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平成13年度 政策評価書(中間段階の事業評価) 担当部局:長官官房施設課 実施時期:13年6月∼8月 事 業 名 :整備工場整備事業 政策分野 :自衛隊施設の建設 事業内容 :老朽・狭隘化、若しくは所要の機能を具備していない整備工場について、良好な勤務環境の改善を行うための整備 を実施する。 所要経費 :約307億円(後年度負担額を含む。) ○評価の内容 1.事業の目的 自衛隊の駐屯地等内には、部隊の諸活動に必要な車両・装備品等が配備されており、部隊運営に使用されているところである。 各駐屯地等に設けられている整備工場では、後方支援業務の一環として各種車両・装備品等の整備が実施されており、整備工場は 部隊運営上欠くことのできない施設であるとともに、自衛隊の持つ特殊性(即応性、自己完結性)からも対応する整備能力を備えな ければならない施設である。 装備品の整備作業は、塵埃が発生し、油にまみれながら重量物の点検を行う等、3K(きつい、汚い、危険)作業と称される現状 にあり、換気・クレーン設備等が未整備であったり、コンクリート床面が凹凸であるためジャッキ作業が不安定であったり、寒冷地 であるにも拘わらず暖房設備等が未設置である等の問題を抱えている。 これらの問題点を改善するため、①適切な整備空間を確保し、塗装専用室等の特殊作業室を設置したり、適切な作業照度を確保す ることにより、安全で衛生的な整備工場とする、②冬季作業の能率向上を図るため暖房設備等を整備する、③作業安全性を向上させ るため、リフト、クレーン等の作業設備を設置するとともに、④小規模・複数の施設を集約し、有機的・合理的な施設とするなど、 整備工場に勤務する隊員の勤務環境の改善を行い、併せて老朽施設の解消を図るものである。 2.事業の必要性・適正性 (1) 事業の位置付け ① 政策分野等における事業の役割 整備工場の整備は 、「中期防衛力整備計画(平成13年度∼平成17年度)」の「Ⅲ自衛隊の能力等に関する主要事業」の中で「15防 衛力を支える人的基盤の維持拡充のための施策」として、「(3)隊員の高い士気を保持するため、福利厚生を含む隊員の処遇改善及 び就職援護の充実等の施策を推進する。処遇改善に当たっては、隊舎・宿舎等の生活関連施設の建設・改修を引き続き推進すると ともに、特に、整備工場や警衛所等の勤務環境を改善するため、関連施設の整備・充実を図る。」と位置づけられており、これを 踏まえて整備作業に必要な整備工場を整備する。 ② 防衛庁が事業を実施する理由 自衛隊施設の整備は、国の防衛計画の一環として実施するものであり、防衛行政と密接不可分のものであることから防衛庁専管 の事業として実施しているところである。 また、防衛施設に係る建設工事は、基地問題と密接な関連があり、基地対策との密接な関連付けの下において実施する必要があ ることから、基地対策関係業務を併せて所掌する防衛庁において、一元的に実施することが必要である。 (2) 事業の必要性 ① 既存の事業等によらない理由 既存の老朽化した整備工場にあっては、狭隘、塗装専用室等の特殊作業室が設置されていない、適切な作業照度が確保できない、 冬季作業時の暖房設備等が不十分、作業床面がコンクリート仕上げでないため、リフト、クレーン等の設置ができない、小規模・ 複数の施設が散在し作業効率が悪い等の問題点が挙げられており、隊員の勤務環境を改善するため旧整備工場を新整備工場に改善 して整備促進を図ることとする。 ② 他の代替手段との比較検討状況 近年、国の施設について民間へのアウトソーシング化が検討されているが、自衛隊自体が自己完結型の業務を前提とし、公共サ ービスの提供等を目的としたものではなく、自衛隊の施設については通常、民間人の自由な出入りを制限している駐屯地等内に建 設するものである。 また、これらの自衛隊施設は、災害時や有事の際に通常とは異なる施設の利用をする可能性があり、さらには、施設の整備に関 して周辺住民と基地問題の面での関連性もあるといった特殊性がある。 これらのことから、現在のところ民間へのアウトソーシング化等、他の代替手段によることは難しいと考えられる。 (3) 数量等の事業内容の必要性、妥当性 平成14年度に55箇所(78棟)の整備を計上する。 なお、この整備数量は、各駐屯地等の所要隊員数に応じ算出したものである。 3. 事業実施の効果・時期 (1) 事業効果 ① 事業の実施により生じる効果 当該整備により、隊員の勤務環境が改善され、高い士気が保たれるとともに、一層の勤務意欲及び整備能力の向上が期待できる。 ② 既に発生している効果 新たな整備工場整備を実施することによる具体的な効果を、平成12年度に整備が完了した2箇所の部隊に調査したところ、 ・旧整備工場にあっては、女子隊員の勤務環境が整備されていなかったため、女子隊員を配置できなかったが、新整備工場で性別 を考慮した勤務環境が整備されたことによって、男女を問わない整備隊員の配置が可能となった。 ・旧整備工場の暖房設備が未整備であったため冬季の整備作業に苦慮していたが、新整備工場にあっては、暖房が完備された整備 専用スペースが確保され、効率的な整備が可能となった。 ・旧整備工場には塗装室がなかったため、格納庫内で劣悪な環境下で作業していたが、新整備工場にあっては、塗装室が整備され 衛生的な作業環境での塗装作業が可能となった。 などとする効果があるとの結果が得られたことにより、隊員の高い士気を保持するための処遇改善施策である勤務環境改善施設整 備の実施効果を確認した。 (2) 実施時期 ① 完了時期 平成14年度概算要求分は平成14年度から平成16年度中の完成となる。 また、整備工場の整備率は平成14年度予算(要求)分完成時に未だ43%であり、整備対象である整備工場が多種に亘り、残所要が 多いことから、現段階において完了予定時期を提示する状況にはない。 ② 進捗状況、効果の実現状況 平成14年度に78棟の整備工場の整備を行うことにより、整備率は平成13年度予算分完成時の38%から平成14年度予算(要求)分 完成時に43%となる。当該整備により、隊員の勤務環境が安全・衛生面からも改善され、高い士気が保たれるとともに、一層の勤務 能力及び整備能力の向上が期待できる。 ○今後の対応 整備工場の整備は、処遇改善の一環として、その実施効果があるものと評価できることから、引き続き14年度概算要求を行う。 ○参考情報 【総所要等】 総所要:1,642棟[中期防策定時に見直し] 平成14年度予算計上分完成時の整備見込み:705棟 整備率:43% ○その他 「警衛所」、 庁舎等の勤務関連施設のうち、特に厳しい勤務場所であり、その整備が著しく隊員の処遇改善に効果のある施設として、 「消防所」及び「整備工場」が挙げられる。 これらの施設にあっては、「きつい(士気)」、「汚い(衛生 )」、「危険(安全)」の、いわゆる3Kが顕著な施設であり、老朽化した 施設が多く、安全・衛生面からも勤務環境の改善が遅れていることから、これらの施設を「勤務環境改善施設」として優先的に整備 し、早急に隊員の士気の高揚を図る必要がある。 添 付 資 料 整備工場 ○ 装備品の整備作業は塵埃が発生したり、油にまみれたり、重量物の点検を行う等、3K(きつい、汚い、危険)作業と形容 されるような現状。 ○ 10年度以降、換気・クレーン設備等が未整備、コンクリート床面の凹凸のためジャッキ作業が不安定、寒冷地で暖房設備 が未整備等の問題を抱えている「車両」「施設」「需品」整備工場を優先して整備を推進。 ○ 13年度予算においては、「車両整備」と同様な整備業務を行う「航空機整備場(整備格納庫)」「艦艇整備場(造修施 設)」「機材整備場」を優先整備対象に加え、一層の隊員の処遇改善を図る。 ○整備工場の種類 ○整備工場の種類 ◇ 車両整備工場(武器・車両等)、施設整備工場(施設機材、木工作業等)、需品整備工場(落下傘・天幕等) ◇ 車両整備工場(武器・車両等)、施設整備工場(施設機材、木工作業等)、需品整備工場(落下傘・天幕等) ◇ 航空機整備場、艦艇整備場、機材整備場(各種装備品等) ◇ 航空機整備場、艦艇整備場、機材整備場(各種装備品等) l 車両整備工場 l 車両整備工場 l 施設整備工場 l 施設整備工場 l 需品整備工場 l 需品整備工場 l 航空機整備場 l 航空機整備場 エンジン整備 平成10年度から整備を推進中 平成10年度から整備を推進中 改善職域の拡大 l 艦艇整備場 l 艦艇整備場 l 機材整備場 l 機材整備場 車両整備 艦艇整備 13年度から重点整備施設に追加 13年度から重点整備施設に追加 各種装備品等の整備作業 各種装備品等の整備作業 ○整備工場の整備方針 ○整備工場の整備方針 ◇ 勤務環境の改善に併せて老朽施設の改善を図り、施設機 ◇ 勤務環境の改善に併せて老朽施設の改善を図り、施設機 能の改善を図る。 能の改善を図る。 ◇ 機能不足(狭隘、クレーン能力等不足、専用作業諸室等 ◇ 機能不足(狭隘、クレーン能力等不足、専用作業諸室等 の未設置等)の解消を図る。 の未設置等)の解消を図る。 ①従来の施設機能(整備機能)に、②不備設備等(専用作業 ①従来の施設機能(整備機能)に、②不備設備等(専用作業 室、安全衛生設備等)を付加。 室、安全衛生設備等)を付加。 ◇ 小規模・複数の施設を集約し、有機的・合理的な施設を ◇ 小規模・複数の施設を集約し、有機的・合理的な施設を 整備。 整備。 運用効率・稼働率の向上、自隊(整備)能力の向上に寄与。 運用効率・稼働率の向上、自隊(整備)能力の向上に寄与。 従来施設 新整備施設 (小規模、複数の施設) (複数施設を集約し、有機的・合理的な施設を整備) 民間同種施設との比較 民間同種施設との比較 (車両整備工場) (車両整備工場) 14年度 78 627 整備済 93 7 総所要 1,642 棟 (単位:棟) ○14年度の整備概要 ○14年度の整備概要 55箇所(78棟)を整備。 55箇所(78棟)を整備。 建替等 要整備 民間の車両整備工場 民間の車両整備工場 (大型車両対象整備工場) (大型車両対象整備工場) 老朽・狭隘な自衛隊の車両整備工場 老朽・狭隘な自衛隊の車両整備工場 (陸自・岩見沢駐屯地) (陸自・岩見沢駐屯地) ■近年整備している整備工場の例 ■近年整備している整備工場の例 ○陸上自衛隊・青森駐屯地・車両整備工場 項目 全般 面積 整備室 整備前 老朽・狭隘な整備場 約500㎡ 狭隘。一部屋外作業。 暖房 リフト 未設置。厳寒期の整備に制限。 未設置。車体下部へもぐって作業。 整備後 安全・衛生的な整備場。 約860㎡ 整備対象を考慮した十分な整備面積を確 保。屋外作業の回避(全天候型) 設置。冬季作業の能率向上。 設置。作業効率性・安全性の向上。 ○航空自衛隊・千歳基地・車両整備工場 項目 全般 面積 整備室 整備前 非効率、老朽・狭隘な整備場。 約2,200㎡ 狭隘。一部屋外作業。 整備後 安全・衛生的な整備場。 約3,000㎡ 整備対象を考慮した十分な整備面積を確 保。屋外作業の回避(全天候型) 専用作業室 塗装室等未設置。 設置。計画的作業可能。(全天候型) 暖房 未設置。厳寒期の整備に制限。 設置。冬季作業の能率向上。 クレーン 未設置。クレーン車による屋外吊り上げ作業。 設置。作業効率性・安全性の向上。 大型車両も格納整備可能な規模 大型車両も格納整備可能な規模 (空自・千歳基地) (空自・千歳基地) 塗装専用室(左)を併設し、照度を高めた明るい作業室 塗装専用室(左)を併設し、照度を高めた明るい作業室 (空自・千歳基地) (空自・千歳基地) ○14年度整備工場整備55箇所の内訳 陸上自衛隊(37箇所) 車両整備工場(24箇所) 海上自衛隊(8箇所) 車両整備工場(3箇所) 航空自衛隊(9箇所) 車両整備工場(2箇所) その他(1箇所) 車両整備工場(1箇所) 海田市、帯広(2箇所)、 習志野、豊川、桂、日本原、 対馬、今津、明野、金沢、 美幌、武山、久居、山口、 米子、釧路、鹿追、別海、 新発田、上富良野、島松、 真駒内、目達原 八戸、那覇、館山 築城、那覇 小舟渡 施設整備工場(6箇所) 施設整備工場( - 箇所) 施設整備工場(3箇所) 大久保、出雲、和歌山、鯖江、 富山、新町 需品整備工場(2箇所) 施設整備工場( - 箇所) 小牧、美保、防府南 需品整備工場( - 箇所) 需品整備工場(2箇所) 桂、春日井 需品整備工場( - 箇所) 入間、百里 機材整備工場(2箇所) 機材整備工場(3箇所) 上富良野、北千歳 八戸、館山、大湊 航空機整備工場(3箇所) 目達原、那覇、帯広 航空機整備工場(2箇所) 八戸、小月 機材整備工場( - 箇所) 機材整備工場( - 箇所) 航空機整備工場(2箇所) 防府北、築城 航空機整備工場( - 箇所) 【整備工場の種類及び業務内容】 車両整備工場 :自衛隊で使用する特別な輸送車両や戦車等を整備する 施設整備工場 :陣地構築や障害物撤去等に用いる重機等(ブルドーザー等)を整備する 需品整備工場 :落下傘や野営時の天幕等を整備する 航空機整備工場:航空機やヘリコプター等を整備する 艦艇整備工場 :自衛艦艇や艦艇搭載機器を整備する 機材整備工場 :通信機材や計測機器の各種装備品等を整備する