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第24章 考課集計計算

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第24章 考課集計計算
24
第24章
考課集計計算
考課集計計算
24.1.
概要............................................................................................................. 24-3
24.2.
甘辛調整...................................................................................................... 24-4
24.3.
横方向、相互考課データを生かす ............................................................... 24-9
24.3.1.
上司と同僚 ........................................................................................... 24-9
24.3.2.
自己考課............................................................................................... 24-9
24.3.3.
相互補正計算........................................................................................ 24-9
24.4.
考課への参加基準.......................................................................................24-11
24.5.
考課集計計算の基本操作 ........................................................................... 24-12
24.5.1.
メニューの選択 .................................................................................. 24-12
24.5.2.
「考課集計計算」画面の表示 ............................................................. 24-12
24.5.3.
「考課集計計算」の実行 .................................................................... 24-13
24.6.
各機能の概要............................................................................................. 24-14
24.7.
コメントの入力 ......................................................................................... 24-15
24.8.
考課者ウェイトの設定............................................................................... 24-16
24.8.1.
考課者ウェイトの概要........................................................................ 24-16
24.8.2.
設定画面の表示 .................................................................................. 24-16
24.8.3.
考課者単位ウェイト設定 .................................................................... 24-17
24.8.4.
群単位ウェイト設定 ........................................................................... 24-17
24.9.
同部門倍率の設定...................................................................................... 24-18
24.9.1.
概要.................................................................................................... 24-18
24.9.2.
操作方法............................................................................................. 24-18
24.10.
基準値考課者の設定 .................................................................................. 24-19
24.10.1.
概要.................................................................................................... 24-19
24.10.2.
操作方法............................................................................................. 24-21
24.10.3.
基準値考課者設定の効果 .................................................................... 24-22
24.10.4.
複数考課者を基準値考課者に設定 ...................................................... 24-25
24.10.5.
まとめ/基準値考課者の影響力 ......................................................... 24-27
24.11.
考課者チェックデータ............................................................................... 24-28
24.11.1.
概要.................................................................................................... 24-28
24.11.2.
全考課者チェックデータリスト ......................................................... 24-28
24.11.3.
考課者別詳細チェックデータ ............................................................. 24-31
24.11.4.
考課者チェックデータを生かす運用法 ............................................... 24-33
24.12.
考課者の制限............................................................................................. 24-34
24.12.1.
概要.................................................................................................... 24-34
24-1
24
考課集計計算
24.12.2.
考課者単位の考課者制限の操作 ......................................................... 24-34
24.12.3.
群番号単位の考課者制限の操作 ......................................................... 24-35
24.12.4.
不公正指数の指定による考課者の制限 ............................................... 24-36
24.13.
被考課者の制限 ......................................................................................... 24-38
24.13.1.
概要.................................................................................................... 24-38
24.13.2.
被考課者制限の操作 ........................................................................... 24-38
24.13.3.
制限の一括解除 .................................................................................. 24-38
24.13.4.
被考課者制限による集計の補足説明 .................................................. 24-39
24.14.
調整計算選択ボックス............................................................................... 24-41
24.14.1.1. 「甘辛調整」機能のオフ ............................................................... 24-41
24.14.1.2. 「相互補正」機能のオフ ............................................................... 24-41
24.15.
オプション ................................................................................................ 24-42
24.15.1.
全被考課者選択 .................................................................................. 24-42
24.15.2.
甘辛調整制限項目............................................................................... 24-42
24.16.
考課集計計算解説画面............................................................................... 24-43
※甘辛調整による考課データ集計処理: 米国特許№US 7,024,372 B2
24-2
24
24.
考課集計計算
24.1.
概要
考課集計計算
多面考課では、およそ5名以上の考課者による「妥当な」考課データが集まると、コンピ
ュータを利用したデータ処理の効果が期待できるようになります。
「妥当な」考課データを集めるためには考課データのチェックと検討が必要になります。
集計計算時に自動的に行われる考課者の「甘辛調整」で、各考課者のデータは甘辛の基準
値との比較によって、甘辛(寛大化傾向、厳正化傾向)と中心化傾向の補正がなされます(「24.2
甘辛調整」参照)。
システムでは同時に回答率、ハロー考課の被考課者、同点考課項目、無考課項目などのチ
ェックも行い、考課データとしての良否を推定するこのシステム独自の係数「不公正指数」
を算出して「全考課者チェックデータリスト」に出力します(「24.11.2 全考課者チェックデ
ータリスト」参照)。各被考課者別のさらに詳細なチェックリスト「考課者チェックデータ」
も出力されます(「24.11.3 考課者別詳細チェックデータ」参照)。これらのチェックリスト
は、データとして明確に出力されるので必要以上に説得力を持つ場合があります。しかし、
あくまで基準値との比較の結果なので、
「この考課者は、この被考課者に対して他の考課者
達と比較して甘い(辛い)考課をしたが、この考課者の見方が間違っているのか、それとも甘
辛調整の基準値が間違っているのか。」といった検討が必要になってきます。
甘辛調整の基準値は、もし当該集団において決定権を持つ考課者がいれば、その考課者(複
数可)の考課データを基準値とします(「24.10 基準値考課者の設定」参照)。適当な考課者ウ
ェイト(「24.8 考課者ウェイトの設定」参照)を設定した状態での全考課者平均値(みんなの
見方)を甘辛調整の基準値とすることもできます。「同部門倍率(同部門の被考課者に対する
考課者(直属上司)のウェイトをさらに高める。
「24.9 同部門倍率の設定」参照)」設定の必要
性も検討します。
このシステムでは、考課者チェック機能によって不正である可能性が高い考課データを除
外する、考課者に考課のやり直しをさせる、あるいは考課者ウェイト設定機能や基準値考
課者設定機能を利用して妥当な甘辛基準を求めることによって、より多くの人が納得する
考課結果を導き出すことが可能となります。
24-3
24
考課集計計算
24.2.
甘辛調整
本システムでは多面考課データを集計し、全考課者平均を基準値として各考課者の値を比
較します。(基準値を求めるにあたって全考課者の単純平均ではなく、
「考課者ウェイト設定」
、
「基準値考課者設定」を行うこともできます。)
甘辛調整の原理を数式で表現すると以下のようになります。
分布度
Bu=標準偏差(K)/ 標準偏差(T)
甘辛値
AM=平均点(K)−平均点(T)
K :
考課者K
T :
考課者全体
偏り(対被考課者H)KA = 総合点数(H)−平均総合点数(H,K)
H :
被考課者H
甘辛調整値(H,K)CH = AM + KA− KA / Bu
Bu:
分布度
甘辛調整ランク値 AGX =AG%(I)− CH
AG%(I):
項目 I の考課ランク値
被考課者みんなを高い点数で、差の小さい考課をしている考課者のデータに対しては、全
体(基準値)との比較で平均点の差だけ点数を下げると同時に、データの広がりも全体との比
較でその比率で拡大します。その調整係数を各被考課者別に算出し、元の考課ランク値を
調整計算します。
これらの式は原理を表すものであり、実際はさらに回答率など他の変数を含んだ計算にな
ります。
たとえば、厳正化傾向の考課者「松本良一」の考課データは次ページのように調整されて
集計されます。
24-4
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考課集計計算
調整前
調整後
「松本良一」の考課データはみんなを辛く考課するものであったので、データ全体を基準
まで引き上げ、同時にデータの広がりも基準より大きかったので縮められています。
24-5
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考課集計計算
システムがどのように甘辛調整計算を行うか、もう少し詳しく説明します。多面考課では
他部門の上司や同僚も考課者となりますが、他部門の上司は被考課者集団の全員を知らな
いため、考課できる対象者のみを考課するということがあります。また、同僚が相互に考
課を行う場合、自己考課したデータは集計からは除外します。その結果、相互考課者も集
団全員を考課しないというデータになります。つまり、相互考課者は考課する対象者がそ
れぞれ異なるということになります。
このようなデータの甘辛調整は、ある考課者の考課した対象者だけに注目し、その考課者
以外の全考課者は、その対象被考課者をどう考課したかを比較します。下図では、被考課
者の集団としては全部で5人ですが、考課者である木村課長は、その内の3人(井上、佐々
原、今川)のみ考課しています。
次に皆はこの3人に対してどのように考課しているか、木村課長が考課を行った当該3人
に対するデータを取り出します。その結果、5人全体の平均点は96.8点であったもの
が、この3人では106点となりました。一方、その3人を考課した木村課長の平均点は
91点となっています。この場合、木村課長は「辛い」ということになります。また、3
人に対する序列付けは、今川さんがトップで次が井上さんなので、皆の見解とは逆転して
います。
甘辛調整をするために平均点だけを合わせるなら、上記平均点の差を各被考課者の点数に
加算あるいは減算すればいいことになります。この例では、木村課長の3人の点数に等し
く106−91=15の15点を加える方法です。しかし、この方法では人事考課におい
て注意すべき事項である、中心化傾向の問題が解決されません。中心化傾向のデータ(仮に
24-6
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考課集計計算
真剣かつ公正に考課しても、点数の高い人と低い人の差を大きくすることに抵抗があって、
順位こそ付けたものの点数差が僅かであったというデータ)は、そのまま集計されると最終
集計結果の順位を左右する影響力が小さいものとなってしまいます。
そこで、各考課者が被考課者にどのような差の付け方をしたか、その大きさを算出します。
この大きさを標準偏差といいます。この計算方法も図に示していますが、まずは各被考課
者にどのくらい平均点から離れた考課をしたか、平均点との差を計算します。平均点との
差を単純に合計してしまうと、プラスとマイナスでゼロになってしまうので、それを避け
るためにそれぞれを二乗します。それを合計して人数で割ります。これが二乗平均です。
さらに、それの平方根を求めると平均点位置からの離れ具合の平均値が出ます。
これが二乗平均平方根(標準偏差)です。この数値の大きい人は差を大きく付けた評価を
した人、逆に小さい人は中心化傾向の評価をした人ということになります。この標準偏差
の比(ここでは分布度と呼んでいます)が、木村課長は0.73となりました。木村課長
は中心化傾向にあることがわかります(皆と同じ差の付け方をした場合の分布度は1です)
。
甘辛調整では、まず平均点を全体の106に合わせます。各被考課者の点数は元の平均点
からの差を分布度で割って、皆の差の付け方に合わせます。図の例では、井上さんの平均
点より4点プラスは5.5点プラスに調整されます。佐々原さんは−18が−24.7に、
今川さんは14が19.2に調整されます。これで辛めであり、かつ中心化傾向にあった
木村課長のデータは、皆のデータと平均点もデータの拡がり具合も合わせられたことにな
ります。なお、この調整では、木村課長のトップ今川さん、2位井上さんという見解はそ
のまま生かされます。
以上は概念的、原理的に説明してきましたが、実際のシステムではもう少し内容が複雑に
なります。まずは甘辛の基準をどのように数値化するかという問題です。一つの方法とし
て、皆の見解(全考課者平均値)を基準にする方法があります。この場合、職位の高い考
課者の集計への影響力を上げる「考課者ウェイト」設定を行うという選択肢があります。
被考課者全員を考課する責任ある立場の考課者ウェイトを大きく設定にすることより、全
体の位置付けの基準となるデータが作られ、考課者個々の見解のバラツキは影響力を調整
されることになり、それを基準に更に甘辛調整されることになります。集計結果はより妥
当性の高いデータということができます。ただし、この基準値の集計に含まれる考課者個々
のデータで、一部の被考課者のみ考課回答したデータが極端に甘い、あるいは辛い場合、
基準値データの歪みとして影響が残ります。
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考課集計計算
集計計算における選択肢には、
「基準値考課者」設定という機能もあります。部門間調整に
おいて多くの発言があり、広く全体を見る責任者には考課者として参加してもらいます。
そして、この人の平均点、標準偏差を基準値として設定します。広く部門全体を見渡す部
長は、単に一つのセクションのみを預かる課長より、全体の位置付けのバランスをとる能
力は高いといえます。ただし、この基準値考課者の見解はあくまで全体的なものであり、
この人の被考課者の対する序列付けが皆と異なれば、集計の中で変えられます。
なお、上の説明では総合点数を直接甘辛調整するように説明していますが、実際の処理は
各考課者の甘辛、標準偏差を求める方法は説明の通りですが、調整計算は各考課項目デー
タを調整しています。したがって被考課者にフィードバックする「人事考課レポート」の
各考課項目の点数は、甘辛調整された点数となっています。
このシステムでは、考課できない項目がある場合、回答できる項目のみの考課を許してい
ます。この場合の処理は、回答した項目の点数(ランク値と項目ウェイトから算出)で全項目
を考課したという換算をして各考課者の甘辛、標準偏差を算出しています。
評価は、直属上司の見解、更に上の上司の見解、斜め方向の他部門上司の見解、同僚によ
る横方向からの見解など、それぞれ一長一短があります。このシステムでは、これを前提
に、職場に合った運用をし、各層の見解を合理的に集計しようとするものです。
24-8
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24.3.
考課集計計算
横方向、相互考課データを生かす
24.3.1. 上司と同僚
誰が被考課者をよく観察し、実態を把握しているか。職種、職場にもよりますが直属上司
の次に有力な観察者はその被考課者の横で仕事をともにしている同僚ではないでしょうか。
担当業務を消化する立場と、部門全体の業績を問われる上司とでは視点が異なり、横方向
では見えないものがあるという点は否定できないところです。しかし管理経営数字のオー
プンな経営環境では、考課者は必ずしも職位に応じた判断をするとは限らず、時には下位
の者が上位の者を越える判断をすることもあり得ます。
このような観点に立ち、多面考課においてより妥当なデータをより多く集めるためには、
被考課者が同僚お互いを相互に考課する、横方向の考課データも是非取り込みたいもので
す。
24.3.2. 自己考課
被考課者が相互考課者として考課を行う場合は、一方的考課者(上司)が上の立場で部下を考
課する場合とは異なり、被考課者メンバーの中に自分自身を含んでいます。考課入力プロ
グラムでは、一方的考課者(上司)と同じ考課基準で自分も含む他の被考課者を考課し、分布
図で自分も含む被考課者全体の相対順位を確認して考課データを完成することになります。
自己を考課することは考課基準を自分に当てはめてみることであり、被考課者それぞれが
自身の課題を認識する上で大変効果があります。集計計算ではこの自己考課値は除外しま
すが、被考課者にフィードバックする「人事考課レポート」には、複数考課者による考課
結果と自己考課の結果を対比して出力します。
24.3.3. 相互補正計算
集計計算では、自己考課値は計算から除外されるので、たとえばある被考課者が相互考課
者として(自分も含む同僚を)甘く考課したとすると、全体の平均点を上げた分だけ自分の点
数が相対的に下に移動することになり、不利な結果となってしまいます。
そこでこのシステムでは、平均値を移動した分の数値を当該被考課者の点数に加減算する
ことで相互考課者の補正計算をします。前項の甘辛調整は相互考課者データも全く同じ処
理をしています。
相互補正は被考課者の点数を、その被考課者の相互考課者としての影響度に応じて加点又
は減点して調整することで行います。
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考課集計計算
影響度は、当該被考課者が相互考課者として対象者群に考課した平均値と、他の考課者全
体(一方的考課者も含む)が同じ対象者群に考課した平均値との差を表す「点差」と、当該被
考課者が相互考課者として自分以外の全被考課者の何%を考課したかを表す「回答%」と
を勘案して判定します。以上を計算式で表現すると次のようになります。
●相互補正の数式
i 番目の項目の点差 DXD(i)
DXD(i) = (H1X(i) / H2p(i) - XToR(i) / XToK(i)) * WAp(i) / 10
H1X(i);i 項目の考課者全体の考課ランク計
H2p(i);i 項目の回答考課者人数
XToR(i);i 項目の考課者別項目別 考課ランク計
XToK(i);i 項目の考課者別項目別 考課数計
WAp(i);i 項目のウェイト
i 項目の影響度 EI
EI = H2p(i) / (T2p(i) - V2p(i))
T2p(i);i 項目の全回答考課者人数
V2p(i);i 項目の被回答考課者人数計
i 項目の調整値 CA
CA(i) = DXD(i) * EI
点差×影響度
i 項目の調整された点数 Xcd(i)
Xcd(i) = V1X(i) / V2p(i) * WAp(i) / 10 + CA(i)
V1X(i);i 項目の被考課ランク計
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24.4.
考課集計計算
考課への参加基準
年齢や業務年数がある値以上といった一定の基準を設け、一般社員(被考課者)を相互考課者
にすることは、より有効なデータを多く集めることにつながります。また、被考課者は実
際に考課基準に目を通し同僚の考課を行うことで、組織(職場)が自分達に求めている内容を
より深く理解することにつながります。
ただし、新入社員のように職場の知識も経験も少なく、先輩の考課をさせるには力量不足
の人を考課者として参加させると、年齢の高い経験年数の多い人が能力も高いといった、
極めて年功的な考課データとなることが多いものです。この場合、新入社員は自己考課の
み行わせる、経験が浅い社員の考課データはあくまで参考にとどめる、などの工夫が必要
です。
また、職種の異なる他部門の上司が考課者となる「斜め」考課の場合、考課時に被考課者
それぞれの勤務成績、期間業績などがわかるような各種補助資料が整備されていないと、
イメージだけで考課してしまいがちとなり、結果的に実績や成果と結び付かない年功的考
課データが多くなってしまうので注意が必要です。
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考課集計計算
24.5.
考課集計計算の基本操作
24.5.1. メニューの選択
[考課後処理] メニューの [考課集計計算] をクリックします。
24.5.2. 「考課集計計算」画面の表示
その時点で選択されている考課集団が表示されます。考課集団を変更したい場合は、メイ
ンメニューの[考課前処理] − [考課集団リスト]で集団を選択し直すか、この「考課集計計
算」画面メニューの[前集団]又は [次集団]を押して目的の集団を画面に表示させます。
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24
考課集計計算
24.5.3. 「考課集計計算」の実行
[考課集計計算] をクリックします。
↓
[考課集計計算] ダイアログが表示されます。[OK] ボタン をクリックします。
↓
[能力給システム] ダイアログが表示されます。[OK] ボタン をクリックします。
↓
甘辛調整が自動的に行われ「集計分布図」が表示されます。
24-13
24
考課集計計算
24.6.
各機能の概要
(各ボックス内の番号は段落番号)
24.8 考課者ウェイトの設定
24.15 オプション
24.9 同部門倍率の設定
24.7 コメントの入力
24.12 考課者の制限
24.14 調整計算選択ボックス
24.11 考課者チェックデータ
24.12 考課者の制限
24.13 被考課者の制限
24.10 基準値考課者の設定
24.12.4 不公正指数の指定による考課者の制限
24-14
24
24.7.
考課集計計算
コメントの入力
被考課者集団及び考課者集団に対して、それぞれ全角11文字以内でコメントを付けるこ
とができます。
コメントの入力域
「被考課者コメント」欄には初期値として考課集団名が表示されます。
ここに設定したコメントは、「人事考課レポート」などに表示されます。
表示される領域
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考課集計計算
24.8.
考課者ウェイトの設定
24.8.1. 考課者ウェイトの概要
多面考課データを集計する際に、全考課者のデータを等しく扱うのではなく、考課者によ
りウェイトを変えて集計することができます。ウェイトは1から6の範囲で設定できます。
たとえばある考課者にウェイト6と設定した場合、その考課集団におけるその考課者の考
課データは6倍のウェイトがかけられます。集計計算の際には、その考課者と全く同じ見
方をした考課者が6人いたとして集計が行われます。
考課者のデータチェックを行った結果、最も多くの被考課者を把握していて、かつ妥当な
考課データであると判断された考課者、あるいはその考課集団の考課結果に大きな責任を
持つべき考課者などのウェイトを大きくして集計することは、より妥当な集計結果を得る
ことにつながります。
24.8.2. 設定画面の表示
「考課集計計算」画面メニューの[考課者ウェイト] をクリックします。
↓
「考課者ウェイト設定」画面が表示されます。
24-16
24
考課集計計算
24.8.3. 考課者単位ウェイト設定
1.考課者名をクリック(例:野口次郎)
2.「考課者ウェイト設定」欄にクリックし
た考課者名が表示されたのを確認後、[←]
又は[→]ボタンでウェイトを設定
[次メンバー]ボタンを押すと次の考課者(例:手塚啓治)が指定されます。
[前メンバー]ボタンを押すと前の考課者(例:西脇京子)が指定されます。
24.8.4. 群単位ウェイト設定
群番号で一括してウェイト設定することもできます。
「考課者ウェイト設定」画面メニューの[群(職階)別一括ウェイト設定] をクリックすると、
「群別考課者ウェイト設定」画面が表示されます。
1.群番号欄をクリック
2.[ウェイト減]、[ウェイト増]ボタンの操作でウェイトを設定
3.設定が完了したら[適用]ボタンを押す
24-17
24
考課集計計算
24.9.
同部門倍率の設定
24.9.1. 概要
「被考課者を一番よく知っているのは直属上司である。
」この考えは一見もっともであると
思われがちです。しかし、たとえば課長は課員のことをよく知っていたとしても、ある課
員を部員全体の中でどのポジションに位置付けたらよいのか、という判断は下せません。
この判断を下すのは部全体を統括する部長ということになります。以上のような理由から
考課者ウェイトは一般的には課長より部長に大きく設定します。しかしながら、システム
運用上、あえて直属上司の考課者ウェイトを大きくしたい場合は「同部門倍率設定」機能
で設定します。同部門倍率は1から3の範囲で設定可能です。
たとえば考課者ウェイトが4に設定された考課者がいたとして、その考課者の部門番号が
1だったとします。被考課者集団が部門番号1、2及び3の混成で形成されていた場合、
この考課者のウェイトは部門番号1、2及び3のすべての被考課者に対して等しく4で集
計されます。ここで同部門倍率を2と設定すると、この考課者のウェイトは部門番号2及
び3の被考課者に対しては4のままですが、考課者と同じ部門番号1の被考課者に対して
は4×2の8となって集計されます。
24.9.2. 操作方法
「考課集計計算」画面のこのチェック ボックス をオンにします。
↓
同部門倍率設定ボックスが表示
されるので、[←]又は[→]ボタンの
操作により1∼3の範囲で設定
します。
同部門倍率は、相互考課者についても適用されます。
考課者の「兼任部門」も同部門として扱われます。
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24
考課集計計算
24.10. 基準値考課者の設定
24.10.1. 概要
図 24-1 は本システムの甘辛調整計算処理を流れ図にしたものです。考課入力プログラムに
より作り出された複数考課者の「多面考課データ」は、集計計算画面において、考課者の
選択(制限)設定、被考課者の選択(制限)設定、考課者ウェイト設定などの条件のもと、まず
Bで集計計算を行います。
その結果得られた各被考課者への考課点数を基準値として、各考課者はどんな考課をおこ
なったか、次のCで各考課者の甘辛(平均点の差)
、データの拡がり度合い(標準偏差)を
計算し記憶します。
最後にDで、この甘辛と標準偏差により各考課者の元のデータを調整して再度集計計算を
行います。十分な量の、かつ妥当なデータがあればこの計算処理によって考課結果として
活かせるデータとなります。
しかしながら、公正な多面考課を成立させるに十分な内容と量の考課データを得られない
場合、特定の考課者をその集団データの基準値として計算し、より妥当な集計データを求
める機能が「基準値考課者設定」です。考課者の甘辛と標準偏差を計算するための基準値
計算(図のB)において、考課に多くの責任を負うことができ、かつ全被考課者を考課できる
考課者データを基準値とする方法です。
公正な多面考課を成立させるに十分な内容と量の考課データを得られない場合とは、たと
えば次のような場合です。
・ 職位の同位のメンバーを被考課者として設定したが、多くの部門メンバーからなり、
上位の考課者が部門を越えた考課をしていない。
・ 各考課者の甘辛の差が激しい。
・ 人事考課ということ自体に正しい認識が出来ず、間違った反撥心から意図的に一部
の被考課者をすべての項目で最高ランクにする考課者がいる。
これらの場合には全体合計を基準値としたのでは基準値自体が歪んでいて、たとえ甘辛調
整をして影響が薄れるとはいっても妥当な結果が得られない可能性が残ります。
基準値の歪みを除去する方法としては後述する「考課者チェックデータ」による「不公正
指数」がいくつ以上の考課者のデータを除外して集計するという選択肢もあります。しか
し基準値考課者設定を行えば、たとえば高ランク同点数考課データは意味をなさなくなり
集計には全く影響を与えません。
24-19
24
考課集計計算
「基準値考課者」はその集団の考課に大きな責任を持つ人で、かつその集団の全被考課者
の全考課項目を考課できる(しなければならない)人であることが望まれる条件となります。
被考課者と考課者を選択する考課集団の編成時に、あらかじめ基準値考課者となってもら
える人を想定し、その旨を本人に伝えて全被考課者全項目考課入力の了解を得ておくこと
が望ましい運用方法となります。
図 24-1
甘辛調整計算処理フロー
24-20
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考課集計計算
24.10.2. 操作方法
基準値考課者としたい考課者の「№」欄を
クリックして設定(オレンジ色表示)。
基準値考課者設定時には、「相互考課
複数考課者の設定が可能。
補正」は自動的に解除される。
再クリックで設定解除。
図 24-2
基準考課者設定画面
図 24-2 は、考課集計計算画面です。この画面で氏名の左欄の「No」をクリックすること
で「基準値考課者」の設定(解除)を行います。
図では No.30 の「篠田健次郎」が基準値考課者に設定されている状態を示しています。基
準値考課者は複数の考課者を設定することも可能です。
なお、相互考課者の甘辛による損得を補正する「相互補正」機能は、基準値考課者を設定
する場合は不要となり「相互考課補正」機能選択は自動的に解除されます。
24-21
24
考課集計計算
基準値考課者を設定した状態で「相互考課補正」ボックスにチェックを入れて相互補正を
行わせようとすると、以下のメッセージが表示されてエラー操作であることを示します。
24.10.3. 基準値考課者設定の効果
基準値考課者に設定したら甘辛調整集計計算結果はこの考課者の見解のままになる訳では
ありません。この考課者の考課データの標準偏差(データの拡がり度合い)と全被考課者
への平均点数の2つを基準値とするという設定です。
たとえば図 24-2 で考課者最後尾の「二見俊春」は被考課者全28名中の6名に考課してい
ます。この6名に対して基準値考課者の平均点数と標準偏差を算出し、「二見俊春」の元デ
ータの平均点数と標準偏差が基準値考課者と等しくなるように調整して、その数値で集計
します。
ただし、この時考課者「二見俊春」の6名に対する見方(6名の順位、相対的位置)などはそ
のままいかされ集計されます。
考課者ウェイト設定はそのウェイト値の人数が存在するのと同等の作用をしますが、基準
値考課者の被考課者に対する順位付けと、他の多くの考課者のそれが異なれば、考課者人
数(ウェイト値)に応じて集計データは基準値考課者のものとは異なってきます。
24-22
24
考課集計計算
図 24-2 の設定で、集計計算をした結果の分布図が、図 24-3 です。
図 24-3
考課者「篠田健次郎」を基準値とした分布図
一方、基準値考課者「篠田健次郎」がどのような考課をしていたかを示す元データが図 24-4
です。
図 24-4
考課者「篠田健次郎」の元データ分布図
24-23
24
考課集計計算
図 24-3 と図 24-4 を比較すると、データの分布は近い形になっていますが、被考課者個々
の順位に関しては見解が異なる所があり、集計値では基準値考課者の見解も少数意見とな
る部分は変わってきています。たとえば考課者「篠田健次郎」が3位に位置付けた「南原
紀人」は、集計値では10位となっています。
図 24-5
考課者「篠田健次郎」を基準値考課者としたチェックデータ
当然ながら「考課者チェックデータ」では、図 24-5 のように基準値考課者「篠田健次郎」
は甘辛差、絶対差、及び相対差のすべてが0、標準偏差の比である分布度は1.0、不公正
度0となります。なお図 24-6 は図 24-2 で基準値考課者を設定せず、考課者ウェイト換算
での全考課者平均を基準とした場合の集計結果です。
図 24-6
基準値考課者設定なしの分布図
24-24
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考課集計計算
24.10.4. 複数考課者を基準値考課者に設定
図 24-7
基準考課者3名設定
図 24-7 は基準考課者を3名設定した例です。ここでは、この3名はこの集団の被考課者2
8名をほぼ全員考課しており、かつこの集団の人事に最終責任を負うメンバーということ
で、基準値考課者として設定されています。
図 24-8 は上記設定による集計計算結果の分布図です。また、図 24-9 はこの場合の考課者
チェックデータです。
基準値考課者が1人の場合とは異なり3人の平均値を基準値としているため、基準値考課
者1人1人の甘辛度は必ずしも0ではありません。分布度も1ではありません。しかし、
この例では3人の見解が大きく違わなかったこともあり、不公正度は小さくなっています。
24-25
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考課集計計算
図 24-8
図 24-9
基準考課者3名での集計分布図
基準値考課者3名の場合のチェックデータ
24-26
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考課集計計算
24.10.5. まとめ/基準値考課者の影響力
多面考課においては他部門上司の考課参加もあり、考課者は必ずしも全被考課者を考課で
きるとは限らなくなります。結果として考課者の考課回答率は不規則なものとなります。
本システムの甘辛調整計算は、この部分的な考課回答データを前提として計算処理を行い
ます。
すなわち、ある考課者が全被考課者28名中3名のみ考課回答した場合、その考課者の甘
辛調整は、基準値考課者を設定している場合では、基準値となる考課者がその3名にどん
な平均点と標準偏差を出しているかの比較で行います。
一方で基準値考課者を設定していない場合は、その考課者の甘辛調整は、全考課者がその
の3名にどんな平均点と標準偏差を出しているかの比較で行います。
基準値考課者設定の主目的は、甘辛比較の軸になる平均点の値と、データの拡がり度合い
の比較の軸となる標準偏差を、妥当な位置に置くことにあります。基準値考課者に設定さ
れた考課者のデータは、結果への影響力が大きいことになりますが、他の複数考課者が被
考課者の序列に関して、基準値考課者と異なる見解を出した場合、計算結果は基準値考課
者のものとは異なってきます。
このシステムにおける甘辛調整計算は、換言すれば個々の考課者の見解である序列を、考
課者ウェイトに比例した影響力で集計するものと言えます。
24-27
24
考課集計計算
24.11. 考課者チェックデータ
24.11.1. 概要
多面考課ではより多くの考課者のデータを集めたいところですが、あまりにも恣意的な、
あまりにも偏ったデータの存在は時として集計結果を歪めてしまうことになります。本シ
ステムではこれをできるだけ回避するため、不正であると思われるデータをピックアップ
できるように「考課集計計算」実行時に考課データのチェックリスト出力機能を備えてい
ます。
24.11.2. 全考課者チェックデータリスト
ここをチェックして集計計算を実行
当該集団の全考課者がどのような考課をしたか一覧表で出力されます。(図 24-10 参照)
氏名の左側に「相互」と表示されているのは相互考課者(被考課者であるが同一集団内の他
の被考課者を考課した相互考課者です。氏名の右側には各考課者のデータが、基準値と比
較して甘いか(寛大化傾向)、辛いか(厳正化傾向)、中心化傾向でないか(分布度が 1.00 な
ら基準値と同じデータの広がり。小数点以下なら中心化傾向)、考課回答率、ハロー考課の
人数、考課をしなかった項目数、全被考課者に同点考課をした項目数を示しています。
また基準値と比較した絶対差と相対差及び中心化傾向(分布度)の度合いから算出した「不公
正指数」を表示します。この数値が大きければ大きいほど基準値からずれた考課を行って
いることになり、すなわち不公正である可能性が高いと推定されます。
・ 絶対差…絶対考課のずれ具合。たとえばみんなはある項目をSランクと回答したの
に、Dランクと回答するとこの値は大きくなります。
・ 相対差…相対考課のずれ具合。たとえばみんなは被考課者の中のAさんを1位にB
さんを最下位に位置付けたのに、Bさんを1位にAさんを最下位に位置付けるとこ
の値は大きくなります。
この不公正指数が極端に高い考課者については、必要に応じて考課者ウェイトを小さくし
たり、集計計算の考課者から除外したりします。
24-28
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考課集計計算
ごく一部の被考課者しか考課せず、なおかつその見方が基準値と大きく異なる場合は不公
正指数が極端に高くなる可能性があります。
たとえば図 24-10 で相互考課者である 23 番「曽根浩二」のデータは不公正指数 475.8 とな
っています。考課は1人に対してしか行わず(LS=1)、その点数は 152.7(HEI)。一方で基準
値は 100.6(THEI)で、甘辛差は 52.0(AM)の寛大化傾向データです。
氏名右側のウェイト欄に考課者ウェイトが表示されています。「曽根浩二」の考課者ウェイ
トは最低の1と設定されています。この場合集計計算における影響力は、考課者ウェイト
計(このサンプルでは 76。図 24-10 には表示されていません)から 1/76 となります。
「曽根
浩二」に考課された被考課者は 52/76 点、つまり 0.68 点がこの考課者によってプラスされ
たことになります。考課者数(考課者ウェイト計)によっては影響力を無視できなくなります
のでこのようなデータは注意が必要です。
次に注意すべきデータとしては、たとえば 35 番「貝沼欽一」です。10 名に対して考課を行
っていますが甘辛で特に偏っているわけではなく、データの分布度が小さい中心化傾向の
データです。不公正指数の計算式では分布度の二乗で除しているため、中心化傾向が大き
くなるほど不公正指数も高くなります。
さらに「貝沼欽一」は同考課欄に 6 と表示されています。これは 6 項目について被考課者
10 名全員を同点数で考課したことを示しています。基準値考課者設定を行えば、このよう
なデータは甘辛が基準値まで引き上げ(引き下げ)られ、結果として意味をなさなくなる(考
課をしなかったことと同じになる)のですが、基準値考課者設定を行わない場合は基準を歪
める一因となりますので注意が必要です。
また、甘辛調整でデータの広がりが小さい考課データは広げられますが、同点数データは
広げられませんので、この点も問題です。不公正指数の算出式に分布度を入れているのは、
考課者として責任を持って被考課者に対して差をしっかりと付けるべきである、との思い
も込められています。
24-29
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考課集計計算
※このリストの詳しい見方は第30章「付録」をご参照下さい。
図 24-10
全考課者チェックデータリスト
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考課集計計算
24.11.3. 考課者別詳細チェックデータ
出力考課者の個別指定機能チェックボックス。クリックで機能オン。再クリックで機能オフ。
機能オフ時は全考課者のリストを一括出力する。
個別指定機能オンで考課者の「群年齢」欄が黄色表示(出力制限状態)。
出力したい考課者の「群年齢」欄をクリックし白色表示に変えると、その
考課者のリストのみ出力(下図では野口次郎と手塚啓治のみ出力)。
ここをチェックして集計計算を実行
考課者ごとに、どのような考課をしたかがリスト出力されます。(図 24-11 参照)。
図 24-11 は相互考課者「村上智子」が同僚をどのように考課したかを示しています。
「平沢
公春」、「村上智子(自分)」及び「菅井君子」に辛く、「宮内冴子」に甘かったと表示されて
います。
このリストは基準との比較で出されています。必ずしも基準が正しいとは限らない場合も
あり、甘すぎませんか、辛すぎませんか、何か誤解はありませんか、との確認を求めるメ
ッセージととらえたほうがいいかもしれません。このリストを無条件で考課者に配布する
ことは、あまりお勧めはできません。人に対する評価は難しいものです。評価者として自
分に自信を持てない者も少なくありません。明確な形で表示されるこのリストを突きつけ
られると、次回は考課範囲を狭くしようと考える者が出てくる可能性があります。
多面考課で横及び斜め方向の考課を取り入れるとき、被考課者との関係から全被考課者へ
の考課を義務付けることは運用上なじみませんが、このリストを突きつけた場合には、次
回以降考課で回答率を極端に下げることにもなりかねません。明らかに偏った見方をして
いる考課者に口頭で「システムではこんな結果が出ているが何か勘違いはなかったか」と
問いかける程度が標準的な運用といえます。
24-31
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考課集計計算
※このリストの詳しい見方は第30章「付録」をご参照下さい。
図 24-11
考課者チェックデータ
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考課集計計算
24.11.4. 考課者チェックデータを生かす運用法
より妥当な集計結果を出すために、時間的に余裕があるならば一通りの集計処理を終えた
段階で、相互考課者を除く全考課者(上司たち)に「考課者チェックデータ」で結果を報告し、
当初提出してもらった考課データを修正して再提出してもらう必要性があるかどうかを検
討してもらうことも、考課データの信頼度を向上するひとつの選択肢です。
ただし「考課者チェックデータ」は大変説得力があるため、考課者へのフィードバックに
は注意を要します。職場のメンバー構成、雰囲気、考課への認識度合い、過去の考課デー
タの傾向等から判断の上、チェックデータの生かし方を選ぶ必要があります。
考課者訓練は、多くの場合あくまでも仮想の場面での訓練です。現実のデータにおいて観
点の不統一などデータの信頼性が疑われた場合、考課者(上司たち)が一堂に会し、各自の考
課分布図と「考課者チェックデータ」を相互に検討することは、より妥当な集計結果を生
み出すための有効な方法です。
「考課者チェックデータ」は相互考課者に対しては、各被考課者の考課結果が見えてしま
うため開示できないデータです。取り扱いには注意を要します。
多面考課においては、考課者に対して誰を考課するもしないも無制限に自由な選択を許す
と、職場によっては目立たない特定の被考課者の回答率を極端に下げてしまうことになり
かねません。ラインの長に対して部下への全員全項目考課を義務付けることは当然ながら、
斜め方向への考課の場合も最低限の考課回答責任範囲の義務付けを必要とするケースも運
用上は考えられます。
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考課集計計算
24.12. 考課者の制限
24.12.1. 概要
考課者のデータチェックにより、明らかに偏った考課を行った考課者が確認できた場合、
この考課者の考課データを除外して集計計算を行うことができます。全考課者の平均を甘
辛の基準値とする場合、基準値の歪みを除去するために有効な機能です。
被考課者(相互考課)、主任クラス、課長クラス、部長クラスそれぞれの階層がどのような考
課を行ったか、個別に取り出すこともできます。この情報は考課者ウェイトの設定などに
役立てることができます。
また、被考課者を相互考課させたが、相互考課データはあくまで参考にとどめ、最終集計
は管理職の考課データのみで行う、という処理も可能です。
考課者の制限は、考課者1人1人に対して設定する方法と、考課者の群番号で一括して設
定する方法の2通りがあります。
24.12.2. 考課者単位の考課者制限の操作
考課者ウェイトをクリックしてゼロにする
「考課集計計算」画面で、制限したい考課者の「考課者ウェイト」欄をクリックすると考
課者ウェイトは「0」になります。これでこの考課者の考課データは除外されて集計される
ことになります。
制限を解除する場合は「0」表示になっている「考課者ウェイト」欄を再度クリックします。
元の状態に戻ります。
24-34
24
考課集計計算
24.12.3. 群番号単位の考課者制限の操作
「集計計算」画面メニューの[考課者群制限] をクリックします。
↓
「考課者群制限」画面が開きます。
「制限」欄をクリックすると「制限」表示とな
り、その群番号に該当する考課者の考課者ウェ
イトが一括してゼロとなります。
制限を解除する場合は「制限」表示を再クリッ
クします。元の状態に戻ります。
下は上記の操作により相互考課者が一括して制限をかけられています。この状態で集計計
算を行うと上司たちの見解だけを集計した結果を取り出すことができます。
24-35
24
考課集計計算
24.12.4. 不公正指数の指定による考課者の制限
この(同部門倍率チェックボックス の右隣)チェックボックスをチェック
不公正指数指定ボックスが表示され、不公正指数「***以上」の考課者を一括して除外
できます。
不公正指数のみで一括除外をすると、時として職位が上位で(群番号が小さく)、多くの被考
課者を考課している考課者(=その周濡談の考課結果に対して最終責任を負うべき立場の
考課者)も除外されてしまうことを防ぐため、群番号も指定します。
この設定例では、不公正指数が 100 以上であっても、群番号が 2 以上(群番号 2
として設定されている職位以下)の考課者は除外されません。
群番号は問わず、不公正指数のみで除外したい場合は[適用群(以下)]を「1」と
設定してください。
※ 除外したい不公正指数は「<」、
「>」ボタン又はスライダーによる数値指定は「25」∼
「1250」の範囲で、25 刻みで指定することができます。キーボードから数値を直接入
力することもできますが、この場合の不公正指数の下限は 10、上限は 1250 です。
24-36
24
考課集計計算
不公正指数指定による一括除外を行った場合は、
「集計分布図」でコメント表示します。
「考課者チェックリスト」では集計計算から除かれた考課者に「除」マークを付けるとと
もに、画面上部にコメント表示します。
24-37
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考課集計計算
24.13. 被考課者の制限
24.13.1. 概要
たとえば「総務」と「営業」の混成で被考課者集団を編成して多面考課を実施したとして、
「総務」だけ、
「営業」だけの個別集計ができます。
24.13.2. 被考課者制限の操作
制限をかけたい被考課者氏名の左欄に表示されている「被」の文字をクリックして消去し
ます。制限を解除する場合はその欄を再度クリックして「被」の文字を再表示させます。
24.13.3. 制限の一括解除
「考課集計計算」画面メニューの[オプション] − [全被考課者選択] をクリックすると、複
数設定した制限を一度に解除することができます。
24-38
24
考課集計計算
24.13.4. 被考課者制限による集計の補足説明
ある被考課者集団をAとBという2つのグループに分けて集計出力した場合、ある考課者
がたとえばAのメンバーに対しては甘く、Bのメンバーに対しては辛く考課した時などは、
グループ別に集計出力した時のメンバー個々の点数は、AB一緒に集計出力した時の点数
と異なる場合があります。
図 24-12 は考課集団の被考課者全員で作成した分布図です。一方図 24-13 は被考課者に制
限をかけて特定の被考課者だけを取り出した分布図です。
たとえば「佐々木康彦」の点数は図 24-12 では 137 点ですが、図 24-13 では 135 点となっ
ています。この違いは甘辛調整のしくみによるものです。
甘辛の判定は、たとえばある考課者が集団中の3人のメンバーのみを考課した場合、みん
な(又は基準値考課者)はその3人に対してどのような考課を行ったか、という比較により行
います。被考課者の制限によってこの3人のうち1人が除かれると、残りの2人について
の比較になりますので、結果は微妙に異なってきます。
以上のように被考課者個々の点数は異なって算出される場合がありますが、被考課者相互
の序列は変わりません。
24-39
24
考課集計計算
図 24-12
図 24-13
被考課者全員の分布図
被考課者を制限した分布図
24-40
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考課集計計算
24.14. 調整計算選択ボックス
「甘辛調整」と「相互補正」(被考課者がお互いを考課する相互考課の時。ただし基準値考
課者設定時は無効)はシステムで自動的に行いますが、あえてこれらの調整計算をしないで
集計することもできます。
24.14.1.1. 「甘辛調整」機能のオフ
このチェックボックスをクリックして「∨」を消去。
解除は再クリックして「∨」を再表示させる。
なお、甘辛調整機能オフ時には「考課者チェックデータ印字」機能も連動してオフとなり
ます。
24.14.1.2. 「相互補正」機能のオフ
このチェックボックスをクリックして「∨」を消去。
解除は再クリックして「∨」を再表示させる。
24-41
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考課集計計算
24.15. オプション
24.15.1. 全被考課者選択
24.13.3 制限の一括解除 を参照。
24.15.2. 甘辛調整制限項目
考課集計計算終了後、「考課集計計算」画面のメニューの[オプション] − [調整計算項目制
限] をクリックします。
↓
考課集計計算で、甘辛調整の対象から除外された項目(この例では「有効資格」)を確認でき
ます。
「有効資格」は、考課体系作成時に前もって管理部でランク値を設定し(事前考課値設
定)、考課者による入力の可否を「否」と設定した項目です。このような項目は自動的に甘
辛調整からは除外されます。
(メインプログラムの古いバージョンでは、上記画面から手入力で設定する仕様になって
いました。現在のバージョンでは自動設定しますので、この画面の重要性はなくなってい
ます。
)
24-42
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24.16. 考課集計計算解説画面
24-43
考課集計計算
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考課集計計算
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考課集計計算
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