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インタビューフォーム
2016年9月改訂(第4版)
日本標準商品分類番号
87625
医薬品インタビューフォーム
日本病院薬剤師会のIF記載要領(2013年)に準拠して作成
抗ウイルス化学療法剤
剤
形
製 剤 の 規 制 区 分
フィルムコーティング錠
劇薬
処方箋医薬品注) 注)注意-医師等の処方箋により使用すること
1錠中
規
一
格
・
般
含
量
オムビタスビル水和物13.6mg(オムビタスビルとして12.5mg)
パリタプレビル水和物78.5mg(パリタプレビルとして75mg)
リトナビル50mg
名
和名:オムビタスビル水和物[JAN],パリタプレビル水和物[JAN],
リトナビル[JAN]
洋名:Ombitasvir Hydrate[JAN],Paritaprevir Hydrate[JAN],
Ritonavir[JAN,INN]
製造販売承認年月日
薬 価 基 準 収 載 ・
発 売 年 月 日
製造販売承認年月日:2015年 9月28日
薬価基準収載年月日:2015年11月26日
発 売 年 月 日:2015年11月26日
開発・製造販売(輸入)・
提 携 ・ 販 売会 社名
製造販売元:
医薬情報担当者の連絡先
問 い 合 わ せ 窓 口
アッヴィ合同会社 くすり相談室
〒108-6302 東京都港区三田3-5-27
フリーダイヤル 0120-587-874
医療関係者向けホームページ http://www.abbvie.co.jp/
本IFは2016年9月改訂(第6版)の添付文書の記載に基づき改訂した.
最新の添付文書情報は,PMDAホームページ「医薬品に関する情報」
http://www.pmda.go.jp/safety/info-services/drugs/0001.html にてご確認ください.
IF 利用の手引きの概要
―日本病院薬剤師会―
1.医薬品インタビューフォーム作成の経緯
医療用医薬品の基本的な要約情報として医療用医薬品添付文書(以下,添付文書と略す)がある.医療現場
で医師・薬剤師等の医療従事者が日常業務に必要な医薬品の適正使用情報を活用する際には,添付文書に記
載された情報を裏付ける更に詳細な情報が必要な場合がある.
医療現場では,当該医薬品について製薬企業の医薬情報担当者等に情報の追加請求や質疑をして情報を補完
して対処してきている.この際に必要な情報を網羅的に入手するための情報リストとしてインタビュー
フォームが誕生した.
昭和 63 年に日本病院薬剤師会(以下,日病薬と略す)学術第 2 小委員会が「医薬品インタビューフォーム」
(以下,IF と略す)の位置付け並びに IF 記載様式を策定した.その後,医療従事者向け並びに患者向け医
薬品情報ニーズの変化を受けて,平成 10 年 9 月に日病薬学術第 3 小委員会において IF 記載要領の改訂が行
われた.
更に 10 年が経過し,医薬品情報の創り手である製薬企業,使い手である医療現場の薬剤師,双方にとって
薬事・医療環境は大きく変化したことを受けて,平成 20 年 9 月に日病薬医薬情報委員会において IF 記載要
領 2008 が策定された.
IF 記載要領 2008 では,IF を紙媒体の冊子として提供する方式から,PDF 等の電磁的データとして提供する
こと(e-IF)が原則となった.この変更にあわせて,添付文書において「効能・効果の追加」,「警告・禁
忌・重要な基本的注意の改訂」などの改訂があった場合に,改訂の根拠データを追加した最新版の e-IF が提
供されることとなった.
最新版の e-IF は,(独)医薬品医療機器総合機構の医薬品情報提供ホームページ(http://www.pmda.info.go.jp/)
から一括して入手可能となっている.日本病院薬剤師会では,e-IF を掲載する医薬品情報提供ホームページ
が公的サイトであることに配慮して,薬価基準収載にあわせて e-IF の情報を検討する組織を設置して,個々
の IF が添付文書を補完する適正使用情報として適切か審査・検討することとした.
2008 年より年 4 回のインタビューフォーム検討会を開催した中で指摘してきた事項を再評価し,製薬企業に
とっても,医師・薬剤師等にとっても,効率の良い情報源とすることを考えた.そこで今般,IF 記載要領の一
部改訂を行い IF 記載要領 2013 として公表する運びとなった.
2.IF とは
IF は「添付文書等の情報を補完し,薬剤師等の医療従事者にとって日常業務に必要な,医薬品の品質管理のた
めの情報,処方設計のための情報,調剤のための情報,医薬品の適正使用のための情報,薬学的な患者ケアの
ための情報等が集約された総合的な個別の医薬品解説書として,日病薬が記載要領を策定し,薬剤師等のため
に当該医薬品の製薬企業に作成及び提供を依頼している学術資料」と位置付けられる.
ただし,薬事法・製薬企業機密等に関わるもの,製薬企業の製剤努力を無効にするもの及び薬剤師自らが評
価・判断・提供すべき事項等は IF の記載事項とはならない.言い換えると,製薬企業から提供された IF は,
薬剤師自らが評価・判断・臨床適応するとともに,必要な補完をするものという認識を持つことを前提とし
ている.
[IF の様式]
①規格は A4 版,横書きとし,原則として 9 ポイント以上の字体(図表は除く)で記載し,一色刷りとする.
ただし,添付文書で赤枠・赤字を用いた場合には,電子媒体ではこれに従うものとする.
②IF 記載要領に基づき作成し,各項目名はゴシック体で記載する.
③表紙の記載は統一し,表紙に続けて日病薬作成の「IF 利用の手引きの概要」の全文を記載するものとし,
2 頁にまとめる.
[IF の作成]
①IF は原則として製剤の投与経路別(内用剤,注射剤,外用剤)に作成される.
②IF に記載する項目及び配列は日病薬が策定した IF 記載要領に準拠する.
③添付文書の内容を補完するとの IF の主旨に沿って必要な情報が記載される.
④製薬企業の機密等に関するもの,製薬企業の製剤努力を無効にするもの及び薬剤師をはじめ医療従事者自
らが評価・判断・提供すべき事項については記載されない.
⑤「医薬品インタビューフォーム記載要領 2013」(以下,「IF 記載要領 2013」と略す)により作成された
IF は,電子媒体での提供を基本とし,必要に応じて薬剤師が電子媒体(PDF)から印刷して使用する.企
業での製本は必須ではない.
[IF の発行]
①「IF 記載要領 2013」は,平成 25 年 10 月以降に承認された新医薬品から適用となる.
②上記以外の医薬品については,「IF 記載要領 2013」による作成・提供は強制されるものではない.
③使用上の注意の改訂,再審査結果又は再評価結果(臨床再評価)が公表された時点並びに適応症の拡大等
がなされ,記載すべき内容が大きく変わった場合には IF が改訂される.
3.IF の利用にあたって
「IF 記載要領 2013」においては,PDF ファイルによる電子媒体での提供を基本としている.情報を利用す
る薬剤師は,電子媒体から印刷して利用することが原則である.
電子媒体の IF については,医薬品医療機器総合機構の医薬品医療機器情報提供ホームページに掲載場所が
設定されている.
製薬企業は「医薬品インタビューフォーム作成の手引き」に従って作成・提供するが,IF の原点を踏まえ,
医療現場に不足している情報や IF 作成時に記載し難い情報等については製薬企業の MR 等へのインタ
ビューにより薬剤師等自らが内容を充実させ,IF の利用性を高める必要がある.また,随時改訂される使用
上の注意等に関する事項に関しては,IF が改訂されるまでの間は,当該医薬品の製薬企業が提供する添付文
書やお知らせ文書等,あるいは医薬品医療機器情報配信サービス等により薬剤師等自らが整備するととも
に,IF の使用にあたっては,最新の添付文書を医薬品医療機器情報提供ホームページで確認する.
なお,適正使用や安全性の確保の点から記載されている「臨床成績」や「主な外国での発売状況」に関する
項目等は承認事項に関わることがあり,その取扱いには十分留意すべきである.
4.利用に際しての留意点
IF を薬剤師等の日常業務において欠かすことができない医薬品情報源として活用して頂きたい.しかし,薬
事法や医療用医薬品プロモーションコード等による規制により,製薬企業が医薬品情報として提供できる範
囲には自ずと限界がある.IF は日病薬の記載要領を受けて,当該医薬品の製薬企業が作成・提供するもので
あることから,記載・表現には制約を受けざるを得ないことを認識しておかなければならない.
また製薬企業は,IF があくまでも添付文書を補完する情報資材であり,インターネットでの公開等も踏まえ,
薬事法上の広告規制に抵触しないよう留意し作成されていることを理解して情報を活用する必要がある.
(2013 年 4 月改訂)
目 次
Ⅰ.概要に関する項目 ······················ 1
Ⅷ.安全性(使用上の注意等)に関する項目 ··53
1.開発の経緯 ······························ 1
2.製品の治療学的・製剤学的特性 ············ 1
1.警告内容とその理由 ······················ 53
2.禁忌内容とその理由(原則禁忌を含む) ···· 53
3.効能又は効果に関連する使用上の注意と
その理由 ································ 54
4.用法及び用量に関連する使用上の注意と
その理由 ································ 54
5.慎重投与内容とその理由 ·················· 54
6.重要な基本的注意とその理由及び処置方法 ·· 54
7.相互作用 ································ 55
8.副作用 ·································· 66
9.高齢者への投与 ·························· 74
10.妊婦,産婦,授乳婦等への投与 ············ 75
11.小児等への投与 ·························· 75
12.臨床検査結果に及ぼす影響 ················ 75
13.過量投与 ································ 75
14.適用上の注意 ···························· 76
15.その他の注意 ···························· 76
16.その他 ·································· 76
Ⅱ.名称に関する項目 ······················ 2
1.販売名 ··································
2.一般名 ··································
3.構造式又は示性式 ························
4.分子式及び分子量 ························
5.化学名(命名法) ························
6.慣用名,別名,略号,記号番号 ············
7.CAS登録番号 ·····························
2
2
2
3
3
4
4
Ⅲ.有効成分に関する項目 ·················· 5
1.物理化学的性質 ··························
2.有効成分の各種条件下における安定性 ······
3.有効成分の確認試験法 ····················
4.有効成分の定量法 ························
5
7
9
9
Ⅳ.製剤に関する項目 ······················10
1.剤形 ····································10
2.製剤の組成 ······························10
3.懸濁剤,乳剤の分散性に対する注意 ········10
4.製剤の各種条件下における安定性 ··········11
5.調製法及び溶解後の安定性 ················11
6.他剤との配合変化(物理化学的変化) ······11
7.溶出性 ··································11
8.生物学的試験法 ··························11
9.製剤中の有効成分の確認試験法 ············11
10.製剤中の有効成分の定量法 ················11
11.力価 ····································11
12.混入する可能性のある夾雑物 ··············11
13.注意が必要な容器・外観が特殊な容器に
関する情報 ······························11
14.その他 ··································11
Ⅴ.治療に関する項目 ······················12
1.効能又は効果 ····························12
2.用法及び用量 ····························13
3.臨床成績 ································14
Ⅵ.薬効薬理に関する項目 ··················33
1.薬理学的に関連ある化合物又は化合物群 ····33
2.薬理作用 ································33
Ⅶ.薬物動態に関する項目 ··················38
1.血中濃度の推移・測定法 ··················38
2.薬物速度論的パラメータ ··················46
3.吸収 ····································47
4.分布 ····································48
5.代謝 ····································49
6.排泄 ····································51
7.トランスポーターに関する情報 ············52
8.透析等による除去率 ······················52
Ⅸ.非臨床試験に関する項目 ················77
1.薬理試験 ································ 77
2.毒性試験 ································ 79
Ⅹ.管理的事項に関する項目 ················81
1.規制区分 ································ 81
2.有効期間又は使用期限 ···················· 81
3.貯法・保存条件 ·························· 81
4.薬剤取扱い上の注意点 ···················· 81
5.承認条件等 ······························ 81
6.包装···································· 81
7.容器の材質 ······························ 81
8.同一成分・同効薬 ························ 81
9.国際誕生年月日 ·························· 81
10.製造販売承認年月日及び承認番号 ·········· 82
11.薬価基準収載年月日 ······················ 82
12.効能又は効果追加,用法及び用量変更追加
等の年月日及びその内容 ·················· 82
13.再審査結果,再評価結果公表年月日及び
その内容 ································ 82
14.再審査期間 ······························ 82
15.投薬期間制限医薬品に関する情報 ·········· 82
16.各種コード ······························ 82
17.保険給付上の注意 ························ 82
ⅩⅠ.文献 ································83
1.引用文献 ································ 83
2.その他の参考文献 ························ 84
ⅩⅡ.参考資料 ····························85
1.主な外国での発売状況 ···················· 85
2.海外における臨床支援情報 ················ 89
ⅩⅢ.備考 ································90
その他の関連資料 ···························· 90
略語表
ADME
absorption distribution metabolism excretion
吸収,分布,代謝及び排泄
ALT
alanine aminotransferase
アラニンアミノトランスフェラーゼ
AST
aspartate aminotransferase
アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ
AUC
area under the concentration-time curve
濃度–時間曲線下面積
BCRP
breast cancer resistance protein
-
BID
twice daily
1 日 2 回投与
CL/F
apparent total clearance
見かけのクリアランス
CLcr
creatinine clearance
クレアチニンクリアランス
Cmax
maximum plasma concentration
最高血漿中濃度
CYP
cytochrome P450
チトクロム P450
DAA
direct acting antiviral agent
直接作用型抗ウイルス薬
EC50
concentration required for 50% effect
50%有効濃度
GCR
glycyrrhizin
グリチルリチン酸
HBV
hepatitis B virus
B 型肝炎ウイルス
HCV
hepatitis C virus
C 型肝炎ウイルス
HIV
human immunodeficiency virus
ヒト免疫不全ウイルス
IC50
concentration required for 50% inhibition
50%阻害濃度
ICH
International Conference on Harmonisation
日米 EU 医薬品ハーモナイゼーション国際会議
IFN
interferon
インターフェロン
INR
international normalized ratio
(プロトロンビン時間の)国際標準化比
ITT
intent to treat
-
LLOQ
lower limit of quantification
定量限界下限
MedDRA
Medical Dictionary for Regulatory Activities
ICH 国際医薬用語集
MRP
multidrug resistance-associated protein
-
NS3/4A
nonstructural protein 3/NS4A
非構造タンパク質 3/4A
NS5A
nonstructural protein 5A
非構造タンパク質 5A
OATP
organic anion transporting polypeptide
有機アニオン輸送ポリペプチド
PegIFN
pegylated interferon
ペグインターフェロン
P-gp
P-glycoprotein
P 糖タンパク質
QD
once a day
1 日 1 回投与
QPM
quaque die post meridiem
1 日 1 回午後投与
QTc
QT interval corrected for heart rate
心拍数補正 QT 間隔
RBV
ribavirin
リバビリン
RNA
ribonucleic acid
リボ核酸
SVR
sustained virologic response
持続性ウイルス学的著効
t1/2
terminal phase elimination half-life
終末相の消失半減期
TID
three times a day
1 日 3 回投与
Tmax
time to maximum plasma concentration
最高血漿中濃度到達時間
UDCA
ursodeoxycholic acid
ウルソデオキシコール酸
UGT
uridine 5'-diphospho-glucuronosyltransferase
ウリジン 5'-ジフォスホ-グルクロノシルトランスフェラーゼ
Vd/F
apparent volume of distribution
見かけの分布容積
VF
Virologic failure
ウイルス学的不成功
VR
virologic response
ウイルス学的著効
γ-GTP
gamma-glutamyl transferase
γ-グルタミルトランスフェラーゼ
Ⅰ.概要に関する項目
1.開発の経緯
ヴィキラックス配合錠は,オムビタスビル,パリタプレビル及びパリタプレビルの薬物動態学的ブースターであるリト
ナビルを配合し,IFN を使用しない C 型慢性肝炎治療薬として米国 AbbVie Inc.が開発した薬剤である.
オムビタスビルは HCV NS5A 阻害剤で,ジェノタイプ 1a 及び 1b レプリコン複製をピコモル濃度で阻害する.パリタプ
レビルは HCV NS3/4A プロテアーゼ阻害剤で,ジェノタイプ 1a 及び 1b レプリコン複製をナノモル濃度で阻害する.パ
リタプレビルは主としてチトクロム P450 3A4(CYP3A4)により代謝されることから,許容できる投与頻度で有効な曝
露量を得るために,CYP3A4 の強力な阻害剤であるリトナビルと併用する.オムビタスビル及びパリタプレビルの併用
は,短期レプリコンアッセイで HCV の複製に対して相加的ないし相乗的な複製阻害作用を示す.
感染症の治療では,服薬アドヒアランス不良がウイルス耐性変異の出現につながる場合があることから,製剤化におい
ては服薬が簡便な 1 剤の配合錠を開発した.
本剤は Abbott Laboratories(現 AbbVie Inc.)により 2007 年から米国で開発され,2013 年に分社化により AbbVie Inc.が開
発を引き継いだ.本邦においては,アボットジャパン株式会社が開発を開始し,Abbott Laboratories の分社化以降アッヴィ
合同会社が引き継いでいる.国内第Ⅱ相試験及び国内第Ⅲ相試験において,セログループ 1(ジェノタイプ 1)の日本人
C 型慢性肝炎患者及び C 型代償性肝硬変患者に対する本剤の有効性及び安全性が示されたことから,製造販売承認申請
を行い,2015 年 9 月に承認された.また,国内第Ⅱ相試験及び国内第Ⅲ相試験において,セログループ 2(ジェノタイ
プ 2)の日本人 C 型慢性肝炎患者に対するリバビリン併用下での本剤の有効性及び安全性が示されたことから,効能追
加の申請を行い,2016 年 9 月に承認された.
2.製品の治療学的・製剤学的特性
1.本剤は,NS5A 阻害剤のオムビタスビル,NS3/4A プロテアーゼ阻害剤のパリタプレビル,パリタプレビルのブース
ターであるリトナビルを有効成分とし,速やかかつ強力な抗ウイルス作用を発揮する配合剤である.
(
「Ⅴ.3.(2) 臨床効果」及び「Ⅵ.2.(2) 薬効を裏付ける試験成績」の項参照)
2.本剤は,国内第Ⅲ相臨床試験(GIFT-Ⅰ試験)においてジェノタイプ 1 の C 型慢性肝炎及び C 型代償性肝硬変に投与
され,1 日 1 回 2 錠,12 週間の治療で有効性と安全性が確認された.
(「Ⅴ.3.(2) 臨床効果」の項参照)
3.本剤は,国内第Ⅲ相臨床試験(GIFT-Ⅰ試験)において年齢,性別,前治療歴,代償性肝硬変の有無,IL28B の遺伝
子型,ベースラインにおける HCV RNA の量などの背景因子に関わらず,良好な有効性が確認された.
(「Ⅴ.3.(5) 2) 比較試験」の項参照)
4.本剤は,国内第Ⅲ相臨床試験(GIFT-Ⅱ試験)においてジェノタイプ 2 の C 型慢性肝炎に投与され, 1 日 1 回 2 錠,
16 週間の治療(リバビリンと併用)で有効性と安全性が確認された.
(「Ⅴ.3.(5) 2) 比較試験」の項参照)
5.ジェノタイプ 1:
本剤を投与した国内第Ⅲ相臨床試験(GIFT-Ⅰ試験)において副作用[臨床検査値異常 30 例(8.3%)を含む]は
363 例中 105 例(28.9%)に認められた.主な副作用として末梢性浮腫 15 例(4.1%)
,頭痛 12 例(3.3%)
,悪心 10
例(2.8%)が認められた(承認時)
.
重大な副作用として体液貯留,肝機能障害,肝不全,急性腎不全があらわれることがある.
ジェノタイプ 2(リバビリンと併用)
:
本剤を投与した国内第Ⅲ相臨床試験(GIFT-Ⅱ試験)において副作用[臨床検査値異常 47 例(29.4%)を含む]は 160
例中 98 例(61.3%)に認められた.主な副作用として貧血 36 例(22.5%)
,血中ビリルビン増加 29 例(18.1%)
,そ
う痒 14 例(8.8%)が認められた.
(承認時)
重大な副作用として体液貯留,肝機能障害,肝不全,急性腎不全,貧血があらわれることがある.
(「Ⅷ.8.副作用」の項参照)
-1-
Ⅱ.名称に関する項目
1.販売名
(1)和名
ヴィキラックス配合錠
(2)洋名
VIEKIRAX®
(3)名称の由来
Viekirax(ヴィキラックス)の Vie は life を意味し,Kira(cure)は治癒,ax は斧を意味する.
2.一般名
(1)和名(命名法)
オムビタスビル水和物(JAN)
パリタプレビル水和物(JAN)
リトナビル(JAN)
(2)洋名(命名法)
Ombitasvir(INN),Ombitasvir Hydrate(JAN)
Paritaprevir(INN),Paritaprevir Hydrate(JAN)
Ritonavir(INN,JAN)
(3)ステム
オムビタスビル水和物:抗ウイルス剤:-vir
パリタプレビル水和物:抗ウイルス剤:-vir
リトナビル:HIV プロテアーゼ阻害剤:-navir
3.構造式又は示性式
オムビタスビル水和物
-2-
パリタプレビル水和物
リトナビル
4.分子式及び分子量
オムビタスビル水和物:C50H67N7O8・4½H2O,分子量:975.18
パリタプレビル水和物:C40H43N7O7S•2H2O,分子量:801.91
リトナビル:C37H48N6O5S2,分子量:720.94
5.化学名(命名法)
オムビタスビル水和物
日本名:
N,N'-{(2S,5S)-1-[4-(1,1-ジメチルエチル)フェニル]ピロリジン-2,5-ジイル}ビス{[(4,1- フェニレンアザンジイル)カルボニ
ル][(2S)-ピロリジン-2,1-ジイル][(2S)-3-メチル-1-オキソブタン- 1,2-ジイル]}ビスカルバミン酸ジメチルヘミノナ水和物
英名:
Dimethyl N,N'-{(2S,5S)-1-[4-(1,1-dimethylethyl)phenyl]pyrrolidine-2,5-diyl}bis{[(4,1-phenyleneazanediyl)
carbonyl][(2S)-pyrrolidine-2,1-diyl][(2S)-3-methyl-1-oxobutane-1,2-diyl]}biscarbamate heminonahydrate
-3-
パリタプレビル水和物
日本名:
(2R,6S,12Z,13aS,14aR,16aS)-N-(シクロプロピルスルホニル)- 6-(5-メチルピラジン-2-カルボキサミド)-5,16ジオキソ-2-(フェナントリジン- 6-イルオキシ)-1,2,3,6,7,8,9,10,11,13a,14,15,16,16a-テトラデカヒドロシクロプロパ[e]
ピロロ[1,2-a][1,4]ジアザシクロペンタデシン- 14a(5H)-カルボキサミド二水和物
英名:
(2R,6S,12Z,13aS,14aR,16aS)-N-(Cyclopropylsulfonyl)-6-(5-methylpyrazine-2-carboxamido)-5,16dioxo-2-(phenanthridin-6-yloxy)-1,2,3,6,7,8,9,10,11,13a,14,15,16,16a-tetradecahydrocyclopropa[e]
pyrrolo[1,2-a][1,4]diazacyclopentadecine-14a(5H)-carboxamide dihydrate
リトナビル
日本名:
(+)-5-[(αS)-α-[(1S,3S)-1-ヒドロキシ-3-[(2S)-2-[3-[(2-イソプロピル-4-チアゾリル)メチル]-3-メチルウレイド]-3メチルブチラミド]-4-フェニルブチル]フェネチル]カルバミン酸 5-チアゾリルメチルエステル
英名:
(+)-5-thiazolylmethyl[(αS)-α-[(1S,3S)-1-hydroxy-3-[(2S)-2-[3-[(2-isopropyl-4-thiazolyl)methyl]-3-methylureido]-3methylbutyramido]-4-phenylbutyl]phenethyl]carbamate
6.慣用名,別名,略号,記号番号
オムビタスビル:ABT-267(治験番号)
,OBV(略号)
パリタプレビル:ABT-450(治験番号)
,PTV(略号)
リトナビル:ABT-538(治験番号)
,RTV(略号)
7.CAS 登録番号
オムビタスビル:1258226-87-7(無水物)
1456607-70-7(水和物)
パリタプレビル:1216941-48-8(無水物)
1456607-71-8(水和物)
リトナビル:155213-67-5
-4-
Ⅲ.有効成分に関する項目
1.物理化学的性質
(1)外観・性状
オムビタスビル水和物
白色~淡黄色又は淡赤色の粉末又は塊である.
パリタプレビル水和物
白色~淡黄色の粉末又は塊である.
リトナビル
白色~淡黄褐色の粉末で,柔らかい塊を含むこともある.
(2)溶解性
オムビタスビル水和物
オムビタスビル水和物の溶解性
溶媒
0.1mol/L 塩酸,25℃
50mmol/L リン酸ナトリウム緩衝液,pH6.8,25℃
エタノール,25℃
1-ビニル-2-ピロリドン二量体,室温
コポビドン(K 値 28) モデル
(6:4 ビニルピロリドン二量体:ビニルアセテート
二量体,重量比 3:2)
溶解濃度
0.47±0.02μg/mL
0.016±0.005μg/mL
46.0±0.2mg/mL
>193.87mg/g
>210mg/g
オムビタスビル水和物の pH 溶解特性
-5-
パリタプレビル水和物
パリタプレビル水和物の溶解性
溶媒
0.01mol/L 塩酸,25℃
50mmol/L リン酸ナトリウム緩衝液,pH6.8,25℃
エタノール,室温
1-ビニル-2-ピロリドン二量体,室温
コポビドン(K 値 28) モデル
(6:4 ビニルピロリドン二量体:ビニルアセテート
二量体,重量比 3:2)
溶解濃度
<0.09μg/mL
1.19±0.05μg/mL
5.7~10.6mg/mL
>260mg/mL
>300mg/mL
pH 溶解特性はパリタプレビル水和物が非常に溶けにくい(<0.09μg/mL)ため,測定できなかった.
リトナビル 1)
メタノール,エタノールに溶けやすく,アセトニトリルにやや溶けにくく,水にほとんど溶けない.
リトナビルの溶解性(室温)
溶媒
水
アセトニトリル
アセトニトリル/水(1:1)
ジメチルホルムアミド
メタノール
エタノール
イソプロパノール
ジクロロメタン
テトラヒドロフラン
酢酸エチル
クロロホルム
トルエン
ヘプタン
溶解濃度(mg/mL)
<0.001
18.9
66.4
593
573
165
41.7
602
456
1.5
675
2.2
0.1
リトナビルの各種 pH 溶液に対する溶解性(室温)
pH
pH3.0
pH6.0
pH9.1
0.05mol/L
0.05mol/L
0.05mol/L
溶解濃度(w/v%)
<0.001
<0.001
<0.001
KH2PO4
K2HPO4
K2HPO4
(3)吸湿性
オムビタスビル水和物:2%以下(25℃,30~90%RH)
パリタプレビル水和物:1.3%(25℃,20~90%RH)
リトナビル 1):1 ヵ月間,25℃,75%RH の加湿条件では吸湿しない.
(4)融点(分解点)
,沸点,凝固点
オムビタスビル水和物:熱分析を測定した結果,69.1℃で脱水による吸熱ピークを示し,156.8℃で融解した.
パリタプレビル水和物:熱分析を測定した結果,脱水したのち,非晶質化し 156℃でガラス転移点を示した.
リトナビル 1):123℃付近(融点)
-6-
(5)酸塩基解離定数
オムビタスビル水和物:pKa=2.5(25℃)
パリタプレビル水和物:pKa=4.6(25℃)
リトナビル 1):pK1=pK2=2.8±0.2(吸光法:268~278nm)
(6)分配係数
オムビタスビル水和物:オクタノールと pH7.4 緩衝液間の分配係数(log D)は 7.4
パリタプレビル水和物:オクタノールと pH6.8 リン酸緩衝液間の分配係数(log D)は 3.1
リトナビル 1):1-オクタノール-リン酸緩衝液(0.05mol/L,pH7.4)系での分配係数は 4.7×104
(7)その他の主な示性値
オムビタスビル水和物:6 個の光学中心を有する.
パリタプレビル水和物:5 個の光学中心を有する.旋光度は-0.369~1.279°であった.
リトナビル 1):旋光度:[α]25
D :+8.8°(2.5%(w/v)メタノール溶液中)
2.有効成分の各種条件下における安定性
オムビタスビル水和物
オムビタスビル水和物の安定性試験における保存条件,保存形態,保存期間及び試験結果
試験
温度
湿度
光
保存形態
長期保存試験
25℃
60%RH
暗所
二重ポリエチレン袋/
プラスティック製ドラム
加速試験
熱
熱/湿度
40℃
80℃
80℃
75%RH
―
75%RH
暗所
暗所
暗所
総照度:
120 万 lux・hr
以上,
総近紫外放射
エネルギー:
200W・h/m2
以上
苛
酷
試
験
光
25℃
60%RH
ガラス製容器
ガラス製容器
保存期間
開始時,3,6,9,
12,18,24 a,36,
48 ヵ月
0,1,3,6 ヵ月
0,10 日
0,10 日
シャーレ(開放)
二重のポリエチレン袋に
入れて結束
a:24 ヵ月まで終了
-7-
0,5 日
(120 万 lux・hr)
結果
変化なし
変化なし
変化なし
変化なし
不純物の増加
が認められた
変化なし
パリタプレビル水和物
パリタプレビル水和物の安定性試験における保存条件,保存形態,保存期間及び試験結果
試験
温度
湿度
光
保存形態
長期保存試験
25℃
60%RH
暗所
二重ポリエチレン袋/
プラスティック製ドラム
加速試験
40℃
75%RH
暗所
熱
80℃
―
暗所
ガラス製容器
熱/湿度
80℃
75%RH
暗所
総照度:
120 万 lux・hr
以上,
総近紫外放射
エネルギー:
200W・h/m2
以上
ガラス製容器
苛
酷
試
験
25℃
光
60%RH
保存期間
結果
開始時,3,6,9,
12,18,24 a,36, 変化なし
48 ヵ月
0,1,3,6 ヵ月
変化なし
不純物総量の
0,5 日
増加が認めら
れた
0,11 日
変化なし
シャーレ(開放)
二重のポリエチレン袋に
入れて結束
0,5 日
(120 万 lux・hr)
不純物総量の
増加が認めら
れた
変化なし
a:24 ヵ月まで終了
リトナビル 1)
リトナビルの安定性試験における保存条件,保存形態,保存期間及び試験結果
試験
温度
湿度
光
長期保存
試験
30℃
―
―
40℃
―
加速試験
―
60℃
苛酷試験
40℃
50℃
60℃
80℃
105℃
―
室温
―
25℃
25℃
75%RH
60%RH
5℃
―
―
保存形態
二重ポリエチレン袋に
入れファイバードラム
又は
ふた付きプラスティッ
ク瓶
二重ポリエチレン袋に
入れファイバードラム
又は
ふた付きプラスティッ
ク瓶
褐色バイアル
テフロン被覆したゴム
栓
アルミシール
自然光下
ふた付きシャーレ上に
蛍光灯下
散布
#
(10760lux)
開放バイアル
二重ポリエチレン袋に
入れファイバードラム
―
又は
ふた付きプラスティッ
ク瓶
*:原液は遮光を要する.
#:10760lux=1000fc
-8-
保存期間
結果
12 ヵ月
○
特記事項
6 ヵ月
○
1 ヵ月
52 週
26 週
13 週
13 週
6週
6週
○
○
○
×
×
4 週以降わずかに分解
6 週で含量 10%以下
6 週で規格値以下*
1週
×
1 週で規格値以下*
31 週
3 ヵ月
○
○
12 ヵ月
○
強制分解による生成物:通常実験室条件下,加湿条件下,80℃までの加温条件下では 13 週間安定
苛酷条件下:水中での還流条件下では酸加水分解生成物と塩基環化物,光照射あるいは過酸化物への曝露により酸化生
成物と酸加水分解生成物,105℃の加熱条件下では塩基環化物が生じた.
リトナビルの分解経路
3.有効成分の確認試験法
オムビタスビル水和物:赤外吸収スペクトル測定法
パリタプレビル水和物:赤外吸収スペクトル測定法
リトナビル 1):赤外吸収スペクトル測定法
4.有効成分の定量法
オムビタスビル水和物:液体クロマトグラフィー
パリタプレビル水和物:液体クロマトグラフィー
リトナビル 1):液体クロマトグラフィー
-9-
Ⅳ.製剤に関する項目
1.剤形
(1)剤形の区別,外観及び性状
桃色の楕円形のフィルムコーティング錠
販
売
名
ヴィキラックス配合錠
上面
外
大
下面
側面
形
き
さ
識 別 コー ド
長径(mm)
短径(mm)
厚さ(mm)
重さ(g)
18.8
10.0
7.7
1.116
AV1
(2)製剤の物性
溶出性:「Ⅳ.7.溶出性」の項参照
(3)識別コード
AV1
(4)pH,浸透圧比,粘度,比重,無菌の旨及び安定な pH 域等
該当しない
2.製剤の組成
(1)有効成分(活性成分)の含量
1 錠中オムビタスビル水和物 13.6mg(オムビタスビルとして 12.5mg),パリタプレビル水和物 78.5mg(パリタプレビル
として 75mg),リトナビル 50mg 含有
(2)添加物
コポリビドン,コハク酸 d-α-トコフェロールポリエチレングリコール,軽質無水ケイ酸,モノラウリン酸プロピレ
ングリコール,モノラウリン酸ソルビタン,フマル酸ステアリルナトリウム,ポリビニルアルコール(部分けん化物),
マクロゴール 4000,タルク,酸化チタン,三二酸化鉄
(3)その他
該当しない
3.懸濁剤,乳剤の分散性に対する注意
該当しない
-10-
4.製剤の各種条件下における安定性
ヴィキラックス配合錠の安定性試験における保存条件,保存形態,保存期間及び試験結果
試験
温度
湿度
光
長期保存試験
30℃
75%RH
暗所
加速試験
熱
40℃
65℃
75%RH
―
暗所
暗所
65℃
75%RH
暗所
60%RH
総照度:
120 万 lux・hr
以上,
総近紫外放射
エネルギー:
200W・h/m2
以上
熱/湿度
苛
酷
試
験
光
25℃
保存形態
PTP 包装
ガラス製容器
ガラス製容器
(開放)
シャーレ
a:24 ヵ月まで終了
5.調製法及び溶解後の安定性
該当しない
6.他剤との配合変化(物理化学的変化)
該当資料なし
7.溶出性
溶出試験法 第 2 法(パドル法)
8.生物学的試験法
該当しない
9.製剤中の有効成分の確認試験法
薄層クロマトグラフィー
10.製剤中の有効成分の定量法
液体クロマトグラフィー
11.力価
該当しない
12.混入する可能性のある夾雑物
該当しない
13.注意が必要な容器・外観が特殊な容器に関する情報
該当しない
14.その他
該当資料なし
-11-
保存期間
結果
開始時,3,6,9,12,
変化なし
18,24 a,36 ヵ月
0,1,2,3,6 ヵ月
変化なし
0,24 日
変化なし
リトナビルに分
0,24 日
解生成物の増加
が認められた
0,5 日
(120 万 lux・hr)
変化なし
Ⅴ.治療に関する項目
1.効能又は効果
1.セログループ 1(ジェノタイプ 1)の C 型慢性肝炎又は C 型代償性肝硬変におけるウイルス血症の改善
2.セログループ 2(ジェノタイプ 2)の C 型慢性肝炎におけるウイルス血症の改善
(解説)
国内第Ⅲ相臨床試験において本剤の有効性,安全性が確認されたため,設定した.
セログループ 1(ジェノタイプ 1)
:
主要評価項目として,本剤の投与終了 12 週後に HCV RNA レベルが定量限界値未満であった患者の割合(SVR12 率)は
C 型慢性肝炎患者で 94.9%(二重盲検群:204/215 例),C 型代償性肝硬変患者で 90.5%(非盲検群:38/42 例)であった.
セログループ 2(ジェノタイプ 2)
:
本剤とリバビリンと併用した C 型慢性肝炎患者において,主要評価項目として,投与終了後 12 週間に HCV RNA レベル
,前治療のある患者で 75.8%(25
が定量限界値未満であった患者の割合(SVR12 率)は未治療患者で 91.5%(43 例/47 例)
例/33 例)であった.
<効能・効果に関連する使用上の注意>
(1)本剤の使用に際しては,HCV RNA が陽性であることを確認すること.
(2)セログループ 1(ジェノタイプ 1)においては,肝予備能,臨床症状等により非代償性肝硬変でないことを確認す
ること.また,セログループ 2(ジェノタイプ 2)においては,組織像又は肝予備能,血小板数等により肝硬変で
ないことを確認すること.
(3)セログループ 2(ジェノタイプ 2)においては,IFN 製剤による治療経験の有無等により,有効性が異なるため,
本剤によるベネフィット・リスクを考慮したうえで,投与の可否を判断すること.
(
「臨床成績」の項参照)
(4)本剤を HIV/HCV 重複感染患者に使用する場合,抗 HIV 療法によって HIV のウイルス学的抑制が得られている患
者にのみ投与すること.
(本剤に含まれるリトナビルにより,HIV プロテアーゼ阻害剤に対する耐性を生じるおそ
れがある.
)
(解説)
(1)本剤の開始前に,HCV RNA が陽性であることを確認すること.
(2)本剤の開始前に,セログループ 1(ジェノタイプ 1)においては,C 型慢性肝炎(C 型代償性肝硬変を含む)であ
り,非代償性肝硬変でないことを確認すること.セログループ 2(ジェノタイプ 2)においては,肝硬変でないこ
とを確認すること.
(3)国内第Ⅲ相臨床試験におけるセログループ 2(ジェノタイプ 2)の HCV サブタイプ別の SVR12 率は下記のとおり
であった.
薬物相互作用臨床試験データ(社内資料)
背景因子
未治療患者
前治療のある患者
HCV サブタイプ
SVR12 率(例数)
ジェノタイプ 2a
ジェノタイプ 2b
ジェノタイプ 2a
ジェノタイプ 2b
93.9%(31/33)
85.7%(12/14)
93.8%(15/16)
56.3%(9/16)
特に前治療(IFN 製剤又は IFN 製剤とリバビリンとの併用)歴のあるジェノタイプ 2b の SVR12 率が他のサブタイ
プより低かったため,前治療歴のあるセログループ 2(ジェノタイプ 2)に対しては本剤によるベネフィット・リ
スクを考慮したうえで,投与の可否を判断すること.
(4)本剤含有のリトナビルは HIV プロテアーゼ阻害剤※としても使用されている(本剤のリトナビル配合量は少なく,
臨床的な抗 HIV 作用は示さない)
.このため HIV の抑制が不十分な場合,HIV プロテアーゼ阻害剤に対する耐性を
-12-
発現するおそれがある.HIV との重複感染患者においては抗 HIV 療法によって HIV の抑制が得られている患者に
おいてのみ本剤を使用すること.
※製品名:ノービア錠 100mg,ノービア内用液 8%
2.用法及び用量
1.セログループ 1(ジェノタイプ 1)の C 型慢性肝炎又は C 型代償性肝硬変におけるウイルス血症の改善の場合
通常,
成人には 1 日 1 回 2 錠(オムビタスビルとして 25mg,パリタプレビルとして 150mg 及びリトナビルとして 100mg)
を食後に経口投与し,投与期間は 12 週間とする.
2.セログループ 2(ジェノタイプ 2)の C 型慢性肝炎におけるウイルス血症の改善の場合
リバビリンとの併用において,通常,成人には 1 日 1 回 2 錠(オムビタスビルとして 25mg,パリタプレビルとして 150mg
及びリトナビルとして 100mg)を食後に経口投与し,投与期間は 16 週間とする.
(解説)
本剤は 1 日 1 回,2 錠を食後に投与すること.投与期間はセログループ 1(ジェノタイプ 1)においては 12 週間,セロ
グループ 2(ジェノタイプ 2)においてはリバビリンと併用しながら 16 週間である.空腹時投与に比べ,食後投与が本
剤のバイオアベイラビリティを良好に保つことがわかっているため,食後に投与すること.なお,食事のカロリーや脂
肪含量は本剤の吸収に影響しない.
<用法・用量に関連する使用上の注意>
セログループ 2(ジェノタイプ 2)において,本剤と併用するリバビリンの投与量は,リバビリンの添付文書に定めら
れた用法・用量に従うこと.併用にあたっては,投与開始前にヘモグロビン量が 12g/dL 以上であることを確認すること.
また,投与中にリバビリンの用量調節や投与中止を必要とする副作用が発現した場合には,リバビリンの添付文書を参
照すること.
(解説)
セログループ 2(ジェノタイプ 2)においてはリバビリンと併用するため,リバビリンの投与量はリバビリンの添付文書
に定められた用法・用量に従うこと.リバビリンとの併用においては貧血の副作用が認められているので,投与開始前
にヘモグロビン量を測定し,12g/dL 以上であることを確認すること.リバビリンによるものと考えられる副作用があら
われた場合にはリバビリンの添付文書を参照し,適切な措置を行うこと.
-13-
3.臨床成績
(1)臨床データパッケージ
ジェノタイプ 1
相
対象
例数
評
資
料
オムビタスビルの薬物動態,安全性,忍容性
日本人を含む民族間比較
オムビタスビル及びパリタプレビル/リトナビルと dasabuvir
(国内未承認)*の併用及び非併用の薬物動態,安全性
日本人を含む民族間比較
パリタプレビル/リトナビルの薬物動態,安全性,忍容性
日本人を含む民族間比較
Ⅰ
健康成人(日本人)
48
Ⅰ
健康成人(日本人)
90
Ⅰ
健康成人(日本人)
30
Ⅰ
健康成人(日本人)
48
薬物動態の比較,忍容性,オムビタスビル,パリタプレビル,
リトナビル及び配合剤の安全性
Ⅰ
健康成人
60
オムビタスビル,パリタプレビル/リトナビル及び dasabuvir
(国内未承認)*における QT/QTc 間隔への影響
Ⅰ
健康成人男性
54
パリタプレビル/リトナビルの薬物動態,安全性,忍容性
Ⅰ
健康成人
20
食事の影響
Ⅰ
健康成人
24
薬物相互作用(グリチルリチン酸,UDCA**)
海
外
試験目的
価
オムビタスビル及びパリタプレビル(100mg 及び 150mg)
,リ
HCV ジェノタイプ 1b,
110
ジェノタイプ 2 感染患者
トナビルの併用における 12 週及び 24 週の薬物動態,
安全性,
内
有効性
(PegIFN 既治療,肝硬変を除く)
HCV ジェノタイプ 1b 感染患者
363
本剤における 12 週の薬物動態,安全性,有効性
Ⅲ
(未治療,IFN 既治療,
代償性肝硬変,非肝硬変)
*
HCV RNA 依存性 RNA ポリメラーゼ(NS5B)に対する非ヌクレオシド系 palm1 阻害剤.オムビタスビル,
パリタプレビル,リトナビルとの併用で使用される.
** ウルソデオキシコール酸
国
Ⅱ
-14-
ジェノタイプ 2
相
対象
例数
Ⅰ
健康成人男性
54
パリタプレビル/リトナビルの薬物動態,安全性,忍容性
Ⅰ
健康成人
20
食事の影響
Ⅰ
健康成人
24
薬物相互作用(グリチルリチン酸,UDCA*)
110
オムビタスビル及びパリタプレビル(100mg 及び 150mg)
,リ
トナビルの併用における 12 週及び 24 週の薬物動態,
安全性,
有効性
363
本剤における 12 週の薬物動態,安全性,有効性
171
本剤及びリバビリンの併用における 12 週及び 16 週の有効
性,安全性
評
HCV ジェノタイプ 1b,
ジェノタイプ 2 感染患者
国
(PegIFN 既治療,肝硬変を除く)
内
HCV ジェノタイプ 1b 感染患者
Ⅲ
(未治療,IFN 既治療,
代償性肝硬変,非肝硬変)
HCV ジェノタイプ 2 感染患者
Ⅲ
(未治療,IFN 既治療,
代償性肝硬変,非肝硬変)
* ウルソデオキシコール酸
Ⅱ
試験目的
価
資
料
(2)臨床効果
国内第Ⅲ相臨床試験
ジェノタイプ 12)
未治療又は前治療(インターフェロン製剤(IFN)単独療法又はリバビリンとの併用療法)のあるジェノタイプ 1b の C
型慢性肝炎患者又は C 型代償性肝硬変患者を対象として,プラセボ対照無作為化二重盲検並行群間比較試験(C 型慢性
肝炎患者)及び非盲検非対照試験(C 型代償性肝硬変患者)を実施した(12 週間投与).
本剤投与例で,投与終了 12 週後に HCV RNA 量が定量限界未満であった患者の割合(SVR12 率)を以下の表に示す.
全体及び部分集団解析における SVR12 率
背景因子
全体
なし
あり
65 歳未満
65 歳以上
適格
不適格
代償性肝硬変*
未治療患者
年齢
IFN 適格性
全体
代償性肝硬変*
前治療のある患者
年齢
前治療に対する反応性
なし
あり
65 歳未満
65 歳以上
無効
再燃
IFN 不耐容
不明
SVR12 率
140/148(94.6)
131/139(94.2)
9/9(100)
91/95(95.8)
49/53(92.5)
112/118(94.9)
28/30(93.3)
102/109(93.6)
73/76(96.1)
29/33(87.9)
52/55(94.5)
50/54(92.6)
44/47(93.6)
28/30(93.3)
29/31(93.5)
1/1(100)
例数(%)
* 肝硬変は,肝生検による診断,若しくはフィブロテスト/APRI,フィブロスキャン又はγ-グロブリン値,ヒアル
ロン酸値及び血小板数を用いた判別式 3)により判定
2)Kumada H,et al:Hepatology,62,4:1037-1046(2015)
-15-
ジェノタイプ 24)
未治療又は前治療(インターフェロン製剤(IFN)単独療法又はリバビリンとの併用療法)のあるジェノタイプ 2 の C
型慢性肝炎患者を対象として,本剤とリバビリンの併用投与時の有効性及び安全性を検討することを目的として,無作
為化非盲検並行群間比較試験を実施した.
本剤及びリバビリンの 16 週間投与例で,投与終了 12 週後に HCV RNA 量が定量限界未満であった患者の割合(SVR12
率)を下表に示す.
全体及び部分集団解析における SVR12 率
背景因子
全体
65 歳未満
65 歳以上
適格
不適格
ジェノタイプ 2a
ジェノタイプ 2b
年齢
未治療患者
IFN 適格性
HCV サブタイプ*
全体
年齢
前治療のある患者
前治療に対する反応性
HCV サブタイプ*
65 歳未満
65 歳以上
無効
再燃
IFN 不耐容
ジェノタイプ 2a
ジェノタイプ 2b
SVR12 率
43/47(91.5)
36/39(92.3)
7/8(87.5)
41/45(91.1)
2/2(100)
31/33(93.9)
12/14(85.7)
25/33(75.8)
13/18(72.2)
12/15(80.0)
3/6(50.0)
15/16(93.8)
7/11(63.6)
15/16(93.8)
9/16(56.3)
例数(%)
*系統樹解析による決定
4)社内資料:日本人被験者における有効性試験(セログループ 2 を対象とした第Ⅲ相臨床試験)[承認時評価資料]
注意:本剤の承認されている用法・用量は,ジェノタイプ 1:オムビタスビルとして 25mg,パリタプレビルとして 150mg 及び
リトナビルとして 100mg を含有する配合錠を食後に経口投与(1 日 1 回),投与期間は 12 週間,ジェノタイプ 2:リバ
ビリンとの併用において,オムビタスビルとして 25mg,パリタプレビルとして 150mg 及びリトナビルとして 100mg を
含有する配合錠を食後に経口投与(1 日 1 回),投与期間は 16 週間である.
(3)臨床薬理試験
1)忍容性試験
〈オムビタスビル用量漸増反復投与 海外第Ⅰ相単施設無作為化プラセボ対照盲検試験〉(日本人及び外国人データ)5)
日本人を含む健康成人 48 例に 7 日間,オムビタスビル(錠剤)25mg,200mg 又はプラセボを経口投与した.
治験薬との因果関係が「関連あるかもしれない」とされた有害事象は 25mg 投与の日本人 1 例の傾眠であった.「多分
関連あり」とされた有害事象は 200mg 投与の外国人 1 例の頭痛であった.
いずれの用量グループ及び民族でも,臨床的に意義のあるバイタルサイン及び臨床検査値の変動は観察されなかった.
〈直接作用型抗ウイルス薬 2 剤/3 剤併用反復投与
海外第Ⅰ相単施設非盲検試験〉(日本人及び外国人データ)6)
日本人を含む健康成人 90 例を対象として,オムビタスビル(錠剤)25mg,パリタプレビル(錠剤)/リトナビル(カプ
セル剤)250/100mg 又は 200/100mg 及び dasabuvir 400mg を,単独又は併用で,反復経口投与した(7~21 日間).
2 例以上に認められた主な有害事象は,オムビタスビル単独投与時:便秘,パリタプレビル/リトナビル単独投与時:歯
肉炎及び頭痛,オムビタスビルとパリタプレビル/リトナビルの併用投与時:黄疸眼,アフタ性口内炎,悪心及び頭痛,
オムビタスビルとパリタプレビル/リトナビル及び dasabuvir(国内未承認)の併用投与時:便秘,浮動性めまい,味覚異
常及び頭痛であった.
-16-
最高用量のパリタプレビル/リトナビル(250/100mg 1 日 1 回)を投与すると,オムビタスビル 25mg 1 日 1 回の併用有無
を問わず 6 例にグレード 3 の総ビリルビン上昇が発現した.ビリルビン値の上昇はいずれも間接ビリルビン増加が主体
であり,治験薬の投与を継続していても改善した.
少数の被験者にグレード 1 の ALT 上昇が発現したが,いずれの ALT 上昇も,投与継続中又は投与完了後に消失した.
〈パリタプレビル/リトナビル単回投与
海外第Ⅰ相単施設非盲検試験〉(日本人及び外国人データ)7)
日本人を含む健康成人 30 例に対して,パリタプレビル(錠剤)250mg とリトナビル(カプセル剤)100mg を併用単回経
口投与した.試験投与下で発現した有害事象は,中等度であった頭痛を除いてすべて軽度であった.
〈オムビタスビル/パリタプレビル/リトナビル配合錠単回投与
外国人データ)
海外第Ⅰ相無作為化単施設非盲検試験〉(日本人及び
8)
日本人を含む健康成人 48 例に対して,オムビタスビル/パリタプレビル/リトナビル配合錠(12.5/50/50mg 又は
12.5/75/50mg)を単回経口投与あるいはオムビタスビル(錠剤),パリタプレビル(錠剤),リトナビル(カプセル剤)
を併用単回経口投与した.日本人で発現した主な有害事象の下痢,浮動性めまい及び頭痛は,重症度が軽度であると評
価され,治験薬との因果関係は「関連あり」,「関連なし」の両方があるとされた.
〈パリタプレビル/リトナビル単回又は反復投与 国内第Ⅰ相単施設無作為化プラセボ対照盲検試験〉(日本人データ)9)
日本人健康成人男性 54 例に対して,パリタプレビル(カプセル剤)/リトナビル(カプセル剤)50/100mg,100/100mg,
200/100mg 又はプラセボを単回及び反復(14 日間)投与した.
最高用量のパリタプレビル/リトナビル投与時に ALT 及び血中ビリルビンの上昇がみられた.
いずれの有害事象も重症度は軽度であり,有害事象に起因する治験薬の投与中止はみられなかった.臨床的に意義のあ
る異常はいずれの臨床検査項目又は ECG 変数でも観察されなかった.
5)社内資料:オムビタスビル用量漸増反復投与試験(ヒト)[承認時評価資料]
6)社内資料:直接作用型抗ウイルス薬 2 剤/3 剤併用反復投与試験(ヒト)[承認時評価資料]
7)社内資料:パリタプレビル/リトナビル単回投与試験(ヒト)[承認時評価資料]
8)社内資料:パリタプレビル/リトナビル/オムビタスビル配合錠単回投与試験(ヒト)[承認時評価資料]
9)社内資料:パリタプレビル/リトナビル単回・反復投与試験(ヒト)[承認時評価資料]
注意:本剤の承認されている用法・用量は,ジェノタイプ 1:オムビタスビルとして 25mg,パリタプレビルとして 150mg 及び
リトナビルとして 100mg を含有する配合錠を食後に経口投与(1 日 1 回),投与期間は 12 週間,ジェノタイプ 2:リバ
ビリンとの併用において,オムビタスビルとして 25mg,パリタプレビルとして 150mg 及びリトナビルとして 100mg を
含有する配合錠を食後に経口投与(1 日 1 回),投与期間は 16 週間である.
2)QT/QTc 評価試験
〈海外第Ⅰ相〉(外国人データ)10)
健康成人 60 例にオムビタスビル(錠剤),パリタプレビル(錠剤),リトナビル(カプセル剤),dasabuvir(国内未承
認)を併用投与し,QTc 間隔に及ぼす影響をプラセボ及び実薬対照クロスオーバー試験で検討した.対象をプラセボ群,
治療用量(オムビタスビル 25mg,パリタプレビル 200mg,リトナビル 150mg,dasabuvir 250mg)群,治療用量超過用量
(オムビタスビル 50mg,パリタプレビル 350mg,リトナビル 150mg,dasabuvir 500mg)群,実薬対照(モキシフロキサ
シン 400mg)群の 4 群に無作為割付けした.その結果,治療用量群,治療用量超過用量群ともに臨床的な QTc 延長を示
さなかった.
10)社内資料:Thorough QT 試験(ヒト)[承認時評価資料]
注意:本剤の承認されている用法・用量は,ジェノタイプ 1:オムビタスビルとして 25mg,パリタプレビルとして 150mg 及び
リトナビルとして 100mg を含有する配合錠を食後に経口投与(1 日 1 回),投与期間は 12 週間,ジェノタイプ 2:リバ
-17-
ビリンとの併用において,オムビタスビルとして 25mg,パリタプレビルとして 150mg 及びリトナビルとして 100mg を
含有する配合錠を食後に経口投与(1 日 1 回),投与期間は 16 週間である.
(4)探索的試験
〈国内前期第Ⅱ相〉(日本人データ)11),12)
【目
的】オムビタスビル/パリタプレビル/リトナビルの安全性及び抗ウイルス活性の評価
【試験デザイン】多施設共同,無作為化,非盲検,並行群間,併用投与試験
【対
象】日本人の PegIFN/RBV 既治療の HCV ジェノタイプ 1b 又は 2 感染成人患者 110 例
【主要な組み入れ基準】HCV ジェノタイプ 1 又は 2 に慢性的に感染し,
血漿中 HCV RNA 量がベースラインで 10,000IU/mL
を上回る,肝硬変のない患者(肝生検により肝硬変がない,又はフィブロテスト®のスコアが 0.72 以下であり AST と血
小板の比の指標が 2 以下,フィブロスキャン®の結果が 9.6kPa 未満,
「慢性肝炎と肝硬変の判別式」でのスコア(z)が 0
未満のいずれかに該当)
【試験方法】*
コホート 1(HCV ジェノタイプ 1b)
投与群 1:オムビタスビル 25mg+パリタプレビル/リトナビル 100/100mg,1 日 1 回 12 週間投与
投与群 2:オムビタスビル 25mg+パリタプレビル/リトナビル 150/100mg,1 日 1 回 12 週間投与
投与群 3:オムビタスビル 25mg+パリタプレビル/リトナビル 100/100mg,1 日 1 回 24 週間投与
投与群 4:オムビタスビル 25mg+パリタプレビル/リトナビル 150/100mg,1 日 1 回 24 週間投与
コホート 2(HCV ジェノタイプ 2)
投与群 5:オムビタスビル 25mg+パリタプレビル/リトナビル 100/100mg,1 日 1 回 12 週間投与
投与群 6:オムビタスビル 25mg+パリタプレビル/リトナビル 150/100mg,1 日 1 回 12 週間投与
*:オムビタスビル(錠剤),パリタプレビル(錠剤),リトナビル(カプセル剤)として投与.
【評価項目】
有 効 性
主要評価項目:投与終了後 24 週時点で持続性ウイルス学的著効(SVR24)が認められた被験者の割合(%)
副次的評価項目:投与終了後 12 週時点で持続性ウイルス学的著効(SVR12)が認められた被験者の割合(%)
,投与 12 週
及び投与 24 週でウイルス学的反応が認められた被験者の割合
薬物動態 初回投与 1 日目の Cmax,Tmax 及び AUC24(ノンコンパートメント解析により算出),パリタプレビル,オムビ
タスビル及びリトナビルの血漿中濃度
ウイルス耐性
ウイルス学的不成功となった被験者に対して,ポピュレーションシークエンス法により塩基配列をもと
にアミノ酸配列を解析し,ベースライン及び標準のプロトタイプ配列と SVR 率を比較
安 全 性 有害事象(治験薬投与開始から投与終了後 30 日以内に発現又は重症度が悪化したいかなる事象)が発現した
被験者数及び割合
【結
果】
安全性解析対象 110 例の患者背景は,平均 59.2(24~74)歳,男性 46%,ベースラインの HCV RNA 量 6.64(5.12~7.59)
log10IU/mL であった.
-18-
有 効 性
HCV ジェノタイプ 1b 感染患者において,パリタプレビル/リトナビル(100/100mg 又は 150/100mg)1 日 1 回及びオムビ
タスビル 25mg1 日 1 回を 12 週間及び 24 週間併用投与したときの SVR24 の達成率は,投与群 1,投与群 3 及び投与群 4
で 100%,投与群 2 で 88.9%であった.
SVR24 率にパリタプレビルの投与量(150mg 及び 100mg)との明らかな相関はなく,部分集団解析で臨床的に意味のある
差は認められなかった.HCV ジェノタイプ 1b 感染患者のうち,2 例が SVR24 を達成しなかった.このうち,1 例は投与終
了後の再燃であり,1 例は重篤な副作用(体液貯留)による治験薬の投与中止であった.HCV ジェノタイプ 1b 感染患者で
は,SVR24 達成後の再燃は認められなかった.また,全例が投与終了時の反応でウイルス学的著効を達成した.
HCV ジェノタイプ 2 感染患者において,パリタプレビル/リトナビル(100/100mg 又は 150/100mg)1 日 1 回及びオムビタ
スビル 25mg1 日 1 回を 12 週間併用投与したときの SVR24 達成率は,投与群 6(72.2%)が投与群 5(57.9%)と比べ高かっ
たが,統計学的に有意でなかった.SVR24 を達成しなかった主な理由は,投与期間中のウイルス学的不成功,次に後観察
期中の再燃であった.投与群 5 及び投与群 6 において,SVR24 を達成した HCV ジェノタイプ 2 感染患者のサブジェノタイ
プ別の SVR24 達成率は,HCV ジェノタイプ 2a 感染患者(投与群 5:81.8%及び投与群 6:100%)が HCV ジェノタイプ 2b
(投与群 5:14.3%及び投与群 6:37.5%)に比べて高かった.HCV ジェノタイプ 2 感染患者で SVR24 を達成しなかった
11/13 例が HCV ジェノタイプ 2b であった.HCV ジェノタイプ 2 感染患者では,SVR24 達成後に再燃した患者は認められ
なかった.
また,HCV ジェノタイプ 2 感染患者では,投与終了時におけるウイルス学的著効達成率は投与群 6 で 83.3%,投与群 5 で
63.2%,SVR12 達成率は投与群 6 で 72.2%,投与群 5 で 57.9%であった.
投与群 1-4(ジェノタイプ 1b 感染患者)でのウイルス学的反応(SVR24)
(ITT 集団)
投与群 1
100
12
18/18(100)
81.47,100.00
投与群 2
150
12
16/18(88.9)
65.29,98.62
投与群 3
100
24
19/19(100)
82.35,100.00
投与群 4
150
24
18/18(100)
81.47,100.00
パリタプレビル投与量(mg)
投与期間(週)
n/N(%)
SVR24
95%信頼区間(%)
ウイルス学的不成功の理由,n
合計
0
2
0
0
治療中のウイルス学的不成功 a
0
0
0
0
投与終了後 24 週時までの再燃
0
1
0
0
副作用による投与中止
0
1
0
0
SVR24 の欠測
0
0
0
0
a:治療中のリバウンド(ブレイクスルー)及び HCV RNA の定量限界値未満への低下が認められなかったもの
投与群 5,6(ジェノタイプ 2 感染患者)a でのウイルス学的反応(SVR24)
(ITT 集団)
投与群 5
投与群 6
パリタプレビル投与量(mg)
100
150
投与期間(週)
12
12
n/N(%)
11/19(57.9)
13/18(72.2)
SVR24
95%信頼区間(%)
33.50,79.75
46.52,90.31
ウイルス学的不成功の理由,n
合計
8
5
治療中のウイルス学的不成功 b
7
3
投与終了後 24 週時までの再燃
1
2
副作用による投与中止
0
0
SVR24 の欠測
0
0
a:LiPA アッセイに基づいて投与群 5 及び 6(HCV ジェノタイプ 2)に割付けられた 2 例の患者が,試験期間中の
phylogenetic 法での解析により HCV ジェノタイプ 1b に感染していたことが明らかとなった.
b:治療中のリバウンド(ブレイクスルー)及び HCV RNA の定量限界値未満への低下が認められなかったもの
-19-
HCV ジェノタイプ 2 サブタイプ別の SVR24 達成率(HCV ジェノタイプ 2 感染患者)
集団
投与群 5
投与群 6
全体
10/18(55.6)
12/17(70.6)
HCV ジェノタイプ 2a
9/11(81.8)
9/9(100)
HCV ジェノタイプ 2b
1/7(14.3)
3/8(37.5)
n/N(%)
注: 本表に示したサブタイプは,各被験者から得られた NS3/4A,NS5A 又は NS5B の 1 つ以上の配列の系統樹解析
により同定した.
「全体」の集計には,系統樹解析で HCV ジェノタイプ 2 と同定された被験者のみを含めた.
ウイルス耐性
HCV ジェノタイプ 1b では,ベースライン時において,NS3 領域の 54,55,56,80,122 又は 168 位のアミノ酸変異を
持つ被験者の SVR 率は,各アミノ酸変異に対応した野生型の配列を持つ被験者の SVR 率とほぼ同程度であった.ベー
スラインに D168E 変異を持つ被験者は,SVR を達成した.ベースライン時に,NS5A 領域の 28,30,54,58,62 又は
92 位のアミノ酸変異を持つ被験者の SVR 率は,各アミノ酸変異に対応する野生型の配列を持つ被験者の SVR 率とほぼ
同程度であった.ベースライン時に L31M,Y93H の変異を持つ被験者は,いずれも SVR を達成した.
ベースライン時の NS3 及び NS5A 領域の変異とそれに対応する野生型における SVR 率の比較
ベースライン変異
SVR24 率(投与群 1,2,3,4)a
変異
野生型
n/N(%)b
NS3
24/25 (96.0)
47/48 (97.9)
1/1 (100)
70/72 (97.2)
NS5A
L28M
4/5 (80.0)
68/69 (98.5)
R30Q
7/9 (77.8)
65/65 (100)
L31M
3/3 (100)
69/71 (97.2)
P58A
1/1 (100)
71/73 (97.3)
P58L
1/1 (100)
71/73 (97.3)
P58Q
1/1 (100)
71/73 (97.3)
P58S
3/3 (100)
69/71 (97.2)
P58T
2/2 (100)
70/72 (97.2)
Y93H
4/4 (100)
68/70 (97.1)
NS3:非構造タンパク質 3,NS5A:非構造タンパク質 5A,SVR:持続性ウイルス学的著効,VF:プライマリーウイル
ス学的不成功(投薬中のウイルス学的リバウンドとなった,少なくとも 6 週間の投薬を受けたが HCV RNA 量抑制を
達成しなかった,又は 77 日以上の投薬を受けたが投与終了後に再燃した場合)
a. VF 及び非 VF の被験者を含む.
各投与群は,
投与群 1:HCV ジェノタイプ 1b 感染被験者にオムビタスビル 25mg+パリタプレビル/リトナビル 100/100mg を 12
週間 1 日 1 回経口投与
投与群 2:HCV ジェノタイプ 1b 感染被験者にオムビタスビル 25mg+パリタプレビル/リトナビル 150/100mg を 12
週間 1 日 1 回経口投与
投与群 3:HCV ジェノタイプ 1b 感染被験者にオムビタスビル 25mg+パリタプレビル/リトナビル 100/100mg を 24
週間 1 日 1 回経口投与
投与群 4:HCV ジェノタイプ 1b 感染被験者にオムビタスビル 25mg+パリタプレビル/リトナビル 150/100mg を 24
週間 1 日 1 回経口投与
投与群 5 及び 6 において各 1 例の被験者が HCV ジェノタイプ 1b 感染被験者であったため,ジェノタイプ 1b
の解析に含めた.
投与群 5:HCV ジェノタイプ 2 感染被験者にオムビタスビル 25mg+パリタプレビル/リトナビル 100/100mg を
12 週間 1 日 1 回経口投与
投与群 6:HCV ジェノタイプ 2 感染被験者にオムビタスビル 25mg+パリタプレビル/リトナビル 150/100mg を
12 週間 1 日 1 回経口投与
b. SVR 率(%)
:SVR を達成した被験者(n)とベースライン変異を持つ又は持たない被験者(N)の比率
Y56F
D168E
-20-
VF の被験者における NS3 及び NS5A 変異
NS3
NS5A
ベースライン
VF 時の発現変異 b
ベースライン
VF 時の発現変異 b
c
2
投与後 2 週に再燃
None
D168V
L28M+R30Q
L28M+R30Q+Y93H
NS3:非構造タンパク質 3,NS5A:非構造タンパク質 5A,VF:ウイルス学的不成功
a. 投与群 2(無反応例及び部分反応例)
:オムビタスビル 25mg+パリタプレビル/リトナビル 150/100mg,1 日 1 回
12 週間投与
b. VF が確認された時点から最も近い HCV RNA 量 1,000IU/mL 以上となった時点のデータ
c. None:耐性に関連したアミノ酸部位に耐性が検出されなかった.
投与群 a
HCV ジェノタイプ 2 では,ジェノタイプ 2a の治療不成功例の 2 例において,NS3 の耐性関連変異としてそれぞれ,Y56H
+D168V 及び D168Y が認められたが,NS5A の耐性関連変異は認められなかった.ジェノタイプ 2b の治療不成功例の
11 例において,多く認められた耐性関連変異は,NS3 領域の D168F,D168V 及び D168Y 並びに NS5A 領域の L28F であっ
た.
安 全 性
本剤の承認用量(オムビタスビル(錠剤)25mg+パリタプレビル(錠剤)150mg+リトナビル(カプセル剤)100mg,1
日 1 回)を投与された患者のうち,12 週間投与群で発現率が 10%以上(4 例以上)であった有害事象は,鼻咽頭炎(36.1%,
13/36 例)及び頭痛(16.7%,6/36 例)であった.24 週間投与群で発現率が 10%以上(2 例以上)であった有害事象は,
鼻咽頭炎(50.0%,9/18 例)
,発疹(16.7%,3/18 例)
,胃腸炎,インフルエンザ及び背部痛(それぞれ 11.1%,2/18 例)
であった.12 週間投与群及び 24 週間投与群で,治験薬との因果関係「関連あり」とされ,2 例以上でみられた有害事象
は,頭痛,そう痒症及び発疹であった.
治験薬との因果関係「関連あり」とされた重篤な有害事象として,本剤の承認用量(オムビタスビル 25mg+パリタプレ
ビル(錠剤)/リトナビル 150/100mg,1 日 1 回)を投与された患者の 1 例に体液貯留が認められた.この患者は Ca 拮抗
薬を併用しており,直近にグリチルリチン酸の投与を中止し,慢性気管支炎の病歴があった.本事象は約 1 ヵ月後に消
失した.
11)社内資料:日本人被験者における探索的試験(第Ⅱ相臨床試験)[承認時評価資料]
12)Chayama K,et al:Hepatology,61,5:1523-1532(2015)
注意:本剤の承認されている用法・用量は,ジェノタイプ 1:オムビタスビルとして 25mg,パリタプレビルとして 150mg 及び
リトナビルとして 100mg を含有する配合錠を食後に経口投与(1 日 1 回),投与期間は 12 週間,ジェノタイプ 2:リバ
ビリンとの併用において,オムビタスビルとして 25mg,パリタプレビルとして 150mg 及びリトナビルとして 100mg を
含有する配合錠を食後に経口投与(1 日 1 回),投与期間は 16 週間である.
(5)検証的試験
1)無作為化並行用量反応試験
該当資料なし
2)比較試験
ジェノタイプ 1〈国内第Ⅲ相〉(日本人データ)2)
【目 的】本剤の有効性及び安全性の評価
【試験デザイン】多施設共同,無作為化,二重盲検プラセボ対照[サブ試験 1(投与群 A 及び B;肝硬変の認められな
い患者)
]及び非盲検単群[サブ試験 2(投与群 C;代償性肝硬変の認められる患者)
]
【対
象】日本人の HCV ジェノタイプ 1b 感染成人患者(肝硬変有又は無)の未治療例及び既治療例 363 例
-21-
【主要な組み入れ基準】
投与群 A 及び B 肝硬変の認められない患者(肝生検で明らかに肝硬変が認められない,フィブロテスト®スコアが 0.72
以下で Aspartate Aminotransferase to Platelet Ratio Index(APRI)が 2 以下,スクリーニング時の弾性画像化検査で肝硬度
12.5 kPa 未満,慢性肝炎と肝硬変の判別式のスコアが 0 未満のいずれかに該当)
投与群 C 代償性肝硬変の認められる患者(肝生検で明らかに肝硬変が認められる,フィブロテスト®スコアが 0.73 以上
で APRI が 2 を超えた,スクリーニング時の弾性画像化検査で肝硬度 14.6kPa 以上,慢性肝炎と肝硬変の判別式が 0 を上
回る,スクリーニング時に代償性肝硬変(Child-Pugh スコア≦6 と定義)が認められる)
【試験方法】
投与群 A 二重盲検下でオムビタスビル/パリタプレビル/リトナビル 25/150/100mg を 1 日 1 回,12 週間投与
投与群 B
二重盲検下でオムビタスビル/パリタプレビル/リトナビル 25/150/100mg 併用療法のプラセボを 1 日 1 回, 12
週間投与した後,非盲検下でオムビタスビル/パリタプレビル/リトナビル 25/150/100mg を 1 日 1 回,12 週間
併用投与
投与群 C
非盲検下でオムビタスビル/パリタプレビル/リトナビル 25/150/100mg を 1 日 1 回,12 週間併用投与
【評価項目】
有 効 性 主要評価項目:投与群 A の IFN 製剤による治療に適格であり,ベースラインで高ウイルス量(HCV RNA 量
が 100,000IU/mL 以上)を示した肝硬変の認められない未治療例(有効性主要解析対象集団)
での SVR12 率に関し,臨床的に適切な閾値に対する優越性を検証した.投与群 A の SVR12
率の 95%信頼区間下限が 63%を上回った場合,優越性が示されたこととした.
副次的評価項目:治療中のウイルス学的不成功,再燃,部分集団内での SVR12 率(投与群 A 及び C)
ウイルス耐性
すべての被験者について,ベースライン時に,ポピュレーションシークエンスにより確認されたアミノ
酸配列の変異を野生型の配列と比較した.また,SVR を達成しなかった被験者について,ベースライン
後の評価時点で,ポピュレーションシークエンス及び/又はクローンシークエンスにより確認された各ア
ミノ酸配列の変異をベースライン時の配列及び野生型の配列と比較した.
安 全 性 有害事象,バイタルサイン,身体所見,心電図及び臨床検査の結果に基づき安全性及び忍容性を評価
【結
果】
安全性解析対象集団 365 例の患者背景
例数
男性(%)
年齢*(歳)
ベースラインの HCV RNA 量*
(log10IU/mL)
* 平均値(最小値~最大値)
投与群 A
215
37.2
61.1(29.0~76.0)
投与群 B
106
44.3
61.5(27.0~75.0)
投与群 C
42
47.6
61.8(38.0~76.0)
6.74(4.61~7.72)
6.68(4.27~8.01)
6.64(4.48~7.72)
有 効 性
有効性主要解析対象集団であるベースラインで高ウイルス量(HCV RNA 量が 100,000IU/mL 以上)を示した未治療の C
型慢性肝炎患者における SVR12 率は 94.6%(106/112 例,95%信頼区間:90.5%,98.8%)であり,信頼区間下限は事前
に規定した優越性の閾値(63%)を上回っていた.従って,ヴィキラックスはテラプレビル,PegIFN 及びリバビリンの
ヒストリカル SVR12 率に基づく臨床的に適切な閾値に対して優越性を示した.各投与群,部分集団別の SVR 率を下表
に示す.
-22-
オムビタスビル/パリタプレビル/リトナビル 25/150/100mg 1 日 1 回を投与した被験者の SVR12 及び SVR24(部分集団ご
と,サブ試験 1 及び 2 の ITT 集団)
オムビタスビル/パリタプレビル/リトナビル
25/150/100mg1 日 1 回の 12 週間投与 a
部分集団 b
SVR12
n/N(%)
95%信頼区間
SVR24
c
n/N(%)
95%信頼区間 c
肝硬変なし(サブ試験 1)
204/215(94.9)
91.1,97.1
203/215(94.4)
90.5,96.8
未治療例
131/139(94.2)
89.1,97.1
130/139(93.5)
88.2,96.6
主要評価項目の解析対象集団
(IFN 製剤による治療の適格例
106/112(94.6)
90.5,98.8
105/112(93.8)
87.7,96.9
-高ウイルス量 d)
低ウイルス量 d
6/6(100)
61.0,100
―
―
IFN 製剤による治療の不適格例
21/23(91.3)
73.2,97.6
―
―
IFN 製剤による既治療例
73/76(96.1)
89.0,98.6
73/76(96.1)
89.0,98.6
再燃例
21/22(95.5)
78.2,99.2
―
―
無効例
28/28(100)
87.9,100
―
―
不耐容例
24/26(92.3)
75.9,97.9
―
―
肝硬変あり(サブ試験 2)
38/42(90.5)
77.9,96.2
38/42(90.5)
77.9,96.2
ITT 集団:無作為化割付けを行い治験薬を投与したすべての被験者集団,LLOQ:定量限界下限(HCV RNA 量が
25IU/mL),SVR:持続性ウイルス学的著効(HCV RNA 量が LLOQ 未満)
,SVR12:治験薬の実際の最終投与から 12
週間が経過した時点の持続性ウイルス学的著効,肝硬変なし:肝硬変の認められない被験者,肝硬変あり:代償性肝
硬変の認められる被験者
a. 投与群 A(肝硬変なし)及び C(肝硬変あり)
b. 集計条件によって複数の部分集団(例:低ウイルス量と IFN 製剤による治療の不適格例)に被験者データを計上
した.その結果,未治療例の部分集団ごとの被験者数の総和は,未治療例の被験者の全体数を上回っている.
c. Wilson スコア法で 95%信頼区間を算出した.
d. 高ウイルス量は HCV RNA 量が 100,000IU/mL 以上と,低ウイルス量は HCV RNA 量が 100,000IU/mL 未満と定義した.
-23-
オムビタスビル/パリタプレビル/リトナビル 25/150/100mg を 1 日 1 回投与した被験者でのウイルス学的反応(SVR12,
部分集団ごと,DB 治療期にプラセボを投与した後,OL 治療期に実薬を投与した肝硬変の認められない被験者(投与群 B
の OL 集団)
)
サブ試験 1(肝硬変なし)投与群 B の OL 集団
OL 治療期のオムビタスビル/パリタプレビル/
リトナビル 25/150/100mg の 1 日 1 回投与例
N=106
a
n/N(%)
95%信頼区間 b
全被験者
104/106(98.1)
93.4,99.5
未治療例
67/68(98.5)
92.1,99.7
IFN 製剤による治療の適格例-高ウイルス量
56/56(100)
93.6,100
低ウイルス量
2/2(100)
34.2,100
IFN 製剤による治療の不適格例
9/10(90.0)
59.6,98.2
IFN 製剤による既治療例
37/38(97.4)
86.5,99.5
再燃例
10/11(90.9)
62.3,98.4
無効例
14/14(100)
78.5,100
不耐容例
13/13(100)
77.2,100
LLOQ:定量限界下限(HCV RNA 量が 25IU/mL 又は 1.39794log10IU/mL),DB 治療期:二重盲検治療期,OL 集団:非
盲検集団,OL 治療期:非盲検治療期,RNA:リボ核酸,SVR:持続性ウイルス学的著効(HCV RNA 量が LLOQ 未満)
,
SVR12:治験薬の実際の最終投与から 12 週間が経過した時点の持続性ウイルス学的著効,肝硬変なし:肝硬変の認め
られない被験者
a. 集計条件によって複数の部分集団に被験者データを計上する可能性があった(例:IFN 製剤による治療に適格で
あり,ベースラインで低ウイルス量を示す未治療例は,未治療例-低ウイルス量と未治療例-IFN 製剤による治
療の適格例の両方に該当する)
.しかし,投与群 B では複数の部分集団の選択基準に該当する被験者はいなかった.
b. Wilson スコア法で 95%信頼区間を算出した.
注 高ウイルス量は HCV RNA 量が 100,000IU/mL 以上と,低ウイルス量は HCV RNA 量が 100,000IU/mL 未満と定義
した.DAA2 剤は 12 週間投与した.
SVR12 を達成しなかった理由
投与群 A
投与群 B*
投与群 C
理由の区分,%,
(n/N)
非肝硬変患者
非肝硬変患者
代償性肝硬変患者
(215 例)
(106 例)
(42 例)
SVR12 を達成しなかった被験者
5.1(11/215)
1.9(2/106)
9.5(4/42)
治療中のウイルス学的不成功 a
0.5(1/215)
0.9(1/106)
2.4(1/42)
投与終了後 12 週までの再燃 b
2.4(5/209)
1.0(1/105)
5.0(2/40)
治験薬の投与中止
2.3(5/215)
0
0
データの欠測
0
0
2.4(1/42)
a.
治療中のウイルス学的不成功は,ウイルス学的リバウンド(HCV RNA 量が一旦 LLOQ 未満に低下した後,治療
中に LLOQ 以上となったことが認められた,又は治療中の任意の時点で HCV RNA 量の最低値からの増加[最低
値と比べ 1log10IU/mL を上回る高値]が認められた)となった場合,又は治療を 6 週間以上行ったが HCV RNA
量の LLOQ 未満への低下の不達成(治療中の HCV RNA 量がいずれも LLOQ 以上)となった場合と定義した.
b.
投与終了後 12 週までの再燃は,DB 治療期の治験薬の投与終了時点で HCV RNA 量が LLOQ 未満であったが,治
験薬(実薬)の実際の投与終了から投与終了後 12 週までに測定した HCV RNA 量が LLOQ 以上となった場合と
定義した.
* DB 治療期にプラセボを投与した後,OL 治療期に実薬を投与した肝硬変の認められない被験者(投与群 B の OL
集団)
ウイルス耐性
ベースライン時において,NS3 領域の 54,55,56,80,122 又は 168 位のアミノ酸変異を持つ被験者の SVR 率は,各ア
ミノ酸変異に対応した野生型の配列を持つ被験者の SVR 率とほぼ同程度であった.ベースラインに D168E 変異を持つ
被験者は,いずれも SVR を達成した.
ベースライン時に,NS5A 領域の 28,30,54,58,62 又は 92 位のアミノ酸変異を持つ被験者の SVR 率は,各アミノ酸
変異に対応する野生型の配列を持つ被験者の SVR 率とほぼ同程度であった.
-24-
ベースライン時に L31F/I/M の変異をもつ 8/9 例(88.9%)の被験者は,いずれも SVR を達成し,SVR を達成しなかった
1/9 例の被験者には,Y93H 及び L31M の変異がみられた.ベースライン時に NS5A 領域の Y93H/S 変異を持つ被験者は,
14.0%(50/357 例)であり,ベースラインにおける Y93H/S 変異を持つ被験者の SVR 率は,投与群 A86.7%(26/30 例)
,
投与群 B80.0%(8/10 例)
,投与群 C71.4%(5/7 例)であった.
ベースライン時の NS3 及び NS5A 耐性変異と対応する野生型における SVR 率の比較
ベースライン変異
NS3
T54S
V55I
Y56F
Q80H/K/L/R
S122?/A/C/G/I/N/T/
V/Yc
D168E
SVR12 率
SVR12 率
SVR12 率
サブ試験 1,投与群 A
サブ試験 1,投与群 B
サブ試験 2,投与群 C
(肝硬変の認められない被験者) (肝硬変の認められない被験者) (代償性肝硬変の被験者)
盲検,オムビタスビル/パリタ
非盲検,オムビタスビル/
非盲検,オムビタスビル /
プレビル/リトナビル 1 日 1 回
パリタプレビル/リトナビル
パリタプレビル/リトナビル
投与 a
1 日 1 回投与 a
1 日 1 回投与 a
変異
野生型
P値
変異
野生型
P値
変異
野生型
P値
n/N(%)b
n/N(%)b
n/N(%)b
12/12
(100)
1/1
(100)
76/78
(97.4)
26/27
(96.3)
76/79
(96.2)
3/3
(100)
188/194
(96.9)
199/205
(97.1)
124/128
(96.9)
174/179
(97.2)
124/127
(97.6)
197/203
(97.0)
1.0
1/1
(100)
100/102
(98.0)
1.0
-
-
37/38
(97.4)
11/12
(91.7)
36/37
(97.3)
64/65
(98.5)
90/91
(98.9)
65/66
(98.5)
-
-
1.0
0.574
0.677
1.0
1.0
1.0
0.22
1.0
1/1
(100)
33/36
(91.7)
-
-
10/11
(90.9)
4/4
(100)
15/18
(83.3)
1/1
(100)
24/26
(92.3)
30/33
(90.9)
19/19
(100)
33/36
(91.7)
1.0
1.0
1.0
0.105
1.0
NS5A
18/18
183/189
12/13
90/91
4/4
33/36
1.0
0.235
1.0
(100)
(96.8)
(92.3) (98.9)
(100)
(91.7)
25/25
176/182
18/19
84/85
4/4
33/36
R30G/L/Q
1.0
0.333
1.0
(100)
(96.7)
(94.7) (98.8)
(100)
(91.7)
5/5
196/202
2/2
100/102
1/2
36/38
L31F/I/M
1.0
1.0
0.146
(100)
(97.0)
(100)
(98.0)
(50.0)
(94.7)
Q54*/A/C/D/E/H/K
81/82
120/125
45/46
57/58
20/21
17/19
0.406
1.0
0.596
/L/N/P/R/S/V/Yc
(98.8)
(96.0)
(97.8) (98.3)
(95.2)
(89.5)
14/14
187/193
9/9
93/95
2/2
35/38
P58A/L/Q/R/S/T
1.0
1.0
1.0
(100)
(96.9)
(100)
(97.9)
(100)
(92.1)
Q62A/C/D/E/H/L/
26/27
175/180
6/6
96/98
2/2
35/38
0.572
1.0
1.0
M/N/P/R/S/Y
(96.3)
(97.2)
(100)
(98.0)
(100)
(92.1)
14/14
187/193
7/7
95/97
4/5
33/35
A92E/M/S/T/V
1.0
1.0
0.338
(100)
(96.9)
(100)
(97.9)
(80.0)
(94.3)
26/30
175/177
0.004
8/10
94/94
0.008
5/7
32/33
Y93H/S
0.074
(86.7)
(98.9)
**
(80.0)
(100)
**
(71.4)
(97.0)
LLOQ=定量限界下限(HCV RNA 量が 25IU/mL 又は 1.39794log10IU/mL),VF=ウイルス学的不成功,SVR=持続性
ウイルス学的著効(投薬前又は投薬中に LLOQ 以上の HCV RNA 量が認められ,定義された期間中の HCV RNA 量が
LLOQ 未満)
,SVR12=治験薬の最終投与から 12 週間が経過した時点の持続性ウイルス学的著効
a.
Non-VF の被験者は,解析から除外した.
b.
SVR12 率(%)
:SVR12 を達成した被験者(n)とベースライン変異を持つ又は持たない被験者(N)の比率
c.
?:技術的な問題からアミノ酸配列が同定されず,*:終止コドン
** :変異及び野生型の SVR12 率にフィッシャー直接検定により統計学的有意差あり(P<0.01)
L28I/M/V
-25-
VF の被験者における NS3 及び NS5A 耐性関連変異
NS3
NS5A
ベースライン
VF 時の発現変異 b
ベースライン
VF 時の発現変異 b
A
6 週にリバウンド
None
Y56H+D168V
None
Y93H
A
投与後 2 週に再燃
None
Y56H+D168V
Y93H/Y
Y93H
A
投与後 4 週に再燃
None
D168V
None
Y93H
A
投与後 2 週に再燃
None
D168D/V
Y93H
Y93H
A
投与後 12 週に再燃
None
D168V
Y93H/Y
P58S+Y93H
A
投与後 8 週に再燃
None
None
Y93H/Y
R30Q+Y93H
A
投与後 24 週に再燃
None
D168V
Y93H/Y
Y93H
B
12 週にリバウンド
None
Y56H,D168V
Y93H
P58S,Y93H
B
投与後 2 週に再燃
None
Y56H,D168A
L28M,R30Q,Y93H/Y L28M,R30Q,Y93H
C
投与後 8 週に再燃
None
D168D/V
L31M,Y93H/Y
L31M+Y93H
C
10 週にリバウンド
None
Y56H/Y,D168A
Y93H
L31V+Y93H
C
投与後 8 週に再燃
None
D168V
None
L31F
NS3:非構造タンパク質 3,NS5A:非構造タンパク質 5A,VF:ウイルス学的不成功
a. サブ試験 1 投与群 A 及び投与群 B(肝硬変の認められない患者)
:オムビタスビル 25mg+パリタプレビル/リトナ
ビル 150/100mg,1 日 1 回 12 週間投与
サブ試験 2 投与群 C(代償性肝硬変の認められる患者):オムビタスビル 25mg+パリタプレビル/リトナビル
150/100mg,1 日 1 回 12 週間投与
b. VF が確認された時点から最も近い HCV RNA 量 1,000IU/mL 以上となった時点のデータ
投与群 a
安 全 性
本剤との関連が否定できない副作用(臨床検査値異常を含む)は 363 例中 105 例(28.9%)であった.主な副作用とし
て末梢性浮腫 15 例(4.1%)
,頭痛 12 例(3.3%)
,悪心 10 例(2.8%)が認められた.
(「Ⅷ.8.(4) 項目別副作用発現頻
度及び臨床検査値異常一覧」の項参照)
肝硬変の有無にかかわらず,血液学的検査値,バイタルサイン及び心電図において臨床的に重要な異常所見はみられな
かった.
因果関係が「関連あり」とされた重篤な有害事象は,3 例に認められた.投与群 A の 1 例は,高血圧の病歴がありバル
サルタン及びニフェジピンで治療中であった.この患者は投与 2 日目に発現した低血圧により入院し治験薬の投与を中
止した.本事象は投与 9 日目に消失した.また,この症例とは別の投与群 A の 1 例では,高血圧に対してアンジオテン
シンⅡ受容体拮抗薬及び Ca 拮抗薬で治療中であった.具体的には,高血圧症を含む合併症等に対してニフェジピン,バ
クロフェン,テルミサルタン,ロキソプロフェン及びウルソデオキシコール酸等を併用していた.この患者は投与 2 日
目に発現した無尿により入院し同日に治験薬の投与を中止した.本事象は投与 4 日目に消失した.投与群 C の 1 例では,
投与 25 日目に発現した肺水腫により入院し,投与 28 日目に治験薬の投与を中止した.この患者は高血圧,扁平苔癬及
び汗孔角化症を有し,アムロジピン,イルベサルタン,グリチルリチン酸製剤を併用し,呼吸器感染症様の症状から成
人呼吸窮迫症候群を呈した.本事象は治験薬投与中止後に消失した.
2)Kumada H,et al:Hepatology,62,4:1037-1046(2015)
-26-
ジェノタイプ 2
〈国内第Ⅲ相〉(日本人データ)4)
【目
的】本剤の有効性及び安全性の評価
【試験デザイン】多施設共同,無作為化,非盲検試験
象】日本人の HCV ジェノタイプ 2 感染成人患者(代償性肝硬変患者含む)の未治療例及び既治療例 171 例
【対
【主要な組み入れ基準】
HCV ジェノタイプ 2 に慢性的に感染し,血漿中 HCV RNA 量がベースラインで 10,000IU/mL を上回る患者.
肝硬変の認められない患者に対する選択基準
肝生検により肝硬変がない,又はフィブロテスト®のスコアが 0.72 以下
であり APRI が 2 以下,スクリーニング期間中の弾性画像化検査の結果が 12.5kPa 未満,
「慢性肝炎と肝硬変の判別式」
の計算結果が 0 未満のいずれかに該当
代償性肝硬変の認められる患者に対する選択基準
肝生検により肝硬変がある,又はフィブロテスト ®のスコアが 0.73
以上であり APRI が 2 を上回る,スクリーニング期間中の弾性画像化検査の結果が 14.6kPa 以上,
「慢性肝炎と肝硬変の
判別式」の計算結果が 0 を上回る,スクリーニング時に代償性肝硬変(Child-Pugh スコア≦6 と定義)がある,のいずれ
かに該当
【試験方法】
投与群 A オムビタスビル/パリタプレビル/リトナビル 25/150/100mg を 1 日 1 回,リバビリン*を 1 日 2 回,12 週間投与
投与群 B オムビタスビル/パリタプレビル/リトナビル 25/150/100mg を 1 日 1 回,リバビリン*を 1 日 2 回,16 週間投与
*:リバビリンの添付文書に従い,体重に基づく一日量のリバビリン(400mg から 1000mg)を 2 回に分けて投与した.
【評価項目】
有
効
性 主要評価項目:肝硬変の認められない未治療例(有効性主要解析対象集団)での SVR12 率に関し,それぞ
れ投与群ごとに臨床的に適切な閾値に対する優越性を検証した.SVR12 率の 95%信頼区間
下限が 67%を上回った場合,優越性が示されたこととした.
副次的評価項目:治療中のウイルス学的不成功,再燃,部分集団別の SVR12 率
ウイルス耐性
すべての被験者について,ベースライン時におけるポピュレーションシークエンスにより確認されたア
ミノ酸配列の変異を標準プロトタイプ配列と比較した.また,SVR を達成しなかった患者について,ベー
スライン後の評価時点で,ポピュレーションシークエンス及び/又はクローンシークエンスにより確認さ
れた各アミノ酸配列の変異をベースライン時の配列及び標準プロトタイプ配列と比較した.
安
全
【結
性 有害事象,バイタルサイン,身体検査,心電図及び臨床検査の結果に基づき安全性及び忍容性を評価
果】
安全性解析対象集団 171 例の患者背景
例数
男性(%)
年齢*(歳)
ベースラインの HCV RNA 量*
(log10IU/mL)
* 平均値(最小値~最大値)
有
効
投与群 A
85
52.9
58.3(19.0~75.0)
投与群 B
86
44.2
57.6(27.0~76.0)
6.47(2.42~7.55)
6.57(3.62~7.60)
性
有効性主要解析対象集団での SVR12 率は,投与群 B で 91.5%(43/47 例,95%信頼区間:83.5%,99.5%)
,投与群 A で
75.0%(36/48 例,95%信頼区間:62.8%,87.2%)であった.信頼区間下限は,投与群 B で事前に規定した優越性の閾
値(67%)を上回ったが,投与群 A では上回らなかった.従って,オムビタスビル/パリタプレビル/リトナビル+リバビ
-27-
リンの 16 週間投与では,肝硬変の認められない未治療例での PegIFN 及びリバビリンのヒストリカル SVR 率に基づく臨
床的に適切な閾値に対して優越性が示された.また,治療中のウイルス学的不成功が認められた患者の割合は,投与群
A で 15.3%(13/85 例)
,投与群 B で 16.3%(14/86 例)であった.後観察 12 週までの再燃が認められた患者の割合は,
投与群 A で 10.1%(7/69 例)であり,投与群 B では認められなかった.各投与群,部分集団別の SVR12 率を下表に示
す.
肝硬変の認められない未治療患者の 16 週間投与における SVR12 率
「Ⅴ.3.(2)臨床効果」の項参照
オムビタスビル/パリタプレビル/リトナビル 25/150/100mg1 日 1 回+リバビリンを投与した被験者の SVR12(部分集団
ごと,ITT 集団)
投与群 A
投与群 B
オムビタスビル/パリタプレビル/
オムビタスビル/パリタプレビル/
リトナビル 25/150/100mg の
リトナビル 25/150/100mg の
1 日 1 回投与+リバビリン a の
1 日 1 回投与+リバビリン a の
12 週間投与
16 週間投与
N=85
N=86
n/N(%)
95%信頼区間 b
n/N(%)
95%信頼区間 b
全被験者
62/85(72.9)
62.7,81.2
70/86(81.4)
71.9,88.2
肝硬変なし
58/80(72.5)
61.9,81.1
68/80(85.0)
75.6,91.2
未治療例 c
36/48(75.0)
61.2,85.1
43/47(91.5)
80.1,96.6
既治療例
22/32(68.8)
51.4,82.0
25/33(75.8)
59.0,87.2
再燃例
12/15(80.0)
54.8,93.0
15/16(93.8)
71.7,98.9
無効例
2/5 (40.0)
11.8,76.9
3/6 (50.0)
18.8,81.2
IFN 製剤による治療の不耐容例
8/12(66.7)
39.1,86.2
7/11(63.6)
35.4,84.8
肝硬変あり
4/5 (80.0)
37.6,96.4
9.7,70.0
2/6 (33.3)
SVR12:治験薬の実際の最終投与から 12 週間が経過した時点の持続性ウイルス学的著効
a. 添付文書に従い,400mg から 1000mg を 1 日 2 回に分けて投与
b. Wilson スコア法で 95%信頼区間を算出した.
c. ITT 集団のうち,肝硬変の認められない未治療例を有効性主要解析対象集団とした.
SVR12 を達成しなかった理由
理由の区分,n/N(%)
投与群 A
(85 例)
23/85(27.1)
13/85(15.3)
13/85(15.3)
投与群 B
(86 例)
16/86(18.6)
14/86(16.3)
13/86(15.1)
SVR12 を達成しなかった被験者
治療中のウイルス学的不成功 a
ウイルス学的リバウンド a
HCV RNA 量の LLOQ 未満への
4/85(4.7)
4/86(4.7)
低下の不達成 a
投与終了後 12 週までの再燃 b
7/69(10.1)
0/70
治験薬の投与中止
3/85(3.5)
2/86(2.3)
a.
治療中のウイルス学的不成功は,ウイルス学的リバウンド(HCV RNA 量が一旦 LLOQ 未満に低下した後,治療
中に LLOQ 以上となったことが認められた,又は治療中の任意の時点で HCV RNA 量の最低値からの増加[最低
値と比べ 1log10IU/mL を上回る高値]が認められた)となった場合,又は治療を 6 週間以上行ったが HCV RNA
量の LLOQ 未満への低下の不達成(治療中の HCV RNA 量がいずれも LLOQ 以上)となった場合と定義した.
b.
投与終了後 12 週までの再燃は,治験薬の投与終了時点で HCV RNA 量が LLOQ 未満であったが,治験薬の実際
の投与終了から投与終了後 12 週までに測定した HCV RNA 量が LLOQ 以上となった場合と定義した.治験薬の
投与終了時点は,投与群 A では治験薬の投与開始から 77 日以上経過した時点,投与群 B では 105 日以上経過し
た時点とした.
-28-
オムビタスビル/パリタプレビル/リトナビル 25/150/100mg1 日 1 回+リバビリンを投与した被験者のサブタイプ別の
SVR12(部分集団ごと,ITT 集団)
投与群 A
投与群 B
オムビタスビル/パリタプレビル/
オムビタスビル/パリタプレビル/
リトナビル 25/150/100mg の
リトナビル 25/150/100mg の
1 日 1 回投与+リバビリンの
1 日 1 回投与+リバビリンの
n/N(%)
12 週間投与
16 週間投与
N=84
N=85
HCV ジェノタイプ
HCV ジェノタイプ
HCV ジェノタイプ
HCV ジェノタイプ
2a a(N=54)
2b a(N=30)
2a a(N=51)
2b a(N=34)
全被験者
46/54(85.2)
15/30(50.0)
47/51(92.2)
22/34(64.7)
肝硬変なし
43/51(84.3)
14/28(50.0)
46/49(93.9)
21/30(70.0)
未治療例
24/29(82.8)
12/19(63.2)
31/33(93.9)
12/14(85.7)
既治療例
19/22(86.4)
2/ 9(22.2)
15/16(93.8)
9/16(56.3)
SVR12:治験薬の実際の最終投与から 12 週間が経過した時点の持続性ウイルス学的著効
a. 系統樹解析によりサブタイプを同定した.
ウイルス耐性
本試験で採取したすべての検体について,ベースライン時での塩基配列解析を実施した.HCV ジェノタイプ 2a 及び HCV
ジェノタイプ 2b の検体とも,NS3 領域では,既存の耐性関連変異はごくわずかしか検出されなかった.NS5A 領域の変
異として,HCV ジェノタイプ 2a 感染患者では T24A/S,HCV ジェノタイプ 2b 感染患者では L28F が 10%~11%の患者
にみられた.HCV ジェノタイプ 2a 又はジェノタイプ 2b 感染患者で検出されたベースライン時での NS3 領域又は NS5A
領域の多型は,治療結果に大きな影響を及ぼさなかった.治療中のウイルス学的不成功が認められた HCV ジェノタイプ
2a 感染患者のうち,ベースライン後に塩基配列データが得られた 5 例では,治療不成功時に NS3 領域で D168,NS5A 領
域で T24A,F28S,L31I/V 又は C92S の変異が検出された.ウイルス学的不成功が認められた HCV ジェノタイプ 2b 感
染患者 26 例のうち 24 例において,治療不成功時に NS3 領域で D168 の変異が検出された.また,ウイルス学的不成功
が認められた HCV ジェノタイプ 2b 感染患者 26 例で治療不成功時に検出された NS5A 領域の変異は,L28F,L/M31I/V,
C92S/T/Y 又は Y93H であった.
-29-
ベースライン時の NS3 又は NS5A 耐性関連変異と対応する野生型における SVR 率の比較
評価対象
ベースライン
変異
変異あり b
野生型
n/N(%)
ジェノタイプ 2ac
NS3
NS5A
SVR12 率 a
投与群 A,オ ム ビ タ ス ビ ル /
パリタプレビル/リトナビル
25/150/100mg の 1 日 1 回 投 与 +
リバビリン
Y56F
-
D168E
-
T24A/S
F28C/L
K30R
L31I/M
P58H/S
C92S
4/5
(80.0)
1/1
(100)
43/49
(87.8)
2/2
(100)
1/2
(50.0)
45/51
(88.2)
45/51
(88.2)
42/47
(89.4)
45/51
(88.2)
46/52
(88.5)
3/3
(100)
44/50
(88.0)
45/50
(90.0)
P値
0.473
1.0
1.0
1.0
0.219
SVR12 率 a
投与群 B,オムビタスビル /
パリタプレビル/リトナビル
25/150/100mg の 1 日 1 回投与+
リバビリン
変異あり b
野生型
n/N(%)
0/1
1/1
(100)
6/6
(100)
2/2
(100)
1/1
(100)
43/46
(93.5)
1/1
(100)
-
46/48
(95.8)
45/48
(93.8)
41/44
(93.2)
45/48
(93.8)
46/49
(93.9)
4/4
(100)
46/49
(93.9)
47/50
(94.0)
P値
0.061
1.0
1.0
1.0
1.0
1.0
1.0
-
ジェノタイプ 2bc
1/2
14/27
22/30
1.0
0/2
0.091
(50.0)
(51.9)
(73.3)
3/5
12/24
1/2
20/30
NS5A
L28F
1.0
1.0
(60.0)
(50.0)
(50.0)
(66.7)
1/1
14/28
1/1
20/31
K30R
1.0
1.0
(100)
(50.0)
(100)
(64.5)
5/8
10/21
4/5
17/27
M31I/L
0.682
0.637
(62.5)
(47.6)
(80.0)
(63.0)
1/1
14/28
1/2
20/30
P58S/T
1.0
1.0
(100)
(50.0)
(50.0)
(66.7)
2/3
13/26
21/32
C92S
1.0
(66.7)
(50.0)
(65.6)
NS3=非構造たん白質 3,NS5A=非構造たん白質 5A,SVR12=治験薬の最終投与から 12 週間が経過した時点の持続
性ウイルス学的著効
a.
SVR12 率(%)
:解析から除外した non-VF 被験者を除いた野生型ベースライン配列又はベースライン変異配列を
持つ被験者数(N)に対する SVR12 達成の被験者数(n)の割合
b.
NS3 の 56,155,156,168 位のベースライン変異又は NS5A の 24,28,30,31,32,58,92,93 位のベースライ
ン変異を持つ被験者を含めた.
c.
サブタイプは系統樹解析により決定した.
NS3
Y56F/H
-30-
VF の被験者における NS3 及び NS5A 耐性関連変異
投与群 a
治療歴
無効となった理由
NS3
ベースライン VF 時の発現変異
NS5A
b,c
ベースライン VF 時の発現変異 b,c
HCV ジェノタイプ 2a
投与群 A–
T24A,L31M, T24A+L31M+
既治療
8 週にリバウンド
none d
Y56H/Y,D168V
12 週
C92C/S
C92S
既治療
投与後 8 週に再燃
none
none
L31M
L31M
未治療
8 週にリバウンド
none
D168Y
L31M
F28S+L31M
未治療
投与後 4 週に再燃
none
none
L31M
L31M
未治療
投与後 8 週に再燃
none
none
L31M
L31M
投与群 B–
既治療
6 週にリバウンド
Y56F
Y56F+D168E
L31M
T24A,L31I/M/V
16 週
未治療
16 週にリバウンド
none
D168A
L31M
F28S+L31M
未治療
10 週にリバウンド
none
D168E
L31M
F28S+L31M
HCV ジェノタイプ 2b
投与群 A–
未治療
投与後 4 週に再燃
none
D168V
none
M31V+C92S
12 週
未治療
投与後 24 週に再燃
none
none
P58S
L28F
未治療
10 週にリバウンド
none
D168A/D/F/S/V/Y
none
L28F
未治療
投与後 2 週に再燃
none
D168V
L28F+C92S
L28F+C92S
未治療
投与後 2 週に再燃
none
none
none
L28F
既治療
4 週にリバウンド
none
D168V
M31L
M31L+C92Y
既治療
抑制せず
none
D168A/D/F/S/V/Y
none
L28F
既治療
抑制せず
Y56H/Y
D168A/D/F/S/V/Y
L28F
L28F
既治療
12 週にリバウンド
none
D168V
none
M31V
未治療
10 週にリバウンド
none
D168Y
M31L
M31L+Y93H
既治療
2 週にリバウンド
none
D168A/D/F/S/V/Y
none
L28F
既治療
抑制せず
none
D168D/F/V/Y
none
L28F,C92C/S/T
未治療
8 週にリバウンド
none
D168Y
none
L28F
既治療*
抑制せず
none
D168V
M31L
L28F,M31L/V
既治療
10 週にリバウンド
none
D168Y
none
L28F
投与群 B–
既治療
6 週にリバウンド
Y56F
Y56F,D168A/T
none
L28F
16 週
既治療*
6 週にリバウンド
none
D168Y
none
L28F,M31I/M
既治療
抑制せず
NA
D168D/F/V/Y
L28F/L
L28F
未治療
10 週にリバウンド
none
D168Y
P58P/S/T
L28F,M31I/M
既治療
抑制せず
none
D168Y
none
L28F
既治療*
2 週にリバウンド
none
D168A/D/H/L/P/V
none
L28F
既治療*
抑制せず
Y56F
Y56F,D168D/V
M31L
M31L/V,Y93H/Y
既治療
6 週にリバウンド
none
D168V
none
L28F
未治療
4 週にリバウンド
none
D168Y
none
L28F+M31I
既治療
6 週にリバウンド
none
D168N/S/T/Y
none
L28F,M31I/M
既治療
抑制せず
none
D168V
none
L28F,M31I/M
VF=ウイルス学的不成功,NA=技術的理由によりシークエンスが得られなかった.
a. M14-153 試験:オムビタスビル/パリタプレビル/リトナビル 25/150/100mg の 1 日 1 回投与+リバビリン(添付文
書に従い,400mg から 1000mg を 1 日 2 回に分けて投与)
b. RNA 量が 1000IU/mL 以上で最も VF 時に近い時点
c. 参照配列に記載されている NS3 の 55,56,155,156,168 位,NS5A の 24,28,30,31,32,58,92,93 位の変異
d. none:耐性関連部位に変異がみられなかった.
* 代償性肝硬変例
-31-
安
全
性
国内第Ⅲ相試験においてジェノタイプ 2 の C 型慢性肝炎患者で副作用(臨床検査値異常を含む)
は 160 例中 98 例
(61.3%)
に認められた.主な副作用として貧血 36 例(22.5%)
,血中ビリルビン増加 29 例(18.1%)
,そう痒 14 例(8.8%)が認
められた.
(承認時)
肝硬変の認められない被験者に発現し,治験責任医師により治験薬との因果関係「関連あり」と判断された有害事象は,
約半数の被験者に認められた.オムビタスビル/パリタプレビル/リトナビルと「関連あり」が 50.0%,リバビリンと「関
連あり」が 55.6%であった.有害事象の重症度は,肝硬変の認められない被験者の大部分において,最高でグレード 1
又は 2 であった.
肝硬変の認められない被験者で発現し,オムビタスビル/パリタプレビル/リトナビルとの因果関係「関連あり」と判断さ
れた有害事象のうち,最も発現率が高かった事象は血中ビリルビン増加(18.1%)であった.オムビタスビル/パリタプ
レビル/リトナビルとの因果関係「関連あり」と判断され,肝硬変の認められない被験者全体での発現率が 5.0%以上で
あった有害事象は,血中ビリルビン増加,そう痒症,倦怠感,貧血,ヘモグロビン減少,網状赤血球数増加及び頭痛で
あった.
死亡は認められなかった.オムビタスビル/パリタプレビル/リトナビル又はリバビリンとの因果関係「関連あり」と判断
された重篤な有害事象はなかった.
オムビタスビル/パリタプレビル/リトナビル+リバビリン併用投与で,中断に至った有害事象は,投与群 A には認められ
ず,投与群 B の肝硬変の認められない被験者 1 例に発現した.本被験者では,治療期の投与 2 日目から 4 日目に非重篤
なグレード 1 の悪心が発現した.この事象により投与 3 日目に治験薬の投与を中断し,投与 4 日目から再開した.治験
責任医師により,本事象はオムビタスビル/パリタプレビル/リトナビルと因果関係「関連あり」,リバビリンと因果関係
「関連なし」と判断された.
4)社内資料:日本人被験者における有効性試験(セログループ 2 を対象とした第Ⅲ相臨床試験)[承認時評価資料]
注意:本剤の承認されている用法・用量は,ジェノタイプ 1:オムビタスビルとして 25mg,パリタプレビルとして 150mg 及び
リトナビルとして 100mg を含有する配合錠を食後に経口投与(1 日 1 回),投与期間は 12 週間,ジェノタイプ 2:リバ
ビリンとの併用において,オムビタスビルとして 25mg,パリタプレビルとして 150mg 及びリトナビルとして 100mg を
含有する配合錠を食後に経口投与(1 日 1 回),投与期間は 16 週間である.
3)安全性試験
該当資料なし
4)患者・病態別試験
該当資料なし
(6)治療的使用
1)使用成績調査・特定使用成績調査(特別調査)
・製造販売後臨床試験(市販後臨床試験)
該当しない
2)承認条件として実施予定の内容又は実施した試験の概要
該当しない
-32-
Ⅵ.薬効薬理に関する項目
1.薬理学的に関連ある化合物又は化合物群
抗ウイルス剤:テラプレビル,シメプレビルナトリウム,アスナプレビル,ダクラタスビル塩酸塩,レジパスビル,ソ
ホスブビル,バニプレビル
2.薬理作用
(1)作用部位・作用機序 13),14)
オムビタスビルは,ウイルス複製に必須な HCV NS5A 阻害剤である.パリタプレビルは,HCV 遺伝子にコードされる
複合タンパク質のプロセシング及びウイルス複製に必須な HCV NS3/4A プロテアーゼの阻害剤である.リトナビルは,
パリタプレビルの代謝を抑制し血漿中濃度を上昇させる.
※ヴィキラックスは,リトナビルをパリタプレビルのブースターとして配合している.
(2)薬効を裏付ける試験成績
1)抗ウイルス活性 15),16),17),18),19),20)
オムビタスビル(in vitro)
オムビタスビルは,HCV レプリコン細胞においてレプリコン複製を阻害し,ジェノタイプ 1a(H77 由来)及び 1b(Con1
由来)に対する EC50 値は,それぞれ,14.1 及び 5.0pmol/L であった.また,オムビタスビルは,HCV ジェノタイプ 3a,
4a,5a 及び 6a 由来の NS5A を含むレプリコン細胞においてもレプリコン複製を阻害し,EC50 値は,それぞれ,19,1.7,
3.2 及び 366pmol/L であった.また,オムビタスビルは,HCV レプリコン細胞において,レプリコン複製を阻害し,ジェ
ノタイプ 2a 及び 2b に対する EC50 値は,それぞれ,12 及び 4.3pmol/L であった.
パリタプレビル(in vitro)
酵素阻害試験において,パリタプレビルは HCV ジェノタイプ 1a 及び 1b NS3 プロテアーゼを阻害し,IC50 値は,それぞ
れ,0.18 及び 0.43nmol/L であった.また,パリタプレビルは,HCV ジェノタイプ 3a 及び 4a 由来の精製 NS3 プロテアー
ゼも阻害し,その IC50 値は,それぞれ,14.5 及び 0.16nmol/L であった.また,パリタプレビルは,HCV ジェノタイプ
2a 及び 2b 由来の複製 NS3 及び NS4A プロテアーゼを阻害し,その IC50 値は,それぞれ,2.4 及び 6.3nmol/L であった.
これとは別にパリタプレビルは,HCV レプリコン細胞においてレプリコン複製を阻害し,ジェノタイプ 1a(H77 由来)
及び 1b(Con1 由来)に対する EC50 値は,それぞれ,1.0 及び 0.21nmol/L であった.また,パリタプレビルは,ジェノ
タイプ 2a(JFH-1 由来)レプリコン細胞及び 2b キメラレプリコン細胞においてもレプリコン複製を阻害し,EC50 値はそ
れぞれ,5.3 及び 107nmol/L であった.パリタプレビルは,HCV ジェノタイプ 3a,4a 及び 6a 由来の NS3 を含むレプリ
コン細胞においてレプリコン複製を阻害し,EC50 値は,それぞれ,19,0.09 及び 0.68nmol/L であった.しかしながらリ
トナビルは,HCV ジェノタイプ 1 レプリコン細胞において抗 HCV 活性を示さず,またパリタプレビルの抗 HCV 活性に
影響を与えなかった.
HCV ジェノタイプ 2 レプリコン細胞におけるリトナビル及びリバビリンとの併用効果は評価していない.
オムビタスビルとパリタプレビルは併用により,HCV ジェノタイプ 1 レプリコン細胞において,検討したほとんどの濃
度で相加的ないし相乗的な併用効果を示した.また,HCV ジェノタイプ 2a(JFH-1 由来)レプリコン細胞において,オ
ムビタスビルとパリタプレビルを各薬剤の EC50 値の 10 倍量の用量で併用したとき,各薬剤を EC50 値の 100 倍量の用量
で添加したときと比較して 2000 倍超の生存コロニー数の減少がみられた.
2)薬剤耐性 2),16),18),20),21)
ジェノタイプ 1
国内第Ⅲ相臨床試験では,ジェノタイプ 1b の HCV に感染した C 型慢性肝炎患者を対象にヴィキラックスを投与した.
しかし,
ウイルス学的不成功による SVR12 未達成の患者でオムビタスビルに対する耐性変異(NS5A 領域の L31F,Y93H,
R30Q 単独,あるいは L31M/V 又は P58S 及び Y93H との二重変異)及びパリタプレビルに対する耐性変異(NS3 領域の
-33-
D168V 単独又は Y56H との二重変異)がウイルス学的不成功時点で認められた.
これとは別に,HCV ジェノタイプ 1 レプリコン細胞をオムビタスビル又はパリタプレビル存在下で継代培養したときに
も変異が発現した.認められた変異は,それぞれ NS5A 又は NS3 領域のアミノ酸置換であった.NS5A 領域の変異を具
体的に記すと,オムビタスビル存在下の継代培養で Y93H 単独,R30Q 又は L31M と Y93H との二重変異が認められた.
耐性試験では,L31F 又は Y93H の単独変異によりオムビタスビルに対する耐性はそれぞれ 10 倍,77 倍に上昇し,R30Q,
L31M/V 又は P58S と Y93H との二重変異では 142~12,328 倍にまで上昇した.HCV ジェノタイプ 1b レプリコン細胞に
おいて,NS3 の A156T 及び D168H/V 変異が主に認められた.A156T 又は D168A/H/V 耐性変異によりパリタプレビルの
EC50 値はそれぞれ,野生型の 7 倍又は 27~159 倍に上昇し,D168A/V-Y56H 二重変異により野生型の 700~2472 倍に上
昇した.
HCV ジェノタイプ 1b レプリコン細胞における NS3 領域の耐性変異の検討
GT1bNS3
EC50
例数
アミノ酸変異
(nmol/L±標準偏差)
1b-Con1 野生型
12
0.11±0.05
T54A
4
0.09±0.01
T54S
4
nd
V55A
4
0.07±0.0
Y56H
6
nd
R155K
4
4.4±0.1
R155Q
4
nd
A156S
4
0.06±0.01
A156T
4
0.81±0.13
D168A
6
3.0±0.2
D168E
4
0.48±0.05
D168H
4
8.3±3.3
D168K
4
96±3
D168T
4
5.4±0.6
D168V
4
17±2
D168Y
4
37±11
V170A
4
0.09±0.03
Y56H+D168A
6
77±1.4
Y56H+D168V
6
272±48
Y56H+D168Y
6
453±85
nd:複製量が低いため評価せず
EC90
(nmol/L±標準偏差)
0.26±0.07
0.41±0.04
nd
0.31±0.05
nd
17±3
nd
0.30±0.01
3.4±0.6
11.0±0.3
1.1±0.2
16±7
203±8
15±0.3
40±6
57±32
0.29±0.15
219±51
519±69
591±55
耐性度
(野生型 EC50 との比)
0.8
nd
0.6
nd
40
nd
0.5
7
27
4
76
882
49
159
337
1
700
2472
4118
複製量
(%)
100
59
<0.5
14
<0.5
73
<0.5
61
19
69
80
108
50
129
157
70
64
6
22
8
HCV ジェノタイプ 1b-Con1 レプリコン細胞における NS5A 領域の耐性変異の検討
GT1bNS5A
EC50
例数
アミノ酸変異
(pmol/L±標準偏差)
1b-Con1 野生型
12
0.79±0.25
L28T
5
522±279
R30Q
4
0.31±0.23
L31F
3
7.6±3.8
L31M
3
0.7±0.3
L31V
4
6.6±1.2
Y93H
9
60±22
L28M+Y93H
3
328±231
R30Q+Y93H
4
224±51
L31F+Y93H
4
8115±2070
L31M+Y93H
3
112±16
L31V+Y93H
4
9739±1122
nd:複製量が低いため評価せず
EC90
(pmol/L±標準偏差)
1.6±0.5
34234±2254
0.85±0.53
23±12
1.2±0.7
29±8
254±66
1213±586
737±242
63695±7516
572±123
46766±7500
-34-
耐性度
(野生型 EC50 との比)
661
0.4
10
0.9
8
77
415
284
10272
142
12328
複製量
(%)
100
17
nd
127
119
86
73
104
60
35
11
24
ジェノタイプ 2
ジェノタイプ 2 の C 型慢性肝炎患者にオムビタスビル,パリタプレビル,リトナビルを投与した臨床試験において,ウ
イルス学的不成功により SVR12 未達成の患者でオムビタスビルに対する NS5A の主な耐性変異として,ジェノタイプ 2a
では,F28S,T24A,L31I/V 又は T24A と C92S との二重変異が,ジェノタイプ 2b では,L28F 単独又は M31I/V との二
重変異,並びにパリタプレビルに対する NS3 の主な耐性変異として,ジェノタイプ 2a では,D168A/E/V/Y が,ジェノ
タイプ 2b では D168A/F/S/T/V/Y がウイルス学的不成功時点で認められた.
HCV ジェノタイプ 2a レプリコン細胞において,T24A,L31I 又は C92S 変異によりオムビタスビルの EC50 値は,野生型
の 13 倍から 38 倍に上昇し,F28S の変異により 11618 倍に上昇した.HCV ジェノタイプ 2b レプリコン細胞において,
L28F,M31I/V,L28F 及び M31I 二重変異によりオムビタスビルの EC50 値は,野生型の 28 倍から 1427 倍に上昇した.
HCV ジェノタイプ 2a レプリコン細胞において,D168A/E/V/Y 変異によりパリタプレビルの EC50 値は,野生型の 5.3 倍
から 18 倍に上昇した.HCV ジェノタイプ 2b レプリコン細胞において,D168A/F/S/T/V/Y 変異によりパリタプレビルの
EC50 値は,野生型の 7 倍から 11 倍に上昇した.
HCV ジェノタイプ 2a キメラレプリコン細胞における NS5A 耐性変異に対するオムビタスビルの抗 HCV 活性
GT2aNS5A
EC50,pmol/L
耐性度
例数
アミノ酸変異
(平均値±標準偏差) (野生型 EC50 との比)
野生型(2a)a
3
1.3±0.10
T24A
3
50±6.9
38
T24S
3
87±38
67
F28C
3
652±101
501
F28S
3
15103±1760
11618
K30M
3
0.23±0.04
0.2
M31I
3
25±5.9
19
M31V
3
ndb
C92S
3
16±4.2
13
Y93H
3
ndb
T24A+M31L
3
20±0.37
15
T24A+C92S
3
1250±278
962
T24S+F28C
3
6026±1538
4636
F28S+Y93H
3
ndb
a.
野生型の HCV ジェノタイプ 2a レプリコン細胞は 31 位に Met を含む
b. nd: 各変異を導入したキメラレプリコンが十分な複製を示さなかったため,
EC50 値は算出できず
-35-
HCV ジェノタイプ 2b キメラレプリコン細胞における NS5A 耐性変異に対するオムビタスビルの抗 HCV 活性
GT2bNS5A
EC50,pmol/L
耐性度
例数
アミノ酸変異
(平均値±標準偏差) (野生型 EC50 との比)
野生型(2b)a
5
0.71±0.37
L28F
4
33±6.1
47
L31I
3
20±3.3
28
L31M
3
1.1±0.12
1.5
L31V
3
361±70
511
V52I
3
0.84±0.06
1.2
C92S
12
5.7±0.85
8
C92Y
6
7.8±2.1
11
Y93H
4
ndb
Y93N
3
ndb
L28F+L31I
3
1013±143
1427
L28F+L31M
4
176±30
247
L28F+L31V
3
ndb
L31M+C92S
3
27±5.1
38
L31M+C92Y
3
16±1.5
23
L31V+C92S
3
5271±476
7423
L28F+L31M+C92S
3
1482±105
2088
L28F+L31M+C92Y
3
ndb
a.
野生型の HCV ジェノタイプ 2b レプリコン細胞は 31 位に Leu を含む.
b. nd: 各変異を導入したキメラレプリコンが十分な複製を示さなかったため,
EC50 値は算出できなかった.
HCV ジェノタイプ 2a JFH-1 レプリコン細胞における各 NS3 耐性変異に対するパリタプレビルの抗 HCV 活性
GT2a JFH-1 NS3
アミノ酸変異
野生型(2a)
V55A
V55I
Y56H
D168A
D168E
D168H
D168V
D168Y
V55A+D168E
V55I+D168E
V56H+D168A
Y56H+D168V
例数
12
3
3
3
6
5
3
3
3
4
4
3
3
EC50,nmol/L
(平均値±標準偏差)
17±2.0
35±4.5
64±6.6
64±17
306±34
89±15
213±4.4
228±32
222±46
159±5.5
199±27
766±68
443±48
-36-
耐性度
(野生型 EC50 との比)
2.1
3.8
3.8
18
5.3
13
13
13
9.4
12
45
27
HCV ジェノタイプ 2b キメラレプリコン細胞における NS3 耐性変異に対するパリタプレビルの抗 HCV 活性
GT2b NS3
アミノ酸変異
野生型(2b)
E79G
P146S
A150V
F154Y
A160T
D168A
D168E
D168F
D168H
D168S
D168T
D168V
D168Y
E173G
A178T
A178V
Y56F+D168A
Y56F+D168E
Y56F+D168V
Y56H+D168E
E79G+F154Y
F154Y+E173G
A160T+D168V
A160T+D168Y
D168V+A178T
D168V+A178V
例数
9
3
3
3
3
3
9
6
3
3
3
3
9
3
3
3
3
3
3
3
3
3
3
3
3
3
3
EC50,nmol/L
(平均値±標準偏差)
114±27
253±35
109±21
111±18
272±90
102±12
1309±276
256±58
1239±182
1055±54
1008±301
1165±99
1073±174
803±138
289±17
116±9.8
153±33
1381±165
62±5.7
1102±143
310±36
1214±167
1060±45
1732±435
1556±356
722±131
1559±469
耐性度
(野生型 EC50 との比)
2.2
1.0
1.0
2.4
0.9
11
2.2
11
9.3
8.8
10
9.4
7.0
2.5
1.0
1.3
12
0.5
9.7
2.7
11
9.3
15
14
6.3
14
3)交差耐性 22)
NS3/4A プロテアーゼ阻害剤に対する耐性変異を導入した HCV レプリコン細胞においてオムビタスビルの活性は保持さ
れ,NS5A 阻害剤に対する耐性変異を導入した HCV レプリコン細胞においては,パリタプレビルの活性は保持された.
(3)作用発現時間・持続時間
該当資料なし
-37-
Ⅶ.薬物動態に関する項目
1.血中濃度の推移・測定法
(1)治療上有効な血中濃度
該当資料なし
(2)最高血中濃度到達時間
「Ⅶ.1.(3) 臨床試験で確認された血中濃度」の項参照
(3)臨床試験で確認された血中濃度
1)単回投与(日本人データ)23)
健康成人におけるオムビタスビル/パリタプレビル/リトナビル配合錠を 25/150/100mg 空腹時及び非絶食時単回経口投与
後のオムビタスビル,パリタプレビル,リトナビルの薬物動態パラメータを下表に示す.
健康成人における本剤(25mg/150mg/100mg)単回経口投与後のオムビタスビル,パリタプレビル,リトナビルの薬物動
態パラメータ
空腹時(20 例)
高脂肪朝食(20 例)
オムビタスビル
59.0(27)
115(26)
4.0(3.0~6.0)
5.0(4.0~6.0)
847(26)
1,462(20)
24.2(18.6~41.6)
23.5(18.5~36.1)
パリタプレビル
Cmax(ng/mL)
321(123)
1,598(68)
Tmax(h)
4.0(2.0~6.0)
5.0(4.0~8.0)
AUC∞(ng・h/mL)
2,383(117)
7,822(68)
t1/2(h)
5.7(3.5~11.1)
5.4(4.0~8.9)
リトナビル
Cmax(ng/mL)
881(62)
1,203(37)
Tmax(h)
4.0(2.0~5.0)
5.0(4.0~6.0)
AUC∞(ng・h/mL)
5,553(52)
7,465(38)
t1/2(h)
4.3(3.3~5.5)
3.9(3.1~6.3)
Cmax 及び AUC∞:幾何平均(CV%) Tmax:中央値(範囲) t1/2:調和平均(範囲)
Cmax(ng/mL)
Tmax(h)
AUC∞(ng・h/mL)
t1/2(h)
最小二乗幾何平均比
(90%信頼区間)
1.953(1.681,2.269)
‐
1.725(1.522,1.956)
‐
4.982(3.253,7.628)
‐
3.283(2.362,4.563)
‐
1.366(1.031,1.809)
‐
1.344(1.097,1.647)
‐
2)反復投与(日本人データ)24)
健康成人 24 例にオムビタスビル/パリタプレビル/リトナビル配合錠 25mg/150mg/100mg を 1 日 1 回 14 日間食後反復経口
投与した.オムビタスビル,パリタプレビル,リトナビルの曝露量は 9~12 日後に定常状態に到達した.オムビタスビ
ル,パリタプレビル,リトナビルの 14 日目の薬物動態パラメータを下表に示す.
健康成人における本剤(25mg/150mg/100mg)1 日 1 回 14 日間反復経口投与後のオムビタスビル,パリタプレビル,リト
ナビルの薬物動態パラメータ
オムビタスビル
パリタプレビル
Cmax(ng/mL)
154(21)
3,840(46)
Tmax(h)
5.0(14)
4.3(28)
AUC24(ng・h/mL)
1,558(21)
19,625(49)
C24(ng/mL)
29.7(23)
37.8(46)
Cmax,AUC24 及び C24:幾何平均(CV%) Tmax:平均(CV%)
-38-
リトナビル
1,748(19)
4.0(16)
9,707(23)
19.3(51)
3)肝機能障害患者(外国人データ)25)
HCV 非感染の軽度肝機能障害患者(Child-Pugh 分類 A,スコア 5~6)
,中等度肝機能障害患者(Child-Pugh 分類 B,ス
コア 7~9)及び重度肝機能障害患者(Child-Pugh 分類 C,スコア 10~15)において,オムビタスビル(錠剤 25mg),パ
リタプレビル(錠剤 200mg),リトナビル(カプセル剤 100mg),dasabuvir(国内未承認)の単回併用投与時の薬物動態
を検討した.
肝機能正常者と比較し,軽度肝機能障害患者において,オムビタスビル,パリタプレビル,リトナビルの AUC はそれぞ
れ 8%,29%及び 34%減少した.
肝機能正常者と比較し,中等度肝機能障害患者において,オムビタスビル,リトナビルの AUC は共に 30%減少したが,
パリタプレビルの AUC は 62%増加した.
肝機能正常者と比較し,重度肝機能障害患者において,オムビタスビルの AUC は 54%減少し,パリタプレビル,リト
ナビルの AUC はそれぞれ 950%及び 13%増加した.
4)腎機能障害患者(外国人データ)26)
HCV 非感染の軽度(CLcr:60~89mL/min),中等度(CLcr:30~59mL/min)及び重度(CLcr:15~29mL/min)の腎機能
障害患者において,オムビタスビル(錠剤 25mg),パリタプレビル/リトナビル(錠剤 150mg/100mg)単回投与時の薬物
動態を検討した.
腎機能正常者と比較し,軽度腎機能障害患者のオムビタスビルの平均 Cmax 及び AUC は同程度(各々1 及び 9%の変化),
パリタプレビルの平均 Cmax 及び AUC は同程度(11%の変化)
,リトナビルの平均 Cmax 及び AUC は各々28 及び 40%高い
値であった.
腎機能正常者と比較し,中等度腎機能障害患者のオムビタスビルの平均 Cmax 及び AUC は同程度(各々2 及び 14%の変
化)
,パリタプレビルの平均 Cmax 及び AUC は同程度(19%までの変化)
,リトナビルの平均 Cmax 及び AUC は各々51 及
び 76%高い値であった.
腎機能正常者と比較し,
重度腎機能障害患者のオムビタスビルの平均 Cmax 及び AUC は同程度(各々2 及び 18%の変化)
,
パリタプレビルの平均 Cmax は 22%低く,AUC は 25%高く,リトナビルの平均 Cmax 及び AUC は各々71 及び 108%高い
値であった.
5)C 型慢性肝炎患者(日本人データ)54)
【試験方法】
「Ⅴ.3.(4) 探索的試験」の項参照
オムビタスビルの薬物動態
日本人 HCV ジェノタイプ 1b 及びジェノタイプ 2 感染患者にオムビタスビル(錠剤)を 25mg の用量でパリタプレビル
(錠剤)/リトナビル(カプセル剤)100/100mg 又は 150/100mg と 1 日 1 回併用投与したときのオムビタスビルの薬物動
態を評価した.
ジェノタイプ 1b 感染患者の試験 1 日目におけるオムビタスビルの薬物動態パラメータの幾何平均値(CV%)
オムビタスビル(25mg)
薬物動態パラメータ(単位) パリタプレビル/リトナビル(100/100mg) パリタプレビル/リトナビル(150/100mg)
(37 例)
(36 例)
Cmax(ng/mL)
129(34)
125(32)
Tmax(h)
4.16(26)
4.28(27)
AUC24(ng・h/mL)
1,500(28)
1,430(29)
Tmax:算術平均
-39-
ジェノタイプ 2 感染患者の試験 1 日目におけるオムビタスビルの薬物動態パラメータの幾何平均値(CV%)
オムビタスビル(25mg)
薬物動態パラメータ(単位) パリタプレビル/リトナビル(100/100mg) パリタプレビル/リトナビル(150/100mg)
(19 例)
(18 例)
Cmax(ng/mL)
161(26)
154(22)
Tmax(h)
4.05(24)
4.06(30)
AUC24(ng・h/mL)
1,730(24)
1,720(21)
Tmax:算術平均
日本人 HCV ジェノタイプ 1b 及びジェノタイプ 2 感染患者において用量 25mg でのオムビタスビルの曝露量はパリタプ
レビルの 100mg 投与群と 150mg 投与群との間で同程度であった.
リトナビル併用パリタプレビルの薬物動態
日本人 HCV ジェノタイプ 1b 及びジェノタイプ 2 感染患者にオムビタスビル(錠剤)を 25mg の用量でパリタプレビル
(錠剤)/リトナビル(カプセル剤)100/100mg 又は 150/100mg と 1 日 1 回併用投与したときのパリタプレビル及びリト
ナビルの薬物動態を検討した.
ジェノタイプ 1b 感染患者の試験 1 日目におけるパリタプレビル及びリトナビルの薬物動態パラメータの幾何平均値
(CV%)
薬物動態パラメータ(単位)
Cmax(ng/mL)
Tmax(h)
AUC24(ng・h/mL)
Tmax:算術平均
パリタプレビル
100/100mg
150/100mg
(37 例)
(36 例)
707(74)
1,920(90)
3.78(27)
3.92(31)
6,300(81)
16,000(73)
リトナビル
100/100mg
150/100mg
(37 例)
(36 例)
956(61)
821(69)
4.41(30)
6.56(98)
9,930(63)
8,850(60)
ジェノタイプ 2 感染患者の試験 1 日目におけるパリタプレビル及びリトナビルの薬物動態パラメータの幾何平均値
(CV%)
薬物動態パラメータ(単位)
Cmax(ng/mL)
Tmax(h)
AUC24(ng・h/mL)
Tmax:算術平均
パリタプレビル
100/100mg
150/100mg
(19 例)
(18 例)
653(109)
2,650(92)
3.79(26)
3.83(30)
5,640(104)
18,100(87)
リトナビル
100/100mg
150/100mg
(19 例)
(18 例)
901(60)
1070(49)
4.00(38)
3.78(37)
8,930(60)
9,180(47)
健康人と同じように,日本人 HCV 感染患者においてパリタプレビルは用量の増加と共に比例関係を上回る曝露量の増加
を示した.試験 1 日目において,ジェノタイプ 1b 感染患者及びジェノタイプ 2 感染患者におけるリトナビルの AUC24
は,パリタプレビル用量 100 mg との併用時と 150 mg との併用時の間で同程度であった.
注意:本剤の承認されている用法・用量は,ジェノタイプ 1:オムビタスビルとして 25mg,パリタプレビルとして 150mg 及び
リトナビルとして 100mg を含有する配合錠を食後に経口投与(1 日 1 回),投与期間は 12 週間,ジェノタイプ 2:リバ
ビリンとの併用において,オムビタスビルとして 25mg,パリタプレビルとして 150mg 及びリトナビルとして 100mg を
含有する配合錠を食後に経口投与(1 日 1 回),投与期間は 16 週間である.
(4)中毒域
該当資料なし
-40-
(5)食事・併用薬の影響
1)食事の影響(日本人データ及び外国人データ)23),27)
日本人健康成人 20 例に高脂肪朝食*と共にオムビタスビル/パリタプレビル/リトナビル配合錠 25/150/100mg を投与した
ところ,朝食後のオムビタスビル,パリタプレビル及びリトナビルの Cmax は,空腹時で認められた Cmax に比べてそれぞ
れ 2.0 倍,5.0 倍,1.4 倍,AUC はそれぞれ 1.7 倍,3.3 倍,1.3 倍であった.また,空腹時にオムビタスビル/パリタプレ
ビル/リトナビル配合錠を投与したときに比べて,オムビタスビル及びパリタプレビルの Tmax の平均値は約 1.0 時間遅延
したが,リトナビルでは約 1.5 時間遅延した.外国人被験者を対象として中程度脂肪食**又は高脂肪朝食***の影響を
検討した試験では日本人における高脂肪朝食摂取時の影響と合致した.カロリーや脂肪含量は曝露量の増加に顕著な影
響を及ぼさなかった.したがって,吸収を最大化するためにオムビタスビル/パリタプレビル/リトナビル配合錠を食後に
投与するべきである.
*:903kcal,総カロリーの 35%は脂肪由来
**:617kcal,総カロリーの 28.9%は脂肪由来
***:917kcal,総カロリーの 59.6%は脂肪由来
2)併用薬の影響
①in vitro データ
パリタプレビルは主に CYP3A4,副次的に CYP3A5 で代謝される.リトナビルは主に CYP3A で代謝され,副次的に
CYP2D6 で代謝される.パリタプレビル及びリトナビルは CYP3A4 基質であり,CYP3A4 誘導作用を有する薬剤との併
用により,血中濃度が低下し治療効果が減弱するおそれがある.パリタプレビル及びリトナビルの血中濃度は CYP3A4
阻害作用を有する薬剤(ケトコナゾール等)により上昇するおそれがある.オムビタスビル,パリタプレビル,リトナ
ビルは臨床用量において CYP1A2,2B6,2C8,2C9,2D6 を阻害しなかった.リトナビルは CYP2C19 又は CYP1A2 で代
謝される薬剤の血中濃度を低下させるおそれがある.
オムビタスビル,パリタプレビル,リトナビルの各種トランスポーターに対する基質特異性及び阻害能の有無は「Ⅶ. 7.
トランスポーターに関する情報」の項参照.
-41-
②臨床試験(日本人及び外国人データ)
併用薬がオムビタスビルの薬物動態に及ぼす影響
併用薬
用量(mg)
本剤(オムビタスビル
/パリタプレビル/リト
ナビル)用量(mg)
例
数
オムビタスビルの薬物動態パラメータ比
併用薬併用/非併用時(90%信頼区間)
AUC
Cmax
ワルファリン 5 単回 28)
11
1.047(0.989,1.109) 1.025(0.949,1.107)
プラバスタチン 10 QD29)
11
0.944(0.878,1.016) 0.975(0.898,1.058)
25/150/100 QD
ロスバスタチン 5 QD29)
12
0.876(0.832,0.923) 0.888(0.812,0.971)
ジゴキシン 0.5 単回 30)
11
1.016(0.978,1.056) 0.993(0.946,1.041)
ケトコナゾール 400 QD31)
25/150/100 単回
12
1.256(1.197,1.318) 0.978(0.923,1.036)
アタザナビル 300 QD32)
10
0.911(0.814,1.020) 0.834(0.742,0.937)
33)*
ロピナビル・リトナビル 400・100 BID
18
1.252(1.188,1.319) 1.071(1.012,1.134)
ロピナビル・リトナビル
11
1.093(1.003,1.193) 0.970(0.867,1.084)
800・200 QPM b,33)*
エムトリシタビン・テノホビル
9
0.999(0.944,1.058) 0.966(0.889,1.049)
200・300 QD34)
25/150/100
QD
ダルナビル 800 QD35)
9
1.006(0.910,1.113) 1.008(0.868,1.171)
ダルナビル/リトナビル
7
0.727(0.659,0.801) 0.757(0.653,0.878)
600 BID/100 QPM a,b,35)
c, 36)
リルピビリン 25 QD
10
1.088(1.037,1.141) 1.105(1.022,1.195)
シクロスポリン 10 単回 37)*
12
1.096(1.071,1.122) 1.061(1.016,1.109)
タクロリムス 0.5 単回 38)*
11
0.954(0.913,0.995) 0.942(0.891,0.996)
a,39)
カルバマゼピン 200 BID
25/150/100 単回
12
0.685(0.635,0.739) 0.690(0.607,0.784)
オメプラゾール 40 QD40)
12
0.996(0.883,1.124) 0.960(0.807,1.144)
エスシタロプラム 10 単回 41)
11
1.031(1.000,1.062) 1.157(1.087,1.232)
デュロキセチン 60 単回 41)
12
1.043(0.996,1.092) 1.035(0.922,1.162)
エチニルエストラジオール/
9
0.966(0.814,1.147) 1.047(0.811,1.352)
norgestimate 0.035/0.25 QD d,42)
a,42)
ノルエチステロン 0.35 QD
12
0.990(0.941,1.041) 1.003(0.934,1.077)
アムロジピン 5 単回 a,43)
14
1.003(0.971,1.037) 1.002(0.948,1.059)
フロセミド 20 単回 a,43)
12
1.065(1.009,1.124) 1.136(1.025,1.260)
a,44)
アルプラゾラム 0.5 単回
12
0.998(0.960,1.037) 0.983(0.928,1.040)
25/150/100 QD
ゾルピデム 5 単回 a,44)
12
1.034(1.000,1.069) 1.071(0.998,1.149)
ウルソデオキシコール酸 50 TID e,24)
12
0.968(0.935,1.001) 0.951(0.907,0.997)
グリチルリチン 80 QD e,24)
12
1.026(0.994,1.059) 1.025(0.961,1.094)
ジアゼパム 2 単回 a,45)
13
0.975(0.927,1.025) 0.999(0.928,1.076)
Hydrocodone bitartrate/アセトアミノ
15
0.974(0.932,1.018) 1.007(0.926,1.096)
フェン 5/300 単回 a,45)
a,46)
Carisoprodol 250 単回
14
0.949(0.924,0.974) 0.980(0.922,1.040)
Cyclobenzaprine 5 単回 a,46)
14
1.000(0.966,1.034) 0.975(0.915,1.038)
a,47)
メトホルミン 500 単回
12
1.007(0.969,1.046) 0.923(0.871,0.979)
スルファメトキサゾール/トリメトプ
25/150/100 単回
11
0.848(0.800,0.899) 0.883(0.832,0.937)
リム 800/160 BID a,47)
a,48)
ドルテグラビル 50 QD
11
0.952(0.902,1.004) 0.960(0.894,1.031)
アバカビル/ラミブジン 600/300 QD a,48)
25/150/100 QD
11
0.909(0.866,0.953) 0.822(0.758,0.891)
ソホスブビル 400 QD49)
8
0.932(0.866,1.002) 0.960(0.885,1.041)
国内未発売の薬剤を含む
a:本剤/dasabuvir(国内未承認)のデータ
b:本剤投与約 12 時間後にロピナビル/リトナビル(800/200mg QPM)とダルナビル/リトナビル(600/100mg QPM)を
投与した.
c:朝食後に本剤/dasabuvir(国内未承認)とリルピビリンを併用.
d:本剤/dasabuvir(国内未承認)(3 例)又は本剤(6 例)とエチニルエストラジオール及び norgestimate との併用.
e:日本人データ
QD:1 日 1 回投与,QPM:1 日 1 回午後投与,BID:1 日 2 回投与,TID:1 日 3 回投与
*:パリタプレビルの錠剤を使用.市販製剤はオムビタスビル/パリタプレビル/リトナビル配合錠である.
-42-
併用薬がパリタプレビルの薬物動態に及ぼす影響
併用薬
用量(mg)
ワルファリン 5 単回 28)
プラバスタチン 10 QD29)
ロスバスタチン 5 QD29)
ジゴキシン 0.5 単回 30)
ケトコナゾール 400 QD31)
gemfibrozil 600 BID f,50)
アタザナビル 300 QD32)
ロピナビル・リトナビル
400・100 BID33)*
ロピナビル・リトナビル
800・200 QPM b,33)*
エムトリシタビン・テノホビル
200・300 QD34)
ダルナビル 800 QD35)
ダルナビル/リトナビル
600 BID/100 QPM a,b,35)
リルピビリン 25 QD c,36)
シクロスポリン 10 単回 37)*
タクロリムス 0.5 単回 38)*
カルバマゼピン 200 BID a,39)
オメプラゾール 40 QD40)
エスシタロプラム 10 単回 41)
デュロキセチン 60 単回 41)
エチニルエストラジオール/
norgestimate 0.035/0.25 QD d,42)
ノルエチステロン 0.35 QD a,42)
アムロジピン 5 単回 a,43)
フロセミド 20 単回 a,43)
アルプラゾラム 0.5 単回 a,44)
ゾルピデム 5 単回 a,44)
ウルソデオキシコール酸 50 TID e,24)
グリチルリチン 80 QD e,24)
ジアゼパム 2 単回 a,45)
Hydrocodone bitartrate/ ア セ ト ア ミ ノ
フェン 5/300 単回 a,45)
Carisoprodol 250 単回 a,46)
Cyclobenzaprine 5 単回 a,46)
メトホルミン 500 単回 a,47)
スルファメトキサゾール/トリメトプ
リム 800/160 BID a,47)
ドルテグラビル 50 QD a,48)
アバカビル/ラミブジン 600/300 QD a,48)
ソホスブビル 400 QD49)
本剤(オムビタスビ
ル/パリタプレビル/
リトナビル) 用量
(mg)
例
数
パリタプレビルの薬物動態パラメータ比
併用薬併用/非併用時(90%信頼区間)
AUC
Cmax
11
11
12
11
12
1.107(0.937,1.308)
1.329(1.091,1.618)
1.218(1.052,1.410)
1.117(0.997,1.252)
2.161(1.759,2.657)
1.154(0.863,1.544)
1.441(1.149,1.807)
1.396(1.122,1.737)
1.152(0.974,1.363)
1.723(1.316,2.255)
11
1.376(1.178,1.609)
1.214(0.939,1.568)
10
2.874(2.082,3.968)
2.742(1.762,4.265)
18
6.102(4.295,8.669)
4.760(3.544,6.393)
11
3.547(2.366,5.319)
1.783(1.262,2.518)
9
1.041(0.737,1.471)
1.017(0.631,1.641)
9
1.937(1.363,2.752)
2.092(1.351,3.239)
7
0.590(0.442,0.788)
0.696(0.432,1.120)
10
12
11
12
12
11
12
1.234(0.929,1.638)
1.455(1.289,1.642)
0.794(0.689,0.915)
0.295(0.231,0.377)
0.926(0.638,1.343)
1.019(0.816,1.272)
0.963(0.702,1.321)
1.304(0.942,1.805)
1.389(1.102,1.750)
0.706(0.549,0.907)
0.344(0.247,0.480)
1.019(0.642,1.618)
1.188(0.841,1.676)
1.070(0.633,1.808)
9
0.664(0.422,1.044)
0.700(0.404,1.214)
12
14
12
12
12
12
12
13
1.229(0.962,1.570)
0.777(0.684,0.882)
0.916(0.695,1.208)
0.964(0.734,1.267)
0.680(0.546,0.848)
0.910(0.778,1.066)
0.941(0.806,1.098)
0.912(0.778,1.069)
1.244(0.954,1.621)
0.774(0.639,0.937)
0.925(0.628,1.360)
0.913(0.636,1.310)
0.630(0.463,0.857)
1.006(0.814,1.245)
0.917(0.746,1.126)
0.952(0.772,1.175)
15
1.026(0.890,1.182)
1.008(0.803,1.265)
14
14
12
0.957(0.848,1.080)
1.130(0.995,1.283)
0.795(0.611,1.034)
0.877(0.746,1.031)
1.141(0.986,1.321)
0.631(0.436,0.913)
25/150/100 単回
11
0.869(0.715,1.057)
0.780(0.606,1.005)
25/150/100 QD
11
11
8
0.835(0.668,1.042)
0.822(0.695,0.971)
0.905(0.623,1.314)
0.888(0.694,1.135)
0.836(0.686,1.019)
0.899(0.633,1.275)
25/150/100 QD
25/150/100 単回
パリタプレビル/
リトナビル
150/100 単回
25/150/100 QD
25/150/100 単回
25/150/100 QD
-43-
国内未発売の薬剤を含む
a:本剤/dasabuvir(国内未承認)のデータ
b:本剤投与約 12 時間後にロピナビル/リトナビル(800/200mg QPM)とダルナビル/リトナビル(600/100mg QPM)を
投与した.
c:朝食後に本剤/dasabuvir(国内未承認)とリルピビリンを併用.
d:本剤/dasabuvir(国内未承認)(3 例)又は本剤(6 例)とエチニルエストラジオール及び norgestimate との併用.
e:日本人データ
f:パリタプレビル/リトナビル/dasabuvir(国内未承認)のデータ
QD:1 日 1 回投与,QPM:1 日 1 回午後投与,BID:1 日 2 回投与,TID:1 日 3 回投与
*:パリタプレビルの錠剤を使用.市販製剤はオムビタスビル/パリタプレビル/リトナビル配合錠である.
本剤が併用薬の薬物動態に及ぼす影響
併用薬
用量(mg)
ワルファリン 5 単回 a,28)
プラバスタチン 10 QD29)
ロスバスタチン 5 QD29)
ジゴキシン 0.5 単回 30)
ケトコナゾール 400 QD31)
アタザナビル 300 QD b,32)
ラルテグラビル 400 BID51)*
ロピナビル・リトナビル 400・100
BID33)*
ロピナビル・リトナビル
800・200 QPM d,33)*
エムトリシタビン 200 QD34)
テノホビル 300 QD34)
ダルナビル 800 QD b,35)※
ダルナビル/リトナビル
600 BID/100 QPM d,35)※※
リルピビリン 25 QD e,36)
シクロスポリン 10 単回 37)*
タクロリムス 0.5 単回 38)*
カルバマゼピン 200 BID c,39)
ブプレノルフィン 4~16 QD52)*
ナロキソン 1~4 QD52)*
メサドン 20~120 QD f,53)*
オメプラゾール 40 QD40)
エスシタロプラム 10 単回 41)
デュロキセチン 60 単回 41)
エチニルエストラジオール 0.035 QD g,42)
norgestimate 0.25 QD g,42)
ノルエチステロン 0.35 QD c,42)
アムロジピン 5 単回 c,43)
フロセミド 20 単回 c,43)
アルプラゾラム 0.5 単回 c,44)
ゾルピデム 5 単回 c,44)
ウルソデオキシコール酸 50 TID h,24)
グリチルリチン 80 QD h,24)
ジアゼパム 2 単回 c,45)
ノルジアゼパム(ジアゼパム代謝物)c,45)
Hydrocodone bitartrate 5 単回 c,45)
アセトアミノフェン 300 単回 c,45)
Carisoprodol 250 単回 c,46)
本剤(オムビタスビ
ル/パリタプレビル/
リトナビル) 用量
(mg)
25/150/100 QD
25/150/100 単回
25/150/100 QD
25/150/100 単回
25/150/100 QD
例
数
11
10
12
11
12
11
12
0.845(0.755,0.947)
1.763(1.456,2.134)
1.334(1.142,1.557)
1.364(1.207,1.541)
2.050(1.931,2.176)
0.929(0.847,1.019)
1.204(0.742,1.953)
0.900(0.818,0.991)
1.428(1.086,1.876)
2.611(2.014,3.386)
1.576(1.434,1.731)
1.104(1.049,1.161)
0.896(0.829,0.968)
1.216(0.783,1.888)
18
1.132§(1.091,1.174)
1.062§(0.990,1.140)
11
1.169§(1.086,1.260)
1.051§(0.949,1.165)
9
1.072(1.001,1.148)
1.010(0.956,1.067)
0.918(0.840,1.003)
0.941(0.835,1.060)
0.802(0.714,0.902)
0.993(0.915,1.077)
7
0.797§§(0.736,0.863) 0.871§§(0.793,0.957)
10
12
11
12
11
11
12
12
11
12
9
9
12
14
12
12
12
12
12
3.245(2.795,3.768)
4.280(3.656,5.009)
85.813(67.875,108.491)
1.170(1.126,1.216)
1.505(1.269,1.784)
1.113(0.907,1.366)
0.957(0.893,1.026)
0.458(0.273,0.770)
0.753(0.672,0.844)
0.800(0.711,0.901)
1.055(0.955,1.165)
2.604(2.301,2.947)
0.909(0.756,1.092)
2.572(2.312,2.862)
1.083(1.004,1.169)
1.336(1.151,1.550)
0.953(0.742,1.225)
0.811(0.692,0.949)
1.493(1.382,1.613)
0.775(0.729,0.824)
0.562(0.453,0.697)
1.899(1.719,2.097)
1.169(1.085,1.259)
0.616(0.545,0.697)
9
13
15
15
14
-44-
併用薬の薬物動態パラメータ比
本剤併用/非併用時(90%信頼区間)
AUC
Cmax
2.545(2.077,3.118)
0.825(0.724,0.940)
4.267(3.491,5.216)
1.104(1.074,1.135)
1.190(1.013,1.399)
0.986(0.838,1.159)
0.944(0.899,0.991)
0.475(0.288,0.782)
0.915(0.849,0.987)
0.832(0.718,0.964)
1.162(0.900,1.501)
2.014(1.773,2.286)
0.833(0.686,1.010)
1.262(1.110,1.436)
1.419(1.168,1.724)
1.086(1.030,1.145)
0.937(0.755,1.163)
0.904(0.720,1.136)
1.005(0.985,1.025)
1.180(1.074,1.298)
1.104(1.026,1.187)
1.265(1.144,1.398)
1.021(0.886,1.178)
0.542(0.470,0.626)
併用薬
用量(mg)
本剤(オムビタスビ
ル/パリタプレビル/
リトナビル) 用量
(mg)
例
数
併用薬の薬物動態パラメータ比
本剤併用/非併用時(90%信頼区間)
AUC
Cmax
Meprobamate(carisoprodol 代謝物)c,46)
14
1.091(1.025,1.161) 1.174(1.100,1.253)
Cyclobenzaprine 5 単回 c,46)
0.598(0.529,0.676) 0.676(0.613,0.745)
25/150/100 QD
14
Norcyclobenzaprine(cyclobenzaprine 代
0.741(0.643,0.854) 1.034(0.868,1.230)
謝物)c,46)
メトホルミン 500 単回 c,47)
12
0.904(0.844,0.968) 0.769(0.713,0.829)
c,47)
スルファメトキサゾール 800 BID
11
1.171(1.144,1.197) 1.214(1.151,1.281)
25/150/100 単回
トリメトプリム 160 BID c,47)
11
1.219(1.184,1.256) 1.173(1.124,1.224)
ドルテグラビル 50 QD c,48)
11
1.380(1.295,1.469) 1.219(1.153,1.288)
アバカビル 600 QD c,48)
11
0.943(0.901,0.986) 0.873(0.777,0.979)
ラミブジン 300 QD c,48)
25/150/100 QD
11
0.876(0.821,0.934) 0.778(0.719,0.842)
ソホスブビル 400 QD 49)
1.930(1.411,2.639) 1.642(0.994,2.712)
7
GS-331007(ソホスブビル代謝物) 49)
1.320(1.253,1.390) 1.161(1.038,1.300)
国内未発売の薬剤を含む
a:S-ワルファリンの変化量.R-ワルファリンの変化量も同様であった.
b:本剤非併用時にはリトナビル 100mg を QD 投与した.
c:本剤/dasabuvir(国内未承認)のデータ
d:本剤投与約 12 時間後にロピナビル/リトナビル(800/200mg QPM)とダルナビル/リトナビル(600/100mg QPM)を
投与した.
e:朝食後に本剤/dasabuvir(国内未承認)とリルピビリンを併用.
f:S-メサドンの変化量
g:本剤/dasabuvir(国内未承認)(3 例)又は本剤(6 例)とエチニルエストラジオール及び norgestimate との併用.
h:日本人データ
※:ダルナビル Cmin:26%減少 変化率 0.741(90%信頼区間:0.627,0.877)
※※:ダルナビル Cmin:43%減少 変化率 0.567(90%信頼区間:0.432,0.668)
§:ロピナビルの変化率
§§:ダルナビルの変化率
QD:1 日 1 回投与,QPM:1 日 1 回午後投与,BID:1 日 2 回投与,TID:1 日 3 回投与
*:パリタプレビルの錠剤を使用.市販製剤はオムビタスビル/パリタプレビル/リトナビル配合錠である.
③ウルソデオキシコール酸(UDCA)及びグリチルリチン酸(GCR)との薬物相互作用試験(日本人データ)24)
日本人成人男性(24 例,12 例/ 群)を対象として,第 1 群において DAA(オムビタスビル/パリタプレビル/リトナビル
25/150/100mg QD:試験 3~18 日目投与)と UDCA(50mg 経口 1 日 3 回:試験 1,2 日目及び 17,18 日目投与)
,第 2
群では DAA(オムビタスビル/パリタプレビル/リトナビル 25/150/100mg QD:試験 10~25 日目投与)と GCR(GCR80mg
静脈内,QD:試験 1,2 日目及び 24,25 日目投与)との間の相互作用を評価した.
オムビタスビル/パリタプレビル/リトナビルの反復投与を UDCA の反復経口投与と併用したとき,オムビタスビル,パ
リタプレビル,リトナビルの定常状態曝露量(Cmax 及び AUC)は DAA2 剤レジメン単独投与で得られた曝露量と同程度
(中央値で 9%以下の変化)であった.UDCA を 1 日 3 回,DAA2 剤レジメンと共に併用経口投与すると UDCA の Cmax
又は AUC に及ぼす影響は認められないか又はわずか(中央値で 20%以下の変化)であった.オムビタスビル/パリタプ
レビル/リトナビルの反復投与を GCR の毎日静脈内投与と併用したとき,オムビタスビル,パリタプレビル,リトナビ
ルの定常状態曝露量(Cmax 及び AUC)及び GCR の Cmax は影響を受けなかったが,GCR の AUC の中央値は 49%増加し
た.DAA 2 剤併用レジメンと併用投与するとき GCR の用量調節は必要とされないがモニタリングが推奨される.
(6)母集団(ポピュレーション)解析により判明した薬物体内動態変動要因(日本人データ)54)
本剤(オムビタスビル 25mg,パリタプレビル 150mg,リトナビル 100mg,1 日 1 回)を C 型慢性肝炎患者又は C 型代償
性肝硬変患者にジェノタイプ 1b ではリバビリン非併用で 12 週間,ジェノタイプ 2 ではリバビリン併用で 12 及び 16 週
間投与した.HCV ジェノタイプ 1b 及びジェノタイプ 2 感染患者における第Ⅲ相臨床試験から得たデータによりポピュ
レーション PK 解析を実施した.オムビタスビル,パリタプレビル又はリトナビルの見かけのクリアランス又は見かけ
の分布容積に対してリバビリンの併用は有意な共変量ではなかった.オムビタスビルの定常状態 Cmax 及び AUC は慢性
肝炎患者でそれぞれ 55ng/mL 及び 1,140ng・h/mL,代償性肝硬変患者でそれぞれ 46ng/mL 及び 932ng・h/mL であった.
-45-
また,パリタプレビルの定常状態 Cmax 及び AUC は慢性肝炎患者でそれぞれ 197ng/mL 及び 2,970ng・h/mL,代償性肝硬
変患者でそれぞれ 439ng/mL 及び 6,380ng・h/mL であった.リトナビルの定常状態 Cmax 及び AUC は慢性肝炎患者でそれ
ぞれ 154ng/mL 及び 2,500ng・h/mL,代償性肝硬変患者でそれぞれ 238ng/mL 及び 3,840ng・h/mL であった.ポピュレー
ション PK 解析の被験者平均年齢は 60 歳(19~76 歳)であった.オムビタスビルの経口クリアランス(CL/F)に対して
性別,クレアチニンクリアランス及び代償性肝硬変が有意な共変量であった.パリタプレビル及びリトナビルの CL/F に
対して代償性肝硬変のみが有意な共変量であった.
2.薬物速度論的パラメータ
(1)解析方法
ノンコンパートメント法
(2)吸収速度定数
オムビタスビル:該当資料なし
パリタプレビル:該当資料なし
リトナビル:該当資料なし
(3)バイオアベイラビリティ
オムビタスビル(外国人データ)55)
健康成人 16 例にパリタプレビル及びリトナビルとの経口配合剤として投与したときのオムビタスビルの絶対的バイオ
アベイラビリティは 48.1%であった.
パリタプレビル(外国人データ)55)
健康成人 16 例にオムビタスビル及びリトナビルとの経口配合剤として投与したときのパリタプレビルの絶対的バイオ
アベイラビリティは 52.6%であった.
リトナビル:該当資料なし
(4)消失速度定数
見かけの終末相消失速度定数(空腹時)(日本人データ)
オムビタスビル:0.029±0.006(h-1)
パリタプレビル:0.121±0.033(h-1)
リトナビル:0.160±0.026(h-1)
(5)クリアランス
オムビタスビル(外国人データ)55)
健康成人 16 例にオムビタスビル 25μg を静脈内投与したときのオムビタスビルの全身クリアランスは 7.51 L/h であった.
パリタプレビル(外国人データ)55)
健康成人 16 例にパリタプレビル 100μg をリトナビルとの併用下静脈内投与したときのパリタプレビルの全身クリアラ
ンスは 25.9L/h であった.
リトナビル:該当資料なし
注意:本剤の承認されている用法・用量は,ジェノタイプ 1:オムビタスビルとして 25mg,パリタプレビルとして 150mg 及び
リトナビルとして 100mg を含有する配合錠を食後に経口投与(1 日 1 回),投与期間は 12 週間,ジェノタイプ 2:リバ
ビリンとの併用において,オムビタスビルとして 25mg,パリタプレビルとして 150mg 及びリトナビルとして 100mg を
含有する配合錠を食後に経口投与(1 日 1 回),投与期間は 16 週間である.
-46-
(6)分布容積
オムビタスビル(外国人データ)55)
健康成人 16 例にオムビタスビル 25μg を静脈内投与したときのオムビタスビルの定常状態分布容積(Vss)
は 173 L であっ
た.
パリタプレビル(外国人データ)55)
健康成人 16 例にパリタプレビル 100μg を静脈内投与したときのパリタプレビルの定常状態分布容積(Vss)は 103 L で
あった.
リトナビル:該当資料なし
注意:本剤の承認されている用法・用量は,ジェノタイプ 1:オムビタスビルとして 25mg,パリタプレビルとして 150mg 及び
リトナビルとして 100mg を含有する配合錠を食後に経口投与(1 日 1 回),投与期間は 12 週間,ジェノタイプ 2:リバ
ビリンとの併用において,オムビタスビルとして 25mg,パリタプレビルとして 150mg 及びリトナビルとして 100mg を
含有する配合錠を食後に経口投与(1 日 1 回),投与期間は 16 週間である.
(7)血漿蛋白結合率
オムビタスビル
オムビタスビルのヒト血漿蛋白結合率は 0.1~10μM(0.09~9μg/mL)の濃度範囲で約 99.9%であった(in vitro).異
なる程度の腎機能障害又は肝機能障害被験者において,オムビタスビルの蛋白結合は意味のある差を示さなかった(外
国人データ)25),26).ヒトにおいて血液/血漿中濃度比は約 0.49 であり,オムビタスビルはヒト全血の血漿分画に優先的
に分布することが示された(in vitro).
パリタプレビル
パリタプレビルのヒト血漿蛋白結合率は 0.1~10μM
(0.08~8μg/mL)の濃度範囲で約 97%から 98.6%であった
(in vitro).
異なる程度の腎機能障害又は肝機能障害の被験者の血漿で得られた蛋白結合は同程度であった(外国人データ).ヒト
における血液/血漿中濃度比は 0.68 であり,パリタプレビルは全血の血漿分画に優先的に分布することが示された(in
vitro).
リトナビル
リトナビルのヒト血漿蛋白結合率は 0.01~30μM(0.007~22μg/mL)の濃度範囲で 99%以上であった(in vitro).DAA
3 剤レジメンの Cmax と同程度の濃度で,異なる程度の腎機能障害又は肝機能障害の被験者の血漿で得られた蛋白結合は
同程度であった(外国人データ)25),26).
3.吸収
オムビタスビル
日本人健康成人に非絶食下で 25/150/100mg の用量でオムビタスビル/パリタプレビル/リトナビル配合錠を単回及び反復
投与した後,オムビタスビルの Tmax は約 5 時間に認められた.
(
「Ⅶ.1.(3) 1) 単回投与,2) 反復投与」の項参照)
パリタプレビル
日本人健康成人を対象として非絶食下オムビタスビル/パリタプレビル/リトナビル配合錠 25/150/100mg を単回及び反復
経口投与した後,パリタプレビルの Tmax は 4 から 5 時間に認められた.
(
「Ⅶ.1.(3) 1) 単回投与,2) 反復投与」の項
参照)
リトナビル
日本人健康成人に非絶食下で 25/150/100mg の用量でオムビタスビル/パリタプレビル/リトナビル配合錠を単回及び反復
投与した後,リトナビルの Tmax は約 4 から 5 時間に認められた.
(
「Ⅶ.1.(3) 1) 単回投与,2) 反復投与」の項参照)
-47-
4.分布
(1)血液-脳関門通過性
該当資料なし
<参考>
オムビタスビル(ラット,マウス)
[14C]オムビタスビルに由来する放射能はメラニン含有組織に優先的に結合することはなく,血液脳関門で保護された眼
球の水晶体又は中枢神経系組織に分布しなかった.トランスポーターをノックアウトしたマウスの試験では,P-gp 及び
BCRP のような排出トランスポーターが[14C]オムビタスビルの低い脳内移行性に寄与していることが示唆された.
パリタプレビル(ラット)
[14C]パリタプレビルに由来する放射能は有色の雄性ラットのメラニン含有組織に優先的に結合することはなく,血液脳
関門で保護された中枢神経系組織に分布しなかった.
(2)血液-胎盤関門通過性
該当資料なし
<参考>
オムビタスビル(ラット)
妊娠 18 日の Sprague-Dawley ラットに[14C]オムビタスビルを経口投与した後,放射能は胎児組織にわずかに分布した.
投与後 8 及び 12 時間において,極めて少量の放射能が胎児肝で検出された.ほとんどの母体組織の放射能の最高濃度は
投与後 4,8 又は 12 時間に認められた.本試験を通して,他のすべての胎児組織及び羊水には放射能が認められなかっ
た.羊膜嚢,胎盤及び子宮には投与後 24 時間まで,乳腺には投与後 48 時間まで計測可能な濃度の放射能が認められた.
最終採取時点である投与後 72 時間において,母体の放射能濃度は,腹部脂肪,ハーダー腺及び肝臓を除くすべての組織
で計測可能な濃度より低かった.組織内分布のデータより,[14C]オムビタスビルに由来する放射能は羊膜嚢及び胎盤に
分布し,胎児組織には極めてわずかしか分布しないことがわかった.
パリタプレビル(ラット)
妊娠 18 日の Sprague-Dawley ラットに[14C]パリタプレビル及びリトナビルを経口投与した後,放射能は胎児組織にわず
かに分布した.投与後 8 及び 12 時間においてのみ,極めて少量の放射能が胎児肝で検出された.他のすべての胎児組織
及び羊水では試験を通して放射能は検出されなかった.ほとんどの母体組織の放射能は,投与後 2 時間に最高濃度に到
達し,[14C]パリタプレビルに由来する放射能は投与後 72 時間までに完全に母体組織から消失した.羊水及びほとんどの
胎児組織(胎児肝を除く)における薬物由来の放射能が認められないことは,極めて少ない量の[14C]パリタプレビル関
連物質が胎盤を通過することを示していた.
(3)乳汁への移行性
該当資料なし
<参考>
本剤成分がヒト乳汁中へ移行するかどうかは不明であるが,動物実験(ラット)で本剤由来成分が乳汁中へ移行するこ
とが報告されている.授乳ラットでは主としてパリタプレビル,パリタプレビル加水分解物質 M13,オムビタスビル未
変化体が認められた 56),57),58),59).
(4)髄液への移行性
該当資料なし
(5)その他の組織への移行性
該当資料なし
<参考>
オムビタスビル(ラット)
有色動物の Long-Evans ラットに[14C]オムビタスビルを 5mg/kg 単回経口投与したところ,薬物由来の放射能は緩慢に吸
-48-
収され,組織内に分布し,投与後 4~8 時間に最高濃度となった.最も高い放射能濃度が認められたのは副腎,肝臓,膵
臓,腎皮質及び胃粘膜であった.組織内の放射能濃度は投与後 168 時間までに定量限界未満にまで減少した.
パリタプレビル(ラット)
有色の雄性 Long-Evans ラットにおいて[14C]パリタプレビル 30mg/kg 及びリトナビル 15mg/kg を経口投与した後,組織
には限られた放射能の分布しか認められなかった.他の組織に比べて肝臓中には投与後 0.5 から 48 時間の間,最も高い
量の放射能が認められた.ほとんどの組織において投与後 4 時間に Cmax が認められ,尿及び 4 組織(盲腸,肝臓,小腸
及び膀胱)を除くすべての組織内濃度は投与後 24 時間までに定量限界未満まで減少した.投与後 96 時間では,[14C]パ
リタプレビルに由来する放射能は雄性 Long Evans ラットのいかなる組織にも検出されなかった.
5.代謝
(1)代謝部位及び代謝経路
オムビタスビル
オムビタスビルは主としてアミドの加水分解により代謝され,次いで酸化を受ける.定常状態のオムビタスビル錠剤 5mg
をリトナビル 100mg 単回と併用投与するとオムビタスビルの曝露量は 60%から 70%増加する(外国人データ)60).ヒ
トにおいてアミドの加水分解生成物である M23 は t-ブチル基が主として CYP2C8 を介して更に代謝され,酸化的代謝物
及び/又は C-脱メチル代謝物を生成する.その下流代謝物には M26,M25,M34,M35,M36,M37 及び M29 が含まれ
る.ヒトに[14C]オムビタスビルを単独で単回経口投与した後,[14C]オムビタスビル,M23,M29,M36 及び M37 は血漿
中の主成分であり,血漿中総放射能の約 93%を占めたが,少なくとも 9 種類の代謝物が低濃度又は痕跡量認められた.
ヒト血漿中のオムビタスビルの代謝物プロファイルは,健康成人に DAA 3 剤併用投与後,定常状態で検討された 61).
M23,M29,M36 及び M37 の濃度は,定常状態で得られた血漿検体において合成参照標準物質に対して測定した.親化
合物は薬物関連物質の 51.9%を占め,次いで M29(19.9%),M36(13.1%),M37(9.3%)及び M23(5.8%)が認め
られた.血漿検体には 8 種類の代謝物が低濃度又は痕跡量認められた.定常状態における代謝物の評価に基づき,M29
及び M36 はヒト特有の主代謝物と定義された(すなわち定常状態において薬物関連物質の AUC の 10%を超過した)
(外
国人データ).
注意:本剤の承認されている用法・用量は,ジェノタイプ 1:オムビタスビルとして 25mg,パリタプレビルとして 150mg 及び
リトナビルとして 100mg を含有する配合錠を食後に経口投与(1 日 1 回),投与期間は 12 週間,ジェノタイプ 2:リバ
ビリンとの併用において,オムビタスビルとして 25mg,パリタプレビルとして 150mg 及びリトナビルとして 100mg を
含有する配合錠を食後に経口投与(1 日 1 回),投与期間は 16 週間である.
-49-
マウス,ラット,ウサギ,イヌ及びヒト血漿中代謝物に基づくオムビタスビルの推定代謝経路
ABT-267:オムビタスビル
パリタプレビル
パリタプレビルは主として CYP3A4/5 により代謝された.パリタプレビルは CYP3A の阻害剤であるリトナビルと併用投
与され,リトナビルはパリタプレビルの代謝を阻害する.健康成人におけるヒト ADME 試験で放射能標識したパリタプ
レビルをリトナビルと併用投与したとき 62),ヒト血漿中に 5 種類の代謝物が同定され,それらには M2(総薬物関連物
質の 7.8%),M29(総薬物関連物質の 3.2%)及び痕跡量の M3,M13 及び M6 が含まれていた(外国人データ).
マウス,ラット,イヌ及びヒト血漿中で観測された代謝物に基づくパリタプレビルの推定代謝経路
ABT-450:パリタプレビル
-50-
リトナビル
リトナビルは主として CYP3A4 で代謝され,副次的に CYP2D6 で代謝される.
(2)代謝に関与する酵素(CYP450 等)の分子種
「Ⅶ.5.(1) 代謝部位及び代謝経路」の項参照
(3)初回通過効果の有無及びその割合
該当資料なし
(4)代謝物の活性の有無及び比率
「Ⅶ.5.(1) 代謝部位及び代謝経路」の項参照
(5)活性代謝物の速度論的パラメータ
該当資料なし
6.排泄
(1)排泄部位及び経路
オムビタスビル(外国人データ)
健康成人に[14C]オムビタスビル 25mg 単回経口投与後,投与放射能の約 90.2%が糞中から回収され,尿中からはわずか
な量の放射能(1.91%)が回収された 60).未変化体は糞中に回収された総放射能の 87.8%を占め,尿中には 0.03%認め
られた 60).
パリタプレビル(外国人データ)
健康成人に[14C]パリタプレビル 200mg をリトナビル 100mg と共に単回経口投与した後,パリタプレビルは主として糞中
に排泄され(投与放射能量の約 87.8%),尿中には投与放射能量の約 8.76%が回収された 62).未変化の親化合物は各々
糞中及び尿中の総放射能の 1.1%及び 0.05%を占めた.尿中では,加水分解生成物の M13 が主成分であり,投与放射能
量の 8.6%を占めた.
(2)排泄率
「Ⅶ.6.(1) 排泄部位及び経路」の項参照
(3)排泄速度
パリタプレビル(外国人データ)62)
健康成人に[14C]パリタプレビル(200 mg,100μCi)をリトナビル 100mg とともに単回経口投与した後,投与量の 87.8%
が糞中から回収され 8.76%が尿中から回収された.投与した放射能の 90.5%が投与後 120 時間までに回収された.尿及
び糞の検体を合わせた放射能の平均総回収率は 192 時間までに 96.5%であり,回収率は 96.0%から 96.9%までの範囲に
あった.
リトナビル
該当資料なし
オムビタスビル(外国人データ)60)
健康成人に[14C]オムビタスビルを 25mg(100μCi)単回経口投与した後,投与後 192 時間までの尿中及び糞中への放射
能の平均総回収率は 92.2%であり,回収率は 91.4%から 93.1%の範囲内であった.最終採取間隔までに投与量の 90.2%
が糞中に回収され,1.9%が尿中に回収された.投与した放射能の 89.6%が投与後 120 時間までに回収された.
注意:本剤の承認されている用法・用量は,ジェノタイプ 1:オムビタスビルとして 25mg,パリタプレビルとして 150mg 及び
リトナビルとして 100mg を含有する配合錠を食後に経口投与(1 日 1 回),投与期間は 12 週間,ジェノタイプ 2:リバ
ビリンとの併用において,オムビタスビルとして 25mg,パリタプレビルとして 150mg 及びリトナビルとして 100mg を
含有する配合錠を食後に経口投与(1 日 1 回),投与期間は 16 週間である.
-51-
7.トランスポーターに関する情報
直接作用型抗ウイルス薬(DAA)が基質となるトランスポーター又は DAA が臨床上阻害剤となる可能性のあるトラン
スポーターのリストを表に示す.
In vitro のデータ又はノックアウトマウスに基づくトランスポーターの基質としての DAA 及び阻害剤となる可能性のある DAA
トランスポーター
基質 a
阻害剤 b
P-gp
パリタプレビル,リトナビル,オムビタスビル
パリタプレビル,リトナビル
BCRP
パリタプレビル
パリタプレビル,リトナビル
OATP1B1
パリタプレビル
パリタプレビル
OATP1B3
パリタプレビル
パリタプレビル
MRP2
パリタプレビル
パリタプレビル
BSEP
評価せず
パリタプレビル,リトナビル
a:P-gp 及び BCRP に対する正味のエフラックス比>2 並びに OATP に対する Km 値に基づく.
b:P-gp 及び BCRP に対する腸管腔内濃度(用量/250mL)/IC50>10 又は Cmax/IC50>0.1,OATP に対する R 値>1.25 に基
づく.
オムビタスビル,パリタプレビル,リトナビルは P-gp の基質である.パリタプレビルは BCRP と OATP1B1/1B3 の基質
である.パリタプレビルは OATP1B1 と OATP1B3 の阻害剤である.オムビタスビル,パリタプレビル,リトナビルはい
ずれも有機カチオントランスポーター(OCT1)の基質でも阻害剤でもない.パリタプレビルとリトナビルは P-gp と BCRP
の阻害剤である.オムビタスビル及びパリタプレビルは UGT1A1 の阻害剤であり,リトナビルは CYP3A4 の阻害剤であ
る.
8.透析等による除去率
該当資料なし
<参考>
(外国人データ)63)
血液透析を受けている患者を含む進行性腎疾患の患者(CKD ステージ 4 又は 5)を対象に,リバビリンの併用下又は非
併用下の本剤及び dasabuvir(国内未発売)±リバビリンの薬物動態,有効性,安全性を評価した臨床試験(海外第Ⅲb
相試験(RUBY-I)
)において,透析日に薬物動態の検討を実施した 1 例では,血液透析前,透析開始後 1 時間,透析終
了時において動脈及び静脈における DAA の濃度は類似(17%未満の変動)しており,各成分が血液透析により除去され
ないことが示唆された.
注意:本剤の承認されている用法・用量は,ジェノタイプ 1:オムビタスビルとして 25mg,パリタプレビルとして 150mg 及び
リトナビルとして 100mg を含有する配合錠を食後に経口投与(1 日 1 回),投与期間は 12 週間,ジェノタイプ 2:リバビ
リンとの併用において,オムビタスビルとして 25mg,パリタプレビルとして 150mg 及びリトナビルとして 100mg を含
有する配合錠を食後に経口投与(1 日 1 回),投与期間は 16 週間である.
-52-
Ⅷ.安全性(使用上の注意等)に関する項目
1.警告内容とその理由
■警告
本剤は,ウイルス性肝疾患の治療に十分な知識・経験を持つ医師のもとで,本剤の投与が適切と判断される患者に
対してのみ投与すること.
(解説)
本剤は新規の経口抗ウイルス薬である.安全に使用できるよう,ウイルス性肝疾患の治療に十分な知識・経験を持つ医
師のもとで,本剤の投与が適切と診断された患者に対してのみ投与すること.
2.禁忌内容とその理由(原則禁忌を含む)
■禁忌(次の患者には投与しないこと)
1.本剤の成分に対して過敏症の既往歴のある患者
2.中等度以上(Child-Pugh 分類 B 又は C)の肝機能障害のある患者
3.次の薬剤を投与中の患者:アゼルニジピン,トリアゾラム,ミダゾラム,ブロナンセリン,ピモジド,エルゴタ
ミン酒石酸塩,ジヒドロエルゴタミンメシル酸塩,エルゴメトリンマレイン酸塩,メチルエルゴメトリンマレイ
ン酸塩,シルデナフィルクエン酸塩(レバチオ)
,タダラフィル(アドシルカ)
,リバーロキサバン,バルデナフィ
ル塩酸塩水和物,リオシグアト,シンバスタチン,アトルバスタチンカルシウム水和物,カルバマゼピン,フェ
ニトイン,ホスフェニトインナトリウム水和物,フェノバルビタール,リファンピシン,エファビレンツ,セイ
ヨウオトギリソウ(St. John's Wort,セント・ジョーンズ・ワート)含有食品,エチニルエストラジオール含有製
剤(「相互作用」の項参照)
4.腎機能又は肝機能障害のある患者で,コルヒチンを投与中の患者(「相互作用」の項参照)
(解説)
1.本剤含有の成分(下表)に過敏症の既往歴がある患者には使用しないこと.
本剤含有成分
オムビタスビル水和物,パリタプレビル水和物,リトナビル※
コポリビドン,コハク酸 d-α-トコフェロールポリエチレングリコール,軽質無水ケイ酸,モノラウ
添加物
リン酸プロピレングリコール,モノラウリン酸ソルビタン,フマル酸ステアリルナトリウム,ポリビ
ニルアルコール(部分けん化物)
,マクロゴール 4000,タルク,酸化チタン,三二酸化鉄
※リトナビルは HIV 治療薬(販売名:ノービア錠,ノービア内用液,カレトラ配合錠,カレトラ配合内用液)の有
効成分としても使用されている.
有効成分
2.肝機能障害患者を対象とした海外臨床試験における検討で,重度(Child-Pugh 分類 C)の肝機能障害患者において,
本剤の大幅な血中濃度上昇が認められたため禁忌とした.また,海外自発報告において,主に進行した肝硬変患者で
重篤な肝不全が報告されたことから,中等度(Child-Pugh 分類 B)の肝機能障害患者を禁忌とした.
3.以下に該当する薬剤を中心に併用禁忌を設定した.これら薬剤との併用は避けること.
1)本剤が併用薬剤の血中濃度を大幅に上昇させ,重篤な副作用を発現するおそれのある薬剤
2)本剤が併用薬剤による代謝誘導を受け,本剤の治療効果が減弱するおそれのある薬剤
3)臨床試験において副作用の報告があるもの
(「Ⅷ. 7. (1)併用禁忌とその理由」の項参照)
4.腎機能障害又は肝機能障害のある患者においてはコルヒチンのクリアランスが低下し,コルヒチン毒性が発現しやす
くなるおそれがあることから禁忌とした.
(
「Ⅷ. 7. (1)併用禁忌とその理由」の項参照)
-53-
3.効能又は効果に関連する使用上の注意とその理由
「Ⅴ.1.効能又は効果」の項参照
4.用法及び用量に関連する使用上の注意とその理由
「Ⅴ.2.用法及び用量」の項参照
5.慎重投与内容とその理由
慎重投与
B 型肝炎ウイルス感染の患者又は既往感染者[再活性化するおそれがある.
]
(「重要な基本的注意」の項参照)
(「Ⅷ.6.重要な基本的注意とその理由及び処置方法」の項(2)参照)
6.重要な基本的注意とその理由及び処置方法
重要な基本的注意
(1)肝機能障害があらわれることがあるので,本剤投与中は定期的に肝機能検査を行うこと.肝機能障害は主に本
剤投与開始 4 週以内にあらわれやすいので,投与開始初期は必要に応じてより頻回に肝機能検査を行うこと.
肝酵素上昇の有無にかかわらず,血中ビリルビン値が著しく上昇し,腹水,肝性脳症等を伴う肝不全があらわ
れることがあるので,患者の状態を十分に観察すること.肝不全の徴候が認められた場合には投与を中止し,
適切な処置を行うこと.
(
「副作用」の項参照)
(2)B 型肝炎ウイルス感染の患者又は既往感染者(HBs 抗原陰性,かつ HBc 抗体又は HBs 抗体陽性)において,C
型肝炎直接型抗ウイルス薬を投与開始後,C 型肝炎ウイルス量が低下する一方 B 型肝炎ウイルスの再活性化が
報告されている.本剤投与に先立って,B 型肝炎ウイルス感染の有無を確認すること.B 型肝炎ウイルス感染
の患者又は既往感染者に本剤を投与する場合は,HBV DNA 量等の B 型肝炎ウイルスマーカーのモニタリング
を行うなど,B 型肝炎ウイルスの再活性化の徴候や症状の発現に注意すること.
(3)本剤投与前及び投与開始後は定期的に腎機能検査(血清クレアチニン,BUN 等)を行うこと.特に,腎機能が
低下している患者,Ca 拮抗剤を併用している患者では,急激に腎機能が悪化することがあるので,観察を十分
に行い,異常が認められた場合には,投与を中止するなど適切な処置を行うこと.
(
「重大な副作用」の項参照)
(4)セログループ 2(ジェノタイプ 2)に対しては,リバビリンと併用するため,リバビリンの添付文書に記載さ
れている,警告,禁忌,慎重投与,重要な基本的注意,重大な副作用等の使用上の注意を必ず確認すること.
(解説)
(1)本剤投与中は定期的な肝機能検査を実施すること.海外臨床試験において ALT(GPT)上昇等の肝機能障害は通常
投与開始から 4 週間以内に発現している.このため投与開始初期は必要に応じてより頻回な肝機能検査を実施する
こと.また,海外自発報告において,重篤な肝不全が報告されている.これら報告例は肝酵素の上昇の有無にかか
わらず,血中ビリルビン値の著しい上昇,腹水,肝性脳症,静脈瘤等を特徴としている.このため,特に代償性肝
硬変の患者を中心に,肝不全(肝代償不全)に対する十分な観察を行うこと.肝不全(肝代償不全)の徴候が認め
られた場合には本剤を中止し適切な処置を行うこと.
(
「Ⅷ. 8. 副作用」の項参照)
(2)B 型肝炎ウイルス(HBV)感染の患者又はその既往感染者において,C 型肝炎直接型抗ウイルス薬の投与により,
HCV が低下する一方で,HBV の再活性化による重篤な肝機能障害が報告されている(医薬品・医療機器等安全性
情報
No.334 2016 年 6 月)
.本剤投与前には HBV の感染の有無を確認し,HBV 感染の患者又は既往感染者への
投与中はウイルスマーカーのモニタリングを実施の上,HBV の再活性化に注意すること.
(「Ⅷ. 8. 副作用」の項参
照)
-54-
(3)市販後自発報告において,特に腎機能の低下している患者や Ca 拮抗剤を併用している患者で急性腎不全等の重篤
な腎機能障害が報告されている.これらの患者においては,以下のとおり定期的に腎機能検査を実施し,腎機能障
害の発現に注意すること.
(
「Ⅷ. 8. 副作用」の項参照)
1)本剤投与前及び投与開始後は定期的に腎機能検査(血清クレアチニン,BUN 等)を行い,腎機能の低下の有無
を確認すること.
2)腎機能が低下している患者,Ca 拮抗剤を併用している患者では,急激に腎機能が悪化することがあるので,異
常が認められた場合には,投与を中止するなど適切な処置を行うこと.
(4)セログループ 2(ジェノタイプ 2)はリバビリンと併用するため,リバビリンの添付文書情報(使用上の注意等)
についても確認の上,併用を行うこと.
7.相互作用
オムビタスビルはアミド加水分解を経由し酸化的に代謝される.オムビタスビルは P 糖蛋白(P-gp)の基質である.
パリタプレビルは P-gp,乳癌耐性蛋白(BCRP)
,有機アニオントランスポーター(OATP1B1/1B3)の基質であり阻
害剤である.パリタプレビル及びリトナビルは主に CYP3A4/5 で代謝される.リトナビルは P-gp の基質であり阻害
剤である.また CYP3A4 及び BCRP の阻害作用を有する.CYP3A,P-gp,BCRP,OATP1B1/1B3 を基質とする薬剤
との併用はこれら薬剤の血中濃度を上昇させるおそれがあるため,用量調節や十分な観察を行うこと.
(「薬物動態」
の項参照)
(解説)
本剤は下表のとおり複数の薬物代謝経路において相互作用に関与することがわかっている.併用薬剤との相互作用につ
いては可能なすべての組み合わせについて検討されていない.患者が使用している全ての薬剤情報を確認の上,相互作
用の項に記載されている薬剤以外においても,相互作用の影響が想定される薬剤との併用に際しては用量に留意して慎
重に投与すること.
本剤有効成分の基質及び阻害作用
CYP3A
OATP1B1/1B3
P-gp
BCRP
UGT1A1
基質
阻害作用
基質
阻害作用
基質
阻害作用
基質
阻害作用
基質
阻害作用
オムビタスビル
-
-
-
-
○
-
-
-
-
○
-55-
パリタプレビル
○(3A4/5)
-
○
○
○
○
○
○
-
○
リトナビル
○(3A4/5)
○(3A4)
-
-
○
○
-
○
-
-
本剤が併用薬剤に与える影響(主なもの)
禁忌
想定される血中濃度
への影響
CYP3A 基質薬剤↑
CYP3A 基質薬剤(多数)
注意
CYP3A 基質薬剤↑
副作用のおそれ
OATP 基質薬剤(スタチン等)
注意
OATP 基質薬剤↑
副作用のおそれ
CYP2C19 基質薬剤(オメプラ
ゾール等)
注意
CYP2C19 基質薬剤↓
併用薬剤の効果減弱
P-gp 基質薬剤(ジゴキシン等)
注意
P-gp 基質薬剤↑
副作用のおそれ
対象薬剤
区分
想定される臨床的影響
対策
重篤な副作用のおそれ
使用不可
モニタリング
場合により併用薬剤の
減量等
モニタリング
併用薬剤の減量等
モニタリング
併用薬剤の増量を考慮
モニタリング
併用薬剤の減量等
併用薬剤が本剤に与える影響(主なもの)
対象薬剤
CYP3A 誘導作用を有する薬剤
(カルバマゼピン等)
CYP3A 阻害剤(イトラコナ
ゾール等)
区分
禁忌
注意
想定される血中濃度
への影響
パリタプレビル↓
リトナビル↓
パリタプレビル↑
CYP3A 阻害剤↑
想定される臨床的影響
対策
本剤の効果減弱
使用不可
副作用のおそれ
モニタリング
併用薬剤の減量等
(1)併用禁忌とその理由
併用禁忌(併用しないこと)
薬剤名等
(一般名[代表的販売名])
アゼルニジピン
[カルブロック等]
トリアゾラム
[ハルシオン等]
ミダゾラム
[ドルミカム,ミダフレッサ等]
ブロナンセリン
[ロナセン]
ピモジド
[オーラップ]
エルゴタミン酒石酸塩
[クリアミン]
ジヒドロエルゴタミンメシル酸塩
[ジヒデルゴット等]
エルゴメトリンマレイン酸塩
[エルゴメトリン]
メチルエルゴメトリンマレイン酸塩
[メテルギン等]
シルデナフィルクエン酸塩(肺高血圧症
に適応される製剤)
[レバチオ]
タダラフィル(肺高血圧症に適応される
製剤)
[アドシルカ]
リバーロキサバン
[イグザレルト]
バルデナフィル塩酸塩水和物
[レビトラ]
臨床症状・措置方法
機序・危険因子
これらの薬剤の血中濃度が上昇
し,重篤な又は生命に危険を及ぼ
すような副作用が発現しやすく
なるおそれがある.
リトナビルの CYP3A4 阻害作用
によりこれら薬剤の血中濃度が
大幅に上昇するため.
-56-
薬剤名等
(一般名[代表的販売名])
リオシグアト
[アデムパス]
シンバスタチン
[リポバス等]
アトルバスタチンカルシウム水和物
[リピトール等]
カルバマゼピン
[テグレトール等]
フェニトイン
[アレビアチン等]
ホスフェニトインナトリウム水和物
[ホストイン]
フェノバルビタール
[フェノバール等]
リファンピシン
[リファジン等]
エファビレンツ
[ストックリン]
セイヨウオトギリソウ(St. John's Wort,
セント・ジョーンズ・ワート)含有食品
エチニルエストラジオール含有製剤
[オーソ,ルナベル等]
臨床症状・措置方法
機序・危険因子
これらの薬剤の血中濃度が上昇
し,重篤な又は生命に危険を及ぼ
すような副作用が発現しやすく
なるおそれがある.
リトナビルの CYP3A4 阻害作用
ならびにリトナビルとパリタプ
レビルの P-gp 及び BCRP 阻害作
用によるものと考えられる.
リトナビルの CYP3A4 阻害作用
及びパリタプレビルの OATP 阻
害作用によるものと考えられる.
本剤の血中濃度が低下し,治療効
果が減弱するおそれがある.
(「薬
物動態」の項参照)
これら中等度から強力な CYP3A
誘導薬剤により本剤の代謝が促
進されるため.
エチニルエストラジオール含有
経口避妊薬を投与した患者にお
いて ALT(GPT)上昇が高頻度に
認められている.なお,本剤治療
終了の約 2 週間後から再開でき
る.
機序不明
(解説)
アゼルニジピン,トリアゾラム,ミダゾラム,ブロナンセリン,ピモジド,エルゴタミン,ジヒドロエルゴタミン,エ
ルゴメトリン,メチルエルゴメトリン,シルデナフィル(レバチオ),タダラフィル(アドシルカ),リバーロキサバ
ン,バルデナフィルとの併用
これらの薬剤は CYP3A 基質であり,本剤のリトナビルによる CYP3A 阻害作用により代謝が阻害され,これら薬剤の血
中濃度が上昇し,特に重篤な副作用を発現するおそれがあるため,既存のリトナビル含有製剤(販売名:ノービア,カ
レトラ)の使用上の注意等を参考に併用禁忌に設定した.
-57-
併用禁忌 薬剤リスト その 1
一般名
アゼルニジピン
トリアゾラム
ミダゾラム
ブロナンセリン
ピモジド
エルゴタミン酒石酸塩
ジヒドロエルゴタミンメシル酸塩
エルゴメトリンマレイン酸塩
メチルエルゴメトリンマレイン酸塩
販売名(順不同)
カルブロック錠,レザルタス配合錠,アゼルニジピン錠(各社)
ハルシオン錠,トリアゾラム錠(各社),ハルラック錠
ドルミカム注射液,ミダゾラム注(各社),ミダフレッサ静注
ロナセン錠/散
オーラップ錠/細粒
クリアミン配合錠
ジヒデルゴット錠,ジヒドロエルゴタミンメシル酸塩錠,ヒポラール錠
エルゴメトリンマレイン酸塩注
メテルギン錠,パルタン M 錠/注,メチルエルゴメトリンマレイン酸塩錠/注(各
社),メチルエルゴメトリン錠/注
シルデナフィルクエン酸塩
レバチオ錠※
タダラフィル
アドシルカ錠※
リバーロキサバン
イグザレルト錠/細粒
バルデナフィル塩酸塩水和物
レビトラ錠
※シルデナフィル,タダラフィルは肺動脈性肺高血圧症を適応とする製剤のみが併用禁忌
2016 年 8 月現在
・リオシグアトとの併用
リオシグアトは P-gp,BCRP,CYP3A の基質であり,本剤のリトナビルによる CYP3A,P-gp,BCRP 阻害作用及びパリ
タプレビルの P-gp 阻害作用によりリオシグアトの血中濃度が大幅に上昇するおそれがあるため併用禁忌に設定した.
・シンバスタチン,アトルバスタチンとの併用
シンバスタチン,アトルバスタチンは CYP3A,OATP1B1 の基質であり,本剤のリトナビルによる CYP3A 阻害作用及び
パリタプレビルの OATP 阻害作用によりこれら薬剤の血中濃度が上昇し,重篤な副作用を発現するおそれがあるため併
用禁忌に設定した.
・カルバマゼピン,フェニトイン,ホスフェニトインナトリウム水和物,フェノバルビタール,リファンピシン,エファ
ビレンツ,セイヨウオトギリソウ(St. John’s Wort,セント・ジョーンズ・ワート)含有食品との併用
これら薬剤は CYP3A 誘導作用を有するため,本剤の CYP3A 基質であるパリタプレビル及びリトナビルの代謝が促進さ
れ,本剤の治療効果が減弱するおそれがあるため併用禁忌に設定した.
・エチニルエストラジオール含有製剤との併用
海外臨床試験における併用例で ALT(GPT)上昇が高頻度に認められたため,併用禁忌に設定した.エチニルエストラ
ジオールを含まない避妊薬では影響は認められていない.相互作用の機序については不明である.なお,本剤による影
響の消失を考慮し,本剤治療終了の 2 週間後より再開することができる.
-58-
併用禁忌 薬剤リスト その 2
一般名
リオシグアト
シンバスタチン
販売名(順不同)
アデムパス錠
リポバス錠,リポザート錠,リポバトール錠,ラミアン錠,シンバスタチン錠
(各社)
アトルバスタチンカルシウム水和物 リピトール錠,カデュエット配合錠,アトルバスタチン錠/OD 錠(各社),ア
マルエット配合錠(各社)
カルバマゼピン
テグレトール錠/細粒,レキシン錠/細粒,カルバマゼピン錠(各社)
フェニトイン
アレビアチン注/錠/散,複合アレビアチン配合錠,ヒダントール錠/D 配合錠/E 配
合錠/F 配合錠/散
ホスフェニトインナトリウム水和物 ホストイン静注
フェノバルビタール
ヒダントール配合錠,フェノバルビタール散(各社),フェノバール注射液/原
末/散/錠/エリキシル,アストモリジン配合胃溶錠/配合腸溶錠,トランコロン P
配合錠,ノーベルバール静注用,ベゲタミン配合錠,ワコビタール坐剤,ルピ
アール坐剤,複合アレビアチン配合錠
リファンピシン
リファジンカプセル,アプテシンカプセル,リファンピシンカプセル(各社)
エファビレンツ
ストックリン錠
セイヨウオトギリソウ(St. John's Wort, 栄養補助食品(サプリメント)
セント・ジョーンズ・ワート)含有食品
エチニルエストラジオール含有製剤 オーソ 777-21/M-21 錠,ヤーズ配合錠,アンジュ 21/28 錠,シンフェーズ T28 錠,
トリキュラー錠 21/28,ファボワール錠 21/28,フリウェル配合錠 LD,プラノバー
ル配合錠,プロセキソール錠,マーベロン 21/28,ラベルフィーユ 21/28 錠,ルナ
ベル配合錠 LD/ULD
2016 年 8 月現在
(2)併用注意とその理由
併用注意(併用に注意すること)
薬剤名等
Ca 拮抗剤(アゼルニジピン
を除く)
アムロジピンベシル酸塩
ニフェジピン 等
フロセミド
シルデナフィルクエン酸塩
[バイアグラ]
タダラフィル
[シアリス,ザルティア]
エレトリプタン臭化水素酸
塩
ロスバスタチンカルシウム
臨床症状・措置方法
Ca 拮抗剤の血中濃度が上昇するおそれがある.
臨床試験において末梢性浮腫が高頻度に報告
されているので,併用に際しては Ca 拮抗剤を
減量するなど十分注意すること.
(「副作用」,
「薬物動態」の項参照)
フロセミドの血中濃度(Cmax)が上昇する.
(「薬
物動態」の項参照)
これら薬剤の血中濃度が上昇するおそれがあ
る.
低血圧,失神,視覚障害や勃起持続等のこれ
ら副作用が発現するおそれがある.
エレトリプタンの血中濃度が上昇するおそれ
がある.
併用は治療上の有益性が危険性を上回ると判
断される場合に限り,副作用に対する観察を
十分に行うこと.
パリタプレビルの血中濃度が上昇するおそれ
がある.
ロスバスタチンの血中濃度が上昇するおそれ
がある.
(「薬物動態」の項参照)
横紋筋融解症を含むミオパチーの発現リスク
が高くなるおそれがある.
-59-
機序・危険因子
リトナビルの CYP3A4 阻害作用に
よる.
オムビタスビル及びパリタプレビ
ルが UGT1A1 を阻害するためと考
えられる.
リトナビルの CYP3A4 阻害作用に
よる.
リトナビルの CYP3A4 阻害作用に
よるものと考えられる.
パリタプレビル血中濃度上昇:機
序不明
ロスバスタチンの血中濃度上昇は
パリタプレビルの OATP 阻害作用
ならびにパリタプレビルとリトナ
ビルによる BCRP 阻害作用による
ものと考えられる.
薬剤名等
プラバスタチンナトリウム
ピタバスタチンカルシウム
フルバスタチンナトリウム
オメプラゾール
アルプラゾラム
ジアゼパム
クロラゼプ酸二カリウム
クエチアピンフマル酸塩
アミオダロン塩酸塩
ベプリジル塩酸塩水和物
キニジン硫酸塩水和物
プロパフェノン塩酸塩
ジゴキシン
フルチカゾンプロピオン酸
エステル
サルメテロールキシナホ酸
塩
アゾール系抗真菌薬
ケトコナゾール(経口
剤:国内未発売)
イトラコナゾール 等
臨床症状・措置方法
パリタプレビルの血中濃度が上昇するおそれ
がある.
プラバスタチンの血中濃度が上昇するおそれ
がある.
(「薬物動態」の項参照)
横紋筋融解症を含むミオパチーの発現リスク
が高くなるおそれがある.
ピタバスタチンの血中濃度が上昇するおそれ
がある.
横紋筋融解症を含むミオパチーの発現リスク
が高くなるおそれがある.
フルバスタチンの血中濃度が上昇するおそれ
がある.
横紋筋融解症を含むミオパチーの発現リスク
が高くなるおそれがある.
オメプラゾールの血中濃度が低下するおそれ
がある.
(「薬物動態」の項参照)
アルプラゾラムの血中濃度(AUC)が上昇す
る.
(「薬物動態」の項参照)
ジアゼパム及びノルジアゼパムの血中濃度
(AUC)が低下する.
(「薬物動態」の項参照)
クエチアピンの血中濃度が上昇するおそれが
ある.
これら薬剤の血中濃度が上昇するおそれがあ
る.
機序・危険因子
パリタプレビル血中濃度上昇:機
序不明
プラバスタチンの血中濃度上昇は
パリタプレビルの OATP 阻害作用
によるものと考えられる.
ジゴキシンの血中濃度が上昇するおそれがあ
る.
(「薬物動態」の項参照)
パリタプレビルとリトナビルによ
る P-gp 阻害作用によるものと考
えられる.
リトナビルの CYP3A4 阻害作用に
よる.
フルチカゾンの血中濃度が上昇するおそれが
ある.クッシング症候群,副腎皮質機能抑制
等の副作用があらわれるおそれがある.併用
は治療上の有益性がこれらの症状発現の危険
性を上回ると判断される場合に限ること.
サルメテロールの血中濃度が上昇するおそれ
がある.
本剤の血中濃度が上昇するおそれがある.
これらアゾール系抗真菌薬の血中濃度が上昇
するおそれがある.
(「薬物動態」の項参照)
-60-
パリタプレビルの OATP 阻害作用
によるものと考えられる.
リトナビルの CYP2C19 誘導作用
によるものと考えられる.
リトナビルの CYP3A4 阻害作用に
よるものと考えられる.
リトナビルの CYP2C19 誘導作用
によるものと考えられる.
リトナビルの CYP3A4 阻害作用に
よる.
リトナビルの CYP3A4 阻害作用に
よる.
本剤の血中濃度上昇はアゾール系
抗真菌薬の CYP3A/P-gp 阻害作用
による.
アゾール系抗真菌薬の血中濃度上
昇はリトナビルの CYP3A/P-gp 阻
害作用による.
薬剤名等
アゾール系抗真菌薬
ボリコナゾール
コルヒチン
シクロスポリン
タクロリムス水和物
ダルナビルエタノール付加
物(1 日 1 回投与)
ダルナビルエタノール付加
物/リトナビル(1 日 2 回投
与)
アタザナビル硫酸塩
アタザナビル硫酸塩/リト
ナビル
リトナビル含有製剤
リルピビリン塩酸塩
リファブチン
臨床症状・措置方法
本剤との併用試験は行われていないが,リト
ナビルとの併用でボリコナゾールの血中濃度
が低下したとの報告がある.本剤との併用に
おいてボリコナゾールの血中濃度が低下し,
ボリコナゾールの効果減弱を招くおそれがあ
るため,ボリコナゾール使用に関するリスク
ベネフィット評価によりボリコナゾールの使
用が妥当と判断される場合を除き,併用は避
けること.あるいは他の抗真菌療法を考慮す
ること.
コルヒチンの血中濃度が上昇するおそれがあ
るので,コルヒチンを減量あるいは低用量か
ら開始するなど注意すること.腎機能又は肝
機能障害のある患者においてはコルヒチンと
本剤を併用しないこと.
シクロスポリンの血中濃度が上昇するおそれ
がある.
パリタプレビルの血中濃度が上昇するおそれ
がある.(「薬物動態」の項参照)
タクロリムスの血中濃度が上昇するおそれが
ある.(「薬物動態」の項参照)
パリタプレビルの血中濃度が上昇するおそれ
がある.(「薬物動態」の項参照)
本剤含有のリトナビルが薬物動態学的増強効
果をもたらすので,本剤と併用する場合はリ
トナビル製剤を投与しないこと.
ダルナビルの血中濃度(Cmin)が低下するおそ
れがある.(「薬物動態」の項参照)
本剤含有のリトナビルが薬物動態学的増強効
果をもたらすので,本剤と同時投与する場合
はリトナビル製剤と併用しないこと.本剤と
同時投与しない場合はリトナビル製剤と併用
すること.
パリタプレビルの血中濃度が上昇するおそれ
がある.(「薬物動態」の項参照)
本剤含有のリトナビルが薬物動態学的増強効
果をもたらすので,本剤と同時投与する場合
はリトナビル製剤と併用しないこと.
パリタプレビルの血中濃度が上昇するおそれ
がある.
リトナビル含有製剤は本剤と同時に投与しな
いこと.(「薬物動態」の項参照)
リルピビリンの血中濃度が上昇するおそれが
ある.(「薬物動態」の項参照)
リファブチンの血中濃度が上昇するおそれが
ある.
-61-
機序・危険因子
リトナビルの CYP2C19 誘導作用
によるものと考えられる.
リトナビルの CYP3A4 阻害作用に
よる.
シクロスポリンの血中濃度上昇は
リトナビルの CYP3A4 阻害作用及
びパリタプレビルの OATP 阻害作
用による.パリタプレビルの血中
濃度上昇はシクロスポリンの
OATP,BCRP,P-gp 阻害作用によ
るものと考えられる.
リトナビルの CYP3A4 阻害作用に
よる.
機序不明
アタザナビルによる CYP3A 及び
OATP 阻害作用及び/又はリトナビ
ルによる CYP3A4 阻害作用によ
る.
リトナビルの CYP3A4 阻害作用に
よる.
リトナビルの CYP3A4 阻害作用に
よる.
リトナビルの CYP3A4 阻害作用に
よる.
(解説)
・Ca 拮抗剤との併用
薬物相互作用臨床試験においてアムロジピンの血中濃度上昇が認められている.Ca 拮抗剤は CYP3A 基質であり,本剤
のリトナビルの CYP3A 阻害作用により Ca 拮抗剤の血中濃度が上昇するおそれがある.また,国内臨床試験での併用例
では浮腫関連事象が高頻度で報告されている.併用に際しては Ca 拮抗剤を減量するなどし,十分な観察を行うこと.な
お,アゼルニジピンは併用禁忌であるので注意すること.
(「副作用」の項参照)
・フロセミドとの併用
薬物相互作用臨床試験においてフロセミドの血中濃度(Cmax)上昇が認められている.フロセミドは一部グルクロン酸
抱合で代謝されるため,本剤のパリタプレビル及びオムビタスビルの UGT1A1 阻害作用によるものと考えられている.
・シルデナフィル,タダラフィルとの併用
本剤との直接的な相互作用データはないが,これらの薬剤は CYP3A 基質であり,本剤のリトナビルによる CYP3A 阻害
作用により代謝が阻害され,これら薬剤の血中濃度が上昇するおそれがあることから設定した.
・エレトリプタンとの併用
本剤との直接的な相互作用データはないが,エレトリプタンは CYP3A4 基質であることに加え,治療指数も小さいため,
リトナビルが持つ CYP3A4 阻害特性を考慮し,併用注意に設定した.本剤との併用は推奨しない.併用はリスクベネ
フィットを十分勘案の上,必要と判断される場合に限ること.併用に際しては副作用に対する十分な観察を行うこと.
・ロスバスタチン,プラバスタチン,ピタバスタチン,フルバスタチンとの併用
薬物相互作用臨床試験においてロスバスタチン,プラバスタチンの血中濃度上昇が認められている.これら薬剤は
OATP1B1 基質であり,本剤のパリタプレビルの OATP 阻害作用によるものと考えられている.ロスバスタチンは BCRP
を介して排出されることから,本剤のリトナビルによる BCRP 阻害作用も関与していると考えられる.また,機序不明
ながらパリタプレビルの血中濃度上昇も確認されている.本剤との直接的な相互作用データはないが,ピタバスタチン
及びフルバスタチンは OATP1B1 基質であり,本剤のパリタプレビルの OATP 阻害作用によりこれら薬剤の血中濃度上
昇のおそれがあるため,併用注意に設定した.
薬物相互作用臨床試験データ(社内資料)
併用薬 用量(mg)
本剤(オムビタスビル/
パリタプレビル/リトナ
ビル)用量(mg)
例
アムロジピン 5 単回※43)
フロセミド 20 単回※43)
ロスバスタチン 5 QD 29)
14
12
25/150/100 QD
12
プラバスタチン 10 QD 29)
10
※本剤及び dasabuvir(国内未発売)との併用データ
-62-
併用薬の薬物動態パラメータ比
本剤併用/非併用時
(90%信頼区間)
AUC
Cmax
2.572
1.262
(2.312, 2.862)
(1.110, 1.436)
1.083
1.419
(1.004, 1.169)
(1.168, 1.724)
1.334
2.611
(1.142, 1.557)
(2.014, 3.386)
1.763
1.428
(1.456, 2.134)
(1.086, 1.876)
薬物相互作用臨床試験データ(社内資料)
併用薬 用量(mg)
ロスバスタチン 5 QD 29)
プラバスタチン 10 QD 29)
本剤(オムビタスビル/
パリタプレビル/リトナ
ビル)用量(mg)
例
12
25/150/100 QD
11
パリタプレビルの薬物動態パラメータ比
併用薬併用/非併用時
(90%信頼区間)
AUC
Cmax
1.218
1.396
(1.052, 1.410)
(1.122, 1.737)
1.329
1.441
(1.091, 1.618)
(1.149, 1.807)
・オメプラゾール
薬物相互作用臨床試験においてオメプラゾールの血中濃度低下が認められている.オメプラゾールは CYP2C19 基質であ
り,一方でリトナビルは弱い CYP2C19 誘導作用を有していることから,これが関与していると考えられている.
・アルプラゾラムとの併用
薬物相互作用臨床試験においてアルプラゾラムの血中濃度上昇が認められている.アルプラゾラムは CYP3A 基質である
ことから,本剤のリトナビルの CYP3A 阻害作用によるものと考えられる.
薬物相互作用臨床試験データ(社内資料)
併用薬 用量(mg)
オメプラゾール 40 QD 40)
本剤(オムビタスビル/
パリタプレビル/リトナ
ビル) 用量(mg)
例
12
25/150/100 QD
アルプラゾラム 0.5 単回 44)
12
併用薬の薬物動態パラメータ比
本剤併用/非併用時
(90%信頼区間)
AUC
Cmax
0.458
0.475
(0.273, 0.770)
(0.288, 0.782)
1.336
1.086
(1.151, 1.550)
(1.030, 1.145)
・ジアゼパム,クロラゼプ酸二カリウムとの併用
薬物相互作用臨床試験においてジアゼパム,ノルジアゼパム(ジアゼパム及びクロラゼプ酸の活性代謝物)の血中濃度
低下が認められている.ジアゼパム,ノルジアゼパムは CYP2C19 基質であり,一方でリトナビルは弱い CYP2C19 誘導
作用を有していることから,これが関与していると考えられている.
・クエチアピンフマル酸塩との相互作用
CYP3A 阻害剤であるケトコナゾールとの併用でクエチアピンの血中濃度上昇が認められている
64)
.本剤との直接的な
相互作用データはないが,本剤のリトナビルの CYP3A 阻害作用により同様の相互作用のおそれがあることから設定した.
・アミオダロン塩酸塩,ベプリジル塩酸塩水和物,キニジン硫酸塩水和物,プロパフェノン塩酸塩との併用
本剤との直接的な相互作用データはないが,これら薬剤は CYP3A 基質であることに加え,治療指数も小さいため,リト
ナビルが持つ CYP3A 阻害特性を考慮し,併用注意に設定した.
・ジゴキシンとの併用
薬物相互作用臨床試験においてジゴキシンの血中濃度上昇が認められている.ジゴキシンは P-gp 基質であるため,本剤
のパリタプレビルとリトナビルによる P-gp 阻害作用によるものと考えられている.
・フルチカゾンプロピオン酸エステルとの併用
本剤との直接的な相互作用データはないが,リトナビル製剤との併用によりフルチカゾンの血中濃度が上昇し,クッシ
ング症候群,副腎皮質機能抑制等の副作用が認められている 65).フルチカゾンは CYP3A 基質であり,本剤のリトナビ
ルの CYP3A 阻害作用によって相互作用があらわれるおそれがある.本剤との併用は推奨されない.併用はリスクベネ
フィットを十分勘案の上,必要と判断される場合に限ること.
-63-
・サルメテロールキシナホ酸塩との併用
CYP3A 阻害剤であるケトコナゾールとの併用でサルメテロールの大幅な血中濃度上昇が認められている(グラクソ・ス
ミスクライン社内資料).サルメテロールは CYP3A 基質であり,本剤のリトナビルの CYP3A 阻害作用によって同様の
相互作用があらわれるおそれがある.サルメテロールは QT 延長等の副作用を発現するおそれがあることから,本剤と
の直接的な相互作用データはないが,併用注意に設定した.
・アゾール系抗真菌薬(ケトコナゾール,イトラコナゾール等)との併用
薬物相互作用臨床試験において本剤(パリタプレビル,オムビタスビル)及びケトコナゾールの血中濃度上昇が認めら
れている.アゾール系抗真菌薬は CYP3A/P-gp 基質であり,阻害作用も有している.このためアゾール系抗真菌薬の
CYP3A 阻害作用により CYP3A 基質のパリタプレビルが,P-gp 阻害作用により P-gp 基質のオムビタスビルの血中濃度上
昇があらわれる.一方,本剤のリトナビルによる CYP3A/P-gp 阻害作用により,アゾール系抗真菌薬の血中濃度上昇が
あらわれる.
・アゾール系抗真菌薬(ボリコナゾール)との併用
本剤との直接的な相互作用データはないが,リトナビル製剤(高用量)との併用でボリコナゾールの血中濃度が低下し
たとの報告がある(ファイザー社内資料).リトナビルがボリコナゾールの代謝に関与する CYP2C19 を誘導するためと
考えられている.ボリコナゾールの治療効果が低下するおそれがあるため,本剤との併用は推奨されない.併用はリス
クベネフィットを十分勘案の上,必要と判断される場合に限ること.他の抗真菌療法も考慮すること.
薬物相互作用臨床試験データ(社内資料)
併用薬 用量 (mg)
本剤(オムビタスビル/
パリタプレビル/リトナ
ビル) 用量(mg)
例
ジゴキシン 0.5 単回 30)
25/150/100QD
11
ケトコナゾール 400 QD 31)
25/150/100 単回
12
併用薬 用量(mg)
本剤(オムビタスビル/
パリタプレビル/リトナ
ビル) 用量(mg)
例
ケトコナゾール 400 QD 31)
25/150/100 単回
12
併用薬 用量(mg)
本剤(オムビタスビル/
パリタプレビル/リトナ
ビル) 用量(mg)
例
ケトコナゾール 400 QD 31)
25/150/100 単回
12
併用薬の薬物動態パラメータ比
本剤併用/非併用時
(90%信頼区間)
AUC
Cmax
1.364
1.576
(1.207, 1.541)
(1.434, 1.731)
2.050
1.104
(1.931, 2.176)
(1.049, 1.161)
パリタプレビルの薬物動態パラメータ比
併用薬併用/非併用時
(90%信頼区間)
AUC
Cmax
2.161
1.723
(1.759, 2.657)
(1.316, 2.255)
オムビタスビルの薬物動態パラメータ比
併用薬併用/非併用時
(90%信頼区間)
AUC
Cmax
1.256
0.978
(1.197, 1.318)
(0.923, 1.036)
・コルヒチンとの併用
本剤のリトナビルの CYP3A 阻害作用によってコルヒチンの血中濃度が上昇するおそれがある.コルヒチンは治療指数が
小さいため,減量あるいは低用量から開始するなど注意すること.腎機能障害又は肝機能障害のある患者ではコルヒチ
ンのクリアランスが大幅に低下するおそれがあるため併用しないこと.
-64-
・シクロスポリンとの併用
薬物相互作用臨床試験においてシクロスポリン及び本剤のパリタプレビルの血中濃度上昇が認められている.シクロス
ポリンは CYP3A/OATP 基質であり,本剤のリトナビルの CYP3A 阻害作用及びパリタプレビルの OATP 阻害作用によっ
てシクロスポリンの血中濃度が上昇するおそれがある.一方でパリタプレビルは OATP/BCRP/P-gp の基質であり,シク
ロスポリンの OATP/BCRP/P-gp 阻害作用によってパリタプレビルの血中濃度が上昇すると考えられている.併用する際
には減量するなど十分に注意すること.
・タクロリムス水和物との併用
薬物相互作用臨床試験においてタクロリムスの血中濃度上昇が認められている.タクロリムスは CYP3A 基質であり,本
剤のリトナビルの CYP3A 阻害作用によってタクロリムスの血中濃度が上昇するおそれがある.併用する際には大幅に減
量するなど十分に注意すること.
薬物相互作用臨床試験データ(社内資料)
併用薬 用量 (mg)
本剤(オムビタスビル/
パリタプレビル/リトナ
ビル)用量(mg)
例
シクロスポリン 10 単回 37)
25/150/100 QD
12
タクロリムス 0.5 単回 38)
25/150/100 QD
11
併用薬 用量(mg)
本剤(オムビタスビル/
パリタプレビル/リトナ
ビル)用量(mg)
例
シクロスポリン 10 単回 37)
25/150/100 QD
12
併用薬の薬物動態パラメータ比
本剤併用/非併用時
(90%信頼区間)
AUC
Cmax
4.280
0.825
(3.656, 5.009)
(0.724, 0.940)
85.813
4.267
(67.875, 108.491)
(3.491, 5.216)
パリタプレビルの薬物動態パラメータ比
併用薬併用/非併用時
(90%信頼区間)
AUC
Cmax
1.455
1.389
(1.289, 1.642)
(1.102, 1.750)
・ダルナビルエタノール付加物との併用
機序不明ながら,薬物相互作用臨床試験においてダルナビル(1 日 1 回投与)併用でパリタプレビルの血中濃度上昇が
認められている.ダルナビルエタノール付加物/リトナビル(1 日 2 回投与)併用でダルナビルの血中濃度(Cmin)低下
が認められている.本剤含有のリトナビルがダルナビルの薬物動態学的増強効果をもたらすため,同時に服用する場合
にはダルナビル製剤と共に処方されているリトナビル製剤(ノービア)を服用しないこと.
・アタザナビル硫酸塩,アタザナビル硫酸塩/リトナビルとの併用
薬物相互作用臨床試験においてパリタプレビルの血中濃度上昇が認められている.アタザナビルの CYP3A/OATP 阻害作
用やリトナビル併用レジメンにおいてはリトナビルの CYP3A 阻害作用の増強により,パリタプレビルの血中濃度が上昇
するおそれがある.本剤含有のリトナビルがアタザナビルの薬物動態学的増強効果をもたらすため,同時に服用する場
合にはアタザナビル製剤と共に処方されているリトナビル製剤(ノービア)を服用しないこと.
・リトナビル含有製剤との併用
薬物相互作用臨床試験においてパリタプレビルの血中濃度上昇が認められている(ロピナビル・リトナビルとの併用試
験).リトナビル含有製剤との併用ではリトナビルの CYP3A 阻害作用の増強により,パリタプレビルの血中濃度が上昇
するおそれがある.本剤とは同時に服用しないこと.(対処例:本剤を朝,リトナビル含有製剤を夜に服用するなど)
・リルピビリン塩酸塩との併用
薬物相互作用臨床試験においてリルピビリンの血中濃度上昇が認められている.本剤のリトナビルの CYP3A 阻害作用に
よってリルピビリンの血中濃度が上昇するおそれがある.
-65-
・リファブチンとの併用
本剤との直接的な相互作用データはないが,リトナビルとの併用でリファブチンの血中濃度が上昇したとの報告がある
(ファイザー社内資料).本剤のリトナビルの CYP3A 阻害作用によってリファブチンの血中濃度が上昇するおそれがあ
る.
薬物相互作用臨床試験データ(社内資料)
併用薬 用量 (mg)
本剤(オムビタスビル/
パリタプレビル/リトナ
ビル) 用量(mg)
例
ダルナビル/リトナビル
600 BID/100 QPM 35)
25/150/100 QD
7
リルピビリン 25 QD 36)
25/150/100 QD
10
併用薬 用量(mg)
本剤(オムビタスビル/
パリタプレビル/リトナ
ビル) 用量(mg)
例
ダルナビル 800 QD 35)
25/150/100 QD
9
アタザナビル 300 QD 32)
25/150/100 QD
10
25/150/100 QD
18
25/150/100 QD
11
ロピナビル・リトナビル
400・100 BID 33)
ロピナビル・リトナビル
800・200 QPM 33)
併用薬の薬物動態パラメータ比
本剤併用/非併用時
(90%信頼区間)
AUC
Cmax
0.797
0.871※
(0.736, 0.863)
(0.793, 0.957)
3.245
2.545
(2.795, 3.768)
(2.077, 3.118)
※Cmin(=C12):0.567(0.432, 0.668)
パリタプレビルの薬物動態パラメータ比
併用薬併用/非併用時
(90%信頼区間)
AUC
Cmax
1.937
2.092
(1.363, 2.752)
(1.351, 3.239)
2.874
2.742
(2.082, 3.968)
(1.762, 4.265)
6.102
4.760
(4.295, 8.669)
(3.544, 6.393)
3.547
1.783
(2.366, 5.319)
(1.262, 2.518)
8.副作用
(1)副作用の概要
副作用
セログループ 1(ジェノタイプ 1)
:ジェノタイプ 1b の C 型慢性肝炎患者又は C 型代償性肝硬変患者を対象に本剤を
投与した国内第Ⅲ相試験において副作用(臨床検査値異常を含む)は 363 例中 105 例(28.9%)に認められた.主な
副作用として末梢性浮腫 15 例(4.1%)
,頭痛 12 例(3.3%)
,悪心 10 例(2.8%)が認められた.
(承認時)
セログループ 2(ジェノタイプ 2)
(リバビリンとの併用)
:国内第Ⅲ相試験においてジェノタイプ 2 の C 型慢性肝炎
患者で副作用(臨床検査値異常を含む)
は 160 例中 98 例(61.3%)
に認められた.
主な副作用として貧血 36 例(22.5%),
血中ビリルビン増加 29 例(18.1%)
,そう痒 14 例(8.8%)が認められた.
(承認時)
(解説)
セログループ 1(ジェノタイプ 1)の患者を対象とした国内第Ⅲ相臨床試験(363 例)において,主な副作用として,末
梢性浮腫,頭痛,悪心が認められている.
セログループ 2(ジェノタイプ 2)の患者を対象とした国内第Ⅲ相臨床試験(160 例)において,主な副作用として貧血,
血中ビリルビン増加,そう痒が認められている.
-66-
(2)重大な副作用と初期症状
重大な副作用
セログループ 1(ジェノタイプ 1)
:
1)体液貯留:末梢性浮腫(4.1%),浮腫(1.4%),顔面浮腫(0.6%),肺水腫(0.3%)があらわれることがある.
低血圧(1.1%)
,無尿(0.3%)に至った例も報告されているので,観察を十分に行い,異常が認められた場合に
は,投与を中止するなど適切な処置を行うこと.なお,体液貯留は Ca 拮抗剤を併用している患者であらわれや
すい.
(
「相互作用」の項参照)
2)肝機能障害,肝不全:ALT(GPT)※(0.3%),ビリルビン※※(0.3%)等の上昇を伴う肝機能障害があらわれる
ことがある.また,肝酵素上昇の有無にかかわらず,血中ビリルビン値が著しく上昇し,腹水,肝性脳症等を伴
う肝不全があらわれることがある.肝機能異常が認められた場合はより頻回に検査を行い,観察を十分に行うこ
と.悪化が認められた場合は投与を中止するなど適切な処置を行うこと.ALT(GPT)が基準値上限の 10 倍を持
続的に超える場合,あるいは肝不全の徴候が認められた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと.
※基準値上限 5 倍超,※※基準値上限 3 倍超
3)急性腎不全(頻度不明)
:急性腎不全があらわれることがあるので,定期的に腎機能検査を行うなど観察を十分
に行い,異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと.
(
「重要な基本的注意」の項参照)
セログループ 2(ジェノタイプ 2)
(リバビリンとの併用)
:
1)体液貯留:末梢性浮腫(1.9%)
,浮腫(0.6%),顔面浮腫,肺水腫があらわれることがある.低血圧(0.6%),無
尿に至った例も報告されているので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には,投与を中止するなど適切
な処置を行うこと.なお,体液貯留は Ca 拮抗剤を併用している患者であらわれやすい.
(
「相互作用」の項参照)
2)肝機能障害,肝不全:ALT(GPT)※(1.3%),ビリルビン※※(3.8%)等の上昇を伴う肝機能障害があらわれる
ことがある.また,肝酵素上昇の有無にかかわらず,血中ビリルビン値が著しく上昇し,腹水,肝性脳症等を伴
う肝不全があらわれることがある.肝機能異常が認められた場合はより頻回に検査を行い,観察を十分に行うこ
と.悪化が認められた場合は投与を中止するなど適切な処置を行うこと.ALT(GPT)が基準値上限の 10 倍を持
続的に超える場合,あるいは肝不全の徴候が認められた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと.
※基準値上限 5 倍超,※※基準値上限 3 倍超
3)急性腎不全(頻度不明)
:急性腎不全があらわれることがあるので,定期的に腎機能検査を行うなど観察を十分
に行い,異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと.
(
「重要な基本的注意」の項参照)
4)貧血:貧血(10.1%)があらわれることがあるので,ヘモグロビン量を定期的に測定するなど観察を十分に行い,
ヘモグロビン量の減少を認めた場合は,リバビリンの添付文書に従いリバビリンの用量を調節するなど,適切な
処置を行うこと.
(解説)
セログループ 1(ジェノタイプ 1)及びセログループ 2(ジェノタイプ 2)共通
・体液貯留
国内臨床試験において末梢性浮腫等の体液貯留関連事象が報告されている.これらの事象は Ca 拮抗剤との併用例で多く
認められているため,Ca 拮抗剤との併用の際は Ca 拮抗剤を減量するなどし,副作用の発現に十分に注意すること.
・肝機能障害,肝不全
国内臨床試験で ALT(GPT)上昇,ビリルビン上昇等の肝機能障害が報告されている.また,海外自発報告で,重篤な
肝不全が報告されている.
1)投与中は観察を十分に行うこと.
2)観察によって肝機能の異常が認められた場合は頻回に検査を実施すること.
3)検査によってさらに悪化が認められた場合は投与を中止するなど適切な処置を行うこと.
4)ALT(GPT)が基準値上限の 10 倍を持続的に超えるようになった場合,あるいは肝不全(肝代償不全)の徴候が認
められた場合は本剤を中止し適切な処置を行うこと.
-67-
ウイルス耐性を招かないよう可能な限り本剤を継続し,治療を終えることが重要であるため,判断の目安として上記の
段階的な設定を行った.
・急性腎不全
市販後自発報告において,特に腎機能の低下している患者や Ca 拮抗剤を併用している患者で急性腎不全等の重篤な腎機
能障害が報告されている.これらの患者においては定期的に腎機能検査を実施し,腎機能障害の発現に注意すること.
異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと.
セログループ 2(ジェノタイプ 2)
・貧血
国内臨床試験で貧血が報告されており,リバビリンとの併用によるものと考えられる.ヘモグロビン量を定期的に測定
するなど観察を十分に行い,ヘモグロビン量の減少を認めた場合は,リバビリンの添付文書に従いリバビリンの用量を
調節するなど,適切な処置を行うこと.
(3)その他の副作用
その他の副作用
以下の副作用が報告されている.次のような症状があらわれた場合には,症状に応じて適切な処置を行うこと.
セログループ 1(ジェノタイプ 1)
:
消化器
循環器
精神神経
血液
皮膚
呼吸器
過敏症
臨床検査
5%未満
腹部不快感,便秘,心窩部不快感,胃炎,悪心,口内炎
動悸
頭痛
貧血
脱毛症,皮脂欠乏性湿疹,紅斑,そう痒,発疹
鼻咽頭炎
頻度不明※
過敏症反応(舌,口唇腫脹を含む)
AST(GOT)上昇,ALP 上昇,血圧低下,クレアチニンク
リアランス減少,尿中蛋白陽性,尿比重減少,尿中白血球
エステラーゼ陽性
※自発報告
セログループ 2(ジェノタイプ 2)
(リバビリンとの併用)
:
5%以上
5%未満
消化器
腹部不快感,便秘,心窩部不快感,胃
炎,悪心,口内炎
循環器
動悸
精神神経
頭痛
不眠症
皮膚
そう痒
脱毛症,皮脂欠乏性湿疹,紅斑,発疹
呼吸器
鼻咽頭炎
過敏症
全身症状
無力症,疲労
臨床検査
網状赤血球数増加
AST(GOT)上昇,ALP 上昇,血圧低
下,クレアチニンクリアランス減少,
尿中蛋白陽性,尿比重減少,尿中白血
球エステラーゼ陽性
※自発報告
-68-
頻度不明※
過敏症反応(舌,口唇腫脹を含む)
(解説)
セログループ 1(ジェノタイプ 1)
セログループ 1(ジェノタイプ 1)を対象とした国内第Ⅲ相臨床試験の二重盲検試験において,プラセボ群よりも本剤投
与群で多いと考えられた副作用を設定した(「重大な副作用」に包含される事象を除く).
また,海外自発報告において過敏症反応(舌,口唇腫脹を含む)が認められていることから設定した.
セログループ 2(ジェノタイプ 2)
セログループ 2(ジェノタイプ 2)を対象とした国内第Ⅲ相臨床試験とセログループ 1(ジェノタイプ 1)を対象とした
国内第Ⅲ相臨床試験結果と比較して,セログループ 2(ジェノタイプ 2)を対象とした試験において多く発現していると
考えられた副作用を設定した(「重大な副作用」に包含される事象を除く).また,海外自発報告において過敏症反応
(舌,口唇腫脹を含む)が認められていることから設定した.
(4)項目別副作用発現頻度及び臨床検査値異常一覧
1)セログループ 1(ジェノタイプ 1)
全副作用
副作用名
一般・全身障害および投与部位の状態
顔面浮腫
疲労
熱感
倦怠感
浮腫
末梢性浮腫
発熱
口渇
胃腸障害
腹部不快感
腹部膨満
便秘
下痢
心窩部不快感
胃炎
胃腸障害
歯肉腫脹
悪心
口内炎
嘔吐
皮膚および皮下組織障害
脱毛症
皮膚炎
接触性皮膚炎
薬疹
湿疹
皮脂欠乏性湿疹
紅斑
そう痒症
発疹
丘疹性皮疹
皮膚亀裂
蕁麻疹
非肝硬変群
代償性肝硬変群
合計(363 例)
投与群 A(215 例) 投与群 B(106 例) 投与群 C(42 例)
発現例数(%) 発現例数(%) 発現例数(%) 発現例数(%)
66
(30.7)
22
(20.8)
17
(40.5) 105 (28.9)
20
2
2
0
5
4
10
1
0
22
3
1
2
3
2
2
0
1
7
2
1
13
2
1
1
0
0
2
2
4
3
1
0
1
(9.3)
(0.9)
(0.9)
(0)
(2.3)
(1.9)
(4.7)
(0.5)
(0)
(10.2)
(1.4)
(0.5)
(0.9)
(1.4)
(0.9)
(0.9)
(0)
(0.5)
(3.3)
(0.9)
(0.5)
(6.0)
(0.9)
(0.5)
(0.5)
(0)
(0)
(0.9)
(0.9)
(1.9)
(1.4)
(0.5)
(0)
(0.5)
-69-
5
0
1
0
0
1
3
0
0
9
1
0
0
2
0
0
1
0
1
3
1
7
0
0
0
0
2
0
0
2
2
0
1
0
(4.7)
(0)
(0.9)
(0)
(0)
(0.9)
(2.8)
(0)
(0)
(8.5)
(0.9)
(0)
(0)
(1.9)
(0)
(0)
(0.9)
(0)
(0.9)
(2.8)
(0.9)
(6.6)
(0)
(0)
(0)
(0)
(1.9)
(0)
(0)
(1.9)
(1.9)
(0)
(0.9)
(0)
3
0
0
1
2
0
2
1
1
3
0
0
0
1
0
0
0
0
2
0
0
3
0
0
0
1
0
0
0
0
2
0
0
0
(7.1)
(0)
(0)
(2.4)
(4.8)
(0)
(4.8)
(2.4)
(2.4)
(7.1)
(0)
(0)
(0)
(2.4)
(0)
(0)
(0)
(0)
(4.8)
(0)
(0)
(7.1)
(0)
(0)
(0)
(2.4)
(0)
(0)
(0)
(0)
(4.8)
(0)
(0)
(0)
28
2
3
1
7
5
15
2
1
34
4
1
2
6
2
2
1
1
10
5
2
23
2
1
1
1
2
2
2
6
7
1
1
1
(7.7)
(0.6)
(0.8)
(0.3)
(1.9)
(1.4)
(4.1)
(0.6)
(0.3)
(9.4)
(1.1)
(0.3)
(0.6)
(1.7)
(0.6)
(0.6)
(0.3)
(0.3)
(2.8)
(1.4)
(0.6)
(6.3)
(0.6)
(0.3)
(0.3)
(0.3)
(0.6)
(0.6)
(0.6)
(1.7)
(1.9)
(0.3)
(0.3)
(0.3)
神経系障害
味覚異常
頭痛
感覚鈍麻
傾眠
血管障害
ほてり
高血圧
低血圧
レイノー現象
血栓性静脈炎
筋骨格系および結合組織障害
関節痛
筋痙縮
筋力低下
筋骨格不快感
筋骨格硬直
筋肉痛
関節リウマチ
血液およびリンパ系障害
貧血
好塩基球増加症
白血球増加症
感染症および寄生虫症
膀胱炎
鼓膜炎
鼻咽頭炎
咽頭炎
呼吸器,胸郭および縦隔障害
咳嗽
鼻閉
胸水
肺水腫
アレルギー性鼻炎
上気道の炎症
代謝および栄養障害
食欲減退
糖尿病
高脂血症
腎および尿路障害
無尿
着色尿
頻尿
腎機能障害
心臓障害
動悸
眼障害
羞明
霧視
耳および迷路障害
耳不快感
耳鳴
非肝硬変群
代償性肝硬変群
合計(363 例)
投与群 A(215 例) 投与群 B(106 例) 投与群 C(42 例)
発現例数(%) 発現例数(%) 発現例数(%) 発現例数(%)
13
(6.0)
3
(2.8)
2
(4.8) 18
(5.0)
3
(1.4)
1
(0.9)
0
(0)
4
(1.1)
9
(4.2)
2
(1.9)
1
(2.4) 12
(3.3)
1
(0.5)
0
(0)
0
(0)
1
(0.3)
1
(0.5)
0
(0)
1
(2.4)
2
(0.6)
6
(2.8)
1
(0.9)
2
(4.8)
9
(2.5)
1
(0.5)
1
(0.9)
0
(0)
2
(0.6)
1
(0.5)
0
(0)
0
(0)
1
(0.3)
2
(0.9)
0
(0)
2
(4.8)
4
(1.1)
1
(0.5)
0
(0)
0
(0)
1
(0.3)
1
(0.5)
0
(0)
0
(0)
1
(0.3)
5
(2.3)
1
(0.9)
1
(2.4)
7
(1.9)
1
(0.5)
0
(0)
0
(0)
1
(0.3)
0
(0)
0
(0)
1
(2.4)
1
(0.3)
1
(0.5)
0
(0)
0
(0)
1
(0.3)
0
(0)
1
(0.9)
0
(0)
1
(0.3)
1
(0.5)
0
(0)
0
(0)
1
(0.3)
1
(0.5)
0
(0)
0
(0)
1
(0.3)
1
(0.5)
0
(0)
0
(0)
1
(0.3)
4
(1.9)
1
(0.9)
1
(2.4)
6
(1.7)
2
(0.9)
1
(0.9)
1
(2.4)
4
(1.1)
1
(0.5)
0
(0)
0
(0)
1
(0.3)
1
(0.5)
0
(0)
0
(0)
1
(0.3)
3
(1.4)
1
(0.9)
2
(4.8)
6
(1.7)
1
(0.5)
0
(0)
0
(0)
1
(0.3)
0
(0)
1
(0.9)
0
(0)
1
(0.3)
2
(0.9)
0
(0)
1
(2.4)
3
(0.8)
0
(0)
1
(0.9)
1
(2.4)
2
(0.6)
5
(2.3)
0
(0)
1
(2.4)
6
(1.7)
1
(0.5)
0
(0)
0
(0)
1
(0.3)
1
(0.5)
0
(0)
0
(0)
1
(0.3)
1
(0.5)
0
(0)
0
(0)
1
(0.3)
0
(0)
0
(0)
1
(2.4)
1
(0.3)
1
(0.5)
0
(0)
0
(0)
1
(0.3)
1
(0.5)
0
(0)
0
(0)
1
(0.3)
3
(1.4)
0
(0)
1
(2.4)
4
(1.1)
1
(0.5)
0
(0)
1
(2.4)
2
(0.6)
1
(0.5)
0
(0)
0
(0)
1
(0.3)
1
(0.5)
0
(0)
0
(0)
1
(0.3)
4
(1.9)
0
(0)
0
(0)
4
(1.1)
1
(0.5)
0
(0)
0
(0)
1
(0.3)
1
(0.5)
0
(0)
0
(0)
1
(0.3)
1
(0.5)
0
(0)
0
(0)
1
(0.3)
1
(0.5)
0
(0)
0
(0)
1
(0.3)
2
(0.9)
0
(0)
0
(0)
2
(0.6)
2
(0.9)
0
(0)
0
(0)
2
(0.6)
2
(0.9)
0
(0)
0
(0)
2
(0.6)
1
(0.5)
0
(0)
0
(0)
1
(0.3)
1
(0.5)
0
(0)
0
(0)
1
(0.3)
1
(0.5)
1
(0.9)
0
(0)
2
(0.6)
0
(0)
1
(0.9)
0
(0)
1
(0.3)
1
(0.5)
0
(0)
0
(0)
1
(0.3)
-70-
非肝硬変群
代償性肝硬変群
合計(363 例)
投与群 A(215 例) 投与群 B(106 例) 投与群 C(42 例)
発現例数(%) 発現例数(%) 発現例数(%) 発現例数(%)
精神障害
1
(0.5)
0
(0)
0
(0)
1
(0.3)
不眠症
1
(0.5)
0
(0)
0
(0)
1
(0.3)
臨床検査
20
(9.3)
4
(3.8)
6
(14.3) 30
(8.3)
活性化部分トロンボプラスチン時間延長
1
(0.5)
0
(0)
0
(0)
1
(0.3)
活性化部分トロンボプラスチン時間短縮
1
(0.5)
0
(0)
0
(0)
1
(0.3)
アラニンアミノトランスフェラーゼ増加
1
(0.5)
0
(0)
1
(2.4)
2
(0.6)
α2 マクログロブリン増加
0
(0)
0
(0)
1
(2.4)
1
(0.3)
アポリポ蛋白 A-I減少
0
(0)
0
(0)
1
(2.4)
1
(0.3)
アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ増加
2
(0.9)
0
(0)
1
(2.4)
3
(0.8)
抱合ビリルビン増加
2
(0.9)
0
(0)
0
(0)
2
(0.6)
血中アルカリホスファターゼ増加
3
(1.4)
0
(0)
0
(0)
3
(0.8)
血中ビリルビン増加
1
(0.5)
1
(0.9)
1
(2.4)
3
(0.8)
血中コレステロール増加
1
(0.5)
1
(0.9)
0
(0)
2
(0.6)
血中インスリン増加
1
(0.5)
0
(0)
0
(0)
1
(0.3)
血中カリウム減少
0
(0)
1
(0.9)
0
(0)
1
(0.3)
血圧低下
4
(1.9)
1
(0.9)
0
(0)
5
(1.4)
血圧上昇
1
(0.5)
0
(0)
0
(0)
1
(0.3)
血中ナトリウム減少
1
(0.5)
0
(0)
0
(0)
1
(0.3)
血中トリグリセリド増加
0
(0)
1
(0.9)
1
(2.4)
2
(0.6)
腎クレアチニン・クリアランス減少
2
(0.9)
0
(0)
0
(0)
2
(0.6)
好酸球数増加
1
(0.5)
0
(0)
0
(0)
1
(0.3)
ヘマトクリット減少
0
(0)
0
(0)
1
(2.4)
1
(0.3)
ヘモグロビン減少
1
(0.5)
0
(0)
2
(4.8)
3
(0.8)
国際標準比減少
1
(0.5)
0
(0)
0
(0)
1
(0.3)
国際標準比増加
1
(0.5)
0
(0)
0
(0)
1
(0.3)
リンパ球形態異常
0
(0)
0
(0)
1
(2.4)
1
(0.3)
好中球数減少
1
(0.5)
0
(0)
0
(0)
1
(0.3)
血小板数減少
0
(0)
0
(0)
2
(4.8)
2
(0.6)
尿中蛋白陽性
2
(0.9)
0
(0)
0
(0)
2
(0.6)
赤血球数減少
1
(0.5)
0
(0)
1
(2.4)
2
(0.6)
尿比重減少
2
(0.9)
0
(0)
0
(0)
2
(0.6)
トランスアミナーゼ上昇
0
(0)
0
(0)
1
(2.4)
1
(0.3)
尿中白血球エステラーゼ陽性
3
(1.4)
0
(0)
0
(0)
3
(0.8)
白血球数減少
1
(0.5)
0
(0)
1
(2.4)
2
(0.6)
MedDRA/J Version 17.0 承認時社内集計
-71-
2)セログループ 2(ジェノタイプ 2)
投与群 A(80 例)
非肝硬変例
全副作用
副作用名
一般・全身障害および投与部位の状態
倦怠感
疲労
末梢性浮腫
発熱
胸部不快感
浮腫
口渇
血液およびリンパ系障害
貧血
好塩基球増加症
白血球減少症
リンパ球減少症
好中球減少症
好中球増加症
皮膚および皮下組織障害
そう痒症
発疹
紅斑
全身性そう痒症
そう痒性皮疹
蕁麻疹
胃腸障害
悪心
口内炎
腹部不快感
腹部膨満
口唇炎
下痢
消化不良
心窩部不快感
軟便
胃炎
口唇浮腫
嘔吐
神経系障害
頭痛
浮動性めまい
味覚異常
振戦
代謝および栄養障害
食欲減退
高尿酸血症
高血糖
低コレステロール血症
低リン酸血症
呼吸器,胸郭および縦隔障害
咳嗽
口腔咽頭不快感
変色痰
発現例数(%)
51
(63.8)
12
4
5
2
1
0
1
1
16
16
1
1
1
1
1
11
6
3
1
0
1
0
10
4
1
0
1
0
1
0
1
1
1
1
1
6
4
1
0
1
3
1
2
1
1
0
3
2
1
1
-72-
(15)
(5.0)
(6.3)
(2.5)
(1.3)
(0)
(1.3)
(1.3)
(20.0)
(20.0)
(1.3)
(1.3)
(1.3)
(1.3)
(1.3)
(13.8)
(7.5)
(3.8)
(1.3)
(0)
(1.3)
(0)
(12.5)
(5.0)
(1.3)
(0)
(1.3)
(0)
(1.3)
(0)
(1.3)
(1.3)
(1.3)
(1.3)
(1.3)
(7.5)
(5.0)
(1.3)
(0)
(1.3)
(3.8)
(1.3)
(2.5)
(1.3)
(1.3)
(0)
(3.8)
(2.5)
(1.3)
(1.3)
投与群 B(80 例)
非肝硬変例
発現例数(%)
47
(58.8)
10
6
1
1
1
1
0
0
20
20
0
0
0
0
0
14
8
4
0
1
0
1
6
2
1
1
0
1
0
1
0
0
0
0
0
7
4
2
1
0
3
2
0
0
0
1
3
3
0
0
(12.5)
(7.5)
(1.3)
(1.3)
(1.3)
(1.3)
(0)
(0)
(25.0)
(25.0)
(0)
(0)
(0)
(0)
(0)
(17.5)
(10.0)
(5.0)
(0)
(1.3)
(0)
(1.3)
(7.5)
(2.5)
(1.3)
(1.3)
(0)
(1.3)
(0)
(1.3)
(0)
(0)
(0)
(0)
(0)
(8.8)
(5.0)
(2.5)
(1.3)
(0)
(3.8)
(2.5)
(0)
(0)
(0)
(1.3)
(3.8)
(3.8)
(0)
(0)
合計(160 例)
発現例数(%)
98
(61.3)
22
10
6
3
2
1
1
1
36
36
1
1
1
1
1
25
14
7
1
1
1
1
16
6
2
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
13
8
3
1
1
6
3
2
1
1
1
6
5
1
1
(13.8)
(6.3)
(3.8)
(1.9)
(1.3)
(0.6)
(0.6)
(0.6)
(22.5)
(22.5)
(0.6)
(0.6)
(0.6)
(0.6)
(0.6)
(15.6)
(8.8)
(4.4)
(0.6)
(0.6)
(0.6)
(0.6)
(10.0)
(3.8)
(1.3)
(0.6)
(0.6)
(0.6)
(0.6)
(0.6)
(0.6)
(0.6)
(0.6)
(0.6)
(0.6)
(8.1)
(5.0)
(1.9)
(0.6)
(0.6)
(3.8)
(1.9)
(1.3)
(0.6)
(0.6)
(0.6)
(3.8)
(3.1)
(0.6)
(0.6)
投与群 A(80 例)
非肝硬変例
感染症および寄生虫症
鼻咽頭炎
気管支炎
膀胱炎
ヘルペスウイルス感染
筋骨格系および結合組織障害
関節痛
筋骨格硬直
筋肉痛
四肢痛
血管障害
ほてり
高血圧
低血圧
起立性低血圧
耳および迷路障害
回転性めまい
眼障害
眼瞼浮腫
網膜出血
精神障害
不眠症
腎および尿路障害
頻尿
蛋白尿
心臓障害
動悸
内分泌障害
慢性甲状腺炎
臨床検査
血中ビリルビン増加
網状赤血球数増加
ヘモグロビン減少
血中コレステロール減少
赤血球数減少
好中球数減少
白血球数減少
抱合ビリルビン増加
腎クレアチニン・クリアランス減少
アラニンアミノトランスフェラーゼ増加
血圧低下
尿中蛋白陽性
尿中ウロビリノーゲン増加
アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ増加
血中非抱合ビリルビン増加
血中トリグリセリド減少
ヘマトクリット減少
リンパ球数減少
尿比重減少
トランスアミナーゼ上昇
尿中白血球エステラーゼ陽性
血中アルカリホスファターゼ増加
血中カルシウム増加
血中コレステロール増加
発現例数(%)
4
(5.0)
1
(1.3)
1
(1.3)
1
(1.3)
1
(1.3)
2
(2.5)
1
(1.3)
0
(0)
1
(1.3)
0
(0)
2
(2.5)
0
(0)
1
(1.3)
1
(1.3)
0
(0)
1
(1.3)
1
(1.3)
1
(1.3)
1
(1.3)
0
(0)
0
(0)
0
(0)
2
(2.5)
1
(1.3)
1
(1.3)
1
(1.3)
1
(1.3)
0
(0)
0
(0)
24
(30.0)
15
(18.8)
6
(7.5)
6
(7.5)
3
(3.8)
4
(5.0)
1
(1.3)
1
(1.3)
2
(2.5)
2
(2.5)
1
(1.3)
1
(1.3)
2
(2.5)
2
(2.5)
1
(1.3)
1
(1.3)
0
(0)
0
(0)
0
(0)
0
(0)
1
(1.3)
2
(2.5)
0
(0)
1
(1.3)
0
(0)
-73-
投与群 B(80 例)
非肝硬変例
発現例数(%)
1
(1.3)
1
(1.3)
0
(0)
0
(0)
0
(0)
3
(3.8)
1
(1.3)
1
(1.3)
0
(0)
1
(1.3)
2
(2.5)
1
(1.3)
0
(0)
0
(0)
1
(1.3)
1
(1.3)
1
(1.3)
1
(1.3)
0
(0)
1
(1.3)
2
(2.5)
2
(2.5)
0
(0)
0
(0)
0
(0)
0
(0)
0
(0)
1
(1.3)
1
(1.3)
23
(28.8)
14
(17.5)
5
(6.3)
4
(5.0)
4
(5.0)
3
(3.8)
4
(5.0)
4
(5.0)
2
(2.5)
2
(2.5)
2
(2.5)
2
(2.5)
1
(1.3)
1
(1.3)
1
(1.3)
1
(1.3)
2
(2.5)
2
(2.5)
2
(2.5)
2
(2.5)
1
(1.3)
0
(0)
1
(1.3)
0
(0)
1
(1.3)
合計(160 例)
発現例数(%)
5
(3.1)
2
(1.3)
1
(0.6)
1
(0.6)
1
(0.6)
5
(3.1)
2
(1.3)
1
(0.6)
1
(0.6)
1
(0.6)
4
(2.5)
1
(0.6)
1
(0.6)
1
(0.6)
1
(0.6)
2
(1.3)
2
(1.3)
2
(1.3)
1
(0.6)
1
(0.6)
2
(1.3)
2
(1.3)
2
(1.3)
1
(0.6)
1
(0.6)
1
(0.6)
1
(0.6)
1
(0.6)
1
(0.6)
47
(29.4)
29
(18.1)
11
(6.9)
10
(6.3)
7
(4.4)
7
(4.4)
5
(3.1)
5
(3.1)
4
(2.5)
4
(2.5)
3
(1.9)
3
(1.9)
3
(1.9)
3
(1.9)
2
(1.3)
2
(1.3)
2
(1.3)
2
(1.3)
2
(1.3)
2
(1.3)
2
(1.3)
2
(1.3)
1
(0.6)
1
(0.6)
1
(0.6)
投与群 A(80 例)
非肝硬変例
臨床検査
血中クレアチニン増加
血中ブドウ糖増加
血中カリウム減少
血中トリグリセリド増加
血中尿酸増加
糸球体濾過率減少
リンパ球数増加
リンパ球百分率増加
好中球数増加
血小板数減少
血小板数増加
網状赤血球百分率増加
体重減少
白血球数増加
発現例数(%)
24
(30.0)
1
(1.3)
0
(0)
0
(0)
1
(1.3)
1
(1.3)
1
(1.3)
0
(0)
0
(0)
1
(1.3)
0
(0)
0
(0)
1
(1.3)
0
(0)
1
(1.3)
投与群 B(80 例)
非肝硬変例
合計(160 例)
発現例数(%)
発現例数(%)
23
(28.8)
47
(29.4)
0
(0)
1
(0.6)
1
(1.3)
1
(0.6)
1
(1.3)
1
(0.6)
0
(0)
1
(0.6)
0
(0)
1
(0.6)
0
(0)
1
(0.6)
1
(1.3)
1
(0.6)
1
(1.3)
1
(0.6)
0
(0)
1
(0.6)
1
(1.3)
1
(0.6)
1
(1.3)
1
(0.6)
0
(0)
1
(0.6)
1
(1.3)
1
(0.6)
0
(0)
1
(0.6)
MedDRA/J Version 17.1 承認時社内集計
(5)基礎疾患,合併症,重症度及び手術の有無等背景別の副作用発現頻度
該当資料なし
(6)薬物アレルギーに対する注意及び試験法
■禁忌(次の患者には投与しないこと)
1.本剤の成分に対して過敏症の既往歴のある患者
(「Ⅷ.2.禁忌内容とその理由(原則禁忌を含む)」の項参照)
9.高齢者への投与
一般に高齢者では生理機能が低下しており,既往歴や合併症を伴っていることが多いので,患者の状態を観察しな
がら慎重に投与すること.
(解説)
国内臨床試験(第Ⅱ及び第Ⅲ相)における検討では,65 歳以上の高齢者と非高齢者との間で発現率に 5%以上の差が見
られた有害事象はなく,高齢者と非高齢者間で本剤の安全性プロファイルに差は認められていない.しかし,一般に高
齢者においては生理機能の低下に加え既往歴や合併症等により非高齢者よりも副作用を発現しやすい背景があるため,
十分な観察を行いながら投与すること.
-74-
10.妊婦,産婦,授乳婦等への投与
(1)セログループ 1(ジェノタイプ 1)
:妊娠又は妊娠している可能性のある婦人には治療上の有益性が危険性を上
回ると判断される場合にのみ投与すること.
[妊娠中の投与に関する安全性は確立していない.
]
セログループ 2(ジェノタイプ 2)
:本剤はリバビリンと併用するため,妊婦又は妊娠している可能性のある婦
人には投与しないこと.また,妊娠していないことを確認するため,治療開始に先立ちリバビリンの添付文書
を参照し,妊娠検査を実施すること.[リバビリンの動物実験で催奇形性及び胚・胎児致死作用が認められて
いる.
]
(2)授乳中の婦人には投与しないこと.やむを得ず投与する場合は,授乳を避けさせること.[本剤成分がヒト乳
汁中へ移行するかどうかは不明であるが,動物実験(ラット)で本剤由来成分が乳汁中へ移行することが報告
されている.授乳ラットでは主としてパリタプレビル,パリタプレビル加水分解物質 M13,オムビタスビル未
変化体が認められた 56),57).
]58),59)
(解説)
(1)セログループ 1(ジェノタイプ 1)
:動物実験(マウス,ウサギ)において,本剤の胚・胎児発生に対する影響は認
められていないが,ヒト妊婦における使用経験が限られているため,妊婦への投与はリスクベネフィットを十分勘
案の上,必要と判断される場合に限ること.
セログループ 2(ジェノタイプ 2)
:リバビリンは妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には投与しないこと.妊
娠可能な女性に対しては投与前に妊娠検査を実施し,妊娠していないことを確認すること.
(2)ヒト乳汁移行に関するデータはないが,動物実験(ラット)において本剤成分が乳汁に移行することがわかってい
る.このため,授乳中の婦人には本剤を投与しないこと.やむを得ず投与する場合には授乳を避けさせること.
11.小児等への投与
小児等における安全性は確立していない.
[使用経験がない.]
(解説)
本剤の小児における使用経験はなく,安全性は確立していない.
12.臨床検査結果に及ぼす影響
該当しない
13.過量投与
本剤に特定の解毒薬はない.過量投与の場合は,副作用の徴候や症状を注意深く観察し,速やかに適切な対症療法
を行うこと.
(解説)
本剤に特定の解毒薬はない.過量投与の場合は,バイタルサイン,患者状態を観察の上,必要に応じて一般的な支持療
法を行うこと.
なお,海外の健康被験者で確認された最高単回用量はオムビタスビルで 350mg,パリタプレビルで 400mg(リトナビル
100mg と併用)
,リトナビルで 200mg(パリタプレビル 100mg と併用)
.日本人においてはオムビタスビルで 200mg,パ
リタプレビルで 250mg(リトナビル 100mg と併用)
,リトナビルで 100mg(パリタプレビル 250mg と併用)であった.
注意:本剤の承認されている用法・用量は,ジェノタイプ 1:オムビタスビルとして 25mg,パリタプレビルとして 150mg 及び
リトナビルとして 100mg を含有する配合錠を食後に経口投与(1 日 1 回),投与期間は 12 週間,ジェノタイプ 2:リバ
ビリンとの併用において,オムビタスビルとして 25mg,パリタプレビルとして 150mg 及びリトナビルとして 100mg を
含有する配合錠を食後に経口投与(1 日 1 回),投与期間は 16 週間である.
-75-
14.適用上の注意
薬剤交付時:PTP 包装の薬剤は PTP シートから取り出して服用するよう指導すること.
(PTP シートの誤飲により,
硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し,更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することが報告されてい
る)
(解説)
PTP 包装薬剤の一般的な注意事項を設定した.
15.その他の注意
本剤のジェノタイプ 1a の C 型慢性肝炎患者に対する有効性は確立していない.なお,海外で実施した臨床試験におい
て,未治療の C 型慢性肝炎患者(ジェノタイプ 1a)にオムビタスビル(25mg)
,パリタプレビル(200mg)
,リトナビ
ル(100mg)を 12 週間投与したとき,投与終了 12 週後の HCV RNA 陰性化の割合は 62.5%(5/8 例)であった.66)
(解説)
本剤のジェノタイプ 1a の C 型慢性肝炎患者に対する有効性は確立していないため設定した.
注意:本剤の承認されている用法・用量は,ジェノタイプ 1:オムビタスビルとして 25mg,パリタプレビルとして 150mg 及び
リトナビルとして 100mg を含有する配合錠を食後に経口投与(1 日 1 回),投与期間は 12 週間,ジェノタイプ 2:リバ
ビリンとの併用において,オムビタスビルとして 25mg,パリタプレビルとして 150mg 及びリトナビルとして 100mg を
含有する配合錠を食後に経口投与(1 日 1 回),投与期間は 16 週間である.
16.その他
該当しない
-76-
Ⅸ.非臨床試験に関する項目
1.薬理試験
(1)薬効薬理試験(
「Ⅵ.薬効薬理に関する項目」参照)
(2)副次的薬理試験
1)オムビタスビルの受容体結合性
典型的な G プロテイン共役受容体,リガンド,電位開口型イオンチャネルについて,オムビタスビルの受容体結合に及
ぼす影響を検討した.10μmol/L(ヒト Cmax の 58.1 倍)のオムビタスビルを添加したとき,いずれの受容体及びイオン
チャネルに対するリガンド結合に対しても,80%以上の阻害はみられなかった.
2)オムビタスビル代謝物の受容体結合性
典型的な G プロテイン共役受容体,リガンド,電位開口型イオンチャネルについて,オムビタスビル代謝物である M29,
M36 及び M23 の受容体結合に及ぼす影響を検討した.10μmol/L の代謝物 M29 は,いずれの受容体及びイオンチャネル
に対し 80%以上のリガンド結合の阻害作用を示さなかった.また,10μmol/L の代謝物 M36 及び M23 は,それぞれ,
ドパミントランスポーター(75%)及びクロライドチャネル(96%)におけるリガンド結合を阻害し,IC50 値はそれぞ
れ,3.2 及び 1.5μmol/L であった.
3)パリタプレビルの受容体結合性
典型的な G プロテイン共役受容体,イオンチャネルについて,パリタプレビルの受容体結合に及ぼす影響を検討した.
10μmol/L(ヒト Cmax の 1.99 倍)のパリタプレビルを添加したとき,いずれの受容体又はイオンチャネルに対するリガ
ンド結合に対しても,80%以上の阻害はみられなかった.
注意:各試験におけるオムビタスビル及びオムビタスビルの代謝物である M29 及び M36,パリタプレビルの添加濃度と臨床試験にお
ける曝露量比の算出には,オムビタスビル/パリタプレビル/リトナビル配合錠を用いた日本人健康成人被験者を対象とした薬物
動態試験の Cmax 値(オムビタスビル:154ng/mL,パリタプレビル:3840ng/mL)を用いた.
(3)安全性薬理試験
1)オムビタスビルの安全性薬理試験
①オムビタスビルの中枢神経系に及ぼす影響
Rj:Wistar(Han)ラットにオムビタスビルを 0.3~30mg/kg 経口投与したとき,いずれの用量においても水平面及び
垂直方向の自発運動量に有意な変化はみられなかった.
CD-1 マウスにオムビタスビルを経口投与したとき,120mg/kg(血漿中濃度 5.42μg/mL;ヒト Cmax の 35.2 倍)まで
中枢神経系に影響を及ぼさなかった.
②オムビタスビルの心血管系に及ぼす影響
オムビタスビルの hERG 電流に及ぼす影響
In vitro のヒト胎児由来腎臓細胞(HEK-293 細胞)に発現させた hERG チャネルにおいて,オムビタスビルを適用最
大容量である終濃度 4.56μg/mL(n=5,ヒト Cmax の 29.6 倍)で溶液中に添加したとき,hERG テール電流を 14.3%
減少させた(溶媒洗浄後の値で補正)
.
オムビタスビルの麻酔イヌにおける心血管系に及ぼす影響
麻酔イヌにオムビタスビルを 0.001,0.002 及び 0.006mg/kg/分持続注入したとき,0.006mg/kg/分(血漿中濃度=0.483
μg/mL;ヒト Cmax の 3.13 倍)まで平均動脈圧,心拍数,心拍出量,dP/dtmax,左室拡張終期圧,中心静脈圧,肺動脈
圧,肺静脈圧,全身血管抵抗,QTcV 間隔及び PR 間隔に影響を及ぼさなかった.
-77-
オムビタスビルの覚醒イヌにおける心血管系に及ぼす影響
テレメトリー装着イヌにオムビタスビルを 2,10 及び 60mg/kg 経口投与したとき,60mg/kg(血漿中濃度=2.62
μg/mL;ヒト Cmax の 17 倍)まで平均動脈圧,心拍数,体温,QTc 間隔に影響を及ぼさなかった.
③オムビタスビルの呼吸系に及ぼす影響
CD-1 マウスにオムビタスビルを 5,20 及び 60mg/kg 経口投与したとき,60mg/kg(Cmax=5.48μg/mL;ヒト Cmax の
35.6 倍)まで呼吸数,一回換気量及び 1 分間換気量に影響を及ぼさなかった.
④オムビタスビルの消化器系へ及ぼす影響
3 時間絶食したフェレットにオムビタスビルを 0.5,1.5,5 及び 15mg/kg 経口投与したとき,15mg/kg(血漿中濃度
=0.204μg/mL;ヒト Cmax の 1.32 倍)まで嘔吐作用がみられなかった.一晩絶食した SD ラット(n=6)にオムビタ
スビルを 1.5,5 及び 15mg/kg 経口投与したとき,15mg/kg(血漿中濃度=0.23μg/mL;ヒト Cmax の 1.49 倍)まで腸
管輸送能に影響を及ぼさなかった.
2)パリタプレビルの安全性薬理試験
①パリタプレビルの中枢神経系に及ぼす影響
ラットにパリタプレビルを 30mg/kg まで経口投与したとき(15mg/kg リトナビル併用経口投与)
,中枢神経系に有害
な影響を及ぼさなかった.100mg/kg 以上を経口投与(15mg/kg リトナビル併用経口投与,ヒト Cmax の 0.448 倍)し
たとき,ラットを用いた 2 試験中 1 試験で軽度の興奮作用がみられた.
②パリタプレビルの心血管系に及ぼす影響
hERG 電流に及ぼす影響
In vitro の hERG アッセイにおいて,パリタプレビルを終濃度 6.86 及び 19.15μg/mL(n=4~6,それぞれ,ヒト Cmax
の 1.79 及び 4.99 倍)で評価したとき,hERG テール電流をそれぞれ 7.5%及び 17.7%減少させた(溶媒洗浄後の値で
補正)が,いずれの濃度でも有意な hERG テール電流の減少はみられなかった.パリタプレビルを溶解可能な最高用
量である 8.24μg/mL(ヒト Cmax の 2.15 倍)を適用したとき,hERG テール電流を 5.3%減少させた.
また,hERG チャネルに及ぼす影響について,GLP 基準及び ICH ガイドラインに従って検討した溶解可能な最大用
量である,0.0434μg/mL(ヒト Cmax の 0.282 倍)で評価した.オムビタスビルは,hERG テール電流に影響を及ぼさ
なかった.
パリタプレビルの麻酔イヌにおける心血管系に及ぼす影響
麻酔イヌにパリタプレビルを 0.017,0.056 及び 0.167mg/kg/分で持続注入したとき,Cmax はそれぞれ,2.62,17.49 及
び 65.72μg/mL であった.0.167mg/kg/分の用量まで,平均動脈圧,心拍数,dP/dtmax,dP/dt50mmHg,心拍出量,肺動脈
圧,肺血管抵抗,全身血管抵抗,中心静脈圧,左心室拡張終期圧及び PR 間隔に影響を及ぼさなかった.
パリタプレビルの投与により血漿中濃度 1.53μg/mL(ヒト Cmax の 0.398 倍)以上から,用量非依存性の Van de Water
の補正式による QT 間隔(QTcV)の軽度な延長を引き起こした.パリタプレビルの血漿中濃度が 2.62,17.49 及び 65.72
μg/mL(ヒト Cmax の 17.1 倍)に上昇したとき,QTcV 延長は 4,5 及び 7ms となった(溶媒ではそれぞれ-1,-2
及び-1ms).
最高用量での持続注入を中止した後も QTcV は引き続き延長し,注入後 60 分にはベースラインに対して 10ms の延
長となった(溶媒では-1ms).
覚醒イヌにおける心血管系に及ぼす影響
覚醒イヌにパリタプレビルを 100mg/kg(血漿中濃度 96.9μg/mL;ヒト Cmax の 25.2 倍)まで経口投与したとき,血圧,
心拍数,QTc 間隔及び体温に影響を及ぼさなかった.
③パリタプレビルの呼吸系に及ぼす影響
ラットを用いたプレスチモグラフに,パリタプレビルを 50,150 及び 500mg/kg 経口投与したとき,500mg/kg まで呼
吸数,1 回換気量及び 1 分間換気量に影響を及ぼさず,そのときの Cmax は 0.70μg/mL(ヒト Cmax の 0.184 倍)であった.
-78-
④パリタプレビルの消化器系に及ぼす影響
3 時間絶食したフェレットにパリタプレビルを 7.5,25 及び 75mg/kg 経口投与したとき,25mg/kg(血漿中濃度 0.56
μg/mL)まで悪心,嘔吐作用はみられなかった.75mg/kg では 6 例中 1 例で嘔吐がみられた(血漿中濃度 8.15μg/mL;
ヒト Cmax の 2.12 倍)
.
一晩絶食した SD ラットにパリタプレビルを 30,100,300mg/kg 経口投与したとき,300mg/kg(血漿中濃度 0.235
μg/mL;ヒト Cmax の 0.061 倍)まで腸管輸送能に影響を及ぼさなかった.
(4)その他の薬理試験
該当資料なし
2.毒性試験
(1)単回投与毒性試験
パリタプレビル(リトナビル非併用)
ラットに最大 600mg/kg/日,ビーグル犬に最大 100mg/kg/日を単回経口投与したところ, パリタプレビルに関連した毒性
変化はみられなかった.
(2)反復投与毒性試験
オムビタスビル
マウス及びイヌの 6 ヵ月間までの反復投与毒性試験では,曝露量が飽和する用量まで投与したが,用量制限毒性はみら
れなかった.オムビタスビルに関連する変化はイヌのみでみられ,3 ヵ月間反復投与毒性試験の 100mg/kg/日群でみられ
た空腸絨毛内の乳び腔の拡張及び 6 ヵ月間反復投与毒性試験の 20mg/kg/日群及び 100mg/kg/日群でみられた十二指腸及び
空腸の絨毛における空胞化であった.小腸でみられた変化は,炎症などの細胞性反応や上皮の障害像がみられず,絨毛
の構造に変化がみられなかった.また,便性異常のような関連する一般状態の変化や臨床検査においても変化がみられ
ず,高用量においても体重に影響がみられなかったことから,毒性所見と判断しなかった.
マウスの 6 ヵ月間及びイヌの 6 ヵ月間反復投与毒性試験における無毒性量は,それぞれ,200mg/kg/日及び 100mg/kg/日
であった.
300mg/kg/日まで投与したラットの 3 ヵ月までの反復投与毒性試験において,毒性所見はみられなかった.
パリタプレビル/リトナビル
ラット及びマウスの 3 ヵ月間までの反復投与毒性試験及びイヌの 9 ヵ月間までの反復投与毒性試験において,パリタプ
レビル/リトナビルに起因する毒性所見はみられなかった.
マウスにパリタプレビル/リトナビルを 6 ヵ月間反復経口投与したとき,100/30 及び 300/30mg/kg/日群で胆嚢の変化がみ
られ,限局性びらん/潰瘍,炎症(急性及び慢性)及び上皮肥大/過形成を特徴としていた.4 週間の休薬期間終了後には
びらん/潰瘍は認められず,回復傾向を示した.同様の変化が TgHras マウスを用いた 6 ヵ月間がん原性試験においても
みられた.
イヌの 4 週間反復投与毒性試験及び 9 ヵ月間反復投与毒性試験において,軽微な上皮細胞の変性又は壊死がみられた.
程度が軽微であったこと,上皮細胞の配列は正常に保たれていたことから,毒性所見と判断しなかった.
ラットの 3 ヵ月間,
マウスの 6 ヵ月間及びイヌの 9 ヵ月間反復投与毒性試験における無毒性量は,それぞれ,450/45 mg/kg/
日,30/30mg/kg/日及び 80/20mg/kg/日であった.
ラットを用いた 4 週間及び 3 ヵ月間反復投与毒性試験において,リバビリンをパリタプレビル/リトナビルと併用投与し
たとき,新たな毒性や,既知の毒性所見の増悪はみられなかった.また,リバビリンの併用投与によるパリタプレビル/
リトナビルの曝露量への著しい影響はみられなかった.
-79-
(3)生殖発生毒性試験
オムビタスビル
マウスを用いた受胎能及び着床までの初期胚発生に関する試験において,性周期や交配,受胎能,胚の生存に対する影
響はみられなかった.無毒性量は雌雄ともに 200mg/kg/日であった.マウス及びウサギを用いた胚・胎児発生に関する試
験において,いずれの動物種においてもオムビタスビルに関連する毒性所見はみられなかった.母動物及び胎児におけ
る無毒性量は,マウスでは 150mg/kg/日,ウサギでは 60mg/kg/日であった.
マウスを用いた出生前及び出生後の発生並びに母体の機能への影響に関する試験において,毒性所見はみられなかった.
無毒性量は,200mg/kg/日であった.
パリタプレビル/リトナビル
ラットを用いた受胎能及び着床までの初期胚発生に関する試験において,性周期,交配,受胎能,胚の生存に対する影
響はみられなかった.無毒性量は雌雄ともに 300/30mg/kg/日であった.
マウス及びラットを用いた胚・胎児発生に関する試験において,いずれの動物種においてもパリタプレビルに関連する
毒性所見はみられなかった.母動物及び胎児における無毒性量は,マウスでは 300/30mg/kg/日,ラットでは 450/45mg/kg/
日であった.
ラットを用いた出生前及び出生後の発生並びに母体の機能への影響に関する試験において,毒性所見はみられなかった.
無毒性量は 300/30mg/kg/日であった.
(4)その他の特殊毒性
1)遺伝毒性試験
オムビタスビル
復帰突然変異試験においてオムビタスビルは変異原性を示さなかった.また,in vitro 試験(ヒトリンパ球を用いた染色
体異常試験)及び in vivo 試験(マウス骨髄の小核試験)のいずれにおいても染色体異常誘発性を示さなかった.
パリタプレビル
復帰突然変異試験において,パリタプレビルは陰性結果を示した.In vitro の染色体異常試験におけるパリタプレビルの
結果は陽性であったが 2 つの in vivo 遺伝毒性試験(ラット骨髄小核試験及びラット肝コメットアッセイ)では陰性であっ
た.
2)がん原性試験
オムビタスビル
ラットを用いた 2 年間がん原性試験及び TgHras マウスを用いた 6 ヵ月間がん原性試験においては,発がん性を示唆する
変化はみられなかった.オムビタスビルに関連する 2 次的な腫瘍性病変もみられなかった.
パリタプレビル/リトナビル
ラットを用いた 2 年間がん原性試験及び TgHras マウスを用いた 6 ヵ月間がん原性試験においては,発がん性を示唆する
変化はみられなかった.パリタプレビル/リトナビルに関連する 2 次的な腫瘍性病変もみられなかった.
3)光毒性試験(オムビタスビル)
200mg/kg/日の用量でヘアレスマウス(Crl:SKH1-hr)を用いた光毒性試験を実施した結果,光毒性はみられなかった.
4)併用投与毒性試験
マウスを用いたオムビタスビル及びパリタプレビル/リトナビルの併用投与による 4 週間反復投与毒性試験を実施した.
オムビタスビル/パリタプレビル/リトナビルの投与量は,2/30/20mg/kg/日で実施した結果,毒性所見はみられなかった.
-80-
Ⅹ.管理的事項に関する項目
1.規制区分
製剤:ヴィキラックス配合錠
劇薬,処方箋医薬品注)
注)注意-医師等の処方箋により使用すること
有効成分:リトナビル 劇薬
2.有効期間又は使用期限
使用期限:外箱に表示(製造後 36 ヵ月)
3.貯法・保存条件
室温保存
4.薬剤取扱い上の注意点
(1)薬局での取り扱い上の留意点について
該当資料なし
(2)薬剤交付時の取り扱いについて(患者等に留意すべき必須事項等)
「Ⅷ.14.適用上の注意」の項参照
患者向医薬品ガイド 有り
くすりのしおり 有り
(3)調剤時の留意点について
該当資料なし
5.承認条件等
医薬品リスク管理計画を策定の上,適切に実施すること.
6.包装
ヴィキラックス配合錠:28 錠[7 錠(PTP)×4]
7.容器の材質
PTP 包装
多層フィルム(ポリ塩化ビニル/ポリエチレン/ポリクロロトリフルオロエチレン)
アルミニウム箔
8.同一成分・同効薬
同一成分:該当しない
同 効 薬:テラプレビル,シメプレビルナトリウム,アスナプレビル,ダクラタスビル塩酸塩,レジパスビル,ソホス
ブビル,バニプレビル
9.国際誕生年月日
2014 年 11 月
-81-
10.製造販売承認年月日及び承認番号
承認年月日:2015 年 9 月 28 日
承 認 番 号:22700AMX01024000
11.薬価基準収載年月日
2015 年 11 月 26 日
12.効能又は効果追加,用法及び用量変更追加等の年月日及びその内容
2016 年 9 月 28 日
セログループ 2(ジェノタイプ 2)の C 型慢性肝炎におけるウイルス血症の改善の効能・効果及び用
法・用量を追加
13.再審査結果,再評価結果公表年月日及びその内容
該当しない
14.再審査期間
セログループ 1(ジェノタイプ 1)
2015 年 9 月 28 日~2023 年 9 月 27 日
セログループ 2(ジェノタイプ 2)
2016 年 9 月 28 日~2023 年 9 月 27 日
15.投薬期間制限医薬品に関する情報
本剤は新医薬品であるため,厚生労働省告示第 107 号(平成 18 年 3 月 6 日付,一部改正)に基づき,平成 28 年 11 月末
日までは,投薬は 1 回 14 日分を限度とされている.
16.各種コード
販売名
HOT(9 桁)番号
ヴィキラックス配合錠
124458801
薬価基準収載
医薬品コード
6250108F1020
17.保険給付上の注意
該当しない
-82-
レセプト電算処理
システムコード
622445801
ⅩⅠ.文献
1.引用文献
1) ノービア錠100mg・ノービア内用液8%
インタビューフォーム
2) Kumada H,et al:Hepatology,62,4:1037-1046(2015)
3) Ikeda K,et al:Hepatol Res,18,3:252-266(2000)
4) 社内資料:日本人被験者における有効性試験(セログループ2を対象とした第Ⅲ相臨床試験)
[承認時評価資料]
5) 社内資料:オムビタスビル用量漸増反復投与試験(ヒト)
[承認時評価資料]
6) 社内資料:直接作用型抗ウイルス薬2剤/3剤併用反復投与試験(ヒト)
[承認時評価資料]
7) 社内資料:パリタプレビル/リトナビル単回投与試験(ヒト)
[承認時評価資料]
8) 社内資料:パリタプレビル/リトナビル/オムビタスビル配合錠単回投与試験(ヒト)
[承認時評価資料]
9) 社内資料:パリタプレビル/リトナビル単回・反復投与試験(ヒト)
[承認時評価資料]
10) 社内資料:Thorough QT試験(ヒト)
[承認時評価資料]
11) 社内資料:日本人被験者における探索的試験(第Ⅱ相臨床試験)
[承認時評価資料]
12) Chayama K,et al:Hepatology,61,5:1523-1532(2015)
13) 社内資料:パリタプレビル作用機序
14) 社内資料:オムビタスビル作用機序
15) 社内資料:in vitro有効性試験
16) Pilot-Matias T,et al:Antimicrob Agents Chemother,59:988-997(2015)
17) 社内資料:リバビリン,リトナビル併用におけるパリタプレビルのin vitro有効性試験
18) Krishnan P,et al:Antimicrob Agents Chemother,59:979-987(2015)
19) 社内資料:オムビタスビル併用におけるパリタプレビルのin vitro有効性試験
20) 社内資料:オムビタスビル,パリタプレビル併用におけるジェノタイプ2に対するin vitro有効性試験及び耐性プロ
ファイル
21) 社内資料:in vitro薬剤耐性試験
22) 社内資料:in vitro交差耐性試験
23) 社内資料:食事影響試験(日本人)
[承認時評価資料]
24) 社内資料:ウルソデオキシコール酸及びグリチルリチンとの薬物相互作用試験(ヒト)
[承認時評価資料]
25) 社内資料:肝機能障害患者における試験[承認時参考資料]
26) 社内資料:腎機能障害患者における試験[承認時参考資料]
27) 社内資料:食事影響試験(外国人)
[承認時参考資料]
28) 社内資料:ワルファリンとの薬物相互作用試験(ヒト)
[承認時参考資料]
29) 社内資料:プラバスタチン及びロスバスタチンとの薬物相互作用試験(ヒト)
[承認時参考資料]
30) 社内資料:ジゴキシンとの薬物相互作用試験(ヒト)
[承認時参考資料]
31) 社内資料:ケトコナゾールとの薬物相互作用試験(ヒト)
[承認時参考資料]
32) 社内資料:アタザナビルとの薬物相互作用試験(ヒト)
[承認時参考資料]
33) 社内資料:ロピナビル・リトナビルとの薬物相互作用試験(ヒト)
[承認時参考資料]
34) 社内資料:エムトリシタビン・テノホビルとの薬物相互作用試験(ヒト)
[承認時参考資料]
35) 社内資料:ダルナビル(リトナビル併用/非併用)との薬物相互作用試験(ヒト)
[承認時参考資料]
36) 社内資料:リルピビリンとの薬物相互作用試験(ヒト)
[承認時参考資料]
37) 社内資料:シクロスポリンとの薬物相互作用試験(ヒト)
[承認時参考資料]
38) 社内資料:タクロリムスとの薬物相互作用試験(ヒト)
[承認時参考資料]
39) 社内資料:カルバマゼピンとの薬物相互作用試験(ヒト)
[承認時参考資料]
40) 社内資料:オメプラゾールとの薬物相互作用試験(ヒト)
[承認時参考資料]
41) 社内資料:エスシタロプラム及びデュロキセチンとの薬物相互作用試験(ヒト)
[承認時参考資料]
42) 社内資料:エチニルエストラジオール・norgestimate及びノルエチステロンとの薬物相互作用試験(ヒト)
[承認時参
考資料]
43) 社内資料:アムロジピン及びフロセミドとの薬物相互作用試験(ヒト)
[承認時参考資料]
-83-
44) 社内資料:アルプラゾラム及びゾルピデムとの薬物相互作用試験(ヒト)
[承認時参考資料]
45) 社内資料:ジアゼパム及びhydrocodone bitartrate/アセトアミノフェンとの薬物相互作用試験(ヒト)[承認時参考
資料]
46) 社内資料:carisoprodol及びcyclobenzaprineとの薬物相互作用試験(ヒト)
[承認時参考資料]
47) 社内資料:メトホルミン及びスルファメトキサゾール・トリメトプリムとの薬物相互作用試験(ヒト)
[承認時参考
資料]
48) 社内資料:ドルテグラビル及びアバカビル/ラミブジンとの薬物相互作用試験(ヒト)
[承認時参考資料]
49) 社内資料:ソホスブビルとの薬物相互作用試験(ヒト)
[承認時参考資料]
50) 社内資料:gemfibrozilとの薬物相互作用試験(ヒト)
[承認時参考資料]
51) 社内資料:ラルテグラビルとの薬物相互作用試験(ヒト)
[承認時参考資料]
52) 社内資料:ブプレノルフィン及びナロキソンとの薬物相互作用試験(ヒト)
[承認時参考資料]
53) 社内資料:メサドンとの薬物相互作用試験(ヒト)
[承認時参考資料]
54) 社内資料:ポピュレーションPK試験
55) 社内資料:絶対的バイオアベイラビリティ測定のための薬物動態試験(ヒト)
56) 社内資料:ラット乳汁分泌及び組織分布試験
57) 社内資料:ラット乳汁代謝物プロファイル
58) 社内資料:ラット出生前・出生後発達試験
59) 社内資料:マウス出生前・出生後発達試験
60) 社内資料:オムビタスビル薬物動態試験(ヒト)
61) 社内資料:オムビタスビル代謝物薬物動態試験(ヒト)
62) 社内資料:パリタプレビル薬物動態試験(ヒト)
63) Pockros PJ,et al:Gastroenterology,150,7:1590-1598. doi:10. 1053/j. gastro. 2016. 02. 078(2016)
64) Grimm SW,et al:Br J Clin Pharmacol,61,1:58-69(2006)
65) Foisy MM,et al:HIV Med,9,6:389-396(2008)
66) 社内資料:外国人被験者における有効性試験(第Ⅱ相臨床試験)
[承認時参考資料]
2.その他の参考文献
該当資料なし
-84-
ⅩⅡ.参考資料
1.主な外国での発売状況
本邦における効能・効果,用法・用量は以下のとおりであり,外国での承認状況とは異なる.
【効能・効果】
1.セログループ 1(ジェノタイプ 1)の C 型慢性肝炎又は C 型代償性肝硬変におけるウイルス血症の改善
2.セログループ 2(ジェノタイプ 2)の C 型慢性肝炎におけるウイルス血症の改善
<効能・効果に関連する使用上の注意>
(1)本剤の使用に際しては,HCV RNA が陽性であることを確認すること.
(2)セログループ 1(ジェノタイプ 1)においては,肝予備能,臨床症状等により非代償性肝硬変でないことを確認す
ること.また,セログループ 2(ジェノタイプ 2)においては,組織像又は肝予備能,血小板数等により肝硬変で
ないことを確認すること.
(3)セログループ 2(ジェノタイプ 2)においては,IFN 製剤による治療経験の有無等により,有効性が異なるため,
本剤によるベネフィット・リスクを考慮したうえで,投与の可否を判断すること.
(
「臨床成績」の項参照)
(4)本剤を HIV/HCV 重複感染患者に使用する場合,抗 HIV 療法によって HIV のウイルス学的抑制が得られている患
者にのみ投与すること.
(本剤に含まれるリトナビルにより,HIV プロテアーゼ阻害剤に対する耐性を生じるおそ
れがある.
)
【用法・用量】
1.セログループ 1(ジェノタイプ 1)の C 型慢性肝炎又は C 型代償性肝硬変におけるウイルス血症の改善の場合
通常,
成人には 1 日 1 回 2 錠(オムビタスビルとして 25mg,パリタプレビルとして 150mg 及びリトナビルとして 100mg)
を食後に経口投与し,投与期間は 12 週間とする.
2.セログループ 2(ジェノタイプ 2)の C 型慢性肝炎におけるウイルス血症の改善の場合
リバビリンとの併用において,通常,成人には 1 日 1 回 2 錠(オムビタスビルとして 25mg,パリタプレビルとして 150mg
及びリトナビルとして 100mg)を食後に経口投与し,投与期間は 16 週間とする.
<用法・用量に関連する使用上の注意>
セログループ 2(ジェノタイプ 2)において,本剤と併用するリバビリンの投与量は,リバビリンの添付文書に定めら
れた用法・用量に従うこと.併用にあたっては,投与開始前にヘモグロビン量が 12g/dL 以上であることを確認すること.
また,投与中にリバビリンの用量調節や投与中止を必要とする副作用が発現した場合には,リバビリンの添付文書を参
照すること.
-85-
外国での主な承認状況
国・地域
承認年月
米国注)
2014 年 12 月
米国注)
2015 年 7 月
米国注)
2016 年 7 月
カナダ
2014 年 12 月
欧州注)
2015 年 1 月
スイス
2014 年 11 月
販売名,承認製剤
VIEKIRA PAK
オムビタスビル/パリタプレビル/リトナ
ビル固定用量の配合錠及び dasabuvir 錠と
の組み合わせ製剤
-配合錠(オムビタスビル/パリタプレビル/
リトナビル:12.5mg/75mg/50mg)
-dasabuvir 錠(250mg)
TECHNIVIE
オムビタスビル/パリタプレビル/リトナ
ビル固定用量の配合錠
(12.5mg/75mg/50mg)
VIEKIRA XR
dasabuvir/オムビタスビル/パリタプレビ
ル/リトナビルの徐放性製剤(経口)
(200mg/8.33mg/50mg/33.33mg)
HOLKIRA PAK
オムビタスビル/パリタプレビル/リトナビ
ル固定用量の配合錠及び dasabuvir 錠との
組み合わせ製剤
-配合錠(オムビタスビル/パリタプレビル/
リトナビル:12.5mg/75mg/50mg)
-dasabuvir 錠(250mg)
VIEKIRAX
オムビタスビル/パリタプレビル/リトナ
ビルフィルムコーティング錠
(12.5mg/75mg/50mg)
EXVIERA
dasabuvir フィルムコーティング錠(ナト
リウム 1 水和物として 250mg)
VIEKIRAX
オムビタスビル/パリタプレビル/リトナ
ビル(薬物動態学的ブースター)フィル
ムコーティング錠(12.5mg/75mg/50mg)
EXVIERA
dasabuvir フィルムコーティング錠(ナト
リウム 1 水和物として 250mg)
-86-
効能効果
VIEKIRA PAK 及びリバビリン併用もしく
は非併用による,ジェノタイプ 1 型の代償
性肝硬変を含む C 型慢性肝炎の治療
TECHNIVIE 及びリバビリン併用による,肝
硬変を伴わないジェノタイプ 4 型の C 型慢
性肝炎の治療
肝硬変のない又は代償性肝硬変を含むジェ
ノタイプ 1b 型の C 型慢性肝炎の治療
リバビリン併用による,肝硬変のない又は
代償性肝硬変を含むジェノタイプ 1a 型の C
型慢性肝炎の治療
成人のジェノタイプ 1 型の代償性肝硬変を
含む C 型慢性肝炎の治療
リバビリン併用:肝硬変のないジェノタイ
プ 1a 型
リバビリン非併用;肝硬変のないジェノタ
イプ 1b 型
リバビリン併用:代償性肝硬変
VIEKIRAX:
他剤との併用による成人の C 型慢性肝炎の
治療
EXVIERA:
他剤との併用による成人の C 型慢性肝炎の
治療
VIEKIRAX:
EXVIERA 又は EXVIERA とリバビリンの併
用による成人のジェノタイプ 1 型の C 型慢
性肝炎の治療
ジェノタイプに特化した作用については注
意事項参照
EXVIERA:
他剤との併用による成人の C 型慢性肝炎の
治療
ジェノタイプに特化した作用については注
意事項参照
注)米国及び欧州における添付文書中の用法・用量は以下のとおりである.
米国
VIEKIRA PAK
【用法・用量】
推奨用量:オムビタスビル,パリタプレビル,リトナビル 12.5/75/50mg 配合錠 2 錠 1 日 1 回(朝)及び dasabuvir250mg
錠 1 錠 1 日 2 回(朝夕)を脂肪又はカロリー含有量にかかわらず食事とともに服用する.
各患者集団の治療レジメン及び投与期間
患者集団
肝硬変を伴わないジェノタイプ 1a
肝硬変を伴うジェノタイプ 1a
肝硬変を伴わないジェノタイプ 1b
肝硬変を伴うジェノタイプ 1b
治療*
VIEKIRA PAK+リバビリン
VIEKIRA PAK+リバビリン
VIEKIRA PAK
VIEKIRA PAK+リバビリン
期間
12 週間
24 週間**
12 週間
12 週間
*:ジェノタイプ 1 のサブタイプが不明,又はジェノタイプ 1 混合感染の場合は,ジェノタイプ 1a の推奨用量に従うこと.
**:前治療歴に基づき,一部の患者については VIEKIRA PAK とリバビリンの併用を 12 週間とすることも考慮する.
肝機能障害:VIEKIRA PAK は中等度及び高度の肝機能障害患者(Child-Pugh B and C)には禁忌である.
腎機能障害:VIEKIRA PAK は軽度,中等度及び高度の腎機能障害患者において用量調節を必要としない.
(2016 年 6 月現在)
TECHNIVIE
【用法・用量】
推奨用量:オムビタスビル,パリタプレビル,リトナビル配合錠(12.5mg/75mg/50mg)2 錠 1 日 1 回(朝)を脂肪また
はカロリー含有量に関わらず食事とともに服用する.TECHNIVIE はリバビリンとの併用で使用すること.
各患者集団の治療レジメン及び投与期間
患者集団
肝硬変を伴わないジェノタイプ 4
治療*
TECHNIVIE+リバビリン
期間
12 週間
*:リバビリンを服用できない又はリバビリン耐性の治療ナイーブ患者については,リバビリンを併用せずに TECHNIVIE を 12 週
間投与することも考慮する.
肝機能障害:TECHNIVIE は中等度及び高度の肝機能障害患者(Child-Pugh B and C)には禁忌である.
腎機能障害:TECHNIVIE は軽度,中等度及び高度の腎機能障害患者において用量調節を必要としない.
(2016 年 6 月現在)
-87-
VIEKIRA XR
【用法・用量】
推奨用量:dasabuvir,オムビタスビル,パリタプレビル,リトナビル配合錠(200mg/8.33mg/50mg/33.33mg)3 錠 1 日 1
回をとともに服用する.
各患者集団の治療レジメン及び投与期間
患者集団
肝硬変を伴わないジェノタイプ 1a
代償性肝硬変を伴うジェノタイプ 1a
肝硬変を伴わないジェノタイプ 1b
代償性肝硬変を伴うジェノタイプ 1b
治療*
VIEKIRA XR+リバビリン
VIEKIRA XR+リバビリン
VIEKIRA XR
VIEKIRA XR
期間
12 週間
24 週間**
12 週間
12 週間
*:ジェノタイプ 1 のサブタイプが不明,又はジェノタイプ 1 混合感染の場合は,ジェノタイプ 1a の推奨用量に従うこと.
**:前治療歴に基づき,一部の患者については VIEKIRA PAK とリバビリンの併用を 12 週間とすることも考慮する.
肝機能障害:TECHNIVIE は中等度及び高度の肝機能障害患者(Child-Pugh B and C)には禁忌である.
腎機能障害:TECHNIVIE は軽度,中等度及び高度の腎機能障害患者において用量調節を必要としない.
(2016 年 7 月現在)
欧州
【用法・用量】
Viekirax の投与は,C 型慢性肝炎の管理の豊富な経験を有する医師が開始及びモニタリングすること.
用量
Viekirax の推奨用量は,オムビタスビル,パリタプレビル,リトナビル 12.5mg/75mg/50mg を 2 錠 1 日 1 回であり,食事
とともに経口投与する.
Viekirax は,HCV 治療に対する他の医薬品との併用で使用すること(表を参照)
.
Viekirax と併用する医薬品の推奨用量及び投与期間(患者集団別)
患者集団
肝硬変を伴わないジェノタイプ 1b
代償性肝硬変を伴うジェノタイプ 1b
肝硬変を伴わないジェノタイプ 1a
代償性肝硬変を伴うジェノタイプ 1a
肝硬変を伴わないジェノタイプ 4
代償性肝硬変を伴うジェノタイプ 4
治療*
期間
12 週間
12 週間
12 週間
24 週間
12 週間
24 週間
Viekirax+dasabuvir
Viekirax+dasabuvir+リバビリン
Viekirax+dasabuvir+リバビリン*
Viekirax+dasabuvir+リバビリン*
Viekirax+リバビリン
Viekirax+リバビリン
*注記:ジェノタイプ 1 のサブタイプが不明又は複数のジェノタイプ 1 に感染した患者については,ジェノタイプ 1a の推奨用量に従うこと.
dasabuvir 及びリバビリンについて,用量調節などを含めた用量及び用法の詳細は,それぞれの製品特性概要を参照のこと.
服用忘れ
Viekirax を服用し忘れた場合,12 時間以内であれば処方用量を服用することができる.Viekirax の通常の服用時刻から
12 時間を経過している場合は,これを服用せず,次回の用量を通常の服薬スケジュールに従って服用すること.一度に
2 回量を服用しないよう患者に指導すること.
肝機能障害:Viekirax は軽度肝機能障害患者では用量調節を必要としない(Child-Pugh A).中等度肝機能障害患者
(Child-Pugh B)において安全性・有効性は確立されていない.しかし,薬物動態試験に基づき,用量調節は必要とされ
ないと予想される.高度の肝機能障害患者(Child-Pugh C)は禁忌である.
腎機能障害:Viekirax は軽度,中等度及び高度の腎機能障害患者において用量調節を必要としない.
(2016 年 6 月現在)
-88-
2.海外における臨床支援情報
(1)妊婦に関する海外情報
本邦における使用上の注意「妊婦,産婦,授乳婦等への投与」の項の記載は以下のとおりであり,米 FDA 分類とは異なる.
【使用上の注意】
「妊婦,産婦,授乳婦等への投与」
(1)セログループ 1(ジェノタイプ 1):妊娠又は妊娠している可能性のある婦人には治療上の有益性が危険性を上回
ると判断される場合にのみ投与すること.[妊娠中の投与に関する安全性は確立していない.]
セログループ 2(ジェノタイプ 2):本剤はリバビリンと併用するため,妊婦又は妊娠している可能性のある婦人
には投与しないこと.また,妊娠していないことを確認するため,治療開始に先立ちリバビリンの添付文書を参照
し,妊娠検査を実施すること.[リバビリンの動物実験で催奇形性及び胚・胎児致死作用が認められている.]
(2)授乳中の婦人には投与しないこと.やむを得ず投与する場合は,授乳を避けさせること.[本剤成分がヒト乳
汁中へ移行するかどうかは不明であるが,動物実験(ラット)で本剤由来成分が乳汁中へ移行することが報告され
ている.授乳ラットでは主としてパリタプレビル,パリタプレビル加水分解物質 M13,オムビタスビル未変化体が
認められた 56),57).]58),59)
FDA:TECHNIVIE Pregnancy Category
オーストラリアの分類:VIEKIRA PAK
(An Australian categorisation of risk of drug use in pregnancy)
オーストラリアの分類:VIEKIRA PAK-RBV
(An Australian categorisation of risk of drug use in pregnancy)
分類
B(2016 年 6 月)
B3(2016 年 7 月 TGA* database)
X(2016 年 7 月 TGA* database)
*TGA:Therapeutic Goods Administration
参考:分類の概要
FDA:Pregnancy Category
B : Animal reproduction studies have failed to demonstrate a risk to the fetus and there are no adequate and well-controlled studies
in pregnant women OR Animal studies have shown an adverse effect, but adequate and well-controlled studies in pregnant
women have failed to demonstrate a risk to the fetus in any trimester.
オーストラリアの分類:An Australian categorisation of risk of drug use in pregnancy
B3:Drugs which have been taken by only a limited number of pregnant women and women of childbearing age, without an increase
in the frequency of malformation or other direct or indirect harmful effects on the human fetus having been observed.
Studies in animals have shown evidence of an increased occurrence of fetal damage, the significance of which is considered
uncertain in humans.
X:Drugs which have such a high risk of causing permanent damage to the fetus that they should not be used in pregnancy or when
there is a possibility of pregnancy.
(2)小児等に関する記載
本邦における使用上の注意「小児等への投与」の項の記載は以下のとおりであり,米国及び EU の添付文書とは異なる.
【使用上の注意】
「小児等への投与」
小児等における安全性は確立していない.
[使用経験がない.]
出典
米国の添付文書
(2016 年 6 月)
米国の添付文書
(2016 年 6 月)
米国の添付文書
(2016 年 7 月)
EU の添付文書
(2015 年 1 月)
記載内容
18 歳未満の小児患者における VIEKIRA PAK の安全性及び有効性は確立され
ていない.
18 歳未満の小児患者における TECHNIVIE の安全性及び有効性は確立されて
いない.
18 歳未満の小児患者における VIEKIRA XR の安全性及び有効性は確立されて
いない.
18 歳未満の小児及び青年における Viekirax の安全性は確立していない.利用
可能なデータがない.
-89-
ⅩⅢ.備考
その他の関連資料
患者向医薬品ガイド
http://www.info.pmda.go.jp/downfiles/ph/GUI/112130_6250108F1020_1_05G.pdf
-90-
2016年9月改訂
PP-HCV-JP-0016-2.0
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