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海上安全パトロール資機材の配備事業報告書

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海上安全パトロール資機材の配備事業報告書
助成
平 成 21 年 度
海上安全パトロール資機材の配備事業報告書
平成 22 年 3 月
社団法人
日本海難防止協会
「この報告書は競艇の交付金による日本財団の助成金を受けて作成しました」
はじめに
本事業は、日本財団の支援を受けて、プレジャーボート等の小型船舶につい
て、安全対策をさらに向上させていくために、ボランティアを活用した効果的
なパトロール等の充実をはかり、これらボランティアによる活動に必要な資機
材を供与することにより、効果的なパトロール等の実施を支援することを目的
としている。
また、本事業実施については、その2年目に当たりモデル事業として、供与
資機材の納入、保管状況及び使用状況並びに供与資機材の有効性等について検
証するため実地調査も行っている。
本事業報告書は、これらの情況を踏まえ、供与資機材の納入・進水、活動状
況及び実地調査並びに活動報告を参考として盛り込み、今後の供与資機材の供
与及び安全活動の更なる展開に資するために取りまとめたものである。
平成22年3月
社団法人 日本海難防止協会
目
1
次
事業目的 ··················································································· 1
2 供与資機材の納入、進水······························································· 1
(1)契約
(2)納入検査
(3)供与
(4)進水式
3 安全パトロール活動状況······························································· 3
(1)マリンパトロールステーション(MPS)福岡の活動体制及び海域
(2)活動実績
(3)活動効果
(4)次年度の活動について
4 実地調査 ··················································································· 6
(1)保管及び整備状況
(2)使用状況
(3)納入時期について
(4)活動成果
(5)今後の検討課題
(6)MPS業務日報
(7)安全パトロール艇指定書
5
所見 ······················································································ 16
6 参考資料 ················································································ 17
(1)マリンパトロールステーション(MPS)福岡規定
(2)平成21年度安全パトロール艇活動報告(PW安全協会福岡支部)
1
事業目的
新たな海洋立国の実現を図るため、平成19年7月、海洋基本法が施行さ
れ、海洋に関する施策を総合的かつ計画的に推進することとなっているが、
その基本施策として、海洋に関する国民の理解増進等のための海洋リクリエ
ーションの普及とともに、海上の安全の確保の措置を講ずることが求められ
ている。
また、昨今の地域振興や港湾の活性化等が相まって、マリンレジャー施設
が共存した多目的な港湾等のプロジェクトが推進され、沿岸海域における適
正かつ安全な水域等の利活用が求められている。
プレジャーボート等の小型船舶については、愛好者自らが基本的な知識技
能を身につけ自己責任のもとに楽しむことが基本である。
しかしながら、昨今においては、地元以外の地域からマリンレジャー海域
に訪れる愛好家が増大しており、これらの者は当該海域に不慣れでマナーの
悪い者も多いことから、地先海面における利用が競合する中、特に水上バイ
ク、曳航遊具さらには遊泳者等との衝突による問題が発生している。
このため、関係機関や地元関係団体等により海難防止講習会や現場指導等
による安全思想の啓蒙が進められているが、さらに安全対策を向上させるた
めには、地元地域と連携し、当該危険海域における自主ルールを策定して秩
序だった海面利用を促進するとともに、ボランティアを活用した効果的なパ
トロール等を充実する必要がある。
本事業は、これらボランティアによる活動に必要な資器材を供与すること
により、効果的なパトロール等の実施を支援することを目的とする。
2 供与資機材の納入、進水
(1)契約
4月8日、当協会は、海上安全パトロール資機材の納入に関し、福岡市
城南区樋井川1丁目1-1所在のマリンクラブネイビーと、契約金額が3,
488,855円(消費税を含む。)とする契約を締結した。
(2)納入検査
4月21日、
「海上安全パトロール資機材の納入に関する契約書」に基づ
き、福岡市城南区樋井川1丁目1-1所在のマリンクラブネイビー店舗内
で検査の結果、納入資機材一式が、仕様書通であることを確認した。検査
の確認通知は、翌日付で、マリンクラブネイビー代表竹田聖也氏宛てに、
合格通知書により行われた。写真①は納入検査時に撮ったものである。
1
①右側前方からの水上バイク及び牽引トレーラー
(3)供与
4月23日当協会は、海上安全パトロール資機材の供与に関し、特定非
営利活動法人パーソナルウォータークラフト安全協会と所有権及び管理等
の覚書を結び、海上安全パトロール資機材一式を無償供与した。
(4)進水式
4月25日進水式は、マリンパトロールステーション福岡(以下「MP
S福岡」という。)の開所式に併せ、MPS会員(パーソナルウォーターク
ラフト安全協会福岡支部会員、福岡ライフセーバー会員)、パーソナルウォ
ータークラフト安全協会、小型船安全協会、地元水上警察署、海上保安部
の関係者が出席して、福岡市東区大岳福岡マリーナで行われた。写真②③
は、MPS 福岡の開所式に併せ行われた進水式の模様である。
②進水式の参加者
③進水したパトロール艇
2
3 安全パトロール活動状況
(1)MPS福岡の活動体制及び海域
イ 組織体制
MPS福岡は、PW安全協会福岡支部長の竹田聖也氏を中心にPW安
全協会所属の13名(第七管区海上保安本部指定海上安全指導員11名、
主任海上安全指導員1名)及び福岡ライフセービングクラブ所属のライ
フセーバー20名の構成である。
ロ
MPS福岡
MPS福岡は、博多湾沿岸における水辺での巡回監視・救助活動等を
通じた水難事故防止に関する事業並びに水上バイクやプレジャーボート
等に対する安全指導及び水難救助技術の基礎知識の普及啓発に関する事
業を行うボランティア団体として、平成17年7月に竹田氏が仲間とと
もに立ち上げ、設置されたものである。(資料参照)
ハ
活動体制
活動期間中(5~10月)の土日・祝日に待機場所(福岡マリーナ)に
おいて、当直員2名(安全指導員及びライフセーバー各1名)が10~
16時の間、即応待機体制をとっている。訓練等を行う場合は、福岡海
上保安部(以下「福岡保安部」という。)との連絡員を配置の上、対処し
ている。
また、安全指導に出動の際は、ライフセーバーを連絡員として待機さ
せ、前進配備を行う際には、2 名体制で出動し後部乗船のライフセーバ
ーが福岡保安部との連絡員となる。
ニ
活動海域
活動海域は、福岡市東区大岳にある福岡マリーナを待機拠点とし、博
多湾内一帯を活動海域としているが、海難事故の急増を受け、8月半ば
より事故多発海域である福岡市東区志賀島勝馬海岸沖にパトロール艇を
前進配備させている。写真①は博多湾を撮ったものである。
3
①右側赤印が福岡マリーナ
上側赤印が前進配備海域
(2)活動実績
イ 活動回数等
MPS福岡の安全パトロール活動は、海上パトロールのほか、パトロ
ール艇を海岸に待機させて行った海岸パトロールを含み、次のとおり行
われた。
5月(2回):4日、5日
6月(1回):14日
7月(7回)
:5日、11日、12日、18日、19日、20日、26
日(月間指導隻数26隻)
8月(9回):1日、2日、8日、9日、16日、22日、23日、
29日、30日(月間指導隻数43隻)
9月(4回):5日、6日、13日、20日(月間指導隻数6隻)
10月(1回):24日
合計 24回
1日当たりの活動時間は、待機時間を含み、約6~8時間であった。
なお、4月25日から10月24日の間の土日・祝日は、活動日数(2
4回)以外についても当番による即応待機は行った。
4
ロ
主な活動概要
6月14日 海洋少年団からの依頼による海上警備(活動実績報告ト
ピック1参照)
7月11、12日 福岡県ボート協会からの依頼による東区香椎沖の
レース会場の警備
7月18日 1400 福岡保安部からの出動要請があり、東区奈多
で3名乗船のプレジャーボートを奈多漁港まで曳航した。
8月2日 福岡保安部からの出動要請があり、次の2件に出動した。
① 1309 能古島海水浴場への水上バイクの侵入によ
る苦情、現場に急行するも、パトロール艇の点滅灯によ
り、当該水上バイクは逃走した。
② 1445 海保への 118 番通報、東区香椎イオン沖に
て、水上バイクが座礁とのこと、付近を捜索するも見当
たらず。誤報か?(最近、水上バイクを使ったキス釣りが
多い、漂泊するので、故障艇と見間違われることがある。
そのためマリーナ、販売店経由で青い四角の旗を掲げて
もらうようにしている。)
8月8日 1520 福岡保安部からの出動要請あり、西区今津の浅
所に水上バイクが乗り上げる。水上バイクを引き出し、曳航
の上、関係者に引き渡した。
8月9日 福岡県宗像市役所からの出動要請があり、宗像市釣川河口
において、福岡保安部等と合同安全パトロールを実施した。
安全指導隻数20隻、指導人数45名
8月29日 福岡市港湾局からの依頼により、東区和白干潟(動力船
の乗り入れを自主規制している海域)において、福岡保安
部等と合同安全パトロールを実施した。2隻を安全指導し
た。
9月20日 1020 福岡保安部からの出動要請あり、志賀島から
出航した水上バイクが入港予定を1時間経過しても帰港し
ないという入港遅延通報、出動準備中に当該水上バイクが
発見されたため、出動を取り止めた。
(3)活動効果
イ 安全パトロールで、定期的に海水浴場を回るが、パトロール艇が昨年
までの通常の水上バイクと異なり、外形上からもパトロール艇とわかり
5
やすくなったため、遊泳者等に誤解を与えることもなく、円滑な安全指
導が行えるようになった。
ロ
ライフスレッドは、実践では使用実績がないが、溺者を安全に収容し、
スピードも安定的に出せることから、安心できる装備と言える。また、
ライフスレッドの常時携行は、安全活動従事者にも余裕と安心感を与え
る。
ハ パトロール艇が、水上バイクが遊走している海域に行くと、遊走して
いる皆さん方が急に安全航行を始める。危険行為等の抑止効果が非常に
高いと言える。
(4)次年度の活動について
イ 21年度は導入初年度でもあり、通常活動の他、隊員によるパトロー
ル艇の習熟訓練を積極的に行った。また、CPR(心肺蘇生術)技術の
習得を行い、応急手当普及員の有資格者を5人輩出した。この資格を利
用し、一般愛好者を対象とした心肺蘇生法の講習会を開催予定である。
ロ 規制緩和により、VHF無線機の搭載が容易になった。このためパト
ロール艇にもVHF無線局を開設の予定である。無線局開設にあたり、
その運用資格(海上特殊無線技士)を22年2月までに全ての隊員が取
得する。これにより、次年度活動時に福岡保安部巡視艇や他の船舶との
連携も行いやすくなり、より安全な活動が期待できる。
ハ
22 年度の活動計画
① 4月~10月の間におけるパトロール(平日も含む)
② 一般水上バイク愛好者に対するCPR(心肺蘇生術)講習会(1~
2回)
③ 福岡海洋少年団の団員に対する安全講習会(1回)
4
実地調査
12月17日、海上安全パトロール資機材が保管されている福岡マリーナ
(保管場所を借用)を訪問し、PW安全協会福岡支部長の竹田聖也(マリン
クラブネイビー代表者)氏から保管状況等の実地調査及びヒアリングを行っ
た。
6
(1)保管及び整備状況
イ 水上バイク
パトロール艇写真①は、写真②のように水上バイク保管場所の端に並
べて保管されている。
a シーズン中も常にカバーをして保管している。毎回、当直がカバー
を外し、ライフスレッドの装着を行い海面に降ろして待機状態にする。
パトロール終了後は水洗いを行い、エンジンルームポンプケース、足
回り等に防錆のため、さび止めスプレーをしている。
b 特別にメインスイッチを付けており、毎回終了時にそのスイッチを
切っている。これはバッテリーのターミナルを外すのと同様な効果が
ある。
c シーズンオフには、週に1回はエンジン始動を行っており、その際
に、バッテリーの液量チェックも実施している。
d オイルプラグ及びオイルエレメントは、使用50時間で交換する予
定である。
①パトロール艇右側及び前部
7
②並べて保管されている。右端がパトロール艇
ロ
パトロール資機材
a トレーラー
写真③のようにパトロール艇の運搬に使用している。
③トレーラー左側
b
ランチャー
ランチャー写真④は、シーズン中、写真②のように即応待機のため
の保管、移動に使用している。
8
④ランチャー
c
ライフスレッド
ライフスレッドは、パトロール活動中は常に水上バイク後部に装着
しており、終了後は写真⑤のように工作室を兼ねた倉庫に保管してい
る。
⑤ライフスレッドは吊るされて保管
d
ライフベスト
写真⑥
9
⑥ライフベスト3着は倉庫に保管
e
青色点滅灯
写真⑦⑧
⑦前部の青色点滅灯
10
⑧右側青色点滅灯(左側にもある。)
f
拡声器及びサイレン並びにマイク
写真⑨⑩⑪
⑨前部ハッチ上のスピーカーカバーに収納
11
⑩ハッチを開けて裏側からの拡声器及びサイレン
⑪操縦席にとり出したマイク
(2)使用状況
イ 水上バイク
ヤマハMJ-VX(長さ2.71m 幅1.07m 深さ0.4 3
m 総トン数0.1トン 最大出力75KW)は、大きさ、馬力ともパ
トロール艇としては十分である。
ロ
青色点滅灯
高輝度のLED式の青色点滅灯を前部ハッチ上部に1個、前部側面左
右に各1個設置しており、青色回転灯よりも被視認性に優れている。
ハ
拡声器
拡声器は、ハッチ上の防水加工したスピーカーカバーにスリットを設
12
け、その中にサイレンと共に収納されている。昨年度富津に配備したパ
トロール艇がハッチ内に拡声器があり、音がこもって聞こえにくいのを
改良したものである。水上バイクには100m、遊泳者には50m位の
距離まで届き、使い勝手が良く重宝している。
ニ
ライフスレッド
ライフスレッドは、パトロール活動等の際にパトロール艇の後部に装
着し必ず携行している。まだ、実践での活用例がないが、携行している
だけでも余裕と安心感を持てる。
ホ
トレーラー、ランチャー及びライフベストは、特に問題等もない。
(3)納入時期について
例年、MPS福岡の活動期間は7月から9月の間であったが、進水を4
月25日に行うことができ、ゴールデンウイークからMPS福岡のパトロ
ール活動のスタートが切れた。来年度も4月から10月の活動期間を予定
している。
(4)活動成果
前述の3-(2)、(3)の活動実績及び活動効果のとおりである。例年
福岡保安部からの出動要請は、3~4件であったが、今年は、新たにMP
S福岡にパトロール艇が配備されたことにより、出動要請が2倍となって
いる。それだけ福岡保安部との信頼、協力関係が深まり、地域における海
上安全活動の促進に大きく寄与していると言える。
また、MPS福岡の活動成果による刺激を受け、同じような活動を行っ
ている他のMPS団体をはじめ、各地のPW安全協会支部等でもパトロー
ル艇受け入れのための安全パトロール態勢の拡充に努めるところも出てき
ており、波及効果も含め大きな成果が上がっていると考えている。
(5)今後の検討課題
イ MPS福岡の隊員増について
現在、隊員は33名である。今後の活動展開を考えると、増員を念頭
においている。ただ、誰でもというわけにはいかない(用もないのにサ
イレンを鳴らされても困る)。隊員の確保に頭を悩ませている。
ロ
活動期間及び週日待機
13
来年、竹田氏の事務所を福岡マリーナへ移設予定である。そうなれば、
前述したように活動期間を4月~10月にし、即応待機も土日、祝日か
ら、週日待機にできないか検討している。
ハ
活動経費及び運営
MPS福岡の安全パトロール活動では、昨年までパトロール艇は個人
所有艇を使用していたため、活動のための燃料費はPW安全協会が負担
し、メンテナンスは個人負担で行っていた。それがパトロール艇の配備
により、メンテナンスもPW安全協会の方で負担してもらえるようにな
り、助かっている。
しかし、陸上の消防では、
「機能消防団」という組織が正式に認められ
ており、活動すれば、必要経費が支払われる運営体制が敷かれている。
将来的な構想ではあるが、MPS活動の拡充を図り、そのような夢を目
指していきたいと考えている。
(6)MPS業務日報
写真①②のようにパトロール活動終了後、当番使用者は、月日、記入者
氏名、活動報告、パトロール艇連絡事項(運転時間)、引継ぎ事項等の業務
日報を記載している。
①5月4日の日報
14
②7月18日の日報
(7)安全パトロール艇指定書
第七管区海上保安本部長から安全パトロール艇指定書の交付を写真③の
ように受けている。
(管区本部長は、小型船舶(水上バイクを含む)が海上
安全指導員の行う安全パトロール活動を適正かつ確実に行うことができる
と認めた時は、小型船舶の所有者の申請により安全パトロール艇に指定す
る。)
③第七管区海上保安本部長からの安全パトロール艇指定書
15
5 所見
(1)安全パトロール活動状況
イ MPS福岡の竹田氏は、平成17年7月、仲間と共に、MPS福岡を
立ち上げ、そのリーダーとして既に活動実績もあげている。今回の安全
パトロール資機材の配備は、MPS福岡という安全パトロール態勢の整
ったところへの供与のため、前述の活動実績及び効果のとおり、供与し
たパトロール艇が、水を得た魚のごとく活用され、活動体制の拡充と成
果に大きく貢献したものと考えられる。
ロ
今年の MPS 福岡の安全パトロール活動では、直接、海難救助実績に
つながるものはなかったものの、過去には平成18年7月、志賀島の岩
場に孤立した家族3名の救助実績があり、今年は福岡保安部から6回も
出動要請を受けている。MPS福岡は、福岡保安部との連携・協力を円
滑に行い、民間ボランティア団体として海保等の補完的な役割を十分に
果たすだけでなく、その自主的な活動実績は他の範となり地域の海上安
全に大きく寄与している。その成果は十分に評価されるべきと考えられ
る。
ハ 平成17年の福岡西方沖地震の際には、防波堤等に出かけて帰って来
ないという家族等の安否を気づかう電話が保安部に殺到したという。小
回りの効く水上バイクによる安全パトロールは、地震後の港湾状況調査、
防災面からも活動の余地が十分あると考え、地元で行われる防災訓練等
にも積極的に参画しており、そのようなMPS福岡の新たな活動は、今
後への大きな飛躍が期待されると共に、地域の役に立ちたいという地域
貢献の意欲も感じられた。
(2)実地調査
イ 安全パトロール資機材の整備、保管状況は良好であり、管理者として
の意識の高さが窺えた。
ロ パトロール艇へのメインスイッチ及びハッチ上の波除スリット付のス
ピーカーカバーの設置等の改良並びに竹田氏の語り口からは、創意・工
夫に富むだけでなく、高い技量とMPS福岡のリーダーとしての自負や
地域の海上安全活動等への熱い思いが感じられた。
16
6 参考資料
(1)マリンパトロールステーション(MPS)福岡規約
マリンパトロールステーション福岡
(名
規約
称)
第1条
本会は「マリンパトロールステーション福岡」と称する。
(目
的)
第2条
本会は博多湾沿岸において、水辺での巡回監視・救助活動等を通じて水難事故
の防止に関する事業と水上オートバイやプレジャーボート等に対する安全指導
や水難救助技術の基礎知識の普及啓発に関する事業を行うボランティア団体と
して設置し、マリンレジャーの普及発展と地域社会全体の利益の増進に寄与す
ることを目的とする。
(事
第3条
(事
務
所)
本会は事務所を福岡市城南区樋井川1丁目1-1に置く。
業)
第4条
本会の目的を達成するために、次の事業を行う。
(1)
博多湾沿岸におけるマリンレジャーの安全対策及び環境保全のための指導。
(2)
海難防止のための巡回及び監視。
(3)
マリンレジャーに関する安全講習会・研修会等の実施。
(4)
水上オートバイ・プレジャーボートの操縦技術向上のための講習会の実施。
(5)
その他、本会の目的を達成するための諸事業。
(会
第5条
(1)
員)
本会の会員は、正会員・賛助会員とする。
正会員は本会の趣旨に賛同し本会事業にボランティアとして積極的に参加
する者
(2)
2
賛助会員は、本会の趣旨に賛同し、本会を支援する企業及び団体。
本会に入会しようとする者は、入会申込書により申し込みを、また脱会しよう
とする者はその理由を付して脱会届を会長に提出しなければならない。
(除
名)
17
第6条
会員が、次の事項に該当するに至った場合は理事会の議決において除名するこ
とができる。
(1)
本会の名誉を傷つけ、または本会の秩序を著しく乱したとき。
(2)
会員として、不適当と認められる行為があったとき。
(役
第7条
員)
本会に次の役員を置く。
会
長
1名
副会長
2名
理
事
若干名
監
事
1名
(役員の選出・任期)
第8条
会長以下、役員の選出は総会において会員の中から選出する。役員の任期は、
2年とする。ただし再任を妨げない。
(役員の職務)
第9条
会長は、本会の会務を総理する。
2
副会長は、会長を補佐し会長に事故あるときはその職務を代行する。
3
理事は、理事会を組織し会務執行の責に任ずる。
4
監事は、本会の活動及び出納管理の状況を監査する。
(役員の解任)
第10条
役員が次の各号に該当するときは、総会の決議(3分の2以上)をもって解任
することができる。
(1) 心身の故障のため、職務の執行に堪えられないと認められるとき。
(2) 職務上の業務違反、その他役員たるに相応しくない行為があると認められたと
き。
(総
第11条
会)
総会は本会の最高意思決定機関であって、正会員をもって構成する。
2
総会は、通常総会及び臨時総会とする。
3
通常総会は、年1回会長が招集する。
4
臨時総会は、必要に応じ会長が召集する。
5
総会は、会員の2分の1以上の出席により成立し、会長が議長となる。
6
総会の議決は、出席会員の過半数をもって決し、可否同数の時は議長の決する
18
ところによる。
(理
事
会)
第12条
理事会は、会長、副会長、理事を持って構成する。
2
理事会は会長が必要と認めたとき及び過半数の理事より請求があったとき、
会長が召集する。
3
理事会の成立及び議決については、第11条の規定を準用する。
(運営資金)
第13条
本会の運営資金については、入会金、会費、寄付金、助成金及び雑収入をも
って充てる。
(会
費)
第14条
本会の会員は、次に定める入会金及び会費を納入しなければならない。
(1)
入会金
0 円(入会時)
(2)
会
0 円(年
2
納入した入会金及び会費は返還しない。
(決
費
額)
算)
第15条
本会の決算は、監事の決算を受けた後、理事会の審議を経て承認を受けなけ
ればならない。
2
監事は、理事会において監査の結果を報告しなければならない。
(事業年度)
第16条
(解
本会の事業年度は、毎年4月1日に始まり、翌年3月31日に終わる。
散)
第17条
本会は総会の議決により解散する。
2
本会が解散したときは、会長、副会長が精算人となる。
3
本会が解散したときの残余財産の処分は、総会の議決を経なければならない。
附
則
この規則は平成
17
年
7月
3 日より実施する。
19
(2)平成21年度安全パトロール艇活動報告
平成21年度 安全パトロール艇活動報告
(マリンパトロールステーション福岡)
20
平成21年12月8日
九州地方本部福岡支部
特定非営利活動法人
パーソナルウォータークラフト安全協会
安全パトロール艇 活動報告(平成21年度)
●MPS福岡開所式および安全パトロール艇就役式 平成21年4月25日(土)
出席者:福岡海上保安部・福岡県臨港警察署・福岡地区小安協・PWSA九州地方本部・MPS福岡
<開所式風景>
21
福岡保安部次長訓示
臨港署船舶警ら係長挨拶
安全パトロール艇指定書交付
参加者集合写真
就役した安全パトロール艇
安全パトロール艇 活動報告(平成21年度)
●MPS福岡開所式および安全パトロール艇就役式 平成21年4月25日(土)
開所式終了後、パトロール艇を使用して展示訓練を実施し、取材に来た地元マスコミ各社に公開した。
22
想定溺者収容訓練
想定溺者搬送訓練
巡視艇との連携訓練
●翌日、地元新聞朝刊
に掲載された記事。
その他テレビでも報道
された。
4月26日朝日新聞朝刊
4月26日読売新聞朝刊
安全パトロール艇 活動報告(平成21年度)
●安全パトロール活動
平成21年度のMPS福岡の安全パトロール活動は以下の通り
(海上パトロールのほか、水上オートバイを海岸に待機させて行った海岸パトロールを含む)
5月(2回): 4日、5日
23
6月(1回): 14日
7月(7回): 5日、11日、12日、18日、19日、20日、26日(月間指導隻数26隻)
8月(9回): 1日、2日、8日、9日、16日、22日、23日、29日、30日(月間指導隻数43隻)
9月(4回): 5日、6日、13日、20日(月間指導隻数6隻)
10月(1回): 24日
合計24回 (1日当たりのパトロール時間(待機時間を含む)は、約6~8時間)
※ 8月前半までは、通常福岡マリーナ内での待機であったが、水難事故の急増を受け
8月後半より、事故多発水域付近での前進配備とした。
●通常待機場所ならびに前進配備水域図
24
通常は福岡市東区大岳にある福岡マリーナを待機拠点とし、博多湾内一帯を活動水域としているが、
本年は海難事故の急増を受け、8月半ばより事故多発海域である福岡市東区志賀島勝馬海岸沖に
パトロール艇を前進配備した。
前進配備以降、海難事故の発生は見られなかった。これはパトロール艇の姿を見せることにより、
プレジャーボート及び遊泳者の気持ちを引き締めさせるなどの抑止効果ではないかと考える。
安全パトロール艇 活動報告(平成21年度)
●トピックス1
6月14日 日本海洋少年団 福岡地区大会において海上警備を実施した。
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当日は、大会途中より風波が高まり、風に流されるカヌーや転覆するカヌーが続出したが、安全パトロール艇2艇
による迅速なレスキューで、無事に大会が終了した。
安全パトロール艇 活動報告(平成21年度)
●トピックス2
10月24日、福岡海上保安部が主催した、一般市民を対象とした巡視船体験航海の際、水上オートバイを使用した
溺者救助訓練を実施した。
その後、福岡海上保安部の展示訓練にも参加し、巡視船「ちくぜん」に対して登舷礼を行った。
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溺者救助訓練
福岡保安部長の視閲を受けるパトロール艇
訓練終了後のフェアウェル風景
(後方は保安部ヘリコプター)
安全パトロール艇 活動報告(平成21年度)
●安全パトロール体制
◆MPS福岡構成メンバー
・PWSA福岡支部所属 13名(七管指定海上安全指導員11名、主任海上安全指導員1名)
・福岡ライフセービングクラブ所属 ライフセーバー 20名
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・通常、海上安全指導員1名とライフセーバー1名の計2名で当直にあたる。
迷惑事案や安全指導の際には海上安全指導員のみで対応し、救難出動の
際には、ライフセーバーと海上安全指導員の2名体制で対応にあたる。
・待機場所(福岡マリーナ)において当直員は即応待機としているが、
訓練等を行う場合は、福岡保安部との連絡員を配置の上対処している。
・安全指導に出動の際は、ライフセーバーを連絡員として待機させ、前進配備を
行う際には、2名体制で出動し後部乗船のライフセーバーが福岡保安部との
連絡係となる。
安全パトロール艇 活動報告(平成21年度)
●今年度安全パトロールを導入してからの所感
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・MPS福岡は、今までの活動により地元愛好者たちの間で一定の認知をされていたが、今回のパト
ロール艇の導入により、いっそうの認知が深まったように感じる。
・明らかに市販のものとは仕様が異なるパトロール艇であるため、一般市民にもその目的が理解され
やすいようである。そのため動力船乗り入れ規制水域内での活動の際にも他に誤解を与えることが無
いように思われる。
・同じ理由から福岡保安部でも、出動要請を行い易くなったと聞いている。そのためMPS活動に対する
福岡保安部の期待も高まっている。
●導入したパトロール艇の仕様についての所感
・今回導入のパトロール艇は、PWSAでは2号艇であるが、先に就役した1号艇の課題をある程度改
良した。
青色点滅燈は視認性もよく、また拡声器もスピーカーを船内から船外へと取り付け位置を変更すると
ともに、防水性も向上させた。そのため拡声器使用時に音声の音量、明瞭度も高く安全指導時に有
効に使用できる。
・レスキュー活動に特化した仕様のため、MPS隊員が安全に活動が行うことができる。また、ライフス
レッドの装備により、要救助者の搬送も容易であり今後の活動に大きな期待が持てる。
安全パトロール艇 活動報告(平成21年度)
●22年度のパトロール艇の活動について
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今後の展開について
・21年度は導入初年度でもあり、通常活動のほか、隊員によるパトロール艇の習熟訓練を積極的に
行った。また、CPR(心肺蘇生術)技術の習得を行い、応急手当普及員の有資格者を5人輩出した。
この資格を利用し、一般愛好者を対象とした心肺蘇生法の講習会を開催予定である。(時期未定)
・規制緩和により、VHF無線機の搭載が容易になった。このためパトロール艇にVHF無線局を開設の
予定である。無線局開設にあたり、その運用資格(海上特殊無線技師)を22年2月までにすべての隊
員が取得する。これにより、活動時に保安部巡視艇や他の船舶との連携も行いやすくなり、より安全
な活動が期待できる。
22年度の活動計画については(現段階では活動案)
・4月~10月の間におけるパトロール(平日も含む)
・一般PWC愛好者に対するCPR(心肺蘇生術)講習会(1~2回)
・福岡海洋少年団の団員に対する安全講習会(1回)
社団法人
日本海難防止協会
東京都港区虎ノ門一丁目 15 番 16 号
〒105-0001
海洋船舶ビル
TEL 03(3502)2231
FAX 03(3581)6136
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