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JPEC 世界製油所関連最新情報
2013 年 3 月 27 日(水)
JPEC 世界製油所関連最新情報
2013 年 3 月号
(2013 年 2 月以降の情報を集録しています)
一般財団法人 石油エネルギー技術センター
調査情報部
目 次
概
況
1. 北 米
4 ページ
(1) Toledo 製油所の新改質装置本格運転と BP の米国内製油所の動き
(2) カナダ東部に原油の船舶輸送を試みる Valero の情報
(3) Valero、カリフォルニア州の製油所に鉄道貨物オフローディング設備を設置
2. ヨーロッパ
(1) E10 消費におけるドイツの現状と英国のシンクタンクの提言
1)ドイツ市場における E10 消費の変化
2)
「Chatham House」の E10 消費量拡大に関する提言
(2) Phillips 66 のヨーロッパ並びにアジアの製油所売却情報
(3) Arpechim 製油所に関する最近の情報
(4) EU の 2011 年におけるエネルギー消費統計結果
3. ロシア・NIS諸国
(1) Nizhenekamsk 製油所の近代化工事情報
(2) Volgograd 製油所の近代化計画
(3) Komsomolsk 製油所で進行中のプロジェクト(経過情報)
7 ページ
13 ページ
4. 中 東
16 ページ
(1) サウジアラビア Luberef の Yanbu 製油所の拡張プロジェクトの状況
(次ページに続く)
1
(2) サウジアラビア Saudi Aramco と Sabic の R&D 推進へ向けた取り組み
5. アフリカ
(1) ナイジェリア、ダウンストリーム事業を強化政策を発表
(2) ウガンダの製油所新設計画の進展状況
18 ページ
6. 中 南 米
22 ページ
(1) メキシコ Pemex の精製事業と Cadereyta 製油所の近代化プロジェクト
(2) ブラジルのバイオ燃料関連の最新情報
7. 東南アジア
25 ページ
(1) ベトナムの製油所建設プロジェクト 2 件の進捗状況
(2) パキスタンとイランのパイプライン・製油所建設プロジェクト
8. 東アジア
(1) Sinopec のダウンストリーム事業展開の最新の事例
(2) Sinopec 初の CNG ステーションの操業状況
28 ページ
9. オセアニア
29 ページ
(1) オーストラリア BP、クイーンズランド州でインフラ整備を進める
(2) オーストラリア政府、先進バイオ燃料プロジェクトへの支援を発表
※ この「世界製油所関連最新情報」レポートは、2013 年 2 月以降直近に至る
インターネット情報をまとめたものです。当該レポートは石油エネルギー技術
センターのホームページから閲覧することができます。
 http://www.pecj.or.jp/japanese/overseas/refinery/refinery.html
2
概 況
1.北米
・BP や Valero は、北米で安価で高品質な米国産原油や、価格が下落しているカナダ産
重質原油を、保有する製油所で処理するために、製油所の設備改造や原油の鉄道輸送、
船舶輸送、パイプラインなどのインフラ整備を着々展開している。
2.欧州
・ドイツでは E10 ガソリンの消費が増加しているが、主流となるには至っていない。
・英国ではエタノールガソリンの導入が進む一方、バイオディーゼルの比率は減少して
いる。一方、同国のシンクタンクがバイオエタノールの拡大に対し経済性、環境面から
疑問を呈している。
・Phillips 66 は、アイルランド、ドイツで操業している製油所の売却の意向を示して
いる。
・売却が発表されているルーマニアの Arpechim 製油所は、関連石油化学施設との一括売
却を望む政府と、閉鎖も視野に入れる筆頭株主の OMV AG との間で調整がついていない。
・EU では、エネルギー消費量が減少しているが、2020 年迄に温室効果ガスを 20%削減す
るという目標達成の為には消費削減と再生可能エネルギーの更なる導入が必要である。
3.ロシア・NIS 諸国
・ロシア政府による燃料品質向上の方針を受けた製油所近代化の動きの中から、タター
ルスタン共和国、Volgograd 州、極東の Komsomolskno 市の製油所を紹介する。
4.中東
・サウジアラビアでは、Luberef の Yanbu 潤滑油製油所の拡張プロジェクトが進展して
いる。また技術開発に力を入れる Saudi Aramco と Sabic は国内外に研究拠点の拡充を進
めている。
5.アフリカ
・ナイジェリアは、石油天然ガスの下流部門に力を入れインフラ整備を進めている。ま
た、尿素肥料を製造し周辺地域へ供給するプロジェクトが立ち上がっている。
・原油埋蔵が注目されている東アフリカのウガンダ政府は、国内製油所の新設に力を入
れている。
6.中南米
・石油消費量に対して国内精製能力が、大幅に不足しているメキシコの国営 Pemex の精
製分門の投資計画と製油所近代化プロジェクトの事例を紹介する。
・ブラジルのバイオ燃料分野では、大手企業による次世代バイオ燃料製造に向けた欧州
企業との連携が発表される一方、サッカーワールドカップ向けのバイオ燃料プロジェク
トが進められている。
7.東南アジア
・ベトナムでは、2 件の大規模製油所新設プロジェクトの動きが本格化している。
3
・エネルギー供給力の増強を目指すパキスタンは、イランと共同でパイプラインや製油
所の建設を計画している。
8.東アジア
・中国国営 Sinopec は、石油化学部門の進出の中で、製品展開を進めているが、同社初
のイソプレンが完成した。また、ブタンジーオール製造のJV計画が発表されている。
9.オセアニア
・オーストラリア BP は、クイーンズランド州のインフラ需要に応えるためにビチューメ
ン輸入施設を拡充している。
・バイオ燃料事業の商業化の推進を図るオーストラリアの再生可能エネルギー庁は、先
進バイオ燃料プロジェクト 2 件への助成を決定した。
1. 北 米
(1) Toledo 製油所の新改質装置本格運転と BP の米国内製油所の動き
BP Plc は、
2012 年にそれまで米国内に持っていた 5 箇所の製油所の内 2 箇所を売却し、
現在ではワシントン州の Cherry Point 製油所(24 万 BPD)
、インディアナ州の Whiting
製油所(40.5 万 BPD)それにオハイオ州 Oregon の Toledo 製油所(16 万 BPD)の 3 箇所
を保有している。
この内、Toledo 製油所はカナダの Husky Energy Inc.との均等権益の共同事業体であ
る BP-Husky Refining LLC が運転・管理しているが、実際の運転は BP が担当している。
また、BP と Husky Energy は、カナダのアルバータ州で、
「Sunrise オイルサンド・プロ
ジェクト」を均等権益で実施する契約を 2007 年に締結しており、現在は 2014 年に約 6
万 BPD の生産を目指した「Phase 2」の段階にあるとされている。
Toledo 製油所では 1950 年代と 1960 年代に設置された 2 基の接触改質装置と水素発生
装置を更新する工事を進めていたが、これ等の更新工事並びに新改質装置(4.2 万 BPD)
の設置・試運転が終了し、本格運転に向けた取り組みがなされることになった。
今回、工事に伴う大幅な処理量増強は無いが(3%だけ増強)
、最新の技術が投入されて
いるため、大気汚染物質の排出量は 5%減少し、カナダ産重質原油処理量の増強に貢献す
るとされている。
最近の米国内の原油情勢を見ると、どこの製油所も同様に安価なカナダ産重質原油や
非在来型原油の調達に奔走していることが分かる。特にカナダ産重質原油は、現在ほど
標準原油に比して価格差が付いたことは前例がなく、精製マージンが比較的堅調な状況
下、調達面においても設備構成面においても、この安価な原油処理手段さえ準備できて
いれば、処理量増加を検討しない製油所は無いと言われている。
4
BP においても、米国中西部では最大規模のインディアナ州にある Whiting 製油所でカ
ナダ産重質原油の増処理に向け改造工事がなされており、今年後半には当該工事は完了
する予定になっている。現在では同製油所におけるカナダ産重質原油の処理能力は 8 万
BPD に過ぎないが、
拡張工事が終了すれば、
この処理能力は 35 万 BPD に大幅アップする。
ワシントン州 Blaine に設置された Cherry Point 製油所に関しては、現在処理されて
いる輸入原油並びにアラスカ産原油に替わり、安価な非在来型原油である Bakken 原油の
処理拡大に向けて、鉄道貨物オフローディング設備の設置が進められている。
Toledo 製油所についてみると、上記した通り、今回の新改質装置設置に伴うカナダ産
重質原油処理量のアップも期待されるが、同製油所の利点は立地条件にあると言われて
いる。
つまり、同製油所はカナダ産重質原油がパイプライン輸送され集積される Chicago に
近く、同原油の調達にも都合が良い上に、オハイオ州東部―ペンシルバニア州―ニュー
ヨーク州―ウェストバージニア州に広がる「Utica Shale」に近接し、この Appalachian
盆地の地層から産出される非在来型原油の入手にも適した立地条件を備えている。
BP-Husky Refining LLC では、今後更に製油所のフレキシビリティを高める投資を行
っていく予定としているが、今後、Toledo 製油所のみならず新装置の稼動が近い Whiting
製油所、鉄道貨物オフローディング設備の新設が進められている Cherry Point 製油所と
いう具合に、BP 傘下の米国 3 製油所の動向には目を離せない。
<参考資料>
・2012 年 3 月号第 2 項「BP の米国内 2 製油所売却動向と同社のカナダ産原油処理方針」
・2011 年 1 月号第 3 項「
「Sunrise プロジェクト」の進展」
(2) カナダ東部に原油の船舶輸送を試みる Valero の情報
米国及びカナダの東海岸に設置された製油所は、装置的制約から、これまで主として
北海原油や北アフリカ、西アフリカ産の軽質低硫黄原油を処理してきているところが多
く、米国中西部やメキシコ湾岸の製油所に比較すると、現状で安価に取引されているカ
ナダ産重質原油や Bakken 原油及び Eagle Ford 原油に代表される非在来型原油(低硫黄
軽質)の調達に問題を抱え、収益を悪化させている。
カナダのケベック州 St. Lawrence 川沿いの Quebec にJean Gaulin 製油所
(26.5 万BPD、
別名 Quebec City 製油所)を持つ Valero Energy Corp.も同じ問題を抱える企業の 1 社
である。
Valero は米国テキサス州に多くの製油所を持ち、Eagle Ford や Permian Basin 等の比
較的安価な低硫黄軽質原油を入手し易い立場にあり、これ等の原油を Jean Gaulin 製油
所に輸送することで、同製油所の収益性改善に繋げたい Valero では、今年夏からテキサ
ス州 Corpus Christi から Quebec City に向けて原油を船舶輸送する計画を公表した。
5
Jean Gaulin 製油所のあるカナダ東部地域は、Enbridge Inc.が既存パイプラインの輸
送流路を逆送させて、同地域に安価な Bakken 原油やカナダ西部産原油を輸送する検討を
進めている(2012 年 6 月号第 2 項参照)
。
また、TransCanada Corp.が、既存の天然ガスパイプラインを転用してカナダ西部産原
油を Montreal 地域へ輸送する計画を進めているが、現実にはこれ等計画の実現の目処は
明確ではなく、早期調達は困難で、パイプラインの設置を待つ時間的余裕はない。この
様な状況下で、Valero が他社に先んじて自社の Jean Gaulin 製油所向けに原油の船舶輸
送を実施に移す為の許可を得ている。
米国の法律では特別許可が無い限り、原油の国外輸送は禁じられている。今回、Valero
が米国商務省から得た許可は、1 年間の期限付きでカナダへ最大 9 万 BPD の輸出を可能
とする内容のもので、この許可は有効期間の失効後最大 1 年間の更新が認められている
ものである。
同種の許可を得ている企業は、Valero のみではなく、昨年末時点で BP plc や Royal
Dutch Shell も取得しているが、両社がどの様な内容で当該許可を実行に移しているか
についての情報は手元には無く不明である。
通常、国際船舶でメキシコ湾岸からカナダ東部まで原油を輸送する場合、輸送コスト
は約$2/バレルと言われているが、現実には$5/バレル掛かると報じられている。その理
由は、米国の 1920 年商船法(Merchant Marine Act of 1920)のセクション 27 に基づ
くと、国内輸送の全部または一部を米国民が所有し、国内で登記・登録され、米国にお
いて製造または修理され、米国民により運航される輸送船のみが当該輸送を行うことが
できると内航海運を制限している所謂「Jones Act」が存在するためである。
今回、Valero は輸送コストを負担してまでカナダ東部の自社の Jean Gaulin 製油所に
原油を輸送することにしている。それほどまでに当該地域の精製事業環境は悪化してい
ると考えることができる。
例えば、カナダ東部のノバスコシア州 Halifax に Dartmouth 製油所(8.8 万 BPD)を持
つ Imperial Oil Ltd.は、採算性の悪化から同製油所を売却に付し、売却できない場合
には閉鎖を考えている(2012 年 6 月号第 1 項参照)
。今後、Dartmouth 製油所のようなケ
ースが増えるか否かは、同地域で計画されている原油輸送に関わるインフラ整備のタイ
ミングに掛かっていると思われる。
<参考資料>
・2013 年 2 月号第 1 項「Valero Energy Corp.の最近の動き」
・2012 年 6 月号第 2 項「Enbridge のパイプライン・システム見直しとカナダ東部への原
油輸送」
・2012 年 6 月号第 1 項「Imperial Oil Ltd.が Dartmouth 製油所の売却を検討」
6
(3) Valero、カリフォルニア州の製油所に鉄道貨物オフローディング設備を設置
Valero Energy Corp.は、大手独立系石油精製会社で、世界の 16 箇所で製油所を稼動
させているが、米国カリフォルニア州では San Francisco 北東部に Benicia 製油所(17
万 BPD)を、また Los Angeles 南部に Wilmington 製油所(13.5 万 BPD)を持ち、合計 2
製油所を稼動させている。
カリフォルニア州の環境関係の規制は他州に比べると厳しく、同州の規制対応には多
額の投資が必要となり、運転コストが高く、収益が低くなることから、両製油所は昨年
10 月時点で両製油所共に売却されるとの記事が多く報道され、売却に向けた手続きが取
られているものと思われていた(2012 年 11 月号第 1 項参照)
。
しかし、最近の米国における非在来型原油開発ブームにより、非在来型原油が比較的
安価に調達できる上、この非在来型原油の低価格に引きずられるかの様に、カナダ産重
質原油も過去最低の価格を付ける等、これ等の安価な原油の調達さえ出来れば、精製マ
ージンも上向き、収益に貢献できることになる。
一度は売却検討対象とされたカリフォルニア州の 2 製油所であるが、ここに来て
Benicia 製油所に 7 万 BPD の鉄道輸送用の原油受け入れターミナルを設置する計画を
Valero が発表している。着工は今年下期になる予定だが、稼動は 2014 年上期にしたい
との意向を示しており、工期は極めて短い。
同製油所では処理原油の殆どを船舶輸送による海外からの比較的高価な原油に頼って
いる現状から、安価な国内産原油あるいはカナダ産重質原油処理に切り替え、早期のコ
スト削減を目指しているものと思われる。
Valero では Wilmington 製油所も念頭に置いて、鉄道貨物(原油)受け入れターミナ
ルの設置を検討している模様で、数ヶ月前には売却が検討されていた製油所を、方針変
更して収益改善が期待できるほど、今の“米国の非在来型原油開発ブーム”が勢いを増
していることに驚かされる。
<参考資料>
・2012 年 11 月号第 1 項「Valero がカリフォルニア州から撤退するとした情報とその背
景」
2. ヨーロッパ
(1) E10 ガソリン消費におけるドイツの現状と英国のシンクタンクの提言
2012 年は世界各地における旱魃の影響で、トウモロコシをはじめとする穀物類の価格
が高騰した状況を受けて、EU の先進国がバイオ燃料使用の一時的見直しを行っている現
状を、本サイトではドイツ及びフランスを例に挙げて報告した(2012 年 9 月号第 3 項参
照)
。
7
その時点においては、2011 年当初から販売を開始したエタノールを 10%混合したガソ
リン(E10)の消費状況は、必ずしも芳しいとは言えなかった(2012 年 9 月号第 3 項(1)
参照)
。しかし、最近の消費傾向には変化が現れているようである。その様子をインター
ネット情報で収集してみた。
また、英国の E10 に関わる情報については、英国のシンクタンク「Chatham House(Royal
Institute of International Affairs)
」が、
“ガソリン中のエタノール混合比率を増加
させる政策は、消費者に余分な経済的負担を負わせることに等しい。
”とした見解を示し
ているほか、幾つかの提言を行っているので、その状況について報告する。
1)ドイツ市場における E10 消費の変化
ドイツで E10 が市場に導入されたのは 2011 年当初からで、まだ市場に出回ってから日
は浅い。ドイツでは、長年、E5(エタノール 5%混合ガソリン)が販売されてきているも
のの、E10 に関しては、使用できない車両数が少なからず存在していることや、多くの
ドライバーが E10 の長期使用による自動車エンジン・トラブルへの可能性を恐れる心理
が働いて、消費に繋がっていないと言われていた。
しかし、ドイツ連邦経済技術省輸出管理局(BAFA:Federal Office of Economics and
Export Control)の最近の統計結果としてメディアが報道しているところによると、昨
年、ドイツにおけるガソリン販売総量が 6%の落ち込みを見せた中、E10 の販売量は 43%
増加したと言う。絶対値にして 2011 年の E10 販売量が約 180 万トンであったのに対して
2012 年は約 270 万トンの販売量である。
E10 の販売価格は、リサーチ・オクタン価 95 の E5 に比較して 0.03-0.04 ユーロ/リッ
トル(3.7~5.0 円/リットル)安価に販売されているにも拘らず、モーターガソリンの
販売量が年間 1,900~2,200 万トンのドイツ燃料販売市場において、上記の通り販売の伸
び率は大きいものの、販売シェアで見るとそれほど大きな数値は示しておらず、輸送用
燃料として標準的なガソリンと呼ぶには、まだ相応しくないとされている。
2)
「Chatham House」の E10 消費量拡大に関する提言
EU が提示している再生可能燃料導入義務制度(RTFO:Renewable Transport Fuel
Obligation)は、加盟国に対し 2014 年までに燃料消費量に占める再生可能燃料の割合を
5%以上とすることを義務付けている。
英国においては、EU の RTFO を踏襲する制度として独自の RTFO を 2008 年 4 月から導
入し、その後、年毎に達成目標数値を上昇させ、今年の 4 月からは全燃料消費量に占め
る再生可能燃料の割合を 5%以上にすることが義務付けられている。但し、まだ正式決定
には至っていないが 5%から 4.7%に引下げられる可能性がある(図 1 参照)
。
8
表 1. 英国の RTFO 使用義務量推移
図 1. 英国の RTFO 使用義務量推移
(出典:UKPIA 資料)
また、2009 年に制定された EU の「再生可能エネルギー指令(RED:Renewable Energy
Directive、2009/28/EC)
」では、運輸部門において燃料消費量に占める再生可能燃料の
割合を 2011~2020 年の 10 年間で 10%以上とすることが課せられているために、英国に
おいては、今年の RTFO に基づく 5%の使用義務量を達成した上で、今後 7 年間で更に 5%
引き上げなくてはならないことになる。
政府としても、再生可能燃料の消費義務量達成に向けた政策の施行が求められている
が、その方策としては、エタノール含有ガソリンの販売促進のみならずガソリン中のエ
タノール含有比率を増加させる政策も含まれることになる。
上記事項を念頭に置いて最近の英国の燃料市場を観ると、バイオ燃料が政府の示す政
策により順調にシェアを伸ばしてきていることが分かる。また、燃料油種別に見ると、
報道されている様にバイオディーゼルからバイオエタノールにシフトしつつあることも
分かる。
(図 1、表 1 参照)
英国内で供給されているバイオ燃料中のエタノール含有ガソリンのシェアは、2010 年
には 41%であったが、2012 年には約 61%になっている。反面、バイオディーゼルは 60%
から約 35%にシェアを落としている。これは安価な米国産トウモロコシを原料とするエ
タノールの輸入量が増加していることを反映していると伝えられている。
この様な英国内でのバイオ燃料に関する現状を踏まえた上で、シンクタンクの
「Chatham House」の提言を見てみると、中・長期的な見地からは、ガソリン中のエタノ
ール混合比率を増加させる政策は、幾つかの不都合な事態を招くため、改めるべきであ
るとしている。インターネット情報から「Chatham House」の提言をまとめてみると下記
のようである。
① 英国の政策としての RTFO に規定されている再生可能燃料使用義務量について、消費
者負担を軽減して経済的に達成するには、RTFO 規制で現状では“バイオ燃料”とし
てひと括りの範疇で消費量を義務付けているが、エタノール混合燃料とバイオ燃料
(バイオディーゼル)の夫々に別けて達成目標値を定めるべきである。
② 「Chatham House」の試算によると、英国の 2011 年~2012 年の燃料消費量実績をベ
9
③
④
⑤
⑥
ースとして、EU 規制の RED をバイオディーゼルで達成する場合には約 18 億ドル/年
を要するが、バイオエタノールで達成する場合には 23 億ドル/年となり割高になる。
この試算結果を消費者負担に当てはめ、英国の 1 世帯当りに換算すると約 121 ドル/
年の負担増に相当する。
2020 年の再生可能エネルギー使用量を定めた EU の RED を達成する主要な政策として
英国では RTFO が施行されているのだが、現行のままでは経済的に上手く目標を達成
する手段にはなっていない。
エタノール混合燃料は、化石燃料のみのガソリンに比較して、カロリーが低いことに
もっと注目すべきである。
更に、各種資料で指摘されているように、バイオ燃料の原料生産に伴う食糧問題との
競合関係や間接的土地利用変化(ILUC:Indirect Land Use Change)の問題にも注意
を払うべきである。
「Chatham House」が英国政府に提言している事項は、エタノールの入手先として、少量
ながらシュガービート(テンサイ)原料の英国があるものの、現実的にはトウモロコシ
原料の米国や、シュガーケーン(砂糖黍)原料のブラジルに依存することになり、エタ
ノールに過度に依存する政策を進めることは、セキュリティー上からも避けなくてはな
らないとしているようだ。
<参考資料>
・http://www.dailymail.co.uk/news/article-2291870/EUs-green-petrol-drive-price
s-end-year-damage-car.html?ito=feeds-newsxml
・2012 年 9 月号第 3 項「ヨーロッパにおけるバイオ燃料混合に対する見直しの動き」(1)
ドイツにおける E10 使用禁止に係る情報
・2011 年 4 月号第 1 項「ドイツにおける E10 ガソリン販売の現状」
・http://www.ukpia.com/files/pdf/statsreview2012.pdf
(2) Phillips 66 のヨーロッパ並びにアジアの製油所売却情報
Phillips 66 は、Bank of America Merrill Lynch が 3 月上旬にニューヨークで開催し
た「2013 Refining Conference」の席上、今後の成長が見込める米国での精製事業に注
力する目的で、“もはや事業の中核をなしていないアジア並びにヨーロッパの製油所
(図 2 参照)の売却を検討している。
”
、と発表している。
アジアの製油所としてはマレーシア国営石油会社 Petronas と共同事業形態を取る
Melaka の PSR-2 製油所(16 万 BPD、Phillips 66 の持分は 47%)である。
ヨーロッパの製油所としては、
アイルランドの Cork にある Whitegate 製油所
(7 万 BPD)
とドイツ南西部の Karlsruhe にある Shell、ExxonMobil 及び Ruhr Oel との共同事業体と
しての Mineraloelraffinerie Oberrhein GmbH(MiRO)の製油所(31 万 BPD、Phillips 66
の持分は 18.75%)
を指し、
英国北東部海岸に設置されている Humber 製油所
(23.4 万 BPD)
は含まれていないようである。
10
図 2.Phillips 66 の製油所所在地
Whitegate 製油所はアイルランド唯一の製油所で、国内需要の 30~40%に対応すると共
に、英国市場も開拓してきているが、これまで主として北海原油や北アフリカ及び西ア
フリカ産原油が処理対象で、設備的にも処理できる原油は「低硫黄軽質原油」との制約
があり、ヨーロッパ経済が停滞している情勢下、今後の再生策を講じるのは困難だとし
ている。
MiRO 製油所は、高効率で収益率の高い製油所ではあるが、Phillips 66 の戦略的製油
所にはなっておらず、マレーシアの PSR-2 製油所も Phillips 66 にとっては発展の余地
が殆どないとの観点から、売却検討対象になっていると言われる。
MiRO 製油所及び PSR-2 製油所で共同事業を組む相手企業の考えは、今のところ公表さ
れておらず、動きを掴めないが、Whitegate 製油所に関しては、Philips 66 の発表に反
応 し て 、 早 速 ア イ ル ラ ン ド の 通 信 ・ エ ネ ル ギ ー ・ 天 然 資 源 省 ( Department of
Communications, Energy and Natural Resources)が動きを見せている。
製油所以外に約750 万バレルの貯蔵設備及びターミナルを稼動させているPhillips 66
の今回の発表は、アイルランドにとってはエネルギーの安定供給に絡む主要事項になっ
ている。
11
同国政府としては、再生可能エネルギーの割合を増加させる方針であるものの、実際
には化石燃料への依存が高い状況になっているからである。Philips 66 の発表から時間
が経っていないこともあり、交渉の行方を伝える情報は得られていない。
<参考資料>
・http://www.phillips66.com/EN/about/reports/profilebook/Documents/Refining_Mi
dstream_Chemicals.pdf
・http://www.phillips66.com/EN/investor/presentations_ccalls/Documents/Phillip
s%2066%20BAML%202013%20Refining%20Conference.pdf
(3) ルーマニアの Arpechim 製油所に関する最近の情報
ルーマニアの OMV Petrom S.A.は、オーストリアの政府系石油会社 OMV AG (OMV
Aktiengesellschaft)が株式の 51%を所有し、ルーマニア政府が 20.6%を所有する石油会
社である。同社は傘下に Arpechim 製油所(7 万 BPD)と Petrobrazi 製油所(9 万 BPD)
の 2 製油所を持っている。
両製油所共にルーマニア内陸部に位置し、特に Arpechim 製油所に関しては流通設備も
充分ではなく、処理能力も低いため収益性に大きな問題を抱えていた。需要が低迷して
いる中、OMV Petrom は 2011 年初期に同製油所の売却を決め、関心を示す企業の出現を
待っていたが現れず、製油所を完全に閉鎖しターミナル化することにしていた。しかし、
実質的なターミナル化工事が行われないまま遊休設備として今日に至っている。
一方、Petrobrazi 製油所に関しては、これまでも稼働率が 70%台を示しており、高い
とは言い難いが、現在では国内原油処理専用の製油所として設備改造し、運転が継続さ
れている。OMV Petrom では、今後更に設備投資を実施して Euro-5 製品製造に向け 2014
年完成予定で近代化工事を行っていく方針を打ち出している。
Arpechim 製油所が売却に付されて久しく、同製油所の買収に関心を持つ企業が現れな
いことから、この度、OMV Petrom では買収に関心を持つ企業の存在の如何に関わらず“廃
棄”の方針を発表した。
この方針にルーマニア政府が“待った”をかけていると報じられている。理由は、製
油所に併設されている国営石油化学会社 Oltchim SA との一括取り扱いを、政府が念頭に
置いているためと報じられている。
当該 Oltchim は現在破産状態にあり、今年初めにルーマニアの経済相は Oltchim と
Arpechim 製油所の一体売却を提唱していた。Oltchim に原料を供給する製油所として切
り離せないとの考えからのようであるが、石油化学設備稼働に必要となる装置は
Arpechim 製油所から既に入手済みで、製油所の単独処分は可能なはずであるとの報道も
あり、本当の姿は見通せていない。
Oltchim と Arpechim 製油所の一括解決を図りたい政府と、早期に製油所の清算を図り
12
たい OMV Petrom の思惑の相違から、両設備の取り扱いをめぐる問題の解決には、しばら
く時間を要するように思われる。
<参考資料>
・2012 年 2 月号第 3 項「OMV が Bayernoil 製油所の権益を売却する方針」
・2011 年 5 月号第 4 項「ルーマニアの OMV Petrom が Arpechim 製油所をターミナル化」
(4) EU の 2011 年におけるエネルギー消費統計結果
欧州委員会統計局が、EU 加盟国の 2011 年のエネルギー消費統計を 2 月に公表してい
る(参考資料参照)
。2008 年以降 2011 年に至る結果を見ると、欧州における経済危機を
反映し、エネルギー消費量の減少が観察される。EU 全体としては、2008 年は原油換算値
18.01 億 toe(tone of oil equivalent)であったのに比し、2011 年は 16.98 億 toe で
5.7%の減少となっている。
輸入量から輸出量を差し引いた正味の輸入量(net imports)を、総消費量(総消費量
プラス外航船に供給したバンカー油量)で割った数値で定義される輸入エネルギー依存
率(energy dependence rate)を見ると、EU 全体では 2011 年の当該値は 53.8%になって
いる。
国別で比較すると、2011 年のエネルギー消費量が多い国は、上位からドイツ、フラン
ス、イギリス、イタリア、スペインで、これらの 5 カ国の総消費量は、EU 全体の消費量
の 63%を占めている。反対に、エネルギー依存率の低い国はデンマーク、エストニア、
ルーマニア、チェコ及びオランダが上位 5 カ国になっている。
また、2008 年を基準として 2011 年のエネルギー消費量の減少割合を見てみると、27
ヵ国中 23 カ国で減少し、減少割合が大きい数値を示した国はリトアニア、アイルランド、
ギリシャ、ルーマニア、スペイン及び英国である。増加しているのはマルタ、エストニ
ア、ポーランド及びベルギーの 4 カ国である。
エネルギー消費量と温室効果ガス排出量は、密接な関係があると考えられ、2020 年時
点において、温暖化要因ガス排出量を対 1990 年比 20%の削減を目指す EU は、今後、再
生可能エネルギーの導入と共に更なるエネルギー消費量の削減に努めていくことになる。
<参考資料>
・http://epp.eurostat.ec.europa.eu/cache/ITY_PUBLIC/8-13022013-BP/EN/8-1302201
3-BP-EN.PDF
3. ロシア・NIS 諸国(New Independent States)
(1) Nizhenekamsk 製油所の近代化工事情報
ロシアの生産・投資会社である TAIF グループの傘下の企業で、ロシア連邦タタールス
13
タン共和国の石油精製会社TAIF-NK が、
同共和国Nizhnekamsk に設置されたNizhenekamsk
製油所(12 万 BPD)で進めている製油所近代化プロジェクト「(HRCC:Heavy Residue
Conversion Complex)
」の一部業務を東洋エンジニアリング株式会社(TOYO)に発注した。
より具体的には、減圧蒸留残油の分解設備で、米国のエンジニアリング会社 KBR がラ
イセンスを持つ技術を用いた装置で、残油をスラリー状で水素化分解と水素化処理を同
時に行う技術(VCC:Veba Combi Cracker)を用いた重質残油分解装置である(参考資料
参照)
。
TOYO が担当する業務は、5.2 万 BPD の減圧蒸留残油と装置内で副産する 2.1 万 BPD の
減圧蒸留留出油を処理し、石油化学原料と Euro-5 準拠のディーゼル燃料に転化する上記
VCC 技術の重質残油分解装置に関わる詳細設計及び調達業務である。
今回の発注に先立ち、昨年 2 月に KBR は TAIF-NK との間で、VCC 技術に関わるライセ
ンス供与並びに基本設計パッケージ(LBEP:License, Basic Engineering Package)
、そ
の他のサービス提供契約を締結している。尚、重質残油分解装置の完成予定は 2016 年と
され、建設自体は現地業者が行うとされている。
TAIF-NK の HRCC プロジェクトに関しては、硫黄回収装置の建設も計画されており、当
該建設業務は、包括的なサービスを提供するマレーシアの KNM Group Bhd に約 1 億ドル
で発注されており、約 2 年半で工事は完了する予定である。
これまでも報告してきている通り、ロシア政府は輸出製品の高付加価値化と、国内で
販売される燃料を Euro-5 基準(S 分、10ppm 以下)に対応した製品とする方針で、当該
方針の推進策として、現行の重油輸出の関税率軽減措置を 2015 年に廃止することを計画
している。このため国内の各製油所では、重質油の分解・水素化処理装置の導入を急い
でいる。
<参考資料>
・http://www.toyo-eng.co.jp/ja/company/news/2013/20130313/index.html
・http://www.kbr.com/Technologies/Refining/Veba-Combi-Cracking/
・2012 年 8 月号第 1 項「ロシアの製油所の Euro-5 対応に向けた情報」
(2) Volgograd 製油所の近代化計画
Lukoil は 、 ロ シ ア 南 部 連 邦 管 区 Volgograd 州 に あ る Volgograd 製 油 所
(Volgogradneftepererabotka:約 22 万 BPD)の近代化計画に伴う設備の EPC 業務(設
計・調達・建設)をスペインのエンジニアリング会社 Tecnicas Reunidas に 14 億ドルの
一括請負契約(LSTK:Lump Sum Turn Key)で発注した。
今回の発注は、2011 年 2 月の FEED(基本設計)業務並びに 2012 年 6 月のサービス契
約に引き続いて Tecnicas Reunidas に発注したことになる。EPC 契約の具体的対象設備
は、減圧軽油を処理する深度精製装置(7 万 BPD、VGO Deep Conversion Complex)の建
設を主体とするもので、当該装置の設置で Euro-5 基準(S:10ppm 以下)のディーゼル
14
を約 3.6 万 BPD 増産できるとしている。
同装置で副産される残油は接触分解装置の原料とするほか、潤滑油基材製造装置で処
理される。アミン再生装置、排水処理装置、硫黄回収装置、排ガス処理装置、硫黄造粒
装置等も設置され、2015 年末の完成を目指している。
Lukoil の深度精製装置設置は、
「ロシア精製事業近代化計画」に準拠し連邦反独占庁
(Federal Antimonopoly Service)、連邦環境・技術・原子力監督庁(the Federal
Environmental, Industrial And Nuclear Supervision Service of Russia)及び技術規
制・計量庁(Federal Agency on Technical Regulation and Metrology)との間で取り
交わした 4 者協定に基づいたものである。
ロシアでは、
「精製事業近代化計画」に基づき国内製油所の近代化工事が一斉に取り進
められているが、2013 年中に累計 10 万 BPD を超える能力の水素化処理装置が新たに稼
動を開始し、ロシアにとって重要な戦略輸出品目と位置づけられている Euro-5 基準の
ULSD(超低硫黄ディーゼル:Ultra Low Sulfur Diesel)が生産されるようになる。
このディーゼルの輸出先はヨーロッパ市場とされており、ヨーロッパにおけるディー
ゼル市場の奪い合いが懸念されている。
<参考資料>
・http://www.lukoil.com/press.asp?div_id=1&id=3778
・2011 年 12 月号第 1 項「ロシアにおける石油精製事業強化策と各社の展開」
(3) Komsomolsk 製油所で進行中のプロジェクト(経過情報)
ロシア極東で稼動している製油所は、Rosneft の Komsomolsk 製油所(約 16 万 BPD)と
Alliance oil Co.の Khabarovsk 製油所(約 7 万 BPD)の2箇所である。前者に関しては、
Euro-5 基準の製品生産に向けた近代化工事としての設備対応、東シベリア-太平洋原油
パイプライン(ESPO-2)から原油の供給を受けるための枝線設置工事、石油製品輸出に
向けた日本海の出荷港「De Kastri」までの輸送パイプライン建設が進行中のプロジェク
トで、これらのプロジェクトの状況は、これまで機会を捉えて報告してきた。
3 月上旬にメディアの Vostok-Media が報道しているところでは、Khabarovsk 地方知事
が主催する会合で、同製油所の近代化工事の進捗状況が報告・審議されている。当該報
道によると、これまで近代化工事で建設が進められている水素化分解装置(4 万 BPD)を
主体とする一連の装置建設完了時期がはっきり示されていなかったが、今回の記事で
2015 年の完成予定であることが分かった。
また、ESPO-2 からの枝線設置工事に関する新情報は無いが、出荷港となる De Kastri
での貯蔵タンク類や出荷設備等のインフラ整備が進んでいること、輸送パイプラインの
輸送能力に関して、これまで輸送能力は 570 万トン/年と報告してきたが、今回の報道で
は 630 万トン/年と記されている点が新しい情報である。
15
更に、昨年夏に稼動を開始したディレードコーカー(2 万 BPD)は、製油所周辺住民か
ら出された異臭に関わる苦情対策で改造を余儀なくされていたが、当該工事はまもなく
終了し、再稼動の運びになっている。
<参考資料>
・2012 年 12 月号第 1 項「Komsomolsk 製油所の製品輸送パイプライン建設計画」
・2012 年 11 月号第 2 項「Kozmino 出荷設備及び ESPO-2 の枝線に関する情報」- (2)ロシ
ア極東の 2 製油所に向けた原油供給ラインの設置情報
・2012 年 9 月号第 3 項「Komsomolsk 製油所の近況・その他情報」
4. 中 東
(1)サウジアラビア Luberef の Yanbu 製油所の拡張プロジェクトの状況
サウジアラビアの Saudi Aramco Lubricating Oil Refining Co. (Luberef)の設備拡
張プロジェクトの進展が伝えられた。
2 月、Luberef は、Yanbu の製油所(Luberef II)の拡張プロジェクトのプロジェクトマ
ネジメント業務契約(project management consulting :PMC)を米国のエンジニアリング
企業 Jacobs と締結している。
Luberef は、Saudi Aramco が株式の 70%、サウジアラビアの投資企業 Jadwa Industrial
Investment Company (JIIC)が残りの 30%を保有する国内唯一の潤滑油製造企業で
Jiddah(Luberef I)と Yanbu(Luberef II)の 2 製油所を運営している。
Yanbu 製油所の拡張プロジェクトは、①需要増が見込める高品質 GR-Ⅱ、GR-III 規格
のベースオイルの増産、②GR-I の製造能力の倍増、③ナフサ、ディーゼル、灯油の増産、
④現在輸入品に頼っている、石油・天然ガス掘削流体の製造を目的としている。
計画によると、水素化分解ユニット(処理能力 2.3 万 BPD)、脱蝋コンプレックス(1.9
万 BPD)、硫黄製造設備、水素製造設備が新設され、プロパン脱瀝装置の能力が拡張され
る。ベースオイル製造能力は、現在の 28 万トン/年から 71 万トン/年に増強される。完
成予定は 2015 年 7 月。
同プロジェクトの設計・調達・建設・試運転(EPCC)契約は、2012 年 10 月に、韓国の
エンジニアリング Samsung Engineering が 8.71 億ドルで受注していた。プロジェクトの
基本設計業務(FEED)を担当してきた Jacobs は、今後、設備エリア内外のプロジェクトマ
ネジメント業務を担当することになる。
<参考資料>
 http://www.jacobs.com/News.aspx?id=7418
 http://www.samsungengineering.co.kr/ Press release 2012 年 10 月 22 日
16
(2)サウジアラビア Saudi Aramco と Sabic の R&D 推進へ向けた取り組み
1)Saudi Aramco と IFP Energies Nouvelles が R&D で協調
サウジアラビアの国営エネルギー企業 Saudi Aramco とフランスのエネルギー研究機関
IFP Energies Nouvelles (IFPen)は、輸送用石油系燃料の競争力強化に向けた、共同研
究を長期的に進めることに合意し、今年 2 月にパリの IFPen で調印式が執り行われた。
2012 年 Saudi Aramco は、
サウジアラビアの西海岸 Thuwal の King Abdullah University
of Science and Technology (KAUST)内に、同社初のサテライト R&D センターを設立して
いるが、今回の IFPen との取り組みは国外初の共同研究施設の設立となるもの。
共同研究は、IFPen が保有する世界第 1 級の研究設備、経験豊富な研究者に加えて、
IFPen の欧州の自動車メーカとの結びつきを活用し、研究開発サイクルを加速させるこ
とを意図している。
契約によると Saudi Aramco と IFP の双方が人材を提供し、IFPen の施設や機器を利用
することになる。研究対象は、次世代の輸送用エンジン向けの、新規石油系燃料の開発
に重点を置く計画である。Aramco には、共同研究を進めることで、石油系燃料製品のエ
ネルギー効率や環境影響、経済性における、自社の国際競争力を高めたいとしている。
サテライトセンターの設立は 2 月末の予定。
2) SABIC、2013 年にサウジアラビア国内外に研究施設を設立
SABIC(Saudi Basic Industries Corporation)は、2013 年内にサウジアラビア国内に 2
ヶ所、インドと中国にそれぞれ1ヶ所、合わせて 4 ヶ所の最新設備を備えた技術開発拠
点を新設すると発表した。各研究施設の概要は次の通り。
①Corporate Research & Innovation Center(CRI)
前出の King Abdullah University of Science and Technology (KAUST) に 4 月に開設
予定。大学と SABIC 間の研究者の交流により、学術界と工業界の融合を図り、アップス
トリーム領域で新たな R&D コミュニティーの形成を目指すとしている。
②SABIC Plastic Applications Development Center(SPADC)
リヤドの King Saud University 内に、プラスチック製品関連の技術開発を研究領域と
する SABIC Plastic Applications Development Center (SPADC)を、今年の後半に開設
する計画。SPADC では、自動車・包装・建設・コンパウンド製品等が開発の対象となる。
③インド、Bangalore 研究センター
インド南部の Karnataka(Karnataka)州の州都 Bangalore(バンガロール)に開設予定の
研究センターでは、化学・材料科学・プロセスエンジニアリング・分析技術等の広範囲の分
野を研究対象として、インド内外の R&D 戦略拠点として機能させる計画。開設は今年の
第 2 四半期の予定。
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④中国、上海研究センター
上海(Shangha)研究センターは、SABIC の戦略事業部門(Strategic Business Units)の
支援を目的に、基礎的研究から応用研究までをカバーする予定で、今年の第 3 四半期の
設立を予定している。なお SABIC は、上海と Bangalore で合わせて 500 名の専門家を両
国から採用する計画を立てている。なお、投資額は 4 ヶ所合わせて、約 5 億ドルと公表
されている。
SABIC は、
スイスのチューリッヒ工科大学(ETH:Eidgenössische Technische Hochschule
Zürich)と機能材料とナノテクノロジー分野で共同研究契約を締結していたが、1 月下旬
に両者は戦略的な関係を強化することに合意している。合意内容は、SABIC が目指す国
際市場への進出に際して、求められる広範囲の R&D 分野を対象とする複数年の包括協定
(umbrella agreement)となるもの。
サウジアラビアは、ダウンストリーム分野への進出を目指して、製油所や石油化学コ
ンプレックスの新増設を積極的に進めるなど、ハード面への大規模投資を進めているが、
一方では、製品に密着した R&D の必要性が高まり、研究施設拡充を積極的に進めている。
それと同時に、今後は単なる技術導入に留まらずに、欧州の先進的な研究機関との共同
研究を通じた、R&D 能力の向上を目指す意図を窺うことができる。
欧州側としては、産油国との関係の強化を背景に、蓄積技術の展開の機会であるとと
もに、サウジアラビアの活発な研究ニーズと資金を取り込むことが可能で、研究アクテ
ィビーティーの維持、発展につなげることに期待していると考えられる。
<参考資料>
 http://www.saudiaramco.com/en/home.html#news%257C%252Fen%252Fhome%
252Fnews%252Flatest-news%252F2013%252Fsaudi-aramco--ifpen-team-up-forresearch.baseajax.html
 http://www.sabic.com/corporate/en/newsandmediarelations/news/20130128.aspx
5. アフリカ
(1)ナイジェリア、ダウンストリーム事業の強化政策を発表
ナイジェリアの国営石油企業 Nigerian National Petroleum Corporation (NNPC) の
Andrew Yakubu 総裁(GMD)は、同国の石油製品需要の伸びに応えるためにダウンストリ
ームのインフラ整備が重要であるとの認識を表明している。
Yakubu 総裁は、同国は既存設備の再構築と新設設備を投入する方針であり、この政策
により、石油製品の円滑な供給が可能になるとしている。同氏は、Bayelsa 州、Kogi 州 、
Lagos 州に新設予定の 3 製油所で精製能力 75 万 BPD の追加を予定していると伝えている。
また、同国は全長 5,120km のパイプライン網、油槽所 21 ヶ所、LPG 貯蔵所 9 ヶ所、Atlas
湾、Escravos、Bonny の 3 ヶ所にターミナル、タンカー MT Oloibiri・ MT Tuman 等のイ
18
ンフラを既に、保有していると強調している。(図 3 参照)
さらに NNPC の天然ガス・電力部門の責任者 (Group Executive Director of Gas and
Power ) David Ige 博士は、同国の天然ガス開発事業の改革により、天然ガス生産量が
急増することが予想され、これを基にして、ナイジェリアは 2017 年までに石油化学と化
学肥料の西アフリカ周辺地域の拠点となる必要があると発言している。
Jonathan 大統領の率いる政権は、天然ガスのインフラ整備の政策として、国内にガス
の供給網を構築するガスインフラ整備プロジェクト(Gas Infrastructure Development)
を進めているところである。
Ige 博士は、ナイジェリア北部に天然ガスを搬送し発電と天然ガスを利用する産業の
活性化を目指した Ajaokuta-Kano-Kaduna 天然ガスパイプラインの設計を進めていると
ころであり、天然ガスを利用する同様なプロジェクトが各地で進行中であると強調して
いる。
2 月中旬、こうしたナイジェリアの方針に関連した具体的な動きが発表されている。
世界的な石油化学企業である Indorama Corporation Pte Ltd の子会社でナイジェリア
に拠点を置く Indorama Eleme Fertilizer & Chemicals Limited (IEFCL)は、ナイジェ
リアのニジェールデルタ Rivers 州の州都 Port Harcourt(ポートハーコート)に尿素肥料
製造プラトを建設するプロジェクトの資金融資契約に調印した。
プロジェクトの狙いは、ナイジェリアの豊富な炭化水素資源を利用して、尿素肥料を
製造し、輸入品を代替するとともに、増大を続けるナイジェリアと西アフリカ地域の尿
素肥料の需要に応えようとするものである。IEFCL は、コスト競争力とロジスティクス
の利点を生かして、肥料を北米や中南米へ輸出する計画も描いている。
計画では、最新の設備を建設し、高品質粒状尿素をナイジェリアの需要に見合う 4000
トン/日を製造する。投資額は約 12 億ドルで、これには港湾設備や天然ガスパイプライ
ンの建設も含まれている。
これに関連して、世界銀行の投資機関である International Finance Corporation
(IFC)が、西アフリカ地域の食糧増産に期待して、IEFCL 尿素プラント建設プロジェクト
に 3.75 億ドルを投資したと、Indorama が伝えている。
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ニジェール共和国
Kano
ベナン
共和国
Kaduna
ナイジェリア連邦共和国
Kogi
Ajaokuta
Lagos
Atlas cove
Escravos
Port Harcourt
BAYELSA
カメルーン共和国
Bonny
EQUATORIAL
GUINEA
パイプライン
ターミナル l
計画製油所 (州)
肥料プラント (計画)
図 3. 本文中のナイジェリアのダウンストリームインフラ設備の位置関係
<参考資料>
 http://www.nnpcgroup.com/PublicRelations/NNPCinthenews/tabid/92/articleTyp
e/ArticleView/articleId/434/WE-WILL-REVAMP-OUR-DOWNSTREAM-FACLIT
IES---YAKUBU.aspx
 http://www.nnpcgroup.com/PublicRelations/NNPCinthenews/tabid/92/articleTyp
e/ArticleView/articleId/437/Gas-Revolution-Nigeria-Set-to-Become-Regional-Hub
.aspx
 http://www.indorama.com/news-details.php?id=88
(2)ウガンダの製油所新設計画の進展状況
ウガンダの製油所の建設計画の概況は、直近では本報の 2012 年 11 月号で伝えている
が、昨年終盤からのウガンダの製油所建設の動きを、同国政府のニュースリリースを中
20
心に追ってみる。
Museveni 大統領は 11 月中旬にはタイのバンコックの国営 Thai Oil の Chatucha 製油
所を訪問し、自前の製油所建設の重要性に対する認識を深めている。その際タイ側に対
して同大統領は、ウガンダがこれまでに 35 億バレルの原油埋蔵量を発見したこと、原油
が低硫黄で少ないコストで精製可能であることを説明している。
続いて 12 月下旬、Museveni 大統領は南スーダンを訪問し首都 Juba で同国の Kiir 大
統領と会談している。タイ訪問時と同じく原油埋蔵量への期待を表明した Museveni 大統
領は、ウガンダは開発した原油を、新設の製油所で精製する方針であることを強調して
いる。
その後、Museveni 大統領は今年 2 月中旬にカナダの Africana Group Inc の首脳と会
談しウガンダのエネルギー部門への投資を要請した。これに対し Africana Group 側は、
ウガンダの発電、製油所、パイプラインへの投資意欲を表明した。
最近になって、ウガンダ政府は製油所新設プロジェクトを進めるために米国のエネル
ギー関連の投資企業 Taylor-DeJongh(TDJ)を製油所建設のアドバイザーとして起用して
いると伝えらえた。
TDJ の資料によると、ウガンダのエネルギー鉱物開発省(Ministry of Energy and
Mineral Development)との契約内容は、同社にウガンダ国産の原油を精製し、同国内に
製品を供給する計画への助言を求めるものである。
今後 TDJ は、Eversheds・Jacobs Consultancy・ ウガンダの法律事務所
Katende, Ssempebwa and ACMIRS Partners で構成されるプロジェクトチームを率いるこ
とになる。また、TDJ は、ウガンダ政府とともに 16 億ドルと伝えられる製油所建設の資
金調達仕組みを構築し、資金調達計画の策定を進め、最終的には投資を主導する企業や
製油所の運営企業の選定に際し、政府を支援することになる。
これ等の製油所建設に向けた政策を支える動きとして、ウガンダ議会は 2 月末に、製
油所建設に関わる法的措置を規定する法案“Petroleum Bill 2012: Refining, Gas
Processing and Conversion, Transportation and Storage”を可決している。
ウガンダの製油所建設を巡っては、最終的に大型な製油所建設を目指す政府と、小規
模製油所の建設を推奨する英国 Tullow 等の石油開発企業との間で見解の相違も伝えら
れているが、今後も製油所や、先月号で紹介したパイプライン建設の動きなどを、隣国
ケニアの情報と併せて注視を続けたい。
<参考資料>
ウガンダ政府のウェブサイト Media Centre
 http://www.statehouse.go.ug/media/press-releases/2013/02/16/president-museveni-m
eets-prospective-canadian-investors-energy-secto
21

http://www.taylor-dejongh.com/wp-content/uploads/2013/01/News-N-Views-Janu
ary-2013.pdf
6.中南米
(1)メキシコ Pemex の精製事業と Cadereyta 製油所の近代化プロジェクト
2012 年の第 4 四半期の業績報告が発表されたのを機会に、メキシコ国営石油・天然ガ
ス企業 Pemex の精製事業の現状と製油所近代化プロジェクトに関する最新情報を紹介す
る。
米国 EIA のデータによると、メキシコには Pemex の製油所が 6 か所あり、その精製能
力は 2011 年末の時点で 154 万 BPD、実際の精製量は能力の 77%に相当する 119 万 BPD に
なる。製油所の規模は、20 万 BPD 以下が 2 ヶ所、20-30 万 BPD が 2 ヶ所、30 万 BPD 台
が 2 ヶ所となっている。
メキシコの 2010 年の石油消費量は 207 万 BPD、2011 年は 213 万 BPD で、前述の精製能
力と処理能力ともに消費量を大きく下回り、不足分を製品輸入に頼っている状況にある。
2010 年の精製石油製品の製造量は 136 万 BPD で、その内ガソリンが 40.8 万 BPD、軽油が
36.1 万 BPD、重油が 32.3 万 BPD。これに対して輸入量は、60.7 万 BPD で、その内ガソリ
ンが 35.7 万 BPD、軽油が 12.0 万 BPD、重油が 1.06 万 BPD となっている。これを見ると
ガソリンの輸入量が製造量の 88%、軽油が 33%と、ガソリンの製造量の不足が目立ってい
る。
メキシコの石油精製部門は、名目精製能力の不足とともに、設備の旧態化による稼働
率の低下と、製品品質対応力が低いことにある。同国では製油所の新設等が計画され、
多額の投資が必要である。
メキシコでは、原油生産量の回復が最優先事項に位置付けられ、上流部門に多額の投
資が行われている。2 月末に発表された Pemex の 2012 年 12 月 31 日付の業績レポートを
見ると、
2012年の投資総額が3,115 億ペソ(239億ドル)で、
開発部門のPemex-Exploration
and Production に総額の 88%の 2,742 億ペソが投じられ、精製部門の Pemex-Refining へ
は、総額の 9.3%の 289 億ペソが配分されている。2013 年は投資総額が 3,263 億ペソと
2012 年に比べ 4.7%増額され、開発部門へはその 79%の 2,564 億ペソが(前年比 6.5%減)
が投じられるのに対し、精製部門への投資は全体の 17.2%の 562 億ペソと 2012 年位比べ
94%増額されることになる。
同レポートから、直近の 4 半期の精製部門の状況を見ると、2012 年第 4 四半期の、原
油精製量は前年同期比で 0.5%増、稼働率は、Minatitlán 製油所の新設設備の稼働が貢献
して、前年同期の 703%から 70.8%に改善された。また、処理原油全体に対する重質原油
の比率は前年同期の 38.0%から 39.2%へ 1.2 ポイント上昇しているが、これにも、
Minatitlán 製油所における重質マヤ原油の処理量アップが大きく寄与している。
22
ダウンストリーム投資の増額の方針と、設備改造の成果を窺うことができるが、実際
のプロジェクトの進捗状況と、自給率改善の時期について長期的に見ていく必要がある。
こうした状況の中、Nuevo León 州 Cadereyta Jiménez 市にある Cadereyta(別名 Héctor
R. Lara Sosa)製油所の設備の近代化が発表された。OGJ 等によると精製能力は 27.5 万
BPD で、常圧蒸留装置・減圧蒸留装置・FCC・リフォーマー・水素化脱硫装置・コーカー
等の設備を備えている。
対象は、第 1FCC プラントの燃焼ガスシステム改造で、詳細設計・調達・建設・トレー
ニング・試運転・運転開始業務契約が Pemex の精製子会社 PEMEX Refinación とフランス
のエンジニアリング企業 Technip との間で締結された。
Technip は、
今回のプロジェクトに 2012 年に米国の The Shaw Group から買収した Stone
& Webster のプロセス技術を適用することになる。契約額は 4,000 万ドルで、完成は 2014
年後半の予定と発表されている。
<参考資料>
 http://www.technip.com/en/press/technip-awarded-contract-refinery-mexico
 http://www.ri.pemex.com/files/content/Reporte_4Q12_i_130227.pdf
(2) ブラジルのバイオ燃料関連の最新情報
1)ブラジルとデンマークの有力企業が第 2 世代バイオエタノール製造技術で連携
ブラジルの ETH Bioenergia とデンマークのセルロース系エタノール技術企業 Inbicon
が共同でブラジル市場への第 2 世代バイオエタノール技術の導入を図ることで同意した
と発表されている。
ブラジ ルのコ ングロ マリッ ト Odebrecht Organization 傘 下の エネル ギー ETH
Bioenergia は同国のエタノール製造をリードする企業で最新の製造設備を 9 ヶ所保有し
ている。一方の Inbicon は、デンマークの石油・天然ガス・発電 Dong Energy の子会社で、
第 2 世代バイオエタノール技術の先導的企業である。同社は、2010 年に世界最大規模の
セルロース系エタノールプラントの稼働を発表しており、デンマーク国内で準商業化実
証プラントを数年間操業している実績を保有している。
両社の共同事業プログラムは、ETH の製造・販売・開発のノウハウと Inbicon の第 2 世
代バイオエタノール技術を組合せブラジルのサトウキビ産業に適用するもので、サトウ
キビ滓(bagasse)等のリグノセルロース系原料から、バイオエタノールや高付加価値化
学品の製造技術開発を目指すものとなる。ETH の製造設備への新技術の導入が中心とな
るが、同社以外のブラジルのエタノールや製糖業者への展開も視野に入れている模様。
プロジェクトの第 1 フェーズでは、サトウキビを原料とする既存のプラントに、
Inbicon の技術を適用し、サトウキビ滓からエタノール製造するプロセスの事業性評価
(FS)を実施する。最初の製造設備は、2015 年までに稼働させる計画で、完全一体型バイ
23
オリファイナリーの早期実現を目指すことになる。
ブラジルからは、バイオ燃料関連の情報が多数発信されており、第 2 世代(次世代、先
進)バイオ燃料技術に関しては、昨年の本レポートでも紹介しているが、今回の ETH
Bioenergia と Inbicon はバイオ燃料生産大国ブラジルと、バイオテクノロジー先進国デ
ンマークの実績のある有力企業のコラボレーションであり、大きな成果の実現が期待さ
れるプロジェクトとして注目される。
<参考資料>
 http://www.dongenergy.com/EN/Media/Newsroom/News/Pages/Brazilian-Danish
partnershipfor2ndgenerationbioethanol.aspx
 2012 年 6 月号第 2 項「ブラジル、南半球初の第 2 世代バイオエタノールプラント建
設へ」
 2012 年 5 月号第 1 項「1.ブラジルにおける再生可能燃料に関する米国系企業を中心
とした動き」
2)ブラジルでワールドカップ開催に向けたバイオ燃料プロジェクトが発足
FIFA ワールドカップ開催を 1 年後に控えたブラジルでは、数々のプロジェクトが進め
られているが、バイオディーゼル製造を目指した取り組み“Bioplanet project”が 2 月
下旬にスタートした。
バイオ燃料先進国であるブラジル政府の公式ウェッブサイトによると Bioplanet
project は、2014 年のワールドカップ開催までに、バイオディーゼルを 2.5 万 KL(15.7
万バレル)製造することを目指した政府公認のプロジェクトで、ワールドカッププロモ
ーション“Brazil Promotion Plan”の一環として運営されることになる。ワールドカッ
プの試合の開催地やキャンプ地で 40 件の製造契約(local production arrangements :
APL )を締結し、各地で廃食用油等からバイオディーゼルを製造・使用し、広報活動を実
施する計画である。
Bioplanet の主催者はプロジェクトが経済的に成り立つもので、環境に適合した社会
的に公正な取り組みと位置付けることができ、環境教育にも役立つもので、環境に配慮
したワールドカップという印象を残すことができるとその意義を説明している。
Bioplanet は、全国から 300 万人の学生動員と、再生可能原料の 1 万の収集者の参加
を予定している。製造された、バイオディーゼルはワールカップ代表団の移動用の燃料
として利用されることになる。
<参考資料>
 http://www.copa2014.gov.br/en/noticia/project-intends-producing-biodiesel-cookin
g-oil-world-cup-host-cities
24
7. 東南アジア
(1) ベトナムの製油所建設プロジェクト 2 件の進捗状況 (図 4 参照)
2 月中旬、ベトナム南中部 Phu Yen(フーイエン)省 Vung Ro Bay に計画されている Vung
Ro 製油所建設プロジェクトに関する情報が、ベトナム系メディアから伝えられた。それ
によると、ベトナムの Nguyen Tan Dung 首相は、Vung Ro 製油所の規模をこれまでの 400
万トン/年(8 万 BPD)から 800 万トン/年(16 万 BPD)に引き上げることを承認した。
Vung Ro 製油所プロジェクトは、英国の Technostar Management company とロシアの
Telloil が 32 億ドルを投資して、製油所と石油化学コンプレックスを建設するもので、
2007 年 11 月に Phu Yen 省人民委員会から承認されている。その後、製油所建設の投資
効率を改善させるための方策として、精製能力の見直しが提案されていた。
見直し後の精製能力は 800 万トン/年(16 万 BPD)となるが、現時点では製造品目はこ
れまでの発表と変わらず、BTX アロマ(ベンゼン、トルエン、キシレン)、ポリプロピレ
ン、高品質ガソリン(RON 92/95)、ディーゼル、航空燃料、LPG、重油、硫黄という構成
となっている。
建設地は South Phu Yen 経済区の中の工業エリア Hoa Tam Industrial Zone
が提案されている。
処理原油は、ロシアおよび中東原油で、精製製品は国内市場のみならず、輸出も視野
に入れており、4 年以内の操業開始を目指している。
なお、投資額は昨年 11 月の構想見直し時点で、当初の 17 億ドルから 32 億ドルを超え
るものへ上昇し、収益見込みは、22.3 億ドル/年、地方政府に 1 億ドル/年の財政的な貢
献をすることが期待されている。
続いて、今年 1 月から 2 月にかけて、ベトナムで 2 番目となる Nghi Son 製油所建設プ
ロジェクトの進捗に関する報道が、関係各方面から発表された。
それによると、Nghi Son 製油所建設プロジェクトの JV は、製油所の設計・調達・建設
(EPC)契約を、日本の日揮、千代田化工、フランスの Technip、韓国の GS Engineering and
Construction、SK Engineering and Construction から成る JV と締結した。
プロジェクトは、精製能力 20 万 BPD の精製設備、石油化学プラント、発電設備、パイ
プライン、貯蔵設備を含む大規模なもので、LPG・ガソリン・ディーゼル・ジェット燃料等
の石油製品と、パラキシレン・ベンゼン・ポリプロピレン等の石油化学製品を製造する。
計画では、操業開始は 2017 年。
Nghi Son 製油所建設プロジェクトは、出光興産(出資比率 35.1%)
、クウェートの Kuwait
Petroleum International(KPI、35.1%)、ベトナム国営石油 PetroVietnam(25.1%)、三
井化学(4.7%)の合弁事業。
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ラオス人民
民主共和国
Nghi Son 製油所
(20 万 BPD)
計画中
Dung Quat 製油所(13 万 BPD) 既設
拡張計画有り
Vung Ro Oil 製油所 (16 万 BPD) 計画中
Nam Van Phong 製油所 (20 万 BPD) 計画中
カンボジア王国
既存製油所
新設計画製油所
図 4. ベトナムの主要な新設製油所の建設予定地
<参考資料>
 http://www.monre.gov.vn/v35/default.aspx?tabid=675&CateID=57&ID=122000&
Code=3IFR122000
 http://www.q8.com/content/our-news/Pages/JV-partners-sign-EPC-for-Vietnam.a
spx
(2) パキスタンとイランのパイプライン・製油所建設プロジェクト
パキスタンとイランの間でパイプラインと製油所の共同建設の動きが、2 月末から報
道されている。
天然ガス開発が進むイランから、エネルギー不足が懸案となっているパキスタンに天
然ガスを供給する Iran-Pakistan Gas Pipeline(IPGP)は、イランが開発を進めている
South Pars 天然ガス田とパキスタンをイラン国内のパイプライン経由で結ぶもので、既
存パイプラインを活用できるイラン国内部分は既に完成している模様。(図 5 参照)
1 月末にイラン政府は、IPGP のパキスタン国内部分の建設の設計・調達・建設(EPC)と資
金調達に関するパキスタン-イラン両国間の合意内容を承認した。また、IPGP プロジェ
クトを分析する為に、財務相・法務相・石油相・パキスタン国立銀行総裁で構成される委員
会が組織された。
Zardari パキスタン大統領は、同国のエネルギー危機を回避する為に、IPGP の早期完
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成を目指す姿勢を明確にしている。IPGP と同時に大統領は Taftan-Quetta 送電システム
(1000 MW)建設、Gwader の発電所(400 MW)建設、Noshki-Dalbandin 高速道路の建設、
Quetta-Taftan 鉄道の近代化等のメガプロジェクトを進める方針を表明している。
各報道機関が伝えるところによると、IPGP のパキスタン国内部分の全長は約 800km、
輸送能力は 2,150 万 m3(7.5 憶 cf/日)になる。工期は 15 か月で、完成予定は 2014 年 12
月とされている。イラン政府も建設コストを負担し、パキスタン政府は建設費を賄うた
めに、新税の導入も計画している。
米国エネルギー情報局のデータによると、2011 年のパキスタンの天然ガス消費量は、
1 兆 3,830 億 cf/年(391 億 m3/年、37.9 億 cf/日)で、今回公表された IPGP の輸送能力
7.5 憶 cf/日は国内消費量の 20%に相当することになる。
3 月 11 日には、パキスタン・イラン両国大統領臨席の下で起工式が執り行われたと報
道され、13 日に発表されたパキスタンの 2013-2017 年の投資計画の中でも、同パイプラ
インは重要なエネルギー政策として位置付けられている。
今回のパイプライン動きに対して、イランの核開発問題に対しで経済制裁政策を進め
る米国が反対の意向であると伝えられており、更には建設資金の調達の問題もあり、建
設の実現については疑問が呈されている状況にある。
IPGP の報道と合わせて、
パキスタンの南西部の Balochistan 州の沿岸の Gwadar 市に、
製油所を建設する計画が報道されている。情報は限られているが、精製能力はパキスタ
ン最大となる 40 万 BPD で、IPGP 同様パキスタンとイラン両国の共同プロジェクトとな
る。因みに同州では、南東部の Lasbela 県に Byco の製油所が昨年末に完成している。
イラン・イスラム共和国
アフガニスタン・イスラム共和国
パキスタン・イスラム共和国
South Pars
天然ガス田
Balouchistan 州
Gwadar
Lasbella
インド共和国
アラビア海
Iran-Pakistan Gas Pipeline
製油所
図 5. パイプラインと製油所の位置関係
(EIA,Country Analysis“Iran”を参照して作成)
27
<参考資料>
 http://www.pid.gov.pk/press13-03-2013.htm 等
8. 東アジア
(1) Sinopec のダウンストリーム事業展開の最新の事例
中国国営石油 Sinopec は、北京の南西部 Yanshan(燕山)にある子会社の Sinopec
Beijing Yanshan Company のイソプレンプラント建設が完成(メカコン)したと発表した。
同プラントは、Sinopec 初のイソプレンプラントで、Yanshan はイソプレン合成ゴムの
製造を優位に進めることができることになる。当該プロジェクトは、Sinopec の“Ten
Series Technological Projects”の一つに位置付けられているものである。
イソプレンの製造能力は、3 万トン/年で、Yanshan Company イソプレンプラントで生
産されるポリーマーグレードのイソプレンを原料に、
希土類系触媒や重合工程にSinopec
Beijing Research Institute of Chemical Industry の Yanshan 分室と共同開発した特
許技術を用いてイソプレンゴムを製造することになる。
前述の、
“Ten Series Technological Projects”は Sinopec が力を入れる、自社技術
開発キャンペーンで、昨年 11 月末に北京で開催されたカンファレンスを伝える記事を見
ると、
これまでの 20 年余の間で 100 を超える技術開発が行われてきたと報告されている。
ダウンストリーム部門の開発事例には、①クリーンガソリン・ディーゼル製造プロセ
ス、②重質・高硫黄原油の精製技術、③エチレン、芳香族モノマー、ポリマーの大量生
産技術の開発等が取り上げられている。
続いて、2 月下旬に Xinhuanet 等が Sinopec 傘下の Sinopec Sichuan Vinylon Works
Group と韓国の K Chemicals Co., Ltd が JV を設立し、合成繊維などの原料として重要
なブタンジオール(butanediol:BDO)を製造することで契約を締結したと報じている。
BDO の製造能力は 20 万トンとなる。また、BDO の他にアセチレン・ホルムアルデヒドも
製造する計画である。建設地は、中国南西部の Chongqing(重慶市)で、完成は 2015 年末、
投資額は 38 億人民元(6.05 億ドル)と報じられている。
原料は、天然ガスで、世界的な天然ガス工業拠点を目指す Chongqing にとって重要な
プロジェクトになると位置づけられている。
これ等の動きは、Sinopec が、下流事業分野への進出に力を入れているとともに、天
然ガス誘導製品への積極的な取り組みを示す動きとして注目される。
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<参考資料>
 http://www.sinopecgroup.com/english/Sinopecnews/Pages/201302161426.aspx
 http://news.xinhuanet.com/english/china/2013-02/26/c_132193338.htm
(2)Sinopec 初の CNG ステーションの操業状況
中国は、石油系燃料の消費の削減と、深刻化している大気汚染の改善の為に、天然ガ
スを重視し、シェールガスなどの非在来型ガス資源を含む天然ガス資源開発の上流事業
を積極的に進めるとともに、中下流分野でもパイプライン敷設 LNG 基地建設などのイン
フラ整備に力を入れ、さらに天然ガス車の導入目標を設定するなどの用途拡大策を急い
でいる。
政府は、石炭火力からの転換による発電用途の他に、広範囲で天然ガスの利用拡大策
を進めており、輸送部門でも CNG や LNG 等の天然ガス車両の導入を急ぐとしている。天
然ガス利用を拡大させる為には、車両の開発と導入促進策とともに、供給インフラ網の
整備が鍵となる。
こうした中、
中国最大の輸送用燃料供給企業である国営石油企業 Sinopec の第 1 号 CNG
ステーションの操業状況が発表された。
それによると Shandong 省 Qingdao Jimo(山東省青島即墨市)の Jimo CNG ステーショ
ンの累積 CNG 販売量が、2008 年 12 月 31 日の操業開始から 4 年 2 ヶ月を経て、2 月 19 日
に 1 億 m3(35.3 億 cf)に到達している。Jimo ステーションの天然ガス源は Ordos 盆地の
Daniudi 天然ガス田で、Yulin-Jinan (玉林-済南)パイプラインを経由して輸送されて
いる。
同ステーションは4年間にトレーラー車両 2 万台に天然ガスを充填した実績となる。
また、現在、青島市のタクシー、バスや一部の自家用車に対して、天然ガス供給してお
りそのシェアは 30%となっている。
<参考資料>
 2012 年 11 月号第 2 項「2.中国、2012 年版エネルギー白書を発表、天然ガス消費量
拡大の方針」
 http://www.sinopecgroup.com/english/Sinopecnews/Pages/201303051047.aspx
9. オセアニア
(1)オーストラリア BP、クイーンズランド州でインフラ整備を進める
Kwinana 製油所(14 万 BPD) と Bulwer Island 製油所(9 万 BPD)を操業しているオースト
ラリア BP は、クイーンズランド州でインフラ整備を進めているが、この度クイーンズ
ランド州 Port of Townsville に 5,000 万豪ドルを投資し、2009 年から建設を進めてい
29
たビチューメンの輸入、製造(処理、調合)設備が開設した。
今後 BP は、4 基の貯蔵タンクから、道路建設の需要が高いクイーンズランド州北部に
年間 12 万トンのビチューメンを供給することができる。
BP は、2011 年 12 月にクイーンズランド州南東部のビチューメンと船舶燃料の輸入設備
(貯蔵能力 3 万トン)の操業を始めていた。Townsville と Brisbane の設備を合わせた、
ビチューメン供給能力は 24 万トン/年となる。この量は、クイーンズランド州で年間 1
万 km の道路建設する為に必要な量に達している。なお、両施設を合わせた投資額は 1 億
豪ドルを超えるものとなった。
2013 年 2 月号で、Caltex による同様の動きを報じたばかりであるが、広大な国土を有
し、資源開発大国であるオーストラリアでは、産業用の石油製品に強い需要が見込める
為、インフラ整備に欠かせないビチューメンの供給の能力の確保が重要視されているも
のと考えられる。オーストラリアの石油事業のダウンストリームに関しては、製油所閉
鎖の動きとともに、石油製品供給体制の確保に関わる情報に引き続き注目していきたい。
<参考資料>
 http://www.bp.com/genericarticle.do?categoryId=9008681&contentId=7084848
 2013 年 2 月号第 1 項、「1.豪州 Caltex、 Kurnell 製油所の閉鎖に伴いビチューメン
基地を新設」
(2)オーストラリア政府、先進バイオ燃料プロジェクトへの支援を発表
オーストラリア資源エネルギー観光省(Department of Resources, Energy and Tourism)
が推進している、代替エネルギー関連の取り組みが相次いで公表されているのでその概
要を紹介する。
2 月末に、オーストラリア再生可能エネルギー庁(Australian Renewable Energy
Agency :ARENA)は、バイオ燃料技術の商業化を加速させるために展開しているプログラ
ム“Advanced Biofuels Investment Readiness”によるバイオ燃料プロジェクトへの総
額 980 万豪ドル(1,000 万ドル)の助成を発表した。対象は Licella Pty Ltd の対する 540
万豪ドルと、Muradel Pty Ltd への 440 万豪ドルの助成の 2 件になる。
ARENA は、オーストラリアの再生可能エネルギー技術の競争力アップと、再生可能エ
ネルギーの同国内への供給推進を目指す政府のクリーンエネルギー政策“Clean Energy
Future package”プロジェクトの一つで、これには総額 32 億豪ドルの資金が準備されて
いる。
1)Licella Pty Ltd の水熱反応によるバイオ原油製造プロジェクト
バイオマス原料からバイオ原油を製造する技術を開発しているオーストラリア企業
Licella Pty Ltd は、オーストラリア政府の助成を受け 2011 年 12 月に商業化実証プラ
ント(Commercial Demonstration Plant:CDP)を稼働し、これまでにプロセスの改良や製
品の品質や経済性評価に利用してきた。
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Licella は今回の 540 万ドルの助成金を活用し、同社のオーストラリアで初めての商
業化準備プラント(Pre-Commercial Plant)建設の事業性評価検討(FS)を 21 ヶ月に亘って
実施することになる。想定では商業化準備プラントの能力は、加熱乾燥(oven dry)バイ
オマス 5 万トン/年から 12.5 万バレル/年のバイオ原油を製造できる規模となる。
FS の過程では、建設地の選定、原料の選択、市場への製品供給の最適化を検討し、同
時に設備の基本設計(FEED)を実施することになる。Licella によると、当フェーズの投
資額は総額 820 万ドルで、プログラムは 2014 年末に終了の予定である。
Licella のバイオ原油製造プロセスは、接触水熱反応器(Catalytic Hydrothermal
Reactor :Cat-HTR)を用いて、森林残渣や廃棄物系のリグノセルロース・バイオマス
(lignocellulosic biomass)からバイオ原油を製造するもの。
2)Muradel Pty Ltd の藻類バイオプロセスによるバイオ原油プロジェクト
440 万豪ドルの助成を受けた Muradel Pty Ltd は Murdoch University、Adelaide
Research and Innovation Pty Ltd(University of Adelaide の JV)
、SQC Pty Ltd.の
JV 企業で、同社のプロジェクトはサウスオーストラリア州の Whyalla 近郊で、海洋藻類
バイオプラントをパイロット規模から実証規模の設備にスケールアップするもの。プロ
ジェクトは 2014 年末に完了する計画で投資総額は 1,070 万豪ドルとなる。
<参考資料>
 http://minister.ret.gov.au/MediaCentre/MediaReleases/Pages/AcceleratingtheCo
mmercialisationofBiofuelTechnologies.aspx
 http://www.licella.com.au/images/metro-licella/licella-pr-abir-28feb13.pdf
**********************************************************************
編集責任:調査情報部 ( [email protected] )
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