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初期・2次・3次の基本的なフレームワークそのものは昭和

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初期・2次・3次の基本的なフレームワークそのものは昭和
・ 初期・2 次・3 次の基本的なフレームワークそのものは昭和 50 年代からつくられたが、当
時はそれなりの合理性を持って展開していったことは間違いない。救命救急センターが社
会的に認知されたことによって日本救急学会の位置づけが高まりそれによって専門医が
出来たということがある。当面一番問題がないのは 3 次救急。しかし、全て連動している
ので初期救急や 2 次救急がだめになると 3 次救急もだめになる。そういう意味ではどの部
分が問題かという質問に答えるのは難しい。
(有賀教授③)
・ 昔は初期の医療機関に患者がそれなりに行っていた。現在救急搬送のうち入院の必要のな
いものは 6 割といわれるが、昭和 40 年代は 4 割だった。このように初期救急医療の有り
様が変わっており、皆救急車を呼んで、2 次救急医療機関に行くようになった。2 次救急
で入院する必要があるのは大人だと 10 人に 1 人、小児では 20 人に 1 人であり、初期救急
を飛び越えて病院に患者が押し寄せるため勤務医が疲れている。また、権利意識の増大に
よりクレームが増えている。こういった意味では 2 次救急医療が1番問題を抱えていると
言える。2 次救急は地域によって様々な問題を抱えているが、全てガラス細工のような壊
れやすい状態になってしまっている。
(有賀教授③)
・ 墨田区の医師会長に話を聞いたが、医師会が最も心配しているのは 3 次救急医療機関に患
者が全て行ってしまっているため、そこが潰れた場合どうにもならないということ。
(川
越委員③)
・ 救命センターの浜辺部長から話を聞いたが、有賀先生の言われたとおりトリアージによる
スクリーニングが重要とのこと。本来医療機関のバックアップをするはずの特養などの介
護施設からの搬送も多く、がん専門病院に受け入れてもらえない末期がんの患者なども搬
送されてきてしまう。2 次救急医療で本来対応できる病気だが、そこがもろい状態になっ
てしまっているため、3 次救急にそのしわ寄せがきてしまっている。3 次救急を守るため
にも地域の 2 次救急施設への支援をお願いしたい。
(川越委員③)
・ 100 件の救急搬送のうち救急救命センターに運ばれてくるのは 3 件。これが 4 件になると
33%の負荷が生じるということであり、2 次救急病院で1件搬送が増えるのとでは持つ
意味が異なる。5 件になればあっという間にパンクする。
(有賀教授③)
・ 救急部門の若手医師には①医学的に必要度が高い患者は石にかじりついてでも診ること、
②災害時の対応、③救急医には社会の安全と秩序のために働くという側面があるというこ
とを話している。救急医療は社会の吹きだまりの面倒を見ているという面があるため、そ
ういった話もきちんと聞いてもらいたい。
(有賀教授③)
・ 国が小児救急センターを指定すると地域で既にできていたネットワークを壊すことにな
る。地域の事情を勘案せずに北海道から沖縄まで国が一律に一箇所だけセンターとするの
ではなくて、いかに地域にあわせた制度設計をするかということを考えてほしい。机上で
機械的な数字だけを用いて考えると地域のネットワークは本当に壊れてしまう。
(嘉山委
員③)
・ 資料7p3に小児科学会がつくった小児救急の将来計画をのせているが、大事なのは地域
小児科センターをつくり、そこに小児科医を集中させるとともに地域の小児科医と連携す
ることで、24 時間体制で患者を受けられるようにすること。p4にあるように新潟大学で
は実際にこのような動きがある。新潟の場合は大学のリーダーシップでうまくいっている
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が、主体が日赤・国立・県立などと異なっていると連携がうまくいかないため、国からも
連携することへのインセンティブをつけてほしい。小児科センターへのお金のつけ方を小
児病院並みにすると成り立つと思う。
(大熊委員③)
・ 「病院に行くその前に・・」という冊子の中で、力を入れたのが5つの症状別のフローチ
ャート。親たちは、子どもが心配だからこそ病院に駆け込む。不安を抱える母親の安心材
料になるように柏原病院の医師に協力してもらい作成した。素人判断だけでは危険だとい
うことは認識しているが、家庭におけるトリアージの1つの基準になれば良いと思う。こ
れが医師の負担軽減につながるのであれば本当にうれしい。
(丹生委員③)
・ 医療のプロバイダー側の視点から医療資源の合理的な配分ということが言われるが、患者
の側は不安だからこそ受診するのであり、患者の論理からするともう一段クッションを置
く必要がある。需要自体のコントロールをすることも重要であり、丹生委員が行っている
ような地域住民自身による取組みを広げていくことが必要である。
(和田委員③)
・ 岡山県新見市でも丹生委員と同じような取組みが行われているはず。こういった取組みを
ひろげていかないと、小児救急が持たなくなる。
(高久委員③)
・ 救急搬送の問題も、救急隊員が困るから問題なのではなく、患者が困るから問題なのであ
る。そういう意味では提供側の論理というだけではない。提供側が大変だからどうしよう
というのではなく、患者の視点が必要である。市民がどういう形で医療に参加し、またど
ういう形で生き、死んでいくかということについて、納得が得られるような仕組みを作る
必要がある。
(有賀教授③)
・ 数のコントロールの観点からトリアージは極めて重要であり、トリアージナースを配置す
る病院にインセンティブをつけること等も必要である。
(海野委員④)
(在宅医療)
・ 「年をとって一人暮らしになり病気にかかった場合に、住み慣れた場所で安心して過ごせ
るのか」というのが国民の最大の関心事であり、地域医療に突きつけられた問題でもある。
在宅医療も整備していけば末期がんなど医療の必要度が高い患者であっても充分に対応
できる。
(川越委員③)
・ 老々世帯や独居世帯などの患者が安心して住み慣れた地域で過ごし続けられるようにと
いうことで、既に取組を進め実績を積んでいるところがあるので、そこを対象に調査研究
を行っていただきたい(川越資料6参照)
。これらの取組をどういうふうに普遍化するか
ということを考えてもらいたい。
(川越委員③)
・ 介護保険がスタートした平成 12 年までは、順調に訪問看護事業所数が増加していたが、
ここ数年伸び悩んでいる。また、休廃止する事業所も増えている。介護保険がスタートし
てから、訪問看護ステーションの元気がなくなった。介護保険は契約が主体なので、手続
きが煩雑。書類や計画などの作成にエネルギーをとられ、本来の仕事に集中できなくなっ
ている。訪問看護を医療保険に戻すことを検討していただきたい。
(川越委員④)
・ 在宅医療の現場では、医師と看護師がいつも同じ場所にいるわけではないため、看護師の
裁量の問題が出てくる。看護師が裁量権を持って働ける仕組みを作るべきではということ
で、厚労省の研究班で 3 年がかりで検討し、死亡診断や疼痛管理に関するモデルも作成し
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た。あらかじめ医師が標準的指示書を出しておき、さらに具体的な患者が現れたときに個
別的約束指示を出すというような形で柔軟な対応が可能となる。
(川越委員④)
訪問看護を医療保険の範疇に戻すための検討を行うため、第1段階として、一定の条件を
満たした訪問看護ステーションをみなし居宅介護支援事業所として認定し、第2段階とし
て、訪問看護を介護保険の枠組みから外すということを考えてほしい。
(川越委員④)
訪問看護師の裁量権拡大に向けての医師会等を巻き込んだ総合的な検討を行うため、予算
措置をとってほしい。
(川越委員④)
看護は掃除などと違い、30 分で終わったら帰るといったものではないため、計画の中に組
み込まれてしまうと本来の仕事ができなくなる。(川越委員④)
ケアマネが力を持ってきているが、ケアマネは福祉職種の人が中心となっているため、ど
うしても医療について弱くなってしまう。医療依存度の高い人は刻一刻と状況が変わるた
め、いちいちケアマネに説明に行くと対応できない。またやたらと会議が多いという問題
もある。(川越委員④)
訪問看護ステーションは2.5人看護師がいないと廃止しなければならないため、やめて
いくところが多い。医師と同様に 1 人開業した上で、事業所同士がお互いに連携をとると
いう形を可能にしてほしい。(大熊委員④⑤)
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【コメディカル】
(看護師)
・ 看護師数が多くなると患者の安全性は高い。常時 4 対1の患者死亡率を 100 とした場合日
本の一般病床の最高基準である 7 対1では死亡率が23%上がる。また、50 病床当たりの
看護師配置を見ると、常時 7 対1の病院では、日中は 10 人だが、夜間は少なくなり 7 か
ら 8 人になる。従来の常時 10 対1だと日中は6から 8 人だが、夜間は 3~4 人と非常に少
ない配置になり問題である。
(井上教授④)
・ 100病床当たりの看護師は諸外国平均の 4 分の1である。病院は看護師の他様々な専門
職種によって支えられているが、100 病床当たりの全職員数は諸外国平均の24%しかい
ない。
・ 看護師の教育水準の向上は患者の死亡の減少をもたらす。学士の学位を持つ看護師の割合
が増加すると患者死亡率及び重症患者合併死亡率は減少する。一方看護師の経験年数との
相関はない。
(井上教授④)
・ 入学時および卒業時の定員充足率を見ると、大学では、卒業時・入学時ともに100%を
超えているが、3 年以下の養成学校では入学時に100%をきっており、卒業時ではさら
に低くなっている。
(井上教授④)
・ 2006 年 4 月の新卒就業者は3.9万人いたが、完全な離職者(離職者―最就業者)が2.
2万人いたため、病院就業看護師は 2005 年末から 2006 年末で 1.7 万人増加にとどまっ
た。
・ 看護師の離職理由には、1 人の業務量が多いこと、余裕のないシフト、卒業と同時に定員
となり、熟練者と同じ業務内容・責任を求められること等がある。この原因は人員不足と
卒後専門教育機械の不足、およびライフスタイルに合わない勤務形態である。
(井上教授
④)
・ 一般の働く女性は 30 代に離職し、30 代後半から 40 代に復職するが、通常の看護師のキャ
リアパスでは、離職した後復職しない。病院に勤務する看護師数は 25 から 29 歳をピーク
に下がり続ける。
(井上教授④)
・ 結婚や出産等で変化するライフスタイルに勤務形態が合わず、離職後復職もしがたい状況
を生み出している。諸外国と比べ日本では週 35 時間未満の勤務形態が極端に少なく、週
35 時間以上が97%を占めており勤務形態が固定化している。
(井上教授④)
・ 大卒者の早期離職率は養成所卒に比べ 10 分の1である。(井上教授④)
・ 看護師の雇用数を増加させ、離職防止策を講じるとともに、看護師の養成を 4 年制の大学
教育へシフトさせることが必要である。(井上教授④)
・ 麻酔科看護師に麻酔科医なしの麻酔を認めるとアウトカムが下がるという結果がアメリ
カやオランダの調査で出ている。麻酔専門看護師は、同時進行の麻酔が多い都会型大病院
では麻酔科医数節減に威力を発揮するが、日本に多い中小病院では全身麻酔は 1 日平均1
~2件程度しかないため、麻酔看護師は麻酔科医数節減に大きな効果はないと思われる。
(山田教授④)
・ 麻酔科医の過重労働の解決策として、麻酔業務に関わる役割分担を明確にし、麻酔科医の
本来業務以外の業務をコメディカルが分担することを強く提唱する。チーム医療の促進と
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いう方向性が正しく、チーム医療の促進なしに、業務だけ渡しても危険が生じる。まずチ
ーム医療を進めた上で、コメディカルのマンパワーを活用すべきである。(山田教授④)
看護師の養成は十分だが、現場で足りなくなっているのは、職場環境が劣悪で離職してし
まうから。今の労働時間や勤務体制では戻って来られないため、職場環境を改善する必要
がある。(嘉山委員④)
専門看護師は取得するのが難しく、認定看護師を取得するのも 150 万円の授業料がかかる
が、取得後のインセンティブが全くない。インセンティブをつけなければ魅力のある職種
にならない。(嘉山委員④)
卒業者の離職率の低い 4 年生大学を増やすとともに、看護師の雇用数を増やして余裕を持
って努められる環境をつくれば、自然と定着率は上がると思う。(井上教授④)
看護師を集めることに病院は苦労している。病院が募集する定数を増やしても集まらない
のではないか。(高久委員④)
女性のライフサイクルにあった色々な就業形態を取り入れれば、就業を希望する看護師も
出てくるはず。短時間でも働きつづけていれば、時期がくればまた普通に働くようになる
者も出てくる。今の女子学生は職業に対する考え方もしっかりしている。(井上教授④)
・ 看護大学を増やすというのは教官の質の面からも問題がある。保育所を整備するなどして、
短期間で潜在看護師が復職できる職場環境をつくることが重要だと思う。(嘉山委員④)
・ 離職後年数が経っていない場合は復職する確立が高い。在宅看護やチーム医療が進む中で、
看護師にも考える力、判断力が求められるため、看護師養成を 4 年生の大学にシフトして
いくことは必要だと思う。(井上教授④)
・ 看護師の復職を進めるにはワークシェアリングことが必要だが、雇用数も増やす必要があ
る。特定機能病院や地域医療支援病院の雇用数を 2 倍にするためには約 8000 億、これを
400 省以上の一般病院に広げると約 2 兆かかる。雇用の枠を広げるとともに、職場に戻り
やすい環境を整えるということが連動しないと、看護師の数は増えない。(土屋委員④)
・ 卒後の新人教育にあたる看護師に指導手当をつける、既に専門性を持ち、現場で認定看護
師・専門看護師・メディエーター等として活躍している看護師に専門手当を直接支給する
といったことが必要。また、教員の問題はあるにせよ、看護師の基礎教育の充実を図り 4
年生大学に移行していくことは必要なのではないか。(海野委員④)
・ 麻酔科専門医1人に対して麻酔看護師2人というのが質を保ちつつ麻酔を行うためには
ベストな体制。つまり医師1人分を看護師2人で代替できるということだが、看護師も不
足しているため、こういった形の効率化も現実的には難しいと思われる。また、完全なチ
ーム化しないと麻酔業務は非常にリスクが高いが、交代勤務の看護師と医師では働き方が
異なる上、医師と看護部の相互不可侵といったような現状もあり中々難しい。コストから
見ても、看護師は年間600万だが、大学病院の若手助教も年間600万であり、医師を
雇った方が2分の1で済む。(山田教授⑤)
・ ホスピスケア・在宅ケアについてもチームとしてまとまりがないと質の高いケアができな
い。(川越委員⑤)
・ 看護教育制度については、10数年前から大学教育にシフトしてきたが、全員が高いレベ
ルを目指しているとは言えない。アメリカも第2次世界大戦直後に看護が国民のために何
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ができるかということを検討し、大学教育にシフトして高度な専門家が育つようになった。
日本ではもう少し時間がかかると思うが、大学教育に重点を移しつつ、雇用数を増やすな
ど、やる気のある看護師の意欲を損なわない環境作りをしてほしい。(井上教授⑤)
・ 1人の麻酔科医に対して3名の看護師というのが、アメリカで保険でカバーされる上限で
ある。1対3でもかなりリスキーであり、アメリカは欧米諸国の中でも極端にナースアネ
スセティスト側にふれている国である。(山田教授⑤)
・ 看護師の裁量権については慎重に考える必要がある。アメリカと日本では看護師について
も違いがあるため、死亡診断や処方などアメリカで看護師が行うことができるからと言っ
てむやみに行わせるべきではない。在宅医療で医行為の指示をいちいち出すのは難しいが、
丸投げするのは良くない。裁量権はチームとして信頼関係を構築し、ルールをつくった上
で与えられていくべきである。(川越委員⑤)
(助産師)
・ コメディカルに活躍してもらって、定員増で足りない部分を補ってもらう必要があるが、
その際には法律で引っかかるところも出てくる。助産師も正常分娩を任せるとなったとき
に会陰切開が許されていないが、そういったことを通達等で対応することなども本気で考
えていかないといけない。(岡井委員④)
・ 第 4 回の資料1の 5 ページを見ると助産師の数は減っている。産婦人科の業務を10とす
ると、本当に産婦人科医がでていかなければならないのは1くらいであり、産婦人科は助
産師の育成がないと成り立たない。現在大学の課程や大学院の中に助産師の養成コースが
設けられてきており、助産師の高学歴化が進んでいる。また、昔は助産師の試験を受ける
ためには 10 例以上の介助を行う必要があったが、今は 10 例程度という基準に緩和されて
いるため、学歴はあるが実力のない助産師が増えている。助産師の教育自体を見直す必要
があるのではないか。(川越委員⑤)
・ 助産師は現在年間 1600 名程度合格者が出ており、その内訳は、大学が 470 名、助産師学
校や養成所が 1212 名である。看護大学では、看護師の資格と同時に助産師資格も取得す
るため、助産師としての就業率は44%、一方助産師学校は86%である。看護大学に養
成がシフトしているため、現状では数が増えているものの、現場の助産師の不足感はいっ
こうに解消しない。産科診療所の助産師は極めて不足しており、定時制の助産師養成コー
スを医師会に設けるという事業も進められている。病院の方が産科を閉鎖しているため、
産科診療所の割合が高まっており、48%の分娩を産科診療所が取り扱っている。ここに
助産師が入れば産科医療はさらに安定するはず。(海野委員⑤)
・ 助産師に医療行為の一部をやってもらうという話もあるが、現状では力量不足という面が
あり、助産師会も自体もそれを認めている。教育体制をしっかり整えることが重要。(岡
井委員⑤)
・ 助産師の希望者は多く、倍率も高い。しかし、助産師の養成にはしっかりと指導する人間
が必要なため、養成数を増やすのが中々難しい。また、離職率も高く、復帰率も低いため
潜在助産師も多い。また、助産師をとっても看護師と待遇が変わらないため、看護師とし
て働く者も多い。助産師の資格を持ちつつ看護師として働くこと自体はなんら問題ないが、
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・
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資格を持つ人を増やした上で、助産師として働きやすい環境をつくるべき。(海野委員⑤)
今の助産師の実力はまだ十分でないという感覚がある。専門看護師・認定看護師のように
さらにキャリアアップするコースをつくり、助産師外来や院内助産所を担える助産師を育
てていく必要がある。(海野委員⑤)
助産師学校は病院にとって経営面での負担が大きく、前にいた病院でも助産師学校を廃止
した。助産師業は人気があるが、試験が難しい、養成学校が少ない、学費がかかるといっ
たことからためらう者もいる。また、助産師の学生にはマンツーマンで教える必要があり
教える側もエネルギーを取られるが、指導する者への補助があまり行われていない。こう
いったところに補助金を増やすことでかなり状況は改善するはず。(川越委員⑤)
助産師教育と看護師教育には共通の問題がある。佐賀大学でも助産師コースをつくり、10
名程度養成しようとしているが、実習病院の確保が難しく、県外まで探してやっと4~5
名養成が可能となっている。人員が不足しているため、どうしても教育が後回しになって
しまいジレンマを抱えている。(井上教授⑤)
看護師と助産師の給料に差をつけるべき。(大熊委員⑤)
・ オランダでは助産師が非常に信頼され活躍している。産科医不足に対応するには助産師を
大切にする必要があり、助産師の養成に予算をつけるべきである。(大熊委員⑤)
・ 公立・私立問わず看護師と助産師の給与は同じであり、私立の方がむしろ高い。(海野委
員⑤)
・ 国民はお産で母子に何かあってはいけないという前提にたっており、お産には一定の確率
で問題がおきるということを認識していない。正常分娩と異常分娩の線引きも難しく、以
前これを踏まえて地域の助産所をバックアップする体制システム化した。(川越委員⑤)
・ 高知県では助産所・開業医・病院が連携をとってうまくやっている。開業医と病院が連携
をとらないと医療は本来は持たないはず。そこについてもう少し議論が必要。(高久委員
⑤)
(メディエーター)
・ 昨日大野病院事件の判決が出たが、医師がしきりに謝罪を口にしているのに対し、遺族は
真相究明をしてほしいという思いを述べており、遺族側に医療者の謝罪が入っていかない
一方で、医療者側も真相究明ということにどう対応して良いかわからっておらず、コミュ
ニケーションのギャップがあるということを感じた。そこをつなぐようなシステムを構築
することが医療機関の責務であると思われる。医療メディエーターという仕組みづくりに
これまで取り組んできたが、医療メディエーターとは紛争解決より関係修復に重点をおく
もので、英米のロースクール等で教育プログラムとしても標準化されている。(和田委員
④)
・ メディエーターの養成研修は丸 2 日間、朝から晩まで 30 人程度を対象に行っているが等
比級数的に参加者が増えており、日本では年間約 1000 名の医療メディエーターの養成研
修体制が日本医療機能評価機構を中心にできている。厚生労働省の科研でも、院内メディ
エーターのような専門的なスキルを持ち認定を受けた者を配置したいというニーズを持
つ病院は90%を超えている。(和田委員④)
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・ 医療メディエーターを置き、病院として患者の不安にきちんと応えたいという病院に対し
て、インセンティブをつける仕組みを考えてほしい。(和田委員④)
・ メディエーターについても予算化をお願いしたい。大野病院事件についても手術中に家族
への説明が一切なく、家族は結果だけを報告されていた。また、検査の資料の提出を 9 月
に要求したのにもかかわらず逮捕される 2 月まで提出がなかったという。病院がクライシ
スマネジメントに人をつけていないため、事故後の対応ができていない。これについて予
算をつけないと患者の満足度はあがらない。(土屋委員④)
・ 医療メディエーターには燃え尽きたり、心理的に追い込まれる人も多い。院長や病院の体
制が変わらないと、間に入った人が疲れてしまう。患者に真実を全て述べるという風土を
作り出すための取組をおこなっている病院もあるが、そういった環境の中でこそメディエ
ーターは生きるのであり、メディエーターを単体としていくら作っても、また色々と問題
が増えると思う。(大熊委員④)
・ メディカルクラークの労働条件がひどく、がっかりして辞めてしまう人も多い。(大熊委
員④)
・ メディエーターの研修を我々医療者が受けることによって、患者の立場に立つことの重要
性に気づき、病院の体制をより良いものに変えていけるという効果もあるのではないか。
(海野委員④)
・ メディエーターは病院側のサポートがあって初めて生きるというのは確かであるが、現状
では、病院も財政的に苦しく十分な対応ができない。メディエーターをサポートするよう
な風土をつくり出すこととともに、現実的な話として、インセンティブとして予算をつけ
ることが必要である。(和田委員④)
(その他)
・ 日本とアメリカを単純には比較できないが、同じ病床数の病院のスタッフ数を比較すると、
アメリカの病院では医師が日本の10 倍、
看護師が67 倍いる。
事務職の数も大幅に異なる。
医師の数を考える際は他のスタッフも含めて考えないといけない。医療スタッフを充実さ
せることで、国民が一番恩恵を受けることになる。
(嘉山委員①)
・ コメディカルの充実を図らないと労働条件は改善されない。医師の本来業務以外の部分を
譲れと言うが、看護師・事務職などが不足しており、譲る相手がいない。医師の本来業務
以外の部分を誰が受けるのか、それに対してどういう手当を行うのかということについて
議論が必要。(土屋委員②)
・ 他業種のマンパワーを活用するための前提条件としてチーム医療をしっかり行う必要が
ある。麻酔医は全身管理の側面が強く、また、リスクも非常に高いため、全身的な診療教
育の基盤のない歯科医師に麻酔を行わせることは、慎重に考えるべきである。歯科麻酔の
技術のある者をアメリカの physician assistant のようなかたちでチームの一員として使
うというが良いのではないかと思う。(山田教授④)
・ スキルミックスにより医師の負担を軽減することを考える際は、書類作成・患者への説明
等必ずしも医師でなくても出来るものと、麻酔や気管挿管、会陰切開等看護師を教育して
行わせるのが適切であろう医行為とを分けて考える必要がある。(吉村委員④)
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・ 医療従事者の間でチームワークがないとスキルミックスができない。(高久委員④)
・ スキルミックスを行っていく際、特に過渡期は患者にとってわからないことがたくさん出
てくる。システムを変えていく際は、患者とのコミュニケーションをきちんと取れるよう
にすることが必須の条件であり、そうでなければ訴訟リスクが増す。(和田委員④)
・ 病院薬剤師が非常に少ない状況にあるため、チーム医療の観点から、薬剤師がどれくらい
必要かということも議論する必要がある。(海野委員④)
・ 医師が不足しているからという観点でスキルミックスを考えること自体に強い抵抗を感
じる。チーム医療が進んだ結果として自然発生的に役割分担の議論が出てくるべきである。
チーム医療を進めるためには、コメディカルの質と量の確保が必要である。(井上教授⑤)
・ 医師の過重労働の解消という視点ではなく、より安全な医療を提供するにはどうするべき
かという視点でスキルミックスを考えないと間違った方向に進む。(土屋委員⑤)
・ スキルミックスについてはチーム医療を推進した上で出来る範囲まで進めるということ
で良いが、問題は責任の所在。責任の所在を明確にした提言を検討会として出すべきであ
る。(嘉山委員⑤)
【その他】
・ 資料4のp4で日本の病床数が多いというデータが出ているが、福祉政策とのリンクもあ
り、一概に病床数を減らせばよいということではない。
(嘉山委員①)
・ 1 人当たりの医療費については、GDPに占める割合は低いが窓口負担が高いため国民は
医療費が高いと誤解してしまっている。医療費のGDP比の高いアメリカでは基礎研究や
新薬の開発等が進んでおり、医療費は国民の健康だけでなく他の分野にもリンクしてく
る。
(嘉山委員①)
・ 日本の病床数が多いという問題は、老健局や社会・援護局にも出席してもらって、そちら
の予算も増やさないと解決できない。
(大熊委員①)
・ 厚生労働省が現場の忙しさを助長している面がある。理由が示されることもなくわけのわ
からない通達が出てくるため、医師たちは空しいことに時間を割かされている。
(大熊委
員①)
・ 資料4の p5では、施設内長期ケア病床も含めた病床数が示されているが、スウェーデン
のケアハウスはエーデル改革により抜本的に見直されたため、日本の介護施設とはアメニ
ティなども全く異なり、まさに家のような雰囲気。それを同じもののように比べて、日本
もほかの国並みと見せるのは、国民を惑わす。
(大熊委員①)
・ 厚労省からは局間で矛盾のある要請があり、DPC についても 7 月~12 月に今更と思える細
かい調査が来るなど、余分な要求が非常に多い。
(土屋委員①)
・ 医療についてはそれぞれの国でそれぞれの問題を抱えている。個々のシステムに何が優れ
ているかいないかということよりも、国民のニーズに対応できるよう改革努力を続けてき
た姿勢を見習えば良いと思う。
(葛西教授③)
・ ドクターヘリについては、14 機中 10 機は大学が関わっている。また、がん診療連携拠点
病院や高度救命救急センター等でも大学が占める割合は高く、救急では特に私立も頑張っ
ている。また、大学の受ける患者の数も増えている。しかし、臨床研修制度導入以降大学
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が悪いという話もあり大学の研修医が減少し、派遣ができなくなって地方が悲惨な状況に
なっている。派遣する際には定期的に派遣医師を交替させる必要があるため、大学を中心
として派遣を行う必要があると思う。私立大学も離島を含め全国に医師を派遣している。
また、私立大学の卒後 10 年、20 年勤務医数と開業医数の割合を見るとわかるように、私
立大学出身だからといって決してすぐに開業するというわけではない。
(吉村委員③)
・ 日本の医療は WHO の評価で世界1位であるが、医療費の対 GDP 比は OECD 加盟国中 27 位で
ある。また、教育費についても、29 位である。福田総理と舛添大臣が医学部定員削減の閣
議決定を変えたのは、このような方針を変えたということ。教育費全体の増加というのも
この会議として主張していくべきではないか。医師の数の増加だけでなく、医療費、教育
費の増加を含めてビジョンを出すべきである。(嘉山委員④)
・ 医師の技術料、練度に対する評価がなされていないことも問題。また、国民に日本の医療
は、低経費だということを認識してもらい、文教費、医療費の増加を提言したい。
(小川
委員④)
・ 日本で検査が多いのは、診療報酬制度の影響もある。検査をしないと点数が取れないから
だ。(岡井委員⑤)
・ この会議も出発点は医師の労働環境など医師側の問題のように見えるが、その結果安全な
医療を提供できなくなったということが非常に大きな問題である。医師の労働環境や職種
間の権限という観点からではなく、安全に医療を提供するためにどういうシステムを作る
べきかという観点から考えるべき。(和田委員⑤)
・ 身近なところで医療を受けたいが一方で安全性も担保してほしいというのは実は矛盾す
るニーズである。より国民のニーズに近づけるためには医療費全体を上げる必要があり、
国民の側に一定の負担をしてもらうことも視野に入れるべきである。(和田委員⑤)
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