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1生活科学研究誌 ・
.
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1(
2
0
0
2
)
地域の持続的発展 におけるパル コ政策の可能性
井上典子
大 阪市 立大学大学 院生活科学研 究科
(
平成 1
4
年8月1
2日受付 :平成1
4
年1
0月2
3日受理)
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地域計画 Z
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1.問題の所在
的なサービス とゆ とりある居住環境、豊か な自然を併せ
て享受で きる 自立的な圏域」 の創造 を提唱 している。 こ
1- 1.研究の背景 と目的
「
多 自然居住地域」I) は、「中小都市 と中山間地域等
の概念では、大規模都市圏 とは異 なる居住環境が 目指 さ
を含 む農山漁村 等の豊かな自然環境 に恵 まれた地域 を、
れ、 コンパ ク トで機能性 に富 む中小都市 を充実 させ ると
21
世紀の新たな生活様式 を可能 とする国土の フロンテ ィ
共に、都市的土地利用 と農村 的土地利用のバ ランスを図
アと位置づける とともに、地域 内外の連携 を進め、都市
る必要か ら、地域内における農村や 自然 を適正 に保全す
(1)
T
72
生活科学研 究誌 ・Vol
.1 (
2002)
-
あ る。
る こ とが求め られる。 なかで も自然 と人間生活 の共生 の
場 で あ る農村 的土地利用 の保全 を通 じた環境管理や文化
EU諸 国 で は農村 的土地利 用 の保 全 と地域 経営 の両 立
的多様性 の保護 は、地域発展 の持続性 を高め、居住環境
とい う問題 に対 し、公 園政 策 を活用 す る ことで地域計 画
を環境保全 ・再生型 にシフ トし、農村 的土地利用保全 を
の質的 な向上 につ なが る。
しか し現実 には山間地域 や 中山間地域 は経済 的な疲弊
図 る手法が採用 されている。 当該政 策の展 開か ら、 この
や高齢化 に直面 してお り、「
多 自然居 住 地域」 の実現化
1
0年 間に州 レベ ルの地方 自治体が設立す る公 園数 は激増
に向 けて は新 しい地 域 経 営 の視 点 が 不 可 欠 とな って い
した
る。地域経営 で は地域 が有す る多様 な資源 を地域づ くり
居住環境等 、民有地 を広 く取 り込む概念 として発展 した
に最 大 限に活 か してゆ くことが求め られ るが、そのため
とい う経緯 を持つ ことか ら、特 別保護地 区 と して管理 さ
には、 1)市街地、林 地、農地、湖沼、河川等 の地域総
れ る公有地 だけで な く、民有地 を対象 とす る広 い地域 保
体 を計画対象 としうる地域計 画 (
わが 国で は県 レベルの
全 の概 念 に適 応 して い る
(3)。
ヨー ロ ッパ の 自然 公 園 は、農村 的土 地利用 や
。 わが 国 の 自然 公 園法 は、
(4)
総合 計画 を想 定で きる) のあ り方 を再検討 し、 2) この
「普通地域 」 を通 じて農地 を計画相 象 としうるが 、土 地
新 しい地域計 画が、農村 的土地利用保全 と地域経営 の両
利用規制 と して機 能す るに留 ま り、地域づ く りを 目的 と
立 問題 を検討 してゆ くこ とが必要 であ る
して これ を事業計 画の対象 とす るこ とは少 ない。 こう し
。
同様 の文脈 か ら、 E
U諸 国が実施 す る地域計 画が近年
た わが 国の現状 に対 し、地域計画技 術 の一つ と して EU
大 き く変化 した点 に注 目す る`
こ とが で きる。 「
都市 こそ
で採用 され る公 園 は、条件不利地域 や産業衰 退地域等 を
とい うE
Uの施 策 は常 に都市 の
)
、世
積 極的 に取 り込 む形 で設立 され、 1)文化 的景観 3
0年代
発展 を促 しているが、施策が都 市再生 に集 中 した8
界遺 産、 ラムサ ー ルサ イ ト、MABの保全 を含 む地域 の
が欧州経 済の原動力 」
(l)
へ の反省 に立 ち、 自然環境や農村 景観 を含 む よ り広域 的
環境管理、 2)条件不利地域 や産業衰 退地域 の地域経営、
視点 か ら一体 的 に管理す る中で、地域 の持続 的発展 の達
3)土地利 用規制お よび土 地利用調整、 に対す る手法 の
成が求め られ る ようになった。
、 3) の融合 に よ り地域
一つ として活用 され、 1)、 2)
EU領 域 全 体 の空 間的 バ ラ ンス を対 象 とす るESDP
政策 に介入す る。
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)(2) は、
1-2.研 究対象地域 の選定 と研 究の仮説
1) 均 衡 の とれ た多 極 分散型 の都 市 シス テ ム と、都 市
と農村 の新 しい関係 (
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施設 ・情報 に対す るア クセスの公平性 の保証 (
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)、3)
域計画 を対象 とす る。 当該計画 は公 園計画 を主軸 と して
持 続 可 能 な発 展 、 自然 的 ・文 化 的 遺 産 の 管 理 と保 護
お り、受賞理 由は、 ヨー ロ ッパ最大級 の湿地環境 の保全
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をテーマ と して、環境管理 を人間生活 (
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)の 3つ を
光)との共生 において実現 した こ とに対す る評価 であ り、
基本 的指針 と して提示 してい る 2)。 当計 画で は、地域 内
その過程 で新 しい地域経営 の可能性 を生 み出 した。
の 自然 ・文化 的資源 を再評価 し、その保全 や有効利用 を
ESDPが 目指 す 先 進事 例 と して、 イ タ リアのエ ミ リ
図 る と同時 に、地域 の生産活動 や産業 システム を多様化
ア ・ロマ一二 ヤ州 と並 びオ ラ ンダの ラ ン ドシュ タッ トが
Uで は大都市 圏 を核 と
す る こ とで地域 の 自立 を促す 。 E
取 り上 げ られ る .
この2
つ の地域 に は次 の よ うな相違 点
す る地域計画 に一線 を画 し、中小都市 連携 に よる領域 内
が ある。 まず、国土計画 に よ り農相 的土地利用が計画 的
の空 間形成 を図っている。
に保全 され るオ ラ ンダとは異 な り、エ ミリア ・ロマ一 二
。
EU領域 内 の持続 的発展 を 目的 と して、 中小都 市が多
ヤ州 には条件不利地域 が多 く、 このため土地利用転換 が
極分散 的 に配置 される空 間構造 を形成す るため に、広域
進 みやす く市街地近郊部や未利用地 での開発が常 に問題
的 な視点 か ら要求 され る都市 と農村 の役割 は相互補完的
となって きた。土地所有形態 において も、エ ミリア ・ロ
であ り、地域構成要素 として環境 的 ・文化 的文脈か ら農
マ一二 ヤ州 は農地 だけでな く林地や湿地が分散化 した個
村 空 間 を読み直す試み は、都市 の発展 と平行 した動向 と
人所有であ り、央際 に干拓事業 だけで な く、海岸線 にお
なる。す なわち農村 的土地利用 の保全 は単 に農村 問題 に
ける石油イヒ学系多 国籍企業 の立地や リゾ一 十
開発 な どは
関わ るだけで な く、国土の空 間的 な形 成 に関わ る問題 と
常 に地域 間題 の温床 となって きた。特 に研 究対象地域 は
して地域計画 の対象領域 に位置づ ける ことにその意義が
7
0年代 まで干拓事業 の対象 とな り、 自然 的土 地利用 か ら
(2)
- 7
3-
井上 :地域の持続的発展 におけるパルコ政策の可能性
農村的土地利用への大規模 な転換が進め られて きた。 し
最 も喪失が著 しい 自然要素の一つ として世界各地で保護
か し8
0
年代 ∼9
0年代 に策定 された地域計画が総合的な土
が進め られている。EUにお ける生物多様性保護 プログ
地利用の見直 しを図 り、大規模 な観光開発や農業生産量
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0
0は地方政府 が策定す るすべての地域計
ラムNa
の向上 を核 とす る従来の地域計画 を、湿地再生等 を骨格
画の前提 となってお り、EU規則 4)は土地利用計画 を通
じたサイ トの保護 を定めている。保護サイ トを多 く保有
とする環境保全 ・再生型へ と大 きく変えた。
本研究の仮説 は、研究対象地域で実施 される地域計画
するとい う理 由か ら、農村的土地利用が厳 しい規制の対
がEU内で高い評価 を受 けた理 由につ いて、 これが環境
象 となることは、今 日的な動 向である。わが国において
保全 ・再生型へ と転換 したことに注 目し、その中で使用
も環境省が 「
新 ・生物多様性 国家戦略」を通 じ、里地里
された計画技術が地域の環境管理や地域経営の多様化 に
山、草地、農地の積極的な保護 を打 ち出 し、その保護が
対 し、有効性 を持 った とい う点である。 EU成立 に伴 う
自然公園によって図 られる事例 5)や水田が広義の意味で
地域計画制度の変化お よび政策的背景 についての分析 は
湿地に含 まれることか ら、水 田自体が ラムサールサイ ト
別稿 に譲 り、本稿 は上記の仮説 に基づ き、研究対象地域
として登録 される事例 もあ り (
5
'
、「
多 自然居住地域」の
が公園の地域計画的な利用 を通 じて、 どの ように環境管
創造において第 1次産業 を始.
め とす る生産活動や地域の
理 を実現 し、地域経営の多様化 を図ったかにつ いて、自
生活は、環境管理 と深 い関係 を持つ もの として認識 され
治体が採用 した計画 を技術的視点か ら分析す ることで、
る必要がある。
その有効性 を明 らかにすることを目的 としている。
2.研究対象地域 における州立公園の設立経緯
自然的土地利用 と農村的土地利用の多様性 は地域生態
2- 1.研究対象地域の概要
系の豊か さを示 し、林地、里山、水田、湿地等、地域 に
本研究の対象地域が位置す るエ ミリア ・ロマ-ニヤ州
おける景観要素のすべてが本来、環境保全 ・再生型の地
域計画における研究対象 となる。本研究が湿地 を干拓 し
は、EUが推進す る多極分散型空間構造の形成の核 とな
た条件不利地域 を対象 とする点 については、典型事例 と
る都市連携 の先進事例 として注 目され6
㌧ 州内に形成 さ
して扱 う以外の特定の意図はない。 しか し河口部の湿地
れる産業地区をグローバル化 に対応 させ ることで輸出主
一
は都市近郊 に位置 し、常 に開発 の対象 となって きた。 こ
導の地域的経済 を組み立て、高い経済力 を示 している(
6
)
0
のため生物多様性保護条約が採択 された1
9
9
2年以降は、
エ ミリア ・ロマ-ニ ヤ州 は、 トリノ、 ミラノの大都市
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〆
-
生活科学研 究誌 ・Vol
.1 (
2
(
氾2)
74 -
圏を中心 に重工業で発展 した ピエモ ンテ州や ロンパルデ
殻的サー ビス業へ と変化す るが、集 中 した分散構造 を持
ィーア州 と異 な り、中小企業の集積地域
として注 目され
l
つ中小規模 の都市集積ではイノヴェー ションを繰 り返す
る。 イ タ リアの 中小 企業比 率 は一般 に高 ぐ (7) ェ ミリ
柔軟性 を保つ ことが可能であ り、 このため常 に革新的な
7
.
5
%を
ア ・ロマ-ニ ヤ州では中小企業数 は全 企業数の3
産業地区 を形成 しうる高いポテ ンシャルが保持で きる と
占め、これ らは州内に産業地区を形成 している。
している。
1
9
8
8年の地域計画に基づ き、ボローニ ヤ大学等教育機
こうした産業地区の成立基盤は折半小作農制 にあると
される。 この地域の農園 は歴史的に共同居住 を基盤 とし
関は企業活動で即 時実践可能 な技術研究や開発 を進 め、
て管理 されて きてお り、 また農業 と並行 して家内工業 を
地方銀行 は起業 を志す青年層 に積極 的な融資 を行 った。
行 っていたことか ら工業用の施設や設備、共同住宅や道
そのため既存の産業地区 と適切 な距離にあ り固定資産税
路 とい う固定資産が比較的早 い時期 に蓄積 きれたo この
の低い農村部に小 さな企業が数多 く誕生 し、事業が成功
点 についてべ リッチ一二は、「わが国の特 に北東部、中
した後に も企業家 は農業活動 を放棄せず、小規模農業 を
央部の田園地域 を、経済学者や社会学者が第 3のイタリ
パー トタイムや週末の仕事 として継続す ることでその場
ア と呼んでいる6 よ り広い観点か らす ればこれは都市化
所 を住宅 もしくは事務所、あるいは工房 とした。 こうし
のプロセスの顕在化、すなわち 『
都市 ではないJ が十分
た状態か らエ ミリア ・ロマ一二 ヤ州 における都市 と農村
」7) と分析 し、
に発 達 した地域 の顕在化 の結果 であ る。
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o
n)では、都市 スプロール
の一体化現象 (
産業地区形成のプロセスがエ ミリア ・ロマ-ニ ヤ州にお
によって農村的土地利用が都市的土地利用へ と変化 した
ける都市 と農村の構造 に大 きく関連 したことを指摘 して
だけでな く、都市 と農村集落が網 目状のネ ッ トワークを
形成 し、 イ ン ドヴ イーナ (
F.
I
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)によって分散的
いる。
都市化 (
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)と呼 ばれる地域構造 をつ くった。
0年代、7
0年代 を通 じ自然発生的に成長 した産業地区
0年代 には州の地域計画 において推進 され、1
9
8
8年
は、8
エ ミリア ・ロマ一二 ヤ州 における分散的都市化 は大都市
に州 が策畠 したエ ミリア ・ロマ -ニ ヤ州 の地域計画 8'
圏 と農村 との完全 な禿離 を生 まず、中小都市 とその周辺
は 、 多 核 的 都 市 圏 (i
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農村 によって形成 される人的、物的 ネッ トワークの条件
。 この概 念 は ヨ∵
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o)の形成 を痩唱 している.
ロツパ全域で6
0年代 に発達 した単核的大都市圏の衰退を
をつ くりあげた と分析 され、 これはエ ミリア ・ロマ-ニ
p.
Bi
a
nc
h
i
)0
ヤ州における地域構造の特徴 となった 9) (
乗 り越 える もの として設定 され、大都市 を作 り出す こと
地域の産業構造 を基盤 として都市 と農村の連携が作 り
を目的 とせず、経済活動、居住形態、人間生活の 「
集中
出 したエ ミリア ・ロマ-ニ ヤ州の他地域 とは異 な り、研
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) を図る とした.計
した分散」(
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)
究対象 となる フェラー ラ低湿地帯 (
画に よる見通 しでは、大都市 圏 システムにおいて最初は
はボローニ ヤ、 フェラー ラ、ラヴェ ンナ各市街地か ら約
農 中す る専 門的産業 も徐 々にルーテ ィン化す ることゼー
5
0
km∼7
0km圏内に点在す るベ ッラ (
Be
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、 コデ イゴ
I
秦 -1 フ ェラ ー ラ低 湿 地 帯 の産 業 構 成
フエラーラ催湿地帯
経済活動
捷営体数
フエラーラ県
エミ リア .ロマ一二ヤ州
%
県における
割合
29.
2
1,
060
4.
1
1
4.
6
7.
249
2.
3
農業
309
5.
3
商業
経営体数
%
州における
割合
経営体数
%
2.
634
45.
5
23.
1
ll
,
426
44.
2
8.
9
127,
838
40.
7
金融業
5
7.
9
21.
3
2.
148
8.
3
7
30.
716
9.
8
建設業
684
ll.
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6
2,
569
9.
9
7.
4
34,
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ll
5
0.
1
17.
2
29
0.
1
10.
5
276
0.
1
鉱物、化学産業
56
1.
0
26.
2
214
0.
8
5.
8
3,
686
1
.
2
エネルギ一叢
サー ビス業
447
7.
7
22.
6
1,
974
7.
6
8.
6
23.
033
7.
3
鉄鋼業
258
4.
5
1
3.
7
1,
878
7.
3
7.
3
25.
587
8.
2
繊維 .食品 .木工業
479.
8.
3
22.
2
2,
159
8.
3
6.
1
35,
269
ll.
2
運送業
455
7.
9
18.
8
2,
425
9.
4
9.
4
25,
753
8.
2
※ Er
ve
t(
1
994)よL
J作成
(4)
井上 :地域の持続的発展 におけるパ ルコ政策の可能性
- 75-
Cod
i
go
r
o)
、 コマ ッキオ (
Co
ma
c
c
hi
o
)、 ラーゴサ
一口 (
が、 この際 オステ ツラー ト南部、 コマ ッキオ西部が新 た
La
go
s
a
nt
o
)
、 メ-ゾラ (
Me
s
o
l
a
)、オステ ツラー
ント (
に農地 とな り、現状の フェラーラ低湿地帯農村部が完成
Os
t
e
l
l
a
t
o)、 ゴーロ (
Go
r
o)の 7つの市町村 (
人口
ト (
した。
65
,
5
8
2人、面積 8
4
5
km2)を指 し (
図 - 1)、そのすべ て
1
0
0年あ ま りの融 こ2
0万 ha近 い湿地が干拓 されたこと
が条件不利地域 の干拓農地である。県全体 に対 し農業 と
で、地域の 自然的 ・文化的環境 は大 きく変化 した。 フェ
0% 以上、所
建設業の比率が高 く (
義 - 1)、失業率が2
ラー ラ低湿地帯の新 しい干拓地 については、農業研究所
5
0
/
o以下 とい う状態が続 いていやことか ら
得が州平均の7
(
I
s
t
i
t
ut
oSpe
r
i
me
nt
a
l
eAgr
o
no
mi
c
o)の調査か ら、 1)
泥炭の酸化 に よる埠盤沈下 (
干拓以前 +0
.
5-1
.
5
mが干
EU構造基金によるOb
j
e
c
t
i
ve210) に指定 される。
拓後1
∼・
3
.
5
mへ と変化)、 2)土壌の強い塩分濃度、 3)
8
7
0年 ∼1
97
0年の約 1
0
0年 間に
フェラー ラ低湿地帯 は1
農村地域 となった. 1
8
0
0年代初頭の地図にはフェラーラ
土壌 p
Hの低 下 、の問題が明 らか とな り、 これ らの土壌
低湿地帯 は存在せず、湿地 に浮ぶい くつかの町が描かれ
条件が干拓地での農業活動 を限定的な もの とした。 コマ
。干拓事業の大規模化 は1
8
00年代半 ば
ている (
図 - 2)
ッキオ汽水湖 に近い干拓地で は小麦の生産量 は通常農地
871年 に は '
'
Fer
r
ar
a Land
の 土 地 投 機 に 始 ま り、 1
と比較 して約 3
0-4
0%低 く、干拓後の1
9
7
7年か ら1
9
8
3
年
が設立 された `
8
)
。 イギ
Re
c
l
a
ma
t
i
o
nCompa
nyLi
mi
t
ed"
9世紀 の終 りまで に1
0万
リス とイ タリア資本 に よって 1
にかけて トウモ ロコシや大麦等粗放型農業へ と活動内容
ha以上の干拓事 業が実施 ざれ、 フェ ラー ラ低 湿地帯 の
・4) 0
に追い込 まれた (
図 - 3.
を移行 したが、結果的には多 くの不良農地が耕作地放棄
ラーゴサ ン ト以北 の農地 はこの時期 に形成 された。第 2
フェラーラ低湿地帯が接す る海岸部 にはイタリア最大
次世界大戦中には食料増産計画 として大規模 な干拓事業
の汽永湖であるコマ ッキオ汽水湖や ラベ ンナ干潟、ベル
が イタリア各地 で行われた。そのほ とん どが南部 イタリ
トウッツイ湿地 な どが点在 し、豊かな自然が広が ってい
アを対象 とした ものであったが、 フェラーラ低湿地帯で
る。エ ミリア ・ロマ一二 ヤ州が地域 の持続 的な発展 を目
aが干拓 され る こ とで、 コマ ッ
は トレッバ湿地約 5万 h
指す な ら、分散的都市の後背地 に広がる自然環境 として、
キオ市街地が湿地の町か ら農村集落 と変わった。戦後 は
フェラー ラ低 湿地帯 において、
積極 的な環境保全 を進 め
失業対 策 と して メ ッザ - ノ湿 地約2万 haが干拓 され た
る必要がある。 しか し農村部の衰退状態か らこれを実行
・人 八
図 -2 ポ ー川河 口部の低湿地帯
A
※C
AR
TADE
LB
AS
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OP
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PROGETOSPERI
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CATEDE
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M【
ヱZANO`収録)よ り作成
(5)
生活科学研 究誌 ・Vo
l
.
1(
2
0
0
2
)
-7
6-
図-3 農業的土地利用 (
1
97
7
/
7
8)
図-4 農業的土地利用 (
1
9
8
2
/
8
3)
※阿-3
・
4とも、(
・
MONI
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DR
OBI
OL
OGI
AMODEL
L
I
S
Tt
CAI
DR
AUL
I
CA'
収緋)
より作成
「
多 目的公園」計画は、
.エ ミリア ・ロマ一二 ヤ州が中
するためには地域経営 との両立 を検討す る必要があった。
央政府か ら引 き継いだプロジェク ト8
0
事業での継続的な
2-2.フェラーラ低湿地帯 「多 目的公園」計画
8
0年代 には ヨーロッパ内の空間的な再編が進み、都市
a
nne
lTunne
l
の完成 に よ りイギ
間競争が激化 した。Ch
検討 によって地域計画策定 と並行 して提案 された もので
リス、ベルギー、オランダが ゴールデ ン トライア ングル
した。
ある
。
チ ェルヴェラ-テ ィ (
P.
LCe
r
ve
l
l
a
t
i
)を中心 に、
州政府専 門家、 フェラーラ県の専門家が計画策定に参加
多 目的公園」 が云 う 「
公
当時の計画書 11' によれば、「
を形成 し、 ヨーロッパ北西部の国境 を越 えた経済活動が
活発化す ることでいわゆる 「ブルー ・バナナ」と呼ばれ
園」 は 「
地域の快適 なサ ロ ンを意味 し」、「これを通 じ地
る経済的な先進地域が形成 された。その一方で産業的オ
域環境 をよ り発展 した形 で未来世代 に伝 え」、 また 「
公
ール ドコアの衰退、
寒冷草地や山岳地域等条件不利地域、
園において 『
学習 一博物 (
美術)館 一社会』とい う複合
農業への依存度が高いスペイ ンや イタリア南部等地中海
的なシステムを作 り出す こと」 によ り 「
公園」 は 「
多目
地域 の経済的衰退が鮮 明 とな り地域 間格差が広 がった。
的」 な空間であることを 目指す としている。 「多 目的公
エ ミリア ・ロマ-ニヤ州は 「ブルー ・バナナ」の南端 に
園」の設立 目的は、 フェラーラ低湿地帯 において 「
工業
位置 したことか ら産業地区の輸 出が伸 びて経済的に飛躍
化 による地域発展モデルのオル ターナテ イヴを推奨す る
したのに対 し、アベニ ン山脈 山岳部や フェラー ラ低湿地
ことであ り」、それは 「自然環境や地域 の文化財 を再評
帯では農業補助金に依存する地域経営が継続 し、州内格
価、有効利用す る」 とい う原理 に基づいて計画 された こ
差が拡大 した。
0
0
年 で形成 された フェラ
とか ら、当該計画ではお よそ1
イ タリアでは1
9
7
0
年 に州制度が誕生 し、地域計画策定
ー ラ低湿地帯農村部全域で湿地環境 の再生 を図る とい う
は州政府の 自治事務 となった。地方政府 による直接的な
。湿地環境 については1
9
7
2
年
案が提 出 された (
図 - 5)
地域管理が制度上可能 となった ことで、各州 は地域間喝
UCN やI
WRBな ど世界
の ラムサール条約締結以前か らI
の解決に乗 り出 し、ピェモ ンテ州、ロンパルデ ィーア州、
規模 のNGOが保護活動 を進 めてお り、 フェラー ラ低湿
エ ミリア ・ロマ-ニ ヤ州、 トス カ-ナ州はいち早 く州の
地帯 において もイ タリア最大のNGOの一つ であるイ タ
地域計画を策定 したが、7
0
年代後半か ら大蔵省事業 とし
リア ・ノス トラがポー川河口部の湿地の保護 を提案 して
て実施 されていた地域問題解決のための特別計画、プロ
いたことが計画の背景にある。
エ ミリア ・ロマ一二ヤ州の地域構造か らす る とフェラ
ジェク ト8
0(
Pr
o
ge
t
t
o8
0
)が 同時 に州政府 に よって引
き継がれた。
ー ラ低湿地帯 は新 しい農村 であ り、産業や都市 との空 間
(6)
井上 :地域の持続的発展 におけるパルコ政策の可能性
-7
7-
的 ・構造的な連携が弱いとい う問題 を抱 えている。 この
現状で約6
万ha
が公園地域 に指定 されている (
図 一 6)0
ためフェラーラ低湿地帯 を湿地環境 として再評価 し、フ
公園管理協会は指定地域の基礎 自治体 によって構成 さ
ェラーラや ラヴェンナ という文化都市 との関係 を深める
れる一部事務組合 と、公園相談会 (
職人企業、農業 ・漁
ことで観光産業 を軸 とした新 しい地域づ くりを提唱 した
業従事者等、産業 団体 の代表)、科学技術委員会 による
のが 「
多 目的公園」計画である。
連携組織である
。
公 園管理協会 は公園地域計画 (
pi
ano
1
00年間に及ぶ干拓事業 をすべて否定す る地域計画に
t
e
r
r
i
t
o
r
i
a
l
ede
lpa
r
c
o)お よび個別の事業計画を策定 し、
農業従事者か らの強い反発があっ'
たが、地域計画図に見
協会 自体が事 業主体 となる場合 と農業協 同組合やNP
O
られるポー川河口部水域全体の再生計画 は、実現の可能
と連携 して事業主体と なる場合がある。 1
9
9
7年の分権法
性 とは無関係 に、基礎 自治体や地域住民 に対 し非常 に強
以降は、公園に関連す る地域計画、事業計画、事業実施
いイ ンパ ク トを与 えた。特 にコマ ッキオ汽水湖周辺の湿
に関する権限が県か ら公園管理協会(
=委譲 され、公園地
地は干拓 されてか ら2
0年あまりしか経 ってお らず、国土
域計画は広域計画 として県 に よる調整計画 と同等の実効
計画によって推進 された干拓事業 は地域の意志 とは異な
性 を持つ ことになった。
●
公園地域計画は地種 区分 において、保護地区
る ものであったため、従来の景観 を再生す ることに対す
(
A,
B.
C)
る地域の要望 を高めた。 しか しこの時点では環境管理や
とプ レ ・パル コに分類 される。 Aゾー ンは、総合的保護
地域経営の主体 となる地域住民の意志 を反映 させ る計画
地区であ り、科学的調査以外 のアクセスが禁止 されてい
的な展開は見 られず、あ くまで も地域計画が土地利用の
る。Bゾー ンは一般的保護地 区 と呼ばれ、土壌 ・地層 ・
転換 を実施す ることで、現状の打開が図 られた。
水系 ・動植物相が保護 され、集約的な第一次産業活動、
建造物め新築 ・拡大 は禁止 される。 Cゾー ンは環境保護
2- 3∴ ポー ・デル タ州立公園 (
パル コ)の設立
地区 と呼ばれてお り、集約的でない産業活動、公園成立
9
8
8年 にポー川河 口部の湿
ポー ・デルタ州立公園は、1
主旨に見合 う建造物の新築お よび改築が許可 される。プ
地 を対象 として設立 された。公園計画面積 は約 1
5万ha、
レ ・パルコは一般地域か ら保護地区へのアクセスを段階
図 -5
7ェラーラ湿地帯多 目的公園計画
図 -6 ポー・エル タ州立公園
洋Pi
a
n
od
I
&
S
e
t
t
ot
e
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佃o
r
i
a
J
e1989-1990(
'
l
l
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c
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u
i
g
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Ce
r
v
e
r
&
t
i
収
鶴)
より作成
(7)
-7
8-
生活科学研究誌 ・Vol
.1 (
2002)
的に抑制す るバ ッファゾー ンであ り、居住地域 、農林業
を含有す る点、その多 くが民有地である点か らわが国の
自然公園法 における▲
普通地域 に極めて 近い。ポー ・デ ル
タ州立公園の場合、プ レ ・パ ルコのほ とん どは農地であ
る。
プ レ ・パル コは公園地域計画 による土地利用規制の対
象ではないが、公園設立主 旨に見合 う産業活動 を実施す
ることが義務付 け られてお り、 このため土地所有者 と公
園管理協会 との間で、農業活動 を始め とす るあ らゆる土
地利用 に関 して協議が持たれ、合意形成のプ ロセスが踏
写真- 1 Me
dspa計画 により農地 にて再生 された湿地
まれる。
公 園地域計画は都市計画に介入で きないが、都市近郊
部 を含 め 自然的土地利用だけでな く農村的土地利用 に対
す る土地利用規制 として機能する。公 園保護地区内お よ
びプ レ ・パ ル コ内の農地 は繊細 な 自然条件下 にあるが、
これは農業活動 に対 し不利な条件である。 このため 自然
環境保全の 目的で農地 に厳 しい土地利用規制 を課す場合
には耕作放棄が発生す る可能性があ り、 よって公園地域
a-サービス施軟
く
管理事務所 ・レス トラン讐)
計画 は、 これ らの農地 をプ レ ・パルコに含むことで保全
対象 とする と共に、農地お よび未利用地での計画的な土
b-プール
C-水生植物叫
地利用転換 を図 り、環境保全 ・再生型事業の開発 を促 し
d-釣 t
J壌 I
e一動物保雄区
ている。
f一義轍壌
環境基盤整備 と地域経営的事業の展開
3-1
■
.パルコ政策
1
0
3.環境保全 ・再生型地域計画による
1-キャンプ壌
2-鹿の生息域
3-自然徴集施毅
4-生物厳正保護エ リア
5-航行用水路
6-細覆水蕗
7-天体観測施毅
2
図-7 オステ ッラー ト湿地公園
※オスチ ッラー トガイ ドブック (
GUJ
DAVdl
i
dOs
t
e
l
l
a
t
o
)よL
J作成
「
多 目的公園」計画の理念 は、1
988年 にポー川河口部
がポー ・デル タ州立公 園 と・
して設立す ることに よりその
ナ両都市の文化的 なイニシアテ ィブに基づいて環境的側
一部が実現 された。州立公園 ・自然保護地区法 は、州立
面か らこの地域 を広域的な観光サイクルの中に入れ込む
公園 を 「
統一的な有機体 として機能 している地域系」 (9'
ことが必要であ り、その中で フェラーラ低湿地帯の経済
と定義することで、 自然や景観の保護 を 目的 とするいわ
的 な再生が 図 られ る必要が ある。」 とし、 フェラー ラ低
ゆる公園 とは一線 を画す もの と位置づ けた。保護地区の
湿地帯 における公園政策が、地域経営 を含 む環境保全 ・
ほ とん どは公有地であるが (
1
0
)
、プ レ ・パ ル コに含 まれ
再生型の地域計画 として認識 されていたことを示唆 して
る農地、林地、汽水湖の一部・(
コマ ッキオ汽水湖の一部、
▼
いる。
ベJ
Lトウツツイ湿地 は漁業協同組合の所有)は私有財で
「
多 目的公 園」計画 と比較 してポー ・デル タ州立公園
ある。 このため公園地域計画は、土地利用規制 によって
はEU成立 の影響 を強 く受 けている。 ミラノ (
ロ ンパ ル
環境管理 を実施する必翠があ り、同時 に私有地 では、土
デ ィーア州)か らリミニ までポー ・デル タとい うEU内
地所有者 による環境管理が課題 となる。
1
988年の地域計画 はポー ・デルタ州立公 園について、
「フェラー ラ低湿地帯 、ア ドリア海、 ロ ンパ ルデ ィーア
「地域」 を、産業都市、文化都市、農村、あ るいは山岳
や湿地 といった多様 な要素 に分類 し、その中でフェラー
ラ低湿地帯 を位置づ けているか らである。 こうした計画
州、 ヴェネ ト州 とい う広域的な視点か らポー ・デルタ州
的視点は広域的であると同時に極めて地域的であ り、湿
立公 園を見る とその役割が よ り明確 になる。
」「公園を単
地環境や干拓農地 に対 して も社会 ・経済的役割 を持たせ
に地域 の ミクロな発展 の次元か ら捉 える場合 にはその戦
ている。
またイ タリアで は1990年 に新地方 自治法が制定 され、
略 は限 られた ものになって しまう。む しろ公園政策によ
ってポー川流域の環境 を再生 し、 フェラーラ■
とラヴェン
以前 は中央政府の出先機関 として機能 していたプロヴ イ
(8)
井上 :地域の持続的発展 におけるパルコ政策の可能性
- 7
9-
ンチ ャ (
県)が、 自治体 と位置づけ られることで、州 と
して活用す ることが可能 となった。ポー ・デル タ州立公
市町村の中間的存在 として、県 レベルの地域計画 (
県に
O、農業経営
園では、地方 自治体 、公 園管理協 会、NP
よる広域調整計画)の策定権限
■ を持 った。先 に述べたよ
9
9
7
年の分権法 により県 と公園管理協会の権限が拡
うに1
体等、多様な主体が これ らの資金 を利用 し、公園隣接部
大 したため、県による広域調整計画 と公園地域計画は連
事業 を展開 し、地域経営への具体的な取 り組みを実施 し
携 してフェラーラ低湿地帯の地域間題 に取 り組 むことが
た。次 にヒヤ リング (
l
l
)を元 に、そのい くつかについて
可能 となった。
検討する。
や普通地域内の農地、未利用地において環境保全 ・再生
初期の段階では、 フェラーラ県 は州政府 を通 じてEU
構造基金、直接 支払制度、EEC補助 プ ログラムを個別
3-2.地方自治体による湿地再生実験と地域経営の多様化
的に利用 し、実験 的な湿地再生事業 を地域経営 に結 びつ
∫
ける努力を していたが、1
9
9
7
年以降は県が これ らの資金
(1)Me
ds
pa計画 (
Me
di
t
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r
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ne
a
n■
Spa
c
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gPr
o
gr
a
mme
o
fAc
t
i
o
n).
を直接活用す る ことがで きるようになった。 またEU委
農地における最初の嘩地再生実琴 は、メl
ッザ-ノ干拓
貞 会 は地 域 政 策 の 決 定 権 限 を地 方 政 府 に ゆ だ ね る
0haを湿地.
に戻すMe
ds
pa計画 (
1
9
9
2年)
農地の・
うち約 4
s
ubs
i
di
a
r
i
t
yの原則 を推進 したため、エ ミリア ・ロマニ ヤ州では地方政府が策定す る地域計画 に基づ き、EU
であ り、
J事業 主体 をフェラ.
- ラ県 として、事業資金 1̀
2
'
0% を県が、5
0%がEU補助 (
地中海のための特別プ
の5
構造基金、直接支払制度、EUプ ログラムを総合政策 と
ログラム)が負担す るとい う形で開始 された。計画実施
;
三
重
二
3MARTINELLAの湿地再生■豪
E
ニ
卓
二
j
オステ ツラー ト湿地公園
琵
卓
二
jMedspa什番地
01
Ⅰ-
水路改鯵事業
Ⅱ●
湿 地再生 ・船着き場建毅事業
Ⅱ●
再湿地化事業
図 -8 メッザ-ノ干拓地 における湿地再生事業
※S
I
S
TE
MAAMBJ
ENTAtEDE
L
L
EVAL
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RJ
FE
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0_
(
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EV
AL
ll
DF
LM.
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ANO'_
J
t
Z鱒)よ t
J作成
(9)
-8
0-
生活科学研究誌 ・Vo
l
.1(
2
00
2
)
の富栄養化問題の緩和のため抽水植物 による水質浄化効
果等、湿地q
)機能面の再生 な らびに干拓農地維持 にかか
るエネルギー コス ト (
ポ ンプア ップの費用等)の削減 を
検討 した ものである。
地域経営の側面か ら、メ ッザ-ノ干拓農地 における単
一農業の代替案 として淡水魚の養殖が実験 に取 り入れ ら
れたが、そめ理由は研究対象地域がかつて汽水域漁業の
中心地であったこと、 また地域 ア ンケー トの結果 レクリ
エー ションとしての釣 りの要求が多かったことか ら、農
家の経営 に貢献す る可能性 がある と考えられたか らであ
る。
(2)オステ ツラー ト湿地公園 (
Oa
s
idio
s
t
e
l
l
a
t
o)
Meds
paの実験 と並行 しなが ら、 Meds
paにおいて収
集 された湿地再生 と淡水魚養殖、運営 コス トに関す るデ
∵ タを利用 し、オステ ツラー ト市 メ ツザ-ノ干拓地北部
00haにおいて湿 地再生計 画が事 業化 され た
の総面積 3
)
。 本計画 は当初県 の事業 と して開始 されたが、
(
図 -7
後 に管理運営 はソルジェ-ヴァ農業協
同組合 に移管 され
ヽ
た。
湿地公 園内では釣 り (
約2
5
0円/ 1回)、サ イクリング
写真- 2 コ マ ッキ オ市 街 地
(
約1
5
0円/ 1時間)、乗馬 (
約2
5
0円/時間)、 レス トラ
に際 してフェラーラ県は、メ ッザ-ノ干拓地内のソルジ
ンや トラ ッ トリア、農家民宿 (
約1
5
,
0
0
0再/2日)が準
ェ-ヴァ (
So
r
ge
va
)農業協同組合か ら土地 を借 り受け、
備 され、地域住民 を対象 とした湿地 一農村型観光拠点形
20haで湿地 回復実験 を、残 りの2
0haで淡水魚 の養殖 と
成が 目指 されている。
水質浄化実験 を実施 した (
写真 - 1)0
レス トランでは、地域の農作物 を活用 した料理法 につ
ここで行 われる湿地回復実験 は、環境整備事業の基礎
いて学習会や会食会が企画 され、農村型観光経営の希望
ヽ
デー タ収集 を日的 とし、ポー川、 レ-ノ川、ア ドリア海
者が参加 している。建物 は農家建造物の再利用であるが、
ヽ
秦 - 2 環境保全 ・再生型の公共事業
年
度
事業主体
事業内8
(
単位
.
事1
業予算
00万 リラ)
1995*
フエラーラ県 .公園管理協会
カネ ヴイ工 .ボルテ ィチ-ノ ビオ トープ散策路整傭事業
299.
5
1995年
メ-ゾラ市
積載整備による景観修復事業
1.
000
1995年
コマ ツキオ市
コマ ツキオ汽水湖内の建造物、洲 、散策路の整傭事業
400
1996年
ベ ツラ市
農村型観光 における農寮民宿の整傭事業
600
1996年
コマ ツキオ市
コマ ツキオ汽水湖周辺散策路整傭事業
830
1997年
オステ ツラー ト市
バ ン ド .レプ リ湿地における水性ハ ビタ ッ トの創造事業
168
1997年
コデ イゴー口市
ボ ンボーず、 ヴオラーノ間散策路整傭事業
298
1997年
コデ イゴー口市
ボ ンボーザ僻遭院環境整備事業
580
1997年
フエラ-ラ県
カネ ヴイ工 .ボルテ ィチ-ノ ビオ トープ散策路改善事業
210
1997年
フエラーラ県
ボルテ ィチ -ノ建造物鯵復事業
300
1997年
コマ ツキオ市 .フエラーラ県
レプ リ湿地の建造物鯵 復事業
168
1998年
ベ ツラ市
観光遊歩遭整備事業
240
1998年
公園曹理協会
ベ ロツキオ湿地 における′{.
i
-ドウオッチ ング施設整備事業
238
※ 戸r
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J作成
(
1
0)
- 81-
井上 :地域 の持続的発展 におけるパルコ政策の可能性
料理内容は、ヌオーヴ ァ ・ク ッチ-ナ (
新料理)ゐ代表
いる。 公園管理協会 とコマ ッキオ市 はコマ ッキオ市街地
的なシェフと契約す るなど、都市部 と同様の質 を保証 し
周辺のプ レ Tパ ルコ内農地 において、 Ⅰ) ナビガー ビレ
なが ら湿地環境独 自の食文化 を提供 し、 これを地域文化
水路お よびコマ ッキオ市街地 内水路の改修事業、 Ⅱ) ナ
の一つ・
tして観光客 にアピール している。 農家民宿 のサ
ビガー ビレ水路 に面す る農地 の湿地再隼 と船着 き場建設
ー ビスお よび経営 については、講習受講 と資格取得が必
事業、 Ⅲ) コマ ッキオ市街地周辺の景由整備 を目的 とす
要である。、
る湿地再生、等の事業計画 を進めている (
図 -8
)
0
農園内に再生 され、釣 りやバ ー ドウオ チ ングに利用
コマ ッキオ市街地 はコマ ッキオ汽水湖の影響 を受けて
ッ
される淡水湿地 は、水質浄化 に も活用 されている。 メ ッ
農生産性が低 く、一方地域景観の側面か らは重要 な保護
ザ-ノ干拓地循環水路周辺では総合 的な湿地再生事業が
地区 となっている。 この区域 の農地 をプ レ ・パ ルコに指
進め られてお り (
図 上8)、 フェラー ラ県 はこの事業 によ
定 し、観光産業 を行 う目的で、環境保全 ・再生型の基盤
って、干拓農地の水質浄化 システム (
f
i
t
o
l
a
guna
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o
)
を
整備 を都市事業 と連動 して進 め、市街地 と近郊農地の空
形成す る と同時 に、再生 される湿地景観や ビオ トープを
間的な相互関係 を強化す るこ とによ り地域経営の効率性
農村型観光 に活用 している。
を高めている。
(3) オー プ ン農 園 (
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e) ・教 育農 園
(
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) ・公園の 日 (
Gi
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hi
)
(5)その他の公共事業
9
9
9
年 までに
表 - 2に、 フェラー ラ低湿地帯 において1
農業経営体が単独 で農村型観光 を実施す るだけで な
終了 した上記以外の環境保全 ・再生型の公共事業 をまと
める。
く、 フェラーラ低湿地帯 自体 を農村型観光、エ コ ・ツー
リズム、環境教育の拠点 とす る 目的で、公園管理協会は
3-3.環境基盤整備 における直接支払制度の活用 と
農業経営体お よびNPO と共同で、観光産業 に関す る総
集落協定の役割
合的なシステムづ くりを行 ってい る。
フェラー ラ低湿地帯 において直接支払制度 は、地域の
この事業ではフェラーラ低湿地帯 に地域散策 コースを
設定 し、 コース内の各農業経営体が観光、教育 の 目的で
t
環境管理 と嘩地再生 に広 く活用 されている。 た とえばフ
一般訪問者 を受け入れている。農業従事者 は、季節作物
ェラーラ低湿地帯の南東部か らラベ ンナ市 に位置す るラ
や農業活動 を通 じた環境管理 につ いて説 明 を求 め られ
COOP.
BONI
FI
CA LAMONE)
モ丁 ネ農業協 同組合 (
る。農園や農業 にちいて環境的側面か ら説明 を行 う必要
の場合、所有農地のほ とん どが干拓地であ り、塩分濃度
性 か ら農業従事者 自体が農業の多面的機能 につ いて学ぶ
が高 く
一
生産不良か ら補助金 に依存す る農業経営が続いて
ことになる。 この ように して、 この事業 は生産者 ・消費
億5
千 リラの約4
0%が補助金 による収
いた (
売 り上げ約5
者の双方に対す る環境教育 として も機能 している。
入)。農家経営 を多角化す る 目的で オステ ツラー トの湿
また公 園管理協会 は農業経営体 と共 同で 「
公 園の 日」
.EU共 通 農 業 政 策 の補 完 政 策
地 公 園 を見 学 した 後 、
を定め、地域 の歴 史や湿地 と人間生活の関係 に関す るセ
秦 -3 直接支払制度の補償要件
ミナー、展示会、バー ドウオ ッチ ングなどの事業 を実施
す る。 これ らの取 り組みの中で農業経営体 は直接 販売 を
行 うが、厳密 な環境保全型農業の規定に基づ いた農業生
1
3
ト
が与 え られ、商
産品 に対 してはEUに よる原産地保証(
・
品 として付加価値 を獲得で きる仕組みがある。公 園管理
環境保全型農業
環境低負荷型農業
自然空間の保護
生物多様性の保護
景観保全
協会 は、EUの原産地保証 の制度 を一歩進 め、 ポー ・デ
ル タ州立公園内の 自然、農生産工程、観光産業等 の環境
お よびサー ビス内容 (
ホテルや レス トラン) に対 し品資
I
SO, EMAS)の適用 を実施 し、 これ によっ
保証制度 (
て達成 される公園環境の全体的な向上 は、農生産品の価
値 を高め、生産品販売 に有利 となる。
(4) コマ ッキオ市街地周辺 における湿地再生事業
農用地における楕林
ポー ・デル タ州立公園内に含 まれるコマ ッキオ市街地
(
写真 -2) は、衰退す る農村部の中心的な町 として フェ
ラーラ低湿地帯の地域づ くりの上 で重要 な役割 を持 って
(l
l)
農閑期における農用地の穐我
土壌管理
・粗放的農業
・果物栽培 における他社直裁
・環境に配慮 した仔牛、肉牛の畜産
・環境讐理計画の策定
・粗放的な草地の維持
・自然的 農業的景観の維持
・自然環境保全を目的とする20年間の休耕
・生物多様性保護
.
・生産を目的 とする樹木栽培
・エロージョン防止および不安定な傾斜の
・森林の創造
保雄を目的とする低木積載
・環境保護を 目的とした並木、小森林、防風
-8
2-
生活科学研 究誌 ・Vo
l
.1(
2
0
02
)
1
9
9
9
年 にお けるE
U共通農業疎策 の改正 に よ り、EU規
2078/92、2080/92 (
EEC)(
1
9
9
9
年以降E
U規則 1257/99)
の適 用 を受 けて農地 にお ける湿 地 の再 生 を開始 し、全耕
則1
257/99は農村 地域発展 計 画 の策 定 を地方 政府 に義 務
地面積 3
5
0haの約 1
0% を補償 対象 と した。一般 に イ タリ
づ けてい るが、エ ミリア ・ロマ-ニ ヤ州 はそ の中で、環
アの農村型観光 はわが 国の フ ァー ム イ ンの ように観光客
境 保全型 農業施 策 (
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を既 存 の農家 に宿泊 させ る とい った もので はな く、長期
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滞在 に耐 え うる質の高 い宿 泊施設 や レス トラ ン完備 を必
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要 とす る。 したが って このケ ースで は、農業従 事者 は経
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gg
io
) を開始 し、農業
営規模 や農業経営 の状態か らオ ステ ツラー ト湿地公園の
活動 を通 じた計画 的 な環境 管理 を推 進 してい る。
・これ に
ような大型 の農村 型 観光 を 目指す こ とは難 し く、宿泊施
ょって公 園管理協 会、農業経営体、干拓地管理協会 が集
設 や レス トラ ンを必 要 と しな い トウ リズ モ ・ロ カー レ
落協 定 を結 んで環境管理 を図 り、環境保全型 農業 の実施
(
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) と呼 ばれ る地域 需 要対応 の観光 を 目
にお いて失 われ る所得
指 し、最終 的 には全面 的 な経営転換 を図 る こ とを希望 し
す る。
てい る占小 規模 農業協 同組合 の場合 、経営 上の不安定感
(15'
を直接 支払 制度 を通 じて補填
集落協 定 で は、具体 的 な管理 内容 (
湿地 、湿性 草 原 、
をぬ ぐい さるこ とが難 し く、経営多角化 に向けた初期経
潅 木地 、林 地 、生 け垣 等)、管理面積 、管理 手段 につ い
費 と して直接 支払制 度 を活用 す る こ とで農 園内の環境基
て取 り決 め を交 わ し、公 園管理協会 は集落協 定 に したが
盤整 備 を図 るケースが多 い
って 自然環境保全事業や 自然再生事 業 を実施す る。 農業
0
(
14)
表- 4
・
事業主体の条件
パイ
鼻輪地面穐
。.
ツ ト義革
位聾
自由兵藤
_
その他の条件
・土地所有
We
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の パ イ ロ ッ ト事 業 に対 す る ヒア リング調 査 結 果
農業協同組合の場合
個人農業従事者の場合
10ha
約 2h
a
ラヴエンナ市,マン ドリオ-ネ湿地の北部
ゴー口市,ボー川河口部湿地内農地
プンテ .アルベレ-テ干潟,′{
ルT
l
-ツ口湿原に捷する農地
ボー川ヴオラーノ支流の砂洲および沼地に近接する農地
2m/タマネギ栽培地
砂賞土壌/淡水域/海抜 0-0.
抄賞土壌/汽水域/九枚 0.
2-0.
4m/ トウモロコシ桝 地
合への貸付地
ラヴエンナ市-サン .アルベル ト.工 .メツザ-ノ農業協同組
個人
公由による:
i地利用 州立公園普通地域 (
プレ.
′
{
ルコ)
義_
#活動の軽牽規模
州立公園特別保護地域 (
特別保護地区ゾ-ンBであL
J、土地利用
2,
700h
a/ 2500会員
2.
5ha/個人
専業生産由の輝難 .
.
;麦,大豆,砂糖大根,ブ ドウ,もも, リンゴ
経営嘩*p
続が難
干拓当時はブドウ栽培を行
しく,ここ数年は トウモロコシ栽培をおこなっていた.
っていたが,農地の土壌条件か ら継
な
机
らない時がある.
場合によっては所有地を市却によって経営を建てd
20億 リラである
l
さねば
直接補償への依存が大きい.年間売上は約
父は年金生活.土地所有者は会社員であ り現在,農地からの収
入は副次的収入となっている.
・
プロジエク十への
合の継続は難
夷漣を決定
2,
700h
a
した.
に及ぶ農地の多目的利用と多角経営な
しいため、公園管理協会からのオファーで夷輪の
しには協同組 農業生産は見込めないので農地を観光等の目的で活用
に鱒卓に行くのではなく,地元で鱒きたいと考えていた.直接
し,都市
プロジ工.
鯵加*:
?.
i
.
トへの
事業計画策定.施工.湿原回復過程の維持曽理.
事業計画策定.実験のモニタ リング.
環境独膏のセミナーなどを企画 し,パイロット雷叢をきっかけ
として積極的に坤光産業 に華人することを決定 した.
実施 し、観光事業等農業軽営の多角化に挑戦 したいと考えてい
る.
一度干拓 した土地を湿原 に戻すという計画を理解するのは難 し
い.組合内での牧神に苦労 した.
周辺 も同株の条件の雷神農寮なので,パイロッ ト事業に対 L
,
/
輿
味を持っている.
最初は組合として公園政策に対 し反対であった.夷陳に湿地の
再生が経済的な効果をもたらしていることから組合内を説得す
ることが比較的容易にな ったが、特 に高齢の土地所有者を説得
するには現状でも時間が必要である.
農地が公園特別保護地区の中にあることから、公園管理協会の
専門家には色々な相鼓をするようf
羊なった.土地利用規制が非
常に厳 しいことから、現美的に公園曹理協会と.
の連携がなけれ
ば、補助金に依存するだけになって しまう.
評価
(
1
2)
- 83-
井上 :地域 の持続的発展 におけるパルコ政策の可能性
従事者 は集落協 定 に基づ いて環境 管理計 画 を策定す る
で事業主体独 自の地域経営的取 り組みを検討 した。
が、環境管理計画 は農地 に関す る地区 レベルの詳細 な土
公園管理協会、科学技術委員会 と農業協 同組合 は協議
地利用計画 となる。
によ りパ イロ ッ ト事業 を策定 したが、計画策定、事業実
補償要件 の内容 (
衣 -3) 以外 に地域景観計画 による
施過程 にお いて公 園管理協 会、地元NPO、基礎 自治体
、7
9
/
4
9(
EEC)、9
2
/
43 (
EEC.
)(
1
7
)が
はそれぞれ環境管理 とワイズユースの手法への検討 を深
定める、特別保護地区、共同体保護地区 が土地利用上の
め、連携 して環境管理 に不可欠 な新 しいネ ッ トワークを
保護対象 となる と共 に、生物多様性保護の観点 か ら農業
形成 した く
2
0
)
。
景観保護地域
(
16)
活動 による湿地、湿性草原、潅木甲保全 と再生 を図る必
事業主体 に対す る ヒヤ リング調査 (
義 - 4)か ら、干
要があ り、農業従事者が策定す る環境管理計画 は、地域
拓直後 に入植 した農業従事者 は、湿地七農業活動 との共
′
生 に好 して経験的なノウ入 りを持 ち、 これが湿地管理 に
の環境管理 において重要 な役割 を担 っている。
直接支払制度 を活用 した環境基盤整備の手法 は公園外
有効であることが理解 で きる。 農業協 同組合では自然環
の環境管理 に影響 を与 えた。 また農村 地域発展計画 は、
境 関係 の専 門官 を雇用 し、公 園管 理協 会や環境教育 の
環境保全型農業実施 による補償以外 に も条件不利地域 に
NPOとエ コ ・ツー リズム等 の事業 を開始 している。農
対す る補助 を準備 してお り、 直接支払制度 を活用 した
業協 向組合 に よる事業の多角的展 開が経済効果 を予想 さ
農業経営体の小規模 な事業展開は、 フェラー ラ低湿地帯
せ ることか ら、地元の農業協 同組合が 自立的な地域経営
に継続的な変化 をもた らしていると考 えられる。
の主体の一つ として成長す る可能性 を認め ることがで き
る。
●
(2)De
l
t
a
2
0
0
0(
Le
a
de
rI
I
) による農村計画
3- 4.EUコ ミュニテ ィ ・イニシアテ イヴを活用 した
ボ トム ・ア ップ手法 による事業展開 と
フェラー ラ低湿埠帯 ではEUの コ ミュニテ ィ ・イニ シ
ア テ ィ ブ 、 LEADER I
I(
21
)の 活 動 非 営 利 団 体
環境管理主体 ・地域経営主体の形成
(1)We
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ndsプロジェク ト (
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)
EU の 構 造 基 金 は 、 公 的 介 入 の 「地 域 化 」
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)
として1
9
9
4年 にDe
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が設立 された。De
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0を構成す るのは、 フェラー ラ
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ono
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ci
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n)を進 めるため、
地方政府 、地方公共 団体 、NPO等 が策定す る地域計画
県、 フェラー ラ低湿地帯 の コムー ネ連今 (
iCo
mmuni
de
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e
)、農業 ・職人企業 ・工業 ・商業 に
を通 じた財政支援 を行 うが、構造基金の注入下で さらに
関連す る企業組合 、 フェラー ラ商工 会議所 な どであ り、
集 中的な公的介入が必要 と判断 される地域 間題 に対 して
地元ボランテ ィア も活動 に参加 している。
De
l
t
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0
0
(
)
の 目的は、衰退農村 における地域経営の多
は、コ ミュニテ ィ ・イニシアテ イヴが準備 されている(
1
8
)
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Wet
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andsはEUの コ ミュニ テ ィ ・イニ シ アテ ィブ、
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角化 と雇用の促進であ り、地域の農生産物 に対す るプロ
モー シ ョンやマーケテ イング、農村型観光 を推進す る。
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"の一つ としてCADES
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地域 行 動計 画 /pi
anidiAzi
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Cent
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) を策定す るが、_
Del
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2
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0
0
が イニ シアテ ィブを
Spa
c
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) を対象 に、 1
9
9
8年 ∼2
0
0
0年 に実施 された。本計
とって策定す るケース、中小企業や職人企業が計画 を策
画 は湿地環境の管理 に対 し、広域的視点か らは 自治体間
定 し、De
l
t
a
20
0
0と連携 を図 って これ を計画化す るケー
の情報交換 あるいは共同研究 を、地域 的視点か らは地域
スがある。た とえば農業生産物 に対す る実験的プロジェ
にお ける環境 管 理主体 の形成 を 目的 と して設 定 してい
ク トとして伝統的なジュー ト栽培、ポー ・デル タ州立公
る。
園内の淡水湿地で可能 な半集約的漁業、汽水域 における
エ ミリア ・ロマ一二 ヤ州 は、 プロジェク トの ローカル
水質浄化 システムの形成等が予算化 され、 ジュー ト栽培
メ ンバー として公園管理協会、農業協 同組合、個人農業
についてはアルマーニグループ との契約が成立すること
従事者 を選定 し、パ イロッ ト事業の策定 を委託す る とと
で事業 として成功 した。
もにそれ らをパ イロ ッ ト事業の事業主体 に位置づ けた。
農村型観光 については、エ コ ・ツー リズムの経営手法
パ イロッ ト事業 における検討内容 を、 1)干拓 農地 にお
に対す るプロジェク トを実施 し、地域の中小企業や職人
ける湿性草原の再生実験 と農業活動 に よる湿 地の管理 、
企業のこの分野へ の参入 を推進 している
2)農村型観光やエ コ ・ツー リズム経営等、.
条件不利地
(3) コマ ッキオ (
Co
ma
c
c
hi
o)汽水湖 旧塩 田における
LI
FENATUREプロジェク ト
域 における地域経営の多角化の検討、 と決定 し、 1)の
。
Na
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ur
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2
0
0
0を進めるEUの環境資金LI
FE,
(
2
2
)を活用 し、
目的により農地内での湿地再生実験 を実施、 2)の 目的
(
1
3)
- 84-
生活科学研究誌 ・Vol
.1 (
2002)
4.パル コ政策に対する評価
コマ ッキオ汽水湖の旧塩 田再生計画が進め られている。
984年 まで塩 田があ り、塩 田特有
コマ ッキオ汽水湖には1
パルコ政策の もとで展開 された施策・
について、これ ら
のハ ビタッ トを形成 していた。 しか し塩田が閉鎖 され放
を立体的 に構 成す る環境保全 ・再生型 の地域計画 に対
置 されることで汽水湖内の水循環が悪化 し、エ ロージ ョ
し、 1)公園による環境の保全 と再生、 2)公園地域計
ンやエ コ ・トー ンの喪失によ り海岸線の植生が変化する
画による農地の土地利用調整、 3)直接支払制度による
等、汽水湖内の生態系 に変化が生 じた。 このためLI
FE
環境管理、 4)広域的なE
Uプログラムの展 開 と環境管
プロジェク トでは、コマ ッキオ汽水湖内の水塊境 を改善
理主体の形成、 という 4つのポイン トを指摘することが
し、一部で塩 田活動 を再開 し、営巣 に必要な洲の整備を
で きる。 以下にこの4
点 に対する分析 と評価 を行 う。
行 うことによ り、汽水湖環境 を保全 ・再生するプロジェ
(1)公園による環境の保全 と再生
まず直接 的な農村 的土地利用の保全技術 として、公園
ク トを始めている。
本計画では汽水湖の管理 を継続的に実施するため塩田
地域計画はラムサールサイ トだけでな く広域 的に農地 を
のワイズユースが必要 となるが、公園管理協会 と環境教
保全の対象 とした。
・公園対象地域約6
万haの6
5% を占め
育のN
POが中心 とな り、旧塩 田を環境教育基地
I として
るプ レ ・パ ルコのほとんどが農地であるが、特 に干拓農
活用す ることが捷案 された。イタリア環境省 はかねてか
ら旧塩 田の生態的 ・景観的重要性 について注 目しその管
の計画対象 とした点 に特徴がある。干拓農地 はそれ 自体
理について検討 していたが、上記の提案 を受けて地域の
では豊かな 自然環境である とは云えないが、 これを 「
パ
管理 にこれをゆだねることを決定 し、旧塩田をコマ
ッキ
●
ルコ」とす ることで、衰退農村 を 「
湿地 と人間生活 との
オ市 に払い下げた。
共生」の場 として位置づけ、 自治体 は環境保全 ・再生型
公 園管理協 会 と地元のNPOを中心 に、鉄筋 コンクリ
の公共投資 を集中 した。
ー トの建造物 を解体 し、水環境や鳥相 に負荷 を与 えない
UCNに よ る
「パ ル コ」が 示 す 空 間 的概 念 は 、 I
農家建造物の再利用 を図 り、 これを学習セ ンターや宿泊
PARKSFOR LI
FEの理念 を応用 した ものであると云 え
施設 とす る計画を策定 している。 また、 コマ ッキオ汽水
湖が ラムサールサイ トであることか らLi
pu2̀3) による鳥
上の実効性 を与 え、公園管理協会が地域の多様な主体 と
類 に対す るモニタリングシステムを確立 し、一般 ビジタ
連携 して、環境保全 ・再生 を目的 とする事業 を実施 した
ーの受け入れを進めている。
点である。
本稿 は 「
環境再生」 を、「自然再生」とは異 なる概念
3-5.パル コ政策における施策展開の特徴
で使用 している。いったん喪失 した湿地を復元 ・回復す
るとい う意味での生態的 「
再生」は、厳密 には極めて難
パ ルコ政策が公園を基盤 として施策 を展開す る背景に
しい。 しか し 「
湿地環境の再生」 は、湿地環境が持 って
は、次のような計画上の特徴がある。
いた水質浄化や水 の維持機能の 「
再生」、 また湿地 と人'
研究対象地域 は条件不利地域の衰退農村であるが、公
園は、農地や林地等の地域環境 を保護対象 としてお り、
間生活 との共生の形である文化的景観の 「
再生」 とい う
まず原則 として、
地域環境の保護が前面 に打 ち出される。
意味において、地域 の生態的、文化的価値 を認識する重
次に条件不利地域 における耕作地放棄 を避けるため、公
要な概念である。当初は湿地に限定 されていた再生事業
園地域計画が農地をいったん建築不 自由 とした上で、計
は、現状では湿地内に残存する建造物やジュー トなどの
画的 な農地転用 を実施 し、環境保全 ・再生型の公共事業
伝統的農件物 を含む地域景観全般 を対象 とす るものにな
を実施する。 これは基盤整備だけでな く、地域経営のモ
りつつあ り、 これはE
S
DPが示す 「持続可能 な発展、 自
デル事業に及ぶ。農業活動 を通 じた環境管理 と農業従事
然 的 ・文 化 的 遺 産 の 管 理 と保 護 」(
sust
ai
nabl
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者の経営的多角化の両立が不可欠であることか ら集落協
定等の 自主計画によりこれを進め、直接支払制度を有効
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he
r
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ge
)の実現 に向けた取 り組み
に活用する。そ して最後に保全 ・再生 された環境の管理
に相当する。
主体、それ らを有効利用する地域経営主体の形成を推進
研究対象地域では、干拓農地で 自然再生事業 を実施 し
た後 に 「
パ ル コ」 を設定 したのではな く、 む しろ逆 に
し、 これを多様化する。
「
パルコ」 を設定 した後 に環境保全 ・再生型 の事業 を展
こうした計画構成がパルコ政策の特徴であ り、これに
開 した。その意味で、「
パル コ」が何 を保全 ・再生 しよ
よ り一定の効果を発揮 している。
うとしているのかを認識す るプロセスは、地域 自体が地
(1
4)
井上 :地域の持続的発展 におけるパルコ政策の可能性
-8
5-
域資源の価値 を評価するための内在的な契機 を与 えた と
民、特 に都市住民の認知が必要である。ゆえに農園内に
考えることがで きる。 この点 についてパ ルコ政策に関わ
一般訪問者 を受け入れ、農業従事者 自らが農業の多面的
ったチ ェルヴェラ-ティ は、「
地域住民 自体が 自然環境
機能について説明す る事業は、補償 システムへの理解 を
の保全 と管理 について熟考 し、その方法 を計画立案 して
ゆ くプロセスを通 じて地域 自身がその価値 を明 らかにす
広め.
る地域的事業 としての役割 を担 っている と考えるこ
とがで きる。
る必要がある」 とパルコ政策を評価 している。
(4)広域的なEUプログラムの展開と環境管理主体の形成
(2)公園地域計画による農地の土地利用調整
環境保全 ・再生型事業 によ りラムサールサ イ トの環境
わが国の 自然公園法におけるように、一般 に公園計画
が改善 され、その重 要性 が高 まるこ とで環境教育やエ
は土地利用規制 として高い実効性 を持つが、研究対象地
域 における公園地域計画は、特別保護地区に対す る土地
コ ・ツー リズムを目的 とす ろ学生や ビジター、国際会議
l
の開催 による専 門家の来訪の機会が増 える。 また地域の
利用規制だけでな く、プ レ ・パル コを通 じた土地利用調
環境的質が向上 し、公園のブラン ド化 を困ることにより
整の働 きをしている。公園地域計画は土地所有者 との合
農生産物 も高付加価値で販売が可能 とな り地域経営の安
意 を図 りつつ農地 を事業区域 と規制区域 に再区分 してお
定が促進 される とい う、環境管理 と地域経営の相乗効果
●
り、プ レ ・パルコはいわば農地 における事業区域 と位置
がある。・
こう した状態 を効率的に作 り出すために、研究
づけ られる。地域計画に基づいて、一部の農地では観光
対象地域で採用 される計画技術 には、環境管理主体ある
を目的 とする開発事業が実施 される。 この場合 プ レ ・パ
いは地域経営主体の形成があ らか じめ具体的な形で想定
ルコを中心に事業が展 開され、農地の土地利用転換が積
されている。
プ・
レ ・パ ル コを中心 に実施 されるEUコ ミュ土テ ィ ・
極的に図 られる。 しか し公園地域計画によ り環境保全 を
担保 した上で農地転用が実施 されることか ら、開発事業
イニシアテ ィブや環境 プログラムは∴環境管理主体ある
は、非計画的な開発 を抑制 した環境保全 ・再生型の事業
いは地域経営 主体 の形成 を 目的の一つ に組 み込んでい
とな り、農地の公共的利用 を進める もの となる。
る。 We
t
l
a
nd
sでは事業計画策定
・実施 プロセスにおい
I
農業経営体は、公園地域計画による土地利用調整 によ
て地域 の多様 な主体 間でのパ ー トナー シップが図 られ、
って農地利用 に対 し一定の開発権 を獲得 しうるが、 この
Le
a
de
r
では地域 の産業従事者がNPOを設立 して農村計
場合集落協定によ り環境管理 に関す るルールがあ らか じ
画を策定することで、多様 な主体 による地域経営への参
め取 り決め られている (24
)
。集落協定 は公 園管理協会 と
画が,
促進 され、LI
FE ではワイズユースの主体 を,
環境教
い う公的主体が関与することによ り法的効力が保辞 され
育への参加者 とす ることで、恒常的な利用による参加型
る。
の汽水湖管理 を想定 している。 これ らはそれぞれ、湿地
また集落協定や環境管理計画による合意形成 に基づい
管理や農村型観光の推進等、各プログラムの 目的を追及
た 自主的な土地利用規制は、プ レ ・パルコ内農地の詳細
する過程で実施 される協議や事業計画の策定 を通 じて主
な土地利用計画 として機能 し、植生、.
水系、土壌等 を含
体形成を促す。す なわち環境管理や地域経営 に対 し、基
む、 きめ細かい環境管理 を可能 とす る。
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c
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0
礎 自治体 、地方公 共 団体 、NPO、傘業 、地域住 民 <s
・地域 の多様 な主体が水平的 ネ ッ
号
C
O
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>等、
(3)直接支払制度 による環境管理
トワークを形成 しなが ら政策決定に直接関わることがで
直接支払制度は、農村地域発展計画を 通 じて公園政策
と連携することで、従来か ら実施 されて きた個 々の農業
きる地域のあ り方 を、
地域計画 を通 じて具現化 している。
経営体 に対す る所得補償であると同時 に、新たに地域経
上記の ように、地域 の環境管理や地域経営 に多様な主
営の多様化プロセスを支える役割 を担 っている。補償額
体の関与が促進 される状態では、計画間の調整や、地域
は条件不利地域 ほ ど高 く、 また条件不利地域 に対応す る
主体間の利害調整が困難 となることが予想 されるが、研
補償 も別途準備 されていることか ら、研究対象地域では
究対象地域では公園地域計画が諸計画を、公園管理協会
財政的な支援 システムは、地域経営 において一定の結果
が主体間について、環境保全 ・再生の視点か らそれぞれ
が出るまでの期間、農業従事者 を保護す るために不可欠
整理 を行っているもの と考 え られ、 この中間的な主体の
存在が、地域計画の総合的な実践 を可能 としていると言
となっている。
うことがで きる。
集落協定や環境管理計画に基づ き、農業活動 を通 じた
恒常的な地域の環境管理 を実施す ることは、地域 の持続
5.結語
的な発展 に?なが る地域全体の問題であ り、これによっ
本稿では、研究対象地域がパルコ政策の地域計画的利
て失われる所得 に直接補償が実施 されることには地域住
(1
5)
-8
6-
生活科学研究誌 ・Vo
l
.1(
2
0
0
2
)
臼に検討 を進めることが重要である。
用 を通 じて どの ように環境管理 を実現 し地域経営の多様
中山間地域 の保 全やそ こでの地域経営 に対す る問題
化 を図ったかを検討 し、そ こで注 目しうる点について指
は、地域 における自然環境 や文化的環境 を再評価 し、 こ
摘 して きた。
研 究対象地域 においては、 1)地方 自治体がパルコ政
れ らを有効利用 してゆ く中に解決 に向けた契機があると
策 に強い実効性 を持 たせ、環境保全 ・再生型の公共事業
考えられ、その実現 を目指す地域計画技術 の採用 を検討
を実施 した、 2)プ レ ・パル コを活用 した土地利用調整
してゆ く必要がある。
は農村的土地利用の多様化 を可能 とし、農地 において環
境保全 ・再生型の事業計画が進め.
られた、 3) 2) を実
補注
施す る過程 に、環境管理主体お よび地域経営主体の形成
(1)参 考 文 献 1
2)に よれば 、EU委 員 会 が ま とめ た.
とい う目的 をあ らか じめ取 り込み、その実現 を図った、
「
EU内のサステナブル都市 開発 のための行動計画
とい う 3点 に注 目で きる。
骨子 」は都市 こそが欧州経済の原動力 であ り、雇
点 を実施する過程 において、公園管理協会 を
上記の 白
用 の創 出や環境 問題の解決 に よ り質の高い生活 を
市民 に提供す る中心的な役割を担 うとしている。
核 として基礎 自治体 、NPO、農業協 同組合 、産業 団体
(2)EU加盟国による非公式の閣僚会議 に よ り1
9
9
9
年に
な どが協議 を行い、集落協定や環境管理計画 を策定 して
最終合意 されたEUの空間計画。参考文献 2)参照。
これを公園地域計画 と連動 させ ることで、
・地域づ くりに
(3)参考文献 1
3
)によれば、 1
9
5
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年代 には約6
0であっ
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年 に6
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年 間に設立 されたが、その ほ と
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)の 自然公 園で
ん どが州 レベル (
おける環境管理主体や地域経営主体の意思決定が強い実
効性 を持 ちえ、主体 的な環境管理 を地域経常 の新たな手
法 に結びつ けた。
フェラー ラ低湿地帯では従来か ら国土計画 に基づ く干
ある。
拓事業や産業拠点開発が実施 されて きたが、地域計画が
地域の経営 ・管理に関する権 限を獲得 した後 には、これ
(4) イギ リスは1
9
3
0
年代 の終 りに最初の国立公 園 を設
を都市 を支 える重要 な地域環境 として認識 し、保全 ・再
立 しているが、 この時人間の居住地域 、特 に農村
生の対象 とへ と切 り替 えた。 この転換 には、パルコ政策
を含 む公園 を設立 した。 イギ リスで は公園概念 に
の先見性がある。 またエ ミリア ・ロマ-ニヤ州が都市ス
歴'
史的 に営 まれて きた人間生活が含有 され、 こう
プロールを抑制 して多極分散的な中小都市連携の効率性
した公 園概念 は、 フランス、 イ タリアに も見 られ
を維持 し、地域の持続的発展 を達成す る 目的で、広域平
UCNは、 自然 に対す る人 間生活 の影
る。 さ らにI
野部 における積極的な環境保全 ・
再生型の地域計画 を採
響 が 強 い ヨー ロ ッパ を対 象 に、 PARKS FOR
用 した点 について も高 く評価す ることがで きる。 フェラ
LI
FEの概念 を提唱 し、 自然 と人間の共生の形 を景
ー ラ低湿地帯 と中小都市連携 とい う構造 は相関的に地域
観の観点か ら保護対象 とした。
内の空間バ ランスを図っている。現状 ではア ドリア海沿
(5)石川県加賀市、片野鴨池 (
1
0ha) はその代表的な
岸部の湿地環境 は生物多様性保護のEU規則 によって開
事例である。
発規制 され、EU領域 内の国 境 を越 える地域計 画が展 開
(6) 1
9
9
4年のEUのデー タに よる と一人当た りの GDP
される中で、 よ り広域的な視点か らの フェラーラ低湿地
はハ ンブルグが最 も高 く、エ ミリア ・ロマ-ニ ヤ
帯 の地域像が提示 されつつある。
州 はバ イエル ン州 と並 び8番 目に高い。 なおイタリ
わが国において も、地域の持続的発展 とい う広域的問
アで は ロ ンパ ルデ ィー ア州 が最 も高 く、エ ミリ
題か ら中小都市 と中山間地域 の関係 を見直 し、その中で
ア ・ロマ-ニヤ州は2
番 目に高い。参考文献 1
4
)参
農村的土地利用の多様化 による地域経営の手法 を検討 し
照。
てゆ く必要がある。研究対象地域 にみ られる ように、 自
(7) 参考文献 1
5
) に よれば、 イ タリアにおける従業
然公園の普通地域 に戟略的に農地 を取 り込む手法や、農
員2
5
0名 までの中小企業 は全企業数の7
1
.
4
% (日本
業農村整備事業等で設定 される環境創造区域 及び環境配
等直接支払制度による直接補償の要件 に由 しては、現状
7
1
.
4
%)であ り、 うち従業員が 1
人∼9
人が2
3
.
3
%、
1
0人 ∼4
9人が2
9
.
2%、5
0人か ら2
4
9人が 1
8
.
9
%で、
5
0人 までの中小企業が重要 な役割 を担 っているこ
の国土保全や水源滴菱 を図る とい う位置づ竹 に留めず、
とが解 る。
慮 区域 による環境管理の可能性がある。 また中山間地域
集落協定の可能性や環境管理主体あるいは地域経営主体
(8) フラ ンコ ・フアリネ ッリは、参考文献 1
6
)におい
の形成 を念頭 に入れ、その活用手法 については地域が独
て、ロン ドンとフェラーラ低湿地帯の この関係 は、
(
1
6)
井上 :地域 の持続的発展 におけるパルコ政策の可能性
-8
7-
世界の金融市場 の中心 とその投機対象であ る周縁
はESDPの実現 を 目指す プログラムであ りEU領域
とい う関係 にお い て 、 地 域 が 非 物 質化
内の均等 な発展 を 目的 として実施 され る、 クロス
(
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one) した時代 を象徴 し、都市 と
ボー ダー、 トラ ンスナ シ ョナル、 イ ンター リー ジ
農村 あるいは都市民 と農民 とい う直接 的 な関係が
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0年 まで実施
ョナルな地域計画。Ⅰ
喪失す る危機であった と分析 している。
されたが 、2
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0年以降 はI
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Bが これをひ
きついでいる。
(9)エ ミリア ・ロマ一二 ヤ州の 「
州立公 園お よび 自然
・歴 史 一文化 、
保護地区法 」は州立公園 を、「自然 、
(
2
0) 湿地の ワイズユ ース とは、農業や漁業 に湿地の機
景観、科学 な どの観点か ら評価 で きるその地域 の
能 を活か し、湿地 を持続的に利用 しなが ら保全す
複合的な特徴が、人間生活や経済発展 だけでな く、
ることをい う。 た とえば、生態容量 に見合 った漁
自然環境や 自然資源の保全 お よび回復 の必要性 も
業や生物多様性 を活か したエ コ ・ツー リズム等が
尊重す る方法で、統一的 な有機体 として機能 して
これに該 当す る。湿地 の持つ水の維持機能や気候
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)
」と定義 してい
いる地域系 (
安定へ の影響 は農業活動 に重要 な役割 を果た して
る。
お り、逆 に農地か らの排水や これによる地下水位
(
1
0)保護地 区内 において も、干拓管理協 会等 の財 団が
の上昇 は湿地 にダメー ジを与 える。環境保全型農
所有す る以外の農地 は私有地である。
業では、湿地環境 を農業活動 に有効利用す ること
(
ll
) ヒヤ リングは、 1
9
9
6年2月か ら2
0
01
年秋 まで断続的
がで き、 また湿地 に負荷 を与 えない農業 を行 うこ
に実施 した。 ヒヤ リングの対象 は、エ ミリア ・ロ
.
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とが で きる. こ う・した こ とか らWe
マ 一二 ヤ州 環境 ・地域 計 画 省 公 園課 (
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自治体が シンポ ジウム等の協 同研究や啓蒙活動 を
Cor
azza) 、 エ ミリア ・ロマ - ニ ヤ州 農 業 省
行い、公 園管理協会 と農業協 同組合が湿性草原の
(
Mar
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)、 フェ ラー ラ県 農業 課 (
Gabri
al
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再生 を 目的 とした農地 の掘削、水位調整、植物の
)、 フェラーラ県地域計画課 (
Mor
enoPo)、
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蒔種 を実施 し、 また地域経営 に対 してはNPOが湿
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・デル タ州立公 園管理協会(
地 を使 った環境教育や エ コ・ツー リズムのセ ミナ
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)、農業協 同組合 (ソルジェ-ヴ ァ、
ーを実施す るな ど多様 な主体が協働 して様 々な試
ラモーネ、サ ン ・アルベ ル ト ・エ ・メ ッザ - ノ)、
みを行 なった。
(
21
)農村地域 の発展 を対象 とし、EU内の農村連携 を形
個人土地所有者である。
0
0
0年以降はLEADER+0
成す るプ ログラム。2
(
1
2)事業資金は4
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1
3)EEC2
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EEC)
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9に基づ き、農村地域発展計画 にお いて湿
お よび7
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9(
EEC) に基づ き、Na
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0の重
地管理 に対 し支払 われる直接補償 は、一般 的 な農
要ハ ビタ ッ トを保護す るためのプロジェク トであ
地 で5
20Eur
o/ha/年 、平野 部 で600Eur
o/ha/年、
る。
(
2
3) イタリア野鳥の会
2
0/
Eur
o
/ha
/年である。
丘陵部で4
(
2
4)農村型観 光 の先進地域 であ る トス カ- ナ州 で は、
(
1
5)環境保全型農業では集約的農業 を行 う.
こ とがで き
ず 、む しろ粗 放化 を推進 し、林地 ・湿地の復元 を
農村型観光の開発か ら丘 陵地 において実質的な耕
実施す るため、生産活動 に よる所得 は減少す る。
作放棄が進み、 また市街 地近郊の農地 においては
(
1
6)直接支払制度 によ り保護 も しくは保全 され る 自然
観光用宿 泊施設等 の建築行為 に よる市街化が拡大
景観、半 自然景観、農業景観 は、地域 景観計画 に
してい る。 この よ うな事態 を回避す るため には、
よる第1
7
項、3
4
項 (
湖沼、水系、干拓水路)、同 じ
開発 に関す る一定のルール を土地所有者 自身が決
8項 (
表面水、地下水)、第3
0項 (
公園、 自然
く第2
める必要がある。
保護地区)、第1
9項、第2
5項 (自然景観保存地区)0
(
1
7)7
9
/
4
9
(
EEC)
は鳥に関す る保護指令 、9
2/
43(
EEC)
は
生物多様性 に関す る保護指令 である。
(
1
8)参考文献 1
7
)参照。
(
1
9) コ ミュニテ ィ ・イニ シアテ ィブの うち、I
nt
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eg
(
1
7)
生活科学研究誌 ・Vo
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.1(
2
02)
- 8
8-
DELLUNI
ONEEUROPEA'
nMul
i
no (
1
9
95
)
1
0)片山健介、大西隆 :欧米における広域 圏計画、都市
引用文献
26、Vo
l
.
4
9
/
No.
3(
2
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00)
計画、2
1)r
第 5次全 国総合 開発計画 「
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ドデザ イ ン」 一地域 の 自立の促 進 と美 しい国土の
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2)矢作 弘 ・岡部 明子 :21世紀 EUの都市戦略 一市場主
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義 に対抗す る地域主義 とサステナ ビリテ ィ、世界、
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3) 本 中泉 :文化 と自然の はざまにあ る もの、奈良文
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化財研究所学報、第5
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5)森本幸裕 :生 き物保全 か らみた ラ ン ドスケープ ・
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プランニ ングの現状 と課題、 ラ ン ドスケープ研究、
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地域の持続的発展 におけるパル コ政策の可能性
井上典子
要旨 :
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わが国の国土計画は、「
多 目然居住地域」の形成 を提唱 している.地域の持続的発展 を目的 とす るバ ランスの と
れた土地利用 を実現するためには、環境保全型農業等 を活用 した地域の環境管理が図 られる必要がある。 しか し実際に
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は都市スプロールや農業市場 の 自由化 は農村の荒廃や農業活動 の衰退 を誘発 してお り、 これ らを抑制するためには、生
態的、社会 ・経済的観点か ら農村発展 を進める計画 システムが準備 されるや要がある.
本稿 は、 イタリア、土 ミリア ・ロマ-ニヤ州、 フェラーラ低湿地帯の条件不利地域干拓農地において実施 されるパ ル
コ政策について分析す ることを意図 している。パルコ政策は新 しい タイプの公園 システムであ り、荒廃 した農村 におい
て環境 の再生 を中心 とした事業 を展 開 し、 また 自治体 、NPO、地域住民の水平的ネ ッ トワークを形成す ることで、地
域 における 自然的、文化的資産の管理 を進めている。
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