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第 40 講 生態系における物質の流れ

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第 40 講 生態系における物質の流れ
基礎から分かる生物基礎
第 40 講 生態系における物質の流れ
炭素循環
炭素は生物的環境内を主に有機物として、各栄養段階を移行し、非生物的環境内を主に無機
物である二酸化炭素として移行している。
大気中CO2
大気中CO2
呼吸
呼吸
燃焼
光合成
生産者
捕食
有機物
化石燃料
消費者
有機物
分解者
1. 大気中から生物的環境へ
非生物的環境の大気中や水中に溶けた二酸化炭素(CO2)は、光合成によって生産者
に有機物として取り込まれる。
2. 各栄養段階での移行
生産者が取り込んだ炭素は、一部は呼吸によって大気中などの非生物的環境に戻るが、
一部は捕食によって消費者に取り込まれ、残りは枯死や脱落によって分解者に取り込ま
れる。
3. 分解者への移行
消費者が取り込んだ有機物の一部は、呼吸によって大気中などの非生物的環境に戻るが、
残りは排泄物や遺体として分解者に取り込まれる。
1
第 40 講 生態系における物質の流れ
4. 分解者から非生物的環境へ
分解者が取り込んだ有機物は、分解者の呼吸によって大気中などの非生物的環境に戻る。
分解されなかった有機物は、化石燃料などとして非生物的環境中に蓄積され、これが燃
料として消費されることで、二酸化炭素となって大気中に戻る。
まとめ
非生物的環境から生物的環境へ・・・光合成により移行
生物的環境内の移行・・・捕食など、食物連鎖の関係により移行
生物的環境から非生物的環境へ・・・呼吸により移行(一部、化石燃料の消費)
これらの作用により、炭素は非生物的環境と生物的環境の間を循環している。
2
基礎から分かる生物基礎
窒素の循環
空気中の窒素が雷などの空中放電でアンモニアとなり土中に溶け込む。植物がこれを吸収し,
体内でタンパク質や核酸などの窒素有機化合物を合成し(窒素同化),食物連鎖によって生
態系内に広がる。分解者などによって,遺体や排泄物がアンモニアに分解され,一部のアン
モニアは脱窒素細菌の働き(脱窒)によって窒素になり大気中に戻る。
空中放電や
窒素固定
脱窒
大気中 N2
分解者
遺体・排泄物
生産者
捕食
消費者
亜硝酸
アンモニア
亜硝酸菌
硝酸
硝酸菌
硝化
土中のアンモニアは、亜硝酸菌にも取り込まれ、亜硝酸がつくられる。これを硝酸菌が取り
込んで硝酸を合成する。この過程を硝化という。植物は根から硝酸を取り込み、体内でアン
モニアに合成しなおして、タンパク質などに利用する。
窒素固定
大気中の窒素を直接体内に取り込んでアンモニアを合成すること。窒素固定細菌によって行
われる。
窒素固定細菌
根粒菌・・・マメ科植物の根に共生し、窒素固定により得たアンモニアを宿主植物に与え
る代わりに、宿主植物が光合成でつくった有機物をもらって呼吸を行う。
アゾトバクター・・・窒素固定を行う好気性細菌
クロストリジウム・・・窒素固定を行う嫌気性細菌
ラン藻類・・・ユレモ・ネンジュモなど
3
第 40 講 生態系における物質の流れ
エネルギーの移動
熱エネルギー (宇宙空間)
呼吸
光エネルギー
呼吸
光合成
生産者
捕食
化学エネルギー
消費者
化学エネルギー
分解者
エネルギーは光エネルギーとして生態系内に入り,最終的に熱エネルギーとして生態系外に
放出され,循環しない。
(有機物がもつ化学エネルギーは,呼吸によって一部がATPのエネルギーとして保存され
るが,残りは体温などになって,熱エネルギーとして放出される。ATPのエネルギーも,
利用されるときに熱エネルギーとして放出される。)
4
基礎から分かる生物基礎
次の文章の空欄に適当な語句を入れよ。
植物などの( 1 )者は,太陽からの光エネルギーを使って( 2
)物から(
3 )
物を合成する。この過程で光エネルギーは化学エネルギーに変換される。この(
物に含まれる化学エネルギーは,摂食を通して動物などの(
らに(
1
)者も(
4
)者も死後,微生物などの(
物に戻される。この過程を通して,( 3
3
)
4 )者へと移行する。さ
5
)者の働きで(
2
)
)物の持つ化学エネルギーは熱エネルギーと
して環境に放出されるが,物質は循環することになる。
大気中に分子状( 6
)として大量に含まれている(
6 )原子は,生物のからだを
作るタンパク質などに含まれている。( 6 )は( 7 )を行う原核生物であるラン
藻や一部の細菌などによって生物界に導入される。生物の遺体や排出物中の( 6
含む(
3 )物は(
5 )者により(
8
)イオンに変えられる。(
)を
8 )イオ
ンは土壌中や水中の細菌の働きで硝酸イオンに変えられる。これを( 9 )作用という。
(
1 )者は( 8 )イオンや硝酸イオンを吸収し( 6
)同化を行う。(
4 )
者は( 1 )者を摂食し,消化・吸収してタンパク質などを作りあげる。ある種の細菌
は硝酸イオンを還元して( 6 )ガスとして大気中に放出する。これを(
う。
5
10 )とい
第 40 講 生態系における物質の流れ
図は,生態系における物質(炭素と窒素)の循環を示したものである。問1~6に答えなさ
い。
図中の
は炭素の動きを示し,
A
EA
は窒素の動きを示している。
A
EA
Cを二次消費者としたとき,◯
A,◯
B,◯
Dに相当する所は,それぞれ何という
問1 図中の◯
A
E
A
A
A
E
A
A
E
A
A
E
か。
問2
番号 1 のところではどんな事が行われているか。
問3
番号 4 , 5 , 6 のところではどんな事が行われているか。
問4
4 , 5 , 6 と同様の事が行われている所があと一か所ある,それはどこか
番号で答えなさい。
問5
29 , 30 を行っている生物はそれぞれ何か,代表的な生物をそれぞれ1つずつ
あげなさい。
問6
図中の流れを示す矢印の中に誤った所がある。それはどの部分か番号で答えなさい。
6
基礎から分かる生物基礎
次の文章を読んで後の問い(問1~問6)に答えよ。
生態系では,光合成,呼吸, 1
,遺体の分解などを通して物質の循環がみられる。物
質の循環にともなってエネルギーもまた移動する。生物群集と環境との間で循環している物
質の中で特に重要なものは炭素と窒素である。これらは, 2
素化合物の
2
3
である
,窒素の
5
4
3
,無機窒
および呼吸・排出・分解などを通して循環する。
は,光合成によって生産した有機物と,土の中からとりいれた簡単な
窒素の化合物とから最終的に
6
, 1
が行う炭酸
6
を作る。
7
を食物としてとりいれ,その一部を体内で
である動物は,
8
や
9
2
が作った
などの窒素化合物に変え
て,尿として排出する。
生物の排出物や遺体は,分解者によって分解される。このとき,
1
8
などの化合物に変えられ,再び
2
6
中の窒素は,
によって利用される。
多くの生物は,体積で空気中の約 80%をしめている窒素を直接利用することはできない。
しかし,アゾドバクターやクロストリジウムなどの細菌やある種のラン藻類は,窒素の
4
によって
11
などは,2単独でも生活できるが,窒素
12
を自身で利用するだけでなく,マメ科植物から炭水化物を得て,大気中の窒素からつ
くりだした
10
10
を作ることができる。また,マメ科植物の根の中に生活している
4
を行い,それによって作られた
をマメ科植物に与えている。
問1
文中の
1
~
12
に適切な語句を記せ。
問2
下線部1で示した窒素循環の流れの中で, 2
は,土壌中に含まれる無機窒素化
合物をどのようなかたちで吸収するか,適切な語句を記せ。
問3
窒素は,生命活動に必要な物質の成分として欠くことができない元素であるが,ど
のような物質の成分となっているか,適切な物質名を三つ記せ。
問4
土壌中での窒素化合物の変化に大きく関与している細菌を二つ記せ。また,それら
の働きをまとめてなんと呼ぶか,適切な語句を記せ。
7
問5
土壌中での窒素化合物の変化に必要な元素は何か,適切な元素名を記せ。
問6
下線部2で示した個体群どうしの相互作用を何というか,適切な語句を記せ。
第 40 講 生態系における物質の流れ
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