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スキー場産業に関する動向調査 - 日本自由時間スポーツ研究所

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スキー場産業に関する動向調査 - 日本自由時間スポーツ研究所
スキー場産業に関する動向調査
2006.06
日本自由時間スポーツ研究所
所 長
佐 藤 由 夫
(スキー場担当調査研究報告者)
本調査研究レポートは、財団法人社会経済生産性本部が行う「余暇産業の部門別動向調査」において報告した内容から抜粋したものです。
調査は財団法人自由時間デザイン協会(2003 年 3 月解散:旧余暇開発センター)から引き継がれた継続研究事業です。
なお、本レポートに関するお問い合わせ等は、日本自由時間スポーツ研究所宛にお願いいたします。
問い合わせ先:e-mail [email protected]
平成17 年度 余暇関連産業の部門別動向調査 スキー場
項
Ⅰ 市場動向
目
内
容
2006.06
1
図表・参考資料
(1)最近5年間の 1)スキー場産業は、索道(ゴンドラ、リフト)関連事業、宿泊関連事業、飲食関連事業、 図表‐1 特殊索道収入の推移(旧甲・乙・丙種合計/全国)
売上高時系列
物販(お土産、用品等)関連事業、各種関連サービス(レンタルスキー、スクール、
平成12年度平成 13 年度 平成14 年度 平成 15 年度 平成16年度
データ
スポーツ施設、温泉・クーア施設、駐車場、エージェント等)事業等の複合事業(各
特殊索道全収入(億円)
945.2
871.0
797.4
697.3
646.2
種の事業を総合化したリゾート産業)として一般的には成立しており、その中核は索
伸び率
(%)
△7.1
△7.9
△8.5
△12.6
△7.3
道関連事業である。
(スキー場によりその形態は大きく異なる)
2)スキー場産業全体の売上高を積算することは非常に難しいが、索道売上げ実績はスキ
内12 月∼3 月計
879.8
807.4
742.0
648.3
600.1
ー場の売上げを把握するための一つの指標となる。
伸び率 (%)
△8.0
△8.2
△8.1
△12.6
△7.4
3)スキーヤーの減少傾向の影響などを受け、索道の売上は平成5年度をピークに減少傾向
全旅客数量(人)
509.5 百万 491,6 百万 468.5 百万 417.5 百万
385.1 百万
にある。特に平成8年度以降は毎年大幅に減少している。
近年で比較すると、
平成 12 年度の特殊索道旅客数量を 100 とすると平成 16 年度は
内12 月∼3 月計
471.4 百万 455.3 百万 436.7 百万 393.3 百万
361.4 百万
75.6 でり、特殊索道収入は 68.3 となっている。
○特殊索道全収入と全旅客数データは夏季運行リフト等の収入、旅客数を含む。
4)平成 16 年度の普通索道(12 月∼3 月)の旅客数量は 30.6 百万人、同期旅客収入は
○内 12 月∼3 月については、専らスキーヤーの運輸実績と思われるが、一般も一部含まれる。
129.8 億円となっている。対前年比は、旅客数量が△4.1%、旅客収入が△5.7%で
データ:鉄道輸送統計調査 国土交通省より
日本自由時間スポーツ研究所調べ
ある。
平成12年度を 100 とすると、平成16年度は旅客数量が 85.2、旅客収入が 76.1 図表 -2 スキー場数の推移
である。
(2)施設数の推移 1)現在国内には約700ヵ所強のスキー場が存在する。一つのスキー場を複数の事業体で
運営する場合もあり、索道事業者数とスキー場数は一致しない。複数のスキー場をま
とめて一つのスキー場として営業している場合もあり、経営上の個所数と一般が認識
するスキー場数とは異なる場合がある。
2) 平成元年を境に、年々新設数の伸びは減少方向にあり、16 年/17 年シーズン(平成
16 年度)および 17 年/18年シーズン(平成17年度)の新設はついに 0 となっ
ている。
3) 事業環境の悪化により、17 年/18年シーズン(平成17年度)前に廃業となった
スキー場は 6 箇所(確認できたもの)である。その内、北海道は 4 箇所となっている。
*廃業とは索道事業者が事業を取りやめる届出を出すことにより「廃業」となる
もので、営業をしないで「休業」あるいは他企業等への譲渡等は含まない。
(3)その他
1)リフト料金は利用者減に伴い、値上げを検討せざるを得ない状況にあるが、社会情勢
や利用者サービスを考え、価格は据え置かれる傾向にある。
価格・単価の動き 2)利用者ニーズに対応するために、シニアリフト券や各種の券種を設ける傾向にあるが、
など
より安価な設定が多く、実質的な値引き状態になっている。
3)リフトや休憩施設、食事あるいは交通費等を組み合わせた料金のパック化は、利用者
の確保を促進すると同時に、実質的な値下げとなっている。あらゆる面で低料金化、
価格破壊が見られる。
中でも、交通とホテル、リフト券等のパッケージは、非常に安価なスキーやスノーボ
ードを実現している。
(飛行機を使った北海道、東北など)
4)休憩施設の無料化、シャトルバスの無料サービス、駐車場の無料化、木目細かいリフ
ト料金体系の導入等については、スキー場間の競争アイテムとして激化傾向にあった
が、下げ止まりの状況にある。
施設数
(箇所)
伸び率 (%)
H13 年度
H14 年度
723*
719*
0.1
△0.6
H15 年度
718*
△0.1
H16 年度
714*
△0.6
H17 年度
708*
△0.8
新設公営施設
1
0
1
0
0
新設民営施設
1
1
1
0
0
2
1
2
0
0
1
5
3
4
6
新設施設 合計
確認された廃業
* 廃業スキー場を減じた数
民営施設には第 3 セクターを含む
日本自由時間スポーツ研究所調べ
【H16 年 4 月以降に廃業】
芦峅寺スキー場(富山県中新川立山町)町議会全員協議会で方針決定
比良山スキー場・比良ロープウェー(滋賀県滋賀郡)3 月 31 日付け
蓼科アソシエイツスキー場
釧路市鶴丘スキー場
【H17 年 4 月以降に廃業】
ノースバレースキー場、日勝スキー場、天北スキー場、旭山市民スキー場(北海道)
土樽スキー場(新潟県・コクド関係)糸魚川焼山温泉スキー場(新潟県)
【H18 年 4 月以降に廃業予定】
稚内公園ロープウェー&スキー場、
日本自由時間スポーツ研究所 佐藤由夫
平成17 年度 余暇関連産業の部門別動向調査 スキー場
項
目
内
容
図表 –3
Ⅱ 需要動向
(1)利用人口
2006.06
2
図表・参考資料
推定活動人口の推移
スキー
1)
(財)社会経済生産性本部の調査によると、平成 16 年度ではスキー活動推定人口は
H12 年度 H13 年度 H14 年度
H15 年度 H16 年度
760 万人、参加率 6.9%となっており、15 年度と変わらずであった。
参加率 (%)
10.7
9.9
10.0
6.9
6.9
2)
(財)社会経済生産性本部の調査によると、平成 16 年度ではスノーボード活動推定人
口は 470 万人、参加率 4.3%となっている。
参加人口(万人)
1,160
1,080
1,090
760
760
3)スキーとスノーボード(一部は重複も考えられる)の参加合計数は、14 年度まで横ば
年間活動回数 (回)
4.2
4.1
3.9
3.3
4.1
い状況にあったが、15 年度に大幅に減少し、16 年はやや持ち直し気味にあるが、依
参加率 (%)
4.2
4.9
4.9
3.9
4.3
然低迷している。
4)新潟県観光課データによると、スノーボードの入れ込みは平成 13 年度をピークに減
参加人口(万人)
460
530
540
430
470
少傾向にあったが、平成 16 年度は 44.6%と過去最高の割合を示した。
年間活動回数 (回)
7.3
6.2
4.6
6.3
5.2
5)主な県観光統計によるスキー場来場者数の推移は、地域間の状況差がある。平成 10
スキー+ボード参加人口
1,620
1,610
1,630
1,190
1,230
シーズは減少に歯止めがかかったようであるが、11 年度以降さらに悪化している。
出典:自由時間デザイン協会・社会経済生産性本部
6)平成 16 年度は、8 県全体で 8.6%マイナスであったが、宮城県は微増(2.9%増)で
あった。
図表-4 主な県別スキー場入れこみ数の推移 (単位:千人)
7)岩手県データでは、平成 5 年度を 100 とすると、平成 15 年度は 49.7 となる。
8)20 歳代を中心に、10 代後半、30 歳代前半がスキーやボード人口の大半を占める。
H12 年度
H13 年度
H14 年度
H15 年度
H16 年度
少子化に伴い、さらに減少傾向となる事が危惧されている。
9)全日本スキー連盟の登録会員数は、ほぼ横ばい・微減状況にある。なお、技能テスト
新潟県
9,393
9,187
8,698
7,762
6,772(△12.8)
(バッジテスト)合格者は、隔年で増加と減少を繰り返しているが、やや減少傾向に
ある。
長野県
11,035
10,780
10,465
9,343
8,795(△5.9)
10)長野県を訪れるスキー修学旅行は一層減少傾向にある。
(少子化による生徒減の影響
群馬県
3,190
3,301
3,387
3,100
2,956(△4.6)
が大きい)
スノーボード
(2)消費動向
福島県
2,784
宮城県
774
2,531
666
2,358
2,246
1,852(△17.5)
610
510
525(+2.9)
山形県
1,905
1,795
1,710
1,494
1,370(△8.3)
1)スキーヤーあるいはスノーボーダーのスキー場内での消費行動は、直接的な活動のた
めに支払う費用(リフト代、スクール代等)だけでなく、宿泊代、飲食費のほか、ア
岩手県
2,185
1,982
1,781
1,495
1,421(△4.9)
フタースキーや土産代、宅配便、入浴代(温泉やクアハウス)
、屋内プール代、ロッカ
ー代、仮眠・休憩代等、多岐にわたる。消費者個人にとっては、交通費あるいは用品
秋田県
1,306
1,194
1,135
948
888(△6.3)
用具代等も、必要経費となる。
2)
スキー場での基本的な消費は、パック化された商品として低価格販売される傾向がある。
合計
32,572
31,436
30,144
26,898
24,579
3)スキーヤー等の財布の紐が堅くなっており、消費の伸びはあまり期待できない状況にあ
伸び率
△10.5
△3.5
△4.1
△10.8
△8.6
る。
*各県観光関係課集計データを参考。集計方法等に違いがある。日本自由時間スポーツ研究所調べ
4)日帰りスキーヤーの増加は、宿泊部門に打撃を与えている。
●福島県データ訂正のため、福島県および合計に関するデータ修正有
5)スノーボーダーは、比較的若年層が中心である事から、消費金額は少ない傾向にある。
6)発市場のコンビニエンスストアー等で、割引きスキーパック券が販売されている。
図表-5 新潟県スキー場におけるスキーヤーとスノーボーダーの比率(単位:千人)
現地で購入するよりも 20∼30%安くなっている。
H12年度
H13 年度
H14 年度
H15 年度
H16 年度
(セブン・イレブン、ファミリーマート、am/pm、ローソン等や、高速道路SA等
県内スキー場
で販売)
来場者数
9,393
内ボーダー
3,831
ボーダーの
割合(%)
40.8
9,187
3,919
42.7
8,698
7,762
6,772
3,716
3,160
3,021
40.7
44.6
42.7
新潟県観光課集計データ
日本自由時間スポーツ研究所 佐藤由夫
平成17 年度 余暇関連産業の部門別動向調査 スキー場
項
目
(3)その他
内
容
2006.06
3
図表・参考資料
1)すでにスキー場はスノーボーダーとスキーヤーが利用する場と考えることが一般的に 図表 – 6 全日本スキー連盟登録会員数及びバッチテスト等の合格者
H12 年度
H13 年度
H14 年度
H15 年度
H16 年度
なってきている。棲み分けに関しては、専用ゲレンデ、共用ゲレンデ等の明確化、利
H13
シーズン
H14
年シーズン
H15
年シーズン
H16
年シーズン
H17
年シーズン
用のルール化等により、次第に両者が共存できる方向性にある。
また、ボーダー用にハーフパイプや各種のアイテムを整備し、需要を喚起している。
登録者数(人)一般 119,561
118,698
116,992
115,032
110,932
2)オフピステ、山スキーの関心が高まりつつある。特にシニア層の自然回帰指向が強い
が、一部では遭難事故などが発生しており、今後の課題となっている。
伸び率 (%)
4.1
△0.7
△1.4
△1.7
△3.6
3)新しいスタイルのスノースポーツが話題を呼んでいる。スノークロス等のXゲームが
20,197
21,667
21,482
21,472
日本でも開催されるようになった。すでにスノークロスのシリーズ戦も行われており、 正指導員数 (人) 21,155
準指導員数
(人)
26,518
25,707
25,288
24,694
24,176
若者の人気を呼んでいる。今後の展開が期待されている。
(06 年トリノオリンピック
では種目として実施が決定した)
833
/1,305
準指導員合格者数
/受験者数
1,553
/3,176
1,401
/3,004
クラウン
102
118
テクニカル
553
650
技能テスト合格者
正指導員合格者数
/受験者数
公認パトロール合計 3,321人⇒
782
/1,234
783
/1,158
1,375
/2,922
730
/1,086
752
/1,101
1,421
/2,838
1,238
/2,385
106
160
122
585
664
516
1
級
4,517
5979
4,749
4,625
2,906
2
級
5,019
7,333
5,268
8,185
4,935
3
級
5,116
8,395
6,187
4
級
3,886
4,471
5
級
1,489
2,197
バッジテスト計
20,027
28,375
スノーボード指導員検定合格数
90
132
120
73
公認パトロール検定合格数
145
144
104
120
3,506
1,521
21,231
7,982
4,331
5,065
3,405
1,817
963
27,674
17,178
84
96
資料:
(財)全日本スキー連盟
図表 – 7
長野県に訪れるスキー修学旅行生徒数の推移
H12 年度
スキー延べ生徒数
伸び率 %
546,296
△6.6
H13 年度
580,191
H14 年度
H15 年度
H16 年度
492,853
474,484
426,910
6.2
△15.1
△3.7
△10.0
66.8
59.1
全修学旅行生徒数
に占める割合
69.6
70.5
66.9
平均宿泊数
2.80
2.83
2.80
2.80
2.77
資料:長野県商工部
日本自由時間スポーツ研究所 佐藤由夫
平成17 年度 余暇関連産業の部門別動向調査 スキー場
項
Ⅲ 経営動向
目
内
容
2006.06
4
図表・参考資料
(1)収支状況
1)平成 16 年度シーズン(04/05 シーズン)は、降雪遅れで年末年始の状況が悪く、1 ○黒字スキー場情報
(ここ 1∼2 年の
月以降の比較的恵まれた降雪環境にありながら、非常に厳しい状況となっている。
宮崎県・五ヶ瀬ハイランドスキー場 1300 万円経常黒字(入れ込み 47800 人)
詳しい状況)
新潟県でも利用客減はさらに多く、入れ込み数前年度比 12.7%減となり、収支状況も
経費節減、人件費見直し、都市部への PR などを積極的に実施
悪化している。
(年末年始休みが 6 日間であったことも影響していると思われる)
2)平成 16 年度は、特に新潟中越地震により、魚沼・上越地域の3スキー場が休業、1 ス
キー場が縮小営業するなど、被害が出ており、大幅な減収となっている。また、新潟
県下のスキー場では、風評被害も出ており、西日本方面からの入れ込みが大幅に減り、
収支に影響を与えた。
3)平成 17 年度シーズン(05/06 シーズン)は、降雪が早く年末年始の入れ込みを確保
できたスキー場が多い。新潟県では前年を上回る年末年始の入れ込みであった。その
後の豪雪によりスキーヤーが遠のいてしまい、シーズン全体としてはさらに厳しい状
況となってしまった。
4)経済状況の見通しが不安な今日、出費を切り詰めてスキーを行う傾向にある。また、
図表‐8 年度別リフト(特殊索道)建設基数 (新設・架け替え基数/全国)
来場者数の減少、パック化、セット料金化等による実質的な価格の値下げにより、収
平成 13 年度 平成 14 年度 平成15 年度平成 16 年度 平成 17 年度
支状況は悪化している。これに対して、サービス向上対策費、安全対策費やリニュー
アル費用、ピステ整備費、駐車場等の除雪費等の経費節減にも限度があり、収支上で
建設基数 (基)
22
16
19
13
10
は非常に厳しい状況となっている。
5)収支上、地域間格差(積雪状況や地域的なイメージ要因が大きい)が生じており、ま
伸び率
(%)
△28.1
△4.3
18.8
△31.6
△23.1
た、スキー場格差(施設内容や立地条件ならびに管理運営手法が要因となる)も大き
シュレップリフト
−
−
−
−
くなってきている。来場者増のスキー場もある。
内
−
4 人乗 D
1
4 人乗 固定
−
−
−
5
1
1
1
−
−
−
3 人乗 D
−
−
−
−
3 人乗 固定
2
2
2
3
2 人乗 D
−
−
−
−
16
9
−
−
訳
(2)設備投資動向 1)圧雪車、スノーマシン、高速大量輸送リフト(新規/架け替え)等の導入、ゲレンデ(ピ
ステ)レイアウトやスキーセンター等のリニューアル等に対する大規模な設備投資は
低迷している。但し、より利用者のニーズに応えるための木目細かなリニューアルや
設備投資は、運営上も必要なものとして取り組むスキー場もある。
2)今シーズン新規に建設された普通索道は 1 基、特殊索道は 10 基である。
(日本自由時
間スポーツ研究所調べ)
3)バブル期以前に架設された索道のリニューアル時期が到来してきた。スキー場内部で
の路線整理、レイアウトや運転区間の変更などが見られるようになった。
4)自動改札システムの導入や顔写真付リフト券発券システム等、各種の設備導入も行わ
れている。利用者サービスの向上を図ると共に、管理運営コストの低減、合理化、省
力化を目指す方向にある。
5)高速リフトの導入、近代的で快適なスキーセンターの建設等での誘客戦略の時代は終
わり、新しいニーズに対応した総合的なスキーリゾート作りの時代へと移行しつつあ
る。設備投資には厳しい時代ではあるが、地域の基盤整備の充実、関連宿泊施設の質
的向上、各種自由時間施設の整備等、顧客満足を優先した総合的なスキー活動に必要
な資源整備がようやく本格的になってきた。しかしながら、その進捗状況は悪い。
6)優れた自然環境の中でスキーが行えるように、自然環境保全ならびに活用に関する投
資について、今後さらに前向きに考える必要性が高まってきている。スノーボーダー
らも、整備されたゲレンデではなく、オフピステのような自然の中での滑走を好む傾
向にある。
6 人乗 D
2
1
7
2 人乗 固定
18
1 人乗 固定
−
D:ディタッチャブル式
9
−
資料:日本ケーブル「スノービジネス」H16 年まで
H17 年度 日本自由時間スポーツ研究所調べ
○日本ケーブル「スノービジネス」はH17 年秋号で休刊 (26 年間発刊)
日本自由時間スポーツ研究所 佐藤由夫
平成17 年度 余暇関連産業の部門別動向調査 スキー場
項
目
内
容
2006.06
5
図表・参考資料
(3)経営上の問題 1)厳しい経済環境やスキー場経営状況等諸般の事情により、経営権の譲渡、休業、廃業 《売却・譲渡など》
点と対策の方向
を行うスキー場がある。親会社の経営破たんによる倒産や事業の撤退なども多く、経 05 年 4 月「斑尾高原スキー場」斑尾高原開発(資本金 2 億円)民事再生法適用申請
営基盤が不安定な状況にある。
負債 52 億円 ホテル等の営業は続行
2)スキー場は地域の振興に寄与していることから、事業者の都合で廃止できない状況に 05 年 5 月「村営おんたけスキー場」大滝村長期債務残高約 19 億円 村民集会開催
あり、民間事業者から自治体への譲渡、あるいは地域住民の自主的な運営に委ねるな 05 年 7 月「野沢温泉スキー場」野沢温泉村から新会社「野沢温泉」へ譲渡
ど、新しい事業体制が生まれつつある。
05 年 7 月「妙高パインバレー」松下興産からアパグループが買収
地元 NPO 法人が組織化され、黒字経営も報告されているが、利用者減少傾向にある 05 年 6 月「村営おんたけスキー場」加森観光が運営受託
中、経営の建て直しは非常に厳しい状況にある。
05 年 7 月
「北志賀竜王スキー場」
竜王観光 民事再生法適用申請 負債約 70 億 事
3)町村合併により、自治体が経営するスキー場の負債等をめぐって一部で問題化してい
業は続行
る。
(木曽町合併協議会:4 町村 4 スキー場の債務合計約 33 億)
05 年 9 月「川場スキー場」オリックス系投資会社 OPE パートナーズが買収(川場
4)スキー場の M&A を積極的に推進している加森観光の動向や、再編成を迫られている
スキー場の親会社斑尾高原開発が株式 73%を売却)
西武(コクド)グループのスキーリゾートの今後に注目が集まっている。
(スキー場産 05 年 9 月「ハンターマウンテン塩原」
「マウントジーンズスキーリゾート」丸紅
業界の構造改革につながる可能性もある)
(70%出資)が東急不動産に売却
5)スキー場での稼ぎ頭であるリフト料金の弾力的かつリーズナブルな金額設定は、スキー 05 年 10 月「野沢温泉ロープウェー」民営化決定 運営は日本ケーブル 06 年春
場経営の収支に大きな影響を与えている。割り引きチケットやパック化による実質的 05 年 11 月「戸隠スキー場」長野市は民営化を決定
なリフト料金の価格破壊は、新鋭リフトや駅舎、休憩施設の設備投資回収や、造雪、 05 年 11 月「北志賀竜王スキー場」の支援に野村證券グループの債権回収専門会社
圧雪等ゲレンデ整備の経費捻出に、影響が出ている。
ユニファイド・パートナーズに決定。支援金額は負債の約 1 割程度。入
6)スノーボード用アトラクション作りのために、ゲレンデ内の一部占用化、作製のため
札で決定
の重機配置、維持管理が必要であることから、別途利用料金を設定し、回収する方式 05 年 11 月「伊吹山スキー場」近江鉄道が「スノーマジックエンターテイメントジ
を導入する傾向が増えてきた。カービングターン用専用斜面やモーグル専用斜面を設
ャパン」に売却
定し、利用料を徴収するスキー場も登場した。
05 月 11 日「創遊村 229 スキーランド」田子町が町民有志による「創遊村 229 ス
7)ファミリー対応としてキッズ(子供)ゲレンデやソリ・チュ−ビングエリアを設けた
キーランドを愛する会」に運営を委託
スキー場の中には、入場料を徴収するものがある。
(500 円程度)
06 年 1 月「らいちょうバレースキー場」県営方式打ち切り、富山市へ移管する予定
8)バラエティに富んだパック商品やサービスアイテム等によるスキー場間競争が激化し
ている。スキー場を取り巻く周辺施設等を含めた総合戦略、戦術作りを行い、アイデ
ンティティを創出する必要に迫られている。施設面での投資とは別に、ソフトやアイ 《休業スキー場》05-06 シーズン
ディア面での充実、あるいは従業員の資質向上等にも細かい注意を払い、地域全体で 札幌北広島プリンスホテルファミリースキー場(北海道・コクド関係)
函館横津岳スキー場(北海道)
スキーヤー等を受け入れる体制づくりが急務となっている。
10)正月休みや連休偏重の経営も不安定な要因であり、平日の閑散としたスキー場は、経 千畑スキー場(秋田県・コクド関係)
営の難しさを物語っている。学校の週休2日制(今後の動向が注目される)や企業の 黒伏高原スノーパーク ジャングルジャングル(山形県)
長期休暇取得に期待するものの、限られた時間、限られた資金をスキー場へ向けさす 三国スキー場(新潟県・コクド関係)
ファースト石打スキー場(新潟県)
工夫が、業界として必要である。長期的展望に立った取り組みが必要。
古志高原スキー場(新潟県長岡市)新潟中越地震関係
小千谷山本山高原スキー場(新潟県小千谷市・コクド関係)
(4)その他
1)スキー場再生会社の登場
●オリックス系投資会社「OPE パートナーズ」
(本社東京)が立ち上げる。スキー場 霧降高原スキー場(栃木県日光市)
日光菖蒲ヶ浜スキー場(栃木県・コクド関係)
運営会社「OPE スノーアライアンス」
(社長:坂倉氏)を設立。
●日本駐車場開発(本社大阪)は、スキー場再生のために「日本スキー場開発株式会 あらい船岡山スキー場(新潟県新井市)
ひだ乗鞍ペンタピアスノーワールド(岐阜県丹生川村)
社」を設立。
パインリッジ・パートナーズ社は、神立高原、芸北スキー場を買収したスキー場再生 マキノスキー場(滋賀県高島市・リフト休業)
サレガランドプラーナスキー場(愛媛県)
会社。
●野村證券グループの債権回収専門会社ユニファイド・パートナーズも参入
日本自由時間スポーツ研究所 佐藤由夫
平成17 年度 余暇関連産業の部門別動向調査 スキー場
項
Ⅳ 事業環境の
変化
目
内
容
(1)技術環境の変 1)事業全体が技術革新に前向きに取り組んでおり、高性能人工降雪機、人工造雪機およ
化
びコントロールシステム、高性能圧雪車およびアタッチメント、高速リフトおよびゴ
ンドラ等には、各種の技術が生かされている。
2)最近では気温の比較的高いスキー場の積雪確保のために、人工造雪機の導入が新たに
注目を集めている。
(製氷システムで貯氷されたフレーク状の氷を圧送して撒布)
3)プリペイドカード方式の導入、自動リフト改札システムの導入、顔写真入りリフト券
発券機の導入等、利用者の利便性を増すと共に、経営者側の省力化や集金業務、集計
業務の簡略化、効率化が図られつつある。
4)リフト不正乗車防止、各種顧客データ、リフト券販売の簡略化等が図れるシステムが
日本とオーストリーの企業が開発し、
「アクセスコントロール」として導入された。イ
ンターネットを通じてリフト券購入決済ができるなど、新しい時代のシステムとして
注目を集めている。
5)ニセコ地区3スキー場の発行する共通ICカードリフト券に電子マネー機能を盛り込む
研究を開始。
(北海道運輸局ニセコ・羊蹄リゾート交通検討委員会)
(2)公的規制や税 1)開発を行う場合、
「自然公園法」「森林法」「農地法」など各種の法律、条例、規制等のア
制上の問題点
ミカケに触れることが多く、その解除や調整、許可に時間を要すことが多い。整備に
当たっては、林野庁が平成 2 年 6 月に通達を出したスキー場等の林地における開発指
針「開発行為の許可基準の運用細則」が効力を持つ。
2)99 年 6 月より自治省の省令改正になどにより、ゲレンデ整備車や人工降雪機に使う
軽油にかかっていた地方税(1 リットル当り約 32 円)が免除されるようになった。
3)「ポイ捨て防止条例」を定め、リフトからのたばこの投げ捨て禁止等をスキーヤーへ
呼びかける自治体がある。
(3)その他
2006.06
6
図表・参考資料
【参考】
観光施設改善等資金貸付金 (新潟県)
県内の観光施設の整備を促進し、観光事業の振興を図るため、新潟県では観光事業者
に対する貸付制度を整備しています。
1.融資対象事業者
○県内で 2 年以上営業実績のあるもの
○季節旅館から普通旅館への移行を図るもの
2.融資対象施設
観光事業に必要な次に掲げる施設であり、新設、増設又は改築しようとするもの
(1)宿泊施設(旅館、ロッジ等)
(2)宿泊施設の付帯施設(駐車場、スポーツ施設)
(3)スキー場施設(スキーリフト、ゲレンデ、駐車場、食堂、売店及び圧雪車)
(4)舟遊施設(遊覧船、モーターボート等及び発着施設)
(5)休憩施設(ドライブイン、レストラン等)
(6)従業員宿舎及びその付帯施設
(7)その他知事が適当と認める施設
3.融資限度額
70,000 千円(対象事業費の 8/10 以内)
4.償還期間
7 年以内(据え置き期間 2 年以内を含みます)
5.融資利率
○保証付き:年 1.90%
○それ以外:年 2.40%
4)スキー場内の事故が増加しており、安全基準の整備や滑走マナーの向上等が待たれて
いる。また、管理責任の明確化、公認パトロールの権限強化、資質向上などが必要と
人工降雪機整備基金貸付金(新潟県)
されている。
県内スキー場の人工降雪機の導入を促進して、新潟県内スキー観光の振興を図ります。
1.融資対象者
5)鉄道事業法の規制緩和が 94 年 11 月に行なわれ、95 年 4 月より特殊索道運賃の事
○鉄道事業法第 32 条の規定による索道事業の許可を受けた事業者(市町村は除き
前届け出が不要(除外項目)となり、運賃の自由競争が開始された。
ます)又は索道事業者が構成員となっているスキー場の管理団体
○融資を受ける年度の前年度及び前々年度の各シーズンに営業実績のあるもの
6)鉄道事業法施行規則の一部改正(平成9年5月 29 日付)により、索道種別は普通索
2.融資対象施設及び資金の使途内容
道および特殊索道の2種類となった。
(便宜的にこれまで通り甲種、乙種、丙種は用い
○人工降雪機及びその付帯施設の整備に要する資金
られる)
3.融資限度額
○4 億円(対象事業費の 8/10 以内)
1) 新潟県では、宿泊施設の付帯施設(駐車場、スポーツ施設) やスキー場施設(スキ
4.償還期間
ーリフト、ゲレンデ、駐車場、食堂、売店及び圧雪車) 等の改善を図るため、観光施
○15 年以内(据置期間 1 年以内を含みます)
設改善等資金貸付金制度の導入を図っている。また、人工降雪機整備基金貸付金制度
5.融資利率
も用意されている。
○保証付きの場合:年 1.90%
○上記以外の場合:年 2.40%
日本自由時間スポーツ研究所 佐藤由夫
平成17 年度 余暇関連産業の部門別動向調査 スキー場
項
Ⅴ 経営戦略
目
内
容
(1)集客・新規 1)スキー場利用者の増加ならびに消費規模を拡大させるために、スキー場内の各種料金
顧客開拓のための
のパック化が進行している。また、往復交通費、宿泊施設、食事、リフト代、レンタ
方策
ル代、宅配便代など、様々なアイテムを組み合わせた総合パック商品も企画され、発
市場で積極的に販売されている。割安感を与え厳しい時代の集客対応策としている。
2)集客効果を期待し、各部門で細かい利用料金体系の導入が行われている。飲食サービ
スにおける低料金メニューの導入や木目細かいリフト料金体系の導入など、利用者側
のニーズ等に対応した価格設定、サービスの提供を行うよう努力している。特にリフ
ト券では、子供券、時間券、半日券、1 日券、2 日券、3 日券、シーズン券、朝食付
リフト券、距離券、シニア・シルバー券等の対応が見られる。また女性限定割引ある
いは小学生以下無料のスキー場も出現し始めている。
3)長野県白馬村や北海道ニセコスキー場、秋田県田沢湖スキー場、山形県蔵王スキー場
などでは、インバウンド受け入れ態勢を整え、あたらな顧客確保に努めている。
(効果
が上がっている)
4)東北索道協会、信越北陸索道協会管内スキー場の「スキー子供の日」は本年も継続さ
れている。毎月第3土曜日、小学生以下を無料とするもので、地元の子供達やファミ
リー客(日帰りや宿泊)の利用促進を図っている。
(強制ではなく自主的にスキー場が
実施。無料日もスキー場によって異なる場合がある。
)
5)スキー場来場者確保のために、スノーボードを許可するスキー場が更に増加し、ボーダ
ー対応のサービスを本格的に行うようになった。またハーフパイプやボードアトラク
ション、ボードパークの整備を積極的に行い、各種のイベントも積極的に開催される
ようになった。
6)ファンスキーなど、各種のスキーやソリ等の利用を広く開放し、新しいアイテムのス
ノースポーツの導入を図る傾向にあり、幅広い客層の確保に努めるようになった。ま
たスノークロスなどの新しいイベント開催にも力を入れるようになった。
7)自然回帰ブーム、トレッキングブームなどを受けて、スノーシューでの散策やクロス
カントリースキー(あるくスキー)に関する場の提供、用品用具のレンタル、教室・
講習会の開催などが多く見られるようになってきた。
8)子供ゲレンデ、ソリ専用ゲレンデや託児所、子供スキースクール等を開設し、ファミ
リー層の確保に力を入れるスキー場が増加。
9)ひとつのスキー場だけでなく、隣接するスキー場と連携し、魅力あるエリア化を推進
する傾向にある。リフト券の共通化、共通イベント開催、共通サービスの提供などを
行い、地域ポテンシャルを高め、地域への顧客誘導を図る。また、広域的な連携を図
る事例も出てきており、新たな戦略が展開されるようになってきた。また県が積極的
な展開を示すようになってきた。
(長野県、新潟県等)
10)1 社で総合的な開発をしていないスキー場では、索道会社と宿泊施設、スキースクー
ル、レンタルショップ等、各種の業種が連携を図り、安価で特色のある顧客サービス
商品を開発しなくては、厳しい競争を勝ち抜くことが難しい状況にある。
その組み合わせ、提携方法は商品開発力と地元の結束力に負っている。
2006.06
7
図表・参考資料
【事例】連携・協力・提携関連】
◎長野県 52 スキー場共通シーズン券
昨年までは長野県全スキー場共通リフトシーズン券として長野県観光協会が
販売。通常料金と乖離しているとの申し出があり、値上げが検討されたが却
下。本年は 52 スキー場のみが参加。
(200 名:3万円)
。申込みは葉書、申
し込み用紙及びインターネット
◎Mt.6 ベスト オブ ザ クラシック マウンテン リゾート
伝統と歴史のある6大山岳リゾートの新たな挑戦
「リゾート文化の創造と継承」を目指す 会員カード発行
野沢温泉・蔵王温泉・志賀高原・草津・白馬八方尾根・妙高高原
シーズン券 70,000 円 温泉無料・スキースクール 10%引き
10 日券 37,000 円
◎スノーバーズクラブ
メンバーズカードによる全加盟スキー場スーパーシーズンパス
ユートピアサイオト、御岳スキー場、ハチ・ハチ北、ウィンズヒル白鳥リゾート、
チャオ御岳スノーリゾート、車山高原、白馬五竜、Hakuba47、計 8 箇所
63,000 円(シニア券 50,000 円)
◎白馬アルペンリゾート
八方尾根・岩岳・栂池高原共通スキーパック 共通リフト券(2,3,4 日券)
オールシーズンリゾートに対応 (4 日券 15600 円)
◎東急グループスキー場 スタンプラリー
ハンターマウンテン塩原、マウントジーンズスキーリゾート那須、グランデ
コリゾートで実施。選べるアジア旅行、ビデオカメラなどが 75 名に
○無料バス運行(松本市) 市民対象
乗鞍高原温泉スキー場、乗鞍高原いがやスキー場、野麦峠スキー場へ
合併による市民への周知のため
【インバウンド関連】
①「ニセコ・スキー場」エリアは、オーストラリアからのスキーヤー(スノースポー
ツ)受入れに力を注いでおり、その効果が現れている。
(話題の施設参照)
平成 14 年度シーズンにはホテル滞在者が 657 人、平成 15 年度のシーズンに
は、2924 人と約 5 倍に増えており、平均 10 泊している。
(他にコンドミニア
ム等に宿泊している) 平成 17 年度、グラン・ヒラフ(東急)では滑走者延 9
万 8 千人の 20.7%が外国人(オーストラリア 64.7%、シンガポール 27.5%、
ニュージランド 4.7%など)
②北海道索道協会はソウル市で開催されたスキーPR イベント国際冬季スポーツ博覧
会に参加。北海道のスキーを PR 05 年 11 月
③加森観光は「札幌雪まつり」に訪れる台湾、香港、韓国などの旅行者が、スキー場
で行き遊びすることに目をつけ、旅行商品化を行ってきている。自らが経営する「ル
(2)話題の施設、 1)ニセコ・スキー場
スツスキー場」には韓国人を雇用し、インバウンド客への対応を行っている。
サービス
ニセコグラン・ヒラフ、ニセコ東山、ニセコアンヌプリ国際(総面積 400ha、ゴンド ④「田沢湖スキー場」
(秋田県)では、秋田空港アクセスを活かした韓国からのスキー
ラ 4 基、チェアリフト 26 基、宿泊容量 13,000 人、入れ込み 80 万人程度)では、東
ヤー受入れに力を注いでいる。リフト案内板、レストランなどにハングル文字を加
急グループ、西武グループ、倶知安町、ニセコ町と日本ハーモニーリゾート(花園エリ
えており、好評。若者カップルを中心に、平成 17 年 1 月現在、昨年の 30%アッ
アに 500 億円投資予定・1,000 人雇用)が一体的なリゾートエリアを創出。
プ。韓国の放送会社の取材を受け入れたり、韓国の旅行代理店の CM などにも登場。
自然環境を活かした日本国内で有数のリゾート地づくりを行い、オーストラリアから
(2001 年、秋田・ソウル便就航による取り組み)
日本自由時間スポーツ研究所 佐藤由夫
平成17 年度 余暇関連産業の部門別動向調査 スキー場
項 目
内
容
のインバウンドにも力を注いでいる。各スキー(リゾート)エリアの特性を活かしな
がら、エリアのブランド力を高め、世界に情報を発信。
2)戸狩温泉スキー場
集客強化のために、吉本興業と提携。06 年シーズンのテーマを「よしもと爆笑スノーパ
ラダイス」として特設ステージによるライブの開催、東京、大阪吉本劇場にてパンフレ
ットの配布。
「よしもとお笑いゲレンデ」はシーズン中 5 回開催された。吉本グッズの販
売などもスキー場で行なう。
3)マウンテンパーク津南スキー場
「ニューハーフの日」
「寂しがりやの日」など、日替わりイベントの実施。
4)アルツ磐梯スキー場
プレミアムゲストサービスの導入 1 組(6 人まで)2,000 円 予約制
ゲレンデに一番近い駐車場を確保、リフト券購入・レンタル・レストランは待たずに OK
小さい子供のいる親世代をターゲット
5)Mt.グランビュースキー場(新潟県魚沼市)
ネーミングライツを募集(1000 万円程度)
2006.06
8
図 表・参 考 資 料
⑤「雫石スキー場」
(岩手県)では台湾、香港などからの家族連れが 10%を占めるに
至っている。そりやかまくらづくりなどの雪あそびが主流。
⑥ 山形県では台湾、韓国からの観光客が急増しており、その大部分が蔵王でのスキ
ーである。仙台空港ならびに県の観光プロモーションが影響
⑦長野県白馬村では 2001 年 11 月「白馬インバウンド推進協議会」を設立。
(民間 28
事業者)ソウルの旅行代理店に依頼しソウル事務所を開設。韓国語のホームページ
をオープン。推定で 1 万人泊程度のスキー客が来ている模様。
(オリンピックの波
及効果)
(富山空港)
⑧ 妙高市と白馬村、山ノ内町(志賀高原)は協力してオーストラリアからの集客対
策を行なう。06 年 06 月にシドニー、メルボルンの見本市にブースを出店予定
《参考資料》長野県観光の数値目標
2005 年度末 2006 年度末
2007 年度末 2008 年度末 2009 年度末
観光収入(百万円) 380414 391826 403581
415689 428159
(3)2007 年問題 1)スキー場関連企業の場合、一般的に雇用形態は多岐にわたっており、2007 年問題に
スキー場利用シェア
29.9%
32.4%
35.0%
37.5%
40.0%
(団塊世代定年)
該当するような労務管理形態は少ない。
(一部の大手デベロッパーや行政直営の場合
への対応
等を除く)
インバウンドシェア
2.4%
2.5%
2.7%
2.8%
3.0%
2)全般的に高齢でも働ける分野も多く、また経験を必要とする業務も多いことから、団
塊の世代はそのまま従事していくものと思われる。
(世代交代が少ないことに発する
資料:長野県観光協会
問題点も多い)
3)企業を退職した総務、営業ならびにマーケティングの専門家の再雇用や、非常勤職員
としての雇用に期待がかかるが、勤務形態や居住環境の整備に課題を残している。
(定年退職後、スキー場周辺に転居してきた人材に活躍願うことは可能)
4)スキー場としては、2007 年以降に急増する悠々自適なシニア層を優良顧客と考え、 【人材育成事例】
その取り組みを検討中である。
倶知安町 「国際リゾート都市“くっちゃん”確立に向けた人材育成及び雇用増大事業」
(4)業界における 1)バブル期以来、サービス産業としての自立を目指してきたスキー場の人材育成は、そ
サービス人材育成
の必要性を認めながらも、雇用形態の難しさ(通年雇用することが難しい)などから
へのニーズ・取組
後手に回るケースが多かった。しかしながら、
「選ばれるスキー場」となるためにホス
み例等
ピタリティの重要性を認め、近年人材育成に力を注ぐようになってきた。
2)大手ディベロッパーやスキー場再生会社の登場により、スキー場勤務者の資質は高ま
る傾向にある。
3)スキー場を中心とする地域全体の人材育成に関して、行政(主に商工観光部門)が取
り組むケースがある。
外国人観光客はウィンタースポーツを目的に1∼2 週間の長期滞在を基本とするため,地元商
店街,地元企業には接客サービス,英語標記等のホスピタリティの向上、倶知安町民全体に
は英語力の向上が求められていることから、各種の事業を実施。
地域の事業:姉妹都市・サンモリッツ交流事業(スキーインストラクター交流)
スキーリゾートの本場から技術や指導方法を学び,相互間での交流促進,発
展に繋げる(一例)
パッケージ事業:
ⅰ経営者・従業員実践英会話教室事業
ⅱ外国人コーディネーター設置事業
ⅲホスピタリティ研修事業
ⅳホスピタリティ・フィードバック研修
その他スキルアップ事業有
日本自由時間スポーツ研究所 佐藤由夫
平成17 年度 余暇関連産業の部門別動向調査 スキー場
項 目
Ⅵ 今後の展望
内
(1)新業態
(市場)の登場
容
2006.06
9
図 表・参 考 資 料
1)
「スキー場」とネーミングされているが、スノーボードあるいはソリなど、各種の雪上
スポーツが展開されている。スキーでもアルペンスキー、ノルディックスキー(ジャ
ンプ・クロスカントリー)
、フリースタイルあるいはファンスキー等と細分化されてお
り、最近では自然回帰ブームによりオフピステ、山スキー、ツアーが見なおされてき
ている。各々楽しさ、面白さ、魅力があり、ファン層が異なる。これらに対し、スノ
ービジネスとして総合的な見地から戦略を持つことにより、スノースポーツ場産業・
スノーリゾート産業化へと展開して行くことが可能となり、新たな業態へ発展してい
くことが考えられる。
○ニセコを訪問するオーストラリア人は、ニセコの自然と風土、そしてスノース
ポーツを楽しみに来ており、ウィンターリゾートとしての受入れ体制を整えてい
る。
○スキー場名称に、脱スキー傾向が見られる。
(スノーパークなど)
2)スキー修学旅行受入れに力を注ぐスキー場
九重森林公園スキー場(大分県)
修学旅行や団体専用レッスンゲレンデを整備。
05 年9 月1 日現在で34 校、
約7,130
人の予約受付済み。沖縄県中学校 24 校、長崎県中学校 4 校ほか。
学校関係は土日を除いて受け入れ。レンタル用品、スクールを充実
(2)その他全般
1)厳しい経済状況下において、長くても実質 4 ヶ月しか稼動しないスキー場事業は、非
常に厳しい状況に置かれている。冬の副業として発展してきたスキー場も、ここ 20
年でリゾート産業として発展し、国民の重要な冬季自由時間活動を支えるに至ってい
る。これまでの開発方式や経営方式を再検討し、将来に向けた事業の展開を図ること
が求められている。
2)トリノで冬季オリンピックが開催され、我が国のウィンタースポーツが国際的な注目
を集めた。スノーボードは低迷したが、モーグル、アルペンスラロームに好成績を残
し、クロスゲームの魅力を伝える事ができた。スキー場へ足を向けるところまでいか
ないが、話題性は高かった。
3)スキー場経営は、地域の活性化に寄与する重要な産業として、地元の大きな期待を背
負っている。地元での宿泊業、飲食業等のサービス業を確立させ、また、雇用の場と
して機能している。今後とも地域社会と一体化した発展が望まれると共に、総合的な
地域振興の核として自立して行くことが期待されている。
4)先行投資がし難い状況にあるが、スキー場あるいはスキー場関連施設で働く従業員へ
の適切な投資が、非常に重要であることが、ようやく認識されつつある。余暇産業の
担い手である人材養成、確保は、将来へ向けての貴重な布石である。
5)価格破壊も事業者側から見れば限界を超えている。サービスに対する正しい対価を定
め、健全な経営に戻すことが必要となってきている。
日本自由時間スポーツ研究所 佐藤由夫
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