...

平成25年度事業報告書 - 日本ベアリング工業会

by user

on
Category: Documents
12

views

Report

Comments

Transcript

平成25年度事業報告書 - 日本ベアリング工業会
平成25年度事業報告書
自:平成25年4月1日
至:平成26年3月31日
業界を取り巻く環境が急速に変化している中で、コンプライアンスを確保しつつ、公益
を目的とする業界団体としての機能を発揮し、我が国を基盤とするベアリング産業が重要
な機械要素産業として更なる発達を遂げ、我が国産業・経済の発展に資するため、諸般の
公益的事業の企画・実施・レビューを行った。
当工業会は、①平成23年7月の競争法に係る調査とこれに連なるその後の展開の中に
あり、②加えて平成26年1月に同様に競争法に係る別途の新たな調査が開始されるとい
う状況にも直面している。これら調査等は、いずれも一部会員会社に対するものであり、
工業会の活動自体に対する嫌疑によるものではないと想定されるものの、その動向が依然
不透明な中、これら調査をはじめとする諸般の状況から、本年度も引き続き、多大な制約
下において事業運営を行ってきた。
こうした中にあるが、当工業会の目的が公益的事業の推進にある以上、こうした制約を
乗り越えつつ、公益的事業を的確に遂行していくことが責務であり、平成24年度の創立
総会で導入した「当面の方針」をステップ・アップしつつ、これに基づき運営を進めた。
即ち、引き続き「暫定期間」と位置付け、①コンプライアンスの確保、②公益的事業へ
の純化 という2本の理念のもとで、「段階的アプローチ」で工業会の改革及び運営の工
夫・刷新等を漸次進めるとともに、各種公益的事業を推進した。また、依然として厳しい
経済情勢にあることに鑑み、可能な節減に努めつつ、必要な項目には重点的に予算を配分
するなどして、効率的な予算運営と事業推進を行った。本年度のこうした活動は、「当面
の方針」で目指す「新生・日本ベアリング工業会」としての出帆への第一歩であった。
(1)適正な運営とコンプライアンスの確保
工業会・会員が一体となってコンプライアンスの確保を図るため、法令・定款に従い、
due process に沿った透明性ある適正な運営に努めた。
①一般社団法人としての適正な運営の推進
一般社団法人に移行後、「公益目的支出計画」の実施が平成24年度をもって完了し、
内閣府から平成25年10月に「公益目的支出計画の実施完了の確認書」を受領した。こ
れにより、内閣府の移行期における特別の監督から離れることとなり、真の意味で自主的
な運営と活動ができる一般社団法人となった。
一般社団法人として、この根拠法たる「法人法」(※)における組織の運営・管理等の
内部統治をはじめとするコンプライアンス確保を徹底させ、透明性、due process 確保の基
盤の上で、適正な運営に努めた。
(※)正式名称は「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」
1
②顧問弁護士によるリーガル・チェック
工業会に設置されたアンチトラストに係る顧問弁護士への委託を継続し、適切な指導を
受けた。会合の内容等を踏まえ、必要に応じ、競争法上の懸念が生じないよう顧問弁護士
によるモニタリング(資料や議事録のリーガル・チェック、会合における立会い等)を広
範に実施した。
こうした弁護士とのやり取りを重ねる中で、当工業会自身のリーガル・マナーを向上さ
せ た 。 即 ち 、 弁護士のモニタリング等に係る意見等を咀嚼し、工業会職員の意識と能力
(知識・経験等)を高め、リーガル・マインドを基礎とした運営手法のノウハウの構築・熟
度向上に努めた。これらは、コンプライアンスを保持し、近年急速に変化してきた競争法を
含む経済社会環境に即応した運営を可能とするものであり、新時代の業界団体の基盤となる
ものである。
また、その一環として、一部の簡便で定型的なものについては、弁護士の指導のもと、手
続きの簡略化も図るなど、コンプライアンスの保持と効率性とを踏まえたリーガル・マナー
を構築し実践した。
(2)公益的事業への純化とその推進
従前にも増して公益的事業に軸足を置き、公益的事業のうちでも、政府の政策とも深く
関わるISO・JISの標準化などのコア事業に絞ってその最大限の実施に努めた。
①標準化(規格化)関連事業
・ISOへの積極的な国際的貢献
特に、ISO/TC4/SC(作業委員会)幹事国としての責務の遂行
・JIS及びBASへの貢献等
②国際関連事業
・米国等との通商問題への対応(サンセット・レビューへの対応、ゼロイング、
バード修正条項等における政府への協力など)
・不正商品対策への対応(偽造品対策等)
・WBA(世界ベアリング協会)への対応(偽造品対策等)
③地球環境問題への対応(CO2 削減に係る「自主行動計画」、「低炭素社会実行計
画」への対応等)
(3)改革の推進と運営の工夫
本年度においては、昨年度と同様、「段階的アプローチ」に立脚し、可能で適切な場合
には漸次工業会の改革を推し進めるとともに、運営の工夫に努めた。
①改革の推進
主な改革としては、以下を行った。その際、局所的対処療法でなく「包括的」な変革に
つながることに留意した。特に、以下のc.d.は時代に即応した工業会の体制整備の一
2
環でもある。
a.事業担当制への移行
平成23年7月の競争法に係る一部会員会社への調査以降、大きな制約のもと「会長
ローテーションを基軸とした体制」(会長ローテーション、これにリンクした部会制度な
ど)は事実上廃止となっていたが、現状を「暫定期間」と位置づけ、この間、事業・組織
のスリム化など改革を進行している中、本年度は、その改革の一環として、部会制に代わ
り、デファクトである事業担当制への移行を決定した(平成26年3月理事会承認)。
上記の決定の理由は次のとおりである。即ち、従来の部会制ではその中核の4部会につ
いて2年ごとの機械的・輪番制が主軸であった。しかし、近年、当工業会の事業は国際
化・高度化を加速させてきており、機械的なローテーションで対応できるような状況には
ない。こうしたことなどに鑑み、時代に合わせて、事業を中心的に支えて頂く担当につい
ての仕組みを見直さざるを得ず、「適材適所」による組織体制を導入する必要があった。
この事業担当は、継続性、安定性等をもってある程度の期間担当し事業を担って頂く必要
があるが、他方、固定させるのではなく、適宜会員間で交替が図られることを前提とする。
こうした交替によって会員間における公益的事業に係る貢献、能力等が均霑化されること
が確保される。その変更に関しては、必要に応じ、理事会で決定することとした。現下の
担当については、現行の事業担当を当面継続することとした。
[現行の事業担当]
技術標準化:日本精工、通商&安全保障:ジェイテクト、環境:不二越、WBA統計:
NTN、不正商品(偽造品):権利者(大手4社等)、全体は日本精工、WBA:日本
代表は近藤副会長と大塚理事(平成26年9月以降も継続)
事業担当制へ移行したことに伴い、各部会は廃止とした。但し、技術と国際について
は、その必要性から中間評議機関に発展的解消とした。便宜性を考慮して、新設の2つの
中間評議機関の名称は「技術部会」,「国際部会」のままとした。その部会委員は中間評
議機関の機能に則したレベルの者が登録されている。部会長の委嘱はすべて廃止した。各
種の事業を担う専門委員会については、引き続き、公益的事業に則して必要なものは開催
し事業を推進し、他方必要性のないものは活動を停止させてきた。
これに関連し、各種委員の登録については、従来の定期的・全社一斉の委員登録更新シ
ステムは停止されていたが、今後はこれを行わないこととし、委員の変更が生じた場合、
その都度、会員各社から工業会事務局に届け出を提出するという、デファクトとなってい
る現行システムに置きかえることとした。なお、原則、届け出の受領をもって、委員の委
嘱が行われたものとすることとした(平成25年11月理事会承認)。
b.退任役員への記念品贈呈の廃止
これまで、退任役員への記念品贈呈について「退任役員記念品贈呈基準」に基づき
3
実施してきたが、この記念品の贈呈は、原則「役員は無報酬」との定款の規定などを勘案
し、退任役員への記念品贈呈は廃止することとし、これに伴い「退任役員記念品贈呈基
準」も廃止した。
c.「改正高年齢者雇用安定法」に基づく工業会の就業規則の一部改正
「高年齢者雇用安定法」が改正されたことに伴い、職員の定年後の継続雇用に関して、
上部団体である日本機械工業連合会のそれとの平仄を合わせるなど適切性を確保しつつ、
平成37年までの経過措置をとり、継続雇用の対象者を限定する基準を採用するなど、当
工業会の就業規則の一部改正を行った。
d.新規技術職員の採用
平成23年10月にSC12幹事国引受け以来、幹事国業務の職責を果たすための体制
整備が焦眉の急となっていた。これは、業務負担の問題に加え、立場の面での問題もあっ
たからである。即ち、SC12の幹事国引受けにより、標準化業務は、①ISO 事業、JIS
事業、BAS 事業の国内事務局業務及び②ISO/TC4/SC12 の幹事国業務となったが、それら
の業務を実質1名の職員で対応する状況にあった。しかしながら、国際標準化においては、
「事務局の担当職員」(日本としての立場)と「国際幹事」(国際的中立の立場)の兼任
は適切でなく、これは経済産業省及び日本規格協会からの指導でもあった。当工業会は、
一時的な対応(国際会議への対応等)として、平成24年1月より1名派遣職員を雇用し
たが、平成25年9月末に予定外に退職することとなったことを契機として、将来を通じ
て標準化事業を担う人材として正職員1名を雇用する人員補充方針が理事会で承認された。
これを受けて、平成25年9月よりハローワークにて、また平成26年1月よりこれと並
行して、リクナビNEXT(民間求人募集サービス)にて募集を行った。多数の応募があ
り、選考の結果、平成26年4月に1名を採用した。
国内委員会の事務局業務を担当し、さらに国際幹事を輩出している当工業会としては、本
来「国際幹事室」設置が望ましいとの経済産業省等の指導もある。これは今後の検討課題で
あるが、まずはその第一歩として人員補充による体制整備を進めた。
e.税制改正に対する要望スキームの改善
「Ⅵ.1.調査企画に関する事業」の「「平成26年度税制改正」に対する要望及び今
後の対応」に掲載。
②運営の工夫
主な工夫としては、以下を行った。
a.総務連絡会
総務連絡会は、昨年度、理事会メンバー全員の総務部長クラスを構成員とする改組を行っ
4
ている。その役割は、ア.「理事会をはじめとする工業会活動のフォローと理事・監事会社
における会社内部での支援(工業会の事業の動向、スケジュールなどの情報共有等)」、イ.
「規定の委員会で対応できない(受皿のない)案件の第1義的相談窓口」、ウ.「工業会内
部でのパブコメが行われた場合の紹介と説明」などである。即ち、工業会の公益的事業及び
改革等工業会のあり方に関する検討と進捗に関して、理解と協力を求める機関として再生し
たものである。
今年度は、第 2 回、第 3 回の総務連絡会を開催した。議題は次の通り。
ⅰ.第 2 回総務連絡会(平成 25 年 7 月 11 日)
平成 24 年度事業報告及び平成 25 年度事業計画の説明
ⅱ.第 3 回総務連絡会(平成 26 年 2 月 6 日)
理事会・参与会(平成 25 年 11 月 26 日開催)及び理事会(平成 26 年 1 月 23 日開
催)の説明
b.工業会資金ショート回避スキームの導入
第 3 回サンセット・レビューの共通弁護士等への支払に関して、工業会の資金がショート
しそうな場合には、当工業会が弁護士等に支払をする前に各社から工業会に入金していただ
くようにするためのスキームの検討を行うことについて理事会において承認を得た。これを
受けて、概算請求等(注)によるスキームについて、関係委員会委員等の了解が得られ、そ
のスキームの導入を行った(平成25年11月理事会承認、平成26年1月理事会報告)。
また、実際に平成26年4月の支払において、本スキームを実施した。
本スキーム導入の報告があった1月理事会において、将来、本案件以外にも同様の事案が
発生した場合には、その都度、関係者に相談しながら適用していくことを併せて了承いただ
いた。
(注)概算請求等とは、海外への送金で、会員の分担金で賄う費用が多額の場合、工業会が分担金を
いただく前に先方に支出すると、工業会の資金がショートする可能性があるので、工業会が支払う前
に各社から分担金を工業会に納入いただくため、為替レートが確定しない段階で、各社に概算請求し、
その支払期日は、先方の支払期日よりも早く設定する。概算で納入いただいた分担金は、工業会が先
方に支払いをした際に実際の支払レートで計算した金額で精算するというスキーム。
c.リーガル・マインドを基盤とした運営手法の工夫
公益的事業の推進にあたっては、その公益的目的の範囲に限定して㋑工業会と会員間に
おけるコミュニケーションと、㋺総会、理事会のほか、各種の専門委員会における審議等
が円滑・適切に行われることが必要である。しかしながら、平成23年7月以降の制約下
のもとで、一部において、これらについて支障が発生している。これを補うため、昨年度
に引き続き、コミュニケーション及び審議手法等に関し運営手法(マナー)の工夫を行っ
た。
5
こうした工夫は、専門委員の会合参加の促進をはじめとする現下の制約への対処であっ
たばかりでなく、近年の競争法やCSRなどに係る経済社会の環境変化への適合という新
時代への対応でもあった。
主な具体例は以下のとおり。
ア.工業会がeメール・電話等を活用し、会員間のコミュニケーションのハブ機能を担
うこと
イ.事業の意義等について理解を得るため、また工業会活動への会員の参画意識の維持
など意識改革に資するため、専務理事、事務局職員が、eメール・電話による緊密な連
絡に加え、会員のもとへの個別訪問(面談)を励行すること
ウ.意思決定に係る事案については、(ⅰ)法令に基づく「書面審議」の活用や(ⅱ)
メールによる緊急の意見聴取・了解の確認手続きを実施すること
上記ウ.(ⅱ)については、平成24年11月理事会において、理事会の意思形成手
続きとして「理事承認案件の確定手続き」が包括的に承認されている。この内容は次の
とおり。
a.時間的制約等のため、理事会の会合の場や書面等による決議ではなく、eメールに
より理事・監事の全員に決議の目的である事項を提案し、理事・監事の全員から承
認を頂いた場合、その決議事項に係る業務執行を行う。
b.但し、この場合、直近の理事会における当該事実の報告(eメールによる決議の目
的である事項の提案に対して、理事・監事の全員から承認を頂いた旨の報告)を
もって、理事・監事の全員の承認の意思確認が完了し、これをもって理事会におけ
る当該決議事項の承認(決議)が確定されたものとする。
本年度も本手続きを必要に応じ実施し、理事会の意思形成過程の効率化を図った。
本年度における事業の概要は次のⅠ.~Ⅵ.の通りである。
Ⅰ.総 会
1.第3回総会(平成25年度定時総会)
日
時
平成25年6月4日(火曜)
午後3時~3時50分
場
所
東京都港区芝公園3丁目5番8号
機械振興会館(6D-1・2会議室(6階))
会員の出席状況等
議決権のある会員総数
36名
総会員の議決権の数
36個
出席会員数 (委任状による者(19名)を含む)
36名
この議決権の総数
36個
6
議事の経過の要領及びその結果
定款に従い、代表理事 会長兼専務理事の宮下英治氏が議長となり、上記のとおり会
員の出席があり、議案の決議に必要な会員の出席が確保されているため、本定時総会は、
定款に基づき、成立した旨、議場に報告が行われた。
その後、宮下英治議長より、本定時総会を開催するにあたり、①来賓の紹介、②コン
プライアンス確保のため顧問弁護士が立会われていること、③コンプライアンスの観点
から中座は原則控えて頂くこと などについて発言が行われた後、議長挨拶がなされた。
次に、宮本 聡 経済産業省 製造産業局 審議官から来賓ご挨拶、大森裕一郎弁護士よ
り独占禁止法の遵守に関する注意事項について説明があり、全出席者がこれを遵守する
ことを確約されたい旨、述べられ、議事に入った。
なお、下記の第1号議案から第3号議案の審議を行い、満場異議なくこれを承認可決
した。また、第4号議案については宮下英治代表理事 会長兼専務理事から報告が行わ
れた。
第1号議案
平成24年度事業報告書、貸借対照表及び正味財産増減計算書等の承認の件
第2号議案
平成25年度事業計画書及び収支予算書の承認の件
第3号議案
平成25年度会費の承認の件
第4号議案
公益目的支出計画実施報告書の報告の件
2.第4回総会(書面による決議)
宮下英治代表理事 会長兼専務理事より、井川正治 氏(株式会社ジェイテクト 取締役
副会長)の理事辞任(平成25年7月22日付け)に伴う、後任の理事に関して、安形哲
夫 氏(株式会社ジェイテクト 取締役社長)を選任することについて、総会の承認を得
るべく、すべての会員代表者に対して、書面 (平25ベア工総務第13号文書) をもって提
案が行われた。
その結果、会員代表者の全員から、上記の提案につき書面で同意する旨の回答があった
ため、定款の規定に基づき、上記提案については可決する旨の総会の決議(平成25年
9月10日付け)があったものとみなされた。
Ⅱ.理事会
理事会は工業会の業務の執行等に係る重要事項の審議、決議等を行っており、理事本人
による過半数の出席が必要であるとの定足数の要件がある。平成23年7月以降の諸般の
状況等によりこの定足数の確保について不確実性が高まったこと、及び事業運営の合理化
等を勘案し、一般社団法人に係る法令・定款も踏まえ、年間の定例面談理事会の開催回数
が従来の6回から4回(1月、3月、6月、11月)へ既に変更されている。これに沿っ
た形で確実に理事会が開催できるよう理事会の開催に努め、実施した。同時に、書面によ
る理事会など、法令に従って、面談による以外の可能な手法も駆使し、合理的な運営に努
7
めた。
なお、各理事会の主要議題は、次の通りである。
第7回理事会(書面による決議)(平成25年5月13日)
1.平成24年度の決算書及び附属明細書
2.平成24年度の事業報告書及び附属明細書
3.公益目的支出計画実施報告書
第8回理事会(平成25年6月4日)
1.「改正高年齢者雇用安定法」に基づく工業会の就業規則の一部改正
2.技術部会報告
3.国際部会報告及び国際関係の取り組み
4.「2012年度自主行動計画評価・検証結果及び今後の課題等(案)」に対する
パブリックコメントの提出
5.その他
・全日本実業団軸受支部野球大会の結果と平成26年度大会の会員会社の参加検討結果
・部会長の委嘱等
第9回理事会(平成25年11月26日)
1.人事異動(理事、参与、部会長、顧問)
2.退任役員への記念品贈呈の廃止
3.消費税率引上げに伴う来年度会費への影響
4.公益目的支出計画の実施完了
5.平成26年の理事会等の開催日程等
6.地球温暖化対策の取り組みと今後の対応等
7.ISO関連等の取り組み
8.国際関係の取り組み
9.中小企業振興の取り組み
10.平成26年度税制改正に対する支持表明の実施
11.部会委員と専門委員会委員の登録更新(事務手続きマター)
第10回理事会(平成26年1月23日)
1.平成26年11月度理事会・参与会等の開催日程等
2.技術部会報告
3.国際関係の取り組み(「支払スキーム」を含む)
4.中小企業振興の取り組み(中小企業講演会の開催など)
8
5.工業会のあり方―6月総会に向けて(討議)
第11回理事会(平成26年3月25日)
1.人事異動(理事及び参与)の報告
2.平成27年1月理事会等の開催日程等
3.第5回総会(平成26年度定時総会)の議案の事前審議
(1)総会次第
(2)平成25年度収支決算見込み
(3)平成26年度事業計画書、収支予算書及び会費(「入会金及び通常会費負担規約」の
一部改訂を含む)
(4)定款の変更の概要
(5)役員(理事及び監事)の選任の概要
4.第5回総会(平成26年度定時総会)終了後に開催される理事会の議案の事前審議
・会長、副会長、専務理事の選定と参与の委嘱
5.第5回総会(平成26年度定時総会)の招集について
(1)総会の日時及び場所
(2)総会の目的である事項があるときは、当該事項(議案)
(3)定款の変更の概要
(4)役員(理事及び監事)の選任の概要
6.事業担当制への移行
7.「ベアリング工業における環境自主行動計画フォローアップ結果」に関する経済産業省
等のワーキング・グループへの報告及び「低炭素社会実行計画」への参加の承認
8.国際関係の取り組み
Ⅲ.参与会
参与会は、一般社団法人への移行(平成24年4月1日付け)に伴い、従来の「評議員
会」を「参与会」に名称変更したものである。
参与会は、従来の評議員会と同様、年度の中間(11月)において開催され、専務理事
より参与に対し、当該年度の事業について中間報告を行い、参与の意見を伺う機関である。
本年度は、11月26日に開催され、宮下専務理事より、平成25年度のそれまでの事
業報告として、上記第9回理事会の各議題の内容等について説明が行われた。
Ⅳ.会員及び役員等の異動
1.会員代表者の異動
平成25年6月21日
宇都宮機器株式会社
9
平成25年7月12日
新代表者
代表取締役社長
畑田芳則 氏
旧代表者
代表取締役社長
熊木
修 氏
クロイドン株式会社
(クロイドン株式会社は平成25年10月1日に社名を株式会社エクセディ福島に改称)
平成25年7月22日
平成26年1月6日
平成26年2月19日
平成26年2月19日
新代表者
代表取締役社長
旧代表者
顧問
大川祥平 氏
株式会社ジェイテクト
新代表者
代表取締役社長
旧代表者
代表取締役副会長
井川正治 氏
新代表者
代表取締役社長
山中和彦 氏
旧代表者
代表取締役社長
辻田定夫 氏
株式会社不二越
新代表者
常務取締役
林
旧代表者
常務取締役
佐々木
秀憲 氏
誠 氏
平和発條株式会社
新代表者
代表取締役社長
濱中
旧代表者
代表取締役社長
熊谷保利 氏
平成25年7月22日
井川正治 氏
理事辞任
平成25年9月10日
安形哲夫 氏
理事就任
平成26年2月19日
佐々木
誠 氏
理事辞任
3.参与の異動
平成25年7月12日
安形哲夫 氏
株式会社NTN金剛製作所
2.理事の異動
平成25年6月21日
田中俊幸 氏
熊木
修 氏
参与辞任
畑田芳則 氏
参与就任
大川祥平 氏
参与辞任
田中俊幸 氏
参与就任
10
豊 氏
平成26年2月21日
辻田定夫 氏
参与辞任
山中和彦 氏
参与就任
熊谷保利 氏
参与辞任
濱中
豊 氏
参与就任
平成25年5月24日
小林義弘 氏
顧問退任
平成25年7月18日
田紘司 氏
顧問退任
平成25年5月24日
松原正英 氏
政策委員退任
平成25年5月24日
本間正志 氏
政策委員退任
平成25年5月24日
大村秀一 氏
政策委員退任
平成25年5月24日
宮下英治 氏
政策委員退任
平成26年3月7日
4.顧問の異動
5.政策委員の異動
(政策委員については、上記4名の任期満了による退任をもって、該当者はなしとなった。)
Ⅴ.総務・管理関係
総務・管理業務における重要なものは、次のとおり。
1.一般社団法人への移行の完了
一般社団法人への移行については、以下の手順を経て、平成25年10月の「公益目的
支出計画の実施完了の確認書」の受領をもって(下記④.)移行に関する手続きはすべて
終了し、当工業会の一般社団法人への移行が完全に終了した。今後は準則主義に基づく法
人法にのみ従った「自主的運営」を行っていくこととなった。
①移行登記
平成 24 年 4 月 1 日に一般社団法人への移行登記を行い、一般社団法人に移行した。
②移行登記完了届
平成 24 年 4 月 16 日に移行登記完了届を内閣府へ提出した。
③公益目的財産額の確定の手続き
平成 24 年 5 月 28 日に公益目的財産額の確定に係る申請を行った。
上記手続きにより、内閣府から同年 7 月 2 日付で、公益目的財産額の確定について通知
があった(確定した公益目的財産額:17,004,611 円、公益目的支出計画の実施期間1年間
(即ち平成 24 年度の 1 年間で完了))。
④「公益目的支出計画」の実施完了確認請求
平成 25 年 9 月 9 日に内閣府に対し「公益目的支出計画」の実施が完了したことの確
認請求を行った結果、内閣府から「公益目的支出計画の実施完了の確認書」が 10 月 23
11
日付で工業会に送付された。
2.各種寄付要請への対応
寄付への対応は、昨年度から、当工業会の due process の確保の観点から、理事会、総会
で検討し、拠出する場合は、当工業会の予算に計上することとし、平成25年度については、
継続4件(注)について拠出をした。
(注)「スポーツ振興資金財団財界募金(80 万円)」「警察協会救済援護事業(10 万円)」「産
業廃棄物適正処理センター基金(11.2 万円)」「経済広報センター会費(会費形態であるが
寄付の位置づけ)55.2 万円」
なお、上記継続4件については、平成26年度予算に計上した。
3.工業会事務局の防災対策の推進
事業継続(BCP対策)の観点を含め、事務局において次の防災対策を行った。
①パソコン等の転倒防止対策(書庫の転倒防止対策は平成23年に対応済み)
②帰宅困難者対策として水、食糧、災害用寝袋等の確保
③ファイルサーバーのバックアップデータ等の耐火金庫への保管(なお、震災等が発生し
事務所が使えなくなった場合でも、事務処理が可能なように、ファイルサーバーのクラ
ウド化などを将来的に検討)
12
Ⅵ.事業項目別報告
1.調査企画に関する事業
2.ISO/TC4への積極的な貢献とベアリングに関
する規格、基準の作成及び普及に関する事業
3.海外市場施策及び国際交流に関する事業
4.生産及び経営の高度化に関する事業
5.広報に関する事業
13
1.調査企画に関する事業
グローバル化の進展など当業界を取り巻く環境が急速に変化している中で、内外の関連情
報を収集し、またその一環として経済産業省等の政府機関、経済諸団体及び関連業界との意
見交換等を深めた。これらを踏まえ、我が国を基盤とするベアリング産業が、重要な機械要
素産業として、その技術力の基礎のもと、更なる発展を遂げ、我が国産業の発展に資すると
の目的をもった公益的事業の推進のため、諸施策を企画・検討し、成案を得たものは実施し
た。
(1)経済諸団体等との意見交換等
日本経済団体連合会、日本機械工業連合会、経済産業調査会、経済産業統計協会等におけ
る各種会議への参加などにより、経済諸団体や関連業界との意見交換・情報収集等を進めた。
こうして得た情報は、工業会の各種事業の企画、実施に反映された。
(2)政府との情報交換と協力
経済産業省等の関係政府機関に対して、標準化事業、国際関連事業、地球環境問題への対
応、中小企業振興など、当工業会の事業全般にわたり、情報提供、要望をはじめとする情報
交換と各種の協力を行った。特に、経済産業省の業担当課(製造産業局 産業機械課)や事
業関係課(通商政策局 通商機構部、産業技術環境局 基準認証ユニット 産業基盤標準化推
進室、製造産業局 模倣品対策室等)に対して、最新の事業内容、要望等について説明し情
報交換を密にするとともに、ベアリング業界への一層の理解と認識を深めていただいた。ま
た、上海におけるIPGベアリング・ワーキング・グループの場を含め、JETRO 等政府関
係機関とも同様に連絡を密にした。こうした中で、理事会における産業機械課長による施策
説明をはじめ、経済産業省等からの多岐にわたる情報提供も受けた。更に、以下の①の実態
調査に協力するとともに、②及び③の施策等の周知徹底に努め、④の通り、日本機械工業連
合会が政府等に要望する平成26年度の税制改正要望に対して支持表明を行った。
①ベアリングの業種概況等の調査への協力
経済産業省の要請に基づき、生産及び受注等の動向、前年度の業況、国内及び海外の主要
メーカー各社の業況、業界の課題と今後の対応、海外投資の状況などについて、調査を実施
するなどして協力を行った。
②経済産業省からの情報の会員への周知
経済産業省からの情報をメール等にて、会員各社へ周知した。
・「産学共同実用化開発事業」の新規課題募集について(H25.4.4)
・地域中小企業イノベーション創出補助事業の公募について(H25.4.24)
14
・平成 25 年度ものづくり中小企業連携支援事業(戦略的基盤技術高度化支援事業
通称
「サポイン」)の公募開始について(H25.4.24)
・円高・エネルギー制約対策のための先端設備等投資促進事業(H25.5.2)
・円高・エネルギー制約対策のための先端設備等投資促進事業の二次公募について
(H25.5.8)
・省エネ補助金の公募開始予告について(H25.5.20)
・中小企業庁の補助金等の御紹介(H25.5.23)
・生産設備保有期間等に関するアンケート調査結果について(H25.6.3)
・ものづくり中小企業・小規模事業者試作開発等支援補助金(第1次募集)の補助事業者採
択結果及び第2次募集について(H25.6.3)
・ロボット介護機器開発・導入促進事業 2 次公募について(H25.6.4)
・「先端省エネルギー等部素材開発事業」の公募について(H25.6.5)
・「日本再興戦略」に係る外部向け説明資料について(H25.6.24)
・【中小企業向け】海外展開のための F/S 支援事業の公募について(H25.8.19)
・中堅・中小・小規模事業者新興国進出支援(専門家派遣事業)について(H25.8.22)
・セーフティネット保証5号の指定業種について(H25.9.6)
・消費税転嫁対策特別講習会の開催について(H25.10.8)
・【中小企業関連】関係施策紹介や開催案内について(H25.10.31)
・平成25年度冬期の節電への御協力のお願い(H25.11.20)
・消費税率の引き上げに伴う消費税の円滑かつ適正な転嫁について(H25.11.21)
・【中小企業関連】関係施策紹介や開催案内について(H25.12.5)
・国家公務員倫理法・倫理規定に関する周知(H25.12.5)
・競争力強化法等に関する地方説明会について(H25.12.6)
・【関東局・近畿局】競争力強化法等に関する地方説明会(追加開催)について
(H25.12.11)
・【中小企業関連】関係施策紹介や開催案内について(H25.12.12)
・平成 25 年度経済産業省関連補正予算案の概要について(H25.12.17)
・中小企業信用保険法の規定に基づく業種指定の延長について(H25.12.19)
・【中小企業関連】関係施策紹介や開催案内について(H26.1.9)
・産業競争力強化法の施行日は1月20日で決定(H26.1.15)
・【ご意見伺い(〆切 1/24)】省エネ補助金の制度改善等について(H26.1.16)
・消費税の円滑かつ適正な転嫁の徹底について(H26.1.21)
・【中小企業関連】関係施策紹介や開催案内について(H26.1.23)
・特定ものづくり基盤技術高度化指針の改正について(H26.2.13)
・中小企業・小規模事業者ものづくり・商業・サービス革新事業(ものづくり、商業・サー
ビス)の公募開始について(H26.2.17)
15
・【中小企業関連】関係施策紹介や開催案内について(H26.2.24)
・東日本大震災追悼式当日の弔意表明について(H26.2.27)
・消費税転嫁対策強化月間について(H26.3.18)
③ポスターの配布
・「内閣官房拉致問題対策本部事務局」から拉致問題に係る国民の理解及び拉致問題解決の
ための国内世論の喚起という趣旨で、ポスターの配布依頼があり、全会員に同ポスターを配
布した。(平成 25 年 12 月 17 日配付)
・「公正取引委員会」及び「中小企業庁」から消費税転嫁対策に係るポスターの配布依頼が
あり、全会員に同ポスターを配布した。(平成 26 年 3 月 26 日発送)
④「平成 26 年度税制改正」に対する要望及び今後の対応
a.「税制改正に対する機械業界の要望」への支持表明
税制改正に対する対応については、昨年度から(即ち、平成 26 年度の税制改正要望か
ら)、「(一社)日本機械工業連合会」が策定し与党等に要望する「税制改正に対する機
械業界の要望」に対して支持表明することで、同連合会に協力を行うという、新しい税制
改正要望過程への参画のスキームに移行することとなった。
上記スキームに則り、本年度は、同連合会の「平成 26 年度税制改正に対する機械業界
の要望」に対して、平成 25 年 9 月 10 日に支持表明を行った。
本支持表明は、機械産業を代表する同連合会の税制改正に向けての活動を支援すること
にあったが、これは、当工業会として同要望の適否に関して「早い段階からの認識の明確
化」をさせておき、同連合会等からの共同要望書への登録要請などにも機敏に対応できる
スキームを内包していたものである。
(平成 26 年度税制改正で実現した改正のポイント)
・生産性向上を促す設備等投資促進税制の創設
・研究開発税制の拡充・延長
など
b.「地球温暖化対策税」の使途拡大等に反対する共同要望書へ賛同団体として登録
上記a.の支持表明後、平成 26 年 11 月 26 日に、自民党内の税制改正に係る議論の中
で、地球温暖化対策税の使途拡大の議論が起きたため、同連合会から、「地球温暖化対策
税」の使途拡大に反対するため、本件に反対する共同要望書へ賛同団体としての登録要請
が行われた。
本件は、緊急を要することから、同要望内容については、上記支持表明を行った要望の
内容の範疇であったため、当工業会は「地球温暖化対策税」の使途拡大等に反対する共同
要望書へ直ちに賛同団体として登録を行った。
同連合会が上記共同要望書により、自民党等に要望活動を行っていたところ、12 月 12
16
日に決定された与党の平成26年度税制改正大綱において森林吸収源対策に本対策税を使
用する旨の記載は回避された。
c.「税制改正要望」のスキームの改善
来年度以降の税制改正要望に係る対応については、手続きの冗長性排除のため、特別の
支持表明という形式行為は行わず、日本機械工業連合会の通常の意思決定の場に参画する
ことにより対応することとした。
この際、上記a.にある「早い段階からの認識の明確化」は、変わることなく実施する
こととし、同連合会等からの賛同団体登録要請等の緊急に対応すべき事案があった場合に
おいて、迅速かつ的確に対応しうる体制をとることとした。
(3)統計調査に関する事業
経済産業省等の政府統計におけるデータ等により、ベアリング産業に関する統計を作成
し、基礎資料として工業会活動に活用するとともに、機関誌「ベアリング」及びホーム
ページにて発表し情報提供した。
① 生産について
平成 25 年 4 月から平成 26 年 3 月までの生産(経済産業省「機械統計」)は、金額
6,776 億 600 万円、対前年同期比 104.4%、数量 29 億 1,989 万個、同 104.4%、重量 58 万
トン、同 110.6%となった。
② 販売について
平成 25 年 4 月から平成 26 年 3 月までの販売(経済産業省「機械統計」)は、金額
6,888 億 4,600 万円、対前年同期比 103.1%、数量 28 億 2,254 万個、同 103.2%となった。
③ 在庫について
平成 26 年 3 月の在庫率(在庫/販売)は 73.5%となっている。
④ 受注について
平成 25 年 4 月から平成 26 年 3 月までの受注金額(内閣府「機械受注統計」)は、
5,951 億 7,900 万円、対前年同期比 103.2%となった。
受注の内訳をみると、内需は 3,821 億 7,800 万円、対前年同期比 99.4%、外需は 2,130
億 100 万円、同 110.8%となった。
また、平成 25 年 4 月から平成 26 年 3 月までの内需を主要需要部門別にみると、自動車
業界からの受注は、対前年同期比 100.6%、一般機械業界は同 92.3%、電気機械業界は同
99.5%となった。
17
⑤短期的な生産の見通し
生産見通しについては、平成 25 年 3 月の理事会において、コンプライアンス確保及び
当該事業の望ましい役割(目的)の両観点を踏まえた検討が必要な状況にあるので、当分
の間策定を見合わせることとした。
従って、平成 26 年度の生産見通しについては、策定を見合わせた。
18
2.ISO/TC 4 への積極的な貢献とベアリングに関する規格、基準の作成
及び普及に関する事業
(1) ISO 関連
ISO/TC 4(転がり軸受専門委員会)の下には、現在 8 つの SC(Subcommittee=分科委員
会)があり、またこの TC 4 及び SC の委員会下には、各国からの推薦による専門家から構
成される WG(作業グループ)が 14 グループ(諮問グループを含む)あり、割り当てられ
た特定業務に当たっている。現在、TC 4 に参加するメンバー国は、P メンバー(積極的参
加国)が 21 ヶ国、O メンバー(オブザーバ)が 22 ヶ国であり、総計で 43 ヶ国となる。平
成 26 年 3 月末における ISO/TC 4 の構成は付表 1(本節末尾参照)の通りである。
当工業会は、ベアリングに関する国際規格の制定・改正につき、ISO の日本代表組織であ
る JISC※ のベアリング部門の役割を担う ISO 対策転がり軸受委員会への協力などを通じて、
関係する業界とも協力し、また学識経験者などの意見を聞きつつ、ISO/TC 4 及びその下の
SC の審議に積極的に参画する。これにより、標準化を促進し、国内外の産業の発展に寄与
している。また、ISO/CS(中央事務局)により日々更新される国際標準化業務のための電
子システムに対応して、国内審議体制、投票体制及び幹事国業務の電子化を推進している。
※
JISC(Japanese Industrial Standards Committee、日本工業標準調査会)は経済産業省に設置されている組織(経
済産業省 産業技術局 基準認証ユニット)で、ISO 及び IEC に対する我が国唯一の会員として、国際規格開発
に参加している。
平成 26 年 3 月末におけるベアリングの ISO 規格数は合計 79 件(追補、技術仕様書及び
技術報告書を含む)あり、そのうち平成 25 年 4 月以降に発行された規格は 5 件である。平
成 26 年 3 月末における新規制定作業中の規格は 5 件、改正作業中の規格が 18 件、定期見直
しの規格が 4 件ある。TC 4 における活動及び個々の規格の進捗状況のうち、主なものは下
記の通りである。
①ISO/TC 4/SC 12 幹事国担当
TC 4 における組織再編検討の結果、2011 年 10 月に、新たな SC(分科委員会)として SC
12(玉軸受)が設置され、その幹事国を日本が担当することが決定された。これを受けて、
日本として幹事国の役割を着実に果たしてきている。
SC 12 幹事国引受けに関する具体的な報告は下記の通りである。
a.TC 4 の概況
ベアリングの国際標準化は、長年欧米企業が国際幹事国を独占してきている。特に、TC 4
幹事国を担当しているスウェーデンにある 1 社は、グローバル企業として海外の子会社を多
く有し、子会社を通して所在する国の投票に影響を与えている。つまり 1 社が数か国の票を
実質的に占有している。
SC 幹事国を担当している国は、今までは、スウェーデンの他、ドイツ、フランス及びア
19
メリカであった。日本が SC の幹事国を担当するのはこれが初めてである。
b.SC 12 幹事国引受までの経緯
2000 年以降、日本が提案したプロジェクトが幹事国対応の遅れから期限切れでキャンセ
ルされるなど、いくつかのプロジェクトで業務停滞が見られた。該当する SC は SC 6、SC 9
及び SC 11 であり、幹事国はいずれもアメリカであった。日本は、2005 年に開催されたワ
シントンでの SC 会議で、問題提起するとともに、幹事国引受けの用意があることを表明し
た。TC 4 議長は日本の TC 4 における標準化活動への貢献を評価していたことも背景にあっ
て、TC 4 組織再編グループが発足し検討が開始された。検討の結果、2007 年 TC 総会(パ
リ)において、アメリカに幹事国降任を促すこととなったが、ABMA の上位組織の ANSI
(米国規格協会)の了承が得られなかった(既存 SC の幹事国の日本への移管の合意はなさ
れなかった)。
別途の解決策を見出すべく、その後も検討が継続され、2009 年 TC 総会(沖縄)において、
SC 12 を新設し日本が幹事国を担当することが提案された。2011 年 6 月にブリュッセルにて
開催された TC 4 総会において、SC 12 の新設及びその幹事国を日本が担当することが決議
された。2011 年 10 月に ISO の上層委員会である ISO/TMB(技術管理評議会)における最
終承認を受け SC 12 は正式に発足し、工業会から輩出された、JISC が任命した国際幹事及
び幹事国が指名した議長が、既にその活動を進めている。
c.SC 12 の概要
SC 12 の業務範囲などは、次のとおりである。
 SC 12 の名称
Ball bearings(玉軸受)
 幹事国
日本(国代表組織:日本工業標準調査会[JISC])
 国際幹事
白木高志(JBIA)
 議長
三木清史(JBIA)
 業務範囲
全ての形式及び寸法の玉軸受の標準化(主要寸法及び公差を含む)
 担当 ISO 規格
付表 2(本節末尾参照)の通り(現在 6 規格)。
d.幹事国担当の意義
SC 12 の管轄規格における“玉軸受”及び“玉”はベアリングで最も基本的かつ代表的な
製品であり、この分野においても高い技術力を持つ日本が担当することは、①世界の軸受産
業の発展に寄与し国際貢献を果たす。②同時に、SC 12 を起点として、長い間、欧米勢が主
体であった TC 4 の標準化活動において、日本がより一層の貢献・関与をすることで、日本
の産業の発展にも寄与する。
e.幹事国業務報告
2013 年 5 月の TC 4 上海会議にて、SC 12 の設置後初めて TC 4 本会議での SC 12 幹事国報
告を行った。
個々の規格については、3 規格が改正作業中である。ISO 3290-1(玉-第 1 部:鋼球)及
び ISO 3290-2(玉-第 2 部:セラミック球)の改正については、2013 年 5 月に ISO/FDIS
20
3290-1 及び-2 の投票が完了したが、欧州意見の一部が未解決であったため、承認条件を満
たさず FDIS(最終国際原案)が否決された。2013 年 5 月の TC 4 上海会議の期間中に、反
対票を投じた欧州の専門家との非公式会合を行った。幹事国として、プロジェクトを DIS
(国際原案)段階に戻し再開する提案を行い承認された。PL(プロジェクトリーダー)を
中心として、エキスパートレベルでの合意形成を行い、2013 年 11 月に ISO/CS へ投票のた
めに DIS 草案を提出し、2014 年 2 月に DIS が ISO/CS より回付された。
ISO 12044(単列アンギュラ玉軸受-外輪正面側の面取寸法)の改正については、2013 年
6 月に ISO/FDIS 12044 の投票が完了したが、欧州意見の一部が未解決であったため、承認
条件を満たさず FDIS が否決された。幹事国として、プロジェクトを DIS 段階に戻し再開す
る提案を行い承認された。PL を中心として、エキスパートレベルでの合意形成を行い、
2013 年 10 月に ISO/CS へ投票のために DIS 草案を提出した。2014 年 2 月に完了した 2 回目
の DIS 投票は、反対なしで 100%承認されたため、FDIS 投票を省略して直接発行へと進め
ることとした。現在、規格の発行待ちである。
f.SC 12 議長の交代及び国際幹事の活動
2011 年 10 月の SC 12 幹事国引受以来、SC 12 議長を務めている三木氏(工業会技術顧
問)より、退任の申し入れがあった。幹事国が任命する次期議長について、工業会にて候補
者(日本精工、現職)を選出し、JISC への推薦を行った(2014 年 1 月理事会承認)。SC 12
議長承認のための委員会投票が TC 4 において 2014 年 2 月に行われた(委員会投票は、4 月
に承認され、2014 年 5 月 19 日付けにて正式に新議長の登録が行われた)。
また、国際幹事については、引き続き白木(工業会職員)が、担当する規格の改正作業の
運営、各国の委員会メンバー及び ISO/CS との調整業務などを経験しながら、ノウハウ等を
蓄積しつつ、当該任務を着実に遂行している。
g.工業会の体制整備
SC 幹事国引受けについては、近年の当工業会の総会等において決定した方針に基づくも
のであり、幹事国業務の職責を果たすための体制整備もその方針に盛り込まれている。これ
は元々実質一名体制であった技術部事務局の体制が、業務負荷の問題に加え、以下のとおり
立場の面での問題もあり、経済産業省及び日本規格協会からその旨の指導も受けていたこと
による。2011 年 10 月の TC 4/SC 12 幹事国引受けの際に、初回会議への緊急対応に迫られ、
臨時に業務補助の派遣職員一名を雇用し急場をしのいだ。しかし、この体制では、業務負荷
への対応が十分でないことに加え、立場の面でも、正職員としては一人三役(①ISO 国際幹
事②ISO 国内事務局担当職員③JIS 及び BAS 担当職員)を担うこととなっており、経済産業
省等からも「国際幹事」(国際的中立の立場)と「国内事務局担当職員」(日本としての立
場)が兼任されていることは適切でないとの指導を受けていた。こうした中、2013 年 8 月
に、派遣職員が 9 月末で予定外に退職することとなったことを契機として、直接雇用の職員
を一名採用する人員補充方針が理事会において承認された。これを受けて 2014 年 4 月に職
員一名を採用した。国内委員会の事務局業務を担当し、さらに国際幹事を輩出している国内
21
審議団体としては、本来「国際幹事室」設置が望ましいとの経済産業省等の指導もあり、こ
れは今後の検討課題であるが、まずはその第一歩として人員補充による体制整備を進めた。
②ISO/TC 4 上海総会
ISO/TC 4 上海会議が 2013 年 5 月 27 日から 31 日にかけて開催された。TC 4 本会議に併せ
て、6 つの SC 会議(SC 4、 SC 5、 SC 7、 SC 8、 SC 9、 SC 11)、2 つの WG 会議(WG
18、SC 4/WG 4)及び 1 つのアドホック会議(SC 8/AHG 1)が開催された。今回の会議にお
いては、SC 4/WG 4(転がり軸受への GPS 適用検討)会議が、2 日半かけて行われ、各国の
専門家により入念な討議が行われた。また、SC 8/AHG 1(ハイブリッド軸受の定格荷重)
についても、正式な WG の発足が決議された。これらのグループの活動を筆頭に、今後も
活発に国際標準化の業務が行われることとなる。当工業会はこれらの会合に積極的に参加し
貢献をした。会議概要は次のとおりである。

開催日程:
2013 年 5 月 27 日(月)~31 日(金)

会議会場:
コートヤード・バイ・マリオット上海浦東

参加総数:
11 か国 61 名(日本の参加 13 名)

会議日程:
5月
会議室 1
5 日間
会議室 2
27 日
(月)
28 日
(火)
①TC 4/SC 4/WG 4
②TC 4/SC 8/AHG 1
(転がり軸受への GPS 適用検討)
(ハイブリッド軸受の定格荷重)
③TC 4/SC 9(円すいころ軸受)
29 日
(水)
④TC 4/SC 4
⑤TC 4/SC 11(リニア軸受)
( 公 差 、 公 差 の 定 義 及 び 記 号 (GPS を 含
む))
⑧TC 4/SC 5
30 日
(木)
31 日
(金)
(針状、円筒及び自動調心ころ軸受)
⑥TC 4/SC 7(球面滑り軸受)
⑦TC 4/WG 18(用語)
⑨TC 4/SC 8(定格荷重及び寿命)
⑩TC 4 本会議
③ISO/TC 4(転がり軸受)関連
a.改正作業中の規格
○ISO 104(スラスト軸受-主要寸法、一般計画)
定期見直し投票の結果、2012 年 10 月に改正することが決定した。2013 年 12 月に CD
(委員会原案)が承認された。
22
○ISO 21107(電子媒体検索構造-用語による軸受の特性・性能の識別)
2013 年 5 月の TC 4 上海会議にて改正することが決定した。2013 年 10 月に DIS(国際原
案)が回付され承認された。
○ISO 5593(用語)
2013 年 5 月に WG 18 上海会議、2014 年 3 月に WG 18 ウィーン会議が開催され WD(作
業原案)の審議が行われている。
○ISO 15243(損傷及び故障-用語、特性及び原因)
2013 年 1 月にブリュッセル会議、2013 年 7 月、11 月及び 2014 年 3 月にウィーン WG 20
会議が開催された。現在、WG において WD(作業原案)の作成中である。
○ISO 15242-1 及び-2(振動の測定方法)
2013 年 5 月の TC 4 上海会議にて改正することが決定した。TC 4/SC 4 から TC 4 へ管轄を
変更し、WG 21 が設置された。2014 年 3 月にウィーン WG 21 会議が開催された。
b.発行された規格
○ISO 2982-1(付属品-第一部:テーパースリーブ-寸法)
○ISO 2982-2(付属品-第二部:ロックナット、座金及び止め金-寸法)
上記 2 規格について、2013 年 4 月に発行された。
④ISO/TC 4/SC 4(公差)関連
a.改正作業中の規格
○幾何公差(GPS=Geometrical Product Specifications)の軸受への適用検討
SC 4/WG 4(製品の幾何特性仕様の履行作業グループ)において、ISO 492(ラジアル軸受
-公差)、ISO 199(スラスト軸受-公差)及び ISO 582(面取寸法-最大値)の 3 規格を対
象として GPS 適用のための改正作業が行われている。
○ISO 492(ラジアル軸受-公差)
○ISO 199(スラスト軸受-公差)
上記 2 規格については、2013 年 5 月の SC 4/WG 4 上海会議にて審議が行われた。2013 年
11 月に FDIS(最終国際規格案)が回付された。2014 年 3 月にウィーン SC 4/WG 4 会議が開
催され、FDIS 投票結果が審議された。2014 年内に、正式規格として発行の予定。
○ISO 582(面取寸法-最大値)
2013 年 5 月の SC 4 上海会議にて、GPS を適用した改正作業は、TC 213(製品の寸法・形
状の仕様及び評価専門委員会)がさらに明確な面取りに関する規格を作成するまで保留にす
ることとした。
○ISO 464(止め輪付きラジアル軸受-寸法及び公差)
2013 年 5 月の SC 4 上海会議にて、改正作業を業務として登録することが決定された。
2013 年 9 月に DIS が回付され、承認された。
b.発行された規格
○ISO 582 Amd1(面取寸法-最大値-追補)
23
2013 年 7 月に発行された。
⑤ISO/TC 4/SC 5(針状ころ軸受)関連
a.新規制定作業中の規格
○セラミック製円筒ころの制定
2014 年 2 月にオーストリアから提出されたセラミック製円筒ころ標準化の NP(新業務項
目提案)が回付された。
b.改正作業中の規格
○ISO 1206(針状ころ軸受、寸法系列 48、49 及び 49-主要寸法及び公差)
2013 年の SC 5 上海会議にて、GPS を適用し、改正することが決定した。2014 年 3 月の
SC 5/WG 1 ウィーン会議にて、WD の審議が行われた。
○ISO 3245(内輪なしシェル形針状ころ軸受-主要寸法及び公差)
2014 年 1 月に DIS 3245 が回付された。2014 年 3 月の SC 5/WG 1 ウィーン会議にて、DIS
投票結果の確認が行われた。
c.定期見直しの規格
○ISO 3096(針状ころ-寸法及び公差)
○ISO 7063(針状ころ軸受、トラックローラ-主要寸法及び公差)
上記 2 規格について、定期見直し作業が行われている。
d.発行された規格
○ISO 1206 Amd 1(針状ころ軸受、寸法系列 48、49 及び 49-主要寸法及び公差、追補 1)
2013 年 8 月に発行された。
⑥ISO/TC 4/SC 6(インサート軸受)関連
a.新規制定作業中の規格
○ISO 3228 Amd 1(インサート軸受用鋳造及び鋼板軸受箱-追補 1)
2013 年 2 月に日本から追補発行のための NP(新業務項目提案)を提出した。NP は投票
の結果、承認条件を満たさず否決された。
⑦ISO/TC 4/SC 7(球面滑り軸受)関連
2009 年に定期見直しが完了しており、現在のところ特に審議案件はない。
⑧ISO/TC 4/SC 8(定格荷重及び寿命)関連
a.新規制定作業中の規格
○ハイブリッド軸受の定格荷重の計算
2013 年 5 月の AHG 1 上海会議において、AHG 1 にて検討した素案を NP とすることを SC
8 に提案することが決定した。SC 8 上海会議にて NP とすることが決議された。
24
○球面滑り軸受の定格荷重
SC 7(球面滑り軸受)に提出された球面滑り軸受の定格荷重に関する NP を SC 7 上海会
議において、扱いを SC 8 に依頼する事が決議され、SC 8 上海会議において本件を NP とす
る事が決定した。
⑨ISO/TC 4/SC 9(円すいころ軸受)関連
a.発行された規格
○ISO 10317(円すいころ軸受-呼び番号方式-追補 1)
2013 年 9 月に発行された。
⑩ISO/TC 4/SC 11(リニア軸受)関連
a.定期見直しの規格
○ISO 13012-1(スリーブ形リニア玉軸受用附属品-系列 1 及び 3 の主要寸法及び公差)
○ISO 13012-2(スリーブ形リニア玉軸受用附属品-系列 5 の主要寸法及び公差)
上記 2 規格について、定期見直し作業が行われている。
⑪ISO/TC 4/SC 12(玉軸受)関連
a.新規制定作業中の規格
○セラミック球の強度測定規格の制定
2014 年 3 月にオーストリアから提出されたセラミック球の強度測定に関する NP(新業務
項目提案)が、回付された。
b.改正作業中の規格
○ISO 3290-1(玉-第 1 部:鋼球)及び ISO 3290-2(玉-第 2 部:セラミック球)
2013 年 3 月に FDIS が回付された。2013 年 5 月に投票が完了したが、承認条件を満たさ
ず FDIS が否決された。プロジェクトを DIS 段階に戻し再開する提案が承認された。2014 年
2 月に DIS が回付された。
○ISO 12044(単列アンギュラ玉軸受-外輪正面側の面取寸法)
2013 年 4 月に FDIS が回付された。2013 年 6 月に投票が完了したが、承認条件を満たさ
ず FDIS が否決された。プロジェクトを DIS 段階に戻し再開する提案が承認された。2013 年
12 月に DIS が回付され、投票の結果、100%の賛成投票で承認されたため、FDIS を省略し
て発行へと進むこととなった。現在、規格の発行待ちである。
(2)JIS 関連
ベアリングの JIS 規格について、工業標準化法に基づく手続きに対応した機関である JIS
転がり軸受原案作成委員会への協力などを通じて、関係する業界とも協力し、また学識経験
者などの意見を聞きつつ、制定・改正の原案作成を行う。
25
日本工業標準調査会等の更なる電子化に対応し、JIS 審議体制及び原案作成の電子化を更
に推進している。
これにより、標準化を促進し、国内外の産業の発展に寄与していく。
①JIS 制定等の計画の一般公開及び意見受付の実施
技術部会による JIS 転がり軸受原案作成委員会への意見聴取を経て作成された JIS 制定等
の計画を、平成 26 年 1 月 9 日から 2 月 8 日の期間、工業会ホームページ「標準化情報」の
ページにより一般に公開し、意見受付を実施した。意見等の申出はなくこの期間を経過した
ため、技術部会において、この計画を決定した。
②JIS 転がり軸受原案作成委員会における原案作成の進捗状況
JIS 転がり軸受原案作成委員会は、その下に、JIS 原案の素案を作成することを目的とす
る専門委員会を設置している。この専門委員会には、当工業会の技術的な専門家に加え、経
済産業省(以下「METI」)及び(一財)日本規格協会(以下「JSA」)のご支援及びご協
力 に よ り、 規 格 の 用 途 ・ 趣 旨 に関 す る 専 門 家 (METI) 及 び 規 格 の 様 式 に 関す る 専 門 家
(JSA)に、委員または関係者としてご参加いただいている。
これにより当工業会における JIS 原案の素案の作成段階から外部の専門家との調整を行う
ことが可能となり、また作成された JIS 原案は、経済産業省への申出前に、JSA 規格調整分
科会に諮られ、規格調整が行われる。
この体制により、申出された後の JIS 原案の METI 及び日本工業標準調査会(JISC)内の
手続きの迅速化及び効率化が図られた。引き続き、計画に沿った JIS の策定・発行が実現さ
れてきている。
個々の規格の進捗状況としては、次のとおりである。
a.改正作業中の規格
○JIS B 1516(転がり軸受-表示)
○JIS B 1520-1(転がり軸受-転がり軸受-内部すきま-第 1 部:ラジアル軸受用ラジアル
内部すきま)
○JIS B 1520-2(転がり軸受-内部すきま-第 2 部:4 点接触玉軸受用アキシアル内部すき
ま)
○JIS B 1566(転がり軸受-取付関係寸法及びはめあい)
上記 4 規格については、2014 年 2 月に JIS 転がり軸受原案作成委員会の審議を行った。
2014 年度に申出の予定である。
b.発行された規格
○JIS B 1518(転がり軸受-動定格荷重及び定格寿命)
○JIS B 1533(転がり軸受-円筒ころ軸受)
○JIS B 1534(転がり軸受-円すいころ軸受)
26
○JIS B 1535(転がり軸受-自動調心ころ軸受)
○JIS B 1539(転がり軸受-スラスト自動調心ころ軸受)
上記 5 規格については、2013 年 11 月に発行された。
(3)BAS 関連
WTO/TBT 協定「適正実施基準」のルールに従い、計画と制定・改正案の公表を国内外に
実施して広く意見を求めながら、BAS 規格につき所要の制定・改正を行う。
個々の規格の進捗は、特にない。
(4)関連団体との協力
次の関連団体と、標準化について相互協調を図っている。
(一社)国際標準化協議会、(一財)日本規格協会、(独)産業技術総合研究所、(財)
日本軸受検査協会、(一社)日本自動車工業会、(一社)日本電機工業会、(一社)日本建
設機械施工協会、(一社)日本産業車両協会、(一社)日本産業機械工業会、(一社)日本
鉄鋼連盟、(一社)日本工作機械工業会、(一社)日本工作機器工業会、(一社)日本航空
宇宙工業会、(一社)日本ファインセラミックス協会
27
付表 1
TC
SC
WG
※
TC 4
WG 15
WG 18
WG 19
WG 20
WG 21
AG 1
名
ISO/TC 4 の組織
称
幹事国
(WG はコンビーナ)
転がり軸受
スウェーデン(SIS)
部品ライブラリ-リファレンス辞 Marchand(フランス)
書
用語
Comazzi(スウェーデン)
鋼製円筒ころ
Gorenne(フランス)
損傷及び故障
Verhaert(スウェーデン)
振動の測定方法
Sommerhuber(スウェーデン)
諮問グループ
Verhaert(スウェーデン)
公差、公差の定義及び記号(GPS
を含む)
WG 4 製品の幾何特性仕様(GPS)の転
がり軸受への適用
SC 5
針状、円筒及び自動調心ころ軸受
WG 1 針状ころ軸受-取付寸法及び公差
SC 6
インサート軸受
SC 7
球面滑り軸受
SC 8
定格荷重及び寿命
AHG 1 ハイブリッド軸受の定格荷重
SC 9
円すいころ軸受
SC 11
リニア軸受
SC 12
玉軸受
SC 4
※
ISO 3290-1
ISO 3290-2
ISO 8443
ISO 12044
ISO 20515
ISO 20516
Östebo(スウェーデン)
フランス(AFNOR)
Abarquez(アメリカ)
アメリカ(ANSI)
ドイツ(DIN)
ドイツ(DIN)
―
アメリカ(ANSI)
アメリカ(ANSI)
日本(JISC)
ISO のサイトに登録されている WG のうち、現在活動していない WG は除いている。
付表 2
規格番号
スウェーデン(SIS)
ISO/TC 4/SC 12 の管轄規格
ISO 規格名称
転がり軸受-玉-第 1 部:鋼球
転がり軸受-玉-第 2 部:セラミック球
転がり軸受-外輪フランジ付ラジアル玉軸受-フランジ寸法
転がり軸受-単列アンギュラ玉軸受-外輪正面側の面取寸法
転がり軸受-ラジアル軸受、固定用切欠き-寸法及び公差
転がり軸受-調心座スラスト玉軸受及び調心座金付きスラスト玉軸
受-主要寸法
28
3.海外市場施策及び国際交流に関する事業
(1)貿易及び海外生産の動向
①平成 25 年 4 月から平成 26 年 3 月までのベアリング輸出動向
平成 25 年 4 月から平成 26 年 3 月までの軸受完成品(玉軸受+ころ軸受+軸受ユニット)
の輸出(財務省「貿易統計」)は、金額 3,430 億 100 万円、対前年同期比 111.0%となった。
市場別にみると、アメリカ向けは金額 563 億 5,500 万円、対前年同期比 115.8%、EU 向け
は金額 664 億 100 万円、同 121.8%、アジア向けは金額 1,863 億 1,200 万円、同 106.9%(う
ち中国向けは金額 604 億 4,500 万円、同 120.8%)となった。
②平成 25 年 4 月から平成 26 年 2 月までのベアリング輸入動向
平成 25 年 4 月から平成 26 年 2 月までの軸受完成品(玉軸受+ころ軸受+軸受ユニット)
の輸入(財務省「貿易統計」)は、金額 518 億 3,100 万円、対前年同期比 118.4%となった。
地域別にみると、アメリカからは金額 88 億 7,800 万円、対前年同期比 124.3%、EU から
は金額 72 億 3,100 万円、同 94.8%、アジアからは金額 343 億 200 万円、同 125.0%(うち中
国からは金額 181 億 7,100 万円、同 116.8%)となった。
③海外生産統計
工業会会員による海外生産の実態把握を目的として、年 2 回、3 月と 10 月に調査を実施
し、集計期間を上期(1 月から 6 月)と下期(7 月から 12 月)に分けて作成している。対
象品目は、玉軸受、ころ軸受、軸受ユニットの軸受完成品であり、集計はこれらについて
の海外生産金額の合計額である。
調査によると会員企業の海外生産金額は、平成 25 年下期(平成 25 年 7 月から 12 月)は
2,605 億 4,700 万円、海外生産比率 43.6%であった。
国内生産と海外生産を合計した世界生産の金額は、平成 25 年は 1 兆 1,413 億円で、対前
年比 111.3%、平成 25 年下期(平成 25 年 7 月から 12 月)は 5,980 億 6,000 万円で、対前年
同期比 121.3%となった。
(2)米国との間の通商問題
経済産業省通商機構部は、2011 年から継続している「日米経済調和対話」等、政府間交
渉の場を通じて、アンチ・ダンピングの不適切な運用として、ゼロイング、サンセット、モ
デルマッチング、バード等をセットで問題提起し続けている。以下の通商諸問題について、
通商機構部と当会の通商対策専門委員会の間で、打合せの機会を適時適切に設け、状況など
について説明を受けながら、当工業会からの要望を伝えるとともに、政府に積極的に協力し
てきている。
①バード修正条項
29
米国は、2006 年 2 月に 2005 年 10 月に遡って本条項を廃止したものの、2007 年 9 月末ま
でに通関された貨物については分配の対象とする経過措置を残した。これに対して日本政府
は対抗措置を毎年延長し実施してきたが、年々分配額が減少し、これに伴い 2012 年は 4%
(品目は円錐ころ軸受のみ)となった。
しかしながら、米国は、2012 年、分配に係る裁判(日欧企業による分配に対する訴訟)
により留保されていた分を加えて約 81.5 億円を分配(2011 年は 1.6 億円)。この分配によ
り、経済産業省通商機構部は、対抗措置を更に 1 年延長することとしたうえで、対抗置発動
当時(2005 年)のベアリング 7 品目を含む 15 品目への課税、税率 19%を案として、これら
品目に関連する産業界と調整を図った。
当工業会においては、政府の意向を受け、会員の状況と意見を事務局に集め、2013 年 3
月の理事会の承認を得て、工業会として、4 品目(針状ころ軸受け、その他の円筒ころ軸受、
その他のもの[玉軸受ところ軸受を組み合わせたものを含む]、部品)への配慮を経済産業
省にお願いし、且つ、最終的には日本政府のご判断に従う旨、回答した。
当工業会を含め産業界からの意見を聴取したうえで、関係省庁(経済産業省、財務省な
ど)間での調整の結果、政府は、2004 年 11 月 26 日の WTO/DSB に承認された品目のうち
バード修正条項分配がなされた品目のなかから、選定基準(「実害がある=2012 年に分配
の対象となっている品目)」、「効果がある=米国からの輸入規模が 1 億円以上」、「代替
性がある」)に基づき、品目を選定。鉄鋼 4 品目、ベアリング関連 9 品目(すべり軸受けを
含む)の計 13 品目に、2013 年 9 月 1 日より 1 年間、17.4%の追加関税を賦課することを決
定した。
なお、2013 年の分配額は約 25 万円のため 2014 年 9 月に改訂される追加関税率は 0%とな
る見込みだが、裁判などにより清算されていない留保分が未だに多いことから、来年以降に
分配額が再度膨らむ可能性が高く、バード修正条項の実質的な早期の撤廃に向け、通商対策
専門委員会を通して引き続き政府に対する協力を行っていく。
②第二回サンセット・レビューの判定結果に対する米国国内裁判
経済産業省通商機構部は、サンセットに係る米国の運用について未だに大きな懸案事項
(長きに亘りサンセットしないサンセット手続き)として、機会がある度に米国に申し入れ
を行ってきた。当会は、こうした政府の活動に協力してきており、第二回サンセット・レ
ビューの訴訟経過について、随時報告している。
本レビューに関し、日本がクロ(日本の輸出はダンピングにより米国産業に損害を与えて
いる)と判定されたことについて、当工業会会員 2 社(JTEKT、NSK)が、米国への輸出は
米国産業に損害を与えないとして米国国内で訴訟し、第一審は 2011 年 4 月に勝訴した。
しかし、ITC は第一審結果を不服として 2011 年 6 月に CAFC に控訴、2013 年 5 月、
CAFC は当会会員の逆転敗訴の判決を下した。この判決を受け、7 月に同 2 社は再審理請求
書を提出。10 月 25 日、予測通り CAFC は再審請求不受理を決定したが、12 名の判事中 3
30
名異議、2 名棄権という従来にない反応があった。この CAFC での予測に反した好結果を受
け、2 社は 2 月 21 日に最高裁上告への訴状を提出した。
この上告に関して、通商対策専門委員会は、JBIA 名義でアミカスブリーフを提出するこ
ととし、理事会の了解を得て(弁護士による作成費用は委員会メンバーが負担)3 月 27 日
に裁判所へ提出した。米国には、裁判において「法廷助言者」からの意見書を受け入れる制
度があり、第三者の専門知識を裁判で活用するための一方策となっている。この時に提出さ
れる意見書をアミカスブリーフという。JBIA の他に、委員会メンバー1 社が米国の学者 7
名の協力を得て、これら学者の連名(内 1 名は元 WTO 法務部長[初代]、同 紛争解決パ
ネリストなどを歴任した大物)によるブリーフを、JBIA のブリーフと同日に最高裁に提出
した。
なお、これまでの経験上の常識に反し、CAFC に要請していた最高裁決定までの執行延期
が 11 月 6 日、否決された。この執行延期否決により、最高裁での決定を待たずして、第一
審判決後停止していた各行政手続き(第 3 回サンセット・レビューおよび第 21 回以降の年
次レビュー)を米国商務省が再開することが可能となった。
2014 年 1 月 2 日の官報では、第 3 回サンセット・レビュー開始と同時に 2011 年 7 月以降
中断されている AD 税徴収復活も公告された。
③第 3 回サンセット・レビューへの対応
通商対策専門委員会では、ほぼ確実に起こり得るとして、第 3 回サンセット・レビューへ
の対策検討を 2013 年 6 月から開始した。
商務部によるマージン計算手法が益々複雑化し予見不可となっていること、このままでは
米国による AD 措置に終焉を期待できないこと(ゼロイング撤廃のみでは不可)、第 3 回レ
ビューは第 2 回に比しても更に条件が厳しいこと(対象期間中のリーマンショックによる米
国景気後退など)等から、第 3 回がクロ判定を受けた場合に WTO での紛争を日本政府にお
願いすることを前提として、委員会では戦略を慎重に検討し、経済産業省への報告と相談を
開始した。
a.共通弁護士とコンサルの選定
委員会では、第 2 回のサンセット・レビューと同様に、レビュー参加企業の弁護士事務所
間で全体調整を行う共通弁護士事務所、データを収集解析評価するコンサルタントの選定を
行った。なお、これら弁護士とコンサルを使っての事業は、常に委員会のコントロール下に
おき、経過によっては、中止することもあり得ることを委員会として確認した。
共通弁護士: シドリー・オースティン弁護士事務所
日本政府からの受託実績有(日本が勝訴したゼロイングの WTO に
おける紛争解決手続を担当)。
コンサルタント: CTI(Capital Trade Incorporated)
2010 年、第 3 回サンセット・レビュー対策の初期検討を依頼。
31
その後、11 月 8 日開催の国際部会を経て、下記について 11 月 26 日開催の理事会で了承
を得た。
・第 3 回サンセット・レビュー共通対策は共通弁護士とコンサルタントによる対策を工業
会の事業とする。
・費用と負担は、JTEKT25%、NSK25%、NTN25%、NACHI12%、NMB2%、工業 11%。
会員全体が何等かの受益者になり得ること、ベアリング業界外(機械産業、電気電子産
業)にも AD 税を課されているユーザー企業が数社あることなどから本対策に国内公益
性があることは明らかとの理由から、工業会も一部負担となった。
・上記②「なお書き」の事情により、出来るだけ早期に契約を完了し作業に入る必要があ
ることから、11 月末までに、専務理事が契約書にサインする。
・第 3 回サンセット・レビューへの対応は各社の任意ではあるものの、今後行われるコン
サルタントによる解析と共通弁護士による助言を得て、通商対策専門委員会は事務局を
介して適宜会員各社に必要な支援をお願いし、各社は協力していく。
b.第 3 回サンセット・レビューの開始
商務省と 国際貿易委員会によるサンセット・レビュー開始の官報が、2014 年 1 月 2 日に
次の予定で公告された。
1 月 17 日 (D15) 米国内利害関係者による参加登録期限
2 月 3 日 (D30) 開始通知に対する JBIA を含む利害関係者の応答登録期限
通商対策専門委員会は、2 月 3 日の期限に向けて、共通弁護士及びコンサルタントとの電
話会議や委員会会議を適宜開催し回答準備を進めていた。
結果として、上記期限の 1 月 17 日までの米国内利害関係者のレビュー参加登録は皆無で
あった。このため米国内法令により、3 月 26 日、官報が告示され、日本及び UK から米国
へ輸出される玉軸受に対する AD 措置が、2011 年 9 月 15 日に遡及して廃止(Revocation)
された。
しかし、米国内法令に基づけば、サンセットの官報公告日から 2 年間に同じ産品(=ボー
ルベアリングおよびその部品)が再提訴された場合、輸出者側に反論機会はほとんど与えら
れずに課税を復活することができる。ただし、条件として、提訴者は米国内生産シェア
25%以上を占める必要がある(複数企業の合計シェアでも可)。
なお、2 年経過以降も再提訴は可能であるが、上記のような促進的手続きは認められず、
通常の新規提訴と同じ扱いとなる。
c.共通弁護士及びコンサルタントとの作業
上記の事情から、第 3 回サンセット・レビュー対策としての共通弁護士及びコンサルタン
トの役割は事実上終了することになったが、参加 5 社がコンサルタントに提示したデータ等
について解析レポートの作成を依頼した。
32
レポートは、完成後 B&M 東京事務所でリーガルチェックを行ったのち参加 5 社間のみで
共有する。但し、工業会から要請のある場合は、要請された部分についてのみ、5 社全ての
了解を得ることを条件として、他の会員も閲覧可とした。
④年次レビューの再開
AD 税のデポジットは AD 措置の廃止告示まで徴収されていた。2011 年 9 月 15 日まで遡
及して還付となるが、実際に還付が行われるタイミングは 2014 年後半以降の見通し。
2013 年 12 月 16 日の官報で、商務省は、21 回(2009 年 5 月~2010 年 4 月末)、22 回
(2010 年 5 月~2011 年 4 月末)のレビュー再開決定を公告し、23 回と合わせ 3 年分のレ
ビュー開始が同時決定した。
21 回は仮決定が既に出ていたが、商務省による Post Preliminary Analysis Memo(2014 年 3
月 25 日付)によると、2012 年 2 月の商務省新ルール適用(ゼロイング無し)のもと仮決定
の再計算がなされ、レビュー対象企業の AD 率は全て 0%となった。この 21 回の最終決定
は 2014 年 6 月中頃になる予定。
22 回は、レビューに米国提訴者が参加していないが、当工業会外の企業が参加しており、
実施される見込み。
上記(2)③bの通り、サンセットしたため、24~25 回(2012 年 5 月~2014 年 4 月)レ
ビューはなくなる。また、23 回については 4.5 か月分(2011 年 5 月 1 日~9 月 14 日)のレ
ビューが残るが、敢えてこの期間を対象に米国企業がレビュー要求する可能性は低いと予測
される。
なお、商務省は新しいマージン計算プログラムを最近の年次レビューで採用している。こ
のレビューを受けた企業はまだ日本にいないが、この計算結果は予測不能と推測されている。
⑤ゼロイング問題
ゼロイングとは、日本国内販売と比較し高値で米国に輸入取引された分を無視し、安値取
引のみを選び出し、ダンピング・マージンを膨らませる不当な計算方法をいう。これにより、
ダンピング・マージンが発生又は増加することとなる。
米国のゼロイングが WTO 協定に違反するとする日本の主張を WTO が認め、WTO が米国
に対し是正を勧告していたことについて、2012 年 2 月 6 日、米国は日本とゼロイング撤廃
を約束する覚書に合意した。
日米間覚書の通り、米国商務省は、年次レビューでのゼロイング適用を一切廃止すること
を記述した改正規則を官報に公告(同月 14 日)、2012 年 6 月、商務省は改正規則に沿って
再計算、ステンレス薄板の税率は 0.54%から 0.00%となった。このことから、日本政府は、
覚書で約束したゼロイング廃止でとるべき措置を米国は実行してきていると判断、覚書に基
づき保留してきた対抗措置の発動権を 8 月 3 日付けで取り下げた。
日本政府は、米国が商務省規則の改正を行うとともにステンレス薄板の税率を再計算した
33
ことにより、紛争解決に向けて着実に進展していると評価しつつも、今後も米国の新規則運
用、特にベアリングの第 20 回年次レビュー(2008 年 5 月~2009 年 4 月末)のデポジット
レートの再計算への適用を注視していくとしていた。
しかし、前述のとおり第 21 回年次レビューについて、米国はゼロイング無しで仮決定の
再計算を実施、税率は 3.46%~13.43%から 0%となった。評価するには最終決定を待つ必要
はあるが、大きな実質的成果が現れた。
⑥モデルマッチング方式(差異合計方式)
経済産業省通商機構部は、2011 年の「日米経済調和対話」において本問題を提起し、同
年 5 月には、ワシントンで経済産業省と米国商務省とのフォローアップ会合が行われ、モデ
ルマッチング問題は商務省が制度改正を検討するとした。2014 年 3 月 10 日に再び同様の
フォローアップ会合が設けられた。本件については、第 3 回サンセット・レビューで AD 措
置が廃止となったため、当業界にとって当面は大きな問題ではなくなったが、将来、日本の
業界に影響を及ぼす可能性もあるため、日本政府としては日米協調対話の中で引き続き議論
をしていく方針。
このような経緯から、経済産業省通商機構部は、米国商務省との同会合に、モデルマッチ
ングについて実務経験のある当会の通商対策専門委員会委員を同席させることとし、2014
年 3 月 10 日に商務省で開催された会合には、同委員会から宅和委員(JTEKT)が参加
(JTEKT 米国法人 1 名、JTEKT、NSK の弁護士 2 名も同席)、商務省に対し、マッチング
変更による回答企業の不合理な負担増加およびマッチング閾値幅が緩すぎるという問題の 2
点について説明を行なった。これに対し、商務省からは、「説明の内容は良く理解した」と
のコメントがあった。
(3)FTA
通商対策専門委員会は、自由貿易協定交渉におけるベアリングの原産地規則、原産地証明
などについて、適宜、政府に要望を伝えるとともに交渉に必要な資料を提出している。
(4)WBA(World Bearing Association 世界ベアリング協会)
WBA は、グローバル化の進展の中で、日米欧の間の協力をより一層効率的に進めるため、
WBS を発展的に解消して、設立されたものである。
①WBA リーガル・カウンセル
WBA においては、2009 年よりアンチトラスト・コンプライアンスの体制を確保し、アン
チトラスト弁護士(ベーカー&マッケンジー)によるリーガルチェックとモニターリングの
もとで、首脳会合(総会は当会の事情により休止状態)、委員会が運営され、各分野の活動
が進められている。
34
②WBA 首脳電話会議
ジョンストン WBA 会長主催のもと、WBA 副会長と各団体事務局が参加し、2013 年は電
話会議が 1 回開催された(第 16 回:2013 年 5 月 10 日)。JBIA からは、近藤副会長、大塚
理事、宮下専務理事が参加した。
本電話会議では、次が決定、或いは検討された。また各事業進捗について報告があった。
【WBA 定款改訂案の見直し】
2012 年 9 月に提示され、一旦合意された団体代表と任期については、各団体の現状を
考慮して次の改訂案が提示され、承認された。
‐WBA 会長任期は 2 年。
‐各会員団体代表は、2 名(WBA 会長又は副会長)、それぞれ任期は 2 年。
‐WBA 会長と副会長は、代表する団体の地域(国)内にある本社に属すること。
【WBA 副会長の選任】
上記定款改訂のもとで、次の WBA 副会長を新たに選任した。
-
近藤 WBA 副会長(JBIA 副会長、ツバキ・ナカシマ社長)
-
大塚 WBA 副会長(JBIA 理事、日本精工社長)
-
ポーターWBA 副会長(ABMA 監査役、エマーソン副社長)
【次回 WBA 総会】
ジョンストン WBA 会長から、2014 年は WBA 総会を開催したいとの提案があり、若干
の意見交換があった。
③首脳会合
2013 年 9 月 23 日夕刻、北京で WBA 首脳会合が行われた。
本首脳会合、及び直前の偽造対策委員会会合は、負担均等の観点(前回は FEBMA、前々
回は ABMA がホスト)と FEBMA(会長団体)の中国におけるロジ能力への懸念から、
JBIA が自ら申し出てホストを担当した。
参加者は次のとおり。
- ジョンストン WBA 会長(FEBMA SKF 社長)
- 近藤 WBA 副会長(JBIA 副会長
- 大塚 WBA 副会長(JBIA 理事
ツバキ・ナカシマ社長)
日本精工社長)
- グリフィス WBA 副会長(ABMA TIMKEN 社長)
- ポーターWBA 副会長(ABMA Emerson 副社長)
*電話参加予定だったガイジンガーWBA 副会長(FEBMA Schaeffler 社長)は欠席。
※その他参加者:
- バーグフェルト偽造対策委員会議長、宮下専務理事、各団体事務方
- リーガルモニター:Baker & McKenzie 弁護士事務所
35
主な議事内容は次のとおり。
【2014 年次事業計画/予算】
後述の偽造品対策等の事業について進捗評価のうえ、計画が承認された。
予算については、偽造対策予算が 2013 年次 19.5 万ドルに対し、18.9 万ドルと微減とな
り、その他項目(統計・リーガル)も 2013 年次並みとされ、総計も昨年度並み(27 万
度ドル+α)で承認された。今後、事業進捗に併せ数字を精査しつつ、次回首脳電話会
合にて再確認することとなった。
【次期 WBA 総会(2014 年 9 月に復活)】
次期 WBA 総会開催について意見が交換された。直近開催は 2010 年 9 月ウィンザー総
会(7 社長が出席:SKF、Schaeffler、TIMKEN、JTEKT、NSK、NTN、NACHI)。以降
総会開催は延期。
a.日程;ジョンストンは通例の 9 月を言及。JBIA からは可能であれば 10 月初旬も選
択肢とすべきと発言。今後調整することとなった。
*その後事務局間で日程調整が行われ、2014 年 9 月 29 日(月)の開催が決定した。
b.場所;フランクフルトを考えているとジョンストンは発言。
c.現行各団体代表(WBA 会長、副会長)の任期が当該総会までなので、当然、今回
と同じ団体代表が参加することが確認された。JBIA は、今回と同じく近藤副会長、
大塚理事が出席の見込み。
d.その他の参加者;各団体の任意であり、今後 JBIA 内で検討。
※コンプライアンスのツールは完備しているとして、欧米からは、引き続き、前回
までのように、JBIA からは大手 4 社参加について期待感が示された。
e.次期会長人事;特段の議論はなかった。今後 JBIA 内での要検討事項。
*定款任期 2 年:グリフィス(2010~2012)、ジョンストン(2012~2014)
*輪番を適用した場合、次期は JBIA が会長団体。
なお、今後予定されている TIMKEN 企業分割でグリフィスはリタイア。来年の総
会に出席する可能性はないと予測。また Schaeffler は、ガイジンガー社長を解任。
正式な通知はないものの、FEBMA 事務局からの連絡によれば、WBA 副会長は、
ガイジンガー氏に代わり、シュラン氏(シェフラー産業部門執行役)が就任。
【グリフィス副会長の問題提起(アジェンダの追加として発言)】
a.環境事業が停止しているが、今後どうするか?
b.WBA のあり方論:グリフィスの意見は次のとおり。
JBIA のカルテル事件(2011 年 7 月)で中断してしまったのだが、当時 WBA 会長
だった自分が問題提起し総会前の同年 8 月に首脳会合(面談)を開催し議論しよ
うとしていた課題。WBA は、i. 現在の団体から構成された団体、ii. 個別企業から
構成された団体、のどちらがより効率的に事業を運営できるか検討が必要(グリ
フィスは後者を選好)。
36
c.CBIA(中国ベアリング協会)の加盟問題
これも、グリフィス WBA 会長(当時)が提起した課題。グリフィス氏はもともと
CBIA 加盟推進の立場。JBIA は、公益事業を推進する WBA における資格要件をか
んがみ、部分での協力はするも、加盟には反対の立場を取ってきた。ジョンストン
会長は、前述の WBA 組織論と絡め、個企業ベースでの参加も検討の余地ありとし
た。
上記問題提起に対しジョンストン WBA 会長は、いずれも重要な課題と評価、今後検討
していくことを約束、と対応した。
④WBA 首脳による中国中央政府ロビー活動(2013 年 9 月 24 日)
a-1.今回の中国中央政府ロビー活動は、2012 年 9 月の首脳会合で決定された。当初、
FEBMA、ABMA は、それぞれの政府関係機関を介してのアポ取りを宣言していたが、欧米
の政府関係機関が容易に動かないことが判明。結果として、遅まきながら、2013 年 7 月末
から JBIA がアポ取りに入った。しかし、中国内体制の一連の大転換期にあたり、また国慶
節直前の時期にあたることから、調整は難航。直前の 23 日には、税関総署長会議の 24 日開
催が突然決定、総署幹部とのアポは止む無くキャンセルされ、公安部は 23 日夕刻に事件発
生のため、幹部(司長、Director General)とのアポも直前の取り消しとなった。
しかし、中青旅(中華全国青年連合会の民間部門)の懸命な調整と、IPF 分部弁護士の現
地でのサブスタンス支援により、中央政府へのロビーイングを完遂することができた。また、
JBIA として新たな領域での経験値を高めることができた。面談の概要は次のとおり。
【税関総署
知識産権処副処長(Dupery Director)
黄建華】10:00~11:30
知財部門では、中国税関のなかで、実質 N0.2。この直属の上司の「李群英」処長が実質
的な No.1 であり、WCO(世界税関機構)等国際的に有名。中国からの偽造品の輸出を抑え
てくれている者であるから、先進国企業の熱い視線を常に浴びている。
【商務部
条約法律司
副司長(Dupery Director General)
楊国華】14:00~15:00
中国は WTO に加盟後、当初は、知財問題の重要性を理解していなかったが、世界的な批
判もあり、2000 年以降徐々に制度面の整備を始めた。2000 年代中頃には、制度面の整備も
道半ばではあった一方、執行においても大きな問題(ワークしていないし、地方保護主義が
蔓延)が露見してきて、制度・執行の両面での課題を背負っていた。
こうしたなかで、商務省が中国官庁の知財問題のリーダーとなった。楊氏は当初からこの
担当責任者となった者で、中国官庁の知財政策の取りまとめ役として今日に至っている。就
任当初は、どこにでもあるように、各官庁の非協力に長く悩まされたと聞くが、近年、この
ハードルを乗り越えた立役者。中国の知財政策での第一人者。今回の面談でも、自分が中国
政府全体の知財政策を方向付け、推進していることにつき自信を持って謳っていた。
37
【共産党中央委員会 対外連絡部
秘書長(副大臣格)
倪 建】16:20~17:30
事前に国家公安部幹部へのアポが取れていたが、止むを得ない事情からドタキャンとなっ
たため、国家公安部がその補いとしてアポを入れてくれたもの(通常、役所がこうしたアフ
ターケアをすることはない)。公安行政担当者でないばかりでなく、役人でもない、日本で
いえば重職をしめる政治家といったところの者。この方の第一人称の言い方は「党と中央政
府は」と常に発言していた。WBA が共産党の中枢たる中央委員会の者と会えたということ
は「瓢箪から駒」のような展開。
なお、標記の「対外連絡部」は、略称「中聯部」、対海外的には「中国国際交流協会」と
いう名称を使っている。
a-2.WBA 首脳による北京ロビー活動のフォローアップ
12 月 18 日の WBA 偽造対策専門委員会電話会議で、議長より次の報告があった。
「税関総署と商務部から、WBA との対話は継続すべきとの発言があった。税関総署につ
いては 2014 年 4 月に WBA との会合が予定済み。商務部からは、リーダーシップとの次回
会合が期待されている。首脳の日程調整は大変難しいが、リーダーシップと商務部との次回
会合で、WBA に期待される要件と会合の日程について商務部の考えを知る必要がある。」
議長から MOFCOM に上記の要件と日程について分部弁護士に打診させるよう JBIA に要
請があり、JBIA は了解した。
⑤WBA 各事業
2006 年の WBA 京都設立総会後、偽造品対策、環境問題対策、統計の各協力活動などに
おいて、WBA 会長及び副会長が各分野のエグゼクティブスポンサーとなり、その所属する
団体が協力活動を運営している。各協力活動の状況は次のとおり。
a.偽造対策委員会会合
本委員会は、FEBMA によるリーダーシップの下(SKF シニアー副社長兼ゼネラルカウン
セルのベルグフェルトが議長)、ABMA が広報事業、事務局が JBIA というマルチスポン
サー体制となっている。
偽造対策委員会では、2013 年 2 月、5 月、7 月、12 月の計 4 回の電話会議を開催、2013
年次の事業の進捗を図ってきた。
首脳会合の当日(9 月 23 日)に偽造対策委員会会合を開催。参加者は、次の通り。
委員:ベルグフェルト議長、アストローム(SKF)、
ビッシェルメイヤー(Schaeffer)、ザック、趙(TIMKEN)、
内田(NSK)、岡島(NACHI)、笹谷(JTEKT)、穂積(NTN)
事務局:ロウォルド(FEBMA)、リンチ(ABMA)、
宮下専務理事、佐藤、岡野(JBIA)
リーガルモニター:Baker & McKenzie 弁護士事務所
38
本会合では、2013 年次の進捗中間報告を作成するとともに、2014 年次の計画を立案、直
後の WBA 首脳会合へ提案した。
a-1中国での活動
a-1-1.2013 年次のロビー活動
ア.中国海関総署:4 月 22 日
中国海関総署と第 3 回目となる会合を開催。昨年次の報告を行うとともに、2013 年次の
計画について、助言と承諾を得た。総署の主なコメントは次。
・2012 年の差止件数減は、2011 年の厳格な摘発活動の結果である。
・侵害者は、リスキーな税関を避ける傾向にある。上海、天津、寧波、青島以外の税関へ
の訪問も勧める。
・通関データの評価方法(再犯の可能性、輸出業者の評価など)は、上海と天津に伝える
ことを勧める。
イ.上海税関:6 月 17 日
上海税関とは第 2 回目となる会合を開催。上海税関の主なコメントは次。
・違法な貿易のほとんどは、輸出業者が主役。このような業者の情報提供を歓迎。
・差止を受けた輸出業者と代行業者の情報が提供されれば、再犯にはより厳格な処罰を科
し、またリスク管理にも使える。
ウ.天津税関:7 月 30 日
天津税関とは第 2 回目となる会合を開催。天津税関の主なコメントは次。
・権利侵害者のみならず、ハイリスク業者、ハイリスク仕向地の情報提供を望む。
・侵害品の処分で環境問題に配慮するため、企業の技術と支援を望む。
エ.中国公安部上海支局:6 月 17 日
公安部経済偵察局第 2 直属総隊が上海市に近年から常駐。訪問し、情報と意見の交換を
行った。当総隊は、浙江省、上海市、江蘇省、山東省、河南省のおける重大案件、各地
の公安による連携案件を監督管理。
オ.上海市公安局、及び金山分局:6 月 18 日
市公安局と金山分局を訪問。情報と意見の交換を行った。特に進行中のベアリングに係る
事件についてフォローを行った。
カ.天津市公安局:7 月 31 日
市公安局を訪問。情報と意見の交換を行った。特に 2012 年の大規模事件について感謝の
意を伝えた。
a-1-2.2013 年次の共同レイド
2012 年次より、本委員会参加企業による共同レイドは、地方ロビー活動の基盤として実
施することとしている。2013 年は上海と天津で摘発を計画したが、上海市内は侵害者の警
39
戒が非常に強まっていること、天津市内は 2012 年の大規模刑事レイド(公安による 2 市 4
省に亘る摘発。逮捕者 31 名)により鎮静化していることがあり、上海市内で 1 件の刑事レ
イドがあったのみ。
a-1-3.2014 年次計画
【ロビー活動】
税関:厦門税関、青島税関、総署
摘発機関:福建省内、山東省内で、税関に近接した機関をそれぞれ 2 か所訪問
【レイド】
各社個別レイドとして、上記 2 地域内で第 1 四半期に実施。合法的(アンチトラスト・コ
ンプライアンスを確保)な情報・意見交換を行い、上記のロビーに活かす。
なお、JBIA4 社は当該地域のサーベイを共同で実施。
a-2.インドでの活動
2013 年 12 月 11 日午前にムンバイ税関・港湾税関、午後にムンバイ税関・空港税関との
会合を開催。参加者は、ロウォルド FEBMA 事務局長、JBIA 代理の分部弁護士、NSK 内田
氏、SKF ブラバート氏、及び SKF、TIMKEN、Schaeffler の現地法人関係者。
港湾税関では税関長他 30 名、空港税関では税関長他 16 名が参加。税関からは、インド税
関への権利登録が無いと差止出来ないため、未登録の企業は速やかに登録を完了するよう要
求があり、またリスク情報の提供と更新を求められた。
WBA がインドでの知財対策に取り組む姿勢を見せるには、税関への権利登録が重要であ
るとから、未登録の企業は、2014 年 4 月末までに登録を完了させることを委員会で合意し
た。
なお、チェンナイ税関へのロビー活動については、今後の経過を適切に評価して決定する
ことした。
a-3.ラテンアメリカ
2013 年は、ブラジルを対象とし市場の被害実態調査を完了した。
2014 年は、当地のユーザーは偽造品の危険性を認知していないため、啓蒙活動に力を入
れるとともに、各社個別に任意のエージェントを使い摘発をトライ、その結果を合法的に共
有して効果的な対策を検討することとした。
a-4.広報啓蒙活動
ウェブサイトでは、引き続き 7 社の輪番制によるホットニュースを掲載。
2013 年次事業として、中国語によるビデオ音声を作成、ビデオを中国語サイトに掲載す
るとともに、ロビー活動に活用した。また、WBA 活動記事作成のためのプロのライターを
40
確保した。WBA ウェブサイト(英語)へのビジターは、米国に次いで中国が 2 位であるこ
とが判明、サイトの有効性が確認された。
2014 年次は、ウェブサイトの改造(HTML5)、スマートフォン向けサイト(英語)の作
成、更に、サイト(中国語、ポルトガル語、スペイン語)、ビデオ(スペイン語、ポルトガ
ル語)の他言語化を進めることに合意し、3 月に全てを完了し掲載した。これらの他に、ポ
ルトガル語ブローシャーの作成も 2014 年次の計画としており、現在作業中。
b.統計
WBA 統計委員会の 2012 年の提案であった地域毎の品目細分化については、議論が進め
てられていた。最終的に、品目を細分化した統計については、FEBMA の主張の通り地域ご
とではなく全世界統計とすることでプログラム改定案が承認された。これに基づいて、2012
年の統計データが収集された。なお、本データは統計参加企業にのみ内部使用として配布さ
れ、その他の使用の場合は、WBA の承認が必要となる。
⑥WBA 専門委員会・不正商品対策専門委員会合同会議
2013 年 8 月 23 日、標記会合を開催。9 月開催の WBA 首脳会議、WBA 偽造対策委員会会
合に備え、2013 年事業の経過確認を行うとともに 2014 年の事業と予算について JBIA の見
解と意見を纏めた。
2014 年 1 月 15 日に、標記会合を開催。WBA 運営については主に次の点について意見交
換を行い、A の重要課題については今後検討を進め、JBIA として次回 WBA 総会に備える
こととした。
なお WBA 事業を含む工業会の国際関係予算については、委員会の承認をいただいた(そ
の後、第 3 回サンセット・レビューの先行きの見込みが大きく変わったことに伴い、1 月理
事会において予算組換えをすることとなり、国際交流関係費予算案(積算表)は修正され
た)。
A:北京首脳会合で発生した課題
・環境での協力事業、他の協力事業
・WBA の構造見直し(団体の団体又は大手企業の団体)
・中国軸承企業と CBIA の扱い
B:2014 年次 WBA 総会
・日程、場所、議題(新 WBA 会長など)
・参加者(JBIA メンバーの構成、欧米メンバーの変更)
C:WBA 事業に係る JBIA 予算、各社負担
(5)不正商品対策
① 不正商品対策専門委員会
41
・重慶市場対策
2011 年度の経済産業省(模倣品対策室)による「中国内陸部模倣品被害状況に関する
調査」で、特に重慶市は市場規模もあり、偽造ベアリングの市場占有率が非常に高いこ
とが判明。
この結果を受け、会員による参加は任意として、2012 年度後半に IPF に委託し商流を
調査(8 割が偽物と判明)。同市のベアリング補修品市場の一部を支配する犯罪グループ
を対象の主体として 2013 年 5 月 20 日に刑事レイドを 3 業者に対して実施し、6 名が拘留
され、内 1 名が逮捕された。
レイド以前から、市公安局への表敬訪問と市場調査(摘発による市場の変化を評価)を
課題としており、当局との日程調整の結果、2014 年 2 月 26 日に決定した。中国政府機関
のアポ取りは通例間際となることが多く、今回も日程が決まったのが 10 日前であったた
め、本件関係者の日程調整が困難となり、参加者は、内田氏(NSK)、袁氏(NSK)、
船橋氏(NTN)、佐藤(事務局)の 4 名となった。
当初は、摘発を実施した重慶市公安局の当該分局とのアポを確保していたが、面会日の
4 日前に分局側からキャンセルが入った。当会からの委託で調整を行っていた IPF は、市
公安局そのものと急遽調整を図り、結果として前記分局の上位機関である次の局への表
敬が叶った。
市政府機関:重慶市公安局江北区公安分局打假支隊(市公安局の偽物摘発部隊)
公安参加者:黄粱軍(政治委員)、夏海波(隊長)、李(課長)他 2 名
市場視察では、機械類、電気類の市場が広大であったため、結果として三分の一程度の
視察となった。市場内には中国製ベアリングの販売店、輸入ベアリングの販売店が散在
しており、参加者のその場での印象は、次のとおりであった。
‐大通りに面した店舗の製品に問題は少ない。
‐市場の入り組んだ通りにある店舗の場合は、古い真正品を正面に見せつつ、内側
では中国企業名のカートンボックスが積まれており、疑念を覚える。
‐全体にドイツ系のブランドが目立つ。店舗によっては、正面にドイツ系ブランド
品が積まれ、後ろに日本ブランドが置かれていた。
事務局の印象としても日本ブランドは目立たず、偽造品が減ったのか、市場の隠蔽性が
増したのかは不明であった。時を改めての専門家による再調査が必要。
・上海市場対策
2012 年度に、特許庁(ジェトロ)の事業として実施した上海市におけるベアリング
(補修品)マーケット調査結果を活用してレイドを実施することとしていたが、調査会
社のレポートに疑念がもたれたため、中断。2013 年、改めて IPF に調査を委託、違法業
者間の関連とソースからの流れを調査、ターゲットの選択が行われた。会員によるレイ
ド参加は任意としている。
42
②中国 IPG* ベアリング WG
2009 年 12 月に、上海 IPG 内に新設されたベアリング WG(ワーキング・グループ)のメ
ンバーは、当工業会が準会員の資格をえたことにより 7 社(NTN、日本精工、ジェイテクト、
不二越、日本トムソン、ミネベア、JBIA)となった。立ち上げからこれまでに 2 か月ごと
に 25 回の WG 会合を開催(2014 年 3 月末現在)。IPG という別団体の事業ではあるが、ベ
アリング偽造品対策おける中国国内対策の核としていくため、不正商品対策専門委員が会員
として適宜に支援参加し、的確な事業推進を図った。
*IPG(Intellectual Property Group);模倣品や海賊版といった権利侵害など知的財産権に関する問題に対処する
ため、情報交換の場として、業界別・テーマ別の活動の場として、さらに現地政府との協力活動をおこなう母
体として 2002 年に発足した日系企業の団体。JETRO が事務局。2014 年 4 月より、各地域(北京、上海、広
東)の IPG 組織が統合・再編し、中国 IPG 単体として北京、上海、広州の 3 地点にて輪番で開催されていくこ
とになる。
・広州交易会監視
経済産業省の委託事業として展覧会における模倣品監視が例年募集されている。2013
年も公募があり、広州交易会の監視を応募したが、今回は中小企業優先とされ、採用に
至らなかった。
・グローバルな偽造品の流通実態調査(経産省委託事業)
2012 年に採用実施された「模倣品国際流通に係る実体調査」の継続版として、ベアリ
ング WG が提案した「グローバルな偽造品の流通実態調査(国外輸入サイドとの関係
ルート。特に、国際分業を重視)」が 2013 年度 IPG 事業として採用された。調査は IPF
に委託され、WG は事例と情報提供などで協力。
近年、中国製偽造品のグローバルレベルでの被害が拡大。被害の形態としては、中国で
製造された偽造品が海外に流通するシンプルな形態が多いが、インターネット経由での
販売が増加、中には海外からのみ見られる独自のウェブサイトを構築して、同サイトで
のみ受注する等、手口も巧妙化。また、最近、中国国内での中国当局による摘発強化に
伴い、海外に製造工程の一部を移す業者(「国際分業」)も増加。
本調査では、税関差止事例を中心に事例収集し、同事例をベースに、中国国内外にて必
要な調査を実施して、流通の構造を可能な限り明らかにした。なお、目的国は、ベアリ
ング WG メンバーの被害が相対的に大きい、東南アジア諸国とした。
3 月 19 日のベアリング WG 会合で最終報告(JETRO が IPF に委託)を確認した。本報
告は製本が完了して IPG 会員に配布され、4 月には JETRO のウェブサイトに掲載される
予定である。
・IPG「2012 年中国知的財産権保護貢献部門」への推薦と表彰
IPG では、毎年、前年に知財保護貢献が顕著であった中国の行政機関を表彰している。
IPG 会員から推薦のあった行政機関の成果を評価し、評価査定のうえ 10 機関ほどが表彰
対象となる。ベアリング WG は上海税関を推薦、評価査定上位で表彰対象として決定さ
43
れた。2013 年 7 月開催の感謝式典は今般の日中の情勢により、表彰対象機関の不参加も
一部あったが、ベアリング WG が推薦した上海税関は、総署と共に参加し、ベアリング
WG の代表(JTEKT、NTN)が表彰を授与した。
③国際知的財産保護フォーラム(IIPPF)
政府・関連団体・企業が一体となって模倣品など知的財産権侵害対策を実施するため、
2003 年 4 月に発足した「国際知的財産権保護フォーラム」では 2013 年度も継続して活動が
行われた。フォーラムでは 4 つのプロジェクトが設けられており、当工業会は、そのうち第
1 プロジェクト(産業界からの提言策定と中国へのミッション派遣)、第 3 プロジェクト
(情報交換・調査研究)に参加し、情報提供による貢献をしている。
しかしながら、IIPPF 中国ミッションは、日中関係の問題から、長く停滞が続いている。
このため、工業会では、現状 IPG に重点を置き、協力活動を行っている。
④模倣品対策・通商室との連絡など
経済産業省 製造産業局 模倣品対策・通商室との連絡を密にしてきた。ベアリングの製品
及び偽造品対策について説明などを励行してきた。2013 年は、同室が企画している対策事
例集作成に協力した。
(6)情報の収集と提供
当工業会のホームページには、ベアリングの財務省通関統計、米国と EU 主要各国の輸入
統計を掲示している。
(7)会議の開催
B&M 弁護士による資料の事前チェックと会議モニターのもと、必要な会議を適宜開催し
ている。2013 年度の開催は次のとおり。
・国際部会会議:2 回
・通商対策専門委員会会議:15 回(経済産業省との会合含む)
・WBA 対策専門委員会/不正商品対策専門委員会合同会議:2 回
次回国際部会は、2014 年 5 月 16 日開催。
44
4.生産及び経営の高度化に関する事業
(1) 地球環境対策
地球環境対策について、環境自主行動計画の目標に向け、地球環境対策委員会を中心とし
て会員各社が円滑な対応が図れるよう情報収集、方針検討等を行うとともに、経済産業省及
び関係機関への調査協力・説明並びに会員への情報提供等の活動を行っている。
①環境自主行動計画フォローアップ
地球環境対策委員会は、平成 10 年に策定し経団連に報告した「ベアリング工業における
環境自主行動計画」に基づいて、平成 25 年度(2013 年度)は、平成 24 年度(2012 年度)
の実績についてフォローアップを行うべく、平成 25 年 6 月に会員各社の地球温暖化対策、
循環型社会形成に向けた対策などの進捗状況及び見通しについてアンケート調査を実施した。
その調査結果に基づき、地球温暖化対策については、目標年度(2008~2012)の結果を含め
たフォローアップ結果を取りまとめ、9 月に理事の方々の承認を得た上で、経済産業省及び
経団連へ結果報告した(本件については 11 月理事会で報告された。)。また、循環型社会
形成に向けた対策については、フォローアップ結果を取りまとめ、11 月の理事会で承認を
得て、経団連へ結果報告した。
a.地球温暖化対策
目標:2008 年度から 2012 年度の二酸化炭素排出原単位の平均値を 1997 年度比 13%削減
に努める。
二酸化炭素排出原単位指数%
(トンCO2/億円)
注 1:
は電力の排出係数を固定した方法(電力の排出係数一定。各年度 3.05t-CO2/万 kWh)
は電力の排出係数が年度ごとに変動する方法(1997 年度 3.24、2008 年度(クレジット調整後排出係数)
45
3.35 、2009 年度(同左)3.16、2010 年度(同左)3.16、2011 年度(同左)4.29、2012 年度 4.41
t-CO2/万 kWh)。
はクレジットなし実排出係数で 2008 年度 4.00 、2009 年度 3.70、2010 年度 3.72、2011 年度
4.60 、2012 年度 5.17t-CO2/万 kWh。
注2:本年度の調査報告は、昨年度の調査報告と比べて遡って報告値を精査したことから、各年度の実績数
値は若干の変動がある。
注3:原単位算出方法=二酸化炭素排出量/ベアリング付加価値生産高(ベアリング付加価値生産高とは、
会員各社が売価変動を受けにくい単価を基準とした生産高から材料費や外注費等の外部費用を除いたも
の。)
ア.電力の排出係数を固定した方法による算出
前頁のグラフの黒棒は、各年度とも電力の排出係数を固定した方法を使用し、事業者の努
力が調査結果に現われるよう、電力の排出係数の変化による要因を除いて算出した。二酸化
炭素排出原単位の 2012 年度実績は、1997 年度比 17.5%減となった。目標年度の 2008 年度
から 2012 年度の平均値では、1997 年度比 15.7%減となり、会員企業の努力が継続されたこ
とにより、13%削減の目標を達成することができた。
2008 年度から 2012 年度の平均値実績が目標を達成した要因としては、会員各社がより一
層、省エネ設備投資の増強や、エネルギー効率向上、設備稼働率向上などを積極的に行った
ことに加え、地球環境対策委員会を中心として、環境問題に関する講演会や先進企業の工場
見学会などを実施したことや、会員各社が実施した省エネ等の取組み事例をまとめた事例集
を作成し、参考となるよう会員各社に情報提供を行ったことなど、地道な活動の結果である
といえる。
当工業会は、当初から、目標としてこの方式を採用してきており、経済産業省及び経団連
にも、この方式で結果報告をした。
イ.電力の排出係数が年度ごとに変動する方法による算出(参考)
以上の電力の排出係数を固定した方法に対して、前頁のグラフの白棒は、電力の排出係数
が年度ごとに変動する方法の結果である。この方法では、二酸化炭素排出原単位の 2012 年度
の実績(電力のクレジット調整後排出係数を使用)は、1997 年度比 4.9%増加となった。
1997 年度と 2012 年度を比較すると、付加価値生産高が 25.0%増加し、二酸化炭素排出量
の約 8 割を占める電力の排出係数が 1997 年度比 36.1%増加したが、二酸化炭素排出原単位
では 4.9%の増加に止まった。要因としては、省エネ設備投資の増強や、エネルギー効率向
上、設備稼働率向上などを行った会員企業の努力の積み重ねの結果である。(なお、電力の
実排出係数を使用すると、2012 年度は、1997 年度比 19.2%の増加となった。)
なお、目標の 2008 年度から 2012 年度の二酸化炭素排出原単位の平均値実績では、1997 年
度比 7.2%減少となった。
46
ウ.目標達成に係る評価
当工業会は、もともと目標の前提として、固定係数方式を採用しており、上記ア.のとお
り、その上での目標達成となった。近年のフォローアップの作業課程の国内議論においては、
CO2 排出係数についての考え方などで様々な議論が混在していた背景もあり、結果が適切に
評価されるように、適宜適切に政府関係審議会ワーキンググループをはじめ各方面に対して
当工業会の立場とその結果についての説明に努めてきた。
具体的には、
(ⅰ)2013 年 5 月に「2012 年度自主行動計画評価・検証結果及び今後の課題等(案)」
に対するパブリックコメントを経済産業省に提出。
(ⅱ)宮下専務理事が経済産業省審議官(環境問題担当)に説明に上がった。
(ⅲ)産業構造審議会等ワーキンググル―プで当工業会地球環境対策委員会の保里委員長
が説明を行い、正当な評価を得た。
2014 年 5 月 28 日に産業構造審議会等ワーキンググル―プの上層にある審議会が開催され、
報告及び最終的評価確定が行われ、当工業会は目標達成と評価された。
エ.本社ビルからの二酸化炭素排出量
当工業会では、2005 年度実績から、本社ビルの二酸化炭素排出量実績の集計を行うことと
している。以下のとおり、アンケート結果報告をいただいた 12 社の合計値をフォローアップ
調査において報告した。
【本社ビルからの二酸化炭素排出量(12 社合計値)】
年度
2005
2006
2007
2008
2009
2010
2011
2012
(千㎡)
44.2
49.6
50.8
50.3
52.3
52.6
52.2
60.2
二酸化炭素排出量(千t-CO2)
エネルギー消費量(原油換算)
(千 kl)
2.3
2.3
2.5
2.0
2.0
2.2
2.3
2.5
1.3
1.3
1.4
1.3
1.3
1.4
1.1
1.2
52.8
46.8
49.6
40.7
37.9
41.4
43.2
41.7
29.6
27.2
26.6
25.6
24.3
26.0
21.8
20.5
のべ床面積
床面積当たり二酸化炭素排出量
(kg-CO2/㎡)
床面積当たりエネルギー消費量
(l/㎡)
(注)二酸化炭素排出量は、2008 から 2012 年度はクレジット調整後排出係数で算出した。
b.循環型社会形成に向けた対策
目標:2015 年度の廃棄物の再資源化を 95%以上とするよう努める。また、廃棄物の最終処
分量を 2000 年度比 90%減にするよう努める。
47
再資源化率
最終処分量
注1:本年度の調査報告は、遡って報告値を精査した企業があることから、各年度の実績及び見通しの数値は
若干の変動がある。
2012 年度における再資源化率は 97.4%となり、2015 年度目標を既に達成した結果となった。
更に一層の努力を続けることにより、2015 年度の見通しでは 97.7%となっている。
また、廃棄物のリサイクルが進み、2012 年度の最終処分量は 2000 年度比 91.0%減となり、
48
2015 年度目標を既に達成した結果となった。2015 年度の見通しでは、更に努力を続け、
92.7%減となっている。
②2013 年度以降の「低炭素社会実行計画」への参加と目標設定など
経団連では、これまでの「環境自主行動計画」の「地球温暖化対策」は 2012 年度に終了し、
これに続く 2013 年度以降 2020 年度に向けた取組みとして、「低炭素社会実行計画」を策定
し、業界団体に参加を呼びかけてきた。当工業会は 2010 年 7 月に参加意思を表明し、政府に
おける議論など各般の動向を勘案しつつ、2013 年度内を目途に目標の策定作業を進めてきた。
地球環境対策委員会では、自主行動計画の性格を継続した同計画への会員各社の参加につ
いては、明確な意思決定を前提とするなどの考え方をとりまとめ、11 月理事会でこの承認を
得た。これを受け、手続きを進めた結果、参加企業は 15 社となった。地球環境対策委員会に
おいてこれら参加企業が目標を含む対応案を検討した結果、以下のとおりとなった。
a.目標:2020 年度における CO2 排出原単位を 1997 年度比 23%以上削減することに努め
る。
但し、前提条件として、
①電力の排出係数は 3.05t-CO2/万 kWh に固定する。
②2020 年度の生産量は、直近の 2012 年度レベル以上とする。
b.この数値目標と合わせて「低炭素社会実行計画」の 4 本柱として位置付けられている
「低炭素製品・サービス等による他部門での削減」、「国際貢献の推進」「革新的技
術の開発・導入」についても、可能な範囲で貢献していく。
3 月理事会において、以上の対応案及びこれに基づき工業会として正式に参加することが
承認され、これらは経済産業省及び経団連に報告された。
③その他の環境関連活動
環境自主行動計画を着実に推進するため、会員各社が実際に取り組んでいる環境関連改善
事例を集めて「2013 年度省エネ・廃棄物削減・包装材の改善事例集」を作成し、会員企業
に参考資料として配布した。
また、平成 25 年度経済産業省「資源有効利用促進法施行状況調査における副産物発生状
況等調査」においても、地球環境対策委員会各社より調査のご協力をいただき、業界として
の数値を報告した。
(2)中小企業振興
中小企業の経営の安定及び高度化を図るため、政府及び政府関係機関の施策についての情
報提供、当該施策の活用などを進めるとともに、政府に対して、政策などに関して、提言や
要望、協力等を行っている。
中小企業向け会合については、昨年度から明確な目的をもった形での「中小企業講演会」
49
とし、平成 25 年度は以下①のとおり開催した。
また、中小企業に関する政策、官庁よりの通達等を工業会ホームページに記載するととも
に、緊急を要するものは、各社にEメールにて周知を図っている。
特に、平成 24 年度補正ものづくり中小企業・小規模事業者試作開発等支援補助金(もの
づくり補助金)については、経済産業省・産業機械課及び近畿経済産業局から、迅速な情報
提供をいただき、会員に情報提供した。また、本施策に関し、丁寧な御指導もいただいた。
現在政府が進める成長戦略において国内への投資増大は柱の一つ。本施策はこのための重要
施策であり、当業界としてもこの積極的な活用による経済活性化への寄与が求められていた
ところ、結果として、会員企業 9 社が採択された。
また、政府は、昨秋から、下請ガイドラインについて、その普及とともに、平成 26 年 4
月から実施される消費税の引き上げへの適切な対応を確実とするため、全国各地での「下請
代金法・下請ガイドライン説明会」による周知徹底を開始した。当工業会は、これを踏まえ、
いち早く 10 月 16 日に中小企業講演会として開催し、当工業会会員への啓蒙普及を図った。
さらに、適宜、専務理事、事務局職員が中小会員企業に個別訪問し、工業会の活動状況や
今後の運営などについて説明を行うとともに、情報交換することも実施した。
なお、平成 26 年 3 月理事会で部会制度の廃止が承認され、中小企業部会は廃止された。
①中小企業講演会の実施
(第 1 回から第 4 回は平成 24 年度に開催された。)
第 5 回(平成 25 年 4 月 15 日開催)
テーマ:我が国製造業の現状と中小企業の現況及び施策について
講演者:経済産業省製造産業局産業機械課
課長
須藤
治
殿
講演者:HRM総研・八木社会保険労務士事務所
代表
八木裕之
第 6 回(7 月 10 日開催)
テーマ:中小企業の人事労務管理について
殿
第 7 回(10 月 16 日開催)
テーマ:下請代金法・下請ガイドライン説明会
(中小企業委託事業の受託者である㈱電通パブリックリレーションズと当工業
会との共同事業)
講演者:西内中小企業診断士事務所
代表
西内裕次朗
第 8 回(12 月 10 日開催)
テーマ:企業防災と事業継続について
50
殿
講演者:ミネルヴァベリタス株式会社
代表取締役
松井裕一朗
殿
第 9 回(平成 26 年 3 月 7 日開催)
テーマ:経済政策パッケージと関連施策について
講演者:経済産業省製造産業局産業機械課
課長補佐
金澤
信
殿
②BCP 対策の検討
今後とも大震災等の災害が想定されている中、BCP対策(Business Continuity Plan 事業
継続計画)について、平成 25 年 12 月に開催した中小企業講演会において、ミネルヴァベリ
タス株式会社代表取締役の松井裕一朗殿をお招きし、東日本大震災による事業への影響、南
海トラフ巨大地震発生時における震災リスク、事業継続計画策定におけるポイントなど震災
や水害等の具体的リスクなどを交えながら説明をしていただき、啓蒙普及活動を行った。
③中小企業に関する政策、官庁よりの通達事項等について
平成 25 年 4 月、中小企業講演会において、経済産業省産業機械課須藤課長による「我が
国製造業の現状と中小企業の現況及び施策」について、以下のとおり解説をまじえて説明が
行われた。
「中小企業の製造業がデフレ脱却の鍵を握っている。国内空洞化は、アジアの成長に加えて、
法人税、労働規制、エネルギー制約などが国内事業環境の魅力の低下となっている。日本で
もう一度投資をしたいと思われる環境づくりを行うこととなり、経済対策を今までにない質
と量の両面から策定してきており、補正予算及び 25 年度予算、税制改正を実施してい
る。」
また、平成 26 年 3 月、中小企業講演会において、経済産業省産業機械課金澤課長補佐に
よる「経済政策パッケージと関連施策」について説明が行われた。講演では、「デフレ脱却
と日本経済再生に向けた経済政策パッケージ」として 1 兆円規模の減税や 5 兆円規模の経済
対策などについて説明が行われた。5 兆円規模の経済対策として、中小企業・小規模事業者
ものづくり・商業・サービス革新事業(ものづくり補助金)やエネルギー使用合理化等事業
者支援補助金(省エネ補助金)などについて、昨年好評であった補助金制度をさらに充実し
たことから、ご活用いただきたい旨の説明が行われた。
さらに、中小企業に関する政策、官庁よりの通達事項等を工業会ホームページに記載し周
知を図っている。平成 25 年度における、その主な内容は次のとおりである。
a.第 131 回中小企業景況調査(2013 年 1-3 月期)が発表されました。(中小企業庁)
平成 25.4.22
b.2013 年版中小企業白書が発行されました。(中小企業庁)平成 25.4.30
c.第 132 回中小企業景況調査(2013 年 4-6 月期)が発表されました。(中小企業庁)
平成 25.7.10
51
d.「中小企業総合展東京 2013-2014」来場募集(中小企業庁)平成 25.8.20
e.中小企業信用保険法の規定に基づく業種指定の延長について(経済産業省)平成 25
年 9.10
f.第 133 回中小企業景況調査(2013 年 7-9 月期)が発表されました。(中小企業庁)平
成 25.9.30
g.下請取引適正化推進月間の実施について(経済産業省)平成 25.10.21
h.第 134 回中小企業景況調査(2013 年 10-12 月期)が発表されました。(中小企業
庁)平成 25.12.20
④中小企業信用保険法のセーフティネット保証に係る特定業種の指定について
セーフティネット保証(5 号:全国的に業況の悪化している業種に属する中小企業者を支
援するための措置)については、ギリシャ危機に端を発した世界不況などにより、平成 22
年 4 月から原則全業種が対象に指定され、その後、平成 23 年 3 月に発生した東日本大震災
などによる影響も踏まえ、平成 24 年 10 月まで実施された。
その後、比較的高い成長を維持していた中国等の新興国で景気減速の動きが広がるなどの
厳しい情勢を反映して、平成 25 年 4 月から 12 月までの期間において、需要の著しい減少等
が生じていることにより中小企業者の相当部分の事業活動に著しい支障が生じている業種と
して、「玉軸受・ころ軸受製造業」が他の多数の業種とともに、上記と同様の保証が受けら
れることとなった。
その後、指定業種の見直しがおこなわれた結果、改善傾向がみられる当業種は次回より却
下されることとなった。しかしながら、今までの指定業種は、ソフトランディング措置とし
て、平成 26 年 2 月まで延長され、同年 2 月末をもって指定が終了することとなった。
同保証措置の内容は、中小企業者が金融機関から融資を受ける際に、一般保証とは別枠で、
無担保保証で 8,000 万円、普通保証で 2 億円まで信用保証協会の 100%保証を受けることが
できるものである。
(3) 製品供給高度化及び労務・防災関係
①ニードルベアリング関係及びピローブロック関係
会合開催を見合わせてきた。平成 26 年 3 月理事会で部会制度の廃止が承認され、関係部
会は廃止された。
②労務・防災関係
a.春闘の調査
組合のある会員会社に、平成 26 年度の春闘の「賃上げ要求及び回答」について、調査
を行った。調査結果は、リーガル・チェックの処理の上、平成 26 年 4 月に全会員に対し
提供を行った。
52
なお、平成 26 年 3 月理事会で部会制度の廃止が承認され、労務部会は廃止された。
b.JAM「安全週間ポスター」作成への協力
工場災害防止、安全運動の啓蒙推進を図るため、平成 25 年 7 月 1 日から 7 日まで厚生
労働省が主唱して全国的に開催される「安全週間」のポスターにつき、JAM軸受部会ポ
スター作成費用に協力し、会員企業にポスターの配布を行った。
本年度の安全週間ポスター入賞者は次のとおりである。
特選
福沢秀一(不二越)
入選
相場智也(NTN)、壬生大和(不二越)
佳作
山村尚久(ダイベア)、海老原祥彦(日本精工)、塩谷宣明(NTN)
c.厚生労働省からの周知依頼
厚生労働省より、平成 24 年度には、次の事項について周知依頼があり、工業会ホーム
ページに掲載した。
ア.平成 25 年度全国安全週間の実施に伴う協力依頼について(H25.4.30)
イ.平成 25 年度(第 64 回)全国労働衛生週間に関する協力依頼について(H25.8.12)
ウ.平成 25 年度「見える安全運動コンクール」の実施について(H25.8.30)
エ.「洗浄又は払拭の業務等において事業者が講ずべき化学物質のばく露防止対策」の改
正について(H25.9.20)
オ.労働安全衛生法施行令の一部を改正する政令及び労働安全衛生規則等の一部を改正す
る省令の施行について(H25.9.20)
カ.「労働安全衛生法 28 条第 3 項の規定に基づき厚生労働大臣が定める化学物質による
健康障害を防止するための指針」について(H25.10.10)
キ.平成 26 年度の大学、短期大学及び高等専門学校卒業予定者の就職・採用活動に係る
取扱い等について(H25.11.29)
ク.「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律施行規則の一
部を改正する省令」等の周知について(H26.3.10)
d.全軸野球大会(全日本実業団軸受支部野球大会)
本事業は、「全日本実業団野球連盟」の主催する全国大会に参加することにより、産業界
において、スポーツを通じて、国民の心身の健全な発達に寄与することにつながるものであ
る。
本年度は、平成 25 年 4 月 13 日、前橋市民球場にて、「ジェイテクト・奈良チーム」、
「日本精工・前橋チーム」の 2 チームの参加により開催し、「日本精工・前橋チーム」が優
勝し、ベアリング業界の代表として「紅龍旗争奪第 63 回実業団野球全国大会」に出場した
(2 回戦進出)。
53
改革の段階的アプローチの一環として、昨年度、一部会員のみの参加で開催されてきた同
大会を平成 26 年度の大会について、全会員に広く参加の呼びかけを行うこととし、3社以
上の参加会員があった場合、大会を開催することとした。
この決定を受け、全会員に呼びかけを行った結果、3 社以上の参加希望会社がなかったた
め、平成 26 年度の大会については、中止することとした。これを踏まえ、「全日本実業団
野球連盟」から平成 26 年より休部(会費免除、最長 2 年間)の扱いをしていただくことで
同連盟の了解を得た。
54
5.広報に関する事業
(1)機関誌ベアリングの発行
機関誌「ベアリング」は、月刊として 450 部発行し、会員に加え、関係官庁、関係団体
等に配布した。
平成25年度の掲載内容については、統計資料に関して掲載を行うとともに、ベアリン
グに関する標準化活動(ISO、JIS等)、国際関係事業、環境問題への取組み、中小
企業関連事業など、事業活動について随時掲載した。
特に、ISO/TC4のWGの会議報告として『ISOレポート』を掲載するとともに、
本年度は「ISO/CS(中央事務局)主催の国際幹事研修参加報告」、「第26回 I
SO/TC4 上海総会報告」を掲載した。
1月号においては、会長兼専務理事による個人的見解として「工業会改革の3年目に向
けて ―バラストを積んだ船はまっすぐ進める―」を掲載し、年初にあたり、今後の改革
の道筋について掲載した。
また、『業界の動き』では、関連情報を逐次掲載した。更に政府からの周知要請につい
ても掲載を行った。
連載企画としては、『ベアリングの散歩道』と題し、ベアリングの基礎知識について、
読みやすい内容に工夫し、掲載を行った。
また、親しみやすい機関誌を目指して『ずいひつ』を掲載するとともに、会員各社のア
ピールポイントなどを紹介する『わが社の社会貢献』を随時掲載した。
(2)ホームページ
広く一般の方々に、ベアリング業界と当工業会への理解を高めてもらい、並びに会員に
対する情報提供の充実を図るため、ベアリングの製品説明、産業及び工業会の概要、工業
会会員の紹介、統計資料などを内容とするホームページを運営した。毎月 3 回、定期的に
更新を行い最新情報を掲載した。
55
Fly UP