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食料・農業・農村基本問題調査会 食料部会(第7回)委員

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食料・農業・農村基本問題調査会 食料部会(第7回)委員
食料・農業・農村基本問題調査会
食料部会(第7回)委員要求資料
目
次
1.ダイオキシン類の特徴と生成メカニズム
2.環境への排出と人体への蓄積
3.ダイオキシン対策
平成9年10月
1.ダイオキシン類の特徴と生成メカニズム
○ダイオキシン類は、210 種類の異性体を持つ有機塩素化合物の総称で、動物実験により強
い急性毒性を持つことが明らかにされているほか、人の場合には高濃度の暴露とがん発生と
の関係は無視できないとされている。
○ダイオキシン類の生成メカニズムは十分解明されていないが、塩素を含む物の燃焼過程や、
化学物質の製造過程で生成し、排ガス等の不純物として環境中に排出される。
○ダイオキシン類の生成メカニズム
○廃棄物焼却施設におけるダイオキシン類の生成
2.環境への排出と人体への蓄積
○我が国においては、ダイオキシン類は、主にゴミ焼却施設及び産業廃棄物焼却施設から発
生している。
また、我が国におけるダイオキシン類の大気中濃度は、諸外国に比べ高い傾向にある。
○発生源別ダイオキシン類の発生量
(単位:gTEQ/年)
発生源
発生量
一般廃棄物焼却
4,300
産業廃棄物焼却
547∼707
金属精錬
250
石油添加剤(潤滑油)
20
たばこの煙
16
回収黒液ボイラー
3
木材、廃材の焼却
0.2
自動車排ガス
0.07
漂白工程
晒クラフトパルプ
0.78
農薬製造
PCNB
0.06
燃焼工程
(資料)環境庁「ダイオキシン排出抑制対策検討会報告」(平成 9 年 4 月)
(注)TEQ(毒性等量)は、最も毒性が強い 2,3,7,8-TCDD の毒性に換算した値
○ダイオキシン類は、食物、大気、水、土壌を通して人体に蓄積され、平均的な摂取量は 0.3∼
3.5pgTEQ/体重 kg/日と推定されている。そのうち、食物連鎖を通じて濃縮されて、食物から摂
取される割合が高い。
なお、厚生省は、一生涯摂取しても許容されるダイオキシン類の量を 10pgTEQ/体重 kg/日とし
ており、また、環境庁は、より積極的に維持されることが望ましい量を 5pgTEQ/体重 kg/日とし
ている。
○一般的な生活環境からの暴露の状況の推定
(単位:pgTEQ/体重 kg/日、%)
大都市地域
摂取量
割合
中小都市地域
摂取量
割合
山間地域等
摂取量
割合
食物 0.26∼3.26 50∼92 0.26∼3.26 52∼93 0.26∼3.26 90∼99
大気
0.18
35∼5
0.15
30∼4
0.02
7∼1
水
0.001
0
0.001
0
0.001
0
土壌
0.084
16∼2
0.084
17∼2
0.008
3∼0
100
0.50∼3.50
100
0.29∼3.29
100
合計 0.52∼3.53
(資料)環境庁「ダイオキシンリスク評価検討会報告書」(平成 9 年 5 月)
(注)pg(ピコグラム)=10-12g
3. ダイオキシン対策
○ダイオキシン対策としては、①ゴミの排出抑制・リサイクルによる焼却量の削減、②適切な焼
却と灰の適正処理等ごみ処理全般に係る総合的な観点が必要である。
○「大気汚染防止法施行令」等が改正され、有害大気汚染物質の指定物質としてダイオキシン
類が追加されるとともに、「廃棄物処理法施行令」等が改正され、焼却施設の構造・維持管理
基準の見直し等が行われている(ともに平成 9 年 12 月 1 日より施行)。
しかしながら、構造・維持管理基準に適合した施設の整備には多額の費用がかかることから、
市町村における整備の推進が課題となっている。
○なお、一般環境中でのダイオキシン類の挙動は未解明の部分が多く、人体への摂取量に関
するデータも不足しているため、これらの研究を引き続き進めていく必要がある。
○大気汚染防止法施行令等の改正の要点
1 指定物質の追加
有害大気汚染物質のうち、排出又は飛散を早急に抑制する必要がある物質(指定物質)
として、ダイオキシン類を追加
2 指定物質排出施設の指定
知事が、指定物質の排出抑制のための勧告等を行う指定物質排出施設として、一定規模
以上の廃棄物焼却炉等を指定
3 指定物質抑制基準の設定
指定物質排出施設において、ダイオキシン類についても排出基準を設定
○廃棄物処理法施行令等の改正の要点
1 構造基準の強化
燃焼ガスの温度が 800℃以上の状態で2秒以上滞留、外気と遮断等の用件を備えた
燃焼室の設置
2 維持管理基準の強化
排ガス中のダイオキシン濃度を次の基準以下とすること
燃焼室の
処理能力
新設の基準
4 トン/時間
以上
0.1ng/m3
既設の基準
1年後まで
1∼5 年後
5 年後以降
1ng/m3</SUP
2∼4 トン/時
1ng/m3</SUP
間
基準の適用
を
80ng/m3</SUP 5ng/m3</SUP
猶予
2 トン/時間
5ng/m3</SUP
未満
10ng/m3</SUP
(注)ng(ナノグラム)=10-9g
3 許可対象範囲の見直し
許可対象施設の裾きりの引下げ(原則:5 トン/日→200kg/時間)
4 処理基準の明確化
施設の規模に関わらず、廃棄物を焼却する際に遵守すべき処理基準を明確化
○農林水産省においては、園芸用使用済プラスチックの適正処理については、リサイクルを基
本とするとともに、そのうち塩化ビニルフィルムについては焼却以外の方法で処理するように指
導を行っているところである。
なお、食品関係のプラスチック製容器包装については、平成 12 年度から容器包装リサイクル
法の対象となることから、再商品化システムについて検討を進めているところである。
○園芸用使用済プラスチック適正処理基本方針(抜粋)
1 資源の有効利用という観点から、園芸用使用済プラスチックの適正処理はリサイクル処理を
基本とする。
2 当面は、回収・処理体制の整備が必要であること、現在の技術水準では再生処理に適さない
ものもあること等から、排出される使用済プラスチックの特性、排出量、排出状況等に即して、
適正な焼却、埋立等による処理をも推進する。
3 塩化ビニルフィルムは、焼却すると有害な塩化水素ガスが発生するため、最新の技術を取り
入れた一部の焼却設備を用いる場合を除き、他の処理方法により行わなければならない。
○園芸用使用済プラスチックの処理方法別割合
(単位:%)
昭和 62 年 平成元年
再
生
園芸用使用済プラスチック
埋
立
園芸用使用済プラスチック
焼
却
園芸用使用済プラスチック
塩化ビニルフィルム
塩化ビニルフィルム
塩化ビニルフィルム
3
5
7
19
22
23
26
28
33
38
39
45
45
21
22
23
21
23
22
23
24
22
25
43
42
41
43
38
26
24
23
23
19
(資料)農林水産省「園芸用ガラス室・ハウス等の設置状況」
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