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高速コーンビーム3次元X線CTの研究開発
「高速コーンビーム3次元X線CT」 事後評価報告書 平成15年2月 新エネルギー・産業技術総合開発機構 技術評価委員会 目 次 はじめに 分科会委員名簿 審議経過 評価概要 技術評価委員会におけるコメント 技術評価委員会委員名簿 1 2 3 4 7 8 第1章 評価の実施方法 1-1 第2章 プロジェクトの概要 1 第3章 評価 1.プロジェクト全体に関する評価 1.1 総論 1.2 各論 2.要素技術に関する評価 3-1 第4章 評点法による評価結果 4-1 参考資料1 参考資料2 プロジェクトの概要説明資料 周辺動向調査 参考資料 1-1 参考資料 2-1 はじめに 高齢化に伴い、悪性新生物や脳血管障害による死亡が増大しており、より高度で経 済的な診断装置の開発が望まれている。「高速コーンビーム3次元X線CT」の研究 開発は、胸部や腹部などの広い範囲や心臓などの動きのある臓器が撮影できる大面積 で高速にデータ収集のできるX線検出器と、3次元画像診断に求められる膨大なデー タを高速で処理するための並列演算装置や画像処理システムを開発し、これらを統合 して次世代のX線CTシステムの実現を目指すものであり、これらにより、検査時に おける静止時間の短縮、X線被曝の減少が図れるほか、疾病の早期発見、CT装置の 稼働率向上や、省エネルギーとメンテナンス経費の削減により、加療期間の短縮と医 療費の削減効果も期待できる。 今回の評価は事後評価として、平成14 年度に新エネルギー・産業技術総合開発機 構 技術評価委員会「高速コーンビーム3次元X線CT」(事後評価)分科会(分科 会長:板井 悠二、筑波大学 教授)において行われたものである。 本書は、これらの評価結果をとりまとめたものである。 新エネルギー・産業技術総合開発機構 1 平成15年2月 技術評価委員会 「高速コーンビーム3次元X線CT」 事後評価分科会委員名簿 (平成 14 年 11 月現在) 氏名 所属、役職 板井 悠二 筑波大学 分科会長 代理 戸川 達男 東京医科歯科大学 システム研究部門 尾川 浩一 法政大学 工学部 電子情報学科 教授 金子 昌弘 国立がんセンター中央病院 内視鏡部 咽喉内視鏡室 医長 黒崎 喜久 順天堂大学 舘野 之男 放射線医学総合研究所 百生 敦 分科会委員 分科会長 臨床医学系放射線科 教授 生体材料工学研究所 教授 医学部 放射線医学講座 教授 客員研究員 東京大学 大学院工学研究科 物理工学専攻 助教授 敬称略、五十音順 2 審議経過 第1回 分科会(平成 14 年 9 月 5 日)10:00∼17:00 公開セッション 1.分科会の公開について 2.評価の在り方と評価の手順について 3.評価の分担及び評価の論点について 4.評価報告書の構成について 5.プロジェクトの概要 6.周辺動向調査について 7.プロジェクトの個別テーマの詳細について 8.コメント、質疑応答(全体について) 第2回 分科会(平成 14 年 11 月 7 日)13:00∼16:00 公開セッション 1.評価の進め方について 2.評価報告書(案)の審議及び確定 第7回 技術評価委員会(平成 15 年 2 月 10 日)14:00∼16:30 1.評価報告書の審議/報告 3 評価概要 1.プロジェクト全体に関する評価 1.1 総論 1)総合評価 4列のマルチスライス CT 商用機が漸く登場しようとした時期に、従来型の CT と同 じ low - contrast resolution を有す大視野のコーンビーム3次元 CT を作製すると いう野心的な立案を行い、三次元的な空間分解能、密度分解能、時間分解能ともども、 当時の技術から見て限界に近い高い目標を掲げ、それを達成するためさまざまな工夫 を凝らして実用化のメドを達成した事は高く評価できる。 臨床に有用な 3 次元 X 線 CT 画像を得る装置を完成させており、種々の要素技術の 問題点を回避しながらトータルシステムとして実現できている点も評価できる。 臨床データは十分ではないが、このプロジェクトによって、新しい診療技術を発展 させるシーズが医療現場に提供され、検出器等のハードを中心とし、周辺ソフトを含 めた技術開発により、産業界および医学、医療の進歩に寄与するところも大きいと思 われる。 2)今後の方向性に関する提言 実用機の開発を進めるにあたって、本機を汎用の高級機種、叉は将来的一般機種と するのか、特定臓器・目的に特化した機種とするのか、実用化には幾つかの方向があ り得るため、実用化のための戦略を明確にして、早い時期の実用化、社会への還元が 望まれる。 また、実用化までに十分な臨床評価を重ね、映像化領域の大きさや映像化に必要と なる時間、空間分解能など、実用機の仕様の策定において多数の臨床家の意見を参考 にすることと、これからの臨床評価の結果をもとに、さらに完成度の高い技術の追求 を期待したい。 技術的には、検出器の大面積化と信号応答、及び信号取り出しの高速化など、検出 器回りの技術のさらなる発展、更に管球側の新たな開発、画像再構成に関するソフト の新たな開発や導入の研究も必要と思われる。被曝線量の面からの検討も必要であろ う。 今後、国内外での追撃が活発になると考えられるが、マルチスライスヘリカル CT の動向に注目しながら、コーンビーム CT の適応を検討し、実用化を推進して欲しい。 特許等の充実も不可欠である。 1.2 各論 1)事業の目的・政策的位置付けについて 「高速コーンビーム 3 次元 X 線 CT」の開発は、このプロジェクトの要素技術である 大視野 X 線検出システムの高性能化・大型化、3 次元データ再構成システムの高速化・ 小型化という種々な分野の先端技術を先導する可能性を秘めた技術開発を目指して おり、画像診断の新しい分野を開拓する可能性が高く、CT の革新的進歩をもたらす効 果があると考えられる。開発リスクにとらわれず斬新な技術開発を進めるためにも 4 NEDO の関与は妥当であると考えられる。 X 線 CT の技術はさらに発展することが予想され、技術に遅れをとれば即、国際競争 力を失うので、つねに動向を調査し、必要なときに速やかなる対応がとれるような体 制を確立しておくことが望まれる。 2)研究開発マネージメントについて 研究開発実施者の事業体制や運営の妥当性については、評価の具体的根拠に乏しい が、現在の日本における CT の市場の最大部分を占めるメーカーが主導的に研究を進 め、実行してきており、研究開発の目標において、より現実的で、しかも達成可能と 考えられる項目については、当初の計画より大幅に高い目標を設定し、且つ達成して いることを評価したい。情勢変化に対しても、概ね妥当に対応していたものと思われ る。 最終的に技術が形になってきており、本事業後、臨床評価の体制もほぼ整っている ようであり、本事業で開発された技術がその後につながって行くよう期待したい。 研究が医療機器メーカーの研究者を主体に進められて来たようにも思われ、医療者 側が、どのような装置を最も必要としているのか、という視点での検討も今後積極的 に進めるべきと考えられる。目標達成のための要素技術として、とくに 3 次元データ 再構成技術において、その時点で採用できる最善の方法が用いられたかどうか若干疑 問があるという意見も出された。 3)研究開発成果について トータルシステムとして、大視野のコーンビームCTのプロトタイプ機を作成し、 数値上は目標値を達成していると判断される。これを前提にすれば、世界的最高水準 の技術レベルが達成されていると言え、この点に関しては最大の評価を与えることが できる。 動きの要素を取り入れた 4 次元 CT の考えは、新たな医療の研究、および診療の分 野を開拓するものと思われる。 しかし、体軸辺縁部スライスの画質が中央部スライスに対しどの位劣化があるのか、 空間分解能、密度分解能が変わらないかどうか、それらの均一性が必ずしも明らかに なっていないため、数値で、または画像で示されることが望ましい。 工学関係での研究発表や論文発表は行われているが、今後臨床側からの評価、新た な応用等、多数の論文発表が望まれる。 4)実用化、事業化の見通しについて 成果の実用化可能性については臨床評価を待つ必要があるが、現時点でもこの可能 性は非常に高いものと考えられ、また、需要も大きいと思われるが、医学界や工業界 側がその適用を考えていくことによって、この技術の価値が高められるものと考える。 3 次元画像処理の時間が極めて短縮したので、日常の臨床にも比較的容易に 3 次元 画像が利用できるようになり、診断精度の向上も期待できると考えられる。 汎用機となろうが、高速高空間分解能画像(例えば冠状動脈)など特化した専用機 として発展させる可能性もある。 今後の実用化のためには、さらに対象を絞り、スペックのチューニングを行う必要 があると考える。 実用化にはソフトウェアの完備が不可欠で、情報として 3 次元データが得られてい 5 ても、見たい部分を抽出して見やすい形で表示するためのソフトウェアの開発が必要 である。 また、事業化までのシナリオとしてはコストダウンが最も重要と思われる。 6 技術評価委員会におけるコメント 第7回技術評価委員会(平成15年2月10日開催)に諮り、了承された。技術評 価委員からのコメントは特になし。 7 技術評価委員会委員名簿 委員長 岸 輝雄 稲田 絋 大滝 義博 大西 匡 垣田 行雄 小柳 光正 瀬田 重敏 曽我 直弘 高村 淑彦 谷 辰夫 冨田 房男 西村 吉雄 丹羽 清 畑村 洋太郎 平澤 泠 三浦 孝一 村上 路一 独立行政法人 物質・材料研究機構理事長 東京大学大学院工学系研究科教授 株式会社バイオフロンティアパートナーズ代表取締役社 長 豊田工機株式会社取締役会長 財団法人日本システム開発研究所専務理事 東北大学大学院工学研究科教授 旭化成株式会社特別顧問 独立行政法人産業技術総合研究所理事 東京電機大学工学部教授 諏訪東京理科大学工学部システム工学部長 北海道大学大学院農学研究科教授 東京大学大学院工学研究科教授 東京大学大学院総合文化研究科教授 工学院大学国際基礎工学科教授 政策研究大学院大学教授 京都大学大学院工学研究科教授 株式会社宇宙情報技術研究所代表取締役副社長 (合計 17名) (敬称略、五十音順) 8 第1章 評価の実施方法 第1章 評価の実施方法 本評価は、「技術評価実施要領」(平成 13 年 5 月制定)に基づいて技術評価を 実施する。「技術評価実施要領」は、以下の 2 つのガイドラインに定めるところ によって評価を実施することになっている。 総合科学技術会議にて取りまとめられた「国の研究開発評価に関する大綱 的指針」(平成 13 年 11 月内閣総理大臣決定) 経済産業省にて取りまとめられた「経済産業省技術評価指針」 (平成 14 年 4 月経済産業省告示) NEDO における技術評価の手順は、以下のように被評価プロジェクト毎に分科 会を設置し、同分科会にて技術評価を行い、評価報告書(案)を策定の上、技術評 価委員会において確定している。 「技術評価委員会設置・運営要領」に基づき技術評価委員会を設置 技術評価委員会はその下に分科会を設置 NEDO 理事長 評価報告書 事務局 技術評価委員会 NEDO 技術評価部 評価報告書(案) 分科会 A 分科会 D 分科会 B 分科会 C 図 1 評価手順 1-1 1.評価の目的 実施要領において、評価の目的は、 評価をする者(評価者)と評価を受ける者(被評価者)が意見交換を通 じ研究開発の意義、内容、達成状況、今後の方向性等について検討し、 より効率的・効果的な研究開発を実施していくこと、 高度かつ専門的な内容を含む研究開発の意義や内容について、一般国民 にわかりやすく開示していくこと、 限られた研究開発リソースの中で、国の政策や戦略に対応した重点分 野・課題へのリソース配分をより効率的に実施していくこと、とされて いる。 本評価においては、この趣旨を踏まえ、本事業の意義、研究開発目標・計画の妥当 性、計画と比較した達成度、成果の意義、成果の実用化の可能性等について検討・評 価した。 2.評価者 実施要領においては、事業の目的や態様に即した外部の専門家、有識者からなる委 員会方式により評価を行うこととされているとともに、分科会委員選定に当たっては 以下の事項に配慮した選定を行うこととされている。 科学技術全般に知見のある専門家、有識者 当該研究開発の分野の知見を有する専門家 研究開発マネジメントの専門家、経済学、環境問題その他社会的ニーズ 関連の専門家、有識者 産業界の専門家、有識者 また、評価に対する中立性確保の観点から事業の推進側関係者を選任対象から除外 し、また、事前評価の妥当性を判断するとの側面にかんがみ、事前評価に関与してい ない者を主体とすることとしている。 これらに基づき、分科会委員名簿にある 7 名が選任された。 なお、本分科会の事務局については、新エネルギー・産業技術総合開発機構技術評 価部評価業務課が担当した。 3.評価対象 平成 10 年度から平成 13 年度までの計画で実施された「高速コーンビーム3次元X 線CT」プロジェクトを評価対象とした。 なお、分科会においては、当該事業の推進部室である新エネルギー・産業技術総合 開発機構 健康福祉技術開発室、及び以下の研究実施者から提出された事業原簿、プ ロジェクトの内容、成果に関する資料をもって評価した。 1-2 4.評価方法 分科会においては、当該事業の推進部室及び研究実施者からのヒアリングと、それ を踏まえた分科会委員による評価コメント作成、評点法による評価及び実施者側等と の議論等により評価作業を進めた。 なお、評価の透明性確保の観点から、知的財産保護の上で支障が生じると認められ る場合等を除き、原則として分科会は公開とし、研究実施者と意見を交換する形で審 議を行うこととした。 5.評価項目、評価基準 分科会においては、次に掲げる「標準的評価項目・評価基準」(平成 14 年 4 月 9 日、第3回技術評価委員会)に準じて評価を行った。プロジェクト全体に係わる評価 においては、主に事業の目的、計画、運営、達成度、成果の意義や実用化への見通し 等について評価した。各個別技術に係る評価については、主にその目標に対する達成 度等について評価した。 1-3 標準的評価項目・評価基準 【本標準的項目・基準の位置付け(基本的考え方)】 本項目・基準は、あくまでも標準的な評価の視点の例であり、各分科会にお ける評価項目・評価基準は、被評価プロジェクトの性格、中間・事後評価の別 等に応じて、各分科会において判断すべきものである。 なお、短期間(3年以下)又は少額(予算総額5億円以下)のプロジェクト に係る事後評価については、以下の「3.」及び「4.」を主たる視点として、 より簡素な評価項目・評価基準を別途設定して評価をすることができるものと する。 1.事業の目的・政策的位置付けについて (1)NEDO(国)の事業としての妥当性 単独で立ち上げる事業については、以下の項目により評価することとする。な お、特定のプログラム制度(研究開発制度)の下で実施する事業の場合、以下の 項目を参照しつつ当該制度の選定基準等への適合性を問うこととする。 【注1】 ・「市場の失敗」 (行政改革委員会「行政関与の在り方に関する基準」 (平成 8 年 12 月)参照)に該当しているか。しない場合、民間活動のみでは改善できな いこと、公共性の高いことが説明されているか。その際、当該事業に必要な資 金規模や研究開発期間、民間企業の資金能力等は示されているか。 ・他の類似事業や関連技術動向を踏まえ、NEDO(国)の関与がなかった場合 (放置した場合)と比較して、NEDO(国)が関与することの優位性がより 高いものであるか。 ・当該政策目的の達成に当たって当該事業を実施することによりもたらされる政 策効果が、投じた政策資源との比較において効率的・効果的であるか(費用対 効果はどうか)。(知的基盤・標準整備等のための研究開発の場合を除く) (2)事業目的・政策的位置付けの妥当性 ・評価時点或いは事業開始時点の時代背景認識から見て、事業の目的は妥当で、 政策的位置付けは明確か。 ・政策課題(問題)の解決に十分資するものであるか。 ・国としての国際競争力に資するものであるか。 2.研究開発マネジメントについて (1)研究開発目標の妥当性 ・目標達成のために、具体的かつ明確な開発目標、目標水準を設定しているか。 ・目標達成度を測定・判断するための適切な指標が設定されているか。 ・費用対効果分析が適切に行われているか。(エネルギー特別会計を使用してい る場合には費用対効果分析を踏まえ定量的なエネルギー政策上の目標が立て られているか。) (2)研究開発計画の妥当性 1-4 ・目標達成のために妥当なスケジュール、予算(各個別研究テーマ毎の配分を 含む)となっているか。 ・目標達成に必要な要素技術を過不足なく取り上げているか。 ・研究開発フローにおける要素技術間の関係、順序は適切か。 (3)研究開発実施者の事業体制の妥当性 ・目標を達成する上で、事業体制は適切なものか。 ・各研究開発実施者の選定等は適切に行われたか。 ・関係者間の連携/競争が十分行われるような体制となっているか。 (4)研究開発実施者の運営の妥当性 ・意思決定、進捗状況、計画見直し等の検討が適切に行われているか。 ・プロジェクトリーダー(サブテーマのリーダーを含む)が有効に機能してい るか。 ・プロジェクト開始後の情勢変化(目標未達が明らかになった場合を含む)へ の対応は適切であったか。 (5)情勢変化への対応の妥当性 ・技術動向や社会・市場ニーズの変化等に対応して、計画を適切に見直したか。 ・計画の見直しに当たっては、時代背景の変化を考慮していたか。 3.研究開発成果について (1)計画と比較した目標の達成度 ・成果は目標値をクリアしているか。 ・全体としての目標達成はどの程度か。 ・立案時点または計画見直し時点の時代背景認識から見て、事業は研究開発と して成功したといえるか。また、評価時の時代背景から見てどうか。 (2)要素技術から見た成果の意義 ・世界最高水準、世界で初めて、又は国際水準から見て優れた成果があるか。 (ある場合は、その根拠及びインパクトが明確に説明されているか。 ) ・新たな技術領域を開拓するような成果の独創性が認められるか。 (認められる場合は、新たな技術領域の内容、その根拠、規模及び発展性はど うか。) ・新たな市場創造につながるような新規性、先進性が認められるか。 (認められる場合は、新たな市場の内容、その根拠及び発展性はどうか。 ) ・汎用性のある(応用分野の広い)技術が開発されているか。 ・当初想定していなかったような成果(派生技術等)はあるか。 ・将来の時代背景の変化により、重要性の増すあるいは減る成果はどのような ものか。 (3)成果の普及、広報 ・論文の発表は、質・量ともに十分か。 ・特許は適切に取得されているか。 1-5 ・基本特許が的確に取得されているか。 ・特許性は十分あると判断されるか。 ・外国特許が適切に出願されているか。 ・必要に応じ、成果の規格化に向けた対応が取られているか。 ・広報は一般向けを含め十分に行われているか。 (4)成果の公共性【注2】 ・成果の公共性を担保するための措置、あるいは普及方策を講じているのか。 (JIS 化、国際規格化等に向けた対応は図られているか、一般向け広報は積極 的になされているか等) 4.実用化、事業化の見通しについて (1)成果の実用化可能性 ・産業技術としての見極め(適用可能性の明確化)ができているか。 ・公共財としての需要が実際にあるか。見込みはあるか。 ・公共性は実際にあるか。見込みはあるか。 (2)波及効果 ・成果は関連分野へのインパクトを期待できるものか。 ・当初想定していなかった波及的な成果はあるのか。 ・プロジェクトの実施自体が当該分野の研究開発を促進するなどの波及効果を 生じているか。 (3)事業化までのシナリオ ・コストダウン、導入普及、事業化までの期間、事業化とそれに伴う経済効果 等の見通しは立っているか。 【注1】 : 「必要性」の観点からの評価は、政策効果からみて、対象とする政策に係る 行政目的が国民や社会のニーズ又はより上位の行政目的に照らして妥当性 を有しているか、行政関与の在り方からみて当該政策を行政が担う必要が あるか等を明らかにすることにより行うものとする。 (政策評価に関する基 本方針(閣議決定平成 13 年 12 月)参照) 【注2】:知的基盤・標準整備等のための研究開発のみ。 【全体注】:評価においては、プロジェクトに対する提言を含めて検討を実施するも のとする。 1-6 (参考資料) 政策立案・評価ガイドライン(抜粋) (平成 11 年 12 月経済産業省策定) IV.評価事項 1.事前評価 (1) 施策・制度の必要性[どのような問題が存在するのか、なぜその問題を改善する上で行政の関 与が必要なのか] 民間活動のみでは改善できない問題であって、かつ、行政が関与することにより改善できるも のが存在することを論証しなければならない。 行政の関与の必要性については、 「市場の失敗 市場の失敗」 「市 市 市場の失敗 と関連付けて説明すべきことを原則とする。 場の失敗」については以下に概念を示すが、より詳しくは、行政改革委員会「行政関与の在り方 場の失敗 に関する基準」 (平成 8 年 12 月 16 日)の「行政関与の可否に関する基準」による。 行政関与の必要性の説明として、 「市場の失敗」 市場の失敗 に該当しないものも許容するが、その場合には、 上述した問題の存在することの説明や公共性が高いことの根拠はできる限り客観的に明らかにし なければならない。 <市場の失敗 市場の失敗>…行政改革委員会「行政関与の在り方に関する基準」 (平成 8 年 12 月)による 市場の失敗 (a) 公共財的性格を持つ財・サービスの供給(経済安全保障、市場の整備、情報の生産、 文化的価値を含む) 複数の人が同時に消費できたり、対価の支払いなしに(まま)消費を制限することが 困難である財・サービスのことをいう。 例:市場ルールの形成 (b) 外部性 ある個人・企業の活動が、市場を経ずに他の個人・企業の経営環境に影響すること をいう。好ましいものを正の外部性、好ましくないものを負の外部性という。 例:負の外部性の例として地球環境問題(正の外部性については、解釈に幅があると される) (c) 市場の不完全性 不確実性や情報の偏在(財や価格について取引の当事者間で情報量にばらつきがあ ること)などがあるために市場取引が成立しないこと。 例:技術開発(不確実性) 、製品事故(情報の偏在) (d) 独占力 独占力は、一般には、市場におけるマーケット・シェアやライバル企業と異なる品 質の製品を提供することによって生まれる価格設定力である。市場参加者が大きな独 占力を持っている場合には、行政の関与が許容される場合があるとされる。 (e) 自然独占 平均生産費が、市場で需要される産出量を超えても逓減するため、新規参入が利潤 をもたらさず、また 1 社だけ存在することが効率的になるため生ずる独占のことをい う。 (f) 公平の確保 公平の確保を図るための施策については、機会の均等を図ることを第一とし、事後 的な公平については、所得・資産の多寡を基準とした再分配に原則として限定し、そ れ以外の施策からは原則として撤退する、とされている。 1-7 第2章 プロジェクトの概要 当該事業の推進部室及び研究実施者から提出された事業原簿をもって、当該プロジェクトの概 要を示す。 「高速コーンビーム3次元X線CT」 事業原簿 作成者 新エネルギー・産業技術総合開発機構 健康福祉技術開発室 作成時期 H14年10月30日 1 ―目次― 0. 概要 …………………………………………………………………………………………… 3 1. 国の関与の必要性・制度への適合性 ……………………………………………………… 6 1.1 国が関与することの意義 1.2 費用対効果 2. ……………………………………………………………… 6 ……………………………………………………………………………… 7 事業の背景・目的・位置づけ ……………………………………………………………… 7 2.1 事業の背景・目的・意義 2.2 事業の位置づけ 2.3 省エネ効果及び経済効果の試算 3. 事業の目標 4. 事業の計画内容 ……………………………………………………………… 7 ………………………………………………………………………… 8 ……………………………………………………… 8 ……………………………………………………………………………………11 ………………………………………………………………………………12 4.1 事業全体、個別研究開発項目の計画内容 4.2 研究開発項目毎の内容の詳細 4.3 研究開発実施主体の体制 ……………………………………………12 …………………………………………………………14 ………………………………………………………………24 5. 実用化、事業化の見通し(政策目的達成時のイメージ) ………………………………28 6. 今後の展開(政策目的達成までのシナリオ) ……………………………………………29 7. 中間・事後評価の評価項目・評価基準、評価手法及び実施時期 ………………………30 8. 研究開発成果 …………………………………………………………………………………31 8.1 事業全体の成果 8.2 研究開発項目毎の成果 9. 10. 情勢変化への対応 …………………………………………………………………………31 …………………………………………………………………37 ……………………………………………………………………………66 今後の事業の方向性 ………………………………………………………………………66 2 0. 概要 制度名 医療福祉機器技術研究 事業名 高速コーンビーム3次元X線CT 開発制度 事業の概要 高い3軸方向の空間分解能と高画像階調を有する3次元画像 を、高速で撮影し表現する「高速コーンビーム3次元X線CT」 を研究開発する。本事業では、胸部や腹部などの広い範囲や心 臓などの動きのある臓器が撮影できる大面積で高速にデータ収 集のできるX線検出器と、3次元画像診断に求められる膨大な データを高速で処理するための並列演算装置や画像処理システ ムを開発し、これらを統合して次世代のX線CTシステムの実 現を目指す。 国の関与の必要性・制度へ の適合性 医療機器の開発は、人間の生命に係わる分野であることから、 非常に高い安全性・信頼性が求められ、特に新規性の高い技術 は、資金、開発期間等、非常に多大な開発コストを要する。ま た、次世代システムの実現には、莫大な開発リソースとある程 度の開発期間が必要であり、必要な要素技術の不確実性、およ び、これまでにない画像診断の市場の予測が困難であるために、 臨床現場に革新をもたらす可能性さえあるにもかかわらず、民 間企業が独自で開発投資を行うのが困難となっている。 革新的な技術開発により、国民の健康寿命延伸に資するとと もに、医療技術において新しい診断方法を確立することにより、 産業、医療における技術革新を加速させることが可能となる。 また、国際的な競争力を強化するためには、様々な関連施策と 併せて、産学官が結集し、役割分担と連携体制を明確化しつつ、 国のプロジェクトとして一体的に推進することが必要である。 事業の背景・目的・位置づ 高齢化に伴い、悪性新生物や脳血管障害による死亡が増大、よ け り高度で経済的な診断装置の開発が望まれている。本研究開発 の装置により、検査時における静止時間の短縮、X線被曝の減 少が図れるほか、疾病の早期発見、CT装置の稼働率向上や、 省エネルギーとメンテナンス経費の削減により、加療期間の短 縮と医療費の削減効果も期待できる。 事業の目標 胸部、腹部等広い領域や、心臓や肺のような動きのある臓器の (全体目標) 鮮明な3次元画像を、短時間で撮影可能な「高速コーンビーム 3次元X線CT」を開発する。 事業の計画内容 H10fy H11fy H12fy H13fy 総 額 (単位:百万円) 当初計画額(提案書) (4 年間) 193 210 3 300 85 788 (節約前) 52 78 10 (節約後) 51 77 10 一般会計 (補正予算後) 79 167 特別会計(電特) 特別会計(石特)(節約前) 139 109 257 139 (節約後) 127 108 248 133 178 276 259 141 特別会計(エネ高) 総予算額(計) 研究開発体制 省内担当原課 855 経済産業省 商務情報政策局 サービス産業課 医療・福祉機器産業室 (実態に併せて記載) 運営機関 新エネルギー・産業技術総合開発機構 委託先 技術研究組合医療福祉機器研究所 (分担企業 ソニー㈱、㈱東芝) 再委託先 東京慈恵会医科大学、東京女子医科大学、徳島 大学 実用化、事業化の見通し 共同研究先 なし 現在、広い領域を高速、高分解能で画像化するマルチスライ スヘリカルスキャンによる検査/診断が急速に普及しつつあ る。この一連の技術革新のゴールは、心血管系をはじめとする 動きのある臓器の3次元画像化である。これにより、心血管系 の動態観察や、肺野、消化器系などの内腔臓器、骨、関節など の疾病の診断の精度が飛躍的に向上する。また、同時に急速に 普及しつつある PET との複合画像診断にも威力を発揮すること は間違いない。さらには、インターベンション手技におけるモ ニター(ガイド)としても X 線装置による 2 次元透視画像では なく、本装置が用いられる可能が高い。 本事業により、プロトタイプ(実証機)を用いて世界で初め て高画質の等方性・等時性をもった3次元画像データが得られ た。この結果、上記、立体的動態観察を実現するための最大の 課題であった、CT 用大視野2次元 X 線検出器の実現に目途がつ き、また、超高速データ処理プロセッサ技術もリアルタイム3 次元再構成を可能とする水準に達しつつある。 上記、本事業で開発された要素技術に基づき、製品システムで は、3次元(立体)の動態(4D)観察も可能とするイメージン グシステムを実現する。動きのある3次元のデータを精度よく 再構成する 3D-CT スキャナ本体と、3D-CT スキャナで生成され たデータを保存、画像処理、表示するための高速・大容量データ 通信ネットワーク、3D ボリュームサーバーシステム、3D イメー ジングワークステーション&ビューワ、及び、それらを有機的 に結合させる高速・大容量データ通信ネットワークシステムで 構成されるリアルタイム 3D イメージングシステムを実現する。 4 今後の展開 本事業により、世界で初めて高画質の等方性・等時性をもっ た3次元画像データが得られた。さらに、それをベースにして 世界初の高画質なリアルタイム 3DX 線 CT の実現性を示し得た。 新たな医療機器開発は高度な医療ニーズの実現であるともい えることから、新たな概念に基づく医療機器を開発するにあた り、医学側との連携を密に図ることにより、新たな医療概念を 構築していく必要がある。臨床研究グループを組織し、本事業 で実現した実証機(プロトタイプ)を用いた臨床研究を通じて、 新しい臨床応用の可能性をも模索し、実用段階へと進めてい く。 平成 13 年度から産業技術実用化開発費助成事業の支援を得 て、実用化研究を加速して進め、4∼5年後には、新しい臨床 応用をも可能としたリアルタイム 3D イメージングシステムと して実用化する計画である。 [実用化に向けて残る課題] 3次元動態(4D)観察を可能としたり、バイオプシ、内視鏡、 カテーテル手技等において、3次元的なガイドを可能とするリ アルタイム 3D イメージングシステムの実現に対する残された 主な課題は以下のとおりである。 ・スキャンの高速化 ・画像再構成、画像処理の高速化 ・保存データ容量の大容量化 ・ネットワークの高速化 ・コスト低減 [課題に向けて] 上で述べた主な課題を達成するため、各ユニット毎に、プロト タイプをベースとして、最新の技術を盛り込んだ実用化技術開 発を推進する。 中間・事後評価 研究開発成果 特許(出願)数:0(1)、査読論文数 5、新聞発表数 3 (本資料作成時までの累計とする) 情勢変化への対応 基本計画の変更 変更なし 変更内容 評価履歴 NEDO 健康福祉プロジェクト技術検討会(平成 13 年 11 月) 今後の事業の方向性 作成日 平成 14 年 10 月 30 日 5 1. 国の関与の必要性・制度への適合性 1.1 国が関与することの意義 <目的・意義> X線CTによる断層像を中心とした画像診断は、今日では必要不可欠になって いる。最近では、より正確で詳細な診断のために人体の立体的な情報を用いる3 次元診断が、マルチスライスCTの普及にともない急速に発展しつつある。 しかし、現状の装置では等方性分解能のデータを収集することはできず、診断 上必要となる病巣の位置や体積の計測が不正確となるなど、本格的な3次元画像 診断のためには検査時間や解像度などの問題が未解決で、等方性・等時性を有し た高分解能で立体を短時間で高速撮影できる新しい3次元画像診断装置の開発 が望まれている。 将来の3次元画像診断に必要とされるのは、現在の装置に比べて数十分の一の 時間で立体を撮影できること、得られた立体データを医師が観察したい形式です ばやく分かり易く提示できる高度な画像処理が行えること、そして、それらの立 体データが等方性と等時性を有した真の3次元データから構成されていること である。広い範囲を正確に立体的に観察できれば、IVRのようなX線透視下で のさまざまな治療に応用範囲が広がる。さらに、立体高速撮影が可能になれば、 これまで不可能であった関節の動きや血流の状態などの立体的動態解析ができ るようになり、新たな画像診断が可能になる。 さらに、本装置を他のモダリティとの複合画像診断に使用することにより、正 確な3次元データを融合させた従来にない3次元画像診断が行え、診断能の飛躍 的向上が見込まれる。 本研究開発では、胸部や腹部などの広い範囲や心臓などの動きのある臓器を撮 影できる大面積で高速にデータ収集のできるX線面検出器と、3次元画像診断に 求められる膨大なデータを高速で処理するための高性能の並列演算装置や高度 な画像処理システムを開発し、これらを統合して次世代のX線CTシステムの実 現を目指す。 しかし、これら世代を超えるシステムの実現には、莫大な開発リソース(研究 開発者、研究開発投資)と、ある程度の開発期間が必要であり、必要な要素技術 の不確実性、および、これまでにない画像診断の市場の予測が困難であるために、 臨床現場に革新をもたらす可能性さえあるにもかかわらず、単独の民間企業が独 自で開発投資を行うのが困難となっている。 要素技術、市場にめどが立った段階で、開発に拍車をかけても、海外企業の後 追いになる恐れがあり、医療機器産業だけでなく、医療技術においても優位性を 失う可能性がある。 本事業に国が関与することで、市場が形成される以前に、臨床にも適用可能な プロトタイプ(実証機)を実現することが可能となり、市場の潜在ニーズを顕在 化させるとともに、医療技術において新しい診断方法を確立することにより、産 6 業、医療における技術革新を加速させることが可能となる。 1.2 費用対効果 投資回収率(市場価格の合計/投資):約 526 倍が期待できる。 (算出根拠)投資額 :8.55 億円/4 年 置換え導入台数 :3,000 台(2010 年度までに) 装置の推定実売価格 :1.5 億円/台 本事業は、次世代CTシステムの要素技術開発を目指したものだが、最終的に は、立体的動態解析や、立体透視ガイド下による低侵襲治療への応用など、臨床 技術に革新をもたらすものであり、医療の質を向上させるだけでなく、治療期間 なの短縮などによる医療費削減効果をもたらすとともに、関係する周辺の産業分 野に新しい市場を喚起するものである。したがって、長期的に、広範囲に波及効 果をもたらすものである。 2. 事業の背景・目的・位置づけ 2.1 事業の背景・目的・意義 (1)目的・意義 <目的・意義> 胸部、腹部等広い領域や、心臓や肺のような動きのある臓器の鮮明な3次元画 像を、短時間で撮影可能な「高速コーンビーム3次元X線CT」を開発する。本 装置により、検査時における静止時間の短縮、X線被曝の減少が図れるほか、疾 病の早期発見、CT装置の稼働率向上、省エネルギーとメンテナンス経費の削減 により、加療期間の短縮と医療費の削減効果も期待できる。 <社会・経済的背景> 高齢化に伴い、悪性新生物や脳血管障害による死亡が増大、より高度で経済的 な診断装置の開発が望まれているが、現在使用されているX線CTでは、胸部、 腹部等広い領域の病変部を発見するには、広い範囲の多数の画像を得るために長 時間のX線照射は避けられず、被曝による影響は無視できない。そこで本CTが 実用化され、かつ低コスト化が実現できれば、X線CTの領域のほとんどが本装 置に置き換わるほか、従来のCTでは不可能であった心血管系の診断にも使用さ れる可能性があり、画像診断技術に革新的な変化をもたらす。 <技術的背景> 7 現状技術で得られる画像は平面断層像に限られ、3次元画像を得ようとする場 合、最新ヘリカルCTを用いても、撮影に長時間を要すると共に、断面ピッチは 5mm 程度が限界であり、体軸方向の分解能は低い。また、3次元画像を得るため にコーンビームを用いる3次元CTの研究が進められているが、X線照射法、検 出方式、画像再構成能力等の制約から、一回の撮影に 12 秒、画像再構成に 6 分 程度が必要である。 また、画像品質も十分とはいえず、心臓等の動きのある臓 器に対応できない技術水準に留まっている。 2.2 事業の位置づけ <事業の位置づけ> 新規医療診断装置の開発を目的とした研究開発 <関連技術動向> 3次元X線CTの開発は、1970 年代にDSRの名称で米国メイヨクリニック で行われたが実用化に至らなかった。その後、1990 年代にヘリカルCTによる 3次元的撮像手法が実用化され現在に至っている。また、2次元X線センサーに ついては、国内では放射線医学総合研究所と浜松ホトニクス、国外ではバリアン、 シーメンス、フィリップス、ミシガン大学などが開発をおこなっているが、各グ ループとも実用化を目標としているが、必ずしも順調に進んでいない。 2.3 省エネ効果及び経済効果の試算 (1) 概要 従来方式のX線CTに対し、本方式(コーンビーム方式)では撮像時間が 1/14∼1/50 となることから電力消費量を大幅に低減することができる。ま た、X線管球の交換回数が大幅に減少し、医療経済上の節減効果が見込める。 (2) 省エネ効果の算出根拠 X線CTの 2000/8 時点での導入台数は 17,671 台( 『新医療』調査)で年 1,000∼1,500 台導入台数が増加している(新規、買換えも含む)。そのため、 2010 年においては、24,000 台程度が導入されていると推測される。 一方、コーンビーム型の本装置は従来型に比べ、患者の拘束時間が短く、 3 次元画像が得られ、4次元画像(3 次元+時間)としての応用も可能であ ることから、新規導入の多くはコーンビーム型となると推測される。そのた 8 め、2010 年度までに少なくとも 3,000 台はコーンビーム型が導入されるも のと推測する。 そこで、2010 年度までに導入される本コーンビームCTの台数を 3000 台 とすると、本CT分の年間消費電力量は約 6.0×105kWh となり、従来CT同 数分の電力量(約 3.0×107kWh)に比して 98%が削減され、2010 年における 年間省電力量は 2.94×107kWh となる。 以下に計算式を示す。 ・X線CTの必要電力(従来CT、本CT同じ):100kVA ・2010 年における本装置の導入台数 :3,000 台 従来CT1台あたり(高解像度で計算) 1日:100(kVA)×50(秒)×30(人)=1.5×105kJ 年間:1.5×105×240=3.6×107kJ≒1×104kWh 本コーンビームCT1台あたり 1 日:100(kVA)×1(秒)×30(人)=3×103kJ 年間:3×103×240=0.72×106KJ≒2×102kWh 稼動台数を 3,000 台とすると 従来CT:1×104kWh×3.0×103=3.0×107kWh 本CT :2×102kWh×3.0×103=6.0×105kWh 年間省電力量 3.0×107−6.0×105=(3.0−0.06)×107kWh =2.94×107kWh [算出条件] 撮像時間の平均(東京都内A病院の例) マルチスライスX線CTの各部位の検査(頭部、胸部、腹部等)の単 純平均時間 標準 :約 14 秒 高解像度(0.5mm 分解能):約 50 秒 本CT :1 秒 撮影人数 30 人/日、稼動日数 240 日 (3) 医療経済効果の算出根拠 X線管球の交換回数の減少により 2010 年度において年間数百億円の節減が 9 見込まれる。 以下に計算式を示す。 費用 800 万円、年間1回交換が不要となるとすると、 800 万円×3,000 台=240 億円(節減分) [算出条件] ・現在では毎年 1 回∼2 回交換されている。 ・管球価格(原価 300 万円推定) ・交換費用 500 万∼800 万円/1 回 10 3. 事業の目標 (1)目標 胸部、腹部等広い領域や、心臓や肺のような動きのある臓器の鮮明な3次 元画像を、短時間で撮影可能な「高速コーンビーム3次元X線CT」を開発 する。本装置より、検査時における静止時間の短縮、X線被曝の減少が図れ るほか、疾病の早期発見、CT装置の稼働率向上により、加療期間の短縮と 早期社会復帰が可能となり医療費の削減効果も期待できる。 実施した研究開発の目標を次に示す。 【大視野X線検出システム】 ・方式 :固体シンチレータ+フォトダイオードアレイ ・サイズ :900mm x 250 mm ・ピクセル数:912 x 256 ピクセル ・階調 :65536 ・読出し時間:1ms/フレーム ・撮影時間 :1 秒以内 【3次元データ再構成システム】 ・処理時間 : 約 60∼140 秒(512x512x256)、185GFLOPS 【全体目標】 ・空間分解能:0.5x0.5x0.5mm ・画像階調:4000 ・画像表現内容:レンダリング画像 ・散乱X線除去機能を有すること (2)目標設定理由 高齢化に伴い、悪性新生物や脳血管障害による死亡が増大、より高度で経済 的な診断装置の開発が臨まれているが、現在使用されているX線CTでは、胸 部、腹部等広い領域の病変部を発見するには、広い範囲の多数の画像を得るた めに長時間のX線照射は避けられず、被曝による影響は無視できない。そこで、 検査時における静止時間の短縮、X線被曝の減少が図れるほか、疾病の早期発 見、CT装置の稼働率向上により、加療期間の短縮と医療費の削減効果も期待 できる「高速コーンビーム3次元X線CT」の開発が必要とされている。 本システムは頭部、胸部、腹部などの広い領域のボクセルデータを短時間で 得るためのシステムである。本システムは、従来のX線CTと異なり、広い領 域を短時間でスキャンし、得られた投影データを用いて、短時間でボクセルデ ータを再構成する必要がある。されに、得られたボクセルデータは大量である 11 ため、専用の3次元画像処理システムが必要である。 これらの目標を達成するために広い領域の投影データを短時間で得るため に、X線の形状としてコーンビームを設定した。再構成領域として、頭部およ び胸部、腹部の3次元像を得るために、30 x 30 x 30 cm 又は、50 x 50 x 15 cm とした。最高分解能を 0.5 x 0.5 x 0.5 mm に設定することにより、これ までのCTで検出できなかった微小な病巣の検出が可能となる。3次元画像再 構成部としては、ボクセル数 5123 で再構成時間 5 分を設定するが、10003 ボ クセルの処理については平成 10 年度のトータルシステムの仕様検討の中で、 その可能性について再検討する。3次元画像処理システムの研究開発について は、3次元のボクセルデータ量が非常に大きいこと、3次元データによる診断 がほとんど行われていないことから、診断のための処理技術が必須であること から設定した。 4. 事業の計画内容 4.1 事業全体、個別研究開発項目の計画内容 高い3軸方向の空間分解能と高画像階調を有する3次元画像を、高速で撮影し 表現する「高速コーンビーム3次元X線CT」を研究開発する。 開発スケジュールを 9 頁に示す。 12 研究開発の年度別計画 開発スケジュール 金額(百万円) サブテーマ名(実施主体) 平成 10 年度 平成 11 年度 平成 12 年度 平成 13 年度 計 研究開発 (1) 要素技術の開発 ①基本設計 (ソニー, 東芝) ②大視野X線検出器 基礎検討 第 1 次試作 第 2 次試作 の開発 (ソニー, 東芝) ③3次元データ再構 仕様検討 設計 試作 仕様検討 設計 試作 成装置の開発 (ソニー, 東芝) ④3次元画像処理シ ステムの研究開発 (ソニー, 東芝) (2) トータルシステム 基礎検討 設計 試作 システム評価 試作ソフト の評価 臨床評価 の開発 (ソニー, 東芝) (3) 総合評価 3次元画像読 3次元画像読 (ソニー, 東芝, 東京慈 影手法の評価 影手法の評価 恵会医科大学, 東京女 子医科大学, 徳島大学) (4) 運営管理 (ソニー, 東芝, 技術研究組合 医療福 祉機器研究所) 当初計画額(提案書) 193 210 300 85 788 予算額 178 276 259 141 855 13 4.2 研究開発項目毎の内容の詳細 (1)大視野X線検出器 大視野、高分解能、かつ高速で X 線画像データを検出するための固体検出器を 開発する。現在、広く使われている検出器、あるいは、研究開発が進められてい る検出器について比較検討し、本事業全体の目標に対し、最適な方式を選択、開 発する。 回転方向の視野の確保、リアルタイム性、最終的な画質などをポイントに、シ ステムとしてのトータルのパフォーマンスがより優れたものとなるように検討 し、検出器に要求する仕様として、以下のように設定した。 <主な仕様> 項目 仕様 検出器 90cm×23cm 撮影領域 φ50cm×10cm @検出器位置 ∼1mm×∼1mm @撮影領域中心 ∼0.5mm×∼0.5mm 検出器サイズ 画素サイズ ダイナミックレンジ 16bit 以上 データ収集速度 900 ビュー(フレーム)/秒 効率 吸収効率 ∼100% 幾何学的効率 60∼80% 総合効率 60∼80% 散乱線対策 散乱線除去用コリメータ 14 <年度ごとの計画> 年度 平成 10 年度 アイテム システムから要求される 仕様の確認 検出器の方式の比較 直接変換型 2 次元検出器 の機能試作、評価 間接変換型 2 次元検出器 の機能試作、評価 平成 11 年度 ∼12 年度 パネル方式 2 次元検出器 のサンプル評価 CT 方式 2 次元検出器の製 作方法開発、 一式 1 次試作、基本性能 の評価、 ターンテーブルでの連続 回転データ収集 平成 13 年度 フルサイズ検出器/デー タ収集システムの 2 次試 作製作、 回転架台への実装、評価 内容 低コントラスト物体を高画質に、かつ高分解能(空 間、時間とも)で描出可能な高速立体スキャナの実現 のために、検出器に要求される目標を確認する。 (この結果が、上記、検出器の試作仕様である) 現在、広く使われている検出器、および、研究開発 中の代表的な検出器について、比較し、上記仕様の実 現に対する課題を、方式ごと、あるいは共通課題とし てまとめ、具体的な開発内容にブレークダウンする。 研究開発中の X 線装置用直接変換型 2 次元検出器に ついて、試作サンプルを評価し本システムへの適用可 能性を検討する。 マルチスライス CT 用検出器をベースとした間接変 換型検出器について、機能試作サンプルを製作し、基 本動作を確認する。 X 線装置用フラットパネル検出器について、サンプ ルを購入、評価し、本システムへの適用可能性を検討 する。 CT 方式の間接変換型検出器について、縦横に密接 して配列可能な検出器ブロックの構造、製作方法に関 する要素技術を確立する。大視野 2 次元検出器は、ベ ースとしたマルチスライスCT用検出器と異なり、 0.5mm スライスに相当する検出素子を 256 列配列す る。1 つのシンチレータブロックでは、スライス厚方 向に配列される検出素子は 64 素子と、従来のマルチ スライス CT 用検出器(34 素子)の 2 倍近くとなる。 さらに、スライス方向に密集して 4 つの検出器ブロッ クを配列する必要があるため、新たな製作方法を開発 する。具体的には、シンチレータブロックの製作方法、 フォトダイオードへの組み合わせ、4 つのブロックの 位置調整方法、散乱線除去用コリメータなどが課題で ある。 確立した製造技術により、チャンネル方向 912 素 子、体軸方向 256 素子を備えた検出器を試作し、デー タ収集システムと組み合わせた基本的な特性を評価 した後、ターンテーブル評価システムを用いて、連続 回転データの収集動作を確認する。 一次試作検出器の評価結果に基づき、ノイズ低減、 出力向上を狙って、 第 2 次試作として改良版を製作し、 連続回転架台に実装した状態での評価を行う。 連続回転中にデータ収集の基本動作が可能である ことを確認したうえで、各種ファントムに対する基本 的な数値データ(出力、ノイズ、直線性)を測定、検 出器/DAS としての基本性能評価を行う。さらに、単 体評価と同等なノイズレベルを達成するため、架台搭 載状態でのノイズ低減対策を加え後、ファントムの画 像データを収集し、オフラインで 3 次元再構成してサ ンプル画像を得る。 15 (2)3次元データ再構成 3次元データ再構成システムでは、高速で3次元画像再構成を処理するシステ ムを開発する。 <年度ごとの計画> 年度 平成 10 年度 内容 再構成演算及び並列演算処理の手法について検討を行う。 3次元再構成演算を行う並列処理装置の設計に際し、製作する装置に 要求される仕様を検討の検討を行う。 平成 11 年度 前年度に検討した要求仕様に基づき、3次元画像再構成装置の設計を 行い、試作機を製作する。この試作機を用いて演算性能の評価を行う。 また、装置の評価を単体で行えるような環境として、実験システム(数 値ファントムシミュレータ、3次元再構成プログラム、3次元CT画像 表示ツール)を構築し、再構成アルゴリズムや検出器形状の検討を効率 的に推進する。 平成 12 年度 データ伝送部出力と再構成装置とのインタフェース部の製作を完了 し、動作及び性能の評価に着手する。また、制御コンソール部の基本製 作を完了し、性能評価に着手する。 (3)3次元画像処理 3次元ボクセルデータをもとに、人体を3次元的に透視する診断用ボリューム データ画像等を表現するシステムの研究開発を行う。 <年度ごとの計画> 年度 平成 10 年度 内容 PCベースの画像処理装置の基本設計を行い、3次元ボクセルデータ を用いた画像表示・処理について検討する。画像処理ワークステーショ ンの検討のため、ボリュームデータを既存の画像処理システムに入力可 能な DICOM コンバータを開発する。 平成 11 年度 3次元画像処理の基本要素として、3次元データを2次元画像として わかりやすく表示するためのビューワーを作成する。また、基本的な3 次元画像処理を行えるよう、ビューワーに画像フィルターと任意角断面 切出し機能を付加する。このビューワーにより、3次元データを容易に 観察できるようにし、検出器や演算装置の評価を効率よく行う準備を整 え、画像ワークステーションの基本要素の検討を行う。 平成 12 年度 読影システム及び DICOM コンバータについて仕様を検討する。また、 マルチプラットフォームに対応し、複数ユーザによる画像診断を可能と する方式を検討し、システムの試作を行い、性能評価に着手する。また、 高速のデータ処理と大規模データへの対応を可能とするため、高性能サ ーバと大容量 RAID システムを導入する。 16 (4)トータルシステム 大視野X線検出器、データ収集装置、データ伝送装置、X線管、電源、架台、 寝台、再構成システム、読影システム等を組み合わせ、トータルシステムとして 完成させ、評価する。 1)データ収集装置(DAS) ・大視野 2 次元検出器で得られた大量のアナログ信号を、高速にディジタル信 号に変換するデータ収集装置を開発する。 <主な仕様> 項目 仕様 データ収集速度 900 ビュー(フレーム)/秒 データ読み出し時間 1.1ms /フレーム データの解像度 16bits 以上 サイズ 従来同等規模の CT 架台に搭載可能 17 <年度ごとの計画> 年度 平成 11 年度 ∼12 年度 平成 13 年度 アイテム データ収集装置用 A/D 変換 IC の基本設計 内容 データ収集装置は、912 個の AD 変換 IC(ADC チッ プ)を使用する。1 個の ADC チップは、体軸方向に配 列した 256 個の検出素子の出力信号(アナログの電圧 信号)を、順番に 16bits のディジタル信号に変換す る。900 フレーム/秒のデータ収集速度が必要なため、 約 1.1ms の間に 256 個のデータを A/D 変換することに なる。このような ADC チップは、従来製品として存在 せず、新たに開発する必要がある。 データ収集装置の 1 次試作 データ収集システムについて、詳細設計を行い、一 式試作する。データ収集システムは、検出器で発生し た電荷を電圧に変換するチャージアンプ、上記 A/D 変 換 IC を実装した ADC ボード、ADC ボードの動作を制御 する CONT ボード、これらのボードを多数実装するバ ックプレーン基板から構成され、それぞれ新規に設 計、製作する。システム一式で、チャージアンプ 152 枚、ADC ボードが 38 枚、CONT ボードが 2 枚、バック プレーン基板が 1 セット必要である。 データ収集装置の 単体評価 (基本動作、ノイズ、 リニアリティ) 既知の電圧源を A/D コンバータの入力に接続し、異 なる電圧に対する出力を測定し、A/D コンバータの動 作を確認する。 続いて、ダミーフォトダイオードをチャージアンプ に接続し、チャージアンプの出力を、A/D コンバータ に接続して、チャージアンプ基板の基本的な動作確認 に続いて、ノイズ、リニアリティ、時間応答性などの 特性を評価する。 検出器と接続した評価 検出器のフォトダイオードのシフトレジスタなど の動作を確認した後で、暗電流(オフセット)を測定 し、暗電流の絶対値、及び、オフセットノイズを評価 する。 続いて、X線を用いて、検出器、データ収集システ ムの感度等を測定、評価する。 さらに、組み合わせた状態で、ターンテーブルを用 いた評価システムで、各種画像データを収集し、CT 用検出器、データ収集システムとしての基本性能を評 価する。 フルサイズ検出器 /データ収集システム の 2 次試作製作 回転架台への実装、評価 ノイズ低減、出力向上を狙いとして、改良試作し、 連続回転架台に実装した状態での評価を行う。 連続回転中にデータ収集の基本動作が可能である ことを確認し、各種ファントムに対する基本的な数値 データ(出力、ノイズ、直線性)を測定、検出器/デ ータ収集システムとしての基本性能評価を行うとと もに、画像データを収集、オフラインで 3 次元再構成 したサンプル画像を再構成し、総合的に評価する。 18 2)データ伝送装置 ・架台の回転側と固定側との間で、大量のディジタルデータを、高速、かつ非 接触に双方向で通信するデータ伝送装置を開発する。高速コーンビーム 3 次元 CT では、検出データが膨大になり、回転側から固定側に伝送するデータ量も 膨大になる。 <主な仕様> 項目 仕様 トータルのデータ伝送レート 約 5Gbits 以上/秒 単体モジュールのデータ伝送レート 500Mbits 以上/秒 データ伝送モジュール数 (分割数) 送信側 24 受信側 12 データ伝送モジュール の方式 送信側 レーザダイオード 受信側 フォトダイオード 19 <年度ごとの計画> 年度 平成 11 年度 アイテム データ伝送システム の基本設計 内容 トータル 5Gbits/秒以上のデータ伝送レートを実現 するためのデータ伝送システムの構成、データ伝送モ ジュールの分割数、単体モジュールのデータ伝送レー ト、伝送モジュールの方式、デバイスの選定など、基 礎検討、基本設計を行う。 レーザダイオードを用い レーザダイオードとフォトダイオード、及び間に配 た伝送方式の基本性能確 置する光整形素子から構成されるデータ伝送モジュ 認 ールの実験モデルを試作し、評価用小型回転架台を用 いて回転状態で、ユニット単体として、622Mbps の伝 送能力を確認する。 データ伝送インタフェー データ伝送モジュールの前後に配置し、信号の分割 ス部分の構想検討、基本 /結合を行うインタフェース部分の基礎検討、構想設 設計 計を行う。 架台回転側のインタフェースユニットは、データ収 集装置から送られるディジタルデータを分割して、デ ータ伝送モジュールの送信側であるレーザダイオー ド基板に送信するとともに、固定側から送られる制御 信号に基づいて、回転側に搭載されたX線発生装置、 X線光学系ユニット、データ収集装置などの制御も行 う。架台固定側のインタフェースユニットは、データ 伝送モジュールの受信側であるフォトダイオード基 板からの信号を再結合してデータ処理装置であるコ ンソールに送ると共に、回転側にX線発生装置、X線 光学系ユニット、データ収集装置などの制御信号を送 る。 平成 12 年度 架台実装可能なデータ伝 レーザダイオードを用いた光送信部、フォトダイオ 送モジュール、インタフ ードを用いた光受信部、及び間に配置する導光素子か ェース回路の試作、機能 ら構成されるデータ伝送モジュールを試作し、実際の 確認 システムと同じサイズの評価架台に実装し、回転状態 で評価し、データ伝送モジュール単体として、622Mbps の伝送能力を確認する。 回転側、固定側のインタフェース回路を試作し、静 止状態での評価を行い、データの分割、再結合の基本 動作を確認する。 平成 13 年度 連続回転架台への実装、 レーザダイオードから、フォトダイオードへの光伝 評価 播特性を改良したデータ伝送モジュールを試作し、連 続回転架台に実装した状態での評価を行い、インタフ ェース回路との組み合わせによりトータル 5Gbits/秒 以上のデータ伝送レートを確認する。 20 3)X 線管球、高電圧発生装置 ・大視野 2 次元検出器のサイズに対応して、体軸方向に広く X 線を照射可能と する X 線管球と、その X 線管球に電源を供給する高電圧発生装置を開発する。 <主な仕様> 項目 X 線形状 仕様 体軸方向 13 度以上 直径方向 50 度以上 最大定格出力 48kW 最大管電圧 135kV 最大管電流 400mA <年度ごとの計画> 年度 平成 12 年度 アイテム 1 次試作の詳細設計、 製作、評価 内容 従来のマルチスライス CT 用 X 線管球をベースにし て、体軸方向に 13 度以上の領域に照射可能となるよ うに、X 線管球内部、および照射口周辺を設計、製作 し、検出器、データ収集システムと組み合わせ、ター ンテーブル評価システムを用いて評価する。 X 線管球用高電圧発生装置も、現行製品のマルチス ライス CT に使用しているものをベースにして、取り 付け部分に変更を加えて製作する。 平成 13 年度 X 線管球 2 次試作の製作、 1 次試作した X 線管球に対して、焦点サイズを小さ 架台への搭載、動作確認、 くした 2 次試作品を製作し、 高電圧発生装置とともに、 評価 連続回転架台に実装し、検出器、データ収集システム と組み合わせて、画像データ収集を行い、照射領域を 確認する。 21 4)架台 ・大視野 2 次元検出器、データ収集装置、データ伝送装置、X 線管球、高電圧 発生装置、X 線光学系などを搭載し、高速、かつ連続回転可能な架台を開発す る。 <主な仕様> 項目 仕様 架台回転速度 1 秒/回転 連続回転 可能 X 線照射角度 体軸方向 13 度以上 直径方向 50 度以上 サイズ 従来 CT 同等 大視野 2 次元検出器 データ収集装置 データ伝送装置 X 線管球 高電圧発生装置 X 線光学系ユニット 主な搭載ユニット <年度ごとの計画> 年度 平成 11 年度 アイテム 架台レイアウト の基本設計 内容 架台について基礎検討を行い、マルチスライス CT 用架台をベースとした基本構想をまとめる。 体軸方向の撮影領域拡大に伴って増大するベアリ ングに対するモーメント荷重を許容範囲に納めるよ うに対策を施す。 搭載する各ユニットそれぞれについて、形状変更を 含めて検討し、架台への実装レイアウトを決定する。 必要な照射範囲をカバーできるように、X 線管球の 配置、実装方法、照射領域制限用スリットの機構方式、 制御方法を検討する。 平成 12 年度 評価用架台の 詳細設計、製作、評価 架台の詳細設計を完了し、製作する。大視野2次元 検出器、データ収集装置、高速データ伝送装置を搭載 し、1 秒以下/回転の速度で、連続回転が可能である ことを確認する。 平成 13 年度 X 線光学系ユニットの 製作、架台搭載、評価 X 線光学系ユニットを製作し、架台に実装して、照 射領域制限用スリット、線量分布調整用ウェッジフィ ルタの動作に関する基本性能、精度を確認する。 全ユニットを搭載した 架台の組み立て、 架台性能の評価 高速コーンビーム3次元 CT 用 X 線管球、高電圧発 生装置、大視野 2 次元検出器、データ収集装置、デー タ伝送装置などを搭載して連続回転架台として完成 させ、架台としての基本性能を測定評価し、従来の製 品と同じ基準をクリアすることを確認する。 22 5)システム制御ソフトウエア <年度ごとの計画> 年度 平成 12 年度 内容 X線検出器、データ伝送部、X線発生装置、架台・寝台等サブシステ ムを統合し、制御するためのソフトウエアの製作に着手する。 平成 13 年度 連続スキャンに対応するため、容量を増したメモリから構成される I/F ボードの製作を行う。これに平行して、撮影モジュール、再構成モジュ ール、検出器 I/F、及びイメージングを含むトータルシステムソフトウェ アの制作と、再構成・スキャンシステムソフトウェアの追加機能制作を 引き続き行う。さらに、再構成装置を構成する計算機やネットワーク関 連機器の見直しを行い、各段階での処理の高速化をはかる。 連続回転架台に、コーンビーム3次元CT用X線管球、高電圧発生器 の3ユニット、大視野2次元検出器(フルサイズ 912 チャンネル)、デ −タ収集装置、データ伝送装置のインタフェース部分、および、各ユニ ットの電源など周辺部品を実装したスキャナ本体と、スキャン制御装置、 再構成装置などからなるコンソールとを組み合わせた総合動作試験を行 う。コンソール側からの制御に基づき、架台回転、X線照射、データ収 集、データ伝送、データ保存といった、一連のデータ収集について基本 動作を確認し、収集したデータをオフラインで3次元再構成し、ファン トムのサンプル画像を得る。さらに、操作性の改善、各種条件でのデー タ収集動作の確認、オンラインでの3次元再構成動作確認等を進め、シ ステム一式での詳細確認を行う。 23 4.3 研究開発実施主体の体制 (1) 研究開発体制 経済産業省 出資 新エネルギー・産業技術総合開発機構 委託 (技)医療福祉機器研究所 ・運営管理 高速コーンビーム 3 次元 X 線 CT 開発委員会 分担 ソニー株式会社 株式会社東芝 再委託 東京女子医科大学 東京慈恵会医科大学 徳島大学 24 ・基本設計, 大視野 X 線検出器の開発, 3 次元デ ータ再構成装置の開発, 3 次元画像処理システムの研 究開発, トータルシステムの開発, 総合評価, 運営管理 ・基本設計, 大視野 X 線検出器の開発, 3 次元デ ータ再構成装置の開発, 3 次元画像処理システムの研 究開発, トータルシステムの開発, 総合評価, 運営管理 ○技術研究組合 医療福祉機器研究所 鉱工業技術研究組合法に基づき昭和51年8月に設立された技術研究組合 医 療福祉機器研究所は、産業科学技術研究開発制度のもとで、安全で操作性が良く、 かつコスト・パフォーマンスを追求する医療機器・福祉機器の研究開発(51プ ロジェクト、終了39、継続中12:平成9年度末)を推進している。 本プロジェクトにおいては、学識経験者からなる開発委員会(必要に応じて実 験評価委員会やワーキング・グループ等)を組織・開催・運営し、研究開発推進 に関する事項の審議、指導及び助言をいただき、かつプロジェクトに携わる研究 者相互の情報交換を行う。これらを通じて、実効ある研究開発を遅滞なく進捗さ せ、プロジェクトの効率的な運営を行う役割を期待できる。 ・研究開発の実施体制 理事会 理事長 事務局 総務部 研究開発部 諮問機関 医療福祉機器臨床評価審議委員会 ○研究成果装置の臨床評価方法、条件、安全対策等の審議 委嘱機関 高速コーンビーム 3 次元 X 線 CT 開発委員会 同ワーキンググループ委員会 ○研究遂行に関する指導及び助言 25 ○ソニー株式会社 コーンビームX線CTの研究実績、高速画像処理に関するソフト、ハードの 技術、半導体技術等、エレクトロニクス技術について広範な研究実績を有し、 これらの技術をもとに新たな展開が可能である。 ・研究開発の実施体制 社長 R&D 企画管理課 フロンティアサイエンス研究所 所長(執行役員) 部長 企画室医療工学グループ ○株式会社東芝 1975 年以来、スリップリング架台、高周波インバータを採用した高電圧発 生装置、各種X線検出器、大容量X線管、高速再構成装置、ヘリカルスキャナ 等最先端の技術開発を進め、20 数年のCTの技術発展の歴史をつくってきた。 近年では、マルチスライスCTの開発、3次元CTをも視野に入れた二次元検 出器を採用したCTの要素技術開発を進めるなど、本システム開発の基礎とな るX線CT装置を構成する全要素技術について広汎な研究実績を有する。 ・研究開発の実施体制 社長 医用システム社 経理担当 経営企画部 医用機器・システム開発センター(センター長) 26 CT・核医学開発部 (2) 当該体制を取る必要性 幹事企業であるソニー株式会社は、大視野X線検出器ならびに各要素技術の 基礎技術を有しており、これらの技術の開発を進めており本研究開発への展開 が可能である。 また、株式会社東芝においては、本研究開発の要素技術である、スリップリ ング架台、X線系、2次元検出器等の要素技術開発及びトータルシステムの開 発にとって必要不可欠な、①X線CT装置全般技術、②X線技術、③X線計測 技術、④画像処理技術、⑤CTの臨床応用機能に関する全般の技術を保有し、 これらの技術をもとに最先端のCT装置の研究開発を進めている。また、技術 研究組合医療福祉機器研究所は、多くのプロジェクト運営管理の経験と体制を 保有している。これらを統合した上記体制は、相互に有機的、補完的に作用し、 本プロジェクト遂行のための最適研究開発体制といえる。 27 5. 実用化、事業化の見通し(政策目的達成時のイメージ) 現在、広い領域を高速、高分解能で画像化するマルチスライスヘリカルスキャ ンによる検査/診断が急速に普及しつつある。この一連の技術革新のゴールは、 心血管系をはじめとする動きのある臓器の三次元画像化である これにより、心 血管系の動態観察や、肺野、消化器系などの内腔臓器、骨、関節などの疾病の診 断の精度が飛躍的に向上する。また、同時に急速に普及しつつある PET との複合 画像診断にも威力を発揮することは間違いない。 インターベンション手技におけるモニター(ガイド)としても X 線装置による 2 次元透視画像ではなく、本装置が用いられる可能が高い。 本事業により、プロトタイプ(実証機)を用いて世界で初めて高画質の等方性・ 等時性をもった3次元画像データが得られた。この結果、上記、立体的動態観察 を実現するための最大の課題であった、CT 用大視野 2 次元 X 線検出器の実現に 目途がつき、また、超高速データ処理プロセッサ技術もリアルタイム 3 次元再構 成を可能とする水準に達しつつある。 28 6. 今後の展開(政策目的達成までのシナリオ) 本事業により、世界で初めて高画質の等方性・等時性をもった3次元画像デー タが得られた。さらに、それをベースにして世界初の高画質なリアルタイム3DX 線CTの実現性を示し得た。 また、新たな医療機器開発は高度な医療ニーズの実現であるともいえることか ら、新たな概念に基づく医療機器を開発するにあたり、医学側との連携を密に図 ることにより、新たな医療概念を構築していく必要がある。その為、平成 14 年 5 月現在臨床研究グループを組織して、臨床研究を行っており、新しい臨床応用 の可能性をも模索し、実用段階へ進め得ると考えている。 平成 13 年度から産業技術実用化開発費助成事業の支援を得て、実用化研究を 加速して進め、4∼5年後には、新しい臨床応用をも可能としたリアルタイム3 D イメージングシステムとして実用化する計画である。 29 7. 中間・事後評価の評価項目・評価基準、評価手法及び実施時期 4年間の研究開発期間終了後に事後評価を行う。 本装置により、胸部、腹部等の広い領域や、心臓や肺のような動きのある臓器の 鮮明な3次元画像を、短時間で撮影可能となる。さらに、次のような臨床的な効果 も期待できる。 ①検査時における静止時間の短縮 ②X線被曝の減少 ③疾病の早期発見 ④CT装置の稼働率の向上 そこで、本プロジェクトでは、臨床的判断を評価の基準におく。 30 8. 研究開発成果 8.1 事業全体の成果 より正確で詳細な3次元画像診断を可能とするため、広い範囲の3次元ボ リューム画像を短時間で得ることができるコーンビーム3次元X線CTを 開発し、装置の基礎的性能の評価を行い、装置の臨床的な有用性を検証した。 本事業によって開発した装置は、大視野のCT用X線検出器と高速のデー タ伝送を可能とする伝送系、および大容量データを高速に再構成する並列演 算再構成装置と画像表示装置、等の新たに開発した要素技術により構成され る。大視野X線検出器(912 x 256 素子)とX線管で構成するガントリを 1 秒間に1回転させ、900 フレーム/秒の投影データを収集する。このデータ から再構成装置を用いて、最高分解能 0.5mm の等方性、等時性ボリュームデ ータが得ることが可能となっている。 実験の結果、1 スキャンの最大撮像領域が約 50 x 50 x 12.5 cm という広 範囲のデータが得られた。また、最高空間分解能は 0.5 x 0.5 x 0.5mm で、 従来CTと同程度の低コントラスト検出能を有するデータ(512 x 512 x 256 ボクセル)が約2分の再構成時間で得られた。 本装置により1秒間で広範囲の等方性・等時性高分解能ボリュームデータ が得られ、従来CTより良好な体軸方向の分解能を有することから、胸部や 腹部等の広い範囲における診断精度の向上やIVRへの応用、さらには従来 CTでは困難な心血管系への応用など、次世代X線CTとして高い有用性が 期待できるものとなった。 研究発表・講演 (1) RSNA2000 a)学会名 Radiological Society of North America (RSNA) Development of a large area 2-dimensional detector for b)タイトル Real-time 3-dimensional CT (4D-CT) (4DCT用大視野2次元検出器の開発) c)発表日時 2000/11/28 (2) SPIE Medical Imaging 2001 (1) a)学会名 The International Society for Optical Engineering (SPIE) Large area two-dimensional detector system for real-time b)タイトル three-dimensional CT (4D-CT) (4DCT用大視野2次元検出器) c)発表日時 2001/2/19 (3) SPIE Medical Imaging 2001 (2) a)学会名 The International Society for Optical Engineering (SPIE) Performance of Cone Beam CT Using a Flat-panel Imager b)タイトル c)発表日時 2001/2/18-19(poster presentation) 31 (4) JSMP 2001 a)学会名 b)タイトル c)発表日時 第81回日本医学物理学会 コーンビームCTにおける散乱線除去 2001/4/5 (5) 日本放射線技術学会 第 57 回総会学術大会 a)学会名 日本放射線技術学会 b)タイトル 4D-CT用大視野2次元検出器の開発 c)発表日時 2001/4/5 (6) CHINAMED 2001(中国 北京) b)タイトル Multi-slice Helical CT & 4D-CT - Key Technologies for Reai-Time Volume Imaging c)発表日時 2001/4/16 (7) 第 2 回 マルチディテクター・ローCT シンポジウム a)学会名(主催) マルチディテクター・ローCT研究会 b)タイトル マルチスライスCTの現状と将来 c)発表日時 2001/5/12 (8) JAMIT a)学会名 b)タイトル c)発表日時 第 20 回 日本医用画像工学会大会 JAMIT Annual Meeting 2001 リアルタイム3DCT(4D-CT)用大視野2次元検出器の開発 2001/7/13-14(ポスター) (9) 全国X線CT技術サミット a)学会名 b)タイトル 256列マルチスライスCT開発の現況 c)発表日時 2001/8/4 (10) 電子情報通信学会 2001 年ソサイエティ大会 a)学会名 電子情報通信学会 b)タイトル リアルタイムボリュームイメージングを支える最新技術 c)発表日時 マルチスライス CT から、4D-CT へ 2001/9/19 (11) RSNA2001 a)学会名 Radiological Society of North America (RSNA) b)タイトル Development and Evaluation of a Real-time 3-dimensional CT (4D-CT) Scanner c)発表日時 2001/11/27 (12) SPIE Medical Imaging 2002(1) a)学会名 The International Society for Optical Engineering (SPIE) 32 b)タイトル Monte Carlo analysis of relation between patient dose and noise c)発表日時 characteristic of flat panel detector for cone-beam CT 2002/2/24-25(poster presentation) (13) SPIE Medical Imaging 2002(2) a)学会名 The International Society for Optical Engineering (SPIE) b)タイトル c)発表日時 De-noising of cone beam CT image using wavelet transform 2002/2/24-25(poster presentation) (14) SPIE Medical Imaging 2002(3) a)学会名 The International Society for Optical Engineering (SPIE) b)タイトル Development and Evaluation of a Real-time 3-dimensional CT (4D-CT) Scanner (リアルタイム3D-CT(4D-CT)スキャナ) c)発表日時 (15) 第 7 回 2002/2/24-25(poster presentation) 3 次元 CT・MRI 研究会 b)タイトル シンポジウム「医用三次元画像の近未来」 c)発表日時 256 列マルチスライス CT 2002/3/16 (16) 日本放射線技術学会 第 58 回総会学術大会 a)学会名 日本放射線技術学会 b)タイトル 4D-CTシステムの開発 c)発表日時 2002/4/4 (17) JRS 2002 a)学会名 b)タイトル c)発表日時 第61回日本医学放射線学会(The 61st Annual Meeting of Japan Radiological Society : JRS 2002) 高速コーンビーム3次元X線CTの開発 2002/4/5 (18) 日本放射線技術学会 第 58 回総会学術大会 フレッシャーズセミナー a)学会名 日本放射線技術学会 b)タイトル コーンビームCTの現状と将来 −四次元イメージングへの挑戦− c)発表日時 2002/4/5 (19) JSMP 2002 a)学会名 b)タイトル c)発表日時 第83回日本医学物理学会 コーンビーム型CT画像のノイズ除去と被曝線量の低減 2002/4/6 33 文献 (1) SPIE Medical Imaging 2001 (1) a)文献名 Proceedings of SPIE Vol.4320(2001), p.775 - 782 b)タイトル Large area 2-dimensional detector for real-time 3-dimensional CT (4D-CT) c)著者 Y. Saito, H. Aradate, H. Miyazaki, K. Igarashi, H. Ide d)発行 2001年 (2) SPIE Medical Imaging 2001 (2) a)文献名 b)タイトル c)著者 d)発行 Proceedings of SPIE Vol.4320(2001), p.815 - 821 Performance of Cone Beam CT Using a Flat-panel Imager M. Endo, T. Tsunoo, K. Satoh, S. Matsushita 2001 年 (3) SPIE Medical Imaging 2002(1) a)文献名 Proceedings of SPIE Vol.4682(2002), p.724 - 731 b)タイトル Monte Carlo analysis of relation between patient dose and noise c)著者 d)発行 characteristic of flat panel detector for cone-beam CT N. Nakamori, Y. Yang, Y. Yoshida, T. Tsunoo, M. Endo, K. Sato 2002年 (4) SPIE Medical Imaging 2002(2) a)文献名 Proceedings of SPIE Vol.4684(2002), p.1077 - 1084 b)タイトル c)著者 d)発行 De-noising of cone beam CT image using wavelet transform Y. Yang, N. Nakamori, Y. Yoshida, T. Tsunoo, M. Endo, K. Sato 2002年 (5) SPIE Medical Imaging 2002(3) a)文献名 Proceedings of SPIE Vol.4682(2002), p.801 - 808 b)タイトル Development and Evaluation of a Real-time 3-dimensional CT (4D-CT) Scanner c)著者 Y. Saito, H. Aradate, H. Miyazaki, Y. Kudo, K. Tsujita, N. Shimadu, Y. Sawanaga d)発行 2002年 特許等 (1)特願平 11-366180 発明の名称 放射線検出モジュール、放射線検出器およびX線CT装置 発明者 齊藤 泰男、宮崎 博明、荒舘 博 特許出願人 株式会社 東芝 34 その他公表(プレス発表等) (1) 新聞 1) 日刊工業新聞(2001/3/21) 35 2) 日刊工業新聞(2001/12/28) 36 3) 産経新聞(2002/3/19 夕刊) 8.2 研究開発項目毎の成果 (1)大視野X線検出器 ・大視野、高分解能、かつ高速で X 線画像データを検出するための固体検出器を開発す る。現在、広く使われている検出器、あるいは、研究開発が進められている検出器につ いて比較検討し、本事業全体の目標に対し、最適な方式をとして、CT 方式をベースとし て開発する方針を選択し、開発した。 ・一方 X 線装置用 FPD についても、間接タイプ、直接タイプとも基本性能を評価したが、 サイズ、ダイナミックレンジ、データ読み出し速度の問題などから、本事業の目標達成 までに、さらに時間を要すると判断し、本事業での採用は見送った。 ・回転方向の視野の確保、リアルタイム性、最終的な画質などをポイントに、システム としてのトータルのパフォーマンスがより優れたものとなるように検討し、検出器に要 求する仕様として、以下のように設定した。 37 <主な仕様> ・検出器全体のサイズ ・画素サイズ ・ダイナミックレンジ ・データ収集速度 ・効率 ・散乱線対策 ・検出方式 :90cm×23cm(撮影領域として、φ50cm×10cm) :1mm×∼1mm(撮影領域中心で、∼0.5mm×∼0.5mm) :16bit 以上 :900 ビュー(フレーム)/秒 :吸収効率:∼100% 幾何効率:60∼80% 総合効率:60∼80% :散乱線除去用コリメータを備える :CT 方式(シンチレータ+フォトダイオード) <各年度ごとの成果> (平成 10 年度) ・システムから要求される仕様の確認 低コントラスト物体を従来 CT 同等の高画質で、かつ高分解能(空間、時間とも) で描出可能な高速立体スキャナの実現のために、検出器に要求される目標を設定し た。(上記、主な仕様) ・検出器の方式の比較 現在、広く使われている検出器、および、研究開発中の代表的な検出器について、 比較し、上記仕様の実現に対する課題を、方式ごと、あるいは共通課題としてまと め、具体的な開発内容にブレークダウンした。 [方式ごとの課題] (a) イメージインテンシファイア(I.I.)+TV カメラ ・視野サイズに限界があり、さらなる大型化も困難、また複数を隙間無く並べるこ とも不可能。 ・時間分解能にも課題があり、現状では、30∼60 フレーム/秒程度が実用範囲。 (b) 蛍光スクリーン+TV カメラ ・吸収効率が大幅に悪く、感度、ダイナミックレンジの低下、低コントラスト成分 の分解能の劣化を招く。 ・時間分解能にも課題があり、現状では、30∼60 フレーム/秒程度が実用範囲。 38 (c) シンチレータ+アモルファス Si フォトダイオード+アモルファス Si TFT X線 シンチレータ 可視光 アモルファスSiフォトダイオード アモルファスSiスイッチング素子 シンチレータ+a-Si フォトダイオード+a-Si-TFT 方式 画素選択信号 制御線 TFT素子 画素容量 信号線 画像データ a-Si-TFT による読み出し方法 ・データ収集速度の改善が最大の課題で、現状では、30 フレーム/秒。アモルファ ス Si 材料自身の改善が必要である。 (d) 蛍光スクリーン+アモルファス Si フォトダイオード+アモルファス Si TFT ・時間応答性については(c)と同等であるし、(b)と同様に吸収効率の低さが致命的 な問題である。 (e) アモルファス Se+アモルファス Si TFT X線 アモルファスSe 電子 - + ホール HV アモルファスSi スイッチング素子 a-Se による直接変換方式 ・現時点で 30 フレーム/秒であるデータ収集速度の改善と、アモルファス Se 層を より厚くして効率を向上させることも課題となる。 (f) CdZnTe(or CdTe)+アモルファス Si TFT ・暗電流の低減が最大の課題であり、現在の∼1/1000 に減らす必要がある。 39 (g)マルチスライス CT 用検出器(シンチレータ+Si フォトダイオード+CMOS) X線 シンチレータ マトリクス 単結晶Siフォトダイオード CMOSスイッチング素子 データ収集回路 マルチスライス CT 用検出器 画像データ マルチスライス検出器の信号取り出し ・体軸方向の素子数分のデータ収集回路を備える必要があり、スペース等の問題に よりガントリーへの実装が困難(不可能)。 (i)シンチレータ+単結晶 Si フォトダイオード+CMOS スイッチング素子 フォトダイオード 制御線 CMOS 信号線 画像データ CMOS スイッチング素子による読み出し ・ノイズ、直線性などの特性の他、逆バイアスで用いるため暗電流の低減も課題で ある。 [共通した課題] (a)散乱線除去方法の課題 ・高精度コリメータ、あるいは、高効率グリッド (b)検出器形状の課題 ・平面形状、あるいは、円筒形状 40 ・直接変換型 2 次元検出器の機能試作、評価 研究開発中の X 線装置用直接変換型 2 次元検出器について、試作サンプルを評価し 本システムへの適用可能性を検討した。将来的な可能性は認めるものの、サイズ、 ノイズ、熱設計、データ読み出し速度の問題、さらには製造技術が確立できていな いこともあり、本事業の目標達成までに、さらに時間を要すると判断し、本事業で の採用は見送った。 ・間接変換型 2 次元検出器の機能試作、評価 マルチスライス CT 用検出器をベースとした間接変換型検出器について、機能試作 サンプルを製作し、基本動作を確認した。 シンチレータでX線を光に変換し、 フォトダイオードで電気信号に変換 し、CMOS で読み出す方式。シンチレー IMAGE_SENSOR タ部分は現在のマルチスライス CT 用 フォトダイオード シフトレジスタ のものと同様で、吸収効率、残光など の特性も同じと考えて良い。より多く の画素のデータを独立して高速に収 集するため、フォトダイオードで発生 した電荷を電流として全素子同時平 チャージアンプ 行に読み出すのではなく、単結晶 Si に形成したフォトダイオード自体に 蓄積し、やはり単結晶 Si に形成した BUFFER_24CH OP-AMP_24CH CMOS スイッチング素子により順次読 み出す。読み出し回路部分に、単結晶 Si による CMOS スイッチング素子を採 用しており、より高速な読み出し動作 が期待できる。また、フォトダイオー ド自体を画素容量として電荷蓄積に 使うために、逆バイアス電圧を印加す DIP_SW る。画素選択信号がフォトダイオード PLD に接続された CMOS スイッチを ON する と、フォトダイオードの接合容量に蓄 POWER_IN 積された信号電荷が読み出し回路に 送られる。読み出し回路は、電荷量を CONNECT 電圧に変換する回路となっており、こ の電圧がさらに後段の AD コンバータ 機能試作基板の部品レイアウト によってデジタル変換される。 試作評価のポイントは、ノイズ、ダイナミックレンジ、直線性、暗電流の絶対量、 温度などに対する安定性、さらには、隣接素子、特に順次読み出していく方向の素 子間のクロストーク量の確認である。平成 10 年度は、フォトダイオードから、読み 出し回路までの特性を評価するサンプルを試作し、基本動作を確認した。 41 (平成 11 年度∼12 年度) ・パネル方式 2 次元検出器のサンプル評価 コーンビーム方式の CT に用いる 2 次元検出器として、最近開発が進んでいるフラ ットパネル検出器(FPD)は有力な候補である。従来の CT 方式検出器による開発と平 行して FPD 方式によるコーンビーム CT の実現性の検討をおこなった。検討では、現 在入手可能なフラットパネル型検出器として、Varian Medical Systems Inc. 製 PaxScan2520TM を入手し評価した。 図 2.2.1.1-1 FPD 検出器(資料提供 Varian Medical Systems Inc.) 評価の結果、現状では検出面積が最大でも 40cm x 30 cm であることから、全身用 としては2枚を接合する必要があること、CT 検出器に比べダイナミック・レンジが 劣ること、データ読み出し速度がやや劣ることなどから、現状の商用機と同程度の 性能、画質を得るには、さらに開発が必要であると判断し、今回の採用を見送った。 42 ・CT 方式 2 次元検出器の構成、製作方法開発、一式 1 次試作、基本性能の評価、ターン テーブルでの連続回転データ収集 検出器システム全体として、チャンネル方向に 912 個、体軸方向に 256 個の検出素 子を配列する。検出器システム全体を、チャンネル方向に 24 素子ずつ、38 個の検出 器モジュールに分割し、1 つの検出器モジュールを、体軸方向に 64 素子ずつ、4 個 の検出器ブロックに分割する。逆に言うと、チャンネル方向が 24 素子、体軸方向が 64 素子で構成される検出器ブロックを、システム全体ではチャンネル方向に 38 個、 体軸方向に 4 個、合計 152 個配列する。 [検出器システム] 体軸方向 256素子 ( 4ブロック) 体周(チャンネル)方向 912素子(38ブロック) 体軸方向 64素子 (1ブロック) 体軸方向 256素子 (4ブロック) 体軸方向 64素子 ( 1ブロック) 体周方向 24素子 ( 1ブロック) 体周方向 24素子 (1ブロック) [検出器モジュール] [検出器ブロック] 検出器ブロックと、検出器モジュール、検出器システムの構成 縦横に密接して配列可能な検出器ブロックの構造、製作方法に関する要素技術を開 発した。大視野 2 次元検出器は、ベースとしたマルチスライスCT用検出器と異な り、0.5mm スライスに相当する検出素子を 256 列配列する。1 つのシンチレータブロ ックでは、スライス厚方向に配列される検出素子は 64 素子と、従来のマルチスライ ス CT 用検出器(34 素子)の 2 倍近くとなる。さらに、スライス方向に密集して 4 つの検出器ブロックを配列する必要があるため、新たに製作方法を開発した。具体 的には、シンチレータブロックの製作方法、フォトダイオードへの組み合わせ、4 つのブロックの位置調整方法、散乱線除去用コリメータなどが課題であった。 新たな製造技術により、チャンネル方向 480 素子、体軸方向 256 素子を備えた検出 器を試作し、データ収集システムと組み合わせた基本的な特性を評価した後、ター ンテーブル評価システムを用いて収集動作を確認し、マジックハンドファントムの 連続回転中の画像データ収集に成功した。 43 0 マジックハンドファントムのX線透視像 また、検出器/データ収集システムに要求される 900view/sec という時間応答性を 定量的に測定し、従来のマルチスライス CT 用検出器と比較するために、データ収集 中に、検出器前面で、鉛製のシールドブロックを落下させる方法を用いた。高速で 移動する鉛の影により、既知で、鋭い X 線パルスを作ることができる。鉛の落下ス ピードは、測定した位置で、約 2.4m/sec であった。このとき、900view/sec で収集 した結果、立ち下がり、立ち上がりとも、数 msec であり、従来のマルチスライス CT 用検出器と同等の性能であることが確認された。 立ち下がり 特性 -0.01 立ち上がり 特性 0 0.01 時間 (sec) -0.01 0 0.01 時間 (sec) 鉛ブロックを用いた時間応答性の測定結果 44 (平成 13 年度) ・フルサイズ検出器/データ収集システムの 2 次試作製作、回転架台への実装、 評価 (H13 一般、特会) 一次試作検出器の評価結果に基づき、ノイズ低減、出力向上を狙って、第 2 次試作 として改良版を製作し、連続回転架台に実装した状態での評価を行った。検出器の 電荷を電圧に変換するチャージアンプの 5 種類のゲイン毎に、offset ノイズを測定 し、改善効果を確認した。また、シンチレータの光を電荷に変換するフォトダイオ ードについては、複数の製造プロセス条件で試作したサンプルについて、air パスで の出力を評価し、1 次試作したサンプルに対して、期待通りの出力向上を確認した。 連続回転中にデータ収集の基本動作が可能であることを確認したうえで、各種ファ ントムに対する基本的な数値データ(出力、ノイズ、直線性)を測定、検出器/DAS としての基本性能評価を行った。さらに、架台搭載状態でのノイズ低減対策を行い、 単体評価と同等なノイズレベルを達成した後、ファントムの画像データを収集し、 オフラインで 3 次元再構成してサンプル画像を得た。 X線管球 大視野2次元検出器 大視野 次元検出器 データ収集装置 大視野 2 次元検出器を実装した連続回転架台内部 1 回転の投影データから再構成したザリガニの 3D(ボリュームレンダリング)画像 45 (2)3次元データ再構成システム 1) 再構成システムソフトウェア 平成 11 年度は,X線検出器の試作が完了していないため,処理装置が単体で 評価できるシステム環境として,実験システムの構築をハードウェアの試作と平 行して進めた。具体的なソフトウェア開発としては,つぎの2つのプログラムを 制作した。 ・数値ファントムシミュレータ ・3次元再構成プログラム 開発に際しては,試作中の検出器形状や装置形状を前提にして,基礎検討を行 い,これに合わせることで,実機搭載時に速やかに移行できるように留意した。 (a) 数値ファントムシミュレータの開発 数値ファントムシミュレータは,再構成アルゴリズムや検出器性能の評価の 基準として必要な数値ファントムを発生するもので,今年度は WindowsNT 上 へ移植するとともに,仕様面についても開発装置の条件に合わせて再検討した。 この結果,より実機評価に近い結果を得るため,空間座標系からのオーバー サンプリングと,ビットマップ形式での画像ファイル出力ができるように機能 追加した。ビットマップ形式は Windows 標準の画像ファイル形式であり, Windows 上で画像の表示や加工が容易であることからサポートするようにし た。また,シミュレータは光線のトレースを正確に行うので,サンプリング間 隔に対して対象物が微小である場合,光線の経路によっては空間情報が欠落し たり輪郭にエリアスが見られることがあった。その結果,シミュレーション結 果が実機を下回るケースも見られた。実機ではX線散乱や検出器のにじみによ り,ノイズ成分にまぎれて空間情報も補充されると考えられる。そこでオーバ ーサンプリングモードを追加することにした。オーバーサンプリングモードで は,サンプリング間隔を2倍(面積で4倍になるため計算時間は4倍)に拡張 して計算し,その結果を4近傍補間することにより空間情報を補充する。さら に,検出器の形状についても,先に述べたように搭載予定の検出器を想定した シミュレーションが実施できるように改良した。シミュレータは,発生させた いオブジェクトの形状,空間配置,X線吸収係数等を記述したテキストをつく り,これを読み込むことで投影データを自由に発生させることができる。この シミュレータを用い,実機を想定した数値ファントムを設計し,評価用の投影 データを作成した。 (b)3次元再構成プログラム 試作した並列演算装置に実装する平面検出対応の3次元再構成計算コア,お よび,円筒面対応の計算コアをそれぞれ開発した。従来はコンボリューション とバックプロジェクションをシーケンシャルに実行するシングルタスクの実 46 装を行っていたが,今回は3次元リアルタイム再構成が可能なマルチタスクの 実装ができるよう考慮して計算コアの実装を行った。 さらに,メモリーアクセスの最適化や単精度演算ライブラリィの使用により, ほぼ当初予測通りの処理時間が達成できる見込みである。 2) 3次元データ再構成システム 平成 10 年度は、3 次元再構成計算をおこなう並列処理装置の仕様を検討し、 装置の性能見積もりをおこなった。検討にあたっては、まず本プロジェクトで 製作する検出器の仮仕様と撮影モードを仮定し、この仮定で発生するデータ量 の見積もりから、並列処理装置の規模をしめすプロセッサの必要数を見積もっ た。 (a) 撮影モード 撮影モードは、1 スキャンのデータから撮影領域全体の 3 次元データをすべ て再構成する通常スキャンモードと、体軸方向の領域をある程度制限して 1 秒間に数回の再構成を連続しておこなう立体透視モードを想定した。 ・通常スキャンモード 1 回転/秒でスキャンをおこない、数分以内で 512 x 512 x 256 のボクセ ルデータの再構成をおこなう。 ・立体透視モード 1 回転/秒で連続的にスキャンをおこない、1 秒に 2 回、256 x 256 x 16 の ボクセルデータの再構成を最大 30 秒間連続しておこなう。 (b) 演算量と並列処理装置の規模の見積もり まず、仮定した検出器仕様と撮影モードから演算量の算定をおこなった。 ・通常スキャンモードにおける装置規模の見積もり 通常スキャンモードにおける装置規模の見積もりは、以前に製作した装 置の性能を基準に、プロセッサの浮動小数点演算性能が向上した分を考慮 して、必要処理性能を満たすプロセッサ数を見積もった。プロセッサ性能 は以前の装置ではプロセッサあたり 50MFLOPS であったが、現在入手可能 なものは、400MFLOPS に性能が向上している。通常スキャンモードでは、 400MFLOPS のプロセッサを 128 個もちいた場合、512 x 512 x 256 ボクセ ルのデータを約 210 秒(約 3 分半) で計算可能であるとの見積もりを得た。 ・立体透視モードにおける装置規模の見積もり 立体透視モードでは、コンボリューションとバックプロジェクションを 1 秒間に2回の更新周期以内に行なうため、通常スキャンモードとは異な りプロセッサをそれぞれの機能に固定した形態でもちいる。見積もりは、 通常スキャンモードのときと同様にプロセッサ性能を 400MFLOPS として 47 おこなった。 この結果、立体透視モードでは、400MFLOPS のプロセッサをコンボリューショ ンに 117 個、バックプロジェクションに 128 個、合計 235 個のプロセッサをもち いた場合、256 x 256 x 16 ボクセルのデータを 1 秒間 2 回の更新周期で計算可 能であるとの見積もりを得た。 ・並列演算装置のデータストリーム 仮定した検出器仕様から算出されるデータレートは 400MByte/sec 以上 と非常に高速である。したがって、このデータを単一の伝送路(ストリー ム)で伝送することは現実的ではないので、複数のデータストリームで伝 送することを検討した。検出器からの出力を 25 データストリームにする ことで、妥当な転送が可能なことを確認した。 (c) 並列演算装置の構成案 以上の検討から、3 次元再構成に必要とされる並列演算装置の構成として、 次のような構成案を得た。 プロセッサ性能 400FLOPS プロセッサ基板 4 プロセッサ/基板 サブラック 16 基板/ラック サブラック数 4 ラック プロセッサ基板数 64 基板 プロセッサ数 256 プロセッサ 平成 11 年度は、前年度に検討した要求仕様にもとづき設計を行い、試作機を1 台製作した。装置は、高速3次元X線CTの画像再構成で用いる Feldkamp 法によ る3次元再構成アルゴリズムを高速に処理するため、日立製プロセッサ SH-4 を 132 個実装し、理論演算性能 47.52GIPS、184.8GFLOPS とスーパーコンピュータ並みの 計算能力を持ち、5123 ボクセル(約1億 3500 万点)を約5分で再構成する。試作 した装置の主な仕様を以下に記す。 表 8.2.2-1 試作した並列演算ユニット仕様 システム構成 132プロセッサ構成マルチプロセッサシステム 処理性能 47.52GIPS,184.8GFLOPS (ピーク性能) システムバス CompactPCI ホストコンピュータ Pentium ボードコンピュータ,Windows NT マルチプロセッサ 日立 SH4 @ 200MHz × 6 プロセッサ × 22 枚 48 物理仕様 キャビネット: 975(H)x600(W)x650(D)mm 電源: AC100V,1230VA(Max) ・プロセッサボード ボード上に6つのプロセッサエレメントが実装される。各プロセッサエレメン トは 32MByte のローカルメモリーを実装しており、ここにプログラムとデータが 格納される。プロセッサ間は 256kByte の共有メモリで通信する。ホストコンピ ュータとは PCI バスインタフェースで接続する。なお、これらの通信はプロセッ サ同士が直接行うのではなく、全て PE#0 を経由して行う。また、 PCI バスイン タフェースには 16MByte の共有メモリを実装しており、ここでホストコンピュー タなどボード間でデータの受け渡しが可能である。 3) LVDS(Low-Voltage Differential Signaling、低電圧差動伝送)インタフェース ボードの概要 平成 12 年度は、データ伝送部出力と再構成装置とのインタフェース部の製作 を完了し、動作及び性能の評価に着手した。 インタフェース部基板は、LVDS インタフェースより入力されたスキャンデー タを一旦メモリに格納し、整列後に処理プロセッサボードへデータを転送する cPCI ボードである。 2CH の LVDS インタフェースを持ち、スキャンデータをリアルタイムにメモリ サブボード上の SDRAM に格納する。また、データ格納に当たっては、データ収集 モードに従い、全画面に対しての部分収集、間引き収集等をサポートする。メモ リボードに格納されたデータは 2 系統の PCI バスを通じて DMA 転送される。製作 したインタフェースボードの主な仕様を以下に記す。 表 8.2.2-2 インタフェース部の主な仕様 外形寸法 ・cPCI ボード 233.35mm(高さ) x 160.0mm(奥行き) x 20mm(幅) LVDS インタフェース ・48MCLK(シリアルレート 288Mbps x8) ・チャネル数 2ch ・LVDS ディジーチェーン用出力あり データ格納処理 ・全データ収集 ・CH 選択収集(中心・間引き) メモリ規模 ・896MB/board PCI バスインタフェース ・33MHz/32bitPCI バスを 2CH 搭載 ・DMA 転送サポート 49 (128Mbit 品使用時) 平成 13 年度は、スキャナーデータ収集系から発生するデータを並列演算装置 で受けとる LVDS インタフェースのバッファ・メモリを2倍に増加し,データ収 集可能な時間の延長をはかった. 初回の試作では,製作コストの関係で,インタフェース基板1枚あたりのメモ リ容量は,896M バイト(128MB DRAM 使用),インタフェース基板4枚実装で合計 3.5G バイトであったが,256MB DRAM の使用によって,1枚あたり 1.75G バイト, 4枚合計で 7G バイトとなった.これにより,標準の撮影,すなわち,1フレー ムあたり 456k バイト(912 seg×256 ch×2 バイト),1秒1回転 900 フレームの 投影データが約 15 秒間分保存できるようになった. (3)3次元画像処理 平成 10 年度は、3次元ボクセルデータを入力とし、PCベースの画像表示・ 処理機能を有するソフトウェアの基本設計を行った。入力データを複数のスライ ス画像として取り扱う2次元の画像処理に加えて、入力データがもつ3次元構造 に有効な処理法を検討するため、既存の2次元画像処理の3次元化を試みた。 ソフトウェアの基本構成を次に示す。 ・スライス表示ダイアログ ・3D フィルタ設定ダイアログ ・2D フィルタ設定ダイアログ ・2D 領域抽出ダイアログ ・3D 領域抽出ダイアログ ・2D ヒストグラム表示ダイアログ ・軸補正ダイアログ 平成 10 年度は3次元画像処理の研究開発を行うベースとなるシステムを構築 した。3次元のボクセルデータを用いて PC 上で本ソフトウェアを動作させ、処 理・表示の効果・効率等を検討した。ボクセルデータの適用の結果、32MB のデ ータ量に対して PC ベースのシステムでも計算処理が可能であることが確認され た。一方、画質に対して有効な処理結果をもたらすためには、3次元構造に対す る検討を加え、フィルタ処理部などにさらなる最適化をはかる必要があることを 確認した。 平成 11 年度は、PC ベースの画像処理装置について、任意角切断面表示等の追 加プログラムの作成を行った。PC 版 CT 画像ビューワはコンバータ部と画像ビュ ーワ部の2つのアプリケーションプログラムで構成される。 画像ビューワ部については画像データの取り扱いをすべて 5123で取り扱える ようにした。メモリ消費を削減するために FileMap を導入し、応答性を改善する ために各プロセスをマルチスレッドにした。この対応により、操作性の悪化を最 50 低限に留めることに成功した。 ・表示画面:画像表示機能:512×512 画面 1 枚(メイン画像)と 128×128 画面を sagittal、 coronal および transverse 各 1 枚(サブ画像)で合計 4 枚の画像を一つの Window 内に表示する。 ・MIP 表示:各画面での最大値画素を複数枚の画像から取り出して、一枚の画 面上に表示。 ・PC 版 CT 画像ビューワ機能追加:PC 版 CT 画像ビューワの機能追加を行った。 追加した機能は画像フィルタと任意角断面切出しの2つである。また、画像 解析機能についても2点間の距離を測定できるようにする。 画像フィルタとしては、一般的なハイパス、ローパス、バンドパスフィル タ、および、エッジ保存型のメディアンフィルタ、さらに、円筒座標系のバ ンドフィルタを実装した。具体的な実装は、2次元マスクオペレータによる フィルタリング、および、2次元デジタルフィルタによるフィルタリングの 両者を離散空間コンボリューションにより行えるようにした。線形フィルタ と円対称2次元フィルタの両者を実装した。また、オペレータとしては、2 次元線形マスクオペレータ、2 次元非線形マスクオペレータ、2 次元デジタ ルフィルタ(円対称)を実装し、さらに任意の係数もテキストファイル形式で 定義できるようにした。 3軸の回転軸を与えて任意断面(平面)を切出すための方法を検討した。直 行三軸断面から回転角を与える形式にした場合、回転角度 45 度または 135 度を境に断面の種類がかわるので、それを状態推移図に整理した。また、任 意断面の表示座標の1点(r,s)を3次元画像の座標系(x,y,z)から取ってく る際の座標値の計算式を求めた。これらをベースに GUI 上の操作手順を含め て詳細に検討したところ、座標値の計算に時間がかかり実用的な速度で表示 できないことがわかった。大容量のメモリにあらかじめ計算結果を記録して おくことで表示速度を加速する方法もあると思われるが、我々は汎用のパソ コンに実装するのでメモリ容量は限られており、検討の結果、回転軸を1軸 に限定した場合でも機能上のデメリットは少ないと考え、当初考えていた通 り、任意角断面切出しに機能を限定することにした。これにより計算式を簡 易化し、実用的な速度で表示できるようになった。 (4)トータルシステム 1) システムソフトウェア 画像処理系のハードウェアは4台の PC と並列演算装置、外部記憶装置などか ら構成されており、システムソフトウェアは、これらハードウェア上で、機構系 制御、再構成演算、画像解析などシステムに関連するすべてのオペレーションを 統合的に行うためのソフトウェアシステムである。本システムの特徴は、操作画 面 GUI や画像サーバーがネットワークを介して有機的に接続できるように Web ア 51 プリケーションとして構築したため、マルチプラットフォーム適応とすることが でき、複数ユーザによる画像診断が可能となっている。 1)画像処理系構成のハードウェア 本装置のシステム構成は次のサブシステムからなる。 1. Scanning SubSystem 2. Processing SubSystem 3. Viewing SubSystem 4. Rendering SubSystem 5. DICOM3.0 SubSystem スキャナー本体と画像処理系は、Scanner 制御系と Scanning Subsystem 間を RS-422 シリアル通信、Scanner データ収集系と Processing Subsystem 間を LVDS 2チャンネルで接続し、各サブシステム間は Gigabit Ethernet によって LAN を構成している。 2)システムソフトウェアの構成 (a) ソフトウェアの機能 本システム用に開発したソフトウェアとその機能を以下に示す。 実行ファイル ・再構成プログラム 再構成演算,LVDS インターフェース基板制御,その他の画像処理 を含むプログラム. ・並列演算装置プログラムローダー 並列演算装置用プログラムをパラレル・プロセッサにロードするた めのブートローダー. ・並列演算装置プログラム パラレル・プロセッサのプログラム. ・スキャナー制御プログラム スキャナシステムを制御するためのプログラム. ・サーバー間通信プログラム プロトコル通信や,ディスク容量などのシステム状況の監視をおこ なうプログラム. ・ImagingBrowser 画像処理プログラム vtk ライブリ, レンダリング・エンジンから ImagingBrowser の画 像を生成するプログラム. ・ImagingBowser 画像管理プログラム ImagingBrowser の画像取得,保持,管理をおこなうプログラム. ・フォーマット変換プログラム(GUI 版) 52 ボリュームデータを汎用画像処理プログラムで取り扱えるように フォーマット変換をするプログラム. ・DICOM ゲートウェイプログラム ボリュームデータを DICOM 3.0 形式に変換し,DICOM 表示システム に転送するプログラム. ドライバー ・並列演算装置デバイスドライバー ・LVDS インターフェース基板デバイスドライバー プラグ・イン ・Athena 用 Netscape プラグイン GUI コンテンツ/スクリプト (html, php, java スクリプト等) ・Common グループ システム全体で使用するファイル群 ・Scanning グループ “スキャニング・オペレーション“以降の GUI を構成し,通常の撮 影操作をおこなうためのファイル群 ・Imaging グループ “イメージング・オペレーョン“以降の GUI を構成し,撮影画像の 表示,再構成などをおこなうためのファイル群 ・Maintenance グループ “メンテナンス・オペレーション“以降の GUI を構成し,システム 設定や校正データの取得などをおこなうためのファイル群 ・ImageBrowser グループ “イメージング・ブラウザ“の GUI を構成し,再構成データの表示 などをおこなうためのファイル群 (b) WEB ベース GUI 本装置の操作は、WEB ベースの GUI となっている。 (2)データ収集装置(DAS) ・大視野 2 次元検出器で得られた大量のアナログ信号を、高速にディジタル信 号に変換するデータ収集装置を開発する。 <主な仕様> ・データ収集速度 :900 ビュー(フレーム)/秒 ・データ読み出し時間 :1.1ms /フレーム ・データの解像度 :16bits 以上 ・従来同等規模の CT 架台に搭載可能なサイズであること <各年度ごとの成果> 53 (平成 11 年度∼12 年度) ・データ収集装置用 A/D 変換 IC の基本設計 (H11 特会) データ収集装置は、912 個の AD 変換 IC(ADC チップ)を使用し、1 個の ADC チップ は、体軸方向に配列した 256 個の検出素子の出力信号(アナログの電圧信号)を、 順番に 16bits のディジタル信号に変換する。900 フレーム/秒のデータ収集速度が必 要なため、約 1.1ms の間に 256 個のデータを A/D 変換することになる。このような ADC チップは、従来製品として存在せず、新たに開発した。 ・データ収集装置の 1 次試作 (H11 一般) データ収集システムについて、詳細設計を行い、一式試作した。データ収集システ ムは、検出器で発生した電荷を電圧に変換するチャージアンプ、上記 A/D 変換 IC を 実装した ADC ボード、ADC ボードの動作を制御する CONT ボード、これらのボードを 多数実装するバックプレーン基板から構成され、それぞれ新規に設計、製作した。 システム一式は、チャージアンプ 152 枚、ADC ボード 38 枚、CONT ボード 2 枚、バッ クプレーン基板 1 セット(2 枚)から構成される。 [データ読み出し方式] 検出器のシンチレータでX線を光に変換し、フォトダイオードで変換された電荷を フォトダイオード自身に蓄積し、それぞれのフォトダイオードに設けられた CMOS ス イッチを順次 ON/OFF させ、順次信号を読み出す方式を採用した。 チャンネル毎に、1 本の信号線を配置し、1 ブロックに 24 本、合計 912 本の信号線 を備える。各フォトダイオードは、それぞれスイッチング素子を介して、信号線と 接続される。各列毎に 1 本の制御信号を配置し、全チャンネルの対応する列のスイ ッチング素子を同時に制御する。制御信号を列方向に順次 ON していくことにより、 各素子の信号が順に後段の CMOS アンプチップに出力される。 [回路ブロック構成] 検出器ブロック毎に、チャージアンプを割り当て、各チャンネル毎に、1 素子の A/D 変換素子を割り当てる。1 チャンネルあたり、256 素子のフォトダイオード、4 素子 のチャージアンプ、1 素子の A/D 変換素子を備えることになる。システム全体では、 フォトダイオードが 233,472 素子、チャージアンプが 3,648 素子、A/D 変換素子が 912 個となる。 データ収集装置全体を制御するコントローラ基板は、各素子の制御を行うとともに、 ディジタルデータをデータ伝送装置のインタフェース基板に出力する。 ・データ収集装置の単体評価(基本動作、ノイズ、リニアリティ) (H12 一般) 既知の電圧源を A/D コンバータの入力に接続し、 異なる電圧に対する出力を測定し、 A/D コンバータの動作を確認した。続いて、ダミーフォトダイオードをチャージアン プに接続し、チャージアンプの出力を、A/D コンバータに接続して、チャージアンプ 基板の動作、特性を評価した。基本的な動作確認に続いて行った特性評価では、ノ イズ、リニアリティ、時間応答性などが、当初の期待通りであったことが確認され た。 ・検出器と接続した評価 まず、一つのフォトダイオードを、チャージアンプに接続し、スポット光を用いて、 フォトダイオードのシフトレジスタなどの動作を確認した後で、検出器ブロックを 接続し、暗電流(オフセット)を測定し、暗電流の絶対値、及び、オフセットノイ ズが、フォトダイオード単体でのデータが再現されていることを確認した。 続いて、X線を用いて、検出器、データ収集システムの感度等を測定し、やはり、 当初の期待通りであったことが確認された。 54 さらに、組み合わせた状態で、各種画像を収集し、CT 用検出器、データ収集システ ムとしての基本性能を評価した。 (平成 13 年度) ・フルサイズ検出器/データ収集システムの 2 次試作製作、 回転架台への実装、 評価 (H13 一般、特会) ノイズ低減、出力向上を狙いとして、改良試作し、連続回転架台に実装した状態で の評価を行った。 連続回転中にデータ収集の基本動作が可能であることを確認し、各種ファントムに 対する基本的な数値データ(出力、ノイズ、直線性)を測定、検出器/データ収集シ ステムとしての基本性能評価を行うとともに、架台搭載状態でのノイズ低減対策を 実施した結果、単体評価と同等なノイズレベルを達成し、ファントムの画像データ を収集、オフラインで 3 次元再構成したサンプル画像も得た。 (3)データ伝送装置 ・架台の回転側と固定側との間で、大量のディジタルデータを、高速、かつ非 接触に双方向で通信するデータ伝送装置を開発した。高速コーンビーム 3 次 元 CT では、検出データが膨大になり、回転側から固定側に伝送するデータ量 も膨大になる。システムから要求されるデータ伝送レートは、5Gbps 以上で ある。 <主な仕様> ・トータルのデータ伝送レート ・単体モジュールのデータ伝送レート ・データ伝送モジュール数(分割数) ・データ伝送モジュールの方式 :約 5Gbits 以上/秒 :500Mbits 以上/秒 :12 ユニット :レーザダイオード/フォトダイオード <各年度ごとの成果> (平成 11 年度) ・データ伝送システムの基本設計 (H11 特会) データ伝送システムの構成、データ伝送モジュールの分割数、単体モジュールのデ ータ伝送レート、伝送モジュールの方式、デバイスの選定など、基礎検討、基本設 計を行った。 トータルで∼5Gbps のデータ伝送レートを実現するため、高速・大容量データ伝送 が可能なレーザダイオードとフォトダイオード、及び間に配置する光整形素子から 構成されるデータ伝送ユニットを採用した。レーザダイオードを用いたデータ伝送 ユニットであっても、∼5Gbps というデータ伝送レートは、単独のユニットでは実現 不可能であり、複数のデータ伝送ユニットを並列化し、信号を分割/再結合する方法 が必要であった。データ伝送ユニットの前後に、信号の分割/結合を行うためのイ ンタフェース回路を配置した。 本装置では、 データ伝送ユニットを 12 セット並列し、 全体のデータを 12 分割して伝送する方法を採用し、1組のデータ伝送ユニットに要 求されるデータ伝送レートは、622Mbps とした。一方、固定側から回転側に伝送する 制御信号は、現行製品並のデータ量であるため、LED/フォトダイオードで構成され るデータ伝送ユニットを採用した。 ・レーザダイオードを用いた伝送方式の基本性能確認 (RDC、H11 特会) レーザダイオードを用いた光送信部と、フォトダイオードを用いた光受信部、及び 間に配置する光整形素子から構成されるデータ伝送モジュールの実験モデルを試作 55 し、評価用小型回転架台を用いて回転状態で、ユニット単体として、622Mbps の伝送 能力を確認した。 光送信部は、光データを発信するレーザダイオード(以下 LD)および駆動 IC を搭 載し、光受信部は光信号を電流信号に変換するフォトダイオード(以下 PD)、電流 信号を電圧信号に変換増幅するフロントエンドアンプ、さらに、波形整形 IC、クロ ック再生 IC などを搭載している。光ビーム整形素子は、CT の架台など、光送信部と 光受信部との相対的な位置関係が変化する環境に必要なデバイスで、光を拡散した り、あるいは集光したりすることで、回転状態でも安定して、連続的にデータ伝送 が可能となる。 データ伝送ユニット単体の評価を行うため、小型の回転架台に光空間データ伝送部 を取り付け、光ビーム整形素子接続部でのデータ伝送特性などを測定した。 ・データ伝送インタフェース部分の構想検討、基本設計 (H11 特会) データ伝送モジュールの前後に配置し、信号の分割/結合を行うインタフェース部 分の基礎検討、構想設計を行った。 架台回転側のインタフェースユニットは、データ収集装置から送られるディジタル データを分割して、データ伝送モジュールの送信側であるレーザダイオード基板に 送信するとともに、固定側から送られる制御信号に基づいて、回転側に搭載された X線発生装置、X線光学系ユニット、データ収集装置などの制御も行う。架台固定 側のインタフェースユニットは、データ伝送モジュールの受信側であるフォトダイ オード基板からの信号を再結合してデータ処理装置であるコンソールに送ると共に、 回転側にX線発生装置、X線光学系ユニット、データ収集装置などの制御信号を送 る。 (平成 12 年度) ・架台実装可能なデータ伝送モジュール、インタフェース回路の試作、機能確認 (H12 特会) [データ伝送モジュール] レーザダイオードを用いた光送信部、フォトダイオードを用いた光受信部、及び間 に配置する導光素子から構成されるデータ伝送モジュールを試作し、実際のシステ ムと同じサイズの評価架台に実装し、回転状態で評価し、データ伝送モジュール単 体として、622Mbps の伝送能力を確認した。 光送信部は、光データを発信するレーザダイオード、およびレーザダイオード駆動 IC を搭載し、回転側(送信側)インタフェース回路から送られた信号に基づいてレ ーザ光を送信する。データ伝送システム全体では、光送信部基板を 24 枚実装しレー ザダイオードを 48 個並べることになり、1 枚の送信部基板にはレーザダイオードの 配置される円周を 48 等分した距離だけ離れて、2 個のレーザダイオードを配置した。 導光素子は、相対的な位置関係が変化する光送信部と光受信部との間に配置され、 架台が連続回転中に、いずれの位置でもレーザダイオードとフォトダイオードとを 光学的に結合させるためのデバイスである。方式としては、レーザダイオードの光 を拡散(散乱)させる方式と、フォトダイオードに光を集める方式との 2 種類があ るが、今回は、集光方式の導光素子を開発した。 光受信部は光信号を電流信号に変換するフォトダイオード、電流信号を電圧信号に 変換増幅するフロントエンドアンプ、さらに、波形整形 IC、クロック再生 IC などを 搭載している。高速なものほど、受光パワーは多くする必要があるにもかかわらず、 フォトダイオードは高速化のため寄生容量を低減して受光面積を小さくする傾向に ある。その結果、高速化するほど光パワーが小さくなるという問題がある。上で述 べた導光素子の先端付近に位置する出力レーザ光のスポットに、フォトダイオード の位置を調整して組み合わせる。データ伝送システム全体では、本受信部基板を 12 56 枚実装する。導光素子と受信部基板とは一体のモジュールを構成する。 [データ伝送インタフェース] 回転側、固定側のインタフェース回路を試作し、静止状態での評価を行い、データ の分割、再結合の基本動作を確認した。 回転側インタフェース部は、データ収集装置からの信号を 12 分割してレーザダイ オードに分配するとともに、固定側の LED から送られた信号に基づき回転側に搭載 されたX線発生装置、X線光学系ユニットなどの制御も行う。 固定側インタフェース部は、12 個に分割されてレーザダイオードから送信され、フ ォトダイオードで受信された信号を再結合して、データ処理装置であるコンソール に送ると共に、回転側を制御するための信号を LED に送る。 (平成 13 年度) ・連続回転架台への実装、評価 (H13 特会) レーザダイオードから、フォトダイオードへの光伝播特性を改良した導光素子を製 作し、連続回転架台に実装、位置調整した後、1 秒連続回転状態での評価を行い、イ ンタフェース回路との組み合わせによりトータル 5Gbits/秒以上のデータ伝送レー トを確認した。 57 (4)架台 ・大視野 2 次元検出器、データ収集装置、データ伝送装置、X 線管球、高電圧 発生装置、X 線光学系などを搭載し、高速、かつ連続回転可能な架台を開発 した。 <主な仕様> ・架台回転速度 :1 秒/回転 ・連続回転 :可能 ・X 線照射角度 :体軸方向 13 度以上、直径方向 50 度以上 ・従来 CT 同等のサイズであること ・コーンビーム CT に対応した各ユニット(大視野 2 次元検出器、データ収集装置、デー タ伝送装置、X 線管球、高電圧発生装置、X 線光学系ユニットなど)を搭載できること。 <各年度ごとの成果> (平成 11 年度) ・架台レイアウトの基本設計 (H11 特会) 架台について基礎検討を行い、マルチスライス CT 用架台をベースとした基本構想 をまとめた。 体軸方向の撮影領域拡大に伴って増大するベアリングに対するモーメント荷重を 許容範囲に納めるためにカウンターウエイトを付加した。 搭載する各ユニットについて、それぞれのユニットの形状変更を含めて検討し、架 台への実装レイアウトを決定した。検出器/データ収集装置については、検出器−DAS 間の電気接続が容易(シンプルで信頼性が高くなる)となるように DAS を放射状に 配置する案を採用した。 必要な照射範囲をカバーできるように、X 線管球の配置、実装方法、照射領域制限 用スリットの機構方式、制御方法を検討した。X 線管球は、ビーム内のX線線量分布 を、より均一にするため、X線管球の陽極回転軸を架台回転軸に対して傾斜して配 置した。スリット開口幅は、回転中心に換算して最大 128mm、最小 1mm、1mm ピッチ で可変となるような、機構、制御方法を備えることとした。ウェッジフィルタは、 アキシャル断面の撮影領域の大きさに合わせて、∼3 種類の断面形状のものを備え、 体軸方向の寸法は、スリットの最大開口幅に対して充分に広いこととした。 58 10.2000 R 101.2000 R 111.0000 R 131.1000 R 113.0000 0.1000 (平成 12 年度) ・評価用架台の詳細設計、製作、評価 (H12 特会) 架台の詳細設計を完了し、評価用架台を製作した。大視野2次元検出器、データ収 集装置、高速データ伝送装置を搭載し、1 秒以下/回転の速度で、連続回転が可能で あることを確認した。 架台の外観(前面) (平成 13 年度) ・X 線光学系ユニットの製作、架台搭載、評価 (H13 特会) X 線光学系ユニットを製作し、架台に実装して、照射領域制限用スリット、線量分 布調整用ウェッジフィルタの動作に関する基本性能、精度を確認した。 光学系ユニットには、照射野を制限するスリット機構と、線量分布を調整するウェ 59 ッジフィルタ機構とが備えられている。 スリットは、2 枚のモリブデン製ブレードが平行に開閉して照射野サイズを設定す るが、回転中心で、最大 128mm の照射野に対応する開口幅まで、1mm ステップで、そ れぞれのブレードを動作させることができる。スリットについては、各ブレードの 停止位置の絶対値(スリットの開口幅を決める)、及び、その再現性について、測 定、評価し、発生する誤差が基準の 1/10 以下であり、問題ないことを確認した。 ウェッジフィルタは、ファン角度方向の線量分布を調整するためのアルミ製のプレ ートで、3 種類の形状のものを備え、必要に応じて移動させる機構となっている。従 来のマルチスライス CT と同じ断面形状で、体軸方向に延長しているため、機構部の ストロークも大きくしている。ウェッジフィルタについても、その停止位置につい て、絶対値と再現性を測定、評価し、発生する誤差が基準の 1/10 以下であり、問題 ないことを確認した。 ・すべてのユニットを搭載した架台を組み立て、架台性能を評価 (H13 特会) 高速コーンビーム3次元 CT 用 X 線管球、高電圧発生装置、大視野 2 次元検出器、 データ収集装置、データ伝送装置などを搭載して連続回転架台として完成させ、回 転速度、回転バランス、回転中の振動などを測定評価し、従来の製品と同じ基準を クリアすることを確認した。 60 大視野 2 次元検出器を実装した連続回転架台内部 カバーを取り付け、寝台ユニットと組み合わせた状態 61 (5)X 線管球、高電圧発生装置 ・大視野 2 次元検出器のサイズに対応して、体軸方向に広く X 線を照射可能と する X 線管球と、その X 線管球に電源を供給する高電圧発生装置を開発した。 <主な仕様> ・X 線形状 ・最大定格出力 ・最大管電圧 ・最大管電流 :体軸方向 13 度以上、直径方向 50 度以上 :48kW :135kV :400mA <各年度ごとの計画> (平成 12 年度) ・1 次試作の詳細設計、製作、評価 (H12 特会) 従来のマルチスライス CT 用 X 線管球をベースにして、体軸方向に 13 度以上の領域 に照射可能となるように、X 線管球内部、および照射口周辺を設計、製作した。ター ゲット角(電子ビームに対する陽極の角度)は 7 度程度として、X線管球を架台に 実装する際に陽極回転軸を架台回転軸に対して 4 度程度傾斜して配置し、架台回転 面に対する陽極ターゲットの角度を 11 度前後に設定する。必要なX線ビームの角度 (片側)は架台回転面に対して 6.5 度であるので、ターゲットに対して 4.5 度∼17.5 度程度の範囲にX線が照射されるように、X 線管球内部、および照射口周辺を設計し た。この結果、ターゲットぎりぎりの角度でなく、ターゲットの表面に対して 4.5 度∼17.5 度の角度の X 線を用いるため、照射ビーム内の体軸方向のX線線量分布を より均一にできる。 4° 6.5°6.5° 6.5° 6.5° X 線管球の配置 62 X 線管球の外観 X 線管球 照射口周辺の拡大 63 X 線管球用高電圧発生装置は、現行製品のマルチスライス CT に使用しているものを ベースに、連続回転架台への取り付け部分に変更を加えて製作した。X 線用高電圧発 生装置は、制御ユニット、カソード(陰極)用高電圧ユニット、アノード(陽極) 用高電圧ユニットの 3 つのユニットから構成される。 新たに開発したコーンビーム CT 用 X 線管球を、検出器、データ収集システムと組 み合わせ、ターンテーブル評価システムを用いて、その照射領域を評価し、検出器 全面に期待通りの X 線が照射されていることを確認した。 高電圧発生装置の外観 64 (平成 13 年度) ・X 線管球 2 次試作の製作、架台への搭載、動作確認、評価 (H13 特会) 1 次試作した X 線管球に対して、焦点サイズを小さくした 2 次試作品を製作し、高 電圧発生装置とともに、連続回転架台に実装し、検出器、データ収集システムと組 み合わせて、画像データ収集を行い、照射領域を確認した。 X線管球 アノードユニット 熱 交換器 カソード ユニット 制御 ユニット X 線管球、高電圧発生装置の実装 65 9. 情勢変化への対応 外部有識者から構成される NEDO 医療福祉機器プロジェクト技術検討会議(2001 年 11 月 14 日開催)において、当プロジェクトの進捗状況に関する審議が行われた。 その結果、出席者から高い評価を受け、基本計画を現実的かつ総合性能を上回るも のとして実施されている目標が確認された。( この技術検討会議の審議結果は、 第 6 回高速コーンビーム 3 次元 X 線 CT(エネルギー使用合理化)開発委員会(2002 年 1 月 17 日開催)において、NEDO 斉藤主査より報告が行われ、内容について開発 委員会の了承を得た。 ) 10.今後の事業の方向性 66 第3章 評価 1.プロジェクト全体に関する評価 1.1 総論 1)総合評価 4列のマルチスライス CT 商用機が漸く登場しようとした時期に、従来型の CT と同 じ low - contrast resolution を有す大視野のコーンビーム3次元 CT を作製すると いう野心的な立案を行い、三次元的な空間分解能、密度分解能、時間分解能ともども、 当時の技術から見て限界に近い高い目標を掲げ、それを達成するためさまざまな工夫 を凝らして実用化のメドを達成した事は高く評価できる。 臨床に有用な 3 次元 X 線 CT 画像を得る装置を完成させており、種々の要素技術の 問題点を回避しながらトータルシステムとして実現できている点も評価できる。 臨床データは十分ではないが、このプロジェクトによって、新しい診療技術を発展 させるシーズが医療現場に提供され、検出器等のハードを中心とし、周辺ソフトを含 めた技術開発により、産業界および医学、医療の進歩に寄与するところも大きいと思 われる。 <肯定的意見> ○ 4 列のマルチスライス CT 商業機が漸く登場しようとした時期に、従来型の CT と 同じ low contrast resolution を有す大視野の cone beam 3D CT を作製するという 野心的な立案をし、プロトタイプ機を造り、実用化のメドを達成した事は高く評 価できる。 ○ 実施計画、ことに大視野 X 線検出システムついて、当時の技術から見て限界に近 い目標を設定し、それを達成するためさまざまな工夫を凝らし、計画期間内に目 標を達成できたことを高く評価する。 ○ 本事業では、臨床に限りなく近いレベルの 3 次元 X 線 CT 画像を得る装置を事業 年度内に完成させており、種々の要素技術の問題点を回避しながらトータルシス テムとして実現できている点が評価できる。このプロジェクトによって、新しい 診療技術を発展させるシーズを医療現場に提供し、また、3 次元データ収集による CT 装置のプロトタイプを構築したという意味で、非常に価値のある事業であった と考える。 ○ 比較的広範囲を 1 秒で撮影でき、頭尾方向と水平方向で等しい分解能を有する CT 装置の開発であり、検出器の配列や画像処理ソフト等に新たな技術開発が行われ、 産業界および医学、医療の進歩に寄与するところが大きいと思われる。 ○ 医学的に見た場合、周囲との濃度差の大きな組織、例えば骨、肺などで、人体の 立体的な構造の理解や運動時の各部分の変化について理解しやすくなり、疾患の 早期発見や診断、治療方法の選択や決定に役立つ可能性がある。 ○ コーンビーム 3 次元 X 線 CT の特徴を示すシステム構築が可能となったことは評 価できる。 ○ CT の性能に関し、三次元的な位置分解能、密度分解能、時間分解能ともども、高 い目標を掲げて見事にこれを達成した。とくに CT で従来もっとも評判の悪かっ た体軸方向の位置分解能が横断面方向と同じレベルにまで改善されたことは、大 きな進歩である。それも、これだけ広い身体範囲を撮影するのに、時間をあまり かけないで撮影できるのはすばらしい。 ○ X 線 CT の高速化は普遍的な問題意識であり、それを目標に掲げ、具現化できた 3-1 ことは高く評価でき、社会へのインパクトも大きい。 <問題点・改善すべき点> ● Cone beam CT の問題点である周辺部での画質について、明確なデータが示され ておらず(理論値、シミュレーション、実画像とも)、時間分解能はいざ知らず cone beam CT 全体の優位性が静止画像で確認出来ない。 ● 当初予定されていた臨床現場への装置の納入と実証試験が行えなかったのは残念 である。 ● 頭尾方向がやや短くカバーできる臓器が限定される。今後は頭尾方向を延長した 装置、またはヘリカル機能も有する装置の開発が望まれる。 ● その特徴のほか、制約もあり、実用化に向けて改善が望まれる。 ● 時間分解能 1 秒は、心臓の動きに対応するには、さらに改善すべきである。 ● 数値目標は一応達成しているように表現してあるが、その根拠を十分に示すだけ の客観的データが不足している。臨床側を説得するものにもなっていない。今後 早い時期にこの点を明確にして欲しい。技術的に改良を要する未解決部分を少な からず残しているような印象がある。 <その他の意見> • 高価な機器であり、1 台で全ての臨床の要求に応じられなければならないことも想 定される。いつも 3 次元画像を必要とするわけではないので、2 次元画像の撮像に 使用した場合に、分解能、計測時間、被曝量などが、従来機器と遜色ない性能を 実現するよう、実用機の開発にあたって配慮されたい。 • 実施計画の目標の仕様がすべて達成されているので、事業の遂行に問題はない。 • 高性能のマルチスライス CT とコーンビーム CT の境界が曖昧になってきており、 今回の装置はむしろマルチスライス CT の上位機種として理解すべき装置と考えら れた。 • 撮影範囲の広さ、3 次元的な位置分解能、密度分解能、時間分解能等を同時に向上 させるのは望ましいことであるが、厄介な問題をともなうこともあり得る。そこ でこの装置も、汎用機としての性能追求と、特定の目的を重視した準汎用機と、 ある目的に特化した専用機への分化が必要になってくる可能性がある。 3-2 2)今後に対する提言 実用機の開発を進めるにあたって、本機を汎用の高級機種、叉は将来的一般機種と するのか、特定臓器・目的に特化した機種とするのか、実用化には幾つかの方向があ り得るため、実用化のための戦略を明確にして、早い時期の実用化、社会への還元が 望まれる。 また、実用化までに十分な臨床評価を重ね、映像化領域の大きさや映像化に必要と なる時間、空間分解能など、実用機の仕様の策定において多数の臨床家の意見を参考 にすることと、これからの臨床評価の結果をもとに、さらに完成度の高い技術の追求 を期待したい。 技術的には、検出器の大面積化と信号応答、及び信号取り出しの高速化など、検出 器回りの技術のさらなる発展、更に管球側の新たな開発、画像再構成に関するソフト の新たな開発や導入の研究も必要と思われる。被曝線量の面からの検討も必要であろ う。 今後、国内外での追撃が活発になると考えられるが、マルチスライスヘリカル CT の動向に注目しながら、コーンビーム CT の適応を検討し、実用化を推進して欲しい。 特許等の充実も不可欠である。 ○ 16 列の商業機が実用化され市場に出回り、64 列の CT が新しい計算方式で開発さ れていると伝えられている現状では、実用機の開発を進めるにあたって、本機を 汎用の高級機種として又は将来的一般機種とするのか、特定臓器・目的に特化し た機種とするのかの選択を迫られるものと考える。 ○ 実施計画の目標は達せられたが、ハードウェアについてもソフトウェアについて もまだ性能を向上させる余地があると考えられるので、これからの臨床評価の結 果をもとに、さらに完成度の高い技術の追求を期待する。 ○ また、実用化までに十分な臨床評価を重ね、実用機の仕様の策定において、多数 の臨床家の意見を参考にすることが望まれる。 ○ 作成した装置は対象とする臓器や用途が不明確なため中途半端な仕様になってい る可能性がある。臨床現場の医師とさらに密接な議論を行い、映像化領域の大き さや映像化に必要となる時間、空間分解能などを決めていくべきであると考える。 ○ 今回の研究は 2 次元の検出器の開発とその画像処理ソフトの開発に中心が置かれ ていたように思われる。本来のコーンビーム CT の実現を目指して、マルチスラ イス CT の検出器を拡張するのではなく、当初目標とした新たな FPD の開発もあ わせて必要と思われる。 ○ またこの方式で頭尾方向に広げた場合、どの位まで広げられる可能性があるのか、 また現状の方法で広げられない場合、それを解決する方法についての研究も今後 は必要と思われる。 ○ 更に管球側の新たな開発や、画像再構成に関するソフトの新たな開発や導入の研 究も必要と思われた。 ○ マルチスライスヘリカル CT の動向に注目しながら、コーンビーム CT の適応を検 討して実用化に進んで欲しい。 ○ この CT は「高速コーンビーム 3 次元 X 線 CT」の課題名が示すように、従来の CT と較べ、撮影範囲の広さ、三次元的な位置分解能、時間分解能等を同時に向上 させることを狙っている。この延長線上に今後を考えると、技術的には 3-3 1)検出器の大面積化と信号応答及び信号取り出しの高速化など、検出器回 りの技術のさらなる発展が期待されるところである。 2)また、従来技術の CT に取り入れられて撮影範囲の広さ、3 次元的な位置 分解能の向上に貢献した「ヘリカル」の技術を取り入れるのも、一法である。 3)さらに、コンピュータによる画像処理のスピードも、もう一段と速くす る必要がある。 利用面については、この装置が普及するであろう 3D-CT、4D-CT の時代を考 えると、 1)現在よりさらによい画質がほしい。 ・3 次元的な位置分解能の向上 ・密度分解能の向上 2)検査したい身体の容積を大きくしたい、場合によっては全身を検査したい。 ・撮影範囲の広さ ・高速性 3)より細かく時間経過を見たい。 ・時間分解能の向上 等々の要求はますます強くなるだろう。 また 4)検査対象者の範囲を広げたい、場合によっては全員の検診をしたい、など という話も持ち上がる可能性もある。 こうしたさまざまな要求に応えられる能力を秘めているこの CT は、被曝線 量の面からも検討しておく必要がある。というのは、上記の要求は数 10 ミリシ ーベルトの放射線被曝が許される状況で使われるものから、1 ミリシーベルト 以下が望ましい状況で使われるものまで、無差別に並べただけだからである。 「よりよい画質」という要求一つを考えても、数 10 ミリシーベルトの放射線被 曝が許される状況で達成可能な画質と、たかだか 1 ミリシーベルトという状況 での画質は、違って当然だからである。 ○ 実用化のための戦略を明確にして、早い時期の実用化を期待したい。4D-CT への 展開は非常に魅力的であるが、実用化には幾つかの方向があり得ることを考えて、 社会に還元して欲しい。今後、国内外での追撃が活発になると考えられるが、特 許等の充実も不可欠であろう。 3-4 1.2 各論 1)事業の目的・政策的位置付けについて 「高速コーンビーム 3 次元 X 線 CT」の開発は、このプロジェクトの要素技術である大 視野 X 線検出システムの高性能化・大型化、3 次元データ再構成システムの高速化・ 小型化という種々な分野の先端技術を先導する可能性を秘めた技術開発を目指して おり、画像診断の新しい分野を開拓する可能性が高く、CT の革新的進歩をもたらす効 果があると考えられる。開発リスクにとらわれず斬新な技術開発を進めるためにも NEDO の関与は妥当であると考えられる。 X 線 CT の技術はさらに発展することが予想され、技術に遅れをとれば即、国際競争 力を失うので、つねに動向を調査し、必要なときに速やかなる対応がとれるような体 制を確立しておくことが望まれる。 <肯定的意見> ○ CT の革新的進歩をもたらす効果があり、NEDO の関与は評価出来る。 ○ これまでに多くの医用画像装置が民間活力によって開発されてきたが、高速コー ンビーム 3 次元 X 線 CT には、大視野 X 線検出システムが必要であり、その開発 を民間で行うには負担が大きすぎ、また国際競争も激しいので、行政関与の対象 として適切であったと考える。 ○ 医療機器を製造しているメーカでは、現在、大幅な統廃合が行われている。かつ てはベンチャー的な企業も医療機器を製造していたが、現在、ごく一部の大企業 が開発に携わっているのみである。また、装置の開発をやめ国外のメーカの装置 を売り始めた企業もある。このように開発経費が高額となる医療装置に関しては、 企業のリスクを低減することが不可欠であり、また、開発した装置による医療費 削減の可能性があることから、本プロジェクトの採用は意味があったと考える。 費用対効果の観点からも妥当であったと考える。 ○ 画像診断の新しい分野を開拓する可能性が高く、しかも実現の可能性が非常に高 い機器であり、NEDO の事業として取り組む極めて妥当な研究で、事業目的、政 策的位置づけも明確と考えられた。 ○ 開発リスクにとらわれず斬新な技術開発を進めるために NEDO の関与は妥当で ある。 ○ 「高速コーンビーム 3 次元 X 線 CT」の開発は、このプロジェクトで要素技術と して採り上げられた大視野 X 線検出システムの高性能化・大型化、3 次元データ 再構成システムの高速化・小型化を見てもわかるように、種々な分野の先端技術 を先導する可能性を秘めた技術開発と一蓮托生の関係にある。このことはこのプ ロジェクトが NEDO の事業として妥当性を示している。 ○ NEDO の関与により、高速 3 次元 CT の開発が加速したことは認められる。 <問題点・改善すべき点> ● 医療機器が輸入超過になっている現状を改善するために貢献できるような、国際 競争力のある製品の開発に結び付けるため、周辺動向調査を先行させて事業計画 の策定段階に反映させれば、さらに技術開発の焦点が絞られたのではないかと考 えられる。 ● 本事業に関しては、事業内容を考えると予算が少なすぎたと考える。NEDOや 3-5 産総研は、事業内容を十分吟味し、国家戦略として大型の補助金を提供したり、 臨床評価を行える施設の便宜をはかるべきであると考える。また、複数の競合企 業をとりまとめ、世界的にも最先端を走っている日本の医療機器メーカの技術を 絶やさないようにする施策を積極的に行うべきであると考える。 ● 本事業の技術課題は従来トレンドの延長線上にあり、時間をかければ(かつ経済 的状況が許せば)民間における努力によっても実現可能であったかもしれない。 国が関与した以上、早期の実用化を図って欲しい。 <その他の意見> X 線 CT の技術はさらに発展することが予想され、技術に遅れをとれば即国際競 争力を失うので、つねに動向を調査し、必要なときに速やかに行政が関与できる 体制を確立しておくことが望ましい。 こうした医療機器の開発が、種々な分野の先端技術開発と一蓮托生の関係にある というのは、逆にいえば、医療機器の開発を通して、他の広い分野に利用可能な 先端技術の創出や開発推進を図れることを意味する。このことから、この種の医 療機器開発プロジェクトの事業目的・政策的位置づけは、医療機器というカテゴ リーに閉じこめて考えるべきでない、と思われる。 3-6 2)研究開発マネージメントについて 研究開発実施者の事業体制や運営の妥当性については、評価の具体的根拠に乏しい が、現在の日本における CT の市場の最大部分を占めるメーカーが主導的に研究を進 め、実行してきており、研究開発の目標において、より現実的で、しかも達成可能と 考えられる項目については、当初の計画より大幅に高い目標を設定し、且つ達成して いることを評価したい。情勢変化に対しても、概ね妥当に対応していたものと思われ る。 最終的に技術が形になってきており、本事業後、臨床評価の体制もほぼ整っている ようであり、本事業で開発された技術がその後につながって行くよう期待したい。 研究が医療機器メーカーの研究者を主体に進められて来たようにも思われ、医療者 側が、どのような装置を最も必要としているのか、という視点での検討も今後積極的 に進めるべきと考えられる。 目標達成のための要素技術として、とくに 3 次元デー タ再構成技術において、その時点で採用できる最善の方法が用いられたかどうか若干 疑問があるという意見も出された。 <肯定的意見> ○ 研究開発計画は発足当時余りに広い面検出器があげられていたが、これが変更さ れ、またデータ取得は目標が高められ、且つ達成されている。 ○ 平成 10 年に工業技術院で策定された基本計画の内容を見直し、研究開発の目標に おいて、より現実的で、しかも達成可能と考えられる項目については、当初の計 画より大幅に高い目標を設定したことを評価したい。 ○ 研究開発目標に関しては数値目標が設定され、それに向かって研究が進められて おり妥当であったと考える。また、研究実施者の運営面においても、情勢変化に 対して概ね妥当に対応していたものと思われる。 ○ 研究開発目標については、現時点での技術水準から見て、実現可能と思われる目 標が設定されていたと考えられる。現在の日本における CT の市場の最大部分を 占めるメーカーが主導的に研究を進め、実行してきていることで、研究開発計画、 研究開発実施者の事業体制、研究開発実施者の運営については妥当であったと思 われる。 ○ 広範囲をカバーできる FPD を採用した場合には、現状のヘリカル CT に比べ濃度 分解能が劣ることが予想されたために、あえて狭い範囲で高画質を求めることに 目標を修正したことにより、実用可能な装置の開発が可能であったと思われ、実 現可能なためには妥当な変更であったと考える。 ○ 妥当である。 ○ (1)研究開発目標については、空間分解能:0.5×0.5×0.5mm、画像階調:4,000 など、具体的かつ明確な開発目標、目標水準を設定し、また目標達成度を測定・ 判断するための適切な指標が設定されている。今回はこの指標を拠り所にして成 果を評価した。 ○ (2)研究開発計画の妥当性 ・スケジュールは妥当であった。 ・目標達成に必要な 2 大要素技術、大視野 X 線検出システムと 3 次元データ再構 成システムについても、具体的かつ明確な開発目標、目標水準を設定し、また目 標達成度を測定・判断するための適切な指標が設定されていた。 ○ (3)研究開発実施者の事業体制および運営の妥当性 3-7 事業体制、各研究開発実施者の選定等は適切であったと判断される。また、関係 者間の連携/競争が十分行われるような体制となっており、 ○ (4)運営も妥当であったと判定する。 ○ (5)「情勢変化への対応」として基本計画を変更するといったことは行われていな い。これも妥当である。 ○ 目標設定(軌道修正も含めて)が妥当なものであり、最終的に技術が形になって きていることは評価できる。補足だが、本事業後、臨床評価の体制もほぼ整って いるようであり、本事業で開発された技術がその後に接続していることも確認で きる。 <問題点・改善すべき点> ● 目標達成のための要素技術として、とくに 3 次元データ再構成技術において、そ の時点で採用できる最善の方法が用いられたかどうか若干疑問がある。 ● 再委託研究機関での評価が実現できなかったのは、事業体制の不備によるものと 思われる。すなわち、確実な実施の可能性の無いところを再委託研究機関とすべ きでなかったと考える。 ● 今回の開発の目標のひとつは、平面検出器の開発にあったと思われるが、その分 野のメーカーの参加が今後は望ましい。研究が医療機器メーカーの研究者を主体 に進められており、できあがった装置について医療者側がどのように使えるのか を考えているように思われた。医療者側からの、どのような装置が最も必要とさ れているのか、という視点からの要求が乏しいように感じられた。 ● 経済効果の試算では、新規導入率に幅を持たせ、節減量を最大から最小の範囲で 示す。 ● 再委託先である 3 大学との連携が現時点で不明確のままである。臨床試験が先延 ばしになった事実は了解したが、3 大学すべてが臨床試験の担当であったとは思 われない。再委託先における当初の目標設定と最終的な成果、およびその成果と 投資との対比を明らかにして欲しい。 <その他の意見> 研究開発実施者の事業体制や運営の妥当性は評価の具体的根拠に乏しいが、全体 として目標を達成しており問題は無い。 3 次元 CT 画像の市場ニーズについて、十分な調査が行われたかどうかに若干疑 問がのこり、やや新技術の追求に偏ったことが危惧される。 3-8 3)研究開発成果について トータルシステムとして、大視野のコーンビームCTのプロトタイプ機を作成し、 数値上は目標値を達成していると判断される。これを前提にすれば、世界的最高水準 の技術レベルが達成されていると言え、この点に関しては最大の評価を与えることが できる。 動きの要素を取り入れた 4 次元 CT の考えは、新たな医療の研究、および診療の分 野を開拓するものと思われる。 しかし、体軸辺縁部スライスの画質が中央部スライスに対しどの位劣化があるの か、空間分解能、密度分解能が変わらないかどうか、それらの均一性が必ずしも明ら かになっていないため、数値で、または画像で示されることが望ましい。 工学関係での研究発表や論文発表は行われているが、今後臨床側からの評価、新た な応用等、多数の論文発表が望まれる。 <肯定的意見> ○ 計画(途上で合理的修正あり)を十分に達成しているが、体軸辺縁部スライスの 画質が中央部スライスに対しどの位劣化があるのか、無視しうる範囲かが何らか の形で(実データが最善)示されないと、計画自体の価値を評価しにくい点が残 る。 ○ 実施計画の目標は完全に達成されており、事業は成功であった。要素技術におい ても、大視野 X 線検出器は世界最高水準のものであり、成果があったと言ってよ い。広報の点でも、学術発表やメディアによる発表が多数ある。 ○ 目標の達成度に関しては、設定目標値がさまざまな状況下で変更されているもの の、現実的な意味での目標値をおおむね達成できているものといえる。全体的に 見ても 90%程度の達成度(スペックから判断)となっており、研究開発として成 功したものといえる。また、要素技術に関しても、国際水準からみて非常に高い 成果を上げているといえる。これは、大容量かつ高速なデータ収集・転送、画像 処理系を実現した点である。新たな市場創造という意味では、リアルタイムに近 い時間で動きの映像化が可能になったことであり、医療分野以外でも利用価値が あると思われる。成果の公表に関しても積極的に行っていると判断できる。 ○ 前にも述べたが、現在の技術の延長線上に目標を定めることにより、要素技術的 な目標はほぼ充分に達成できていると考える。また撮影装置だけでなく画像再構 成、あるいは 3 次元画像、4 次元画像のソフト開発も行われ、従来よりも格段の時 間短縮を可能にし、充分な成果が上がっていると考える。 ○ 現時点において世界で最も細かく、しかも広範囲に撮影できる装置であることは 確実であり、この点に関しては最大の評価を与えることができる。また動きの要 素を取り入れた 4 次元 CT の考えは、独創的であり、新たな医療の研究、および診 療の分野を開拓するものと思われる。 ○ 現在の CT の上位機種と考えるよりも、新たな別の診断機器としてとらえた方が、 新たな市場の開拓につながる可能性も大きいと思われる。 ○ また今回開発された画像処理関連の技術は、CT に限らず MRI や超音波、核医学等 に幅広く応用される可能性があり、またこれらを統一した画像管理システムの構 築にもつながることが期待できる。 ○ 特許に関しての妥当性はコメントできないが、工学面での学会および論文の発表 3-9 ○ ○ ○ ○ は充分に行われていると思われる。 目標が概ね達成されているので、妥当である。 成果は、計画と比較したところ、目標値をおおむねクリアしている。完成した装 置は、大視野 X 線検出器(912×256 素子)(目標:912×256 ピクセル)と X 線管 で構成するガントリを 1 秒間に 1 回転(目標:1 秒以下)させ、900 フレーム/秒 (目標:読出し時間 1ms/フレーム)の投影データを収集する。このデータから再 構成装置を用いて、最高分解能 0.5mm(目標:0.5mm)の等方性、等時性ボリュー ムデー夕が得ることが可能となっている。 実験の結果を見ると、1 スキャンの最大撮像領域が約 50×50×12.5 ㎝(目標:不 明)という広範囲のデータが得られている。また、最高空間分解能は 0.5×0.5×0.5mm(目標:0.5×0.5×0.5mm)で、従来 CT と同程度の低コントラス ト検出能(目標:画像階調 4,000)を有するデータ(512×512×256 ボクセル)が 約 2 分の再構成時間(目標:処理時間約 60∼140 秒(512×512×256)、185GFLOPS) で得られている。画像表現内容としては、エビの立体動画が示された。以上全体 として見ると、目標はほぼ達成していると判定される。 数値上は目標値を達成しているように見受ける。これを前提にすれば、世界的最 高水準の技術レベルが達成されていると言える。 <問題点・改善すべき点> ● (技術的な事が判らず、印象であるが)力任せに目標を達成し、新たなインパク ト、応用性の高い技術が開発されたようには見えない。 ● 技術の達成度から見て、特許出願件数が少ない。 ● 成果の達成度についての問題は、要素技術の部分で細かく述べるが、基本的に性 能を実現できたかどうかの評価が行われていない点に問題がある。 ● 本事業では、特許の出願件数が非常に少なく、これは今回開発した技術のほとん ど全てが、従来の特許の範囲内にある、あるいはその延長にあることを意味する ものと思われるが、3 次元データ収集、転送、画像再生においてキーテクノロジと なる技術を開発するべきであったと考える。 ● 工学関係での研究発表や論文発表は行われているが、臨床的な評価の発表が不十 分なように思われる。臨床側からの期待、新たな応用についての論文発表が望ま れる。 ● 実用化された場合ユーザーとなる臨床医学者向けの技術紹介論文の国際誌での発 表を増やす。 ● 画面の中心部と周辺部で、空間分解能、密度分解能が変わらないかどうか、など のチェックが必要である。 ● 1 回転 1 秒というのは、心臓の動きに同期してしまって、心臓を目標とするときは かえってサンプリングに悪い影響があるかも知れない。要チェックである。 ● しかし、装置としての濃度分解能、空間分解能、それらの均一性が必ずしも明ら かになっていない。数値上の目標値を達成している根拠をより明確な形で見たい。 画像による十分な評価がまだ行われていない以上、線量に関する評価も保留した い。 ● 研究成果発表は不足無く行われているが、特許が少ないと思われる。今後、国内 外で追撃があると思われるが、優位が保てるか。 3-10 <その他の意見> 高速 3 次元 CT の実現は達成されたが、個々の要素技術としてのインパクトは不明。 成果発表は学会発表がかなりあり、マスコミ的には今後ものびると思うが、論文 は技術関係では不足。臨床データが出るように成ればこの方面の論文はかなり出 よう。 いつも 3 次元画像を必要とするわけではないので、2 次元画像の撮像に使用した 場合に、分解能、計測時間、被曝量などが、従来機器と遜色ない性能を持つこと が求められる。その点が計画段階でも事業実施段階でも十分考慮されなかったこ とが危惧される。 本評価では、再委託先の成果も吟味する必要がある。 3-11 4)実用化、事業化の見通しについて 成果の実用化可能性については臨床評価を待つ必要があるが、現時点でもこの可能 性は非常に高いものと考えられ、また、需要も大きいと思われるが、医学界や工業界 側がその適用を考えていくことによって、この技術の価値が高められるものと考え る。 3 次元画像処理の時間が極めて短縮したので、日常の臨床にも比較的容易に 3 次元 画像が利用できるようになり、診断精度の向上も期待できると考えられる。 汎用機となろうが、高速高空間分解能画像(例えば冠状動脈)など特化した専用機 として発展させる可能性もある。 今後の実用化のためには、さらに対象を絞り、スペックのチューニングを行う必要 があると考える。 実用化にはソフトウェアの完備が不可欠で、情報として 3 次元データが得られてい ても、見たい部分を抽出して見やすい形で表示するためのソフトウェアの開発が必要 である。 また、事業化までのシナリオとしてはコストダウンが最も重要と思われる。 <肯定的意見> ○ 実用化は十分期待出来るが、汎用機となるのか、特殊な臓器の動態解析(関節、 呼吸器)、高速血流動態(例えば脳・肝の血流動態解析)、高速高空間分解能画像 (例えば冠状動脈)など特化した専用機として発展させるか意見が分かれよう。 ○ 実用化の見通しは高い。ハードウェアについては、市場にはこれに匹敵するもの はなく、分解能の高い 3 次元画像が得られることのインパクトは大きい。 ○ 成果の実用化可能性については臨床評価を待つ必要があるが、現時点でもこの可 能性は非常に高いものと考える。また、需要も大きいと思われるが、医学界や工 業界側がその適用を考えていくことによって、この技術の価値が高められるもの と考える。個々の事業化のためには、さらに対象を絞り、スペックのチューニン グを行う必要があると考える。 ○ 今回試作された装置は、基本的には現状のマルチスライス CT の最上位機種と考え ることが可能で、その意味からは実用化は全く問題ないと考える。初期のらせん 撮影機能を有するシングルスライス CT が更新の時期を迎えており、通常の CT と して使用した場合に撮影効率が良いことを考えると、費用的にも現在のマルチス ライス CT の最上級機種よりも、むしろ安く設定されているようなので、普及の可 能性は高い。 ○ 3 次元画像処理の時間が極めて短縮したので、日常の臨床にも比較的容易に 3 次元 画像が利用できるようになり、診断精度の向上も期待できる。 ○ リアルタイム 3 次元構成のシステムの実用化の可能性が示されたので、妥当であ る。 ○ 高速コーンビーム 3 次元 X 線 CT は、医学界に身を置いてそのニーズの強さをひし ひしと感じている私からすると、一刻も早く、実用化、事業化して然るべき技術 である。そしてこのプロジェクトのお陰で、見通しは一段と明るくなったと思わ れる。 ○ 実用化に近いレベルまで技術開発が進行している。また、4D-CT への発展が期待さ れる技術である。 3-12 <問題点・改善すべき点> ● 実用化にはソフトウェアの完備が不可欠で、情報として 3 次元データが得られて いても、見たい部分を抽出して見やすい形で表示するためのソフトウェアの開発 が必要である。 ● 事業化までのシナリオとしてはコストダウンが最も重要と思われるが、2 次元の X 線 CT やヘリカルスキャンを導入した 2.5 次元データ収集の X 線 CT とは、スペッ クやポリシーを変えたものとすることで、3 次元 CT の位置づけが明確になると思 われる。すなわち、従来の CT を凌駕するような CT は必ずオーバースペックとな りコストダウンは実現できないと思われる。 ● 4 次元 CT の専用機として考えると、非常に限られた症例にのみ有効で、導入する 病院も少ないと思われるので、一般機としても使用できるようにすることが必要 と思われる。そのためには現在の CT と同等の濃度分解能を有することと、ヘリカ ル機能を有することが必要と思われる。 ● 実用化のシナリオが明確でない。どのようなスペックの製品を世に出すために、 何がクリアされていて、今後何を改善するか。4D-CT だけが実用化ではない。 <その他の意見> 高度のローコントラストを必要とせぬ領域はフラットパネルデテクタの進歩での この検出器に置き換えられる可能性あり。高度のローコントラスト・高空間分解、 3 次元動態が像などでは被曝量の問題がある。より汎用機にせねば検出器他のコ ストが下がらない。 大視野 X 線検出器は画期的なもので、波及効果も大きいと思われる。これをさら に効果的に用いるには、新たな X 線管球の開発が望まれる。 3-13 2.要素技術に関するコメント 1)成果に対する評価 大視野 X 線検出システムは low - contrast resolution の良いものでは類例を見な いくらいのものであり、国際的に見ても最高水準で、単独でも商品となり得るものと 考えられる。 また、画像処理ソフトの開発に関しても十分に目標を達成していると考えられる。 3 次元画像再構成の時間も極めて短く、4 次元的に立体的な臓器の動きや血流の動 態を観察することが可能になり、臓器の機能面の診断や治療計画、治療後の形態や機 能の予測等も可能になると考えられる。 等時性ボリュームデータが得られる点も評 価できる。 しかし、目標の達成如何の評価は、最終的な再構成画像上で行うべきであり、デー タ収集系の性能を見るためには、投影データ上での評価や再構成画像上での評価が必 要となるが、臨床的視点も含めて、本装置で得られる画像の評価(濃度分解能、空間 分解能、均一性など)が不足しているので、これを急ぐべきである。 また、軸方向 の散乱線低減の方策についても、さらに検討が望まれる。 3 次元画像処理システムについては、まだ改良の余地があるように考えられ、臨床 の要求を十分に取り入れて完成度の高いものを目指すべきである。 <肯定的意見> ○ 大視野 X 線検出システムは low contrast resolution の良いものでは類例を見な い。 ○ ハードウェアことに大視野 X 線検出器については、完全に目標を達成しており、 国際的に見ても最高水準である。これは単独でも商品となり得るものと考えられ、 波及効果も期待できる。 ○ 大視野 2 次元検出器に関しては、高速にデータを収集する装置ができたものと判 断できる。3 次元画像再構成に関しては、非常に高速に 3 次元の画像再構成が行わ れていると判断できる。データ伝送システムは、非常に高速にデータ伝送を行う システムが構築できているといえる。 ○ 検出器の開発および画像処理ソフトの開発に関して、十分に目標を達成している と考える。検出器の広さは現在、世界最大であり 3 次元画像再構成の時間も極め て短く日常臨床の中で十分に待てる時間内に構成可能で、結果を即座に臨床の各 科に生かすことが可能で、新たな市場の開拓につながるものと考える。 ○ また形態だけでなく、4 次元的に立体的な臓器の動きや血流の動態を観察すること が可能になり、臓器の機能面の診断や治療計画、治療後の形態や機能の予測等も 可能になると考える。 ○ 今後、各種の手術的な治療に関して、術前の患者への十分な説明や、それにもと づいた同意が必要になってきているが、手術後の形態や機能の変化について具体 的な画像で示すことが重要であり、そのためにも本装置は多大な役割を果たすも のと期待される。 ○ 等時性ボリュームデータが得られる点で評価できる。 ○ 目標値は、数値上達成しているように思われる。これがより多くの客観的データ と共に示されれば、X 線 CT の世界最高水準を押し上げているといえる。特に検出 器に傾注した結果、特徴あるものが開発された。 3-14 <問題点・改善すべき点> ● この事業で達成された大視野 X 線検出器は現状で最高水準のものではあるが、技 術的にはまったく新しいものではなく、従来技術の大規模化と実装技術によるも のである。したがって、特許などによる保護はあまり期待できず、追従されやす い面があり、トータルシステムとしての完成度を上げなければ市場の優位は保て ない。 ● 設定した数値目標に対して、製作したハードウェア上での素子数などを記載する ことで数値目標が達成できたかのような表現になっているが、これは不完全であ る。目標の達成如何は、最終的な再構成画像上で行うべきであり、この点が不明 である。作成したソフトウェアの性能を見るためには、標準的な数値ファントム を用いて、その性能を評価すべきである。また、データ収集系の性能を見るため には投影データ上での評価や再構成画像上での評価が必要となる。本プロジェク トでは、マジックハンドの再構成画像とかザリガニの再構成画像とかを提示して いるが、これらの画像では CT 画像としての数値目標(空間分解能、コントラスト 分解能、濃度歪み、雑音など)が達成できたかどうかの判断を正確に行うことが できない。(実施者は、上記性能に関して従来の CT 機と同等の性能という表現で 本機の性能を暗に明示しているにもかかわらず) ● 大視野 2 次元検出器に関しては、これだけの空間分解能が必要か、FOV がこれで十 分かというように仕様の妥当性には疑問が残る。 ● 3 次元画像再構成に関しては、Defrise が 1995 年に提案した 3 次元の投影データ を 2 次元データにリビニングする方法も視野に入れるべきであったと考える。 (た だし、この方法の適用にはヘリカルスキャンがさらに必要となる。 )本事業の実施 者側が、このような優れた処理法の導入を予定していれば、本事業の一つの成果 となっている並列演算処理装置の性能を落とすことが可能であったと考える。ま た、これは事業の経費の削減にも寄与したものと考える。さらに、事業化という 面でも特別の性能を持ったプロセッサを必要としなくなる可能性があるのでコス ト削減という意味でも重要であると考える。 ● また、軸方向の散乱線についての低減の方策が欲しい。 ● 4 次元画像の観察方法について、外来や病棟あるいは手術室などどこでも手軽に観 察できる、観察装置などの開発も必要と思われる。 ● 最大撮像領域が Z 軸方向 12.5cm では対象臓器によっては不十分である。 ● 濃度分解能の限界により低コントラスト部位には適さない。 ● 臨床的視点も含めて、本装置で得られる画像の評価(濃度分解能、空間分解能、 均一性など)が不足しているので、これを急ぐべきである。 <その他の意見> データ再構成システムとして、スリップリング CT からの高速大量データの転送は 達成されたが、質的に画期的な技術かは評価しがたい。 3 次元でータ再構成システムとしては具体的なものは未だ余り示されていない。 3 次元画像処理システムについては、まだ改良の余地があるので、臨床の要求を 十分に取り入れて完成度の高いものを開発しなければならない。 3-15 2)実用化の見通しに関する評価 現時点においても実用化の可能性は十分にあると考えられ、データ収集系、データ 伝送系に関する要素技術も、CT の改良、あるいは MRI、核医学検査、超音波検査など の分野への転用が可能になるのではないかと考えられる。 実用化にあたってはコストダウンがポイントであり、センサーの生産技術や実装技 術にさらなる努力をすれば、検出器単独でも国際競争力の高い製品となることが期待 できるが、トータルシステムにおいては、臨床の要求を十分取り入れた、完成度の高 いシステムが求められる。実用機の設計にユーザーの要求をできるかぎり反映させる ことが必要である。 <肯定的意見> ○ 大視野 X 線検出器はすでに完成の域にあり、実用化は間違いない。実用化にあた ってはコストダウンがポイントであり、センサの生産技術や実装技術にさらなる 努力すれば、検出器単独でも国際競争力の高い製品となることが期待できる。 ○ データ収集系、データ伝送系に関する要素技術の利用可能性は、他の装置への転 用を含め、非常に高いものと考える。 ○ 現時点で十分に全体の装置としても実用化は可能であり、それぞれの要素技術も 現在の CT の改良、あるいは MRI、核医学検査、超音波検査などの改良に使える面 が多いと思われる。 ○ 高コントラストの小さな領域に限れば、実用化が可能である。 ○ 1 スキャンを高速に行う機器という意味では、実用化の可能性は十分にあると認め る。 <問題点・改善すべき点> ● 3 次元画像処理システムは、当初の目標は達せられたものの、使いやすさの点など で改善が望まれるる。トータルシステムにおいても、臨床の要求を十分とりいれ た、完成度の高いシステムが求められる。 ● 並列演算装置の部分に関してはコストを度外視して、特別な仕様のものを作成し ているが、エレガントなアルゴリズムの採用により、この計算機の位置づけが大 きく変わり、場合によっては不要になる可能性がある。 ● リアルタイム 3D イメージングシステムの実用化に要する 4∼5 年を短縮できない か。 ● 性能評価(特に画質について)が不十分である。この問題を明らかにして、改善 する必要がある。それに伴い、線量に関する評価も再度行う必要がある。臨床側 との協働が必要であることも言うまでも無い。 <その他の意見> 従来高級機種を購入していたレベルの病院では購入される価格での実用機となる 可能性が高い。然しそれらの機種のすべてが本機になるかはライバル社の 64 スラ イス CT の開発状況・成果に依存する。 一般的汎用 CT となるまでコストダウンできるかは疑問。 高価な機器なので、実用化までに施行錯誤を繰り返すことは許されないであろう。 したがって、実用機の設計にユーザーの要求をできるかぎり反映させなければな 3-16 らない。 3-17 3)今後に対するする提言 大視野 X 線検出器は画期的性能のものであり、これを生かす工夫が望まれる。こと に、X 線管球に新たな発想をとりいれることなどにより、性能の飛躍的向上が期待さ れる。 X 線 CT の技術のうち、検出器やデータ伝送系は X 線 CT に特化している部分がある が、画像再構成を含めたソフトウェア面は PET や SPECT とも密接な関連があり、優れ たアルゴリズムが他のモダリティから提案されることもある。その意味で、既存の技 術を利用するならば広い範囲で情報収集を行い、その時点で最も優れた手法を導入す べきであると考える。 汎用 CT 装置を目標とするならば、撮像領域の Z 軸方向の延長も必要となる。 X 線検出器の方式は、現時点で一番好ましいものを選択しているが、技術の向上、 および十分なウォッチが望まれる。 実用化された後、市場で優位を保つには、ソフトウェアの改良努力が必要であり、 そのためにユーザーの要求についての情報をつねに確保できる体制の構築が必要と 考えられる。 <肯定的意見> ○ 大視野 X 線検出器は画期的性能のものであり、これを生かす工夫が望まれる。こ とに、X 線管球に新たな発想をとりいれることなどにより、性能の飛躍的向上が期 待される。 ○ 本事業では立体角を制限し 13 度程度としていたが、画像再構成法を変え、空間分 解能を今の半分に低下(1mm)させることで、現在の 1.5 から 2 倍の領域の画像再 構成が可能となるが、このようにすることでまさに 3 次元データ収集といえるも のができるのではないかと考える。 ○ また、X 線 CT では光子数が非常に多いが、そこまでコントラスト分解能を追わな くても、例えば散乱線を十分抑えることで SN 比を向上するような考え方もあると 思われる。 ○ データ転送の際のオーバーヘッドが非常に大きいので、この点も工夫の余地があ ると考える。 ○ 検出器の改良は CT の一般的な改良に大いに貢献するものと考え、今後の発展が期 待できる。 ○ 3 次元画像、4 次元画像の表示ソフトは他分野でも応用可能で、今後の発展が期待 できる。 ○ 4D-CT への発展は魅力的な課題であるので、続けて欲しい。 <問題点・改善すべき点> ● 実用化された後、市場で優位を保つには、ソフトウェアの改良努力が必要であり、 そのためにユーザーの要求についての情報をつねに確保できる体制の構築が必要 と考えられる。 ● X 線 CT の技術のうち、検出器やデータ伝送系は X 線 CT に特化している部分がある が、画像再構成を含めたソフトウェア面は PET や SPECT とも密接な関連があり、 優れたアルゴリズムが他のモダリティから提案されることもある。その意味で、 既存の技術を利用するならば広い範囲で情報収集を行い、その時点で最も優れた 3-18 ● ● ● ● 手法を導入すべきであると考える。 さらに広範囲の検出器の開発が望まれる。 汎用 CT 装置を目標とするならば、撮像領域の Z 軸方向の延長と検出器の改良によ るコントラスト分解能向上が不可欠である。 X 線検出器の方式は、現時点で一番好ましいものを選択しているが、実用化までに この分野も様変わりする可能性は否定できない。実用化する頃に、当該検出器が 陳腐化していることのないように、技術の向上および十分なウォッチを続けて欲 しい。 4D-CT は被曝の程度が心配。体軸方向に視野を広げ、1 スキャンを高速に行う機器 という方向もありうる。 <その他の意見> 高速データ取得も、大視野検出器もコストとの兼ね合いでの実用機の量的な普及 は決まる。 使用される場によってニーズに違いがあるので、つねに最高のコストパフォーマン スが得られるように、異なる要求に応じられるモデルを用意することが望ましい。 3-19 第4章 評点法による評価結果 第4章 評点法による評点結果 1. 経緯 (1)評点法の試行 通商産業省(当時)において、平成 11 年度に実施されたプロジェクトの評 価(39 件)を対象に、評点法を試行的に実施した。その結果を産業技術審議 会評価部会に諮ったところ、以下の判断がなされた。 数値の提示は評価結果の全体的傾向の把握に有効 評価者が異なっていてもプロジェクト間の相対的評価がある程度可能 (2)評点法の実施 平成 12 年 5 月の通商産業省技術評価指針改訂にて「必要に応じ、評点法の 活用による評価の定量化を行うこととする」旨規定された。 以降、プロジェクトの中間・事後評価において、定性的な評価に加え各評 価委員の概括的な判断に基づく評点法が実施されており、NEDO においても 平成 13 年度のプロジェクト評価開始以来、評点法を実施してきた。(当初は 1,3,5 の3段階評価) 2.評点法の目的 評価結果を分かりやすく提示すること プロジェクト間の相対評価がある程度可能となるようにすること 3.評点の利用 評価報告書を取りまとめる際の議論の参考 評価報告書を補足する資料 分野別評価、制度評価の実施において活用 4.評点方法 (1)の付け方 各評価項目について4段階(A、B、C、D)で評価する。 (2)点法実施のタイミング 第 1 回分科会において、各委員へ評価コメント票とともに上記(1)の点数の 記入を依頼する。 評価報告書(案)を審議する前に、評点結果を委員に提示、議論の際の参 考に供する。 上記審議を行った分科会終了後、当該分科会での議論等を踏まえた評点の 修正を依頼する。 評価報告書(案)の確定に合わせて、評点の確定を行う。 4-1 (3)評点結果の開示 評点法による評点結果を開示するが、個々の委員記入の結果(素点)につ いては、「参考」として公表(匿名)する。 評点法による評価結果の開示については、あくまでも補助的な評価である ことを踏まえ、評点のみが一人歩きすることのないように慎重に対応する。 具体的には、図表による結果の掲示等、評価の全体的な傾向がわかるよう な形式をとることとする。 4-2 5.評点結果 2.7 1.事業の目的・政策的位置付け 2.1 2.研究開発マネジメント 2.4 3.研究開発成果 2.0 4.実用化・事業化の見通し 0.0 1.0 評価項目 2.0 3.0 平均値 素点(注) 1.事業の目的・政策的位置付けについて 2.7 A A A A B A B 2.研究開発マネジメントについて 2.1 B A B B B B B 3.研究開発成果について 2.4 B A A A B B B 4.実用化・事業化の見通しについて 2.0 B B B A B C B (注)A=3,B=2,C=1,D=0として事務局が数値に換算。 4-3 <参考> 評点法による評価シート 【記入方法、結果取扱いについて】 ・各委員からは、各項目について、A、B、C、Dのいずれかを記入してく ださい。 ・各委員記入の結果(素点)は、「参考」として公表(匿名)いたします。 (1)事業の目的・政策的位置付けについて <判定基準> ・非常に重要 →A ・重要 →B ・概ね妥当 →C ・妥当性がない又は失われた →D (2)研究開発マネジメントについて <判定基準> ・非常によい ・よい ・概ね適切 ・適切とはいえない (3)研究開発成果について <判定基準> ・非常によい ・よい ・概ね妥当 ・妥当とはいえない (4)実用化、事業化の見通しについて <判定基準> ・明確に実現可能なプランあり ・実現可能なプランあり ・概ね実現可能なプランあり ・見通しが不明 A B C D A B C D A B C D A B C D →A →B →C →D →A →B →C →D →A →B →C →D 4-4 参考資料1 プロジェクトの概要説明資料 本資料は、第1回「高速コーンビーム3次元X線CT」 (事後評価)分科会において、プロジェ クト実施者がプロジェクトの概要を説明する際に使用したものである。 高速コーンビーム三次元X線CT 事後評価 事業の概要 国の関与の必要性・制度への適合性 2002年9月5日 健康福祉技術開発室 事業の概要 期間・・・・H10∼H13年度 内容・ ・ ・ ・ 胸部・腹部等広い領域や、心臓・ 肺など 動きのある臓器の鮮明な三次元画像を、 短時間で撮影可能とするシステムを開発 する。 委託先・・医療福祉機器研究所 (分担先) ソニー㈱、㈱東芝 (再委託先) 東京慈恵会医科大学 東京女子医科大学 徳島大学 参考資料1-1 装置の概要 3次元画像処理システム X線源 センサー 大視野X線検出システム 再構成 3次元データ再構成システム 事業の背景、目的及び必要性 ◆社会的背景 悪性新生物や脳血管障害による死亡が増大して いる。 より高度で経済的な診断装置の開発が望まれて いる。 参考資料1-2 事業の背景、目的及び必要性 ◆技術的背景 現在使用されている画像診断装置であるX線CT によれば比較的容易に断層像を得ることが出来 るが、胸部などの広い領域を対象とする場合、検 査に長時間を要する。 ・撮影に約2∼5分を要する ・体軸方向の分解能が悪い 事業の背景、目的及び必要性 ◆目的 これまでのコーンビームX線CT (撮像時間12秒、ダイナミックレンジ10bit) 高性能化 三次元画像診断技術を確立、普及 新しい診断方法を確立することにより、 産業、医療における技術革新を加速 参考資料1-3 事業の背景、目的及び必要性 高速コーンビームX線CT ◆必要性 ・高速撮影(1秒程度) ・再構成が数分以内 ・等方性の分解能 三次元診断の発展 には検査時間や解 像度などの問題が 未解決 ・高い濃度分解能 従来技術の延長では 不可能 従来のヘリカル X線CT 事業の背景、目的及び必要性 ◆必要性 ・開発リスク 必要な要素技術開発の不確実性 これまでにない画像診断の市場の予測が困難 市場の不完全性 単独の民間企業による独自の開発投資が困難 参考資料1-4 事業の背景、目的及び必要性 ◆必要性 ・臨床研究の必要性 現在、三次元画像による診断法が確立してお らず、臨床医学サイドの協力が必要条件であ る。 ・共同研究の必要性 企業・大学・国立研究所など、各々の特徴を 生かした共同研究が必要である。 医療福祉機器技術研究開発制度 【背景】 少子高齢化社会の到来に伴ない癌・心 臓病などの成人病への対応、寝たきり の人への介護の充実、介護者の負担軽 減、社会参加への支援など緊急に対応 を迫られている問題が山積している。 参考資料1-5 医療福祉機器技術研究開発制度 【制度が目指すこと】 これら諸問題に対応するため、最先端 の産業技術を活用し、安全性、利便性 に優れ、かつ、低価格で高性能な医療 福祉技術の実現を目的とした研究開発 に取り組んでいく。 制度への適合性 本研究開発は、胸部・腹部等広い領域や、 心臓・肺など動きのある臓器の鮮明な三 次元画像を、短時間で撮影可能とするシス テムを開発し、もってより高度で経済的 かつ低侵襲な三次元画像診断技術の普 及、確立を目的としており、医療福祉 機器技術研究開発制度に適合したもので ある。 参考資料1-6 参考資料2 本資料は、第1回「高速コーンビーム3次元X線CT」 (事後評価)分科会において、評価の事 務局である新エネルギー・産業技術総合開発機構技術評価部から、株式会社テクノリサーチ研究 所へ関連技術の周辺動向調査を依頼したものである。 高速コーンビーム3次元X 高速コーンビーム3次元X線CT 周辺動向調査 平成14年9月 株式会社テクノリサーチ研究所 1 目 次 1.医用画像診断装置の概要 2.X線CT装置 CT装置 医療用具の国内生産金額の内訳 X線CT装置の歴史 医療用具の生産・出荷・輸出・輸入の推移 多断面スキャンの高速化の歴史 X線CT装置の原理 画像診断機器の輸出入構造 主要画像診断装置の生産額の推移 医用X線CT装置の輸出額・輸入額の推移 超音波画像診断装置の輸出額・輸入額の推移 全国メーカ別X線CT稼働台数 全国メーカ別X線CT設置台数累計 X線CT装置の単価 マルチスライスCTの現状 磁気共鳴画像診断装置の輸出額・輸入額の推移 3.国内外の主な関連研究の動向 医用画像診断装置の発展の経緯 プロジェクト線図 医用画像診断装置の特徴比較 日本放射線技術学会での発表テーマ例 海外の動向 NIHにおけるコーンビームCT関連の研究 EUにおけるCT関連研究 X線診断装置 その他の画像診断装置 4.関連特許・文献の推移 国内の特許出願件数の推移 米国・欧州の特許出願件数の推移 文献数の推移 2 参考資料2-1-1 医療用具の国内生産金額の内訳 14,863 医療用具の国内生産金額 2,776 画像診断システム 医用X線CT装置 647 0 5,000 10,000 15,000 (億円) 歯科用機器 2.3% 施設用機器 1.9% 治療用又は 手術用機器 4% 医用検体検査機器 5.9% 鋼製器具 衛生材料及び 0.6% 衛生用品 0.3% 画像診断システム 18.7% 眼科用品及び 関連製品 6.1% 処理用機器 14.0% 歯科材料 6.2% 画像診断用X線関連 装置及び用具 7.5% 家庭用治療機器 9.4% 生体現象計測・監視 システム 10.9% 生体機能補助・ 代行機器 12.4% 資料)薬事工業生産動態統計年報 平成12年 3 医療用具の生産・出荷・輸出・輸入の推移 25,000 20,000 億円 15,000 10,000 5,000 0 1989年 1990年 1991年 1992年 1993年 生産 1994年 1995年 1996年 1997年 1998年 1999年 2000年 輸入 輸出 国内出荷 資料)薬事工業生産動態統計年報 4 参考資料2-1-2 画像診断機器の輸出入構造 0.80 超音波画像診断装置 0.70 輸 出 / ( 国 内 出 荷 + 輸 入 ) 0.60 0.50 医用X線CT装置 0.40 画像診断用装置全体 0.30 磁気共鳴画像診断装置 0.20 診断用X線装置 医療用具・装置全体 0.10 0 0.05 0.10 0.15 0.20 0.25 0.30 0.40 0.35 0.45 輸入/(国内出荷+輸入) 資料)薬事工業生産導体統計年報 5 主要画像診断装置の生産額の推移 (100万円) 100,000 90,000 80,000 70,000 60,000 50,000 40,000 30,000 20,000 10,000 0 1984年 1986年 1988年 医用X線CT装置 1990年 1992年 1994年 超音波画像診断装置 1996年 1998年 2000年 磁気共鳴画像診断装置 資料)薬事工業生産導体統計年報 6 参考資料2-1-3 医用X 医用X線CT装置の輸出額・輸入額の推移 CT装置の輸出額・輸入額の推移 (100万円) 100,000 90,000 80,000 70,000 60,000 50,000 40,000 30,000 20,000 10,000 0 1984年 1986年 1988年 1990年 生産額 1992年 1994年 輸入額 1996年 1998年 2000年 輸出額 資料)薬事工業生産導体統計年報 7 超音波画像診断装置の輸出額・輸入額の推移 (100万円) 100,000 90,000 80,000 70,000 60,000 50,000 40,000 30,000 20,000 10,000 0 1984年 1986年 1988年 1990年 生産額 1992年 1994年 輸入額 1996年 1998年 2000年 輸出額 資料)薬事工業生産導体統計年報 8 参考資料2-1-4 磁気共鳴画像診断装置の輸出額・輸入額の推移 (100万円) 50,000 45,000 40,000 35,000 30,000 25,000 20,000 15,000 10,000 5,000 0 1984年 1986年 1988年 1990年 生産額 1992年 1994年 輸入額 1996年 1998年 2000年 輸出額 資料)薬事工業生産導体統計年報 9 医用画像診断装置の発展の経緯 ! IT技術の進歩等 ⇒ 医用画像診断装置の発展 IT技術の進歩等 ⇒ 医用画像診断装置の発展 1960年前後 ガンマカメラ、超音波診断装置 1965年頃 サーモグラフィー 1970年代前半 CT 1980年代 MRI、デジタルラジオグラフィー(DR) ! 医用機器は工業機器の応用で発展 (CT等は逆に工業機器へ影響) ! 万能の装置はなく、それぞれ補完しあって使われている 10 参考資料2-1-5 医用画像診断装置の特徴比較 線 種 装 置 画像の種類 使用薬剤 得られる情報 エネルギーによる 侵襲 X線CT 断層像 造影剤 形態 在来X線 投影像 不要 形態 デジタルラジオグラフィ (DR) 投影像 造影剤 形態 ガンマカメラ RI分布像 標識薬剤 形態機能 ECT(SPECT、PET) 断層像 標識薬剤 形態機能 エコーBモード装置 断層像 不要 形態 カラーフローマッピング 血流断層像 不要 形態機能 磁気・電磁波 MRI 断層像 造影剤 形態機能 無(ペースメー カーなど不可) 赤外線 サーモグラフィー 表面像 不要 温度分布 無 X 線 γ 線(RI) 放射線被曝 放射線被曝 超音波 無 (高出力を除く) 資料)(社)日本電子機械工業会編、改訂ME機器ハンドブック 11 X線診断装置 X線診断装置には、① X線CT装置(後で詳しく説明) ② 在来のX線診断装置 ③ デジタルラジオグラフィー(DR) ④ 骨塩量測定装置 在来のX 在来のX線診断装置 デジタルラジオグラフィー 骨塩量測定装置 ・一般診断用 X線投影像をデジタル演算処 理し、映像の必要部分だけを 強調したりする装置 人体の骨中に含まれるカルシ ウムなどのミネラル成分(骨塩) を非侵襲的に測定する装置 患者に造影剤を注入せず単 純な撮影を行うシステムで、 胸腹部、骨格の診断に用いる ・消化器診断用 陽性造影剤と陰性造影剤を同 時に用いる二重造影法が一 般的で、消化管の診断を行う ・循環器診断用 血管内に挿入したカテーテル から造影剤を注入して血管の 走行状態や血管壁の形態を 抽出する 12 参考資料2-1-6 その他の画像診断装置 ・超音波画像診断装置 生体を透過した超音波の減衰特性 を利用する透過法で、非侵襲的で リアルタイムで断層画像が表示でき る特徴がある ・MRイメージング装置( イメージング装置(MRI) MRI) MRイメージング装置( 核磁気共鳴現象 を応用した断層 撮影装置 ・ ラジオアイソトープ( ラジオアイソトープ(RI)画像診断装置 RI)画像診断装置 ガンマカメラ:被検体に投与された ガンマカメラ: 放射性核種から放出されるγ線を2 次元的に検出し、体内の放射線核 種の分布を作成する装置 ECT: ECT:生体内のRI医薬品の分布を 断層像として描出する装置 ・サーモグラフィー(赤外線診断装置) 対象物から放射された赤外線を2次元に 走査し、レンズによって集光し、検出器 の上で決像した上で電気信号に変換し て温度分布 画像を表示 する装置 13 X線CT装置の歴史 CT装置の歴史 年 内 容 1972年 X線CT装置が英国放射線学会で CT装置が英国放射線学会でG. Hounsfield博士によって発表 装置が英国放射線学会でG. Hounsfield博士によって発表 1973年 EMIより世界初の商品化(スキャン時間 EMIより世界初の商品化(スキャン時間4 より世界初の商品化(スキャン時間4分で頭部専用) 1975年 春 秋 EMIスキャナがわが国で初めて設置 東京女子医大にEMI スキャナがわが国で初めて設置 EMI 東京女子医大に 名古屋保健衛生大学(現藤田保健衛生大学)に国産1号機(日立メディコ)導入 1970年 台後半 Mayo Clinic の Ritman ら が コ ー ン ビ ー ム CT の 先 駆 的 研 究 で あ る DSR(Dynamic Spatial Reconstructor)を実施 1978年 全身用CTを発売(東芝) 1985年 スリップリングを搭載した高速連続回転方式のCT スリップリングを搭載した高速連続回転方式のCTを開発(東芝) CTを開発(東芝) 1988年 現在主流のセラミック検出器を発表(GE) 1989年 ヘリカルCT ヘリカルCT(患者に対して CT(患者に対してX (患者に対してX線管球がらせん状の軌道を描く)を開発(東芝) 1993年 リアルタイムCTを開発(東芝) 1995年 16列のマルチスライス検出器を完成(GE) 1998年 CT( MDCT)を開発( GE、シーメンス) 4列のマルチスライスCT (MDCT )を開発(GE 、シーメンス) CT 4列のマルチスライス )を開発(GE 大視野3次元X 大視野3次元X線CT(コーンビーム)を開発(ソニー) CT(コーンビーム)を開発(ソニー) 2000年 RSNA(北米放射線学会)で RSNA(北米放射線学会)で256 (北米放射線学会)で256スライス検出器を発表(東芝) 256スライス検出器を発表(東芝) 2001年 RSNAで16スライスCTを発表(シーメンス、フィリップス)、 256スライス スライス4D 256 4D画像を発表(東芝) スライス4D画像を発表(東芝) 2002年 4月 4月 歯・顎顔面用コーンビームCT 歯・顎顔面用コーンビームCTを発売(日立メディコ) CTを発売(日立メディコ) 日本医学放射線学会にて高速コーンビーム3次元X線CTの開発を発表(渡辺ら) 資料)放医研ニュースNo.64 14 参考資料2-1-7 多断面スキャンの高速化の歴史 1,000 (秒) 100 高速スリップ リングCT 10 ヘリカルスキャン マルチスライス 1975年 1980年 1985年 1990年 1995年 2000年 資料)CT開発の方向性 医療上の意義を主題に技術時開発を推進 東芝、新医療2001年11月号をもとに作成 注)縦軸は腹部15断面をスキャンする時間を示す 15 X線CT装置の原理 CT装置の原理 原理 +1000 「2次元あるいは3次元の物体は、 その投影データの無限集合から一 意的に再生できる」という「ラド ンの画像再構成則」 +200 +100 X線が被写体を透過する性質を利 用し、多方面からX線を照射し、 被写体の反対側に対向配置させた 検出器で投影データを測定し、断 面像に画像再構成 0 -100 凝固血液 灰白質(脳) 白質(脳) 血液 水 (40~60) (35) (25) (10) 脂肪 (-100) -200 各組織のX線吸収率の違いを基に、 水を0、空気を−1000、骨を1000 として人体の各組織、臓器をCT値 で表現 CT値(HU) -1000 16 参考資料2-1-8 全国メーカ別X 全国メーカ別X線CT稼働台数 CT稼働台数 メディテック 0.3% シーメンス 2.7% フィリップス 0.1% 島津 7.2% 東芝メディカル GE横河メディカル 日立メディコ 島津製作所 シーメンス旭メディテック メディテック フィリップスメディカル 計 4,596 3,311 2,314 817 313 31 7 11,389 日立 20.3% 東芝 40.4% GE 29.1% 資料)月刊新医療2001.10(2001.8現在) 17 全国メーカ別X 全国メーカ別X線CT設置台数累計 CT設置台数累計 シーメンス旭メ ディテック 2.4% 東芝メディカル GE横河メディカル 日立メディコ 島津製作所 シーメンス旭メディテック メディテック フィリップスメディカル 計 8,078 4,647 3,825 1,957 455 33 7 19,002 メディテック 0.2% フィリップスメ ディカル 0.04% 島津製作所 10.3% 日立メディコ 20.1% 東芝メディカル 42.5% GE横河メディカ ル 24.5% 資料)月刊新医療2001.10(2001.8現在) 18 参考資料2-1-9 X線CT装置の単価 CT装置の単価 2000年 2000年9月から2001年8月 国内出荷額 約462億円 輸入額 約87億円 合計 約549億円 (薬事工業生産動態統計年報:平成12年) 1,215台 国内設置台数 (月刊新医療2001.10) 平均単価 約4,520万円 !X線CT装置の価格は性能によって大きな開きがあり、 2000万円∼10億円弱である。 19 マルチスライスCT マルチスライスCTの現状 CTの現状 マルチスライスCTの登場によって、高分解能スキャンが容易に施行され、従 来不可能であった広範囲・高分解能のヘリカルボリュームデータを収集できる ようになった。 マルチスライスCT マルチスライスCTによる CTによる3 による3次元画像の臨床上の有用性 ・目的部位(臓器)を立体的な画像として把握できる ・観察に不必要なものを画像から除去し目的部位のみを観察できる ・必要に応じて観察視野を変えることで外科的手術シミュレーショ ンに対応できる ・数種類の部位を抽出しパーツとして扱い臓器間の関係を分かりや すく表示できる 20 参考資料2-1-10 プロジェクト線図 1970 1975 1980 1985 1990 1995 2000 2005 シングルスライスCT スリップリング ヘリカルCT 国 内 マルチスライスCT 放射線医学 総合研究所 NEDO 97 93 科学技術振興事業団委託開発制度 03 大視野3次元X線CT装置 (放医研・ソニー) (臨床的研究) 00 04 高度画像診断技術の研究開発「4次元CT装置」 (放医研・東芝) 01 03 平成13年度産業技術実用化開発費助成金 リアルタイム4Dイメージングシステムの開発 (東芝) 03 99 文部科学省 未来開拓学術研究推進事業 外科領域を中心とするロボティックスシステムの開発 (阪大・田村教授) 02 日立メディコ歯・顎顔面用コーンビームX線CT 発売 NIHのファンドを受けた研究 米 国 FPDコーンビームCT他 フレームワークプログラム等 E U 3DCTや被曝量低減等の研究 21 日本放射線技術学会での発表テーマ例 最近の日本放射線技術学会でのCT関連発表テーマをみると、マルチスライスCT関連 がその中心となっている。低コントラスト識別能やアーチファクトに関する検討、被 曝線量の測定や低減方法に関する検討などが行われている。 テーマ 発表者 MSCTにおける画像特性の基礎的検討 北海道大学医学部付属病院放射線部 山下道明他 マルチスライスCTにおけるX線管球焦点サイズが及ぼ 広島大学医学部付属病院放射線部 穐山雄次他、 す影響について 広島大学歯学部付属病院放射線部 相田雅道他、 呉共済病院放射線部 山口功 機種間のCT値差と低コントラスト識別能の研究 奈良県立医科大学付属病院中央放射線部 和田直樹他 マルチスライスCTによるアーチファクトの基礎的検討 国立がんセンター東病院放射線部 石原敏裕他 −第2報 腹部CTにおけるUS断面CT画像の有用性 虎の門病院放射線部 渋谷清和他 MDCTにおけるガントリ傾斜がMPR画像に及ぼす影響 兵庫医科大学病院中央放射線部 名定敏也他 MPR画像におけるlow contrast sensitivityの検討 総合病院中津川市民病院放射線技術科 加藤秀記他 胸部CT(肺野条件)における最大値投影法の有用性 三田市民病院放射線科 西村信也他 マルチスライスCTにおける被曝線量測定 岡山大学医学部付属病院中央放射線部 赤木憲明他 CT透視における被曝線量の軽減について 群馬大学医学部付属病院放射線部 松村直樹他 被曝線量におけるdual slice CTの有用性 東海大学医学部付属病院 成田紗織他 Multi slice-row CT(MSCT) の 被 曝 低 減 ソ フ ト (Care 東京慈恵会医科大学付属病院放射線部 吉野美津子他、 Dose)を用いた臨床評価について シーメンス旭メディテック㈱ 小松加奈子 資料)日本放射線技術学会雑誌 第29回秋季学術大会一般研究発表予稿集2001.9 22 参考資料2-1-11 海外の動向 SPIE(International Society for Optical Engineering)のウエブサ イトでコー ンビー ムCTに関連する文献を検索した結果、FPD (Flat-panel detector)を使用したコーンビームCTや、再構成法 やノイズ対策に関するものが多く報告されている。 米国においては、NIHにおいてFPDコーンビームCT等の研究が実 施されている。 欧州においてはEUのフレームワークプログラムにおいて、CT 関連研究が実施されているが、コーンビームに関する目立った 研究はない。 23 NIHにおけるコーンビーム NIHにおけるコーンビームCT におけるコーンビームCT関連の研究 CT関連の研究 タイトル 期間 Application of Breast Imaging Techn to 1996-2004 Molecular Imaging 実施者 University of Virginia Charlottesville 3D Low Contrast Resolution Phantom for 2001-2002 BIOMEC, INC. 2001-2004 University of Sussex 2001-2004 University of Rochester 2001-2005 William Beaumont Hospital 2002-2003 Duke University CT Flat Panel Panel Detector based Cone Cone Beam Beam V olume CT Flat Panel Panel Detector Detector based Cone Cone Beam Beam V olume CT Flat Panel Panel Cone Cone Beam Beam CT for Image Guided Radiotherapy Update of Duke Research SPECT System 24 参考資料2-1-12 EUにおける EUにおけるCT におけるCT関連研究 CT関連研究 タイトル Dose reduction tomography and 期間 quality criteria in 実施者 Aarhus Kommunehospital computed 1991-1992 Quality assurance parameters and image quality criteria for computed tomography in adult and paediatric radiology 1992-1995 Automatic Procedure to Manufacture Individual ImplantsCustom Made Prosthesis-Operation Stencils Based on Computed Tomography Data 1996-1998 CIP Konstruktion GmbH & Co KG (ドイツ)他 Research and Development of Advanced 3D X-Ray Tomography (theory, algorithms, software, concept of application) using Maximum-Entropy Method and Statistical Approach to a Priori Knowledge Consideration 1997-2000 Federal Institute for Materials Research and Testing BAM Improved photocathodes using absorbing cone topology 1998-1999 University of Sussex(英国) Real Time Motion Compensated Reconstruction and Visualisation for Dynamic Computed Tomography 2000-2002 Sema Group, S.a.e. ( ス ペ イ ン ) 、 Philips Semiconductors(ドイツ)他 Computed tomography - techniques, image quality and patient dose 2000-2003 Universiteit Leiden(オランダ)他 (デンマーク)他 Aarhus Kommunehospital (デンマーク)他 (ドイツ)他 25 国内の特許出願件数の推移 300 X線CT 250 200 出 願 件 150 数 100 50 0 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 1997 1998 1999 2000 出願年 14 コーンビームX コーンビームX線CT 12 10 出 願 8 件 6 数 4 2 0 1991 1992 1993 1994 1995 1996 出願年 26 参考資料2-1-13 米国・欧州の特許出願件数の推移 140 X線CT 120 100 出 80 願 件 数 60 米国 欧州 40 20 0 1991 コーンビームX コーンビームX線CT 1992 1993 1994 1995 1996 1997 出願年 1998 1999 2000 7 6 5 出 4 願 件 3 数 米国 欧州 2 1 0 1991 1992 1993 1994 1995 1996 出願年 1997 1998 1999 2000 27 文献数の推移 20 1000 国内 800 600 10 400 X線CT件数 コーンビーム X線CT 15 コーンビーム件数 JOIS 5 200 0 0 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 200 米国 DIALOG コーンビーム X線CT 文献数 (INSPEC) 150 100 50 0 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 年次 参考資料2-1-14 28 高速コーンビーム3次元 X 線 CT 周辺動向調査 平成 14 年9月 株式会社テクノリサーチ研究所 目 次 1. 医用画像診断装置の概要 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 参考資料 2-2-1 1.1 X 線診断装置 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 参考資料 2-2-8 1.2 超音波画像診断装置 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 参考資料 2-2-11 1.3 ラジオアイソトープ(RI)画像診断装置 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 参考資料 2-2-12 1.4 MR イメージング装置(MRI:磁気共鳴断層撮影装置) ・・・・・・・・・・ 参考資料 2-2-13 1.5 サーモグラフィー(赤外線画像診断装置) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 参考資料 2-2-13 1.6 その他 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 参考資料 2-2-14 2. X 線 CT 装置 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 参考資料 2-2-15 2.1 X 線 CT 装置の歴史 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 参考資料 2-2-15 2.2 X 線 CT 装置の原理 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 参考資料 2-2-18 2.3 全国メーカ別稼働台数と設置台数累計 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 参考資料 2-2-19 2.4 マルチスライス CT の現状 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 参考資料 2-2-21 2.5 超高速 X 線 CT(電子ビーム方式) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 参考資料 2-2-23 3. 国内外の主な関連研究の動向 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 参考資料 2-2-24 3.1 国内 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 参考資料 2-2-25 3.2 海外 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 参考資料 2-2-29 4. 関連特許・文献の推移 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 参考資料 2-2-32 4.1 関連特許の推移 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 参考資料 2-2-32 4.2 関連文献の推移 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 参考資料 2-2-35 付帯資料1 コーンビーム型 X 線 CT 撮影装置・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 参考資料 2-2-37 付帯資料2 欧米特許タイトル語 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 参考資料 2-2-47 付帯資料3 参考文献 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 参考資料 2-2-65 1. 医用画像診断装置の概要 2000 年におけるわが国の医療用具の国内生産金額は 1 兆 4,863 億円であった(薬事工業 生産動態統計年報:平成 12 年)。 国内生産金額における画像診断システムの構成比は 18.7%で 2,776 億円となっている。 その内、医用 X 線 CT 装置は 647 億円で画像診断システム国内生産金額の 23%を占める。 図表 1 医療用具の国内生産金額の内訳 分 類 生産金額 構成比 画像診断システム 277,637,813 18.7% 処理用機器 207,546,755 14.0% 生体現象計測・監視システム 161,275,794 10.9% 生体機能補助・代行機器 183,717,460 12.4% 家庭用治療機器 139,706,704 9.4% 画像診断用X線関連装置及び用具 111,031,314 7.5% 歯科材料 92,738,987 6.2% 眼科用品及び関連製品 90,262,899 6.1% 医用検体検査機器 88,409,822 5.9% 治療用又は手術用機器 59,296,880 4.0% 歯科用機器 33,647,751 2.3% 施設用機器 28,382,764 1.9% 鋼製器具 8,370,891 0.6% 衛生材料及び衛生用品 4,240,028 0.3% 1,486,265,862 100.0% 総数 歯科用機器 2.3% 施設用機器 1.9% 治療用又は 手術用機器 4% 医用検体検査機器 5.9% 鋼製器具 衛生材料及び 0.6% 衛生用品 0.3% 画像診断システム 18.7% 眼科用品及び 関連製品 6.1% 処理用機器 14.0% 歯科材料 6.2% 画像診断用X線関連 装置及び用具 7.5% 家庭用治療機器 9.4% 生体現象計測・監視 システム 10.9% 生体機能補助・ 代行機器 12.4% 資料)薬事工業生産動態統計年報:平成 12 年 参考資料 2-2-1 1989 年以降 2000 年までの医療用具の生産・出荷・輸出・輸入の推移をみると、生産、 国内出荷、輸入は近年頭打ち傾向を示しているものの増加傾向を示し、輸出はほぼ横ばい である。 最近 10 年間は、輸入が輸出を上回る入超の傾向を示している。 図表 2 医療用具の生産・出荷・輸出・輸入の推移 25,000 20,000 億円 15,000 10,000 5,000 0 1989年 1990年 1991年 1992年 1993年 生産 1994年 1995年 1996年 1997年 1998年 1999年 2000年 輸入 輸出 資料)薬事工業生産動態統計年報 参考資料 2-2-2 国内出荷 医療用具・装置全体の輸出入構造は、前述のように入超となっているが、画像診断装置 全体ではやや出超となっている。 代表的な画像診断装置の輸出入構造をみると、医用 X 線 CT 装置は出超で、超音波画像 診断装置はさらに出超の傾向が強い。 一方、診断用 X 線装置は輸出入がバランスしており、磁気共鳴画像診断装置は入超の傾 向が強い。 図表 3 画像診断機器の輸出入構造 0.80 超音波画像診断装置 0.70 ︵ 輸 0.60 出 / 0.50 国 内 出 0.40 荷 + 輸 0.30 入 医用X線CT装置 画像診断用装置全体 ︶ 磁気共鳴画像診断装置 0.20 診断用X線装置 医療用具・装置全体 0.10 0 0.05 0.10 0.15 0.20 0.25 0.30 輸入/( 国内出荷+輸入) 資料)薬事工業生産動態統計年報をもとに作成 参考資料 2-2-3 0.35 0.40 0.45 図表 4 主要画像診断装置の生産額の推移 (100万円) 100,000 90,000 80,000 70,000 60,000 50,000 40,000 30,000 20,000 10,000 0 1984年 1986年 1988年 医用X線CT装置 1990年 1992年 1994年 超音波画像診断装置 1996年 1998年 2000年 磁気共鳴画像診断装置 資料)薬事工業生産動態統計年報 図表 5 医用 X 線 CT 装置の輸出額・輸入額の推移 (100万円) 100,000 90,000 80,000 70,000 60,000 50,000 40,000 30,000 20,000 10,000 0 1984年 1986年 1988年 1990年 生産額 1992年 1994年 輸入額 資料)薬事工業生産動態統計年報 参考資料 2-2-4 1996年 輸出額 1998年 2000年 図表 6 超音波画像診断装置の輸出額・輸入額の推移 (100万円) 100,000 90,000 80,000 70,000 60,000 50,000 40,000 30,000 20,000 10,000 0 1984年 1986年 1988年 1990年 生産額 1992年 1994年 輸入額 1996年 1998年 2000年 輸出額 資料)薬事工業生産動態統計年報 図表 7 磁気共鳴画像診断装置の輸出額・輸入額の推移 (100万円) 50,000 45,000 40,000 35,000 30,000 25,000 20,000 15,000 10,000 5,000 0 1984年 1986年 1988年 1990年 生産額 1992年 輸入額 1994年 1996年 輸出額 資料)薬事工業生産動態統計年報をもとに作成 参考資料 2-2-5 1998年 2000年 現在、医用画像診断装置に使われている線種は、X 線、γ線、超音波、磁気、電磁波、赤 外線である。 医用画像診断装置は 1960 年代に入って急激な発展を見た。これは、エレクトロニクス技 術、特に IC 技術の進歩に負うところが大きい。IC 技術はセンサにも大きな影響を与え、 更にコンピュータを飛躍的に発展させ、画像処理技術などの新技術が生まれた。これらが 相まって画像検査装置の進歩をもたらした。 医用機器は、工業機器の医用への応用という形がとられて発展してきたが、医用ニーズ が高まって開発が行われた結果、逆に工業機器に影響を与えるようなものも現れるように なった。X 線コンピュータ断層撮影装置(CT:Computed Tomography)などはその一例 である。 医用画像診断装置の進歩を年代的に眺めると、1960 年前後には、生体に投与されたラジ オアイソトープ(RI)から放出されるγ線を検出し、電子的に信号処理して臓器や機能を 画像とするガンマカメラや、超音波エコー法により無侵襲で生体内断層像が得られる超音 波診断装置が相次いで商品化された。1965 年頃には、人体が放射する赤外線を検出して体 表面の温度分布を描くサーモグラフィーが開発された。 1970 年代前半には、コンピュータ技術を駆使して断層像を描出した CT が実用化された。 この方式の成功に影響されて、超音波や電磁波など色々な線種を用いて様々な CT が研究さ れたが、実用化されたのは核磁気共鳴を利用した MR イメージング装置(MRI)であり、 1980 年代に商品化された。更に、近年、光を利用したものが研究されている。 同じく 1980 年代に、X 線投影像をデジタル演算処理し、映像の必要部分だけを強調した りするデジタルラジオグラフィー(DR)が開発された。 このように医用画像診断装置は様々なものが開発されてきたが、万能の装置というもの はなく、それぞれが補完しあって使われている。例えば、MRI は自由な断層方向の画像構 築が可能であるが、骨組織に対する情報は全く得られず、磁化率効果の故に肺や消化管の ような含気性臓器に対しては十分な情報が得られないため、CT が重要な役割を果たしてい る。 医用画像診断装置は大きく 2 種類に分けることができる。一つは、X 線装置のように、 外部からある線種を照射し、それが体内を透過した、あるいは表皮や体内で反射したデー タを用いて画像を構築している。もう一つは、体内から発生する信号をセンサで捕らえて 画像処理することによって画像を得ているものがある(サーモグラフィーなど)。 新しい機器として期待が持たれているものに、脳磁・心磁を計測する SQUID(超伝導量 子干渉計)応用装置がある。また、検査だけでなく治療用としても使えるように装置を多 目的化していく傾向が見られる。 参考資料 2-2-6 図表 8 線 種 置 エネルギーによる 画像の種類 使用薬剤 得られる情報 X 線 CT 断層像 造影剤 形態 在来 X 線 投影像 不要 形態 投影像 造影剤 形態 ガンマカメラ RI 分布像 標識薬剤 形態機能 ECT(SPECT、PET) 断層像 標識薬剤 形態機能 エコーB モード装置 断層像 不要 形態 無 カラーフローマッピング 血流断層像 不要 形態機能 (高出力を除く) 磁気・電磁波 MRI 断層像 造影剤 形態機能 赤外線 サーモグラフィー 表面像 不要 温度分布 X 線 装 医用画像診断装置の特徴比較 デジタルラジオグラフィ 侵襲 放射線被曝 ー(DR) γ 線(RI) 超音波 放射線被曝 無(ペースメーカ ーなど不可) 無 資料)(社)日本電子機械工業会編、改訂 ME 機器ハンドブック 用語) R I:ラジオアイソトープ デジタルラジオグラフィー(DR:digital radiography):X 線映像をデジタル化した装置 ECT:emission computed tomograph:生体内の RI 医薬品の分布を断層像として描出する装置 SPECT:シングルフォトン ECT PET:ポジトロン ECT エコーB モード装置:反射超音波(エコー)の振幅を輝度に変えて測定する装置 カラーフローマッピング:2次元断層上で血流をリアルタイムに描出する演算部 MRI:核磁気共鳴を応用した断層撮影装置 サーモグラフィー:物体から放出される赤外線エネルギーを検知し温度分布を測定する装置 形態機能:形態的な病態診断にとどまらず機能面から種々の異常を解析できること。例えば、PET 検査では CT や MRI 検査のように断層画像を形態で捉えるのではなく、ポジトロンという陽電子 を放出する薬剤を投与することによって画像化する装置で、投与されたポジトロンが体の中を移動 する状態を PET カメラでスキャンするため、形態機能的な情報となる。 参考資料 2-2-7 1.1 X 線診断装置 X 線診断装置は X 線を利用して体内の透過陰影線を得る画像診断装置であり、その歴史 は、1985 年のレントゲンによる X 線発見の直後から、その利用が医用分野で始まったこと に端を発する。 体内を透過した X 線像を可視化する手段は、大きく分けて、撮影( radiography)と透視 (fluoroscopy)の 2 つの方法がある。 前者は X 線像をフィルムに写しこむ方法であり、空間分解能と鮮鋭度に優れる画像が得 られるが、現像が必要なため即時性に欠ける。 一方後者は、イメージインテンシファイア(I.I.)と呼ばれる光電子増倍管でとらえた X 線像をテレビカメラで写してモニタに表示するものであり、X 線像をリアルタイムに動画と して観察することができる。 (1)X 線 CT 装置 X 線 CT 装置に関しては、2節以降に詳しく触れる。 図表 9 X 線 CT 装置 資料)http://www.toshiba.co.jp/company/ms_j.htm 参考資料 2-2-8 (2)在来の X 線診断装置 現在使用されている在来の X 線診断装置を診断用途で分けると、一般診断用、消化器診 断用、循環器診断用の3つに分類される。 一般診断用は、患者に造影剤を注入するといった特別な処置をせずに単純な撮影を行う システムで、胸腹部や骨格系の診断に広く用いられている。患者の位置決め、X 線の照射範 囲・位置の決定、X 線曝射で撮影像を得るといった最も基本的な機能のみを備えた装置が多 い。 消化器診断用は、食道、胃、十二指腸、大腸などの消化管を診断するもので、胃の検査 に硫酸バリウム製剤などの陽性造影剤と空気、炭酸ガスなどの陰性造影剤を同時に用いる 二重造影法が普及している。患者の体の位置や傾きを迅速に変える透視撮影台、バリウム の流れを観察するイメージインテンシファイア(I.I.)および映像機器、描出された病変部 をタイミングを逃がさずフィルム撮影する速射撮影装置などで構成される。 循環器診断用は、血管内に挿入したカテーテルから造影剤を注入して血管の走行状態や 血管壁の形態を描出する装置である。カテーテルの先で風船を膨らませて血管の狭窄部分 を広げたり、ステントと呼ばれる狭窄部を広げる金属を留置するなどの治療手技 (interventional radiology: IVR)の適用が広がってきており、このシステムの重要性はま すます高くなってきている。 図表 10 循環器用(左)と消化器用(右)システム 資料)http://www.toshiba-medical.co.jp/tmd/products/x 参考資料 2-2-9 (3)デジタルラジオグラフィー(DR) X 線投影像をデジタル演算処理し、映像の必要部分だけを強調したりする装置で 1980 年 代に開発され、IVR の進歩、普及、医用画像のデジタル保管、通信( PACS)技術の発展な どにより、各種 DR 装置に対する要求は、近年急速に変化しつつある。 最近のある病院の事例では、X線画像は高解像度(2000×2000 matrix 程度)および階調 (12 bit)をもったデジタルデータとして保管しており、ネットワークによる画像転送、様々 な媒体形式による保管、テレビモニタ上への表示や自在な画像処理が可能になっている。 図表 11 デジタルラジオグラフィー(DR) 資料)http://www.hitachi-medical.hbi.ne.jp/seihin/xsen/tv/tv_5/clavis_top.html (4)骨塩量測定装置 人体の骨中に含まれるカルシウムなどのミネラル成分(骨塩)を非侵襲的に測定する装 置で、骨粗しょう症などの診断に広く用いられている。骨中を放射線が透過する際の減弱 を論拠としており、放射線源によって SXA(single X-ray absorptiometry)、DXA(dual X-ray absorptiometry)、QCT(quantitative computed tomography)の3つに分類され、DXA が最 も普及している。 図表 12 骨塩量測定装置 資料)http://www.aloka.com/japanese/products/osteoporosis/dcs900.html 参考資料 2-2-10 1.2 超音波画像診断装置 超音波画像診断装置の主流となっているパルス反射法(エコー法)の研究は 1950 年に米 国 J.J.Wild らによって始められ、1960 年に商品化され、1970 年にリアルタイムで断層画 像が表示できる装置が、1980 年代には血流を映像化する装置が開発された。今日では、病 院において広い用途を持つ基本的な検査装置に一つとなっている。 特に、リアルタイムで表示できる点は、X 線 CT、MRI など他の断層映像法にも見られな い特徴であり、また、軟部組織に対する表示能力も X 線より優れている。さらに、ドプラ ー法により反射体の運動速度が計測できるのも特徴の一つとなっている。 図表 13 超音波画像診断装置 資料)http://www.siemens-us.co.jp/ 参考資料 2-2-11 1.3 ラジオアイソトープ(RI)画像診断装置 (1)ガンマカメラ シンチレーションカメラとも呼ばれ、被検体に投与された放射性核種から放出されるγ 線を 2 次元的に検出し、体内の放射線核種の分布を作成する装置で 1960 年前後に商品化さ れた。心疾患、脳疾患、癌等あらゆる核医学検査に対応でき、高い精度の核医学検査デー タを得ることができる。シングルフォトン ECT 装置(SPECT)を兼ねる場合もある。 図表 14 三検出器型ガンマカメラ 資料)http://www.med.shimadzu.co.jp/journal/j16_07-2.html (2)ECT( emission computed tomograph) 生体内の RI 医薬品の分布を断層像として描出する装置。X 線 CT 装置の成功に刺激され、 断層像の再構成に必要なデータ処理装置の普及を背景として、1970 年代から実用化が始ま った。 XY 平面像では、Z 方向の奥行分布が反映されない為、被写体の断層面で放射される γ 線 を多方面(検出器を回転) から捕え、3 次元データを断層面へ逆投影し断層像を再構成する。 演算法はCTと同様である。尚、被写体全周検出の為、γ 線の吸収量の補正が必要で、外部 線源を回転させ、被写体の吸収係数分布を求め補正する。 ECT 装置は、通常のガンマカメラの検査で用いられる γ 線放射核種(Tc,TI,I 等)に対応 するシングルフォトン ECT (SPECT)(Single Photon ECT)と、陽電子を放出する核種に対応 するポジトロン ECT(PET)(Positron ECT)に大別される。従来は核種の取り扱いの簡便さ から SPECT が広く普及していたが、最近は PET が急速に普及しつつある。 参考資料 2-2-12 1.4 MR イメージング装置(MRI:磁気共鳴断層撮影装置) 核磁気共鳴(nuclear magnetic resonance:NMR)現象を応用した断層撮影装置で、他の 機器で得られる画像とは異なり、単に形態の一次的な物理量を映像化するのではなく、生 体内の代謝過程に関わる情報を知ることができるなど生化学的な化学情報を画像に反映で きるという特徴を持つ。 図表 15 MRI 資料)http://www.gemedical.co.jp/rad/mri/ 1.5 サーモグラフィー(赤外線画像診断装置) 温度が絶対零度(−273℃)以上の全ての物体は、赤外線を放射しており、その放射され る赤外線の強度は、ステファン−ボルツマンの法則により、温度の4乗に比例することが 知られている。 サーモグラフィーは、対象物から放射された赤外線を 2 次元に走査し、レンズによって 集光し、検出器の上で決像した上で電気信号に変換して、温度分布画像を表示する装置で ある。 図表 16 サーモグラフィー 資料)http://www.avio.co.jp/products/tvs/tvs700me.htm 参考資料 2-2-13 1.6 その他 (1)医用画像処理装置 医用画像処理装置のコンピュータへの応用として、X 線フィルムからデジタル化した画像 データによって臓器の輪郭の自動抽出や、抽出されたデータからの 3 次元表示、また顕微 鏡画像データからの細胞や血球などのパターン認識などがあり、種々のアルゴリズムや画 像処理の研究が行われてきた。 X 線 CT の出現後、人体を連続の断層像として収集・表示することができ、画像をデジタ ルデータとして扱うことが一般的になった。 また、複数のモダリティの画像を合成することによって、それぞれが持つ特徴を合わせ ることができる。例えば、MRI がよく示す器官の機能と、X 線 CT がよく描写する骨や臓 器の形態を重ね合わせることにより、器官の機能と位置関係を明らかにすることができる。 (2)医用画像管理システム 1981 年カンザス大学の S.J.Dwyer は、大学病院内で発生するデジタル画像の管理とコス トを分析し、デジタル保管がフィルム保管に比べて有利であることから、 PACS(Picture Archiving and Communication Systems:医用画像管理システム)を提唱した。 近年、コンピュータの分散化やダウンサイジング、高速ネットワークの実用化、光ディ スクなどの記録装置の大容量化など、ハードウエアとソフトウエアの技術が急速に進み、 画像診断部門などにおいて PACS が導入されつつある。PACS の形態も、小規模なモダリテ ィ PACS や、画像診断部門全体をシステム化した部門 PACS、病院全体で画像を利用できるよ うにした大規模 PACS があり、段階的に導入されている。 さらに、HIS(病院情報システム)との共有も計られている。 図表 17 診断部門 PACS 接続図 資料)http://www.jcr.or.jp/news125/125_3.html 参考資料 2-2-14 2. X 線 CT 装置 2.1 X 線 CT 装置の歴史 X 線 CT 装置(以下 CT)は、1972 年に英国放射線学会で G. Hounsfield 博士によって発 表され、その後臨床の場に急激な勢いで導入された。G. Hounsfield 博士は EMI 社の技術 者で、外部から測定したデータから物体の内部構造を知るという研究(画像再構成)を基 礎に CT を開発した。 1970 年代後半には Mayo Clinic の Ritman らがコーンビームの先駆的研究(Dynamic Spatial Reconstructor)を実施した。 CT が臨床に使用された当初は、一つのアキシャル断面の撮影に約4分程度のスキャン時 間を要し(シングルスライス)たため、頭部専用であった。撮影が完了する前に被験者が 動いたり、呼吸・拍動を伴う胸部、腸管の旋動のある腹部ではアーチファクト(画像がぼ けたり鮮明でなくなる)が発生するため、スキャン時間は短くなければならない。 その後、スキャン時間が 20 秒以下という全身用 CT が EMI 社により開発された。現在 主流となっているマルチスライス CT(MDCT)では、最短の装置でスキャン時間が 0.5 秒 前後となっている(2002 国際医用画像総合展では東芝が世界最速の 0.4 秒フルスキャンシ ステムをパネル展示)。 1985 年にはスリップリングを搭載した高速連続回転方式の CT が開発され、1回転1秒 の高速連続スキャンが可能となり、CT の基本性能とも言える撮影時間、空間分解能などを 著しく向上させた。これによって、患者の乗った寝台を連続的にスライドさせながら高速 に連続スキャンをするヘリカル CT(患者に対して X 線管球がらせん状の軌道を描く)が開 発され、癌の早期発見の精度が向上し、大動脈疾患などの循環器系の病気に対しても患者 の負担が軽減された。 1998 年には4列のマルチスライス CT(MDCT)が開発された。4 列の検出器からのデ ータを同時に収集することで、同時 4 断面のスキャンを可能にするものである。従来のヘ リカル CT に比較して最大約 10 倍もの高速撮影ができ、広範囲を薄いスライス厚で撮影で きるなど臨床的有用性が高いことから瞬く間に普及した。 1998 年にはソニーがコーンビーム CT の先駆けとなる、大視野 3 次元 X 線 CT の開発に 成功した。その後この試作機は臨床研究が進められている。 その後、8列、16 列と更なる多列化の開発も急速に進んでいる。4 列システムと比較し、 同じスキャン時間と画質であれば、撮影範囲を 2 倍あるいは 4 倍にできる。但し、8 列以上 のシステムではコーンビームによるアーチファクトを低減する再構成法が必要となり、各 社が独自の開発を行っている。 今後は、コーンビームによる 1 回転で対象臓器をカバーする CT(面検出器)へ発展する と考えられている。 参考資料 2-2-15 図表 18 X 線 CT 装置の歴史 年 内 容 1972年 X線CT装置が英国放射線学会でG. Hounsfield博士によって発表 1973年 EMIより世界初の商品化(スキャン時間4分で頭部専用) 1975年 春 秋 東京女子医大にEMIスキャナがわが国で初めて設置 名古屋保健衛生大学(現藤田保健衛生大学)に国産1号機(日立メディコ)導入 1970年 台後半 Mayo Clinicの Ritmanら が コ ー ン ビ ー ム CT の 先 駆 的 研 究 で あ る DSR(Dynamic Spatial Reconstructor)を実施 1978年 全身用CTを発売(東芝) 1985年 スリップリングを搭載した高速連続回転方式のCTを開発(東芝) 1988年 現在主流のセラミック検出器を発表( GE ) 1989年 ヘリカルCT(患者に対してX線管球がらせん状の軌道を描く)を開発(東芝) 1993年 リアルタイムCTを開発(東芝) 1995年 16 列のマルチスライス検出器を完成(GE) 1998年 4列のマルチスライスCT(MDCT)を開発(GE 、シーメンス) 大視野3次元X線CT(コーンビーム)を開発(ソニー) 2000年 RSNA(北米放射線学会)で256スライス検出器を発表(東芝) 2001年 RSNAで16 スライスCTを発表(シーメンス、フィリップス)、 256スライス4D画像を発表(東芝) 2002年 4月 歯・顎顔面用コーンビームCTを発売(日立メディコ) 4月 日本医学放射線学会にて高速コーンビーム3次元X線CTの開発を発表(渡辺ら) 図表 19 X 線 CT 装置の撮影方法の歴史 資料)放医研ニュース No.64 参考資料 2-2-16 次図に示すように、腹部 15 断面をその時点での世界最速の CT でスキャンする時間を時 間軸にプロットすると、1975 年頃に 1000 秒以上であったものが、高速スリップリングが開 発された 1985 年には 100 秒を切り、マルチスライスが導入された 1998 年以降には 10 秒を きるレベルに達している。 図表 20 多断面スキャンの高速化の歴史 1,000 (秒) 100 高速スリップ リングCT 10 ヘリカルスキャン マルチスライス 1975年 資料)CT 開発の方向性 1980年 1985年 1990年 医療上の意義を主題に技術時開発を推進 作成 注)縦軸は腹部 15 断面をスキャンする時間を示す 参考資料 2-2-17 1995年 2000年 東芝、新医療 2001 年 11 月号をもとに 2.2 X 線 CT 装置の原理 「2 次元あるいは 3 次元の物体は、その投影データの無限集合から一意的に再生できる」 という「ラドンの画像再構成則」に立脚している。従来の X 線撮影では 3 次元の形状を 2 次元の感光体に焼き付けるもので、いわゆる影絵である。CT では、選択された位置での 2 次元断層像を 2 次元に再構成するが、この画像化する位置を連続的に選択すれば、3 次元構 造を 3 次元として取り込むことができる。 装置の原理としては、X 線が被写体を透過する性質を利用し、多方面から X 線を照射し、 被写体の反対側に対向配置させた検出器で投影データを測定し、断面像に画像再構成する。 各組織の X 線吸収率の違いを基に、水を 0、空気を−1000、骨を 1000 として人体の各組 織、臓器を CT 値で表現する。 広く割り当てられた CT 値の範囲に対し、人体内組織は狭い範囲に分布しており、CT 画 像ではわずかな CT 値差をコントラスト良く表現する必要がある。 本プロジェクトのコーンビーム CT は、この−100∼+100 の狭い範囲を 20∼30 段階で識 別できるようになっており、従来研究されていたコーンビーム CT の 2∼3 段階に比べ、約 10 倍のコントラスト分解能を有するレベルに達している。 図表 21 人体内組織の CT 値 +1000 +200 +100 0 -100 凝固血液 ( 40∼60) 灰白質( 脳) ( 35) 白質(脳) ( 25) 血液 ( 10) 水 脂肪 ( -100) -200 CT値( HU) -1000 資料)市川勝弘、CT イメージング(その2)、INNERVISION 2002.3 参考資料 2-2-18 2.3 全国メーカ別稼働台数と設置台数累計 2001 年 8 月現在のわが国の CT 稼働台数は 11,389 台で、メーカ別のシェアは東芝メディ カルが 40.4%で第 1 位を占め、以下 GE 横河メディカル 29.1%、日立メディコ 20.3%、島 津製作所 7.2%、シーメンス旭メディテック 2.7%、メディテック 0.3%、フィリップスメデ ィカル 0.1%となっている。 医用X線 CT 装置の 2000 年の国内出荷額は約 462 億円、輸入額は約 87 億円で合計約 549 億円(薬事工業生産動態統計年報:平成 12 年)、2000 年 9 月から 2001 年 8 月の国内設置 台数は 1215 台(月刊新医療 2001.10)であるから、期間はずれているがおおよその 1 台当 たり平均単価を計算すると約 4520 万円となる。 X線 CT 装置の価格は性能によって大きな開きがあり、2000 万円∼10 億円弱である。 図表 22 全国メーカ別 X 線 CT 稼働台数 東芝メディカル GE横河メディカル 日立メディコ 島津製作所 シーメンス旭メディテック メディテック フィリップスメディカル 計 シーメンス 2.7% 4,596 3,311 2,314 817 313 31 7 11,389 メディテック 0.3% フィリップス 0.1% 島津 7.2% 日立 20.3% 東芝 40.4% GE 29.1% 資料)月刊新医療 2001.10(2001.8 現在) 参考資料 2-2-19 2001 年 8 月現在のわが国の CT 設置台数累計は 19,002 台で、メーカ別のシェアは東芝メ ディカルが 42.5%で第 1 位を占め、以下 GE 横河メディカル 24.5%、日立メディコ 20.1%、 島津製作所 10.3%、シーメンス旭メディテック 2.4%、メディテック 0.2%、フィリップス メディカル 0.04%となっている。 図表 23 全国メーカ別 X 線 CT 設置台数累計 東芝メディカル GE横河メディカル 日立メディコ 島津製作所 シーメンス旭メディテック メディテック フィリップスメディカル 計 8,078 4,647 3,825 1,957 455 33 7 19,002 メディテック 0.2% シーメンス旭メ ディテック 2.4% フィリップスメ ディカル 0.04% 島津製作所 10.3% 日立メディコ 20.1% 東芝メディカル 42.5% GE横河メディカ ル 24.5% 資料)月刊新医療 2001.10(2001.8 現在) 参考資料 2-2-20 2.4 マルチスライス CT の現状 マルチスライス CT の登場によって、高分解能スキャンが容易に施行され、従来不可能で あった広範囲・高分解能のヘリカルボリュームデータを収集できるようになった。 マルチスライス CT による 3 次元画像の臨床上の有用性をまとめると以下のようになる。 ・ 目的部位(臓器)を立体的な画像として把握できる ・ 観察に不必要なものを画像から除去し目的部位のみを観察できる ・ 必要に応じて観察視野を変えることで外科的手術シミュレーションに対応できる ・ 数種類の部位を抽出しパーツとして扱い臓器間の関係を分かりやすく表示できる また、CT 各社の動向をみると、マルチスライス 8/16 製品ラインアップが中心であるが、 FPD 搭載の Volume-CT 開発(GE)といった次世代 CT への動きも活発化しつつある。 参考資料 2-2-21 図表 24 CT 各社の動向 社名 新製品動向 開発動向 東芝メディカル Aquilion Advanced Multislice System: ジョーンズホプキンズ大と X 線循環器診 1 回転 0.5 秒スキャン、コリメーション幅 断装置(直接変換型 X 線 FPD)と CT(位 0.5mm、8/16 スライス、SSMD 方式のマ 置精度向上、治療効果判定)を用いた低侵 トリクス検出器(チャンネル方向と体軸方 襲治療分野で共同研究開発(2001.6) 向に合計約 36000 個の検出素子を 2 次元 耳鼻咽喉科麻生病院と X 線 CT 装置の分 に配列)、TCOT(3 次元的画像再構成法) 解能を 0.35mm から世界最高の 0.25mm まで高めた S-first を開発(2001.9) GE 横河メディ Light Speed Ultra: コーンビーム再構成法の研究開発( GHR) カルシステム 1 回転 0.5 秒スキャン、コリメーション幅 時間分解能と空間分解能を大幅に向上さ 1.25mm、8 スライス(16 スライス・0.625 せた FPD 搭載 Volume-CT の開発(心臓 コリメーション幅は臨床評価中、臨床上の イメージングをターゲット)、低被曝化(高 メリットを確認しつつ 16 スライスへ) 効率ディテクタ材料、mA 制御など) CB MercuRay(シービーマーキュレイ): FPD の開発、ネットワーク環境に対応し 歯・顎顔面用コーンビーム X 線 CT、最小 た新しい発想の CT(画像は PC で診る) 日立メディコ 画素サイズ 0.1mm、合計 1 億 3000 万画素 島津製作所 被曝を低減するため、被検者の体型や検査 動画対応の直接変換型 FPD の開発、産業 部位に応じて最適な管電流を高速・高精度 用に力点 に制御する Flex mA を開発 シーメンス旭メ Sensation16: 心機能解析ソフトウエア Argus、血管評価 ディテック 1 回転 0.5 秒スキャン、コリメーション幅 ソフトウエア Vessel View、肺野結節評価 0.75mm、16 スライス、回転速度オプショ Lung CAREなどの 3 次元画像処理技術を ン 0.42 秒(心臓対応)、AMPR Cone-Beam 応用して計測や評価を行う3 D アルゴリズム(アーチファクト除去) Evaluation 機能の開発など 産業用3D-X 線 CT 用画像処理装置 コーンビームより得られた2次元プロジ ソニー ェクション像からフェルドカンプ法によ り 3 次元ボクセルボリュームを高速に再 構成するシステムを開発、コーンビーム用 FPD の開発 参考資料 2-2-22 2.5 超高速 X 線 CT(電子ビーム方式) UCLA のフルース・フランデージ博士等は、米国 7 ヶ所で超高速 X 線 CT(電子ビーム 方式)の研究を行い、710 人の患者に行った検査の結果、冠動脈疾患が正確に検出されるこ とを 1996 年 3 月 AHA(American Heart Association)発行の科学雑誌に発表した。 0.1 秒のスキャン時間によって、1 回の呼吸停止から全てのスライス画像が鮮明に記録で き、それらを集めて 3D 画像に再構成できる。したがって、従来では難しかった動きの早い 臓器、例えば心臓や大動脈の CT 検査により威力を発揮する。 同装置は米国イマトロン社で製造販売され、わが国にも 2001 年 1 月現在約 30 台導入さ れている。 参考資料 2-2-23 3.国内外の主な関連研究の動向 1970 1975 1980 1985 1990 1995 2000 2005 シングルスライスCT スリップリング ヘリカルCT 国 内 マルチスライスCT 放射線医学 総合研究所 参考資料 2-2-24 NEDO 93 科学技術振興事業団委託開発制度 97 03 大視野3次元X線CT装置 (放医研・ソニー) (臨床的研究) 00 04 高度画像診断技術の研究開発「 4次元CT装置」 (放医研・東芝) 01 03 平成13年度産業技術実用化開発費助成金 リアルタイム4Dイメージングシステムの開発 ( 東芝) 99 文部科学省 未来開拓学術研究推進事業 03 外科領域を中心とするロボティックスシステムの開発 ( 阪大・ 田村教授) 02 日立メディコ歯・ 顎顔面用コーンビームX線CT 発売 米 国 E U NIHのファンドを受けた研究 FPDコーンビームCT他 フレームワークプログラム等 3DCTや被曝量低減等の研究 3.1 国内 国内では放射線医学総合研究所、NEDO を中心にコーンビーム CT 関連のプロジェクト が実施されている。日立メディコは歯・顎顔面用コーンビーム X 線 CT の開発を行い 2002 年 5 月より発売している。また、日本放射線技術学会などの学会では、マルチスライス CT の臨床応用に関連した研究が行われている。以下にその概要を示す。 (1)放射線医学総合研究所 ①大視野 3 次元X線 CT 装置 (科学技術振興事業団委託開発制度) 実施期間 実施者 1993-1997 放射線医学総合研究所重粒子医科学センター医学物理部、ソニー 本新技術は、胸部や頭頸部などの広い領域に円錐状の X 線を照射して蛍光板と CCD カメ ラからなる検出器より多数の 2 次元 X 線投影像を撮影し、計算処理により 3 次元画像を構 築する大視野 3 次元 X 線 CT に関するもの。 装置は、X線源と検出器(蛍光板と CCD カメラ)が一体となって被写体の周囲を一回転し ながら、蛍光板に映し出された 2 次元投影像を CCD カメラで 360 枚連続撮影し、これより 3 次元画像を構築する。構築された 3 次元画像は臓器などを含む広い領域を表示可能であり、 高い空間分解能を有し、また不連続部を含まない。投影の重なりによる像のボケ、X 線源や 検出器の特性によるノイズなども補正し、歪みのない画像を得ることができる。 さらに撮影に要する時間は 12 秒(一回転)と、被検者の拘束時間が短かく 1 回の息止め で撮影が完了する。このため、肺、骨、循環器等の広い範囲の診断、治療計画の支援等への 利用が期待される。特に 2 次元投影像から 3 次元画像構築においては、画像処理を高速に 行う数値演算プロセッサーを複数用い並列処理させることによって、計算時間の大幅な短縮 概要 が可能となっている(制御・演算部:検出部、駆動部の制御を行う制御系と、投影像の A/D 変換、3 次元再構成及び表示を行う演算系より構成される)。 また、3 次元画像を用いた観察、診断においては専門医が装置と対話的に操作することで、 視覚的にわかりやすい画像として表示することが可能である。 資料)科学技術振興事業団 参考資料 2-2-25 ②高度画像診断技術の研究開発「4 次元 CT 装置」 実施期間 実施者 2000-2004 放射線医学総合研究所重粒子医科学センター医学物理部、東芝 「高度画像診断技術の研究開発」には、4 次元 CT 装置のプロジェクト以外に、次世代 PET 装置というプロジェクトも並行して走っている。いずれも従来よりもはるかに高性能 の装置を 2004 年度までに完成し、2005 年度には臨床研究に入ることを目標としている。 「4 次元 CT 装置」はより高画質で高速な 3 次元再構成を狙っており、とくに時間分解能 を高めることをめざす。10cm 厚×50cm 径のボリュームを 1mm 程度の解像力で 0.5 秒(一 回転)の時間間隔で連続撮影する装置を 2004 年度に完成し、2005 年度には改良と人を対 象とした試験を実施する。 これにより、心動態機能解析、管腔臓器の診断、臓器の血流観察などが可能になるものと 考えられる。 概要 2002 年度には以下を実施。 ・ 512x512x128 の再構成ボリュームを 900 ビュー(フレーム)の投影データから 1 秒以内に 再構成する超高速再構成装置を試作 ・ 上記の再構成装置に FDK アルゴリズムを実装し、その性能を確認 ・ 4 次元 CT の制御システムについて設計を行い、再構成装置の関連部分の製作を行う ・ 機能試験機の取得データをもとに再構成アルゴリズムの研究、散乱線の除去など行い 4 次元 CT の製作に反映 また、以下を独法成果活用事業として実施する。 ・ 4 次元ビューアに対する要求仕様をとりまとめ、その基本設計および詳細設計を行う ・ 機能試験機の取得データをもとに 3 次元・4 次元画像処理の研究を行い、上記の設計に 反映 ③コーンビーム CT の臨床的有効性の評価及び新型装置の基礎研究 実施期間 実施者 概要 2000-2001 放射線医学総合研究所重粒子医科学センター医学物理部、ソニー 大視野 3 次元 X 線 CT の臨床的な評価と改良を実施。 ④高速コーンビーム CT 装置により得られる3次元・4 次元画像の基礎的および臨床的研究 実施期間 実施者 概要 2002-2003 放射線医学総合研究所重粒子医科学センター医学物理部、ソニー 3次元・4 次元画像の基礎的および臨床的研究。 参考資料 2-2-26 (2)その他 ①NEDO:リアルタイム4D イメージングシステムの開発 (平成 13 年度産業技術実用化開発費助成金) (がん、心疾患等に対応した医療機器の応用・実用化開発) 実施期間 実施者 2001-2003 東芝 3 次元(立体)の動態観察を可能とし、バイオプシ、内視鏡、カテーテル手技において、 3 次元的なガイドを可能とするイメージングシステムの実現を最終目標としている。 人体の 4 次元データ(3 次元の動態データ)を収集再構成する4D-CT スキャナ本体と、 概要 4D-CT スキャナで生成されたデータを保存、画像処理、表示するための高速・大容量デー タ通信ネットワーク、4D ボリュームサーバーシステム、4D イメージングワークステーシ ョン&ビューワなどを統合したリアルタイムイメージングシステムに必要な要素技術を開 発する。 ②文部科学省:外科領域を中心とするロボティックスシステムの開発 (未来開拓学術研究推進事業) 実施期間 実施者 1999-2003 大阪大学大学院医学系研究科田村教授他 コンピュータによる画像解析および画像合成技術を駆使し、術者に超視野(スーパービジ ョン)を提供するシステムの開発。 概要 刻一刻と変化する術中の患者体内の状態、および手術器具との 3 次元的関係を実時間で 再構築する、つまり時間軸を含めた手術空間の 4 次元再構築の方法を確立することが目的。 手術前に撮影された CT や MR 画像などの術前画像に加え、術中の超音波画像および幹 部や手術器具の 3 次元運動情報をコンピュータによって統合する。 ③日立メディコ 歯・顎顔面用コーンビーム X 線 CT である CB MercuRay(シービーマーキュレイ)を開発 し、2002 年 5 月より発売。最小画素サイズ 0.1mm、合計 1 億 3000 万画素で、標準システ ムの価格は 4180 万円。 参考資料 2-2-27 ④日本放射線技術学会での発表テーマ例 最近の日本放射線技術学会での CT 関連発表テーマをみると、マルチスライス CT 関連が その中心となっている。低コントラスト識別能やアーチファクトに関する検討、被曝線量 の測定や低減方法に関する検討などが行われている。 図表 25 日本放射線技術学会での発表テーマ例 テーマ 発表者 MSCT における画像特性の基礎的検討 北海道大学医学部付属病院放射線部 山下道明他 マルチスライス CT における X 線管球焦点サイ 広島大学医学部付属病院放射線部 穐山雄次他、 ズが及ぼす影響について 広島大学歯学部付属病院放射線部 相田雅道他、 呉共済病院放射線部 山口功 機種間の CT 値差と低コントラスト識別能の研 奈良県立医科大学付属病院中央放射線部 和田直樹他 究 マルチスライス CT によるアーチファクトの基 国立がんセンター東病院放射線部 石原敏裕他 礎的検討−第2報 腹部 CT における US 断面 CT 画像の有用性 虎の門病院放射線部 渋谷清和他 MDCT におけるガントリ傾斜が MPR 画像に 兵庫医科大学病院中央放射線部 名定敏也他 及ぼす影響 MPR 画像における low contrast sensitivity の 総合病院中津川市民病院放射線技術科 加藤秀記他 検討 胸部 CT(肺野条件)における最大値投影法の有 三田市民病院放射線科 西村信也他 用性 マルチスライス CT における被曝線量測定 岡山大学医学部付属病院中央放射線部 赤木憲明他 CT 透視における被曝線量の軽減について 群馬大学医学部付属病院放射線部 松村直樹他 被曝線量における dual slice CT の有用性 東海大学医学部付属病院 成田紗織他 Multi slice-row CT(MSCT)の被曝低減ソフト 東京慈恵会医科大学付属病院放射線部 吉野美津子他、 (Care Dose)を用いた臨床評価について シーメンス旭メディテック㈱ 小松加奈子 資料)日本放射線技術学会雑誌 第 29 回秋季学術大会一般研究発表予稿集 2001.9 参考資料 2-2-28 3.2 海外 SPIE(International Society for Optical Engineering)のウエブサイトでコーンビーム CT に関連する文献を検索した結果、最近では FPD(Flat-panel detector)を使用したコーン ビーム CT や、再構成法やノイズ対策に関するものが多く報告されている。 図表 26 SPIE のコーンビーム関連文献の動向 表題・発行年月 著者 Flat-panel cone-beam CT on a mobile isocentric Jaffray, David 他 C-arm for image-guided brachytherapy 5/2002 ウイリアムバーモント病院 Flat-panel detector-based cone-beam volume CT Ning, Ruola; 他 breast imaging: phantom and specimen study 5/2002 ロチェスター大 Cone-beam volume CT breast imaging: wavelet Chen, Biao; Ning, Ruola analysis -based multi-resolution reconstruction and ロチェスター大他 de-noising technique 5/2002 Unified iso-SNR approach to task-directed imaging in Siewerdsen, Jeffrey H.; Jaffray, David flat-panel cone- beam CT 5/2002 A. Monte Carlo analysis of relation between patient dose 中森、ヤング、角尾、吉田、遠藤、佐藤 and noise characteristic of a flat-panel detector for 京都工芸繊維大、放射線医学総合研究所、 cone-beam CT ソニー(本プロジェクト関係者) X-ray 5/2002 scatter suppression algorithm for Ning, ウイリアムバーモント病院 Ruola; Tang, Xiangyang; cone-beam volume CT 5/2002 Conover, David L. ロチェスター大 Simulation of x-ray projections for 3D cone-beam Qin, Zhongyuan 他 tomography Xi’an Jiaotong Univ. 4/2002 Comparison of fan-beam, cone-beam, and spiral Sasov, Alexander scan reconstruction in x-ray micro-CT SkyScan 1/2002 Cone-beam image reconstr uction for detectors Tam, Kwok C. with nonsquare detector elements シーメンス 1/2002 Novel approximate approach for high-quality image Schaller, Stefan 他 reconstruction in helical cone-beam CT at arbitrary シーメンス、フリードリッヒアレキサンダ pitch ー大、 7/2001 Cone-beam image reconstruction from equiangular Taguchi, Katsuyuki 他 sampling using spherical harmonics 東芝、ウタ大 Performance evaluation of 7/2001 oblique surface reconstruction algorithm in multislice cone-beam CT 7/2001 参考資料 2-2-29 Chen, Laigao M.; Liang, Yun; Heuscher, Dominic J. Purdue 大他 米国においては NIH において以下のようなコーンビーム CT 関連の研究が実施されてい る。 図表 27 NIH におけるコーンビーム CT 関連の研究 タイトル 期間 Application of Breast Imaging Techn to 1996-2004 Molecular Imaging 実施者 University of Virginia Charlottesville 3D Low Contrast Resolution Phantom for 2001-2002 BIOMEC, INC. 2001-2004 University of Sussex 2001-2004 University of Rochester 2001-2005 William Beaumont Hospital 2002-2003 Duke University CT Flat Panel Detector based Cone Beam Volume CT Flat Panel Detector based Cone Beam Volume CT Flat Panel Cone Beam CT for Image Guided Radiotherapy Update of Duke Research SPECT System 参考資料 2-2-30 一方、欧州においては EU で第 2 次∼5 次のフレームワークプログラムにおいて、以下の ような CT 関連研究が実施されている。ただし、コーンビームに関する目だった研究はない。 図表 28 EU における CT 関連研究 タイトル 期間 Dose reduction and quality criteria in 1991-1992 computed tomography 実施者 Aarhus Kommunehospital (デンマーク)他 Quality assurance parameters and image 1992-1995 quality criteria for computed tomography Aarhus Kommunehospital (デンマーク)他 in adult and paediatric radiology Automatic Procedure Individual to Manufacture Implants-Custom 1996-1998 CIP Konstruktion GmbH & Co KG(ドイツ)他 Made Prosthesis-Operation Stencils Based on Computed Tomography Data Research and Development of Advanced 3D Federal Institute for X-Ray Tomography (theory, algorithms, Materials Research and software, concept of application) using Testing BAM Maximum-Entropy Method and Statistical (ドイツ)他 Approach to a Priori 1997-2000 Knowledge Consideration Improved photocathodes using absorbing 1998-1999 University of Sussex(英国) 2000-2002 Sema Group, S.a.e.(スペイ cone topology Real Time Reconstruction Motion and Compensated Visualisation ン)、Philips Semiconductors for Dynamic Computed Tomography (ドイツ)他 Computed tomography - techniques, image 2000-2003 quality and patient dose Universiteit Leiden(オラン ダ)他 参考資料 2-2-31 4.関連特許・文献の推移 4.1 関連特許の推移 (1)日本 日本における最近 10 年間の関連特許の推移を調査した。 X 線 CT に関連するものは最近 10 年間で 2,041 件出願されており、ほぼ年間 200 件程度 で横ばいに推移している。 コーンビームに関連するものは最近 10 年間で 55 件出願されており、90 年代後半に増加 する傾向を示している。この 55 件の要約などの概要を付帯資料 1 に示す。 4 次元 X 線 CT に関するものは 1 件であった。検索条件と結果を以下に示す。 期間 PATOLIS 特許・出願:1991 年 1 月 1 日∼2000 年 12 月 31 日まで (公開日 2002 年 5 月 31 日まで) 検索式 A FK=(X線*CT) B FK=((コーン+円錐)*ビーム)+AB=(コーン W ビーム) C FK=(4次元) 検索式①:A 特許 2041 件 検索式②:A*B 特許 55 件 検索式③:A*C 特許 1 件 図表 29 X線CT撮影装置関連特許の出願件数推移 300 250 出 200 願 件 150 数 100 50 0 1991 1992 1993 1994 1995 1996 出願年 参考資料 2-2-32 1997 1998 1999 2000 図表 30 コーンビーム型X線CT撮影装置関連特許の出願件数推移 14 12 10 出 願 8 件 6 数 4 2 0 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 出願年 (2)米国・欧州 米国および欧州(英独仏)における最近 10 年間の関連特許の推移を調査した。 X 線 CT に関連するものは最近 10 年間で米国 723 件、欧州(英独仏)462 件出願されて おり、最近 10 年間ほぼ一貫して増加傾向を示している。 コーンビームに関連するものは最近 10 年間で米国 32 件、欧州(英独仏)24 件出願され ており、最近 10 年間やや増加傾向を示している。 4 次元 X 線 CT に関するものは米国・欧州合わせて 2 件であった。これらの特許の概要 (タイトル語)を付帯資料 2 に示す。 検索条件と結果を以下に示す。 期間 WPI 特許・出願(優先権主張):1991 年 1 月 1 日∼2000 年 12 月 31 日 検索式 D X(W)RAY AND (CT OR COMPUTED(W)TOMOGRAPHY OR COMPUTERIZED(W)TOMOGRAPHY) E CONE(W)BEAM F FOURTH(W)DIMENSION? OR FOUR(W)DIMENSION? OR 4D(W)CT G AC(出願国)=US+AC=WO(国際出願)*DS(指定国)=US H AC=(DE(ドイツ)+FR(フランス)+GB(イギリス))+AC=(EP(欧州特許庁出願)+WO)*DS=(DE+FR+GB) I AY>=1991/PR(優先権主張年) 検索式①:D*G*I 特許 723 件 (米国:X線CT撮影装置) 検索式②:D*E*G*I 特許 32 件(タイトルリスト入手) (米国:コーンビーム型X線CT撮影装置) 検索式③:D*H*I 特許 462 件 (欧州:X線CT撮影装置) 検索式④:D*E*H*I 特許 24 件(タイトルリスト入手) (欧州:コーンビーム型X線CT撮影装置) 検索式⑤:D*F 特許 2 件(タイトルリスト入手) (世界:4次元X線CT撮影装置) 参考資料 2-2-33 図表 31 X線CT撮影装置関連特許の出願件数推移 140 120 100 出 80 願 件 数 60 米国 欧州 40 20 0 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 出願年 図表 32 1998 1999 2000 コーンビーム型X線CT撮影装置関連特許の出願件数推移 7 6 5 出 4 願 件 3 数 米国 欧州 2 1 0 1991 1992 1993 1994 1995 1996 出願年 1997 参考資料 2-2-34 1998 1999 2000 4.2 関連文献の推移 日本および米国における 1990∼2001 年の関連文献の推移を調査した。 日本では、X 線 CT に関連するものは 6533 件、コーンビームに関連するものは 64 件発 表されており、増減はあるが全体的に増加傾向を示している。 米国では、X 線 CT に関連するものは 969 件、コーンビームに関連するものは 105 件発 表されており、日本と同様に増減はあるが全体的に増加傾向を示している。 但し、日米で使用したデータベースは異なるため、日米の件数を比較評価することはで きない。検索条件と結果を以下に示す。 【日本】データベース:JOIS JOI SX線CT コ−ン状ビ−ム+コ−ンビ−ム&+円錐状ビ−ム&+円錐ビ−ム&+CONE[W]BEAM 四次元+4次元 NA=JPN (①x②+①x③)x④ ①x④ ① ② ③ ④ コーンビーム X線CT 【米国】データベース:DIALOG(INSPEC) DI ALOX G(W)RAY AND (CT OR COMPUTED(W)TOMOGRAPH? OR COMPUTERIZED(W)TOMOGRAPH?) CONE(W)BEAM FOURTH(W)DIMENSION? OR FOUR(W)DIMENSION? OR 4D CP=USA (⑤x⑥+⑤x⑦)x ⑧ ⑤x⑧ 図表 33 ⑤ ⑥ ⑦ ⑧ コーンビーム X線CT 日本発行文献数 20 1000 600 10 400 5 200 0 0 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 参考資料 2-2-35 2001 X線CT件数 コーンビーム件数 800 コーンビーム X線CT 15 図表 34 米国発行文献数 200 150 コーンビーム 文献数 X線CT 100 50 0 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 年次 参考資料 2-2-36 付帯資料 1. No. コーンビーム型X線CT撮影装置関連特許(日本)の概要 出願番号 発明( 考案) の名称 要約( 抄録文) 出願人 1 特願平07-336452 3次元動態デ−タの 表示方法 2 特願平03-117633 X線コンピユ−タ断層 【 目的】 本発明は、多数枚のスライスを短時間に撮影することができる簡単な構成のX線CT装置を提供することを目的とする。£X線ビ 13-000307 東芝: ( 株) 撮影装置 −ム、断層像、スキヤン速度、錐状X線【 構成】コ−ンビ−ムを用いてヘリカルスキヤンを行ない、X線投影デ−タを2次元X線検出器で 検出する。コ−ンビ−ムをスライス厚方向に平行なビ−ムと見なして、投影デ−タの中からあるスライス位置とその隣接位置の360度 の投影デ−タを選択し、選択デ−タに基づいて通常のコンボリユ−シヨン・ バツクプロジエクシヨン方式の再構成を行い、スライスを再 構成する。 円錐ビ−ム投射デ− 【 目的】 逆ラドン変換により3D映像を再構成するために、ラドン空間内の任意の1組の平面における面積分を表す値へX線円錐状ビ− US-000732 ジエネラ タから物体の三次元 ムデ−タを変換する方法と装置を得る。£X線源位置、2Dデ−タセツト【構成】逆ラドン変換により3D CT映像を再構成するために、X ル エレクトリツク C 計算機断層撮影映像 線円錐状ビ−ムデ−タ( 物体20を通る線積分)をラドンデ−タ(面積分)へ変換する手順を開示する。正規化された検出器面上の一対 O を生成する方法およ の線のおのおのに沿う重みづけられた線積分を決定するために、各面積分の半径方向微分が積分と、次に重みづけられた線積分の び装置 間の差を回転角δβで除すことにより決定される。それらの線は、回転軸26を共有し、回転角δβだけ相対的に回転させられる対応 する一対の積分面の正規化された検出器面との交差として定められる。円錐状ビ−ムデ−タを、ランダム空間内の、1組の同軸垂直 面のような任意の1組の平面上の面積分を表す値へ変換するためにこの手順を採用できる。 3 特願平03-348602 参考資料 2-2-37 4 特願平04-233795 5 特願平04-281192 【 目的】3次元ボリユ−ムデ−タの可視化処理を繰返し行うことにより,対話性を損うことなく3次元動態表示を可能にする。£X線CT装 13-000510 日立製作 置、光CT、MRI 、 超音波診断装置、リアルタイム【 構成】 時間軸を加えた4次元デ−タを保管する記憶装置2と、4次元デ−タの可視化 所: ( 株) 13-420143 日 処理を行う計算機3と、デイスプレイ6と、デイスプレイの座標を入力する装置5とを備えている。さらに、周期的な4次元デ−タの1周期 立メデイコ:(株) 分の動態3次元表示を行う際、設定された表示間隔の間に可視化計算が終了しない場合、可視化パラメ−タの変化の無い間は、他の 時相を計算中であるか否かに関わらず、既に計算済みの時相の3次元画像を設定された表示間隔で決定される表示タイミングで表示 する処理を行う。 放射線CTと放射線C 【 目的】 ヘリカル・スキヤンに基づいて生ずるPVE等による偽像を完全になくした高画質のイメ−ジを得ることのできる放射線CTと、こ Tの撮影デ−タ収集 の放射線CTを用いて行う撮影デ−タ収集方法を実現する。£コリメ−タ、円錐ビ−ム、集団検診、高速撮影【 構成】ガントリGを移動さ 方法 せながら、ガントリGの移動軸に平行な線状のX線発生源XSから蔓巻き螺旋状にフアン状のX線を放射する。X線発生源XSと一体に なつて被検体Bの周囲を回転する検出器DETは、被検体Bを透過したX線と透過しないX線とを検出して画像再構成の後、画像表示す る。 コ−ンビ−ムCT用管 【 目的】 装置全体を従来のものと同じ程度の大きさに抑えるとともに、360度分の投影デ−タを得る場合でも、撮影領域の両端付近で 球 ア−チフアクトがほとんど生じないようにする。£真空、コンソ−ル、高電圧制御装置、X線CT装置【構成】外囲器2内に軸方向に沿つ て所定間隔で複数のフイラメント8と複数のタ−ゲツト5とを交互に配置して、各フイラメント8と、各タ−ゲツト5によつて複数のX線源を 構成し、これらの各X線源のいずれかを選択してX線を発生させることにより、X線の出射点を切り替えて撮像領域の両端付近での撮 影デ−タ不足を無くす。 13-485515 横河メデイ カルシステム (株) 13-000307 東芝: ( 株) 13東芝医用シ ステムエンジニアリン グ (株) 6 特願平06-163836 X線撮影装置 【 目的】コ−ンビ−ムCT装置等のX線撮影装置における幾何学的歪補正を高精度かつ高効率に行なう。£高解像度、3次元画像、X線 13-420143 日立メデイ 源、平板、正方格子【 構成】X線テレビカメラ5の信号読出方向に平行および垂直な基準線13aと、X線の吸収度合いの相違を示すマ− コ:(株) カ−を直交格子状に配列した歪計測用チヤ−トと、マ−カ−配列を基準線とほぼ一致させてチヤ−トをカメラのX線入力面に固定する 手段とを設ける。さらに,チヤ−トの各マ−カ−の実際の画像座標と歪が無い場合の各マ−カ−の理想的な画像座標との比較結果に 基づき、実際の画像の各座標を理想的な画像の各画素単位で整数値の各座標に対応付ける位置対応テ−ブル14aを回転角度別に 作成する事前処理部14、被検体12の撮影時に、当該する回転角度の位置対応テ−ブルを参照して、被検体から得られる画像の補 正を行なう本処理部15を設ける。 7 特願平06-187035 X線撮影装置 【 目的】 関心領域の解像度を低下させずに幾何学的歪を補正でき、大視野デイジタルX線像の画像周辺部における診断能を向上させ 13-420143 日立メデイ る。£マ−カ−、チヤ−ト、コ−ンビ−ムCT装置【構成】X線管2とX線テレビカメラ4、5と画像収集・処理装置6とから構成され、被検体 コ:(株) 7の撮影画像について歪の補正を行うX線撮影装置において、画像収集・ 処理装置6に、歪を補正した後の画像のX線テレビカメラ入 力面における画素サイズを、歪補正前の画像のX線入力面における画素サイズの、別に指定した関心領域における最小値より小さく なるように設定し、歪の補正を行う手段( 伸長部6a)を設ける。 No. 出願番号 発明( 考案) の名称 要約( 抄録文) 出願人 参考資料 2-2-38 8 特願平07- 15001 X線画像計測装置 【 目的】(J)被検体画像のブランク領域補正をシエ−デング画像との差分に基づく非飽和ブランク領域の差分値対応で行うことにより、 13-420143 日立メデイ 飽和ブランク領域のハレ−シヨンを補正する。£コ−ンビ−ムCT装置、X線CT装置、バイアスノイズ補正、対数差分画像【 構成】X線管 コ:(株) 2出射のX線が被検体13を透過し、X線イメ−ジインテンシフアイア4で可視光像にに変換されてテレビカメラ5に結像する。これをビデ オ信号に変換して画像収集・ 処理装置6に入力し、任意の回転板7角度で撮影した各投影像に対し幾何学的歪と感度むらを補正して3 次元再構成する。そして、ハレ−シヨン補正処理時、先ず、被検体画像を計測し、画素値が飽和レベルに達した飽和領域と、達しない 非飽和領域を識別する。更に、飽和領域中で被検体のない飽和ブランク画素領域と、被検体の在る飽和被検体画素領域に分割する。 被検体画素領域で、被検体のX線吸収量を推定し、各画素値を補正し、3次元再構成時はブランク領域で各画素値補正する。 9 特願平07- 98263 X線装置 【 目的】X線透視画像もしくはX線撮影画像またはX線CT画像の視野を拡大する。£コ−ンビ−ムX線CT装置、高画質、立体画像、診 13-420143 日立メデイ 断能、CTスキヤン【構成】複数方向から被検体14のX線透視像もしくはX線撮影像またはX線CT計測値を得るX線透視・撮影方法及 コ:(株) びX線装置において、X線管2とX線画像X線検出器を同一回転中心の円軌道上を移動させると同時に、被検体14を円軌道面に平行 に移動させながら被検体14のX線透視像もしくはX線撮影像またはX線CT計測値を得る。 10 特願平07-513180 多重列検出器配列体 を有する螺旋走査計 算機式断層撮影装置 用の再構成法 【 目的】X線計算機式断層撮影装置(CTスキヤナ)において,並進方向に沿つて変位した横列を持つ検出器配列体を配置して患者を螺 US-000732 ジエネラ 旋走査することにより,スライス分布の改善を可能とする。【 構成】CTスキヤナにおいて,X線源10からX線の扇形ビ−ム40をビ−ム ル エレクトリツク C 軸線41に沿い,患者42を介して検出器配列体44に投射する。ガントリ−20が回転して,デカント座標系のX−Y平面を定めるガントリ O 平面38内で,ビ−ム軸線41を振らせる。患者42と共にテ−ブル46をデカント座標系Z軸と整合した並進軸線48に沿つて動かす。ま た,ビ−ム軸線と並進軸線48に直交する横軸線50に沿つてビ−ム軸線41からも発散する。患者42を通過した後の扇形ビ−ム40の X線を受取る検出器配列体44は検出器素子18′を横列と縦列とに配置している。Z軸方向に於ける扇形ビ−ム40の発散が小さいこ とにより,コ−ン・ビ−ム再構成の精度を改善する。 11 特願平08- 1213 画像再構成処理装置 【 目的】(J)X線検出デ−タを断層面の厚さに関係する列方向に束ねて、3次元的に空間配置された画素であるボクセルへ逆投影して、 13-000307 東芝: ( 株) 対象物の断面画像を再構成することにより、コ−ンビ−ムを使用して撮影された画像の正確な再構成処理にかかる時間の短縮化を図 る。£コンボリユ−シヨン変換、オ−バ−ラツプ重み付け、画質改善、投影点関数【 構成】コ−ンビ−ムを使用したヘリカルスキヤン方 式のX線CT装置では、X線検出器5の出力信号がチヤンネル毎にデ−タ収集部11で増幅され、A/D変換された後、投影デ−タとして 再構成処理部12に送られ、ここで投影デ−タに基づいてボクセル毎にX線吸収率を反映した逆投影デ−タを求めている。この際、有効 視野( 撮影領域) は、ヘリカルスキヤンの回転中心軸を中心として円筒形状となり、再構成処理部12は、この有効視野に複数のボクセ ルを想定し、投影デ−タから各ボクセルの逆投影デ−タを求めている。そして、逆投影デ−タに基づく3次元画像デ−タを表示装置14 に表示させている。 12 特願平08- 10218 画像再構成処理装置 【 目的】(J)断層面画像を再構成するフアンビ−ム再構成を行うフアンビ−ム再構成手段と、断層立体画像を再構成するコ−ンビ−ム 13-000307 東芝: ( 株) 再構成を行うコ−ンビ−ム再構成手段を設けることにより、操作性を向上できるようにする。£X線CT装置、高画質、高速、連続、円錐 【 構成】X線検出器からの出力信号をデイジタル信号に変換し再構成処理部12に取り込み、再構成法指定部21−1でコ−ンビ−ム再 構成が指定されている時は、投影曲線計算部21−2でボクセル列を検出器面に投影した投影曲線を発生し、再構成処理制御部21が 投影曲線に対応する逆投影デ−タを求め(コ−ンビ−ム再構成処理)、画像メモリ27に加算して画像を記憶す。また、再構成法指定部 21−1でフアンビ−ム再構成が指定された時は、投影曲線計算部21−2で検出器列の中心を通る検出器列に平行な投影直線を発 生し、投影直線に対応する逆投影デ−タを求め(フアンビ−ム再構成処理)、画像メモリ27に加算して画像を記憶する。 13 特願平08- 30242 物体の像を構成する 【 目的】(J)コ−ン・ビ−ム源から物体の像を検出器平面に投影して物体の像を構成する場合に、投影デ−タを1組のラドン導関数に変 US-000732 ジエネラ のに用いられる1組の 換することにより、要求するCTコ−ン・ビ−ム源による作像のための構成において精度向上を図る。£像表示装置、走査経路、重心、 ル エレクトリツク C ラドン導関数に投影デ イメ−ジ値【構成】コ−ン・ビ−ムX線源12により、物体10の像を表すデ−タを、平坦な検出器表面16を有している検出器配列14に O −タを変換する方法、投影させ、投影されたX線光子の形態をなすデ−タを、検出器配列14でのX線検出器によつて検知させる。この検知信号からデ−タ取 並びに物体の計算機 得システム(DAS)18において、平面16に投影された像20を表している線積分の形態のコ−ン・ビ−ム投影デ−タを求め、次にプロ 式断層写真像を形成 セツサ22にてで、投影デ−タを1組のラドン導関数に変換し、ラドン導関数から1組の面積分の値を算出している。またこのような面積 する方法及び装置 分の値を入力デ−タとして用いて逆ラドン変換を行つて、物体の像を再構成している。 No. 出願番号 14 特願平08-161853 15 特願平08-162003 発明( 考案) の名称 要約( 抄録文) 出願人 X線CT装置及びその 【 目的】コ−ンビ−ムまたはマルチスライスX線CT装置において、X線源の焦点移動を補正しア−テイフアクトのない再構成画像を得 13-000307 東芝: ( 株) ミスアライメント補正 る。£X線検出素子、焦点位置検出手段、X線ビ−ム、チヤネル、断層像【 構成】X線管球3の主X線検出器7に対する相対的な複数の 方法 焦点位置に対応する再構成パラメ−タ31a,31b,…及びまたはビ−ム位置情報33a,33b,…を予め記憶装置17に記憶させてお く。スキヤン前あるいはスキヤン中に、プロフアイル検出器9により検出されたプロフアイル検出用ビ−ムからデ−タ処理装置15により 主X線検出器7に対するX線管球3の相対的な焦点位置を計算する。この検出・ 計算された相対的な焦点位置に最も近い焦点位置に 対応する再構成パラメ−タ31及びまたはビ−ム位置情報33が記憶装置17より読み出されて、再構成装置25による再構成に供され る。 X線コンピユ−タ断層 【 目的】コ−ンビ−ムが適用される比較的大型サイズの二次元検出器に対する散乱線の影響を適切に除去し得るようにする。£位置 13-000307 東芝: ( 株) 撮影装置 調整可能、位置合わせ、断層像、X線CT、撮影領域【構成】このX線コンピユ−タ断層撮影装置の検出器システム10は、コリメ−タ板1 1がスライス方向に複数配列されてなるスライス方向コリメ−タ12と、コリメ−タ板13がチヤネル方向に複数配列されてなるチヤネル 方向コリメ−タ14と、複数の検出素子が二次元方向に配列されてなる検出素子アレイ16と、から構成されている。チヤネル方向及び スライス方向に関するアライメントは独立して行えるように構成されている。また比較的高精度なアライメントが要求される二つの構成 要素のアライメントを先に行い、しかる後に、残る構成要素とのアライメントを行うことが可能な構造とする。 参考資料 2-2-39 16 特願平08-234266 マルチスライスCT装 置 【 目的】(J)X線検出器のX線検出素子列の周回軸の方向のピツチを均等としない構成とすることにより、ヘリカルピツチを小さくすること 13-000307 東芝: ( 株) なく、実効スライス厚を薄くして画像の品質の向上を図る。£断層画像、束ね処理、補間処理【 構成】X線CT装置の2次元X線検出器5 は、コ−ンビ−ムのアキシヤル面に近い上下2列は1mmの狭い厚さの検出素子が配列されており、最も遠い上下両端の2列は2mm である。このように、アキシヤル面近傍のセグメントの厚さを小さく(1mm)し、アキシヤル面から遠ざかるほどセグメントの厚さを大きく (2mm)して、セグメントの厚さを不均等にしたことにより、対向ビ−ムにより構成される同位相のビ−ムの移動線を、セグメントのビ− ムの移動線と重ならせずにすることができ、サンプリング密度を確実に高くし、実効スライス厚を薄くすることが可能となる。 17 特願平09-165837 X線コンピユ−タ断層 【 目的】(J)ボクセルごとに最適となる焦点角度のデ−タを3次元逆投影すべく、焦点角度とボクセルの座標に対応して3次元逆投影す 13-000307 東芝: ( 株) 撮影装置 る領域を決定することにより、再構成可能な領域を拡大し、画質劣化を低減し、かつノイズを低減する。£CT、コ−ン角、ハ−フ再構 成、スム−ジング、重みづけ加算【 構成】コ−ンビ−ム形状のX線を照射するX線管21とX線管21に対し被検体を挟んで対向配置され る面検出器23とを一体で回転可能に架台25に取り付ける。架台・ 寝台制御部13はX線管21と面検出器23を回転駆動する一方、寝 台15aをZ軸方向に移動させる。デ−タ収集部27は面検出器23の検出器出力に基づいて被検体の多方向からの投影デ−タを得、投 影デ−タは画像再構成部31に送る。画像再構成部31の逆投影演算装置はボクセルごとに最適なデ−タとなる焦点角度のデ−タを逆 投影して3次元再構成すべく、3次元逆投影する領域を焦点角度とボクセルの座標に対応して決定する。 18 特願平09-258752 X線CT装置 【 目的】(J)設定した螺旋走査範囲でベツド移動、X線源回転をしてX線照射をし、スライス位置の投影デ−タを求め、これから断層デ− 13-420143 日立メデイ タを再構成することにより、螺旋スキヤン計測を可能にする。£医用機器、デイジタル画像処理、X線CT計測、患者ベツド制御手段【 構 コ:(株) 成】X線発生装置1とX線検出装置2を予め定めた平面上で連続的に回転させる。被検体を載せたベツド3を一定速度で前進させ、その 過程でX線発生装置1からX線を照射し、螺旋状走査による曝射を行う。得られる透過X線をX線検出器2で検出する。得られた螺旋デ −タから所望断層面の投影デ−タを得る。その投影デ−タをフイルタ補正回路による補正処理、逆投影演算回路での逆投影処理を行 つて、所望位置の断層像を得る。この方法で、コ−ンビ−ムを利用して螺旋スキヤンや電子走査形等種々の方法が適用でき、効果的 に螺旋スキヤン計測ができる。 19 特願平09-266148 対象物の関心ある領 域の3次元コンピユ− タトモグラフ撮影のた めの走査及びデ−タ 取得方法および装置 【 目的】(J)余分なスパイラルタ−ン上のビ−ム源位置から取得されたデ−タを、それに隣接する主スパイラルスキヤンのタ−ンから得 USシ−メンス られたデ−タを用いて補間することにより、スキヤンの円形部分に相当するビ−ム源位置に関する円錐ビ−ムデ−タを取得可能とす コ−ポレイト リサ− る。£エリア検出器、サンプルアンドホ−ルド回路、2次元アレ−、マニピユレ−タ、数値制御器【構成】円錐ビ−ムx線源10から、被撮 チ INC 影対象物12の関心領域の付近を通過する円錐ビ−ムエネルギを発生させ、撮影用エネルギを検出器14にて検出する。そして感知さ れたX線エネルギに相当する信号をデ−タ取得装置16を介してプロセツサ18のブロツク19に入力させてビ−ムデ−タ補間を行わせ る。次にブロツク20において、円錐ビ−ムデ−タをラドン誘導デ−タに変換し、ブロツク22で極デ−タに変換後、ブロツク24で3D逆ラ ドン変換する。その後、ブロツク26において、再構成されたイメ−ジデ−タを得てデイスプレイ28に供給し、対象物12の関心領域の3 D CTイメ−ジを表示する。 No. 出願番号 発明( 考案) の名称 要約( 抄録文) 出願人 参考資料 2-2-40 20 特願平09-317021 X線CT装置 【 目的】CT撮影だけでなく関心部位全体の透視撮影が行えるようにする。£扇形状ビ−ム、回転駆動手段、CT画像、X線透視画像、X 26-000199 島津製作 線断層撮影【構成】このX線CT装置は、コリメ−タ6の調整によりフアン状X線ビ−ムだけでなくコ−ン状X線ビ−ムも被検体Mに照射で 所: ( 株) き、フイルムカセツテ4やパネル型X線センサ5をX線管2と対向する位置へ離脱可能にセツトできる構成であるので、フアン状X線ビ− ムを用いるCT撮影に加え、フイルムカセツテ4やパネル型X線センサ5をセツトしてコ−ン状X線ビ−ムを被検体Mに照射し関心部位全 体の透視像を撮影する。これにより、透視撮影専用のX線管が無くても透視撮影が可能である。また、透視撮影専用のX線管が無いの で、装置の設置も容易となる。 21 特願平09-317022 X線診断装置 【 目的】CT撮影と関心部位全体の透視撮影の両方が出来るのに加え、透視撮影の際に撮影方向の選択ができるようにする。£X線照 26-000199 島津製作 射制御手段、X線検出手段、X線断層撮影、デ−タ処理手段、X線透視撮影【 構成】このX線診断装置は、フアン状・コ−ン状の両X線ビ 所: ( 株) −ムの選択設定用のコリメ−タ4付きのX線管2とパネル型X線センサ3が被検体Mを挟んで対抗配置したまま回転可能となつており、 CT撮影ではフアン状X線ビ−ムFBが照射されると共にX線センサ3からの検出デ−タに基づき画像再構成処理が行われてCT画像が 得られる。透視撮影ではコ−ン状X線ビ−ムCBが照射されると共にX線センサ3からの検出デ−タに基づき画像デ−タ処理が行われ てX線透視画像が得られる。又、透視撮影の場合、X線管2を回転移動させるとビ−ム照射方向が変わり、撮影方向が変化するので、 撮影方向の選択ができる。 22 特願平10- 55969 コ−ンビ−ム型X線C 【 目的】 断層像に加えて任意の1方向から見た透視像をリアルタイムで表示できるようにする。£画像再構成手段、コ−ン状、X線ビ− 26-000199 島津製作 T装置 ム、回転手段【 構成】X線管11、イメ−ジインテンシフアイア13、TVカメラ14等を被写体10の周囲に連続回転させ、デ−タ収集装置1 所: ( 株) 5を経て、各角度方向からの2次元デ−タを収集する。ついで、これより画像再構成装置16において、各スライスでの断層像を再構成 して、その画像のデ−タを画像メモリ17に格納するとともに、回転角度検出器21で検出した角度が設定角度に一致したときに、2次元 デ−タを2次元透視像処理装置23に取り込ませ、その角度方向の透視像のデ−タを画像メモリ17に格納し、画像表示装置18におい て、その透視像を断層像とともに表示する。 23 特願平10-144138 X線CT装置 24 特願平10-156002 X線コンピユ−タ断層 【 目的】(J)平面検出器を有し、コ−ンビ−ムデ−タを収集しているものにおいて、焦点軌跡に対応する特定の傾斜方向に沿つて投影 13-000307 東芝: ( 株) 撮影装置 デ−タをフイルタ処理し、フイルタ処理後の投影デ−タを3次元逆投影させることにより、コ−ンビ−ムア−チフアクト等の抑制を図る。 £2次元フイルタ処理手段、1次元コンボリユ−シヨン、コンボリユ−シヨン関数、ライノグラム法、高速フ−リエ変換法【構成】コ−ンビ −ムCT10は、コ−ンビ−ム形状のX線を照射するX線管21と、X線管21に対し被検体を挟んで対向配置される面検出器23とが一体 回転可能に取付けられた架台25を有する。X線管21には、X線制御装置17による制御下で高電圧発生装置19にて発生された高電 圧が供給されている。そして面検出器23の出力に基づいて被検体の多方向からの投影デ−タをデ−タ収集部27で得、これら投影デ −タから画像再構成部31にて画像再構成するが、この際、焦点軌跡に対応する所定の傾斜方向に沿つて投影デ−タをフイルタ処理 し、フイルタ処理後の投影デ−タを3次元逆投影させて再構成画像を得る。 25 特願平10-226206 放射線CT装置 【 目的】 被検体での減弱が大きな領域で十分なX線量を確保することができ、且つ被検体での減弱が少ない領域等で検出素子が飽和 13-420143 日立メデイ することを防ぐことができ、これにより高画質の再構成像を得ることができるようにする。£断層像、イメ−ジインテンシフアイヤ、平面セ コ:(株) ンサ、半導体検出器【 構成】X線管11から被検体14での減弱が大きな領域でも十分なX線量が得られるようなフアンビ−ム、又はコ− ンビ−ムX線を照射する。一方、1次元又は2次元の検出器12の入射側の一部にポストフイルタ17を設け、ポストフイルタ17によつて 透過X線を減弱し、これにより被検体14による透過X線の減弱の少ない領域や、被検体14を透過しない領域の検出素子が飽和しない ようにする。 【 目的】 円錐状又は多角錐状の放射線を用いたCT装置であつて、コ−ン角に関わらず放射線被曝量等が均一なコ−ンビ−ムCT装置 13-000307 東芝: ( 株) を提供する。£X線ビ−ム、透過放射線、フアンビ−ム、被曝量【 構成】 円錐状又は多角錐状のコ−ンビ−ム52を被検体60に向けて 曝射する放射線ビ−ム発生源12と、被検体60を透過したコ−ンビ−ム52を検出する少なくとも2つの検出器列を有する検出器72 と、コ−ンビ−ム52を減弱させるために放射線ビ−ム発生源12と被検体60との間に配置され、透過した放射線ビ−ムの線量がコ− ン角にかかわらず一定となるように性状を変化させたウエツジ24とからなる。 No. 出願番号 発明( 考案) の名称 要約( 抄録文) 出願人 参考資料 2-2-41 26 特願平10-229046 放射線撮像装置 【 目的】コ−ン状の放射線により撮像を行う放射線撮像装置において、X線ビ−ムの検出位置や検出面積を変更可能とすることによつ 13-000307 東芝: ( 株) て、複雑なデ−タ収集を可能にし、多様な放射線撮像を実現する。£放射線発生源、電気信号、回転軸、X線CT装置【構成】 放射線撮 像装置1は、被検体2を中心に回転しながら被検体2にX線ビ−ムを曝射する線源3と、被検体2を挟んで線源3と対向配置されて線源 3と共に回転し、線源3からのX線ビ−ムを検出する検出器4とを有するものであり、検出器4は、線源3からのX線ビ−ムを電荷として 検出しデ−タ処理手段( 図示せず)に検出器出力を出力する検出素子が、回転方向(ch方向)及び回転軸方向の2方向に格子状に配 置されて構成されている。 27 特願平10-276064 X線CTスキヤナ 【 目的】 連続X線を用いてコ−ンビ−ムでスキヤンを行うときに、デ−タ収集装置(DAS)の実用的な回路規模を維持しつつ、スキヤン 13-000307 東芝: ( 株) 時間を格別に長期化させないで、投影デ−タの収集タイミングのずれに起因した実効パスのずれの影響を排除して、歪みの少ない、高 分解能な投影デ−タを確実に収集する。£マトリクス配置、フルチヤンネル、オ−バ−スキヤン【 構成】X線を連続的に曝射するX線管 と2次元検出器11を有する。X線はコ−ンビ−ム状に整形される。検出器11が検出した透過X線の強度を投影デ−タとして収集する デ−タ収集装置(DAS)24を有する。DAS24は列方向またはチヤンネル方向の一方を優先して投影デ−タを読み出す。再構成ユニ ツトは、複数のX線検出素子の収集に関わるX線実効パスに拠るX線管の仮想実効焦点位置を求めて投影デ−タと仮想実効焦点位置 とに基づき画像デ−タを再構成する。 28 特願平10-277293 3次元CTイメ−ジング 【 目的】(J)イメ−ジング装置によるイメ−ジング操作の間に測定デ−タを収集する前に、最終的な画像再構成を展開するのに必要な USシ−メンス 装置の操作方法なら 収集測定デ−タを処理するに当つての画像再構成処理情報を予計算することにより、測定デ−タ処理の速度及び効率を改善する。£ コ−ポレイト リサ− びにスキヤンニングお ジオメトリパラメ−タ、マスキング、ラドンデ−タ変換手段【構成】コ−ンビ−ム3次元CTイメ−ジング装置では、マニピユレ−タ6、コンピ チ INC よびデ−タ収集装置 ユ−タ8、ソ−ス10及び検出器12が共働して被検体のスキヤンニングを行つており、X線エネルギがイメ−ジング装置の視野を通過し た後、検出器12中に入射した際の測定信号をデ−タ収集システム17を介してプロセツサ18に送り、ここで画像を再構成している。こ の際、測定デ−タの収集に先立ち、最終的な画像再構成への寄与を展開するのに必要な収集測定デ−タを処理するに当つての画像 再構成処理情報を予計算する。また測定デ−タの相応する複数の集合を収集するため複数位置でソ−ス10及び検出器12を操作す る。 局所照射X線CT撮影 【 目的】 被写体の局所部位の断層面画像を得るのに、X線の被爆線量が抑制され、撮影時間の短縮化された局所照射X線CT撮影方 26-422564 モリタ製作 方法及びその装置 法とその装置を提供する。£旋回方向、ビ−ム幅、条件式【 構成】 旋回ア−ムの回転中心3aを撮影すべき局所部位Pの中心位置Paに 所: ( 株) 13日本 固定した状態で、X線発生器1からは被写体の一部である撮影すべき局所部位Pのみを包含するX線コ−ンビ−ム1aを局所照射しな 大学: ( 学) がら、旋回ア−ムを撮影条件に応じた角度範囲で旋回させることによつて、局所部位PのX線投影画像を2次元X線イメ−ジセンサ2上 に生成し、このようにして生成されたX線投影画像を演算処理して、局所部位の3次元的なX線吸収係数分布情報を画像情報として取 り出して、その局所部位Pの任意の断層面画像を生成する。 29 特願平10-291416 30 特願平10-329813 放射線画像形成装置 【 目的】コ−ンビ−ムCTにおいて、ダイナミツクレンジの狭い放射線検出器を使用しても、エネルギ−吸収差の大きい被写体のボリユ 14-000520 富士写真 −ムデ−タを生成することができるようにする。£放射線源、撮影画像、断層画像、走査ビ−ム、X線フイルム【 構成】 撮影系制御手段 フイルム (株) 13により検出感度レンジを切り換えて、互いに異なる検出感度レンジで撮影し検出を行わせる。投影画像デ−タ生成手段20が各検 出感度レンジにおける投影画像デ−タD21,D22を生成する。投影画像デ−タ合成手段41が、両投影画像デ−タD21,D22を各画 素毎に加算平均して合成済投影画像デ−タD20を求める。ボリユ−ムデ−タ生成手段42が、この加算平均によりダイナミツクレンジ の拡大された合成済投影画像デ−タD20に基づいてボリユ−ムデ−タD3を生成する。 31 特願平10-337000 コ−ンビ−ムCTの散 【 目的】コ−ンビ−ムCTの散乱線除去装置において、画像の干渉縞を防止する。£放射線、円筒状グリツド、放射線撮影、モアレ【 構 14-000520 富士写真 乱線除去装置 成】コ−ンビ−ムCTの散乱線除去装置1''は、被写体4''にX線を照射するX線源F''と、被写体4''を透過したX線を受けて画像信号に変 フイルム (株) 換する検出器12''と、被写体4''と検出器12''の間を通つて回転する散乱線除去の為の円筒状のグリツド30を有する。グリツド30は所 定の回転数で回転されるので検出器12''にグリツド30の影が固定して投影されることがない。従つて、影と検出器12''の光検出素子と の位置関係の相互作用による干渉縞が生じず、得られる画像にむらを生じて品質を低下させることがない。 No. 出願番号 発明( 考案) の名称 要約( 抄録文) 出願人 参考資料 2-2-42 32 特願平10-503429 円及び線の走査経路 【 目的】コ−ン・ビ−ム線源と物体との間に円形成分と線形成分とを含む走査経路に沿つて相対的な移動を実施し,その移動の間にコ US-000732 ジエネラ によるCTコ−ン・ビ− −ン・ビ−ム線源を動作してコ−ンビ−ムデ−タを投影することにより,物体の画像の再構成を容易にする。【構成】コ−ン・ビ−ムX線 ル エレクトリツク C ム画像再構成 源12は物体10を照射するように配置し,独立した検出器素子のマトリツクス配列を含んでいる付設された平面検出器配列16に,物 O 体10の画像14を表すコ−ンビ−ムデ−タを投影する。コ−ンビ−ム投影デ−タは,物体10に入射すると共に検出器配列16の夫々 の検出器素子によつて検知されるX線光子の形態を有し,平面検出器16はアナログ形態のコ−ンビ−ム投影デ−タを形成する。この デ−タはデ−タ収集システム(DAS)20に結合され,DAS20は夫々の検出素子からアナログデ−タをサンプリングすると共に,デ−タ を後続処理のためにデイジタル形態に変換する。 33 特願平10-543061 転頭運動をするスライ 【 目的】 検出器のアレイで領域を走査して,走査デ−タを発生し,縦軸に沿つて対応する画像デ−タスライスを定義し,画像デ−タスラ US-196016 アナロジ スのCT画像の再構成 イスが互いに平行でないようにし,画像デ−タスライスに対する画像デ−タを発生することにより,画像の品質低下を防止する。【 構成】ツク CORP システムは二次元のX線検出器アレイ112に向かつてX線を放射するX線源110を有する。検出器アレイ112は座標z′及びqを有す るフラツトなアレイである。オブジエクト116で減衰するX線をアレイ112の中の検出器118で検出する。検出器のアレイ112はz′軸 に沿う検出器のロウ120と,q軸に沿うカラム124を含む。コ−ンビ−ム114をq軸に沿つて拡散し,z′軸に沿つて隣接するフアンビ −ムから構成する。デイスクをガントリサポ−トの内部に回転可能にマウントし,ソ−ス110および検出器アレイ112がz軸の回りに, 従つて走査するオブジエクト116の回りに同時に回転する。 34 特願平11- 21647 コ−ンビ−ムCT装置 【 目的】(J)透過X線像を互いに相異する複数組みに分け、組毎に再構成した透過X線像の内でX線分布像毎の鮮鋭度が最大の組の 13-420143 日立メデイ 透過X線像に基づいてX線断層像又は三次元X線像を生成することにより、被写体の動きを除去する。£再構成手段、鮮鋭度演算手 コ:(株) 段、ミツドプレ−ン、差分画像、画質【構成】制御収集装置109からの制御信号で透過X線像の計測が開始し、回転装置108が回転す る。その回転角が所定角度に達するとX線発生装置101がX線を照射し、二次元透過X線像検出装置102で透過X線を計測して画像 を形成する。制御収集装置109がこの透過X線を回転装置108の回転角すなわち投影角と共に収集し、格納装置に格納する。次いで 処理表示装置110でガンマ補正、画像歪み補正、対数変換、二次元検出器の感度むら補正等を行つた後、三次元X線分布像を形成 して表示する。こうして撮影中の被写体111の動きを除去できる。 35 特願平11- 76037 放射線画像撮影方法 【 目的】コ−ンビ−ムを用いた放射線画像形成装置において、散乱線を除去し、被写体の撮影を効率的に行うようにする。£放射線検 14-000520 富士写真 及び装置 出器、放射線画像、フアンビ−ム状、コ−ンビ−ムCTシステム【構成】放射線画像形成装置1において、被写体2の上方に放射線源1 フイルム (株) 0を、下方に検出器16を設け、放射線源10と被写体2の間に遮蔽板14、被写体2と検出器16に間に遮蔽板8を設ける。遮蔽板8,1 4には夫々スリツト6,12が設けられ、これらのスリツト6,12は、放射線源10から放射されたX線4が各スリツト6,12を直線的に通過 するように直線状に整列される。検出器16には、被写体2の一部を透過したX線投影像22が形成される。撮影部30を被写体2の周り に1回転させ、次に遮蔽板8,14をずらせて、放射線4の位置を変えて1回転させる。このステツプを繰り返して被写体2の全体を撮像 した後、投影像を合成し、更に3次元画像を再構成する。 36 特願平11- 84870 医用X線装置 【 目的】(J)水平軸回りで旋回される回転部材内にX線管と検出装置を対向配置し、この回転部材を被検体の体軸に対し任意角度に傾 13-420143 日立メデイ 斜可能に支持させることにより、被検体の多方向からの二次元画像と三次元画像を同一の装置で得られるようにする。£イメ−ジイン コ:(株) テンシフアイア、テレビカメラ、半導体検出器【構成】透視時は、直径方向に対向する位置にX線管2と受像装置3が設けられたリング1 を回転板駆動部12により、リング状の回転板支持枠6内で回転板4を介して回転させると共に、リング部駆動部9を駆動することによ つて、リング1を被検体の体軸と垂直或いは任意の傾斜角度に設定させる。そして設定した方向から透視して被検体の透過X線を受像 装置3で検出し、この検出信号を画像処理装置で処理して二次元画像を生成する。またコ−ンビ−ムCT撮像時には、リング1を傾斜さ せた状態で回転板4を被検体の周囲に回転させ、このときの検出信号を処理して三次元画像を生成する。 参考資料 2-2-43 37 特願平11-118178 X線コンピユ−タ断層 【 目的】 多数枚のスライスを短時間に撮影することができる簡単な構成のX線CT装置を提供する。£X線ビ−ム、スキヤン時間、画質、 13-000307 東芝: ( 株) 撮影装置 ピツチ、制御手段、フアンビ−ム【構成】コ−ンビ−ムを用いてヘリカルスキヤンを行ない、X線投影デ−タを2次元X線検出器で検出す る。コ−ンビ−ムをスライス厚方向に平行なビ−ムと見なして、投影デ−タの中からあるスライス位置とその隣接位置の360度の投影 デ−タを選択し、選択デ−タに基づいて通常のコンボリユ−シヨン・ バツクプロジエクシヨン方式の再構成を行い、スライスを再構成す る。 38 特願平11-128704 X線CT装置 【 目的】X線CT撮影の際の再構成エリアを、予め確認できるようにする。£X線撮像、再構成処理、重畳手段、X線コンピユ−タ断層撮 26-000199 島津製作 影【 構成】このX線CT装置は、被検体Mの周囲からコ−ン状X線ビ−ムを照射することによりフラツトパネル型X線センサから出力され 所: ( 株) る透過X線検出デ−タに基づき画像再構成を行うX線CT撮影に先立つて、被検体Mの周囲の任意方向からコ−ン状X線ビ−ムを照射 して得られるX線透過画像に、X線CT撮影の際の再構成エリアPaを重畳表示して表示モニタ7の画面に映し出す構成を備えている。X 線CT撮影を実行する前に、オペレ−タは、再構成エリアPa内に撮影対象の関心部位Maが納まるか否かを表示モニタ7の画面上でチ エツクできるので、所望の断面のX線CT画像を確実に得ることができる。 39 特願平11-232402 X線撮像装置 【 目的】コ−ン状X線ビ−ム照射方式のX線撮影において画像全体が鮮明なX線画像を得るようにする。£医療用、産業用、X線CT装 26-000199 島津製作 置【 構成】透過X線検出用のパネル型X線センサ2のX線検出面2Aに対してはコ−ン状X線ビ−ムCBのフイラメント側コ−ンビ−ム角 所: ( 株) θbを制限して狭くすることによつて実効焦点が大きいX線ビ−ム部分が除かれる構成であり、コ−ン状X線ビ−ムCBにおける実効焦 点が部分的に大きいという事態は解消されるので、X線照射部1からのコ−ン状X線ビ−ムCBの照射に伴つてパネル型X線センサ2 のX線検出面2Aに投影されるX線透視像がボケない。その結果、最終的に得られるX線CT画像も画像全体が鮮明なものとなる。 40 特願平11-250126 画像表示装置及び方 【 目的】 多数枚の画像デ−タの格納容量を小さくすることができ、かつ所望の画像を短時間で効率よく捜すことができるようにする。£X 13-420143 日立メデイ 法 線CT装置、コ−ンビ−ムCT装置、MRI 装置等【 構成】 連続性を有する多数枚の画像デ−タ20を、予め設定した枚数置きに選択した第 コ:(株) 1の画像デ−タ(スキツプデ−タ)23と、スキツプデ−タを除いた第2の画像デ−タ(スキツプされないデ−タ)24とに区別する。そして、 スキツプデ−タ23を圧縮せずに磁気デイスク73に格納するとともに、スキツプされないデ−タ24を圧縮処理して磁気デイスク73に格 納する。これにより格納容量を小さくする。また、スキツプデ−タ23に基づいて画像を表示させることより所望の画像を大まかに捜し、 その後、スキツプされないデ−タ24を解凍し、その解凍してデ−タに基づいて画像を選択的に表示させることにより所望の画像を詳細 に捜すことができるようにしている。 41 特願平11-269014 空間的に符号化され た検出器アレイ装置 および方法を含むCT スキヤナ 【 目的】(J)空間的に符号化された検出装置を、各種の厚さのスライス、同時に発生される複数のスライスの組に対してより効率的な検 US-196016 アナロジ 出面積が許容できるように設計することにより、検出要素の数を等しい長さの検出要素から作られるアレイの場合よりも少なくする。£ ツク CORP CTスライス、整数、二五進法、再構成円、CT走査【構成】CTスキヤナ10はZ軸である回転軸の回りに構台14の内部に、回転可能に 支持しているデイスク12を有し、デイスク12には走査の対象であるオブジエクト18を受け取る開口部16を設ける。X線のソ−ス20を 開口部16を横切つてX線のコ−ン・ビ−ム22を生成するためにデイスク12上に配置し、X線がオブジエクト18を通過した後にソ−ス2 0とは反対側にある検出器アレイ24上に投影される。検出器アレイ24の各検出器要素の出力はデ−タ収集システム(DAS)40に送 られ、DAS40はさらにプロセツサ42に接続され、プロセツサ42は再構成用コンピユ−タ44にデ−タ値を提供する。 42 特願平11-275099 被検体の中の関心領 域の3次元コンピユ− タ断層画像形成のた めの方法および装置 【 目的】(J)各2次元デ−タセツトし、2次元補正デ−タとを3次元空間の中への重み付け3次元逆投影法で組み合わせて、被検体の中 USシ−メンス の関心領域の3次元画像を再構成することにより、画像再構成の正確さを著しく損なうことなく、正確な画像再構成を行う。£コ−ンビ コ−ポレイト リサ− −ム画像形成装置、適応形マスク境界補正方法、関心領域3次元CT画像形成装置、デ−タ収集システム【 構成】 適切にプログラミング チ INC されたコンピユ−タ206からの制御信号に応答してコンピユ−タ制御マニユピレ−タ208によりX線等のエネルギ−のコ−ンまたはピ ラミツト状ビ−ムと、2次元画素化された検出器アレイ212とは、あらかじめ定められたビ−ム源スキヤンニング路に沿つて、複数の離 散的に順次に形成される互いに隣接するビ−ム源位置において、共働する。従つて、X線エネルギ−は、画像形成装置のビユ−フイ −ルドを透過し、被検体216により減衰され、検出器212の中の画素に達して、検出されたX線エネルギ−に対応する投影デ−タのセ ツトが形成される。 No. 出願番号 発明( 考案) の名称 要約( 抄録文) 出願人 参考資料 2-2-44 43 特願平11-330097 コ−ンビ−ム型放射 線CT装置 【 目的】 被検体における非撮影対象領域への不必要な放射線曝射を抑制する。£放射線照射手段、放射線検出面、CT装置、位置制 26-000199 島津製作 御手段、断層撮影【 構成】このコ−ンビ−ム型X線CT装置は、X線ビ−ム整形用のリ−フ片5A,5Bの位置制御により、撮影開始の際 所: ( 株) はX線ビ−ムを後側半角分が欠如した前側半角コ−ンビ−ムCBa から欠如した後側半角分が拡がつて全角コ−ンビ−ムCBへ移行さ せるとともに、撮影終了の際はX線ビ−ムを全角コ−ンビ−ムCBから拡がつている前側半角分が縮まつて前側半角分を欠如した後側 半角コ−ンビ−ムCBbへ移行させる構成を備える。半角コ−ンビ−ムCBa,CBbと全角コ−ンビ−ムCBとの間の移行期間中に制限 されるX線ビ−ムの分に応じて非撮影対象領域Mbに対する不必要な放射線曝射が従来よりも抑制される。 44 特願平11-340024 コ−ンビ−ムX線CT 【 目的】 各スライス画像の画質が均一になり、画像全体が均質で鮮明なX線CT画像が得られるコ−ンビ−ムX線CT装置を得る。£X線 26-000199 島津製作 装置 検出素子、X線検出器、断層画像、再構成画像、画像処理【 構成】このX線CT装置は、X線管1からのコ−ンビ−ムCBが照射されると 所: ( 株) 被検体Mを透過したX線が面X線センサ2で検出され、各スライス面に対応するX線検出信号(コ−ンビ−ムデ−タ)が得られ、コ−ンビ −ムデ−タより各スライス面の検出信号が順次読み出されて、再構成演算装置15の前処理部16を経てコンボリユ−シヨン部17に与 えられる。コンボリユ−シヨン部17には、フイルタ関数発生部19から、コ−ンビ−ムデ−タの各スライス面の検出信号の順次読み出し に同期して各スライス毎の各スライス位置でのX線管の実効焦点の大きさに対応するボケ寄与成分を除去するフイルタ関数が与えら れており、コンボリユ−シヨン部17は、各スライス面の検出デ−タとそのスライス面に対応するフイルタ関数とのコンボリユ−シヨン処 理を行つて、補正投影デ−タをバツクプロジエクシヨン部18に供給する。 45 特願2000- 5951 2次元アレイ型放射線 【 目的】コ−ンビ−ムX線CT装置に要求されているような2次元アレイ型の大きな検出面を有する2次元アレイ型放射線検出器を提供 26-000199 島津製作 検出器 する。£スイツチング素子、マルチスライス【構成】制御部10で制御されるゲ−トドライバ部8から、走査パルスをFET2のゲ−ト3に送 所: ( 株) るゲ−トバスライン6と、光電変換素子1の電荷信号をソ−ス5からドレイン4にゲ−トされ、デ−タ収集部9に読出すデ−タバスライン7 とが、不感部列15の垂直方向に平行して各一本づつ配線されて、検出器パネルの1辺に取り出され、制御部10、ゲ−トドライバ部8、 デ−タ収集部9が下方の1辺に配置されている。このモジユ−ルを複数個繋ぎ並べて大きな検出面を有する2次元アレイ型放射線検 出器を形成する。 46 特願2000- 71625 CTスキヤニング・シス 【 目的】(J)共用メモリにデ−タを入力し、その中から特定の画像情報を検出し、それらをデイスプレイ表示し、それを同一システム上で US-196016 アナロジ テムのためのア−キ 制御することにより、高感度、高信頼性の自動X線検出システムを得る。£ア−カイブ・システム、不揮発生メモリ、CTスライス、デ−タ・ツク CORP テクチヤ キユ−【 構成】 手荷物スキヤニングシステム100のコンベアシステム110は、CTスキヤニングシステム120の中央開口部を通して、矢 印方向114に手荷物112等を搬送する。X線管はコンベアシステム110中を運ばれる手荷物112にX線コ−ンビ−ム132を発射し、 検出器アレイ130で手荷物112の露光部の密度を表す信号を発生する。この信号をデ−タ収集システム134で受取り、CTスキヤニ ングの信号処理技法でコンピユ−タ処理する。オペレ−タデイスプレイサブシステムは、スキヤンされた特定の手荷物112中の危険物 を検出表示し、CTスキヤニングシステム120からの画像情報を表示する。 47 特願2000- 80365 3次元コンピユ−タラ 【 目的】(J)ラインセグメントの長さをどのようにして制限すべきかに従つて収集されたコ−ンビ−ムデ−タで形成されるラインセグメント USシ−メンス イズドトモグラフイツク をグル−プ分けすることにより、トツプ及びボトムサ−クル走査の必要なしに正確な画像再構成を行えるようにする。£コ−ンビ−ムコ コ−ポレイト リサ− イメ−ジングを行うた ンピユ−テツドトモグラフイイメ−ジングシステム、コ−ンビ−ムイメ−ジングシステム、コ−ンビ−ム3次元CTイメ−ジジング装置、RO チ INC めの方法及び装置 I、ビ−ム源走査軌道【構成】コンピユ−タ6及びマニピユレ−タ8の制御下でのビ−ム源10と検出器12の協調の結果、X線エネルギが 対象16の内部の変化するエネルギ吸収で選択的に減衰され、検出器12の素子に到来したコ−ンビ−ムデ−タのセツトをデ−タ収集 システム17に供給する。上部及び下部境界線を有するマスクで収集されたコ−ンビ−ム投影デ−タをマスキングし、コ−ンビ−ム投影 デ−タで形成される複数のラインセグメントの対するデ−タを計算する。マスクは複数のラインセグメントを別個のグル−プに分割する ために計算ステツプの間に使用し、グル−プのラインセグメントの長さを制限する。 No. 出願番号 発明( 考案) の名称 要約( 抄録文) 出願人 参考資料 2-2-45 48 特願2000-103972 X線CT装置及びその 【 目的】X線CT装置及びその撮影方法に関し、複雑多様なスキヤン計画を容易に可能とすると共に、スキヤン計画に従つて最適なCT 撮影方法 断層像を効率よく得る。£スカウト像、コ−ンビ−ム、医療、胸部、腹部【構成】フアンビ−ムを発生するX線源40と、多数のX線検出器 がチヤネル方向の円弧状又は円周状に配されかつこれが被検体体軸方向の複数列に並設されてなる多列検出器アレイ70とが被検 体を挟んで相対向し、多列検出器アレイの検出信号に基づき被検体のCT断層像を再構成するX線CT装置において、被検体のアキシ ヤル/ヘリカルスキヤンに際して被検体のスキヤン対象領域に対して異なるスライス厚のスキヤン計画情報を設定可能なスキヤン計 画設定手段1と、前記設定されたスキヤン計画情報に基づき対応するスライス位置及びスライス厚の投影デ−タを1回のスキヤン工程 で取得するスキヤン制御手段2とを備える。 USジ− イ− メデイカル システム ズ グロ−バル テク ノロジ− CO エル エル シ− 49 特願2000-112908 コ−ンビ−ム型X線C 【 目的】 再構成位置を最適な位置に設定できるコ−ンビ−ム型X線CT装置を提供する。£断層像、CTスキヤン、撮影位置、天板【 構 26-000199 島津製作 T装置 成】コ−ン状X線ビ−ムを被検体Mに照射するX線照射部1と2次元状に広がるX線検出面2aを有するX線検出器2とが、被検体Mを挟 所: ( 株) んでその体軸周りに回転するよう構成され、コ−ン状X線ビ−ム照射に伴つてX線検出器2からCT像再構成用の透過像が取得され被 検体Mをその体軸周りに走査するよう構成されたコ−ンビ−ム型X線CT装置において、被検体Mの体軸周りのうちで指定された複数 個の角度の被検体Mの透過像を再構成位置設定用として表示させる透過像処理部23を備え、再構成位置設定用の多方向からの透 過像に再構成位置が設定可能で、適切な位置に再構成位置が設定できる。 50 特願2000-130320 コ−ンビ−ム型放射 線CT装置 51 特願2000-183773 立体画像再構成方法 【 目的】CTスキヤナ−、原子カメラ及び、非平行軌道を示すデ−タを処理するスキヤナ−からのデ−タを再構成する。£頂点トラベル、 USマルコ−ニ 及び装置並びにCTス 螺旋状、ウエジビ−ム、コンピユ−タ−断層撮影スキヤナ−、X線伝送デ−タ、サンプリング位置、二次元アレイ、収集デ−タ、分散、傾 メデイカル システム キヤナ− 斜面、体積デ−タセツト、立体画像、透過放射線、表面リング、複数、画素、シリンダ半径、重み付け関数、メモリ−、二次元的【 構成】 コ ズ I NC −ンビ−ムスキヤナ−から集められたデ−タは、再構成シリンダに再構成される多数の二次元又は三次元傾斜表面44を画定すること によつて立体画像表示に再構成される。補間装置52は傾斜表面を通る非冗長放射線を識別する。識別した非冗長放射線からのデ− タは第一デ−タプロセツサ−54によつて重み付けされる。第二デ−タプロセツサ−56は重み付けしたデ−タを畳み込みし、そしてそ のデ−タをバツクプロジエクタ−58に通してそのデ−タを画像メモリ−60にバツクプロジエクトさせる。従つて、傾斜表面再構成技術に より、最少数のプロジエクシヨンを用いる三次元再構成技術と共に相対的計算の簡潔性及び有効性をもつ従来の二次元畳み込み及び バツクプロジエクシヨン技術を使用できるようになる。 52 特願2000-194741 X線コンピユ−タ断層 【 目的】(J)螺旋状軌道に沿つてデ−タをサンプリング及びリサンプリングし、得られたデ−タから心拍の特定期における1画像再構成 14東芝情報シ 撮影装置 に要する角度範囲分のデ−タを抽出し、タ−ゲツトスライス位置に関する画像を再構成することにより、連続断面画像を連続的に得 ステム (株)13る。£CTスキヤナ、X線制御部、架台寝台制御部、デ−タ収集システム、心電計【構成】X線をコ−ンビ−ム形状に発生するX線管11 000307 東芝: ( 株) を回転リングに取付け、また回転リングには、X線管11に対向させてマルチスライス対応の検出器13を取付ける。ヘリカルスキヤンに 際しては、回転リングを連続的に回転させ、X線管11を検出器13と共に螺旋状軌道を移動させる。この移動中、検出器13の出力をサ ンプリングし、得られたデ−タから所定スライス厚内に設定された所定数のリサンプリング位置各々に関するデ−タをリサンプリングす る。そしてリサンプリングしたデ−タから、心拍の特定期における1画素再構成に要する角度範囲分のデ−タを抽出して、画像再構成を 図る。 【 目的】 被検体における非撮影対象領域への不必要なX線曝射を低減させる、あるいは防止する。£放射線照射手段、放射線検出 26-000199 島津製作 面、CT像再構成用、ガントリ、医療用、放射線断層撮影【構成】このコ−ンビ−ム型X線CT装置は、撮影開始時はコ−ン状X線ビ−ム 所: ( 株) CBの後側側面CBaを撮影対象領域Maの後端面に一致させてX線ビ−ム全体を撮影対象領域Ma に留め、撮影進行中にはコ−ン状 X線ビ−ムCBの照射中心CNを体軸Zに対して直角へ移行させ、撮影終了時はコ−ン状X線ビ−ムCBの前側側面CBbを撮影対象領 域Ma の前端面に一致させてX線ビ−ム全体を撮影対象領域Maに留めるようコ−ン状X線ビ−ムCBのテイルト角度θを変化させる構 成を備える。これにより、非撮影対象領域Mbへの不必要なX線曝射を低減させることができる。 No. 出願番号 発明( 考案) の名称 要約( 抄録文) 出願人 参考資料 2-2-46 53 特願2000-272383 二次元アレイ型放射 【 目的】コリメ−タ板を精度良く保持しX線吸収を少なくして、安価に製作できるコリメ−タを備えた二次元アレイ型放射線検出器の製造 26-000199 島津製作 線検出器の製造方法 方法を提供する。£放射線、円錐状、曝射、コ−ンビ−ムCT装置、X線フラツトパネルセンサ【構成】チヤンネル方向コリメ−タ1の全体 所: ( 株) 外形に沿つた形状のくりぬき空間の内方に沿つて、コリメ−タ板4の側部が嵌挿できる多数の垂直な溝8を有するチヤンネル方向コリメ −タ用治具7を用い、コリメ−タ板4を垂直な溝8に挿入し、支持体6をコリメ−タ板4の端部に接着し、治具から引きぬきつつ、コリメ− タ板4の側端面に、X線透過性の良い曲げることができる薄い補強板9を接着しながら引き抜いて、その後に反対側の端部にもう一つ の支持体を接着し、チヤンネル方向コリメ−タ1を形成する。スライス方向コリメ−タについても同様に行い、両者を直交させて検出器と 取付枠で固定する。 54 特願2000-326256 コ−ン・ビ−ム・マル 【 目的】(J)X線源からX線コ−ン・ビ−ムを投射する際、物体の再構成ボリユ−ム内のボクセルに対する軌道に沿つたセグメントの寄 USジ− イ− チスライス式CT補正 与分を決定し、この寄与分を検出器の曲率及びX線コ−ン・ビ−ムの形状について補償することにより、画像品質を向上させる。£フア メデイカル システム 方法及び装置 ン角度、線源角度、二重積分、フイルタ処理、逆投影【 構成】 物体22に対する螺旋軌道に沿つて移動するX線源14からのX線コ−ン・ ズ グロ−バル テク ビ−ム16は、物体(患者)22を通して湾曲した円筒形検出器18へ投射されるイメ−ジング・システム10では、検出器デ−タの処理が ノロジ− CO エル DAS32、画像化再構成器34及びコンピユ−タ36によつて実行され、生成された画像が表示器42上に表示されている。この際、物体 エル シ− 22の再構成ボリユ−ム内のボクセルに対する軌道に沿つた複数のセグメントのそれぞれの寄与分を決定する。そして決定された寄与 分を、検出器18の曲率及びX線コ−ン・ビ−ム16の形状について補償することによつて、最良の画像品質と実用性を得る。 55 特願2000-348438 画像表示方法及び装 【 目的】(J)2次元投影デ−タを記憶し、設定した拡大又は縮小領域に3次元画像として再構成し、画像デ−タを画像信号に変換して表 13-420143 日立メデイ 置 示する様に構成することにより、3次元構成画像の即時表示を可能にする。£コ−ンビ−ム3次元X線CT画像、2次元X線検出手段、 コ:(株) 回転手段、演算時間【 構成】X線管4で被検体にX線を照射し、その透過光をイメ−ジインテンシフアイア7で光学像変換し、CCDカメラ 素子8に結像させる。この結像の映像電気信号をCCDカメラ制御器9でデイジタル信号に変換し、投影画像デ−タとして画像処理装置 10に収集・格納する。この画像デ−タをアナログ変換して投影画像信号に形成し、表示装置11に表示する。操作器12により投影像 に対する拡大再構成領域設定、再構成画表示選択、再構成演算、再構成画切出し等を順次行う。この構成で、拡大、縮小の3次元再 構成画像が即時に得られる。 56 特願2000-516219 法線曲面を用いたCT 【 目的】 視野の較正スキヤンを実行し,較正用シキイ値を設定し,較正用シキイ値を超える較正スキヤンデ−タを選択し,選択された較 US-196016 アナロジ 目標物の検出 正スキヤンデ−タを用い各検出器に対し較正値を計算し,検出器で取得したスキヤンデ−タを調整する為に次回のスキヤン中で使用 ツク CORP することにより,スキヤニングシステムを較正する。【構成】具体的例として,荷物スキヤニングシステム100において,X線管128はピ ラミツド的形状のX線ビ−ムを発生し,手荷物112がコンベヤシステム110で輸送される間に通る三次元画像野を透過する。画像野中 に載置される手荷物が通過した後,手荷物112の暴露された位置を表す信号を次に発生させる検出アレ−130がコ−ンビ−ム132 を受ける。検出アレ−130からの信号はデ−タ取得システム134により始めに取得され,続いてCTスキヤニング信号処理技術を用い てコンピユ−タシステムにより処理され,解析が行われる。 付帯資料 2. 欧米特許タイトル語 (1)コーンビーム型X線CT撮影装置関連欧米特許 38 件 80/8/1 DIALOG(R)File 352:(c) 2002 Thomson Derwent. 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All rts. reserv. 009308134 **Image available** WPI Acc No: 1993-001570/199301 XRPX Acc No: N93-001054 Number of Countries: 003 Number of Patents: 004 Title Terms: TOMOGRAPHY; IMAGE; RECONSTRUCT; CROSS; PLANE; RAY; TWO-DIMENSIONAL; DETECT; ARRAY; COLLECT; RADIATE; RAY; PASS; THROUGH; IMAGE; OBJECT; SUPPORT; GANTRY; ASSEMBLE 参考資料 2-2-60 Derwent Class: P31; S05 International Patent Class (Main): A61B-006/03; G01N-023/083 File Segment: EPI; EngPI Manual Codes (EPI/S-X): S05-D02A1 80/8/34 DIALOG(R)File 352:(c) 2002 Thomson Derwent. All rts. reserv. 009091607 **Image available** WPI Acc No: 1992-219030/199227 XRPX Acc No: N92-166321 Number of Countries: 008 Number of Patents: 006 Title Terms: RECONSTRUCT; IMAGE; COMPUTER; TOMOGRAPHY; RECONSTRUCT; IMAGE; OBJECT; INCOMPLETE; X-RAY; CONE; BEAM; PROJECT; DATA; EMPLOY; OBJECT; BOUNDARY; INFORMATION; SEPARATE; OPTICAL; SCAN Derwent Class: P31; S03; S05; T01 International Patent Class (Main): G01N-023/04; G06F-015/42; G06F-015/62; G06F-015/66; G06F-159-00 International Patent Class (Additional): A61B-006/00; A61B-006/03; G01N-023/00; G06T-015/00 File Segment: EPI; EngPI Manual Codes (EPI/S-X): S03-E06B; S05-D02A5E; T01-J10G 80/8/35 DIALOG(R)File 352:(c) 2002 Thomson Derwent. All rts. reserv. 009091606 **Image available** WPI Acc No: 1992-219029/199227 XRPX Acc No: N92-166320 Number of Countries: 008 Number of Patents: 008 Title Terms: RECONSTRUCT; IMAGE; X-RAY; CONE; BEAM; DATA; CONVERT; PLANE; INTEGRAL; THREE; DIMENSION; IMAGE; RECONSTRUCT; THROUGH; INVERSE; RADON; TRANSFORM Derwent Class: P31; S03; S05; T01 International Patent Class (Main): G01N-023/04; G06F-015/42; G06F-015/62; G06F-015/66; G06F-159-00; G06T-011/00 International Patent Class (Additional): A61B-006/00; A61B-006/03; G01N-023/00; G06T-015/00 参考資料 2-2-61 File Segment: EPI; EngPI Manual Codes (EPI/S-X): S03-E06B; S05-D02A1; S05-D02A5E; T01-J10C4; T01-J10G 80/8/36 DIALOG(R)File 352:(c) 2002 Thomson Derwent. All rts. reserv. 009005001 **Image available** WPI Acc No: 1992-132298/199216 XRPX Acc No: N92-098660 Number of Countries: 007 Number of Patents: 007 Title Terms: PARALLEL; PROCESS; METHOD; ALGEBRA; RECONSTRUCT; TECHNIQUE; RECONSTRUCT; THREE- DIMENSIONAL; COMPUTER; TOMOGRAPHY Derwent Class: P31; S05; T01 International Patent Class (Main): G06F-015/00; G06F-015/62; G06F-015/72; G06T-017/00 International Patent Class (Additional): A61B-006/00; A61B-006/03 File Segment: EPI; EngPI Manual Codes (EPI/S-X): S05-D02A1; T01-F03B; T01-J10; T01-J10C4 80/8/37 DIALOG(R)File 352:(c) 2002 Thomson Derwent. All rts. reserv. 008986736 **Image available** WPI Acc No: 1992-114005/199214 XRPX Acc No: N92-085294 Number of Countries: 007 Number of Patents: 007 Title Terms: THREE-DIMENSIONAL; COMPUTER; TOMOGRAPHY; IMAGE; OBJECT; CONICAL; BEAM; X-RAY; SOURCE; TWO; DIMENSION; ARRAY; DETECT; POSITION; SCAN; OBJECT; NUMBER; POSITION Derwent Class: P31; S03; S05 International Patent Class (Main): A61B-006/03; G01N-023/04; G06F-015/42 File Segment: EPI; EngPI Manual Codes (EPI/S-X): S03-E06B; S05-D02A1 80/8/38 DIALOG(R)File 352:(c) 2002 Thomson Derwent. All rts. reserv. 008801252 **Image available** 参考資料 2-2-62 WPI Acc No: 1991-305264/199142 XRPX Acc No: N91-233832 Number of Countries: 017 Number of Patents: 011 Title Terms: BLOOD; FLOW; MEASURE; DEVICE; MEASURE; REFERENCE; NEUTRAL; ELECTRODE; DIFFER; AMPLIFY; DISPLAY Derwent Class: P31; S05 International Patent Class (Main): A61B-005/026 International Patent Class (Additional): A61B-005/02; A61B-005/05; G01N-027/30 File Segment: EPI; EngPI Manual Codes (EPI/S-X): S05-D01B1; S05-D01D 参考資料 2-2-63 (2) 4次元X線CT撮影装置関連欧米特許 2 件 5/8/1 DIALOG(R)File 352:(c) 2002 Thomson Derwent. All rts. reserv. 013193971 **Image available** WPI Acc No: 2000-365844/200031 XRPX Acc No: N00-273747 Number of Countries: 091 Number of Patents: 005 Title Terms: FOUR; DIMENSION; RECONSTRUCT; METHOD; OBJECT; BODY; TISSUE; DETERMINE; LOCATE; IMAGE; OBJECT; BASED; ESTIMATE; MOVEMENT; VOXEL Derwent Class: S05; T01 International Patent Class (Main): G06K-009/36 File Segment: EPI Manual Codes (EPI/S-X): S05-D02B2; T01-J03; T01-J04D; T01-J05B4P; T01-J10C4B 5/8/2 DIALOG(R)File 352:(c) 2002 Thomson Derwent. All rts. reserv. 009805367 **Image available** WPI Acc No: 1994-085222/199411 Related WPI Acc No: 1990-126412; 1990-225587; 1991-157619; 1992-058513; 1992-090176; 1993-235418; 1995-115060; 1995-241902; 1996-252874; 1996-252875 XRPX Acc No: N94-066716 Number of Countries: 003 Number of Patents: 004 Title Terms: MEDICAL; IMAGE; SPIRAL; IRRADIATE; VOLUME; INTEREST; SAMPLE; INTERPOLATION; RECONSTRUCT; SPACE; SET; IMAGE; SPACE; YIELD; FOUR; DIMENSION; IMAGE; REPRESENT; LINEAR; DIRECTION Derwent Class: P31; S05; T01 International Patent Class (Main): A61B-006/03 International Patent Class (Additional): A61B-006/00 File Segment: EPI; EngPI Manual Codes (EPI/S-X): S05-D02A1; S05-D02A5E; T01-J06A; T01-J10G 参考資料 2-2-64 付帯資料 3. 参考文献 1. 薬事工業生産動態統計年報:1984-2000 2. 日本電子機械工業会編、改訂 ME 機器ハンドブック 3. 放医研ニュース No.64 4. 放医研ウエブサイト 5. 科学技術振興事業団、大視野 3 次元 X 線 CT 装置の開発に成功、平成 10 年 12 月 24 日 6. 佐藤一雅、展望 X 線 CT における短時間広域撮影による立体画像化装置(コーンビーム CT)の開発、Isotope News 1999 年 9 月号 7. 辻岡勝美、X 線 CT 装置の歴史、日本放射線技術学会雑誌 2002.1 8. 信太泰雄、高速化が進む X 線 CT システム、東芝レビューVol.57,No.2,2002 9. 医用ソリューションへの挑戦、3.人体内部の動きを描出する X 線 CT スキャナ-断面像 から、立体像、立体動画像へ、東芝レビューVol.56,No.6,2001 10. CT 開発の方向性 医療上の意義を主題に技術時開発を推進 11. CT 開発の方向性 検査適応の拡大へのチャレンジ 12. CT 開発の方向性 診断能向上の先にあるスピーディなアプリケーション開発を 東芝、月刊新医療 2001.11 島津製作所、月刊新医療 2001.11 GE 横 河メディカルシステム、月刊新医療 2001.11 13. Interview CT 新技術開発を聞く、アブミ骨の正確な画像の必要が「S-first」を生む、 月刊新医療 2001.10 14. X 線 CT 設置台数及び稼働機種別一覧、月刊新医療 2001.10 15. 石風呂実、より良い 3 次元画像を提供するために、INNERVISION 2002.6 16. 2002 国際医用画像総合展(ITEM2002)進化を続けるマルチスライス CT,16 列実用化 へ、INNERVISION 2002.6 17. 特集 マルチスライス CT 最新動向 18. IV リポート 8 列・16 列の臨床応用、INNERVISION 2002.4 シーメンス旭メディテック「第 2 回シーメンス最先端技術講演会」を開 催、INNERVISION 2002.4 19. 特集 RSNA2001、INNERVISION 2002.3 20. 市川勝弘、CT イメージング(その2)、INNERVISION 2002.3 21. 特別企画 第 5 回全国 X 線 CT 技術サミット報告、INNERVISION 2001.11 22. 日本放射線技術学会雑誌 第 29 回秋季学術大会一般研究発表予稿集 2001.9 23. 経済産業省ウエブサイト 24. NEDO ウエブサイト 25. 文部科学省ウエブサイト 26. SPIE(International Society for Optical Engineering)のウエブサイト 27. EU ウエブサイト 28. 各社ウエブサイト 参考資料 2-2-65