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魚鱗情報によるマダイの移動・回遊の解析に関する研究(PDF
平成 1 2年 1 2月 q SPECIALREPORTNo.6 Kyoto I n s t i t u t eo fOceanic and F i s h e r yS c i e n c e 000 DecerrLber 2 魚鱗情報によるマダイの移動・ 回遊の解析に関する研究 戸嶋 孝 S t u d i e sonMovementandM i g r a t i o no fRedS e aBream フ P a g r 削 m a j o r ,BasedonS c a l eReading by T a k a s h i TOJIMA " 研 究 論 文 集 第 6号 平 成 1 2年 1 2月 京都府立海洋センター SPECIAL REPORT No.6フ Decemb e r2 0 0 0 KYOTO INSTITUTE OF OCEANIC AND FISHERY SCIENCE i t yフ Kyoto6 2 6 0 0 5 2japan Odasyukuno,Miyazu C 次 目 A b s t r a c t・ ・ ・ ・ ・ ・ 田 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・・ ・・・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 田 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ -・. •. . . . . H 章一-… … … ぃ ・ ・ …. . ・ ・ . . … . .. ・・ . . . . . . ・ ・ . . … . . . ・ ・ . . . . . ・ ・ . .. ・ . ・ . . … … . . . ・ ・ . . . . .. .… … … … … . . .. ・・ .… .4 序 H H H H H H H H ( 1 ) マダイの生態に関する既往研究の概要…・・…・……...・ ・ . . ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・・ ・ ・ ・ ・ ・ … … .5 H . . . . … . . . . ・ ・ … ・ … . . . . . . . ・ ・ . . . . . . . . . . . . ・ … … ・ 目 ・ … . . . . . . ・ ・・・-…・-…・...…・…… ・・ . . .6 ( 2 ) 研究の目的......・ ・ H ( 3 )謝 第 1章 H H H H H H H ・・・ 目 ・ ・・ . .・ …・ . . ・ ・-…ー………… ・ ・..…-… ・… … ………・・……………….. 6 辞 ・ ・・ . . … … . . . ・ ・ ・ ・ ・ H H H H H H H H H H 京都府沿岸海域におけるマダイ当歳魚の出現状況……...・ ・ . . . . . ・ ・ . .…・ -…. . ・ ・ . . . . . … … . . . ・ ・ . .・ ・… . . . . ・ . . .… … 6 H H H H ( 1 ) 研究材料と方法… ( 2 ) マダイ当歳魚の出現時期と漁獲尾数….. ( 3 ) マダイ当歳魚の尾叉長組成・...……………...・ ・ ・・ . . … . . . ・ ・ . . . . . ・ ・..……………………・……………...・ ・-……… 8 H H H H ( 4 ) 考察…・・…...............‘ ・・ -… ・ ・… … … … … … H 第 2章 H H H H ・・ . .…一… . . ・ ・-…・… …. . ・ ・..・……-……. . . .8 H H H マタイ鱗の第 1輪径組成の海域差・・ ・ ・ … ・・ -・ -… … ・ ・・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・1 0 H H H H ( 1 )研 究 材 料 と 方 法 … . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . … . . . . . . . . . . . . . . . . . . . … . . . . . ・ ・ . . . ・ ・ … 1 1 H H ( 2 ) 対馬暖流域におけるマダイ l成魚、の第 l輪径組成田……………・・・………………・…・・………………………・…………・ 1 2 ( 3 ) 第 l輪径と水温との閑係・・ ( 4 )考 第 3章 … ……ー……・・…・・ . . . … . . . . . … … ・ . . . . . ・ ・ -…. . ・. ・ . . . . . ・ ・ . . . . … ・ ・ ・ … . . . . . ・ ・ . . 1 3 H 察…・……………...・ ・ . . . . ・ ・ . . . . . ・ ・-…・ H H H H …-…- … . . . . ・ ・ …. . . . . 1 3 . . ・ ・ ・ ・ ・・ … . . . . ・ ・・…・・…・・・・ H H H H H H H マダイ鱗の第 1輪径組成の年齢による変化… …-… … ・ ぃ… -… 一 一 . . . ・ ・ . . . . . ・ ・・・ . . . . . . ・ ・ . . ……… …・… 1 4 H H H H H ( 1 )研 究 材 料 と 方 法 … ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 田 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 田 ・ ・ ・ ・・ ・ ・・ ・・ ・・ ・ ・ ・ ・ 目 . .. . . .. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . ・ ・-… . ・ . ・ . . 1 5 H H ( 2 ) 海域別第 1!輸径組成とその年齢変化 … ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 田 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・1 6 … . . . . ・ ・・・・・・・・ (a) 石川県沿岸海域…...・ ・ H . . . … . . . ・ ・ … ・・ . . . ・ ・ . . . … . . . … ・ ・ ・ ・1 6 ……一......・ ・・… H H H H H H (b) 京都府沿岸海域 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .. . . . . . . . .. ・ 目 .・ ・ ・・ ・ ・ ・・ ・ ・・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・・ ・ ・・ ・ ・ ・ ・ 田・ 回 目 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・・ . . . ・ ・-…… 1 7 H H H (c)山口県沿岸海域...…- … … . . . . . . . ・ ・ . . . . . ・ ・ . . . . . … … . . . . . … . . . ・ ・..…………………....・ ・ … . . . ・ ・..……ー 1 8 H H H H H ( 3 ) 漁期別にみた第 l輪任の変化………...・ ・ . . . . . ・ ・ . . … . . . ・ ・・ ・ . . . . . ・ ・ ・ ・........…・…-…...・ ・ . . . . . . . . … … . . . . . 1 9 H ( 4 )考 第 4章 H H H H H H H H 察 … ・ … ・ . . . . ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・・ ・・・ ・・ ・・ ・ 田 ・・ ・・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 田 ・ ・・ ・ 田 ・ ・ ・ 田 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 目 ・ ・ ・・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・・ . . . . . ・ ・ -…ー… ・・ . 2 0 H H H H H H 若狭湾西部海域におけるマタイ群の移出入量の推定...・....… … … … . . . ・ ・ . . . . ・ ・-………・………...・ ・-………… . . 2 1 H H H ( L ) 研究材料と方法・・ ・・ . . . . . . . . . . . . ・ . . . . . . .… ・・・・・ ・… ・ ・・ … … … … … …・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・2 2 H (a) 移出入量の推定 H 1:第 l輪径組成の年齢間比較...・ ・ . . … … … . . . ・ ・..........一一.....…..…目・・・ H H . . . . . . . ・ ・ . . 2 2 H (b ) 移出入量の推定-n:第 l輪径組成に対する正規分布型の分離……………...・ ・ . . . . . . . . ・ ・・・ . . . .. ・・ .… … . . . . 2 3 H H H H H ( 2 ) 解析結果 ・・ ・ … . . . . . … … . . . . . . . . . . . . . . . . . .・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・・ ・ ・・ ・ 田・ ・・ ・ ・ ・ ・・ ・・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・・ ・・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・. . . . . . 2 3 u H H (a) 推定一 Iによる結果………..........・ ・-………・…・・……・…・…・・・……ー・……・....・ ・ ・ ・ . . . ・ ・ . . . …. . . . . . . . . . . . . . 2 3 H I Iによる結果 (b) 推定 - H H H H ・…・……・・……・...・ ・ ・ ・...…-・…...・ ・ . . .. . . ・ ・ … ・・ . . …・ ..…-…....・ ・ . . . . ・ ・ . . . . 2 6 H H H H H H H H H … . . . ・ ・..…-……ー・・・・・……・・…...・ ・ … …. . ・ ・ . . . . . . . . . 2 8 ( 3 ) 若狭湾西部海域における移出入個体の割合・ ・ H H H H ( 4 )考 察 ・ ・ ・ ・・ … … ・ ・ … . . . . . . . . .・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 目 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ … ・… . . . . 2 8 ( 5 )結 論 . . . . . . . . . . . … ・ …… . . . . . . . . . .…… . . . ・ ・......…・・…・ 第 5章 H H . . . . . . . … ・ ・ … ・ … . . . . . . . . ・ ・ . . . . . . 2 9 ..........一一.....一・…・ H H 移動・ 回遊情報の成長解析への利用……....・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 目 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・2 9 H ( 1 ) 研究材料と方法............... . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . ・ ・ … . . . . . ・ ・-・・…...........……・・….. . . . . . . . . . 一 ・. . . . . . . . . . . 3 0 H ( 2 ) 鱗径一尾叉長 関係…・…....... 一-…....・・・ ・ ・ . . . . . . ・ ・ . . . . ・ ・.....…・・・・・…・…一………・...・ ・-… . . . ・ ・ …3 0 H H H H H H ( 3 ) 個体群ごとの成長式の推定・ ・ ・ ・ ・ . . … … . . . ・ ・ . . … . . . ・ ・ . . . . . ・ ・・ ・ . . . . . ・ ・ . . . . . ・ ・ . . … … . . . ・ ・ … . . . ・ ・・・ . . … ・ ・3 0 H ( 4 )考 H H H H H H H H H H H H H H 察…・・・・ ・ ・ . . . . … . . . . . ・ ・ . .. .…・ … … … … … … … … ……・…....・ ・ … . . . .. . . .. … …. ・ . ・-…・…・… . . . 3 2 H H H H H 第 6章 総 合 考 察 ・ - … … … … … … … … … … . . . . . ・ ・ … . . . ・ ・…・…..…...・ ・ . . . … …・ … … …………・…・….....…・・ . 3 3 H H H ( 1 ) 五狭湾西部海域におけるマダイ資源、の現状...・ ・ . . . . . ・ ・ . . .. ・ . ・..…………… ……… ……… ……… .. ・・ . . . . … . . . . . . . . 3 3 H H H H ( 2 ) マダイ 資源 、管理への提言 ・ … . . . . ・ ・....……・・…・…………・目…・………… ・ ・ . . . ・ ・ . . . . . ・ ・ . . . . . … . . . . . . . . . … . . . ・ ・ . . . . 3 5 H H H H H H 要 約一一 ・ ・ . . . . . . . . ・ ・ . . . . ・ ・....…・・…・…・………・・……・・…・……・・…....・ ・ . . . . . . ・ a・ . . . ・ ・・・・・…-一一・…....・ ・ … 36 文 献・…....・ ・-…ー…・……....・ ・ . . … . . . ・ ・...........…・・………………・…………...・ ・ . . . … . . . . ・ ・ . . ・ … . . . . . . . ・ ・ . . … ・' 3 8 H H H H H H H H H H H H H , ・ S t u d i e sonMovementandMigrationofRedSeaBream, P α: g r u smα r j o r ,BasedonScale Reading Takashi TOJIMA Abstract Reds e abream, P a g叩 sr r w j o r, i soneo f t h emosti m p o r t a n tf i s h e r yr e s o u r c e s, w i t ho v e rrwom i l l i o nr e l e a s e de a c hy e a rf o rs t o c k enhancementi nt h ew e s t e r njapanS e a . T h e r e f o r e,t h ecomprehensivemanagemento fr e ds e abreams t o c k s,whichc o n s i s to f n a t u r a l自s hs t o c kandr e l e a s e d品s hs t o c k,becomesn e c e s s a r y . I nt h i ss t u d y1w i s ht oc l a r i今 t h emovement,m i g r a t i o nand d i s t r i b u t i o no f O a g e五s hi nt h ewesternjapanS e a, d e s c r i b eat e n t a t i v emethodf o rs e p a r a t i n gt h el o c a lp o p u l a t i o n sbymeanso f t h e s tannualr i n gont h es c a l e s,andc o n s i d e rt h en e c e s s a r ys t o c kmanagements t r a t e g i e sf o rs u s t a i n a b l eu s eo ft h i s r a d i u so ft h e自r c o m m e r c i a l l yi m p o r t a n tp o p u l a t i o n . The r e s u l t s were summarized a sf o l l o w s 1 . The appearance of0・agered sea bream in waters off Kyoto Prefecture Thet i m eo fa p p e a r a n c eandf o r kl e n g t hchangeo f O a g er e ds e abreamc a u g h tbys e tn e t品s h e r yi nw a t e r sof TKyotoP r e f e c t u r e were四 a m i n e d . TheO a g e自s ha p p e a r e di nt h el a s tt e nd a y si njunewhen t h e ya r e3 5 -45m mi nf o r kl e n g t h,and more u l yt oAugusta t4 0-70m ms i z e s,i nSeptemberw i t h80-90m ms i z e s, andi nOctoberw i t h1 0 0m mandl o n g e r abundantly自romj l e n g t h . I ti sb e l i e v e dt h a tg r e a t e rq u a n t i t i e so f O a g e品s hwerec a u g h tb ys e tn e tf i s h e r ya st h e i ra r e ao fd i s t r i b u t i o nexpandeda s i ti st h o u g h tt h a tO a g e自s hbegant omovef r o mt h e自s h i n g t h e yg r e w .I nSeptemberwhent h enumbero ft h ef i s ht a i l sd e c r e a s e s, ground o fs e tn e t t h es i z eo f t h eO a g er e ds e abream, whicha p p e a r sfromt h esummert ot h eautumn, wast h esamei n I nt h ewesternjapanSea, however, O a g e自s h, whicha p p e a r si nt h ea r e aaroundt h eNotoP e n i n s u l a, a r e WakasaBayf r o mt h ew e s t e r np a r to f S a n ' i nC o a s t, s m a l l e rt h a nt h e s ef i s h, r e v e a l i n gs l i g h td if T e r e n c e si nt h egrowthamongO a g ef i s hr e ds e abreami ne v e r ya r e ao fs e ao ft h ew e s t e r n japan S e a 2 . Regionaldifferencesinthef i r s tringradiusonthescaleoftheredseabreamintheTsushimaWarm Current Area Thep o s s i b i l i t yo fgroups e p a r a t i o nf o rr e ds e abreamwasdemonstrated,basedupont h e品r s tr i n gr a d i u so b s e r v e dont h e s c a l e so f t h eI s t a g e品s hc o l l e c t e df r o ms i xa r e a so f t h eS e ao f j a p a n . Ther a d i u sshowedv a r i o u ss i z e s, andt h es i z ec o m p o s i t i o n s bya r e ac o u l dh es e p a r a t e di n t ot h r e eg r o u p ss u c ha sn o r t ha r e a( of TAomori,A k i t aandI s h i k a w ap r e f e c t u r e s ),c e n t r a la r e a( of T Kyoto and Shimane p r e f e c t u r e s ) and s o u t ha r e a( of TNagasaki P r e f e c t u r e ) . 0 . 9 3 9 )betweent h emeanr a d i u so ft h e自r s tr i n gont h es c a l e sandmeant e m p e r a t u r ea tt h e Therei sap o s i t i v ec o r r e l a t i o n( d e p t ho fz e r om e t e r s . Andi twasf o u n dt h a tas i g n i自c a n tr e l a t i o n s h i pe x i s t sbetweent h emeanr a d i u so ft h e自r s tr i n gandt h e d u r a t i o ni ndayf o rwhicht h ef i s hweret h o u g h tt oh a v ed e v e l o p e di nmoret h a n1 8d e g r e e sC e l s i u sw a t e rt e m p e r a t u r e . The s m a l l e s tr a d i u si nt h en o r t ha r e ac o r r e s p o n d st ot h es h o r t e s tp e r i o dw h i l et h el a r g e s tr a d i u si nt h es o u t ha r e at ot h el o n g e s tp e r i o d . Theappearanceo ft h e s ec o n s i d e r a b l ev a r i a t i o n si nt h es c a l es i z ewass u g g e s t e dt ob em a i n l yduet od if T e r i n ggrowthc o n d i t i o n s, namelyt h et e m p e r a t u r ed if T e r e n c e,d u r i n gt h ef i s hl a r v a landp o s t I a r v a lp e r i o d si ne a c ha r e ao ft h eTsushimaWarmC u r r e n t 3 . The change by the age ofthe f i r s t ring radius on the scale of red sea bream s tr i n gr a d i iont h es c a l e sa tt h ea g eo f自s hc a u g h ti nw a t e r sof TIshikawa, Kyoto, andYamaguchi Thec o m p o s i t i o n so ft h e品r TIshikawaP r e f e c t u r e,l i t t J echangeo c c u r r e di nt h ec o m p o s i t i o no ft h e自r s tr i n gr a d i i, p r e f e c t u r e sweree x a m i n e d . I nt h es e aof e v e ni f t h ea g ei n c r e a s e d . Thereweremanyw i t ha自r s tr i n gr a d i u so f l e s st h a n3 . 0 0m mi nanya g eg r o u p .L e e ' sphenomenonwas 京都府立海洋センター研究論文 6号 2 0 0 0年 " o b s e r v e di nt h ec o m p o s i t i o n so ft h c自r s tr i n gr a d i iont h es c a l e so ft h ea g eo ff i s hc a u g h ti nt h es e aof TKyotoP r e f e c t u r e,andt h e p e r c e n t a g eo c c u r r e n c e so ft h o s ew i t hl a r g e自r s tr i n gr a d i u si n c r e a s e da st h e yg e to l d e ri nt h es e aof TYamaguchiP r e f e c t u r e . s tr i n gr a d i iont h es c a l er e a d i n g so f自s h1t o4y e a r so fa g ec a u g h tfromt h es e aof T L e e ' sphenomenoni sa p p a r e n ti nt h e自r Kyoto P r e f e c t u r e . The mcan 自r s tr i n gr a d i u si n c r e a s e d from s p r i n g( A p r i l ]u n e )t o autumn (September-December) and l l o w i n gy e a r ,andt h ep c r c e n t a g eo c c u r r e n c e so fs m a l l自r s tr i n gr a d i u si n c r e a s e dw i t h d e c r e a s e dfromautumnt os p r i n gi nt h e自o t h e i ra g e s . Thec a u s e so fL e e ' sphenomenonhaven o tbeeni d e n t i自e dy et .B asedupont h er e g i o n a ldi 1 T e r e n c e si nt h e自r s tnng hi nt h eT s u s lI imaWarmC urrent, i ti sp a r t l yc a u s e dbyt h e i rmovementandm i g r a t i o ntowardt h e r a d i u sont h es c a l eo fI s t a g e自s n o r t h e r no rs o ut h e r na r e a s tr i n gr a d i iont h es c a l e so fr e ds e abreami nag i v e na r e ar e A e c t i n gt h ee x t e n s i o no f t h e i rh a b i t a ta r e I ft h ec h a n g e si nt h e自r t h ed i f f e r e n c e si nt h e自r s tr i n gr a d i iont h es c a l e scanb eak 句 t ot h e i rm i g r a t i o n . Usingl h er e s u l to f a s s o c i a t e dw i t ht h e i rgrowth, s tr i n gr a d i u sandt h et a g g i n ge x p e r i m e n t s,t h ec o u r s eo f t h emovementandm i g r a t i o ni nt h ewestern]apanSea t h echangeo ft h e自r wase s t i m a t e da sf o l l o w s . Thep a r to ft h en o r t h e r np o p u l a t i o nd i s t r i b u t e do v e rt h ea r e aaroundt h eNotoP e n i n s u l amovess o u t h t oWakasa B a y . I nWakasaBay,t h et r a n s i t i o no ft h el o c a lp o p u l a t i o no ft h er e ds e abream i sc a u s e dw i t ht h emovement, moreover,t h e自s ht h a te m i g r a t e dfrom.WakasaBaymoves o u t ht ot h ew e s t e r np a r to ft h eS a n ' i nCoast . T h i sp o p u l a t i o nm i x e s o r t h from t h ew e s t e r np a r to fKyushu w i t ht h es o u t hp o p u l a t i o n,which moved n 4 . TransitionoflocalpopulationofredseabreaminWesternWakasaBay, estimatedfromthef i r s tring radius on the scale s tr i n gont h es c a l ew i t ht h ea g eo fr c ds e abreami t sm i g r a t i o n, o r Basedoni h ec h a n g e si nt h er a d i u sc o m p o s i t i o no ft h e自r i m m i g r a t i o nande m i g r a t i o np a t t e r n si nWesternWakasaBay, wase s t i m a t e du s i n gf i s h1t o6y e a r sofagei nt h e1 9 9 1y e a rgroup, 自s h1t o5y e a r sofagei nt h e1 9 9 2y e a rgroupandf i s h1t o4y e a r sofagei nt h e1 9 9 3y e a rg r o u p . 1 nt h ec o m p o s i t i o n so f t h e自r s t a d i iont h es c a l e si nyoungera g eg r o u p s自 (s hl e s st h a n3o r4y e a r so l d ), i twasr e v e a l e dt h a tt h ep e r c e n t a g eo c c u r r e n c e so f n時 r s tr i n gr a d i u s( n o r t h e r np o p u l a t i o n )i n c r e a s e dw i t ht h e i ra g e s,ぃ h i l et h el a r g e自r s tnng日 d i u s( s o u t h e r n t h o s ew i t ht h es m a l l自r T e r e n c e si nt h es i z eo ft h e自r s tr i n gr a d i u sont h es c a l eo f1 s t a g e自s h,i ti s p o p u l a t i o n )d e c r e a s e d . Basedupont 1 ler e g i o n a ld if s u g g e s t e dt h a tt h en o r t h e r np o p u l a t i o nm i g r a t e si n t oWesternWakasaBayand p o s s i b l ymixesw i t ht h el o c a lp o p u l a t i o n( t h e i n gr a d i u s )i nt h eB a y . medium 品目 r 1 ti st h o u g h tt h a tamongt h e自r s tr i n gr a d i u sb ya g e,自 s hw i t har i n gr a d i u so f3 . 4m mo rl e s swhichhadani n c r e a s i n g / 世 ibyt h e appearancer a t ewereimmigrantf i s h .Thec h a n g e swereapproximatei nt h ef o l l o w i n ge q u a t i o ni nt h ei n c r e a s er a t e世i+, a g e 1. 世i+1/世i=0.3533 exp-O<lS17i ( C o e f f i c問 l to fc o r r e l a t i o n0 . 8 2 2 4 ) h i sapproximatee q u a t i o ni s22%from1t o2 Theexchangep e r c e n t a g eo f t h eimmigrantf i s handt h ee m i g r a n tf i s he s t i m a t e d什omt r o m2t o3y e a r so fa g eand 9% from 3 t o 4y e a r so fage y e a r so fa g e,14% f Thec o m p o s i t i o no ft h e自r s tr i n gr a d i u sont h es c a l e so f1 s トa g e自s hc o l l e c t e dfroms i xa r e a si nt h eSeao f]apanc o u l db e f :0 . 3 3m m(TypeA; s e p a r a t e di n t ot h r e eGaussiand i s t r i b u t i o n si nwhicht h ea v e r a g er a d i u sandt h es t a n d a r dd e v i a t i o n sa r e4 . 4 4: 3 . 6 6土 0 . 3 1m m(TypeB;f r o mw e s t e r np a r to fS a n ' i nCoasttoWakasaBay)and2 . 6 8: f :0 . 2 8m m(Type w e s t e r np a r to fKyushu), C;0汀 NotoP e n i n s u l aandn o r t h w a r d )bymeanso ft h eC a s s i emethodandt h eTaylormethod. Basedupont h echangei nt h e e s t i m a t e dc a t c hi nnumbersb下a g eandt h r e et y p e so fr a d i u s(TypesA, BandC)i 日 出 e1 9 9 1y e a rgroup, a tl e a s tabout10%t o40% c i p a t ei nt h e i ri m m i g r a t i o no re m i g r a t i o ni n Western ¥ Va k a s a Bay o fr e ds e a bream a t 4y e a r so fa g e might pa円 i 5 . Theanalysisoftheageandgrowthofredseabreambaseduponthemovementandmigrationecology 2 9 2specimensc o l l e c t e dfromt h es e aof TKyotoP r e f e c t u r e Ageandgrowtho fr e ds e abreamweree s t i m a t e dfroms c a l e so f2, S c a l er a d i u s(SRi nmm)wasr e l a t e dt of o r kl e n g t h(FLi nmm)i nt h e1 9 9 1y e a rgroupa se x p r e s s c dbyt h ef o l l o w i n ge q u a t i o n, InFL=1 .055 InSR+3.449 ( C o e f f i c i e n to fc o r r e l a t i o n0 . 9 8 4 ) T y ' sgrowthe q u a t i o n swere Thei n f o r m a t i o no ft h emovementandm i g r a t i o no fr e ds e abreamwasu s e d .ThevonB e r t a l a nf hb e l o n g i n gt ot h r e et y p e so fr a d i u s(TypeA, BandC)whichweres e p a r a t e dfromt h es i z ew i t ht h e e s r i m a t e df o re a c hgroupf o r自s 2 魚鱗情報によるマダイの移動・回遊の解析に関する研究 ・ , 自r s tr i n gr a d i u sont h es c a l e,TypeA:Li=614.1(I-exp '01589(汁 0772, ' ) , TypeB:Li=577.7( I-exp '01727U103739)) andType 3 6 . 3 (I-exp'01915U+O.0190)),whereL ii s 出 ee s t i m a t e df o r kl e n g t ha tf u l la g e i ny e a r s C: L iニ 5 Thee s白matedf o r kl e n g t ho f自s hb e l o n g i n gt oTypeA w i t ht ¥ 1 el a r g e自r s tr i n gr a d i u swasl o n g e rt h a n自s hb e l o n g i n gt oTypeC w i t ht h es m a l l品目 tr i n gr a d i u s,s u g g e s t i n gt h a tt h egrowthi nt h ee a r l ys t a g e si n f l u e n c e ss u b s e q u e n tg r o w t h .A l s o, d i f f e r e n c e so f 0 -30m mwereo b s elVe di nt h ee s t i m a t e df o r kl e n g t ho fe ' acht y p e . 1 nWesternWakasaBay, i ti st h o u g h tt h a t自s hshowingt h r e e 2 such growth c u r v e se x i st e d 6 . Discussion Thep r e s e n ts i t u a t i o no ft h emanagemento fr e ds e abreams t o c k si nt h ew e s t e r njapanSeawasd i s c u s s e di nc o n s i d e r a t i o no f h .1 nt h ewesternjapanSea,f o rt h emorce f f e c t i v es t o c kmanagement t h ee f f e c t i v e n e s so fs t o c kmanagementi np r o t e c t i n gO a g e品s i ti sn e c e s s a r yt oe s t a b l凶 ana p p r o p r i a t emanagementa r e at ohavea d j u s t e dt ot h ea r e ao f t h emovementandt h e o f r e ds e abream, 、 m i g r a t i o n . Fors t o c kmanagement to f u l f i l li t sf u n c t i o ne f f e c t iI e l yf o r品s h e r yr e s o u r c e s,a r e f o r m e d managements y s t e mi s i n d i sp e n s ab l e " 京都府立海洋センター研究論文 6号 2000年 3 てマダイを対象とした漁業の操業形態は,各海域の海底地 ニ " " - 序 . J O l ! . 形や海況などの特性によって異なる。例えば,水深 2 0 0m マダイ P a g r u s附 l J o rは分類学上,スズキ目 P e r c i f o r m e s, までの比較的平坦な灘の広がる 石川県沿岸 海域と島根県か ススキ亜日 Pe問 i d e iのタイ科 S t a r i d a eに属し,北海道以南 ら山口県沿岸海域では,底曳網や船曳網による漁獲が多 の日本沿岸各地,東シナ海,南シナ海および台湾周辺海域 い。また, に分布する o 日本では,西日本沿岸,特に長崎県,山陰沿 変化に富 む福井県およひ京都府沿岸の若狭湾海域や兵庫県 岸および瀬戸内海に多く産する。日本周辺に分布するタイ 沿岸海域では, 定置網による漁獲が多くなっている。 科の魚J 重としては,本種のほかにキダイ D e n t e xt u mi J ト o n s, リアス式海岸が多く,環流の形成により海況が さらにマダイは,海産魚類のなかで最 も!f-くから栽培漁 チダイ Eりnms) a t o刑 囚 , ヒレコダイ E v y n n i sc a r d i n a l i s, タイ 業の対象種として,種苗生産および放流技術が開発され, ワンダイ A r g y r o p sb l e e k e r i,ヘダイ S t a日 ss a r b a, クロダイ 全国的な規模で人工種苗放流が行われている。近年の実績 A c a n t h o t a g r u ss c h l e g e l i, キチヌ Ac a n t l z o t a g r u sl a t u sなどが報 では,日本沿岸において年間 2 0, 0 0 0千尾以上のマダイ人工 告されている o これらのうち,マダイは産業的に 最 も重要 F i g . 2 )。しかし,放流種苗 種苗が生産,放流されている ( な魚種の一つになっており,底曳網,定置網,刺網,釣- が天然、海域で成長し再 び漁獲される,いわゆる人工種苗放 延縄,吾智網など多くの漁法で漁獲されている。 流の効果に関しては,鹿児島湾 (椎原, 1 9 8 6 ) など地域的 石川県から山口 県 までの日本海西部の沿岸海域における には高い再捕率を示す海域も認められているが,全体の漁 F i g . l ) をみると, 1 9 6 0年代 マダイの漁 獲量 の経年変化 ( 獲量 に占める人工種苗起源の漁獲量が明瞭に区分できるほ 前半では 4, 000-5, 0 0 0トンを記録していた o しかし, 1 9 6 0 どの効果は得られていない。また,放流種苗を含むマダイ 年代後半には,マダイ全体の漁獲量 は減少傾向に転じた。 当歳魚が種々の漁具,漁法で多量に混殺され,その多くは 1 9 7 0年 代 後 半 に は 漁 獲 量 は3, 0 0 0トンを下 回 り,さらに 海上投棄されているとの指摘があり,マダイ 資源の効率的 1 9 8 0年代後半以降には 2, 5 0 0トン前後にまで落ち込んだ。 な利用と放流資源育成の妨げとなっている(石川県ほか, その後,漁業関係者によるマダイ 資源の保護意識の高 まり 1 9 9 0 )。 や人工種苗放流事業の推進などにより, 1 9 9 4年頃までの漁 海洋生物の今後の利胤については, 1 9 9 4年に発効された 獲量 は2, 000-2, 5 0 0トンで推移したものの,長期的には漸 国連海洋法条約において,日本は「最良の科学的データに 減傾向を示していた。 1 9 9 5年以降は,日本海西部海域での 基づいて年物資源を維持し,管理していく 義務」を 負 って 漁獲量 は増加傾向をぶしているが,漁獲の中心は若齢の未 いる。このような状況下においては,放流資源も含めたマ 成魚であり,現在の同海域におけるマダイの資源状態はま ダイ 資源全体の合理的且つ持続可能な利用を目指した資源 だ低水準にあるといえよう 管理に 関する研究の必要性が高 まっている o o なお,日本海西部海域におい 30000 6000 ー ・ -Totalcatchi nJ a p a n o -w田 temJapans e a 25000 5 0 0 0: ; ; 2 帽 E oHU OHV o o 00 ・ 9 S)-s (固 『 4000宮 ・国 。﹂戸 4 ' " g , 画 、 1 5 0 0 0 3000 ~ 1 0 0 0 0 1 9 5 8 1 9 6 2 1 9 6 6 1 9 7 0 1 9 7 4 1 9 7 8 1 9 8 2 1 9 8 6 1 9 9 0 1 9 9 4 2000 Year F i g .1 . Annualc a t c ho fr e ds e ab r e a m . 4 魚鱗情報によるマダイの移動・回遊の解析に関する研究 内白曹 8000 25000 同 ( 者 20000 6000 室 町 『 固 15000 』 V︽ }-soH 昌 司 4000 ~ ωm g 10000 x 2000 5000 ・ ー-Totalnn berof 皿 Is e ds e e d si nJ a p a n 問 伺 ・ h g = ベ)-W 田t emJ a p a ns e a 0 0 9 8 5 1 9 8 7 1989 1991 1993 1 9 9 5 1997 1977 1979 1 9 8 1 1983 1 Year fs e e d so fr e ds e abreama r t i f i c i a l l yr e l e a s e d . F i g . 2 Numbero よるマダイ仔稚魚、の月別採集を行い,分布密度の時間変化 (1)マダイの生態に関する既往研究の概要 の把握を試みている。また今林ほか ( 1 9 7 7 ) は,瀬戸内海 マダイの研究は, 1 9 0 0年代以降全国各地で多くの研究者 における幼稚魚の食性を調査し , ヨコエピ類のマダイ稚魚 により行われてきた。 1 9 3 0年代には,太平洋および瀬戸内 の生残と成長における重要性を論じている。 1 9 8 0年代にな 海におけるマダイの成長,産卵生態等に関する研究報告が なされている(中村, 1 9 3 5 ; 海老名, 1 9 3 6 )。その後, ると,各県の水産試験場によって「回遊性魚類共同放流笑 験調査事業」 が実施され,種苗生産技術の向上とともに, 1 9 4 0年代から 1 9 5 0年代には,瀬戸内海を中心に,マダイの 放流種苗の放流後の分散,移動,成長,生残等 の知見に基 資源生態に関する知見が集積されている。この中では,マ づく放流技術の開発が行われた(島根栽セほか, 1 9 8 5 ;秋 Iする研究(海老名, 1940) や,マダイ漁 ダイの系統群に W 田栽セほか, 1 9 8 5 ;太平洋中 区栽培漁業推進協議会技術部 況と気候的環境変動との関係(土井, 1 9 5 5 ) などについて 会 , 1 9 8 7 )。さらに, 1 9 8 0年代後半から 1 9 9 0年代前半にか も調査が行われている。 けて「資源培養管理対策事業」や「資源管理型漁業推進総 1 9 5 0年代後半から 1 9 6 0年代に入って,瀬戸内海だけでな 合対策事 業」と継続的な調査が多くの水産試験場で行わ く,日本海の若狭湾や九州海域,東シナ海・黄海産マダイ れ,漁獲対象になる大きさのマダイについての 資源生物学 9 6 3 ;岡田, 1 9 6 7 ), 資源についても,分布・回遊( 真道, 1 に関する莫大な知見が集積 されている。また,これら 一連 年 齢 ・ 成 長 ( 赤 崎, 1 9 6 0 ;三 尾 , の事業では,マダイの分布,回遊, 産卵場,育成場などの 1 9 6 2 ; 村ヒ・岡田, 1 9 6 7 ), 産 卵 (真子 , 1 9 5 7 ),食性(岡田, 1 9 6 5 ) 等に 関す 知見を 得 ることを円的に,多くの標 識放流とその後の追跡 る調査が行われるようになった。特にマダイの成長につい 調査が行われた。これらの調査により,各個体の移動時期 ては,生息海域によって差カ T L Eめられることが明らかにな や回遊経路等に関して,いつ,どこまで移動したかなどの り,三尾 ( t9 6 2 ) は,それぞれの海域における水温の相違 質的な情報は数多く 得 られているが,個体群(ここでいう による初期成長量 の違いが,その 主な要因になることを示 o p u l a t i o o J 「イ固体群」とは,生物 学で用いられる「集団 ;p した。また, 1 9 6 0年代には,マダイは栽培漁業の最重要魚 と同義)の生活閣の把握,さらに 生活圏内におけるマダイ 種に取り上げられ,種南生産技術を開発するために種々の 群の移動に関して 量的に把握するまでには至っていない。 調査研究が全国的に行われ,マダイの生物学的知見は飛躍 そのため最近では,分布域が重複 している個体群の分離を 的に充実した。 1 9 7 0年代半ばには,マダイの大量種苗 生産が可能にな り,自然海への放流が試みられ始めた。天然海域でのマダ " 質 的 お よ び 量 的 に 把 握 す る 目的 で , ア イ ソ ザ イ ム や mtDNAによる遺伝的解析なととも試みられている(田畑, 1 9 9 4;Tabalaaodl ¥ l i z u l a, 1 9 9 7 )。 イ仔稚魚の成長,分布,食↑生などに関する情報が集積 され 以上のようなこれまでの研究結果をまとめると,マダイ 1 9 7 4 ) は,稚魚網に 始めたのもこの頃である。小林ほか ( の基本的な生態特性については,多くの成果カ{1-~られてき 京都府立海洋センター研究論文 6号 2 0 0 0 年 5 ているが,マダイ資源の広域的,且つ合理的な利用に深く ために必要な要因について考察した。 関連する個体群の移動,回遊に関する 量的な問題や海況と の関係については,解明されていない。特に,卵仔稚魚、の 移動範囲,保育場と産卵場との関係,索餌場内での種内関 係など資源管理に必要な生物学的知見の蓄積は十分とは, i い難い。 本研究をとりまとめるにあたり,終始温かく励ましてく ださるとともに懇切な御指導と原稿の御校関を賜った京都 大学大学院民学研究科教授坂本 亘博士 に深く感謝申し Ufます。 ( 2 ) 研究の目的 本研究の目的は, 日本海西部海域におけるマダイ当歳魚 の分布,マダイ鱗による個体群の識別,マダイ鱗に形成さ れる輪紋径の海域別年齢変化などを解析し,マダイの移動 様式にもとづく資源、の動向を明らかにすることにより,現 在行われているマダイの資源管理をより効果的に推進する ための展望を示すことにある。 第 l章では,京都府沿岸海域におけるマダイ当歳魚の出 現状況や大きさを調べ, 日本海丙部の他海域における状況 との比較を行うことにより,マダイ当歳魚、の分布に関して 検討した。 第 2主 以降においては, 1歳魚、以上のマダイの移動・同 遊情報を 得 るために,硬組織である魚鱗を用いた手法を式 みた。まず,第 2寧では,資源管理を行う上で基本的且つ 不可欠な生物学的基礎情報である個体群の識別に関して, 鱗の輪紋径による解析を行った。その結果,鱗に形成され る第 l輪紋径の海域による遠いを比較することによって, 成長の異なる局所的な個体群を分離できることが明らかに なった。 第 3 ~ では,日本海西部海域の 3 つの海域における l ( 3 )謝 辞 歳 魚以降のマダイ鱗の第 l輪径組成を調べ,第 l輪径組成の 年齢による変化を海域こ、とに把握し,第 2章で示した鱗の 第 l輪径 の解析結果や過去の襟識放流による結果も加えな がら,マダイの移動,回遊と第 l輪径との 関係について総 合的に検討した。さらに,第 l輪径組成の変化と 標識放流 の知見から想定されるマダイ群の動きを海域ごとに 示 し さらに,本研究のとりまとめに際し,有益な御助言 をい ただくとともに, 原稿の校閲をいただいた 京都大学大学院 農学研究科教授 田中 克博士,同教授中原紘之博士, 温かい励ましと有益な御助 言 をいただいた 京都大学大学院 情報学研究科助教授 荒井修亮博士に厚 く御礼申し上げま す 。 また,長崎県総合水産試験場, 烏根県水産試験場,秋 田 県水産振興センター, 背森県水産試験場の各水産試験場の 方 々には,調査に多大なる御協力をいただいた。さらに, 山口県水産研究センターの小林知吉氏,石川 県水産総合セ ンターの宇野勝利氏には,鱗の淵J I定資料の提供などに多大 な御協力をいただいた。これらの方々に厚 く御礼申し上げ ます。 本研究をとりまとめる機会を与えていただくとともに, 懇切な御指導 と御鞭撞をいただし、た京都府立海洋センタ一 所長 桑原昭彦博士に心から感謝します。また,本研究を すすめるにあたり,常に適切な御指導,御助言 と温かい励 ましをいただいた 同センター前所長 篠田正俊博士に心か ら御礼申し 上 げます。本研究の遂行にあたり御協力と御鞭 援を 計 っていただいた 同センター海洋調査部の方々に感謝 します。 最後に,本研究に係わる 調査を実施するに際しては, 京 都府立海洋センターに所属する平安丸およびみさき丸の船 員各位には多大の御協力をいただいた。これらの方々には 心から感謝します。 f 。 ニ 第 1章 京 都 府 沿 岸 海 域 に お け る 第 4章では,マダイ鱗の第 l輪径組成の年齢による変化 マダイ当歳魚の出現状況 を詳細に検討し,これまであまり研究されていなかったマ ダイ群の広域的な移動,混合の状況を 最的且つ時系列的に マダイ 資源の動態研究においては,当歳魚期における分 把握することを試みた。そして,若狭湾西部海域における 布や成長過程を明らかにする必要がある。マダイ当歳魚、の マダイ群の移動・回遊および海域内外での移出入の状況に 9 7 0年代から 1 9 8 0年代にかけて各地で多 生態については, 1 関して考察した。 くの調査が行われ,浮遊生 活期の稚仔魚の生態や 着底過 第 5主 において,第 4章 までに示したマダイの移動・回 6 程,底生生活期における分布様式 などに関する知見が蓄積 遊情報の利用例として,若狭湾西部海域におけるマダイの 9 7 9, 1980;森 , 1980; さ れ て い る (立石 , 1976; 田中, 1 年齢と成長についての解析を行い,第 6章では総合考察と 花測, して,マダイの広域性,同遊性を考慮 した資源の現状把握 ち,底生生活に移行したマダイ匂歳魚は,形態学的にみて と,日本海西部海域全体でさらに効果的な資源管理を行う 遊泳力の増大や生活様式の転換を保証する体構造が確立 魚鱗情報によるマダイの移動 ・回遊の解析に関する研究 1980; 畔回ほか, 1980;Tanaka, 1 9 8 5 )。このう '守' る海域周辺でのマダイ 当歳魚の移動,回遊と密接に関係し ているものと考えられる O 本章では,京都府沿岸海域の定置網で漁獲されたマダイ Minato s e tn e t - 日 当歳魚を時期別に採集し,その出現時期や尾叉長変化につ l k m いての知見を得るとともに,日本海西部の他海域における 状況との比較を行うことによって,個体群の特性を明確に E 1 3 5 " するうえで 重 要で、ある海域ごとのマダイ当成魚、の出現状 況,特に成長の違いを明らかにすることを目的とした。 (1)研究材料と方法 マダイ当歳魚の定置網による漁獲は, 京都府沿岸では西 部海域に位置する漁場で始まり,その後次第に東部海域を F i g .3 . L o c a t i o n so f恥1 i n a t os e tn e t自s h i n ggroundst o t h ew e s t e r np a r to fKyotoP r e f e c t u r e 含 め た 府 沿 岸 の ほ ぼ全域でみられるようになる(藤田ほ しており (Matsuokaand 1 wai, 1 9 8 4 ; Matsuoka, 1 9 8 5; 西部に位置する湊漁業協同組合所属の大型定置網(設置水 9 9 6 )。そこで,本調査では,京都府沿岸海域の 最 も か , 1 9 8 5 ),内向や外海に面した沿岸域など多様な Fukuhara, 1 深 33m;以下湊定 置網とする)で漁獲されるマダイ当歳 生息場所に分布し, 急速に成長する(立石, 1 9 7 6 )0 また, 魚を対象とした ( F i g . 3 )。湊定 置網の魚、捕部の目合(2脚 千葉県から 三重県にいたる太、 F 洋沿岸において, 着底後の 長 の内径)は 1 5, 8mmで周辺の定置網では 最 も小さく, マダイ 当歳魚の成長は,海域によって差があることが示さ 小 型 個 体 に 対 す る 目 合 の 選 択 作 用 に よ る 影 響 (戸嶋・藤 田 , 1 9 9 4 ) は比較的少ないと考えられる。なお,湊定置網 9 7 5 )。 れ て い る (三重県ほか, 1 日本海西部海域に属する京都府沿岸海域におけるマダイ の網型は:段務し得]型である。調査期間は, 1 9 9 2年 5月か 当歳魚では,春季の仔魚期の分布や着底時期および着底場 9 9 4年 9月までの l月から 4月を除く期間とし,主とし ら1 所,あるいは秋季以降の越冬場への移動についての概括的 て 6月から 9月を中心にマダイ当歳魚の漁獲量調査を各月 な知見(宗清・傍島, 1981;鈴木・桑原, 1983;京都海 1-8回の割合で行った。調査 日には定置網に入網した漁 セ , 1 9 8 4 ) はあるが,浅海域に分布する春季から秋季の出 獲物の操業 中 , t i ]海域のマ 現状況についてはほとんど調べられていなし、。 l の選別作業中に発見されたマダイ 当歳魚を全て採集した。 ダイ当歳魚は,浮遊生活期には若狭湾内の表層域に分布し 採集したマダイについて,尾数の計数と尾叉長の測定を (鈴木・桑原, 1 9 8 3 ),6月上旬には底生生活に入る(京都 行った。また,調査月ごとの会採集尾数と調査日数から l 9 8 4 )0 その後,マダイ 2 1 1歳魚は沿岸域に敷設され 海セ, 1 Eあたりの採集尾数を求め,これを漁獲尾数とした。 9 9 4 )0 ている定置網により大量 に漁獲される(戸嶋ほか, 1 また ,定置網で大量 に漁獲される時期には,マダイ当歳魚 もしくは陸上に水揚げされた定置網漁獲物 ( 2 ) マダイ当歳魚の出現時期と漁獲尾数 は底曳網などの他の漁具によって漁獲されていない。定置 湊定 置網における l日あたりのマダイ当歳魚の漁獲尾数 網への魚群の入網機構は,主として魚の回遊に伴う移動や を月別に Table Iに示した。湊定置網では ,マダイ 当歳魚 索餌, 日周活動リズムなどの行動様式と密接に関連してい の漁獲は 5月には認められず,各年とも 6月下旬頃から始 る。したがって,京都府沿岸海域の定置網で、漁獲されるマ まっていた。 1 9 9 2年では l日あたりの漁獲尾数は 6月から ダイ 当歳魚の季節的な漁獲変化は,定置網が噺設されてい 7月にかけて増加し, 7月に 1 8 1 . 2 ! 尾/日と松も多かった。 Table I Numbero fi n d i v i d u a l sp e rh a u lo fO a g er e ds e abream. Oct 、 - Year/恥I o n t h May J u n . J u l 1 9 9 2 0 . 0 1 4 0 . 5 1 81 .2 7 0 . 7 2 4 . 0 6 9 . 3 1 9 9 3 0 . 0 1 0 . 7 8 7 . 8 9 . 0 7 . 3 1 3 . 4 1 5 . 0 2 3 6 . 3 2 4 5 . 9 1 6 5 . 0 * * 8 2 . 0 3 1 0 0. 2 4 5 . 3 3 5 . 4 2 5 . 8 2 7 . 9 1 9 9 4 1992-1994恥1 e a n 0 . 0 Aug S e p t N o ¥ ' Dec 2 7 . 9 3 4 . 0 3 4 . 0 • :Nod a t a 京都府立海洋センター研究論文 6号 2000 年 7 1 9 9 2J u n . 2 0 n=279 1 0 n=32 1 0 。 . 1 9 9 4J un I20 n=15 0 1 。 。 「 出10[ ; : : [ 1 J 1 1 1 1 1 0A f i礼 > >2 0r ω 1 0 ω l 固 │ ト ヨ 1 9 9 3J u n . I20 l 0L .2 0r ~ J 5 1 J ,20 A u g . n=37 1 1 0 」ー」ー'-----u。 包 句 ,t . 1 0ト n= 92 ' ー ・z 。」ー」ー'---' 2 0r 2 0 5 0 8 0 1 1 0 10 也ι 1 0 ト n=20 唱 。 」 ーι ' ー」ー」 2 0 5 0 8 0 1 1 0 5 0 2 0 8 0 1 1 0 Forkl e n g曲(皿皿) F i g .4 . Forkl e n g t hd i s t r i b u t i o n so fO a g er e ds e abreamc a u g h tb yMinatos e tn e tfrom1 9 9 2t o1 9 9 4 8月には漁獲尾数は減少し, 1 1月にはマダイ当歳魚の漁獲 m m以上の個体が全体の 40-65%を占めていた。 は認められなくなった。 1 9 9 3年では 7月に 最 も多く漁獲さ 漁獲されたマダイ当歳魚の月別平均尾叉長を Table2に 2月までの漁獲尾数は 7.3-34.0尾/日であっ れ , 9月以降 1 不した。 3ヶ年における 6月から 9月の平均尾叉長をみる 9 9 4年の漁獲尾数は, 7月から 8月にかけて 56.7た 。 1 と , 6月で 33-40m m, 7月で 43-50m m, 8月で 56- 306.3尾/日と多く, 9月には減少していた。なお, 3ヶ年 6 5m m, 9月で 83-89m mであった。また,月ごとの平 0 0 . 3尾/日, 8月245.3尾/ の平均では 6月82.0尾/日, 7月 1 均尾叉長の菜は, 6月と 7月では 5-IOmm, 7月と 8月 日および 9月 35.4尾/日であり では 13-16m m,8月と 9月では 24-29m mであり,ど 7月と 8月 が 共 通 し て 3ヶ年とも特に多くなっていた。 の調査年においても平均尾叉長は 8月から 9月にかけて故 も大きく推移した。 ( 3 ) マダイ当歳魚の尾叉長組成 1 9 9 2年から 1 9 9 4年におけるマダイ当歳魚の尾叉長組成を おおよそ直線的に増加する(小嶋, 1 9 8 1 ) ことから,この fig.4に示した。 i 奏定置網で漁獲されたマダイ当歳魚の月 F i g .5 )0 各年の 間の成長を時間に対する直線で近似した ( 別尾叉長組成の推移は, 1 9 9 2年から 1 9 9 4年まで比較的類似 成長 は,次式で示される。 しており,以下のような共通性がみられた。 ・定置網に漁獲され始める 6月(下旬)のマダイ当歳魚は 尾叉長 22-50m mの範囲であり, 35-40m mのものが 主体であった。 ・漁獲尾数が多かった 7月から 8月までは,それぞれ尾叉 長 40-50m m,50-70m mの 2つの群が出現していた 0 ・9月には昆叉長 80-90m mのものが多くなり,資料が 得られなかった 1 9 9 4年を除くと, 1 0月には尾叉 長 1 0 0 8 また, 6月から 9月におけるマダイ当歳魚の尾叉長は, 魚鱗情報によるマダイの移動・回遊の解析に関する研究 1 9 9 2年 ;F L=5.341T一11.677 (相関係数 0.874) L=5.623T ー 1 0 . 3 5 3 (相関係数 0 . 7 8 5 ) 1 9 9 3年 ;F 1 9 9 4年 ;F L=6.422T-II.326 ( 相関係数0 . 8 3 2 ) FL,尾叉長 (mm), T,4月上旬を 0とした旬数 ( 4 )考 察 一 般に,定霞網はマアジ T r a c h u r u sj a p o n u u sやマイワシ - q Table 2 Monthlyc h a n g e si nmeanf o r kl e n g t hands t a n d a r dd e v i a t i o n so fr e ds e ab r e a m .u p p e r :meanf o r k l e n g t h(mm),l o w e r :s t a n d a r dd e v i a t i o n(mm) ー Year/Month May 1 9 9 2 Jun l Ju. Aug S e p t Oct 3 3 . 1 4 2 . 7 6 . 2 3・ 5 5 . 8 8 3 . 3 9 6 . 1 42 1 0. 1 6 . 2 2 4 4 . 5 6 0 . 1 3 . 7 9 1 9 9 3 3 9 . 2 3 . 1 4 1 9 9 4 3 9 . 7 3 . 8 3 6 . 4 5 4 9 . 9 1 0 . 0 6 9 . 3 3 8 9 . 4 8 . 3 3 11 .1 9. 1 0 4 . 9 1 3 . 5 6 Nov Dec 1 0 7 . 0 1 1 9 . 6 1 5 . 8 6 1 9 . 5 7 8 9 . 0 6 5 . 3 9 . 2 7 9 . 6 8 * * :Nod a t a S a r d i n o p sm e l a n o s t i c t 山といった 浮魚類に代表される表層 回 をみると,島根県沿岸海域と鳥取県沿岸海域で、は, 7月下 遊魚を誘導し,入網してきたものを漁獲する漁具とされ 毛叉長 50-70mm,9月には 80-1 0 0mm 旬から 8月に j る。しかし,二段落し網型の定置網では,浮魚類だけでな の個体が n~ 現し, a r a l 町h t h y so l i v a c e u sなどの底魚類につい くマダイやヒラメ P 長 は ほ と ん ど が 100mm を超える(島根水試, 1 9 8 9, 1 0月以降に出現するマダイ当歳魚の尾叉 ても落し網に 導入する機能を有するため,非常に多くの魚 1 9 9 0;鳥取水試, 1 9 9 3 )。また,若狭湾に面する福井県沿 種が入網して漁獲対象となる。また,マダイ当歳魚の定置 岸海域におけるマダイ当歳魚は, 7月に尾叉長約 50mm 網への入網機構は明らかではないが歳前後のマダイ未 で出現し, 8月に 60-70rnm,9月には約 80mmとなり, 成魚では,網地に沿った上下運動を行うことにより定置網 1 0月には 100mm以上に成長する(福井栽セ, 1 9 8 2 )。一 に入網するとされる(市原, 1 9 7 7 )。底生生活期のマダイ 方,若狭湾よりも北に位置する石川県沿岸海域では,マダ 当歳魚では遊泳機能が完成されている(矢野・小川, イの薪底時期は 7月上旬であり, 7月下旬に 尾 叉長 20- 1 9 8 1 ) ことから,定置網に対する上記のような対網行動が 40mmのマダイ当歳魚が出現する(尾形ほか, 1 9 8 0 )。同 漁獲に関連している可能性は高い 。 海域における当歳魚の尾叉長は, 8月に 30-50m m,9月 安定置網で漁獲さ 今回の調査結果から,マダイ当歳魚がi に 60-70m m となり,尾叉長 80mm以上の個体が出現 れ 始 め る の は 6月 下 旬 頃 で あ り , そ の 大 き さ は 尾 叉 長 する時期は 1 0月以降である(尾形ほか, 1 9 8 0 )。今回調査 35-40m mであったことが明らかになった。京都府沿岸 を行った京都府沿岸海域におけるマダイ当歳魚の時期的な 海域において,マダイの着底時の大きさは尾叉長 10-20 大きさは, 島根県沿岸海域,鳥取県沿岸海域および福井県 m mで あ り , 着 底 時 期 は 6月 上 旬 頃 , 着 底 場 所 は 水 深 沿岸海域でのそれとほぼ同じであり,石川県沿岸海域より 10-15mの砂質帯である(京都海セ, 1 9 8 4 )。着底後のマ も大きかった。日本海西部海域で夏季から秋季にかけて出 ダイは,生息環境にもよるが約 0 . 7mm/日前後で成長し 現するマダイ当歳魚の大きさは,山陰沿岸から若狭湾沿岸 (畔回ほか, 1980;尾形ほか, 1 9 8 0 ;大内, 1 9 8 6 ),成長に 海域にかけてはほ一致するが,能登半 島周辺海域ではこれ 伴い生活水深は深くなる(畔田ほか, 1980;田中, 1 9 8 6 )。 らの海域よりも小さいことになる。 これらのことから,マダイ当歳魚は着底から lケ月以内に 京都府沿岸海域で定置網により漁獲されたマダイ当歳魚 着底場所から沖合に移動し,その過程で定置網に遭遇,入 の発生時期は, Fig.5に示した成長直線の X切片を溢卵 網し始めると考えられる。その後,マダイ当歳魚は 7月に 盛期と仮定すれば, 4月下旬から 5月上旬と推定できる。 は主として尾叉長 40-50m m,8月には 50mm以ヒとな これは,同海域における成魚、の成熟状況(戸嶋,未発表) り,定置網で、大量 に漁獲された。このことはマダイが稚魚、 と一致し,山陰沿岸海域のマダイの産卵時期とほぼ同様で、 期以降,集群性を獲得したことを示している。 9月以降に ある(藤川・竹森, 1 9 8 8 )0 --方,能畳半島周辺海域にお は,定置網で、のマダイ当歳魚の漁獲尾数は減少した。 9月 けるマダイの産卵時期は 5月下旬から 6月上旬であり,京 以降における漁獲尾数の減少は,定置網周辺域での個体数 都府沿岸海域に比べ、ると約 lケ月遅くなっている(尾形ほ の密度低下によるものと考えられ,この頃よりマダイ当歳 か , 1 9 8 0 )。すなわち,山陰沿岸から若狭湾沿岸 海域と, 魚の定置網漁場からの逸散が開始されているものと判断で 能登半島周辺海域における当歳魚の出現状況の違いは,基 きる。 本的には両海域におけるマダイの産卵時期のずれに対応し 日本海西部の他の海域におけるマダイ当歳魚の出現状況 R ていることがわかる。また,当歳魚期の海域による成長差 京都府立海洋センター研究論文 6号 2 0 0 0年 9 , 白 160 140 . . E120 旦 100 o a s ‘ E = G J - 80 。60 』 同 』 40 20 。 6 1 1 7 / 1 8 / 1 9 / 1 1 0 / 1 D a t e F i g . 5 Changesi nf o r kl e n g t ho fO a g er e ds e a bream f r o m1 9 9 2t o1 9 9 4 . Thes o l i d( 1 9 9 2 ), b r o k e n( 19 9 3 )andd o t t e d( 1 9 9 4 )l i n白 r e p r目 e n tr e g r e s s i o nl i n e sb e t w e e nd a ) ' sa n df o r k l e n g t h は,日本海西部海域におけるマダイ群の構造を解明するう 組織には生物の過去の履歴情報が蓄積されている可能性が えで注目すべき結果であり,次章以降では l歳魚を用いて 高い。例えば鱗では,魚鱗の成長と魚体の成長 との聞には さらに詳細な検討を行う。 高い正の相関があり,鱗に形成される隆起線の間隔は,体 成長が大きいほど広くなる(池田ほか, 第 2章 マタイ鱗の第 1輪径組成の海域差 1 9 7 3 ;B i l t o n, 1 9 7 5 ;F i s h e randP e a r c y, 1 9 9 0 )。マダイの鱗は 露 出部に 小歯を備える櫛鱗であり,被覆部には鱗の中心から同心円 魚類の移動・回遊状況を推定するためには,漁獲対象と なる魚種がどのような時空間的分布と組成をもった個体群 (不連続性)または隆起線の密度集合等により形成される から構成されているのかをまず明らかにしなければならな 輪紋の年齢指標としての有効性は,既に検証がされている い。複数の個体群が混合している魚群では,それぞれの例 (三尾, 1 9 6 2 )。従来から行われてきた鱗によるマダイの年 体群を分離,識別するための何らかの指標が必要となる。 齢と成長に関する研究結果(赤崎, 1960;三尾 , 1 9 6 2 ;村 従来からの個体群識別法としては,体節形質の比較といっ 上・岡田, 1967;国行ほか, 1 9 7 5 ;阪本, 1 9 8 4 ) を比較す た形態的特徴(浅見・花岡, 1 9 5 7 林・鈴木, 1 9 5 9 ),相 ると,推定されたマダイの年齢ごとの体長は,海域によっ 対成長の違い(鉄・檎山, 1957;渡部, 1 9 7 0 ),アイソザ て異なっている。また,第 イムや mtDNAなどによる遺伝学的分析手法(藤尾ほか, 岸海域と石川県沿岸海域では,同時期に出現する当歳魚、の 14tで示したように,京都府沿 1 9 8 5;西国ほか, 1 9 9 6 ) 等,いくつかの方法が多くの研究 大きさは異なっている。海域ごとに生後 l歳時ーまでの成 者によって試みられてきた。特に近年,遺伝学的分析手法 長差が生じている場合,それは各海域における個体の成長 の開発が精力的に行われ,マダイについても mtDNA分 履歴の差として鱗の第 l輪径に現われる。 析による個体群聞の差異検出などの興味深い成果が報告さ 日本海沿岸の地先海域に生息するマダイは,遺伝学的分 れている ( T a b a t aandMizuta, 1 9 9 7 )。しかし,この方法 析手法による個体群解析では,現在のところ,明確な区別 は長い年月にわたり隔離された群相互の識別には優れてい はされていない(田畑, 1 9 9 4 ;新潟県, 1 9 9 6 ;Tabataand るが,各地先海域聞における群の移入・逸散の定量的解析 Mizuta, 1 9 9 7 )。しかし,標識放流では府県地先海域聞に や局所的な個体群の分離に対してはあまり適していない。 一方,同じ回遊環境履歴 を持つ個体群の識別に対して 1 0 状に隆起線が配列している。鱗上に現われる隆起線の乱れ おける移動が多数確認 されており, 遺伝学的には日本海沿 岸の大きな lつの個体群に属 しているが,成長に伴って異 は,近年,耳石や鱗などの硬組織を利用した解析や安定同 なった困遊経路をたどるマダイ群の存在が示唆される。本 位体比分析が行われている。 一般に,海洋生物の硬組織は 主では,このような時空間的に小規模な個体群(局所個体 環境変動の影響 を受けながら継続的に形成されるため,硬 群 ;l o c a lp o p u l a t i o n ) を識別することを目的に,マダイ l 1.号、鱗情報によるマダイの移動・回遊の解析に関する研究 , 白 q 採鱗部位は,左体側中央部の側線ド方とし個体から 歳魚の鱗に形成される第 l輪径組成の解析を行った。 5-10枚の鱗を採集した後に, 3%水酸化カリウム溶液に (1)研究材料と方法 浸潰し,十分に水洗いをして汚物を除き 2枚のスライドガ ラスに挟んで標本とした。なお,収集したマダイについて マダイ鱗の第 l輪径を測定するために, 1 9 9 2年には F i g 6に示した 長崎 県伊万里湾,島根県大社沿岸,京都府沿 は尾叉長の測定を行うとともに,鱗については鱗径と第 l 岸,石川 県加賀沿岸,秋田県男鹿沿岸の 5海域から合計 輪径 ( F i g .7 ) の測定を行った。第 l輪径の判断基準は, 1, 3 0 8個体の l歳魚を収集し, 1 9 9 3年には京都府沿岸と 青 三尾 ( 1 9 6 2 ) および村上・岡田 ( 1 9 6 7 ) の方法に従い,鱗 森県大戸瀬沿岸の 2海域から合計3 5 7個体の l歳魚を収集 した。各海域のマダイの調査個体数,調査年月日,漁業種 類および尾叉長を Table3に示した。 4 5 N C h i n a nHU a u守 - g 司 nH EEU n u a u fnu a u n u pb K o r e a 3 5 -nHU a u 1 3 0 守 同 qd ‘ 1 1 3 0 E -ru 。/ F i 再 6 . Samplinga r e a so fr e ds e ab r e a m . Numbers hs p e c i 1 6i n d i c a t el o c a t i o n s where t h e 自s menswerec o l l e c t e d F i g .7 . Method u s e dt o measure s c a l er a d i u s and r i n gr a d i u s . SR: s c a l er a d i u s,r , 自r s tnng r a d i u s F L )土 standardd e v i a t i o n( S . D . )i n1 9 9 2and Table 3 . Samplinga r e a s, 'numbero fs a m p l e s,d a t e,g e a r,andf o r kl e n g t h( 1 9 9 3 . Samplinga r e a s Numbero fs a m p l e s Date Gear FL土S . D .(mm) 1 9 8 J u n .3 ,1 9 9 2 Gochト t r a w l 1 6 4: t1 2 . 7 Taishyaa r e a,Shimane 1 9 9 J u n .2 1,1 9 9 2 Beachs e i n en e t 1 5 2: t9 . 9 o f fKyotoP r e f e c t u r e 4 8 1 S e p . N o v .,1 9 9 2 S e tn e t t23.7 1 8 3: o f fKyotoP r e f e c t u r e 1 4 3 S e p . N o v .,1 9 9 3 S e tn e t 1 8 1: t22.3 Kagaa r e a,I s h i k a w a 238 S e p .1 9,Oct .1 ,1 9 9 2 Danishs e i n e t1 2 . 7 1 3 6: I m a r iBay,Nagasaki Ogap e n i n s u l a,A k i t a 1 9 2 Oct .1 ,1 9 9 2 Danishs e i n e . 7 1 5 3士 6 Otosea r e a,Aomori 214 Nov. 1 5,2 3,2 5,1 9 9 3 S e tn e t 1 6 5: t1 0 . 7 京都府立海洋センター研究論文 6号 2000 年 " I I 縁辺部とほぼ平行に連続してみられる隆起線の乱れを基準 第 l輪径組成を Fig.8に示した。第 l輪径組成はどの海 とした。測定軸は,鱗の焦点から被覆部にある基軸角まで 域においても左右対称、な正規分布地に近い分布を示してお の直線とし,測定軸が初輪と交わるまでの距離を第 l輪径 り,石川県沿岸を除く全ての海域の第 l輪径組成は, X2 ( r, ) とし,鱗の縁辺部に達するまでの距離を鱗径 ( S R )と 検定により 95%信頼度で正規分布であることが認められ した。また,隆起線間隔が粗く,隆起線の乱れの部分が測 た。長崎県沿岸海域で漁獲されたマダイの第 l輪径のモー 定軸に対して l 闘を持つ場合には,その外松までを測定し ドは 4.4-4.6m mで,平均第 l輪径は 4.46m m,標準偏 . 0 1m m単位まで た。再生鱗を除いた 5枚の鱗について 0 差は 0.45m mであった。島根県沿岸海域の第 l輪径組成 測定し,その平均値を各個体の代表値とした。 では,モードは輪径 3.4-3.6m mにあり,平均第 l輪径 また,社団法人漁業情報サービスセンター速報より漁獲 は 3.60m m,標準偏差は 0.34m mであった。京都府沿岸 地点近傍の水深 Omの月平均水温を求め,これから年間 t r iで 海域の場合には, 第 l輪径の出現範閣は 2.0-5.6m あり,モードは輪径 3.6-3.8m m,平均第 l輪径および 平均水温を計算した。 標準偏 差 は 3.79m mおよび 0.60m mであった。京都府 ( 2 ) 対馬暖流域におけるマダイ 1歳魚の第 1輪径組成 沿岸海域における第 l輪符組成では,標準偏差は 島根県沿 1 9 9 2年に調査を実施した 5つの海域におけるマダイ鱗の 岸海域のそれと比べて大きいが,モードは 島根県沿岸海域 ﹁EEEEEEEEE﹄11111111﹂ 1 0000Aυ 2 1 と近い距離にあり, 両者の平均第 l輪径の差も 0.2mm 目 十 l 斗 / // 川// H j ; 以下であった。石川 県沿岸海域と秋田県沿岸海域の第 l輪 , , , . , IIIIII /H ////1 . . . . 回 , . /N a g a s a k i 目 │ 石 ヰ. 4 6 I S . D .= O . 4S :I n=198 一 一 径組成では,いずれの海域においても,モードは輪径 2.6-2.8m m にあり,平均第 l輪径も 2.75m m と 2.66 0 1じ大きさであった。また,両海域の第 m mでほぼ / l輪径 組成に速いがあるかどうか調べるために, Mann-Whitney S h i m a n e , , 2 0 = 3 . 6 0 S . D .= 0 . 34 n=199 1 0 の U検定を行ったが, 1%の有 意 水準で差は認められな かった。この結果は,阿海域に分布する l歳魚、が,ほぽr o J じ成長をする群に属 していたことを示している。 IKyo帥 汁 I S . D .= 0 . 6 0 n=4 8 1 ( 式 n )hω ぃ山一円a a503 , w ,J a A 知山 b444 IS 'ゐ・且 OOAυao ﹄缶 m L IKyo帥 │ 月= 3 . 6 9 I S . D .=0 . 5 9 n=143 ﹄凪 10 M 444 Fω T ;=2.66 S . D .=O . 3 2 n=l92 20 司必刊岬 冨 A k i 阻 20 即 ω 同 一haan JFS 回 FIll-﹄I l l 1 1 1 L i l l i - -﹂ Fω ﹁EEEEEEEEEEEEEFIll111111111 ﹂ 冨 一耐Ti :/行 =3.79 OOAυAυ00 2 13 ロ ω ﹁EEEEEEEEEド111111111 ﹂ 且 , a ι ' (4F)hω OOAυ0000 次に, 1 9 9 3年に調査を実施した京都府沿岸海域と 青森県 沿岸海域の第 l輪径組成を Fig.9に示した。両海域の第 1 0 マ . F 0 0 1 .0 2 . 0 3 . 0 , 4 . 0 in gr a d i 田 r R 5 . 0 1 .0 6 . 0 3 . 0 , i s t r i b u t i o n so ft h ef i r s tr i n gr a d i u s F i g . 8 Frequencyd ( r dont h es c a l e so fr e ds e abreamfromr h e5 a r e a s' i n1 9 9 2 ん :mean radiusof品目 r i n 耳 S . D . :standardd e v i a t i o n,n : numbero fsamp l e s 3 1 2 2 . 0 r R in g悶 ( m m ) 魚鱗情報によるマダイの移動・回遊の解析に│却する研究 4 . 0 5 . 0 6 . 0 d i u s( m m ) i s t r i b u t i o n so ft h ef i r s tr i n gr a d i u s F i g .9 . Frequencyd ( r, ) on t h cs c a l e so fr e ds e abream from t h e s e ao{ fK yotoandAomorip r e f e c t u r e si n1 9 9 3 r , :mean radius off i r s tr i n g,S . D . : srandard d e v i a t i o n,n :numbero fs a m p l e s 1)輪径組成についても 2 x 検定により正規分布で近似し Fig.8および F i g . 9に示 した京都府沿岸海域の第 l輪径 うると判定された。京都府沿岸海域の第 l斡径組成では, 組成をみると, 1 9 9 2年と 1 9 9 3年の組成に 差が認められな モードは輪径 3. 6-3.8m m に出現し,平均第 l輪 径 は かったことから,同海域においては両年とも同じ第 l輪径 3 . 6 9mm,標準偏業は 0.59m mであり,モード,平均値 組成を有するマダイ l成魚、が分布していたと考えられる。 9 9 2年の結果と類似していた。 青森 および標準偏差ともに 1 京都府沿岸海域と島根県沿岸海域では,第 l輪径の平均的 県沿岸海域における第 l輪 径組成のモードは輪径 2.6- な大きさはほぼl ロ]じであった ( F i g . 8 )。このことは,第 l 2.8mmで,平均第 l輪径は 28 3m m,標準偏差は 0.28 章で示したように,両海域に出現する当 歳魚の成長状況と m mであった。 一致する。また,両海域における第 l輪径の標準偏差に違 目 9 9 2年と 1 9 9 3年に調査を行った京都府沿岸海域の なお, 1 いが認められたことは,標準偏差の大きい京都府沿岸海域 第 l輪径組成に対して, Mann-Whitneyの U検定を行った では, 島根県 沿岸海域に比べて個体問の成長差が大きいこ 結果,両年の第 l輪径組成には 1%の有意水準で差は認め とを 示 している。石川県沿岸海域については,傍 島 ・宗消 9 9 3年の青森県沿岸 における第 l輪 られなかった。また, 1 ( 1 9 8 2 )が , 1 9 7 9年に石川県加賀沿岸で t 旬、獲されたマダイ 径組成と, 1 9 9 2年の石川県および秋田県沿岸における第 l に関して調 査 を実施しており, 1歳魚の第 l輪径組成の 輪径組成の 3つの組成について, K r u s k a l W a l l i sの検定を モードが 2.4-2.5m mに出現したことを報告している。 実施したところ, 1%の有 意水準で莱呉は認められなかっ 1 9 9 2"fの今回の調査においても,石川県沿岸海域における た 。 第 l輪径組成のモードは輪径 2.6-2.8m m にあり ( F i g . 9 7 9年の調査結果と比較して大きな差異はみられな 8 ), 1 ( 3 ) 第 1輪径と水温との関係 かった。さらに,石川県沿岸海域以北の 3つの海域では, 調査海域における水深 Omの年平均水温と平均第 l輪 第 1)愉径組成に 差カf認められなかった ( F i g .8,F i g .9 )こ i g .1 0に示した。各海域におけるマダイ l 径との関係を F とから,これらの海域では,漁獲された年の違いはある 歳魚の平均第 l輪待は,年平均水温と 有意 な正の相関が が , l t i ]じ第 l輸径組成を有するマダイ l歳魚が生息してい あった (F=37.145,P=0.0017)。 ることカすわかる。 ( 4 )考 以上の結果をもとにして,長崎県から 青森県までの対応 察 暖流域におけるマダイ l放魚の第 l輪径について整理する 魚類の体長組成は,年齢,発生時期,漁場等で十分に層 と,第 l輪径組成のモードが 4.4-4.6m mで,平均第 l 化された後では,正規分布をする。今回,各海域における 輪径が 4. 4 6mm と最 も大きい長崎県沿岸海域,平均第 l マダイ鱗の第 I輪径組成が正規分布を 示 したことは,マダ 輪径が 3 .00m m以下で,第 l輪径組成が海域内でほとん イ鱗の第 l輪径が生後 l年間の成長によって規定されるこ ど同じである石川県沿岸以北の海域および平均第 l輪径が とを 表 しており,それぞれの第 l輪径組成でぶされるマダ 3.60-3.80m mであり, 上記 の南北 2海域と比較して中 イ群は,層化された単位群であると考えることができる。 間的な大きさの第 l輪径組成を持つ 島根県から京都府沿作 5 . 0 AO da守 ﹄ 。 ョ 壱E (EE亡 、 ) 国τ 固 4 . 5 相官国 固 E S 3 . 5 ω 去 3 . 0 y= 0 . 2 9 81 x-1 .9 2 1 2 c O T r e l . t i o D=0 . 9 3 9 2 . 5 可. 2 . 0 1 5 1 6 1 7 1 8 1 9 20 2 1 2 2 Meant e m p e r a佃 r ea tt b ed e p t bo f0 皿 ( ' C ) F i g .1 0 R e l a t i o n s h i pbetweenmeantemperaturea tt h edeptho fz e r ometerandmean 自r s tr i n gr a d i u son t h es c a l e so fr e ds e a bream. S o l i dc i r c l er e p r e s e n t seach samplinga r e a . 京都府立海洋センター研究論文 6号 2000年 1 3 ぷされる海域差の原因として 海域の 3つの海域に大別することができた。 第 1: 欝で述べたように,日本海西部海域におけるマダイ 当歳魚は,海域によって産卵時期のずれに起因する出現状 符海域における Om深の 0 8C 以上となる日数,つ 年平均水温や 50m 深の水温が 1 まり水温の 影響 が指摘できる。 況の違いが認められた。ただし,鱗の輪紋形成時期は,各 海域におけるマダイの産卵時期とほぼ一致するため.(秋田 第 3章 マダイ鱗の第 1輪径組成の年齢による変化 栽セ. 1982;石川増試, 1984;島根栽セほか, 1985;京都 9 8 6 ),第 l輪径に差がみられた海域間では, 生後 海セ, 1 l年間のマダイの成長 は異なっていることになる。このよ マダイに関しては,従来から鱗に形成される輪紋径を用 いて成長の解析が行われている(赤崎, 1960;三 尾 , うに海域によってマダイ鱗の第 l輪径,すなわち成長に差 1 9 6 2;村上・岡田, 1967;同行ほか, 1975;阪本, 1984; が現われる要因には, 沢田ほか, 1 9 8 5 )0 tI本海沿岸における海域ごとのマダイ ー般的には水温との関係が考えられ 1 9 8 4 )。今 [ n Jは,現場海域の の年齢と成長に関する報告 は少なくないが,それらの報告 水温データを得ることができなかった。このため,第 l輪 では, 高齢魚、の輪紋径が低年齢魚の輪紋径に比較して小さ て い る (三尾, 1962;阪本, 律とマダイの生息水温との 関係を 直接,比較検討すること くなる,いわゆる Lee現象やその逆の反 Lee現象が現れ はできないが,調査を行った各海域の水深 Omの平均的 ていることカ f指摘されている(秋田栽セ, 1982;京都海洋 な 水 出 と 平 均 第 l輪 径 に は 明 瞭 な 正 の 相 関 が み ら れ た セ , 1986;戸嶋ほか, 1 9 9 3, 1996;佐藤, 1 9 9 3 )0 Lee現 ( F i g .1 0 )。また,各海域において,水深 50mの水温がマ 象の原因については,体長従属的な要因など幾つかの考え ダイの成長を促進する 1 8C 以上(松原・落合, 1 9 7 6 )と 方が提案されている ( R o b e r t s o n, 1 9 3 6 ;R ic k e r, 1 9 6 9 ; , なる年間日数を推定すると,長崎県沿岸海域で、は約 210日 9 7 1 ;VaughanandBurton, 1 9 9 4 ) が,未だ定説 Chen, 1 0 島根県沿岸海域および京都沿岸海域では約 1 5 0日,石川 県 は得られていなし、。幾つかの仮説の中で, S t a n l e y( 1 9 8 0 ) 沿岸海域から 青森県沿岸海域では約 1 2 0日 以 下 と な る (長 が,オーストラリア南部に分布しマルスズキ科 A r r i p i d a e 沼・市橋, に分類される A u s t r a l i a nsalmonA r r i p i st r u t t ae s p e rの鱗 1993;TojimaandF u j i t a, 1 9 9 6 )。これらの日 総径の大きい海域では,マダイ 数と今回の結果から,第 1i にみられる Lee現象に対して指摘した,漁場への加入, の成長に適した期間はより 長 くなっていることが分かる。 逸散は, 最 も考慮しなければならない要凶の lつであろ さらに,鱗の隆起線形成と水温との関係や,マダイの耳石 う。成長するにしたがい,移動・回遊により生息海域を拡 に含まれる微量元素分析などの結果においても,水温はマ 、 伸F E げることが,特定漁場への複数個体群の加入を促し, t ダイの成長を規定する大きな物理的要肉であることが示さ 組成を複雑にしている。さらに個体群の漁場への来遊を推 れている(荒井・坂本, 1995;A r a ie ta , . l 1996;戸嶋・ 荒井, 2 0 0 0 )。これらのことから,マダイ鱗の第 i輪径に 定することは,府県地先海域で行われている人工種苗放流 事業 の効果を知るうえでも 重要である。 S e a o f J a p a n 0 n H ν E1 ・ 0 3 6N ・ , 1 3 6 F i g . 11 . Samplinga r e a so fr e ds e abream. Theshaded p a r t si n d i c a t e品s h i n ggwunds, and numbers 1 3i n d i c a t et h el o c a t i o n s where t h ef i s h specimens were c o l l e c t e d . 1 4 魚鱗情報 によるマダイの移動・回遊の解析に関する研究 前章 において,マダイ l歳魚、の鱗の第 l輪径組成を比較 漁期別の第 1I輪筏組成を湖べ,マダイの季節的な移動との した結果,対馬暖流域では海域ごとに成長速度の異なる個 関連を検討することによって,発生海域の異 なる個体群の 体群が存在していることが明らかになった。本章では,マ 加 入 が Lee現象を引き起こすことを示した。 ダイ鱗の第 l輪径と個体群の移動,回遊との 関連を明らか (I)研究材料と方法 にすることを目的に, 日本海丙部の石川県沿岸海域,京都 府沿岸海域および山口県沿岸海域における第 l輪径組成を ぷ供魚、には, 1992年から 1997年にかけて,日本海西部の 輪径組成の年齢による変化から推定さ 年齢別に調べ,第 1j 石川県沿岸海域, 京都府沿岸海域および山口県沿岸海域に れるマダイの動きについて,標識放流による知見を加えて おいて漁獲されたマダイを用いた ( F i g .1 1,Table4 )。 採 検討 した。さらに,京都府沿岸海域のマダイ鱗について, 集 した 全 てのマダイについて尾 叉長 の測定を行うととも r e a s,y e a rgroup,age,numbero fsamples,gear,minimum and maximumf o r kl e n g t ho fr e ds e a Table 4 . Samplinga bream Samplinga r e a s 1 9 9 2 (Notop e n i n s u l a ) Age 1 1 0 /︼ 内 、 u A T p h J 。汀 T shikawaP r e f e c t u r e Ycar group T o t a l 1 9 9 1 11nLηJATRJfo o汀 K) ' o t oP r e f e c t u r e T o t a l 'lAq'﹃ 内 、 u A せ に J 1 9 9 2 T o t a l E A n /匂 内 、 u A T 1993 T o t a l 1 9 9 2 E l n ノ ﹄ の3 4 T R J o汀 YamaguchiP r e f e c t u r e T o t a l Numberof samples Gear Minimumand maximumf o r kl e n g t h 263 Danishs e i n e -194 1 15 1 2 3 Danishs e i n e 151-229 3 1 1 0 8 87 ← Danishs c i n e 2 1 272 S e tn e tandG i l ln e t 237-346 HandlineandG i l ln e t 267-341 612 657 653 S e tn e tandHandlineand Longline 109-266 1 40 -333 323 -381 1 86 322 -438 2 4 4 2 1 1 53 273-4 1 2 6 1 3 2 1-49 292 2, 366 3 1 1 S e tn e tand Handlineand Longline 1 00 -244 1 53 -332 228 -391 1 88 207 268-4 42 1 4 3 82 303-4 , 255 1 248 76 S e tn e tandHandlineand Longline 11~ト262 147-323 82 -438 282 60 ー 判4 302 466 1 5 5 " Danishs e i n eandOki-tateami 1 50 -231 1 5 8 279 1 64- 1 2 9 182-347 72 325-380 67 347-454 5 8 1 京都府立海洋センター研究品文 6号 2000年 1 5 に,鱗を採集し,スライド標本とした後に年齢査定を行っ 1 9 9 3年発生群(以 Fそれぞれ 級群の l歳魚、から 5歳魚、の合計6 1 2 1 同体,京都府沿岸海域 1 9 9 1年 , 1 9 9 2年 お よ び では 9 1年級群の l歳魚から 6歳魚の合計2.292個体, 9 2年 9 1年級群, 9 2年級群および 歳魚から 5歳魚、の合 計 1 . 2 5 5個 体 お よ び9 3年級群 級群の 1j た。年齢査定を行ったマダイは, 9 3年級群とする)に区別し,鱗径 ( S R )および第 l輪 任 の l歳魚、から 4歳魚の合計4 6 6個体であり,山口県沿岸海 ( T, )を万能投影機を用いて 0 . 0 1m m単位まで測定 Lた 。 域では 9 2年級群の l歳魚から 5歳魚の合計5 8 1個体であっ なお,採鱗部位,標本処理および、輸径の判断基準は,第 2 た ( T a b l e4 )。 章 と同様である。ただし,鱗径と第 l輪径の測定におい て,京都府沿岸海域の標本は著者が直接測定したが,他の 2海域については測定者が異なったため, j s I J定備に以 Fの ( 2 ) 海域別第 1輪径組成とその年齢変化 (a)石川県沿岸海域 石川県沿岸海域のマダイ鱗の年齢別第 l輪径組成を F i g 処理を行った。 採鱗部位がずれることによって生じる鱗径の誤差につい 1 2に示した。 l歳魚の第 l輪径組成では,出現範囲は輪 ては,著者が測定した京都府沿!ーと海域におけるマダイの鱗 径 1.8-4. 4mm,モードは輪径 2.6-2.8m mにみられ, 径と 尾叉長の関係式の95%信頼限界値を求め,その範囲内 平均第 l輪径は 2.88mmであった。 92年級群における l の測定値のみを採用することにより,鱗径の統ー化を図っ 1年級群 歳魚の 第 l輪径組成の出現範開およびモードは, 9 た。さらに,輪紋の判断基準は,測定者による差が生じる ( 第 2章 F i g . 8 ) のそれと比較して基異は認められなかっ ことを防ぐため,各海域で採取された 20 個体の鱗の第 l輪 径を,著者と他海域の測定者 2名が同時に読み取り,それ 2 0 ぞれの輪径値に差がないことを予め確認した。 1 0 今回の調査に用いた個体数は,石川県沿岸海域では 9 2年 。 2 0 :l A g e :I ω :I 2 0 n=2 1 0 。 ・・ e目 ・ ・ 目 ・ ・ 目 ・ ﹄ o 一 一 目 ・ 目 ・ ・ 目 ・ ・ 目 -a 。 。 2 0 1 0 2 0 1 0 0 2 0 : 5・A g e : 2 0 n=8 7・ l 0 1 .0 2 . 0 3 . 0 T1 4 . 0 5 . 0 1 0 、 - 0 6 . 0 R ingr a d i u s(mm) F i g .1 2 Frequency d i s t r i b u t i o n so ft h ef i r s t r i n g r a d i u s( ハ )on t h es c a l e so r1 9 9 2y e a rgroup s h i k a w aP r e f e c t u r e . A r from t h es e a 0[[ I rowsi n d i c a t ea v e r a g e s . 1 6 1 0 0 eae E 0 41 ι= 4n 2 0 ( 4 F ) h u 固 ω=FUW ﹄ 同 -I e, O iA4 Ln ~ I4 ; (ff)huEωEFω ﹄同 。 e-3 r e 4 1 1= . , 'an 2 0 0 2 0 魚鱗情報によるマダイの移動・回遊の解析に関する研究 1 .0 3 . 0 2 . 0 T1 4 . 0 5 . 0 6 . 0 Ringr a d i u s( 皿 m) s t nng i s t r i b u t i o n so ft h e 品r F i g .1 3 Frequency d r a d i u s( r , )ont h es c a l e so f1 9 9 1y e a rgroup r e f e c t u r e . Arrows from t h es e a0[[Kyoto P i n d i c a t eae r a g e s 、 た 。 2歳魚では組成のモードは 2.2-2.4m m付近に出現 の個体は 2歳以上魚では出現しなかった。 以上のように,石川県沿岸海域のマダイでは,第 l輪径 し,平均値は 2.53m mであった。 2歳魚の輪径組成では 3.8mm を超える輪径値を持つ個体はなく, 1歳魚に比較 組成のモードや平均値は年齢が増加しても変化は少なく, すると輪径 3.0mm未満の個体の割合は約 28%増加して どの年齢群においても輪径 3.0mm未満の個体の割合が いた。 3歳魚になると,組成のモードは 2.4-2.6m m付 多くなっていた。すなわち,同海域の第 1j論径組成には明 近に出現し,平均値は 2.82m mであった。 3歳魚以上の 瞭な Lee現象は認められなかった。 第 l輪径組成では,組成のモードはどの年齢群においても (b) 京都府沿岸海域 輪径 2. 4-2.6m mに出現し,年齢による変化は認められ なかった。また, 4歳魚および 5歳魚の平均第 l輪径は, それぞれ 2.68m mおよび 2.64mmであった。 年齢別第 l輪径組成に占める輪径 1.0mm範閉ごとの 出現個体の割合を求めると 輪 径 2.0mm以上 3.0mm 未満の個体の割合は 62-88%であり,どの年齢群において も最 も高かった。輪径 3.0mm以上 4.0mm未満では, 1 歳魚、と 3歳魚では 30-35%であったが,他の年齢群では 20%以下であった。輪径 2.0mm未満の個体の割合はど の年齢群においても 3 %以下であり,輪律 4.0mm以上 1年級群, 92年級群および 京都府沿岸海域で漁獲された 9 9 3年級群のマダイ年齢別第 l輪径組成を F i g .1 3, F i g .1 4 および F i g .1 5に示した。 9 1年級群 ( F i g .1 3 ) では, 1歳 魚、の第 l輪径の出現範囲は輪径 2.0-5.6m m,モードは . 7m m,平均第 l輪径は 3 79mmであった。第 l 輪径 3 目 輪径組成に占める輪径範囲ごとの出現個体をみると,輪径 3.0mm未満の個体の割合は全体の 9%,輪径 3.0mm以 上 4.0mm未満では 55%,輪径 4.0mm以上 5.0mm未 満では 34%,輪径 5.0mm以七では 2 %であった。 2歳魚 では組成のモードは,輪径 3.2-3.4m m付近に出現し, 平均値は 3.58m mであった。輪径組成に占める輪径 3.0 2 0 m m未満の個体の出現割合は 19%であり, 1歳魚のそれに 比較して 10%増加していた。また, 2歳魚の平均第 l輪径 1 0 は 0 歳魚のそれよりも有立に小さかった(/t e s t, p< 0 . 0 1 )0 3歳魚になると,輪径 3.0mm未満の個体の出現 2 0 2 0 1 0 (J こ 、 1 0 hu (J hu ωEVω こ 、 白 引A y z ; │ 。 自 ωEFω ﹄同 2 0 ﹄同 1 0 。 : l : h j 可 │ 1 0 2 0 0 20 1 0 1 0 0 " 0 1 . 0 2 . 0 3 . 0 4 . 0 5 . 0 6 . 0 r/R ingr a d i u s(mm) F i g .1 4 Frequency d i s t r i b u t i o n so [t h e 品目 t nng r a d i u s( ' 1 ) on t h es c a l e so [1 9 9 2y e a rgroup r e [ e c t u r e . Arrows [rom t h es e a0[[Kyoto P i n d i c a t ea v e r a g e s 1 .0 2 . 0 3 . 0 4 . 0 5 . 0 6 . 0 r/ R ingr a d i u s(mm) F i g .1 5 Frequency d s tr i n g i s t r i b u t i o n so [t h e 品r r a d i u s( r l ) ont h es c a l e so [1 9 9 3y e a rgroup r e [ e c t u r e . Arrows [rom t h es e a 0[[Kyoto P i n d i c a t ea v e r a g e s . 京都府立海洋センター研究論文 6号 2000年 1 7 割合は 28%となり, 2歳魚、のそれより約 10%増加してい た , た。また逆に,輪径 4.0mm以上の個体の割合は 13%で , 魚から 4歳魚、まではそれぞれ 3 . 4 6,3 . 5 3m mおよび 3.44 2歳魚と比較して減少していた。 3歳魚の平均第 l輪径は 3.35m mであり, 2歳魚よりも小さくなっていた ( 1t e s t, p<O.OI)o 4歳魚の第 l輪径組成では,モードは輪径 3 . 1 3 1歳 魚 の 平 均 第 l輪径は 3.80m mであったが, 2歳 m mであり, 1歳時よりも小さくなっていた。 このように ,h (都府沿岸海域における第 l輪径組成の年 齢による差異は, 9 1年級群, 9 2年級群および93年級群の全 m mに 出 現 し , 輪 径 3.0mm未 満 の 個 体 の 出 現 割 合 は てに認められ,どの年級群においても第 l輪径は年齢が増 32%,輪径 4.0mm以上では 9 %であった。 5,6歳魚の 加するにしたがい,小さくなる傾向がみられた。 第 l輪径組成については, 3,4歳魚、に比較して出現範囲 や組成のモードに大きな変化はみられず,輪径 3.0mm 未満および輪径 4.0mm以上の個体の出現割合は, 両年 齢魚ともにそれぞれ 3 1%および12%であった。また, 4歳 魚 5歳 魚 お よ び 6歳 魚 の 平 均 第 l輪 径 は , そ れ ぞ れ 3.25,3 . 3 1m mおよび 3.32m mであった。これらの第 l 輪径組成の差の有意性について検定を行ったところ, 1歳 魚と 2歳魚および 2歳魚、と 3歳魚の第 l輪径組成にはそれ ぞ れ 有 意 差 が 認 め ら れ た (Mann-W h i t n e y ' sU t e s t, (c)山口県沿岸海域 山口県沿岸海域のマダイ鱗の年齢別第 1!論径組成を F i g 1 6に / 1 "した。 l歳 魚 の 第 l輪 径 組 成 の 出 現 範 囲 は 輪 径 2.0-4.8m mであり,モードは輪径 3 . 2m m付近にみら れた。また,輪径 2.6mm付近には小さな山が認められ た 。 l歳 魚 の 第 l輪 径 組 成 で は , 組 成 に 占 め る 輪 径 3.0 m m以上 4.0mm未満の個体の出現割合が61%と最も多 く,次いで輪径 2.0mm以上 3.0mm未満では 27%,輪 p<O.OI)。しかし 3歳魚から 6歳魚の第 l輪径組成につ 明ゐrζd 副 喧 '3 A門1 ?= 1n 20 Ii st e s t, いては,有意差は認められなかった ( K r u s k a l -Wa1 p>0.05)。 1 0 9 2年級群 ( F i g .1 4 )では, 1歳魚の第 l輪径組成のモー 成と同じであった。ただし,輪径 3.0mm未満および輪 0 20 径 3.0mm以上 4.0mm未満の個体の出現割合は,それ 1 0 ドは輪径 3.7mmであり, 9 1年級群における l歳魚の組 。 ぞれ 16%および62%であり, 9 1年級群の l歳魚に比べて輪 径の小さい個体の割合が多い傾向がみられた。 2歳魚の第 l輪 径 組 成 は 歳 魚 に 比 較 し て 全 体 的 に 小 さ い 方 に 偏 っ て お り , 輪 径 3.0mm未 満 の 個 体 の 出 現 割 合 は 40%で あった。 3歳魚の第 l輪径組成は, 2歳魚に比較すると明 瞭な違いはみられなかったが, 4歳魚になるとモードは輪 径 2.6-2.8m m付近に出現し,輪径 3.0mm未満の個体 の出現割合は 55%に増加していた。 5歳魚では,輪径 3.0 m m未満の個体の出現割合は62%に達したが,組成のモー て ; - 30 r , . ; u 2 0 固 ω10 = 巴F ωO 』 同 20 ドは輪径 2.8mm付近にあり, 4歳魚、とあまり変わらない 衣魚、から 5歳魚までの平均第 l 位置に出現した。また, 1i 輪 径 は , そ れ ぞ れ 3.58, 3 . 1 5, 3 . 1 3, 2.99m mお よ び 1 0 。 2 . 9 1m mで あ っ た 。 な お , 年 齢 ご と の 第 l輪 径 組 成 の 差 を 検 定 し た 結 果 歳 魚 と 2歳 魚 お よ び 3歳魚と 4 歳魚で,それぞれの組成に有意差が認められた (Mann- 2 0 1 0 " W h i t n e y ' sU t e s t,p<O.OI)。しかし, 4歳魚と 5歳魚の 第 l輪 径 組 成 に つ い て は , 有 意 差 は 認 め ら れ な か っ た (Mann-Whitney'sUt e s t, p>0.05)。 さらに 9 3年級群の第 l輪径組成 ( F i g .1 5 ) をみると, 1 歳魚、に比較して 2歳魚, 3歳魚および 4歳魚では,輪径 4.0mm以 kの個体の割合が約 15-20%減少し,逆に輪径 3.0mm未満の個体の割合は約 10-20%増加していた。ま 1 8 魚鱗情報によるマダイの移動.aJ遊の解析に関する研究 0 1 .0 2 . 0 3 . 0 4 . 0 5 . 0 6 . 0 r1 R iogr a d i u s(mm) F i g .1 6 . Frequency d i s t r i b u t i o n so ft h e 品目 t nng r a d i u s( r l )ont h es c a l e so f1 9 9 2y e a rgroup / T Y amaguchi P r e f e c t u r e from t h e s e a o Arrowsi n d i c a t ea. . . e r a g e s 、 径 4.0mm以上では 12%であった。 2歳 魚 で は 輪 径 3.0 けるマダイについても,その主漁期は 4-6月の春季と m m未満の個体は 2 %以下とほとんどみられなかったが, 9-12月の秋季にみられ,各漁期に漁獲されるマダイの大 4.0mm以上の輪径を持つ個体の割合は きさや年齢構成などは異なるとされている(宗清 ・傍島, 歳時の 3倍の 36%に増加し, 5.0mmを超える輪径値を持つ個体も出現 1 9 8 1 )。京都府沿岸海域における 9 1年級群と 9 2年級群のマ した。また,平均第 l輪径は l歳魚では 3.26m mであっ ダイについて,春季と秋季にそれぞれ漁獲された個体を反 たが. 2歳角、では 3.82m mであった。 3歳魚の第 l輪 径 別して集計し,年齢別漁期別の平均第 I ! 給径を謝べた 組成をみると,輪径 4.0mm以上の個体の割合は 6 %と 2 ( F i g .1 7 )。 歳魚に比較して極端に減少しており,逆に輪径 3.0mm 9 1年級群の平均第 l輪径は, 1歳魚では 春季と秋季で明 未満の個体の割介は 20%まで増加した。組成のモードは 瞭 な 差 は 認 め ら れ な か っ た が 歳 魚 の 秋 季 か ら 2歳魚の l歳魚と同様の輪径 3.2mm に出現し,平均第 1j 輪径は 春季にかけては, 3.80mmから 3.49m mと小さくなり(/ 3.33m mであった。 4歳魚および 5歳魚では,組成のモー t e s t, p<O.OI), 2歳魚の存季から秋季にかけては,逆に ドは 3.4-3.6m m と両年齢魚とも同じ位置 に出現し,平 3. 4 9mmから 3.63m m と大きくなっていた(/t 白 t , p< 均第 l輪径についても差は認められなかった(/t e s t,p> 0 . 0 1 )。平均第 l輪径の秋季から翌年春季にかけての減少 0 . 0 5 )。また 4, 5歳魚では,輪径 4.0mm以上の個体の は , 2成魚と 3歳魚および 3歳魚と 4歳魚の聞にも同様に 割合が 3歳魚のそれより約 10%増加しており,両年齢魚の e s t,p<O.OI)。また, 4歳魚の秋季以降に 認められた(/t 第 l輪径組成は 3歳魚に比較して全体的にやや大きい方に おける平均第 I輪径には,点、期による有意な差は認められ 偏っている傾向カf認められた。 なかった (ANOVA, p>0.05)o 92年級群では, 1歳魚の 以上のように,山口県沿岸海域のマダイの第 l輪径組成 は , どの年齢群においても輪径 3.0mm以上 4.0mm未 平均第 l輪径は,春季よりも秋季で大きくなっていた(/ t e s t, p<O.OI)。また, 1歳魚の秋季から 3歳魚の春季ま 満の個体の割合が61-75%を占めていたが, 2歳以上魚の 1年級群と同様の季節的な変 での平均第 l輪待の推移は, 9 組成では l歳魚に比べて輪筏の大きい個体の割合が多い傾 化が認められた(/t e s t,p<O.OI)。 向がみられた。このような l歳時と比較した輪径の大型化 は,特に 2歳魚、において顕著であった。 以上のように, 9 1年級群および9 2年級群の平均第 l輪径 畿魚の春季か は,それぞれ絶対値の速いはあるものの, Ij ら 4歳魚、の春季までの全般的な変化の傾向は良く類似して ( 3 ) 漁期別にみた第 1輪径の変化 いた。すなわち, j 何年級群ともに l歳から 3歳魚の平均第 日本海西部海域を生活の場としている魚類の漁況は,対 l輪径は,春季から秋季にかけて増加しているのに対し 1 4と 馬暖流の消長 と密接に関連しているとされており,水 j て,秋季から翌年の春季にかけては減少していた。さら 回遊形態との関係から昇温期と降温期の 2同の主漁期を持 に , 4歳魚の秋季以降の平均第 l輪径には,それ以前にみ つ魚種は多い(岡地, 1 9 5 8, 1 9 6 3 )。京都府沿岸海域にお られた全般的な減少傾向や漁期による違いは認められず, 0-1 9 9 2y e a rg r o u p l 1 - , 守符, ,3 ' 3 ' 3 aaooo (EE) 国 自 官 官 ﹄ ロ ω﹄ 帽 回 。 由 周回 w a両﹄ Eaω 甲邑 A006roaa a a守 '3 3 ・ ー-1991yeargroup 、 - a 匂 , S ,A,S l A l S 3 A 3 S 4 A 4 S s A 5 S o A o F i g .1 7 . t v I e a nands t a n d a r de r r o ro ft h ef i r s tr i n gr a d i u sont h es c a l e so fr e ds e abream h i n gs e a s o n s from t h es e ao J TKyoto P r e f e c t u r ei nt h es p r i n gand autumn 品s c l a s s i f i e dbya g e . S I-5 o6 a g ef i s hi ns p r i n g( A p r i l J u n e ),A1-A6 : 1 -t o 6・ト t 6 a g e自s hi nautumn(September-December) 京都府立海洋センター研究論文 6i ; - 2000年 1 9 S e a0 1J a p a n 3 6 . N 1 3t E 1 34 " 1 3 6 . F i g .1 8 . As c h e m a t i cr e p r e s e n t a t i o no ft h em i g r a t i o n,o rimmigrationande m i g r a t i o n, o f youngr e ds e a bream i nt h ew e s t e r njapan S e a . Arrowsi n d i c a t et h e move mento ft h el o c a lp o p u l a t i o n . ; f l / i這 い傾向になっていた。 域における年齢ごとの第 l輪径組成は, 9 1年級群, 92年級 群および93年級群のいずれにおいても,第 l輪径の小さい ( 4 )考 察 個体の割合が, 2,3歳魚で特に増加する傾向が認められ 今回の調査 i g . 1 5 )。これは,単に輪紋形 た (Fig.13, Fig.14および F で,日本海西部におけるマダイ鱗の第 l輪径組成の年齢に 成年の違いによる変動に起因するのではなく, 2歳から 3 よる変化は,海域によって異なる傾向を示すことが明らか 歳にかけて,若狭湾以北海域に由来する比較的小さな第 l になった。そこで,各海域における第 l輪径組成の年齢に 輪径を右したマダイが,若狭湾西部海域に南下してくるこ よる変化を整理し, 2歳魚、および 3歳魚を主体とする天然 とを示唆する。また, 若狭湾周辺海域におけるマダイは, 海域別第 1輪径組成からみたマダイの動き 未成魚の標識放流の知見を加えて,日本海西部海域におけ 4歳以上でその大部分が成熟するとされている(藤田ほ F i g .1 8 )。 るマダイ未成魚の回遊経路を巨視的に想定した ( 9 9 6 )。したがって,若狭湾以北海域からのマダイの か , 1 能登半島周辺海域 石川県沿岸海域におけるマダイの第 る。さらに, 4- 6歳魚の第 l輪径組成では く,どの年齢群においても比較的小さい輪径を持つ個体で のそれに比較して,輪径の小さい個体の 占める割合は 高 占められていた。能登半島以北の北部日本海(富山県から かった。このことは,若狭湾西部海域で漁獲されるマダイ 青森県まで)沿岸で放流されたマダイでは,能登半島周辺 成魚群に,未成魚期に同海域へ南下移動してきた個体が加 海域まで南下して再捕された事例は報告されていない(秋 1, 2歳魚 入していることを示している。 9 9 3 )。これらのことから, 田栽セほか, 1985;佐藤ほか, 1 F i g 山 陰 西 部 海 域 山 口 県 沿 岸 海 域 の 第 l輪径組成 ( 能登半島周辺海域では,隣接海域からのマダイの北上ある 1 6 ) では, 3歳魚、までの未成魚期に第 l輪径値の増減が認 いは南下移動に伴う大規模な移入はないと判断され,基本 められ, 4歳以上魚、の第 l輪径組成では l歳時に比較して 的に同海域のマダイ群は能登半島沖合の産卵場(尾形ほ 輪径の大きい個体の割合が増加していた。山口県沿岸海域 9 8 0 ) に由来する lつの群を形成していると考える。 か , 1 における 4,5歳魚、の第 l輪径は,調査を行った 3海域の ただし,後述するように,隣接する若狭湾海域では第 l輪 中で最も大きくなっており,他海域とは異なる輪径分布を 径組成の小型化により 同湾以北海域からの移入が推定され 示 した。標識放流の結果によると,山口県沿岸海域を 含む ること,能登半島周辺海域で放流されたマダイが若狭湾海 山陰西部海域においては,西方では対馬,五島列島へ続く 域で再捕されている(秋田栽セほか, 1985;石川県ほか, 海域,東方では若狭湾から鳥取県沿岸海域に由来するマダ 1 9 8 8 ) ことなどから,能登半島周辺海域の未成魚群の一部 9 8 5 )。 イ群との交流が推察されている(島根栽セほか, 1 は,若狭湾海域に南下移動しているものと考えられる。 若狭湾西部海域 20 南下移動は,主として未成魚期に起こっていることにな l輪径組成 ( F i g . 1 2 ) では,年齢による組成の変化は少な 若狭湾西部海域に面する京都府沿岸海 魚鱗情報によるマダイの移動・回遊の解析に関する研究 1-3歳魚、の第 l輪径の変化をみても,山陰西部海域では 未成魚期におけるマダイ群の移動が示唆され,同海域以東 , 白 q からの西方(南下)移動と,九州西部海域からの東方(北 辺海域で放流されたマダイでは,放流後北上した個体は報 上)移動による未成魚群の混合が起こっているものと考え 告されておらず,隣接する若狭湾海域に南下 して再捕され る 。 た事例が多い(秋田栽セほか, 1985;石川県ほか, 1 9 8 8 )。 今回調査を行った海域のうち, これらの持捕結果は,例えば若狭湾海域におけるマダイの 京都府沿岸海域で漁獲されたマダイでは,第 l輪径は概ね 移動・回遊とLee現象 場合,春季から秋季は南からの北上期,秋季から翌年の春 3歳夕、 から 4歳魚までは,年齢が増すにしたがって小さく 季は北からの南下期にあたり,秋季には相対的に成長の良 F i g .1 3,F i g .1 4および F i g . 1 5 )。このように なっていた ( 9 9 6 ) からの群が,春季には成長 い南の海域(藤田ほか, 1 高齢魚ほど輪紋径が小さくなる現象に関しては,従来,物 量の小さい北の海域からの群が主体となって来遊する可能 理的に鱗の既成部分そのものが成長に伴って収縮している 性 が高 いことを 示峻している。ここで,第 2章 Fig.8お か,または体長の大きな個体ほど漁獲され易い,あるいは よび Fi g.9で示したように,鱗の第 l輪径に海域差があ 魚体が大きくなるほど漁獲圧が高 まるとする「体長従属的 ることを 考慮 すれば,若狭湾に海域を特定してマダイの第 な漁獲選択性」を主要因とする考え方が多く提案されてい R o b e r t s o n,1 9 3 6 ;Rは e r ,1 9 6 9 ;Chen,1 9 7 1 ;Vaughan る ( andBurton, 1 9 9 4 )。 l輪径を調べた場合 には,季節によってその大きさに差が 生じることになる。すなわち,若狭湾以荷(南)海域から 比較的大きな第 l輪径を有した個体が来遊する春季から秋 しかし,今回の調査結果では,京都府沿岸海域における 季にかけては,平均第 l輪径は大きくなる。逆に若狭湾以 マダイの場合,第 l輪径は全体としては年齢を経るにした 北海域から比較的小さな第 l輪径を右した個体が来遊して がい小さくなる傾向がみられたが,漁期ごとに細分化して くる秋季から翌年春季にかけては,平均第 l輪径は小さく 調べ、てみると,その傾向は必ずしも 普遍的な現象ではな なる。さらに,成長するとともに南下移動, 回遊が大規模 かった ( F i g .1 7 )。すなわち第 l輪径は, 1歳魚、から 3歳 なものとなれば,全体としては年齢を増すごとに小さな第 魚程度までは,春季から秋季にかけて大きし秋季から現 l輪径を有する個体が多くなると推察される。また,標識 年春季には小さくなる傾向がみられた。また 4歳夕、の秋季 放流の結果では 以降の第 l輪径には,いわゆる Lee現象は認められてい 9 8 0 ),このことは今 ないと報告されており(尾形ほか, 1 ない。さらに,石川県沿岸海域においては年齢の増加とと 1年級群の l歳魚の春季と秋 回の京都府沿岸海域における 9 歳時にはあまり大きな移動・回遊をし もに第 l輪 径 が 小 さ く な る 現 象 は 認 め ら れ な か っ た し 季で,第 l輪径にほとんど差がみられなかったことと ( F i g . 1 2 ),山口県沿岸海域では 1i 衣魚よりも 2歳魚の方が している。以上のことから,成長の異なるマダイ群の南北 F i g . 1 6 ) など,マ 第 l輪径は大きくなる傾向がみられる ( 方向への広域的な移動,同遊は,京都府沿岸海域で認めら ダイ鱗の第 l輪径と年齢の関係は,海域によって異なって れた第 l輪径組成の変化,すなわち Lee現象を引き起こ 'いた。これらの結果は,時間の経過とともに鱗の第 l輪径 が物理的に縮小する可能性を否定している o A 致 している 主要 因であると考える。 マダイ鱗の第 l輪径組成の年齢や季節による変化は,例 さらに,京都府沿岸海域における第 l輪径は,同海域の えば若狭湾西部海域では第 l輪径の小さい個体が年齢とと マダイに対する漁獲圧が高 まる春季から秋季にかけて(藤 するなど,発 もに増加していくといった群組成変化に起匙l 9 9 6 ) 増加しており,魚体の大きさによる選択 J 魚 田ほか, 1 生海域の異なるマダイの広域的な移動,回遊実態を反映し 獲の影響 が現れ易いと考えられる 4歳魚以降には明瞭な ていることがわかった。次市では,このような第 l輪径組 Lee現象はみられない。これらのことから,京都府沿岸海 成と移動,回遊との関係をもとに,海域内外におけるマダ 域のマダイにみられる Lee現象を「体長従属的な漁獲選 イ群の移出入状況について検討する。 択性」だけで説明することはできないと考える。 一方,広域的に移動,回遊する魚種に対して,漁場への 加入,逸散は, Lee現象を引き起こす要因の lつとして考 慮 しておく必要がある ( S t a n l e y, 1 9 8 0 )0 マダイは,その 第 4章 若 狭 湾 西 部 海 域 に お け る マダイ群の移出入量の推定 " 成長過程において,春季と秋季を移動期とする季節的な回 第 3主 において,マダイ鱗の第 l輪径組成と移動・回遊 9 8 6 )。若狭湾海域で放流 遊生態を持つとされる(椎原, 1 との関連について指摘した。重要なことは,そのような移 された未成魚の一部は,春季から秋季にかけて北上し,秋 動,回遊の結果,海域聞におけるマダイの連続的な移出入 季から 翌年春季にかけては南下して再捕されるケースが多 により,発生海域の異なる個体が年齢ごとに違った割合で いが,年間を通してみると全体としては南下傾向を示す 混在することである o このことは,人目重苗放流も含めた 9 8 1 藤田ほか, 1 9 9 6 )0 また,能登半 島周 ( 宗清・傍 島, 1 マダイ資源全体の適正管理を行ううえで考慮すべき問題で 京都府立海洋センター研究論文 6号 2000 年 2 1 移出入イ同体の割合を 量的に換算するために,若狭湾丙部 あろう。 本章では,年齢別の資料が揃っている若狭湾西部海域を 海域における年別年齢別漁獲尾数を使用した。京都府沿岸 中心としたマダイ群の移出入量 を把握することを目的とし 海域で漁獲され舞鶴・宵津両市場に水揚げされた全てのマ て,同海域で得られた個体の年齢別第 l輪径組成と,対馬 ダイの尾叉長測定を毎月 4-6回以上実施した。これよ 暖流域におけるマダイ l歳魚、の第 l輪径組成を用いた移出 g e I e n g t hkeyの作成および漁獲物年齢組成の推定を り , a 入量の推定方法について検討する。 行い,若狭湾西部海域全体の漁獲量 を漁獲尾数に変換し て,年別年齢別漁獲尾数を推定した。なお,若狭湾西部海 ( 1)研究材料と方法 域の漁獲量資料には,京都府農林水産統計年報を用いた。 推定された若狭湾西部海域における 1992年から 1997年の年 用いた資料は,若狭湾西部海域に面する京都府沿岸海域 別年齢別漁獲尾数を Table5に示した。 で漁獲された 1 9 9 1年 , 1992年および 1993年発生群(以下そ れぞれ9 1年級群, 92年級群および93年級群とする)のマダ 若狭湾西部海域で漁獲されたマダイの第 l輪径組成は, F i g .1 3,F i g .1 4および F i g .1 5 ) イの年齢別第 l輪径組成 ( 加齢にしたがい,第 l輪径の大きい個体が減少し,逆に輪 である。 径の小さい個体は増加する傾向が認められた ( F i g .1 3, F i g .1 4お よ び F i g .1 5 )。ここでは,若狭湾西部海域内外 におけるマダイ群の移出入 量 を推定するにあたって,次に 3 e a r l yc a t c hi n numbers (X10) Table 5 Estimated y o fr e ds e abreambyagei nヘ "l e s t e r nWakasa B a y . Age/Year 3 6 2 7 1 6 5 257 89 2 1 2 5 1 5 1 4 1 1 2 1 406 625 ハ 190 ハ z h V A仏 99 56 1 9 9 4 JRV 1 9 9 3 Q J Q J 7 ' R J 5 0 1 1コ r 。 1EIEIEI 012345ι T o t a l 1 9 9 2 2 8 2 1 9 9 5 1 9 9 6 1 9 9 7 46 2 7 3 1 303 1 3 3 219 119 177 90 59 9 1 6 1 26 2 6 2 2 1 8 1 6 1 5 2 2 25 2 3 593 495 4 6 1 示す条件を設けた。 司 年の発生群の 条件 1)マダイ群の移出入がない場合, I 第 l輪径組成は,年齢によって変化しない。 条件 2)第 l輪径の大きい個体,すなわち,輪紋形成時の 魚体が比較的大きく成長の良い個体が優先的に海 域外に移出し,替わって小さい第 l輪径を有する 個体が新たに移入する。 条件 3)移入量 と移出量は等しい。 (a) 移出入量の推定一 1:第 1輪径組成の年齢間比較 若狭湾西部海域のマダイについて,第 l輪径組成を i . s J I定 した z齢群(i=1-4) の総個体数を n , とし,年齢別漁獲 1 0 0 6 0 0 n~ 。 目 E 一﹄ロ﹄ 1訂 =4 . 4 4 I s : o . :i i : 3 3 1 目 =3 . 6 6 T v n e l y p .B D I s日 =0 . 3 1 T y p eC I s o . :1.6188 i 打~ 日 E=z ω﹄ uvnHunHU Bn H4 2 2国 = 司 = = 百 T y p eA '可' 2 . 0 3 .0 4 . 0 5 . 0 ,R 9 radius Imml r 6 . 0 7 . 0 川 F i g .1 9 . Radiusc 耳ef i s hc o l l e c t e dfrom6 o m p o s i t i o no ft h ef i r s tr i n gont h es c a l e sofI a a r e a sa sshowni nF i g6,w i t hb e s tf i t t i n gGaussiand i s t r i b u t i o n (A,B andC) TypeA :l a r g er a d i u s( w e s t e r np a r tofKyushu), TypeB:mediumr a d i u s( f r o m w e s t e r np a r tofS a n ' i nCoastt oWakasaBay),TypeC: s m a l lr a d i u s( 0 汀 Noto P e n i n s u l aandnorthward) 2 2 魚、鱗情報によるマダイの移動・回遊の解析に関する研究 尾数を G とする O 第 l輪 径 組 成 を 輪 径 階 級 幅 0.2mm と ' =1-25,輪径階級 1=1.0-1.2m m,… する輪径階級 j 0 … , 25=5.8-6.0mm) に分け, 1齢 群 の 輪 径 階 級 ま れ る 個 体 数 ( 観 測 値 ) を nりとすると, Jに含 1齢 群 の 輪 径 階 i j / n iで、示され 級 J に属 す る 個 体 の 割 合 ( 出 現 割 合 ) は n Table 6 . Frequencyo c c u r r e n c e so fr e ds e abreamf o r t h e白r s tr i n gr a d i u sf r o me a c hnormalc u r v e showni nF i g .1 9 . C l a s s ! j ) F i r s tr i n gr a d i u s ( r l ;mm) 町 e )B T ( y P p 匂 e ) C T ( y p p d eA T ( y P p 1 . 0 1 .2 1 . 0 0 0 0 2 1 .2 -1 .4 1 . 0 0 0 0 3 4 1 .4 ー 1 .6 1 . 0 0 0 0 l ふ1.8 1 . 0 0 0 0 5 l ふ2 . 0 1 . 0 0 0 0 6 7 2 . 0 2 . 2 1 . 0 0 0 0 尾数は,条件 1 ) により ,, CRj で 求 め ら れ る 。 し た が っ 2 . 2 2. 4 1 . 0 0 0 0 て , 2歳から 4歳 魚 の 各 年 齢 群 に お い て , 他 海 域 か ら の 移 8 2 . 2 . 6 1 . 0 0 0 0 1齢 群 の 輪 径 階 級 る。さらに, jご と の 漁 獲 尾 数 は , 比 例 配分により C , r I ; j ! n iで求められる。 ここで, 1歳 魚 の 第 l輪 径 組 成 に お け る 出 現 割 合 n l j / n l をR j とす る と ,若 狭湾 西部 海域 内外 にお いて 個体の移出 入がないと仮定したときの z齢 群 の 輪 径 階 級 Jごとの漁獲 Qは , ← 9 -2 . 8 2 .6 1 0 3 . 0 2 .8 0 . 0 6 2 6 0 . 9 3 7 4 1 1 3 . 2 3 .0 0. 3556 0 . 6 4 4 4 1 2 3 . 2 3 . 4 0 . 1 6 7 1 1 3 ← 0 . 8 3 2 9 0 . 0 2 0 1 0 . 9 7 9 9 1 4 . 6 3 3 -3 . 8 3 .6 0 . 0 7 7 1 1 5 . 0 3ふ 4 0 . 2 5 6 0 0 . 9 2 2 9 0 . 7判。 第 2章 で示したように,対馬暖流域における 9 1年級群マ 1 6 4. 2 4 .0 0 . 5 9 7 8 0 . 4 0 2 2 ダイ l歳魚、の鱗の第 l輪径組成には海域差があり,長崎県 1 7 -4. 4 4 . 2 0 . 8 7 1 0 0 . 1 2 9 0 0 . 0 3 0 1 入によって増加した個体の漁獲尾数 Q=主 許 で求められる。 (b) 移出入量の推定 I I :第 1輪径組成に対する正規分 布型の分離 1 . 0 0 0 0 沿岸海域, 島根県一京都府沿岸海域および石川県 一青森 県 1 8 6 4 .4-4. 0 . 9 6 9 9 F i g .8, F i g . 沿岸海域ではそれぞれ輪径が異なっていた ( 1 9 4ι4.8 1 . 0 0 0 0 9 )。ここでは,対馬暖流域のマダイ群を,第 l輪径の大き 2 0 4 . 8 5 . 0 1 . 0 0 0 0 さから 3群に分離し,若狭湾西部海域の年齢別第 l輪 径 組 2 1 5 . 2 5 .0 1 . 0 0 0 0 成と組み合 わせることにより,移出入の状況を検討した。 対馬暖流域における基本的な第 l輪径組成を推定するた めに,第 2章 で用いた長崎県から 青森 県 沿岸 海域で採捕し たマダイ l歳 魚 に つ い て , 海 域 ご と に 1 0 0 個体を無作為に 2 2 5 . 2 , . . .5 . 4 1 .0 000 2 3 1 . 0 0 0 0 2 4 . 6 5 5 5 . 8 5 .6 2 5 -6. 0 5 . 8 1 . 0 0 0 0 ← 1 . 0 0 0 0 抽出して作成した第 l輪径組成に対して正規分布を 当ては め(堤・田中, 1 9 8 8 ),第 l輪 径 の 大 き さ の 異 な る 3つの 分 布 型 (A-C型 ) に 分 離 し た ( F i g .1 9 )。 次 に , 任 意 の 第 l輪径を持つマダイが,分維された 3つの分布型のどれ が A型 , B型 お よ び C型に属するマダイの年齢別漁獲尾数 をそれぞれ求めた。 ( 2 )解 析 結 果 に属するのかを確率的に判断するために,輪径分布の平均 値と標準偏蒸から,輪径階級幅 0.2mm とする輪径階級 J ごとの各分布型の出現確率。戸へj, p 町 , PC; を 計 算 し た いて,出現割合の年齢群による差 ( n u十 ( T a b l e6 )。 さらに,京都府沿岸海域における 9 1年級群の年齢別第 l 輪径組成 ( F i g .1 3 ) について, A - C型 の 出 現 確 率 を 第 l 輪径組成の出現割合に乗じ, 1齢 群 (i=I-6) の 輪 径 組 成 i A ' P品 に占める各分布型の構成比率 P Pi Cを次式により 〆 1 ) T l; + l n i j l n ; ) を ig.20に示した。 9 1年級群の第 l輪径組成では, 1 求め, F 歳から 2歳 に か け て 3 . 4m m未満の個体の割合が増加し, qe 3.4mm以 上 の 個 体 の 割 合 は減少していた。 2歳から 3歳 4m mの 個 体 の 割 に か け て の 変 化 を み る と , 輪 径 3.2-3. 合 は 2.2%減少していたが, 3. 4-3.6m mお よ び 3.2mm { 子 す 表 添 型 を C A 。 ﹂ +X 1レ だ た hμa n f i , ,υ P 一 一 お ヱ 一 求めた。 (a) 推 定 1による結果 9 1年級群, 92年 級 群 お よ び9 3年級群の第 l輪径組成にお 未 満 の 個 体 で は , 割 合 は 増 加 し て い た 。 ま た , 1歳から 2 歳にかけての変化と同様に,輪径の大きい個体の割合は滅 得られた年齢ごとの A-C塑別構成比率に, 9 1年級群の年 少していた。 3歳から 4歳 で は , 出 現 個 体 の 増 減 は ど の 輪 齢別漁獲尾数 ( T a b l e5 ) を 乗 じ る こ と に よ り , 第 l輪 径 径階級においても 2 %未満であり, 3歳魚までの変化と比 京都府立海洋センター研究論文 6号 2000年 2 3 、 ‘ . , e a rgroup 1993 y 1992 y e a r group 1 9 9 1y e a rgroup 1 0 1 0 1 0 5 5 5 。 。 。 5 5 5 r , . 、 -101 " ・ 10 H-10 10E '1101 ,. 5ト 5ト : 1・Age 1 : ↓ 2・ Age 1 0 .~ 5ト : I5ト . . . . . ・ 10l i J1 0I . 同司 t : ~由F~......... 固 ・ 、 国~晴司i 1 0 : I・ 5 1 、 ¥ 。 H et ・ 9 L w ee-- H ol 川川門叶叶''' 田園田~ a'a t 。 │ 5 勾 , " ' t : .: 圃 A← A t : 、 ¥ l-10 ~ 1 0 1 01 t : 5 5 5 。 。 。 5 5 E・1 0 ' 1 ・1 0 5 1 01 ・ 1 1 .0 2 . 0 3 . 0 4 . 0 5 . 0 6 . 0 1 . 0 2 . 0 3 . 0 4 . 0 5 . 0 6 . 0 : 1 3・Age 1 4・Age 1 . 0 2 . 0 3 . 0 4 . 0 5 . 0 6 . 0 r1 R iog r a d i u s (mm) 0 . D i{ f e r e n c c si nf r e q u c n c i e so ft h e 自r s tr i n gr a d i u s on 出 es c aJ eso f 1991-1993 y e a rg r o u p s F i g2 ( n u +ν 1/ni+l-njni). nudenotesthenumberofindividualsi i 1c l a s s ja tana g eo f i , 4 0 • 1 9 9 1y 回 r g r o u p o1992y rgroup 回 . . .1 9 9 3y 回 r g r o u p 企 O 、 、 ヒ 、 ゴ ~却 • ¥¥= 企 2 y=3 5 . 3 2 8 0 . 0 “1 冗 0 1 .創 価 = 0 . 8 2 2 4 同町 " ' 3 4 • ー ー 5 Age(i) 1 F i g .2 I n c r e a s er a t e s (世円/内) o ft h e 品目 r i n gr a d i u s on s c a l e sc l拙 i f i e db y Y聞 g r o u p s 世川/世, =513 1 ( 7 2 ( z + l l 《+ l 7 2 t f / 7 2 2 ) S eeF I g 20andTable6 24 魚鱗情報によるマダイの移動・回遊の解析に関する研究 1992y e a rgroup 1 9 9 1y e a rgroup 20 20 1 0 1 0 0 20 1 0 1 0 0 2 0 20 1 0 1 0 ( ヌ 0 20 2vt ) h M園 同 0 E 2 記 ( 0 0 1 . 0 2 . 0 3 . 0 4 . 0 5 . 0 ingr a d i u s (mm) rI R 6 . 0 1 .0 2 . 0 3 . 0 4 . 0 5 . 0 6 . 0 r1 R i ngr a d i u s (mm) F i g .2 2 F r e q u e n c yd i s t r i b u t i o n so ft h e自r s tr i n gr a d i u sOnt h es c a l e so f1 9 9 1 and 1 9 9 2 y e a rg r o u p ssmoothedbyt h r e e p o i n tmovinga v e r a g e 較して小さかった。輪径 3.4mm未満の個体の割合は概 ての値を除くと,どの年級群においても徐々に減少する傾 ね増加していること,輪径 3.8mm以上ではほとんどが 向がみられた。また,全年級群を対象とした増加割合の変 減少していることなとについては, 3歳魚、までの変化とほ 化は,次式で近似された。 2年級群では, 1j 設から 2歳にかけて輪 ぼ同じであった。 9 径 3 . 2mm未満の個体の割合が増加しており,特に 2.4- 2.6mmでは 10%近い増加カf認められた。 2歳から 3歳に 世 , +1/, 世=0.3533exp O 山 7' , (相│羽係数 0 . 8 2 2 4 ) 世z十 1 /札, 1歳から i+1歳にかけての増加割合 かけての変化には,あまり明瞭な傾向はみられなかった 出現割合が増加した個体の第 l輪径の大きさを推定する が , 3歳魚、と 4歳魚では輪径 2.2-3.2m mの個体の増加 ために,標本数の多い 9 1年級群と 9 2年級群の年齢別第 l輪 および 3.6-4.6m mの個体の減少がみられた。さらに 9 3 径組成を 3点移動平均によって平滑化し,得られた輪径分 年級群では,標本数の少ない 2歳魚以降の変化はあまり明 F i g .2 2, F i g .2 3 )0 布について年齢群聞の比較を行った ( 瞭 で な い が 歳 か ら 2歳にかけては輪径 3. 4m m未満の 平滑化された第 l輪径組成における出現剖合の年齢群によ 個体の割合が増加していた。 F i g . 2 3 ) をみると,出現割合が増加した個体で る増減 ( 以 tのように,年齢別第 l輪径組成を比較すると,どの " は , 9 1年級群ではどの年齢群間においても,概ね 2.6- 4m m未満の個体の割合が 年級群においても概ね輪径 3. 3.0mmの第 l輪径を有するものが最 も多かった。同様に 4m m未 用加していた。また,各年級群における輪径 3. 9 2年級群において増加していた個体の第 l輪径は, 1歳か 満の個体の割合を合算して,これを増加割合とし,その変 ら 2歳にかけては輪径 2.4-2.6mm,3歳から 4歳にかけ 化を F i g . 2 1 に示した。増加割合は, 1i 設から 2歳にかけ ては輪径 2.6-3.0m mが多かった。さらに, 1歳から 2 2年級群と 9 3年級群の 3歳から 4歳にかけ て最 も大きく, 9 歳にかけて増加していた個体の第 l輪径値 ( F i g . 2 3の a 京都府立海洋センター研究論文 6号 2 0 0 0年 2 5 1991 yeargroup 1992 yeargroup 8 8 4 4 。 。 1・Age l 2・Age 4 4 。 。 。 。 (ぷ) 8 8 Hh¥bHh 4 2・Age 4 o o 。 ↓ 3・Age 。 。 。 。 1 2 H h ¥ ミ+也管 4 4 8 8 4 。 。 4 司 3・Age 4 司 81 1 . 0 2 . 0 3 . 0 4 . 0 ↓ 4・Age 4 1 8 5 . 0 6 . 0 1 . 0 2 . 0 3 . 0 4 、 o 5 . 0 6 . 0 r1 Ring radius (mm) T e r e n c e si n 什e qu e n c i e so ft h e日r s tr i n gr a d i u son t h es c a l e s( n(i+l l j / n ; +1 F i g .2 3 . Dif n υ / n ; )o f1 9 9 1 and 1 9 9 2y e a rgroupsa te a c ha g eshown i nF i g .2 2 . aandb i n d i c a t ei n d i v i d u a l sf o rwhichn 司/ n 2 n l j / n li sz e r oo rp o s i t i v ei nt h e1 9 9 1 and 1 9 9 2y e a rg r o u p s および b ) は,若狭湾以北の石.11県沿岸海域における l歳 魚の第 l輪径組成と比較して,出現範囲や組成のモードが F i g . 2 4 )。 酷似していた ( 1年級群と 9 2 次に, 3点移動平均による平滑化を行った 9 年級群の年齢別第 l輪径組成について,他海域からの移入 により増加した個体の漁獲尾数 Qを計算し,輪径範囲と ともに Table7に示した。 l歳時に比較して, 2歳魚群に 1年級群で おいて移入により増加した個体の漁獲尾数は, 9 7, 912. 1 毛 , 92年級群では 1 8, 714 尾 と計算された。同様に は2 3歳魚群では, 9 1年級群で 1 2, 700 尾 , 92年級群で 1 6, 870尾 (b) 推定 I Iによる結果 対馬暖流域におけるマダイ l歳魚の第 l輪径組成に対し て,正規分布の当てはめを行った結果, 9 1年級群の第 l輪 F i g . 1 9 )。 径組成は,以下の 3つの分布型に大別できた ( AJ T ; ' !( 九 ナ1 '西海域) 平均第 l輪径 4.44::e標準偏菜 0.33m m B型(山陰西部海域から若狭湾海域) 平均第 l輪径 3.66::e標準偏差 0.31m m C型(能登半島周辺以北海域) 平均第 l輪径 2.68::e標準偏差 0.28m m の移入個体が漁獲されたものと計算 され, 4歳魚、までの移 各正規分布の平均値と標準偏差から計算された各分布型 入個体の合計漁獲尾数は, 9 1年級群で約 49, 000尾 , 92年級 の出現確率(pへj,p 町,戸c ) を Table6に示した。この計 000尾と推定された。また,移入により増加した 群で約 46, 算結果によれば,第 l輪 径 が 2.8mm未満の個体は 全 て 個体の第 l輪径は, 9 1年級群の 2歳魚、で 2.0-3.4m m, が C型に属し,輪径 4.6mm以上であれば全て A型に 属 他は全て 1.8-3.4m mであった。 することになる。また, 2.8mm以上 3. 4m m未満の第 l 輪径を持つマダイの場合には B型か C型に,輪径 3.4mm 2 6 魚鱗情報によるマダイの移動・回遊の解析に関する研究 , 1 9 9 2y e a rg r o u p 1 9 9 1y e a rg r o u p )hugEFt- ﹁ 、 (J 2 0 2 0 1 0 1 0 。 。 2 0 2 0 1 0 1 0 0 0 1 .0 2 . 0 3 . 0 4 . 0 5 . 0 6 . 0 1 .0 2 . 0 3 . 0 4 . 0 5 . 0 6 . 0 rJ R i n gr a d i u s(皿皿) rb shown i nF i g .2 3 and r a d i u sc o m p o s i t i o no ft h ( F i g .2 4 Comparison betweenao 白r s tr i n gont h es c a l e so fI a g e白s hfromt h es e aof TIshikawaP r e f e c t u r e . TabI e7 . E s t i m a t e dr a n g e so ft h e自r s tr i n gon t h e s c a l e s( 1, ) and numbero fc a t c h e so fi m m i g r a n tf i s h (C 乃i n Western Wakasa Ba)・ の A-C型の構成比率を乗じることにより,若狭湾西部海 域における 9 1年級群の年齢ごとの A-Ct.~別漁獲尾数を求 めることができる ( F i g . 2 6 )。第 l輪径が A型に 属 する個 体の漁獲尾数は, 1歳魚では 56, 440尾 , 2歳魚では 49, 660 1 9 9 1y e a rg r o l lp C I 1 9 9 2ぅe a rgroup m m m γ ' m Age C I f~ , 3成魚から 5歳魚、では全て 1 0, 000尾 以下と計 算 され た 。 B塑の漁獲 J 毛数は, 1歳魚 84, 660尾 2歳魚、 8 9, 770 尾, 2n34 2 .03. 4 2 7, 912 lι3.4 1 8, 714 3歳魚 2 2, 080尾 , 4歳角、 1 2, 220尾および 5歳魚、 7, 360尾と 1 . 8 3 . 4 700 1 2, lι3.4 870 1 6, 計算 され, 2歳魚における漁獲尾数 が最 も多かった。第 l lι3.4 720 8, lι3.4 1 0, 7 8 7 輪径の小さい C砲の漁獲尾数は, 1歳魚では 24, 900尾であ 46, 3 7 1 り , A型 および、 B型のそれよりも少なかった。しかし, 2 T o t a l 49, 332 歳魚、になると C:a!の漁獲尾数 は5 1, 570尾 と計併され, 2級 以上 4.6m m未満の場合には A型か B型に属しているこ 魚以降 5歳魚までの C型の漁獲尾数は, A型のそれを全て とになる 上回っていた 。 O 次に, 9 1年級群の年齢別第 l輪径組成に占める各分布地 の構成比率 ( p P, s ; P i c l を Fig.25に示 した。各分布 山 ) に示したように,第 l輪径が大きい A型 ヤ B型 条件 2 に属する個体が海域外へ移出し,替わって能登半島周辺以 塑の構成比率の増減をみると, C砲の比率 は l歳魚の第 l f Jの第 l輪径を 持つ個体が移入し 北海域に多く存在する CJ 輪径組成では全体の 15%であったが, 2歳魚では 27%に増 た場合,若狭湾西部海域における C型の漁獲尾数は増加す 加した。さらに 3歳魚の第 l輪径組成では, C型の比 i 容は ることになる。海域内での移動がないと仮定 したときの漁 39%に増加していた。 4歳魚, 5歳魚および 6歳魚、の C却 獲尾 数は,条件 1 ) により, 1i 衣魚の A-C型 の構成比率 の比率は,それぞれ 44,4 1%および40%であり, 1歳魚の それよりもお%以上増加した。 ー 方 , B型の構成比率は, を年齢別漁獲尾数に乗じることで計算 できる。したがっ 、 - て,移入によって増加したと推定される C型の漁獲尾数 どの年齢群においても 45-50%で推移し,年齢による大き は,移動を想定しない場合のC型の漁獲尾数との差 によっ な違いは認められなかった。また ,r¥砲の構成比率は l歳 て , 2歳魚では 23, 397尾 , 3歳魚では 1 1, 1 5 5尾 , 4歳魚で 魚では 35%であったが,その後は C砲の比率の変化と逆に 540尾 と計算 される。すなわちこの場合, 1歳時に比 は7, 推移し, 4歳魚で 10%以下に減少した後, 5歳魚および 6 較して, 2- 4歳魚群において移入により 増加した個体の 成魚ではともに 12%であった。 漁獲足数は,約 4 2, 0 0 0 J iと推定された。 9 1年級群の年齢別漁獲尾数に, Fig.25に示した年齢別 京都府立海洋センター研究論文 6号 2000年 2 7 0 ーT TypeA ypeBー企ー TypeC ー ・- 6 0 5 0 ' i f t . 40 } ω ~ ! ! 30 回 ω ' ‘ ~ 2 0 1 0 。 2 4 3 5 6 Age a d i u s compositions o ft h ef i r s tr i n g on t h es c a l e sb nr ) 5 . Percentage changes i F i g .2 a d i u s,TypeB a r g er ft h r e er a d i u st 1 9 9 1 yeargroupo y p白 (A C ) . TypeA:l mediumr a d i u s,TypeC・s m a l lr a d i u s . 1 0 ' fr e d s e a bream Table 8 . Percenlage frequency o e m i g r a t i n romo t h e ra r e a so rimmigrating 耳f h r i n Western Wakasa Bay based on t nt h ee s t i m a t e dc a t c hi n number change i (Method-I u s i n gt h e' a l u e sofTable 7and h ev a l u e sofF 6 )f o r Method-1 I using t i g .2 eacha g e . 、 ] ¥ ! e t h o d I Method-I 2 1 5 28 1 2 3 28 29 24 4 34 42 29 Yeargroup 1 9 9 1 1992 1 9 9 1 Age J 冒 = 詰 Method-II 固 』 m 霞 ~es 104 ' ‘ コ ‘ e E 弓 ・ z u 凶 体の割合は推定方法別にそれぞれ 15%および 12%と計算 さ れた。 同様に移出入個体の割合は, 3歳 魚、では 28%と 24%,4歳魚では 34%と29%であり,推定方法による大き な違いはみられなかった。また, 92年級群における移出入 個体の 書J I合は, 2歳魚で 28%, 3歳魚では 29%,4蔵魚で は42%であった。 3 1 0 2 3 4 5 Age F i g . 26 ‘ Estimated c a l c hi 9 9 1 year n number of 1 a d i u st group c l a s s i品ed by age and r y p e s (A-C). Type A: l a d i u s,Type B: a r g er m a l lr a d i u s mediumr a d i u s,TypeC:s ( 3 ) 若狭湾西部海域における移出入個体の割合 28 ( 4 )考 察 若狭湾西部海域のマダイ鱗の第 l輪径組成において,移 入個体の第 l輪径は 1.8-3.4m mであり,この値は石川 県沿岸におけるマダイ l歳魚の第 l輪径の出現範聞と合致 していることがわかった ( )。このこと F i g .24, Table 7 は,若狭湾西部海域に移入する個体が若狭湾以北の能登半 若狭湾西部海域で漁獲される 2歳魚から 4歳魚、における 島周辺海域に由来することを 示 しており,第 3章で示 した 移出入個体の割合は,それぞれの推定方法で計算 された増 マダイの移動経路 (Fig.18) と一致する。第 i輪径の出現 加個体の漁獲尾数が,年齢別総漁獲尾数に占める 割合で推 e8 定できる (TabJ )0 2つの推定方法で計算 した 9 1年級群 割合に比例配分して求めた漁獲尾数 Qは,いくつかの条 件はあるが,第 l輪径組成の年齢による変化が移動・副遊 における移出入個体の割合をみると, 2歳魚での移出入個 状況を良く反映している点において妥当性を持っと考えら 口│遊の解析に関する研究 魚鱗情報によるマダイの移動・ l 司. れる。 さらに,日本海沿岸のヒラメでは,北と南の海域で耳石の ここで,第 l輪径の大きい階級における出現割合の減少 9 9 7 ), 第 i輪径組成に差が認められており(竹野ほか, 1 はマダイ群の南 F,すなわち移出によって起こり,小さい 背鰭および啓鰭の鰭条数の違いといった形態学的手法(前 階級での増加は北の海域からの移入によって起こっている 9 9 5 ) などと組み合わせて検討することで,資源、 回ほか, 1 4m m未満の個体'の増 と仮定するならば,第 l輪 径 が 3. 構造を明らかにできる可能性がある o 加割合 ( F i g . 2 1 ) は,年齢群聞における移出入の割合,す なわち群の交換率として表すことができる。若狭湾西部海 域のマダイについて近似式を用いて推定すると,平均的に ( 5 )結 論 -若狭湾西部海域におけるマダイ鱗の第 l輪径組成を解析 設から 2歳 に か け て 約 22%, 2歳 か ら 3歳 で は 約 は 1j した結果,同海域のマダイ群の移出入による群の交換率 14%, 3歳から 4歳では約 9 %の移入,移If',があったこと は,平均的には l歳から 2歳にかけて約 22%,2歳から になる。 一方,対馬│暖流域におけるマダイ l歳魚の第 l輪径組成 3歳では約 14%, 3歳から 4歳では約 9 %であると推定 された。 は,平均値と分散の異なる 3つの正規分布型に分離された ・対馬暖流域におけるマダイ l歳魚の鱗の第 l輪径組成に ( F i g .1 9 )。すなわち,対馬暖流域においては,海域別に固 対して,正規分布の当てはめを行った結果,第 l輪径組 有の,平均的成長速度と個体差を示すマダイ群の存在が考 成は以下の 3つの分布型に大別できた。 えられる。荒井 ( 1 9 9 5 ) は,日本海沿岸におけるマダイ鱗 A型(九州丙海域) の隆起線の形成からみた成長に,若狭湾周辺を境界とした 南北海域による違いがあることを報告している。これによ ると,長崎県沿岸海域では隆起線間 隔の変動が小さく, 年を通じて'定の割合で成長するのに対し,石川県沿岸や 秋田県沿岸海域では季節による隆起線間隔の変動が認めら 平均第 l輪径4.44士標準偏差 0.33m m B型(山陰西部海域から若狭湾海域) . 3 1m m 平均第 l輪径 3.66土標準偏差 0 C型(能登半島周辺以北海域) 平均第 l輪律 2.68i::標準偏差 0.28m m れ,成長の季節変化が大きいと推定されている。また,第 ・若狭湾西部海域におけるマダイは,未成魚期の移動,回 2Y;Iで述べたように,水温から判断する限りでは,対馬暖 遊に伴って,少なくとも, 2歳魚で 10%から 30%, 3歳 流域では北の海域ほどマダイの成長にとって厳しい環境と 魚で約 30%, 4歳魚、では 30%から 40%が移出入個体であ なっており,それは各海域に生息するマダイの成長速度や 生残に影響 をおよほすであろう。第 l輪 径 が最 も大きい A ると考えられた。 ・マダイ鱗の第 l輪径組成を用いた移動・回遊の解析は, 型と最も小さい C型の輪径分布には,このような南北海域 日本海丙部の他の海域やマダイ当歳魚、の成長に海域差が における成長履歴の違いが反映されていると考えられる。 みられる太平洋沿岸海域,あるいは同じ硬組織である耳 また,今回の解析結果では, A型と C型の中間的な第 l輪 石の第 l輪径が,海域によって異なっている日本海沿岸 径を示す B型の存在が明らかになった。 B型の輪径分布に のヒラメなどでも応用が可能でトある。 は,平均的な成長速度が同じである 島根県沿岸や京都府沿 i g . 8 )。 京 都 府 沿 岸 海 岸海域のマダイが属する(第 2章 F 第 5章 移動・回遊情報の成長解析への利用 域で、漁獲されたマダイ鱗の隆起線形成には,上記の南北海 9 9 5 ), B 域における両方の特徴がみられており(荒井, 1 年齢と体長との関係は,水産資源解析と管理のための基 型の輪径分布は,対馬暖流域におけるマダイの分布の中間 本情報である。マダイ鱗は年齢査定を行うための有効な年 城としての特徴を示しているものと考えられる。 齢 形質であり,マダイの成長解析は,鱗の輪紋を指標とし マダイ鱗の第 l輪径組成を用いた解析では, 2つの推定 て得 られた年齢と体長との関係を数式で表示した成長曲線 方法による計算結果 ( T a b l e8 ) から,若狭湾西部海域にお を推定することが行われる。マダイの成長に関する従来の けるマダイは,未成魚期の移動,回遊に伴って,少なくと dJ時採集調査が難しいため,ごく限 研究では,広範閉で、の I も , 2歳 魚 で 10%から 30%, 3歳 魚 で 約 30%, 4歳魚では られた採集地がモデル海域として選ばれ代表値とされる O 30%から 40%が移出入個体であると考えられた。今回は若 モデル海域では,マダイは生まれてから高齢魚になるまで 狭湾西部海域を調査対象としたが,このような解析は年齢 この海域外への大規模な移動は行わず,また成長が異なる 別第 l輪符組成を精査することによって日本海西部の他の 他海域からの移入はないことを前提としている。 海域や,マダイ 当歳魚の成長に海域差がみられる太平洋沿 9 7 5 ) などでも応用が可能である。 岸海域(三重県ほか, 1 " 若狭湾西部海域においても,海域内で採集された若齢魚 から必齢魚までの鱗による年齢査定と計測体長を用いて成 京都府立海洋センター研究論文 6号 2000年 2 9 1 1 長過程を推定してきた(赤崎, 1 9 6 0 ;京都海セ, 1 9 8 6 )。 d . '6 しかし,第 3章および第 4主主の結果に示すように,初期成 1 0 ト --~ -~-一一ー 長量 の異なる能登半島周辺海域と若狭湾西部海域の聞に 企一一色 は,マダイ群の交流があることが明らかになった。本章で は,若狭湾西部海域におけるマダイの成長に関する正確な 情報を符るために,移動・回遊情報をもとに,マダイの年 自 齢と体長,体重との関係や成長曲線を再検討した。 国 ' 5 ロ-口一一口' 4 8ト 一一ーー (1)研究材料と方法 鱗による年齢査定には, 1 9 9 2年 5月から 1 9 9 7年 1 2月まで 。 匂回 一 ps れた 1 9 9 1年発生群の 2, 2 9 2個体のマダイを用いた ( T a b l e 一 4 )。採集した全てのマダイについて,生鮮な状態で尾叉長 Lilli-ト 山首司切 roab 漁業で漁獲さ の,京都府沿岸海域の定置網および釣・延縄i と体重の測定を行うとともに,鱗を採集し,スライド標本 とした。万能投影機で鱗の輪紋数を読み取り,年齢査定を しによ二 f 丁った。マダイの年齢は,赤崎 ( 1 9 6 0 ) が行った若狭湾定 マダイの年齢査定の結果から,車市紋形成時期を年 l回 , 4 123 4 S ( T I 6 )の測定を行った。 な いて 0 . 0 1m m単位まで測定し,その平均値を各個体の代 表とした。 6 Age お,採鱗部位,標本処理および輪径の判断基準などについ ては,第 2章と同様でトある。再生鱗を除いた 5枚の鱗につ 1 3 月として推定した 。 年 齢 査 定 を 行 っ た マ ダ イ は , 鱗 径 ( S R ) および第 1-第 6輪径 i _, F i g .2 8 . Meana n n u l u sr a d i io [a g eg r o u p so [r e ds e a ;i n d i c a t e st h ea n n u l u sr a d i u so [i b r e a m . T 次に,輪群別の平均輪径をプロァトし,年齢別平均輪径 の変化として F i g .2 8に不した 。 第 l輪径の平均値は, 1 ( 2 ) 鱗径ー尾叉長関係 採鱗を行ったマダイについて,鱗径と尾叉長の関係を Fig.27に示した。鱗径 (SR;m m)に対する尾叉長 (FL; mm)の関係式は次式で表される。 歳魚で 3 . 7 9m m,2歳魚、で 3 . 5 8m m,3歳魚で 3 . 3 5m m, 4歳魚、で 3.25mmであった。第 2輪 径 の 平 均 値 を み る と 2歳 魚 で 5.66m m, 3歳 魚 で 5.41m m, 4歳 魚 で 5. 3 2m m, 5歳魚で 5.30m mであった。 同様に第 3輪径 lnFL=I.0551nSR+3. 449 ( 相関係数0 . 9 8 4 ) ( 1 ) の平均値は 3歳魚では 7 . 0 8m mであったが, 6歳魚で は6 . 9 1mmとなっており,第 1!給径および第 2輪径と同 様に高年齢魚、ほど小さい傾向が認められた。さらにこの傾 E500 向は,第 4輪径および第 5輪径の平均値においても認めら E れた。京都府沿岸海域で漁獲されるマダイ鱗の第 l輪径に ' u . . Lee現象がみられることは,第 3章において既に示したと . . c : おりであるが,同様の現象は,第 2-第 5輪径についても H c> E ' ' " 起こっていることが分かった。 言 1 0 0 u . . ( 3 ) 個体群ごとの成長式の推定 6輪群までの全個体の平均輪径を用いて, 5 0 5 . 0 1 0 . 0 S c a l e R a d i u s (SR;mm) S R ) and F i g .2 7 . R e l a t i o n s h i pb e t w e e ns c a l er a d i u s( f1 9 9 1y e a rg r o u p . [ o r kl e n g t h(FL)o I nFL = 1 . 0 5 5I nSR+3 . 4 4 9( C o e f l i c i e n to f c o r re Ja t i o n=0. 9 8 4 ) 30 i 11 遊の解析に関する研究 魚鱗情報によるマダイの移動.[ ,、 ( 1 ) 式により 輪紋形成時の計算尾叉長を求め, W a l [ o r dの定差図を作成 T y した ( F i g . 2 9 )。各点は 一 直線上に並び, vonB e r t a l a nf の成長式にあてはまる。この関係式は次のようになる。 I m +1=0. 8 5 0 31 m+87.9 (相関係数0 . 9 9 5 ) 1 " " 第 m輪形成時の計算尾叉長 (mm) ( 2 ) 600 600 E側 500 t400 400 色 E300 300 200 200 100 1 0 0 と = レ 。 4 』 4 同 。 。 1 0 0 200 300 400 500 600 500 500 t400 : , 色 300 400 200 200 ~。100 100 同 100 200 300 400 500 600 200 300 400 500 600 600 600 ~ 。 。 300 。 。 1 0 0 200 300 400 500 。 。 600 1 0 0 Forkl e n g t h( 1i Omm) Forkl e n g 也 (/;;mm) F i g .2 9 . W a l f o r d ' sdiagramso fb a c k c a l c u l a t e df o r kl e n g t h so fr e ds e ab r e a m . Thenumbersi n d i c a t e i n gr a d i u sont h es c a l e s,1:A l l,2 :TypeA,3 :TypeB,4 :Type d i f f e r e n tg r o u p so ft h e品目 tr C,s e e F i g . 1 9 . 2500 ~ 2000 1 ・ ・ ー 思~ t : 1500 」 ヨ 也S U 孟 1 000 、 b 可 = 畠 500 。 オ 5 0 100 150 200 250 300 350 400 450 500 Forkl e n g t h(FL;mm) F L )and bodyw e i g h t( W )o fr e ds e abream F i g .3 0 . R e l a t i o n s h i pb e t w e e nf o r kl e n g t h( w二 5.016FL2.8502X10-5 (Coef五cientofcorrelation=0.997). ( 2 ) 式から vonB e r t a l a n f f yの成長式のパラメータを推定 し,次式を得た。 Li=587.3 ( 1ー はPー 0.1622(;+0.3952)) ( 3 ) Li, 前 a歳時の推定尾叉長 (mm) 次に尾叉長 ( F L ;mm) と体重 (W;mm) について,次 の関係式を得た ( F i g . 3 0 )。 . , W=5.016FL2:S502X10-5 (相関係数0 . 9 9 7 ) ( 4 ) ( 3 ) 式から zが整数時の推定尾叉長を求め,その値を ( 4 ) 式に代入することにより推定体重 を得た ( T a b l e9 )。採鱗 Jから 6歳時ま を行った全個体を試料として求めた満 l歳H での推定尾叉長は 歳魚 119mm,2歳魚 1 8 9m m,3歳 魚 249m m, 4歳 魚 299m m, 5歳 魚 3 4 2m mおよび 6歳 京都府立海洋センター研究論文 6号 2000年 3 1 Table9 E s t i m a t e df o r kl e n g t handbodyw e i g h to fr e ds e abream F o r kl e n g t h(mm) 2 3 4 5 6 TypeA 4. 1 8 1 5 1 2 1 9 2 7 7 326 369 405 TypeB , 1 3 4 1 1 2 2 1 9 4 255 306 3 4 9 386 TypeC 7 4 0 95 1 7 2 2 3 5 2 8 8 3 3 1 3 6 7 2, 2 9 2 1 1 9 1 8 9 2 4 9 2 9 9 3 4 2 3 7 9 Al 1 Bodyw e i g h t( g ) Age Numbero f s a m p l e s Groupso ff i r s t r i n gr a d i u s TypeA 418 8 1 235 459 7 3 0 1 , 040 1 , 3 5 6 TypeB , 1 3 4 1 44 1 6 6 3 6 3 610 8 8 7 1 , 1 8 2 7 4 0 2 2 1 1 8 2 8 7 5 1 3 7 6 3 1 , 024 2, 2 9 2 4 1 1 5 4 3 3 9 5 7 1 837 1 , 1 2 2 TypeC A lI 魚 3 7 9m m,推定体重は l歳魚 4 1g, 2歳魚 1 5 4g,3歳魚 に , ( 4 ) 式および ( 8 )一 ( 1 0 ) 式を図不すると F i g . 3 1の 3 3 9g, 4歳魚、 5 7 1g, 5歳魚、 837gお よ び 6歳魚、 1, 1 2 2g ようになり,全個体および A-C型に属する個体を試料と であった。 する各成長曲線が得られた。第 l輪径の分布型ごとに求め 第 4章で示したように,若狭湾西部海域では成長の異な た成長曲線をみると,若狭湾西部海域における 2歳魚、以降 r " j海域のマダイ の尾叉長は,第 l輪径が大きい分布型に属するマダイほど るマダイ群が混在している。したがって, 成長解析は,従来のように平均的な lつの関係式で表現す 大きくなっていた。 A型と B型および B型と C型の各分布 る の で は な し 初 期 成 長量 の異なる個体群ごとに行われる 砲の満年齢時における推定尾叉長は, と苧の年齢魚でもそれ 必要があろう。そこで,第 4章で示した第 l輪径の大きさ ぞ れ 20-30m mの差がみられた。特に,第 l輪径の大き から分離した 3つの分布型 (A-C型)に属するマダイを い A型と小さい C型に属する個体を比較すると,推定尾文 対象として,若狭湾西部海域における個体群ごとの成長を 長では 38-56m m,推定体1Ii:ーでは 59-300gの差が認め 推定した。各分布型は正規分布にしたがうので,ここでは られた。 各分布型における第 l輪径の違いを,分布の交点を基撃に して求めた ( F i g .1 9 ) 0 第 l輪 径 が 4 . 1m m以上のものを A型 , 3 . 2m m以上 4 . 1m m未満のものを B型 , 3 . 2m m 若狭湾西部海域における従来のマダイの成長解析(赤 未満のものを C型とした。分布型ごとに集計した個体の年 崎 , 1 960;京都海セ, 1 9 8 6 ) では,標本採集が行われる期 齢別平均輪径から, 間内に同海域に出現する様々な大きさのマダイを対象とし (I)式により輪紋形成時の計算尾叉長 を求め, W alfordの定差図を作成した ( F i g . 2 9 )。これら て,平均的な成長傾向を表現する理論式を導き出すことが の関係式は次のようになる O 行われている。また尾 ( 1 9 6 2 ) は,日本沿岸における A型 ;I 0.2 (相関係数 0 . 9 9 5 ) ( 5 ) m+I=0.85311 m十 9 m +1ニ 0 . 8 4 1 4 1 .6 (相関係数 0 . 9 9 6 ) ( 6 ) B型 ;l m十 91 C型 lm+lニ 0.82571m十 93.5 (相関係数 0.987) ( 7 ) 1 mm) m,第 m 輪形成時の計算尾叉長 ( マダイの成長を比較し,ふ化後 I年聞を除いた年間成長率 には海域による差はほとんどなく,初期成長量 がその後の 成長を決定するとしている。したがって,海域内外におい て初期成長室 の異なるマダイ群の移出入が起こっている場 合に,従来の方法で符られた解析結果は,いくつかの個体 6 ) 式から vonB e r t a l a nf T yの成長式は次のようにな ( 4 )一 ( 群が混在した状態で漁獲されたマダイの年齢と体長との関 る 。 係を断片的に捉えただけになっている可能性があり,対象 A型 ;L;=614.1 (I-exp.0.1589(;+07724)) ( 8 ) B型 ;Li=577.7(I-expー 0.1727(;+0.3739)) ( 9 ) C型,ム =536.3 (I-exp-0.1915(;+0.0190)) ( 10 ) Li, 荷 z歳時の推定尾叉長 (mm) 3 2 ( 4 )考 察 とすべき個体群の成長様式を正しく反映したものではない ig.28 ことになる。また,若狭湾西部海域のマダイでは, F に示したような Lee現象による輪径の小型化が輪紋形成 時の計算尾叉長に影響するため,全個体の平均値のみを用 いた結果には問題がある。 ( 3 ) 式および ( 8 )一 ( 1 0 ) 式による各分布刑の満年齢時に 今回の解析では,マダイの移動・回遊状況を考慮するこ おける推定尾叉長と推定体重を Table9に示した。さら とにより,混在する個体群ごとの成長を推定することがで 魚、鱗情報によるマダイの移動・回遊の解析に関する研究 " い , C塑に代表される小さい 第 l輪径値を有する個体の割 合が増加するため, 2歳魚以降は,能登半 島周辺海域のマ 400 ダイに酷似する成長様式を 示す個体が増 える。 4歳以上魚 では 40%以上の個体が C型の第 l輪径値を持つことから, 350 若狭湾西部海域の成魚群については歳時には少なかっ た能登半 島周辺海域と 同 じ大きさのマダイが多く分布して いると考えられる。 300 ( 白 目 第 6章 総 合 考 察 玉 250 B 第 l章 から第 4章 で , 箇 昔 」 日本海西部海域のマダイ群の移 動,回遊と若狭湾西部海域での移出入状況について検討 し 』 』 占 200 てきた。その結果,能登半片周辺海域,若狭湾海域および 山陰沿岸海域では,未成魚、期の南下移動に伴って,海域間 におけるマダイ群の連続的な移出入が起こっていることが 150 わかった。また,第 5i j Iでは,こうしたマダイの移動.[ i l J 遊情報をもとに,若狭湾西部海域におけるマダイの成長を 再検証 した。本章では,マダイ群の移出入の動向から若狭 100 湾西部海域におけるマダイの資源状態 を考察し,これにも とづいてやや規模を拡大した日本海西部海域のマダイ 資源 50 管理について提案する O 2 3 4 5 6 Age F i g . 31 . Comparison o ft h e o r e t i c a l growth c u r v e so f r e ds e ab r e a m .S o l i d and b r o k e nl i n e si n c l i i n gr a d i u s on c a t ed il T e r e n t groups o f品目 r I I s c a l e s,Type A,Type B,Type C and A ムー Noto P e n i n s l 山 ( I s h i k a w aP r e. f Mar .S l n .,1 9 8 4 ) . 0:WesternWakasaBay Cul .O cea. F凶白 S c i .,1 9 8 6 ) 口 (Kyoto I n st w e s t e r np a r to fS a n ' i nC o a s l (Yamaguchi . fF i s h .E x p .S t n .,1 9 8 7 ) P r e (1)若狭湾西部海域におけるマダイ資源の現状 若狭湾西部海域におけるマダイの完全加入年齢は,漁獲 物年齢組成 ( T a b l e5 ) から l歳と判断される O そこで l歳 から 5歳の漁獲データの得られている 1 9 9 1年発生群および 1 9 9 2年発生群(以下 それぞれ 9 1年級群および9 2年級群とす る)について,年齢別漁獲尾数から対数回帰法で全滅少係 数 Z を推定した。 全 減少係数 Z は , 9 1年級群は 0 . 6 6 8 . 9 2年級群は 0.659と計算 され,両年級群とも類似した僚が F i g .3 2 )。また, Fig.32 をみると,両年級群に 得られた ( きた。今回の結果を従来の報竹(石川増試, 1984;京都海 おける相関係数は 0.95および0.97と高い値 を示しており, セ , 1986; 山口外海, 1 9 8 7 ) と比較すると ( F i g . 3 1 ), A 若狭湾西部海域における全減少係数は安定しているものと 型 に属するマダイでは, 3歳魚以ヒの大きさが山陰西部海 考えられる。若狭湾西部海域から能登半島周辺海域におけ 域に近く, C型に属するマダイの成長は,能登半島周辺海 るマダイの自然死亡係数 M は,バイオマス解析により 域とほぼ同様であった。また,全個体による結果や過去の 0.36と推定されている(石川県ほか, 1 9 9 1 )。したがって 報告 ( 京都海セ, 1 9 8 6 )で づJ 之されるマダイの尾叉長 は , A 1年級群は 0.308,9 2年 漁獲係数 F は,F=Z-Mから. 9 型 および C型のそれのほぼ中間に位置する B型のマダイよ 級群は 0.299となる O 以上のようにして 得 られた 資源特性 りも小さく推定されていた。 値を Table1 0に整理した o Table 1 0には,過去の知見 も 若狭湾西部海域におけるマダイ l歳魚、は第 l輪径の大き 整理して,若狭湾と隣接する能登半島周辺海域におけるマ ( 第 3章),これらの個体の平均的な体長は, ダイの資源特性値も併せて 記載 した。若狭湾西部海域にお 若狭湾以西の山陰沿岸海域に出現する│ロ]年齢魚の大きさに ける 完 全加入後の漁獲による 滅耗は,年間 22%程度であ い個体が多く 近かった ( F i g . 3 1 )。このことは,若狭湾から山陰沿岸海 り,能登半島周辺海域のそれと比較して低い値となってい 域における当 歳魚の成長状況とも一致する(第 l章)。し る。これは ,若狭湾西部海域では,マダイを漁獲する漁業 かし第 4章で示 したように,同海域では,年齢の増加に伴 種類としては定置網とが]・延縄が主体であり,能登半島周 京都府立海洋センター研究論文 6号 2000年 ・ , 3 3 か , 1 9 9 6 )。 辺海域でマダイを多獲している底曳網や吾智網等による漁 Table 1 0に示した資源特性値から, 若狭湾西部海域に 獲がほとんどないことによるものと考えられる(藤田ほ ﹄ mw • - 1 9 9 1y e a rg r o u p(Z=0.668) o. . . 1992y 岨 r g r o u p(Z=0.659) 、 •司 5 nHU 1 ﹄自国固旦﹄昌 O ω a O • , ' " 4 nHU 1 S -羽田宮腕一同 唱 4 Age s t i m a t i o no ft o t a lm o r t a l i t yc o e侃 C I e n t F i g . 32 E Table 1 0 L o t a lm o r t a l i t yc o e l f i c i e n t( 2 ), s u r v i v a l i s tofparameterso fr e ds e abreamf o rt h ea n a l y s i s,t r a t e( S ) , naturalmortalitycoe侃 c i e n t(M),品s h i n g∞e l f i c i e nt( F )ande x p l o i t a t i o nr a t e( E ) Z S M F E 1 9 9 1y e a rgroup 0 . 6 6 8 0 . 5 1 3 0 . 3 6 0 0 . 3 0 8 0 . 2 2 5 1 9 9 2y e a rgroup 0 . 6 5 9 0 . 5 1 7 0 . 3 6 0 0 . 2 9 9 0 . 2 1 9 0 . 8 2 0 0 . 4 4 0 0 . 3 6 0 0 . 4 6 0 0 . 3 1 0 Areas WesternWakasaBa) Notop e n i n s u l a ' • :Ishikawap r e fMar .Cu. lS t n .,1 9 9 2 Table I I Estimatedp o p u l a t i o ns i z ei n numberofi n d i v i d u a l s (X1 03) f o reachagei nWestern WakasaBayfrom 1 9 9 2t o1 9 9 7 1992-1997恥lean 607 994 884 803 410 562 412 2 7 7 304 1 1 6 1 1 8 1 0 2 1 0 3 83 73 69 68 1 9 9 2 1 9 9 3 1 9 9 4 1 9 9 5 12345 1 9 9 7 Age!Year 752 , 1 7 0 1 403 , 378 1 4 5 1 866 304 542 254 4 0 6 206 267 93 1 1 4 7 3 68 66 49 1 9 9 6 Table 1 2 Estimated p o p u l a t i o ns i z ei nnumberofi n d i v i d u a l sa t2t o4y e a r sofage(N , ; 2-N X1 03) andemigranto rimmigrantf i s hnumbero fi n d i v i d u a l sa t2t o4y e a r so fa g e ( E 1 z E I 4 ;X 1 03) i nWestern¥ VakasaBayfrom 1992t o1 9 9 7, r e s p e c t i v e l y N2 Eh N3 E I 3 N . 1 9 9 2 4 5 1 82 254 69 93 1 9 9 3 866 1 5 8 406 110 114 1994 304 56 206 56 73 1 9 9 5 542 99 267 7 2 1 1 6 1 9 9 6 803 1 4 7 412 1 1 1 118 1 9 9 7 410 75 2 7 7 75 1 0 2 Mean 562 1 0 3 304 82 1 0 3 魚、鱗情報によるマダイの移動・回遊の解析に関する研究 E I 4 3 u4 -3 -6 3o 4p 24 34 Year 36 N2-N 令 t o t a l Eん Eム t o t a l , , 白 798 1 8 4 , 386 1 308 583 1 3 7 925 212 , 333 1 300 788 1 8 5 969 2 2 1 おける 1 9 9 2年から 1 9 9 7年の年別年齢別の資源尾数を 計算 数(大型,小型併せて約 1 6 0カ統)で引き延ばすことによ し , Table 1 1 に示した。さらに, 9 1年級群と 92年級群に り,約 1 6 0万尾と推定することカfできる。これらのマダイ おける移出入個体の割合 ( Table8 ) の平均値から,若狭湾 を加入髭 とし 8. 3%,3歳魚で 27.0%,4歳魚、で 丙i 部 海域では 2歳魚で 1 期当初の資源尾数を Ni,i歳魚の平均体重を Wi とすれ 35.0%の個体の移出入が行 われていると考えられるので, ば,漁獲尾 数 C iおよび漁獲重量 Y iは以下の式で示すこ 各年齢群の資源尾数が分かれば,若狭湾西部海域における とができる。 移出入群の資源尾数を推定することができる ( T a b l e1 2 )。 歳魚以上の漁獲t率 E を一定, 1歳魚、の漁 C ;= N E i・ Table 1 2から, 1 9 9 2年から 1 9 9 7年の;i',狭湾西部海域にお ( 1 ) ( 2 ) Yi=Ci'W i ける 2 歳魚から 4 歳魚の資源尾数は,およそ 60~ 1 4 0万尾, 平均値では約 9 7万尾と推定されているので,移出入群の年 さらに, i+1歳魚、の漁期 当初の 資源尾数 料 +1 は,自然死 齢 別 資 源 尾 数 は 2歳 魚 で 6~ 1 6万尾, 3歳 魚 で 6~ 1 1万 亡係数を M,漁獲係数を F とすると,以下の式で‘表され 尾 , 4 歳魚で 3~4 万尾の合計 14~31 万 尾 となる O すなわ る 。 ち,若狭湾西部海域では,平均的には少なくとも 2歳魚で 1 0万尾, 3歳魚、で 8万尾, 4歳魚で 4万尾のおよそ 22万属 Ni+I=Ni'exp [ ー (F+M)] Moは , 1歳以降のそれを (Mo=M'6/12=0.18, M=0.36) 以上の個体が若狭湾以北海域から移入してくるとともに, ただし,当歳魚、の自然死亡係数 [ 1 i ]規模の群が若狭湾以西海域に移出していることになる O 月数で比例配分した値 以上のように,若狭湾西部海域に移出入するマダイ群の 規模は,同海域における 2歳から 4成魚の資源量の約 23% ( 3 ) とした。また,年齢ごとの平均体重 院 は , 第 5章の成長 解析による A~C 型の分布型別年齢別推定体 重 (Table 9 ) 以上を占めているものと考える O ここでの移入群は,鱗の を,第 4章で示し た年齢別第 l輪径組成に占める分布型別 第 l輪径組成の変化から,若狭湾以北の能夜半島周辺海域 構成比率 ( F i g . 2 5 ) 可比例配分して求めた平均体重 (W)= j i)。能 から南下回遊してきたものと判断して良い(第 4! 5 3耳, Wz =171g, W3=347, 耳 H =579g ) とした。 Table 登半島周辺海域における 2歳魚から 4歳魚の資源量は, =0.22, F=0.30とすると, 6月から 9月に漁 1 0から E 、 Table10 に示した 資源特性 値と,近年 (1994~ 1 9 9 7年) 獲されたマダイ当歳魚を l歳魚に成長するまで保護した場 の推定漁獲尾数(石川水総セ資料)から,概ね 450万尾と 合 , 4歳魚までに得られる漁獲の上積分は, 推定できる O したがって,若狭湾西部海域に南下,移入す 2トンと計算される。ここで, により約 9 るマダイ群は,能畳半島周辺海域の資源全体の約 5 %と考 にかけての移出入による群の交換率を世 i +1 /世t とした場 えられる。 ( 1 )ー ( 3 )式 1歳から i+1j 設 合 , 管 理効果の直接的な対象となる 資源尾数は,移出の , N・ 世i +1 /世i ) となる。 影 響 を受 け る こ と に よ り , Ni-( ( 2 ) マダイ資源管理への提言 第 4輩 の結果から,世 2 /世1= 0 . 0 2,世)世 2=0.14 お よ び 魚、獲された当歳魚の再放流が共通 日本海西部海域では, i がゆ 3ニ 0.09 と仮定すると,上和分 92トンのうち地先海域 のマダイ資源管理手法として提唱されているが,保護対象 9トンと の管理効果として直接に評価される漁獲量 は,約 6 とする魚体サイズが府県によって異なるなど,資源管理の なる。 定着度や実施状況はー様ではない。このように,地先海域 これらの結果からみて,若狭湾西部海域内だけでマダイ を対象とした府県単位の資源管理が中心となっている現状 の資源管理 を行った場合には,マダイ群の移出入による影 においては,管理実行者に 直接的に還元される効果を算定 2 0ト 響 を考慮 しでも,現在の同海域における漁獲量 ( 約1 し,それが漁獲規制措置 を伴うような 資源管理を実行する ン)を 1 . 6倍増加させる程度の効果を期待することができ に見合うものであるかどうかを,地先海域ごとに判断して る。しかし,若狭湾西部海域の 4歳以上の成魚群には,能 いくことが求められる O 登半 島周 辺海域から移入してきた未成魚群が加入している 例えば,若狭湾西部海域で漁獲されたマダイ当歳魚が, ことから(第 4章),若狭湾西部海域における資源管理効 再放流等によって資源に 100%加入した場合に得られる漁 果を当該海域だけで完結させるのではなく,マダイ群の生 獲量 を , Table1 0に示した資源特性値と簡単な漁獲モデ 活領域内で評価していくことが重要であろう O 加えて,再 ルによって試算してみる O 第 l章の結果から,若狭湾西部 生産等にも配慮を加えた個体群全体の資源、形成を図るよう 海域における定置網によるマダイ当歳魚の漁獲尾数は, 6 な管理を考えていく場合には, 管理対象海域は若狭湾レベ 月から 9月 ま で の 平 均 漁 獲 尾 数 が l日当たり約 1 3 0尾 で ルに限定するのではなく,より広域的な 資源管理の実施が あったので,これを定置網 の実操業日数 ( 2 7日/月)と統 必要となってくるであろう。 京都府立海洋センター研究論文 6号 2 0 0 0年 " 3 5 さらに,マダイは栽培漁業の対象種として,既に多くの 要 約 府県で、人工種首放流事業が行われている (Fig.2)0 栽培漁 業は「栽培技術を現存する生産の仕組みに導入し,天然、資 マダイは,わが国沿岸漁業の重要な栽培漁業対象種であ 源と放流資源を包括的に管理しながら,生産効果とその安 り,全国各地で人工種苗放流が行われている。そのため, 定 性 の 向 上 を 目 指 す 漁 業 の 形 態 J (日本栽培漁業協会, 天然資源と放流資源とからなるマダイ資源全体の総合的管 1 9 9 9 ) と位置付けられており,天然資源と放流資源を込み 理が必要となっている。本研究では,日本海南部海域にお にした資源、全体の生産効率や再生産効率を 高めることが, けるマダイ 当歳魚の分布,マダイ鱗による局所個体群の議 栽培漁業の最大の目標であるといえる。日本海西部海域に 別,マダイ鱗に形成される輪紋径の海域別年齢変化などを おけるマダイ資源の有効利用を図るためには,栽培漁業の 解析し,何所個体群の移動・回遊に関する情報を得るとと 持つ加入増や再生産力強化による資源構築機能を十分に活 もに,その結果をもとにして,マダイ資源管理 を効果的に 用し,人て種苗放流事業 と関連した包括的資源管理を進め 推進するための展望を示した。これらの結果の要約は次の ていく必要がある。そのためには,各地先海域で行われた とおりである。 人仁種苗放流を含む資源管理が,隣接する海域の資源に対 してどの程度貢献しているかといった,管理効果の影響範 1 京都府沿岸海域におけるマタイ当歳魚の出現状況 聞に関する問題を無視する訳にはし、かない。広域型の魚種 ( 1 ) 京都府沿岸海域の定置網におけるマダイ当歳魚の出 に対する資源管理を今以上に推し進めるためには,各府県 現時期や尾叉長変化を調べた。定置網で漁獲されるマダイ 地先海域で行われる資源管理が互いの海域にもたらす質的 当歳魚は 6月下旬から出現し,その尾叉長範闘は 35-45 および量的な影響 を出来る限り詳細に把握し,それらの結 m mであった。マダイ当歳魚、は 7- 8月に尾叉長 40ー 7 0 果にもとづいて,再放流等の実施内容や人工種苗放流の規 m mの個体が最も多く漁挺され, 9月には尾叉長 80-90 模などについての府県問調整が図られなければならないだ m m, 1 0月には 100mm以 kの個体が出現した。マダイ当 ろ っ 。 歳魚は成長に伴う分布域拡大の過程で,定置網によって多 本研究において,能登半島周辺海域,若狭湾海域および 量 に漁獲されているものと推察され,漁獲尾数が減少する 山陰沿岸海域では,マダイ未成魚群の南下移動に伴う連続 9月以降には,定置網漁場から逸散し始めるものと考えら 的な移出入が起こっているものと考えられた。このような れた。 状況下では,それぞれの海域における資源管理体制につい ( 2 ) 日本海西部の他海域における出現状況との比較結果 て見直しを図る必要がある。若狭湾海域を例にとると,当 から,海域ごとのマダイ ~r~ 歳魚の分布,成長には違いがあ 歳魚、の出現状況やマダイ群の移動・回遊情報を利用した検 ることが分かった。特に,日本海西部海域で夏季 から秋季 討結果から,同海域のマダイ資源管理については,当歳か にかけて出現するマダイ当歳魚の大きさは,山陰沿岸から ら l歳魚期には若狭湾より西の山陰沿岸海域を共通のエリ 若狭湾沿岸海域にかけてほほー致するが,能登半島周辺海 アとした管理体制を整備する必要があるし, 2歳魚以降か 域ではこれらの海域よりも小さく,海域による顕著な成長 ら成魚、期においては,資源の一部を利用するものとして若 差が生じていることが明らかになった。 狭湾以北の能登半島周辺海域における資源、管理の一端を担 う必要があるだろう。 2 マダイ鱗の第 1輪径組成の海域差 本研究では若狭湾を中心とした日本海西部海域を調査対 (1)硬組織であるマダイ鱗には,年齢指標として成長の 象としたが,当海域を始めとする日本沿岸のマダイ資源管 年周期に伴い定期的に輪紋が形成される。 青森県から長崎 理に関する調査・研究においては,もはや,当歳魚、の保護 県 までの対馬暖流域に生息するマダイ l歳魚、は,生後 l年 や人工種苗放流などの加入増による資源、の構築や,再生産 目の鱗に形成される輪紋,すなわち第 l輪径の大きさか 力の強化といった管理効果を検証していかなければならな 4-4.6m mで平均第 l輪 ら,第 l輪径組成のモードが 4. い段階にある。そのためには,マダイ群の動きに合わせた 径 が 4.46m m と最も大きい長崎県沿岸海域,平均第 l輪 適切な管理海域の設定を行い,マダイ資源を対象とするモ . 0 0m m以下で第 l輪径組成が海域内で同じである 径が 3 ニタリング・システム全体の基本構造を再構築することが 石 川 県 沿 岸 以 北 の 海 域 , お よ び 平 均 第 l輪 径 が 3.60- 望 まれる。とりわけ,マダイの広域性,回遊性を考慮した 3.80m mであり,上記の南北 2海域と比較して中間的な 資源の現状解析と,それに基づく資源、利用体系についての 大きさの第 l輪径を持つ島根県から京都府沿岸海域の 3海 十分な議論が必要である。 域に大別された。このようなマダイ鱗の第 l輪径の海域に よる差違を比較検討した結果,対馬暖流域のマダイでは, 3 6 魚鱗悩報によるマダイの移動・回遊の解析に関する研究 、 - 海域ごとに成長速度の異なる局所的な個体群が存在してい と成長などを研究するうえで重要な課題となっている。 ること治宝明ら治、になった。 Lee現象の原因には,鱗の既成部分の縮小,体長従属的な ( 2 ) 調査海域における水深 Omの年平均水温とマダイ l歳魚、の鱗の平均第 l輪径には,有意な正の相関関係が認 i J { 考えられている。しかし,京都府 漁獲選択性の影響なと' 沿岸海域で、漁獲されたマダイ鱗の第 l輪径にみられた Lee められた。水温はマダイの成長を規定する大きな物理的要 現象の場合は,マダイの季節移動と第 l輪径との関係を解 因の lつであり,鱗の第 l輪径が大きい海域ではマダイの 析した結果から,マダイの広域的な移動・同遊に伴う群内 成長に適した日数がより長くなっていることなどから,マ の加入・逸散が,見かけ上 Lee現象が起こる主要因の l ダイ鱗の第 l輪径に示される海域差の原因として,環境水 つであると考えられた。 温の影響カf指摘された。 4 若狭湾西部海域におけるマダイ群の移出入量の推定 3 マダイ鱗の第 1輪径組成の年齢による変化 ( 1 ) マダイ鱗の第 l輪径組成の年齢や海域による変化 ( 1 ) マダイ鱗の第 l輪径と個体群の移動,回遊との関連 は,発生海域の異なるマダイ群の広域的な移動・回遊を反 を明らかにするために,日本海西部の石川県沿岸海域,京 映しているものと考えられた。このようなマダイ鱗の第 l 都府沿岸海域および山口県沿岸海域における第 l輪径組成 輪径組成と移動・同遊との関連をもとに,若狭湾西部海域 を年齢別に調べた。石川県沿岸海域のマダイでは,第 1輸 ! を中心としたマダイ群の移動・回遊に伴う移出入状況の把 径組成のモードや平均値は年齢が増加しでも変化が少な 握を試みた。若狭汚西部海域のマダイ鱗の第 1!論径組成 く,どの年齢群においても輪径 3.0mm未満の個体の剖 は,加齢にしたがい,第 l輪径の大きな個体が減少し,逆 合が多かった。京都府沿岸海域におけるマダイ鱗の第 l輪 に輪径の小さい個体が増加する傾向が認められた。年齢別 径組成では,第 l輪径は概ね 4歳魚程度まで年齢が増すに 第 l輪径組成の輪径階級ごとの出現割合を比較検討した結 したがって小さくなる,いわゆる Lee現象がみられた。 果,出現割合が増加した個体の第 l輪径は 1.8-3.4m m また,この現象は 1 9 9 1年発生群, 1 9 9 2年発生群および1 1 9 9 3 であり,この値は石川県沿岸海域におけるマダイ l歳魚の 年発生群の全てに認められた。山口県沿岸海域のマダイ鱗 第 l輪径の出現範囲と良くー致していた。 の第 1!輸径組成は,どの年齢群においても輪径 3.0mm ( 2 ) 年齢別第 1!輪径組成において,出現割合が増加して 以上 4.0mm未満の個体が主体であり, 2歳以上魚の組成 いた輪径 3.4m m未満の個体を移入群と考え,その年齢 i では l歳魚、に比べて輪径の大きい個体の割合が多かった。 による増加割合体 + 1 1世,の変化を次式で近似した。 このような第 l輪径の大型化は, 2歳魚において顕著に認 められた。 ( 2 ) 京都府沿岸海域におけるマダイの主漁期である 46月の春季と 9-12月の秋季にそれぞれ漁獲された個体に 世i + 1 1世i=0.3533e x p O . 4 5 1 7 i (相関係数 0.8224) 世i + 1 1仇,1歳から i+1歳にかけての増加割合 この近似式でお表される出現割合の変化から,若狭湾西部海 域におけるマダイの移出入による群の交換率は, 1歳から ついて,年齢別漁期別の平均第 l輪径を調べた。京都府沿 2歳にかけて約四%, 2歳から 3歳では約 14%,3歳から 岸海域のマダイの場合,第 l輪径は全体としては年齢を経 4歳では約 9%であると推定された。 るにしたがい小さくなる傾向がみられたが,漁期ごとの第 ( 3 ) 長崎県から 青森県沿岸海域におけるマダイ l歳魚の l輪径は,春季から秋季にかけて大きく,秋季から翌年春 鱗の第 l輪径組成に対して,正規分布の当てはめを行った 季には小さくなる季節的な変化カf認められた。 ( 3 ) 第 l輪径組成の生息海域による特徴と標識放流結果 を用いて, 日本海西部海域におけるマダイの移動・回遊経 路を以下のように推定した。能登半島周辺海域に生息する マ夕、イの一部は,若狭湾海域に南下する。若狭湾海域で は,同湾以北からの南下移動に伴う群の移出入が定こって おり,同海域から移出した群は,さらに山陰西部海域まで 南下する。これらの南下(西方)群は,山陰西部海域で九 州西部海域から北t. (東方)してきた未成魚群と混合す る 。 ( 4 ) 鱗や耳石などの年齢形質に形成される輪紋径が高年 齢魚、ほとツトさくなる Lee現象の原酎究明は,魚類の年齢 結果,対馬暖流域のマダイ群は,第 l輪径の大きさから以 下の 3群に分離された。 A型(九州西海域) 平均第 l輪径4.44:t標準偏差 0.33m m B型(山除西部海域から若狭湾海域) . , 平均第 1!輪径 3.66:t標準偏差 0.31m m CJ i I ' (能登半島周辺以北海域) 平均第 l輪径 2.68土標準偏差 0.28m m ( 4 ) 第 l輪径の異なる 3つの正規分布型と若狭湾西部海 域で漁獲されたマダイの年齢別漁獲尾数との関係を解析す ることにより,若狭湾西部海域における移出入個体の割合 を推定した。その結果, I 司海域のマダイは,未成魚、期の移 京都府立海洋センター研究論文 6号 2000年 3 7 動・回遊に伴って,少なくとも 2歳魚で 10%から 30%, 3 また,若狭湾西部海域への移入群は,若狭湾以北の能登半 歳魚で約 30%,4歳魚では 30%から 40%が移出入個体であ 品周辺海域から南下回遊してきたものと判断され,その規 ると考えられた。 模は,能登半島周辺海域のマダイ資源、の約 5 %と推定され ( 5 ) マダイ鱗の第 l輪径組成を用いた移動・回遊の解析 た 。 方法は, 日本海西部の他の海域やマダイ当歳魚の成長に海 ( 2 ) 日本海西部海域の府県地先海域で行われているマダ 域差がみられる太平洋沿岸海域,あるいは同じ硬組織であ イ資源管理の現状を整理し,当歳魚保護による資源管理効 る耳石の第 l輪径が,海域によって異なっている日本海沿 果について考察した。若狭湾西部海域では,マダイ群の移 岸のヒラメなどでも応用がロj能である。 出入による影響 を考慮、しでも, 当歳魚保護によって現在の 同海域における漁獲 量 を 1 . 6倍増加させる程度の効果を期 5 移動・回遊情報の成長解析への利用 待できることが分かった。しかし,再生産等 にも配慮 を加 ( 1 ) 若狭湾西部海域では,初期成長量の異なるマダイ群 えた個体群全体の資源形成を凶るような 管理を考える場合 が混在している。資源管理に必要なマダイの年齢と成長 に には,管理対象海域を若狭湾レベルに限定するのではな ついての正確な情報を得るために,マダイの移動・回遊生 く,より広域的な資源管理の実施が必要で、ある。 態にもとづく成長解析を行った。マダイの移動・回遊情報 ( 3 ) 日本海西部海域で、効果的なマダイ資源、管理を行うた を利用し,第 l輪径の大きさから分離した 3つの分布型 めには,マダイの移動・回遊に 合わせた適切な管理海域の (A-C型)に属するマダイを対象として,混在する個体 設定が必要であり,そのためには ,現在府県単位 で実施さ 群ごとの成長式を推定した。 A型 ;L;=614.1 (l-exp.0 . 1 5 8 9 ( ; + 0 7 7 2 4 ) ) れているモニタリング・システムの見直 しか不可欠で忌ある ことが指摘された。 B刑 ;L;=577.7( l _ e x p 0 . 1 7 2 7 ( ; + 0 3 7 3 9 ) ) C型 ;L;=536.3(l-exp0 . 1 9 1 5 ( ; + 0 . 0 1 9 0 ) ) 文 献 L;, 満 z 歳時の推定 J~ 叉長 (mm) ( 2 ) 若狭湾西部海域における 2歳魚以降の推定尾叉長 は,どの年齢魚でも分布型によって異なり,鱗の第 l輪径 赤崎正人. 1 9 6 0 . 若狭湾産マダイの年令と成長. 日水芯, 26:217-222 が大きい分布型に属するマダイほど大きかった。特に, A 秋田県栽培漁業センター. 1 9 8 2 . 昭和 5 6年度回遊性魚類共 型と C型に属する個体では,推定尾叉長で 38-56mm, 同放流実験調査事業報告書 (日本海中部海域マダイ . 班 ) , pp.l0-51 推定体重で 59-300gの差が認められた η ( 3 ) 今回得られた結果について, 日本海丙部海域で過去 秋出県栽培漁業センター・新潟 県栽培漁業センター・石川 に報告されているマダイの成長解析の結果と比較した。第 県増殖試験場・福井県栽培漁業センター・京都府立 l輪径が A現に属するマダイでは, 3歳魚、以上の大きさが 山陰西部海域に近く, C型に属するマダイの成長は,能登 半島周辺海域とほぼ同様であった。また,若狭湾西部海域 で過去に推定されているマダイの大きさは, B型のマダイ よりもイ、さかった。 ( 4 ) 若狭湾西部海域では,年齢の増加に伴い,小さい第 l輪径値を有するマダイの割合が増加する。したがって, 海洋センター・京都府栽培漁業センター 1 9 8 5 回 遊性魚類共同放流実験調査事業総括報告書 日本海中 部海域マダイ班, 54pp. 荒井修苑. 1 9 9 5 マダイ硬組織内の縞形成と 環境水温.海 洋理工学会誌 , 1・3卜 3 7 . 荒井修亮 ・坂本 亘. 1 9 9 5 . マダイ鱗の隆起線形成に及ぼ す水温の影響. 日水誌, 61 :3 1 6 3 1 9 . 歳時には少なかった能登半 同海域の成魚群については, 1j A r a i,N .,Sakamoto,Vγand Maeda,K . . 1 9 9 6 . C o r r e - 島周辺海域のマダイと同じ大きさの個体が多く分布してい l a t i o nb e t w e e n ambient s e a w a t e rt e m p e r a t u r e and ると考えられた。 S t r o n t i u m c a l c i u mc o n c e n t r a t i o nr a t i o si no t o l i t h so f a g r u sm a j o r . F i s h e r i e sS c i .,62: 6 5 2 r e ds e a breamP 6 総合考察 ( 1 ) 第 5章までに得られたマダイの移動・回遊情報を活 浅見忠彦・花岡松子. 1 9 5 7 . r いわし」類の脊椎骨数につ 用し,若狭湾西部海域におけるマダイ群の移出入の動向に いてー とくに種族または発生環境を検討しうる可能 もとづいた資源の現状分析を行った。若狭湾西部海域に移 性について.南海水研研報, 5:5 9 7 3 . 出入するマダイ群の規模は,同海域における 2歳から 4歳 魚の資源量の約 23%以上を占めているものと考えられた。 38 6 5 3 魚鱗情報によるマダイの移動.[t:!j遊の解析に関する研究 畔田正格・池本麗子・東 幹夫. 1 9 8 0 . 志々伎湾における 底生生活期マダイ 当歳魚の分布と成長.西水研研 , " 石川県増殖試験場. 1 9 8 4 . 昭和 5 8年度回遊性魚類共同放流 報 , 54:2 59-278 実験調査事業報告書 (日本海中部海域マダイ班), . . 1 9 7 5 . F a c t o r si n A u e n c i n gt h ef o r m a t i o no f B i l t o n,H.T u l l .l n l .No叫 んc 件 F i s h . Co即 n ., s c a l ec h a r a c t e r s . B p p . 9 9 1 2 3 . 石川県増殖試験場. 1 9 9 2 . 平 成 2年 度 事 業報 告 書, 1 3 5 32: 1 0 2 1 0 8 .C . . 1 9 71 . S y s t e m a t i c s,v a r i a t i o n,d i s t r i b t i t i o n, Chen,L and b i o l o g yo fr o c k f i s h e so ft h es u b g e n u sS e b 町 l e s pp 石川・福井・京都・兵庫・ 鳥取・ 島根 ・山口県 ( P i s c e s,S c o r p a e n i d a e,S e b a s t e s ) . B u l l .S c 門 戸' p sl n l イ),日本海所ブロック, 5 1pp O c e a n .U n i v .C a 1 i 人 18・ 1 1 0 7 土井長之. 1 9 5 5 . 瀬戸内海におけるマダイ資源について. 石川・福井・京都・兵庫・ 鳥取・ 島根・山口県. 1 9 9 0 .平 成元年度日本海西ブロック広域型資源培養管理推進 日水誌, 21:3 2 0 3 3 4 . 海老名謙一. 1 9 3 6 . 真鯛の成長に就て 日水誌, 4:3 2 0 事業報告書 ,88pp 石川・ 福井・京都・兵庫・ 鳥取・ 島根・山口県. 1 9 9 1 平 3 3 4 . 成 2年度日本海西ブロック広域型資源、培養管理推進 海老名謙一. 1 9 4 0 . 真鯛の系統に関する研究皿. 日水誌, 8:2 9 5 2 9 7 事業報告書 ,5 3pp F i s h e r,J .P . and P e a r c y,W.G.. 1 9 9 0 . 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J a p a n .J .l c h l 砂0 1 ., 32:35引 ー 三重 ・静岡・神奈川・東京・千葉県. 1 9 7 5 太平洋中区栽 培漁業漁場資源生態調査結果概要, 8 7pp 京都府立海洋センター研究論文 6号 2 0 0 0 年 3 9 三尾真一. 1 9 6 2 九州、│における沿岸魚類の資源生物学的研 究 N,マダイの年齢および成長.九大農学部学芸 雑誌,19・5 0 7 5 2 0 . 森 西水研研報, 54・5 9 7 8 . 群の回遊パターン.京都海セ研報, 5: 1 1 6 . m の研究- ,年令と成長.西水研研報, 35・23-40 長 沼 光 亮 ・市橋正子. 1 9 9 3 日本海における表面・ 5 0 m .1 0 0m .2 0 0m 各 深 水 温 の 月 別 累 年 (19611 9 9 0 ) 平均値とその標準偏差. 日本海ブロック試験 1 7 . 研究集録, 26: 卜 1 佐藤雅希・鎌田 稔・鈴木裕之・中鉢孝明. 1 9 9 3 . 標識放 流結果からみた北部日本海のマダイの系群につい て. 日本海ブロック試験研究集録, 29・9 1 5 . 椎原久幸. 1 9 8 6 . 鹿児島湾における放流の成果と問題点 「マダイの資源培養技術 j,水産学シリーズ59,pp 1 0 6 1 2 6 . 恒星社厚生閑,東京. 中村秀也. 1 9 3 5 日本産魚類の産卵期表.水産研究誌, 30:2 1 3 2 島根県栽培漁業センター・山口県外海・福岡県福岡・長崎 県・熊本県・鹿児島県水産 試験場 日本栽培漁業協会. 1 9 9 9 . 栽培漁業による漁業資源の再構 築とその持続的管理.栽培資源調査検討資料, No 9pp 1 5, 7 1 9 8 5 . 回遊性魚 類共同放流実験調査事業九州西海・日本海西部海域 総合報告書,60pp 島根県水産試験場. 1 9 8 9 平成元年度 島根県水産試験場事 新潟県. 1 9 9 6 平成 7年度資源管理型漁業推進総合対策事 業報告書 ,3 8pp 業報告書,2 9 1pp 島根県水産試験場. 1 9 9 0 平成 2年度 島根県水産試験場事 睦・大河俊之・藤井徹生 1 9 9 6 . 集団構造「ヒラメ の生物 学 と資源構造 j,水産学シリーズ 1 1 6, p p . . 恒星社厚生閣,東京. 4ト 51 業報告書,3 2 5p p . 真道重明. 1 9 6 3 . 漁業生物.以西底ぴき網漁業に関するシ ンポジウム, 日 水 己 . t , 29:550-562 弘・加藤史彦. 1 9 8 0 . 能登近海における マダイ 資源の補給機構.資源培養方式開発のための 沿岸域における若令期タイ類補給機構に関する研究 傍 烏直樹・宗清正康. 1 9 8 2 . 加賀沖マダイ l歳魚の系群分 離の試み. 京都海セ研報, 6:5 1 -5 2 . . 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S o c .,114: 4 7 1 4 7 7 . 克. 1 9 8 6 . 稚仔魚の生態 1 9 9 7 箱網揚網実験によるマダイ幼 石のストロンチウム波度変動 o fp e l a g i cl a r v a landd e m e r s a lj u v e n i l er e ds e abream 田中 孝・藤臼 巽吾 3 3 3 3 9 . 魚の網目選択性. 日水誌, 63:3 │期する研究J.浮遊生活期仔魚の水平分布.西水 堤 1 9 5pp 裕A B.田中雅生. 1988. 体長頻度分布データからの惜 術 J,水産学シリース、 5 9, pp.59-74 恒 星 社 厚 生 p .1 8 9 2 0 7 .東 代交代.資源解析プログラム集, p 閑,東京. 海区水産研究所,東京. 賢. 1 9 7 6 . マダイ放流種苗の追跡 i種苗の放流効 Vaughan,D . S . and Burton,M.L . . 1 9 9 4 . E s t i m a t i o no f 果 J,水産学 シリーズ 1 2, pp.l02-114 恒 星社 厚 生 vonB e r t a l a nl T ygrowthparamete日 i nt h ep r e s e n c eo f 悶,東京 s i z e s e l e c t i v em o r t a l i t 下 A s i m u l a t e d example w i t h n s . Am. F i s l z .S o c .,123・ 1 8 . 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