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講義資料
2016/4/27 正常な松果体 甲状腺免疫染色 ← サイログロブリン ↓ カルシトニン 甲状腺炎 1 2016/4/27 2 2016/4/27 甲状腺癌 サイログロブリン免疫染色 → 甲状腺濾胞癌 サイログロブリン免疫染色 → 甲状腺髄様癌 (C細胞癌) アミロイドの沈着 → 3 2016/4/27 上皮小体過形成 上皮小体過形成による 大動脈壁石灰沈着 ↑ 気管支軟骨石灰沈着 → 頭蓋咽頭管と咽頭下垂体 4 2016/4/27 ラトケ嚢胞 下垂体 免疫染色 ACTH 5 2016/4/27 WHO動物内分泌系腫瘍の分類 下垂体腫瘍 1.腺性下垂体の腫瘍 1.1 下垂体前葉の腺腫 (サイズ5mm分類; Micro vs Macro / Invasive) 1.1.1 ACTH産生腺腫 1.1.2 GH産生腺腫 1.1.3 プロラクチン産生腺腫 1.1.4 TSH産生腺腫 1.1.5 性腺刺激ホルモン産生腺腫 1.1.6 多ホルモン産生腺腫 1.1.7 非ホルモン産生腺腫 1.2 下垂体中間葉の腺腫 1.2.1 ACTH産生腫瘍 1.2.2 MSH産生腺腫(ウマで知られている) 1.3 下垂体癌(Invasive macroadenomas??) 下垂体腫瘍 6 2016/4/27 副腎皮質萎縮 アジソン病 アジソン病犬の血清を正常犬の副腎(左)、 甲状腺(中)、下垂体(右)と反応させた 7 2016/4/27 副腎皮質 ↑ 結節性過形成 ← び漫性過形成 副腎皮質腫瘍 8 2016/4/27 9 2016/4/27 ホルモンと腫瘍発生 伴侶動物でその発生に性ホルモンの関与が示唆される腫瘍群 (1)雌性ホルモン イヌ:乳腺腫瘍、子宮内膜腺腫瘍、子宮平滑筋腫瘍、膣線維腫、 髄膜腫(?) ネコ:乳腺腫瘍 ウサギ:乳腺腫瘍、子宮内膜腺腫瘍、子宮平滑筋腫瘍 (2)雄性ホルモン イヌ:前立腺癌、肛門周囲腺腫瘍、皮脂腺系腫瘍(?) 10 2016/4/27 イヌの肛門周囲腺腫瘍の組織像とアンドロジェン受容体発現 1A 1B 2A 1C 1D 2B 1E 1F 2C 生理活性物質(ホルモン等)を分泌する腫瘍 (1)内分泌系組織の腫瘍 下垂体腫瘍(イヌ) ・ACTH産生腫瘍 → 副腎皮質腫瘍(フェレット) :クッシング 上皮小体腫瘍(原発性上皮小体機能亢進:高カルシウム血症) 甲状腺濾胞腫瘍(ネコ、イヌ: バセドウ病) 膵島腫瘍(イヌ、フェレット) ・Insulin産生腫瘍 → 低血糖性昏睡、大脳皮質壊死 (2)生殖器系腫瘍 ♀:顆粒膜細胞腫瘍(エストロジェン) ♂:セルトリ細胞腫瘍(エストロジェン)、間細胞腫瘍(アンドロジェン) (3)その他 腎細胞癌(エリスロポイエチン) :二次性多血症 肛門嚢アポクリン腺癌、リンパ腫(一部): 上皮小体ホルモン活性 肥満細胞腫(ヒスタミン):消化管潰瘍、ヒスタミンショック カルチノイド・神経内分泌細胞腫瘍 11-043 Cat, Mix, ♂×, 5y3m • 2007年ごろより、慢性下痢や肥満細胞腫が断続的に2年間続くが、2009年 に落ち着く。 • 2009/7/3検診時、昼寝時に1~2分程度の痙攣を起こすとのこと。 • ⇒MRI所見:視床下部領域に約1cm程度のマス病変あり。頸部に軽度の 脊髄空洞症。 • 食欲・飲水量増加 • ACTH刺激試験実施(コルチゾール値3.5μg/dl→10.5μg/dl) • 9/4より、放射線治療開始→徐々に下垂体マス縮小。 • 放射線照射終了3ヶ月後の2010/1/5、成長ホルモン上昇 (3.8ng/ml→5.8ng/ml) • 以降も下垂体腫瘍は緩慢に縮小。 • 異常なほどの食欲があるものの、徐々に体重が減少。 • 2011/8/26、食欲不振を主訴に来院。血中K値低下(2.8mEq/l)。→カリウ ム補正をするも徐々に衰弱し、9/12死亡(体重5.22kg→2.78kg) 11 2016/4/27 下垂体 φ8×5mmに腫大 下垂体 GH ACTH 甲状腺 12 2016/4/27 甲状腺腫瘍 上皮小体 上皮小体 甲状腺腫瘍 サイログロブリン 右副腎 左副腎 クロモグラニンA 13 2016/4/27 診断 • 下垂体腺腫 • 甲状腺腺腫および上皮小体過形成 • 副腎皮質腺腫 • 肺水腫 • 膵島アミロイド沈着 • 萎縮性皮膚症 症例1 臨床事項: イヌ、ゴールデンレトリバー、♀、8歳 鼻出血、腎不全(水腎症)、貧血、凝固因子枯渇、血尿、溶血 解剖所見: 膀胱の肥厚出血、水腎症、血腹、皮下出血、 卵巣の多発性のう胞、皮下腫瘤(乳腺部)、骨髄低形成 卵巣のう胞病変 14 2016/4/27 乳腺腫瘤(乳腺腺癌) 子宮内膜腺癌 抗エストロジェン受容体免疫染色 卵巣顆粒膜細胞腫瘍+卵胞のう胞 エストロジェン過剰分泌? エストロジェン反応性腫瘍の発生 骨髄抑制 ・貧血 ・血小板低下 乳腺癌 子宮内膜癌 骨髄抑制 ・貧血 乳腺癌 ・血小板低下 子宮内膜癌 血行性転移 多臓器不全 ・腎門部腫瘍形成 ・多発性腫瘍塞栓症 ・水腎症 ・血管内凝固 ・出血素因 DIC 15 2016/4/27 症例2 臨床事項 症例: イヌ、mix、11y、オス(去勢済み) • H15.7.24:食欲、元気はあるが腹部膨満、一部の皮膚で脱 毛。 (ALP>3500、GPT 373) • H15.8.7:皮膚Biopsy(B03627)でクッシング症候群が疑 われる。以後強肝剤、抗生物質で加療するも改善がみられず 肝酵素は高値を持続。 • H16.2.19:自宅にて死亡。 剖検時の外景所見。著明な脱毛と皮膚の菲薄化 剖検時の脳底部肉眼像と固定後割面 16 2016/4/27 脳底部組織像。腺性下垂体部の著明な圧迫性増殖 ACTH陽性の好酸性細胞を主体とする増殖 HE染色 抗ACTH免疫染色 副腎。皮質組織の不規則な増殖(皮質腺腫) 17 2016/4/27 萎縮性皮膚症と石灰沈着症 ステロイド性肝障害(肝細胞の空胞変性) 膵臓 アミロイド沈着 18 2016/4/27 多発性内分泌腺腫瘍 Multiple Endocrine Naoplasia (MEN) • 常染色体優性遺伝する疾患で、2つ/それ以 上の内分泌腺において良性/悪性の増殖が 見られる。 • Type1: MEN1遺伝子(腫瘍抑制遺伝子)の不活化による。主 に上皮小体、膵臓、下垂体、やや少ないが甲状腺や副腎な どのうち、2つ/それ以上の腺に腫瘍ができる。 • Type2: RET遺伝子(癌原遺伝子)の変異による。 ・2A・・・甲状腺、副腎髄質、上皮小体のうち、2〜3つの腺に 腫瘍がみられる。 ・2B・・・2Aと異なり、上皮小体には異常なし。また、消化管な どに神経節細胞腫。 動物におけるMEN‐like 症候群 下垂体 甲状腺 上皮小体 副腎 膵臓 - - - ○ ○ (Kiupel M et al., 2000) - ○ ○ ○ - (Peterson ME et al., 1982) ○ ○ ○ ○ ○ (Roccabianca P et al., 2006) - - ○ ○ ○ ○ - - ○ - - ○ - ○ - (De Cock HEV, Mae Lachlan J, 1999) 牛 - ○ - ○ - (Sponenberg DP, McEntee K, 1983) フェレット - ○ - ○ ○ 犬 猫 馬 (Reimer SB et al., 2005) (Germann SE et al., 2006) (Fox JG et al., 2000) 下垂体;ACTH産生腺腫(猫)、中間部腺腫(馬) 甲状腺;C細胞過形成、C細胞癌、C細胞腺腫 上皮小体;主細胞過形成、主細胞腺腫(臨床的) 副腎;皮質過形成、皮質腺癌、褐色細胞腫、髄質過形成 膵臓;β細胞癌、インスリノーマ、外分泌腺癌 他にも、2つ以上の内分泌腺の腫瘍が認められる報告は多くある。 しかし、遺伝性と報告されているのは、牛、犬、マウスのみ。 牛では、褐色細胞腫とC細胞腫瘍が常染色体優性遺伝する。 (Sponenberg DP, McEntee K, 1983) MEN1ヘテロマウスでは、上記5種の臓器に加え、生殖器の腫瘍(ライディッヒ細胞 腫、卵巣性索間質腫瘍)もしばしば発生。 (Bertolino P et al., 2003) 19 2016/4/27 20 2016/4/27 21 2016/4/27 22