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在学中・学卒後のインターンシップ体験で 期待すべき効果と望ましい

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在学中・学卒後のインターンシップ体験で 期待すべき効果と望ましい
在学中・学卒後のインターンシップ体験で
期待すべき効果と望ましい枠組みのあり方
~「気づき」から「エンプロイヤビリティ」の醸成に向けて
日本インターンシップ学会常任理事
電気通信大学特任講師
田 中 宣 秀
平成24年12月12日
1
報告要旨
① インターンシップ(IS)が導入されるまで経緯
② 15年間におけるISの変遷と現状
③ ISの目的・効果・課題
~15年間で所期の目的は達成できたか
④ 企業など雇用する立場からみた若者像
~最近の学卒新入社員や学卒未就職者の印象・態度
⑤ISなど体験学習(実習)の新しい枠組み作りへ!
~気づきとモチベーションからエンプロヤビリティの醸成へ
~期待すべき地域の産業・NPO組織とその教育力
⑥生涯学習としてのキャリア開発
~社会性・人間力を育む方策
~学卒未就職者対策、早期離職者対策
2
① ISが導入されるまでの経緯
ISなど体験学習を提言したのは産業界!
経済同友会
*91「選択の教育を目指して」・・ジョブ・インターンへの支援
*95「学校から『合校』へ」・・・・・・ 体験学習・教員研修の受入
日本経営者団体連盟
*95「新時代に挑戦する大学教育と企業の対応」
・・・・企業実習・体験学習(アメリカのインターン制)・ボランティア活動をカリキュラムに!
経済団体連合会
*92「大学理工系の研究機能強化に関する提言」
東京(日本)商工会議所
*97「人材流動化時代の企業人教育のあり方」
・・・・・・インターンシップ制度、職業観を豊にする機会の提供を!
3
ISが制度化される前の行政の動き
1996・11:米国就職採用事情調査団(産学官)派遣
(目的:新しい就職・採用形態の調査)
1997・1:橋本内閣の「教育改革」にインターンシップ
の推進が盛り込まれる
1997・5:「経済構造の変革と創造のための
行動計画」が閣議決定
1997・6:各省庁が研究会を開催
インターンシップ等学生の就業体験のあり方に関する研究会(労働
省)、インターンシップ推進のための産学懇談会(文部省)、
インターンシップ導入研究会(通産省)
1997・9:「インターンシップの推進に当たっての
基本的考え方(三省庁のまとめ)」の発表
4
②15年間におけるISの変遷と現状
種々のインターンシップが登場
One Day インターンシップと称する企業説明会
WEBインターンの実施
サービス・ラーニング、海外インターンシップ
1日で修了する工夫された事業所見学
3日程度の課題解決型インターンシップの登場
2週間程度の職場見学・体験型(気づき型)
1~2ヶ月の企業実習型
3ヶ月以上の派遣型高度人材育成協同プラン
地域仕事作り実践型IS(内閣府主導のSBI、NPO
法人などの活動)
5
参考データ
進捗する地域と連携した各種取組み
インターンシップCafé in 横浜(ETIC)
~街づくりや地域課題解決の最前線で6ヶ月
インターンシップコーディネート団体が創設
~NPO法人G-Net、 NPO 法人アスクネットなど
インターンシップ検索サイト「Project Index」
~震災復興フェア、大学1・2年生おすすめ、など全国展開が紹介
企業も社会企業塾など、ソーシャルベンチャー創出
プロジェクトを展開
~NEC 社会起業塾、花王社会起業塾、電通、ゴールドマンサックス証券
協働・地域展開の広がり
~チャレンジ・コミュニティ・プロジェクト、東海若手起業塾
出所:WEB情報から筆者が纏めたもの
6
高等教育機関におけるISの実施状況
@平成20年度実施率予想:
71%(大学)、45%(短大)、100%(高専)
@平成19年度の実施学年:
大学3学年(75%)、大学1~2学年(21%)、
修士1年(78%)、短大1学年(82%)
@平成19年度実施時期:大学の場合(夏期82%)
@平成19年度実施期間:大学の場合
1週間未満(12%)、1~2週間(51%)
2~3週間(26%)、1ヶ月以上(11%)
出所:文科省 『大学等におけるインターンシップ実施状況調査』 2008
7
インターンシップの現状
67%以上の大学がISを導入(学生全体で8%位!)
~理系学生は歓迎されるが、文系学生には狭き門
ISと就職・採用に関する考え方に変化(採用型IS)!
キャリア教育の一環として、普通高校でIS等の導入が
始まる(文科省2009年度~)
一方、IS生(高校生)を引受ける企業は少ない。大企
業は、利益至上主義の下で、競争を余儀なくされ、引
き受けを躊躇しがち
小・中学校ではキャリア教育が浸透しつつあり、職場
体験・見学が盛んに実施されている(文科省の指導)
8
キャリア教育事例(高校)
<愛知県立岡崎高等学校>
*状況:ほぼ全員が大学進学を目指すが、限られた
経験や知識のなかから進路目標を決定する生徒
が少なくない。
*取組み:研究室体験を2年生を対象に実施(1週間)
名大や東大に、1研究室当り1~2名 参加
*事前学習:事前に高等学校での既習事項や
必要な事前学習(5時間)を実施。
*これをもとに実験計画について大学教員と情報交換
が実施されている
出所:愛知県教育委員会『教育研修の手びき』
9
キャリア教育事例(中学校)
<東海市立横須賀中学校>
@テーマ:一人一人の職業に対する興味・関心を
重視した職場体験学習(3日間、多様な受入先)
@対象年次:2年生(280名)の夏休みの行事
1年生の頃から職業調べや社会人の講話を拝聴
することで、3年間を通して職業観・勤労観を醸成
@2005年より「東海市キャリア教育実務担当者会」
をベースに市教育委員会、市商工会議所、市
青年会議所と連携、中学校6校が協力して実施
出所:愛知県総合教育センター紀要96号、2007年
10
キャリア教育事例(小学校)
<西尾市立西尾小学校>
@テーマ:発掘!西尾の町職人~見つけよう!キラリ輝く
心の技~:味噌つくり職人など
@対象学年:5年生(38人):事前学習・見学・事後学習で
31時間(食卓の食べ物調べ~味噌のなぞ調べ)
@教科領域:国語科、社会科、コミュニケーション・タイム
総合的な学習の時間、
@6年間を通し、人間関係能力、情報活用能力、将来設計
能力、意思決定能力を養う体制を構築
出所:愛知県総合教育センター紀要96号、2007年
11
<参考>インターンシップ拡大の背景・要因
文科省によるキャリア教育指針の役割
1998年『職業指導及び進路指導に関する基礎的研究』・・・文科
省委託研究
1999年:中央教育審議会の『接続答申』
2002年:『児童生徒の職業観・勤労観を育む教育の推進』
2004年:『キャリア教育の推進に関する調査研究協力者会議』
文科省、新キャリア教育推進事業の3年間が始まる
2005年:キャリア教育実践プロジェクト(キャリア・スタート・ウィーク)
『中学校職場体験ガイド』の発表
2007年:『キャリア教育推進プラン』の発表
2007年:平成16~18年度「キャリア教育地域推進協力校」の
276校の報告
2010年:『小学校キャリア教育の手引き』文科省
12
③ISの目的・効果・課題(所期の目的は達成されたか)
インターンシップの意義・目的(効果)
学生・大学の意義・目的
教育方法の改善・充実
高い職業意識の育成・・・・未解決
自主性・創造性のある人材の育成
企業の意義・目的
実践的な人材の育成・・・・・未解決
大学等の教育に対する産業界のニーズの反映
企業等の理解の促進
出所:文部省・通産省・労働省「インターンシップの推進に当たっての基本的
考え方」(3省合意)1997年より
13
実習後、企業から大学に出された意見
(企業と大学との意識の乖離・ミスマッチ)
学生の目的意識を高めて欲しい
(37%)
実施時期に自由度を持たせて欲しい
(20%)
事前教育を充実して欲しい(11%)
終了後のフォローを重視して欲しい(11%)
学生の派遣体制を確立して欲しい(9%)
<出所>
日本インターンシップ推進協会(旧:関東地域インターンシップ推進協会)
『今後のインターンシップ推進の在り方に関する調査研究』2002年
14
学生にとってのIS体験の効果
(気づきが中心)
実社会の一部に触れ、貴重な社会体験(気づき)
自分を見直す良い機会となった(自己理解)
就職先のヒントが得られた(進路に関する情報)
自分の意識が変わった(自己形成)
実務が分かり、職業意識が湧いてきた
(職業観醸成)
会社のイメージが分かってきた(他者理解)
<出所>
日本インターンシップ推進協会(旧:関東地域インターンシップ推進協会)
『今後のインターンシップ推進の在り方に関する調査研究』2002年より
15
電通大生によるIS体験の自己評価
(やはり気づきが中心)
*実社会の一部に触れ貴重な体験をした
(83%)
*自分を見直すよい機会になった
(62%)
*就職先についてヒントが得られた
(57%)
*自分の意識が変わった(49%)
電気通信大学平成23年度IS報告書より
16
インターンシップの効果に関する所見
15年間経つが、「気づき」の効果を目的としたインタ
ーンシップが大半(労働者性の無いIS)
効果を数値化することは極めて難しい
ー日本物理学会に「大学卒業生の進路に対応した基礎物理教育」に関す
る調査・研究がある(平成15-16科研基礎研究C)
ー事前・事後の自己点検評価シートなどは種々あるが、客観性に欠ける
IS体験後、数年後経っても良かったという感想が出
されるが、測定は時間を経るに従い難しくなる
(教育評価に関する本質問題)
ISや体験実習が、働くことのモチベーションを喚起、
実際の職業選択に結び付けられるか、今後の課題
(二極化の問題と関連)
17
確認されている体験学習の効果
シカゴ大学付属小学校におけるデューイの実践
(Learning by doing, To learn from experience)・・
1896年
工部大学校、ヘンリー・ダイヤーによるサンドイッチ型
工学教育・・・・1873年
東京工業学校(現東工大):卒業後、大学の監督の
下、実業者に付き現業練習(1年間以上)・・1891年
シンシナティ大学におけるハーマン・シュナイダー教
授によるCO-OP教育の実践・・・・1906年
わが国医師養成の臨床研修制度・・・・1946年
18
インターンシップの課題
インターンシップの実施目的を改めて要検証
~体験させることだけが目的になっていないか!
学部・学科のなかに、教科としてインターンシップを
組込む大学が増えているが、学部・学科の教育理
念(育成する人材像)と整合性があるか要検証
(例:教員・保育士など資格取得に関する実習のカリキュラム
は明確、充実している)
企業の目的は有能な人材の採用。企業の求める人
材像と大学の教育(育成)目標の乖離が散見
「学部・学科によっては、長期ISと就職を結び付け
るべき」・・・・ミスマッチ解消と狭義の職業教育の視点から
19
インターンシップを運営・実施する組織
N=20
5%
学部・学科単位で実施
40%
40%
学部横断的センター・
委員会組織で実施
学部・学科単位と学部
横断的組織の併用
15%
その他
出所:IS学会関東支部『インターンシップと就職』アンケート調査、2012
20
就職とISを結びつけることに関する意見
N=20
その他
20%
早期退職傾向を防ぐためISを積極的
に就職と結びつけたい
20%
早期退職事例を防ぐため、マッチング
機能を重視したISを実施したい
50%
ISは教育の一環であるが、結果的に
就職と結びつくのは問題ない
ISはあくまでも教育の一環。就職と切
り離すべき
0
1
2
3
4
5
6
7
8
9
出所:IS学会関東支部『インターンシップと就職』アンケート調査、2012
10
21
職業指導(キャリア・ガイダンス)導入の有無
6%
94%
N=17
職業指導(キャリ
ア・ガイダンス)を
導入している
職業指導(キャリ
ア・ガイダンス)は
導入していない 22
出所:IS学会関東支部『インターンシップと就職』アンケート調査、2012
<参考>
野田政権の若者雇用戦略
「雇用戦略対話」が合意、若者雇用戦略推進協議会で検討中
①骨太な若者への育ちを社会全体で支援
②対症療法から2020年を見据えた中長期戦略の対応
(1)機会均等・キャリア教育の充実
*キャリア教育の充実(初年次からの原則実施):三省合意の見直しなど
*就学支援による貧困の連鎖の防止
*産学官連携による実践的な職業教育の実施
*グローバル人材の育成(海外インターンシップの推進など)
(2)雇用のミスマッチ解消
*学校とハローワークの完全連結
*大卒者で20万人のミスマッチ(求人数56万人:就職者36万人)
(3)キャリアアップ支援
*「フリーター半減」の達成; ピーク時の217万人から124万人へ
*産学官連携による実践的な職業教育の充実
23
出所:2012・6・12「若者雇用戦略について」より
④企業など雇用する立場からみた若者像
最近の学卒新入社員の印象
• 職場で上手くコミュニケーションが図れない社員が増え
ている
• チャレンジ精神のある社員が少なくなっている
• 自分で問題を解決する意欲のある社員が少なくなって
いる
• 自分のやりたい仕事をしたいと考える社員が増えてい
る
• ITを使った情報収集能力の高い社員が増えている
出所:JILPT「入職初期のキャリア形成と世代間コミュニケーションに関する調査」2011
図14より引用
24
学卒未就職者の特徴
「何をしたらいいかわからない」・・・・・55.7%
進路指導にのってこない・・・・53.3%
成績がよくない。欠席が多い・・・52.9%
拘りが強い・・・49.6%
<コメント>
職場実習に加え、労働市場、労働法制,求職支援など、卒
業後の生涯に亘る職業教育が必要
学科系統別の未就職率が低いのは芸術・人文科学、社会
科学系
JILPT「学卒未就職者に対する支援の課題」2012より
25
新規学卒者の採用において重視すること
仕事に対する熱意があること
職業意識・勤労意識が高いこと
コミュニケーション能力が高いこと
組織での適応力があること
社会常識やマナーが身についていること
理解力や判断力があること
その他(企画立案力、語学力、専門知識・技能、経
験があること等)・・・比較劣位にある
出所:JILPT(2011)「入職初期のキャリア形成と世代間コミュニケーション
に関する調査」図4より
26
⑤ ISなど体験学習(実習)の新しい枠組み作り
気づきからEmployabilityの醸成へ(私見)
職業観・勤労観の醸成は中等教育機関で修了
~自然体験、農業体験、職場体験等のカリキュラム作成
高等教育機関では、専攻分野で長期実習
~短期のISを数度繰り返すことで高度化が可能
~社会科学系分野で専門性をどう付与するかが課題
(学部・学科単位で育成すべき人材像とカリキュラムの策定)
一旦、社会に出て、再度学ぶ生涯学習の場を活用
日本版NVQ導入は時期尚早。まずは企業が要求す
る資格を見極め、充実させることが先決
27
気づきを付与するインターンシップ(IS)と
Employability 醸成のIS・実習の関連図
知識獲得・気づき
のための職場見学
気づき醸成の
ための短期IS
事業所見学
長期インターンシップ
社会を知る
職業を知る
エンプロイヤビリティ醸成のIS
初等・中等教育
高 等 教 育 機 関・ 大学院
28
高等教育機関に相応しい特色あるIS・体験学習を
<学術型:世界的研究・教育拠点大学>
研究者養成ないし高度専門職業人養成
~海外ISないし海外の教育機関での長期のIS
<混合型:教育拠点大学>
幅広い職業人養成。教育すべき指導像を明確に
して、カリキュラムにIS等体験学習を入れること
(学部・学科別ISを構築)
<専門職業人養成型大学>
医者・教員・会計人、弁護士など・・・頻繁に実習
<専門学校型教育機関>
美容・調理など技能型職業人・・長期間の実習 29
高等教育機関における新しい
インターンシップの構築策(1)
<気づきからEmployabilityの構築へ>
前提は基礎学力と教養
気づき中心の短期ISは初年次に、3・4年次生及び
大学院生は長期IS(事前・事後指導も)
大学・大学院教育の質的充実(基礎学力と基礎的
専門知識を有する学生の育成が必須)
人材育成が日本を再構築するという長期的視野に
立った経営者の輩出と協力が必須
人文系や社会科学系ISの場合、自らの専攻分野
に関連する体験実習であるべき(職業適性判断)
~将来働きたい業界で1~2ヶ月のIS
30
高等教育機関における新しい
インターンシップの構築策(2)
*派遣型高度人材育成共同プラン(平成17&18年度)
は好ましい先行事例(要復活)
*CSR部門が窓口となり、若者を育成するという企業
の「教育支援・育成システム」の構築
~幹部層、管理者職層、一般職層、技術・研究職層など各層から
学生・若年者の教育ボランティアを出せる体制構築(ISの支援
者と受け皿つくり)
*日本化学工業協会など業界主導での大学院教育(含
む実習)が良い先例
*高度IT人材育成事業(経団連:九州大学・筑波大学)
~企業のIT技術者が大学院で指導
31
派遣型高度人材育成協同プラン
(大学院生対象の5年間の事業:体験期間3カ月)
*採択校
@平成17年度:
東北、山形、筑波、東大、東工大、農工大、慶応、山梨、三重、京都、北大、
名工大、信州、横浜国大、立命館、立教など20校
@平成18年度:
群馬、東工大、福井、名大、豊橋技科大、信州大、岡山、徳島、立教、手塚山
大学など10校
*主要なテーマ
産学連携による実践的PBL(東工大)、大学院地球環境学舎インターン
シップ(京大)、CSRインターンシップ・プログラム(立教)
*課題:派遣学生数が少ない、評価者の評価が曖昧(中間評価)
32
新しいインターンシップの型
インターンシップ・体験学習プログラム
は本来、学部・学科別に異なるべき
各教育機関は学部・学科別に目指す人材像と教
育目標を有していること
学部において学部独自のIS・体験学習(実習)の
カリキュラムを作成(単位、期間、事前・事後研修
など大枠を規定)、学科が目指す人材育成に相
応しいIS・体験学習プログラムを実施
~医学、法曹、会計人などを養成する機関は所持
産学間の連携が充実していること(カリキュラム
の作成を含め)
33
PBL型産学連携教育
東京大学大学院岡田文雄研究室の取組み
<実績>:2010年度
*国内IS約3週間(24名)*海外IS約8週間(2名)
*教員と学生が企業に滞在して研究開発課題に取り組む
プラクティクススクール 約6週間(17名)
<背景>
社会・時代の要請にマッチさせる為、2004年から三菱化
学、旭化成など5社と議論を重ね、カリキュラムを刷新、
2009年から新しい教育を開始
<目指す人材像>
*研究開発能力をベースとして国際的に活躍、社会の知を
活かす創造力、企画力、リーダーシップ能力を持つ人 34
34
2012年JSI関東支部発表データより作成
学部の専攻科目と連動したIS事例
(立教大学・経団連観光IS)
経団連観光インターンシップを立教大観光学部と
実施(観光学部の学生21名が実習に参加)
2012年4月~10月にIS協力企業からの講師派遣
による授業と8月における10日間の実習
観光立国を目指すわが国に観光人材を醸成した
い経済界のニーズと立教大学観光学部の教育指
導ニーズ(観光産業の経営、観光による地域活性
化)が合致
立教大学観光学部は従来から企業体験型IS(3年
次)とプロジェクト型IS(4年次)がカリキュラム化さ
れている
35
新しいインターンシップ等の枠組み概念図
行政(文科省、厚労省、経産省、内閣府など各省)
産学協働人財育成円卓会議(現行)の拡大版
エンプロイヤビリティ醸成の
ためのインターンシップ
大学
キャリア教育
コーディネータ
地域
企業
(CSR部門)
NPO団体
高校
中学
小学校
職場見学
気づきのための
インターンシップ
家庭
カウンセリン
グの実施
学生・生徒
36
⑥生涯学習としてのキャリア開発
社会性・人間力を育む方策
~初等中等教育機関と大学との相互連携
幼児期から自然に触れた遊び、集団での遊び
~熱意・好奇心・創造性の涵養
集団(野外)生活を通して生きる方法を知る
~報告・連絡・相談すること、協力することの大切さを学ぶ
初等・中等教育機関における優秀な教員の確保・
養成(例:UK, Korea, NZ)
~得意分野・個性を伸ばすことができる教員の活用
カウンセラーの活用
~質の高いカウンセラー確保のため、資格制度の充実を!
37
提示されるべき能力要素の醸成策
<社会人基礎力>
主体性、働きかけ力、実行力、課題発見力、計画力、創造力、
発信力、傾聴力、柔軟性、情況把握力、規律性、ストレス・コントロ
ール力
<学士力>
@知識・理解、@汎用的技能(コミュニケーションスキル
数量的スキル、情報リテラシー、論理的思考力、問題解決力)、
@態度・志向性(自己管理力、チーム・ワーク、リーダーシップ、
倫理観、市民としての社会的責任、生涯学習力)@統合的な学習
経験と創造的思考力
<人間力>
@知的能力的要素(基礎学力など)、@社会・対人関係力要素
(コミュニケーションスキル、公共心、規範意識)、@自己制御的要
素(意欲、忍耐力)
38
社会性と人間力を育む枠組みの概念図
主な組織
家庭・地域・NPO
教育機関における
キャリア教育・指導
身につけるべき力
初等教育・ 中等教育機関
(小学校) (中学校)
(高等学校)
気づき
逞しさ
共感力
読み・書き
計算・ICT
教養・知識
職業観・勤労観
教養・知識・
基礎学力
企業
高等教育機関
(大学)(大学院)
Employability
教養・人間性
基礎的専門知識
学力・専門知識
39
学卒後のIS・キャリア支援(1)
無業者、若年失業者を視野に入れて
<地域サポートセンターなど、NPO法人を含めた活用>
改めて専門家によるカウンセリングと自己分析の実施
(得意分野の発見)
働くことの意義についての自覚と意欲の増進
(識者、経験者による講演・講義やワークショップ)
職業訓練校での教育訓練とインターンシップなど体験
実習
トライヤル雇用(見習い期間)後に就職
就職に役立ち、世界で通用する資格の取得
40
学卒後のIS・キャリア支援(2)
就職後3年以内に離職した若者対策:
<ハローワークと連携>
学卒後3年間は真のインターンシップ期間と想定、
離職した理由を考え、再就職に向け挑戦
「自分を知る」ことが不十分、改めて、自分が好きな
こと、得意なことを発見(訓練校、コーディネート団
体のアドバイザーやカウンセラーの支援を通して)
発見したらその業界で専門性を磨き、働くための資
格(があれば)取得に尽力
政府による「既卒3年新卒扱いの標準化」の実現
41
まとめ
ISが制度として導入され15年経過、その間、種々
のISが実施され、拡大したが、教育効果は気づき
中心のISに留まる(効果測定は本質的に難しい)
今後、長期・employability 醸成型ISが求められ、
産学連携が一層重要になる。学部・学科によっては
就職を念頭に入れたISの導入すべき
基礎学力・社会性がない若者を減らすため、優秀
な教員・カウンセラーを育成する。得意分野を伸ば
す教育の実施が鍵を握る
社会性・人間力を醸成するため、地域の教育力を
活かすとともに、小・中・高・大の連携を図る
学卒未就職者、短期離職者に対しては、地域サポ
ートセンター等で自己理解に務め、実習を重視する
42
提言
体験を通して学ぶ重要性を認識、初等教育段階から産
学が連携し、若者を育成するという国民的合意を図る
大学では、「気づき」のためのIS等は2年次までに終え、
3・4年次以降はEmployabilityを醸成する長期のISなど
体験実習(学習)へ移行する
大学では、教育機関に相応しいIS等体験学習を実施。
人文系・社会科学系の学部では「IS等体験学習」という
名称のカリキュラムの下で、教育目標を促す実習を重
視。専攻分野によっては就職を視野に入れるISを検討
すべきである
産学連携がこれまで以上に必要。若年支援事業担当
の企業窓口は、CSR部門が望ましい
生涯を通したキャリア開発、Employability確保の視点
から、地域におけるキャリア支援システムを構築 43
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