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広島大学医学部総合薬学科における 医薬品情報教育の概要 (講義の

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広島大学医学部総合薬学科における 医薬品情報教育の概要 (講義の
医療薬学における医薬品情報教育に求められているもの
広島大学医学部総合薬学科における
医薬品情報教育の概要
(講義の紹介)
薬剤師として必要な医薬品情報を取り扱う総合能力の修得
最終目標
具体的方策
臨床薬物治療学研究室
森川則文、猪川和朗
各種試験への対応(薬剤師国家試験、共用試験[
各種試験への対応(薬剤師国家試験、共用試験[CBT])
CBT])
各種モデル・コアカリキュラムへの対応
その他(各大学における個性的で特色ある教育)
「医療安全」を確保するための医薬品情報
⇒医薬品健康被害に学ぶ
最近の薬剤師国家試験問題
最近の薬剤師国家試験問題
妊娠中 あり(人)
の喫煙 なし(人)
20
80
14
86
計(人)
100
100
○○
××××
× ×○○
第89回(平成
16年
年3月)
89回(平成16
【問214
】根拠に基づく医療(EBM
EBM)
)の進め方として、順序の正しいものはどれ
【問214】根拠に基づく医療(
か。
a 疑問の明確化 b
疑問の明確化 b 結果の自己評価 c
結果の自己評価 c 情報の批判的吟味
d 情報の患者への適用 e
情報の患者への適用 e 情報の収集
1 a
1 a → e → c → d → b
2 a
2 a → d → b → c → e
3 a
3 a → b → c → e → d
4 a
4 a → c → e → d → b
5 a
5 a → e → b → c → d
○○
a 妊娠中の喫煙による低体重児出産の発生率は、この調査結果からは求めら
れない。
b 妊娠中の喫煙による低体重児出産の相対危険度は、20/100
と14/100の比で
妊娠中の喫煙による低体重児出産の相対危険度は、20/100と
14/100の比で
ある。
c 妊娠中の喫煙による低体重児出産の寄与危険度は、20/
(20+14)と
80/
妊娠中の喫煙による低体重児出産の寄与危険度は、20/(
20+14)と80/
(80+86)の差である。
80+86)の差である。
d 妊娠中の喫煙による低体重児出産のオッズ比は、20/80
と14/86の比である。
妊娠中の喫煙による低体重児出産のオッズ比は、20/80と
14/86の比である。
第88回(平成
15年
年3月)
88回(平成15
【問234
】医薬品情報の収集、評価および提供に関する記述の正誤について、
【問234】医薬品情報の収集、評価および提供に関する記述の正誤について、
正しい組合せはどれか。
a, b, c, d (省略)
e 収集した情報の評価には、出来る限り内容データの客観性や妥当性を
含むいわゆるevidence
含むいわゆるevidence based medicineの観点が求められる。
medicineの観点が求められる。
○○
第89回(平成
16年
年3 月)
89回(平成16
【問65
】下表は、低体重児を出産した100
100例と、対照として非低体重児を出産した
例と、対照として非低体重児を出産した
【問65】下表は、低体重児を出産した
100例について、妊婦の妊娠中の喫煙状況との関係に関する症例対照研究調査
100例について、妊婦の妊娠中の喫煙状況との関係に関する症例対照研究調査
の結果を示している。 妊娠中の喫煙と低体重児出産との関係について、正しいも
のの組合せはどれか。
低体重児 非低体重児
出産(人)
出産(人)
最近の薬剤師国家試験問題
○○ ○○
×
×
第89回(平成
16年
年3月)
89回(平成16
【問110
】わが国で問題となった損害賠償請求訴訟における医薬品又は医療
【問110】わが国で問題となった損害賠償請求訴訟における医薬品又は医療
用具と健康被害の関係の正誤について、正しい組合わせはどれか。
a クロラムフェニコールと肺線維症
b サリドマイドと胎芽病 c ヒト乾燥硬膜とクロイツフェルト・ヤコブ病
d ストレプトマイシンと網膜症
e キノホルムと亜急性脊髄視神経症
○○ ×××
第90回(平成
17年
年3月)
90回(平成17
【問111
】独立行政法人医薬品医療機器総合機構法の救済業務の範囲に関
【問111】独立行政法人医薬品医療機器総合機構法の救済業務の範囲に関
する記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
a 医薬品の副作用による健康被害の救済
b 生物由来製品を介した感染等による健康被害の救済
c 医療用具の不具合による健康被害の救済
d 予防接種法に規定された予防接種による健康被害の救済
e 医薬部外品の副作用による健康被害の救済
「医療情報科学」(3
「医療情報科学」(3年後期)
第1回
第2回
医療情報科学 序論
医薬品開発と情報について
第3回
第4回
医薬品の段階および各医療分野に応じた情報
インターネット演習①
第5, 6回
6回
第7回
添付文書①,
添付文書①, ②
医学文献の種類と内容
第8回
医学文献の評価とエビデンス
第9回
インターネット演習②
第10, 11, 12回
12回 医薬品健康被害(いわゆる薬害)と情報①,
医薬品健康被害(いわゆる薬害)と情報①, ②, ③
第13回
インターネット演習③
13回
第14回
14回
第15回
15回
安全性情報
保険医療と情報
2006/3/31現在
2006/3/31現在
1
医療情報科学 序論 (全1
医療情報科学 序論 (全1回)
使用教材
・プリント
・スライド
はじめに
医薬品と情報
医薬品情報の性格と取り扱い
-象徴的な二つの出来事
・ビデオ
・インターネット
・CDCD-ROM
・漫画
・指定図書
医薬品情報は検索・収集しなければ始まらないし、
きわめて有用なものである。しかし、それを適切に
解釈・伝達しなければ、かえって有害な場合さえあり
得る。医薬品情報の持つ性格をふまえた取り扱い
が重要となる。
『四人はなぜ死んだのか―インターネットで追跡する「毒入りカレー事件」』,
『四人はなぜ死んだのか―インターネットで追跡する「毒入りカレー事件」』,
三好万季(著),
年)..
三好万季(著), 文藝春秋(1999
文藝春秋(1999年)
平成10
年7月和歌山市園部自治会の夏祭りで手作りカレーを食べた4
平成10年
月和歌山市園部自治会の夏祭りで手作りカレーを食べた4人が死亡。
三好万季さん(東京都、15
歳の中学生)は、死の衝撃を受け、事件を検証するた
三好万季さん(東京都、15歳の中学生)は、死の衝撃を受け、事件を検証するた
め、夏休みの宿題レポートとして調査を開始した。事件の情報は、新聞、ラジオ、
テレビ、週刊誌だけしかなかった。インターネットを使って、各種関連ウェブサイト
にアクセス。
※広島大学医学部法医学(http://home.
hiroshima--u.ac.jp
※広島大学医学部法医学(http://home.hiroshima
.ac.jp//houi/
houi/)も引用されている。
被害者の症状・経過からみて、保健所による第一報の「食中毒」を否定し、毒物
中毒の可能性を指摘。被害者の症状・経過からみて、捜査本部による「青酸カリ
中毒」の可能性を否定。毒物中毒を疑ったのであれば、青酸、ヒ素、黄リンの3
中毒」の可能性を否定。毒物中毒を疑ったのであれば、青酸、ヒ素、黄リンの3つ
を調べるのが定石とされているのに調べなかったことを指摘。のちにヒ素は偶然、
検出された。ヒ素中毒の対処方法は既知であるかかわらず、対処方法がわから
ないと公言する医療関係者がいたことを批判。三好さんは「医療分野の専門家た
ちの過失による事故死ではないか、救うことができたはずなのに救えなかった。」
と『文藝春秋』で発表(平成10
年文藝春秋読者賞受賞)。
と『文藝春秋』で発表(平成10年文藝春秋読者賞受賞)。
医学・薬学の知識も経験もない全くの素人でも、情報を検索・収集し、診断・
治療法に関する一定の判断に到達することが十分可能であることを示した。
いわゆる上田事件
医薬品情報提供のあり方をめぐって、長野県上田市の薬剤師会と医師
会が対立し、同薬剤師会の理事が総辞職した騒動。
長野県上田市は医薬分業の先進地域。平成9
長野県上田市は医薬分業の先進地域。平成9年4月薬剤師法改正(薬
剤師による情報提供の義務化)をふまえ、薬局が患者に対し、調剤薬の
効能・効果や副作用を文書で渡し説明し始める。一部の患者から「こんな
危ない薬は飲めない」と処方医に対しクレームが発生。
医師側は「薬剤師は患者に不安を与えているのではないか」と指摘。薬
剤師側は「医師こそ患者に対する薬の説明が不十分ではないか」と反論。
薬剤師会と医師会の対立に発展。医師会長が「このやり方で情報提供を
続けるなら、院外処方せんの発行停止も考えざるを得ない」と発言し、対
立はピークに。情報提供をめぐる混乱の責任を取るという形で薬剤師会
理事が総辞職。医師会側は誠意を感じたとして関係改善に向かった。
本件は情報提供のあり方について問題を提起した(不特定多数人に対す
る副作用情報から副作用の検知・防止に向けた特定人に対する情報提
供へ、薬局における患者情報や医師情報の少なさ、医師側の意識など)。
医薬品開発・承認取得を行う上で遵守すべき法令基準
医薬品開発と情報について (全1
医薬品開発と情報について (全1回)
医薬品とは
医薬品に関する規制(薬事制度)
医薬品のライフサイクルと情報
など
GLP
Good Laboratory Practice
「医薬品の安全性に関する非臨床試験の実施の基準」(平成
医薬品の安全性に関する非臨床試験の実施の基準」(平成99年厚生省令第
年厚生省令第21
21号)
号)
GCP
Good Clinical Practice
「医薬品の臨床試験の実施の基準」(改正:平成15
医薬品の臨床試験の実施の基準」(改正:平成15年厚生労働省令第
年厚生労働省令第106
106号)
号)
GMP
Good Manufacturing Practice
「医薬品の製造管理及び品質管理の基準」(改正:平成
医薬品の製造管理及び品質管理の基準」(改正:平成16
16年厚生省令第
年厚生省令第179
179号)
号)
GPMSP
Good PostPost-Marketing Surveillance Practice
「医薬品の市販後調査の基準」 (改正:平成
(改正:平成12
12年厚生省令第
年厚生省令第151
151号)→廃止
号)→廃止
(廃止)
GPSP
Good PostPost-marketing Study Practice
「医薬品の製造販売後の調査及び試験の実施の基準」 (平成
(平成16
16年厚生労働省令
年厚生労働省令
第171
171号)
号)
GQP
Good Quality Practice
「医薬品の品質管理の基準」 (平成
(平成16
16年厚生労働省令第
年厚生労働省令第136
136号)
号)
GVP
Good Vigilance Practice
「医薬品の製造販売後安全管理の基準」 (平成
(平成16
16年厚生労働省令第
年厚生労働省令第135
135号)
号)
※GQPとGVPは、みかけは同じG○Pだが、制度的意味、法的効果が全く異なる
別格の基準であって、市場責任を全うするための司令塔的な基準といえる。
2
医薬品の段階および各医療分野に応じた情報 (全1
医薬品の段階および各医療分野に応じた情報 (全1回)
製薬企業、CRO
、SMOで取り扱う情報、発信する資料
製薬企業、CRO、
SMOで取り扱う情報、発信する資料
薬事行政で取り扱う情報、発信する資料
流通段階(MR
、卸売業)で取り扱う情報、発信する資料
流通段階(MR、
病院/
病院/診療所内の薬剤部(薬剤科、薬局)で取り扱う情報、
発信する資料
薬局で取り扱う情報、発信する資料
学会/
学会/機関で取り扱う情報、発信する資料
など
添付文書の重要性
ペルカミン®Sによるショック【最高裁平成8
Sによるショック【最高裁平成8年1月23日判決】
23日判決】
フェノバール®によるStevens
-Johnson(
によるStevensJohnson(皮膚粘膜眼)症候
群【最高裁平成14
年11月
群【最高裁平成14年
11月8日判決】
ユースビル®錠(ソリブジン)販売開始時の添付文書
「使用上の注意」の「8
「使用上の注意」の「8 相互作用」
「本剤の代謝物ブロモビニルウラシルは、ピリミジン代謝
の律速酵素であるジヒドロチミンデヒドロゲナーゼを阻害す
ることが報告されており、フルオロウラシル系薬剤(5
ることが報告されており、フルオロウラシル系薬剤(5‐FU、
FU、
テガフール等)との併用により、それらの血中濃度を高め作
用を増強するおそれがあるので、併用投与を避けること。」
英語論文読み合わせ
Cardiac Arrhythmia Suppression Trial (CAST)
Preliminary report: effect of
encainide and flecainide on
mortality in a randomized trial
of arrhythmia suppression after
myocardial infarction. The
Cardiac Arrhythmia
Suppression Trial (CAST)
Investigators.
添付文書 (全2
添付文書 (全2回)
添付文書とは
-法的根拠
-医療過失の判断基準・裁判規範
-製薬企業の防波堤(訴訟対策)
-医療用医薬品、一般用医薬品
-添付文書の取り扱い
添付文書の様式
など
医学文献の種類と内容 (全1
医学文献の種類と内容 (全1回)
医学文献の分類
一次資料
二次資料
三次資料
医学文献資料の代表例
学術論文
索引誌
抄録誌
目次速報誌
代表的な教科書、辞典
(
(PDR, AHFS DI, MARTINDALE, Meyler’
Meyler’ s, etc.)
など
医学文献の評価とエビデンス (全1
医学文献の評価とエビデンス (全1回)
RCTからシステマティック・レビューへ
RCTからシステマティック・レビューへ
システマティック・レビューのインフラストラクチャー:
コクラン共同計画
EBMについて
EBMについて
EBMに基づく診療ガイドラインについて
EBMに基づく診療ガイドラインについて
など
N Engl J Med 1989;321:4061989;321:406-12.
3
EBMの
EBMの3要素
EBMについて
EBMについて
1991年に
G.H.Guyatt
Guyattにより提唱された概念が展開・整理された。
により提唱された概念が展開・整理された。
1991年にG.H.
目の前の患者の臨床上の疑問点に関して、利用可
目の前の患者の臨床上の疑問点に関して、利用可
能な最善の研究成果(いわゆるエビデンス)を入手し、
それらを批判的に吟味した上でその患者への適用
の妥当性を評価し、患者の価値観や意向
を考慮した
の妥当性を評価し、患者の価値観や意向を考慮した
を活用して医療を行うこと、
上で、臨床的な専門技能
上で、臨床的な専門技能を活用して医療を行うこと、
と定義され得る。
医療の質を向上させるための一連の行動指針(行
医療の質を向上させるための一連の行動指針(行
動哲学)、実践的アプローチである。
動哲学)、実践的アプローチである。
Clinical Expertise
専門技能
標準化のプロセス
EBM
Research Evidence
研究による根拠
(エビデンス)
診療ガイドラインの位置付け、あり方
特定の臨床状況のもとで、適切な判断や決断を下
せるように支援する目的で体系的に作られた文書 -「診療ガイドライン作成の手順」福井・丹後(2001
)
-「診療ガイドライン作成の手順」福井・丹後(2001)
診療ガイドラインは、特に非専門家の臨床上の決
診療ガイドラインは、特に非専門家の臨床上の決
断を guide(
guide(支援)し、医療技術の標準化を目指すも
支援)し、医療技術の標準化を目指すも
のであって、専門家の裁量を lead(
lead(指導)するもので
はないと考えられている。
マニュアル、クリニカルパスとは異なる。
平成15
年5月20日
平成15年
20日
読売新聞(抜粋)
論理学的に考えても・・・
個別化のプロセス
Patient Preference
患者の意向・価値観
『胃かいよう診療指針』
◇ピロリ菌除菌が最優先◇
指針はまず、ピロリ菌の除菌を「最も再発
率が低い」として、最優先の治療法に位置
づけた。これは、2
づけた。これは、2種類の抗生物質とプロト
ンポンプ阻害薬(PPI)と呼ばれる強力な胃
酸分泌抑制薬の計3
酸分泌抑制薬の計3種類を7
種類を7日間服用する
治療。除菌成功率は8
治療。除菌成功率は8、9割に達する。(略)
◇「効果に疑問」の薬も◇
一方、有効性に疑問符がついた薬もある。
胃粘膜を保護するとされる「防御因子増強
薬」。日本だけで承認されているものが多く、
年間1000
億円以上の売り上げがある。これ
年間1000億円以上の売り上げがある。これ
について、指針は「スクラルファートを除き、
治療効果を示す十分な根拠がない」と判断
した。(略)
効果が不確かな薬の使用を続けることは、
倫理的にも経済的にも許されない。
ビデオ学習
「高いエビデンスがある」 → 「有効性がある」
対偶
「有効性がない」 → 「高いエビデンスがない」
逆
平成12
年度厚生労働科学研究
平成12年度厚生労働科学研究
「EBM普及のためのシラバス作成
EBM普及のためのシラバス作成
と教育方法及びEBM
の有効性評
と教育方法及びEBMの有効性評
価に関する研究」
導き出されない
×
「高いエビデンスがない」 → 「有効性がない」
※ただし、時代の経過とともに進歩する医学水準に
照らして、当該医薬品のあり方を見直すこと、すな
わち再評価はあり得るだろう(別の問題として)。
『 「EBM」
EBM」で診療を変える 疑問点
を解消するアプローチ』,
を解消するアプローチ』, 福井次矢
(監),
).
(監), インターメディカ(2001
インターメディカ(2001)
【23分間】
23分間】
4
医薬品健康被害(いわゆる薬害)と情報 (全3
医薬品健康被害(いわゆる薬害)と情報 (全3回)
総論
サリドマイドによる両上肢等奇形(胎芽病)被害
キノホルムによるSMON
(亜急性・脊髄・視神経・神経
キノホルムによるSMON(
障害)被害
輸入非加熱血液凝固因子製剤によるHIV
感染被害
輸入非加熱血液凝固因子製剤によるHIV感染被害
ソリブジンによる死亡被害
小児における大腿四頭筋拘縮症被害
その他(クロロキンによる網膜症被害、ヒト乾燥硬膜
によるクロイツフェルト・ヤコブ病被害など)
によるクロイツフェルト・ヤコブ病被害など)
医薬品健康被害の類型
民事裁判
単独投与
併用投与
サリドマイド
有効成分
キノホルム
ソリブジン
そのもの
クロロキンなど
投与方法
抗菌薬
解熱鎮痛薬
品質など
輸入非加熱血液
凝固因子製剤
刑事裁判
輸入非加熱血液
凝固因子製剤
漫画 「ゴーマニズム宣言 第5巻」,
年)..
巻」, 小林よしのり(著)
小林よしのり(著), 扶桑社(1994
扶桑社(1994年)
血友病に対する血液製剤の種類と特徴
製剤の発展
全血
新鮮
凍結
血漿
クリオ製剤
Cryoprecipitate
・全血、新鮮凍
結血漿より特異
性がある
・Ⅷ因子含量が
少なく凝固活性
が低い
・重症例には適
さない
・大量生産でき
ず供給に問題
・病院で用時に
解凍
非加熱濃縮製剤
Unheated-Unheated
Concentrated
・Ⅷ因子含量が多
・Ⅷ
因子含量が多
く凝固作用が高い
・重症例にも対応
・大量生産可能
・用時溶解で自己
注射可能(
注射可能(QOL
QOL
の改善)
・日々に高まる
HIV混入リスク
HIV
混入リスク
加熱濃縮製剤
Heated-Heated
Concentrated
・非加熱製剤に
比べて未確立
(未承認)
・加熱しても失
活しないか
・インヒビター
産生しないか
・国内データが
乏しい
遺伝子
組換え
製剤
pp.235
pp.229
デフォルメされているものの、有用な教材になり得ると考えられる。
ビデオ学習
「ノーモア スモン」,
「ノーモア スモン」,
日本電波ニュース社(1987
年)..
日本電波ニュース社(1987年)
【 28分間】
28分間】
「人間の尊厳をかけて
~薬害エイズ10
年のたたかい」,,
~薬害エイズ10年のたたかい」
日本電波ニュース社(1998
年)..
日本電波ニュース社(1998年)
【40分間】
40分間】
ビデオに対する学生の感想(抜粋)
講義で理解していたつもりだったが、想像を超える映像だった。途中
で見るのがつらくなったが、心に深く刻まれた。このような悲劇を二度
と起こしてはならない。
講義だけでは感じることのできない患者の苦しみが痛いほど伝わっ
てきた。何十年も裁判せずに一日も早く十分な救済をすべきだった。
何の情報も与えられずキノホルムを服用して、眼が見えなくなったり、
歩けなくなるとは生き地獄だ。家族の人生も狂ってしまう。悲惨だ。
危険に気づきながら自分たちの利益のために多くの血友病患者を犠
牲にしたとは許せない。土下座して謝って済む事柄ではない。エイズ
研究班の無責任さにも怒りを感じた。
薬を作る企業側、認める国側はひどい。彼らに厳罰を与えなければ、
再発防止にはつながらないと思う。
将来、薬剤師としてできる限りのことをしたい。責任の重さを感じた。
学生の興味を引きインパクトは強い。一方で、映像の編集方針により、感情的に
なりやすい。ビデオ選定に留意し講義で補足説明することで、効果的に利用する
ことが重要。 「誰が悪かったのか」(犯人追及)⇒「何が悪かったのか」(行動検証)
5
レポート提出
指定図書を読んで感じたこと、考えたこと
を述べること。必ず『医薬品情報』というキー
ワードを用いて、医薬品情報のあり方や健
康被害との関係について述べること。
例えば、いかなる医薬品情報をどのように
収集・評価・伝達できていればサリドマイド
による健康被害が防げたと考えるか、もし今
後サリドマイドが国内外で承認されていくと
すればいかなる医薬品情報をどのように収
集・評価・伝達していくべきと考えるかなど。
本文2000字以上。
「神と悪魔の薬サリドマイド」,
「神と悪魔の薬サリドマイド」, ロック ブリンナー,
ブリンナー, トレント ステフェン (著),
(著),
本間徳子(訳),
社(2001
2001年)
年)..
本間徳子(訳), 日経BP
日経BP社(
指定図書の特徴
サリドマイドの健康被害を取り扱って
いる
薬の功罪と数奇な運命をつづり、物語
として面白い
医学文献が頻出するため (BMJ,
BMJ,
JAMA,
JAMA, Clin Pharmacol Ther,
Ther, Lancet,
Lancet,
N Engl J Med,
Med, Mayo Clin Proc,
Proc, Index
Medicus,
Medicus, MEDLINE)、
MEDLINE)、医薬品情報の
観点から学ぶことができる。
海外(米国)の承認審査制度について
知ることができる (CDER, IND, NDA,
KefauverKefauver-Harris Drug Amendments)
臨床試験について知ることができる
(CASTも出てくる
CASTも出てくる))
N Engl J Med 2001;345:2262001;345:226-227.
レポートの内容(抜粋)
レポート提出方法の工夫
・ワードプロセッサー(MS
・ワードプロセッサー(MS--Word)
Word)文書のみ
・電子メールのみ
現在のカリキュラム上では、4
現在のカリキュラム上では、4年間を通じ
て唯一の機会といえ、数名は対処できな
いのが現状
ワープロで文書を作成してメールで送信させるだけでも、医薬品
情報教育の一環として、学習効果は高いと考えられる。
販売後にグリュネンタール社に送られてきた、サリドマイドに関する
多くの報告を隠蔽し続けたことが問題だ。これらの情報が世界に伝
わったなら、どれだけ被害は防げただろう。
サリドマイドが安全であるかどうかは、常識、慣行、噂、ましてや企業
の宣伝文句ではなく、裏付けとなる信頼性あるデータに基づいてい
なければならなかった。
サリドマイドは
サリドマイドはOTC薬として薬局で入手可能であり、一般市民に対す
OTC薬として薬局で入手可能であり、一般市民に対す
る医薬品情報の浸透が不可欠だった。
サリドマイドだけではない。全ての薬は「神」にも「悪魔」にもなり得る。
薬の二面性をしっかりと認識したうえで、両方に責任を持つことが必
要である。最優先すべきは患者の利益なのだから。
FDAのフランシス
・ケルシーは申請資料を隅から隅まで見渡し、科学
FDAのフランシス・
的見地から物事を判断するすばらしい能力を持っていた。患者の安
全を第一に考えた決断は見事なものである。これは、医薬品情報を
適切に判断することの重要性を示した一例であり、正しい取り扱いが
なされていれば、ドイツでのグリュネンタール社による被害も最小限
に食い止められた可能性を示している。
レポートの内容(抜粋・続き)
FDAのフランシス・ケルシーのように、深い科学的洞察力と強い責任
FDAのフランシス・ケルシーのように、深い科学的洞察力と強い責任
感、倫理観をもった医療人こそ、我々が目指すべき理想だと思う。
STEPSプログラムはすばらしいとは思うが、どんなに優れた仕組みを
STEPSプログラムはすばらしいとは思うが、どんなに優れた仕組みを
構築したとしても、リスクはゼロにはならないことを肝に銘じておく必
要がある。
製薬企業や行政のみに頼るのではなく、医師、薬剤師、研究者、そし
て患者を交えた情報ネットワークの構築が重要だと考える。
患者が自力で医薬品情報を網羅することは極めて困難だ。得られた
情報が正しいものであるかを吟味することも難しい。薬剤師などのア
ドボケートが必要である。
個人輸入にまかせるよりも、サリドマイドを日本として正式に承認し
たうえで、厳格に監視した方が得策と考える。その際、薬剤師は医療
の担い手の一員として、医薬品情報を広く収集し、厳しく評価し、適
切に伝達する役割を担っていることを忘れてはならない。
サリドマイドの薬剤管理が問題となっており、「多発性骨髄腫に対す
るサリドマイドの適正使用ガイドライン」にあるように、サリドマイド責
任薬剤師の役割は非常に重要である。
ソリブジン健康被害を通じて化学の知識を見直す
(併用)
×
5-FU (pyrimidine ring)
○
Sorivudine
(pyrimidine ring)
相互作用(拮抗的
阻害)の可能性?
6-MP (purine
(purine ring)
「医薬品情報・評価学」,
年),, pp.185. を一部改変
「医薬品情報・評価学」, 河島進ほか(編),
河島進ほか(編), 南江堂(2001
南江堂(2001年)
6
安全性情報 (全1
安全性情報 (全1回)
安全性に関する用語の概念・定義
現行制度の枠組み
薬剤師団体におけるプレアボイド
日本薬剤師会における薬剤イベントモニタ
リング(DEM
)
リング(DEM)
健康被害救済制度
など
保険医療と情報 (全1
保険医療と情報 (全1回)
好ましくない出来事と医薬品の因果関係
肯定
不明
否定
有害事象
副作用
【副作用】
有害事象(医薬品が投与された際に生じた、
あらゆる好ましくない医療上の出来事)のう
ち、少なくとも合理的な可能性があり、当該
医薬品との因果関係が否定できないもの
(よって因果関係が「不明」な場合を含む)
インターネット演習 (全3
インターネット演習 (全3回)
保険医療(保険診療)と自由医療(自由診療)
保険医療制度の仕組み
保険医療における療養の給付と報酬
薬剤師と保険医療(療養給付業務)
保険医療(療養給付業務)と情報
-刑法と個人情報保護法
薬価収載の手続き
新医薬品(先発医薬品)の薬価算定
後発医薬品の薬価算定
情報演習室 PC 108台(平成
17年
年10月~)
108台(平成17
10月~)
重要website
の確認(その1)
重要websiteの確認(その1)
医薬品医療機器総合機構
厚生労働省
診療報酬情報提供サービス
日本医薬情報センター(JAPIC
)
日本医薬情報センター(JAPIC)
国立感染症研究所
感染症情報センター
国立高度専門医療センター
日本病院薬剤師会
日本薬剤師会
日本医学会
日本医療機能評価機構(特にMinds
)
日本医療機能評価機構(特にMinds)
http://www.info.pmda
.go.jp
jp//shinyaku/
http://www.info.pmda.go.
shinyaku/shinyaku_index.html
shinyaku_index.html
7
重要website
の確認(その2)
重要websiteの確認(その2)
【演習問題】 Thalidomide
について調べなさい
【演習問題】 Thalidomideについて調べなさい
一次資料(ジャーナル)
JAMA,
JAMA, Nature,
Nature, N Engl J Med,
Med, BMJ,
BMJ, The Lancet
二次資料(一次的データベース)
MEDLINE (PubMed
無料),
), EMBASE (有料
(PubMed無料
(有料))
医学中央雑誌,
医学中央雑誌, iyakuSearch (一般用医薬品添付文書を含む)
一般用医薬品添付文書を含む)
(
(二次的データベース)
The Cochrane Library (一部無料
), clinical evidence (有料
(一部無料),
(有料))
National Guideline Clearinghouse, The Merck Manuals
FDA (特に
CDER)
(特にCDER)
CDC (特に
MMWR)
(特にMMWR)
EMEA
WHO (特に
Dept. of Essential Drugs and Medicines Policy)
(特にDept.
RxList
Doctor’
Doctor’s Guide, Medscape (要登録)
要登録)
【演習問題】 サリドマイドに関する以下の文献を検索しなさい
http://www.fda.gov/cder/approval/index.htm
「雑誌名:Blood
」かつ「タイトル:サリドマイド、multiple
「雑誌名:Blood」
かつ「タイトル:サリドマイド、multiple myeloma」
myeloma」
「サリドマイド(MeSH
)」かつ「過去
かつ「過去20
20年間」かつ「ヒト」かつ「英語」
年間」かつ「ヒト」かつ「英語」
「サリドマイド(MeSH)」
[mh]
mh]
(search tag)
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/entrez/query.fcgi?CMD=Limits&DB=pubmed
「サリドマイド」
「サリドマイド」かつ「日本語」
http://www.ncbi
citmatch.html
.html
http://www.ncbi..nlm.
nlm.nih.
nih.gov/
gov/entrez/query/static/
entrez/query/static/citmatch
「サリドマイド」
「サリドマイド」かつ「日本語」
(629件ヒット
(629件ヒット))
(511件
(511件
ヒット)
ヒット)
http://search3.jamas
.or.jp
jp//cgihttp://search3.jamas.or.
cgibin/basic/index.
cgi?
?rst=1983&red=2006&
rstOld=2001&
=2001&redOld
redOld=2006&
=2006&ycg
ycg=1
=1
bin/basic/index.cgi
rst=1983&red=2006&rstOld
http://database.japic
.or.jp
jp/ctrl/
/ctrl/beginnerForm
beginnerForm?
?targetDB=J,F
http://database.japic.or.
targetDB=J,F
8
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