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4,4`-ジアミノジフェニルメタン
SIDS in HPV programme & CCAP SIAM 10, 15/03/2000 初期評価プロファイル(SIAP) 4,4’‐メチレンジアニリン 物質名 :4,4’-Methylenedianiline(MDA) 分子式 :C13H14N2 CAS No.:101-77-9 勧告 本物質は今後の作業の候補である。 SIARの結論の概要 ヒトの健康 MDA はラットに対して次のような中程度の急性毒性を持つ。経口 LD50:350~450mg/kg,皮膚 LD50: 1000mg/kg,吸入 LC50:>0.837mg/L(この濃度は室温で到達可能な最高濃度よりも上である) 。標的臓器 は肝臓と腎臓(ネコとイヌでは眼も)である。MDA はウサギの皮膚に対してわずかな刺激性を持ち,ウサ ギの眼に対して軽度ないし中程度の刺激を生じる。ヒトに関する証拠から,MDA は皮膚感作物質であるこ とが示される。 MDAはin vitro とin vivo の両方で突然変異を誘発し,発がん性を持つことが明らかにされている。ラット とマウスにMDAを長期間経口投与すると,肝臓と甲状腺に腫瘍が生じる(非腫瘍性 LOAEL は雄ラットで 9mg/kg 体重/日,雌ラットで 10mg/kg 体重/日)。しかしながら入手できたヒトのデータにより発がん作用 を証明できなかった。動物またはヒトの発生・生殖データは存在しない。 環境 MDA のlogKow は1.59,水への溶解度は1.25g/L,蒸気圧は2.87×10-8hPa である。MDA は揮発せず,加 水分解されないと思われる。MDA は産業用の廃水処理施設(WWTP)で生分解される。現在のデータベース から,地方自治体の WWTP では分解されないと推定される。水圏での主な変換経路はおそらく光分解であ ろう。MDA は底質と土壌の有機物と共有結合を形成する。フミン酸との反応生成物はわずかしか生分解さ れないので,底質に蓄積すると思わなければならない。 MDA が魚類に生物蓄積する可能性は低いと思われる。しかし底質に生息する生物にはフミン化合物との 反応生成物が蓄積する可能性があるが,この評価項目に関する影響データは存在しない。 藻類,ミジンコ,魚類のそれぞれに関する最小の急性・長期影響値として次のようなデータを選んだ。 Scenedesmus subspicatus(クロレラ目の1種)の72時間EC50=11mg/L,72時間EC10=0.3mg/L;Moina macrocopa(タマミジンコ)の24時間EC50=2.3mg/L,14日間NOEC=0.15mg/L,Oryzias latipes(メダカ) 1 一般社団法人 日本化学物質安全・情報センター の48時間LC50=32mg/L。評価係数50を使用してMoina macrocopa の14日間NOECからPNECを導出すると 3 μg/L となる。 製造の際の MDA の環境への放出は主に廃水による。大気と土壌への大量の放出はないと思われる。 ばく露 1993 年の 4,4’‐メチレンジアニリン(MDA)の生産量は 430,000 トン前後である。MDA は単一化合物 として,また三核アミンまたは多核アミンをさまざまな割合で含む工業用混合物の主成分として製造される。 MDA の総生産量の 99%以上がメチレンジフェニルジイソシアナート(MDI)の製造の中間体として使用さ れ,MDI はさらにポリウレタンに加工される。最大で年間 4000 トンの MDA が,エポキシ樹脂と接着剤 の硬化剤として,高性能ポリマーの製造の中間体として,また 4,4’‐メチレンビス(シクロヘキサンアミン) への加工に使用される。大量のMDA の環境への放出は製造の際にだけ生じる。 勧告される今後の作業の性質 本物質は RegulationEEC/793/93 による「欧州連合リスクアセスメント計画」において次のように結論さ れた。EU リスクアセスメントは,作業員と消費者のリスクを削減するための特別な対策が必要であると結 論する。 MDA とフミン酸との反応生成物が底質の生物に及ぼす毒性は明らかでない。したがって PNECsed(底質 の PNEC)を推定することができず,このサブ区画のリスクアセスメントは不可能である。あらかじめイン キュベートした MDA による Lumbriculus variegatus(オヨギミミズ)に対する試験を実施する必要があ る。 [著作権および免責事項について] [著作権] 本資料の著作権は弊センターに帰属します。引用、転載、要約、複写(電子媒体への複写を含む)は著作権の侵害となりますので御注意下さい。 [免責事項] 本資料に掲載されている情報については、万全を期しておりますが、利用者が本情報を用いて行う一切の行為について、弊センターは何ら責任を 負うものではありません。また、いかなる場合でも弊センターは、利用者が本情報を利用して被った被害、損失について、何ら責任を負いません。 2 一般社団法人 日本化学物質安全・情報センター