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第3章 北西太平洋の海洋汚染の状況

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第3章 北西太平洋の海洋汚染の状況
第3章
北西太平洋の海洋汚染の状況
第3章
北西太平洋の海洋汚染の状況
海洋は、海流などの物理的過程とプランクトンによる物質の生成、分解などの生物地球化学的
過程により、様々な物質を循環させている。この循環のなかで植物プランクトンによって合成さ
れる有機物は、海洋に生息する多様な生命を支えるエネルギー源となっている。海洋が汚染され
ることは、単に海岸や海水が汚れるだけの問題ではない。それが海洋の生態系、ひいては物質循
環にまで影響を及ぼす重大な問題なのである。
海洋は、負荷された汚染物質を拡散・沈降させ、生物化学的なプロセスで分解する浄化作用を
備えている。しかし、人間の社会経済活動が拡大するにつれて排出される汚染物質は増加の一途
をたどってきた。内海・内湾などのいわゆる閉鎖海域では、浄化作用のレベルを超えた生活排水
の流入によって富栄養化が進行し、しばしば赤潮・青潮が発生して養殖魚の大量死滅などの被害
をもたらしている。また、タンカーの事故等に伴う原油の流出が、海岸付近の生態系に大打撃を
与えた事例も少なくない。人為的に排出された有害化学物質のなかには、海洋生物の体内に取り
込まれて濃縮され、生殖機能の障害や奇形個体を発生させるなど、生態系を破壊するものさえあ
る。
特に、多くのプラスチック類は化学的に安定であり、時間とともに風化されて細かく砕けるも
のの、海洋の浄化作用では分解できない。プラスチック類が一旦海洋に排出されると、回収され
ない限り沿岸域や外洋域の環境中に残ることになる。釣り糸が体に絡まった海鳥、ポリ袋を誤食
したウミガメなど、海洋生物に対する深刻な被害が数多く報告されている。また、プラスチック
類の小片に海水中の有害物質が吸着して濃縮され、海水とともに輸送されることで汚染が拡大す
るメカニズムも明らかにされつつある。
このように、今日の海洋汚染はすべて人間活動が原因といっても過言ではない。汚染物質の大
半は陸上起源であり、沿岸域から外洋域へと流出し、海流や風に乗って世界中に拡散する。また、
海洋において排出・投棄・放棄されたものが汚染の原因物質となる事例も少なくない。したがっ
て、海洋汚染の問題は一国のみの努力で解決できるものではなく、国際的な取り決めに基づく対
策が不可欠である。1970年代前半には「廃棄物その他の物の投棄による海洋汚染の防止に関する
条約(ロンドンダンピング条約:1972年採択)」や「船舶による汚染の防止のための国際条約
(マルポール73/78条約:1973年採択)」が採択されている。また、大規模なタンカー事故によ
る油汚染を契機とした議論から「1990年の油による汚染に関わる準備、対応及び協力に関する国
際条約(OPRC条約)」が採択されるに至った。更に、1994年に発効した「国連海洋法条約」で
は、条約の締結国に海洋環境保全の努力が義務づけられている。
これらの国際条約の実効性を高めるため、国連環境計画(UNEP)は閉鎖性の高い国際海域に
ついて環境保全のための協力を呼びかけた。この取り組みが「地域海計画」で、地中海、広域カ
リブ海、紅海・アデン湾、南アジア海などで採択されてきた。日本海や黄海を中心とした海域に
つ い て は 、 1994 年 4 月 に 日 本 、 韓 国 、 中 国 、 ロ シ ア に よ っ て 「 北 西 太 平 洋 地 域 海 行 動 計 画
(NOWPAP)」が採択され、各国は海洋環境保全に対する様々なプロジェクトを実施している。
また、有害金属類による汚染の拡散等への国際的対応を行うための枠組みも作られつつあり、特
に水銀に関しては、法的拘束力のある文書の制定を視野に入れた政府間交渉が進められている。
212
第3章
北西太平洋の海洋汚染の状況
一方、日本国内では、ロンドンダンピング条約やマルポール73/78条約を巡る国際的な議論を
背景として、1971年に「海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律(海洋汚染防止法)」が施行
された。気象庁は1972年、同法に基づき、海洋汚染の防止及び海洋環境の保全に資するために、
日本近海及び北西太平洋の海洋バックグランド汚染観測を開始した。同年、海上保安庁も日本近
海、主要湾などを対象として海洋汚染調査を開始した。また、環境省は「水質汚濁防止法」、
「環境基本法」、「瀬戸内海環境保全特別措置法」などに基づいて沿岸域を中心とした海洋汚染
の調査を実施しており、水産庁も漁場・海浜の美化・環境保全の観点から様々な取り組みを行っ
ている。更には、環境問題に取り組む民間の非営利団体等も、国際海岸クリーンアップなどの環
境浄化に向けた運動を展開している。
この章では、おもに気象庁の観測データに基づいて、外洋域における浮遊プラスチック類、浮
遊タールボール・油分及び重金属による海洋汚染の状況を診断する。
213
第3章 北西太平洋の海洋汚染の状況
浮遊プラスチック類
第3章
北西太平洋の海洋汚染の状況
3.1
浮遊プラスチック類
浮遊プラスチック類
診断概要
診断内容
海面浮遊汚染物質の大半を占めるプラスチック類は、化学的に安定であるため長期にわ
たって海洋中に残存するうえ、海洋生物にも悪影響を及ぼすことが知られている。ここで
は、北西太平洋の浮遊プラスチック類について平均的な分布と長期変化傾向を診断する。
診断結果
浮遊プラスチック類は、北緯5度から20度以南の海域で少なく、日本周辺海域で多い。
また、黒潮続流を含む北緯30~35度で特に多くなっており、その分布に風系や海流系によ
る移動・集積の効果が影響していると考えられる。
日本周辺海域における浮遊プラスチック類は、船舶からの排出規制が強化された1980年
代後半以降減少傾向にあったが、2000年代にはいってからは増加傾向にあり、特に、2011
年には 1990年の ピー ク 時とほ ぼ同 じ発 見数 (100kmあた り16個)と な ってい る 。一方 、
東経137度線でははっきりした増減傾向はみられない。
1
染
浮遊プラスチック類による海洋汚
れた漁網に絡まったり、プラスチック片やポ
リ袋を誤食したりして死んだ事例も、数多く
報告 され てい る( Lytle, 2009) 。
人類の社会・経済活動の活発化に伴い、
浮遊プラスチック類が海岸に漂着する問題
様々な廃棄物も増加の一途をたどってきた。
も深刻化している。我が国の海岸には、日本
なかでもプラスチックなどの石油化学合成製
国内だけではなく中国、韓国、北朝鮮などを
品は、利便性に富むことから大量に生産され、 起源とするプラスチックゴミが大量に漂着す
同時に大量に廃棄されている。しかし、プラ
る ( JEAN, 2012 な ど ) 。 こ れ ら を 回 収 す る
スチック類は化学的に安定であるため、ひと
経費は莫大であるし、海水により変質した廃
たび海洋に排出されると回収されない限り存
棄物を無害な形で処理する技術も未熟である。
在し続ける。しかも、時間が経つにつれ、細
一方、これらを放置すれば、やがて風化して
かく砕けて小片となり、回収は困難になる
回収が一層困難な小片となり、海へと拡散し
( Lytle, 2009; Moore, 2012) 。
てしまう。今後、浮遊汚染物質(及び漂着ゴ
浮遊プラスチック類は、海域により密度は
ミ)の回収・処理の努力や、それを排出しな
異なるものの、世界中の海洋で発見されてい
い社会的システムの構築など、総合的な対策
る。その存在は単に美観を損ねるだけではな
が望 まれ る。
い。船舶のスクリューに絡まったり、冷却水
の配管を詰まらせたりして、船舶の航行を妨
げることがある。また、海獣や海鳥が廃棄さ
214
214
第3章
2
北西太平洋の海洋汚染の状況
浮遊プラスチック類
浮遊プラスチック類の監視
我が国における浮遊プラスチック類の観測
は 、 UNESCO/IOC( ユ ネ ス コ 政 府 間 海 洋 学 委
員会)の提唱した石油類による海洋汚染を観
測 す る パ イ ロ ッ ト プ ロ ジ ェ ク ト ( UNESCO,
1976) に 対 応 し て 1976年 に 開 始 さ れ た 。 気 象
庁は外洋域において主要な観測定線に沿った
観測を、海上保安庁は巡視船により主として
沿岸域の観測を行っている。また、水産庁も
漁船や取締船によって広範囲の浮遊汚染物質
の調 査を 実施 して いる 。
気象庁による浮遊プラスチック類の観測は、
航海中毎日、日の出から日の入りまでの間、
観測船の船橋から目視によって行う。浮遊プ
ラスチック類を発見するたびに日時、位置、
種類、形状、大きさ、個数などを記録し、発
見されない場合は「なし」と記録する。発見
した浮遊プラスチック類は、発泡スチロール、
漁具(浮きなど)、薄膜状プラスチック(ポ
リ袋など、フィルム状のもの)、その他に分
類 し 、 そ れ ぞ れ の 発 見 個 数 を 航 走 100kmあ た
りの 数に 換算 して デー タを 整理 して いる 。
北西太平洋の浮遊プラスチック類を長期に
わたって広範囲で観測したデータは乏しく、
気 象 庁 が 日 本 周 辺 海 域 及 び 東 経 137度 線 を 中
心 に 集 積 し た 1976年 以 来 の 観 測 デ ー タ が 大 半
を占めている。ここでは気象庁及び他機関の
データに最近の文献からの情報も加えて、北
西太平洋の浮遊プラスチック類の状況につい
て記 述す る。
図 3.1-1に 気 象 庁 の 観 測 に よ る 北 西 太 平 洋 に
おける浮遊プラスチック類の平均的な分布
( 100kmあ た り の 発 見 個 数 を 緯 度 経 度 5 度 の
格 子 に つ い て 1981~ 2010年 の 30年 平 均 し た も
の ) を 示 す 。 浮 遊 プ ラ ス チ ッ ク 類 は 北 緯 5度
か ら 20度 の 海 域 で は 少 な い が 、 日 本 周 辺 海 域
では全般に多く発見されている。特に、黒潮
続 流 を 含 む 北 緯 30~ 35度 の 範 囲 に 、 発 見 数 が
100kmあ た り 10個 前 後 と 比 較 的 多 い 海 域 が 東
215
215
図 3.1-1 航 走 100 km あ た り の 発 見 個 数 で 示 し た
浮 遊 プ ラ ス チ ッ ク 類 の 平 均 的 な 分 布 ( 1981 ~
2010年 の 30年 平 均 )
西 に 広 が っ て い る 。 Yamashita and Tanimura
(2007) は 紀 伊 半 島 南 方 の 黒 潮 周 辺 海 域 の 北
緯 32 ~ 33 度 に プ ラ ス チ ッ ク が 多 く 存 在 し 、
1km 2 あ たり 10万 個に も 及ぶ と 述 べて お り 、水
産庁の実施した漂流物目視観測調査の結果
( 三 宅 ・ 竹 濱 , 1988) で も 、 ハ ワ イ 北 東 沖 な
どにプラスチック類が多く発見されている。
こ う し た 分 布 の 特 徴 は 、 1980年 代 後 半 に ア ラ
スカ大学が中心となって行われた北太平洋全
域にわたる浮遊プラスチックの観測結果
(Day et al., 1990)と も ほぼ 一致 して いる 。
このように、日本の東方やハワイ諸島から
北米大陸にかけての海域には浮遊汚染物質が
集中 しや すく 、「 太平 洋ゴ ミベ ルト (the Great
Pacific Garbage Patch) 」 と よ ば れ て い る
( Lytle, 2009; Dautel, 2010; Pan et al., 2012) 。
こうした海域は洋上の風系や海流系の影響に
よって作られることが数値モデルによるシ
ミ ュ レ ー シ ョ ン で 確 か め ら れ て お り ( Kubota,
1994; 宇 野 木 ・ 久 保 田 , 1996; Martinez et al.,
2009) 、 浮 遊 汚 染 物 質 の 分 布 は 気 候 的 な 風 系
や海流系の影響を受けていることを示してい
る。
第3章 北西太平洋の海洋汚染の状況
浮遊プラスチック類
図 3.1-2 海 域 別 に み た 浮 遊 プ ラ ス チ ッ ク 類 発 見 個 数 の 経 年 変 動 ( 1985~ 2012年 ) ( 左 ) 、 及 び 日 本 周 辺 海 域 の 範
囲 と 東 経 137度 線 の 位 置 ( 右 )
海 域別 に み た 浮 遊プ ラ
スチック類発見個数の
経 年 変 動 を 図 3.1-2 に 示
す。日本周辺海域では、
1988 年 か ら 1990 年 を
ピークとしてその後漸
減傾向となっている。
1988 年 は 、 マ ル ポ ー ル
条約の附属書Ⅴにより
船舶からのプラスチッ
ク類の排出規制処置が
定められ、海洋汚染防
止法が改正された年に
あたっており、この海
域における規制の効果
が認められる。ただし、
2000 年 代 に 入 っ て か ら
は増加傾向にあり、特
に 、 2011 年 に は 1990 年
のピーク時とほぼ同じ
発 見 数 ( 100kmあ た り 16
個)となっている。一
方 、 東 経 137 度 線 で は
はっきりした増減傾向
は な く 、 100kmあ た り 10
図 3.1-3 環 境 省 の 海 洋 環 境 モ ニ タ リ ン グ 調 査 に よ る 2004~ 2006 年 度 の プ ラ ス
チ ッ ク 類 の 分 布 ( 千 個 /km 2 )
個を超える年が単発的
216
216
第3章
にみられる。また、環境省の海洋環境モニタ
3
北西太平洋の海洋汚染の状況
浮遊プラスチック類
診断
リン グ 調査 の結 果 (図 3.1-3) に よる と 、浮 遊
プ ラス チ ッ ク類 は1km 2 あた り 数 千個 か ら 数百
北西太平洋における浮遊プラスチック類の
万個(気象庁のデータと異なる単位であるこ
平 均 的 な 分 布 を み る と 、 亜 寒 帯 域 や 北 緯 5度
とに注意)存在している。沿岸域の方が沖合
か ら 20度 の 海 域 で 少 な く 、 日 本 周 辺 海 域 で 多
よりも浮遊プラスチック類が多い傾向は不明
い 。 黒 潮 続 流 域 を 含 む 北 緯 30~ 35度 の 範 囲 で
瞭で、時空間的に不均一性が大きく、同じ観
は特に多く、「太平洋ゴミベルト」の一部を
測点でも調査年により分布個数が異なるとさ
とらえているとも考えられる。浮遊プラス
れて いる (環 境省 , 2009)。
チック類はハワイ北東沖でも多く発見されて
図 3.1-4に 2012年 に 気 象 庁 が 観 測 し た 浮 遊 プ
おり、浮遊プラスチック類が特定海域に集中
ラスチック類の発見個数を海域別・種類別に
するのは、風系や海流系による移動・集積の
示す。外洋域において発見される人為起源の
効果 の影 響で ある と考 えら れて いる 。
浮遊汚染物質の多くは石油化学製品であり、
日本周辺海域における浮遊プラスチック類
なかでも発泡スチロールの占める割合がどの
は 、 船 舶 か ら の 排 出 規 制 が 強 化 さ れ た 1980年
海域でも最も高い。また、廃棄されるか流失
代 後 半 以 降 、 減 少 傾 向 に あ っ た が 、 2000年 代
したとみられる漁具も多く発見される。海岸
に入ってからは増加傾向に転じている。一方、
で発見される汚染物質でも発泡スチロールの
東 経 137度 線 で は は っ き り し た 増 減 傾 向 は な
割合が高く、硬質プラスチックの破片、プラ
く 、 100kmあ た り 10個 を 超 え る 年 が 単 発 的 に
スチック製のシート・袋の破片、タバコの吸
みられる。沿岸域の方が沖合よりも浮遊プラ
殻・フィルターなどがこれに次いでいる
スチ ック 類が 多い 傾向 は不 明瞭 であ る。
(JEAN, 2012)。
目視によって発見される浮遊プラスチック
類のなかでは、海域によらず発泡スチロール
の占める割合が最も高く、海岸で発見される
汚染 物質 につ いて も同 様の 傾向 がみ られ る。
図 3.1-4 2012年 に 観 測 さ れ た 浮 遊 プ ラ ス チ ッ ク 類 の 種 類 別 の 密 度
海 域 区 分 は 図 3.1-2と 同 じ 。
217
217
第3章 北西太平洋の海洋汚染の状況
浮遊プラスチック類
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218
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第3章
第3章
北西太平洋の海洋汚染の状況
浮遊タールボール・油分
北西太平洋の海洋汚染の状況
3.2
浮遊タールボール・油分
浮遊タールボール・油分
診断概要
診断内容
海洋に排出された油は、海面に広がった後、揮発成分を失い固化して漂ったり(浮遊
タールボール)、海水中に溶け込んだり分散したり(油分)することにより、海洋生物の
生長や食物連鎖に悪影響を与える。ここでは、北西太平洋の浮遊タールボール・油分につ
いて長期変化傾向を診断する。
診断結果
日本周辺海域における浮遊タールボールは、船舶からの油類の排出規制が強化された
1983年以降著しく減少しており、1996年以降は観測を実施しているすべての海域でほとん
ど採取されていない。
海水中の油分は、1976年の観測開始以来減少傾向が続いており、排出規制の効果を反映
していると考えられる。
1 浮遊タールボール・油分による海
洋汚染
い る ( ITOPF, 2012) 。
海洋に排出された油は広範囲にわたって海
洋生物の生息域を汚染する。タンカーや油井
タールボールは、船舶から排出されたビル
の事故に伴う重油流出などの深刻な事例も後
ジ(船底にたまった海水・水あか)や海難事
を 絶 た な い 。 1997年 1月 に は 、 日 本 海 の 隠 岐
故などにより流出した重油が、風化作用で揮
諸島沖で船首を折損したナホトカ号から重油
発成分を失って固まり、ボール状となって海
約 6,200 キ ロ リ ッ ト ル が 流 出 し 、 日 本 海 沿 岸
面に浮遊したり、海岸に漂着したりするもの
の 1府 7県 に 漂 着 し た 。 2007年 12月 に は 、 韓 国
で あ る ( Blumer et al., 1973; Zsolnay, 1978) 。 西 岸 沖 で 衝 突 事 故 を 起 こ し た タ ン カ ー Hebei
そ の 大 き さ は 、 多 く の 場 合 直 径 1mm か ら 数
Spirit号 か ら 1万 キ ロ リ ッ ト ル を 超 え る 原 油 が
mm程 度 で あ る が 、 ま れ に 数 十 cmに 達 す る こ
流 出 し た 。 ま た 、 2010年 4月 に 発 生 し た メ キ
ともある。
シ コ 湾 の 海 底 油 田 の 事 故 で は 、 数 10 万 キ ロ
また、油分とは、表面海水中に溶存あるい
リットルともされる大量の原油が数か月にわ
は分散状態で存在している石油系炭化水素を
たって流出を続けた。このような原油流出事
いう。主な発生源は、タンカーの事故、移送
故は、漁業従事者や養殖場等に打撃を与える
時のミスオペレーション、家庭からの生活排
だけでなく、周辺の海に生息する海藻類や魚
水 、 工 場 か ら の 排 水 と み ら れ て い る ( Spiro
介類、海鳥類にも大きな影響を及ぼす。多く
et al., 2011) 。 海 洋 に 排 出 さ れ た 油 の 量 は 、
の海洋生物が直接的には油にまみれて死滅し、
1970~79年 の 10年 間 で は 300万 ト ン を 超 え て い
間接的には残留原油による汚染の影響を受け
た が 、 2000~2009年 に は 21万 ト ン ほ ど に な っ
続ける。生物・化学的な作用によって周辺の
ており、長期的には著しい減少傾向を示して
環境が原状に復帰するまでには、非常に長い
219
第3章 北西太平洋の海洋汚染の状況
浮遊タールボール・油分
時間を要する。
重量をネット開口部が通過した海面の面積で
国 際 的 な 動 き と し て は 、 1989年 に ア ラ ス カ
除 し て タ ー ル ボ ー ル 密 度 ( 単 位 : mg/m 2 ) と
沖で座礁事故を起こしたエクソンバルディー
し、観測を実施した位置、日時などとともに
ズ号からの原油流出事故を契機に、海洋環境
記録する。タールボールが採取されない場合
の保護、保全に対する意識が世界的に高まっ
は「なし」と記録する。観測は、海面状態が
た 。 翌 1990年 に は 、 船 舶 の 大 規 模 な 油 流 出 事
静穏で、ネットを安全に曳航できる場合に、
故に対する各国の準備、対応及び協力体制を
原 則 と し て 1日 1回 実 施 す る 。
整備することを目的として、国際海事機関
油分の測定に用いる表面海水は、船体の影
( IMO) に お い て 「 1990年 の 油 に よ る 汚 染 に
響を受けないよう、微速前進時に船首付近か
関わる準備、対応及び協力に関する国際条約
らロープの付いたネットに入れた採水ビンを
( OPRC条 約 ) 」 が 採 択 さ れ 、 2005年 に 発 効
投入して採取する。測定は溶媒抽出-蛍光光
し た 。 更 に 、 1992年 に は マ ル ポ ー ル 条 約 が 改
度法によるが、石油系炭化水素は蛍光スペク
正され、タンカーのダブルハル構造(船体を
トルの形状がそれぞれ異なる様々な化合物が
二重にすること)が国際的に定められた。
混合したものであり、蛍光の測定値を直接に
化合物濃度と結びつけることは困難である。
2
浮遊タールボール・油分の監視
このため、油分の測定値は蛍光を発する性質
をもつクリセンという物質を標準として、そ
気象庁は、浮遊タールボール及び油分の観
の 当 量 ( 単 位 : ng/kg ) で 示 す こ と と さ れ て
測 を 、 1976年 、 浮 遊 プ ラ ス チ ッ ク 類 の 観 測 と
い る ( UNESCO, 1976; Shigehara et al., 1979) 。
同時に開始した。タールボールは、観測船か
外洋域の浮遊タールボール・油分を長期にわ
らロープで繰り出した水平曳きネット
たって観測したデータは少なく、気象庁が日
( ニ ュ ー ス ト ン ネ ッ ト ; 開 口 部 の 幅 : 75cm
本 周 辺 海 域 及 び 東 経 137度 線 を 中 心 に 集 積 し
又 は 50cm 、 網 目 : 0.35mm) を 1.5海 里 ( 約
た 1976年 以 来 の 観 測 デ ー タ が 大 半 を 占 め て い
2.8km) 曳 航 ( え い こ う ) し て 採 取 し 、 そ の
る。したがって、ここでは気象庁のデータを
図 3.2-1 日 本 周 辺 海 域 及 び 東 経 137度 線 に お け る タ ー ル ボ ー ル 密 度 の 経 年 変 動 ( 1978~ 2012年 )
海 域 区 分 は 図 3.1-2と 同 じ 。
220
第3章
北西太平洋の海洋汚染の状況
浮遊タールボール・油分
図 3.2-2 日 本 周 辺 海 域 及 び 東 経 137度 線 に お け る 表 面 海 水 中 の 油 分 の 経 年 変 動 ( 1977~ 2012年 )
海 域 区 分 は 図 3.1-2と 同 じ 。
2005 年 以 降 は い ず れ の 海 域 に お い て も
外洋域における指標とする。
海域別にみた浮遊タールボール密度の経年
50ng/kg ク リ セ ン 換 算 量 程 度 を 下 回 る 状 態 で
変 動 を 図 3.2-1に 示 す 。 東 経 137度 線 の 北 緯 0
経過している。これもマルポール条約の附属
~ 20度 で は 、 1970年 代 か ら タ ー ル ボ ー ル は ほ
書Ⅰに基づく油類の排出規制の効果と考えら
とんど採取されていない。一方、日本周辺海
れ る ( Takatani et al., 1986; 高 谷 ほ か , 1999) 。
域 及 び 東 経 137 度 線 の 北 緯 20 ~ 30 度 で は 、
しかし、沿岸域では年間数百件発生する海洋
1980年 代 の 初 め ま で タ ー ル ボ ー ル が 多 く 採 取
汚 染 の う ち 約 6割 が 油 汚 染 で あ り 、 図 3.2-3に
2
さ れ 、 1979 年 に は 海 域 平 均 で 0.6mg/m を 上
示すように、海域別にみると瀬戸内海で最も
回っていた。しかし、マルポール条約の附属
多 く 発 生 し て い る ( 海 上 保 安 庁 , 2011) 。
書 に基づいて船舶からの油類の排出が規制
さ れ た 1983年 以 降 、 タ ー ル ボ ー ル 密 度 は 大 幅
3
診断
に 減 少 し た 。 日 本 周 辺 海 域 で は 、 1978年 か ら
1982年 の 5年 平 均 が 0.29mg/m 2 で あ っ た の に 対
1980年 代 の 初 め ま で は 、 日 本 周 辺 海 域 及 び
し 、 規 制 措 置 後 の 1984年 か ら 1988年 の 5年 平
東 経 137 度 線 の 北 緯 20 ~ 30 度 で 浮 遊 タ ー ル
2
均 は 0.08mg/m に な っ て い る 。 東 経 137度 線 の
ボールが多く採取されていた。しかし、日本
北 緯 20~ 30度 で は 、 1984年 以 降 タ ー ル ボ ー ル
周辺海域では、船舶からの油類の排出規制が
は ま れ に し か 採 取 さ れ て い な い 。 1996年 以 降
強 化 さ れ た 1983年 以 降 、 著 し く 減 少 し た 。 東
は、観測を実施しているすべての海域で、
経 137度 線 の 北 緯 20~ 30度 で は 、 1984年 以 降
タールボールがほとんど採取されない状況が
タールボールが採取されることがまれになっ
続いている。
た 。 1996年 以 降 は 、 気 象 庁 が 観 測 を 行 っ て い
海 域 別 に み た 油 分 の 経 年 変 動 を 図 3.2-2に
るすべての海域でこうした状況が続いている。
示す。年々変動が大きいものの、観測開始以
油分についても、年々変動は大きいものの、
来の低下傾向が明瞭に認められる。特に、
1976年 の 観 測 開 始 以 来 、 長 期 的 な 低 下 傾 向 が
221
第3章 北西太平洋の海洋汚染の状況
浮遊タールボール・油分
図 3.2-3 2010年 の 海 域 別 海 洋 汚 染 発 生 確 認 件 数 ( 左 ) と 海 域 区 分 ( 右 )
明 瞭 で 、 特 に 2005年 以 降 は い ず れ の 海 域 で も
(3rd Revised edition). University Science Books
低濃度で推移している。これらの結果は海洋
<www.uscibooks.com>. 638pp.
に排出される油が長期的に減少している傾向
Takatani,
S.,
T.
Sagi
and
M.
Imai,
1986:
を反映しており、国際的な油類排出規制の効
Distributions of floating tars and petroleum
果の現れと考えられる。しかし、最近になっ
hydrocarbons at the surface in the western North
ても、我が国の沿岸域では依然として年間数
Pacific. Oceanogr. Mag., 36, 33-42.
百件の海洋汚染の発生が確認されており、そ
の う ち 約 6割 が 油 汚 染 で あ る 。
高 谷 祐 吉 ・ 及 川 幸 四 郎 ・ 小 川 完 , 1999: 海 洋 汚
染(油汚染)の長期モニタリング.測候時報,
66, 特 別 号 , S89-S96.
UNESCO, 1976: GUIDE TO OPERATIONAL
PROCEDURES
PROJECT
参考文献
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2012:
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Statistics.
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http://www.itopf.com/information-services/dataand-statistics/ > June 2012.
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月 ~ 12月 ) .
Shigehara, K., K. Kimura, J. Ohyama and N. Kubo,
1979:
THE
MARINE
IGOSS
PILOT
POLLUTION
(PETROLEUM) MONITORING. 50pp.
Blumer, M., M. Ehrhard and J. H. Jones, 1973: The
(ITOPF),
ON
FOR
Fluorescing
materials
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marine
environment and petroleum pollution. Oceanogr.
Mag., 30, 61-74.
Spiro, T. G., K. L. Purvis-Roberts and W. M.
Stigliani, 1996 : Chemistry of the Environment
222
Zsolnay, A., 1978: The weathering of tar on
Bermuda. Deep-Sea Res., 25, 1245-1252.
第3章
重金属
北西太平洋の海洋汚染の状況
第3章
北西太平洋の海洋汚染の状況
3.3
重金属
重金属
診断概要
診断内容
重金属の多くは生命を維持するために必須であるが、中には毒性があって生物の成長を
阻害するなど有害なものもある。ここでは、北西太平洋の水銀及びカドミウム濃度につい
てその状況を診断する。
診断結果
日本周辺海域及び東経137度線の北緯0~30度における水銀及びカドミウムの濃度は、自
然界で通常観測される範囲にあると判断できる。
1
重金属による海洋汚染
ミウムについては、その毒性に対する意識か
ら、最近使用が忌避される傾向が強まってい
重 金 属 と は 、 金 属 の な か で も 比 重 が 4か ら 5
る 。 ま た 、 国 連 環 境 計 画 ( UNEP) に よ り 有
よりも大きいものをいい、その多くが生物に
害金属類による汚染の拡散等への国際的対応
とって必須の元素である。例えば、鉄は血液
を行うための枠組みも作られつつあり、特に
のヘモグロビンの主要構成成分であり、亜鉛
水銀に関しては、法的拘束力のある条約制定
も様々な酵素を作るために欠かせない。しか
に向けた政府間交渉が進められている。
し、必須元素も環境における濃度が高くなる
海洋における水銀、カドミウムは濃度が極
と有害になる場合があり、また水銀やカドミ
めて低いうえ、共存する化学物質が分析を妨
ウムのように元々生物にとって有害なものも
害するため、直接測定することは極めて困難
ある。気象庁は、生体内に蓄積されやすく有
である。このため、分析の最初に分離・濃縮
害でもある、この二種類の重金属を観測項目
操作を施してから原子吸光法によって測定し
としている。
て い る ( Sagi et al., 1974; 気 象 庁 , 1999) 。 し
水銀は化学工場(例えばアセトアルデヒド
かし、水銀もカドミウムも自然の環境中に存
製造工程)や金の採掘・精錬に伴って排出さ
在しており、採水から分離・濃縮に至るまで
れることが多く、我が国では水俣病の原因と
のあらゆる段階で周囲の環境からの混入を受
なった。また、イタイイタイ病を引き起こし
け る 可 能 性 が あ る 。 気 象 庁 に お い て も 1980年
たカドミウムについては、火山国である日本
代まではこれを十分に防ぐことができなかっ
では地中からの放出もあるが、主に鉱山・精
た。したがって、海洋の重金属についての確
錬所、ニッケル・カドミウム電池製造工場、
かな分析値を得るようになったのは、専門の
ゴミ焼却場、廃棄物埋め立て地などから、排
研 究 者 の 間 で さ え 1970年 代 後 半 以 降 と 考 え る
煙や排水とともに環境中に排出されることが
べ き で あ る と さ れ る ( 坪 田 , 1991な ど ) 。
知られている。日本は世界有数のカドミウム
なお、海水中のカドミウム濃度はリン酸塩
消費国であり、大半はニッケル・カドミウム
濃度と高い相関を示すことが知られており、
電池に使用されている。しかし、水銀やカド
その鉛直分布型も類似していることが知られ
223
第3章
海
て い る ( 坪 田 , 1987) 。 実 際 、 リ ン 酸 塩 な ど
の栄養塩に富む親潮域の表面海水では、栄養
日本周辺海域
塩に乏しい黒潮域に比べて高濃度のカドミウ
ムが検出される。
2
重金属の監視
域
北西太平洋
を開始している。しかし、上述のように当時
の分析値は環境からの混入を受けているとみ
られ、バラつきが大きかった。少なくとも、
銀
カドミウム
3.5±5.2
[ 0~ 43]
35.5±19.6
[ 2~ 91]
日本海
3.7±3.7
[ 0~ 21]
18.2±6.1
[ 4~ 38]
房総半島沖
3.3±4.1
[ 0~ 22]
7.8±6.6
[ 1~ 34]
本州南方
3.8±5.2
[ 0~ 36]
7.0±8.2
[ 0~ 75]
東 シナ海
3.0±3.4
[ 0~ 19]
5.9±8.0
[ 0~ 63]
5.3±4.4
[ 0~ 17]
2.8±2.3
[ 0~ 9]
5.0±4.7
[ 0~ 28]
2.4±2.8
[ 0~ 19]
東 経 137 度 線
北 緯 20~30 度
東 経 137 度 線
北 緯 0~20 度
1990年 代 の 初 頭 ま で は 原 因 を 特 定 で き な い 異
水
北海道南方
気 象 庁 は 1972年 に 海 洋 バ ッ ク グ ラ ン ド 汚 染
観測の一環として、水銀、カドミウムの観測
北西太平洋の海洋汚染の状況
重金属
常な高濃度データが現れていたため、自然界
表 3.3-1 1995~ 2012年 に 観 測 さ れ た 表 面 海 水 中 の 水
銀 及 び カ ド ミ ウ ム の 濃 度 ( 単 位 :ng/kg)
上段:平均値と標準偏差、下段:観測値の範囲(最小
値と最大値)
の濃度レベルを評価する基礎資料としては不
適切と思われる。ここでは、試料水の採取方
法や分析手法が確立され、測定技術も定着し
て信頼できる分析値が得られていると考えら
れ る 1995年 以 降 の デ ー タ を 用 い る 。
表 3.3-1に 、 1995~ 2012年 に 観 測 さ れ た 表 面
海水中の水銀及びカドミウムの濃度(平均値、
標準偏差及び観測値の範囲)を海域ごとに示
す ( 日 本 周 辺 海 域 の 区 分 は 図 3.3-1の と お り ) 。
外洋域における水銀及びカドミウムの自然界
の 濃 度 は 、 そ れ ぞ れ 0.4 ~ 2ng/kg 及 び 0.1 ~
110ng/kg の 範 囲 と さ れ て い る ( Bruland,
1983) の で 、 こ れ を 診 断 の 基 準 と す る 。
水 銀 濃 度 の 平 均 値 は 、 い ず れ の 海 域 も 3~
5ng/kgで 、 観 測 さ れ た 最 高 の 濃 度 は 北 海 道 南
方 の 43ng/kg で あ る 。 基 準 値 を 若 干 上 回 る も
のの、大半はほぼ同じ桁に収まる低い濃度レ
図 3.3-1 表 3.3-1に 示 す 日 本 周 辺 海 域 の 区 分
赤丸は各海域の観測地点。
ベルである。
一方、カドミウムについては、栄養塩の豊
ベルではないとする一方、近隣諸国の経済発
富な親潮が分布する北海道南方海域で最も濃
展に伴う越境汚染の増大への懸念と、それに
度 が 高 く 、 平 均 36ng/kg で あ っ た 。 ま た 、 観
対応した調査の実施の必要性について述べて
測 さ れ た 最 高 濃 度 も 同 海 域 に お け る 91ng/kg
いる。
であり、観測された値は自然界の濃度レベル
と判断できる。
3
な お 、 環 境 省 ( 2009) は 、 日 本 周 辺 海 域 の
重金属汚染に関して、大都市圏からの負荷が
沿岸域の堆積物に影響を及ぼしているものの、
沖合域においては人為的負荷が認められるレ
診断
日 本 周 辺 海 域 及 び 東 経 137度 線 の 北 緯 0~ 30
度で観測された水銀及びカドミウムの濃度は、
224
第3章
重金属
北西太平洋の海洋汚染の状況
お お む ね Bruland( 1983) に 示 さ れ て い る 自
然界の濃度の範囲にある。
参考文献
Bruland, K. W., 1983: Trace elements in sea-water.
Chemical Oceanography, Vol.8., J. P. Riley and
R. Chester ed., 2nd ed., Academic Press, New
York, 157-220.
環 境 省 , 2009: 日 本 周 辺 海 域 に お け る 海 洋 汚 染
の現状 -主として海洋環境モニタリング調
査 結 果 ( 1998 ~ 2007 年 度 ) を 踏 ま え て - .
24pp.
気 象 庁 , 1999: 海 洋 観 測 指 針 ( 第 1部 ) . 129pp.
Sagi, T., T. Yura and T. Akiyama, 1974: The
Cadmium content in sea water in the adjacent
regions of Japan and in the western North
Pacific. Oceanogr. Mag., 25, 101-110.
坪 田 博 行 , 1987: 重 金 属 . 海 洋 大 事 典 . 和 達 清
夫 監 修 , 第 18版 , 東 京 堂 出 版 , 241-244.
坪 田 博 行 , 1991: 海 水 中 の 重 金 属 は 語 る . 海 と
地球環境-海洋学の最前線.日本海洋学会編,
東 京 大 学 出 版 会 , 159-164.
225
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