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本文 - 大阪大学工学部/大学院工学研究科国際交流推進センター

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本文 - 大阪大学工学部/大学院工学研究科国際交流推進センター
1
申請の目的
工学研究科国際交流室留学生相談部 藤 田 清 士
東 條 加寿子
1 .教育の現状と問題点及び教育改革・改善の必要性
理工系に在籍する大学生・大学院生は細分化された自分の専門領域で研究を遂行し、その研究
成果を国際社会に向けて発信しなくてはならない。そのため、英語による論文執筆、研究発表お
よび研究討論のための英語力を備えていることが不可欠であるが、工学部・工学研究科の学生に
ついては、特に、口頭発表や討論に必要な英語力が決定的に不足しているという問題がある。
本取組を行う国際交流室英語力アップWG、および国際交流室留学生相談部の教員組織は、
「工
学英語Ⅰ」
「工学英語Ⅱ」科目を担当するとともに海外夏期研修を企画して、工学研究科の英語
教育を担当してきたが、学問の発展と研究環境の国際化とともに、学生の専門研究レベルと英語
による研究発信レベルの格差が年々拡大する現状を目の当たりにしている。工学部・工学研究科
の学生が英語発信力(特に英語を話す力・英語で討論する力)不足により、重要な研究成果を十
分に発信できない現状を打破するためには、革新的な英語教育プログラムが必要とされている。
2 .目 的
大学院工学研究科において、国際交流室留学生相談部教員は WEB を利用した先進的な工学英
語教育を行ってきた。特に「工学英語Ⅰ」は600人以上の博士前期課程学生を対象に、独自に開
発した WebWRS( Writing Review System)を運用してきたが、WebWRS は論文読解及び論
文執筆教育に特化したシステムで、「英語を話す力」「英語で討論する力」を重点的に培うための
教育システムではない。
今回、
“理工系の研究現場で必要とされる英語討論力の向上”を実現する教育改革を行う。
理工系の学生に求められる英語討論力を向上させるためには、まず、 1 )英語討論力の基礎と
なる総合的英語力の底上げと、 2 )英語を“話す”実践的教育プログラムの構築が必要である。
これらを踏み台にして、 3 )専門分野の研究討論力を徹底的に鍛錬する集中プログラムが効果的
である。
総合的英語力の底上げについては、TOEIC/TOEFL のスコアアップと連動させた取組を行う。
工学研究科の殆どの専攻では大学院入試で TOEIC/TOEFL を義務付けているが、この機を捉え、
学部 3 、 4 年生向けに TOEIC/TOEFL 講座を開催して確実な英語力アップを図る。次に、英語
を“話す”実践の場を創造するために、English Café(仮称)を設置し、ネイティブスピーカー
講師の下で英語討論力が鍛錬できるプログラムを導入する。English Café は主に工学研究科の大
1
学院生を対象とし、「英語で話すこと」「英語で討論すること」が理工系の研究活動の中で“日常
化”した活動になることを目指す。さらに、英語による研究討論力を短期集中的に養成するため
に、実効性がある海外夏期研修プログラムの新規立ち上げを行う。
理工系の学生に対する英語討論力向上教育は、言い換えればグローバルコンピテンシーを備え
たエンジニアの育成であり、工学部・工学研究科で取組むべき教育改革である。
3 .実施計画
具体的に、平成19年度中には以下の事業を行うことを計画している。
( 1 )工学部 3 、 4 年生を対象に「 TOEIC 200点アップ」、及び「 TOEFL スピーキング対策」
講座を開講する。これら 2 講座の講師は、高い実績を上げている外部教育機関から招聘する。
実施時期は11月、及び 2 月とする。
( 2 )English Café(週 1 回×12週、 2 コース)を設置し、試行的に運営する。工学研究科の
博士前期課程の学生を主たる対象とし、週 1 回、 3 ヶ月に渡って「英語で話し」「英語で討
論する」場を提供する。 1 クラスの定員は30人程度とし 3 人のネイティブスピーカー講師を
充当する。時間、場所、運営方法の異なる 2 コースを運用し、対象学生にとって最適な開講
条件を探るとともに、年度末にその教育効果を査定し、次年度以降の自立的運営を目指す。注)
( 3 )研究討論力向上のための平成20年度短期集中海外研修プログラムを立ち上げる。実効性
のあるプログラム構築のために、平成19年度には研修候補先を事前視察し、プログラム内容
について事前折衝を行う。研修先はアメリカとする。
4 .期待される成果と波及効果
本取組によって、工学部・工学研究科の学生が英語討論力の不足のために重要な研究成果を発
信できないという現状を打破することができる。
大学院入試に照準を合わせた TOEIC/TOEFL スコアの増進は、大学院進学という明確な目標
をもった学部学生に対して、極めて実効性のある現実的プログラムであると期待できる。同時に、
外部教育機関との共同教育(アウトソーシング)の可能性模索の第一歩となる。一方、English
Café は、他大学の理工系学部で同類の事例が数件見られるものの、本学としては全く新しい試
みである。
「英語を話すこと」に関わる教育プログラムの必要性は従来より強く認識されている
が、教育効率等の議論の中でなかなか実現しない構造的問題を内包している。今回、English
Café の試行的運営が可能になりその教育効果を査定することができれば、その成果は工学部・
工学研究科のみならず、大阪大学の他理工系研究科、ひいては大阪大学全体の英語教育プログラ
ムデザインに大きく寄与することができる。また、「英語討論力」鍛練のための海外夏期研修に
ついては、語学研修としてではなく専門教育の一貫としての海外研修プログラムのあり方に一石
を投ずることができる。
(以上、2007年春季山本教育改革基金申請書より抜粋)
5 .研究成果と報告
本取組実施においては、各プログラム参加者に対してアンケート調査を実施した。本報告では、
参加者に対して行ったアンケート結果に基づいて、工学部・工学研究科の「現状」をできるだけ
2
申請の目的
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TOEIC/TOEFL ⻠ᐳߩ㐿௅
客観的に把握することを試みる。参加者数はそれぞれ、TOEIC講演会155人、TOEFL講演会40人、
英会話プログラム受講申込者114人、English Café 参加者120人(延べ人数447人)で、これに英
語クラス受講の学部生93人の協力を得て、合計522人がアンケート調査の対象になった。工学部・
工学研究科を中心とした500人を超える学生の行動と意図の記録である。それらをデータの中に
読み取り、本研究成果として報告する。
工学部・工学研究科では、TOEIC と TOEFL のどちらの試験を学生に課すのが適切かという
議論が従来からある。 2 つの試験がそれぞれどのような英語力を測定しているのか、英語力に関
わる理論的議論は正攻法である。しかし、同時に、現実的な観点から、学生がこれら 2 つの試験
に対してどのように反応しているか、彼らの行動を分析することによって、TOEIC と TOEFL
の属性の違いが明確に浮かび上がってくる。
また、今回の取り組みで「英会話プログラム」と「English Café」の質的考察も可能になった。
これら 2 つのプログラムはいずれも“対人コミュニケーション”に必要な言語能力の養成を支援
しようという試みである。こういった言語能力は、正規の授業の枠内で十分に取り組むことがな
かなか困難であり、それを学生が自分の意思で参加できる授業外のプログラムの中で取り扱った
という点において本取組は意義深く、そのアンケート結果は学生の志向を反映するデータとして
貴重である。「英語を話す」という目的を共有する 2 つの取り組みであるが、実施データやアン
ケート結果から、それぞれに異なる学生群像(学習者群像)が見えてくる。
学生の意向に迎合することなく、学生の動向を客観的に分析することは、工学部・工学研究科
の学生にとって有効な英語教育をデザインするために不可欠である。
注)
「 English Café」は、計画を具体化する段階で、ネイティブ講師主導によって構造化された「英会話プログ
ラム」と、英語が堪能な学生(留学生・日本人学生)がコーディネートする「 English Café」の 2 種類のプ
ログラムに分化して試行実施し、それぞれの可能性を探ることにした。
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TOEIC 講演会
工学研究科国際交流室留学生相談部 奥 西 有 理
講演題目:TOEIC 攻略法:ハイスコアを目指して
講 演 者:ロバート・ヒルキ氏(企業研修トレーナー、元国際基督教大学専任講師)
日 時:2007年11月17日(土)13:00~15:00
場 所:U 3-211教室
参 加 者:155名(学部生66名、大学院生80名、その他 9 名)
1 .目 的
TOEIC( Test of English for International Communication)は、工学研究科のほとんどの専
攻の大学院入試において採用されており、また就職試験においても多くの企業がスコアを要求し
ている。そのため、大阪大学工学研究科においても、TOEIC スコア向上に関する学生の関心は
高い。そこで、TOEIC スコアアップについて実践的に分かり易く解説した講演会を実施し、も
って英語基礎力アップを支援する。
2 .実施報告
本講演会を学生及び教職員に対して周知するため、広報活動を行った。工学部・工学研究科内
でのポスター(資料参照)掲示、国際交流室留学生相談部のホームページへの情報の掲載、学内
でのビラを配り、工学英語Ⅱの授業や米国夏期研修参加者メーリングリスト等を通して参加を呼
びかけた。
講演会は、11月17日(土)13:00~15:00工学部 U3-211教室にて実施された。企業研修トレ
ーナーであり、元国際キリスト教大学専任講師である、ロバート・ヒルキ氏がアルク教育社から
派遣され、「 TOEIC 攻略法:ハイスコアを目指して」というタイトルで講演が行われた。総計
155人の参加があり、参加者の内訳は、工学研究科からは学部生が66名、大学院生が80名であった。
また、工学研究科以外からの参加も 9 名あった。)
講演会配布資料として、ヒルキ氏の TOEIC 対策についての著書から練習問題を含む数ページ
分のコピーが配られ、リスニングやリーディングの問題に会場の参加者が一斉に取り組み、解説
を受けるという一場面もあった。ヒルキ氏は、 5 W 1 H の単語など、キーワードを逃さず聞き
取ることで解答が容易に導けるなど、スコアアップのためのコツを伝授していき、学生も身を乗
4
り出して熱心に聞き入っていた。
講演会終了後、ヒルキ氏の著書であるトイック攻略本 2 種類の販売が行われ、希望者はその場
TO E I C 講 演 会
で購入した。また、ヒルキ氏によるサイン会があわせて開催され、購入したばかりの本にサイン
をもらおうとする学生の長蛇の列ができた。ヒルキ氏は学生一人ひとりに励ましの声をかけなが
ら、サインを施していた。
3 .アンケート結果
講演会参加者を対象にアンケートを実施した。アンケート回答者は150人(回答率 96 . 8%)で
あった。以下、結果を項目別に紹介する。
1 )参加者の学年
図 1 が示すとおり、圧倒的に参加者の多かった学年は博士前期 1 年生であり、次に多かったの
は学部 3 年生であった。次に博士前期 2 年生、学部 4 年生、学部 2 年生、博士後期 1 年生、学部
1 年生と続く。大学院入試や就職を控えた学年の学生に、TOEIC に対する関心の高まりが見ら
れる。
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図 1 参加者の学年( N =150)
2)
講演会を知った媒介
図 2 が示すとおり、今回、参加者が講演会実施を知るに至った媒体は主に 3 種であった。すな
わち、ポスター・チラシなどの紙媒体、ホームページ・ブログなどのネット媒体、教員・友人な
どの人的媒体である。中でも最も有力な媒体は、紙媒体であり、ポスター、チラシ、専攻事務掲
示板を合わせると、のべ112名もの学生が紙媒体で講演会を知ったことになる。最も効果的だっ
たポスターは、手作りのカラー刷りで仕上げられ、特に講演会直前に作成されたものについては
ヒルキ氏の写真入りの非常にユニークなデザインであった。そのユニークなものが大量に開催日
直前、工学部の広場等、学生の目によくつく場所に多数掲示されたため、印象に残り易かったと
思われる。また、ポスターを目にした上で、教員や友人からも声をかけられるといった複数の媒
体が組み合わせられることで、より確実に参加に結びついたということもあったろう。
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図 2 講演会を知った媒体
(複数回答可)
3)
満足度:講演内容
図 3 が示すとおり、講演内容に関する満足度は極めて高かった。「大変満足」、「満足」を合わ
せると、アンケートに回答した参加者の約97%にあたる141名の学生が、講演内容を肯定的に受
け止めていた。なお、講演内容を否定的に受け止めていた参加者はいなかった。
図 3 満足度:講演内容( N =145)
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4)
満足度:講師
図 4 が示すとおり、講師の満足度も極めて高かった。参加者の約77%が「大変満足」と評価し
TO E I C 講 演 会
ており、
「満足」と合わせると、約99%の参加者が講師を肯定的に受け止めていた。
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図 4 満足度:講師( N =146)
5)
英語の必要性の認識
英語の必要性について参加者の考えを尋ねたところ、図 5 のとおり、国際社会でのコミュニケ
ーション手段として英語が必要であると認識している学生が最も多かった。引き続き、就職、研
究、専門分野の勉強に必要、大学院入試、論文、国際学会という順になっており、 2 位から 7 位
までは、すべていわば「実利的、道具的な理由」であった。理工系の学生にとって、英語は、非
常に現実的な必要性の高いものとして捉えられている実態が明らかになった。
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図 5 英語の必要性の認識
(複数回答可)
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6 ) TOEIC/TOEFL 受験履歴
今回、参加者に TOEIC 及び TOEFL 試験の受験歴を尋ねたところ、図 6 のとおりの結果とな
った。TOEIC 受験経験者の方が圧倒的に多かったが、TOEFL 受験者も一定数存在した。大学の
教育現場で、TOEIC と TOEFL が、目的により併用されている実態が伺える。
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図 6 TOEIC/TOEFL 受験履歴
(複数回答可)
表 1 自由記述回答
〈講演内容はどうでしたか?〉
新たな発見があった 1 名
とても分かりやすく、楽しく聞けました 1 名
これから必要なのでよかったです 1 名
とても楽しく、だけど分かりやすく、大変満足しました 1 名
とても分かりやすかった 1 名
TOEIC は英語を話すための自信となる一つの Tool だと聞いて感動しました 1 名
もう少しハイスコア向けのものも聞きたかった。今回は500点台向けという感じ 1 名
〈講師はどうでしたか?〉
楽しかった、面白かった 4 名
話の内容が理解しやすかった 2 名
めっちゃいい人でした 1 名
こんな授業を受け続けたいです。 1 名
なぜか自信がついた 1 名
日本語上手 1 名
Would you speak more English next time? 1 名
目からうろこな作戦がいっぱいでとてもよかった 1 名
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〈 TOEIC/TOEFL を受けた理由は?〉
ひまつぶし 1 名
英語の力を計るため 10名
なんとなく、学部で 1 名
就活/就職のため 10名
学校で受ける機会があったから 1 名
大学/授業で必要だったから 7 名
英語の勉強、国際学会申込のため 1 名
英語力を試したかったから 4 名
自発的に 1 名
英語力向上のため 3 名
英語のクラス決めのため 1 名
自己啓発/チャレンジのため 3 名
練習 1 名
履歴書に書くため 2 名
学校で TOEFL-iBT を受けました 1 名
みんなが受けてるから 2 名
IP テストで 1 名
TO E I C 講 演 会
院試/受験のため 35名
4 .考 察
講演会は、総じて非常に好評であった。資格試験でハイスコアを取るための具体的・実践的な
戦略を教えてもらえる今回の講演は、大学の講義とは全く異なるタイプのものであり、参加した
学生には新鮮だったようである。
講師のロバート・ヒルキ氏は、日本語での話に時折英語を取り混ぜ、ジェスチャーを巧みに使
いながらユーモアを効かせた話術で、参加した学生を笑いに渦に巻き込んでいた。選択式アンケ
ート結果が示す満足度の高さに加え、記述式アンケート回答でも、面白かった、楽しかった、理
解しやすかったという意見が多く見られた。英語学習について、面白い、楽しい、と感じてもら
えることで、参加者の英語学習意欲が向上する効果があったと推察される。
TOEICで高得点を獲得することについて、工学部・工学研究科の学生の関心がいかに高いかは、
休日にも関わらず、155名もの学生の参加者が得られたことからも、アンケートの具体的結果か
らも明らかである。今回の講演会実施の成功を通じて、工学部・工学研究科学生の英語力アップ
の一つの手段として TOEIC 受験に関するサポートは有効であることが判明した。今後も、この
ように実践的な英語力を学生に与えるための取り組みが期待されよう。
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TOEFL 講演会
工学研究科国際交流室留学生相談部 藤 田 清 士
講演題目:TOEFL-iBT 攻略法
講 師:川手ミヤジェイェフスカ恩教授(テンプル大学日本校)
日 時:2007年12月 5 日(水)16:30~18:00
場 所:C 3 棟 5 階 サントリーメモリアルホール
参 加 者:40名
1 .目 的
TOEFL-iBT( Test of English as a Foreign Language Internet-Based Testing)、は従来の
TOEFL に比較して難易度が上昇しており、受験者はテストに対応できる実力を身につける必要
がある。TOEFL-iBT では、具体的に「Speaking」セクションと、「Reading」・「Listening」・
「Writing」
・
「 Speaking」のそれぞれの技能および 4 つを総合的に技能判定するテストであるの
で、その受験対策に関しては十分な準備が必要である。
大阪大学工学部・工学研究科でも海外留学をめざす学部生・大学院生が少しずつ増加している
ため、TOEFL 受験に関しても関心がある学生が増加している。そのため、本講演会をとおして
TOEFL に対する意識を高めてもらうと同時に具体的な学習方法を学ぶ機会を提供することを目
的とした。
2 .実施報告
学生及び教職員に対して本講演を周知するために広報活動を行った。工学部・工学研究科内に
ポスター(資料参照)を掲示すると同時に国際交流室・留学生相談部のホームページに情報を掲
示した。工学研究科の工学英語Ⅱの授業やメイリングリストでも情報を流すと同時に、学内でビ
ラをくばり参加を呼びかけた。さらに学内で行われたTOEFL試験の直前にも広報活動を行った。
講演会は、12月 5 日(水)16:30~18:00に、テンプル大学日本校の川手ミヤジェイェフスカ
恩教授を招いて「 TOEFL-iBT 攻略法」と題した講演が行われ、約40人が参加した。
TOEFL は2006年よりインターネット版が導入され、これに伴って writing および speaking テ
ストが導入されるとともに、問題も reading、listening に基づいて speaking 力を問うといった複
合的スキルを試すものに変わっている。講演では、アメリカの大学の講義の成り立ち、具体的に
10
どのように講義を理解していけばよいのか、そして問題にどのように答えていくのかについて、
順を追った説明がなされた。
講演では、サンプル問題を例示しながら実際の受験方法に関しての指導が行われた。講演後の
質疑応答では、配点についての質問や休憩時間のとり方など実践的な質問が参加者からなされた。
TOEFL講演会
3 .アンケート結果
講演会参加者を対象にアンケートを実施し、回答者は21人(回答率 52 . 5%)であった。結果
は以下のとおりである。
1 )参加者の所属
参加者の所属は図 1 の通りである。電気電子情報系の学生が最も多く参加し、次に機械・地球
総合からの参加者が多かった。他学部及び他研究科からの参加もあった。
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図 1 参加者の所属( N =19)
2 )参加者の学年
図 2 に参加者の学年や職位の分布を示す。学部生では 2 回生が大学院前期博士課程では 2 年生
の参加が多い。又、教職員でも TOEFL に関心がある方が参加された。
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図 2 参加者の学年( N =21)
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3 )講演会を知った媒体
講演会を知るきっかけになったのは、圧倒的にポスター・チラシや教員からの情報によるもの
が多い事が、図 3 から見られる傾向である。今回の講演会ではブログや掲示板、口コミ情報など
の情報伝達経路はあまり機能していないこともわかった。
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図 3 講演会を知った媒体( N =20)
4 )満足度:講演内容
図 4 に示す通り、講演会に対する満足度は概ね良好であるが、どちらともいえないと回答した
者・物足りない・不満足と回答した参加者も若干名存在した。
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図 4 満足度:講演内容( N =20)
5 )満足度:講師
図 5 に示す講師に対する満足度も大変満足と満足に回答が多かったが、物足りない・不満足と
回答した参加者も存在した。
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6 )英語の必要性の認識
英語の必要性の認識は図 6 に示す通り明確である。専門研究分野のためや論文執筆・研究・大
学院入試に必要であり、国際学会や就職に必要である事も示された。
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図 6 英語の必要性の認識(複数回答可)
7 )TOEFL 受験履歴とその種別
参加者の多くが TOEFL を受験しているが、受験経験がない参加者も 8 名いた。図 7 が示す通
り、TOEFL-ITP の受験者が最も多かった。
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図 7 TOEFL 受験履歴とその種別( N =21)
8 )TOEFL 受験の理由
TOEFL 受験の理由は大学院入試と留学目的が同数であった(図 8 )。
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図 8 TOEFL 受験の理由( N =6)
13
3
9 )TOEFL-iBT に対する理解度
図 9 が示す通り、TOEFL-iBT に関する理解度は「深まった」がもっとも多く、否定的な意見
は少数であった。
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図 9 TOEFL-iBT に対する理解度( N =21)
10)今後希望する企画
図10は今後希望する英語力アップ企画を集計したものである。スコアアップのための勉強法や
ネイティブとの会話など、実用的で即効性がある企画を望んでいる参加者が多い事が判明した。
又、希望する個別の内容に関しては、表 1 に自由記述回答の形で記載した。
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図10 今後希望する企画( N =8)
14
表 1 自由記述式回答欄
【 TOEFL に対して】
○模擬テスト 留学生で TOEFL を必要とする学生に受けさせたいと思います。
【今後希望する企画に対して】
○英語のロジックなど、日本人が気づきにくい点のセミナー。
TOEFL講演会
○ネイティブスピーカーとの学術的な会話。
○実際に留学した人(TOFEL を受験してスコアをあげた人)の勉強法を学生の目線にたって教え
てくれるような機会があると嬉しいです。
○英語を話す機会を得られるような企画。
○実際に使う機会があれば学習意欲が上がる。
○留学生たちと交流する機会。
○ TOEIC/TOFEL 対策用や、ネイティブによる英会話の授業をして欲しいです。
○英会話プログラムでもっと定員を増やして頂きたいです。
4 .考 察
講演会は40名ほどの参加者で和やかに行われた。大阪大学大学院工学研究科の大学院受験や就
職の際に必要とされる TOEIC に比較するとその講演会への参加者数も大幅に少なく、その関心
度が参加者数に反映されているようである。実際には、留学に関心の高い学生及び教職員が参加
したことがアンケート結果に見られる。逆説的に述べると留学する予定の学生には、効果的な講
演会であった。
本講演会は英語力 UP プログラムとして企画された。大阪大学工学部・大学院工学研究科では
Academic English に対応した英語力 UP に関するプログラムが十分でないため、TOEFL 受験な
どを足掛かりに、Academic English に対するより一層の啓蒙活動が必要である。アンケートの
統計にも示されているように、英語を使う必要性に関しては、専門研究分野の遂行のためや論文
執筆のみならず、研究留学、国際学会発表に必要である事も判明した。それ以外にも大学院入試
や就職など極めて実際的な場面に英語を必要としている事も明確になった。本講演会のように今
年度行われた英語力 UP プログラムが、大阪大学工学部・大学院工学研究科に潜在している英語
に対するニーズを調査・分析する場として有効に機能することが今後とも重要である。
15
3
4
英会話プログラム
工学研究科国際交流室留学生相談部 セイドー外国語学院 東 條 加寿子 David Kolf
黒 田 千 晴 日 時:2007年11月30日~2008年 2 月22日 毎週金曜日(全10回)
中級クラス( TOEIC 700点未満) 14:40~16:10
上級クラス( TOEIC 700点以上) 16:20~17:50
場 所:U 1 W( GSE コモンウエスト)
講 師:セイドー外国語学院 David Kolf Elizabeth Leigh
参 加 者:中級クラス 15人、上級クラス 15人
(受講希望者は 114人:中級クラス79人、上級クラス35人)
1 .目 的
工学部・工学研究科の学生にとって、
「英語が話せる」ことはある意味で至上命題といっていい。
「工学英語I」
「工学英語II」
(博士課程前期 配当科目)担当者の視点からみても、国際会議
で研究成果を口頭発表するために必要な「英語を話す」能力の習得は、工学研究科の学生にとっ
て、現実的な必要性と緊急性を有している。学部生から大学院生に至るまで、学生の殆どが「英
語が話せるようになる」ことを切望している。
「英語を話す」スキルの養成は同時に、大学の英語教育カリキュラムの中でなかなか実現しに
くいことも事実である。体験的・反復的要素が重要な言語教育においては、クラスサイズ、ネイ
ティブ講師の充当、適正なカリキュラム等、物理的制約やリソースの制約が大きいからである。
これらから、授業外での英会話クラス設置のニーズが浮かび上がってくるが、学生が実際にど
のような英会話クラス(クラスサイズ、時間帯、費用等)を求めているのかは実は明らかではな
い。本取組では、
「英語で話し」
「英語で討論する」場を試行的に提供することによって、工学部・
工学研究科の学生にとって最適な英会話クラスの開講条件を探り、工学部・工学研究科キャンパ
ス内での外部教育機関委託による英会話クラスの可能性を探る。
2 . 実施報告
英会話プログラムについてはポスターやホームページ掲載によって広報し、11月初旬から11月
26日までの約 3 週間受講生を募集した。本プログラムの参加費は無料とし、申込みはオンライン
登録サイト( GCN Osaka)を活用した。募集開始直後から、受講希望者が殺到する状況で、最
16
終申込者は 2 コースで114名(内訳は中級クラス79人、上級クラス35人)であった。募集期間終
了後に抽選を行い中級クラス15人、上級クラス15人を選抜した。
講師は、長年の実績を有するセイドー外国語学院(兵庫県芦屋市)に外部委託し、ネイティブ
講 師 2 名 が 講 師 を 担 当 し た。 そ の う ち の 1 名 が、 カ ス タ ム メ イ ド の テ キ ス ト を 作 成 し た。
( Conversation and Discussion Skills:Concepts and Practice in Intercultural Communication
for Students of English 全78ページ)
本プログラム実施にあたっては、11月末から 2 月までの毎週金曜日、計10回のクラスを開講し、
出席率は、中級コースで82 .7%、上級コースで74.0%であった。プログラム終了後には、講師担
英会話プログラム
当者からの報告を求めるとともに、受講生にアンケート調査を行なった。
3 .アンケートデータ分析
3 .1 受講希望者のプロフィール
受講希望者にはオンライン登録システムにログインし、参加者氏名、学年、専攻、TOEIC/
TOEFL スコア、応募目的、海外経験等についての記載を求めた。以下は受講希望者114人のプ
ロフィールの分析である。
1 )受講希望者の学年別内訳
受講希望者の在籍学年別内訳は、図 1 の通りである。最も申し込みが多かったのが、M 1 (博
士前期課程 1 年生)で39名が申し込んでいる。続いてM 2 の学生(博士前期課程 2 年生)が25名、
B 4 (学部 4 年生)が24名、それぞれ申し込んでいる。B 1 (学部 1 年生)、B 2 (学部 2 年生)
の学生の申込は極めて少ないが、B 1 、B 2 の学生は、共通教育の授業の関係で、主に豊中キャ
ンパスに通学しており、吹田キャンパスでの活動に参加しにくいことが一つの要因であると思わ
れる。なお、ポスドクは今回受講資格外であった。
( 0 %)
( 1 %)
(10%)
(21%)
(34%)
(22%)
( 5 %)
( 2 %)
( 2 %)
( 2 %)
( 1 %)
図 1 英会話プログラム受講希望者の学年別内訳( N= 114)
17
4
2 )受講希望者の専攻/学科別内訳
次に、受講希望者の専攻/学科別内訳を示す。受講希望者数と在籍学生数によって割り出した
受講希望者の割合をみると、大学院レベルでは、環境・エネルギー工学専攻が7 .50%、応用化学
専攻が5 .63%、続いて電気電子情報工学専攻が5.41%となっている。学部レベルでは、応用自然
科学科が1 . 46%、地球総合工学科が0 .96%、応用理工学科が0 .82%と続いている。環境・エネル
ギー工学専攻/学科については、大学院レベルの受講希望者の割合が他の専攻に比較して高い値
となっているが、学部レベルでは逆に、低い値となっている。
表 1 受講希望者の専攻/学科別内訳
専 攻 / 学 科
環境・エネルギー工学
受講申し込み者数
在籍学生数
在籍学生数に占める
受講希望者の割合 大学院(工学研究科)
12
160
7 . 50%
9
160
5 . 63%
電気電子情報工学
16
296
5 . 41%
地球総合工学
応用化学
11
205
5 . 37%
機械工学
9
171
5 . 26%
生命先端工学
7
171
4 . 09%
知能機能創成工学
3
74
4 . 05%
学部(工学部) その他
精密科学 ・ 応用物理学
3
97
3 . 09%
ビジネスエンジニアリング
2
71
2 . 82%
マテリアル生産科学
5
212
2 . 36%
14
956
1 . 46%
応用自然科学
地球総合工学
6
622
0 . 96%
応用理工学
9
1 , 102
0 . 82%
電子情報工学科
5
826
0 . 61%
環境・エネルギー工学
1
169
0 . 59%
薬学部
1
N/A
N/A
微生物研究所
1
N/A
N/A
計
114
注:在籍学生数は2007年 4 月 1 日現在の統計
注:薬学部・微生物研究所は受講資格外 3)
受講希望者の英語標準テストのスコア・取得級
受講希望者の申し込み時の英語力を知る一つの指標として、英語標準テスト( TOEIC/
TOEFL/ 英検)のスコア、取得級を尋ねた。最も多くの受講希望者が、TOEIC のスコアを申告
した。以下、TOEIC のスコア分布表をグラフに示す。また、TOEIC 、TOEFL、英検のそれぞ
れのデータを表に示す。
18
英会話プログラム
図 2 受講希望者の TOEIC スコア分布表( N =80)
図 2 、表 2 から読み取れるように、受講希望者の TOEIC スコアは、600点~800点の間に集中し
ている。最も多いのが、700点~750点代のスコアを保持する者である。一概には言えないが、受
講希望者の申込時の英語力は、比較的高い水準にあることがわかる。
表 2 受講希望者の英語標準テストスコア
TOEIC スコア
スコア
TOEFL スコア
人 数
900~
3
850~
3
TOEFL 種別
スコア
TOEFL-CBT
英検取得級
人 数
級
人 数
220~
1
英検準 1 級
1
210~
1
英検 2 級
3
800~
6
200~
1
英検準 2 級
2
750~
12
550~
1
英検 3 級
1
700~
16
540~
2
TOEFL-ITP
650~
15
530~
1
600~
12
合 計
7
550~
11
500~
2
450~
6
400~
1
350~
1
250~
1
合 計
89
4)
受講希望者の留学経験について
次に、受講希望者の留学経験の有無について質問し
た。留学経験を有する者は、22名、短期の留学経験を
有する者は、12名であった。半数以上の62名の受講希
望者が短期・長期ともに留学経験がなかった。
合 計
7
注:複数回答・20名は該当データ無し
表 3 受講希望者の留学経験の有無
留学経験
人 数
あり
22
短期経験
12
滞在経験
1
なし
62
予定あり
1
記入無し
16
計
114
19
4
5)
英会話プログラム受講希望理由
次に英会話プログラムの受講希望理由について、まとめたものを記す。
最も多かった受講希望理由は、話す機会を増やしたいというもの、コミュニケーション能力を向
上させたいというもので、それぞれ28名の学生が受講希望理由として挙げている。続いて、留学
や国際学会参加の予定があるので、その準備として英会話プログラムの受講を希望する者が19
名、就職に英語力が必要である、またビジネススキルとして英語力が必要であるとの理由が続く。
さらに、英語力そのものを向上させたいという理由、スピーキング力、リスニング力を向上させ
たいという理由などが挙げられている。その他、学習方法を模索している、TOEIC 受験のため、
発音の改善などを受講理由として挙げる者もいた。さらに、学内で開催される利便性などについ
ても受講理由として挙げている者もいた。総合的にみて、やはり英会話プログラムに期待される
のは、話す機会を提供することや、コミュニケーション能力の向上であると思われる。続いて、
工学部・工学研究科ならではの理由として、国際学会での発表を控えている学生が比較的多数存
在し、これらの学生が学会の前に英語力をブラッシュアップしておきたいと受講を希望するケー
スが見られた。
表 4 英会話プログラム受講希望理由
必要性及び希望する理由
人 数
話す機会を増やしたい
28
コミュニュケーション能力の向上
28
留学、国際学会参加の予定がある
19
就職に必要、ビジネススキルとして
18
英語力レベルの向上
16
スピーキング力の向上
9
リスニング力の向上
8
学習方法を模索しているため
7
TOEIC 受験のため
7
発音の改善
5
英語に対する恐怖心、劣等感の克服
3
学内にあるので利便性がよい
3
友達作り
2
語彙を増やしたい
2
卒業論文執筆のため
1
工学専門英語を学びたい
1
合 計
157
注:複数回答可
3.
2 受講者のプロフィール
114人の受講希望者の中から抽選によって選ばれた参加者のプロフィールは、中級コース、及
び上級コースについて以下のとおりである。
20
表 5 中級コース受講生のプロフィール
学 年
B 2 : 1 名、B 4 : 6 名、M 1 : 3 名、M 2 : 3 名、D 2 : 2 名
TOEIC 平均スコア
683.89
留学経験者
(短期) 4 名
「英会話プログラム」を受講しようと思った理由
自分の英会話能力に自信がなかったから。将来、院に進むにしても仕事をするにしても必要になると
思ったから。
会話力向上のため。
英会話プログラム
研究室生活で英語を話す機会が増え、自分の英語力のなさに危機感を覚えて、なんとか英語力をアッ
プさせたいと思ったからです。
英会話のスキルを向上する必要性を感じたため。
交換留学したいから。
卒業後、会社の経費で留学するためには TOEIC 850点が最低ライン( P 社)。
英会話ができないと会社選択および出世に制限がかかるという現実に際し、大学を出るまでに
TOEIC 850点取得および英語で研究発表をこなすようになるという目標を立て、本気で英会話学校に
通うことを検討していたところに貴プログラムのポスターが目に飛び込みました。
英会話力向上のため。無料であるから。
独学では聞く・書くなど受動的なものに偏りがちであるので、能動的に自分の考えを発信する練習を
したかったからです。
英会話能力の向上。
To improve my English skill to get a job in Malaysia in the future.
海外からの訪問者、留学生とのコミュニケーションスキルを上げたかったため。
普段英語をしゃべる機会がなくてとにかく英語をしゃべる環境を作りたくてです。
表 6 上級コース受講生のプロフィール
学 年
B 4 : 2 人、M 1 : 8 人、M 2 : 4 人、D 3 : 1 人
TOEIC 平均スコア
763.57
留学経験者
(短期) 7 名 内 5 名が「理工系大学院生のための海外研究発表研修」に参加
「英会話プログラム」を受講しようと思った理由
英語に触れる機会が少なく、英語力に衰えを感じていた為。
また、英会話には苦手意識が非常に強く、それを克服したかった為。
英会話力の向上。
英語は一人でも勉強できるけど英会話は勉強できないと思いいいチャンスだと思ったから。
普段英語を話すような機会がなかったし、英語を話せるようになりたいと考えていて、そういう機会
を求めていたからです。
会話の練習のため。
普段から英語を話す機会を絶やさないようにしたかったから。
英会話教室に通いたいと思っており、無料という理由からも受講しようと思ったため。
普段しゃべっている英語が、文法などのまちがいが多く、それを修正する機会もあまりなかったので、
英会話をクラスの中で行えば、幼稚なまちがいの修正を行うきっかけになるのではないかと考えたため。
21
4
3.
3 受講者アンケート結果
受講者に対しては、プログラム終了後アンケート調査を実施した。実施期間は2008年 2 月25日
~ 3 月 7 日で、アンケート回収率は、中級クラスが80%(12人)、上級クラスが53 . 3%( 8 人)
であった。以下にアンケート結果を示す。記述回答についての全データは、巻末の「資料」
(44-52
ページ)に掲載している。
表 7 受講者アンケート結果( 5 段階尺度)
項 目
中級クラス
上級クラス
3 .83
3 .75
クラスサイズ(15人)の満足度
4 .00
3 .75
開講時間帯の満足度
4 .33
4 .63
授業内容の満足度
4 .00
3 .63
テキストの満足度
3 .83
3 .88
「英会話プログラム」の満足度
非常に満足(5)から全く不満(1)までの 5 段階尺度での満足度平均値は、プログラム全般、
クラスサイズ、開講時間帯、授業内容、およびテキストの項目すべてについて、いずれも3 .5以
上であり、高い満足度を示している。中級クラスと上級クラスの比較においては、プログラム全
般、クラスサイズ、授業内容に関する満足度が中級クラスの方が高い数値を示している。しかし
上級クラスについては、
「上級クラスといいながら、想像していたより、レベルが低い授業だった」
「ネイディブの先生と直接話す機会が少なかった」等、期待はずれであったと感じている記述が
目立った。(アンケート回答の全記述については44~52ページを参照のこと)クラスサイズに対
する満足度が上級クラスで相対的に低いことも、これらと連動した結果であると考えられる。
英会話プログラムを受益者負担でキャンパス内で提供した場合支払い可能な受講料について尋
ね た と こ ろ、「 1 ク ラ ス 7 ~10人 」 で「 全10回 」 と い う 条 件 設 定 で、6 ,000~7 ,000円 が 2 人、
10 , 000~15 , 000円が11人で最も多く、20,000円が 5 人、50,000円と70,000円が 1 人ずつと、千差
万別であった。
4 .プログラム担当者(セイドー外国語学院)の Final Report
Seido Language Institute English Conversation Trial Program at Osaka University
Department of Engineering, November, 2007 – February, 2008:
Final Report
1. Attendance
Attendance was close to 90% in November, December and early January.
In late
January and early February it dropped to the neighborhood of 60-70% , no doubt because
they had deadlines to meet for their experiments and theses.
2. Teacher’s comments
After each of the ten days of classes, the teacher filled out a report with her
impressions of what went well and what could be improved on.
22
Many were minor
comments, which we will take into account when revising materials.
For example, in one
lesson the word “sake” was used, meaning Japanese rice wine, but since it was written in
the Roman alphabet most of the students didn’t recognize the word. A few details like this
came up in some lessons, especially where new material was being used that had not been
tried previously with other groups.
More substantial comments had to do with what kind of activity required most time
or seemed to engage students best. There were some surprises here. We had deliberately
edited the materials somewhat to include more content from science and technology. This
英会話プログラム
was appreciated. An activity using a list of Nobel prize winners in physics and chemistry
went over quite well, for instance. However, we found that the students are also happy to
go beyond that world, and talk about everyday life and current events. In one lesson they
were given two pictures; they were asked to choose one of them and describe it to another
student well enough for that student to draw it, while their partner asked for clarification
as necessary.
When given a choice between a more technically-themed picture(engines,
computers, laboratory equipment, etc.)and some other picture, the students often chose
the picture that was in no way linked to science or technology.
We did not ask the
reasons for their choices( very likely they just chose the picture that seemed simplest to
describe)
, but whatever the reason it does show that the students have normal, wellrounded personalities and feel comfortable conversing on matters not directly tied to their
classroom studies.
3. Student questionnaire results: Ratings
Students were asked to fill out an evaluation after almost all(7/10)of the classes. A
summary of results is attached as an appendix. Basically, they were asked three things:(1)
How easy was the lesson? Score it on a scale of 1(easy)to 10(hard);(2)How useful
was it? 1= Not useful at all, 10= Extremely useful;(3)Add any other comments you may
like to add, freely.
The total average for the difficulty rating was 5.8(a slight challenge, we might say).
The average usefulness rating was 7.1(rather useful). With some exceptions it seems
that in general the ratings rose or fell in tandem, i.e., classes that were easiest(11/30,
12 / 14 , 1 / 18)also had lower than average “usefulness” ratings, whereas classes judged
Table: Difficulty and Usefulness of the Course
Date
11月30日
12月14日
12月21日
1 月18日
1 月25日
2月1日
2 月15日 TOTALS
INTERMEDIATE GROUP(14:40-16:10)
Difficulty
(n=13)
5.1 (n=8)
5. 0 (n=5)5 .2 ( n= 8)4 .8 ( n= 8)7 .5 ( n= 9)5 .1 ( n= 5)6 .6
Usefulness
6. 0
6. 5
7 .4
6 .5
6 .6
6 .8
8 .4
5 .6
6 .9
ADVANCED GROUP(16:20-17:50)
Difficulty
(n=12)
5.6 (n=8)
5. 0(n=11)
6.6 ( n= 7)5 .0 ( n= 8)5 .9 ( n= 7)5 .6 ( n= 3)8 .0
Usefulness
7. 7
6. 5
7 .3
6 .9
7 .6
7 .4
6
8
7 .3
(n=25)
5.3(n=16)
5.0(n=16)
6.1(n=15)
4.9(n=16)
6.7(n=16)
5.3 ( n= 8)7 .1
5 .8
TOTAL SCORES
Difficulty
Usefulness
6. 8
6. 5
7 .3
6 .7
7 .1
7 .1
8 .3
7 .1
23
4
most difficult(12 / 21 , 1 / 25 , 2 / 15)were also considered useful or very useful.
The intermediate group, curiously enough, rated the classes easier(5.6)than the
advanced group(6 . 0), even though they were using the same materials.
that the intermediate group was actually more advanced.
We do not feel
The teacher said the advanced
group would pick things up more quickly, while more explanation was needed for the
intermediate group.
One might imagine that the teacher was speaking more slowly and
carefully to the intermediate group, whereas there was a faster pace and more challenging
language used by the teacher and students in the advanced group, even while using the
same lessons(the materials are somewhat flexible, and can adjust to different levels in this
way)
. Such undeliberate differences in pace and language might be the reason for the
different ratings.
4. Student questionnaires: Remarks on class size
The qualitative comments by the students contained some suggestions for the teacher
on teaching style( “It helped when you used the whiteboard after explaining a point”,“The
visual aids you brought to class were interesting”, etc.). Most students wrote nothing, or a
simple, positive remark like “Very interesting class!” The most frequent comment that
might affect the overall design of the program was that they wanted more time speaking
with native speakers. Since there were 15 students in each group, the teacher spent much
of the class time having the students practice with each other in small groups.
The
obvious way to allow more time to speak directly with the teacher is to reduce the class
size, of course. We note, however, that this type of comment became less frequent as the
program continued.
Possible reasons for this:(1)They resigned themselves to the fact
that the class size would not change and the teacher was therefore limited(2)The
teacher made adjustments in her teaching style, giving more feedback to individuals(3)
De facto class size did in fact shrink when attendance dropped in January and February
5. Listening skills
The classes focused almost exclusively on speaking skills.
Some of the students,
especially in the intermediate group, could have profited from more help with listening
skills as well.
conducted.
This might be good to keep in mind if and when a follow-up program is
It might be sufficient to assign material for them to listen to on their own,
perhaps with a little follow-up by the teacher.
Seido is very happy to have cooperated on this project, and remains willing to help in any
way we can. We will likely send more suggestions at some later date.
Seido Language Institute
12-6 Funado-cho, Ashiya-shi, Hyogo 659-0093
24
5 .考 察
まず初めに、プログラム受講希望者が114人に上ったことは、キャンパス内での「英会話クラス」
に対する高いニーズを裏付けている。中級クラス( TOEIC 700点未満)受講希望者と上級クラス
(TOEIC700点以上)受講希望者の割合は 2 対 1 であったが、英語技能試験のスコアが顕著に高
い多くの学生が多く参加を申し込んだことは特記に値する。会話力の底上げを目指す学生がいる
とともに、高い英語力を保持するプログラムに対するニーズもあることがわかった。
一方、受講希望者アンケート、および受講者アンケート結果から、「英会話プログラム」への
英会話プログラム
高い期待は明示的であるものの、具体的にどのようなプログラムを希望しているのかの実態は極
めて多岐に渡ることがわかった。特に、大学内での外部教育機関委託プログラム設置の可能性を
視野にいれた受益者負担費用については、 1 回500円から5,000~7,000円程度まで、データには
大きな隔たりがあった。大学内で提供されるプログラムについては、基本的に高額な受講料は支
払わないという意識と表裏一体をなして、極少人数の英会話クラスなら、ある程度高額な受講料
を支払っても自分にあったプログラムを学外で探して参加したいという学生の意向が見え隠れし
ている。
「英会話プログラム」については、工学部・工学研究科のマスとしてのニーズは明確で高い高
い一方、一人ひとりの学生のニーズを充足するプログラム提供は極めて困難であることがわか
る。外部教育機関委託プログラムの誘致については、更なる調査が必要である。
25
4
5
English Café, Suita
工学研究科国際交流室留学生相談部 東 條 加寿子
実 施 日 時:第 1 期 2007年11月14日~12月20日
(全19回) 毎週水曜日、木曜日 17:00~19:00
第 2 期 2008年 1 月16日~ 2 月21日
毎週水曜日、木曜日 17:00~19:00
実 施 場 所:吹田キャンパス内 生協レストラン アペティ
参 加 延 べ 人 数:447人
コーディネータ:12人
1 .目 的
English Café, Suita は、工学部・工学研究科のキャンパス内に、リラックスした雰囲気の中で
日常的に「英語を話す」場を創出するために考案された。このような環境での「英語を話す」経
験が、ひいては英語で討論できる資質を育む土壌になると考えられる。留学生、日本人学生、教
職員の壁を取り払い、誰でも自由に参加して英語で自分自身を表現する場を目指した。
2 .実施状況
工学部・工学研究科で開設する English Café は、豊中キャンパス言語文化学部で実施されて
いる English Café と区別するために、English Café, Suita(以下、Café とする)と呼ぶことにし
た。Café オープンに当たっては、大学生協の協力のもとにレストランアペティを貸切り、ドリ
ンクとケーキ代として参加者から参加費200円を徴収し、不足分は助成金で充当した。開催期間
中盤以降、ケーキのほかに、サンドイッチ、ピザ、おでんなども試したがいずれも好評を博した。
Café には会話を促進する役割を担うコーディネータを配置した。コーディネータは、英語が
堪能で本企画の主旨に賛同する12人の学生(日本人学生 3 人、留学生 9 人)で、 1 回に 4 ~ 7 人
のコーディネータが出席した。コーディネータのプロフィールは、以下のとおりである。
26
表 コーディネータのプロフィール
学 年
国 籍
専 攻
1
短期交換交流生
NA
アメリカ
情報工学
2
短期交換交流生
NA
アメリカ
生物化学
3
短期交換交流生
NA
アメリカ
ビジネス
4
短期交換交流生
NA
カナダ
経営学
5
短期交換交流生
NA
カナダ
経営学
6
短期交換交流生
NA
カナダ
生物・遺伝学
7
短期交換交流生
NA
スエーデン
デザイン工学
8
正規生
B3
日本
地球総合
9
正規生
M1
日本
機械工学
10
正規生
M1
日本
機械工学
11
正規生
D1
メキシコ
機械工学
12
正規生
D2
マレーシア
電気電子情報
English Café, Suita
学生身分
Café への参加者は108人で、19回の参加延べ人数は447人。 1 回平均参加者数は23.5人で、一人
平均4.1回の参加であった。毎回の参加人数は図 1 が示すとおりである。 2 月に入って参加人数
が若干減少したが、これは学期末になり、試験や卒業研究・修士論文発表会等があったためと考
えられる。
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図 1 English Café 参加者
3 .アンケート結果
Café では初回参加者に対してアンケートをとった。アンケート結果は以下のとおりである。
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5
アンケート実施日:2007年11月~1月
回答数:108
表 1 参加者内訳(1)
学 年
B1
B2
B3
B4
M1
M2
D1
D2
D3
研究生
研究者
教員
スタッフ
その他
人 数
1
8
5
12
33
14
2
2
1
2
2
4
1
1
表 2 参加者内訳(2)
%
1 .1
9 .1
5 .7
13 .6
37 .5
15 .9
2 .3
2 .3
1 .1
2 .3
2 .3
4 .5
1 .1
1 .1
人 数
14
69
25
%
13
63 .8
23 .2
表 3 Café を知った媒体
媒 体
ポスター
友人
ちらし
教員
専攻事務
阪大チラシ
HP
Blog
その他
人 数
39
35
13
9
8
4
2
0
0
%
35 .4
31 .8
11 .8
8 .2
7 .3
3 .6
2 .1
0
0
表 5 Café に希望すること
表 4 Café 参加動機
動 機
英語を話す機会
英語上達
各国の人と話す
人と会う機会
異文化交流
日本人と話す
リラックス
その他
時間つぶし
内 訳
留学生
日本人学生
回答なし
人 数
73
38
37
28
19
8
7
7
5
%
32 .8
17 .1
16 .7
12 .6
8 .6
3 .6
3 .2
3 .1
2 .3
(複数回答可)
希望すること
多くの人と話す機会
友人を作る、会う
おいしいお菓子、食べ物
英語に親しみたい
気楽に話せる雰囲気
楽しみたい
ネイティブと話す機会
参加者主体の会話
ゆっくり話して欲しい
特に無し
人 数
10
7
6
6
5
3
1
1
1
1
%
24 .3
17
14 .6
14 .6
12 .1
7 .3
2 .4
2 .4
2 .4
2 .4
(複数回答可)
表 7 Café 参加頻度
表 6 Café 滞在時間
滞在時間
20分
30分
40分
1 時間
1 . 5時間
2 時間
わからない
28
人 数
8
16
3
44
0
6
27
%
7 .7
15 .4
2 .9
42 .3
0
0
26
参加頻度
水曜&木曜
水曜
木曜
**
頻繁に
時々
ごくたまに
わからない
人数
4
20
10
**
16
25
2
32
%
11 .8
58 .8
29 .4
**
21 .3
33 .3
2 .7
42 .7
まず参加者内訳については、表 1 から、博士前期課程 1 年生が最も多く、同 2 年生と合わせる
と全体の53 . 4%で過半数を占めていることがわかる。博士前期課程に続いて、学部 4 年生の参加
が多い。その要因として、研究室配属後には、研究成果を英語で発表する機会や就職活動で英語
力の提示を求められる機会が増加して、学生がより現実的に英語力アップを意識していることが
考えられる。また、国際交流室が担当している「工学英語」や「米国夏期研修」の連絡網を通じ
て広報を行ったことによって、学生に効果的に情報が届いたことも功を奏したといえる。表 2 か
ら日本人学生と留学生の比率は 2 対 1 であることが分るが、留学生の参加がさらに増えれば、
「英
語で話す」必然性が強まり、Café としてより望ましい環境を創ることができる。
表 3 は English Café を知った媒体を示している。ポスターやチラシが効果的であったことが
表われているが、「友人から」が全体の約 3 分の 1 を占めていることは特記に値する。いわゆる、
口コミが効果を奏している。Café 参加動機は、表 4 から、「英語上達」が17 .1%を占めている以
English Café, Suita
外は、
「英語を話す機会」や、「(各国の)人と話す」、「異文化交流」が高い割合で示されている。
Café に希望することの項目は、
「親しみたい」「楽しみたい」といった心情的な要素が満足度に
関わっていることを示唆している。Café はオープン時間中、好きな時に出入りできるが、 1 時
間滞在が最も多かった。
4 .コーディネータからのフィードバック
参加者増加を含め、よりよい Café にするために、コーディネータとは定期的にミーティング
を行い、意見交換を行なった。以下はコーディネータの報告書の一部である。
Coordinator’s Report(January 21, 2008)
Q 1 : What is good about the Café
It is set in a relax environment with food and drinks. It is split into small groups that allow
people to communicate with each other more comfortably. It runs two days a week. So people
who are busy on Wednesday can come on Thursday, and vice versa. It only costs the
participant very little amount of money.
There seems to be more and more participants.
The good things are that the fee is inexpensive and the ambience is so relaxed that I feel
participants are not so hesitant to speak English.
It is an excellent way to increase interaction between foreign/exchange students and Japanese
students. Before I came to Japan, my friends, who had been on exchange in Japan before, had
told me that it is very difficult to become friends with local Japanese since Japanese are very
shy. With English café, this became much easier. Promotes the exchange of culture and
language. Learn networking/socializing skills, a quality highly desired when entering the work
force. broaden knowledge of the world.
reasonable price, lots of food and drinks, encourages Japanese students to practice their English,
allows interaction among Japanese and international students.
The food, location and diligent English coordinators and supervisor. Previously, we have had
more diverse and complex participants: student, Prof. office workers, etc.
自由に入退場できる雰囲気、人通りのあるアぺティでの実施
I think the best thing about English Café is that it provides a RELAXING environment. People
come, they can choose to talk as much as they want, or also just simply listen. Although one
thing though, it would be better if everyone has an opportunity to speak.
29
5
Sometimes what would happened is that, the people around the coordinators would probably
just ask questions, and the coordinators become the one who answer and does most of the
talking. I am not sure, but I think most Japanese people understand, they just need to hear it
slowly and hear how the words are used, and they should be improving even only with
listening. Although it would be best to let the audience speak too instead of only listening, yet
sometimes due to their personalities or English level, it may be difficult. I suggest to place at
least two English speakers in a table, so at least you can get an interesting conversation going.
I think that the café if working well in general. People are glad to be there and are enjoying
themselves. Being in a good mood is a good state to be in while learning conversational skills.
The talks/discussions are working well and I don’t see a need of changing that part.
Q 2 : What needs improving, and how we can increase the participants
In order to get more participants, it would be nice if some native speakers talk to people who
pass over the cafeteria and ask them to join it. Many undergraduate students do not come
because the English Café starts at 5 : 00 pm.( They may not want to wait for an hour after class
for this)
.Currently, most of the participants are master students.
Participants are not sure which table to join if they arrive late and everyone is engaged in a
conversation already. The café can serve more hot food. Many undergraduate students do not
come because the English Café starts at 5 : 00 pm.( They may not want to wait for an hour after
class for this)
.Currently, most of the participants are master students. The café can serve
more hot food.
Promotion of the café and increasing the number of participants. The days of which the café is
held. Maybe spacing out the two days of which the café is held would attract more participants
to come on both days because if the participant came on Wednesday, they are less likely to
come again on Thursday since they already came the day before( and vice versa).
targeting the undergraduate students as well; currently most participants of the English Café
are master students. awareness of the English Café ( increase awareness among students
through more active advertising)times of the English Café: some students( especially
undergraduate students)may finish classes earlier in the day and may not want to remain in
school and wait for the English Café to open … perhaps having an English Café session during
different times of the day.
Promotion how to get more people and keep in touch with regular participants
適切な人数配置、coordinator と一般参加者の各テーブルの組み合わせが , 時間ごとの参加者入りに柔
軟に対応できるようにする
I don’t think though it would be necessary to separate people according to their levels. For
lower level people, they may speak less, but they are improving by listening to more difficult
conversation. I think only more difficult conversation will push them to improve. But in case
they really have difficulties when speaking, the coordinators should step in to help. As for the
people who has better English, I don’t think they would mind, because sometimes a change of
pace, a slower pace, is good for a conversation.
And idea is that we might use some of the time to address a certain topic. Maybe the
participants can choose the topic or something like that. Maybe some of the coordinators call tell
some stories about their lives that has been important to them?A topic could be a country, a
game or anything anyone might find interesting.
30
5 .考 察
English Café, Suita の設置は、工学部・工学研究科で今までにない全く新しい試みである。韓
国では釜山大学やソウル大学で恒常的にイングリッシュカフェが運営されていると聞くが、日本
の大学でのこのような試みは珍しく、開始当初から注目を集め、生協関連雑誌からの取材を受け
た。約 3 ヶ月に渡って19回の Café オープンで延べ400人を超える参加者があったことは、本企画
が学生のニーズに応えるものであったことを示している。
工学部・工学研究科は350人を超える留学生を擁し、キャンパス内や研究室で留学生と日本人
学生が接する機会は日常化している。しかし、両者間のコミュニケーションがスムーズに行われ
ているかどうかは疑問であり、さらに、相互にコミュニケーションをとりたいと意欲を持ってい
る場合でも、そのような場を作ることは個人レベルでは困難である。週 2 回の Café は、こうい
English Café, Suita
った問題を解決し、学生の要望に応える場になったといえる。
ここで、前章で報告した「英会話プログラム」と「English Café, Suita」を比較しながら評価
を試みたいと思う。
これら 2 企画は、いずれも国際交流室主催「英語力アップ」企画として広報したため、英会話
プログラム受講生は、中級クラス、上級クラスともに100%「 English Café」の存在を認知して
おり、Café に「参加したことがある」、「あるいは参加したいと思う」という受講生は中級クラ
ス41 . 7%、上級クラスが37 .5%であった。中級クラス参加者の回答に、「恥をかきそうだ」「入り
にくそうだ」
「能力ある人ばかりがしゃべっていて参加しにくかった」というコメントがあった
が、同時に上級クラス参加者の中にも、「社交的ではないので、English Café のような不特定多
数の場は苦手」というコメントがあった。これらの記述回答は、対人的コミュニケーションに意
欲的で進んで参加できる学生に対しては Café は英語を話す絶好の場であるが、英語力アップに
強い意欲を持っていたとしても、社交性を持たない学生にとっては英語を話す場とはなりえない
ことを示している。「英会話プログラム」と「 English Café」はそれぞれ異なった学生群に対し
て効果的で、工学部・工学研究科全体としては、二者択一的にプログラムを運用するのではなく
2 つのプログラムの補完的運用が望まれる。
English Café, Suita の今後の課題は、いかに自立的・恒常的運用を実現するかである。工学部・
工学研究科の取組として、さらに発展させたいものである。
31
5
6
米国夏期研修開拓
工学研究科国際交流室留学生相談部 藤 田 清 士
報告日:平成20年 3 月10日
出張先:University of Washington(UW)、UC Davis 校、
大阪大学サンフランシスコオフィス
期 間:平成20年 3 月 2 日(日)~ 平成20年 3 月 7 日(金)
出張者:藤田清士(留学生相談部)
目 的:海外夏期研修に関する情報収集及び大阪大学サンフランシスコオフィスへの報告
スケジュール
平成20年 3 月 2 日(日)午後 関西空港発
午後 サンフランシスコ空港 経由>シアトル空港着
平成20年 3 月 3 日(月)午前 UW・Chemistry 佐々木教授との面会
UW Campus・施設の視察
午後 English Language Programs Director・Christopher 氏
International Outreach Programs(IOP)・Cheryl 氏
Gretchen 氏との会談
平成20年 3 月 4 日(火)午前 UW・Mechanical Engineering 田谷教授との面会・研究室訪問
午後 シアトル空港発>サンフランシスコ空港着
夜 留学生相談部・東條教員・奥西教員と打ち合わせ
平成20年 3 月 5 日(水)午前 大阪大学サンフランシスコ教育センター・
谷本センター長との会談
午後 UC Davis のキャンパス視察
平成20年 3 月 6 日(木)午前 サンフランシスコ空港発
平成20年 3 月 7 日(金)午後 関西空港着
32
1 .目 的
国際交流室留学生相談部では、既成の英語研修コースとは異なる、カスタムメードの理工系大
学院生のための海外研究発表コースを企画・運営し、過去 5 年以上に毎年約50名にのぼる学部生・
大学院生を北米研修に送りだし、その実績を確固たるものにしてきた。この事実は、理工系大学
院生のための海外研究発表コースを希望する潜在的にニーズが教員及び学生に存在すること示唆
する。又、大学院レベルの学生が国際会議に出席し、研究発表をすることは技術者・研究者とし
て必要不可欠な関門となっているため、その準備練習となる海外研修の存在意義はますます大き
くなっている。
しかしながら、海外夏期研修は、以下の 2 つの不可避な問題に直面している。 1 つはプログラ
ム高騰により研修費全体のコスト上昇の問題であり、もう 1 つは学部生及び前期博士課程向けの
研修と博士後期課程向けのプログラムの差別化をする必要が出てきている事である。そのため、
海外夏期研修の実施プログラム内容の変更や研修開催校を変更するなどの抜本的改革が必要にな
米国夏期研修開拓
っている。今回はその準備段階として、現行研修先のワシントン大学や研修候補先の UC-DAVIS
校及び大阪大学サンフランシスコオフィスを訪問し、情報収集をおこなった。
2 .成 果
海外夏季研修の詳細なプログラムを実務レベルで協議するために University of Washington
(UW)を訪問した。English Language Programs及びInternational Outreach Programs(IOP)
のプログラムディレクター及び担当者と会談した。特に、プログラム費の高騰理由についての説
明をうけた。各分野の担当教員とは現状の研修プログラムの進行状況の打ち合わせや今後の問題
点について協議した。昨年のプログラムではメンターの運用が成功していることやパネルディス
カションの評判が良いことが確認された。2008年度は新たに、UW の各研究室で開催されている
Group Meeting にも参加する方向となった。
大阪大学サンフランシスコ教育センターの谷本センター長との会談では、今後のプログラムの
進め方や米国の各大学の研修プログラム費上昇の背景や研修の方向性について協議した。研修参
加費用や研修への参加人数の適正規模などの御指導を頂いた。
今後の研修先の候補としてサンフランシスコ市街から北東約110 km 離れて位置する UC Davis( UCD)校を視察した。UCD は生命科学・薬学・化学や工学全体に特徴のある大学であ
ることが知られている。公立大学としてその研究レベルや教育レベルが比較的高いことも知られ
ている。キャンパスは総合大学として施設も充実しており、学内では多くの施設へ徒歩でいける
ように配置されているため、利便性が良い。又、サンフランシスコへ車で約 1 時間半というアク
セスのよさも研修先としてよい候補地であることが確認された。
33
6
7
お わ り に
工学研究科国際交流室留学生相談部長 工学研究科環境・エネルギー工学専攻 池 道 彦
英語で書かれた論文がいい論文だとは必ずしもいえない。同様に、英語で発表された研究成果
がいい成果だとは必ずしもいえない。しかし、いい論文は英語で発表すべきであるし、いい研究
成果は国際会議において英語で発表すべきであろう。理工系には様々な学問領域があるが、その
目的は豊かな社会の構築のために貢献することであり、特に工学部/工学研究科ではその使命感
が強い。学生が大学の教員、スタッフと共に一生懸命行っている研究の成果は、できる限り多く
の人に、できる限り早く知ってもらい、役立ててもらえるのが一番であり、そのためには世界の
標準言語ともいえる英語で論文を取りまとめ、研究成果を発表し、議論していくことが極めて重
要である。日本語で論文を書き、発表すれば、最大でも 1 億強の人しかその情報を受け取ること
ができないが、英語でならその数十倍の情報発信のポテンシャルがある。世界中で多くの人の目
に触れることで、活用してもらえるチャンスが増え、また逆に批評・批判されることで誤りを正
してもらえ、独りよがりではない真の貢献に結びつく。大学教育の人材育成という面から見ても、
大学で学んだ知識や考え方、経験を本当に活かし、真に社会に貢献できる人を育てることが重要
であり、グローバル化が進む中で、世界を舞台に活躍できるエンジニア、サイエンティストの資
質として英語の能力は必須のものとなっている。
本事業では、理工系教育における英語の重要性を強く認識し、中でも英語による討論力、ある
いは情報発信能力を高めるための幾つかの施策を提案し、その試行を行ったものである。英語を
読む力、書く力はもちろん重要であるが、情報発信は双方向の密なコミュニケーションが成立し
てこそ得るものが大きいとの視点から、特に、英語を話す力、討論する力を向上させるためにど
うすべきかに焦点を当ててプログラムを模索した。自らの成果を“生(なま)”で伝えることが
でき、また、相手から生のレスポンスをもらい、相互に理解を深めていく道具としての英語能力
である。このような能力は、論文読解においても単に字面のみでなく行間を読むことを、論文執
筆においても本当に伝えたい内容を行間を含めて書くことを可能とし、紙媒介での英語のコミュ
ニケーション能力の向上にもつながるものと確信している。
理工学分野での専門的なレベルでの英語の討論をさせるには、現状の学生の英語力とのギャッ
34
プが大きく、現実のプログラムとしては、 1 )英語討論力の基礎となる総合的英語能力の底上げ
を目的とした TOEIC/TOEFL 講座の開催、 2 )
(専門英語にまでは至らないが)英語を話す日常
的、実践的教育プログラムの提供を目的とした English Café, Suita の設置、およびパイロットプ
ログラムとして学内で手軽に受講できる英会話コースon Campusの提供、に重点を置いた。また、
このような試行の結果得られる基礎能力を討論力にまで高めることを最終的な目標として、 3 )
専門英語の研究討論力を徹底的に鍛錬する効果的な教育コースの将来設置を目指し、短期集中海
おわりに
外研修プログラム立案のための視察を実施した。
事業の成果詳細は、本報告書に示された通りであるが、あるいはそこでは描ききれていないか
もしれない最大の成果は、学生が“生きた英語”を学ぶことに対して強い関心、意欲を持ってい
ることが確認できたことではないかと考えている。企画し、試行した全てのイベントに、他のテ
ーマで行う類似の講演会、教育講座等と比べて非常に多くの参加者、参加希望者があり、英語コ
ースでは受講者選定のため高い倍率の抽選を行わねばならなかった。TOEIC/TOEFL 講座につ
いては、大学院入試のスコアアップや資格取得的要素から、ある種「得だ」といった打算的な部
分を割り引いて考えるべきかもしれないが、English Café, Suita や英会話コース on Campus と
いったイベントは、直接は本人の英語能力の向上にのみ寄与するものであり、学生が英語による
コミュニケーション能力を身につけたいという強い意欲を反映した盛会であったと判断してい
る。このような意欲が確認できたことは、本学工学部/工学研究科の学生が世界に飛び出して、
その能力を最大限に発揮したいという気持ちを持っているということの確認になったとも考えて
いる。逆に、ここでの試行をベースにして発展させ、学生個々の専門性を存分に伝えることので
きる英語コミュニケーション能力育成のための教育プログラム/システムを構築し、提供してい
くという使命を再確認させていただいた。
最後になったが、本事業をサポートいただいた山本脩一郎・志郎教育改革基金に心から感謝を
申し上げたい。また、各プログラムの実施に当たり、様々な形で御指導・御鞭撻、御支援・御協
力をいただいた、ボランティア学生を含めた関係各位に謝意を表し、結語とさせていただく。
35
7
Fly UP