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料理の熱源 (1) 50 数年前までは、家庭で料理に使われる熱源は都会地

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料理の熱源 (1) 50 数年前までは、家庭で料理に使われる熱源は都会地
料理の熱源
(1)
50 数年前までは、家庭で料理に使われる熱源は都会地では薪、炭、練炭など
が主力で、更に田園地区では大きな竃が利用できると藁や祖痲、小枝なども合わせて使
われ、ガスや電気は細々としか使われていませんでした。
現在では都会地はもちろん、田園地区でもガスや電気が主体で、自然を楽しむ野外生
活でも、携帯のプロパンガスが使われ、現地調達の薪などで料理をすることはなくなり
ました。辛うじて、特別な料理、鰻の蒲焼や焼き鳥や焼肉の料理屋で備長炭などを売り
物に使用され、家庭で炭を使うのは料理環境に恵まれた特別な場合に限られます。
そこで現状で主に使われているガス(都市ガス、プロパン)と電気を料理に使用した
場合の得失を考えてみました。
(2)
都市ガスに使われている原料は天然ガス(LNG)が主力で、天然ガスの主成
分は 90%以上がメタンで、
その他にエタン、
プロパンが含まれ、
発熱量は 9,500~10,500
kcal/Nm3 で、これにプロパンで調節し 11,000 kcal/Nm3 と(東京ガスの種類で 13A)
として(成分はメタン 88%、エタン 5.8%、プロパン 4.5%、ブタン 1.7%)家庭のガ
スコンロまで送っています。
天然ガスは採掘地で液化(LNG)する際に脱硫、脱水、除塵をするので、日本で LNG
を気化し天然ガスとしたときにはクリーンになっています。しかし、炭素分を含み、空
中で燃焼させるので、CO2 や NOX の発生は避けられませんが、石炭や石油を燃焼する
場合と比較すれば 30~40%は少なくてすみます。ガスコンロでの加熱は周囲への熱損
失が大きく 55%程度となっています。
原料としてはプロパンガスも全国の 50%強の家庭で使われています。カロリーが高
い(24,000 kcal/Nm3)ので、器具は別のものを使用する必要があります。また密度
が空気より軽い天然ガスと異なり、空気の 1.5 倍もあるので洩れたガスは部屋の下部に
溜まるので危険性が高くなっています。しかし、都市ガスが利用できない地区では広く
使用されています。家庭に敷いた短い配管だけで利用できるので便利です。
(3)
電気プレートヒーターは電磁誘導加熱(Induction
Heating)の原理を応用
し、渦巻き状のコイルから発生する磁力線によりプレート上に置かれた鍋の底に渦電流
を生ぜしめ、鍋の電気抵抗で流れる電流が熱に変わり、鍋が加熱されます。この抵抗が
少ないと十分な発熱が得られず使われません。したがって鉄/鉄鋳物/鉄ホーローが使
え、ステンレスも底の厚さが 0.8mm 以上のもの、クラッド鍋は好ましくなく、鍋の形
も直径が 12~26cm で、底がトッププレートに密着する平らなものでなければ使えませ
ん。使用する鍋は少し重くなりますし、アルミ、銅、耐熱ガラス、陶磁器、土鍋などの
従来の鍋はそのまま使えず、これらの鍋にはニクロム線の発熱を利用するラジエントヒ
料理の熱源(04.9.19)
1
ーターを使います。また、底に凹凸のあるもの、魚焼器・網の使用は好ましくありませ
ん。魚焼にはロースターが使われます。熱源は電気ですから、家庭では公害源となるこ
とはありませんが、電気を作るところで SOX、NOX を発生しています。電気プレート
ヒーターの熱効率は 90%と高いが、発電効率は最大 45%程度なので、原料から考える
と効率は高くありません。
直火を使わず、鍋自体を発熱させるので、直火の引火や立ち消えの怖れはなく、鍋を
ヒーターから外せば加熱は停止し、鍋の空焼きが続くと自動的に通電が停止されます。
調理後の消し忘れの心配もありません。逆に余熱を使うことは出来ません。 家庭の調
理器具や電気器具の使用に疎くなってきている老人や身体に不自由を感ずる人にはよ
り安全に使える設備です。
電気プレートヒーター(IH クッキングヒーター)は放射熱が少ないので、夏場も調
理が楽になり、扇風機やエアコン送風による立ち消えの懸念もありません。ヒーターは
200V の電圧を使うので効率は上がるが、契約電力量を増やすなど、それなりの設備の
準備が必要です。家庭に単相3線式の配線が必要で、既に分電盤まで配線されていれば
簡単な屋内配線工事で 200V機器が利用出来るようになります。電力が 3 本の線で引き
込まれているか、分電盤の漏電遮断器に 3 本の線が来ていれば単相3線式です。
(4)1L の水をステンレスの薬缶(1250g、比熱 0.12cal/g℃)で、15℃を 95℃まで
上げるに必要な熱量は
92kcal(0.107kWh、0.384MJ)
となります。
これを電気プレートヒーターとガスコンロで沸かす場合を比較します。
電気プレートヒーター
(24,000 kcal/Nm3)
0.107 kWh/0.9
92/(11000×0.55)
92/(24000×0.55)
=0.119 kWh
=0.015m3
=0.007m3
0.119 kWh×23 円/kWh
0.015m3×157 円/m3
0.007m 3 ×384 円/m 3
=2.73 円
CO2
発生量
プロパンガスコンロ
(11,000 kcal/Nm3)
(2kW=28.7kcal/分)
料金
都市ガスコンロ
=2.36 円
0.107kWh×0.36kg/kWh
=0.038
kgCO2
=2.69 円
0.015 m3×2.1kg/m3
=0.032
kgCO2
0.007 m3×5.9kg/m3
=0.041
kgCO2
クッキングヒーターとガスコンロの設備を比較すると、メーカーにより差はあります
が、平均的に見ても、まだクッキングヒーターの方がかなり割高です。
電気プレートヒーター
2 口据置型(ロースター付) 12-14 万円
ビルトイン型
料理の熱源(04.9.19)
ガスコンロ
2-4万円
19-23 万円
14-19 万円
2
電気(IH)
都市ガス
プロパンガス
安全性
◎直火がない
○
○
調理器具
○制約がある
◎
◎
コスト
○高い
◎安い
◎
CO2 発生量
○多い
◎少ない
○多い
家での環境
◎熱ロスが少ない
○
○
快適性
◎特に夏に適
○
○
設備費
○まだ高い
◎
◎
ガスと電気とを比較すると、上表のように見られるように、一長一短があり、例えば、
魚焼きはガス、その他は電気(IH)という使い分けもあり、各人の置かれた環境で選択す
るのがよいでしょう。最近では新築マンションでは電気プレートヒーターを設置するも
のが多くなり、高級感、安全性を売り物にしようという傾向があります。
(注)算出基礎データ(出典:省エネルギーセンター・IH クッキングヒーター普及協会 HP)
電気料金
23 円/kWh、CO2 発生量
ガス料金
157
円/m3、CO2 発生量
プロパンガス料金
0.36kg/kWh
2.1kg/m3
384 円/m3、CO2 発生量
5.9kg/m3
(SCE・Net
料理の熱源(04.9.19)
3
弓削耕)
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