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インターンシップ・報告

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インターンシップ・報告
GSICS 国際公務員プログラム
インターンシップ実施記録②
実施機関:国連教育科学文化機関アフリカ教育地域事務所(セネガル・ダカール)
期間 2011 年 8 月 14 日-2011 年 10 月 14 日
【インターンシップの概要】
この度、ユネスコアフリカ教育地域事務所(Bureau Regional d’Education en Afrique a
Dakar: BREDA)でのインターンシップについてご報告いたします。本インターンシップ
に参加した動機は大きく2点あります。一つ目に、国際機関での仕事を長年目指して GSICS
に入学して以来多くの体験記を耳にしたことでより実践の場に興味を持ったこと、また自
分の研究対象地域であるアフリカのフランス語圏における教育環境を実際に目にしたいと
切望していたことにありました。
BREDA はアフリカ全域の教育部を統括する地域事務所で主に三部門:識字教育、基礎教
育、教育計画あります。私は着任前に教育計画部門に配属され、任務内容としては現在
BREDA が進めている Basic Education of Africa Programme(BEAP)というプログラムの
参考資料を作成すること、またそれに関わる諸会議のサポートおよび原稿の作成でした。
BEAP は 2007 年に始まった教育政策改革で、アフリカ全域において基礎教育機関を初等教
育から就学前と中等教育を含めた 9 年間に延長させることを目的にしています。私が作成
した資料は、アフリカにおける政策改革の参考資料として他地域における同様な政策改革
の経験とそれによる政治的、経済的インパクトについて 4 か国の例をまとめるというもの
でした。
【インターンシップ中に心掛けたこと】
2 か月のインターンシップを遂行するにあたり、特に 2 点について常に心掛けていました。
一つ目に、職場の空気を読み取りアンテナを張ることです。これは自己アピールに繋がり
ます。教育政策改革だけではなく、アフリカにおけるユネスコの仕事を見てみたいという
考えがあったので、任務に絞ることなくなるべく多くの部門の職員と話をすることを心が
けました。しかし、事務所内でインターン生用に部屋が与えられあまり職員の方と会う機
会がありませんでした。特にアジア圏出身の職員が一人もおらず、アフリカ圏出身の職員
に囲まれる環境ではしばしばインターン生というよりお客様として扱う場面に合うことも
多くありました。その中でも課題を見つけるためには彼らのコミュニケーション方法に乗
っ取り、自らの存在をアピールし、何がしたいのか、何を知りたいのかを積極的に伝える
ことが必要になります。そのためにはアンテナを張り、忙しい中でも時間を作ってもらえ
るような挨拶をすることなどから始めるなど工夫しました。
二つ目に、教育計画の専門知識を短期間でできる限り学ぶことです。インターンシッ
プの任務の中に『教育改革の政治的、経済的インパクト分析を行う』項目があり、これは
自身の専攻を基に担当者が選択してくれた課題でした。学んだことをどれだけ実践の場で
出せるか、が大きな課題でした。ところが、教育計画について具体的に学んだ経験がなか
ったので、各国の教育政策をまとめる過程で知識の欠如が進展を妨げることがありました。
たとえば、事例をまとめる際に各国の教育計画のプロセスと時系的変化が異なることに気
が付かず、同じ教育計画の枠組みに当てはめて考えていました。それでは他の必要書類に
なかなかたどり着くことができず、重要な政策変化を見逃してしまうという結果を招いて
しまいました。そのことから、教育計画部門の上司に相談し International Institute for
Education Planning (IIEP) という教育計画について主に扱っているユネスコ機関が発行
している資料を基に基礎を学ぶことを始めました。現場で教鞭をとっていらっしゃる日本
人の教授も紹介していただき、大変サポートしていただきました。時間厳守で結果を出す
効率性の重要さと、どれだけ理論を実践に移す能力を持っているかという実務経験の必要
性を実感しました。
セネガルの学校視察の様子
【インターンシップから学んだこと】
・専門性をもち効率的に仕事すること、同時に広く関心を持つこと
事務所には多くの専門家がそれぞれの任務に取り組んでいるので、土台にできる専門知
識を持つことがまず求められています。また限られた時間、情報の中でより効率的に働く
には自身で決断できるようにならなければならないと強く感じました。ところが、チーム
や組織で働く環境では一人では仕事ができません。特にユネスコのプロジェクトは、部門
は異なれど、多くの職員の意見が反映されることがあり、それはしばしば一致しないこと
もあります。このような環境ではその背景を理解するためにも、今後の方向性を予想する
ためにも他分野の知識についても意見交換を行う意識を持つことがとても重要なタスクの
一つであると感じました。
・孝動することの大切さ
仕事内容はこれまで自分が勉強したことのない分野の知識が求められていたため、大
変厳しいと感じていました。しかし、そこで「できない」と言うのではなく、「やって
みる」ことで乗り越えられたものがあります。国際機関での仕事は『挑戦』の繰り返し
だ、とある職員の方から聞かされました。異文化が共存する環境では理解しきれず、達
成が難しいと感じることが多々あります。そこで自分に足りない情報や考えを補う為に
どうしたらよいか、と考えることは当たり前のように聞こえますが、考えた先に行動に
移すことは大きな課題です。周囲のインターン生や職員の働きから考え、行動し、今の
課題を達成することにとどまらないアグレッシブな姿勢を学びました。
セネガル・ゴレ島にて開催された BREDA 主催奴隷解放記念のレセプションにて
【将来のキャリアプラン】
今回のインターンシップを決めた目的の一つは国際機関の実際の仕事環境を見ることで、
将来について考えることでした。上司や、インターン生の同僚、またユネスコパリ本部人
事担当の方とお話しすることで、実際にユネスコの仕事を実践することで国際機関の仕事
に就きそこで何を達成したいのか、という具体的な目標を持つことを強く意識させられま
した。そしてまた、多国籍の環境で働くための人間性を養う必要があると感じました。そ
のためには人としての魅力を高めると同時に国際環境に。私は今回の経験を通じて、政策
立案と実践現場の発想をつなげるためにはどうしたらよいか、という課題を持ち帰りまし
た。今後は、多国籍環境でより高いパフォーマンスを残せる人材を目指すべく、専門知識
をつけるための勉強を続けると同時に、国際援助の現場に出る機会を作り学び続ける環境
を持ちたいと考えています。
最後に、この夏の経験から学んだことは書ききれないほどあります。セネガルで生活し
たこと、ユネスコ事務所で日々過ごしたことは今後の人生の財産です。このような貴重な
経験は、インターンシップの枠を設けてくださった小川啓一教授、快く相談にのってくだ
さった GSICS の先輩や同期の皆様、初めてのアフリカ生活を優しく支えてくださった在セ
ネガル邦人の皆様、遠く離れた海外での生活を可能にしてくれた本プログラムのサポート
なしには実現しませんでした。この場を借りて多くの方に感謝いたします。
国際協力研究科博士課程前期 1 年
垣内優衣
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