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COLUMN - ミルクホール

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COLUMN - ミルクホール
143 th
Trap
あ∼、いやだ! やんなちゃった!
もう∼、がまんならない! 旅に出るんだ。こんなところ、
今すぐ出て行ってやる。なんてこった、もう、うんざりだ。
ゴメンだ。どこか、遠∼いところに旅に出るんだ。
自由になってのびのび暮らすんだ。俺様は自由なんだ。
そうだな、道がどこまでも続いているところだ。しかし、
どこまでもと言ったって、まっすぐじゃあだめだ。適当に
曲がりくねってて、上に行ったり、下に行ったり、時々
少し広いところもなくっちゃな。ひと休みできるような場
所もあって、時々水たまりもあると、けっこうだね。
あんまり大きな池みたいなのは、だめだ。おぼれちゃ話
にならない。それから、途中ちょっとした小道もあって、
人んちの裏口に通じてたら、なおけっこう。
どうせおいらは身軽な身の上さ。身内は皆猫に食われち
まって、今じゃたった一匹、孤独なもんだ。チェッ、あん
な所に、ネズミ捕りなんか仕掛けやがって、これ見よがし
に、チーズなんかぶら下げて。匂いだけでも嗅がせても
らおうと鼻でもつっこもうものなら、ガッシャン! 一巻の
終わりってこった。しかし、ワナならいいよ、知恵と腹ペコ
のガマン比べだ。何も猫いらず撒くことはないだろう。お
いらの通り道に。この家には猫が二匹もいるじゃないか!
それなのに、猫いらずとは、どういう訳だ。おいらがそん
なに迷惑かけたかい? 結構遠慮して暮らししてるつもり
なんだ。それが、なんだい、猫たちには、猫なで声で好
きなようにさせて、あいつらにはおいら一族ひどい目に
遭わされてきたんだ。それが、最近猫どもがごちそうで
贅沢しきってネズミを追い回すのに飽きたからって、
猫いらずたぁ、なんだ!! 正々堂々と勝負しろい!
ひどいじゃねえか。あんまりだ。 あれ? あれはなんだ? 美味そうなケーキだぞ。
おいら、甘いものに目がない・・
おっと、危ない、危ない。
腹減ったなぁ・・・ さてと、
ワナに掛かる前に行くとするかな。
まったく、独りぼっちはわびしいぜ。
相棒でも探しに出掛けるか・・・
COLUMN
鎌倉の猫事情 第七十五話 その晩は、何日も降り続いた雨が降りやまず、まだザアザア降っていました。
そんな日は、猫たちはたいていは家の中の一番居心地の良い場所を占領して、
退屈そうに人間どものやることを――-大抵は何かしら用があって働いているので
すけどね―-―少し静かにしてくれと言わんばかりに、うるさそうに横目で眺め、時
間つぶしに毛づくろいをし、地球上で一番優雅な存在として眠り続けています。
優雅な猫たちにとって退屈な雨の一日は終わり、夜になると、夜は夜の寝場所が猫それぞれに決まっており、それぞれ
が、それぞれの準備にとりかかっていました。グーニーにとって夜一番重要なことは、同居人である人間たちの帰宅を確
認することです。人間たちが帰ってくるまでは、窓の外を通り過ぎる車の音や、隣の戸が閉まる音、外の通りの砂利を踏
む音などにいちいち反応しなければならず、ゆっくり休むこともままならないのです。こちらにしてみれば、どうせ一日寝
ていたのだから、別に夜だからといって、家人を待って起きている必要もないだろうと思うのですが、そうは行かないよう
です。家人が戻らないと、ずっと耳を済ませて待っているのです。ですから何か用があって幾日か家を空けると、寝不足
になり、大変機嫌が悪いのです。一度旅行か何かで10日ばかり留守をして帰ってくると、どうしてその日その時間に帰っ
て来ることがわかったのか、帰り道の途中まで来て待っていたことがありますが、私の顔を見ると怒りがこみあげたらしく、
トランクを引きずる足元に突進して来て体当たりをし、そしてそのままどこかへ行ってしまい、結局翌朝、やさぐれた顔をし
て戻ってきたのです。さて、その晩は何事もなく終わりそうでした。私も猫たちもそれぞれ寝る準備を整えていました。さあ
寝ようとした時、グーニーがビクンとしたように、窓の外に目をやりました。すると、スィーピーも心配そうに窓の方を見てい
ます。私も嫌な予感がして窓の方に目をやりました。グーニーは、頭を低くしてウゥウゥゥ∼と唸っています。私はとっさに
「! グーニー! やめっ!」と、叫びながら窓を閉めようと飛び出しました。そして一瞬表に目をやると、信じられない
ものが目に入りました。確かに、あのグーニーの宿敵、茶トラです。前に私の留守に我が家に侵入し、病身のグーニーに
大怪我を負わせ半殺しの目に遭わせたあの茶トラです。もう1年以上姿を見ませんでしたから、いなくなったものと思って
いたのです。その茶トラがザアザア降る雨の中ずぶ濡れになって、窓の下のトタン屋根の上にいたのです。見る影もな
いほど落ちぶれた姿で。大きな丸い顔はどことなく四角くなり、毛は何日も雨の中にいたように根元までずぶ濡れで、丸
々としていた体つきはやつれてごつごつしているのです。それよりも一番驚いたのは、私の顔を振り返りながら逃げて行
くその首に引きちぎったような長い紐がついているのです。1m以上もある赤い紐はぐっしょり濡れて、その重そうな紐を
引きずりながら茶トラはヨタヨタと逃げて行きます。「グーーーニーーー!!!」と、呼ぶ声も虚しく、その後を追い掛ける
グーニーの後ろ姿が雨の中へ消えていきました。それにしてもあの茶トラが、いったいどうしてあんな姿になって・・・
どんな事情があるの?・・・ 敵ながら、なんとも哀れで、気になって仕方ありません・・・
――――to be continued
Jly. 2008 Milk Hall Times 143 th printed by Milk Hall co.ld.
LIVE
ミルクホールのBAR TIMEを ライブでお楽しみ下さい。
7/19
by HALF MOON
Sat.
19:30~
琢磨 仁
琢磨 啓子
HALF MOONは
MOONは 愛と平和を歌います。
ライブチャージは頂いておりません。お気軽に・・・
Bar Time
鎌倉の夜はミルクホールで
DINNERとお酒のひと時を ・・・
DINNER SET
オードブル サラダ
オードブル DINNER
TIME
メイン メイン
ディッシュ
PM 5:30 -- PM8:00
パン or ライス
デザート
デザート
set ¥2200∼
コーヒー or 紅茶
¥2500
Informat ion
ミルクホールタイムス 定期購読募集
ミルクホールタイムスは、毎月25日の定期刊行致しております。
定期購読ご希望のお客様には、毎月25日に発送致します。メール、
FAX、お葉書などでお申し込みを。 年間定期購読料 ¥1500
「鎌倉ミルクホールタイムス」
HISTORY
KAMAKURA
ミルクホールタイムス総集編
場所の記憶 №25
№26
ミルクホールタイムス創刊号から100号までを編集した、ミルクホ
ールタイムス総集編。現在連載中の「鎌倉の猫事情」、初回から
前編終りまで掲載しています。 ¥1800
ミルクホールのルーツ №12
№
住み慣れた家の、見慣れた風景の、その中の小さな一つのものが、ある日突然、特別な
意味を持ち始め、その存在が何か非常に重要なものに思われてくることがあります。
今まで、何の主張もなくただそこに在ったもの。それが、色々な沢山の人生がてんで勝手に
絡み合う家の中で、その絡み合う結び目にみたいになものだったことに気づくのです。
やはり一つの奇縁によって長年この家に住み着いた私にとって、その十字架は結び目の
ように思われました。家ほど奇縁が重なり合っている場所が他にあるでしょうか。誰にとっても
家とはそういうものなのでしょう。その特別なもの。それを見つけた時からこの謎解きが始まり
ました。決して、永久に解けることはないでしょう。それでもその結び目が少し解け始めると、
その中の一本の糸が繋がっている先に、それまで知らなかった景色が見え始めるのです。
その十字架のもともとの持ち主は、若く美しい一人の女性でした。この人の生涯は私にとっ
ては謎めいています。分かっている事は、先代の最初の妻であり、戦争中共に渡った中国
で命を落とした薄幸の女性ということだけです。終戦後先代はこの十字架を、二度目の妻と共
に連れ帰りました。若い頃からクリスチャンだったその女性は、磯見の親戚の人達にも大きな
影響を与えたそうです。この人の影響でカトリックに入った人が磯見の家には何人もいます。
そのせいか、60年以上経った今になっても、この人の思い出話を聞くことがあります。
この稀有な女性が、どのような人生を送ったのかは分かりませんが、その人の人生の重要な
断片が、今もこの家に残されているのです。謎は解けなくても、壁に掛かった十字架を見て
いると、先代と若妻が中国の町を並んで歩いている風景が、目に浮かんでくるようです。
十字架は、この家の記憶を辿る小窓です。 ほんの少し開き始めたばかりの・・・・ 次号に続く
Milk Hall Now
骨董・ガラクタ市
伊万里・古陶磁
和洋家具
古民芸
アンティーク ミルクホールの蚤の市!
日本の木の香りを大切にしたい ミルクホールの蚤の市
明治・大正時代に日本で作られた和洋家具
温かい光を作るランプシェードやガラス
明治の銅版・大正の色絵、伊万里に古伊万里
古布
伊万里・古伊万里
懐かしいもの、掘り出し物で一杯です
古着・着物
ガラス器・骨董・アンティーク
全品20 50%引き 全品30%引き
ANTIQUE S
7/12Sat. 13Sun.
7月第2土日曜日 ミルクホールにて 朝10時より 夕方6時まで 新入荷情報
和洋家具 ★★大正小箪笥各種 ¥24000∼
★★大正ガラス水屋二段 特価 ¥78000
和の小もの
アンティーク
’
50s油絵女性像4種入荷
★★明治・大正色ガラス新入荷
★★★額入り鏡・ハート型額鏡各種
★★真鍮マグカップ
★★昭和初期ガラス瓶各種
★★大正時代ガラス鉢・ガラス皿
★★鉄製ディスプレイ用小物台
★レプリカシェード
古民芸 大正輪島塗膳各種入荷
★★輪島塗蒔絵花台
★★アフガン石仏 ★★中国鉄製獅子香炉
★★漢時代古瓦
★★北斉仏頭
★銭函・箱類
★李朝盆 ★鉄道具類
★★灯篭台 天燈器
半衿・帯揚げ
★ ミルクホールオリジナル半幅帯 新入荷! くるみボタン
かんざし
和の小もの
ミルクホールオリジナル 大正・昭和初期時代の絹の着物の布地を
素材に使った和の小もの色々です
★★明治初期の衝立
★★大正京箪笥 三段
★★昭和初期ガラス入り本箱各種
★昭和初期鏡台 ★★大正飾り棚
★文机・ちゃぶ台 ★昭和30年代本立て各種
大特価 昭和初期時計屋用デスク ¥9800
大特価 昭和初期デスク・テーブル ¥8000∼
大特価 ガラスケース各種 ¥5000∼
ミルクホールでは、日本の昔のものを中心に、
和洋家具、アンティーク、着物、古民芸など揃えています。
伊万里や、古代の発掘品など、骨董好き必見の品も有り、
使える値段の骨董を是非毎日使って見て下さい。
つくり帯
帯・つくり帯
★★大正・昭和初期名古屋帯 ★半幅各種
古布
半衿・帯揚げ
ミルクホールオリジナルの半衿です
昔の着物を解いて作っています。
★★各種半衿・夏物入荷 半衿 ¥800より 帯揚げ ¥800より
★長尺ものから 端切れまで アンティーク古着
★★大正時代着物色々
夏物単衣・木綿絣・ゆかたなど
袷着物 紬・銘仙など
新作情報
ささめや ゆきのミルクホール挿絵入り
オリジナルグラス 強化ガラスで新発売。
古陶磁 伊万里・古伊万里・
明治べろ藍・ 大正色絵等々
銅版小皿各種入荷 ¥300∼
★★大正色絵小皿・みみずく絵角皿
★★★明治吹き墨小皿
★★★明治なずな小鉢
★★古伊万里豆皿・なます
★★伊万里輪茶碗・唐草向付各種
★明治錦絵小皿・お重
★明治瀬戸石皿・鉢
★新羅高杯・★桃山筆洗発掘
★唐津発掘陶片 fax 24-9537
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