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講演の内容
2014/3/18
新鮮凍結血漿およびアルブミン
適正使用についての考え方
峯岸正好
日本赤十字社東北ブロック血液センター
岩手県合同輸血療法委員会(2013.10.19)
講演の内容
• 宮城県合同輸血療法委員会の取組み
• Patient Blood Management (PBM)
• PBMとFFP, Albuminの適正使用
岩手県合同輸血療法委員会(2013.10.19)
1
2014/3/18
赤血球廃棄率(%)
(日本輸血細胞治療学会誌 56(3):386-390, 2010)
対象;赤血球供給本数が1,000本以上の施設(H20実態調査)
整備;①適正な回数の輸血療法委員会が開催されている
②輸血管理部門がある
③輸血責任医師が任命されている
④輸血専任技師が配置されている、の条件を H18・H19年度共に満たしている施設
H18実績
年度
n
平均値
標準偏差
中央値
H19実績
「整備」群
「未整備」群
「整備」群
「未整備」群
8
5.3
19
7.7
8
6.6
19
7.5
5.8
3.2 (0.316.9)
7.3
7.0 (0.831.7)
12.2
2.2 (0.136.5)
8.2
4.7 (0.529.4)
「未整備」施設における輸血療法委員会の開催
と赤血球廃棄率(%);H20年度実態調査
(日本輸血細胞治療学会誌 56(3):386-390, 2010)
年度
輸血療法委
員会(/年)
n
平均値
標準偏差
中央値
t-検定
H18
H19
6回以上 6回未満 6回以上 6回未満
12
5.1
3.9
3.3
7
12.0
9.9
10.5
0.045
12
3.6
2.5
2.9
7
14.2
10.4
16.7
0.003
2
2014/3/18
輸血管理体制整備と適正使用
平成20年度宮城県合同輸血療法委員会における実態調査
結果の解析より、赤血球製剤廃棄削減における輸血管理体
制整備の重要性が示唆された。輸血管理体制整備とは;
①輸血療法委員会が年6回以上開催されている
②輸血業務を一括して行なえる部門がある
③輸血責任医師が任命されている
④輸血専任技師が配置されている
• 上記4条件を満たす施設を「整備」群、その他を「未整
備」群とした。平成24年度調査においては、「整備」群20
施設と、平成23年度調査時よりも6施設増加していた。
赤血球廃棄率(%)
対象;RBC供給本数が1,000本以上の施設(H24実態調査)
整備;①適正な回数の輸血療法委員会が開催されている
②輸血管理部門がある
③輸血責任医師が任命されている
④輸血専任技師が配置されている、の条件を H18・H23年度共に満たしている施設
H18実績
年度
H23実績
「整備」群
「未整備」群
「整備」群
「未整備」群
n
8
19
15
10
平均値
5.3
7.7
4.1
6.2
標準偏差
5.8
7.3
4.6
5.8
中央値
3.2 (0.316.9)
7.0 (0.831.7)
2.3 (0.416.7)
4.1 (1.217.2)
3
2014/3/18
赤血球製剤の使用量と廃棄率(平成23年度実績)
赤血球製剤の使用量と廃棄率(平成 年度実績)
45
廃棄率(%)
40
35
「整備」群
30
「未整備」群
25
20
15
10
5
0
0
2000
4000
6000
8000
10000
12000
14000
16000
18000
20000
使用量(単位)
赤血球製剤廃棄
せせ
率
11.9% (a)
21.7%
35.1%
赤血球製剤在庫数(単位)
0.43%(c)
2.53%(b)
16.7%(d)
17.2%(e)
4.98%(f)
11.2%(g)
施設
A
O
B
AB
(a)
13
13
10
4
(b)
20
20
16
6
(c)
10
10
4
2
(d)
5
5
5
4
(e)
0
0
0
0
(f)
4
4
0
0
(g)
0
2
0
0
せけっk
4
2014/3/18
宮城県合同輸血療法委員会における日本
輸血・細胞治療学会I&Aを活用した
適正使用推進活動
1. 日本輸血・細胞治療学会I&Aチェックリ
ストを活用した紙面評価→報告書作成
2. 日本輸血・細胞治療学会I&A委員会評
価基準に基づいたI&A現地調査→視察
報告書作成
I&Aチェック項目
A. 基本理念
B. 輸血管理体制と役割
F3 搬出後の血液の取り扱い
G. 輸血検査
H3 輸血中の管理
H4 輸血終了後の管理
B1 輸血管理体制
G1 検査室の整備
I 副作用の管理・対策
B2 輸血療法委員会
G1.3 検査用試薬の精度管理
B3 輸血部門
G1.4 機器の保守管理
I2 副作用モニター
B3.4担当技師の配置
G2 血液型検査、不規則抗体スクリーニング
I3 輸血前後の感染症検査
I1 副作用の管理・対策
B4 院内監査、記録の保管
G2.1 ABO血液型検査
I4 副作用予防対策
B5 同意書、インフォームドコンセント
G2.2 Rh(D)抗原検査
I5 副作用遡及調査への対応
C. 輸血用血液の搬入
C1 血液センターからの搬入
D. 輸血用血液の保管管理
G2.3 不規則抗体スクリーニング検査
G3 適合検査
G3.2 緊急時検査等
I6 副作用報告義務と救済制度
J. 自己血輸血
J1 理念・目的
D1 保管条件
G3.3 大量輸血時の適合血
J2 採血前準備
D2 日常および定期点検
G3.4 救命処置としての輸血
J3 採血
G3.5 乳児の検査
J4 保管管理
E. 輸血用血液の在庫・返品管理
E1 製剤管理
G4 手術時の血液準備量
J5 実施
E2 返品等の取り扱い
G5 夜間、休日の対応と輸血検査の管
理
J6 採血室
E3 記録類の保管
F. 輸血用血液の受払管理
G6 コンピュータクロスマッチ
H. 輸血実施
F1 輸血用血液の発注
H1 輸血用血液使用基準
F2 輸血用血液の払い出し
H2 輸血前の管理
J7 自己成分採血
K. 院内同種血(全血)採血
K1 院内血の管理
K2 受血者および供血者の安全確保他
岩手県合同輸血療法委員会(2013.10.19)
5
2014/3/18
視察報告書(チェックリスト項目別)(例)
項目
状況
改善案
A.基本理念
B.輸血管理体制と役割
B1.輸血管理体制
B2.輸血療法委員会
輸血療法委員会は病院長直属として組
認定基準・重要事
織されている。副病院長が委員長を務め、 項は満たされてい
各診療科と看護部、各中央診療部の代表 る。
からなる13名により構成されている。
審議内容は、輸血副作用、適正使用、輸
血拒否者、輸血感染症検査、Rh陰性血液
有効利用等々、多岐にわたり充実した議事
が行われ、記録が残されており、年6回開
催されている。輸血用血液および分画製剤
の使用状況、廃棄血液は輸血療法委員会
に報告されている。議事録は作成・保管さ
れ、科長会議および医局長会議において
報告されている。
視察報告書(要約)(例)
輸血部業務は、担当者の努力によりマニュアルも整備されており、検査や血液の保管管理が概ね問題なく行われていると推察されま
す。しかし、病院全体の輸血療法については輸血療法委員会あるいは輸血部門の積極的な働きかけにより、さらなる改善が期待され
ます。よりよい輸血療法を構築するために、以下の改善点を示します。
3.1改善すべき事項
1) 輸血療法委員会で決議したことの実効性を確認するために、院内監査を実施すべきである。
2) 輸血用保冷庫は自家発電装置付き電源に接続し、全て輸血部門が管理すべきである。
3) 血液専用保冷庫等の警報装置作動や温度実測等の確認を定期的に行い、記録すべきである。
4) 手術部、重症病棟部、救命救急センターの輸血用保冷庫の管理は輸血部門が実施すべきである。
5) 検査に使用する機器の定期点検について文書化し、実施結果を記録すべきである。
6) 検査用試薬については精度管理マニュアルに従い、定期的に実行すべきである。
3.2改善する必要がある事項
1) 血液製剤搬入時は使用期限の確認が必要である。また外観検査を実施する必要がある。
2) 血液専用保冷庫等の異常発生時迅速対応マニュアルを整備する必要がある。
3) 血液製剤搬出記録簿を作成し、払出者、受領者の両者の確認署名を残すが必要である。
4) 乳児の検査においては、検体が微量となることや、新生児溶血性疾患においては母親由来の抗体移行など、その特性に沿った
検査法や輸血に関する手順書を整備する必要がある。
5) 輸血の実施、必要性、効果等について診療録に記録する必要がある。
6) 輸血前後の感染症検査が適切に実施されるよう、対応をマニュアル化する必要がある。
3.3改善が望まれる事項
1) 血漿分画製剤は輸血部門が管理することが望ましい。
2) 文書類を含めて、輸血拒否患者への対応を決めておくことが望ましい。
3) 臨床的に意義のある不規則抗体が検出された場合、患者が「不規則抗体保有カード」を携帯することで適合血の準備が迅速にお
こなわれ、また抗体価が低下しても見逃しをなくすよう、発行することが望ましい。
4) 輸血済みの血液バッグは数日間程度冷蔵保管することが望ましい。
以上
6
2014/3/18
日本輸血・細胞治療学会I&Aチェックリスト
を活用した紙面評価
1. I&Aチェックリスト(自己評価)の提出
2. 報告書の送付(評価、改善のための提言)
3. 施設側より改善報告書
年度
施設数
施設名
H21
9
東北大学病院、仙台医療センター、大崎市民病院、仙台市立病
院、石巻赤十字病院、東北公済病院、NTT東日本東北病院、宮
城県立がんセンター、仙台厚生病院、
H22
5
宮城県立こども病院、坂総合病院、仙台社会保険病院、仙台循
環器病センター、東北厚生年金病院
H23
4
みやぎ県南中核病院、仙台赤十字病院、仙台オープン病院、東
北労災病院
H24
4
JR仙台病院、気仙沼市立病院、仙台徳洲会病院、南東北病院
岩手県合同輸血療法委員会(2013.10.19)
日本輸血・細胞治療学会I&A委員会評価
基準に基づいたI&A現地調査(視察)
年度
医療機関
H23
宮城県立がんセンター
(H24年度、日本輸血・細胞治療学会I&Aを受審→認定施設)
H24
みやぎ県南中核病院
岩手県合同輸血療法委員会(2013.10.19)
7
2014/3/18
輸血管理料取得施設
(平成23年末現在)
「整備群」20施設
「整備群」 施設
取得あり
I
II
取得なし
4
11
5*
*輸血管理料が取得できない理由;輸血管理体制を整備しても
FFP/RBC and/or Alb/RBCの基準をクリアすることができない!
輸血管理料施設基準(2010年
2010年4月改正)
管理料 I
管理料 II
輸血責任医師
専任
○
輸血担当検査技師配置
専従
専任
輸血用血液製剤
○
○
アルブミン
○
-
当直
○
○
○
輸血副作用監視体制
○
○
指針の遵守
○
○
FFP/RBC
< 0.50
< 0.25
Alb/RBC
< 2.0
< 2.0
200点
200点
70点
70点
輸血業務の一元管理
輸血検査の24h
輸血検査の24h体制
24h体制
輸血療法委員会
適正使用基準
保険点数(1/
保険点数(1/月)
1/月)
年6回以上開催
8
2014/3/18
Patient Blood Management
患者中心の輸血医療(旭川医大、紀野修一先生)
患者中心の輸血医療の
最終目的は患者転帰の
改善であり、周術期全体
を通じた同種血輸血回避
策を一人ひとりの患者に
適応していく。
岩手県合同輸血療法委員会(2013.10.19)
Patient Blood Management の背景
• 輸血のリスク;輸血後感染症、輸血副作用、
免疫学的修飾(術後敗血症の増加、がん
の再発、進展)、患者生存率低下等
• 血液需給の堅持
• コストの増大
• 従来、輸血に際してリスクとベネフィットに
関する配慮が十分ではなかった。
岩手県合同輸血療法委員会(2013.10.19)
9
2014/3/18
岩手県合同輸血療法委員会(2013.10.19)
Patient Blood Management (PBM) とは?
(Spahn, Anesthesiology, 2008)
• 同種赤血球輸血のベネフィットは副作用(TRALI, TACO,
術後感染症、Tumor growth等)、コストを上回っているか?
• 医療者の責務
1)インフォームド・コンセントは十分か(訴訟の可能性)?
2)同種赤血球輸血を決定する根拠が認識されているか?
(1) 術前の貧血(→治療)
(2) 周術期の出血(→軽減化)
PBM
(3) 赤血球輸血の閾値(→低減化)
岩手県合同輸血療法委員会(2013.10.19)
10
2014/3/18
Patient Blood Management の実際
(Goodnough LT et al. Anesthesiology 2012;116:1367 改変)
① 術前貧血の診断と治療(造血剤療法、医原性血液喪失
の抑制、自己血貯血)
② 輸血検査(血液型、抗体スクリーニング、交差適合試験)
③ インフォームド・コンセントと輸血の実際および記録
④ 止血の管理(術前抗凝固剤の調整、凝固検査、出血の
少ない術式)
⑤ 血液製剤の適正使用(指針の策定;赤血球、
血液製剤の適正使用(指針の策定;赤血球、FFP
FFP、血小
FFP、血小
板の適応)
岩手県合同輸血療法委員会(2013.10.19)
Society for the Advancement of Blood
Management (SABM)
(http://www.sabm.org/)
• Blood management has been defined as “the appropriate
use of blood and blood components, with a goal of
minimizing their use.”
• Professional definition : PBMとは、エビデンスに基づい
とは、エビデンスに基づい
た集学的な知識をHbレベルの改善、止血・凝固能の最
た集学的な知識を レベルの改善、止血・凝固能の最
適化、出血の抑制に適時に応用することにより患者の転
帰を改善させるための取組みである。
• Public description : PBMとは、貧血の阻止、出血の抑制
とは、貧血の阻止、出血の抑制
のための安全かつ効果的な集学的技術を駆使することに
より、患者の転帰を改善させるための取組みである。
岩手県合同輸血療法委員会(2013.10.19)
11
2014/3/18
Patient Blood Management
(Spahn & Goodnough, Lancet, 2013)
• PBM = 術前および周術期の貧血を適切に
管理することで、輸血を回避あるいは最小
限に抑えるための戦略
1) 赤血球造血刺激薬や鉄剤投与による赤血
球産生の促進
2) 正確な手術技法による失血の抑制
3) 周術期にフィブリノゲン等の凝固因子の
監視を行い、より標的を絞った治療を行
岩手県合同輸血療法委員会(2013.10.19)
う
新鮮凍結血漿の適正使用について
(生物学的製剤基準名;新鮮凍結人血漿)
FFP : fresh frozen plasma
規格 FFP-120:
:120mL
FFP-240:
:240mL
FFP-480:
:480mL
(2013年
年9月から
月から)
月から)
・採血後-20℃
・採血後 ℃以下で保存、1年間
・37℃
℃解凍後3時間以内の使用
12
2014/3/18
製剤別年間供給量の推移
日本赤十字社血液センター2008
日本赤十字社血液センター2008〜
2008〜2012年
2012年
赤血球製剤
血漿製剤
血小板製剤
10000000
9000000
8000000
7000000
6000000
5000000
4000000
3000000
2000000
1000000
0
2008
2009
2010
2011
2012
岩手県合同輸血療法委員会(2013.10.19)
血漿製剤
病床当たりの使用量(
単位 床
╲)
第61回日本輸血・細胞治療学会総会(東京医大、田中朝志先生)
13
2014/3/18
血漿製剤の各科別使用量
1病床当たりの使用量(
単位 病
╲床)
第61回日本輸血・細胞治療学会総会(東京医大、田中朝志先生)
FFPの適応 -凝固因子の補充-
複合型凝固障害
重度肝障害、DIC、大量輸血時(循環血液量以上
、大量輸血時(循環血液量以上/day)
)
重度肝障害、
、大量輸血時(循環血液量以上
の希釈性凝固障害
濃縮製剤のない凝固因子欠乏症
第Ⅴ因子、第Ⅺ
因子、第Ⅺ因子欠乏症(濃縮製剤がない)あ
るいはこれらいずれかを含む複合型凝固因子欠乏症
クマリン系薬剤(Warfarinなど)
など)による出
血傾向の緊急是正
14
2014/3/18
FFPの適応
低フィブリノゲン血症(100mg/dL以下)
DIC
L-アスパラギナーゼ投与中の白血病
アスパラギナーゼ投与中の白血病
血漿因子の補充(PT・APTTが正常な場合)
血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)
血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)
・血漿交換療法(フォンヴィレブランド因子(VWF)
特異的メタロプロテアーゼ(ADAMTS13)の補給、
ADAMTS13抗体の除去、VWFマルチマーの除去)
・早期(新生児期)発症型(ADAMTS13欠損;UpshawSchulman症候群)と成人期発症型(ADAMTS13に対
する自己抗体)
ADAMTS13; a disintegrin-like and metalloproteinase with thrombospondin repeats
Pathogenesis of idiopathic TTP caused by ADAMTS13
deficiency.
Sadler J E Blood 2008;112:11-18
©2008 by American Society of Hematology
15
2014/3/18
Patient Blood Management (PBM) とは?
(Spahn, Anesthesiology, 2008)
• 同種赤血球輸血のベネフィットは副作用(TRALI, TACO,
術後感染症、Tumor growth等)、コストを上回っているか?
• 医療者の責務
1)インフォームド・コンセントは十分か(訴訟の可能性)?
2)同種赤血球輸血を決定する根拠が認識されているか?
(1) 術前の貧血(→治療)
(2) 周術期の出血(→軽減化)
PBM
(3) 赤血球輸血の閾値(→低減化)
岩手県合同輸血療法委員会(2013.10.19)
FFP投与量
生理的な止血効果を期待するための凝固因
子の最少血中活性値は、正常値の20~30%
循環血漿量:循環血液量(70mL/kg)×(1-Ht/100)
40mL/Kg
として算出
補充された凝固因子の血中回収率:100%と仮定
20 ~ 30 % 上 昇 さ せ
るのに必要なFFP量
量
るのに必要な
8~
~12mL/kg
体重50kgの患者では
の患者では400~
~600mL(約
(約3~
単位)
体重
の患者では
(約 ~5単位)
16
2014/3/18
血液凝固障害への対応(出血時の血中フィブリノゲン)
•術中大量出血
術中大量出血→凝固因子の喪失
術中大量出血 凝固因子の喪失
•血中フィブリノゲン正常値;
血中フィブリノゲン正常値;200-350
mg/dL
血中フィブリノゲン正常値;
•血中フィブリノゲン値;
血中フィブリノゲン値;50
mg/dL→
100
mg/dLに回復させるには?
に回復させるには?
血中フィブリノゲン値;
循環血漿量を2,400
mL(体重
(体重60kg)とすると
)とすると
循環血漿量を
(体重
50 mg x 24 dL = 1,200 mg必要
必要
•凍結血漿製剤中のフィブリノゲン濃度;
凍結血漿製剤中のフィブリノゲン濃度;200
mg/dL(抗凝固剤で希釈)
(抗凝固剤で希釈)
凍結血漿製剤中のフィブリノゲン濃度;
→ 1,200 ÷ 200 = 600 mL
→フィブリノゲンの回収率を
フィブリノゲンの回収率を80%とすると
とすると750
mL(
(6.25
フィブリノゲンの回収率を
とすると
•依然として出血は続いている
依然として出血は続いている→凍結血漿追加
依然として出血は続いている 凍結血漿追加→循環負荷
凍結血漿追加 循環負荷
→呼吸困難が出現した場合、
呼吸困難が出現した場合、TRALIか
かTACOかの鑑別が困難
かの鑑別が困難
呼吸困難が出現した場合、
Fresh Frozen Plasma, Leukocytes Reduced, “Nisseki”
血漿製剤
新鮮凍結血漿-LR「日赤」
FFP-LR
血漿製剤(2013年
2013年9月より供給)
FFP-LR120
薬価(円)
8,706
FFP-LR240
17,414
FFP-LR480
22,961
岩手県合同輸血療法委員会(2013.10.19)
17
2014/3/18
Patient Blood Management
(Spahn & Goodnough, Lancet, 2013)
• PBM = 術前および周術期の貧血を適切に
管理することで、輸血を回避あるいは最小
限に抑えるための戦略
1) 赤血球造血刺激薬や鉄剤投与による赤血
球産生の促進
2) 正確な手術技法による失血の抑制
3) 周術期にフィブリノゲン等の凝固因子の
監視を行い、より標的を絞った治療を行
岩手県合同輸血療法委員会(2013.10.19)
う
術中大量出血を防ぐ、止血のための輸血指針
(山本ほか、日本輸血細胞治療学会誌,
)
(山本ほか、日本輸血細胞治療学会誌 56:36-42, 2010)
1. 術中大量出血をきたしやすい手術(胸部大動脈瘤に対
する人工血管置換術、肝臓移植術、肝臓癌・肝門部癌
切除術、産科緊急手術など;
切除術、産科緊急手術など;大量出血および
など;大量出血および血液の希釈
大量出血および
によるフィブリノゲン値の急激な低下が止血不能状態を招
く)
)では、大量出血の可能性を常に念頭に置き、適宜、
止血・凝固検査(血小板数、PT,
APTT, フィブリノゲ
止血・凝固検査(血小板数、
ン値の測定)を行う。
2. 術中に循環血液量の50%を超える出血(
を超える出血(1,500〜
〜
術中に循環血液量の
を超える出血(
2,000mL程度)を認めるか、それに迫る急激な出血が起
程度)を認めるか、それに迫る急激な出血が起
こった場合、あるいはウージングのような限局しない
出血傾向を認めた場合には、速やかに血算・凝固検査
を行う。
を行う。
岩手県合同輸血療法委員会(2013.10.19)
18
2014/3/18
術中大量出血を防ぐ、止血のための輸血指針
(山本ほか、日本輸血細胞治療学会誌,
(山本ほか、日本輸血細胞治療学会誌 56:36-42, 2010)
)
3. 低フィブリノゲン血症(<
〜150 mg/dL)を認めるか
)を認めるか
低フィブリノゲン血症( 100〜
(製剤投与の頃には)それに近づくと判断した場合には、
フィブリノゲン濃縮製剤(3g
フィブリノゲン濃縮製剤( 程度)、それが入手できな
い場合は、クリオプレシピテート(FFP-Ap,
3〜
〜4 bags、
、
い場合は、クリオプレシピテート(
ABO同型か
同型かAB型)の投与によって一気にフィブリノゲ
同型か 型)の投与によって一気にフィブリノゲ
ン値の上昇(>150〜
〜200 mg/dL)を図る(投与後にも適
)を図る(投与後にも適
ン値の上昇(
宜凝固検査を行い、不十分なら再投与する)。
4. 出血の緩やかな場合には、新鮮凍結血漿での
出血の緩やかな場合には、新鮮凍結血漿での対応も可
凍結血漿での対応も可。
対応も可。
5. 血小板減少(<15,000/µ
µL)に対しても、原則として低
)に対しても、原則として低
血小板減少(
フィブリノゲン血症を改善させた上で適宜血小板輸血を
行う。
岩手県合同輸血療法委員会(2013.10.19)
凝固系カスケード
内因系凝固
外因系凝固
血管内皮の損傷
組織損傷
XII, XI 因子
VII 因子
VIII, IX 因子
APTT
X 因子
PT
プロトロンビン (II)
フィブリノゲン (I)
フィブリン(止血栓)
岩手県合同輸血療法委員会(2013.10.19
19
2014/3/18
Critical Level of Hemostatic Factors and the
Inversely Predicted Corresponding Blood
Loss as Percent of Calculated Blood Volume
(Hiippala ST, et al. Anesth Analg 1995;81:360-5)
Hemostatic factor
Critical level
Blood loss (%)
Platelets
50,000/µL
230
Fibrinogen
100 mg/dL
142
Prothrombin
20 %
201
Factor V
25 %
229
Factor VII
20 %
236
岩手県合同輸血療法委員会(2013.10.19)
厚生労働科学研究費補助金
医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究事業
「大量出血時の止血能の評価と輸血療法に関する研究」
研究代表者:高松純樹(名古屋大学医学部附属病院輸血部)
平成21年3月
• 胸部外科手術および肝臓移植術において術中に
4,000 mL以上の出血もしくは赤血球製剤
mL以上の出血もしくは赤血球製剤20
以上の出血もしくは赤血球製剤20単位以上
20単位以上
を輸血した症例で、フィブリノゲン補充をしていなかっ
た2005〜
2005〜2006年(
2006年(37
年(37例)とフィブリノゲン補充を始めた
37例)とフィブリノゲン補充を始めた
2007〜
2007〜2008年(
2008年(45
年(45例)とで比較検討すると、
45例)とで比較検討すると、1
例)とで比較検討すると、1例あたり
の平均出血量は36
の平均出血量は36〜
36〜38%減少し、術中の血液製剤平
38%減少し、術中の血液製剤平
均使用量も28
均使用量も28〜
28〜62%減と著明に減少した。
62%減と著明に減少した。
岩手県合同輸血療法委員会(2013.10.19)
20
2014/3/18
厚生労働科学研究費補助金
医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究事業
「大量出血時の止血能の評価と輸血療法に関する研究」
研究代表者:高松純樹(名古屋大学医学部附属病院輸血部)
平成21年3月
• 提言;術中大量出血を
提言;術中大量出血を招きやすい
術中大量出血を招きやすい肝移植や心臓血管
招きやすい肝移植や心臓血管
外科手術
外科手術の際、出血量が
手術の際、出血量が1,500
の際、出血量が1,500〜
1,500〜2,000 mLに達したら
mLに達したら
直ちに血中フィブリノゲン値を測定し、150
直ちに血中フィブリノゲン値を測定し、150 mg/
mg/dLを下
dLを下
回っているか、下回る勢いで出血が続いていると判
断された場合には、すみやかにフィブリノゲン濃縮製
剤3g(入手できない場合はクリオプレシピテート製剤
3g(入手できない場合はクリオプレシピテート製剤3
(入手できない場合はクリオプレシピテート製剤3
〜4パック)を投与して止血を図る 。
岩手県合同輸血療法委員会(2013.10.19)
輸血管理料を取得している(輸血管理体制整備ができ
ている)施設がFFP/RBC<0.54をクリアするために
フィブリノゲン製剤の適応拡大→
フィブリノゲン製剤の適応拡大→出血量を抑制、
FFPの使用量を抑制(急性低フィブリノゲン血症に
FFPの使用量を抑制(急性低フィブリノゲン血症に
対するフィブリノゲン製剤の保険収載に向けては、
2013年内にも胸部大動脈瘤に対する人工血管置
2013年内にも胸部大動脈瘤に対する人工血管置
換術において国内臨床試験が開始される見込み)
臓器移植、心臓血管外科、産婦人科等の大量出
血(輸血)が避けられない疾患に
血(輸血)が避けられない疾患についての基準の
避けられない疾患についての基準の
再評価
21
2014/3/18
輸血管理料施設基準(2012年
2012年4月一部改正)
管理料 I
管理料 II
輸血責任医師任命
専任
○
輸血担当検査技師配置
専従
専任
輸血用血液製剤
○
○
アルブミン
○
-
当直
○
○
○
輸血副作用監視体制
○
○
指針の遵守
○
○
輸血業務の一元管理
輸血検査の24h
輸血検査の24h体制
24h体制
輸血療法委員会
年6回以上開催
輸血管理料
輸血管理体制
220点
220点
110点
110点
適正使用基準
FFP/RBC
< 0.54
< 0.27
Alb/RBC
< 2.0
< 2.0
輸血適正使用加算
120点
120点
60点
60点
保険点数(1/
保険点数(1/月)
1/月)
340点
340点
170点
170点
●アルブミン製剤
<供給量・自給率の推移>
22
2014/3/18
アルブミン製剤
病床当たりの使用量(
g床
╲)
第61回日本輸血・細胞治療学会総会(東京医大、田中朝志先生)
各種アルブミン製剤の国産・海外産別
使用割合推移
海外非献血
海外献血
国産
5%製剤
20%製剤
12
11
20
20
20
10
09
08
20
20
20
12
11
10
20
20
20
09
08
12
20
20
11
10
20
20
20
20
08
09
100 %
90
80
70
60
50
40
30
20
10
0
25%製剤
第61回日本輸血・細胞治療学会総会(東京医大、田中朝志先生)
23
2014/3/18
等張アルブミン製剤の各科別使用量
1病床当たりの使用量(
g病
╲床)
第61回日本輸血・細胞治療学会総会(東京医大、田中朝志先生)
高張アルブミン製剤の各科別使用量
1病床当たりの使用量(
g病
╲床)
第61回日本輸血・細胞治療学会総会(東京医大、田中朝志先生)
24
2014/3/18
使用目的
- アルブミン製剤 -
血漿膠質浸透圧の維持による循環血漿
量の確保→等張アルブミン製剤(5%Alb)
治療抵抗性の重度の浮腫の治療
→高張アルブミン製剤( 20%Alb、25%Alb)
必要投与量(g)=期待上昇濃度(g/dL)x循環血漿量(dL)x2.5
ただし、期待上昇濃度は期待値と
実測値の差、循環血漿量 0.4dL/kg,
投与アルブミンの血管内回収率 40%
とする。
アルブミン製剤の適応(使用指針)
出血性ショック(循環血液量の50%以上の出血)
人工心肺を使用する心臓手術
肝硬変に伴う難治性腹水に対する治療
難治性の浮腫、肺水腫を伴うネフローゼ症候群
循環動態が不安定な血液透析等の体外循環施行時
凝固因子の補充を必要としない治療的血漿交換療法
重症熱傷
低蛋白血症に起因する肺水腫や著明な浮腫のある場合
循環血漿量の著明な減少を伴う急性膵炎など
25
2014/3/18
急性疾患における低アルブミン血症
ーリスクと治療の根拠
Cochrane Injuries Group Albumin Reviewers, BML, 317:235,1998
• 英国コクラン外傷班アルブミン検討委員会(1998);出血性
ショック、熱傷、敗血症および慢性疾患に合併した低アルブ
ミン血症の重症患者におけるアルブミン輸注効果に関する
30の無作為化比較試験をメタ解析→アルブミン製剤使用
群では非使用群に比べ、その短期死亡率が統計学的に有
意に高かった(98/596=16.4% vs. 58/608=9.5%)。
しかしこの分析は、蘇生処置の時期、各試験の対象症例数、
アルブミンの投与方法や成績の評価方法が一致していな
い等の批判、循環血液量減少に関する限りその結論は疑
問(Horsey P, Lancet, 359:70, 2002)
岩手県合同輸血療法委員会(2013.10.19)
急性疾患における低アルブミン血症
ーリスクと治療の根拠
Wilkes MM & Navickis RJ, Ann Intern Med, 135:149, 2001
• アルブミン投与後の患者生存率についての無作為
化比較試験データ(55件、3,504症例)を分析し、ア
ルブミン投与は外傷、熱傷、低アルブミン血症、ハ
イリスク新生児、腹水症などいずれの症状カテゴ
リーの死亡率にも有意な影響を及ぼさないと報告。
• この分析では、臨床的適応症の種類に制限はなく、
特別な除外基準も設定されていないが、100例以上
の症例を対象とした大規模盲検試験においては、
アルブミン投与は低死亡率と相関していた。
岩手県合同輸血療法委員会(2013.10.19)
26
2014/3/18
SAFE The Saline versus Albumin Fluid
Evaluation (SAFE) Study
(N Engl J Med, 350:2247, 2004)
• ICUに収容され、循環血漿量の維持または改善が必要な
6,997例の患者に対し、4%アルブミン製剤と生理食塩水に
よる循環血液量蘇生の二重盲検無作為化比較試験が行わ
れ、28日間の死亡その他を比較した。
4%アルブミン
4%アルブミン
生理食塩水
P
死亡例
726/3,473 (20.9%)
729/3,460 (21.1%)
0.87
ICU滞在期間 (days)
6.5±6.6
6.2±6.2
0.44
入院期間 (days)
15.3±9.6
15.6±9.6
0.30
人工換気期間 (days)
4.5±6.1
4.3±5.7
0.74
透析治療期間 (days)
0.5±2.3
0.4±2.0
0.41
岩手県合同輸血療法委員会(2013.10.19)
Cochrane Database Syst Rev. (2007)
• 生理食塩水のような代替輸液と比較して、アルブミン
製剤によって循環血液量減少患者の死亡率が低下
することを示す証拠はない。
• 熱傷等の低アルブミン血症のような重症患者で、ア
ルブミン製剤によって死亡率が低下するという証拠
もない。
• アルブミン製剤が有用であると考えられる選択的患
者群が存在するかどうかは未解決な問題である。
岩手県合同輸血療法委員会(2013.10.19)
27
2014/3/18
SAFE The Saline versus Albumin Fluid
Evaluation (SAFE) Study
(N Engl J Med, 357:874, 2007)
• SAFE studyに登録されたアルブミンおよび生理食塩水に
よる輸液蘇生の外傷性脳損傷患者について、2年間の追
跡調査を行い生存状況を判定した。
4%アルブミン
4%アルブミン
生理食塩水
P
死亡例
71/214 (33.2%)
42/206 (20.4%)
0.003
重度脳損傷患者*死亡
61/146 (41.8%)
32/144 (22.2%)
<0.001
*グラスゴー昏睡尺度[Glasgow Coma Scale;GCS]スコアが3〜8の患者
岩手県合同輸血療法委員会(2013.10.19)
輸血管理料を取得している(輸血管理体制整備ができ
ている)施設がAlb/RBC<2.0をクリアするために
心臓血管外科、救命救急センター、消化器外
科で出血性ショック時に使用するアルブミンの
基準再評価必要
臓器移植、血漿交換療法(神経内科等)で使用
するアルブミンの基準再評価必要
肝硬変、汎発性腹膜炎における腹水コントロー
ルに使用するアルブミンの基準再評価必要
併せて臨床的有効性の検証をできないか。
岩手県合同輸血療法委員会(2013.10.19)
28
2014/3/18
アルブミン製剤の適正使用に向けた取り組み
(日本医科大学、日本輸血細胞治療学会誌、58:33,
2012)
)
(日本医科大学、日本輸血細胞治療学会誌、
• 輸血療法委員会を通して、患者一人あたりのアルブミン
(ALB)使用が
(ALB)使用が100g/
使用が100g/月以上となった段階で、主治医に対し
100g/月以上となった段階で、主治医に対し
「ALB適正使用評価シート」にて、投与理由および投与中
ALB適正使用評価シート」にて、投与理由および投与中
止・継続の判断を求めた。
介入後、ALB
介入後、ALB使用量
ALB使用量100g
使用量100g以上症例は減少し(月平均
100g以上症例は減少し(月平均14
以上症例は減少し(月平均14例
14例
→7例)、年間使用量も減少した(
→7例)、年間使用量も減少した(164,025g→
例)、年間使用量も減少した(164,025g→ 108,357g)。
108,357g)。
ALB使用量減少による患者転帰の悪化は認められなかっ
ALB使用量減少による患者転帰の悪化は認められなかっ
た(高度救命救急センター)。
岩手県合同輸血療法委員会(2013.10.19)
アルブミン適正使用評価シート(日本医科大学)
(日本輸血細胞治療学会誌、58:33,
2012)
)
(日本輸血細胞治療学会誌、
岩手県合同輸血療法委員会(2013.10.19)
29
2014/3/18
アルブミン適正使用を目指した使用量減少は
集中治療患者の転帰に影響を与えるか
(久志本成樹、日本集中治療医学会誌、2012;19:261)
)
(久志本成樹、日本集中治療医学会誌、
• 対象;2008
対象;2008年
2008年〜2010年、日本医科大学付属病院
2010年、日本医科大学付属病院
高度救命救急センター入院症例のうち、蘇生し得
なかった心肺停止例を除く862
なかった心肺停止例を除く862〜
862〜953例(
953例(/
例(/6ヵ月)。
• 6ヵ月毎のアルブミン使用量の変化と28
6ヵ月毎のアルブミン使用量の変化と28日転帰、
28日転帰、
28日間における
28日間におけるhospital
日間におけるhospitalhospital-free survival daysにより
daysにより
評価した入院期間への影響を検討。
岩手県合同輸血療法委員会(2013.10.19)
アルブミン適正使用を目指した使用量減少は
集中治療患者の転帰に影響を与えるか
(久志本成樹ほか、 日本集中治療医学会誌 2012;19:261)
)
*2009年よりアルブミン投与量>150g/day/Pt→「適正使用評価シートの提出」
岩手県合同輸血療法委員会(2013.10.19)
30
2014/3/18
食道癌術後患者におけるアルブミン製剤適正
使用厳守による影響の検討
(大橋祥文ほか、日本集中治療医学会誌 2009;16:465)
)
• 食道癌術後の特徴;細胞外液の間質への漏出に伴う循環血液
量減少、2
量減少、2〜3日後には間質から血管内への水分移行に伴う水
分過剰などの危険性(北村道彦.
分過剰などの危険性(北村道彦. 日消外会誌.
日消外会誌. 1998;31:1331998;31:133-7)
• 2005年
2005年4月〜2006年
2006年3月;消化器外科の判断で、状態が安定す
るまで維持輸液として5%
るまで維持輸液として5%アルブミン製剤のみで管理(
5%アルブミン製剤のみで管理(52
アルブミン製剤のみで管理(52例)。
52例)。
• 2006年
2006年4月〜2007年
2007年4月;ICU
月;ICU入室当日は、維持輸液として
ICU入室当日は、維持輸液として5%
入室当日は、維持輸液として5%ア
5%ア
ルブミン製剤を50mL/
ルブミン製剤を50mL/hr
50mL/hrで開始、翌日以降は血清アルブミン値
hrで開始、翌日以降は血清アルブミン値
が3.0g/dL
3.0g/dLに達した時点で細胞外液系輸液に切り替えた(
dLに達した時点で細胞外液系輸液に切り替えた(52
に達した時点で細胞外液系輸液に切り替えた(52例)。
52例)。
• ICU入室日数、人工呼吸時間、病院死亡率を比較した。
ICU入室日数、人工呼吸時間、病院死亡率を比較した。
岩手県合同輸血療法委員会(2013.10.19)
食道癌術後患者におけるアルブミン製剤適正使
用厳守による影響の検討(大阪大学の取組み)
(大橋祥文ほか、日本集中治療医学会誌 2009;16:465)
)
制限前 (n=52)
制限後 (n=52)
P
術中アルブミン使用量 (g)
41.8±
41.8±29.7
28.4±
28.4±26.4
0.018
ICU在室日数
ICU在室日数 (day)
5.3±
5.3±2.2
5.7±
5.7±2.2
n.s.
n.s.
人工呼吸時間 (hrs)
hrs)
23.5±
23.5±19.7
21.0±
21.0±14.7
n.s.
n.s.
病状悪化によるICU
病状悪化によるICU再入室(例)
ICU再入室(例)
3
2
n.s.
n.s.
ICUにて死亡
ICUにて死亡
0
1
n.s.
n.s.
病棟にて死亡
1
1
n.s.
n.s.
→投与制限により術後アルブミン製剤使用量と血清アルブミン値
は有意に低下したが、ICU入室日数、人工呼吸時間、病院死亡
率に有意差を認めなかった。
岩手県合同輸血療法委員会(2013.10.19)
31
2014/3/18
群馬県立心臓血管センターの取組み
(日本輸血細胞治療学会誌、57:25,
2011)
)
(日本輸血細胞治療学会誌、
• 使用適正化対策
1. 高張製剤投与前アルブミン値評価の実施および投与後上昇
予測値、実測値比較データの提出(輸血療法委員会)
2. オーダー画面上で適応病態を選択肢入力
オーダー画面上で適応病態を選択肢入力→
→投与根拠の明
確化
3. 不適切または使用過剰症例検討(輸血療法委員会)
4. アルブミン査定状況報告(輸血療法委員会)と診療報酬明細
書への詳記(投与前アルブミン値、適応病態、症状)の徹底
岩手県合同輸血療法委員会(2013.10.19)
群馬県立心臓血管センターの取組み
(日本輸血細胞治療学会誌、57:25,
(日本輸血細胞治療学会誌、
2011)
)
• 結果
前(2004.10
前(2004.10〜
2005.3)
2004.10〜2005.3)
後(2005
後(2005〜
2008年度)
2005〜2008年度)
投与前後評価 (%)
70.6/47.1
100/99.4
3.0g/dL
3.0g/dL以上での高張ア
dL以上での高張ア
ルブミン投与 (%)
14.6
2.3
高張アルブミンの4
高張アルブミンの4日以
上連日投与 (%)
27.8
4.6
高張アルブミン投与量
(g/月
g/月/患者)
65.0
51.0
保険査定率 (%)
11.9
2.8
アルブミン/
アルブミン/赤血球比
2.56
1.72
岩手県合同輸血療法委員会(2013.10.19)
32
2014/3/18
アルブミン製剤の適正使用に向けた取組
み
•従来の適応疾患(病態)における効果に関するエ
従来の適応疾患(病態)における効果に関するエ
ビデンスが不足している→
ビデンスが不足している→エビデンスの集積必要
•院内輸血療法委員会の場を活用し、特にアルブミ
院内輸血療法委員会の場を活用し、特にアルブミ
ンを多く使用する診療科間で情報を共有する。
•同様の役割を合同輸血療法委員会が務め、医療機
同様の役割を合同輸血療法委員会が務め、医療機
関毎の情報を共有し、また実態の集計・解析を行
うことにより、広く情報を発信する。
Patient Blood Management (PBM) とは?
(Goodnough & Shander, Anesthesiology, 2012)
• 血液製剤の適正使用(同種血輸血回避を含めた)によ
り、臨床的に良好な成果と患者の安全性を得るための
方策
• 輸血専任技師、外科医、麻酔医、集中治療医、内科医、
看護師、臨床工学技師、薬剤師等多職種の医療従事
者が関与するエビデンスに基づいたアプローチが重要
(Evidence-based PBM)
• 患者病態に合わせたテーラーメイド輸血医療(Patientcentered PBM)
岩手県合同輸血療法委員会(2013.10.19)
33
2014/3/18
PBMと輸血領域における診療報酬改定
(2012年度)
1.
2.
3.
4.
5.
輸血管理料(改正)+輸血適正使用加算(新設)
血小板洗浄術加算(新規)
生体組織接着剤作製術(新規)
自己血貯血料の増点(改正)
薬価収載・改正
1) カリウム除去フィルター(新規)
2) アルブミン製剤価格(改正)
3) フィブリノゲン製剤価格(増額)
4) 抗HLA
HLA抗体検査
抗体検査(新規)
岩手県合同輸血療法委員会(2013.10.19)
輸血管理体制が未整備の施設の場合
1
2
3
4
輸血部門における(専任)常勤医師の配置
輸血部門における常勤臨床検査技師の配置
輸血用血液製剤、アルブミン製剤(I)の一元管理(輸血部門)
輸血検査を常時実施できる体制の構築
5 輸血療法委員会の設置(年6回以上開催)と血液製剤使用
適正化の取り組み
6 輸血前後の感染症検査の実施または輸血前の検体保存
7 「輸血療法の実施に関する指針」及び「血液製剤の使用指
針」の遵守
8 FFP/RCC比<0.54 (I), <0.27(II)
9 Alb/RCC比<2.0
34
2014/3/18
血液製剤の安全性の向上及び安定供給の確保
に関する基本的な方針
(平成25年7月30日改正)
• 「血液製剤の販売価格」の項目が追加された。
• 輸血用血液製剤;コスト削減に努め、少しでも安価な製剤を
供給できるよう、国及び日本赤十字社が努力する必要があ
る。
• 血漿分画製剤;国内の献血由来の製剤の販売量を伸ばす
ためには、輸入製剤と価格競争ができるよう努力する必要
がある。そのためには、原料血漿価格の低減、製造コスト
の削減、製造規模の拡大などに取り組むことが重要である。
岩手県合同輸血療法委員会(2013.10.19)
35
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