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技術者倫理啓発活動 1
技術士 2015.8 技術者倫理シリーズ 技術者倫理啓発活動 1 -はじめに- Enlightenment Activities of Engineering Ethics 1 - Introduction - 1 日本技術士会の倫理啓発活動 技術士法第四十五条の二「技術士又は技術士補 は,その業務を行うに当たっては,公共の安全, 環境の保全その他の公益を害することのないよう 備されつつあり,これを機会に月刊『技術士』に 紹介するシリーズを始めることとした。その最初 として, 「技術者倫理研究・全国情報交換会」 , 「技 術者倫理昼食会」の紹介をする。 次号からは,地域本部毎の活動紹介として北海 努めなければならない」に示されているように, 道本部,東北本部,北陸本部,中部本部,近畿本 技術士には法令遵守にとどまらず広く公益確保が 部,中国本部,四国本部,九州本部,次に技術者 求められている。 倫理研究会,最後に統括本部倫理委員会の活動紹 1957 年の技術士法制定の前の 1951 年に日 介を掲載する予定であり,各回ではそれぞれの歴 本技術士会は発足に合わせて「技術士服務要綱」 史,特徴ある活動,問題点とこれからの方向など を制定した。その後「技術士業務倫理要綱」,「技 を中心に紹介する予定である。 術士倫理要綱」,「技術士倫理綱領」と名称も内容 2 技術者倫理研究・全国情報交換会 も時代に合わせて少しずつ変わってきた。中でも 公益確保に特に重点が置かれるようになり,それ 第 1 回技術者倫理研究・全国情報交換会(以 がますます制度活用の観点からも重要になってい 下「全国情報交換会」 )は,全国大会の開催に合 る。そのことからも日本技術士会定款では第 4 わせ,2010 年 9 月 24 日,三重県四日市のじ 条(事業)に「技術士及び技術者の倫理の啓発に ばさん三重において開催された。倫理委員会を始 関する事項」を先頭に掲げている。 め各地域本部から技術者倫理研究に携わる 33 名 日本技術士会の倫理啓発活動は,統括本部のみ の会員が集まり,技術者倫理研究に関する活動状 ではなく各地域本部,県支部などでも精力的に行 況,研究会の開催状況,大学・高等専門学校への われている。日本技術士会で技術者倫理啓発活動 技術者倫理教育支援状況等の情報交換と,今後の を行っているグループの代表者の情報交換の場と 技術者倫理研究のあり方について意見交換を行っ して全国大会の開催に合わせ「技術者倫理研究・ た。なお,全国大会の開催地を活動エリアとする 全国情報交換会」の第 1 回が 2010 年に始まり, 中部本部 ET の会(技術者倫理研究会)が事務局 第 3 回では 100 名近くの参加者を集めて行われ を務めた。当時は,技術士倫理要綱改定が検討中 た。多くの参加者に各グループの活動を知ってい の時期でもあり,倫理委員会による全国での説明 ただくには良い場ではあるが,人数が多すぎて 会,意見交換会の実施状況についての紹介と,参 テーマに沿った情報交換を行うには困難が伴って きた。そこで 2013 年からは全国大会の開催に 合わせ代表者による情報交換の場として「技術者 倫理昼食会」と,同日に行う参加者への倫理活動 の報告と倫理関係の講演をセットにした「技術者 倫理ワークショップ」を開催している。 技術者倫理啓発活動については各地域本部にも 倫理委員会など倫理啓発活動を所管する組織が整 12 写真 1 第 3 回技術者倫理研究・全国情報交換会(2012 年) IPEJ Journal Vol.27 No.8 加者による意見交換が行われた。初めて全国の各 地域本部から技術者倫理研究に携わる技術士が一 同に集まり,技術者倫理研究の活動状況の情報交 換と今後の活動等についての意見交換を行い,以 後の全国での技術者倫理研究のあり方を探るネッ トワークができたことは,非常に意義深かった。 第 2 回全国情報交換会は,2011 年 8 月 25 日, 東京の日本技術士会葺手第二ビルにおいて開催さ 写真 2 技術者倫理昼食会(2014 年) れた。なお,当年度より倫理委員会が主催するこ ・技術士の資質向上策 ととなった。第 1 回同様,各地域本部からの活 ・技術士の倫理意識の醸成策 動報告が行われると同時に,原子力・放射線部会 ・各地域本部での倫理委員会の設置状況 から,福島第一原子力発電所事故の復興支援への ・大学・高等専門学校での技術者倫理教育状況 取り組み状況についても報告があった。 全国情報交換会からのテーマである「大学・高 第 3 回全国情報交換会は 2012 年 9 月 21 日, 等専門学校での技術者倫理教育状況」や「各地域 大阪市の大阪国際交流センターにおいて開催され 本部との連携状況」に加え,最近の重要課題であ た(写真 1) 。従来までの活動報告に加え, 共通テー る「技術士の資質向上策」や「倫理委員会の設置 マ(①大学・高等専門学校での技術者倫理教育状 状況」等,各地域本部代表者による時代の要請に 況,②倫理綱領の浸透状況,③他地域本部との連 添った密度の濃い意見交換, 情報交換が行われた。 携)を設定し, 過去最高の 96 名の技術士が参加し, 4 技術者倫理啓発活動のこれから 情報交換,意見交換が行われた。なお,倫理委員 会からは,技術士倫理綱領の改定方針(①改定に 各地域本部での技術者倫理啓発活動の重要性が 当たり考慮した事項,②綱領の構成,③技術士の 高まる中,各地域本部の代表者が一同に集まり, 特性変化への対応)と内容について説明があった。 技術者倫理啓発活動状況について密度の濃い情報 3 技術者倫理昼食会 交換,意見交換を行う全国的なネットワークが定 着できたことは,非常に意義深い。技術者倫理啓 2013 年からは昼食会方式となり,2013 年 発活動について,各地域本部にも倫理委員会など 10 月 3 日に各地域本部等の代表者による第 1 倫理啓発活動を所管する組織が整備されつつある 回技術者倫理昼食会(以下「昼食会」)がロイト 中,今後も継続的に,この技術者倫理昼食会を有 ン札幌のレストランで開催された。各地域のニー 効に活用し,全国で連携して技術者倫理の啓発に ズにより以下のテーマについて,意見交換,情報 取り組んでいきたい。 交換が行われた(参加者 15 名)。 ・統括本部と各地域本部との情報交換方法 田岡 直規(たおか なおき) ・各地域本部での技術士の資質向上策と CPD 技術士(機械/総合技術監理部門) ・今後の技術者倫理に関する研究業績の発表方 近畿本部幹事 法 ・各地域本部での倫理委員会・研究会体制 中部本部 ET の会 e-mail:[email protected] ・大学・高等専門学校での技術者倫理教育状況 林 克己(はやし かつみ) 同様に,2014 年 11 月 9 日に第 2 回昼食会 技術士(原子力・放射線/応用理学/ 総合技術監理部門) が福岡サンパレスホテル&ホールにて開催され, 以下のテーマについて,意見交換,情報交換が行 われた(参加者 21 名)(写真 2)。 倫理委員会前委員長,日本技術士会監事 e-mail:[email protected] 13