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生活道路における車両側からの速度制御アプローチが 高齢運転者に

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生活道路における車両側からの速度制御アプローチが 高齢運転者に
生活道路における車両側からの速度制御アプローチが
高齢運転者に与える影響計測の試み
― 平成 24 年度(本報告) タカタ財団助成研究論文 ―
ISSN 2185-8950
研究代表者
小沢 愼治
研究実施メンバー
研究代表者
愛知工科大学 工学部
小沢 愼治
研究協力者
愛知工科大学工学部
小塚 一宏
愛知工科大学工学部
手島 知昭
愛知工科大学工学部
尾林 史章
愛知工科大学工学部
中谷 周平
公益財団法人豊田都市交通研究所
安藤 良輔
公益財団法人豊田都市交通研究所
三村 泰広
公益財団法人豊田都市交通研究所
小野 剛史
報告書概要
交通事故の被害程度は衝突時の車両の走行速度が大きく関係している.特にわが国
の生活道路では自動車,歩行者,自転車が共存することが多く,自動車側に安全な速
度を促すためハンプや狭さくなどが整備されることがある一方で車両側から適正な速
度に制御するISA(Intelligent Speed Adaptation)が「効果が見込まれる」と報
告されている。本研究では生活道路において ISA 車両側から速度制御を行うこととし
て、その方法と高齢運転者に与える効果についてドライビングシミュレータ(以下D
S)を用いることで評価し,導入・推進にあたっての基礎的知見を得ることを目的と
している.
まず,高齢運転者の走行挙動,運転意識に関する一般的傾向を整理し,走行挙動や運転意識
は身体機能低下や心理的特性の傾向により非高齢者と異なること,およびISAが速度超過を
減少させる可能性が高いことを明らかにした.次にDSを用いて,通常走行時と速度制御時の
運転挙動の違いを年齢層別に,速度・アクセルストローク・ブレーキなどの挙動を計測するこ
とによりISAが有効であることを見出した.さらにISAが高齢運転者の心的負担に与える
影響をDS走行中に眼球運動計測装置(アイマークレコーダ)から得た瞳孔径データとアンケ
ート調査により受容性が高いことを見出した.
目
次
第 1 章 はじめに ·························································· 1
第 2 章 高齢運転者の走行挙動,運転意識に関する一般的傾向 ·················· 2
第 3 章 速度制御技術に関する現状 ········································· 4
第 4 章 実験方法 ·························································· 6
4.1
実験概要 ···························································· 6
4.2
実走行実験 ·························································· 6
4.3
DS実験 ··························································· 10
第 5 章 実験結果 ························································· 14
5.1
車両側からの速度制御が高齢運転者の走行挙動に与える影響 ·············· 14
5.2
車両側からの速度制御が高齢運転者の心的負担に与える影響 ·············· 18
5.3
車両側からの速度制御が高齢運転者の運転意識に与える影響 ·············· 24
第 6 章 おわりに ························································· 28
参考文献 ································································· 31
付録 ····································································· 33
<参考資料 1> 実走行と DS 走行との比較 ···································· 33
<参考資料 2> 調査票 ····················································· 38
<参考資料 3> 簡易市街地 DB 製作仕様書 ···································· 51
第1章
はじめに
平成 24 年の交通死亡事故死者数は 4,411 人と 12 年連続で減少傾向にある一方で,
高齢者の占める割合,居住空間に近い狭隘道路である生活道路での占める割合が高ま
っている.平成 23 年 3 月に作成された第 9 次交通安全基本計画の中でも重視すべき対
策の視点として掲げられているなど今後,高齢者・生活道路をキーワードとした安全
対策の重要性は極めて高い.高齢者は身体機能の低下等による交通事故時の致死率の
高さが知られており,まずは被害をいかに軽減するかという視点に注目する必要があ
る.
交通事故の被害程度は衝突時の車両の走行速度が大きく関係している.特にわが国
で広域に広がる生活道路は自動車,歩行者,自転車が共存する空間であることが多く,
自動車側に安全な速度を促すためハンプや狭さくなどの物理デバイスが整備されるこ
とがある.しかしこのようなデバイスは,特にわが国では騒音・振動の発生を懸念す
る住民側の意向から設置箇所が制約されることも多い.一方で近年,特定地域におい
て車両側から適正な速度に制御する ISA(Intelligent Speed Adaptation)などの技
術開発が欧州を中心に進展している.わが国でも平成 22 年 3 月 9 日に開催された内閣
府の最高速度違反による交通事故対策検討会の中で「ISA は最高速度を遵守させるた
めの対策として広く効果が見込まれる」と報告しており,導入の可否について検討の
必要性に言及している.物理デバイスのような騒音・振動による住民側からの制約が
想定されない ISA は,広く運転者に受け入れられるとともに,その効果の検証が適切
に行われれば,わが国の生活道路における走行速度規制の実効性を担保する革新的対
策になるものと考えられる.
いずれの ISA についても,わが国ではまだ導入に向けた本格的な議論が行われてい
るとはいえない.わが国への導入を考慮するならば,まずはわが国の運転者への効果
に関する様々な研究蓄積を積み上げ,実現に向けた課題を明確化し,その解決を図っ
ていくことが重要である.
以上より本研究では生活道路において ISA のような車両側からの速度制御アプロー
チが高齢運転者に与える効果についてドライビングシミュレータを用いることで把握
し,我が国における対策導入・推進にあたっての基礎的知見を得ることを目的として
いる.
1
第2章
高齢運転者の走行挙動,運転意識に関する一般的傾向
高齢運転者の走行挙動や運転意識についてはこれまで様々な形で検証されており,そ
れを網羅的に整理した社団法人自動車技術会「高齢運転者適性ハンドブック」1)が詳し
い.ここでは当該ハンドブックにまとめられた高齢運転者の走行挙動や運転意識につい
て簡潔に紹介するとともに,それを踏まえたISAの導入意義について若干の考察を加え
る.
高齢者の身体的特性としては,動体視力の低下,視野の狭小,コントラスト感度の低
下,暗順応の低下,グレアの増大,高音域を中心とする聴力低下,反応時間の「むら」
の増加,複雑な作業を同時に行うときの速さと正確さの低下,衝撃耐性の低下,疲労回
復力の低下などが挙げられる.これらが具体的にどのような挙動や事故・違反につなが
るかについてまとめているのが表2.1である.
次に心理的特性として,複雑な情報を同時に処理することが難しい,運転が自分本位
になり相手に甘えがち,注意力の配分や集中力の低下などが挙げられる.これにより多
くの情報処理が必要となる右折時の事故や相手の意図と自らの意図との相違により生
じるサンキュー事故などが起きやすいといわれる.
また心理的特性にも関わる運転的特性として,過去の経験にとらわれる,意識と行動
のミスマッチの増加,見込み違いを生む「慣れ」と「だろう運転」の増加,個人差の増
大などが挙げられる.
以上のように,高齢運転者の走行挙動や運転意識は身体機能低下や心理的特性の傾向
により非高齢者と異なる様相となる.とりわけ,運転時の初期の反応である認知部分に
着眼するだけでも,情報の獲得において大きな課題があるだけでなく,情報が得られな
い場合には思い込みによって誤った判断や操作を行う可能性がある.この点において
ISAは高齢運転者に対して,正確な情報を適宜提供することが可能であることから,低
下している能力を補完する上でも非高齢者以上に重要な役割を担うことが十分想定さ
れるといえよう.
2
表 2.1 高齢者の運転に関わる機能と具体的行動内容,事故・違反形態 1)より一部修正
機能
認知
判断
操作
具体的行動内容
視力
相手の車を見落とす
相手の速度を誤認する
信号・標識を見落とす
聴力
エンジンの音が聞き取りにくい
緊急車両の接近が分からない
踏切警報音がわからない
反応動作・速 判断・決定の情報処理に時間がかかる
さと正確さ
とっさの判断の遅れや誤りが生じる
複雑な情報処理が苦手である
瞬間的対応ができない
認知から操作に至る時間が遅れる
意識に行動が伴わない
3
事故・違反形態
出会頭事故
一時不停止
信号無視
右折時の事故
優先通行妨害
ハンドルやブレー
キの操作不適
第3章
速度制御技術に関する現状
ISA の研究は 1982 年にスピードリミッターの研究から始まったといわれており,近
年は欧州を中心としながらスウェーデン,フランス,デンマーク,アメリカ,イギリ
ス,ベルギー,オランダ,オーストラリアなど世界各地で研究が進められている.ISA
の速度介入方法としては,大きく以下の 3 種類がある.ひとつは ISA システムをエン
ジンやブレーキにリンクさせ自動車の走行速度を強制的に制御する強制型(Mandatory
mode)ISA である.2 つめは強制型と同様だが,ドライバーによる解除が可能な自発型
(Voluntary mode)ISA である.そして 3 つめは制限速度情報を車内表示映像や音声
で運転者に提供することにより運転者自らが速度を抑制することを狙う助言型
(Advisory mode)ISA である.
ISA の 効 果 は 網 羅 的 に 検 証 さ れ て い る . ベ ル ギ ー の Ghent で 行 わ れ た Sven
Vlassenroot, et al.2)による実験では,34 台の自動車および 3 台のバスがアクセル
の踏み込み程度によって ISA の解除が可能な自発型 ISA であるアクティブアクセレレ
ータペダルという ISA 機器を積み,速度変化,安全性,運転態度,挙動,運転者受容
性という観点から評価を試みている.その結果として当該 ISA 機器の速度遵守におけ
る有効性を運転者が認識したこと,当該システムは低速の速度規制の場所ではさほど
効果が認められなかったこと,当該システムは速度超過が少ないグループに対しては
速度を上げさせ,速度超過が多いグループに対しては速度を低下させたこと,など多
面的な検証結果を示している.
スウェーデンの Borlänge で行われた Henriette Wallén Warner, et al.3)の実験で
は,速度警告デバイスによる ISA の 2001~2003 の約 3 年に渡る長期効果について検証
を行った.その結果,ISA は規制速度を超過する時間の割合を大きく下げるとともに,
平均速度も下げたものの,時間の経過とともにその効果は減少していったこと,規制
速度に合わせることへの抵抗感が時間の経過とともに低下したことなどを明らかにし
ている.
2004~2006 年にかけてイギリスで行われた Frank Lai, et al.4)の実験では自発型
ISA の導入効果について検証している.その結果,ISA は速度超過を減少させるだけで
なく,速度偏差をも減少させること,20mph,30mph や 70mph などのそもそも速度超過
が多くなりやすいところでは,ISA の解除(override)も比較的多くなること,若年
層や男性などそもその運転が荒くなるようなグループでは ISA の override が多くなる
こと,ISA は意図しない速度超過を大幅に削減する可能性があることを明らかにして
いる.
オーストラリアで行われた Kristie L. Young, et al.5)の実験では,情報介入型と
4
動的介入 ISA の効果について,特に運転経験による挙動と受容の違いという視点から
ドライビングシミュレータを用いて検証している.結果として,情報介入型の方が動
的介入型より走行速度を低下させ,特に最高速度を低下させたこと,経験の多いドラ
イバーの方が経験の少ないドライバーより幾つかの道路形状において走行速度が低下
したこと,行動にマイナスの影響を与えたり,作業負荷が高くなるなどの現象は確認
できなかったことなどが報告されている.
2007~2009 年にデンマークの North Jutland で行われた Harry Lahrmann, et al.6),
7)
の実験では,153 名を対象に情報提供型 ISA の市場導入予測およびその効果を計測し
ている.その結果,速度超過を減少させることで車両保険を 30%減額するとインセン
ティブを与えたにも関わらず,運転者が自主的に ISA 機器を購入するということは殆
どありえなかったこと,ISA は特に地方道路で速度超過減少に効果的であったこと,
総走行距離に対する速度超過走行距離の割合(Proportion of Distance driven Above
the Speed)は ISA の設置有無で有意に減少するなど効果を発揮した一方で,自由流速
度や 85%タイル速度にはあまり効果を発揮しなかったこと,旅行時間は増加したが,
あまり大きなものではなかったこと,ISA を切ると,運転者の速度超過は設置前の基
準に戻ってしまったことなどを明らかにしている.
イギリスで行われた Kathryn Chorlton, et al.8)の実験では,強制型と自発型 ISA
に対する受け入れ(受容性)について,イギリスの 11 のセンサスエリアそれぞれから
ランダムで抽出された被験者を対象に表明選好アプローチによって検証している.そ
の結果,少なくない割合の被験者が割引もしくはインセンティブのない ISA について
は反対の意向を示したこと,適切なインセンティブを与えた被験者は ISA を欲しいと
考えたり,強烈に設置したいと考えることなどを明らかにしている.
以上のように多少の差はあれど,いずれの研究もどのようなタイプの ISA であって
も速度超過を減少させる可能性が高いことを示している.その上で,ISA の普及に向
けては,Oliver Carsten9)や J.W.G.M. van der Pas, et al.10)が指摘するように,設
置義務化など国のバックアップ体制が重要となること,デジタルマップの構築・更新
に課題があること,社会的な受容性について不明瞭なところが多いこと,長期効果や
広く普及した際の効果について検証が少ないこと,強制型・自発型 ISA については,
誤作動による影響の検証が不足していることなどが課題となっている.
さらに,Emeli Adell et al.11)が行ったスペイン,ハンガリー,スウェーデンとい
った国家間の違いによる助言型,自発型 ISA の効果や受容性の違いの検証結果をみる
と,特に作業負荷等に関わる受容性に関しては,同じ欧州の国同士であるにも関わら
ず国家間で意識が異なる可能性が否定できないことを示している.これは欧州諸国で
の研究成果をそのままわが国に適用するには,課題がある可能性を示唆している.さ
らに多くの研究が一般的な運転者を対象とした効果検証を主眼に置いている中で,本
研究で着眼しているような高齢運転者における課題という視点から整理がなされてい
るとはいえない.本研究はこのような視点からも一定の意義があるものといえよう.
5
第4章
実験方法
4.1 実験概要
実験概要を表 4.1 に示す.実験の被験者はシルバー人材センターから紹介された 65
歳以上の高齢運転者 26 名,20 歳~64 歳の一般運転者 15 名,大学生を中心とする 20
歳代の若年運転者 19 名の計 60 名である.
実験は,ドライビングシミュレータ(以下 DS)で実施する.ただし,DS における運
転挙動の信頼性を確認するため,実際の車両を用いた検証データも獲得する.
表 4.1 実験概要
実験日時:平成 24 年 10 月~平成 24 年 11 月
被験者数:60 名(高齢者(65 歳以上)26 名,一般(30~64 歳)15 名,若
者(30 歳未満)19 名)うち,完全実施者数:高齢者 19 名(男性
14 名,女性 5 名)
,一般 14 名(男性 9 名,女性 5 名)
,若者 19 名
(男性 18 名,女性 1 名)
実験手順:
(1)実走行実験(終了後,実験に関する意識調査)
(2)DS による本実験(4 シナリオ☓幹線・生活道路の 2 空間)
1)ISA 非介入(最高速度規制標識なし)
2)ISA 非介入(最高速度規制標識あり)
3)強制型 ISA による介入(標識あり,終了後,心的負荷の意識調査)
4)映像・音声型 ISA による介入(標識あり,終了後,心的負荷の意識調
査)
(3)意識調査
1)個人属性(性別,年齢,運転経験等)
2)ISA 介入時の意識
4.2 実走行実験
実車両の運転挙動の比較を通じて DS 実験結果の信頼性を検証する.使用した車両は
トヨタ自動車製カローラ・アクシオである.当該車両はセダンタイプの 4 ドアでオー
トマティック・トランスミッションが採用されている.寸法は全長 4,360mm,全幅 1,
695mm,全高 1,460mm,最小回転半径 4.9m,乗車定員は 5 名である.
なお,普段使用している車両との違和感について,実走行実験後に意識調査を実施
して回答を依頼した.その結果,高齢運転者の 3 名,一般運転者の 2 名,若年運転者
6
の 2 名が普段どおりの運転はできなかったと回答したものの,全体の 88%の被験者は
普段と変わらない運転ができたと回答した.よって,当該実験車両は運転者の運転挙
動に顕著な影響を与えるようなものではなかったと考えられる.
データの記録は,株式会社 TECHTOM に依頼し開発したデータロガー(FCM-GPS・MMC
ロガーシステム:図 4.1 参照)を使用した.本機は GPS モジュールが付与された車両
情報収集装置であり,マルチメディアカードを利用してデータの記録が可能となって
いる.記録できるデータは表 4.2 のとおりであり,データの出力周期は 1 秒である.
図 4.1 FCM-GPS・MMC ロガーシステムの構成
7
表 4.2
FCM-GPS・MMC ロガーシステムのロギングデータ一覧
実験に用いたコースを図 4.2 に,実験の状況を図 4.3 に示す.コースは最高速度
40km/h 規制の片側 1 車線の空間的には幹線道路に分類できる区間と,最高速度の指定
はされていないものの中央線がなく沿道に住居が立ち並ぶ生活道路の区間とが混在す
るコースを設定した.また,40km/h 規制区間 A-B では A 地点と F 地点の 2 箇所に信号
が設置されている.被験者には 10 分程度当該コースとは別の走路を慣らし運転しても
らった後に,当該コースを走行してもらった.
走行経路の案内は調査員が後部座席に同乗し,口頭で行った.経路案内を行うタイ
ミングは 1 区間あたり 2 回である.1 回目は,被験者が対象区間進入直後である(例:
「次の交差点を右折です」
).2 回目は右左折予定の交差点手前である(例:
「この交差
点を右折です」).この理由はこの提供方法がカーナビゲーション等で用いられている
ものであり,運転挙動に与える影響が比較的少ないものと考えたためである.
実走行実験終了後,上述に述べた普段使用している車両との違和感とともに,走行
コースの走行頻度などを伺う簡単なアンケート調査を実施した.なお,走行コースの
走行頻度は高齢運転者の約 70%が月 1 回以上走行するのに対して,高齢運転者以外の
それは約 30%程度にとどまるなど,高齢運転者で比較的多かった.これは,高齢運転
者は近隣地区のシルバー人材センターから参加した方が多かったためと考えられる.
8
A
H
F
G
40km/h 規制区間(A~B 区間)
E
D
B
C
生活道路区間(G~H 区間)
※1 周約 1.9km
※A~B,D~G,H~A:40km/h 規制区間
C~D,G~H:生活道路区間
図 4.2 実走行実験のコース
図 4.3 実走行実験の様子
9
4.2 DS 実験
ここでは,ISA 介入時と通常の走行にあたる非介入時における運転挙動の比較を通
じて ISA の効果を捉える.
(1) ドライビングシミュレータ
使用した DS は三菱プレシジョン社製 D3Sim である.実験機の構成は運転台・シミュ
レーション計算機 3 台・投影機器 4 台である.縦 1.5m×横 2m のスクリーンが正面と
左右前方,右側方の 4 面設置され,運転席視点の映像が投影される.車両挙動,運転
操作挙動などの各データは 120Hz での記録が可能である.
図 4.4 使用したドライビングシミュレータ
(2) ISA の介入方法
ISA による介入のパターンとしては,今回のような短期的実験において検証が可能
と考えられる強制型と音声・映像による介入の 2 パターンを用意することとした.ISA
の介入方法には,強制型ではあるが運転者自らがその設定を解除できる自発型 ISA も
あるが今回の実験では採用を見送った.その理由として,自発型 ISA は緊急事態など
被験者本人の解除意識などの環境設定があってこそ,その効果検証が行えるものであ
り,今回のような実験環境下では,自発的に ISA を解除する理由を設定しにくいため
である.
強制型 ISA は最高速度規制の速度に到達すると,アクセルを強く踏み込んでもその
速度以上の速度が出なくなるというものである.映像・音声型 ISA は,最高速度規制
の速度を超えると,女性の声による「30km/h 規制です.」と言う規制速度に応じた文
面を読み上げた音声データの再生と,規制速度を示した画像の提示を行う.提示継続
時間は被験者の情報認知にかかる時間や音声介入時間との整合性を考慮し 3 秒間とし
た.提示位置は,図に示すように被験者の走行時の視界を遮らず,かつ提示情報が比
較的容易に判断しやすいと考えられる中央スクリーンのルームミラーの右横にて行っ
た.強制型,映像・音声型 ISA ともに介入のタイミングは,走行速度が規制速度を上
回った瞬間である.
10
図 4.5
DS 実験の様子
(3) 走行する空間
走行する空間は,図に示すような幹線道路①②・生活道路①②それぞれ 2 コースの
全 4 コースを設定した.幹線道路・生活道路の両方を設定したのは,道路種別によっ
て走行挙動はもちろんのこと,ISA に対する反応傾向も異なることが予想され,これ
らを明確化しておくことで,どのような空間においてより ISA が効果を発揮する可能
性があるのかを明示できると考えたためである.また,幹線道路・生活道路でそれぞ
れ 2 コース設定したのは,表に示すような車線数や幅員などの道路構造を変更するこ
とによって,道路構造の違いによる影響を捉えることができると考えたためである.
なお,設定した道路構造はわが国の道路構造令に従い,一般的と考えられる構成を選
定している.走行空間の構築は,D3Sim における標準機能として組み込まれていない
ため,新たに空間作成ソフトを導入することで対応した.
それぞれのコースは,長さ 100m 高さ 2.0m の塀を両側に配置したブロックが 5 つ並
ぶ.ブロックの間は 10m の間隔を設けており,これが一種の交差点の役割を果たして
いる.なお,DS のシステム上の制約から,幹線の①②,生活の①②を連続して配置し
ている.そのため,①②の前後には緩衝区間として塀のない車線のみの空間を設け,
緩衝区間の中間点で一時停止を行うなどして,前の空間のイメージを払拭させる工夫
を行なっている.
最高速度の規制は,1 ブロック走行した最初の交差点入口部に標識および路面標示
の形で明示し,その後の 4 ブロックは設置していない.設定した速度は,幹線道路
50km/h,生活道路 30km/h である.なお,特に幹線道路においては 40km/h といった最
高速度規制の追加も検討したが,実験における被験者への負担の大きさを考慮したこ
とと,今回の実験ではより幹線道路と生活道路のイメージに合致しやすいと考えられ
る値を選択するべきとの判断の下,当該速度は設置をしないこととした.
11
A
B
100m
100m
100m
100m
10m
10m
10m
10m
320m
320m
320m
320m
10m
10m
10m
10m
100m
100m
100m
100m
塀
歩道
A
B
一時停止線
幹線①(4 車線)
幹線②(2 車線)
生活①(車道広い) 生活②(車道狭
い)
図 4.6 DS 実験の道路空間
区間
幹線道路
生活道路
表 4.3 道路空間の諸元
車道 路肩 歩道 道路
車線数
幅員 幅員 幅員 幅員
幹線①
4
3.25
0.50
3.00
20.0
幹線②
2
3.25
0.50
3.00
13.5
生活①
1
5.50
0.50
×
6.50
生活②
1
4.00
1.25
×
6.50
規制
備考
速度
50km/h
30km/h
4 種 1 級相当
4 種 1 級相当
4 種 3 級相当
4 種 4 級相当
※幅員の単位(m)
12
(4)実験手順
被験者はまず始めに,DS に慣れるために 5 分程度試走行したのちに,最初のシナリ
オで最高速度規制標識が設置されない空間を走行し,次のシナリオで最高速度規制が
標識と路面標示で設置された空間を走行する.続いて,強制型 ISA の介入がある空間
を走行し,最後のシナリオで映像・音声型 ISA の介入がある空間を走行する.いずれ
のシナリオも幹線①→幹線②,生活①→生活②の順で走行する.実験の際,被験者に
はいずれかの段階で ISA の介入があることのみ伝え,どのタイミングで ISA が介入す
るかに関する情報は与えなかった.走行経路の案内は調査員が口頭で行った.経路案
内を行うタイミングは発進時と停止時の 2 回である.また,幹線道路,生活道路別に
各 ISA が介入するシナリオの最後に,既往研究 12)で整理されている事故・違反の背景
にある走行時の心的負荷(ストレス)を参考に 6 種類を設定し,7 件法でその程度を
伺った.
DS 実験終了後には,個人属性や,性別,年齢,運転経験等の個人属性,それぞれの
ISA 介入による速度調整に対する意識,走行コースの認知程度などを伺う簡単なアン
ケート調査を実施した.
ところで,実験では DS 酔いと呼ばれる車酔いに近い症状がでる被験者が複数名いた.
そのため,実験のそれぞれの段階で休憩を交えながら実施することとなった.また DS
酔いが酷い被験者については,途中であっても実験を中止した.その結果,60 名の被
験者のうち,高齢者 19 名,一般 14 名,若者 19 名の合計 52 名が全ての実験を完全に
実施することができた.以下ではこの 52 名の被験者について分析を行う.
13
第5章
実験結果
5.1 車両側からの速度制御が高齢運転者の走行挙動に与える影響
DS 走行を実施した被験者の属性や空間の違いにより ISA 介入による運転挙動がどの
ように変化したかについて分析する.対象とする運転挙動は,解析対象が直線の区間
であること,ISA のような速度に着眼した走行支援装置の影響を捉えようとしている
ことを踏まえ,影響が大きいと想定される走行速度とアクセルストロークとした.
(1) 解析対象区間
解析対象は,定速走行となることが想定される全長 540m から前後 110m ずつを除い
た 320m の区間とした.図に詳細を示す.
A
B
100m
100m
100m
100m
10m
10m
10m
10m
解析対象
区間
320m
320m
320m
320m
10m
10m
10m
10m
100m
100m
100m
100m
B
A
幹線①(4 車線)
幹線②(2 車線)
生活①(車道広い) 生活②(車道狭
い)
図 5.1 DS 実験の解析対象区間
14
(2) 平均速度
被験者の年齢群別の区間平均速度を整理した結果を表に示す.ここで,シナリオ間
における差をみるため,t 検定(対応あり)を実施している.なお,それぞれの比較
群は「標識なし☓標識あり」,「標識あり☓強制介入」,「標識あり☓映像音声介入」で
ある.
結果をみると,まず標識の有無においては,いずれの年齢群においても幹線道路で
は有意差がみられず,生活道路においてのみ 1%水準での有意に速度が低下する傾向
がわかる.また,ISA の介入において,高齢群の場合,幹線,生活道路いずれにおい
ても車道数や車線幅員が減少する空間において有意に速度が低下する傾向がわかる.
他方,一般,若年群においては映像・音声介入時に有意に速度が低下する傾向が確認
できる.
以上より,最高速度の標識がない空間に比べ,最高速度の標識がある空間は平均速
度を有意に変化させることが確認され,これによって,最高速度を適切に認知させる
ことは,年齢群に大きな差の生じていた走行速度の均一化を図る上で重要な意味を持
つことがわかった.また,最高速度の認知に効果が期待できる映像・音声型 ISA は,
特に生活道路における速度抑制に効果があり,空間によっては強制型 ISA よりも速度
を低下させる可能性があることがわかった.
表 5.1 高齢群の区間平均速度(単位:km/h)
被験者
高齢群
n=19
区間
幹線①
4 車道路
幹線②
2 車道路
生活①
車道広い
生活②
車道狭い
※t 検定(対応あり)
規制速度
50km/h
50km/h
30km/h
30km/h
項目
標識なし
43.22
平均速度
t値
平均速度
t値
平均速度
t値
平均速度
t値
46.24
37.28
40.45
標識あり
44.11
0.38
45.04
0.37
29.07
4.05**
28.23
3.78**
映像・音声
介入
42.52
42.43
1.40
1.20
42.28
41.89
2.13*
2.17*
27.11
26.67
1.50
1.46
27.45
25.72
0.69
2.02*
強制介入
**:1%有意,*:5%有意
表 5.2 一般群の区間平均速度(単位:km/h)
被験者
一般群
n=15
区間
幹線①
4 車道路
幹線②
2 車道路
生活①
車道広い
生活②
車道狭い
※t 検定(対応あり)
規制速度
50km/h
50km/h
30km/h
30km/h
項目
標識なし
51.01
平均速度
t値
平均速度
t値
平均速度
t値
平均速度
t値
48.57
40.43
41.26
**:1%有意,*:5%有意
15
標識あり
47.16
1.44
46.60
0.94
31.44
4.84**
33.22
3.3**
映像・音声
介入
45.79
45.38
1.05
1.22
45.93
45.96
0.54
0.38
29.55
28.19
1.69
3.82**
29.59
28.01
2.06*
3.19**
強制介入
表 5.3 若年群の区間平均速度(単位:km/h)
被験者
若年群
n=18
区間
幹線①
4 車道路
幹線②
2 車道路
生活①
車道広い
生活②
車道狭い
※t 検定(対応あり)
規制速度
50km/h
50km/h
30km/h
30km/h
項目
標識なし
50.19
平均速度
t値
平均速度
t値
平均速度
t値
平均速度
t値
45.90
40.18
40.59
標識あり
46.39
1.70
46.16
0.14
31.36
5.32**
31.37
4.83**
映像・音声
介入
46.21
47.27
0.13
0.86
46.12
45.49
0.02
0.41
28.99
27.57
1.66
2.89**
29.17
27.74
1.67
3.13**
強制介入
**:1%有意,*:5%有意
(3) 平均アクセルストローク
被験者の年齢群別の区間平均アクセルストロークを整理した結果を表 5.4~表 5.6
に示す.アクセルストロークは 0~1 の値を取り,1 に近づくほどアクセルの踏む混み
度合いが大きく,0 に近づくほどアクセルの踏み込み度合いが小さい.ここでも平均
速度同様,シナリオ間における差をみるため,t 検定(対応あり)を実施しており,
それぞれの比較群は「標識なし☓標識あり」,「標識あり☓強制介入」,「標識あり☓映
像音声介入」である.
結果をみると,標識の有無においては,高齢者,一般群においても幹線道路では差
があまりみられない.他方,若年群においては,有意にアクセルストロークが低下す
る傾向が確認できる.また,ISA の介入のうち強制介入においては,いずれの年齢群
においても生活道路では有意にアクセルストロークが増加していることがわかる.ま
た,若年郡においては,幹線道路においても有意にアクセルストロークが増加する傾
向が確認できる.次に ISA の介入のうち映像・音声介入においては,いずれの年齢群
においても生活道路②において有意にアクセルストロークが低下している.さらに,
高齢・一般群においては,幹線道路①においても有意にアクセルストロークが低下す
る傾向が確認できる.
強制型 ISA におけるアクセルストロークの高さは,速度が上昇しないことに対する
安心感から,もしくは速度が出ないことによる運転者のイラつきなどを表現している
可能性がある.この傾向が特に強い一般,若年群に対しては課題が生じる可能性が示
唆される.他方,映像・音声介入は介入のない場合と大きな違いが見られず,上記の
ような課題が生じる可能性は少ないといえよう.
16
表 5.4 高齢群の区間平均アクセルストローク(AS)
被験者
高齢群
n=19
区間
幹線①
4 車道路
幹線②
2 車道路
生活①
車道広い
生活②
車道狭い
※t 検定(対応あり)
規制速度
50km/h
50km/h
30km/h
30km/h
項目
標識なし
0.079
平均 AS
t値
平均 AS
t値
平均 AS
t値
平均 AS
t値
0.084
0.060
0.077
標識あり
映像・音声
介入
0.080
0.067
0.55
2.37*
0.094
0.066
1.21
1.04
0.087
0.037
2.23*
1.41
0.080
0.035
3.70**
2.42*
強制介入
0.086
0.71
0.080
0.21
0.043
2.58**
0.046
2.32*
**:1%有意,*:5%有意
表 5.5 一般群の区間平均アクセルストローク(AS)
被験者
一般群
n=15
区間
幹線①
4 車道路
幹線②
2 車道路
生活①
車道広い
生活②
車道狭い
※t 検定(対応あり)
規制速度
50km/h
50km/h
30km/h
30km/h
項目
標識なし
0.084
平均 AS
t値
平均 AS
t値
平均 AS
t値
平均 AS
t値
0.076
0.063
0.059
標識あり
映像・音声
介入
0.085
0.062
1.26
2.71**
0.104
0.069
2.17*
1.05
0.134
0.037
4.66**
3.76**
0.147
0.036
4.53**
4.97**
強制介入
0.077
0.75
0.075
0.08
0.049
3.44**
0.054
0.69
**:1%有意,*:5%有意
表 5.6 若年群の区間平均アクセルストローク(AS)
被験者
若年群
n=18
区間
幹線①
4 車道路
幹線②
2 車道路
生活①
車道広い
生活②
車道狭い
※t 検定(対応あり)
規制速度
50km/h
50km/h
30km/h
30km/h
項目
標識なし
標識あり
強制介入
0.087
0.074
2.51*
0.066
1.97*
0.043
4.62**
0.046
2.45*
0.107
2.58**
0.091
3.67**
0.091
4.13**
0.108
3.96**
平均 AS
t値
平均 AS
t値
平均 AS
t値
平均 AS
t値
0.074
0.062
0.057
**:1%有意,*:5%有意
17
映像・音声
介入
0.068
1.63
0.068
0.35
0.037
1.73
0.039
1.96*
5.2 車両側からの速度制御が高齢運転者の心的負担に与える影響
(1) 分析の視点
車両側からの速度制御が高齢運転者の心的負担に与える影響について,ここでは,
定量データとして,DS 実験時の被験者の瞳孔径いった心的負荷との関係性(大きくな
ると心的負荷が高まっている)が知られる 13)14)データの変化を分析し,定性データと
して,ISA による介入シナリオ終了後に実施した心的負荷程度に関する意識調査回答
結果の分析をすることで捉える.
瞳孔径の計測は眼球運動計測装置(ナックイメージテクノロジー社製のアイマーク
レコーダ EMR-8B)を用いて実施した.当該装置は,角膜反射法式により瞳孔を検出し,
その直径について 60Hz のレートで記録できる.
図 5.2 使用した眼球運動計測装置 15)
定性データは上述のように意識調査により把握する.回答を得た心的負荷の種類は,
あわてる,気になる,イライラする,疲れる,不安になる,あせるの 6 種類である.
これらについて,ISA の体験後,非常にそう思う(-3)から全くそう思わない(3)ま
での 7 件法での回答を得た.なお,最高速度に到達せず ISA の体験をしなかった被験
者が幾名かいたが,それらの被験者からは回答を受けていない.
以下では,これらについて各年齢群からみた傾向について分析を行う.
18
(2) 瞳孔径の分析結果
被験者の年齢群別の平均瞳孔径を整理した結果を表 5.7~表 5.9 に示す.なお,実
験中に被験者に装着した眼球運動計測装置がずれ,視線方向計測エラーが多く出現し,
瞳孔を正確に捉えられなかった被験者がいたこと,さらに,システムエラー等により
一部のシナリオにおいて,結果が出力されなかったため,エラーがあった被験者を除
いて平均値を算出した.シナリオ間における差をみるため,t 検定(対応あり)を実
施しており,それぞれの比較群は「標識なし☓標識あり」,
「標識あり☓強制介入」
,
「標
識あり☓映像音声介入」である.
結果をみると,標識の有無においては,年齢群によって若干の違いがみられる.例
えば,若年群において,幹線道路走行時は瞳孔径が拡大し,生活道路走行時は縮小す
る傾向がみられる.幹線道路よりも生活道路での走行速度の明示が若年群にとって安
心感をもたらす可能性が示唆されるが,ISA の介入においてはそのような傾向はみら
れない.この原因の解明には,標識による情報提供と ISA による情報提供の差に着眼
した追加分析が必要となろう.次に強制型 ISA の介入に着目すると,高齢群の場合,
幹線,生活道路いずれにおいても有意に瞳孔径が縮小する傾向がみられる.また幹線
道路①を除いて有意差はみられないものの,映像音声介入時にも高齢群は瞳孔径が縮
小している.他方,一般群,若年群においては一部の道路構造で ISA の介入により有
意に瞳孔径が縮小する傾向が確認できるものの,高齢群にみられるような際立った傾
向があるとまではいえない.
以上より, ISA の介入,特に強制型 ISA の介入は,高齢群の心的負荷を軽減させる
可能性が示唆された.一方で,高齢群以外では若干の違いはみられるものの,特徴的
と呼べる傾向は見受けられないことが分かった.
表 5.7 高齢群の区間平均瞳孔径(単位:mm)
被験者
高齢群
n=18
区間
幹線①
4 車道路
幹線②
2 車道路
生活①
車道広い
生活②
車道狭い
※t 検定(対応あり)
項目
平均瞳孔径
t値
平均瞳孔径
t値
平均瞳孔径
t値
平均瞳孔径
t値
標識なし
標識あり
強制介入
3.11
3.16
1.14
3.14
0.33
3.13
0.49
3.07
1.95*
3.08
2.10*
3.07
2.96**
2.93
3.18**
2.92
2.05*
3.13
3.15
3.17
**:1%有意,*:5%有意
19
映像・音声
介入
2.94
2.78**
3.01
0.83
3.09
0.33
3.02
0.51
表 5.8 一般群の区間平均瞳孔径(単位:mm)
被験者
一般群
n=13
区間
幹線①
4 車道路
幹線②
2 車道路
生活①
車道広い
生活②
車道狭い
※t 検定(対応あり)
項目
平均瞳孔径
t値
平均瞳孔径
t値
平均瞳孔径
t値
平均瞳孔径
t値
標識なし
標識あり
強制介入
3.92
3.89
0.41
3.84
0.10
3.91
0.34
3.82
1.05
3.82
1.17
3.82
0.42
3.86
0.62
3.90
0.79
3.84
3.89
3.88
映像・音声
介入
3.78
1.21
3.79
0.40
3.65
2.26*
3.67
1.71
**:1%有意,*:5%有意
表 5.9 若年群の区間平均瞳孔径(単位:mm)
被験者
若年群
n=15
区間
幹線①
4 車道路
幹線②
2 車道路
生活①
車道広い
生活②
車道狭い
※t 検定(対応あり)
項目
平均瞳孔径
t値
平均瞳孔径
t値
平均瞳孔径
t値
平均瞳孔径
t値
標識なし
標識あり
強制介入
4.39
4.47
1.98*
4.38
0.74
4.38
2.94**
4.32
3.38**
4.43
0.87
4.28
0.56
4.38
0.01
4.18
2.39*
4.35
4.50
4.48
映像・音声
介入
4.35
1.64
4.21
3.51**
4.41
0.46
4.29
0.94
**:1%有意,*:5%有意
(3) 意識調査の分析結果
図 5.3~図 5.6 に意識調査から得られた心的負荷の傾向について示す.それぞれの
図は幹線道路,生活道路の別,強制型 ISA,映像・音声型 ISA の別で整理がされてお
り,これらが各年齢群によってどのような傾向があるのかを確認できる.
まず,強制型 ISA の介入時の意識についてみると,全般的にマイナスの評価となっ
ている項目は少なく,若年群の「気になる」のみ幹線道路,生活道路において傾向が
みられる.次に年齢群による差をみると,幹線道路における「あわてる」
(p<0.01)お
よび生活道路における「気になる」
(P<0.05)において有意な差があった.幹線道路に
おける「あわてる」は高齢ほど評価が低く,生活道路の「気になる」は若年ほど評価
が低い.なお,有意差はみられなかったものの,幹線道路における「疲れる」や「あ
せる」は先程の「あわてる」同様,高齢群における評価が低い傾向が見られる.他方,
生活道路における「イライラする」は若年ほど評価が低い傾向が見られる.これらよ
り,強制型 ISA においては,道路構造で年齢群による評価に特徴的傾向がみられ,幹
線道路においては若年群が,生活道路においては高齢群の評価が高くなることがわか
った.
次に,映像・音声型 ISA の介入時の意識についてみると,すべての年齢群,さらに
20
道路構造において「気になる」がマイナスの評価となっている.次に年齢群による差
をみると,幹線道路においては有意な差がみられない一方で,生活道路は「あわてる」
(P<0.05)
,「イライラする」
(P<0.05)
,
「あせる」(P<0.05)で有意な差がみられた.
生活道路の差はいずれも若年ほど評価が低い.なお,有意差はみられなかったものの,
幹線道路,生活道路に限らず,映像・音声介入の場合,ほぼすべての項目について若
年ほど評価が低い傾向が見られる.これらより,映像・音声型 ISA においては,年齢
群による評価に特徴的傾向がみられ,高齢群の評価が高くなることがわかり,その傾
向は生活道路でより顕著となることがわかった.
3
2
1
0
-1
-2
あわてる**
気になる
イライラする
疲れる
不安になる
若年(n=15)
一般(n=10)
高齢(n=10)
若年(n=15)
一般(n=10)
高齢(n=10)
若年(n=15)
一般(n=10)
高齢(n=10)
若年(n=15)
一般(n=10)
高齢(n=10)
若年(n=15)
一般(n=10)
高齢(n=10)
若年(n=15)
一般(n=10)
高齢(n=10)
-3
あせる
※以下のように点数化を行っている.-3:非常にそう思う,-2:まあそう思う,
-1:ややそう思う,0:どちらともいえない,1:あまりそう思わない,2:そ
んなにそう思わない,3:全くそう思わない,
※一元配置分散分析
*:5%有意,**:1%有意
図 5.3 幹線道路における強制型 ISA の介入時の意識(平均値と 95%信頼区間)
21
3
2
1
0
-1
-2
あわてる
気になる* イライラする
疲れる
不安になる
若年(n=19)
一般(n=14)
高齢(n=20)
若年(n=19)
一般(n=14)
高齢(n=20)
若年(n=19)
一般(n=14)
高齢(n=20)
若年(n=19)
一般(n=14)
高齢(n=20)
若年(n=19)
一般(n=14)
高齢(n=20)
若年(n=19)
一般(n=14)
高齢(n=20)
-3
あせる
※以下のように点数化を行っている.-3:非常にそう思う,-2:まあそう思う,
-1:ややそう思う,0:どちらともいえない,1:あまりそう思わない,2:そ
んなにそう思わない,3:全くそう思わない,
※一元配置分散分析
*:5%有意,**:1%有意
図 5.4 生活道路における強制型 ISA の介入時の意識(平均値と 95%信頼区間)
3
2
1
0
-1
-2
あわてる
気になる
イライラする
疲れる
不安になる
若年(n=10)
一般(n=9)
高齢(n=18)
若年(n=10)
一般(n=9)
高齢(n=18)
若年(n=10)
一般(n=9)
高齢(n=18)
若年(n=10)
一般(n=9)
高齢(n=18)
若年(n=10)
一般(n=9)
高齢(n=18)
若年(n=10)
一般(n=9)
高齢(n=18)
-3
あせる
※以下のように点数化を行っている.-3:非常にそう思う,-2:まあそう思う,
-1:ややそう思う,0:どちらともいえない,1:あまりそう思わない,2:そ
んなにそう思わない,3:全くそう思わない,
※一元配置分散分析
*:5%有意,**:1%有意
図 5.5 幹線道路における映像・音声型 ISA の介入時の意識(平均値と 95%信頼区間)
22
3
2
1
0
-1
-2
あわてる*
気になる
イライラする
*
疲れる
不安になる
若年(n=19)
一般(n=14)
高齢(n=19)
若年(n=19)
一般(n=14)
高齢(n=19)
若年(n=19)
一般(n=14)
高齢(n=19)
若年(n=19)
一般(n=14)
高齢(n=19)
若年(n=19)
一般(n=14)
高齢(n=19)
若年(n=19)
一般(n=14)
高齢(n=19)
-3
あせる*
※以下のように点数化を行っている.-3:非常にそう思う,-2:まあそう思う,
-1:ややそう思う,0:どちらともいえない,1:あまりそう思わない,2:そ
んなにそう思わない,3:全くそう思わない,
※一元配置分散分析
*:5%有意,**:1%有意
図 5.6 生活道路における映像・音声型 ISA の介入時の意識(平均値と 95%信頼区間)
23
5.3 車両側からの速度制御が高齢運転者の運転意識に与える影響
(1) 分析の視点
分析は,当該機能を普及させていく上で重要な視点と考えた次の 3 点で実施した.1
点目は ISA の機能に対する反応と評価,2 点目は ISA の市場価値の計測,3 点目は ISA
の社会的普及における運転者側からの受容性である.これらについてここでは強制型
および映像・音声型 ISA の別,年齢群の別で傾向を捉える.
1 点目の ISA の機能に対する反応と評価については,それぞれの ISA 介入後の速度
調整意思について「全く調整しようとしなかった」から「必ず調整しようとした」の
4 件法にて伺った結果および,機能そのものに対する評価を「まったくよくない」か
ら「とてもよい」5 件法で伺った結果からまとめる.2 点目の ISA の市場価値の計測に
ついては,実際にこのような機能が自らの車両に付与できるとした際に「有料でも搭
載する」,
「無料ならば搭載する」,
「搭載はしない」といった 3 つの視点から伺った結
果からまとめる. 3 点目の ISA の社会的普及における運転者側からの受容性は,ISA
のような機能を国などの主導の元積極的に普及させていくべきか否かについて「普及
させるべきではない」から「ぜひ普及させるべきである」の 4 件法で整理した結果か
らまとめる.
(2) 結果
図 5.7 に ISA 介入後の速度調整意思について示す.まず,強制型 ISA の傾向につい
てみると,年齢群に有意な差(p<0.05)がみられ,高齢群は ISA の介入によって自ら
速度を調整しようとするのに対して,一般および若年群においては調整しようとしな
い傾向が強くなることがわかる.他方,映像・音声型 ISA では,年齢群によって差が
みられず,いずれの年齢群においても,ISA の介入によって自ら速度を調整しようと
したことがわかる.
次に,図 5.8 に機能そのものに対する評価について示す.全体的に強制型 ISA に比
べて映像・音声型 ISA の評価が高い.また年齢群による差をみると,強制型 ISA,映
像・音声型 ISA それぞれ類似する傾向が出ており,いずれも高齢になるに従って評価
が高くなっている.特に映像・音声型 ISA は有意な差(p<0.01)がみられた.
次に,図に実際にそれぞれの ISA 機能が自らの車両に付与できるとした際の意識に
ついて示す.まず搭載を拒否するか搭載を希望するかという視点で見た場合,強制型
ISA に比べて映像・音声型 ISA の搭載を希望する傾向が強い.これは特に一般群と若
年群で強い傾向がみられる.続いて,有料か無料かという視点で見た場合,特段顕著
な傾向は見られなくなる.高齢および一般群は強制型 ISA において有料となっても搭
載を希望するという回答が多いのに対し,若年群は映像・音声型 ISA において有料と
なっても搭載を希望するという回答が多いが,統計的に有意差があるとはいえない.
次に,図 5.10 に ISA の社会的普及における運転者側からの受容性について示す.全
24
体として強制型 ISA の若年群を除き,
「普及させたほうが良い」以上の回答がされてお
り,ISA を普及させたほうが良いという判断がされている.年齢群による差をみたと
ころ,いずれの ISA においても有意な差がみられず,このような評価については年齢
による差が生じないといえよう.
以上より,ISA の機能に対する反応と評価は,映像・音声型 ISA の評価が高く,そ
の傾向は高齢群においては顕著であることから,ISA の機能は特に高齢群においてよ
り高く評価される可能性があることを明らかにすることができた.また ISA の市場価
値の計測は,強制型 ISA に比べて映像・音声型 ISA の搭載を希望する傾向が強いもの
の,有料か無料かという視点や年齢群によって傾向がみられなかったことから,機能
としての魅力はあるものの,市場価値はそれほど期待できない可能性があることが示
唆された.最後に,ISA の社会的普及における運転者側からの受容性は,全体として
いずれの ISA においても普及させたほうが良いと判断されており,これは年齢群によ
って差がみられないことから,一般性が高い傾向であることが窺えた.
4
3
2
1
高齢(n=11) 一般(n=11) 若年(n=14) 高齢(n=19) 一般(n=14) 若年(n=19)
強制*
映像音声
※以下のように点数化を行っている.1:全く調整しようとしなかった,2:あ
まり調整しようとしなかった,3:おおよそ調整しようとした,4:必ず調整し
ようとした
※一元配置分散分析
*:5%有意,**:1%有意
図 5.7 ISA 介入後の速度調整(平均値と 95%信頼区間)
25
5
4
3
2
1
高齢(n=11) 一般(n=11) 若年(n=14) 高齢(n=19) 一般(n=14) 若年(n=19)
強制
映像音声**
※以下のように点数化を行っている.1:まったくよくない,2:あまりよくな
い,3:どちらともいえない,4:まあよい,5:とてもよい
※一元配置分散分析
*:5%有意,**:1%有意
図 5.8 ISA に対する評価(平均値と 95%信頼区間)
強制
高齢(n=19)
一般(n=14)
若年(n=19)
映像音声
高齢(n=19)
一般(n=14)
若年(n=19)
0%
搭載拒否
20%
40%
無料なら搭載希望
60%
有料でも搭載希望
※フィッシャーの正確確率検定(自由度 4)有意差なし
図 5.9 ISA の搭載希望
26
80%
100%
5
4
3
2
1
若年(n=19) 高齢(n=18) 一般(n=10) 高齢(n=18) 一般(n=14) 若年(n=19)
強制
映像音声
※以下のように点数化を行っている.1:普及させるべきではない,2:普及さ
せなくてもよい,3:普及させた方が良い,4:ぜひ普及させるべきである,
※わからないという被験者は分析から除外している
※一元配置分散分析
*:5%有意,**:1%有意
図 5.10 ISA の社会的受容性(平均値と 95%信頼区間)
27
第6章
おわりに
本研究の成果について以下のようにまとめる.
(1) 高齢運転者の走行挙動,運転意識に関する一般的傾向
既往研究を整理することにより,高齢運転者の走行挙動や運転意識は身体機能低下
や心理的特性の傾向により非高齢者と異なる様相となることを明らかにした.とりわ
け,運転時の初期の反応である認知部分に着眼するだけでも,情報の獲得において大
きな課題があるだけでなく,情報が得られない場合には思い込みによって誤った判断
や操作を行う可能性があり,この点において ISA は高齢運転者に対して,正確な情報
を適宜提供することが可能であることから,低下している能力を補完する上でも非高
齢者以上に重要な役割を担うことが十分想定されることが示唆された.
(2) 速度制御技術に関する現状
既往研究の整理を通じて,どのようなタイプの ISA であっても速度超過を減少させ
る可能性が高いことがわかった.ただし,ISA の普及に向けては,設置義務化など国
のバックアップ体制が重要となること,デジタルマップの構築・更新に課題があるこ
と,社会的な受容性について不明瞭なところが多いこと,長期効果や広く普及した際
の効果について検証が少ないこと,強制型・自発型 ISA については,誤作動による影
響の検証が不足していることなどが課題となっていることが整理できた.また,欧州
での研究事例により欧州諸国での研究成果をそのままわが国に適用するには課題があ
る可能性が示唆されること,さらに多くの研究が一般的な運転者を対象とした効果検
証を主眼に置いている中で,本研究で着眼しているような高齢運転者における課題と
いう視点から整理がなされているとはいえないことから,本研究は一定の意義がある
ことなどが整理できた.
(3) 車両側からの速度制御が高齢運転者の走行挙動に与える影響
最高速度の標識がない空間に比べ,最高速度の標識がある空間は平均速度を有意に
変化させることが確認され,これによって,最高速度を適切に認知させることは,年
齢群に大きな差の生じていた走行速度の均一化を図る上で重要な意味を持つことがわ
かった.また,最高速度の認知に効果が期待できる映像・音声型 ISA は,特に生活道
路における速度抑制に効果があり,空間によっては強制型 ISA よりも速度を低下させ
る可能性があることがわかった.また,強制型 ISA はアクセルストロークを高めるこ
とがわかった.これは速度が上昇しないことに対する安心感から,もしくは速度が出
28
ないことによる運転者のイラつきなどを表現している可能性があり,この傾向が特に
強い一般,若年群に対しては課題が生じる可能性が示唆された.他方,映像・音声介
入は介入のない場合と大きな違いが見られず,上記のような課題が生じる可能性は少
ないことがわかった.
(4) 車両側からの速度制御が高齢運転者の心的負担に与える影響
瞳孔径の分析結果から,ISA の介入,特に強制型 ISA の介入は,高齢群の心的負荷
を軽減させる可能性が示唆された.一方で,高齢群以外では若干の違いはみられるも
のの,特徴的と呼べる傾向は見受けられないことが分かった.また,意識調査の分析
結果から,強制型 ISA においては,道路構造で年齢群による評価に特徴的傾向がみら
れ,幹線道路においては若年群が,生活道路においては高齢群の評価が高くなる,す
なわち心的負荷が少ないことがわかった.また,映像・音声型 ISA においては,年齢
群による評価に特徴的傾向がみられ,高齢群の評価が高くなる,すなわち心的負荷が
少なくなることがわかり,その傾向は生活道路でより顕著となることがわかった.
(5) 車両側からの速度制御が高齢運転者の運転意識に与える影響
ISA の機能に対する反応と評価は,映像・音声型 ISA の評価が高く,その傾向は高
齢群においては顕著であることから,ISA の機能は特に高齢群においてより高く評価
される可能性があることを明らかにすることができた.また ISA の市場価値の計測は,
強制型 ISA に比べて映像・音声型 ISA の搭載を希望する傾向が強いものの,有料か無
料かという視点や年齢群によって傾向がみられなかったことから,機能としての魅力
はあるものの,市場価値はそれほど期待できない可能性があることが示唆された.最
後に,ISA の社会的普及における運転者側からの受容性は,全体としていずれの ISA
においても普及させたほうが良いと判断されており,これは年齢群によって差がみら
れないことから,一般性が高い傾向であることが窺えた.
以上の結果から,総括するならば,生活道路における車両側からの速度制御アプロ
ーチが高齢運転者に与える影響は,走行速度を遵守させるといった安全面だけでなく,
心的負荷の少ない安心な運転を実現するといった点で,少なくない効果が期待できる
と結論づけることができる.同時に,高齢者以外の運転者への適用も考慮して行く上
では,映像・音声型 ISA の普及をまずは目指すべきといえよう.わが国の運転者にお
ける ISA の普及は年齢群を問わず期待されるところがあるものの,市場を通じた普及
は課題が大きいと推察されるので,国などによる強力なバックアップ体制の構築を期
待したい.
なお,本研究の成果を活用する際に,いくつかの限界があることを最後に述べてお
く.まず何より,参考資料 1 に整理したように,これらの結果がそのまま実走行でも
29
応用出来るかという点については慎重になる必要がある.参考資料は,実験準備等の
不手際もあり,完全に条件を揃えることができないなど課題はあるものの,無視でき
ない結果を示している.DS における速度感においては被験者からも課題を指摘されて
おり,今後,DS の成果を踏まえたフィールドテストを実施する意義は高いといえよう.
また,今回の実験で使用した ISA による情報提供の内容やそのタイミング等について
は十分に精査されたものとはいえず,さらなる研究蓄積を通じてより効果が期待でき
るものを提示していくことも望まれる.また,特に映像・音声型 ISA において課題と
なる可能性が高いが,介入による確認行動の変化やそれが安全運転に及ぼす影響につ
いても検証をする必要があるだろう.
最後に,本研究の成果がわが国の交通安全の向上に寄与することを切に願う.
30
参考文献
1)社団法人自動車技術会(2005)
,高齢者運転適性ハンドブック,社団法人自動車技術会
中部支部高齢者運転適性研究委員会, 6-8.
2)Sven Vlassenroot, Steven Broekx, Johan De Mol, Luc Int Panis, Tom Brijs,
Greet Wets, (2007), Driving with intelligent speed adaptation:Final results of
the Belgian ISA-trial, Transportation Research Part A, 41, 267-279.
3)Henriette Wallén Warner ,Lars Åberg(2008), The long-term effects of an ISA
speed-warning device on drivers’ speeding behavior, Transportation Research
Part F, 11, 2, 96-107.
4)Frank Lai, Oliver Carsten, (2012), What benefit does Intelligent Speed
Adaptation deliver: A close examination of its effect on vehicle speeds, Accident
Analysis & Prevention, 48, 4-9.
5)Kristie L. Young, Michael A. Regan, Thomas J. Triggs , Keren Jontof-Hutter,
Stuart Newstead, (2010), Intelligent speed adaptation—Effects and acceptance
by young inexperienced drivers, Accident Analysis & Prevention, 42, 3,
935-943.
6)Harry Lahrmann, Niels Agerholm, Nerius Tradisauskas, Teresa Næss, Jens
Juhl, Lisbeth Harms, (2012), Pay as You Speed, ISA with incentives for not
speeding: A case of test driver recruitment, Accident Analysis & Prevention, 48,
3, 10–16.
7)Harry Lahrmann, Niels Agerholm, Nerius Tradisauskas, Kasper K. Berthelsen,
Lisbeth Harms, (2012), Pay as You Speed, ISA with incentives for not speeding:
Results and interpretation of speed data, Accident Analysis & Prevention, 48,
3, 17-28.
8)Kathryn Chorlton, Stephane Hess, Samantha Jamson, Mark Wardman, (2012),
Deal or no deal: Can incentives encourage widespread adoption of intelligent speed
adaptation devices?, Accident Analysis & Prevention, 48, 3, 73-82.
9)Oliver Carsten, (2012), Is intelligent speed adaptation ready for deployment?,
Accident Analysis & Prevention, 48, 3, 1-3.
10)J.W.G.M. van der Pas, V.A.W.J. Marchau, W.E. Walker, G.P. van Wee, S.H.
Vlassenroot, (2012), ISA implementation and uncertainty: A literature review
and expert elicitation study, Accident Analysis & Prevention, 48, 3, 83-96.
11)Emeli Adell, András Várhelyi, Magnus Hjälmdahl, (2008), Auditory and haptic
systems for in-car speed management – A comparative real life study ,
Transportation Research Part F, 11, 6, 445-458
31
12)
財団法人国際交通安全学会(2010),
「ドライバーの感情特性と運転行動への影響報告書」
,
平成 21 年度研究調査報告書,p.8,2010
13)小藪和之(2007),
「ドライバーの心的負荷上昇が頭部動作に及ぼす影響とその実時間検
出」
,筑波大学大学院博士課程システム情報工学研究科修士論文
14)高橋功次,中山実,清水康敬(1998),ドライブシミュレータ操作の視点移動と瞳孔
面積による評価,電子情報通信学会技術研究報告. ET, 教育工学 98(433), 51-58
15)ナックイメージテクノロジー,http://www.eyemark.jp/product/emr_9/index.html#c,
(2013.2.25 最終閲覧)
32
付録
<参考資料 1>
実走行と DS 走行との比較
実走行と DS 走行の違いについて,それぞれ類似する空間を用意し,それぞれの走行
速度やアクセルストローク等の挙動について検証を行った.
(1) 実走行と DS 走行の類似空間の選定
実走行では,下表に示す最高速度 40km/h 規制の 2 車線道路(両側歩道)と最高速度
規制がなく中央線が抹消されている生活道路を走行した.
表付.1 実走行空間
区間
車線 車線幅 路肩 歩道幅 道路幅員
備考
生活道路
1車
5.00
1.50
×
8.00
幹線道路
2車
3.0
0.5
2.5
12.0
路肩にはガッター幅
50cm 含む
規制速度
標識なし
40km/h
〃
単位:m
一方,DS 走行では,以下に示す生活道路と幹線道路に対し,規制速度標識の有り無
しの 2 パターンを走行した.
表付.2 DS 走行空間
道
区間
車
車線
路
歩道
路
線
幅
肩
幅
幅
備考
規制速度
員
生活
生活①
1車
5.50 0.50
×
6.50 4 種 3 級相当の車線幅
道路
生活②
1車
4.00 1.25
×
6.50 4 種 4 級
幹線
幹線①
4車
3.25 0.50 3.00 20.0 4 種 1 級,自歩道
道路
幹線②
2車
3.25 0.50 3.00 13.5 4 種 1 級,自歩道
30km/h
50km/h
このうち実走行と DS 走行とで類似する空間として,それぞれの表に網掛けしている
実走行の生活道路と DS 走行の生活①の最高速度標識なしのシナリオを選定した.
図付.1 にそれぞれの走行空間の写真を示す.
33
図付.1 走行空間(上:実走行,下:DS)
抽出した理由は,両空間とも道路の幅員構成がほぼ同じであること,最高速度規制
標識や路面標示がないこと,中央線がないこと,道路境界側に塀や民家等が近接して
いることである.なお,交差点による影響を避けるために,両区間とも交差点を除い
た区間での値を比較対象とする.
実走行空間としては,図付.2 に示す G-H 区間の途中の交差点間の約 70m とした.当
該区間には,道路標識や路面標示や中央線,交差点もなく,道路幅員は 8.0m,車線幅
5.0m+路肩 1.5m×2 の構成となっている.また,南側 G 交差点進入後の加速区間や北側
H 交差点流入前の減速区間として 100m 以上を確保しており,車の走行速度も安定して
いる区間と考えられる.
H
130m
70m
110m
G
図付.2 公道走行空間の詳細
DS の空間としては,図付.3 に示す 3 ブロック目の交差点間の約 100m とした.当該
34
区間には,道路標識や路面標示や中央線,交差点もなく,道路幅員は 6.5m,車線幅が
5.5m+路肩 0.5m×2 の構成となっている.また,全体で約 500m の区間の中間であり,
十分な加速・減速区間も確保できており,車の走行速度も安定している区間と考えら
れる.
10m
4 ブロック
3 ブロック
320m
100m
2 ブロック
10m
図付.3
DS 走行空間の詳細
(2) 速度・アクセルストロークの解析
(1)で抽出した区間の速度およびアクセルストロークの一覧を表付に示す.なお,
実走行では,他車や沿道の通行人により走行に影響があった被験者が存在するため,
影響の有無について,当該区間を走行した社内カメラの映像から判断し,52 名中 13
名を解析対象外とした.
35
表付.3 区間平均速度・区間平均アクセルストローク
被験者
一般01
一般02
一般03
一般04
一般06
一般07
一般08
一般09
一般10
一般11
一般12
蒲郡01
蒲郡02
蒲郡03
蒲郡04
蒲郡05
蒲郡07
蒲郡08
蒲郡09
蒲郡10
蒲郡11
蒲郡12
蒲郡13
蒲郡15
幸田01
幸田02
幸田03
幸田05
幸田07
幸田09
幸田10
幸田12
幸田13
幸田14
大学01
大学02
大学03
大学04
大学05
大学06
大学07
大学08
大学09
大学10
大学11
大学12
大学13
大学14
大学15
大学16
大学17
大学18
実走行実験
DS実験
区間平 区間平均アク
区間平均アク
他車等の 区間平均速度
均速度 セルストローク
セルストローク
影響の有無
(km/h)
(%)
(km/h)
(%)
38
4
38.69
6.07
42
7
42.02
3.31
35
3
46.51
5.09
36
4
44.30
3.26
34
1
45.28
8.12
34
4
53.17
9.60
39
8
32.32
6.09
37
4
43.02
5.82
29
4
58.12
4.35
41
5
52.07
4.98
37
7
○
30.35
3.81
37
8
32.39
7.36
25
6
○
33.55
6.07
28
9
20.13
5.17
38
8
40.90
10.11
40
7
35.58
18.46
34
5
71.05
9.67
30
5
○
21.60
2.34
40
10
32.82
4.93
31
8
45.03
7.86
38
8
39.74
7.51
50
6
30.06
3.93
30
4
34.55
0.00
39
11
37.93
3.32
32
10
26.90
7.80
31
7
39.48
5.41
40
5
38.46
10.41
30
5
24.62
1.95
37
8
○
26.36
3.15
34
4
49.52
5.49
32
5
51.23
6.15
41
3
36.97
7.08
31
9
65.80
11.44
37
6
50.97
0.00
41
9
39.64
4.49
36
8
37.59
2.90
39
9
○
42.66
9.52
36
11
53.07
11.56
25
4
28.71
4.18
35
5
○
41.13
1.21
43
3
○
54.43
12.90
44
10
○
68.24
9.96
32
7
48.08
4.78
35
4
25.70
4.17
35
8
37.65
7.71
38
9
41.82
9.12
31
3
40.83
4.67
33
8
○
31.95
5.63
29
4
○
34.96
6.46
30
6
○
31.24
4.54
31
7
○
37.47
1.72
36
4
○
43.51
9.84
36
表付のうち対象外とした被験者 13 名を除いた,区間平均速度,区間平均アクセルス
トロークで,公道と DS に相関性がないか確認を行った.図付.4・図付.5 に各被験者
の散布図および相関係数を示す.
DS走行区間平
均速度(km/h)
80.0
70.0
60.0
50.0
40.0
30.0
20.0
10.0
0.0
0
10
20
30
40
50
60
70
80
実走行区間平均速度(km/h)
図付.4 平均速度散布図(相関係数 R=-0.08)
DS区間平均AS
(%)
20.0
18.0
16.0
14.0
12.0
10.0
8.0
6.0
4.0
2.0
0.0
0
2
4
6
8
10
12
14
16
18
20
実走行区間平均AS(%)
図付.5
平均アクセルストローク(AS)散布図(相関係数 R=0.24)
37
実走行と DS 走行の区間平均速度の相関係数は-0.08 であり,実走行と DS 走行とで
平均速度に相関があるとはいえない結果となった.一方でアクセスストロークの相関
係数は 0.24 であり,実走行と DS 走行とでアクセルストロークに弱い相関が見られる
結果となった.なお,相関係数の大きさ(絶対値)と相関の程度の表現の対応関係は表
付.4 を参照した.
表付.4 相関係数の大きさと相関の程度
1.0≧|R|≧0.7
高い相関がある
0.7≧|R|≧0.5
かなり高い相関がある
0.5≧|R|≧0.4
中程度の相関がある
0.4≧|R|≧0.3
ある程度の相関がある
0.3≧|R|≧0.2
弱い相関がある
0.2≧|R|≧0.0
ほとんど相関がない
出典:「社会調査の基礎」放送大学テキスト
<参考資料 2>
調査票
公道実走後アンケート調査 調査票
DS 実行中ヒアリング調査 調査票
DS 実走後アンケート調査 調査票
38
③公道実走後アンケート調査
調査票
お名前
実験についてお伺いします。
(1)今回運転いただいた経路(愛知工科大学前の大きな道路(県道 323 号、383 号)を除く)について
どの程度、通られたことがありますか。あてはまるもの 1 つに○印をつけてください。
1. よく通る(週 1 回程度以上)
2. あまり通らない(月 1 回程度)
3. まったく通らない
(2)今回運転いただいた車(カローラ・アクシオ)で普段通りの運転ができましたか。あてはまるも
の 1 つに○印をつけてください。
1. おおよそ普段通りの運転ができた
2. あまり普段通りの運転はできなかった
(3)今回の実験経路では、いくつかの道路で 40 ㎞/h の規制速度が設定されていました。今回、同一経
路を 2 周運転してもらいましたが、何周目の運転で、規制速度があったことに気づきましたか。あては
まるもの 1 つに○印をつけてください。
1.一周目の運転→(4)へ
2.二周目の運転→(5)へ
3.気づかなかった→(5)へ)
(4)(3)で“1.一周目の運転”と答えた方にお尋ねします。最高速度規制標識・路面標示を見て車の
速度を合わせようとしましたか。あてはまるもの 1 つに○印をつけてください。
1. 必ず合わせようとした
2. おおよそ合わせようとした
3. あまり合わせようとしなかった
4. 全く合わせようとしなかった
40 キロ規制です
(5)今回の実験では、2 周目の運転で、規制速度を超えると右の写
真に示すような表示と音声(
「○○km 規制です」
)が出ました。あな
たはこの情報提供に気づきましたか。あてはまる方に○印をつけて
ください。
1.はい→(6)へ
2.いいえ→(9)へ
(6)(5)で“1.はい”と答えた方にお尋ねします。写真のような「規制速度を超過した場合や生活道
路に相応しくない速度で走行したとき映像と音声で案内をする機能」を受けて、あなたは車の速度を規
制速度以下となるように調整しましたか。あてはまるものひとつに○印をつけてください。また、
「3. あ
まり調整しようとしなかった」、「4. 全く調整しようとしなかった」と回答された場合、その理由を下
の回答欄に記入ください。
1. 必ず調整しようとした
2. おおよそ調整しようとした
3. あまり調整しようとしなかった
4. 全く調整しようとしなかった
※「3. あまり調整しようとしなかった」
、
「4. 全く調整しようとしなかった」と回答されたその理由
裏面へつづく
39
(7)(5)で“1.はい”と答えた方にお尋ねします。写真のような「規制速度を超過した場合や生活道
路に相応しくない速度で走行したときに映像と音声で案内をする」といった機能は、理解しやすかった
ですか。あてはまるもの 1 つに○をつけてください。また、
「3.少しわかりづらかった」
、
「4.とてもわ
かりづらかった」と回答された場合、その理由を下の回答欄に記入ください。
1. とてもわかりやすかった
2. まあわかりやすかった
3. 少しわかりづらかった
4. とてもわかりづらかった
5. わからない
※「3.少しわかりづらかった」
、
「4.とてもわかりづらかった」と回答されたその理由
(8)(5)で“1.はい”と答えた方にお尋ねします。写真のような規制速度の情報提供は規制速度を超
過するたび、生活道路に相応しくない速度となるたびに行いました。この情報提供のタイミングについ
てどのように感じましたか。あてはまるもの 1 つに○をつけてください。また、その理由を下の回答欄
に記入ください。
1. とてもよかった
2. まあよかった
3. あまりよくなかった
4. 全くよくなかった
5. わからない
※その理由
(9)(5)で“1.はい”と答えた方にお尋ねします。写真のような「規制速度を超過した場合や生活道
路に相応しくない速度で走行したときに映像と音声で案内をする」といった機能によって、注意が散漫
になるなど、あなたの運転に支障が生じそうになることはありましたか。あてはまるもの 1 つに○をつ
けてください。
1. ほとんどなかった
2.あまりなかった
3.どちらともいえない
4. ややあった
5.かなりあった
6. わからない
(10)その他、お気づきの点等ありましたら自由にご記入ください。
調査にご協力いただき、ありがとうございました。
40
調査票
④DS 実走中ヒアリング調査
被験者名
記入者名
記入日時
月
日
:
※本調査は、幹線ⅢⅣ、生活ⅢⅣ走行後、それぞれヒアリング形式で実施してください。
走行された感想について、お伺いします。
いま、ドライビングシミュレータ上であなたの走行速度が規制速度を超えた時に、自動的に規制速度以
下となるような介入を体験してもらいました。
(1)このような速度が強制的に規制速度以下となるような介入を体験して、介入がなかった状態を基
準としてお答えください。あなたはあわてましたか、あわてませんでしたか、どちらともいえませ
んでしたか?
1)あわてた場合→次にその程度についてお聞きします。
「非常にそう思いましたか」
、それとも、
「ま
あそう思いましたか」
、それとも、
「式式そう思いましたか」
、3 つの中から選んでくだ
さい。
2)あわてなかった場合→次にその程度についてお聞きします。「非常にそう思いましたか」、それと
も、
「まあそう思いましたか」
、それとも、
「式式そう思いましたか」
、3 つの中から選
んでください。
3)どちらともいえない場合→次の「気になる」
「気にならない」へ
(以下同様に「あせる」まで続ける)
どちらとも
いえない
-2
-1
0
気になる
-3
-2
-1
0
イライラする
-3
-2
-1
0
疲れる
-3
-2
-1
0
不安になる
-3
-2
-1
0
あせる
-3
-2
-1
0
41
非常にそう思う
式式そう思う
-3
まあそう思う
まあそう思う
あわてる
式式そう思う
非常にそう思う
1.幹線Ⅲ走行後の調査(幹線道態・強制介入)
1
2
3
1
2
3
気にならない
1
2
3
イライラしない
1
2
3
疲れない
1
2
3
安心する
1
2
3
あせらない
あわてない
2.生活Ⅲ走行後の調査(生活道路・強制介入)
走行された感想について、お伺いします。
いま、先ほどと同様、ドライビングシミュレータ上であなたの走行速度が規制速度を超えた時に、自動
的に規制速度以下となるような介入を体験してもらいました。ただし、走行頂いたのは道路幅の狭い生
活道路です。
(1)速度が強制的に規制速度以下となるような介入を体験して、介入がなかった状路を基準としてお
答えください。あなたはあわてましたか、あわてませんでしたか、どちらともいえませんでしたか?
1)あわてた場合→次にその程度についてお聞きします。
「非常にそう思いましたか」
、それとも、
「ま
あそう思いましたか」
、それとも、
「ややそう思いましたか」
、3 つの中から選んでくだ
さい。
2)あわてなかった場合→次にその程度についてお聞きします。「非常にそう思いましたか」、それと
も、
「まあそう思いましたか」
、それとも、
「ややそう思いましたか」
、3 つの中から選
んでください。
3)どちらともいえない場合→次の「気になる」
「気にならない」へ
(以下同様に「あせる」まで続ける)
どちらとも
いえない
-1
0
気になる
-3
-2
-1
0
イライラする
-3
-2
-1
0
疲れる
-3
-2
-1
0
不安になる
-3
-2
-1
0
あせる
-3
-2
-1
0
42
非常にそう思う
ややそう思う
-2
まあそう思う
まあそう思う
-3
ややそう思う
非常にそう思う
あわてる
1
2
3
あわてない
1
2
3
気にならない
1
2
3
イライラしない
1
2
3
疲れない
1
2
3
安心する
1
2
3
あせらない
3.幹線Ⅳ走行後の調査(幹線道路・映像音声介入)
走行された感想について、お伺いします。
いま、ドライビングシミュレータ上であなたの走行速度が規制速度を超えた時に、映像と音声で速度
超過したことを伝える介入を体験してもらいました。
(1)このような速度超過時に映像と音声でそのことを伝える介入を体験して、介入がなかった状路を
基準としてお答えください。あなたはあわてましたか、あわてませんでしたか、どちらともいえま
せんでしたか?
1)あわてた場合→次にその程度についてお聞きします。
「非常にそう思いましたか」
、それとも、
「ま
あそう思いましたか」
、それとも、
「ややそう思いましたか」
、3 つの中から選んでくだ
さい。
2)あわてなかった場合→次にその程度についてお聞きします。「非常にそう思いましたか」、それと
も、
「まあそう思いましたか」
、それとも、
「ややそう思いましたか」
、3 つの中から選
んでください。
3)どちらともいえない場合→次の「気になる」
「気にならない」へ
(以下同様に「あせる」まで続ける)
どちらとも
いえない
-1
0
気になる
-3
-2
-1
0
イライラする
-3
-2
-1
0
疲れる
-3
-2
-1
0
不安になる
-3
-2
-1
0
あせる
-3
-2
-1
0
43
非常にそう思う
ややそう思う
-2
まあそう思う
まあそう思う
-3
ややそう思う
非常にそう思う
あわてる
1
2
3
1
2
3
気にならない
1
2
3
イライラしない
1
2
3
疲れない
1
2
3
安心する
1
2
3
あせらない
あわてない
4.生活Ⅳ走行後の調査(生活道路・映像音声介入)
走行された感想について、お伺いします。
いま、先ほどと同様、ドライビングシミュレータ上であなたの走行速度が規制速度を超えた時に、映
像と音声で速度超過したことを伝える介入を体験してもらいました。ただし、走行頂いたのは道路幅の
狭い生活道路です。
(1)このような速度超過時に映像と音声でそのことを伝える介入を体験して、介入がなかった状路を
基準としてお答えください。あなたはあわてましたか、あわてませんでしたか、どちらともいえま
せんでしたか?
1)あわてた場合→次にその程度についてお聞きします。
「非常にそう思いましたか」
、それとも、
「ま
あそう思いましたか」
、それとも、
「ややそう思いましたか」
、3 つの中から選んでくだ
さい。
2)あわてなかった場合→次にその程度についてお聞きします。「非常にそう思いましたか」、それと
も、
「まあそう思いましたか」
、それとも、
「ややそう思いましたか」
、3 つの中から選
んでください。
3)どちらともいえない場合→次の「気になる」
「気にならない」へ
(以下同様に「あせる」まで続ける)
どちらとも
いえない
-1
0
-2
-1
0
イライラする
-3
-2
-1
0
疲れる
-3
-2
-1
0
不安になる
-3
-2
-1
0
あせる
-3
-2
-1
0
非常にそう思う
ややそう思う
-2
-3
まあそう思う
まあそう思う
-3
気になる
ややそう思う
非常にそう思う
あわてる
1
2
3
あわてない
1
2
3
気にならない
1
2
3
イライラしない
1
2
3
疲れない
1
2
3
安心する
1
2
3
あせらない
参考文献
http://www.iatss.or.jp/pdf/kenkyu/h21/h184.pdf(運転評価)
http://www.arch.oita-u.ac.jp/urban/aizawa/study99/sty99-6.html(機器評価)
その他、気づいた点など(メモ)
44
⑤DS 実走後アンケート調査
調査票
お名前
1.あなた自身についてお聞きします。
(1-1)性別について、あてはまるもの 1 つに○印をつけてください。
1.男性
2.女性
(1-2)年齢について、あてはまるもの 1 つに○印をつけてください。
1. 10 歳代
2. 20 歳代
3. 30 歳代
6. 60~64 歳
7. 65~74 歳
8. 75 歳以上
4. 40 歳代
5. 50 歳代
(1-3)視力(矯正視力)について具体的な数値を記入して下さい。
右目(
.
)
左目(
.
)
(1-4)あなたは目についてなにか病気や障がいをお持ちですか。ある場合は以下にご記入ください。
2.あなたの運転状況についておうかがいします。
(2-1)あなたの最近 1 ヶ月の車(バイクを除く)の運転頻度について、あてはまるもの 1 つに○印を
つけてください。
1.週に 5 日以上運転している
2.週に 3~4 日運転している
3.週に 1~2 日運転している
4.月に 3~4 日運転している
5.月に 1~2 日運転している
6.ほとんど運転していない、もしくは運転していない
(2-2)あなたの最近 1 ヶ月の車(バイクを除く)の平均的な 1 日の運転距離について、あてはまるも
の 1 つに○印をつけてください。
1. 5km 未D
2. 5~10km 未D
3. 10~20km 未D
5. 30~40km 未D
6. 40~50km 未D
7. 50km 以上
4. 20~30km 未D
(2-3)はじめて運転免許を取得してからの経過年数について、具体的に記入下さい。
約
年
(2-4)あなたが普段よく乗られる車(バイクを除く)の形について、あてはまるもの 1 つに○印をつ
けてください。分からない場合は、“10.その他”に車種名をお書きください。
1. セダン型
2. ワゴン型
3. ミニバン型
4. SUV 型
5. クーペ型
6. オープン型
7. ハッチバック型
8. 軽自動車
9. 軽トラック
10.その他(具体的に記入下さい
45
)
(2-5)あなたは、過去 5 年間に自分の車を運転していて事故(人身・物損を含む)あるいは警察に取
り締まられた違反の経験がありますか。
1. ない
2. ある
→
何回ありますか? 事故
回程度
取り締まられた違反
回程度、そのうち速度違反
回
(2-6)あなたは、現在、もしくは過去に車の運転が必要な仕事(トラック、タクシー、バスの運転手
など)に 1 年以上従事している、もしくはしたことがありますか。
1. ない
2. ある
3.運転や車についてのお考えをおうかがいします。
(3-1)あなたは、ふだん車を運転するとき、どのような速度で走行をしていますか。次のうち最も当
てはまるもの 1 つに○をつけてください。
1. 規制速度に合わせて走行することが多い
2. 規制速度より 5km/h 程度速く走行することが多い
3. 規制速度より 10km/h 程度速く走行することが多い
4. 規制速度より 15km/h 以上速く走行することが多い
(3-2)あなたは、ふだん車を運転するとき、どのような運転をしていますか。次の a)~i)のそれぞ
れの運転について、右の 1~4 の段階のいずれかでお答えください。お答えは、該当する欄の番号に○
そうではない
ど ち らか と いえ ば
そうではない
ど ち らか と いえ ば
そのとおり
そのとおり
をつけてください。
a.割り込まれないように、あまり車間距離をあけないで走るようにしている
1
2
3
4
b.駐車禁止でも、他の車の迷惑になりそうでなければ駐車する
1
2
3
4
c.一時停止の場所でも、見通しがよければ止まらないことが多い
1
2
3
4
d.前の車についていけば安心して右左折できる
1
2
3
4
e.他の車が道を譲ってくれるので進路変更の時にあまり神経質になることはない
1
2
3
4
f.脇見運転をすることがある
1
2
3
4
g.運転中にぼんやりしてしまうことがある
1
2
3
4
h.自分は感情の変化は少なく、いつでも冷静でいられる
1
2
3
4
i.運転中にイライラすることが多い
1
2
3
4
46
(3-3)あなたは、ふだん車を運転するとき、以下の a)~m)それぞれの意見に対してどのようにお考
えになりますか。それぞれの意見に対して右の 1~4 の 4 段階のいずれかでお答えください。
3
3
3
3
3
3
3
3
3
3
3
3
3
そう思わない
どちらかといえば
2
2
2
2
2
2
2
2
2
2
2
2
2
そう思わない
どちらかといえば
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
そう思う
a.目的がなくとも、運転すること自体が楽しい
b.車の運転で多少人に迷惑をかけるのはお互いさまだ
c.車は、単なる移動の手段にすぎない
d.事故をおこすのは運が悪いからだ
e.運転は自分の生きがいの一つである
f.運転に危険はつきものである
g.他の車に追い越されるのは、気分のいいものではない
h.運転中は歩行者や自転車を邪魔に思う
i.ほかの車に並ばれると先に出たくなる
j.前の車がもたもたしていると、腹がたつ
k.違反をすることと事故の発生には、あまり関係はない
l.どんな運転者でも、事故になりかけてヒヤリとすることがよくあるものだ
m.10km/h 程度のスピードオーバーであれば危険はない
そう思う
お答えは、該当する欄の番号に○印をつけてください。
4
4
4
4
4
4
4
4
4
4
4
4
4
4.今回の実験についてお伺いします。
(4-1)実験では、3 回目の運転の時に、規制速度を超えると自動
的に速度が調整され規制速度以内の速度となる機能がついていま
規制速度超過時
に自動で速度を
調整
した。あなたはこの機能に気づきましたか。あてはまる方に○印を
つけてください。
1.はい→(4-2 へ)
2.いいえ→(4-4 へ)
(4-2)(4-1)で“1.はい”と答えた方にお尋ねします。図のような「速度を自動で規制速度に調節す
る機能」を受けて、あなたは車の速度を規制速度以下となるように調節しようとしましたか。あてはま
るものひとつに○印をつけてください。また、「3. あまり調整しようとしなかった」、「4. 全く調整し
ようとしなかった」と回答された場合、その理由を下の解答欄に記入ください。
1. 必ず調整しようとした
2. おおよそ調整しようとした
3. あまり調整しようとしなかった
4. 全く調整しようとしなかった
※「3. あまり調整しようとしなかった」
、
「4. 全く調整しようとしなかった」と回答されたその理由
47
(4-3)(4-1)で“1.はい”と答えた方にお尋ねします。図のような「速度を自動で規制速度に調節す
る機能」について、どのように感じましたか。あてはまるもの 1 つに○をつけてください。また、その
理由を下の解答欄に記入ください。
1. とてもよい
2. まあよい
3. どちらともいえない
4. あまりよくない
5. まったくよくない
※理由
(4-4)ご自身の車にこのような「速度を自動で規制速度に調節する機能」を搭載したいと思いますか。
あてはまるもの 1 つに○をつけてください。また、
「5.搭載したくない」と回答された場合、その理由
を下の解答欄に記入ください。
1. 無料ならば搭載したい
2. 5 千円以内ならば搭載したい
3. 1 万円以内ならば搭載したい
4. 1 万円以上でも搭載したい
5. 搭載したくはない
※「5.搭載したくない」と回答された理由
(4-5)我が国の交通事故の約 1 割は速度超過や漫然運転が原因です。今回の実験で体験いただいた「速
度を自動で規制速度に調節する機能」は、運転者が無意識のうちに行ってしまう速度超過を減少させ、
上記のような事故を未然に防ぐことが期待できます。一方でわずらわしさを感じたり、機能の搭載に費
用がかかったりするといったデメリットもあります。このような機能を国を挙げて広く普及させるべき
だと思いますか。あてはまるもの 1 つに○をつけてください。また、その理由を下の解答欄に記入くだ
さい。
1. ぜひ普及させるべきである
2. 普及させた方がよい
3. 普及させなくてもよい
4. 普及させるべきではない
5. わからない
※理由
40 キロ規制です
(4-6)実験では、4 回目の運転の時に、規制速度を超えると右の図
に示すような表示と音声(
「○○km 規制です」
)が出ました。あなた
はこの情報提供に気づきましたか。あてはまる方に○印をつけてく
ださい。
1.はい→(4-7 へ)
2.いいえ→(4-9 へ)
48
40
40km/h
規制です
(4-7)(4-6)で“1.はい”と答えた方にお尋ねします。図のような「規制速度を超過した場合に映像
と音声で案内をする機能」を受けて、あなたは車の速度を規制速度以下となるように調整しましたか。
あてはまるものひとつに○印をつけてください。また、「3. あまり調整しようとしなかった」、「4. 全
く調整しようとしなかった」と回答された場合、その理由を下の解答欄に記入ください。
1. 必ず調整しようとした
2. おおよそ調整しようとした
3. あまり調整しようとしなかった
4. 全く調整しようとしなかった
※「3. あまり調整しようとしなかった」
、
「4. 全く調整しようとしなかった」と回答されたその理由
(4-8)(4-6)で“1.はい”と答えた方にお尋ねします。図のような「規制速度を超過した場合に映像
と音声で案内をする機能」について、どのように感じましたか。あてはまるもの 1 つに○をつけてくだ
さい。また、その理由を下の解答欄に記入ください。
1. とてもよい
2. まあよい
4. あまりよくない
5. まったくよくない
3. どちらともいえない
※理由
(4-9)ご自身の車にこのような「規制速度を超過した場合に映像と音声で案内をする機能」を搭載し
たいと思いますか。あてはまるもの 1 つに○をつけてください。また、
「5.搭載したくない」と回答さ
れた場合、その理由を下の解答欄に記入ください。
1. 無料ならば搭載したい
2. 5 千円以内ならば搭載したい
3. 1 万円以内ならば搭載したい
4. 1 万円以上でも搭載したい
5. 搭載したくはない
※「5.搭載したくない」と回答された理由
(4-10)我が国の交通事故の約 1 割は速度超過や漫然運転が原因です。今回の実験で体験いただいた「規
制速度を超過した場合に映像と音声で案内をする機能」は、運転者が無意識のうちに行ってしまう速度
超過を減少させ、上記のような事故を未然に防ぐことが期待できます。一方でわずらわしさを感じたり、
機能の搭載に費用がかかったりするといったデメリットもあります。このような機能を国を挙げて広く
普及させるべきだと思いますか。あてはまるもの 1 つに○をつけてください。また、その理由を下の解
答欄に記入ください。
1. ぜひ普及させるべきである
2. 普及させた方がよい
3. 普及させなくてもよい
4. 普及させるべきではない
5. わからない
理由は次頁に記入
49
※理由
(4-11)実験で、
「規制速度を超過した場合に映像と音声で案内をする機能(映像・音声機能)」と「速
度を自動で規制速度に調節する機能(自動速度制御機能)」のどちらの機能が素直に受け入れられまし
たか。あてはまるもの一つに○をつけてください。
1. 「映像・音声機能」の方がとても受け入れやすい
2. どちらかといえば「映像・音声機能」の方が受け入れやすい
3. どちらかといえば「自動速度制御機能」の方が受け入れやすい
4. 「自動速度制御機能」の方がとても受け入れやすい
5. わからない
5.実験での運転についてお伺いします。
(5-1)実験の中で、映像で再現した仮想の空間を運転していただきましたが、どの程度普段の運転と
同じように運転をすることができましたか。それぞれの状況において、あてはまるもの 1 つに○印をつ
けてください。
<a.直進をしているとき>
1.ふだん運転している時と全く同じように運転をすることができた。
2.ふだん運転している時と大体同じように運転をすることができた。
3.ふだん運転している時とあまり同じように運転をすることができなかった。
4.ふだん運転している時と全く同じように運転をすることができなかった。
<b.停止しようとしているとき>
1.ふだん運転している時と全く同じように運転をすることができた。
2.ふだん運転している時と大体同じように運転をすることができた。
3.ふだん運転している時とあまり同じように運転をすることができなかった。
4.ふだん運転している時と全く同じように運転をすることができなかった。
(5-2)その他、感じた違和感などお気づきの点等ありましたら自由にご記入ください
調査にご協力いただき、ありがとうございました。
50
<参考資料 3>
簡易市街地 DB 製作仕様書
51
52
53
54
55
56
57
Fly UP