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労働安全コンサルタント試験(産業安全一般) 平成24年度問題 解説
◆労働安全コンサルタント試験(産業安全一般)◆ H24-1 平成24年度問題 解説 ⑤ ①適切。経営トップおよび各級の管理・監督者それぞれの役割、責任、権限の明確化が必要である。 ②適切。経営トップは、安全管理体制の整備と各管理・監督者に権限を持たせ、加えて職務遂行状況 の把握と指導に努める必要がある。 ③適切。その事業場に即した生産活動と一体になった安全管理体制を構築する必要がある。 ④適切。記述の内容を整理すると、「生産活動と一体化した安全管理を行うためには、生産活動の組 織に安全管理機能を付加させるのがよい。」としており、適切であると判断できる。生産活動の組 織に付加させるか、あるいは生産活動の組織の中に安全管理のスタッフを置くかは、組織の規模に よって相違するが、一般的な組織(中小企業)では、専属のスタッフは置けないため、安全管理上 の職務をラインの各級の管理者に付加させる方法が効果的である。 なお、書籍「新しい時代の安全管理のすべて」では、「ライン型安全管理は、安全管理計画から実 施、評価に至るすべて、すなわち安全の PDCA サイクルをすべて生産ラインにおいて完結させよう とするものであり、生産ラインの各級の管理・監督者が日常の生産関係の業務に追われて安全意識 や安全情報を自ら身につけることが難しく、管理・監督者の安全指導能力で格差が生じやすいとい う問題がある。このことから、最も効果的な安全管理方式は、ラインとスタッフが協力、分担して PDCA サイクルを完結させるライン・スタッフ型である。」と記述されている。 しかし、これは大組織での理想型であり、中小組織では現実的には難しいものであり、記述の方式 とならざるを得ないと判断する。 ⑤不適切。安全管理計画を作成する場合、中心的な役割を果たすのが「安全管理者」であり、「安全 委員会」は、作成された安全管理計画を審議する場である。 つまり、安全委員会は企画する役割を持つのではなく、安全管理者等が企画し安全委員会で審議し 完成させ、経営者の承認を得て決定することとなる。 また、安全管理計画の実行は、各ラインの管理・監督者(課長、安全推進員、職長など)であり、 実行の支援は、経営トップ(総括安全衛生管理者)である。 H24-2 ④ ①②③⑤適切。元請事業者等の講ずべき措置については、法 30 条の 2 に定められており、作業間の 連絡調整等が必要となるが、「製造業における元方事業者による総合的な安全衛生管理のための指 針」において細部が規定されており、①②③⑤は適切な記述である。 ④不適切。元方事業者の実施すべきことは、関係請負人が各教育を的確に行っているかを確認し、教 育を支援することである。具体的には、雇入れ時教育、作業内容変更時教育、特別教育等の安全衛 生教育について、場所の提供や資料の提供等によって指導援助する。 H24-3 ⑤ ①適切。TBMは、作業開始前などに現場で実施する活動である。 ②適切。ヒヤリハットは、ヒヤリやハットした体験を報告する活動である。 ③適切。指差呼称は、指でその場所や物を指し、「○○ヨシ!」とか「○○注意!」と呼称する活動 である。 1 ④適切。危険予知活動(略称:KYK)は、イラストシートや現場で危険要因を抽出し、対策を話し合 い、行動目標を唱和する活動である。 ⑤不適切。4S活動とは、「整理」、「整頓」、 「清掃」、「清潔」であり、正しい。しかし、必要な物を いつでも取り出せるようにすることは「整頓」であり、必要な物と不要な物を分けることが「整理」 である。 H24-4 ② ②a:疲労強度、b:衝撃強度、c:引張強度、d:高温強度 H24-5 ⑤ ⑤並列システムの信頼度Rab=1-(1-Ra)(1-Rb)であり、全体のシステムの信頼度R=Rab×Rab である。これを解くと⑤の式となる。 H24-6 ⑤ ①②適切。 ③適切。ショベルローダの最大荷重は、バケットの規定重心位置に積載して安全に作業ができる最大 の荷重をいう。ただし、リーチ機構を持つものでは、バケット繰込み時の値をいう。なお、バケッ トの規定重心位置とは、バケット容量を算出するときに積載する一定の形状の荷重の重心位置をい う。JIS 6003 ショベルローダ ④適切。ストラドルキャリアーは、荷を跨いで抱えた状態で、長尺物やコンテナを運搬する車両であ る。ストラドルキャリアーには、走行用制動装置(構造規格 3 条)、荷役装置用制動装置(同 4 条) 、 方向指示器(同 9 条)、警報装置(同 10 条)を備えていなければならない。 ⑤不適切。フォークリフトのフォークの傾斜角は、前への傾きよりも後への傾きを大きくすべきであ る。フォークリフトには、エンジンタイプとバッテリータイプがあるが、いずれも荷揚能力が 0.9 tタイプでは、前傾斜角が 5 度、後傾斜角が 10 度である。また、荷揚能力が 1.5t以上のタイプで は、前傾斜角が 6 度、後傾斜角が 12 度である。 H24-7 ③ ①適切。安全確保の原則は、ロボットと作業者を完全に隔離することである。しかし、どうしてもロ ボットに接近する必要があるときは、接触しても作業者に危害が及ばないようロボットの出力を抑 える対策が必要である。 ②④⑤適切。 ③不適切。産業用ロボットの操作盤には、固定式操作盤と可搬式操作盤があるが、可搬式操作盤につ いては、「産業用ロボットの使用等の安全基準に関する技術場の指針」において次のとおり規定さ れている。「可搬式操作盤によりロボットを操作している間は、当該操作盤以外の機器により当該 作業用ロボットの操作(非常停止装置の操作を除く。)を行うことができないようにすること。」つ まり、固定式操作盤における操作が可搬式操作盤より優先するのではない。 H24-8 ⑤ ⑤人間の感覚器官には、眼、耳、鼻があり、さらに感覚細胞で感じる感覚には、味や触がある。これ らの「視」「聴」「臭」「味」「触」が五感であり、冷覚は含まれていない。 2 H24-9 ③ ③不適切。JIS で定められている安全距離のうち、腰を曲げて手が届く範囲というものはない。開口 部に腕を突っ込んだときの安全距離は、[1]肩および脇の下においてだけの動作の制限:850mm、[2] 肘まで支えられる腕:550mm、[3]手首まで支えられる腕:230mm、[4]指の関節まで支えられる腕お よび手:130mm となっている。JIS B 9707 H24-10 ② ②不適切。高い注意レベルを数時間以上維持させることは、興味如何に拘わらず不可能である。高い 注意力維持できる限界は、20~30分までである。 H24-11 ① ①不適切。安全点検におけるチェックすべき要因は、管理的要因、人的要因、機械設備などの要因お よび作業方法などの要因がある。管理的要因には、安全管理組織の欠陥、規定、基準の不備、工法 の欠陥、監視・監督上の欠陥、コミュニケーションの不足などがある。 H24-12 ④ ④不適切。知識や経験の少ない者に対する教育方式は、OJT や講義方式で実施すべきである。討議方 式は、受講者同士が主役となって相互啓発的に行う方式であるため、知識や経験の少ない者は、討 議に参加できなくなる可能性が大きい。 H24-13 ⑤ ⑤不適切。異常時においても想定される異常の形態別に前もって作業手順書を作成すべきである。ま た、不確定事項については、異常が発生した段階でその作業の開始前に関係者のが協議して手順書 を作成すべきである。 H24-14 ① ①適切。σ=M/Zである。 ②不適切。ウェブのみではなく、フランジ部分も考慮する。 ③不適切。ボルト穴は、控除する。 ④不適切。上下間隔の1/2ではなく、全長を座屈長さとする。 ⑤不適切。厚い方と薄い方の平均ではなく、薄い方の板厚を有効のど厚とする。 H24-15 ② ①③④⑤適切。 ②不適切。ジブの傾斜は、立てた状態から傾斜させて、過負荷防止装置の作動を確認する。(角度が 逆である。) H24-16 ① ①誤り。放射線透過試験によるきずの分類は、10 種類ではなく、4 種類である。JIS Z 3104 ②正しい。奥行きのあるきずも可能である。 ③正しい。透過度計は、放射線透過写真の像質を評価するためのゲージである。 3 H24-17 ④ ③適切。菓子の生地を複数の圧延ローラで延ばす装置は、リバースシータと呼ばれ、ローラ部に設け たインターロックガードの先端が許容範囲以上に上がった場合には、1 秒以内に停止するか、逆転 する構造としなければならない。JIS B 9652 製菓機械の安全及び衛生に関する設計基準 4.7 ④不適切。食材当て板およびスライスサポートは、道具を使用しなければスライサから外せないよう にスライサに固定させる必要がある。JIS B 9653 肉類加工機械の安全および衛生に関する設計基準 4.6.1.2 a) 8) ⑤適切。もちつき機のきね部には、インターロック装置を備えた保護ガードを設けなければならない。 JIS B 9652 製菓機械の安全及び衛生に関する設計基準 4.6 H24-18 ③ ①適切。スタッカークレーンの移動(可動)範囲への進入扉開閉検出においては、自動的にスタッカ ークレーンを非常停止しなければならない。また、インターロック機能を含む保護機能は、容易に 無効化できない構造としなければならない。加えて、インターロック機能による停止後の再起動は、 停止条件の排除後に再起動操作されるまで、いかなる起動信号も有効となってはならない。JIS B 8943 立体自動倉庫システム-スタッカークレーン設計通則 12.2 ②適切。イネーブル装置とは、あらかじめ定められた動作位置に保持されている間に限り、ロボット の作動を可能にするための手動操作装置である。 ③不適切。起動警報装置は、仕分けコンベアの起動を予告する警報装置である。仕分け分岐部などに 異常が発生した場合に、インターロック回路が作動してコンベアを停止させる装置は、異常検出器 である。JIS B 8825 仕分けコンベア ④適切。人の侵入を検知する存在検知装置には、ライトスクリーン、電磁フィールド、圧力検知装置、 超音波装置、赤外線装置および画像処理装置などがある。なお、これらに限られるわけではない。 JIS B 8462 電子部品実装ロボット-安全性 ⑤適切。トラッククレーンをはじめとする移動式クレーンの安全弁は、「リリーフ弁」のことであり、 油圧が設定以上の圧力に上昇しないように制御する弁で、これによって油圧回路を保護するもので ある。リリーフ弁の設定圧は弁に取り付けられている調整ねじでスプールを押し付けいるスプリン グの力を調整している。従って、原動機の過負荷防止や油圧機器とその配管を保護するための装置 であるとの記述は、適切である。 H24-19 ① ①不適切。レーザ用保護めがねは、フィルタの吸収波長バンド幅が狭いため、レーザ波長に合ったも のを使わないと保護効果がない。なお、同様な問題が平成 17 年度、逆に正しい内容で平成 22 年度 に出題されている。 H24-20 ④ ④混合ガスの爆発下限限界は、ル・シャトリエの法則によって解法する。 L=100/(ΣVi/Li)=100/(85/5.0+15/2.0)=4.08・・・④ H24-21 ③ ③誤り。過マンガン酸カリウムの固体を濃硫酸と混合すると爆発性の酸化マンガン(VII) (Mn2O7) を 生成する。従って、「硫酸を加えても爆発することはない。」との記述は、誤っている。 4 H24-22 ⑤ ①不適切。身体の電気抵抗値は、皮膚の部位 2 か所間の距離に比例するものではなく、指、腕、足、 胴体など、断面積の大きさによって変わる。 ②不適切。交流アーク溶接機用自動電撃防止装置は、溶接機の出力側無負荷を自動的に 30V 以下の安 全な電圧に低下させるように作動するものである。 ③不適切。絶縁用保護具は、作業者の身体に取り付けるものである。 ④不適切。感電による危険は、身体を流れる電流の種類、大きさ、通電時間で決まるが、電流はI=V/R であり、電圧は関係しないとはいえない。 ⑤適切。低圧電気による感電は、7~9 月に集中し、死亡者数は年間発生数の約 8 割を占めている。 H24-23 ⑤ ①不適切。空気を圧縮すると酸素の密度が増加し、危険となる。 ②不適切。発砲プラスチック系断熱材は、着火しやすいので、火気に注意する必要がある。 ③不適切。引火点測定器には、クリーブランド開放式、タグ密閉式およびペンスキーマルテンス密閉 式があり、対象の引火点は相違しており、同じ引火点が得られるものではない。クリーブランド開 放式は、引火点が 79℃を超える試料で原油や燃料油には適用できない。また、タグ密閉式は、引火 点が 93 以下の試料で、動粘度が低い試料が対象となる。ペンスキーマルテンス密閉式は、引火点 が 40℃を超えるタグ密閉式が適用できない試料が対象となる。 ④不適切。可燃性ガスが燃焼により発生する熱量は、ガス濃度が高いほど大きいものではない。 ⑤適切。酸素ボンベの圧力調整器は、酸素専用のものを使用する。 H24-24 ② ②災害 A が発生する確率は、各原因のツリーに影響する位置と AND と or 条件によるが、原因 B は左右 両方のツリーに存在するため、 原因 B と原因 C では原因 B を低下させた方が低減する効果が大きい。 H24-25 ③ ③誤り。製造業では、はさまれ・巻き込まれ、墜落・転落の順で多くなっている。 H24-26 ③ ③誤り。作業時間の短縮は、作業環境管理ではなく、作業管理である。 H24-27 ⑤ ⑤不適切。システム監査の実施者は、外部の者ではなく、他の部署の者でも可能である。公平性が保 たれれば問題ない。 H24-28 ④ ④不適切。リスクの評価に当たっては、安全装置の故障や誤使用も想定して実施しなければならない。 H24-29 ④ ④不適切。リスクの重篤度は、実際に発生した負傷や疾病ではなく、想定される最大の状態で見積も りをしなければならない。 5 H24-30 ③ ③つり上げ用フックは、付加防護策であり、本質的安全設計方策ではない。 6