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食 文化にみる世界

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食 文化にみる世界
食 文化にみる世界
[右写真紹介]
料理の紹介
笊アルボンディガス
(肉だんごのトマトソー
─メキシコの食卓から─
今回は、横浜のメキシコ料理店で腕をふる
っているマリアさんに、メキシコの家庭料理
をご紹介していただきました。料理の腕をか
われて、大使館などでも料理を披露すること
があるそうです。
ス煮込み):好みでサルサソースをかけて
もよい。
笳
笊
笨
笙
笆
笘
笞
筐
笆ポヨ・コン・モレ(鶏肉のカカオソース煮)
:
笵
笶
鶏肉をチョコレートソースで煮込むカカオ
栽培が盛んなメキシコでは一般的な料理。
笳サルサ・ベッレ・コン・ノパレス(サボテ
ンと肉の煮込み):果肉の状態にして販売
されているサボテンを豚肉、緑トマト、た
まねぎなどと煮込む。
笘ソパ・デ・フィデオ(極細パスタのスープ):豚つみれ、スープはバラ肉のゆで汁。
笙ソパ・デ・アロス(メキシコ流ピラフ)
笞トルティーヤ:日本でもおなじみのトルティーヤ。メキシコでは日本のごはんの
ように、何もはさまず、くるくると巻いてパクッと食べるのが一般的。
笵ピクルス:ハラペーニョ(青とうがらし)入りなのがメキシコらしい。具材はに
んじん、カリフラワー、ベビーコーン、きのこなどバラエティ豊か。
笨ワカモーレ:日本語でいうアボカドディップ。これにもハラペーニョは欠かせない。
笶サルサ・メヒカーナ:メキシコ料理を語るときはずせない一品。ライムをぎゅっ
としぼってほどよい酸味をプラス。
筐フリフォーレス・ネグロス(黒豆の煮込み):豆のもどし汁で香味野菜とともに煮
込み、オリーブオイルをプラスしてコクと風味を。味付けは塩、こしょうのみ。
南米原産)からつくられるタコスの皮に、牛や豚あるいは
メキシコ料理について
鶏肉(すべてヨーロッパからのもの)をのせ、トウガラシ
たばこと塩の博物館 榊 玲子
(中南米原産)の辛いソースをつける、メキシコを代表す
る食べ物である。このタコスは、外国からのさまざまな食
メキシコ(正式国名 メキシコ合衆国)は、北はアメリ
習慣・食材が入り込むようになってきた現在でも、メキシ
カ合衆国、南はグアテマラやベリーズに国境を接しており、
コ人が最も愛する料理のひとつである。トルティーヤはタ
東はメキシコ湾とカリブ海、西は太平洋にはさまれた、日
コスに使われるだけではなく、メキシコ人の食卓に欠かせ
本の約5.2倍という広大な国土面積を有する。北緯32度43
ない食べ物で、日本人にとってのご飯あるいはパンのよう
分から14度32分の間に位置することから基本的には亜熱帯
な存在である。トルティーヤとともにフリホールとよばれ
に属するが、北部の乾燥地帯に近い気候から、中央部の常
る納豆を甘くしたようなインゲンマメも必ず料理につけら
春に近い気候、海岸地帯の常夏のような気候、南部の熱帯
れるが、日本人がその味に慣れるには少々時間がかかる。
のような気候まで、さまざまな気候がみられる。
ほかにも日本人が馴染みにくいものとしては、アロス・コ
バラエティ豊かな気候に恵まれていることから自然も豊
ン・レチェという、白米にミルクをかけシナモンをまぶし
かで、その中で育った植物あるいは動物資源を利用して、
たデザートもある。
古くから独特の料理がつくられてきた。現在、われわれが
これらは、メキシコ人が日常的に食べているもので、ほ
普通に食している食材の中で、メキシコをはじめとする中
かにノパーレスとよばれるウチワサボテン(実もジュース
南米を起源とするものは非常に多い。16世紀前半から1821
にして飲まれたりする)の料理や、それぞれの土地に特有
年に独立するまでスペインの植民地として支配を受けたが、
の郷土料理などが数限りなくある。しかし、そうした多彩
この征服・支配はさまざまな負の遺産をメキシコにもたら
なメキシコ料理の基本的な食材は主食のトウモロコシであ
した。しかし、食に関してはそうとばかりとはいえない。
り、またメキシコ料理をメキシコ料理たらしめているのは、
征服当時のメキシコの食生活は、同時代のヨーロッパより
さまざまな種類のトウガラシからつくられる、多種多様の
もはるかに豊かであったともいわれているが、そこにヨー
チリソースであるといえる。今では、日本にいてもレスト
ロッパから新たな食材や料理法などがもたらされ、さらに
ランなどでメキシコ料理を味わうことはできる。しかし、
多種多様な料理が生み出されていくことになった。
同じ料理でも、現地で食べるものはとてもおいしく感じら
メキシコ料理でまず思い浮かべるのは、やはりタコスで
れる。やはり、メキシコ料理はメキシコで味わうのがいち
はないだろうか。トルティーヤとよばれるトウモロコシ(中
ばんということであろう。
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