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別紙3(PDF:43KB)
(別紙3) 「砂糖及びでん粉に関する検討会」第1回砂糖分科会議事概要 1 日 時 10月18日(月)16:30∼18:30 2 場 所 三番町共用会議所(農林水産省分庁舎)特別会議室 3 出席者 分科会委員:別紙のとおり。 事 務 局:白須生産局長、染大臣官房審議官(生産局)、皆川大臣官房審議官 (生産局)、佐藤特産振興課長 4 議事概要 林座長より、前回台風により出席できなかった川井田委員の紹介に加え、近藤委員 及び森本委員が欠席し、森本委員の代理として永井氏が出席する旨の紹介があった。 続いて、佐藤特産振興課長より、提出資料の説明が行われ、各委員より以下の質 問・意見等があった。 林座長 : 大城委員より資料が提出されているので、説明頂いた後に、ご意見・ご質 問を伺うこととしたい。 大城委員: 沖縄のさとうきび・糖業について資料をお持ちしたので説明したい。前段 にも書いてあるが、さとうきびは、本県の基幹作物として県全域で栽培さ れ、台風、干ばつ等の厳しい自然条件下にあって、代替作物が困難な地域で 生産されているとともに、さとうきび原料による製糖を通じて雇用機会の少 ない離島の地域経済を支えている。また、資料の地図を見てもらえればわか ると思うが、沖縄県は離島県であり、製糖工場も広範囲に立地している。 沖縄は台風の常襲地であり、それが丁度さとうきびの栽培時期にやって来 るが、台風が来ないと雨が降らない。 さとうきびの離島地域に占めるウェイトは、収穫面積で71%、栽培農家 戸数で48%。代替作物がなく、地域の基幹作物であるということを理解頂 きたい。 林座長 : てん菜、さとうきびでかなり違うところもあるので、まず初めにさとうき びについてご意見を伺うこととしたい。資料2には、企画部会でどのような 議論がされてきたかということが整理されているが、第3回の企画部会で は、立花委員より、農業者が最大限の努力をしても克服できない要因をどう やって国民全体でサポートしていくのかということについて発言があった。 さとうきびについては原料生産コストの低減等が課題とされており、ご意見 やご質問等あればよろしくお願いする。 宮城委員: ただいま大城委員から説明があったが、沖縄は本土から遠く離れた離島 県。さとうきびと糖業はほとんどすべての島々に存在している基幹産業。農 家の7割、耕地の5割と農業上、土地利用上の大部分を占め、経済波及効果 4.3倍と、全産業の中で大きな雇用の場を与えている。このことが地域の 経済を支える基盤となっている。 また、バガスの畑地還元、燃料利用等によって自然循環型ゼロエミッショ ン社会の形成にも役立っている他、さとうきびの創り出す亜熱帯独特の風土 景観は、全国から沖縄を訪れる人々に、観光資源として潤いとやすらぎを提 供するなど多面的・公益的機能を発揮している。 過去400年にわたる長い栽培の歴史が証明するように、気象災害はある ものの、災害に最も強い作物であり、代替できる作物はない。 もし、さとうきび産業が衰退するようなことがあれば、島々の経済が急速 に縮小し、人口が流出し、地域社会が衰退と崩壊に向かい、無人島と化する 可能性がある。 こうした実態がある中、地元では、今後のさとうきび政策がどうなるのか 不安の声があがっている。委員の皆様には、このさとうきび産業の重要性を 是非理解していただきたいと思う。これからの検討に当たって、鹿児島・沖 縄のさとうきび産業が将来にわたって持続的、安定的に発展できる方向で、 生産と糖業を一体的に支援している現行制度が果たしている機能・効果等 が、財源面等を含め、前進することはあれ、後退するようなことがないよう 願い、期待するものである。また、この検討会で鹿児島、沖縄両県のさとう きび・糖業行政の責任を担っている県当局を早い機会に呼んでいただいて、 検討会において県としての方針を聴く機会を設けていただきたい。このこと をご提案申し上げたい。 篠原委員: 私も現地視察に行かせていただいて、現地の実情が厳しいということは認 識している。しかしながら、現下の国際化の流れ、消費者重視の視点からす ると、厳しいからといって、枠組みがこのままでよいということには結びつ かない。 国民に対して説得力のある説明を行い、国民のコンセンサスを得る必要が ある。 太田委員: 離島で農産物を作ろうとした場合、消費地への輸送コストが高くつくた め、競争力が弱く、なかなか他の作物に転換できない。また、さとうきびは クリーニング作物で、他の農産物を作るために必要であり、さとうきび自身 は連作障害が少ない。それに台風や干ばつに強いということで、気象災害を 受けても7、8割は残る。農業で島を生かすということになると、ベースの 作物として5割はさとうきび栽培にしないと安定的な農業生産には繋がらな い。他の農産物を考えるとしても、さとうきびのない島ということは考えら れない。 また、さとうきびはその島で製糖する。製糖コストの2/3は固定費で、 さとうきびの量がどれだけあるかによってコストが大きく変わる。よって、 糖業のコストを考えた場合には、一定量のさとうきびが必要ということを頭 の中に入れておいて欲しい。 他に何を作付けしたらいいのか明確にならない限り、さとうきびを外すこ とはできない。 永井委員代理: 鹿児島と沖縄で、農家戸数は3万戸である。農家一戸当たりの生産量 は45トン。粗収入は92万円位で、どんなに多く見積もっても、農家の正 味の手取りはせいぜい10万円ではないのか。極論としては、農家一戸当た り10万円をお支払いして、他作物に転作してもらえば、30億円の負担で 済む。現在の330億円もの交付金の1/10以下である。それでもさとう きびを作る場合は、ハワイのような観光さとうきび農園などにすれば良い。 これはあくまでも極端な意見で、こう言われかねないことを、鹿児島や沖縄 の関係者もよく認識していただきたい。しかし、このような極論は現実的で はない。他の作物への代替が困難であり、さとうきびに頼っている島もある ことも十分理解している。しかし今のままの状態を続けると、生産量が落ち 込むところが出てきて、第二、第三の伊江島が発生する。濃淡をつけて対応 する必要があるのではないか。例えば、さとうきび栽培の担い手になる島 と、非担い手の島とに分けて対応策を考えることが必要であろう。新たな対 応策を考えない限り、消費者の理解も得られないし、ユーザーの理解も得ら れない。 太田委員: 今のようなご意見があるのは我々も十分承知している。しかしながらそれ は、外海離島についてこれからどうやっていくかということにかかってい る。さきほど宮城委員からも提案があったように、次回に県の当局を呼んで、県の方針 を伺うということが賢明な検討のプロセスではないかと思う。次回までに県 を呼ぶということを提案する。 林座長 : 篠原委員からの問題提起によって、より大きな枠組みのところまで議論が 進んでいるが、枠組みに関しての議論はこのような感じでよろしいか。 篠原委員: ここで議論されていることはHPに公開され、一般の人達の目にも触れ る。玄人の論理ばかりで話をしても何にもならない。一般の人達をどんどん 巻き込んでいかなければならない。今みたいな議論をてん菜についてもどん どん活発にやっていった方がよい。 久野委員: 永井さんからドラスティックな意見がでたが、市場原理、国際情勢の状況 からすると、これは当然の意見。日本の財政問題も重要であり、国民的な理 解も必要であることから、今のまま残しておくのがいいのかどうかを議論す る時がきたと思っている。中身を国民にもはっきりとわかるような形にして 残さないといけないと思っている。したがって、鹿児島や沖縄県の担当者を 呼んで議論するのはいいこと。この制度の中で、現実としてやってきて、ど ういう経済効果があったのかということをはっきりとしてもらわないといけ ない。 2番目に、こういう情勢については、沖縄・鹿児島の糖業関係者は、十分 理解していると思う。沖縄・鹿児島については、本当だったら永井さんの言 うとおり、経済原理からすると競争力のないものはやめたらいいということ になる。転業資金を出してやめたらいい。しかし、そうはいっても、現実そ こで生活をしている人が存在している。沖縄、鹿児島の関係者は、今後5年 なり10年という期間で、どのようなさとうきび生産を残していくのか、ま たそれにどのような決意で臨むのかということを明確にすべき。そうすれ ば、国の政策としてどこまでそれを理解し、支援していくのかということに 繋がる。これから5年、10年でどれだけ国の財政負担が必要であり、その 中でどういう努力をするかということを明確にしなければ、財政負担の問題 は解決しないのではないか。 3番目に、資料には沖縄、鹿児島についても市場原理を導入すると書いて あるが、現実問題として、沖縄の国産糖企業は資本系列化している。ある資 本系列が40%のシェアを握ってしまった場合、果たして本当に市場原理が 機能するのかどうか。 大城委員: 市場原理だけで考えてしまうと沖縄、鹿児島南西諸島のさとうきびは成り 立たなくなってしまう。さとうきびの経済波及効果は4.3倍とでており、 170億円のさとうきび原料があるので、概ね700∼800億円といった 非常に大きな効果がある。 もう一つ、農業面だけではなく、国土、領土、国防上の必要性がある。先 ほど資料をお配りしたのは、そういう意図もある。農業だけの問題ではな く、これだけ広範囲に分布しており、領土の問題、島から人がいなくなって しまうと尖閣諸島のような問題もある。これだけの広範囲の海洋の中に島が 点在しているということは、日本の国土を維持しているということ。農民達 はそれを認識している。今日は農業の問題、さとうきびの問題だったので申 し上げなかったが、これは、経済効果以上の効果がある。 さとうきびのCO2削減能力はイネ科の2倍、スギの木の4倍である。さ とうきび100万トンで64万トンのCO2を削減して酸素を46万トン生 産すると言われている。環境面においても、沖縄にとってかけがえのない作 物。また離島ではこれに代わる作物がない。この点については、10月1日 のさとうきびの価格要請の中でも、沖縄の先生に強く要請申し上げ、沖縄の 先生は4、5名しかおられない中で、畑作小委員会においても、大部分の先 生方にも認めていただき、我々の要請項目6項目ほとんど認めていただいた ということなので、皆様方も御理解頂きたい。 有田委員: 今回の資料を読んで、関係当局の気持ちがにじみ出ていると思う。私自身 も会社経営をやっているが、現在の状況は、とてもじゃないけどやっていけ ない状況であると思う。しかしながら、すべてを経済合理性だけで置き換え るということは実際は難しいだろう。それは、各国が農業に対していろんな 保護政策をやっている。それは経済合理性の中でどうやってやっていくのか ということを考えたときに、沖縄の離島の問題について、さとうきびの価 格、砂糖という商品だけにおんぶにだっこでやっていく今のあり方に最大の 問題があると思う。砂糖という商品だけで消費者に負担させながらやってい くということだけで本当にいいのか。国が出ていってやっていくものはやっ ていかなければならない。それは経済合理性とは別の問題。経済合理性とい うのは、さとうきびを生産するならば、さとうきびが経済合理性にどうやっ たらかなうかということであり、それで価格的にはどの程度までできるのか という線引きが必要。そういう中で、一通り国民の合意が得られる意見を出 さないと、なかなかピンとこない。企業努力しても、それが無理ならば倒産 する以外にない。それが我々に日々現実に課せられている課題。それが抜け ていると思う。だが、全部それでやると成り立たない部分がある。スイスで 牧場が経営されているが、あれでは基本的に成り立たない。それを観光とい う観点から成り立たせようというような努力をしている。全部残すというこ とではなくて、少し視点を変えて、どうすれば成り立っていくかということ を考えていかなければならない。 林座長 : とてもいい論議をしていただいたのではないかと思う。生産局が用意した 資料3には、「大きな内外格差の下、現行制度のように価格調整の枠組みを 維持するというのが前提」とある。そして7ページには、いかにさとうきび が重要で、南西諸島に適した作物かということが書いてある。しかしなが ら、この前提に基づきながらも、問題として提起されているのは、現行の1 5社17工場体制が本当にいいのかということ。競い合うような関係にある のならばともかく、1社17工場ではいけないのか。15社では、それだけ 社長がいるということ。これを国で全部面倒見てるということになれば、も う少しこれを合理化できないかという疑問がでてくる。これを考えていただ かなければならない。 また、春植えについてはどうか。春植えは私も視察に行った際に、台風の 被害があまりにも大きかったが、これについてどう考えるか。 それと、零細な生産構造の中で、生産法人が順調に増えてきてはいるが、 これをもっと加速させるということも提案されている訳で、少なくともこの 3つについては、どう考えておられるかということについて、次回にはお聞 かせ願いたい。 田中委員: 実態について分からないところがある。生産が減少していること、農家戸 数が減少していること、生産法人は増えているということは分かるが、農家 の年齢構成がここ10年でどのように変化してきているのか。また、県は今 後生産が減少していくなかで、今後の見通しをどのように考えているのか。 また、後継者の状況はどうなっているのか。このような実態が分からないの で、果たして工場を統合すれば済む問題なのか分からないところがある。単 に農業の問題でないというのなら、国としてこれをどう見ることができるの か。難しいことは分かるが、農水省の枠にとらわれない議論が必要かも分か らない。 林座長 : 今、永井さんから大きな枠組みについての指摘があり、また、他の委員か らも提案・問いかけ等もあった。これらについては、次回議論することとし たい。 また、宮城委員や久野委員から指摘のあった、沖縄・鹿児島両県の担当者 を呼んで意見を聞きたいということについては、事務局にお願いしておきた い。 次はてん菜についての議論をお願いする。てん菜については、内外価格差がさとうき びより小さく、面積は増えていないものの、生産量が増加しており、本来で あればありがたいことだが、これについても全体需給のバランス等の問題が 起こってきている。何か御意見があれば。 山口委員: 生産者団体として基本的なスタンスを述べたい。環境に優しく、持続可能 な畑作農業を確立するためには、輪作体系の維持が極めて重要であり、その 中でビートは根菜類として非常に重要な作物である。60年産からは、我々 生産者団体自ら指標面積を設定し、計画生産に取り組んできた。今後、品目 横断的経営安定対策が導入される際には、輪作体系の維持に着目した国内生 産のあり方、また、努力した生産者が報われる観点からの制度として頂きた い。 2つ目に、今回提示された資料についての我々の考え方を述べる。まず前 提として、砂糖のみならず日本農業全体の食料供給力をどう考えるかを整理 した上で、手法論・財源論等の各論を議論するべきではないか。今回提出さ れた資料を見ると、砂糖の全体需給のあり方、国際的枠組みとの整合性なら びに経営安定対策との関係をパッケージとして整理できていない中で、輸入 糖と国内産糖の数量バランス、財源論の話が先行している印象を否めない。 さらに、農産物であるから豊凶変動は避けられない中で、近年のビートの生 産量を問題視しすぎているのではないかと思う。たまたま3年間豊作だった だけで、4、5年前は不作。この豊作が制度に与える影響については我々も 十分認識し、憂慮しており、生産者自らの取組に加えて、必要な対応につい ては現在関係者と協議しているところであり、その中でも国の強い指導力が 期待される。民・民でやる、という話にはなかなかならない。いずれにして も、砂糖増産による市況への影響を回避する手段として、白糖の一定生産量 を超えるものを、原料糖として精製糖企業に引き取ってもらっていること で、苦しい面もあるが、北海道では担い手も頑張っており、21世紀の日本 の食料基地として一所懸命やっている。月末には、座長はじめ委員の方々も 北海道を視察に来られるとのことだが、是非生産・製造の現場を良く見て頂 いて、てん菜の生産はどうあるべきか、議論の糧として頂きたい。 永井委員代理: そもそも、ビートはその発生からして、さとうきびに比べて高コスト であるため、何らかの保護措置は必要である。実際、欧州では保護措置をと っている。更に、ビートは輪作体系に組み込まれているので安易に転作を迫 ることが出来ない。一方では、需要と供給のミスマッチが生じている。今 年、77万トンのビート糖が作られるが、そのうち32万トンはビート原料 糖として精製糖企業に回される。実に41.5%に達する。これはビート白 糖としては売れないもの、すなわち需要のないものを生産していることにな る。日本ではビート白糖の市場は45万トンであることを前提に、それを踏 まえた対策が必要ではないか。 今年は市場最大の豊作だが、近年種苗メーカーの種子の改良は著しく、今 後も増産は続くのではないか。ビートの種子の状況はよく分からないが、我 が業界が関連しているとうもろこしでいえば、今年は米国は史上最大の豊作 である。作付面積は変わっていないのに、種子の改良で、単位面積当たりに 播く種子を増やしたりして増産している。日本のビートの場合、作付面積の 上限があるが、これでは抑制効果はないのではないか。生産数量に上限を設 け、それを保護すべき対象にしたらどうか。EUの砂糖制度では、A枠とB 枠のほかに国際価格での輸出や翌年繰越に回されるC糖がある。日本でも、 保護対象ビート糖とそれ以外に分けて、保護対象のビート糖は然るべき価格 で買い上げて、それ以外は農家のリスク・アンド・アカウントで生産するよ うにしたらどうか。そうでなければ、一般の方の理解を得にくいように思う が。 また、集荷製造経費のうち、集荷経費を農家負担とし、買入価格を工場持 ち込み渡しとすれば、適地適作が計られるのではないか。 林座長 : ビートに関する議論のポイントは3点あると考えられ、1点目は、資料3 のP.11の表を見ると、12年から16年見通しまでの5ヶ年間、原料糖 の生産量が一定のリズムを持って伸びてきている。これはたまたまではない のではないか。この伸びをどのように考えるのか。 2点目として、先程の永井委員の指摘された、集荷区域制度に関連して、 現在生産者ではなく引き取り手の工場側が集荷経費を負担していることをど のように考えるか。 3点目として、直播栽培を拡大してコスト削減を図ることについて、どの ように考えているか。 まず、原料糖が増加していることについて、意見があれば。 久野委員: 今までビート業界との線引きはそれなりに機能してきたと考えられるが、 ここ10年程増産が続いてきた。精製糖業界としても混糖率の問題があり、 一定数量以上は引き取れない。今は混糖率が15∼20%程度になって困っ ているが、補助金を払っているものを捨てられるわけでもない。過去10年 で2回ほど増産があり、引き取りたくはなかったが、引き取ってきた。しか し、ここ3年間増産が続いており、行政は天候が要因だと言っているが、現 在増産が出来るシステムになっているのではないかと考えている。それでも 北海道が「どうしても作らなければならない」というのならば、対処も考え なければならない。現在調整金勘定は大幅な赤字になっている。これは輸入 糖が減って、国産糖が増えているからである。そのうち1,000億円にも なったときに、この赤字を誰が負担するのか。国が負担するのか、あるいは 価格に織り込むのか。これは非常に重要な問題である。このことを経営側は 知っていても、生産者は調整金勘定が赤字にあることさえ知らない。「精製 糖企業が現在原料糖制度で引き取っているものを、いらない。完全自由化 だ。」としたほうが我々も生き残れる道となるが、そのときの財源は国が負 担する必要がある。そうならないように現在の制度を維持するには適正なバ ランスが必要なのに、ビートの過剰生産からバランスが取れなくなってきて いる。 P.9にはてん菜糖の内外価格差は2.8倍とあるが、実際の周辺インフ ラ整備等の経費を含めると、もっと高いのではないか。輸入糖から精製糖企 業が作った砂糖の内外価格差が( )内にあるが、国産糖がなくなったこと を前提に、調整金負担41円がなくなったとすれば、精製糖は45円程度で 作れて、加糖調製品や異性化糖の需要を奪え、砂糖需要も伸びるのではない か。また、タイで砂糖を精製して輸入経費をかけたとしても、現状で日本に 42円程度で輸入できると思うが、我々も努力して45円で作れれば、品質 面や食品の安全面といった点で十分勝負できると考えている。もし、精製糖 業界がこの調整金負担を放棄せざるを得ないとなれば、北海道や沖縄・鹿児 島がもたない。この生産を維持するための調整金負担800∼900億円の うち、70∼100億円は我々精製糖企業が持ち出している。精製糖企業が 負担している調整金は、価格に転嫁したくても、市場原理の中では全ては回 収できない。このように精製糖企業が調整金を持ち出しで負担できるのも、 最大限の合理化をしているから可能なのである。もし、ビート糖が増産し て、製品としてどんどん市場に流れてくることとなれば、完全自由化せざる を得ない。従って、どのようにバランスを取るのか、どうすれば恒常的な制 度となるのかを考えなければならない。国の補助金を精製糖企業が負担して いることについて、ここに主計官を呼んでどのように考えているのか、どう 対処するのか聞く必要がある。砂糖の価格に41.5円の調整金が入ってい ることなど消費者は知らない。 高柳委員: 糖業者の代表として意見を述べる。基本的スタンスは山口委員と一緒であ り、北海道の輪作作物としてのビートをどのように位置付けるかということ について、品目横断的経営安定対策への転換という中で、検討対象となっているところ である。新しい制度の中でどうしていくかということが検討されているが、 畑作4作物の輪作については、60年から指標面積を生産者団体に策定して 頂き、61年からは糖分取引が導入され、品種や栽培方法等について生産者 の努力が続けられてきた。近年増産が続いており、気象要因だけではないの ではないか、との意見があることは知っているが、私は8割は気象要因だと 考えている。仮に、45万トンの白糖生産だけだとして、それを面積に当て はめると、北海道の輪作体系が崩壊することとなる。輪作体系を維持するた めに他の作物を作るということになれば、今度はその作物の需給バランスが 崩壊してしまう。従って、出来過ぎたものは是正しなければという考えは分 かるが、その具体的数字については、今後の畑作物の生産目標・自給率との 関連を見て解決していきたい。 昭和40年に糖安法が成立し、甘しゃ糖・ビート糖・精製糖の分野間のバ ランスを維持した状態で今まで制度が運用されてきた。我々も全く努力しな いで新しい波に向かうというわけではなく、糖業者・生産者は今後も粛々と 合理化に取り組んでいく。ビート増産への対策も行っていくが、砂糖政策全 体のバランスを取っていく必要がある。 篠原委員: 調整金負担をやめれば砂糖価格が下がるというが、逆に、今は消費者負担 が高い調整金を払って砂糖を買っているということ。一定の消費者負担も仕 方ないということになれば、改革していくとしても、どの業界も痛みを負担 しないと消費者は誰も納得しない。 白須局長にお聞きしたいが、現在国際的にWTO・FTAの流れがあると 思うが、先日ハノイで小泉首相が「コメはNo。それ以外はOk。」と発言 したという報道がなされたが事実なのか。もしそうなら、タイだけでなく、 海外から安い砂糖が色々入ってくるわけで、「砂糖を守る」といった話を前 提に今後の在り方の設計図を書いても吹っ飛んでしまう。そのようなことを 想定しているのであれば、その場合における今後の設計図を示してもらう必 要がある。 久野委員: ビートと精製糖企業は共存・共栄という車の両輪のような関係だが、片方 が倒産したらだめになる。共存するには公平な形でなければならないが、公 平な形を作るためにはどうすればいいか、それが全体として消費者のために なるのか、議論していく必要がある。 中村委員: 資料3で、事務局が問題提起していることについて質問がある。「現行の 枠組みを維持する必要がある」と整理されているが、この中で経営安定対策 や直接支払い、市場原理導入がどのように位置付けられるのか不明確であ る。また、緑の政策にするとはどういうイメージか。また、最低生産者価格 はどうなるのか。 次に、経営安定対策の対象となるさとうきびについて、規模要件で絞ると 小規模農家の営農が困難になると考えられるため、生産組織等を含めて安定 生産確保に着目して、経営形態を検討して欲しい。 市場原理の導入に関連して、価格形成については、「市場取引は想定し得 ない」と整理されているが、需給動向が反映されるのか疑問である。また、 糖業者と生産者の間での収入配分について、市場原理の徹底や需給動向の反 映が本当に図れるのか。逆に生産者と糖業者の間で取り合いのような形にな るのではないか。生産者と糖業者は車の両輪なので、両者が納得して取り組 める仕組みとする必要がある。取引形態や収入配分について整理されている が、他にも生産性努力・合理化努力に対するインセンティブが働く仕組みが あると思うので、モラル・ハザードの問題も考えに入れつつ、ここに提示さ れたものに限定せずに検討してもらいたい。 林座長 : もちろんここでの整理に限らず、どんどん提案して頂きたい。現行てん菜 糖企業3社8工場体制も絡めて、集荷区域制度についてどう考えるのか、ま た、直播の拡大の問題について、ここでの整理が全てというわけではないので、次回改 めて議論することとしたい。また、関係委員には積極的に具体的な提案をし て頂きたい。 久野委員: 我々も現在検討中のものを次回提出しようと考えているが、ここで幾つか 質問したい。 まず、でん粉の抱き合わせについて、この法的根拠はどこにあるのか。次 に、現在国産糖の自給率は40%程度となっているが、輸入糖調整率は3 3.77%である。この間には大きな乖離があり、虚偽の調整率ではない か。今は自給率34%に基づいて調整率を計算している。この矛盾によっ て、我々は多めに調整金が取られているということで、返還訴訟などは起こ さないにしても、これは大きな問題。 佐藤課長: 各委員からの御意見については、対立点等を整理した上で次回提出した い。また、田中委員の農家の年齢構成等の資料については、現在具体的なデ ータが手元にないので、次回までに整理して提出したい。 田中委員: 久野委員は主計官を呼んで考え方を聞くといっていたが、実際には、主計 官1人で決められるものではないので仕方がない。農水省も十分把握してい ると思うので、調整金と交付金の関係については次回伺いたい。 佐藤課長: さとうきびの農業以外の観点からの支援については、農水省だけでは判断 できないところもあることから、関係省庁ともよく連携を図って対応した い。また、この場に沖縄・鹿児島県当局を呼んで話を聞くことについても、 両県には話をしておく。調整金収支、国と精製糖企業の調整金負担の考え方 について主計官に考え方を聞く点については、予算編成期でもあり先方も多 忙のことと思うので、そのような意見があったことについて責任を持って私 から先方に伝えたい。 久野委員: 実際に主計官に調整金収支の話をしても、向こうに認識がない。このよう な場所で話を聞いて、実態を認識してもらう必要がある。向こうは完全にガ ードしている。国が負担する必要があるときは、ちゃんと負担しなければ。 佐藤課長: 調整率が実態の自給率と乖離している、という指摘について、実態ベース で調整率を策定すべきだが、調整金を上げられないという事情もあり、各方 面のバランスを見ながら率を設定している。この調整率が調整金収支を悪化 させているという事情も分かるが、調整率は国産糖と輸入糖とのバランス等 諸々の事情を総合的に判断して設定していることを御理解頂きたい。 でん粉の抱き合わせについては、法律的な根拠はなく、関税割当の公表の 中で措置されている。 緑の政策について、そもそも品目横断的政策を導入する際には、緑の政策 に移行させる観点から検討されているものであり、「当該年の生産量ではな く、過去の生産面積に基づいて支払いを行う」仕組みに変えることにより、 削減対象とならない緑の政策に移行するというものである。これは品目横断 的対策に移行する農産品全体としての考え方であり、この場では砂糖及びで ん粉についてどのような形のものにしていくかということについて検討する 必要があると考えている。 最低生産者価格をどうするかということについては、品目横断的政策への 移行に当たっては、今までの内外価格差を是正する措置は廃止するというこ とを前提とした上で、原料取引価格については市場原理を導入するために生 産者と糖業者の収益分配方式が導入できないかということを提案させて頂い た。 収入分配方式は機能しないのではないかという指摘については、別の案が あれば示して頂いて、今後この場で議論して頂きたい。 白須局長: FTA交渉について、米を除外とする点については両首脳間で合意した が、それ以外の品目について関税撤廃や関税削減等を約束したわけでは全く ない。その他の品目については、交渉のテーブルに乗せることを確認したと いうこと。 また、久野委員の指摘のとおり、これまでは糖価調整制度は合理的な制度 だったが、現在負担感のアンバランスが顕在化してきた。このような状況を 踏まえ、本検討会を立ち上げ、負担の公平感・バランスを取り戻すためにど うすべきかの議論をして頂いているところである。従って、市場原理の導入 の方法や最低生産者価格の今後のあり方、ビート糖が増産傾向にある中で無 条件に交付金は支払われるべきか、等について委員の方々の御意見を頂き、 今後議論していきたい。また、篠原委員等が指摘されたとおり、国民に納得 して頂ける説明がなされなければ、現行制度は維持できないのではないかと 考えている。 先程久野委員の指摘に、調整金が0なら海外の精製糖にも対抗できるとい う発言があったが、ほとんどの砂糖を生産している先進国では輸出の際に補 助金を出している。これがない状態で、はたして途上国やタイ、豪州に勝て るかということ。我が国でもなかなか難しいと考えられるため、高い関税等 を課すことで全体のシステムを維持しているのが現実である。 新たな枠組みに移行する際には、それぞれのサイドがどのように痛みを負 担するのか、どのように市場原理を導入するのか、また、その際にはどのよ うに合理化していくのか等について、それぞれのサイドの地域での役割や農 業の多面的機能、輪作体系における位置付け等についても考慮しながら議論 して頂きたい。 その後、佐藤特産振興課長より次回以降のスケジュールの説明があった。