 1 1 9 2 . 3 4 ー ー 0 . 326 6. 73 2 . 9 4 高 収 入 ダミ ー 0. 352 6 . 7 3 . 6 4 0. 028 0 5 . 59 自営業ダミー セールスダミー (実数) 1:職業が自営業の時, 0 それ以外 の時 1:職業が外回りのセ ー ルスの時, 0: そ れ 以 外 の 時 也 世帯属性 子供ダミー メイン ドライバ ー属 性 はじめに, 8 lは 保 有 期 間 と 保 有 予 定 期 間 の い ず れ の 場 合 に も & よ 1 と & を 比 較 し た 場 合 ,δ 年齢 0. 017 5 . 2 7 0 . 0 0 4 7 2. 1 7 3. 36 自営業ダミ ー 0 . 2 1 5 4 . 1 9 0. 0082 0 .20 3. 29 ー 0 . 0 9 5 1 .77 ー 0. 280 5. 40 4 2. 異質性は正の相関を持つことが り 大 き く な っ て お り , 保 有 期 間 と 保 有 予 定 期 間 に 関 す る 非 観 測l セ ー ル ス ダ ミー ぶされた . す な わ ち , 実 際 の 保 有 期 間 か 保 有 に 関 す る 意 向 か に 関 わ ら ず , 保 有 す る 自 動 車 を 長 δ! く保イ fし よ う と す る セ グ メ ン ト と よ り 頻 繁 に 買 い 替 え を 行 お う と す る 2つ の セ グ メ ント の存 在 ~ 788 と 0. 212 と 推 定 さ れ た . こ が 篠 認 さ れ た . また,非観測! 異 質 性 が 各 離 散 点 を と る 確 率 は 0. ν z れ よ り , サ ン プ ル の 自 動 車 の 約 80%は平均 よ り 長 く 保 有 さ れ る 傾 向 が あ るの に 対 し て 約 20%の 動車は、fL均より保布期間が短くなる傾向があることが示された . 形状パラメータの推定結果を見ると,保有期間の場合には 1 .317,保 有 予 定 期 間 の 場 合 に は 1 . 6 6 4 と准定された . いずれの値も lに 対 し て 有 意 に 大 き く 保 有 期 間 と 保 有 予 定 期 間 の 両 者 に . 8 . 8 2 2688 -5257. 6 L ( s ) 5 2 11 .3 * 356. 6( 3 3) 9 2 . 6( 3) め=叫ザ手 exp( 九) ただし , い 0 牢本 81( 二8 以外 の全 て の パ ラ メ ー タ を 0に 固 定 し た 場 合 の 尤 度 2)およ び γ 本本牢 共通の非観測異質性の存在を仮定しない ( δ1=~)場合の尤度 + Ho : δl二 ゐ ++ Ho : Y= 1 +++ Ho :弘二日b 保 有 期 間 の 場 合 と 保 有 予 定 期 間 の 場 合 の 両 方 に つ い て リ ー ス ,社 用車ダミーが有意に負の値を示しており,保有期間の方が保有予定期間よりも絶対値が大きい . 70 1 .664 2 5. 52+1- L(sc )“. 保布期間は保有予定期間に比べて時間依存性が低いという結果が得られた . この結果は保有予 説明変数について見ると 1 .313 1 .313 5389 . 6 ー 2 [ L (臥 ) ・ L(戸 ) ]( dt ) と考えられる. 6 . 5 7 01 9 . 3 6 サ ンプ ル数 L( C)“ 間の形状パラメータより小さく , そ の 差 は 統 計 的 に 有 意 で あ る こ と が 確 認 さ れ た . すな わ ち , 決定に影響を与えているため,結果的に保有期間の時間依存性が低くなることを意味するもの 4 . 5 2 4 34. 48 + 十 L(日 ) J( d η 2 [ L ( C )ー 存性を持たない安因が,保有予定期間の決定の│僚にも考慮されていた要因に加えて保有期間の 7. 767 . 8 9+ 1 .317 9 γ 正 の 時 間 依 存 性 が 確 認 さ れ た . しかしながら ,保 有 期 間 の 場 合 の 形 状 パ ラ メ ータ は 保 有 予 定 期 定 期 間 の 決 定 の 際 に は 考 慮 さ れ て い な か っ た 世 帯 属 性 の 変 化 や 予 想外 の 環 境 の 変 化 等 , 時 間 依 6 . 8 8 9 7 1 リース卓や十上 f F J卓はより安価に買い答えが行われるために,保有予定及び実際の保有期間のい れた実際の保有期間と調査によって回答を得た事前の保省予定期間のデータを川いて自動車保 ずれについてもその期間が短くなることを示しているものと考えられる .実際, リース車の場 有期間と保有予定期間の両者をモデル化した.自動車保有期間の決定に対しては,予め予定し 合には . fめ設定されたリースの期限が来ると買い替えや破棄が行われる可能性が高い.今回の ていた予定要因と事前には予定していなかった予定外要因の両方が影響を与えると考えられる 推定に用いたデータには残念ながらリース期間に関する情報が含まれていないためそのような のに対して,保有予定期間には両要因のうち,予定要因のみが彩響をうえているものと考えら 可能性を検証することは不可能であった . しかしながらリース車はその他の自動車とは全く違 れる.よ って,両モデルを比較することによ って保有期間に及ぼす予定要閃と予定外要因の影 った保布期間分布を持つ可能性があるため, 響を分離することを試みた. リース車を除いてモデルの再推定を行った結果, 表 6-2とほぼ同 一の結果が得られた .一方,十分なサンプル数が得られなかったため,リース さらに,自動車保有行動に 影響を 及ぼすと考え られる ,ステイタス シンボ ルや ライフスタイ 事のみを対象としたモデルは推定できなかった .近年,自動 車保有の形態として 初期投資額の ルといった観測困難な要因を考慮するために, massp o i n tmodelを適用し ,複数の潜在的なセグ 少ないリース契約による形態が増加傾向を見せており,今後の自動車保有行動を考える上でリ メントの存在を仮定した分析を行 った. ース車の特殊性を十分考慮した分析が必要とな ってくるものと考えられる. 米国カリフォルニア州で得られたパネルデータに 基づくモデルの 准定結果よ り, リース市や 中古車ダミーも保有期間と保有予定期 間の両者で有意に負の推定値が得られてお り,保有期 社用車,中古車は保有期間が短くなるという結果が得 られた.これ らの結果は前 章での回顧デ 間の};が保有予定期間より絶対値が大きい.保有期間と保有予定期間の聞の推定値の差は,中 ータを用 いた得られた知見と整合的なものであり,本章でその影響が改めて確認される結呆と 古車が保有を予定していた 期間よ りも短い期間し か保有されないことを示しているものと考え なった. られる .すなわ ち 中古車は故障等の予期しなかった要因により実際の保有期間が短縮される 可能性があること を意味するものと考えられる. 年間走行距離ダミーは保有期間と保有予定期間の両者で有意に負の推定値が得られてお り, その推定値は保有期間と保有予定期間で差がない .すなわち,年間走行距離が長く,利用度の 非観測異質性に関する推定結果からは,自動車保有行動に関してほぼ 2つのセグメントが存 在すること,および非観測異質性はに保有期間,および保有予定期間の両者に 影響を 及ぼして いることが示された.また,サンプルの自動車の約 80%は平均より長く保有される傾向がある のに対して約 20%の自動車は平均より保有期間が短くなる傾向があることが示された. 高い自動車は短い保有期 間を予定されており,実際にも保有期間が短くなることを示している 形状パラメータの推定結果からは,保有期間と保有予定期間のいずれにも正の時間依存性が + r期間の場合に負の推定値を持っている一方で,保有予定には影響を与え 存在するものの,保有予定期間の決定の際には考慮されていなかった世帯属性の変化や予定l 、 外 ていない . こ の 結 果 は 収 入 は 将 来 の 自動車取り替え更新行動予定には影響を与えないものの, の環境の変化等,時間依存性を持たない要因が,保有予定期間の決定の際にも考慮されていた 高収入世情ではより早い買い替 え等 の予定変更を容易に行うだけの金銭的余裕があるため,実 要因に加えて保有期間の決定に影響を与えているため,結果的に保有期間の時間依存性が低く 際の保有期間はその他の収入世帯に比べて早くなるという可能性を示していると考えられる . なることを意味する結果が得られた. 向収入ダミーは保 散後に,メインドライパーの年齢は保有期間と保有予定期間の両者に有意に正の影響を持っ 本章の分析では,第 5章の分析と同様に,同一世帯が保有する各自動車を独立なデータと仮 ており,保有期 間の方が推定値の絶対値は大きい . この結果はメインドライパーが年齢が低い 定して分析を行った.世帯問の非観測異質性のうち 保有期間と保有予定期間で相関を持つ 部 場合には,ライフステージや自動車保有行動に影響を及ぼすその 他の要因が変化しやすいため, 分については今回のモデル化でも非観測異質性として考慮されているものの,保有期間のみ, n動車の 買い替えが頻繁に行 われることを示すものと考えられる. あるいは保有予定期間のみに影響を及ぼす非観測異質性については今回のモデルでは考慮され ていない.そのような非観測異質性の影響は本章での massp o i n tmodel を用 いた分析手法を拡 6 . 5 結語 張することで理論的には考慮可能である. しかしながら,推定計算が不安定になる可能性もあ 章では ,前 章で、分析で、懸念 された回顧調査による問題点を回避し,より精微なモデルの構 筑 を 目 的 と し て パ ネ ル 調 査 に よって得ら れたデータを用いた自動車保有期間の分析を行った. 通常,パネル調査の期間は自動車保有期間よりも短いことが多く,パネル期間中の自動車取り り,その ような拡張は今後の課題である. また,今回の推定では時間依存性はサンプル問で共通としたものの,こ れについても異質性 が存在することが考えられる.この点に関するモデルの拡張も今後の課題である. 答え更新行動のみを用いてモデ ル化を行う場合には,取り替え更新行動が観測されないケース も含めた形でモデルの推定を行う必要がある.本章ではこのような観測の打ち切りを含むデー タを用いて効率的にパラメータを推定する方法を構築した. また .自動車保有期間に及ぼす影響要因の構造 を把屡するためにパネル調査によ って観測さ 72 73 第 7章 第 6章 参 考 文 献 属性の変化による影響と取り替え更新行動聞の相互影響を考 慮した世帯の自動車取り替え更新行動の分析 Abdel-Aty,M. A .,Kitamura,R . and J o v a n i s,P .P .( 1995) 1 n v e s t i g a t i n gt h ee f f e c t oft r a v e lt i m e r a n s p o r t a t i o n v a r i a b i l i t y on r o u t ec h o i c eu s i n g repeated-measurement s t a t e dp r e f e r e n c ed a t a,T ResearchRecord ,N o .1 4 9 3,p p .3 9 4 5 . 7 .1 概 説 従来から,世帯の自動車保有に関する分析は数多く,裁が同においても ライフサイクルス . S. ,B r o w n s t o n e,D.a n d Golob,T .F .( 1 9 9 5 ) A dynamic f o r e c a s t i n gs y s t e mf o rv e h i c l e Bunch,D テージが自動車保有に及ぼす影響を分析したもの(森地他, 1984;佐佐木他, 1986) や,買い m a r k e t sw i t hc l e a n f u e lv e h i c l e s, World T r a n s p o r tR e s e a r c h,Proceedings 0 1the 7th World 替えのつながりを表わす保有系列という概念を用いた分析 (青島他 , 1991;石田他 1994)が行 Conlerenceれ 。 TrαnsportReseαrch,Vo. 11 、p p .1 8 9 2 0 3 . われている. しかしながら,前者の分析においては, 1 断面における自動車保有状態をモデル Dunn,R .,R e a d e r,S .a n dW r i g l e y,N .( 1 9 8 7 )A n o n p a r a m e t r i ca p p r o a c ht ot h ei n c o r p o r a t i o no f 化の対象としてお り,世帯のライフサイクルステージの変化,及びそれに対応する自動車保有 r αnsportation h e t e r o g e n e i t yi n t or e p e a t e dp o l y t o m o u sc h o i c em o d e l so fu r b a ns h o p p i n gb e h a v i o r,T 状態の変更が時間軸上でどのような関係となるのかについての分析が不可能である. 一方 ,後 R e s e a r c hA,Vol .2 1A(4 / 5 ),p p .327-343 者の分析においては時間軸を考慮した分析が行われているものの,定量 的なモデ jレ構築までに ., . F Kim,S .andRen,W.( 1 9 9 6 )Howhouseholdsu s ed i f f e r e n tt y p e sofv e h i c l e s :as t r u c t u r a l Golob,T d r i v e ra l l o c a t i o nandusagemodel,T r a n s p o r t a t i o nRe s e αr ch,Vol .30A, No.2,p p .1 0 3 1 1 8 . Heckman,J.J . andW i l l i s,R .( 1977)A b e t a l o g i s t i cmodelf o rt h ea n a l y s i sofs e q u e n t i a ll a b o rf o r c e p a r t i c i p a t i o nbym a r r i e dwomen, J o u r n a l0 1Po/iticalEconomy,Vol .8 5,p p .275 8 . は至っていない.安藤他 (1997) は最近引越しを行った世帯を対象として,住宅立地の郊外化 が自動車複数保有化に及ぼす影響を分析している.この分析では,離散選択モデルを適用し自 動車保有状態の変化をモデル化しているが,住宅立地の変化と自動車保有状態の変化の時間的 な関係については考慮されていない. K itamura,R .andBunch,D.S .( 1 9 9 0 )H e t e r o g e n e i t yands t a t edependencei nhouseholdc a ro w n e r s h i p : 本研究は,ある時点における世帯の自動車保有状態は,それまでの佐帯の自動車取り答え更 Ap a n e la n a l y s i su s i n go r d e r e d r e s p o n s ep r o b i tmodelsw i t heπorcomponents,1 n :Koshi,M.( e d . ) 新行動の結果である,との観点(Kitamura,1992) から ,時間軸上における世帯の 自動車取り替 T r a n s p o r t a t i o nandT r a f f i cTheory, E l s e v i e rS c i e n c eP u b l i s h i n g, NewYork, p p .477・4 9 6 . え更新行動の分析を行うことを目的とするものである.その際,生存時間解析手法 (Hensherand Meurs, H. ( 1993) A p a n e 1d a t as w i t c h i n gr e g r e s s i o n model of m o b i l i t y and c a r ownership, T r a n s p o r t a t i o nRe s e a r chA,Vo. l27A,p p .46ト4 7 6 . 1987) A b e t a l o g i s t i c model ofmode c h o i c e : Goodness off i t and i n t e r : t emporal U n c l e s,M. D. ( r a n s p o r t a t i o nResω r c hB,Vol .21B(3), p p .1 9 5・2 0 5 . dependence,T 久文, 1 1 1本俊行 北村降 一 (1999)保有意識の因果構造を考慮 した自動車保有選好モデル,土 6,p p .5 5 3 5 6 0 . 木計画学研究・論文集, No. 1 杉恵頼寧, 7長峻 ~It ,藤原章正 (1996) Mass P o i n t手法により非観測異質性を考慮した交通機関 選択のダイナミックモデル,土木計画学研究・論文集, No.1 3,p p .6 2 3 6 3 2 . 西井和夫,北村隆 一,近藤勝直,弦間重彦:観測されていない異質性を考慮した繰り返しデー タに関するパラメータ推定法 MassP o i n tModelと MixingD i s t r i b u t i o nModel,土木学会論 Mannering,1994) を適用する事に よって,取り替え更新行動モデルを構築する .生存時間解析 手法を自動車保有に適用した分析としては, ManneringandWinston( 1 9 9 1 ),G i l b e r t( 1 9 9 2 ), d e Jong( 1 9 9 6 ),Hensher( 1 9 9 8 )の研究がある.これらの研究では,自動車保有行動の時間依存性や, 保有車種,世帯属性,個人属性が自動車保有行動に及ぼす影響が定量的に把居されているもの の,各自動車の保有期間や複数回の自動車取り替え更新行動が独立にモデル化されており,そ れらの相互影響は考慮されていない. 時間軸上において,複数回の自動車取り替え更新行動を世帯が行う場合,それらの取り替え 更新行動は独立に行われるわけではなく,互いに大きな影響を及ぼしているものと考えられる. また,世帯の状態変化が自動車取り替え更新行動に与える影響は,その種類,時期によ って, 非常に大きいものと考えられる. Kitamura ( 1 9 8 7 )を始めとする自動車保有状態のパネル分析で は,複数時点問での保有台数や自動車利用の聞に遅れ効果や状態依存効果等の影響の存在が明 O.5061 N,pp.25-33,1995 文 集 ,N らかとなっている.さらに, Kitamura ( 1989)では,属性値の変更を表す変数を説明変数 に加え た加えた分析を行っており,世帯内の免許保有者数や世帯収入に関して 増えた場合と減った 場合ではその影響が異なるという結果を得ている. しかしながら,生存時間解析手法を適用し たこれまでの研究ではこのような属性値の変化による影響は十分考慮されていない.本研究で は,直前の取り替え更新行動や世帯の状態変化が,次の取り替え更新行動に与える影響を明示 的に考慮した分析を行いその影響を明らかにする. 74 7 5 7 . 2 時間軸上での世帯の自動車取り替え更新行動 また,時点 世帝の白動車取り替え更新行動は,買い替え,追加購入,買い替えを伴わない売却 ( 以降で f まで事象が発生していないという条件下で時点 fの瞬間に事象が発生するとい う条件付き確率密度を表わす,ハザード関数 h ( t )は,以下の式で長わされる. は,破棄と呼ぶ ) の 3極頒の行動からなり,それらの行動結果として,自動車保有台数は,そ れぞれ,現状維持, 1台増加, 1台減少となる(図 7-1).自動車を保有する世帯には,これ 中 >. T l T~ f)_ f ( t ) ( t )= ~~rq -. ¥+~t . _ .. . -さ -t i - - ./ =一一 ~t S ( l ) ら 3極須の白動車取り替え更新行動の可能性が同時に存在する.本研究では,世帯は取り替え 更新行動を行う│時期,および,その種類を選択することで ( 7 . 2 ) 自動車保有状態を変更させていく ものと考える.世佑:が複数の自動車を保有している場合,買い替え,破棄については,どの自 ただし ,j (t ) は確率密度関数を表わす.ハザード関数と生存関数の関係は,以下の式で表わされ 動車を手放すかについての選択も含まれる .図 7-1 に示されるように,世帯における自動車取 る. り替え更新行動は,個々の自動車の保有開始時期と保有期間の積み重ねによって表現すること が可能である. 時) =αP { ー か(t)dt} 本研究では,世帯の取り替え更新行動間隔を生存時間と捉え,生存時間解析手法を用いた自 動卓取り替え更新行動の分析を行う .その際 の考え方を適用し 取り替え更新行動種類の選択に関して競合危険 競合危険モデルによって取り替え更新行動をモデル化することによって, 取り答え更新行動の種類 ( 7 . 3 ) 及び行動時期を同時に予測することが可能となる . 本研究では,世帯の取り替え更新行動として,買い替え,追加購入,破棄の 3種類の行動を 考え,それらが生起する確率が同時に存在するものとする .生存時間解析手法では,このよう な,事象を生起させる複数の要因を競合危険と呼ぶ .それらの競合危険が互いに独立であると 仮定することにより,ハザ ー ド関数 h ( t ) は,以下の式で示されるように線形和によって表わす • ことが出来る. 惨 〕 自動車 1 守 ヱ(hrk(t)+hdk(t))十九 (t) 1 動車 2 自動車 3 h ( t )= や 4 • さ • ただし, h r k( t ),h d k (t ) ,ん ( t ) はそれぞれ,保有自動車 kの買い替え,破棄,および,追加購入を 時間 表わすハザ ー ド関数である.世帯の自動車取り替え更新行動の生存関数 S (t ) は,式 ( 7 . 3 ), ( 7. 4 ) より ,式 ( 7. 5)に示すように,各取り替え更新行動の生存関数の積で表わすことが出来る . - ・ ー :各自動車の保有期間 と ( 7. 4 ) :世帯としての取替更新間隔 日{Sr k( 取 ら (t) }xSa (t ) S ( t )= 図 7-1 時間軸上での自動車取り替え更新行動 7. 3 自動車取り替え更新行動モデル ( 7 . 5 ) ただし ,S r k (t ) ,S J k (t ) ,S a ( t )はそれぞれ,保有自動車 kの買い替え,破棄,および,追加購入に 取り替え更新行動間隔を表わす確率変数を Tで表わすと , Tがある一定の経過期間 f以上で 関する生存関数であり 以下の式で表わされる. ある確率を表わす,生存関数 S ( t )は以下の式で表わされる. S ( t ) = p r ( Tミ t ) =1 F ( t ) ( 7 .1 ) ただし ,F( t )は累積分布関数を表わす. 7 6 77 久k ( 1 )=以 p { -f~ hk t ) d t } r( 川)=以P { -i:hk t ) d t } d( S rt (ーら Ix s b │ f o, tkk)=rH l ││ k1S r1 ( Xk) 0- 川 k) ( 7 . 6 ) ×川ム)!× 人( t )=exp{-f~ 九 (t ) d t } よって , ~LJ:点 t に各々の取りを与え更新行動を行う確率密度関数 !,.k(/) ,j ム( t ),! a ( t )は,以下の式 ただし ,t ; :は kは保有自動車 kの購入時点を表わし ,t s : 1 ) ( 7 . 9 ) 0 '以前に行われた最後の取り替え更新行動 時点を表わす .以上より,尤度関数は以下の式で表わされる. で表わされる. ん( t )=h t ) S ( t ) k r( f d k( t )=h t) S ( t ) d k( ん( t )=h a( 伊( t ) f I 1~1 h " . , L= ( 7 . 7 ) X L (. ¥ 8 (一九 Xk) k r"St げ . St ( 0ー らI X) • rK X r(/r k/ ' " h d1 (-tk ) ら × r r k 1 S d1 (ーら I Xk) ↓ S dt ( 。ーら I Xk)r ( 7 . 1 0 ) (-1zI x ) xh at (一仁 t 'x at S a ( t ot z l x) 各取り替え更新行動を表わす分布としては,指数分布,ワイブル分布, 一般化ガンマ分布, 対数正規分布,対数ロジスティック分布等の複数の分布を適用する事が考えられる.本研究で は,第 3章での結果に基づき,ワイブル分布を適用し,ハザード関数を以下のように定式化し ただし, た. . 8 巾 d d k,えはそれぞれ,自動車 kの買い替え,破棄,および,追加購入が行われた場 合 1,それ以外の場合 0 をとるダミー変数を表わす.観測終了時点においても,いずれの取り 替え更新行動も行われていない場合, 3つのダミー変数を全て 0 とすることで表現することが ん( t )=Y r t Yr -1 e x p ( 一丸Xk ) h d k ( t )=Y d t y ,, I問 ( s d X k ) 可能である . ( 7 . 8 ) Ya 九( t )=γ。t -1e xp( -s a X) 7 . 1 0)より,尤度関数が各取り替え更新行動のハザード関数,および,生存関数の積によっ 式( て表現されていることから,未知パラメータの推定に際しては,各取り替え更新行動毎に,別々 に最尤推定を行うことが可能である . これは,競合危険が互いに独立であるとの仮定を設けて ただし, χ, χ"χ,は時間依存性を表わす未知パラメータであり, 1 より大きい(小さしつ場合, いる事により可能となっており,各競合危険間での相関を考慮する場合には,このような准定 ハザード関数は時間とともに増大(減少)するため,取り替え更新行動の時間依存性を考慮する 方法を用いる事が出来ず,推定コストが非常に大きくなるものと考えられる. ns 山 , ことが可能である.また ,s sは未知パラメータベクトル ,X,Xkは説明変数ベクトルを ( l 7 . 8 )において ,tは各取 り替え更新行動の基準時点からの経過時間を表 わしており, 表わす .式 ( 買い答え,破棄については当該向動卓の購入時点,追加購入については最後に取り替え更新行 7 . 4 説明変数の時間軸上での変化の考慮、 7. 3での定式化では,説明変数ベクトルは時間の経過によっても変化しない事を暗に仮定して 動が行われた時点を基準時点とした.観測l 開始時点 1 0において,既に各取り替え更新行動の基 いるが,これを拡張し,時間の経過と共に値が変化するような説明変数 (時間依存性説明変数) 準時点から時間が経過していることを考慮し ,o tまでに,取り替え更新行動が行われていない をモデルに導入することが可能である .時間依存性説明変数を含む説明変数ベクトルの時点 t という条件付き確率を用いて における値を 観測開始時点からの取り替え更新行動の生存関数を以下の式で X( t )とすると,式 ( 7 . 3 )は以下の式となる. 4 交わす. S(t)= 叫~Jンz(tIX(t ) } i t } 7 79 ( 7 .1 1) 入する.ここでは,最後に行われた取り瞥え更新行動のみが次の取り 答 え更新行動に 影響を与 えるものと考え説明変数として用いることとした. ただし,時間依存性説明変数を説明変数ベクトルに導入するにあた り,時間の経過に伴う変数 値の軌跡が fの関数 ここで,ある時点での世帯の状態変化や取り答え更新行動が影響を 与 えるその時点以降の期 とな らない場合 には,右辺の積分が解析的に求ま らないため,数値積分等 間については,適切な減衰関数を当てはめ,減衰に関する未知パラメータを推定することによ を行う必要がある. 期間中に世帯の状態が変化した場合,状態変化によ って取り替え更新行動 本研究 で は,観測l って表現することが可能となると考えられるが,木研究では,次節で示すように,分析に用い を行う維 ユ 十 三が変化するものと考え,時間依存性説明変数として,以下の式で表わされるような, るデータが高々 1年間の観測期間から得られるサンプ jレであるため, 1年以内の減衰は無いもの 連続時間軌 上 の離散時点、で、 変数値が瞬間的に変化する形の変数を導入する . として推定を行っている. Xo 05 :t<t, X( t ) X, t ,~t<t2 ( 7 . 1 2 ) 7 . 5 データの概要 本研究で用いるデータは,低公害自動車の需要予測を目的として, 1993年および 1994年に米 Xn t n三t 国カリフォルニア州で実施されたパネル調査 (Bunch,e ta , . 1 1996) で得られたものである.第 l 回調査,第 2回調査ともに回答した世帯は 2, 857世帯であった . 式( 7 . 1 2 )で 表 わ さ れ る 説 明 変 数 ベ ク ト ル を モ デ ル に 導 入 し た 場 合 の 生 存 関 数 s ( t )は , 式( 7 .1 1) 第 l回調査では,その時点での世帯属性と,世帯で現在保有している自動車と過去に保有し ていた自動車それぞれ 6台までについて,車種,購入時期,購入時新車か中古車か等について よ り 以下の式で表わされる. 回答を求めている.第 2回調査では,第 l回調査時点以降の世帯の自動車取り替え更新行動に ~S (ti+, jX j S ( 収n ) 中 ( t ) )=S ( t, j x,) xり 功I│XI)×sOn│xn) ),/ ( 7. 13 ) ついて,その種類,および時期(月単位)等について詳細な質問が行われた.また,世情属性, 世帯構成員の属性の変化についても,その時期(月単位)を含め,回答を求めている. 第 l回調査,第 2回調査の両調査ともに,コンピュータを利用した電話調査で,被験者の世 上式において,右辺は,説明変数値が一 定な値を取る期間毎に分割することで,時間依存性 帯属性に応じて高度にカスタマイズされた質問内容を用いることによって,詳細で効率的なデ 説明変数を合まない説明変欽ベクトルによる,条件付き生存関数の積によって表現されている. ータ収集が実施されている.このような調査を行うことによ って,第 l回調査から第 2回調査 よって,未知パラメータの推定に際しては,各期間毎に,別々のケ ースとして取扱うこ とで , までの世帯変化と取り替え更新行動について │時間依存性説明変数を含むことなく,解析的に生存関数を算出し,最尤推定を行うことが可能 することが可能である. 本研究では,第 i回調査と第 2回調査の聞の期間を観察期間とし,観察期間における自動 である. t(( 5 :tくん I)まで取り替 取り替え更新行動と,それに影響を与える属性の時間軸上における変化に関するデータを用い り替え更新行動が行われる条 て分析を行う.分析には,パネル調査のサンプル世帯のうち,データ に不備のない , 1, 882 世 Xiにのみ影響を受け,時点 帯についてのデータを用いた.なお,観察期間中に取り替え更新行動を行った世帯は全体の約 このような形で、時間依存性説明変数をモデルに導入した場合,時点 え吏新行動が行われていないという条件下で,時点 件付き{確率密度(ハザード関数) は,その時点 fの 瞬 間 に 取 fでの説明変数値 f までの説明変数値の軌跡、や状態の変化があった事そのものは ,取 り替え更新行動に直接影響を 与えない.つまりモデル上は,時点 以降の条件付き確率関数は,時点 月単位でそれらの順序も含めて完全な形で把握 f までに取り替え更新行動が行われなかった場合の時点 f f までに説明変数値に変化があったか否かに関わらず,同ー 35%,654世帯であった.取 り替え更新行動の内訳は ,買い替え(1回)が約 38%,新規購入 ( 1回) が約 33%,破棄(1回)が約 19%であり,複数の取 り替え更新行動を行っている世帯も約 10%存 在した . となる .そこで,世,;若に関する説明変数として,状態を表わす説明変数に加えて ,その状態に 変化が生じたことを表わす(状態が変化する以前は 0,状態が変化した以降は lをとる)ダミー変 7 . 6 推定結果 数 を モ デ jレに導入することによって,世帯の状態の変化がそれ以降の自動車取り替え更新行動 7 . 5で述べたデータを用いて推定を行 った結果を表 7一 lに示す.推定に際しては ,各取り替 に与える 影 響を明示的にモデルに導入する .ま た,ある時点での取り替え更新行動がそれ以降 え 更 新 行 動 毎 に 別 々 に 最 尤 推 定 を 行 っ た . い ず れ の 推 定 に お い て も , サ ン プ ル 世 帯 数 は し 882 の取 り替え史新行動に与える影響を考慮するために,各取り替え更新行動が行われたことを表 世帯と共通であるが わすダミ一変数を,世帯の状態変化を表わすダミ一変数と同様に,説明変数としてモデルに導 となる取り替え更新行動間隔が取り替え更新の前後に観測される事,および複数保有世帯にお 80 8 1 観測期間中に取り替え更新行動を行った世帯についてはモテソレ化の対象 いては同 ーの期間に 買い答えと破棄の生存時間が台数分観測されること,説明変数が変化し よって,追加購入を行った場合には,それ らの需要が継続される ,あるいは白動車の台数が多 たケースについては説明変数の変化した前後で別のケースとみなして推定を行ったことから, い事に慣れてしまうため,破棄が行われる可能性が低いのに対して,破棄を行 った場合には, 買い替えと破棄については, 5, 574ケース,追加購入については 2, 887ケ ース のサンプ jレとなっ 世帯は保有台数が多かった時の経験を持っているため, ている. 増加させる可能性が高い事が推測される . このような結果は の推定結果から,買い砕え,追加購入については正の時間依存性を持つこと 表 7-1 よ り,r もう 一度追加購入によ って保有台数を 自動辛保有の非可逆性とも関述 するものと考えられるため,更なる検討が必要であると考えられる. が統計的に示された.これは,当該自動車の保有期間が長くなるほど買い替えを行う確率が高 くなること,および,最後の取り答ぇ更新行動時点からの経過期間が長くなるほど追加購入を 行う催準が高くなることを示している.一方,破棄については γ lに対する t値 が 統 計 的 に 有 表 7-1 推 定 結 果 二 怠ではなく ,時間依存性の仔在が確認されなかった.このことは,破棄については,自動車の 保イ7 兆円問とい った時間依存性を持つ要因よりも,世帯属性や自動車属性等の時間依存性を持た ない要因や,事故や故障等の確率的要因が大きな影響を与えていることを示しているものと推 測される 説明変数の推定結果について,表中では,説明変数の推定値が正(負)である場合 ,取 り替え 更新行動間隔が長く(短く)なることを表わし ,競合 危 険 の 考 え 方 か ら は , 当 該 取 り 替 え 更 新 行 動が行われる確率が他の取り答ぇ更新行動に 比べて低く(高く)なることを意味している .大人 の人数については,大人の人数が多いほど ,買 い替え行動 までの期間が長く,追加購入と破棄 までの期間が短くなるという結果が示された.このことは,大人の人数が多い世帯では,冒い 替えに比べて追加購入や破棄を行う可能性が高くなることを意味している .また, 大 人 の 人 数 が地えた場合には,追加購入の期間が短く,破棄の期間が長くなることが示された .このこと は,大人の人数が増えた場合には,新たに加わった大 人のために自動車の追加購入を行う可能 性が高く,反対に破来を行う u J能性が低くなることを意味しているものと考えられる .反対に, 大人の人数が減 った場合 には,追加購入の期間が長くなることが示されており,大人の人数が 減った場合には,追加購入を行う可能性が低くなることを意味しているものと考 えられる. 供の人数については,新規購入の期間が短くなる事が示されている 一方,子供の増加によ って ,新規購入の期間が長くなる事が示されている . このことは,子供の増加によって,追加 的な自動車の購入需要が高まるものの,子供の増加直後には新規購入は行われず,結果として 新規購入が時間的遅れを伴って行われる事を意味するものと考えられる .賃貸住宅への引越し を表わすダミ一変数の推定結果が買い替えにおいて負の値となっている事から,住宅立 地の変 吏によって,保有向動車を変更する傾向のある事が示された . また,過去の取り答え更新行動の影響を表わすダミー変数の推定結果より,保有自動車の買 、詳えが行われた場合には次の買い替えあるいは破棄の期間が長くなることが示されている . このことから,保有自動車の買い緯えが行われた場合には, 説明変数 Y 定数項 世 帯属 性 大人数 子供数 運転者数 常勤者数 パート勤務者数 賃貸住宅ダミー 大人増 世帯属性変化 大人減 子供増 賃貸住宅引越 ハン 自動車属性 トラ ック スポーツカー ワゴン 車 中古車 リース 社有車 保有自動車数 取り替え更新行動買替ダミー 破棄ダミー 新規購入ダミー L(の 牢 本 L(s ) χ 2( dり 世帯数 新規購入 買い替え 破棄 . . Coef . t 値 Coef t イ 直 d 直 Coef . 9 4 0 . 8 9 1 . 1 0 2 . 0 2 1 .36 5 . 0 9 0 5 . 3 7 6 . 1 5 6 . 5 3 2 . 5 2 3 . 0 1 ー 0. 40 2 . 2 3 ー 0 . 2 3 0 . 2 6 2 . 3 6 ー 0 . 1 3 0. 45 2. 40 0 . 2 1 2 . 5 1 0 . 3 3 3 . 5 5 0 . 3 1 2 . 3 5 . 5 2 0 . 4 5 2 . 6 4 0 . 3 9 2 0 . 5 2 1 .59 ー 0 . 3 4 1 .70 0. 48 2 . 0 8 .72 0 . 5 0 1 0 . 6 5 2. 2 6 0 . 7 3 1 .8 8 . 2 6 1 .1 9 0 . 2 5 l .3 1 0 0 . 3 8 l .3 3 0 . 6 1 1 .36 3 . 9 6 2 . 9 7 ー 0 . 6 1 ー 0 . 3 7 4 . 1 4 1 .0 1 4. 2 1 ー 0 . 5 5 ー 1 .30 1 .30 0 . 2 3 3 . 1 6 0. 3 3 3 . 7 6 0 . 3 7 3 . 9 8 . 2 5 1 .30 . 1 1 0 0 . 5 8 3 0 . 5 1 . 6 4 3. 90 0 . 3 8 2 0 . 8 9 2 . 3 3 1 5 1 1 1 2 2 1 ー1709 1 4 7 7 1 1 8 7 ー 1 6 7 1 6 8 . 7 4 ( 9 ) 7 4 . 5 2 (1 2 ) 67. 96 ( 1 2 ) 1882 1882 1882 国 Y二 lに対する t値 本 本本 y,および定数項以外の全てのパラメータを 0とした 時の尤度 他の保有自動車の買い替えや破棄 の時期を延期することを意味するものと考えられる .一方,破棄と新規購入の相互関係につい て見ると,新規購入が行われた場合には破棄の期間が長くなっているものの,破棄が行われた 場合には,新規購入の期間が短くなっている.このことから , 自動車に対する追加的な需要に 82 8 3 第 7章 参 考 文 献 7 . 7 結語 本研究では,時間!軸上における仕骨子の自動車取り答え更新行動を分析することにより,世帯 における自動車保打併造の犯慢を目抱した.その際,生存時間解析手法を適用することによっ て,取り答え更新行動の極矧および時期について,連続時間軸上で同時に予測することを可能 deJong,G. ( 1 9 9 6 )A d i s s a g r e g a t e model system ofv e h i c l eh o l d i n gd u r a t i o n,t y p ec h o i c e and use, T r αn s p o r t a t i o nRese a r c h,Vo. l30B,No.4,pp.263・276. C .C .S .( 1 9 9 2 )A d u r a t i o nmodelofautomobileownership,T r a n s p o r t a t i o nR e s e a r c h,Vo. l26B G i l b e r t, とした . 世帯の自動宅取り瞥え更新行動を,買い答え,追加購入,破棄からなる競合危険ととらえ, No.2,p p .9 7 1 1 4 . 競合危険モデルを用いて自動車取り替え更新行動の分析を行った結果,複数の取り替え更新行 1 9 9 8 ) The t i m i n g ofchange f o r automobile t r a n s a c t i o n s : competing r i s k mult i s p e l l Hensher,D. ( 動問での相互影響を定量的に捉えることが出来た .本研究でのモデルの定式化は個々の自動車 .,Hensher,D.,Jara-Diaz,S .( e d s . )T r a v e lBehaνi o u rR e s e a r c h . s p e c i f i c a t i o n,1 nO r t u z a r,J .0 保有期間モデルと整合的な形となっており,これまでに構築された自動車保有期間モデルによ /Plαy,ElsevIer,Amsterdam,pp.487-506 U p d a t i n gt h eS t a t e0 って得られた 知 見 を そ の ま ま 自 動 車 取 り 替 え 更 新 行 動 モ デ ル に 反 映 さ せ る こ と が 可 能 で あ る . また,説明変数として,世帯の状態を表わす変欽に加えて,世帯の状態に変化が生じたことを 表わす変数を導入することによって,世帯の状態の変化が自動車取り替え更新行動に与える影 . andMannering,F .L .( 1 9 9 4 )Hazard-basedd u r a t i o nmodels andt h e i ra p p li c a t i o nt o Hensher,D.A 廿a n s p o r ta n a l y s i s,T r a n s p o r tReview,Vo. l1 4,p p .6 3 8 2 . K itamura,R. (1987) A panel a n a l y s i s ofhouseholdc a rownership andm o b i l i t y ,P r o c e e d i n g ぷ o fL he Japaη S o c i e t yo f C i v i lE n g i n e e r s,No.383/ 1V-7, p p .1 3 2 7 . 響についても抱握することが出来た . 特に,過去の取り替え更新行動の影響に関する推定結果より,自動車に対する追加的な需要 K itamura,R.(1989)Theasymrnetryoft h echangei nhouseholdc a rownershipandu t i l i z a t i o n:ap a n e l に よ っ て 追 加 購 入 を 行 い 保 有 自 動 車 が 増 え た 場 合 に は , そ れ ら の 需 要 が 継 続 す る か , 自動車の nt h e1 n t e m a t i o n a lA s s o c i a t i o nf o rT r a v e lBehaviour( e d . )T r αv e lB e h a v i o u rR e s e a r c h, a n a l y s i s,1 第数が多いことに慣れてしまうため,破棄によって再度保有自動車を滅らすという行動が行わ Avebury ,Aldershot,England,p p .186・1 9 6 . れにくいのに対して,破棄が行われて保有台数が減少した場合には,保有台数が多かった時の K itamura,R. (1992) A review ofdynamic vehicle holdings models and a proposal f o rav e h i c l e 経 験 を 持 っ て い る た め , も う 一 度 追加 購 入 を 行 っ て 保 有 台 数 を 増 加 さ せ る 可 能 性 が 高 い こ と が r o c e e d i n g soft h eJapanS o c i e t y01C i v i lE刀g i n e e r s, No.440/IV・1 6,p p . 1 3 2 9 . t r a n s a c t i o n smodel,P ぶされた.これらの結果は自動車保有の非可逆性を示すものであり,将来の自動車保有に対す る施策を立案するヒで一旦複数保有が進展すると , 保 有 さ れ た 自 動車 を 減 少 さ せ る こ と は 非 常 に凶難であるということを意味するものと考えられる . しかしながら , 本 研 究 で は , 全 世 帯 に 対 し て 同 じ 構 造 の ハ ザ ー ド 関 数 を 適 用 し て 分 析 を 行 っ ており, !止借問の異質性は全て,説明変数によって反映されているものとして取り扱っている ものの,自動車保有行動は ,合理的経済的判断だけでなく,ステイタスシンボルやライフスタ イルとい った 観 測 困 難 な 要 因 に 影 響 を 受 け る . そ の た め , 買 い 替 え 性 向 の 激 し い 世 帯 と , 同 ー の臼動車を寿命まで来り続ける世帯をモデル上で再現するためには ,通常の社会経済属性を説 明 変 数 と す る だ け で は 十 分 で は な い . 第 6章 で は , 自 動 車 保 有 期 間 の 分 析 を 行 う 際 に , こ の よ うな非観測異質性を考慮するためにマスポイン ト手法を用いた分析を行っている.本研究への . and Winston,C .( 1991)Brand l o y a l t yandt h ed e c l i n eofamericanautomobile f i r m s, Mannering,F B r o o k i n g sPapersonEconomicA c t i v i t y ,M icroeconomics,p p .67・1 1 4. 青 島 縮 次 郎 ・磯 部 友 彦 ・ 宮 崎 正 樹 (1991) 世 帯 に お け る 自 動 車 保 有 履 歴 か ら 見 た 自 動 車 後 数 保 有 化 の 構 造 分 析 , 土 木 計 画 学 研 究 ・ 論 文 集 , No.9, pp. 45・52. 安 藤 良 輔 ・ 青 島 縮 次 郎 ・ 伊 藤 正 経 (1997) 地 方 都 市 圏 に お け る 住 宅 立 地 条 件 が 自 動 車 保 有 に 及 ぼす影響に関する分析,交通工学, Vol .32,No.2,p p .27-36 石 田 東 生 ・ 谷 口 守 ・ 黒 川 洗 (1994) 世 帯 に お け る 利 用 特 性 か ら み た 自 動 車 の 分 類 に 関 す る 一 考 察 , 第 29回日本都市計画学会学術研究論文集, pp. 97-102 佐 佐 木 綱 ・ 朝 倉 康 夫 ・ 木 村 宏 紀 ・和 田 明 (1986) 世 帯 の ラ イ フ サ イ ク ル ス テ ー ジ と 車 保 有 ・利 用の関連分析,第 2 1回日本都市計画学会学術研究論文集, pp. 439-444 森 地 茂 ・ 田 村 亨 ・ 屋 井 鉄 雄 ・ 金 利 昭 (1984)乗 用 車 の 保 有 及 び 利 用 構 造 分 析 ,第 1 9回 日 本 都 市 通則は今後の課題である . その他,説明変数として,内生変数である取り替え更新行動ダミ ーを用いていることに関し 4 . 計画学会学術研究論文集, pp. 49・5 て 検 討 す る 必 要 が あ る こ と , 各 競 合 危 険 聞 の 相 関 を 考 慮 す る 必要がある 事 , お よ び, 低 公 害 動車の普及台数予測!といった政策面での応用を可能とするために,マクロレベルでの社会経済 指標等をモデルの説明変数として導入する必要があるものと考えられる. 4 85 第 8章 車検制度が自動車取り替え更新行動に及ぼす影響の分析 を行っており,自動車利用による外部不経済性を税制によ って内部化した場 合 の 自動車保有・ 利用水準に関する予測を行っている.林らの 一連の研究 ( 林他, 1997,1998 ;林-加藤, 1998) では環境に対する影響の抱援のために自動車関連税制や卓検制度の変更に対する 二酸化炭ぷ排 8 .1 概 説 近年 , 自動 宅排 出 ガス に よる地球規模での環境に対する影響が大きな問題となっている .従 出量の推計を行 っている.谷下他 (1998),逮藤他 (1999) の研究でも自動車関連税制の変更に 来は騒音や 振動 といっ た局 地的な環境問題が主 流であ ったが,近年では排出ガスに含まれる 二 よる自動車保有・利用に及ぼす影響の分析が行われている.これ らの集 計分析は,自動車市場 般化炭素に よる地球温暖化が注目を集めている. 1997年には京都市にて地球温暖化防止京都会 との相互作用をも含んだ形で自動車関連税制と世情の自動車保有・利用行動との関係を記述し COP3) が開催され,先進国の温室効果ガスの排出抑制の数値目標等, 2000 年 以 降 の 地 球 議 ( たものである. しかしながら,世帯が l年毎に自動車の保有に関して独立な意思決定を行 って 温 暖化対策の国際的な枠組についての議論が行われている .その中でも交通分野からの 二酸 化 いるという仮定や,車齢によるコーホートによって車齢毎に 一定の買い答え確率が設定されて 炭 素排出 に関する抑制策の実施が不可欠であることが確認されている . おり,税制や車検制度の変更によっても買い替え確率は変化しないという仮定が置かれている 自動卓排出ガスを抑制することを考えた場合,いくつかの方法が考えられる . 1つは自動 等,集計化のための個々の世帯の行動の簡略化が行われている . さらに 平均的世帯を用いて 定行台キロを減少させるという方法であり,交通需要管理施策等は主に自動車交通の発生を抑 母集団を 代 表させる研究では,自動車保有行動に関する世情問の異質性が全く考慮されない. 制することによ って走行台キロを減少させようとするものである .道路の拡幅や線形の改良, このような集計分析の枠組みでは,税制や車検制度が実際の個々の世情の自動車取り替え更新 ノてイパス道路の新設等により走行速度を改善しようとする,交通円滑化施策も lつの方法であ 行動に及ぼす影響が十分モデル化されていない可能性がある. る.もう lつの万法として,より低燃費で低公害な自動車への転換を促し,これ までと同 レベ ルの利用状況下で排出ガスを減少させるという方法がある . 排出原単位を減少させることに関連して,多くの国では,車両検査制度を導入することによ 本章では,前章によって構築した非集計モデルによる世帯の自動車取り答え更新行動モデル を拡張し,車検制度による影響を考慮可能なものとし,車検制度の変更が位帯の自動車取り替 え更新行動に及ぼす影響を非集計レベルで把握することを目的とする.本章での分析結呆は, って,自動車車両に備え付けられた排出ガス浄化装置が正常に機能しているかを検査し,正常 日本とは反対に,近年車検制度を導入しようとする国々や制度の強化が図られている国々に関 に機能していない車両については修理させることによって,排出レベルを低く保つ努力がなさ しても知見を提供するものと考えられる . れている. 米間では,環境保安庁 ( USEn v i r o n m e n t a lP r o t e c t i o nAgency)に よって 1992年に Enhanced1 1 M ( ins p e ct i o nandmaintenance)法が公布されて以降,いくつかの 州で 車検制度が導入されており, 1 年から 2年 wの検食が実施されている ( H a r r i n g t o ne ta , . l 2000). ヨーロ ッパで もいくつかの 国 8 . 2 モデルの概要 本章では,前章で構築した世帯の自動車取り替え更新行動モデルを拡張し 車検の存住を衣 す変数をモデルに取り入れた上で,車検制度の変更が世帯の自動車取り替え更新行動に及ぼす で同校の車検制度が導入されており,フランスでは新車は 4年 , 新車以外は 2年毎の 車 検 を 受 影響を把握する.前章では,米国カリフォルニア州でのデータを用いた分析を行っており, さがある.検査は環境負荷の観点以外にも安全性の観点からブレ ーキテスト 等 の 検 査 も ける必 2 検制度が存在していないため周期的な影響を及ぼす要因をモデルで考慮する形となっていない. 行われている ( UnionTechniquedel ' A u t o m o b i l e,duMotocyclee tduCycle(UTAC)). 本章では,我が国の自動車取り替え更新行動時期の決定の大きな要因と考えられる車検制度が ーでは,車検制度は世情の自動車取り替え更新行動を規定する大きな要因の一つである . 及ぼす影響を,時刻によ って値が変化する, 時間依存性共変量の形で前章で構築した競合危険 唯検制度の下では,新車は 3年,それ以外の場合には 2年毎の車検を受ける 必要がある. 車 検 モデルに取 り入れ る. また,第 4章で構築 した 車種選択モデルの推定結果から計算される官し 時には平均 1 3万円の費用がかかるため ,車検が近づくにつれ世帯は自動車を買い替えるか ,車 替えや追加購入の期待効用を説明変数として導入することにより,自動車市場の変化による自 検を受けるかという意思決定を行っている .実際,車検前には多くの買い替えが見られる . 動車取り替え更新行動への影響を考慮したモデルを構築する. 近年,政府による規制緩和の流れに基づいて ,車 検 制 度 も見 直 しを迫られている.その際, 車検制度のような周期的に自動車取り替え更新を促すような要因を生存時間モデルに取り入 司王検制度の変更が自動車保有行動にどのような影響を及ぼすかという観点から車検制度を評価 れる場合,前章で構築した p a r a m e t r i c なモデルの他に, Cox 回帰とも呼ばれる s em i p a r a m e t r i c なモデル (Cox,1972) を用 いる ことが考え られる .生存時間モデルでは する必要があるものと考えられる . 従来, ド検制度や燃料価倍といった要因の変化による自動車保有 -利 用行動に及ぼす影響の I 分析としては, して比例ハザードモデルを用いることにより 共変量の導入方法と ハザード関数を以下の式で表す. 主に集計的な分析が行われてきた.森杉らの 一連の研究 ( 森杉他 , 1990,1995a, 1995b;上田他, 1998)では,セに受益者負担の観点から自動車関連税制j の公平性に関する分析 6 h ( μ)=h o (巾xp(-s X ) 87 ( 8 . 1) ん( t )= y( t+t y , 1e x p { -s r X k( t ) } k . , ただし ,h o ( t )は 全 て の 説 明 変 欽 が Oの時のハザード関数であり,基準ハザード関数と呼ばれる. ー "( t+t k Y一lexp{ーん Xk(t)} h t )=y d k( 九(t)=yu(t+んy o -1e x p { -s aX :( t ) } ( S. 4 ) . J p は 未 知 パ ラ メ ー タ ベ ク ト ル ,Xは説明変数ベクトルである. parametncな モ デ ル を 構 築 す る 場 合 に は , 基 準 ハ ザ ー ド 関 数 と し て 何 ら か の 確 率 分 布 を 仮 定 し た 推 定 を 行 う の に 対 し て , semlp a r a m e t r i c なモデルを構築する場合には,基準ハザード関数に関して特定の確率分布を仮定せ ず , 以 下 の 部 分 危 度 関 数 を 最 大 化 す る こ と に よ り 要 因 の 影 響 を 規 定 す る 未 知 パ ラ メ ータベクト ただし, , . y Y c " ル , sを批定する. ベクトル, Y uは時間依存性を表わす未知パラメータであり ,s ns d 's uは未知パラメータ X ( t ),X k ( t )は時間依存性共変量を含む説明変数ベクトルの時点 Iでの他を表わす. また ,t k , んはそれぞれ自動車 kが購入されてから調査が開始されるまでの期間,および,耳元 x J PL n_exp( 一 戸 二 ω 。 ) ヱ 叫(-βx 後の取り替え更新行動から調査が開始されるまでの期間を表す. ( 8 . 2 ) k) ただし, D ( t ) は時点 fに事象が生起したケースの集合, 時 間 依 存 性 共 変 量 を 含 む モ デ jレの生存関数 ,S ( t ), は 以 下 の 式 で去される . ← 仰 t - s ( R(t) は時点 t の 直前のリスク集合(~ f ;h ( u) d u} =白 exp~ れk(U)dU} 白 exp~ f;hd u) d u}exp~ f> a ( u同 } k( 象が生起していないケースの集合)を表す.分子は実際に事象が生起したケ ースのハザード関 ( 8 . 5 ) 数 を , 分 母 は リ ス ク 集 合 に 含 ま れ る 全 ケ ー ス の ハ ザ ー ド 関 数 の 和 を 表しており ,分子分母を 基 准ハザードで除することによって上式が導かれる . すなわち, semi-parametric な モ デ ル で は , 生 存 時 間 そ の も の よ り も 共 変 量 が 生 存 時 間 に 及 ぼ 以 上 よ り , 時 間 依 存 性 共 変 量 を 含 む 場 合 の 対 数 尤 度 関 数 は 以 下 の 式 で 表される . す影響に関心がある場合に有用な分析手法である.周期的な影響を及ぼす要因がハザ、 ー ド 関 数 に及ぼす効果は法、 准 ハザードの時間変化としてモデルで考慮されるものの, semi-parametric な 計,klnh'k(t) 1h'k(u)du} + 卦dklnh"k(t) 仏 (u) d u}+~a 川 什 w刈 LL= モ デ ル で は , 基 準 ハ ザ ー ド 関 数 が 定 量化 さ れ な い た め に , そ の よ う な 周 期 的 な 影 響 の 大 き さ や ( 8 . 6 ) ,)' i J )切 の 変 化 を モ デ ル で 定 詰 的 に 予 測 す る こ と が 出 来 な い . よ っ て 本 章 で は , 前 章 で 構 築 し た parametnc な モ デ ル の 枠 組 み を 用 い , 周 期 的 な 影 響 を 時 間 依 存 性 共 変 量 と し て 説 明 変 数 ベ ク ト ただし, ルに取り入れることで周期的な影響の定量化を行う. 基 本 的 な モ デ jレの構造は前章でのモデルと同じである .時点 tまで取 り替え更新行動を行っ て い な い と い う 条 件 下 で 時 点 fに 世 帯 が 取 り 替 え 更 新 行 動 を 行 う 条 件 付 確 率 密 度 を 表 す ハ ザ ー ド関数, h ( t ), は , 各 保 有 自 動 車 の 買 い 替 え , 破 棄 , お よ び 追 加 購 入 に 関 す る ハ ザ ー ド 関 数 の 和 8 . 巾 8d =は そ れ ぞ れ , 自 動 車 kの 買 い 替 え , 破 棄 , お よ び , 追 加購 入 が 行 わ れ た 場 k, 8 合 1, そ れ 以 外 の 場 合 0 をとるダミー変数を表わす. 車検がハザード関数に及ぼす影響は,時刻と共に増加と減少を繰り返すものと考えられる. すなわち,車検時期が近づくにつれ,買い替えや破棄を行う確率を高め,車検時期が過ぎれば 買い替えや破棄を行う確率を減少させるものと考えられる.よって,車検制度が買い替えと破 として以下のように表現される. 棄に及ぼす影響は,以下の式で表されるように,次の車検までの期間の関数で表される時間依 h ( t)=ヱ仇 ( t ) +h " k( t) } +h u( t ) ただし, 存性共変量として表現できるものと考えられる. ( 8 . 3 ) X t )=gr k( Sk-t ) r k( X d k ( t ) =g d k ( S kt ) h k r( t ), h d k( l ),九(1)はそれぞれ,保有自動車 kの 買 い 替 え , 破 棄 , お よ び , 追 加 購 入 を 表わすハザード関数である.本章での分析でも としてワイブル分布を適用した分析を行う. ( 8 . 7 ) 前章と同様に基準ハザード関数の確率分布形 ただし ,X r k (t ) ,X d k () t は そ れ ぞ れ 自 動 車 kの 買 い 替 え と 破 棄 に 対 す る 車 検 制 度 の 影 響 を 表 す 時 r l・ , ) 間 依 存 性 共 変 量 ,g g d k (・)は車検制度の影響を定量化する関数, S kは自動車 kの 次 の 車 検 89 更 新 時 期 に 影 響 を 及 ぼ す こ と が 篠 認 で き た と 考 え られる. 時期を点す . これらの関数を先験的に定式化するに足る理論的知見はないと考えられるため,本研究では, はじめに事検までの期間に基づく複数のダミー変数を時間依存性共変量として導入しパラメー タの推定 を行う .次 に,パラ メータの推定結果か ら適切 な関数〕診を 決定し ,説明変数として いて再度パラメータを推定することにより最終的な推定結果を得るという方法を適用する . 14 1 2 10 4 口A、 8 . 3 データの概要 ノド章では ,京都市民を 対象として 平 成 9年 と 平 成 1 0年に実施されたパネル調査である 「京 都市民の交通行動についての調査」で得られたデータを用いたモデルの推定を行う .本パネル 調 査 の 第 l同 調 作 の デ ータは 第 4章 で の 分 析 に 用 い た デ ータである.第 l回調査と第 2回調査 8 6 4 2 。 。 2 4 6 8 10 のいずれにも[Pj 答を寄せたサンプル数は 1 , 1 3 7世帯(回収率 35.9%) であった . 1 2 14 16 1 8 20 22 月 第 l回 調 査 で は , そ の 時 点 で 世 帯 が 保 有 し て い る 自 動 車 に 関 す る 属 性 や 世 帯 属 性 ,メインド 図 8-1 買 い 替 え や 破 棄 か ら 次 の 車 検 時 期 ま で の 期 間 分 布 ライパー属性等について回答を求めている .また, 第 2回調査では第 l回調査 以降の 自動車取 り替え更新行動の時期,および種類について解答を求めている . 9 4 モデルの推定に用いたサンプル数は,第 l回 調 査 時 点 で l台 以 上 の 自 動 車 を 保 有 し て い た 8 世帯のうち,データに不備のない 7 0 9世帯である .709世 帯 が 第 1回調査と第 2回調査の間に 8.4 推 定 結 果 8 . 3で 述 べ た デ ー タ を 用 い て 自 動 車 取 り 替 え 更 新 行 動 モ デ ル の 推 定 を 行 った .推定に際しては, 行 っ た 自 動 車 取 り 替 え 更 新 行 動 の 分 布 を 表 8一 1に 示 す . 表 8-1より, 7 09世帯のうち, 1 0 5 第 4章で構築した車種・メインドライパ一選択モデルによって推定されたパラメータを用いる [ ! そ 帯 ( 約 15%) が 何 ら か の 取 り 替 え 更 新 行 動 を 行 っ て い る こ と が 分 か る .一方 ,大多数である ことにより,次回の自動車取り替え更新行動によって自動車が購入されることによる期待効用 04計, ; ? i( 約 85%) の 世帝は第 l回調査時と第 2階 調 査 時 で 自 動 車 保 有 状 態 が 全 く 変 化 し て い を ログサム変数 の形で算出し ,説明変数とし て 加 え て 用 い た . こ の 期 待 効 用 は 取 り 替 え 吏 新 後 ない.生存時間解析手法では,このような大多数が打ち切りを受けたケースからなるサンプル の 全 保 有 自 動 車 に よ る 効 用 で あ る . す な わ ち , 取 り 替 え 更 新 行 動 後 に 複 数 台 保 有 す る こ とにな に 対 し で も バ イ ア ス の な い パ ラ メ ー タ の 推 定 が 可 能である. る世帯については,取り替え更新行動によっても手放されない自動車の属性等の影響を受ける . よって, 1台 保有世帯の買い替え時の期待効用 ,追加購入時の期待効用, 2台保有世帯の買い倭 表 8-1 第 1回調査と第 2回 調 査 の 間 に 行 わ れ た 取 り 替 え 更 新 行 動 の 分 布 買い替え 世帯数 ( % ) 7 2 ( 1 0. 2 ) 破棄 追加購入 1 0 4 ) ( 1. 2 3 ( 3 . 2 ) なし 合計 6 0 4 ( 8 5 . 2 ) 709 ( 1 0 0 . 0 ) え時の期待効用を別々に算出しそれぞれ説明変数とした. 8 . 2で述べたように, 車検時期の影響を表す関数形を予め決定する線拠は希薄である .よって, はじめに,車検までの期間に基づいて表 8-2に 示 す ダ ミ ー 変 数 を 作 成 し 時 間 依 存 性 共 変電と して導入しパラメータの推定を行う. 向動車取り替え更新行動時期と車検時期との関 係 を 確 認 す る た め に , 買 い 替 え と 破 棄 が 行 わ れた 8 2f iの自動車を対象として,買い替えや破棄が行われた時期から,仮に保有を続けていた とした H 寺の次の事検時期までの期 間 を 算 出 し た 結 果 を 図 8-1に示す . 図 8-1よ り,明らかに車検時期が近づくに つれて 取 り替 え更新が行われる確率が高くなる ことが分かる . この傾向は 車検時期の影響のためではなく , 保 有 期 間 が 正 の 時 間 依 存 性 を 持 表 8-2 車 検 ダ ミ ー 変 数 変数 定義 dl 1: 車検ま で 1ヶ月未満, 0 そ れ以外 d2 1:車 検 まで 1ヶ月以 上 2ヶ月未満 ,0: それ以外 的 1:車 検 まで 2ヶ月以上 3ヶ月未満, 0:それ 以外 d4 1:車 検 まで 3ヶ月以上 6ヶ月未満, 0 それ以外 っているためで あるという説明が可能である. しかしながら,そのような場合には時間の経過 こしたがって(車検時期が近づ、くにしたがって)一定の割合で取り替え更新行動 数 が増 加する 0%以 上 の 取 り 替 え 更 新 行 動 が と考えられるのに対して,図 8一 lでは,増加が一 定ではなく, 6 次 の 車 検 時 期 ま で 6ヶ月以内で行われている . これらの結果より .車検時期 が 自 動 車 取 り替 え 9 0 表 8-3,図 8-2に二れ らダミー変数の係数の推定値を 示す .買い替えに関するハザード 関 数 と 破 棄 に 関 す る ハ ザ ー ド関数のいずれにについても 9 1 全てのダミー変数の係数値が有意に 。 ダ 6 5 車検までの月数 4 3 。 2 1:新 車 と し て 購 入 さ れ た 自 動 車 の 時 0: そ れ 以 外 の 時 1:当 該 自 動 車 の 車 種 が 軽 自 動 車 の 時 0:そ れ 以 外 の 時 1:当 該 自 動 車 の 車 種 が パ ン ・ワ ゴ ン の 時 0: そ れ 以 外 の 時 車検制度の影響を表す関数 車検費用 ( 100, 000 円) ふ(・) 車検費用 表 8-5 推 定 結 果 ミー2 意-3 4 変 -3 数 値 一4 一5 ー5 川、 買い替え Coef . t値 2 . 5 1↑ 1 . 49 7 . 8 9 8 . 2 5 Y 図 8-2b ダミー変数の推定値(破棄 ) 図 8-2a ダミー変数の推定値(買い替え) S L /11 ハ U ハ ツ ハ -U 15J リ 1J 、 11/ 、 6''ve'tv ιznικ J S ' /、 l、 r やお ハU U fli--tfi l-- 、 戸ハOUO ハU tu ' a、 ' F 、 ,'k 、 1/ ・ 、 SEE-4'ι 一一一一 、lg/ 、 -KK 'k r'' 4L 〆'EEI 、 、〆 g& i f 0<Sk - t5 :6 o t h e r w I s e i f 0く s k-t5 :6 o t h e r w i s e ( 8 . 8 ) ( 8. 9 ) 推定に片 jい た 説 明 宏 数 の 定 義 を 表 8-4に , 得 ら れ た 推 定 結 果 を 表 8-5に示す .表 8-5中の 説 明 変 数 の パ ラ メ ー タ の 解 釈 は ,第 7章 の 推定結果に関する解釈と同様であり,推定値が正(負) の 場 合 に は ,当 該 の 取 り 替 え 更 新 行 動 までの期間が短く(長く)なり,他の取り替え更新行動に 比べて当該取り替え更新行動が行われる確率が高く(低く)なることを意味する . はじめに, 1 8才 以 上 の 世 帯 構 成 員 数 1 8歳 未 満 の 世 帯 構 成 員 数 1:年 間 世 帯 収 入 が 1 0 . 0 00 . 0 0 0円 以 上 の 時 0: そ れ 以 外 の 時 世帯が保有する 自動車保有台数 1:1台保 有 世 帯 の 時 0:そ れ 以 外 の 時 次回の取り替え更新行動 に よって自動車を購入することによる期待効用 ダ I-2 値 。 一 = 同 一 。 f 巨検までの月数 6 5 4 3 2 同月一 d 2 d ) d 4 t イ 直 5 . 6 3 4 . 6 8 ー 2 . 8 1 ー 1 .54 M冗一 変数 dj 破棄 Coef . 4 . 9 4 4 . 0 6 3. 1 4 1 .72 ロド- 表 8-3 ダ ミ ー 変 数 の 推 定 結 果 国い符え Coef . t 値 1 2. 7 9 4 . 6 5 1 0 . 1 1 3 . 7 9 6. 6 7 3 . 0 4 2 . 5 0 ー 7 .8 2 円HU 変数 世帯属性 大人数 子供数 高収入世帝 保有台数 l台 保有 期待効用 自動車属性 新車ダミー 軽自動車ダミー ノくンダミー 表す関数として,以下の式で表される関数形を用いる事とした . 凋斗一 一 一一 表 一 l t iに ほ ぼ 一 定 の 割 合 で 値 が 減 少 し て い る こ と が 確 認 さ れ た .よ って , 車 検 制 度 の 影 響 を までの J yの 推 定 値 は 買 い 替 え と 破 棄 に つ い て は 有 意 に lよ り大きく , 買 い 替 え と 破 棄 に 関 し て は 正 の 時 間 依 存 性 が 存 在 す る こ と が 示 さ れ た .ま た , 買 い 替 え よ り も 破 棄 の 方 が 時 間 依 存 性 が 強 い 傾 向 が 示 さ れ た .一 方 , 迫 加 購 入 に つ い て は パ ラ メ ー タ 値 が ほ ぼ lを取っており , 定数項 世帯 属 性 大人数 子供数 高 収入 世帯 保有台数 l台 保 有 期待効用 (1台 保 有 世 帯 ) 自動車属性 新車ダミー 軽自動車ダミー ノてンダミー gk ( ・ ) 車検費用 ( 高収 入 世 帯) L(C)t ) L(戸 χ2( df ) サンプル数 破棄 Coef . t値 1 .9 8 1 .97t 1 5. 1 4 5. 28 追加購入 Coef . t値 ー . 0 1↑ 1 .00 0 41 6 . 3 5 1 3. ー 1 .07 1 .2 3 4. 2 8 2 . 0 2 ー 1 .20 4 . 0 0 3 . 2 4 0 . 0 8 l .1 7 ー 0 . 6 6 2 . 9 3 0 . 8 7 3 . 1 2 0. 32 l .2 1 2 . 0 4 2 . 0 8 ー 0. 49 1 .5 8 1 .2 5 1 .70 司 1 .0 3 ー 1 5 . 7 8 0 . 7 1 3. 42 1 .1 8 1. 90 1 .77 3 . 0 1 1 .0 5 6. 44 2. 97 8 4. 64 6 0 . 6 9 4 7 . 9 0 ( 4) 709 4 1 5 . 2 2 3 1 9. 40 1 91 .6 4 ( 8) 709 1 4 2 . 2 0 1 1 3. 76 5 6 . 8 8( 4) 709 Ho : Y=1 . ↑ I 定数項および y以 外 の 全 ての パ ラ メ ー タ を Oに 固 定 し た 場 合 の 尤 度 時間独立性が示唆される結果となった . 92 義 一 定 一義 σ --片必 ノ ﹄ 、 一 一 a 数 一 変 一 負の他を J 、?っ結果となった.また,車検まで 3ヶ月未満, 2ヶ月未満, 1ヶ 月 未 満 と , 車 検 時 期 9 3 説 明 変 数 の パ ラ メ ー タ の 推 定 結 果 は , 車 検 の 影 響 を 表 す 関 数 ,g k (・ ), の 影 響 が 買 い 替 え と 破 期は彼棄よりも短く,今後も僅かながら複数台保有世帯の増加が予怨される. 棄 の い ず れ に 対 し て も 最 も 有 意 な パ ラ メ ー タ を 持 っ て い る こ と を 示 し て い る .これは 車 検 制 度 が世情の自動 l 存取り倖え更新行動に対して明維な影響を持っていることを表すものであり ,車 表 8-6 現 状 ケ ー ス の シ ミ ュ レ ー シ ョ ン 結 果 検 時 期 が 近 づ く に つ れ て , 買 い 杯 え や 破 棄 を 行 う 篠 卒 が 急 激 に 高 ま る こ と を 意味 し て い る. 買 い替え 480 ( 6 7 . 8 ) 2 2 . 3 ) j,卓検費用については,車検時期との交互作用等の存在についても検討を行ったものの , 取 り 答 え 更 新 行 動 へ の 影 響 は 縫 認 で き ず , 車 検 費 用 と 高 収 入 世 帯 と の 交 互 作 用 の みが有 意 な ノ。 世帯数 ( % ) 平均時期(月 )t 破棄 6 3 ( 8 . 9 ) 1 8 . 6 追加購入 6 5 ( 9 . 2 ) 1 3 . 9 なし 1 0 1 ( 1 4 . 2 ) 合計 709 ( 1 0 0 . 0 ) 2 6 . 6t ラメータを持つとし寸結果が得られた . こ れ は , 高 収 入 世 帯 の 場 合 に は 車 検 費 用 が 高 い ほ ど 買 T平 均 時 期 は 第 l回調査時点か らの経過月数を表す . い答え時期がいくなり ,買 い 替 え る 確 率 が 高 く な る 一 方 で , 世 帯 年 収 1 0, 000, 000円未満の世帯 t 5年 以 内 に 取 り替え更新行動を行わない世'常の平均時期は 6 0ヶ月として算出した. については点検費川の変化 が買 い 替 え 行 動 に 影 響 を 与 え な い ということを 示 す も の で ある.買 表 8-7 車検費用を 50%上 昇 さ せ た 場 合 の シ ミ ュ レ ー シ ョ ン 結 果 い 答 え を 行 う た め に は 次 の 自 動 宅 を 購 入 す る た め の 資 金 が必要であ り,高収入世帯で は購入費 を別立するだけの余裕があるのに対して, その他の世帯ではそのような余裕が少ないために, 車検賀川に対する感度が低いという可能性が考 え られるものの ,明 らか で は な い . 収 入 階層 毎 の自動 Iド取り答え更新行動の相違につい ては 今後も検討を 加える必要があるものと考えられる. 次に, E巨桔選択行動モデルの推定結果を用いて算出された次の取り替え更新行動に伴なう購 入車の期待効用の影響については, 1台 保 有 世 帯 に 関 し て 追 加 購 入 に 有 意 に 負 の パ ラ メ ー タ が 得られた . 追加 購 入 の 説 明 変 数 と し て 期 待 効 用 と は 別 に 大 人 の 人 数 も 考 慮 さ れ て い る た め , こ の結果は,期待効用は位帯情成員数とは独立の影響をもっており, 1 台保有世帯は追加購入に 世帯数 (%) 現状ケースとの差 ( p o i n t ) 平均時期(月 ) t 現状ケースとの差 T平 均 時 期 は 第 買い替え 5 1 1 ( 7 2 . 1) +31 ( +4 . 3 ) 2 2 . 5 +0 . 2 破棄 6 5 ( 9 . 2 ) +2 ( + 0 . 3 ) 1 7 . 7 0 . 9 追加購入 64 ( 9 . 0 ) ( 0 . 2 ) .5 11 -2. 4 なし 6 9 ( 9 . 7 ) -32 ( 4 . 5 ) 合計 709 ( 1 0 0 . 0 ) 2 4 . 7t 1 .9 1回 調 査 時 点 か ら の 経 過 月 数 を 表 す . t 5年 以 内 に 取 り替え更新行動を行わない世帯の平均時期は 6 0ヶ月とし て算出した . よる期待効用が高い場合に追加 購 入 を 行 う 可 能 性 が 高 く な し , か つ 追 加 購 入 の 時 期 が早 まるこ とを広味する . しかしながら, 1台 保 有 世 帯 の 買 い 答 え 時 期 や 2台 保 有 世 帯 の 買 い 替 え , 追 加 i [ / c I入 0 . ) :J~] には期待効 用が及 ぼす影響を 位認できなか っ た. その 他の 説 明 変 数 の パ ラメ ータの准定結果か らは , 新 車 を 購 入 し た 場 合 に は 買 い 替 え ま で の 期間が長くなる傾向にあることや, 1台 保 有 世 帯 や 大 人 の 人 数 が 多 い 場 合 に 追 加 購 入 ま で の 期 間が知くなり追加I 購入が行われる確率が高くなる等,全体として妥当な結果が得られた . 表 8-8 車検期間を 2年から 3年 に 延 長 し た 場 合 の シ ミ ュ レ ー シ ョ ン 結 果 世帯数 ( % ) 現状ケースとの差 ( p o i n t ) 平均時期(月 )t 現状ケースとの差 買い替え 419 ( 5 9 . 1 ) -61 ( 8 . 7 ) 2 5 . 1 + 2 . 8 破棄 5 6 ( 7 . 9 ) -7 ( ー 1 .0 ) 2 2 . 8 + 4 . 2 追加購入 8 2 ( 11 .6 ) +17 十 (2. 4 ) : . 3 1 8 . 4 + L, なし 1 5 2 ( 21 .4) +41 ( +7 . 2 ) 合計 T平 均 時 期 は 第 l回調査時点からの経過月数を表す. 8 . 5 感度分析 倹 ~JIj }交の変更に十ドなう影響を把居するために, 8 . 3で述べたサンプルに 8.4で推定したモデ t 5年 以 内 に 取 り替え更新行動を行わない世帯の平均時期は 6 0ヶ月として算出した . ルを迎刷し,各世帯毎に第 l因調 査 以 降 の 最 初 の 取 り 替 え 更 新 行 動 を モ ン テ カ ル ロ シ ミ ュ レ ー ションによって生成した . シ ミ ュ レ ー シ ョ ン は 第 l回調査から 5年を限度とし, 5年を経過し 車検に係る費用を 50%上昇させた場合,および車検の有効期間を 2年から 3年に延長させた ても f p Jも取 り替え吏新行動を行 わなか った場合に は , 取 り 替 え 更 新 行 動 を 行 わ な い 世 帯 と し て 場合の自動車取り替え更新行動についても同様にモンテカルロシミュレーションによって生成 集計した .なお, 5 年の問には f供 の 成 長等に よる世帯属性の変化が考えられるものの,今回 の シ ミ ュ レ ー シ ョ ン で は 世 帯 属 性 は第 1回 調 査 時 の 値 を 用 い て い る . 今 後 は , 世 帯 属 性 の 変 化 した.結果を表 8-7, 8に示す. 車 検 費 用 が 上 昇 し た 場 合 の シ ミ ュ レ ー シ ョ ン 結 果 を 見 る と , 買 い 替 え を 行 う 世 帯 が 67.8%か の予測モデルを組み合わせてシミュ レ ー シ ョ ン シ ス テ ム を 構 築 す る こ と で , よ り 総 合 的 な 施 策 ら7 2 . 1%へと増加するという結果が得られた .一方 評価が可能となるものと考えられる . シ ミ ュ レ ー シ ョ ン 結 果 を 表 8-6に示す .表 8-6より, 化はない. しかしながら,買い替えをする世帯が増えてお り,増加分のほとんどは現状ケース 約 68%の 世 帯 が 5年以内に買い替えを 行うという結果が得られた.また,破棄よりも追加購 入 では 5年 以 内 に 取 り 替 え 更 新 行 動 を 行 っていなか った世帯であると考えられるため,全体とし を行う世'貯の万がどJ 下ながら多いものの,大きな差は見られない.ただし,追加購入の平均時 ては買い替え時期が早くな っている可能性が考えられる. 94 9 5 買い替えを行う時期に関しては大きな変 ここで,車検費用のと昇により新たに買い替えを行うようになった 3 1( =511-480) 世帯に が同ーの効用関数を有しているという仮定や,全ての世帯が l年毎に保有白動車の更新に関す ついて以下を仮定する.すなわち,それらの世帯は全て,現状ケ ースでは 5年以内に取り替え る意思決定を行うという仮定,卓齢によるコーホートによって決定される買い答え確率が税制 更新行動を行わず, 5年以上たってから貿い替えを行っていたと仮定する .すると,それらの 等によって変化しないという仮定等が用いられてきた.これらの仮定は集計モデルの推定予に 31世帯の買い杯え時期を 60ヶ月とした場合,現状ケースの買い替えの平均時期は 24 . 6二 ({ 2 2 . 3 伴なう制限であり,実際の個々の世帝の自動車取り替え更新行動を点すものとは限らない.本 x480+60x31}/(480+3 1 ) ) となり,車検費用の上昇によって最低 2ヶ月程度,保有期間が短 研 究 で は , 非 集計分析手法による生存時間解析手法を適用することによって,個々の世帝の取 縮されることを示している . り替え更新行動のモデル化を行った.本章での分析結果は,我が固とは反対に近年卓検制度が ノ J,追加購入については,世帯数はほとんど変化していないものの, 2 ヶ月程度の期間の 短縮が示された .ま た,破棄については世帯数,及び,平均時期のいずれもほとんど変化しな 導入されるようになったり,制度の強化が図られている国々に対しでも知見をうえることが可 能であると考えられる. いという結果が得られた.これらの結果を総合し,取り替え更新行動の種類を問わず ,次の取 車検制度が自動車取り 替え更新に及ぼす影響は周期的に増 加と減少を繰 り返すことが与-えら り替え更新行動までの平均時期を計算したところ ,約 2ヶ月間,取り 替え更新行動が早 まる結 れるため,次の車検までの期間の関数として表される 時 間依存性共変量として車検の存在の影 果となった .な お,計算に│捺しては , 取 り替え更新行動を行っ ていない世帯の平均時期を 60 響をモデルに導入した .さ らに,第 4章で構築した車種・メインドライパー選択モデルの准定 ヶ月とした . 結果を用いて次の取 り替 え更新行動による期待効用を算出し,取り 替え更新行動に及ぼす影響 車検期間が 2年から 3年に延長された場合のシミュ レーションか らは,買い替えを行う世帯 の減少が示された .買い替えを行う時期に関しても 約 3ヶ月の延長が示さ れている.ここでも をモデルに導入した. 京都市民を対象としたパネル調査に基づくモデルの推定結果より p 車検制度は世帯の自動車 減少した 61 (=480-419) 世帯を含め て車検期間延長に よる平均時期の変化を検討する.まず, 取り替え更新行動に非常に有意な影響を及ぼしていることを確認した. 車検時期が 6ヶ月以内 それらの 6 1 世帯は全て,車検期間が延長されたケースでは 5年以内に取り替え更新行動を行わ に近づくと買い替えや破棄を行う確率が急激に高まることが示された. 一方,車検費用に関 し ず ,5年以上たってから取り替え更新行動を行うと仮定する .次 に,それらの世帯の買しミ替え ては,高収入世帯のみについて,車検費用が高いほど買い替え時期が早まる傾向が確認 された . 時期を 60ヶ月とする .す ると それらの 61世帯を含めた 480 (=419+61) 世帯について,車 また,次の取り替え更新行動による期待効用が及ぼす影響に関しては, 1台保有世帯につい 検期間が延長された場合の f ド、替えの平均時期は 2 9 . 5( ={ 2 5. 1 x419+ 60x(480-4 1 9 ) }/480) て,追加購入による期待効用が高いほど追加購入の時期が早くなり,追加購入を行う格 率が高 となり,現状に比べて約 7ヶ月程度,買い替え までの保有期間が延長されることを示している. くなることが示された. また , f 政楽,追加購入のいずれについても約 4 ヶ月の行動時期の延長が示された . 取り答え更新行動穐煩を問わない場合の平均時期は約 5ヶ月の延長を示しており,車検期間 推定されたモデルと推定に用いたサンプルに対してモンテカルロシミュレーシ ョンを行うこ とにより,車検制度の変更に伴なう取り替え更新行動の変化を分析した結果,車検費用を 50% を 2年から 3年に l年延長したとしても全ての世帯が 1年 間 取 り替え更新行動を延長させる訳 上昇させた場合には, 5年以内に買い替えを行う世帯が約 68%から約 72%に増加するという結 ではなく,これまでに述べた ような複雑な 影響に よって , 1年の半分程度の期間の延長が生じ 果が得られた .買い替えを行うまでの期間についても平均で 2ヶ月程度の短縮が見込まれると るという結果となった . いう結果が得られた.一方,車検期間が現状の 2年から 3年に延長された場合には, 5年以内 に買い替えを行う世帯は全体の約 59%に減少し,買い替えを行うまでの平均期間も約 7ヶ月程 度の延長が見込まれるという結果が得られた.車検期間が 2年から 3年に 1年間延長された場 8 . 6 結語 本章では,近年の規制緩和の流れに基づいて,その効果の見直しが迫られている車検制度に 合でも全ての世帯が l年間取り替え更新行動を延長させる訳ではなく,取り替え更新行動種類 関して,車検制度の変更が世帯の自動車取り替え更新行動に及ぼす影響を把握することを目的 の変更や時期の変更など複雑な対応行動を行うことにより,平均で約 5ヶ月の取り 替 え更新行 として,第 7章で構築した自動車取り替え更新行動モデルを適用した分析を行った .我が 国で 動の延期が行われることを示す結果となった. は , 2年間毎の[肘食制度が自動車取り替え更新行動を規定する大きな要因の lつとなっており, 検が近づくにつれて,世帯は自動車を買い替えるか ,車検を受けるかという意思決定を行 っ これらの結果より,車検費用の引き上げは保有台数に影響を与えることなく買い替えを 早 め る効果がある一方で,車検期間の延長は保有自動車の破棄を遅らせ,保有台数の増加を招く可 のため,車検制度 能性の有ることが示された.我が国では,自動車交通による環境負荷の抑制j ている. 一検制度や燃料価格等の政策変数が自動卓保有 ・利用行動に及ぼす影響に関 しては,これま や自動車関連税等の変更が検討されている.本章で構築したモデルを第 4章で構築した車種選 で主に集計的な手法による分析が行われてきた . しかしながら,それらの分析では全ての世帯 択モデルと組み合わせて用いることによ り,燃費によって税 金の格差を設けた場合にどの よう 96 97 な 影 響 が 生 じ る か 等 に 関 し て , 保 有 車 植 の 変 更 に 伴 な う 保 有 期 間 に 及 ぼ す 2次 的 な 影 響 を合 め 第 8章 参 考 文 献 た包括的な評価が可能となるものと考えられる . 第 7主主で構築したモデルの推定結果からは , 世 帯 属 性 の 変 化 も 自 動 車 取 り 替 え更 新 行 動 に き な 影 響 を 及 ぼ す こ と が 示 さ れ て お り , 本 章 で の モ デ ル 推 定 の 際 に も そ の よ うな影 響 を 表す 説 明 変 数 の 導 入 を 試 み た も の の , 属 性 変 化 が 観 測 さ れ た サ ンプ ル 数 が 少 な か った こ と も あ り, 有 意 な パ ラ メ ー タ を 得 る こ と が 出 米 な か っ た. 今 後 は よ り大 規 模 なサン プ ル に対 し て モ デ ル を 適 用 す る こ と で ,その よ うな影 響 に つ い て も モ デ ル に 導 入 した 上 で ,林 -富 田 (1988),Gouliasand Kitamura(1992) ,KazimiandBrowns t o n e(1995),西田 他 ( 2000) 等 に よる世 帯 属 性 変 化 の シ ミ ュ レー タ と 本 立 で の モ ン テ カル ロシ ミュ レーション を組 み 合 わせてよ り完全 な シ ミ ュ レ ー シ ョ ン Cox,D.R.(1972)Regressionmodelsandl i f et a b l e s, J o u r n a f01t heRo yalS t a t i s t ic a lSoci e t yB,Vo. l34, pp.187-220. 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4章では,世帯の自動車取り替え更新行動モデルシステムのサブモデルとして用いること を前提として,世帯の車種選択と世帯内での配分行動の同時選択モデルを構築し,向到J宅配クJ 行動が車種選択行動に及ぼす影響,および車種選択行動が自動車配分行動に及ぼす影響を明ら かにした.また,世帯内での配分を与件とした年間走行距離モデルを構築することにより世帯 れている. 本研究では,世帯の自動車保有 -利用 行 動 の 理 解 および,交通施策等による環境変化が世 個々の世帯の行動をモデル 車種・メインドライパー選択モデルの推定結果からは,メインドライパーの選択が車種の選 本研究で行った分析の概要と得られた知 択に影響を 与えていること,自動車の属性やメイン ドライパーの属性が年間走行距離に影響を 惰の白動車保有・利用行動に及ぼす影響を把握する事を目的とし 化する非集計分析手法による分析を行った.以下に 内での自動車の配分が年間走行距離に及ぼす影響を明らかにすることを試みた . 与えていることが示された.年間走行距離モデルの推定結果からは 見を示す . 第 2章では,自動車保有と手J I用 に関する従来の研究を概観し ,本研究の方針を示した.初期 l 台保有世帯については 車種,およびメインドライパーの属性が年間走行距離に影響を及ぼすことが示された一方で, 2 の研究では, 1時点での世帯の自動車保有状態を観測することにより,世帯の自動車保有行動 台保有世帯については,メインドライパーの属性による影響は確認できたものの,車種による をモデル化する静的モデルが用いられてきた.静的モデルではある時点の自動車保有状態は, 影響は確認できなかった. しかしながら 2台保有世帯では,保有自動車の使い分けが存在する それ以前の保有状態とは独立であり,環境に対して常に均衡状態にあることを暗黙的に仮定し ことが示された. ていた .しかしなが ら 個 々 の 世 帯 で は 自 動 車 取 り 替 え 更 新 行 動 は 数 年 の 間 隔 で 行 われるため, 第 5章以降では,生存時間解析手法を用いた世帯の自動車取り替え更新行動モデルの発展を ある時点の保有状態は反応遅れや状態依存等を含んでいる.動的モデルはこのような行動特性 目指した分析を行った.まず,第 5章,第 6章では世帯の保有する各自動車に着目し,自動 一 をモデルに導入するものである .動的モデルには 一定の時間間隔毎の各時点の自動車保有状態 保有期間をモデル化した. を記述するモデルと 保有状態の変化をもたらす取り替え更新行動を記述するモデルが存在す る. l i i j-d"のモデルに比べて後者のモデルでは 自動車の購買や中古車市場への供給,スクラッ 近年では自動車取り替え更新行動モデルの発展が進 可能なワイブル分布が適切であり,世帯の保有する自動車の取り 替え更新行動は正の時間依存 生存時間解析手法を適用した連続時間軸上での自動車取り替 性を持っており,その自動車の保有期間が長くなるにつれて,その自動車を 手放す確率が高く え更新行動の分析を行うこととした.また 世帯内での保有自動車の配分に関する従来の研究 蓄積が 1 分でなく,交通施策等に よる 自動車利用の取り 止めが他の世帯構成 員に及ぼす影響を 把握することが困難であるため データに重み付け を行った.自動車保有期間の分布形状に関する検討結果か らは ,時間依存性を考慮することの モデルに導入することが可能であるため 本研究では 推定に際しては,回顧データにはデータに系統的な報告漏れが生じるため 白動車保有に影響を及ぼす要因を整合的に プの需要予測モデルとして用いることが出来る 他 んでいる .よ って 第 5章では断面調査による回顧データを用いた自動車保有期間モデルを構築した .モデルの 本研究では 世帯構成員聞の自動車利用の競合に関して自動 卓保有行動との関係を考慮した分析を行うことと した. 第 3章では,世帯内での保有自動車の習慣的配分を与件とした世帯構成員の交通機関選択行 動の分析を行い,世骨子内の自動車配分行動が直接的な交通需要を引き起こす交通機関選択行動 に及ぼす影響を担爆することを試みた .京阪神 地域の都市部で実施されたアンケート調査に基 なることが示された . 第 6章ではパネル調査に基づくデータを用いたモデルの推定を行うと共に 将来の自動車保 有意向に関するデータを同時に用いることによ り,自動車保有期間 に影響を及ぼすと考えられ る予定要因と予定外要因の影響を分離することを試みた.また ステイタスシン ボルやライフ スタイルといった観測困難な要因を考慮し,複数の潜在的なセグメントの存在を仮定した分析 を行った. モデルの推定結果から,保有期間と保有予定期間のいずれにも 正の時間依存性が存在するも 世帯における構成員問の相互作用を考慮することで,従来の個々人 のの,保有予定期間の決定の際には考慮されていなかった世帯属性の変化や予想外の環境の変 の選択を独立と仮定していたモデルに比べて大幅なモデル精度の向上が確認された 他 , 世 帯 主 化等,時間 依存性を持たない要因が保有期間の 決定に影響を与えているため,保有期間の時間 や普通乗用車のメインドライパーは他者の効用を考慮する傾向が弱いこと ,メインドライパー 依存性が低くなることを示唆する結果が得られた.また,中古車や高収入世帯,メインドライ の立場は世帯問で異質性が存在する可能性があることが示された . パーが低年齢の場合には,保有期間に対する予定外の要因がより大きいため づく実証分析の結果より EEA 唱 -EA ハU 1 0 0 保有期間が予定 1 8才以上の世帯構成 員が全員回答を行っていることが保証されない点である.これはパーソン よ り短縮される傾向にあるという結果が得られた . 第 7章では,第 5苧:,第 6章の結果を踏まえて世帯の自動車取り替え更新行動をモデル化し 止'市単位 トリップ調査が個人を対象とした調査であることによるものであり,被験者の抽出は l た.本研究でのモデルの定式化は各自動車の保有期間モデルを内包する形となっており,これ で行われているにも関わらず, 6 才未満の世帯構成員を含む世帯人数等の世情属性に関する情 までに構築された自動宅保有期間モデルによって得られた知見をそのまま自動車取り替え更新 報が不足する原因となっている.個々人の交通行動はその個人が所属する│せ桁属性に影響を受 行動モデルに反映させることが可能である .また, 自動車取り替え更新行動に影響を与える要 けることは明らかであり 因の遅れ効果や変化の J 同付才、性をモデルに導入し 状態の変化が自動車取り替え更新行動に与 情報を得ることが出来ればデータの有用性が高まるものと考えられる. える影響について抱握した.分析結果より , 自動車保有には非可逆性が存在し ,一旦複数保有 が進展すると,保有された自動車はなかなか滅少しないことを意味する結果が得られた . 第 8卒では,第 4章で構築した車極 ・メインドライバ一同 時選択モデルを第 7章で構築した ( K o s t y n i u ka n dK i t a m u r a,1 9 8 2),パーソントリ ップ調脊でそのような また,本研究によ って位帯で保有する自動車の車種やメインドライパーのイメ伝が出:帯構成( の交通行動に影響を及ぼす事が確認されており,パーソントリップ調査においても佐帯が保有 する自動車に関するより詳細な情報を得るための方法が検討されるべきである. 我が国の自動車取り替え更新行動に特 一方,研究機関が独自に行う調査においては自由度が高く,詳細な項目に渡る情報を得るこ 徴的な車検制度が自動車取り替え更新行動に及ぼす影響を取り入れるためのモデルの拡張を行 とが可能である. しかしながら,本研究が対象とする自動車保有行動のような行動は数年の単 った. 位で行動が行われるため,小規模調査によって十分な情報を得るのは困難である.また,燃料 自動車取り答え更新行動モデルに組み合わせると共に 推定結果より,車検制度が世情の自動車取り替え更新行動に非常に有意な影響を及ぼしてお 価格や社会経済情勢等の影響をモデルで考慮するためには広範な地域,かつ長期間におよぶ調 り,車検時期が 6ヶ月以内に近づくと買い替えや破棄を行う確率が急激に高 まることが示され 査が必要である.このような調査を実施するのは難しく,何らかの効率的な調任手法を開発す た.車検費用に関しては,高収入世帯のみについて,車検費用が高いほど買い替え時期が早ま る必要があるものと考えられる. る傾向が確認された. シミュレーションの結果からは,車検費用を 50%上昇させた場合には, 5年以内に買い替え b ) より洗練されたモデルの構築 を行う世帝が約 68%から約 72%に増加し,買い替えを行うまでの期間も平均で 2ヶ月程度の短 自動車保有・利用行動はいくつもの行動要素を含んでおりそれらが互いに影響を及ぼしてい 縮が見込まれるという結果が得られた .一方,車検期間が現状の 2年から 3年に延長された場 る.よって,本研究では,いくつかの行動要素を同時にモデル化し,行動間の誤差項の相関等 令には, 5年以内に買い替えを行う l i t帯 は 全 体 の 約 59%に減少し,買い替えまでの期間も平均 を考慮した分析を行った. しかしながら,本研究でも全ての行動問の非観測異質性の相関は考 約 7ヶ月程度の延長が見込まれるという結果が得られた. 慮されておらず,それらが構築されたモデルを組み合わせた時に大きなバイアスを及ぼす可能 以上のように,本研究では世帝の自動車保有・利用行動の理解,および,交通施策等による 性は否定できない. t帯の自動車保有・利用行動に及ぼす影響を把握する事を目的とし,生存時間解析 環境劣化が u また,第 3章では,各世帯構成員のトリップの発生は与件とし,出発時刻の変更も行われな 千j 去を適用した連続時間軸上での自動車取り替え更新行動の分析,および¥世帯構成員聞の競 いという仮定の下でモデルの構築を行ったものの,世帯構成員間の活動の相互作用は,第 3j 合を考慮した世帯内での配分 ・利用行動の分析を行 った.その結果,いくつかの知見が得られ で考慮した自動車の配分以外にも出発時間の調整や宅外での世帯を維持するための活動の分担 たものの,今後の研究で取り組むべき残された課題点も多い.最後にそれらの課題についてま 等,様々なものが考えられる ( B h a ta n dKoppelman,1 9 9 3).今後はアクティピティ分析の枠組 とめる. みを用いる事により,世帯構成員間の相互作用を考慮した 上 で 包 自動車の配分を含む世帯内の 全ての世帯構成員の l日の行動をモデル化するための手法について検討を進めるべきであると 考えられる. (1)より長期的-詳細な分析データの収集 本研究では,実証的な研究を行うために,各世帝を対象として実施されたアンケート調査か ら得られるデータを用いた分析を行った .第 3章では同一世帯の各世帯構成員の l日の交通行 c ) 統合的なシミュレーションシステムの構築 世帯内での配分という観点から,世帯の 第 8章でのシミュレーションでは,世帯の自動車取り替え更新行動を時間軸上で再現するた 保有する自動車が世帝で、どのように利用されているかを観測し,モデル分析を行った.調査内 めに, 5 年間のシミュレーションを行い世帯が行う次の 自動車取り替え更新行動のみを取り上 容そのものはパーソントリップ調査で得られる情報とほぼ同ーの ものであるが,パーソントリ げた.しかしながら,政策によっては 5年以内に何も取り替え更新行動を行わない確率が約 20% ップ調査データには,第 3掌で行ったような分析を行う上でいくつかの問題点がある. 一つは 存在し,更新行動の再現は不完全なものに留まっている.今後 動についての情報を調査によって得ることによって l 0 2 1 0 3 予測期間を延長してより完全 な予測を行う必要があるものと考えられる .ただし,その際には,車種選択モデルや年間草稿 第 9章 参 考 文 献 距離モデルのみならず,世帯構成変化に関するシミュレーションや自動車市場の挙動を算出す る シ ミ ュ レ ー シ ョ ン 等 と 組 み 合 わ せ た 予 測 を 行 う こ と が 望 ま れ る . 第 8章 で 述 べ た 集 計 的 な 分 析手法と組み合わすことにより効率的なシミュレーションシステムの構築を進めるべきである Bhat,C .R . and Koppelman,F .S .( 1 9 9 3 )A c o n c e p t u a l framework ofi n d i v i d u a la c t i v i t y program r αn s p o r t a t i o nRe s e ar c hA,Vo. l27A, No.6,p p .433-446. g e n e r a t i o n,T Kostyniuk,L . P.and K itamura,R. 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