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腎障害合併高血圧患者に対するACE vs CCB vs β

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腎障害合併高血圧患者に対するACE vs CCB vs β
ROCKY NOTE
AASK(080216)
以前、降圧薬の選択の勉強のところで、腎機能と降圧の関係について AASK の結果を確認する
こととしていたので、AASK について確認してみることにした。読んだのは 2002 年の JAMA と 2005
年の Hypertension。
●例によって PECO の確認
P:African Americans aged 18 to 70 years with hypertensive renal disease (GFR, 20-65 mL/min
per 1.73m2)
E:mean arterial pressure goals, 92 mm Hg or less (lower; n=540)
C:mean arterial pressure goals, 102 to 107 mm Hg (usual; n=554)
O:Rate of change in GFR (GFR slope); clinical composite outcome of reduction in GFR by 50% or
more (or ≧25 mL/min per 1.73 m2) from baseline, ESRD, or death
P:African Americans aged 18 to 70 years with hypertensive renal disease (GFR, 20-65 mL/min
per 1.73m2)
E:angiotensin-converting enzyme inhibitor (ramipril 2.5-10 mg/d; n=436)
C:β-blocker (metoprolol 50-200 mg/d; n=441)又は dihydropyridine calcium channel blocker,
(amlodipine 5-10 mg/d; n=217).
O:Rate of change in GFR (GFR slope); clinical composite outcome of reduction in GFR by 50% or
more (or ≧25 mL/min per 1.73 m2) from baseline, ESRD, or death
PECO はすべて抄録より抜粋できる。AASK は少々スタディデザインが複雑である。なぜ面倒く
さいことになっているか簡単に言うと、3×2 に無作為に割り付けられていることによる。つまり、血
圧低値群(積極的降圧群)と血圧通常群に分けるのと同時に、ラミプリル、メトプロロール、アムロ
ジピンの 3 薬剤にも無作為に割り付けているわけである。結果は GFR の変化率(primary
endpoint)と、50%以上の GFR 低下+end-stage renal disease (ESRD)+死亡の複合エンドポイン
ト(secondary endpoint)をみていることがわかる。
●妥当?
妥当性の最低限の 2 項目は問題なし。ITT 解析に関しては抄録中には記載が無いが、
Statistical methods に記載がる。
ROCKY NOTE
ROCKY NOTE
Participants were randomly assigned
All analyses are intent-to-treat
●結果は?
GFR の変化は最終的には積極的に降圧しても、普通に降圧してもあまり変わっていない!この
辺は the lower, the better とする従来の考え方が当てはまらない。既に腎機能障害が存在する場
合には積極手降圧を行っても進行は抑えられないと解釈するのが妥当かもしれない・・・。薬剤間
でも大きな差はないようだ・・・(統計学的には兎も角として、臨床的には・・・)。
(参考文献 1 より引用)
臨床的なイベントに関しても積極的降圧をしたからといって、イベントが減少するわけではない
ようだ。ただし、薬剤での比較をみてみると、ラミプリル群はアムロジピンに比較して 38%、メトプロ
ロールに比較して 22%イベントを減らしたという。ただし、アムロジン群は試験開始後に中止され、
オープンとなっている。
NNT を計算したいが、実数での表記がなく、なかなか難しい。ラミプリル対メトプロロールは以下
のような記載があり、NNT=1/(0.087-0.069)=55.5 56 人と計算できる。
Ramipril vs Metoprolol. A total of 126 (rate, 0.069) and 155 (rate, 0.087) patients in the ramipril and
metoprolol groups reached the main clinical composite outcome during the full follow- up period.
ラミプリル対アムロジピンは本文中にも記載が無く、NNT は計算できない。
これらの結果を総合的に判断すると、既に進行した腎機能障害(GFR 20-65)のある患者に対
しては ACE 阻害薬(ラミプリル)を投与したほうが臨床的なイベントを減らす可能性はあるが、ラミ
プリルを処方する際は、積極的に降圧する必要は無く、通常通り(平均血圧 102 to 107 mm Hg:実
際に到達した血圧は平均 141/85)の血圧コントロールで十分ということだろう。
ROCKY NOTE
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(参考文献 1 より引用)
ところで、せっかく3×2の6群に分けているのだから、それぞれで比較したらどのように判断され
るだろうか?この疑問の答えが2005年のHypertensionに掲載されている。結果は以下の通り、積
極的降圧をすればアムロジピンも他のグループと遜色ない・・・。
ROCKY NOTE
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(参考文献 2 より引用)
ROCKY NOTE
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アムロジピンで治療する場合には、140/86 程度では不十分であり、126/77 程度を目標にするの
がよさそう。
(参考文献2より引用)
各種ガイドラインで示すように、CKD には ACE や ARB がファーストとするのも正しい判断かもし
れない。それでも、積極的に降圧するのであればどの薬剤でもあまり変わらない気もする。自分
の治療スタイルに合わせて薬剤を選択すれば、必ずしも間違った治療というものはなさそうである。
カルシウム拮抗薬が常に不利なわけではないのである。AASK ではアムロジピンの効果をみてい
るが、最近耳にする腎保護をうたう Ca 拮抗薬の効果も知りたくなってくる・・・。
参考文献
1.
Wright JT Jr et al for the African American study of kidney disease and hypertension study
group: Effect of blood pressure lowering and antihypertensive drug class on progression of
hypertensive kidney disease: results from the AASK trial. JAMA. 2002; 288: 2421-31.
2.
Gabriel Contreras et al. Blood Pressure Control, Drug Therapy, and Kidney Disease.
Hypertension 2005;46;44-50
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