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港湾物流分野における中小事業者の 港湾物流分野
平成12年度 港湾物流分野における中小事業者の 情報化推進のための調査報告書 平成13年3月 国土交通省総合政策局情報管理部 緒言 港湾物流分野における情報化の促進は、業務の効率化を通じて物流コストを低減さ せ、我が国産業の国際競争力に大きな影響をもたらすものである。 貿易貨物を取り扱う港湾物流分野の関係業種は、海貨業者、通関業者、倉庫、陸送 業者、船社、船舶代理店、検数、検量業者、ターミナルオペレータ等多岐に亘ってお り、関係業種間では各種手続、確認のための多数の書類の授受が行われている。 この場合の書類の授受とは、ペーパーの交換又は電子データ交換のことであるが、 ペーパーの交換による場合には、事務処理時間の長期化や物流コストの上昇を招くと され、早くから電子データ交換(EDI)促進の重要性を認識し、取り組みが行われ てきている。 しかしながら、従来のEDIは汎用計算機を使用するものであり、港湾物流分野の 多数を占める中小事業者にとっては費用的負担が非常に大きく、導入まで至っていな いのが現状であり、当業界におけるEDI普及の伸び悩みを一日も早く改善すべきと されている。 本調査では、この状況を改善するため、港湾物流事業者の大部分を占める中小事業 者のEDI等の情報化を促進することを目的に、港湾物流分野の企業に対するアンケ ート調査及びヒアリング調査を通してEDI導入の阻害要因を明らかにし、EDI等、 情報化促進のための対応策を提言することとした。 その実施・運営については、長年に亘りEDI運営組織としてその啓蒙・普及に携 わってきた(社)港湾物流情報システム協会(以下、POLISA と呼ぶ)に委託するこ ととし、「港湾物流EDI推進調査特別委員会」(委員長:圓川隆夫 東京工業大学教 授)を設置してしかるべく作業を行った。 平成 12 年 12 月 8 日に第 1 回特別委員会がスタートし、短い作業期間の中、情報化 促進方策を見出すことは並大抵のことではなかったが、本報告書が今後の港湾物流分 野における情報化促進に大いに寄与するものと確信している。 報告書を発刊するにあたり、特別委員会の委員長を務めていただいた圓川教授をは じめ、委員会に参加いただいた委員各位、POLISA そして、調査に深く携わっていた だいた株式会社三菱総合研究所に対し、深く感謝の意を表す次第である。 「港湾物流EDI推進調査特別委員会」委員名簿 委員長 圓川 隆夫 東京工業大学 教授 工学博士 委 員 中村 一重 日本海運貨物取扱業会 専務理事 委 員 石黒 幸雄 ケイヒン株式会社 計数部長 委 員 岡田 吉正 株式会社ニチウン 管理部 電算課長 委 員 田中 勝彦 内外日東株式会社 情報システム室 室長補佐 委 員 中村 彰利 株式会社 MOL JAPAN 業務部長 委 員 近東 雄一 シーケー・マリタイム株式会社 常務取締役 委 員 大賀 栄一 互興運輸株式会社 常務取締役 委 員 伊藤 榮二 外航船舶代理店業協会 専務理事 事務局長 委 員 長尾 行信 ゴールドマリタイム株式会社 東京支店 業務部長 委 員 池田 求 三井倉庫株式会社 情報システム室長 委 員 春成 誠 国土交通省 総合政策局 情報管理部 情報企画課長 委 員 平山 芳昭 運輸省 運輸政策局 貨物流通企画課長(当時) (第 1 回委員会) 委 員 大庭 靖雄 国土交通省 政策統括官付政策調整官 (第 2 回委員会∼第 4 回委員会) 委 員 島﨑 有平 国土交通省 海事局 海事産業課長 委 員 神谷 俊廣 国土交通省 海事局 港運課長 オブザーバ 津田 修一 国土交通省 港湾局 環境・技術課 技術調整官 技術支援 平田 直次 株式会社三菱総合研究所 ビジネスソリューション事業本部 公共・公益チーム 主任研究員 技術支援 吉田 大祐 株式会社三菱総合研究所 ビジネスソリューション事業本部 公共・公益チーム研究員 技術支援 岩立 誠 株式会社三菱総合研究所 ビジネスソリューション事業本部 ERP システムチーム 研究員 事務局 山内 靖雄 社団法人 港湾物流情報システム協会 事務局 村上 鐵一 社団法人 港湾物流情報システム協会 専務理事・事務局長 理事・総務部長(兼)啓蒙普及部長 事務局 伊藤 博 事務局 田代 浩一 社団法人 港湾物流情報システム協会 企画運営部長 社団法人 港湾物流情報システム協会 調査研究部 部長代理 *リンク設定されています。 目次 緒言 「港湾物流EDI推進調査特別委員会」委員名簿 目次 1 1 調査の概要 1.1 調査目的 1 1.2 調査対象 1 1.3 調査全体像 3 1.3.1 ケーススタディ 3 1.3.1.1 アンケート調査 4 1.3.1.2 ヒアリング調査 4 1.3.2 情報化促進方策の策定 4 1.4 港湾物流EDI推進調査特別委員会の開催実績 2 5 1.4.1 第 1 回 港湾物流EDI推進調査特別委員会 5 1.4.2 第 2 回 港湾物流EDI推進調査特別委員会 5 1.4.3 第 3 回 港湾物流EDI推進調査特別委員会 6 1.4.4 第 4 回 港湾物流EDI推進調査特別委員会 7 EDI化推進阻害要因の調査・分析結果 8 2.1 アンケート調査 8 2.1.1 アンケート調査の概要 8 2.1.2 アンケート回収結果 9 2.1.3 アンケート分析結果 10 2.1.3.1 第一部 Q2(資本金) 11 2.1.3.2 第二部 Q2(輸出入業務の電子化対応状況) 12 2.1.3.3 第二部 Q5 及び Q6(部門の輸出入業務におけるEDIの導入状況) 15 2.1.3.4 第二部 Q7(S.C.NET、S.F.NET、POLINET の満足度) 18 2.1.3.5 第二部 Q8(導入を予定している、あるいは導入したいと 考えているEDIネットワーク) 21 2.1.3.6 第二部 Q9(EDI導入の目的) 22 2.1.3.7 第二部 Q10(民間EDIの阻害要因) 22 2.1.4 アンケート調査結果のまとめ 24 2.2 ヒアリング調査 25 2.2.1 ヒアリング調査対象の選別 25 2.2.2 ヒアリング調査対象 27 2.2.3 ヒアリング調査結果 28 1 *リンク設定されています。 3 2.2.3.1 海貨業者に対するヒアリング調査結果のまとめ 28 2.2.3.2 船社に対するヒアリング調査結果のまとめ 31 2.2.3.3 船舶代理店に対するヒアリング調査結果のまとめ 34 2.2.3.4 ターミナルオペレータに対するヒアリング調査結果のまとめ 36 38 EDI化促進方策の策定 3.1 阻害要因と対応策の整理・分析 38 3.1.1 阻害要因の整理 38 3.1.2 阻害要因の相関関係 40 3.2 EDI阻害要因を解決するための道筋 47 3.3 業種別のEDI化促進方策 51 3.3.1 海貨業者におけるEDI化促進方策 51 3.3.1.1 社内業務システムが無い 51 3.3.1.2 システム運営に関わる人件費負担が大きい 51 3.3.1.3 取引先相手のEDI参加が少ない(船社、船舶代理店) 53 3.3.1.4 CY ゲートにおける確認用 D/R ハードコピーの提出 54 3.3.1.5 ターミナルオペレータから E/D のハードコピーの提出を求められる 55 3.3.1.6 POLINET の定めている運用ルールが守られていない 55 3.3.1.7 EDIネットワークと社内システムとのトランスレータ構築の 56 費用負担が大きい 3.3.1.8 官民双方のEDIネットワークへの投資が負担である 58 3.3.1.9 Sea-NACCS 用コンピュータと POLINET 用サーバコンピュータとの 兼用が困難 60 3.3.1.10 対象業務が少ない 60 3.3.1.11 POLINET で船社に D/R を送信する際、30 分締め切り時間が早 61 くなっている 3.3.1.12 複数の取引先から個別対応を要求される(主に荷主企業) 61 3.3.1.13 異なるEDIネットワーク間のデータ項目、コードの整合性が 62 とれない 3.3.2 船社、船舶代理店におけるEDI化促進方策 63 3.3.2.1 取り扱い業務量が少なく、EDIを導入するメリットがない 63 3.3.2.2 社内業務システムが無い 63 3.3.2.3 システム運営に関わる人件費負担が大きい 63 3.3.2.4 取引先相手のEDI参加が少ない(海貨業者) 64 3.3.2.5 初期費用の負担が高い 64 3.3.2.6 社内システムとローカルなEDIシステムとのインタフェースに 費用がかかりすぎる(社内システムとEDIシステムとの インタフェース構築が負担である) 3.3.2.7 官民双方のEDIネットワークへの投資が負担である 2 64 65 *リンク設定されています。 3.3.2.8 Sea-NACCS 用のコンピュータと POLINET 用のサーバ 65 コンピュータとの兼用が困難 3.3.2.9 対象業務が少ない 65 3.3.2.10 利用料金が高い 65 3.3.2.11 書類作成に比べデータ入力項目が多すぎる 66 3.3.2.12 複数の取引先から個別対応を要求される 66 3.3.2.13 異なるEDIネットワーク間のデータ項目、コードの整合性が 66 とれない 3.3.3 非自営ターミナルオペレータにおけるEDI化促進方策 67 3.3.3.1 取り扱いコンテナ量が少なく、EDIを導入してもメリットが無い 67 3.3.3.2 取引先業界のEDI参加が少ない 67 3.3.3.3 利用料金が高い 68 3.3.3.4 EDIネットワークと社内システムとのトランスレータ構築の 68 費用負担が大きい 3.3.3.5 安価で良質なパッケージソフトが無い 68 3.3.3.6 官民双方のEDIネットワークへの投資が負担である 68 3.3.3.7 Sea-NACCS 用コンピュータと POLINET 用サーバコンピュータとの 兼用が困難 68 3.3.3.8 対象業務が少ない 68 3.3.3.9 船社から個々個別対応(利用ネットワーク、データフォーマット、 69 運用方法等)を要求される 3.3.3.10 異なるEDIネットワーク間のデータ項目、コードの整合性が 69 とれない 3.4 EDI化促進方策のまとめ 70 3.4.1 EDIネットワーク運営組織に求められる対応策 70 3.4.2 EDIソフトベンダー企業に求められる対応策 72 3.4.3 ユーザ及び業界団体に求められる対応策 73 3.4.4 行政に求められる対応策 75 添付資料 1 アンケート用紙 調査要綱 アンケート第一部 アンケート第二部 添付資料 2 中小事業者に対象を絞ったアンケート分析結果 添付資料 3 個別ヒアリング録 海貨業者 A 社 海貨業者 B 社 海貨業者 C 社 海貨業者 D 社 3 *リンク設定されています。 海貨業者 E 社 海貨業者 F 社 船社 G 社 船舶代理店 H 社 船舶代理店 I 社 ターミナルオペレータ J 社 ターミナルオペレータ K 社 (電話調査) ターミナルオペレータ L 社 (電話調査) 図目次 図 1-1 港湾物流分野における輸出業務の基幹情報の流れ 1 図 1-2 国際港湾物流分野に携わる企業の情報化の現況による分類 2 図 1-3 調査対象セグメント 3 図 1-4 調査全体像 3 図 2-1 民間業務に使用可能なEDIネットワーク 8 図 2-2 第一部 Q2 回答結果(全体) 11 図 2-3 第二部 Q2 回答結果(全体) 12 図 2-4 第二部 Q2 回答結果(海貨業者) 12 図 2-5 第二部 Q2 回答結果(船社) 13 図 2-6 第二部 Q2 回答結果(船舶代理店) 13 図 2-7 第二部 Q2 回答結果(ターミナルオペレータ) 13 図 2-8 第二部 Q5 回答結果(全体) 15 図 2-9 15 第二部 Q6 回答結果(全体) 図 2-10 第二部 Q6 回答結果(海貨業者) 16 図 2-11 第二部 Q6 回答結果(船社) 17 図 2-12 第二部 Q6 回答結果(船舶代理店) 17 図 2-13 第二部 Q6 回答結果(ターミナルオペレータ) 17 図 2-14 第二部 Q7 S.C.NET の満足度(全体) 18 図 2-15 第二部 Q7 S.C.NET の不満点(全体) 18 図 2-16 第二部 Q7 S.F.NET の満足度(全体) 19 図 2-17 第二部 Q7 S.F.NET の不満点(全体) 19 図 2-18 第二部 Q7 POLINET の満足度(全体) 20 図 2-19 第二部 Q7 POLINET の不満点(全体) 20 図 2-20 第二部 Q8 回答結果(全体) 21 図 2-21 第二部 Q9 回答結果(全体) 22 図 2-22 第二部 Q10 回答結果(全体) 23 図 3-1 港湾物流分野における輸出業務の基幹情報の流れ 38 4 *リンク設定されています。 図 3-2 輸出業務の基幹情報の流れにおけるEDI阻害要因 39 図 3-3 港湾物流分野に携わる主な業種 40 図 3-4 海貨業者におけるEDI阻害要因 42 図 3-5 外国船社・現地法人におけるEDI阻害要因 43 図 3-6 外国船社・総代理店におけるEDI阻害要因 44 図 3-7 サブエージェントにおけるEDI阻害要因 45 図 3-8 非自営ターミナルオペレータにおけるEDI阻害要因 46 図 3-9 EDI阻害要因間の関係 47 図 3-10 港湾物流業界における取引関係 49 図 3-11 ASPサービスによる業務アプリケーション提供の概念図 52 図 3-12 海貨業者における二重オペレーション 54 図 3-13 トランスレーションの仕組み 56 図 3-14 Sea-NACCS と POLINET の競合 58 図 3-15 Sea-NACCS と POLINET の機能的相互補完 59 表目次 表 2-1 アンケート回収状況 9 表 2-2 アンケート回答件数(第 2 部) 9 表 2-3 アンケート回収状況 9 表 2-4 資本金と港湾業務の電子化対応状況の関係 14 表 2-5 民間EDIネットワーク及び官-民EDIネットワーク 16 の導入状況 表 2-6 民間EDIネットワーク及び官-民EDIネットワーク 21 の導入検討状況 表 2-7 ヒアリング調査対象候補、次候補、次次候補 25 (海貨業者、船舶代理店) 表 2-8 ヒアリング調査対象候補、次候補、次次候補 (船社、ターミナルオペレータ) 26 表 2-9 ヒアリング調査対象 27 表 3-1 EDIネットワーク運営組織に求められる対応策 70 表 3-2 EDIソフトベンダー企業に求められる対応策 72 表 3-3 ユーザ及び業界団体に求められる対応策 73 表 3-4 行政に求められる対応策 75 5 1 調査の概要 1.1 調査目的 港湾物流分野における業務の情報化促進は、業務の効率化を通じて物流コストを低減さ せ、我が国産業の国際競争力の向上をもたらすものである。 貿易貨物を取り扱う港湾物流分野における関係業種は、海貨業者、通関業者、倉庫、陸 運業者、船舶代理店、船社、検数・検量業者、ターミナルオペレータ、コンテナ・リース 会社等多岐にわたり、輸出入貨物の船積、船卸手続に関する荷主の寄託により、関係業種 間で各種手続、確認のため、多数の書類の授受が行われている。この場合、書類の授受は、 ペーパーの交換または電子データの交換により行われているが、ペーパーの交換による場 合は、事務処理時間の長期化、物流コストの上昇を招くため、早くから電子データ交換(E DI)の促進が重要であると認識され、取り組まれてきている。しかし、従来のEDIは 汎用電子計算機を中心として使用するため、専門的な運用ノウハウが必要であり、現実に EDIを導入しているのは中堅以上の企業がほとんどであり、海貨事業者をはじめ、中小 企業が大多数を占める港湾物流関係業界全体では、EDIの導入普及は伸び悩んでいるの が現状である。 この状況を改善するため、港湾物流事業者の大部分を占める中小事業者のEDI等の情 報化を促進することを目的に、個々の事業者のケーススタディを実施し、問題点を明らか にし、EDI等の情報化促進方策を決定する。 1.2 調査対象 港湾物流分野における輸出業務の基幹情報の流れは、図 1-1 のようになる。このうち、 本調査においては、調査対象を海貨業者、船社、船舶代理店、ターミナルオペレータとし ている。従って、図中の破線で囲まれた部分を中心に、輸出業務の基幹情報をEDI化す る際の阻害要因及びその対応策について整理を行うこととした。 荷主 B/L他 S/I他 D/R他 船社・船舶代理店 海貨業者 D/R他 D/R他 ターミナルオペレータ 図 1-1 港湾物流分野における輸出業務の基幹情報の流れ 1 また、国際港湾物流分野の企業を情報化の現況に従って分類すると、図 1-2の①∼⑤の ように分類される。このとき、各企業は情報化の現況に応じて、図 1-2の右側に示される ようなEDIネットワークが使用可能である。 情報化の現況 ①自社独自の港湾 業務システムを利用 港湾業 務は情 報化され 港湾業務 ている パッケー ジを利用 ②EDI対応ア プリ ③EDI未対応 アプリ 港湾業 ④インターネットを利用 務は情 報化され ていない 一般的な 企業数 情報担当 企業規模 専任要員 大規模 企業 中規模 企業 少 中 有 EDIネットワークのユーザと成り得る層 Internet EDI (ファイル転送 ファイル転送 ベース) ベース 無 Traditional EDI (商用VAN) ) 商用 EDIASPサービス サービス (*1) (一部有) EDIASPサービス サービス (*1) 小規模・ 零細企業 多 無 Web-based EDI ⑤コンピュータ未導入 *1 EDI-ASPサービス・・・ マッピング、ファイルフォーマット変換、送受信等の機能を提供するASPサービスを想定。 図 1-2 国際港湾物流分野に携わる企業の情報化の現況による分類 しかしながら、実際にはEDIネットワークへの対応状況は企業毎に様々であり、本調 査はEDIネットワークへの対応に問題点を有する中小事業者が対象であることから、前 述の海貨業者、船社、船舶代理店、ターミナルオペレータのなかでも、情報化の現況とE DI導入状況に着目し、特に図 1-3 の三つのセグメントに分類される企業を主な調査対象 とすることとした。 ・ 第1セグメント ・・・ EDI対応港湾業務パッケージを利用しており、EDI を一旦導入したが、休止または利用頻度が少ない(活 用しきれていない)ユーザ層 ・ 第2セグメント ・・・ 既に港湾業務パッケージを利用しており、EDIを必要 と思うが導入は困難と考えるユーザ層 ・ 第3セグメント ・・・ 港湾業務は情報化されておらず、EDIを必要と思うが 導入は困難と考えるユーザ層 2 EDI導入状況 情報化の現況 ①自社独自の港湾業務 アプリケーションを利用 港湾業 務は情 報化され 港湾業務 ②EDI対応ア ている パッケー プリ ジを利用 ③EDI未対応 アプリ 港湾業 ④インターネットを利用 務は情 報化され ていない ⑤コンピュータ未導入 一般的な 企業規模 企業 数 情報 担当 専任 要員 大規模 企業 少 有 中規模 企業 すでに導入 一旦導入したが、 必要と思う 済(予定含) 休止または利 が導入は 用頻度が少な 困難 い(活用しきれ ていない) 中 無 (一部有) 小規模・ 零細企 多 業 知っている が導入する つもりはな い EDIを知ら ない 第1 セグメント 第2 セグメント 第3 セグメント 無 図 1-3 調査対象セグメント 1.3 調査全体像 本調査の全体的な手順を図 1-4に示す。 ケーススタディ アンケート調査 ヒアリング調査 情報化促進方策 の策定 図 1-4 調査全体像 1.3.1 ケーススタディ 港湾物流分野における関係事業者のなかから、情報化の進んでいない事業者を選定し、 個別に具体的な業務分析を行い、情報化の阻害要因を調査、分析する。調査対象業種は、 海貨業、ターミナルオペレータ業、船舶代理店業および船社とし、その業種を取り巻く相 手先とのトータルなEDIを考えることとする。調査方法は、アンケート 250 箇所以上、 およびヒアリング 10 箇所とする。 3 1.3.1.1 アンケート調査 アンケートの目的は、第一に、海貨業者および船舶代理店におけるEDI導入の阻害要 因を明らかにすることである。第二に、『EDI導入に対する問題意識の高い企業』、す なわち『EDIの導入は必要だが、導入に何らかの阻害要因があり、困難さを感じている 企業』を抽出し、ヒアリング対象者を絞り込むことである。アンケートの内容は、回答企 業プロフィールのほか、EDI導入状況、EDI導入の阻害要因、EDI導入メリットな どが考えられる。 1.3.1.2 ヒアリング調査 ヒアリングの目的は、アンケートに回答のあった企業のなかで、EDI導入に対する問 題意識の高い企業に対し、業務および情報化・EDI化の実態を把握し、EDI導入にお ける阻害要因を明らかにしたうえで、EDI導入方策イメージを提示し、そのフィージビ リティを探ることである。ヒアリングは、京浜(東京、川崎、横浜)地区で 5 事業部門、 名古屋で1事業部門、及び大阪・神戸地区で各 2 事業部門、計 10 事業部門を抽出し、事 業部門ごとに1回実施する。 1.3.2 情報化促進方策の策定 ヒアリング調査において、各ヒアリング対象者へ提示したEDI導入方策を体系化=モ デル化(EDI導入モデル)するとともに、アンケート調査により明らかとなった阻害要 因を踏まえながら、各モデルの特長(所要コスト・人材・情報インフラ等)を明らかにす る。 本方策の対象者は、主として海貨業、ターミナルオペレータ業、船舶代理店業および船 社とする。 4 1.4 港湾物流EDI推進調査特別委員会の開催実績 本調査の実施に当たっては、以下の開催日時、議事次第に従い、4回の港湾物流EDI 推進調査委員会を開催した。 1.4.1 第 1 回 港湾物流EDI推進調査特別委員会 日 時:平成 12 年 12 月 8 日(金)14:00∼16:00 場 所:社団法人 港湾物流情報システム協会 4 階会議室 出席者:24 人 (1) 当該調査の進め方について検討を行った。今回の調査目的である「EDI導入方策 モデルの作成」について、アンケート調査や一度のヒアリング調査でそこまで行う のは困難との判断から、業種毎の「EDI化推進の阻害要因と対応策」について掘 り下げた調査・分析を行うことに変更した。 (2) アンケート調査の実施要領について検討を行った。アンケートは企業プロフィール に関する部分と、事業部門に関する部分の二部構成とした。アンケート調査票には、 当調査に対する協力依頼状の他に、調査の目的、範囲、EDIの定義、回答要領を 別紙として添付することとした。 1.4.2 第 2 回 港湾物流EDI推進調査特別委員会 日 時:平成 13 年 1 月 29 日(金)14:00∼16:00 場 所:社団法人 港湾物流情報システム協会 4 階会議室 出席者:18 人 (1) 事務局より、以下のアンケート調査結果の報告が行われた。 ・ アンケートの回収率は約 50%であった。 ・ 業務システムに関しては、ほとんどの事業部門において業務システムが導入さ れている。70%が独自の業務システムを構築しており、港湾業務パッケージソ フトを利用している事業部門は 10%に留まる。 ・ EDIネットワークに関しては、80%の事業部門が既に導入済みと回答してい るが、そのほとんどが Sea-NACCS 等の官民業務用のEDIネットワークであ り、POLINET、S.C.NET、S.F.NET 等の民間業務用のEDIネットワーク導 入済みは 25%に留まる。 ・ 既存の民間EDIネットワークに対する不満点としては、参加企業の少なさが 多く回答された。 ・ 個別の阻害要因としては、Sea-NACCS と民間EDIネットワークのサーバが 併用できないことが最も多く回答された。その他のEDIの阻害要因としては、 費用的な問題が多く回答されたが、取引先業界におけるEDI参加者の少なさ や、社内業務システムが未整備なこと、社内業務システムとEDIネットワー クとの接続に問題があること等の回答が多かった。 5 (2) 1.4.3 ヒアリング調査対象の選定及びヒアリング項目の検討を行った。 第 3 回 港湾物流EDI推進調査特別委員会 日 時:平成 13 年 3 月 9 日(金)14:00∼16:00 場 所:社団法人 港湾物流情報システム協会 4階会議室 出席者:17 人 (1) 事務局より、以下のヒアリング調査結果の報告が行われた。 ・ 海貨業界におけるEDI阻害要因としては、まずシステム上の要因として、港 湾業務パッケージが民間EDIネットワークに非対応であることや、民間ED Iネットワークが想定している業務モデルと実際の業務手順との間の乖離が挙 げられる。また、取引先との関係(商取引習慣)として、船社・船舶代理店の EDI化率が低いこと、荷主独自フォーマットによるEDIを要求されること、 D/R 情報に付随する紙の書類の存在が挙げられた。更に、制度的要因として、 Sea-NACCS 接続に対する規制や、Sea-NACCS と POLINET とを併用する負 担が大きいことが挙げられた。 ・ 船社におけるEDI阻害要因としては、まず経済的要因として自社システムと 民間EDIネットワーク間のトランスレーション機能が高価格であることが挙 げられた。また、システム上の要因として民間EDIネットワークが想定して いる業務モデルと実際の業務手順との間の乖離が挙げられた。また取引先との 関係(商取引習慣)として、海貨業者のEDI化率が低いこと、海貨業者が使 用する日本独自のローカルなデータフォーマットや通信プロトコルとグローバ ルスタンダードを採用する船社の社内システムではインタフェースが異なるこ とが挙げられた。更に制度的要因として、Sea-NACCS 接続に対する規制や、 Sea-NACCS と POLINET とを併用する負担が大きいことが挙げられた。 ・ 船舶代理店におけるEDI阻害要因としては、まず、経済的要因として取り扱 い業務量が少ない中小の船舶代理店においては、EDIを導入するメリットが 少ないことが挙げられた。また同様に取り扱い業務量が少ない船舶代理店にお いては、社内システムがないことも阻害要因として挙げられた。 ・ コンテナターミナルにおけるEDI阻害要因としては、そもそも取り扱い業務 量が少ない場合には、EDIの導入メリットが少ないことが挙げられた。 (2) 阻害要因の認定及び解決策提言のための方向付けが検討された。 6 1.4.4 第 4 回 港湾物流EDI推進調査特別委員会 港湾物流EDI推進調査特別委員会 日 時:平成 13 年 3 月 26 日(金)14:00∼16:00 場 所:社団法人 港湾物流情報システム協会 4階会議室 出席者:20 人 (1) 阻害要因対応のための提言と課題(案)について事務局から説明が行われ、本案に ついて意見交換が行われた。検討の結果、阻害要因は相互に関連しているため、ま ずはEDIへの参加者が一定数となることを目指す。EDIの導入メリットを向上 させるため、ウェイト付けを行った上で個々の具体的な阻害要因に対する対応策を 考えることとした。 (2) 報告書構成案が承認された。その後の作業として、事務局と国土交通省で報告書案 を作成し、E-Mail にて各委員へ配布した後、意見を出してもらい、最終案を纏める こととした。 7 2 EDI化推進阻害要因の調査・分析結果 2.1 アンケート調査 2.1.1 アンケート調査の概要 本調査におけるアンケート調査の目的は、第一に、関係業界の中でもとくに情報化対応 に苦慮している中小事業者について、EDI導入の阻害要因を明らかにすることである。 また、第二に、『EDI導入に対する問題意識の高い企業』、すなわち『EDIの導入は 必要だが、導入に何らかの阻害要因があり、困難さを感じている企業』を抽出し、その後 に行うヒアリング調査の対象者を絞り込むことを目的とした。 アンケート調査の調査対象は民間港湾物流分野の業種の中でも、海貨業者、船社、船舶 代理店、ターミナルオペレータとし、アンケートには定期船(コンテナ・在来)貨物を対象 とした輸出入業務を想定して回答をしてもらうこととした。これら業者間で授受される書 類として主な調査対象となるのは、以下の通りである。 船積指図書(S/I) パッキングリスト(P/L) マニフェスト B/L Invoice CLP (コンテナロードプラン) ベイプラン D/R A/N 船積申告書 (S/A、在来船用) 請求明細書 支払明細書 特に輸出業務では、前述の業種間における書類の授受を行うために、S.C.NET、S.F.NET、 POLINET といったEDIネットワーク(図 2-1)が既に用意されている。しかしながら 現状では各業種におけるこれらEDIネットワークの使用割合は高くない。アンケート調 査では特にこれらEDIネットワークの利用が進まない阻害要因を抽出することに主眼を おくこととした。 I/V、P/L、S/I等 荷 主 S.C.NET S.F.NET POLINET 海 貨 B/L等 船 社 D/R、CLP等 D/R、CLP 等 ターミナルオペレータ ・S.C.NET:Shipper/Carrier(荷主・船社間)EDIネットワーク ・S.F.NET:Shipper/Forwarder(荷主・海貨間)EDIネットワーク ・POLINET:Port Logistics Information Network(海貨・船社・検量・検数等EDIネットワーク) 図 2-1 民間業務に使用可能なEDIネットワーク 8 このため、本アンケートは第一部、第二部の 2 部構成とし、第一部で企業のプロフィー ル(資本金、従業員数)に関して質問した上で、第二部においては、海貨部門、船社・代理 店部門、ターミナルオペレータ部門毎に、業務の電子化状況、EDI導入状況、EDI導 入予定、EDI導入目的、EDI導入の阻害要因等に関して回答してもらうこととした。 なお、本調査で使用したアンケートの設問用紙は添付資料 1 を参照されたい。 2.1.2 アンケート回収結果 アンケート関連書類は業種毎に送付し、アンケート第一部に関しては表 2-1 に示すよう な回収結果となった。 表 2-1 アンケート回収状況 業種 送付先企業数 回答企業数 回答率 海貨 192 104 54.2% 船社 23 11 47.8% 船舶代理店 43 16 37.2% ターミナル 6 2 33.3% 合計 264 133 50.4% ※ 業種は、アンケート送付時の分類に基づく アンケート第二部には事業部門毎の回答となることから、複数の業種を兼業している企 業からはアンケート第 2 部の回答が複数部回収され、回収結果は表 2-2 のようになった。 表 2-2 アンケート回答件数(第 2 部) 業種 回答件数 海貨 94 船社 10 船舶代理店 48 ターミナル 27 不明 4 合計 183 ※ 業種はアンケート回答用紙への記載に基づく また、企業毎に見た場合(従ってアンケート第一部)の地区別の回収率は以下の通りで ある。 表 2-3 アンケート回収状況 地区 回収率 東京 45.5% 横浜 47.9% 川崎 50.0% 名古屋 56.5% 四日市 100.0% 9 清水 71.4% 大阪 59.1% 神戸 46.2% 合計 50.4% 2.1.3 アンケート分析結果 アンケート調査の設問内容は以下の通りである。このうち港湾物流EDI普及の阻害要 因を調査する上で特に重要と思われる、第一部 Q2、第二部 Q2、Q5、Q6、Q7、Q8、Q9、 Q10 の集計結果を報告する。 また、本項で述べる分析結果は全回答に対するものであり、企業規模による限定は行っ ていない。対象を中小事業者に限定した場合の分析結果については添付資料 2 を参照され たい。 なお、図 2-2∼図 2-22 において、回答率の母数は各設問における有効回答数である。 第一部 Q.1 業務内容 Q.2 資本金 Q.3 従業員数(正社員のみ) Q.4 業務システムの持ち方 第二部 Q.1 部門の従業員数(正社員のほか、派遣社員、パート・アルバイト等を含む) Q.2 輸出入業務の電子化対応状況 Q.3 部門の輸出入業務システムの環境 Q.4 部門内での、コンピュータやネットワークシステムなどの管理に携わる要員の人 数(正社員のほか、派遣社員、パート・アルバイト等を含む) Q.5 部門の輸出入業務におけるEDIの導入状況 Q.6 部門において導入済みのEDIネットワーク Q.7 S.C.NET、S.F.NET、POLINET の満足度 Q.8 部門において導入を予定している、あるいは導入したいと考えているEDIネッ トワーク Q.9 部門におけるEDI導入の目的 Q.10 民間業者間のEDIネットワーク(POLINET、S.C.NET、S.F.NET)を利用し ようとした時に感じる阻害要因、あるいは普及が進まない阻害要因 10 2.1.3.1 第一部 Q2(資本金) Q2(資本金) 第一部 Q2 に対する回答結果を、図 2-2 に示す。本調査の対象は輸出入業務に携わる中 小企業の事業部門であり、アンケート送付先も中小企業を中心に選定した。しかしながら 本設問の回答を見ると、資本金が 1 億円以上の企業が半数を超えており、必ずしもアンケ ート回答者の多くが中小企業の事業部門で無いことがわかる。これは、大企業の事業部門 の回答率が、中小企業の事業部門の回答率に比べて高かったためと思われる。 1Q2 資本金について (複数回答 無し) 資本金について 問 (1) (2) (3) (4) (5) (6) 1,000万円未満 1,000万円以上5,000万円未満 5,000万円以上1億円未満 1億円以上3億円未満 3億円以上10億円未満 10億円以上 有効回答数 回答数 1 36 24 28 20 22 131 回答率 0.8% 27.5% 18.3% 21.4% 15.3% 16.8% (6) 16.79% (2) 27.48% (5) 15.27% (4) 21.37% 図 2-2 第一部 Q2 回答結果(全体) 11 (1) 0.76% (3) 18.32% 2.1.3.2 (1) 第二部 Q2(輸出入業務の電子化対応状況) Q2(輸出入業務の電子化対応状況) 輸出入業務の電子化対応状況 第二部 Q2 に対する回答結果(全体及び業種毎)を図 2-3∼図 2-7 に示す。図 2-3 を見ると、全体としてほとんどの事業部門が何らかの形で港湾業務の電子化を行って いるが、業務パッケージを使用しているのは 1 割程度に留まり、7 割以上が自社独自 のシステムを使用している。 また、 図 2-3∼図 2-7 を見ると、 海貨業者の電子化対応状況は(1)(2)(3)の回答が多い。 つまり多くの海貨業者では自社独自の業務システムにて電子的に処理しており、また、 市販のパッケージを利用しているところも見られる。船社及びターミナルオペレータ では「(5)その他」を選択した以外は、全て(1)(2)、つまり自社独自のシステムを使用 していると回答している。これに対して船舶代理店では、「(4)業務システムが無い」 が比較的多い。(4)と回答したところは、全業種合わせて 6 件であったが、このうち 5 件が船舶代理店であった。 2Q2 輸出入業務の電子化対応状況 (複数回答 無し) 輸出入業務の電子化対応状況 問 (1) (2) (3) (4) (5) 自社独自の業務システムを構築し、ほとんどの業務 を電子的に処理している。 自社独自の業務システムを構築し、一部の業務を 電子的に処理している。 市販の業務パッケージ(アプリケーションソフトウェ ア)を利用しており、ほとんどの業務を電子的に処 理している。 業務システムがなく、概ね紙を用いて行っている。 その他(具体的にご回答ください。) 有効回答数 回答 回答率 66 38.4% 57 22 6 21 172 (5) 12.2% (4) 3.5% 33.1% 12.8% 3.5% 12.2% (1) 38.4% (3) 12.8% (2) 33.1% 図 2-3 第二部 Q2 回答結果(全体) 2Q2 輸出入業務の電子化対応状況 (複数回答 無し) 輸出入業務の電子化対応状況 問 (1) (2) (3) (4) (5) 自社独自の業務システムを構築し、ほとんどの業務 を電子的に処理している。 自社独自の業務システムを構築し、一部の業務を 電子的に処理している。 市販の業務パッケージ(アプリケーションソフトウェ ア)を利用しており、ほとんどの業務を電子的に処 理している。 業務システムがなく、概ね紙を用いて行っている。 その他(具体的にご回答ください。) 有効回答数 回答 回答率 39 43.8% 26 29.2% 19 1 4 89 21.3% 1.1% 4.5% (5) 4.5% (4) 1.1% (3) 21.3% (1) 43.8% (2) 29.2% 図 2-4 第二部 Q2 回答結果(海貨業者) 12 2Q2 輸出入業務の電子化対応状況 (複数回答 無し) 輸出入業務の電子化対応状況 問 (1) (2) (3) (4) (5) 自社独自の業務システムを構築し、ほとんどの業務 を電子的に処理している。 自社独自の業務システムを構築し、一部の業務を 電子的に処理している。 市販の業務パッケージ(アプリケーションソフトウェ ア)を利用しており、ほとんどの業務を電子的に処 理している。 業務システムがなく、概ね紙を用いて行っている。 その他(具体的にご回答ください。) 有効回答数 回答 回答率 5 55.6% 3 33.3% 0 0 1 9 0.0% 0.0% 11.1% (5) 11.1% (4) 0.0% (3) 0.0% (2) 33.3% (1) 55.6% 図 2-5 第二部 Q2 回答結果(船社) 2Q2 輸出入業務の電子化対応状況 (複数回答 無し) 輸出入業務の電子化対応状況 問 (1) (2) (3) (4) (5) 自社独自の業務システムを構築し、ほとんどの業務 を電子的に処理している。 自社独自の業務システムを構築し、一部の業務を 電子的に処理している。 市販の業務パッケージ(アプリケーションソフトウェ ア)を利用しており、ほとんどの業務を電子的に処 理している。 業務システムがなく、概ね紙を用いて行っている。 その他(具体的にご回答ください。) 有効回答数 回答 回答率 8 18.6% 17 39.5% 2 5 11 43 4.7% 11.6% 25.6% (5) 25.6% (1) 18.6% (4) 11.6% (3) 4.7% (2) 39.5% 図 2-6 第二部 Q2 回答結果(船舶代理店) 2Q2 輸出入業務の電子化対応状況 (複数回答 無し) 輸出入業務の電子化対応状況 問 (1) (2) (3) (4) (5) 自社独自の業務システムを構築し、ほとんどの業務 を電子的に処理している。 自社独自の業務システムを構築し、一部の業務を 電子的に処理している。 市販の業務パッケージ(アプリケーションソフトウェ ア)を利用しており、ほとんどの業務を電子的に処 理している。 業務システムがなく、概ね紙を用いて行っている。 その他(具体的にご回答ください。) 有効回答数 回答 回答率 12 44.4% 10 37.0% 0 0 5 27 0.0% 0.0% 18.5% (5) (4) 18.5% 0.0% (3) 0.0% (2) 37.0% 図 2-7 第二部 Q2 回答結果(ターミナルオペレータ) 13 (1) 44.4% (2) 資本金と業務の電子化対応状況との相関 更に、資本金と輸出入業務の電子化対応状況との相関を表 2-4 に示す。表 2-4 を見 ると、自社独自システムを使用する事業部門の割合は総じて高い。また、市販の業務 パッケージの導入率については、資本金が低い事業部門ほど高くなるという傾向が見 受けられる。 表 2-4 資本金と港湾業務の電子化対応状況の関係 第一部Q2(資本金) (1) 1,000 万円 未満 第二部Q2 ︵港湾業務の電子化対応状況︶ (1) 自社独自の業 務システム(ほとん どの業務を処理) (2) 自社独自の業 務システム(一部の 業務を処理) (3) 市販の業務パ ッケージ (4) 業務システム がない (5)その他 (2) 1,000 万 円 以 上 5,000 万 円未満 (3) 5,000 万 円以上 1 億円未満 (4) 1 億円以 上 3 億円 未満 (5) 3 億円以 上 10 億円 未満 (6) 10 億 円 以上 合計 1 9 9 12 14 21 66 (100.0%) (25.0%) (37.5%) (34.3%) (48.3%) (44.7%) (38.4%) 0 17 7 11 7 15 57 (0.0%) (47.2%) (29.2%) (31.4%) (24.1%) (31.9%) (33.1%) 0 6 5 5 3 3 22 (0.0%) (16.7%) (20.8%) (14.3%) (10.3%) (6.4%) (12.8%) 0 1 0 2 1 2 6 (0.0%) (2.8%) (0.0%) (5.7%) (3.4%) (4.3%) (3.5%) 0 3 3 5 4 6 21 (0.0%) (8.3%) (12.5%) (14.3%) (13.8%) (12.8%) (12.2%) 1 36 24 35 29 47 172 合計 (注1) 表中の%は、各資本金毎の、各電子化対応状況の回答割合 14 2.1.3.3 第二部 Q5 及び Q6(部門の輸出入業務におけるEDIの導入状況) Q6(部門の輸出入業務におけるEDIの導入状況) (1) 輸出入業務におけるEDIの導入状況 第二部 Q5 の回答結果(全体)を図 2-8 に示す。図 2-8 を見ると、全体として 8 割 以上が既にEDIを導入済みであると回答しているが、次の設問で Sea-NACCS や港 湾EDI等を含めた実際の導入済みEDIネットワークについて尋ねているので、こ こでもそれらを意識した回答となっていることが予想される。 2Q5 部門の輸出入業務におけるEDIの導入状況 (複数回答 無し) 問 (1) (2) 回答 部門の輸出入業務におけるEDIの導入状況 既に何らかのEDIを導入し、業務に利用している。 EDIを一旦導入したが、業務での利用は少ない。 (活用しきれていない) 近々EDIを導入する予定がある。 EDIを導入したいと考えているが、現状では導入 は困難である。 EDIは知っているが、導入する計画はない。 EDIを知らない。 その他 有効回答数 (3) (4) (5) (6) (7) 回答率 150 84.3% 10 4 5.6% 2.2% 3 9 1 1 178 1.7% 5.1% 0.6% 0.6% (5) 5.1% (4) 1.7% (3) (2) 2.2% 5.6% (6) 0.6% (7) 0.6% (1) 84.3% 図 2-8 第二部 Q5 回答結果(全体) (2) 導入済みEDIネットワーク 第二部 Q6 の回答結果(全体)を図 2-9 に示す。図 2-9 を見ると、導入率が最も高 いのは Sea-NACCS であり、何らかのEDIを導入済みであると回答した事業部門の うちの 90%以上が Sea-NACCS を導入している。また、電子メール(添付ファイル) や個別対応も導入率が高い。反面、POLINET 等民間EDIネットワークの導入率は 低い。 2Q6 導入済みEDIネットワーク (複数回答 有り) (9) (10) (11) POLINET S.C.NET S.F.NET Sea-NACCS(税関) 港湾EDI(港長/港湾管理者) JETRAS(外為EDI) bolero.net(貿易金融の電子化システム) 個別対応(自社のプロトコル(データ項目、 コード等)を使用) 個別対応(相手先企業のプロトコル(データ 項目、コード等)を使用) 電子メール(添付ファイル) その他 有効回答数 回答 回答率 39 24.2% 8 5.0% 22 13.7% 149 92.5% 36 22.4% 6 3.7% 1 0.6% 27 16.8% 58 36.0% 111 9 161 68.9% 5.6% 回答数(件) 第二部 Q6 問 (1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) (8) 160 140 120 100 80 60 40 20 0 149 111 58 39 8 (1) (2) 22 (3) (注1) 有効回答数は第二部Q5における(1)及び(2) の回答件数 図 2-9 第二部 Q6 回答結果(全体) 15 36 27 6 (4) (5) 9 1 (6) (7) 選択肢 (8) (9) (10) (11) 次に、第二部 Q6 において、何れかの民間EDIネットワークを導入済みと回答し ている回答件数、及び何れかの官-民EDIネットワークを導入済みと回答している回 答件数を抽出し、業種毎に整理すると表 2-5 のようになる。表 2-5 には併せて、業種 ごとの全回答を母数とした民間EDIネットワーク、官-民EDIネットワークの導入 率を示した。 この表をみると、港湾物流分野全体としてみた場合、官-民EDIネットワークに ついては 85%以上の事業部門が導入済みであるのに対して、民間EDIネットワーク を導入済みの事業部門は僅か 25%程度に留まっていることが分かる。 表 2-5 民間EDIネットワーク及び官民間EDIネットワーク及び官-民EDIネットワークの導入状況 業種 民間EDIを導入済み の事業部門(注 1) 官-民EDIを導入済 みの事業部門(注 2) 海貨 (n=94) 船社 (n=10) 船舶代理店 ターミナル 不明 全体 (n=48) (n=27) (n=4) (n=183) 36 (38.3%) 5 (50.0%) 4 (8.3%) 1 (3.7%) 1 (25.0%) 47 (25.7%) 85 (90.4%) 7 (70.0%) 37 (77.1%) 23 (85.2%) 4 (100.0%) 156 (85.2%) (注 1)第二部 Q6 において、POLINET、S.C.NET、S.F.NET、Bolero.net の何れかを導入済みと回答した件数。 (注 2)第二部 Q6 において、Sea-NACCS、港湾EDI、JETRAS の何れかを導入済みと回答した件数。 第二部 Q6 の業者毎の回答結果を図 2-10∼図 2-13 に示す。業種別に見ると、海貨 業者では、圧倒的に Sea-NACCS の加入が多く、ほとんどの事業部門で導入している POLINET、 S.F.NET の導入率は 3 割程度であった。 S.C.NET、 が、 船社では POLINET、 S.F.NET の加入率が比較的高いが、逆に船舶代理店、ターミナルオペレータではこれ ら民間EDIネットワークに加入しているところはほとんど無かった。 2Q6 導入済みEDIネットワーク (複数回答 有り) 第二部 Q6 (9) (10) (11) POLINET S.C.NET S.F.NET Sea-NACCS(税関) 港湾EDI(港長/港湾管理者) JETRAS(外為EDI) bolero.net(貿易金融の電子化システム) 個別対応(自社のプロトコル(データ項目、 コード等)を使用) 個別対応(相手先企業のプロトコル(データ 項目、コード等)を使用) 電子メール(添付ファイル) その他 有効回答数 回答 回答率 29 33.3% 2 2.3% 20 23.0% 85 97.7% 6 6.9% 5 5.7% 0 0.0% 11 12.6% 32 36.8% 57 2 87 65.5% 2.3% 100 85 80 回答数(件) 問 (1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) (8) 57 60 40 32 29 20 20 6 2 0 (1) (2) (3) (4) (注1) 有効回答数は第二部Q5における(1)及び(2) の回答件数 図 2-10 第二部 Q6 回答結果(海貨業者) 16 (5) 5 11 0 (6) (7) 選択肢 (8) 2 (9) (10) (11) 2Q6 導入済みEDIネットワーク (複数回答 有り) 問 (1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) (8) 回答 回答率 5 71.4% 4 57.1% 1 14.3% 7 100.0% 3 42.9% 0 0.0% 1 14.3% 4 57.1% (9) (10) (11) POLINET S.C.NET S.F.NET Sea-NACCS(税関) 港湾EDI(港長/港湾管理者) JETRAS(外為EDI) bolero.net(貿易金融の電子化システム) 個別対応(自社のプロトコル(データ項目、 コード等)を使用) 個別対応(相手先企業のプロトコル(データ 項目、コード等)を使用) 電子メール(添付ファイル) その他 有効回答数 4 57.1% 6 1 7 85.7% 14.3% 回答数(件) 第二部 Q6 8 7 6 5 4 3 2 1 0 7 6 5 4 4 4 3 1 1 1 0 (1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) 選択肢 (8) (9) (10) (11) (注1) 有効回答数は第二部Q5における(1)及び(2) の回答件数 図 2-11 第二部 Q6 回答結果(船社) 2Q6 導入済みEDIネットワーク (複数回答 有り) (9) (10) (11) POLINET S.C.NET S.F.NET Sea-NACCS(税関) 港湾EDI(港長/港湾管理者) JETRAS(外為EDI) borelo.net(貿易金融の電子化システム) 個別対応(自社のプロトコル(データ項目、 コード等)を使用) 個別対応(相手先企業のプロトコル(データ 項目、コード等)を使用) 電子メール(添付ファイル) その他 有効回答数 回答 回答率 3 7.9% 2 5.3% 0 0.0% 30 78.9% 19 50.0% 0 0.0% 0 0.0% 8 21.1% 9 23.7% 24 3 38 63.2% 7.9% 回答数(件) 第二部 Q6 問 (1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) (8) 35 30 25 20 15 10 5 0 30 24 19 8 3 2 (1) (2) 0 (3) 0 (4) (5) 9 3 0 (6) (7) 選択肢 (8) (9) (10) (11) (注1) 有効回答数は第二部Q5における(1)及び(2) の回答件数 図 2-12 第二部 Q6 回答結果(船舶代理店) 2Q6 導入済みEDIネットワーク (複数回答 有り) 問 (1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) (8) 回答 回答率 1 4.0% 0 0.0% 0 0.0% 23 92.0% 6 24.0% 0 0.0% 0 0.0% 4 16.0% 第二部 Q6 (9) (10) (11) 12 48.0% 21 3 25 84.0% 12.0% 23 25 21 20 回答数(件) POLINET S.C.NET S.F.NET Sea-NACCS(税関) 港湾EDI(港長/港湾管理者) JETRAS(外為EDI) bolero.net(貿易金融の電子化システム) 個別対応(自社のプロトコル(データ項目、 コード等)を使用) 個別対応(相手先企業のプロトコル(データ 項目、コード等)を使用) 電子メール(添付ファイル) その他 有効回答数 15 12 10 5 6 1 0 0 (1) (2) (3) 0 4 0 (4) (5) (6) (7) 選択肢 (注1) 有効回答数は第二部Q5における(1)及び(2) の回答件数 図 2-13 第二部 Q6 回答結果(ターミナルオペレータ) 17 3 0 (8) (9) (10) (11) 2.1.3.4 第二部 Q7( Q7(S.C.NET、 S.C.NET、S.F.NET、 S.F.NET、POLINET の満足度) 第二部 Q7 の回答結果(全体)を図 2-14∼図 2-19 に示す。 これら既存の民間EDIネットワークに対する不満点として、どの民間EDIネットワ ークに対しても共通で多数回答されているのは、「(1)参加企業が少ない」である。また、 「(5)対象業務が少ない」についても 1 割程度の回答があった。 2Q7 S.C.NETの満足度 (複数回答 無し) 問 (1) (2) 満足している 不満な点がある 有効回答数 S.C.NETの満足度 回答 回答率 2 3.2% 61 96.8% 63 (1) 3.2% (2) 96.8% 図 2-14 第二部 Q7 S.C.NET の満足度(全体) 問 (1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) (複数回答 有り) 回答 回答率 参加企業が少ない 39 21.3% 利用ソフトがない(少ない) 6 3.3% 導入初期費用が掛かり過ぎる 10 5.5% 利用コストが高い 9 4.9% 対象業務が少ない 20 10.9% 使い勝手が悪い 7 3.8% その他(具体的にご記入ください) 11 6.0% 有効回答数 183 第二部 Q7 S.C.NET 50 回答数(件) 2Q7 S.C.NETの不満点 40 39 30 20 20 6 10 10 9 (3) (4) 選択肢 7 11 0 (1) (2) 図 2-15 第二部 Q7 S.C.NET の不満点(全体) 18 (5) (6) (7) 2Q7 S.F.NETの満足度 (複数回答 無し) S.F.NETの満足度 問 (1) (2) 満足している 不満な点がある 有効回答数 回答 回答率 2 2.8% 70 97.2% 72 (1) 2.8% (2) 97.2% 図 2-16 第二部 Q7 S.F.NET の満足度(全体) 2Q7 S.F.NETの不満点 (複数回答 有り) 問 回答 第二部 Q7 S.F.NET 回答率 参加企業が少ない 利用ソフトがない(少ない) 導入初期費用が掛かり過ぎる 利用コストが高い 対象業務が少ない 使い勝手が悪い その他(具体的にご記入ください) 有効回答数 45 8 13 10 21 11 9 183 24.6% 4.4% 7.1% 5.5% 11.5% 6.0% 4.9% 回答数(件) 50 (1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) 45 40 30 21 20 8 10 13 10 11 9 (6) (7) 0 (1) (2) (3) (4) 選択肢 図 2-17 第二部 Q7 S.F.NET の不満点(全体) 19 (5) 2Q7 POLINETの満足度 (複数回答 無し) 問 (1) (2) 満足している 不満な点がある 有効回答数 POLINETの満足度 回答 回答率 3 3.2% 90 96.8% 93 (1) 3.2% (2) 96.8% 図 2-18 第二部 Q7 POLINET の満足度(全体) 問 (1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) (複数回答 有り) 回答 回答率 参加企業が少ない 70 38.3% 利用ソフトがない(少ない) 8 4.4% 導入初期費用が掛かり過ぎる 18 9.8% 利用コストが高い 16 8.7% 対象業務が少ない 17 9.3% 使い勝手が悪い 19 10.4% その他(具体的にご記入ください) 17 9.3% 有効回答数 183 第二部 Q7 POLINET 回答数(件) 2Q7 POLINETの不満点 80 70 60 50 40 30 20 10 0 70 18 16 17 19 17 (3) (4) 選択肢 (5) (6) (7) 8 (1) (2) 図 2-19 第二部 Q7 POLINET の不満点(全体) の不満点(全体) 20 2.1.3.5 第二部 Q8 Q8(導入を予定している、あるいは導入したいと考えているE (導入を予定している、あるいは導入したいと考えているE DIネットワーク) 第二部 Q8 の回答結果(全体)を図 2-20 に示す。また、Q8 の回答結果を基にして整理 した、民間EDIネットワーク(POLINET、S.C.NET、S.F.NET、Bolero.net)及び官民EDIネットワーク(Sea-NACCS、港湾 EDI、JETRAS)の導入検討状況を表 2-6 に 示す。表 2-6 を見ると、新たに民間EDIの導入を検討している事業部門は民間EDI未 導入の事業部門の 1 割弱であり、現状では少数派であることがわかった。 (複数回答 有り) 問 (1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) 回答 (8) (9) (10) (11) POLINET S.C.NET S.F.NET Sea-NACCS(税関) 港湾EDI(港長/港湾管理者) JETRAS(外為EDI) bolero.net(貿易金融の電子化システム) 個別対応(自社のプロトコル(データ項目、 コード等)を使用) 個別対応(相手先企業のプロトコル(デー タ項目、コード等)を使用) 電子メール(添付ファイル) その他(具体的にご回答ください) 有効回答数 11 4 8 21 20 2 7 11 回答率 6.0% 2.2% 4.4% 11.5% 10.9% 1.1% 3.8% 6.0% 16 8.7% 19 18 183 10.4% 9.8% 第一部 Q1 25 21 20 回答数(件) 2Q8 導入予定・導入希望EDIネットワーク 15 20 19 18 16 11 11 8 10 7 4 5 2 0 (1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) 選択肢 (8) (9) (10) (11) 図 2-20 第二部 Q8 回答結果(全体) 表 2-6 民間EDIネットワーク及び官民間EDIネットワーク及び官-民EDIネットワークの導入検討状況 未導入の事業部門数 民間EDI 官-民ED I 未導入且つ導入希望・予定のあ 未導入事業部門中、導入希望・予 定のある業務部門の割合 る業務部門数 136 13 (注 1) (注 3) 27 7 (注 2) (注 4) 9.6% 25.9% (注1)第二部 Q6 において、POLINET、S.C.NET、S.F.NET、Bolero.net の何れをも導入していないと回答した件数 (注2)第二部 Q6 において、Sea-NACCS、港湾 EDI、JETRAS の何れをも導入していないと回答した件数 (注3)第二部 Q6 において POLINET、S.C.NET、S.F.NET、Bolero.net の何れをも導入していないと回答しており、 且つ第二部 Q8 において POLINET、S.C.NET、S.F.NET、Bolero.net の何れかを導入希望と回答している件数 (注4)第二部 Q6 において、Sea-NACCS、港湾 EDI、JETRAS の何れをも導入していないと回答しており、且つ Q8 において Sea-NACCS、港湾 EDI、JETRAS の何れかを導入希望と回答している件数 21 2.1.3.6 第二部 Q9(EDI導入の目的) Q9(EDI導入の目的) 第二部 Q9 の回答結果(全体)を図 2-21 に示す。 EDI導入の目的に関しては、直接の目的である「(1)業務効率化」と共に、「(3)市場競 争力の強化」も、大きな目的として考えられていることがわかる。 2Q9 導入目的 (複数回答 有り) 問 (1) (2) (3) (4) 回答 150 49 121 21 183 回答数(件) 業務効率化 経費削減 市場競争力の強化 その他 有効回答数 第二部 Q9 回答率 82.0% 26.8% 66.1% 11.5% 160 140 120 100 80 60 40 20 0 150 121 49 21 (1) (2) (3) (4) 選択肢 図 2-21 第二部 Q9 回答結果(全体) 2.1.3.7 第二部 Q10(民間EDIの阻害要因) Q10(民間EDIの阻害要因) 図 2-22 に第二部 Q10 の回答結果(全体)を示す。 阻害要因を個々に見ると、港湾物流分野全体で最も多くの回答があったのは「(22) 官の ネットワーク(Sea-NACCS)に対応するために専用EDIサーバの使用が要求されてい る」であり、本アンケートに回答した 43.2%の事業部門が阻害要因として挙げている。そ の他回答が多かったのは 38.3%の事業部門が回答した「(16) EDIネットワークへの参加 企業が少ない」、31.7%の事業部門が回答した「(1) 初期費用の負担が重い」、26.8%の企 業が回答した「(2) 利用料金が高い」、及び 25.7%の事業部門が回答した「(18) 複数の取 引先から各々個別対応を要求される」であった。 また、図 2-22 には阻害要因のカテゴリ毎に、全回答数を選択肢の数で割った平均回答 率を併せて記載した。これを見ると、経済的な要因(平均 22.5%)が一番多く、続いて制 度的要因(平均 22.0%)、システム上の要因(平均 17.8%)、取引先との関係(平均 17.4%)、 社内体制の要因(平均 10.8%)の順であることがわかった。 22 2Q10 EDIの阻害要因 (複数回答 有り) 回答 問 (1) (2) (3) 初期費用の負担が高い 利用料金が高い システム運営に関わる人件費負担が 高い その他 (下欄に具体的にご記入くださ い) 社内システムが整備されていない 社内のシステム保守体制が整備され ていない 経営トップ、本部、親会社の理解が得 られない 現業部門が賛同しない その他 書類作成に比べデータ入力項目が多 すぎる EDIネットワークに対応した良質で廉 価な市販のパッケージソフトが少ない EDI利用対象業務が少ない EDIネットワークと社内業務システムと を接続するのが難しい 異なるEDIネットワーク間のデータ項 目、コードの整合性が取れない その他 EDIネットワークへの取引先の参加が 少ない EDIを導入しても取引先から書面の提 出を要求される 複数の取引先から各々個別対応(利 用ネットワーク、データフォーマット、運 用方法等)を要求される。 民間企業商取引において、EDIによる 商取引ルールを明記したED取引基本 契約の締結が進まないため、トラブル 対応が不安である。 その他 法制度上、書類を無くすことができない 官のネットワーク(Sea-NACCS)に対応 するために専用EDIサーバの使用が 要求されている。このサーバは他の ネットワークに利用できないので、民間 EDIを進めようとすると、別途民間用の ネットワーク対応の投資が必要なこと が非効率となっている。 その他 有効回答数 (4) (5) (6) (7) (8) (9) (10) (11) (12) (13) (14) (15) (16) (17) (18) (19) (20) (21) (22) (23) 回答率 31.7% 26.8% 経済的な要因 20.2% 58 49 37 21 11.5% 44 18 24.0% 9.8% 6 3.3% 13 18 34 7.1% 9.8% 18.6% 32 17.5% 32 39 17.5% システム上の要因 21.3% 40 21.9% 18 70 9.8% 38.3% 28 15.3% 47 25.7% 平均回答率 22.5% 平均回答率 10.8% 平均回答率 17.8% 平均回答率 17.4% 平均回答率 22.0% 社内体制の要因 取引先との関係 7.7% (商取引慣習) 14 3 29 79 1.6% 15.8% 43.2% 制度的要因 13 183 7.1% 第二部 Q10 回答数(件) 100 80 60 40 20 79 70 58 49 44 37 21 34 18 6 13 32 18 32 39 47 40 18 29 28 14 3 13 0 (1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) (8) (9) (10) (11) (12) (13) (14) (15) (16) (17) (18) (19) (20) (21) (22) (23) 選択肢 図 2-22 第二部 Q10 回答結果(全体) 23 2.1.4 アンケート調査結果のまとめ 本アンケート調査により、以下の知見を得た。 まず、国際港湾物流分野におけるEDIの導入状況としては、官-民EDIネットワーク (Sea-NACCS、港湾 EDI、JETRAS)については 85.2%が導入済みであるが、民間ED Iネットワーク(S.C.NET、S.F.NET、POLINET、Bolero.net)については導入済みの 企業は僅か 25.7%に留まっている。 また、EDI未導入企業におけるEDI導入検討状況について、官-民EDIネットワー ク未導入企業における官-民EDIネットワークの導入希望・予定は 25.9%の事業部門であ り、民間EDIネットワーク未導入企業における民間EDIネットワークの導入希望・予 定は 9.6%の事業部門であった。 阻害要因をカテゴリ別に見ると、以下の順位で認識されていることがわかった。 1. 経済的な要因 (設問毎の平均回答率 22.5%) 2. 制度的要因 (22.0%) 3. システム上の要因 (17.8%) 4. 取引先との関係 (17.4%) 5. 社内体制の要因 (10.8%) 個別の選択肢で見ると、回答率の大きかった阻害要因は以下の通りであった。 1. (22) 官のネットワーク(Sea-NACCS)に対応するために専用EDIサーバの使用 (回答率 43.2%) が要求されている 2. (16) EDIネットワークへの参加企業が少ない (38.3%) 3. (1) 初期費用の負担が重い (31.7%) 4. (2) 利用料金が高い (26.8%) 5. (18) 複数の取引先から各々個別対応を要求される (25.7%) 24 2.2 ヒアリング調査 アンケート調査結果を受け、アンケートに回答のあった企業のなかでもEDI導入に対 する問題意識の高い企業に対し、業務および情報化・EDI化の実態を把握し、アンケー ト調査のEDI導入における阻害要因の詳細を明らかにするため、ヒアリング調査を実施 した。 2.2.1 ヒアリング調査対象の選別 ヒアリング候補の選択に際しては、「1.2 調査対象」で示した 3 つのセグメントに対し て、EDI導入に問題意識の高い順に「候補」「次候補」「次次候補」を定め、この中か ら最終的なヒアリング調査対象を決定するという方針をたてた。 その結果は以下の通り。 表 2-7 ヒアリング調査対象候補、次候補、次次候補(海貨業者、船舶代理店) EDI導入状況 民間EDI導入済み 情報化の現況 民間EDIを導入していない 民間EDI 導入希望あり 一般的な 企業規模 民間EDI 導入希望なし 民間EDIに民間EDIに 民間EDIに 民間EDIに 民間EDIに 民間EDIに 不満あり 不満なし 不満あり 不満なし 不満あり 不満なし ①自社独自の港湾業務 アプリケーションを利用 大規模 企業 ジを利用 中規模 企業 港湾業 務は情 報化され 港湾業務 ②EDI対応ア ている パッケー プリ ③EDI未対応 アプリ 港湾業 ④インターネットを利用 務は情 報化され ていない ⑤コンピュータ未導入 小規模・ 零細企 業 第1セグメント 候補 第2セグメント 次候補 第2セグメント 候補 第2セグメント 次次候補 第1セグメント 次候補 第3セグメント 次候補 25 第3セグメント 第3セグメント 候補 次次候補 表 2-8 ヒアリング調査対象候補、次候補、次次候補(船社、ターミナルオペレータ) EDI導入状況 民間EDI導入済み 情報化の現況 民間EDIを導入していない 民間EDI 導入希望あり 一般的な 企業規模 民間EDI 導入希望なし 民間EDIに民間EDIに 民間EDIに 民間EDIに 民間EDIに 民間EDIに 不満あり 不満なし 不満あり 不満なし 不満あり 不満なし ①自社独自の港湾業務 アプリケーションを利用 港湾業 務は情 報化され 港湾業務 ②EDI対応ア ている パッケー プリ ジを利用 ③EDI未対応 アプリ 港湾業 ④インターネットを利用 務は情 報化され ていない ⑤コンピュータ未導入 大規模 企業 第1セグメント第1セグメント 次候補 中規模 候補 企業 第2セグメント 候補 第2セグメント 次次候補 第2セグメント 次候補 小規模・ 零細企 業 但し、本調査の調査対象は中小事業者であるが、企業規模によってヒアリング対象を厳 密に絞り込んでしまうと、ヒアリング対象として適切な事業部門を選択することが難しい ことから、比較的規模が大きな企業の事業部門であっても、EDIに対する問題意識が高 い事業部門はヒアリングの候補として考えることにした。 26 2.2.2 ヒアリング調査対象 以上の手順に基づき、表 2-9 のようにヒアリング調査対象を決定した。 表 2-9 ヒアリング調査対象 ヒアリング調査対象 業種 地区 企業名 資本金 横浜 A 1,000 万円以上 5,000 万円未満 新旧パッケージソフトを使用、Sea-NACCS 用。二重運用、二重入力等問題あり。 B 5,000 万円以上 1 億円未満 市販パッケージソフト及び NACCS パックを使用するも、まだ 紙ベースが多い。他に、船舶代理店部門、ターミナル部門から の回答あり。 名古屋 C 10 億円以上 2000 年問題対応のため新しい NACCS/POLINET 対応の業務パッ ケージソフトを導入したが、POLINET 対応のベンダーサポート 得られず、POLINET 使用中断。 大阪 D 10 億円以上 市販パッケージソフト導入、Sea-NACCS 及び個別EDIに対 応。既存ネット、阻害要因に問題意識あり。 神戸 E 5,000 万円以上 1 億円未満 市販パッケージソフト導入、Sea-NACCS 及び個別EDIに対 応。運輸省委託調査における実証実験への参加経験有り。 神戸 F 5,000 万円以上 1 億円未満 市販パッケージソフト導入、Sea-NACCS、S.F.NET 及び個別E DIに対応。パッケージソフトの POLINET サポートがなく、利 用を中断。 東京 G 1 億円以上 3 億円未満 外船社。Sea-NACCS、電子メール、個別 VAN 利用で対応。海外 本社のEDIサーバを介して通信。フォーマットは UN/EDIFACT を使用。 東京 H 1 億円以上 3 億円未満 EDIを一旦導入したが活用しきれなかった為 POLINET 利用 を中止。海外からは Document サーバ(電子メール)で情報入 手。 東京 I 5,000 万円以上 1 億円未満 業務の電子化が未対応。社内システム未整備。 民々業務EDIも Sea-NACCS 活用できると期待。 大阪 J 1 億円以上 3 億円未満 自社独自システム構築、Sea-NACCS、電子メール対応。民間E DIネット参加意思あるも、対応が難しいこと、参加者が少な いことなどを指摘。 東京 電子化対応状況 と POLINET を併 海貨業者 船社 船舶代理 店 ターミナルオペレ ータ 各企業へのヒアリング調査には、社団法人 港湾物流情報システム協会 及び 株式会社 三菱総合研究所のそれぞれから担当者を派遣し、各社 2 時間程度のヒアリングを行った。 27 2.2.3 ヒアリング調査結果 ヒアリング調査によって得られた結果を業種毎にそれぞれ、(1) EDIに関連する業務 システムの環境、(2) EDIの導入ニーズとその対象業務、及び(3) EDIを阻害する要因 について以下の通り整理した。また、(3)については、アンケート調査(第 2 部 Q10)での 分類と対比できるようタイトルの右側に分類名を記載した。 なお、各社のヒアリング録は、添付資料 3 を参照されたい。 2.2.3.1 (1) 海貨業者に対するヒアリング調査結果のまとめ 業務システム環境 海貨業者において、現在最も普及している港湾業務パッケージソフト(EDIソフ トを含む)はリリース当初、1999 年に運用が開始された更改 Sea-NACCS 及び、 POLINET 等民間EDIネットワークシステムへのへのオプション対応が予定され ていた。このため、Sea-NACCS の更改に合わせて当該パッケージソフトを導入した 海貨業者が多かった。 しかしながら、ベンダ企業が当該パッケージソフトの POLINET 等民間EDIネッ トワークへの対応予定を途中で取り下げてしまったことから、POLINET を利用する 海貨業者では、当該パッケージソフト導入後も POLINET 等への対応のために、従来 から使用していた同じベンダ開発の港湾業務パッケージソフトを併用せざるを得な い状況がある。 なお、この両港湾業務パッケージソフトのデータ形式には互換性が無いため、両デ ータ形式を変換するためのツールを用意する等の対策を図っているところも見られ る。 (2) EDI導入ニーズと対象業務 ① 船社・船舶代理店、ターミナルオペレータへの D/R の送信 現状、担当員が船社・船舶代理店に D/R を持参しているが、これをEDI経由で D/R を送信することにより、人員を削減することが可能である。 業務効率化効果が大きく、海貨業者の業務の中でもEDI導入インセンティブの 高いと見込まれる業務である。 実際に POLINET、Sea-NACCS などを利用して船社・船舶代理店、ターミナル オペレータに対して D/R の提出が行われている。 ② 荷主からの S/I 情報の受け取り 海貨業者では、一部荷主から S/I 情報をEDI経由で受け取っている場合がある。 S/I 情報を電子的に受け取ることができれば、業務システムへの入力作業負荷を削 減することが可能である。但し、S/I 情報の電子的な提出を海貨業者から荷主に要 請することは難しい。また、現状電子的に S/I 情報を提出している荷主の多くは独 自のフォーマットを使用している。 28 ③ 荷主への請求書情報等の提出 一部荷主からの要請により、請求書情報等を電子的に提出している。これは顧客 サービスとしての意味合いを持つほか、荷主に対して請求書データを提供する見返 りとして、荷主から S/I 情報を電子的に受け取ることが可能となる例も見られる。 (3) EDIの阻害要因 ① トランスレーション機能の構築費用が高額 経済的要因 現状では荷主から海貨業者にEDIで S/I 情報等が提供される場合、そのフォー マットは荷主独自フォーマットであることが多い。このため、海貨業者の業務シス テムに荷主からの S/I 情報を入力するためには、トランスレーション機能が必要と なる。トランスレーション機能は高額であるため、大口の顧客でなければ、対応が 難しい。 船社・船舶代理店への D/R 送信等、港湾業務パッケージソフト(社内業務システ ム)から旧バージョンのパッケージソフトを使用して POLINET を利用する場合、 新バージョンのパッケージソフトのデータを旧バージョンのパッケージソフトで 使用できる形式に変換するトランスレーション機能が必要となる。このトランスレ ーション機能も高額であるため、現状では一部を担当者が再入力している企業も見 られる。 ② 港湾業務パッケージの民間EDIシステムへの非対応 システム上の要因 「(1) 業務システム環境」で記述した港湾業務パッケージソフト間の変換ツール の構築に高額な費用が必要となることが、かなりの負担となっている。 ③ EDIシステムが想定している業務モデルと実際の業務手順との乖離 システム上の要因 POLINET で規定している業務モデルと実際の業務手順との間に食い違いがあ るため、その業務でのEDIに支障を来たしている。 例えば POLINET では、D/R は海貨から船社・船舶代理店を経てターミナルオペ レータへ送達される運用ルールとなっているが、船社・船舶代理店とターミナルオ ペレータ間のネットワークシステム等の都合により、D/R 情報の送達がカット時間 に間に合わないため、海貨が別途ハードコピーをターミナルオペレータへ FAX 等 で送付しているという運用が存在している。 29 ④ 船社・船舶代理店のEDI化率が低い 取引先との関係(商取引習慣) D/R の送信は、海貨業者にとってEDI導入に対する要望の大きな業務の一つで ある。しかしながら当該業務へのEDI導入が効果を発揮するためには、理想的に は取引先となる全ての船社・船舶代理店、ターミナルオペレータに対してEDIで D/R を提出できることが望まれる。これは、一件でもEDIに対応していない船社・ 船舶代理店及びターミナルオペレータがあると、結局のところ担当員が紙の D/R を 運送する作業が発生してしまい、EDIを未導入の場合と作業負荷が変わらない状 況となってしまうためである。 この阻害要因は、海貨業者がEDIの導入を躊躇する可能性の高い要因と捉える べきである。 ⑤ 荷主独自フォーマットによるEDI 取引先との関係(商取引習慣) 現状では海貨業者が荷主から S/I 情報を受け取る際にはほとんどが紙の書類であ り、たとえEDI経由であったとしても、荷主独自フォーマットのデータを受け取 る場合が多い。このため海貨業者は受け取った S/I データを社内業務システムに手 入力しているか、または入力可能な形式に変換するためのトランスレータを荷主毎 に用意している。トランスレータ機能を用意するためには高額の費用を負担する必 要がある。 ⑥ D/R に付随する紙の書類の存在 取引先との関係(商取引習慣) 危険物明細など D/R に付随して船社・船舶代理店に紙の書類の提出が必要となる 場合がある。 ⑦ Sea制度的要因 Sea-NACCS 接続システムに対する規制 D/R のEDI送信においては、POLINET と Sea-NACCS の2つのEDIネット ワークがあり、両方のネットワークに加入している海貨業者もある。この際、 Sea-NACCS については専用サーバを要求されるが故に、EDIゲートウェイサー バを2つ用意しなければならない事態となっており、海貨業者にとって負担感が高 い。 また、Sea-NACCS に接続するネットワークはインターネットに接続できない等 の規制があるため、社内システムのなかで Sea-NACCS に接続する部分と、インタ ーネットに接続する部分とを分離する必要があるとベンダより説明を受けており、 海貨業者にとって負担感が高い。 ⑧ Sea制度的要因 Sea-NACCS と民間EDIネットワークとが接続されていない 前項のケースとは逆に、Sea-NACCS と民間 EDI ネットワークのいずれか片方に 加入している海貨業者の場合、例えば POLINET には加入しているが Sea-NACCS には加入していない海貨業者については、Sea-NACCS のみに加入している船社・ 船舶代理店に対して D/R 情報を送信することができないため、利便性が低い。 30 2.2.3.2 (1) 船社に対するヒアリング調査結果のまとめ 業務システム環境 外航船社は、世界規模の業務システムを導入している。大別して、サーバ集中型(1 箇所のサーバで世界全体を管理)、サーバ分散型(エリア毎に業務サーバを設け、サ ーバ間はファイル転送等でデータ連携)がある。 外航船社の業務システムは大規模故に独自開発が多いが、市販の業務パッケージソ フトを活用する船社もある。 外航船社の多くは既に何らかのEDIを実施しており(サーバ分散型におけるエリ ア間のEDIを含む)、業務システム内に、EDIゲートウェイ機能(ファイルフォ ーマットやコードのトランスレーション機能、通信機能等)を既に構築している。 なお、EDI標準は UN/EDIFACT、通信手順は TCP/IP が一般的である。 (2) EDI導入ニーズと対象業務 ① D/R 受信および B/L 発行業務 B/L 発行業務において、海貨業者からEDIで受信した D/R データを自動転記で きれば、船社にとって、D/R 入力作業の削減、B/L 発行の迅速化・平準化、B/L と D/R の照合作業削減、転記ミス減少による B/L 訂正の削減につながる。 業務効率化効果が大きく、船社の中でも最もEDI導入インセンティブの高い業 務である。 実際に POLINET、Sea-NACCS などを利用してEDI取引が行われているが、 その利用率は必ずしも高くない。 ② 対荷主業務 一部荷主が、SCM 導入に伴い、ブッキング、カーゴトレーシング、B/L 情報、 請求等のEDI化対応を船社へ要望している。しかしながら、このような要望はご く一部の大手メーカからのものであり、船社としても大口固定顧客で取引ボリュー ムが大きく、かつ顧客との結びつき強化の観点から、個別に対応している。よって、 対荷主業務における n:n のEDIネットワークに対するニーズは、現時点ではさ ほど大きくないものと思われる。 オリジナル B/L のEDI化については、現時点において我が国荷主から強い要望 はない。特に大手メーカについては現地法人との SWB(sea way bill)取引が増加 している。 31 (3) EDIの阻害要因 ① 自社業務システムと民間EDIとのトランスレーション機能が高価格 経済的要因 船社の業務システムは、大規模故に独自開発である場合が多く、多様性に富んで いる。このとき、EDIメッセージと、業務アプリケーションのデータとのトラン スレーション機能は高額となるため、相応のメリットが無ければトランスレーショ ン機能の導入は難しい。 ② POLINET が想定する業務モデルと実際の業務手順との乖離 システム上の要因 POLINET で想定されている業務モデルと実際の業務手順との間に食い違いが あるため、その業務でのEDIに支障を来たしている。 例えば本来、D/R は海貨から船社を経てターミナルオペレータへ送達される運用 ルールとなっており、POLINET でも同様のルールに基づいているが、船社とター ミナルオペレータ間のネットワークシステム等の都合により、D/R の送達がカット 時間に間に合わないため、海貨が別途ハードコピーをターミナルオペレータへ FAX 等で送付しているという運用が一部にある。 ③ 海貨業者のEDI参加が少ない 取引先との関係(商取引習慣) D/R 受信は、船社にとって最もEDI導入効果の大きい業務の一つであるが、効 果を発揮するためには、一定レベル以上のEDI参加化率が必要であり、多数の海 貨業者がEDIに参加することが望まれる。EDI参加化率が低いと、ハードコピ ーとの業務二重化となり、返って業務の煩雑化やミスを誘うとの懸念がある。 この阻害要因は、船社がEDIの導入を躊躇する可能性の高い要因と捉えるべき である。 この問題と同様に、海貨業者においては船社のEDI参加率の低さが海貨業者の EDI化推進の阻害要因となっている。 ④ 船社と海貨業者でインタフェースが異なる 取引先との関係(商取引習慣) 既にいくつかの外航船社は業務システムにEDIゲートウェイ機能を構築して いるが、船社社内においてはEDI標準としては UN/EDIFACT、通信手順として は TCP/IP、ネットワークはインターネットがデファクトスタンダードとなってい る。しかしながら、船社に D/R を提出する海貨業者はと言えば、例えば POLINET を利用している場合EDI標準は SHIPNETS、通信手順は全銀協手順を使用して おり、船社ではEDI標準間の変換、あるいは通信手順間の変換が発生することと なる。 32 ⑤ Sea制度的要因 Sea-NACCS 接続システムに対する規制 D/R のEDI送信においては、POLINET と Sea-NACCS の 2 つのEDIネット ワークがあり、両方のネットワークに加入している船社もある。この際、 Sea-NACCS については専用サーバを要求されるが故に、EDIゲートウェイサー バを2つ用意しなければならない事態となっており、船社にとって負担感が高い。 また、Sea-NACCS に接続するネットワークはインターネットに接続できない等 の規制があるため、社内システムのなかで Sea-NACCS に接続する部分と、インタ ーネットに接続する部分とを分離する必要があると認識されており、船社にとって 負担感が高い。 ⑥ Sea制度的要因 Sea-NACCS と民間EDIネットワークとが接続されていない 前項のケースとは逆に、Sea-NACCS と民間 EDI ネットワークのいずれか片方に 加入している船社の場合、例えば POLINET には加入しているが Sea-NACCS に は加入していない船社については、Sea-NACCS のみに加入している海貨業者から D/R 情報を受信することができないため、利便性が低い。 33 2.2.3.3 (1) 船舶代理店に対するヒアリング調査結果のまとめ 業務システム環境 海貨業者から見た場合、船舶代理店は船社と同じようにとらえられている。現在、 国際定期船を扱う船社、船舶代理店は 150 社程度に上るが、このうちの 120 社程度は 中小の代理店である。従って、海貨業者がD/Rを船社に提出する際には、多くの場 合は船舶代理店を経由して D/R を提出することとなる。そのような背景のため、港湾 物流EDI推進のためには、船舶代理店のEDI参加が重要となる。 中小の船舶代理店が自ら行う業務は荷主に対する営業(請求含)と B/L カウンタ業 務が中心である。その他の手仕舞い、コンテナ管理等の業務はサブ(ポート)エージ ェントへ委託しているケースが多い。 B/L とマニフェストは、船舶代理店の中でも最も取り扱い件数の多い貿易書類の一 つである。船舶代理店では B/L やマニフェストの中から代理店業務に必要な情報を取 り出し、帳簿へ記入するかシステムへ入力して活用している。システム入力の作業量 は、従業員数 30 人規模の代理店では、他業務との兼任要員が一人いれば処理可能な 作業量である。 中小代理店の業務システムのうち、勘定系システムについては、多くの中小代理店 が、自らの判断により、市販の業務パッケージや MS-Excel を利用している。 物流系システム(B/L、マニフェスト等)については、紙ベースの処理となっている 場合も少なくないが、システム化されている場合には、実質的に代理店引受船社の社 内業務システムの一部として組み込まれていることが多い。すなわち、船社システム の専用端末が設置されているか、あるいは代理店独自のシステムであっても、船社よ り何らかの仕様上の制約(通信手順、フォーマット、コード等)を受けている。実際 の手仕舞いを行っているサブ(ポート)エージェントについても同様であり、船社の 専用端末が設置され、B/L 情報の入力やマニフェストの出力などを行っている。 (2) EDI導入目的と対象業務 海貨業者から見ると船舶代理店は船社と同じような存在としてとらえられ、D/R を 提出する相手となる。しかしながら、中小船舶代理店の業務量や従業員規模から見て、 EDI導入による業務効率化効果をあげる見込みは立てにくい。 船舶代理店がEDIを導入する最も大きなインセンティブは、荷主からのEDI導 入要請にありそうだが、現段階において荷主からの具体的な要請はほとんどないよう である。オリジナル B/L のEDI化についても同様である。 対船社については、EDIによるオープンなデータ交換の発想は無く、船社の社内 業務システムの一部として組み込まれることになる。 34 (3) ① EDIの阻害要因 費用対効果が合わない 経済的な要因 中小船舶代理店におけるEDIの阻害要因としては、費用に関する指摘が多く、 中小船舶代理店にとっては、そもそも現段階においてEDI導入の費用対効果が低 いとのことであった。 また、「一般的にEDIは費用が高い割に効果が見出せない」との認識が、中小 船舶代理店担当者にはあるようである。 ② 業務システムが整備されていない 社内体制の問題 業務システムが整備されていない 船舶代理店においては、業務システムの整備が進んでいないためにEDI参加者 が少ないと考えられる。これは、多くの船舶代理店においては書類の取扱量が比較 的少量なために、紙ベースで作業が行えるためである。 船舶代理店を営んでいる企業の多くは海貨業者等を兼ねているが、海貨部門と船 舶代理店部門の社内システムが分割されていることが多く、船舶代理店部門の業務 システムに整備の遅れが見られる。 35 2.2.3.4 (1) ターミナルオペレータに対するヒアリング調査結果のまとめ 業務システム環境 ターミナルオペレータにとっての顧客は船社(または総代理店)である。したがっ て、ターミナルオペレータ業務の情報化、システム化の際には船社の意向が最も重視 される。 大手船社が占有する公社ターミナルの情報システムは船社が構築し、それをターミ ナルオペレータに利用させる(貸与する)場合がほとんどであるが、公共ターミナル においては、むしろターミナルオペレータが主体的にシステムを開発するケースが多 い。中小規模のターミナルは、後者のケースに当てはまる。 ターミナルオペレータでは、輸出入の双方において如何に短時間かつ効率的にコン テナを船積みあるいは船卸しするかが最優先課題である。その業務は、大別するとコ ンテナの搬出入関連業務(ヤードオペレーション業務)とコンテナに関する事務業務 (ドキュメンテーション業務)に分けられる。このうち、ターミナル業務全体を律則 しているのは、主に前者のヤードオペレーション業務であり、荷役作業の効率化、情 報システムの導入によるコンテナ搬出入業務やプランニング業務(ヤードプランニン グ業務および本船プランニング業務)の効率化などが図られてきた。一方、ドキュメ ンテーション業務は、ヤードオペレーション業務に比してターミナル全体の律則に関 与する程度が低いために、まずヤードオペレーションの情報化が優先される傾向にあ る。 (2) EDIの対象業務と導入ニーズ ターミナルオペレータ業からみたEDIの主要相手先は、①船社、②前後の寄港地、 ③海貨業、④税関の 4 つである。 公社ターミナルを借り受けられる程の大手船社では、自社のシステムとしてコンテ ナターミナルの管理システムを構築し、それをターミナルオペレータ業に貸し付ける 形態でシステム化が図られているが、中小規模の多くのターミナルオペレータにおけ る情報化は進んでいない。 船社とのEDIでは、船社側からの要望により D/R、CLP、EIR、コンテナ搬入票 等を対象に、電子メールを使ってのドキュメントデータ送付の試行がはじめられてい る。これは MS-Excel を使った簡単なデータ入力シートを作成し、そこにデータを手 入力し、Excel ファイルをメール添付で送信するものである。現状では扱うコンテナ 数が少ないためにこの方法でも対応できているが、コンテナ数が多くなればマシン to マシンの方法が求められる。 前の寄港地からのマニフェストやベイプランは、メールに添付された MS-Excel を 紙に出力している。次の寄港地への送付も同じ方法を採っている。ただし業務上はメ ールのやり取りだけでは完結しないため、実際には電話、FAX を併用している。 海貨業者とのEDIは行われていない。ターミナルではマニフェスト情報を Sea-NACCS に登録しているので、海貨業はそれで搬入確認を行えるはずだが、実際 36 は未だ電話で確認している。海貨業との間の D/R 等のEDI化は、ターミナルオペレ ータの立場としては、それをそのまま船社に送れなければ意味がない。 税関とのEDI、すなわち Sea-NACCS の利用は行っている。しかし、情報システ ムとしてのメリットを十分に活用してきれていないのが実情であり、一例としてマニ フェスト情報の登録は逐一人手で行っている。 (3) EDIの阻害要因 経済的要因 ① スケールメリットが期待できない現状 ターミナルオペレータ業としてEDI導入のニーズは確かに存在する。一例とし て、船社保存ドキュメント(D/R、EIR、CLP、コンテナ搬入票等)のEDI化は、 顧客(船社)の満足度向上に明らかにつながるものである。しかし、現実問題とし て、それも取扱量次第である。中小のターミナルオペレータ業にとって、現状の扱 いコンテナ数、また今後のコンテナ数の伸びが明確でない状況では費用対効果の観 点からもEDI化を進めることはできない。 ② 情報ベンダにとって魅力の少ない市場 経済的要因 具体的にEDI導入を図ろうとした際の問題として、港湾業務を熟知した情報ベ ンダが非常に限られていることが挙げられる。よく事情がわからないベンダの担当 者に逐一説明するのでは、どうしても伝えきれない要件が残ってしまい、結局は良 いシステムができない。また、なまじ業務に明るい情報ベンダがいても、その数が 限られているためにコストが割高になってしまう。 上記阻害要因は構造的には取り扱い貨物の少なさによるものである。日本全国の 港に貨物が散逸して多くの港でセミフルコンテナ船しか寄港せず、さらに多くのタ ーミナルオペレータ業が貨物を小さく分け合っている状況においては、情報化に対 するコストメリットが上らないのはやむを得ない。また、コストメリットが上らな いためにソフトウェアベンダとしてもマーケットの拡大が望めず、EDIソフトや 業務パッケージソフト等のソフトウェアベンダの参入が限られてくる。 37 3 EDI化促進方策の策定 ヒアリング調査及びアンケート調査において抽出された国際港湾物流分野におけるE DI阻害要因の整理と、阻害要因の対応策について検討を行った。 但し、本調査ではEDI阻害要因を網羅的に抽出するよりも、むしろ実港湾物流業務に 携わる企業の生の声を抽出することに主眼をおいたことから、調査で明らかにならなかっ た部分については、各委員の経験を踏まえて検討を行った。 3.1 阻害要因と対応策の整理・分析 3.1.1 阻害要因の整理 港湾物流分野における輸出業務の基幹情報の流れは、図 3-1 のようになる。このうち、 本調査におけるアンケート調査、ヒアリング調査においては、調査対象を海貨業者、船社、 船舶代理店、ターミナルオペレータとしていることから、図中の破線で囲まれた部分を中 心に、輸出業務の基幹情報をEDI化する際の阻害要因及びその対応策について整理を行 った。 荷主 B/L他 S/I他 D/R他 船社・船舶代理店 海貨業者 D/R他 D/R他 ターミナルオペレータ 図 3-1 港湾物流分野における輸出業務の基幹情報の流れ 本調査で明らかとなった阻害要因のうち、主なものを図 3-2 に示す。 これを見ると、EDIの阻害要因は当該業務の各所に存在しており、業種毎に阻害要因 が異なっていることが分かる。 38 ・ 取引量が少ない場合には EDI を導入してもコストメリットが無 い。 ・ 海貨業者に対して荷主独自フォーマットへの対応が ・ 船社指定の端末に手入力が必要な場合がある。 要求される 荷主 ・ 船社との契約状況により、EDI 導入が難しい場合がある。 ・ 海貨業者に対して(紙の)書類提出への対応が要求さ れる 船舶代理店 S/I, I/V, P/L ・ 取引量によっては手入力で対応可能 トランスレー 業務システム タ、手入力 端末 S/I, I/V, P/L D/R D/R D/R D/R 海貨業者 トランスレータ、 手入力 D/R 業務システム 中小外国船社 邦船社、大手外国船社 D/R トランスレー トランスレー 業務システム タ、手入力 タ、手入力 D/R D/R D/R ・ トランスレーション機能が不十分であり、 D/R 一部手入力が必要(かえって高負荷) ・ 船社、代理店からの D/R 提出が無い。 ターミナルオペレータ ・ トランスレーション機能が高コスト ・ ソフトウェアベンダー企業としてはマー ケットが小さく、インセンティブが低い ・ 海貨業者、船社共にEDI参加者が少ない ・ 海貨業者、船社で使用するEDIネットワ または提出までにタイムラグがある。 ・ POLINET では、海貨業者からターミナルオ ペレータに D/R を送信できない ・ EDI フォーマット等、グローバルスタンダ ードで無ければ社内システムへの接続が ークが異なる場合がある ・ 一社分でも紙の D/R の提出があるならば配 送担当者が必要となり、EDI を導入しても 難しい。 ・ POLINET が UN/EDIFACT に対応していること が認識されていない。 メリットが小さい 図 3-2 輸出業務の基幹情報の流れにおけるEDI阻害要因 39 これらの整理を更に進めるにあたっては、ヒアリング調査の結果から、例えば同じ船社 であっても邦船社と外国船社の現地法人ではEDI阻害要因が異なるなど、同じ業種でも 企業の置かれた状況によって阻害要因が異なる例が見受けられたため、図 3-3 のように、 さらに業種を細かく分類した。 荷主は商社とメーカ企業に分類し、船社は邦船社と外国船社(現地法人)に、船舶代理 店は外国船社(総代理店)とサブエージェントに、ターミナルオペレータは船社自営ター ミナルオペレータと非自営ターミナルオペレータとに分類した。 港湾物流分野 荷主企業 商社 メーカ企業 海貨業者 船社・船舶代理店 邦船社 ターミナルオペレータ 外国船社 外国船社 現地法人 代理店 総代理店 船社自営ターミナ 非自営ターミナル ルオペレータ オペレータ サブエージェント 図 3-3 港湾物流分野に携わる主な業種 このうち邦船社については、POLINET や Sea-NACCS への参加が 100%実施されてお り、船社自営ターミナルオペレータについてもアンケート調査結果を見る限り阻害要因を 感じているとの記述がほとんど見られなかったことから、この 2 業種については阻害要因 の整理対象から外すこととした。 3.1.2 阻害要因の相関関係 各業種のEDI阻害要因を整理し、更にその対応策を誰が行うべきかを示した図が図 3-4∼図 3-8 である。 各図の作成に当たっては、まず中小事業者を抽出するために、資本金が 5,000 万円未満 (アンケート第一部 Q2 に(1)、(2)の何れかを回答)、又は人数が 100 人未満(第一部 Q3 に(1)、(2)の何れかを回答)の企業を抽出した。その上で、回答数が多かったEDI阻害要 因(アンケート第二部 Q10 の回答)を図の中程に太線四角枠で記載した。但し、ターミナ ルオペレータについては、上記の条件に当てはまる回答が 2 件のみであったことから、特 に中小企業に絞らずに図 3-8 に同様の記述を行った。 次に、ヒアリング調査で言及されたEDI阻害要因を同様に図に太線四角枠で記載した。 その際、ある阻害要因が別の阻害要因の原因となっている場合には、原因となっている方 が下にくるよう上向き矢印で結んでおり、両者の因果関係が分かるようにした。また、ア ンケート及びヒアリングで抽出された阻害要因に対して更に原因となる要因が想定される 場合には、抽出された阻害要因の下に原因として想定される要因を楕円形の枠で記載し、 これらを上向き矢印で結んでいる。 更にこのとき、性質が類似した阻害要因が複数存在する場合には、これらをまとめたグ 40 ループを図の上部に二重の楕円形の枠で記載し、阻害要因全体として数個の大きな阻害要 因のグループが形成されるようにした。 こうしてできた相関図から見えるのは、それぞれのEDI阻害要因の最も下に位置する 阻害要因が根本的な阻害要因であり、これらが解決されれば、それらの上位の問題が順次 解決されるということである。このため各図の下部には、関係する機関(EDIネットワ ーク運営組織、EDIソフトベンター、EDIユーザ及び業界団体、行政)別に根本的な EDIの阻害要因に対する対応策を記載し、矢印で結び付け、その関係が分かるよう工夫 した。 なお、業種毎の具体的なEDI化促進方策については「3.3 業種別のEDI化促進方策」 を、また角度を変え、EDI化促進方策を実施する対象ごと(EDI推進組織、EDIソ フトベンター、EDIユーザ及び業界団体、行政)に整理したものを「3.4 EDI化促進 方策のまとめ」に詳述してあるので参照願いたい。 41 図の見方 凡例 (注1)四角の枠はアンケート・ヒアリングで抽出された阻害要因を示す。また、枠の近傍に記載され た数値はアンケート調査における中小海貨業者(36件)の回答のうち、当該阻害要因を回答した件数を 示す。 海貨業者におけるEDI阻害要因 (注2)太い矢印に記された番号は、当報告書3.3節において当該阻害要因を記述した番号を示す。 二重楕円は阻害要因をまとめたグループ として想定されるものを表す。 13/36 (経済的な要因) 情報投資負担が重い 導入メリットが見出せない 社内体制に問題がある システム上の問題がある 太い四角はアンケート・ヒアリングで抽 出された阻害要因を示す。また、枠の近 傍に記載された数値は、アンケート調査 における回答のうち、当該阻害要因を回 答した件数を示す。 12/36 完全なペーパーレスに ならない 二重オペレーションが 二重オペレーション が発生する 発生する 利用料金が高い 楕円は、阻害要因が発生する原因として 想定されるものを示す。 16/36(注1) 社内業務シス テムが無い (1)(注2) 11/36 システム運営 に関わる人件 費負担が大き い 16/36 船社、船舶代理店 の参加が少ない 12/36 船社にPOLINETでD/ Rを送信してもCYか らD/Rの提出を求め られることがある (2) ターミナルオペ レータからE/D のハードコピー の提出を求めら れる 民間EDIネットワー クと社内システムと のトランスレータ構 築費用負担が大きい 22/36 官民の双方の Sea-Naccs用コン EDIネット ピュータと、POLINET ワークへの投 用サーバコンピュー 資が負担であ タとの兼用が困難 る (10) D/RをEDIで電送す ると、しめきりに 間に合わない一部 のD/Rは、紙で提 出する必要がある 複数の取引先 から個別対応 を要求される (主に荷主) 12/36 異なるEDIネット ワーク間のデータ 項目、コードの整 合性がとれない (13) (9) (7) (5) 10/36 13/36 対象業務が少ない 上向きの矢印は、阻害要因の因果関係を 表す。矢印が出てゆく阻害要因が、矢印 の入り込む阻害要因の原因となってい る。 (12) (8) 11/36 船社・船舶代理店の 阻害要因 船社からCYへのD/R の提出が遅い 旧バージョンのEDI ソフトウェアの 2000年問題 (3) CYゲートにおけ る確認用D/Rハー ドコピーの提出 (4) EDIネットワー Web-EDI等 業務アプリ の提供及び ケーション ク運営組織 (POLISA等) 機能拡充 のASP提供 対応策 EDIソフトベン ダー EDIユーザ及び 業界団体 行政 ASPサービスに Web-EDI、エク よる業務アプリ ストラネットに ケーションの利 よるEDIの利用 用 標準電子フォー ネットワーク機 マットが足らな 能が不十分 い ネットワーク 個別対応 フォーマット の個別対応 下向きの矢印は、阻害要因に対する対応 策を表す。 (11) POLINETが定めてい る運用ルールが守ら れていない (6) 現状にあわせ たEDIフロー改 善 船社・船 舶代理店 の阻害要 因解決 POLINET対応した安 価で良質なパッ ケージソフトが少 ない POLINETで船社にD/Rを送 信する際、船社からCYへ の所要時間30分だけ締め 切り時間が早くなってい る EDIソフトウェアベンダ トランスレー に対するPOLINET対応ソ ション機能の フトウェア供給の要請 ASP提供 Sea-NACCSと POLINETとの相 互接続 標準フォーマット及 びネットワーク機能 拡充 民間EDIネット ワークに対応した パッケージソフト の供給 港湾物流全体 で、最適な業務 の検討 現行ルール遵守 の再確認 トランス レータの共 同発注 Sea-NACCS用と 民間EDIネット ワークとの サーバ兼用の EDIネットワーク 運営組織に対する 実現 必要機能の要請 ASPサービスに よるトランス レーション機能 の利用 民間業務における Sea-NACCSと民間 Sea-NACCSの基本姿 EDIネットワーク 勢の明確化 との相互接続 荷主にメリット データ項目、 があるEDIサー コード等に関す ビスの提供 る協議 EDIによるD/R 提出締め切り 時間の延長協 議 標準データ項 目、コードの使 用 EDI普及に対する 助成 図 3-4 海貨業者におけるEDI阻害要因 *リンク設定されています。 42 図の見方 (注1)四角の枠はアンケート・ヒアリングで抽出された阻害要因を示す。また、枠の近傍に記載され た数値はアンケート調査における中小船社(4件)の回答のうち、当該阻害要因を回答した件数を示 す。 外国船社・現地法人のEDI阻害要因 凡例 (注2)太い矢印に記された番号は、当報告書3.3節において当該阻害要因を記述した番号を示す。 二重楕円は阻害要因をまとめたグループ として想定されるものを表す。 プリンシパルの許可を得にくい 1/4 2/4 導入メリットが見出せない 太い四角はアンケート・ヒアリングで抽 出された阻害要因を示す。また、枠の近 傍に記載された数値は、アンケート調査 における回答のうち、当該阻害要因を回 答した件数を示す。 社内システムとローカルEDI システムとインターフェース の費用負担が大きい 情報化投資負担が重い 3/4(注1) (6) 海貨業者の参加が 少ない 楕円は、阻害要因が発生する原因として 想定されるものを示す。 海貨業者の阻害要因 (4) (注2) 1/4 1/4 2/4 初期費用の負 担が高い グローバル 標準に対応していない インターネット 通信プロトコルに対 応していない 官と民の双方のEDIネット ワークへの投資が負担であ る (5) Sea-Naccs用コンピュー タとPOLINET用のサーバ コンピュータとの兼用 が困難 複数の取引先から各々個別対 応(利用ネットワーク、デー タフォーマット、運用方法 等)を要求される(主に荷主 企業) 上向きの矢印は、阻害要因の因果関係を 表す。矢印が出てゆく阻害要因が、矢印 の入り込む阻害要因の原因となってい る。 (7) (12) (8) 下向きの矢印は、阻害要因に対する対応 策を表す。 EDIネットワー ク運営組織 (POLISA等) 対応策 EDIソフトベン ダー EDIユーザ及び 業界団体 行政 Web-EDI等の提供及 び機能拡充 海貨業者の 阻害要因解 決 Web-EDI、エクスト ラネットによるEDI の利用 Sea-Naccsと POLINETとの相 互接続 トランスレー グローバル標準対応 ション機能の ネットワークの啓蒙 ASP提供 荷主にメリットが あるEDIサービス の提供 Sea-NACCS用と 民間EDIネット ワークとの サーバ兼用の 実現 ASPサービスに よるトランス レーション機能 の利用 民間業務における Sea-Naccsと民間 Sea-Naccsの基本的姿 EDIネットワークと の相互接続 勢の明確化 図 3-5 外国船社・現地法人におけるEDI阻害要因 *リンク設定されています。 43 図の見方 総代理店の阻害要因 (注1)四角の枠はアンケート・ヒアリングで抽出された阻害要因を示す。また、枠の近傍に記載され た数値はアンケート調査における中小船舶代理店(21件)の回答のうち、当該阻害要因を回答した件数 を示す。 (注2)太い矢印に記された番号は、当報告書 3.3節において当該阻害要因を記述した番号を示す。 7/21 4/21 システム上の要因 プリンシパルの許可を得にくい 法制度上、書類を 無くすことができ ない 6/21 社内体制に問題がある 情報化投資負担が重い 5/21(注1) 社内業務システム が無い 4/21 システム運営に関 わる人件費負担が 大きい (2) (注2) 5/21 導入メリットが見出せない 書類作成に比べ てEDIはデータ入 力項目が多い 8/21 7/21 完全なペーパーレ スにならない 初期費用の負担が高い 海貨業者の参 加が少ない 8/21 (3) (11) 楕円は、阻害要因が発生する原因として 想定されるものを示す。 (10) 上向きの矢印は、阻害要因の因果関係を 表す。矢印が出てゆく阻害要因が、矢印 の入り込む阻害要因の原因となってい る。 (4) (9) 官民双方のEDIネット ワークへの投資が負担 である Sea-Naccs用コンピュー タとPOLINET用のサーバ コンピュータとの兼用 が困難 (6) 下向きの矢印は、阻害要因に対する対応 策を表す。 (7) EDIネットワー Web-EDI等 業務アプリ ク運営組織 の提供及び ケーション 機能拡充 のASP提供 (POLISA等) 対応策 EDIソフトベン ダー EDIユーザ及び 業界団体 行政 ASPサービスに Web-EDI、エク よる業務アプリ ストラネットに ケーションの利 よるEDIの利用 用 トランスレーショ ン機能のASP提供 海貨業者の 阻害要因解 決 太い四角はアンケート・ヒアリングで抽 出された阻害要因を示す。また、枠の近 傍に記載された数値は、アンケート調査 における回答のうち、当該阻害要因を回 答した件数を示す。 (13) 利用料金が高い 7/21 社内システムとローカルな EDIシステムとのインタ フェースに費用がかかりす ぎる 二重楕円は阻害要因をまとめたグループ として想定されるものを表す。 4/21 異なるEDIネット ワーク間のデー だ項目、コード の整合性がとれ ない 対象業務が少 ない 海貨業者の阻害要因 凡例 (8) POLINETとSeaNaccsとの相互 接続 標準フォーマット及 びネットワーク機能 拡充 Sea-NACCS用と 民間EDIネット ワークとの サーバ兼用の 実現 ASPサービスによ るトランスレー ション機能の利用 民間業務における Sea-NACCSと民間EDI Sea-NACCSの基本姿勢 ネットワークとの相 の明確化 互接続 データ項目、 コード等に関す る協議 安価で良質なパッ ケージソフトの提 供 EDIネットワーク運 営組織に対する必要 機能の要請 プリンシパルから の電子データ提供 標準データ項 目、コードの使 用 EDI普及に対する助 成 図 3-6 外国船社・総代理店におけるEDI阻害要因 *リンク設定されています。 44 図の見方 (注1)四角の枠はアンケート・ヒアリングで抽出された阻害要因を示す。また、枠の近傍に記載され た数値はアンケート調査における中小船舶代理店(21件)の回答のうち、当該阻害要因を回答した件数 を示す。 サブエージェントの阻害要因 (注2)太い矢印に記された番号は、当報告書3.3節において当該阻害要因を記述した番号を示す。 凡例 7/21 4/21 4/21 6/21 更なるEDIニー ズがない 社内体制に問題がある 情報化投資負担が重い 5/21(注1) 取引量が少な くEDI導入メ リットが小さ い 法制度上、書類を 無くすことができ ない システム上の要 システム上の要因 因 プリンシパルの許可を得にくい 社内業務システム が無い (1) (注2) 4/21 システム運営に関 わる人件費負担が 大きい (2) 5/21 導入メリットが見出せない 書類作成に比べ てEDIはデータ入 力項目が多い 8/21 7/21 完全なペーパーレ スにならない 初期費用の負担が高い 海貨業者の参 加が少ない 8/21 (3) (11) 異なるEDIネット ワーク間のデー だ項目、コード の整合性がとれ ない 二重楕円は阻害要因をまとめたグループ として想定されるものを表す。 太い四角はアンケート・ヒアリングで抽 出された阻害要因を示す。また、枠の近 傍に記載された数値は、アンケート調査 における回答のうち、当該阻害要因を回 答した件数を示す。 (13) 楕円は、阻害要因が発生する原因として 想定されるものを示す。 利用料金が高い (10) 対象業務が少 ない 7/21 海貨業者の阻害要因 (4) 社内システムとローカ ルなEDIシステムとのイ ンタフェースに費用が かかりすぎる 官民双方のEDIネット ワークへの投資が負担 である (6) EDIネットワー ク運営組織 (POLISA等) Web-EDI等 業務アプリ の提供及び ケーション 機能拡充 のASP提供 対応策 EDIソフトベン ダー EDIユーザ及び 業界団体 行政 ASPサービスに Web-EDI、エク よる業務アプリ ストラネットに ケーションの利 よるEDIの利用 用 トランスレーショ ン機能のASP提供 海貨業者の 阻害要因解 決 (7) (8) POLINETとSeaNaccsとの相互 接続 民間業務に対する Sea-Naccsの基本姿勢 の明確化 Sea-NACCSと民間EDI ネットワークとの相 互接続 下向きの矢印は、阻害要因に対する対応 策を表す。 標準フォーマット及 びネットワーク機能 拡充 Sea-NACCS用と 民間EDIネット ワークとの サーバ兼用の 実現 ASPサービスによ るトランスレー ション機能の利用 上向きの矢印は、阻害要因の因果関係を 表す。矢印が出てゆく阻害要因が、矢印 の入り込む阻害要因の原因となってい る。 (9) Sea-Naccs用コンピュー タとPOLINET用のサーバ コンピュータとの兼用 が困難 データ項目、 コード等に関す る協議 安価で良質なパッ ケージソフトの提供 EDIネットワーク 運営組織に対す る必要機能の要 請 プリンシパルからの 電子データ提供 標準データ項 目、コードの使 用 EDI普及に対する 助成 図 3-7 サブエージェントにおけるEDI阻害要因 *リンク設定されています。 45 図の見方 (注1)四角の枠はアンケート・ヒアリングで抽出された阻害要因を示す。また、枠の近傍に記載され た数値はアンケート調査におけるコンテナターミナル(25件)の回答のうち、当該阻害要因を回答した 件数を示す。 コンテナターミナル(非自営)のEDI阻 害要因 凡例 (注2)太い矢印に記された番号は、当報告書3.3節において当該阻害要因を記述した番号を示す。 二重楕円は阻害要因をまとめたグループ として想定されるものを表す。 更なるEDIニーズが低い 6/25(注1) 海貨業者の参 加が少ない 取扱コンテナ量が少なくEDI を導入してもメリットが少ない 6/25 船社の参加が 少ない システム上の要因 情報化投資負担が重い 導入メリットが見出せない 5/25 太い四角はアンケート・ヒアリングで抽 出された阻害要因を示す。また、枠の近 傍に記載された数値は、アンケート調査 における回答のうち、当該阻害要因を回 答した件数を示す。 6/25 利用料金が高い 初期費用の負担が高い (3) (1) (注2) (8) 船社から個々個別対応 (利用ネットワーク、 データフォーマット、 運用方法等)を要求さ れる) 13/25 海貨業者の阻害要因 (2) 船社の阻害要因 (2) EDIネットワークと社内シ ステムとのトランスレー ション機能構築の費用負担 が大きい 官民双方のEDIネット ワークへの投資が負担 である 4/25 8/25 4/25 対象業務が少 ない 異なるEDIネット ワーク間データ項 目、コードの整合 性がとれない (9) (10) Sea-Naccs用コンピュー タとPOLINET用のサーバ コンピュータとの兼用 が困難 楕円は、阻害要因が発生する原因として 想定されるものを示す。 上向きの矢印は、阻害要因の因果関係を 表す。矢印が出てゆく阻害要因が、矢印 の入り込む阻害要因の原因となってい る。 (6) (4) (7) 4/25 下向きの矢印は、阻害要因に対する対応 策を表す。 安価で良質なパッ ケージソフトが無 い (5) EDIネットワー ク運営団体 (POLISA等) Web-EDI等の提 供及び機能拡 充 対応策 EDIソフトベン ダー EDIユーザ及び 業界団体 行政 Web-EDI、エクス トラネットによる EDIの利用 EDIソフトウェアベンダに トランスレーショ 対するPOLINET対応ソフト ン機能のASP提供 ウェア供給の要請 海貨業者の 阻害要因解 決 船社・船舶 代理店の阻 害要因解決 Sea-NACCSと POLINETとの相 互接続 民間EDIネットワークに対 応したパッケージソフト の供給 トランス レータの共 同発注 標準フォーマット及 びネットワーク機能 拡充 Sea-NACCS用と 民間EDIネット ワークとの サーバ兼用の 実現 ASPサービスによ るトランスレー ション機能の利用 民間業務におけるSea- Sea-NACCSと民間EDI NACCSの基本姿勢の明確ネットワークとの相 化 互接続 EDIネットワーク 運営組織に対する 必要機能の要請 データ項目、コー ド等に関する協議 標準データ項 目、コードの使 用 現行ルール遵守 の再確認 EDI普及に対する 助成 図 3-8 非自営ターミナルオペレータにおけるEDI阻害要因 *リンク設定されています。 46 3.2 EDI阻害要因を解決するための道筋 (1) 阻害要因間の関連性 EDI阻害要因のなかで特に影響が大きいと見られるのは、取引先業界のED I参加率であると考えられる。これは、他の要因であれば自社側の何らかの対策 で解決が図れる可能性があるが、取引先企業がEDIに参加していなければ、そ もそもEDIという行為自体を実行することができないためである。例えば海貨 業者においては船社及び船舶代理店のEDI参加が少ないためにこの間のEDI 普及が進まない。逆に、船社及び船舶代理店では海貨業者のEDI参加が少ない ためにこの間のEDI普及が進まないという、鶏と卵の関係となっている。 さて、図 3-4∼図 3-8 から主な阻害要因を抽出すると図 3-9 に整理できる。この 図をより注意して見ると、これらの阻害要因は互いに関連していることが分かる。 つまり、参加率が低い原因には、導入メリットがないことにあり、更には社内シ ステムの構築やEDI対応のための情報化投資負担が重いことにある。また、反 対にEDI参加率の低さが導入メリットを低下させる原因ともなっている。 前述のアンケート結果でも、カテゴリ別の最も大きな阻害要因は「経済的な要 因」であり、個別の選択肢で見た阻害要因の 2 番目には「EDIネットワークへ の参加企業が少ない」が出ていることからも、それらには何らかの関係があるの ではないかと判断できる。なお、1 番目の「Sea-NACCS 等官のEDIネットワ ークと民間EDI用のネットワークとが接続できない」については、港湾物流業 界の約 90%以上が既に導入していることから、その有効活用、利便性追求といっ た意味での要望が回答率に反映されたものと思われる。 いずれにしても、これら阻害要因の解決のためには何か一つの阻害要因に業界 全体の根本原因を求めるのではなく、各々の阻害要因に対する同時並行的な対策 が求められる。 EDI導入メリットがない 相手業界の参加者 が少ない 社内システムがない 情報化投資重い 図 3-9 EDI阻害要因間の関係 47 (2) 対応策の方向 対応策を探るため、各業界間のEDI導入における取引関係と各業種における 阻害要因について図 3-10 の通り整理した。港湾物流分野におけるEDI導入の際 には荷主のイニシアティブが大きいが、本調査において荷主企業は調査対象外と している。 海貨業者から船社、船舶代理店に D/R を提出する際の提出方法の選択には、双 方どちらかに、荷主と海貨業者、荷主と船社、船舶代理店のような特別なイニシ アティブはない。従って、港湾物流分野におけるEDIの普及促進のためには、 海貨業者及び船社、船舶代理店の各業界それぞれにおいて、アンケート調査やヒ アリング調査で浮き彫りとなってきた問題を解決していく、すなわち、経済的負 担の削減、導入メリットの創出等を同時に実現することが肝要である。 しかしながら、海貨業者から D/R を受け取り B/L を発行する業務は、一部は邦 船社及び大手外国船社によって実施されているものの、そのほとんどが中小規模 のソールエージェントやサブエージェント等船舶代理店によって行われている。 アンケート結果によれば POLINET 等民間EDIの参加率は、海貨業者、船社、 船舶代理店の中でも特に船舶代理店において低いことから、海貨業者が D/R を電 子的に提出する状況を実現するためには特に船舶代理店の民間EDI参加率を向 上させることが重要である。 以上のことから、EDI導入の費用対効果を向上させ、臨界点と考えられる状 態まで何としてもEDI参加率を高める必要がある。具体的には次の対応策を以 って取り組むべきである。 a. EDI普及の鍵は、船社、船舶代理店の参加者率にあるため、船社、船舶 代理店のEDI導入メリット創出を実現する b. 社内システムが無く、扱う情報量の少ない事業者に対しては、Web-EDI の 普及促進を行う c. 社内システムを有しているが、EDI対応が難しい事業者に対しては、ASP サービスによるトランスレーション機能の提供を行う d. EDIネットワーク自身も利用しやすい機能、安い利用料とするために新 技術(次世代EDI言語である XML 等)を導入し、機能の向上を図る e. 前項 d の推進には、情報化先行投資を伴うため、何らかの公的経済支援が 必要である f. EDI導入効果を高めるため、港湾物流分野全体の業務手順の検討を行う g. 特に中小事業者を対象としたEDI導入方策の広報、啓蒙を行う ここで、上記 c 項に記載された ASP(Application Service Provider)サービス とは、一般的に ASP 事業者が保有するアプリケーション機能を、ネットワークを 介して複数の顧客に提供するサービスのことである。 48 また、Web-EDI とは、インターネット通信プロトコルによるデータ通信を行い、 ユーザによるウェブ・ブラウザからのデータ入力及び送受信が可能なEDIで、ウェ ブ・ブラウザからデータ入力を行うことから、ハードウェア等の設備費用が軽減でき、 インターネット或いはエクストラネットを利用することにより、通信費用の軽減を図 ることができる。 しかし、このような対応策を漫然と実施するだけでは不完全であり、何よりも港湾 物流分野の事業者自身、業界団体自らがEDIを推進する主体であることを自覚して もらう必要があるのではないだろうか。つまり、EDIのメリットを享受するために は、大多数のEDI参加者が必須であるとの認識を持ってもらう。特にEDI未導入 企業の傾向として見られることであるが、取引先の多くがEDIに参加するまで導入 しないといった日和見主義。これ自体が、港湾物流業界全体の大きなEDI阻害要因 となっていることにも気付くべきである。 そして、国際的な市場競争で優位性を保つためにはその様な国際港湾物流業界全体 の協力が不可欠であり、行政、EDIユーザ及び業界団体、EDIネットワーク運営 組織、EDIソフトベンダーがそれぞれの役割を果たすことが求められる。 アンケート調査、ヒアリング調査では、EDI、ネットワーク、パッケージソフト ウェア、EDIネットワーク運営組織の活動(標準化など)に関する情報が末端の関 係者まで行き届いていないことが判明した。関連するEDI推進団体等には、更なる 啓蒙普及活動が求められる。 50 3.3 業種別のEDI化促進方策 「3.1.2 阻害要因の相関関係」で整理された根本的EDI阻害要因の対応策を業種別 に記載する。 ここでは、 「3.1.1 阻害要因の整理」 により整理された業種分類を海貨業者、 船社・船舶代理店、非自営ターミナルオペレータの 3 業種で括り直した。また、各業種で 共通の阻害要因及び対応策については、極力重複説明をしないように記載したので、その 部分は他業種同阻害要因及び対応策を参照されたい。 3.3.1 海貨業者におけるEDI化促進方策 図 3-4 に記載された海貨業者における阻害要因とその対応策は次の通りである。 3.3.1.1 社内業務システムが無い 【図 3-4(1)】 4(1)】 阻害要因・現状 中小の事業者においては、社内システムが無いために、EDIを導入することができな い。 対応策 Web-EDI を利用することで、社内業務システムを持たない事業者であっても、EDI に参加することが可能である。 また、ASP サービスによる業務アプリケーションの提供も検討に値する。例えば、CLP、 D/R 作成等のサービスを利用することで、安価に、且つ容易にEDIに対応することが可 能となる。 3.3.1.2 システム運営に関わる人件費負担が大きい 【図 3-4(2)】 4(2)】 阻害要因・現状 中小の事業者においては、元々の社員数が少ないため、社内システムを必要とするED Iを導入しようとした場合、システムの運営に関わる人件費が負担となり、EDIを導入 することができない。 対応策 Web-EDI を利用することにより、簡単な社内システム或いは入力負担のみでEDIを することができ、保守点検のための負担を軽減することが可能である。 また、社内システムを持たない事業者に対しては、ASP サービスによる業務アプリケー ションの提供も検討に値する。ASP サービスによる業務アプリケーション提供の概念図を 図 3-11 に示す。この場合、ユーザは ASP センターに用意された業務アプリケーションを Web ブラウザを通して利用することとなるので、若干のオペレーションは必要となろうが、 保守点検のための負担等は軽減することができる。 51 海貨業者B 船社 EDIネットワーク 船舶代理店 海貨業者A ASPセンター 業務アプリケーション Web ブラウザから利用 図 3-11 ASPサービスによる業務アプリケーション提供の概念図 ■ Cyber-POLINET と Web-POLINET(参考) POLISA では、平成 13 年 2 月より Cyber-POLINET 及び web-POLINET の運用を開 始している。Web-POLINET は Web-EDIであり、また、Cyber-POLINET は Web-EDI ではないが、通信回線にエクストラネットを使用するため、従来の POLINET に比べて利 用費用の軽減が実現できる。 a. インターネット通信プロトコル「全銀 TCP/IP」によるデータ通信 b. ウェブ・ブラウザによるデータ入力及び送受信(Web-POLINET) c. エクストラネット(閉域 IP ネット)によるEDI(Cyber-POLINET) d. 基幹メッセージタイプ(船積み貨物受領証の D/R 受信確認)に関するフォーマ ット変換(SHIPNETS/EDIFACT/Web 相互変換) e. インターネットEDIと既存 POLINET との相互接続 52 トランスレーション ユーザー Cyber-POLINET EDI サーバー Web サーバー AP サーバー インターネット エクストラネット Cyber-POLINET 既存 POLINET ユーザー Web-POLINET Gateway サーバー ユーザー Web-POLINET ユーザー 既存 POLINET 既存 POLINET ユーザー ユーザー 図 b-1 POLINET におけるインターネットEDIの概念図 3.3.1.3 取引先相手のEDI参加が少ない(船社、船舶代理店) 【図 3-4(3)】 4(3)】 阻害要因・現状 海貨業者は D/R を船社、船舶代理店に送信するが、現状では船社、船舶代理店のEDI 参加率が低いために、海貨業者が民間EDIを実施できる体制を整えていたとしても、紙 の D/R を船社、船舶代理店に提出せざるを得ない状況にある。 多くの海貨業者では D/R は全て社内業務システムによって発行しており、宛先毎にED Iまたは紙の D/R を発行するという振り分けは、業務システムの内部に格納された取引先 マスタ情報に従って自動的に実施される。従って、海貨業者としては、EDI導入による この部分の業務に変更が生じることはない。しかしながら、作成された D/R を船社まで届 ける際に、紙の D/R の場合には、使送便等を使用する必要がある。海貨業者の期待は、E DIの導入により使送便のコストを削減することであったが、現状では使送便に対するコ ストとEDIに対するコストとの双方が発生してしまっている。 53 出力 社内システム 使送便 出力形式を 全データを入力 自動選択 EDI 取引先マスタ (EDI or 紙) 図 3-12 海貨業者における二重オペレーション 対応策 前述の「3.2 EDI阻害要因を解決するための道筋」に沿った対応を図る必要がある。 また、上記の使送便の問題については、EDI推進の過渡的な問題であることから、ED Iが普及するにつれて、使送便の使用頻度も減少していくことと思われる。 3.3.1.4 CY ゲートにおける確認用 D/R ハードコピーの提出 【図 3-4(4)】 4(4)】 阻害要因・現状 ターミナルオペレータによっては、ゲートにおけるコンテナ貨物の受け渡し確認のため に、貨物の明細に関する情報を要求している。その書類はD/Rそのもののコピーである 必要はないとしているが、海貨業者としては、S/IまたはD/Rのハードコピーを提出 しているのが現状である。また、ターミナルオペレータは、海貨業者が Sea-NACCS に参 加していない、或いは Sea-NACCS で船積確認事項登録を送信しない場合の自主記帳とし てD/Rまたはそのコピーを要求している。 対応策 海貨業者、船社、船舶代理店、ターミナルオペレータ等が協議し、最も効率よく業務が できるような業務手順等の見直しを行うべきである。なお、この問題を取り進めるEDI ネットワーク推進組織としては、POLISA が妥当である。 54 3.3.1.5 ターミナルオペレータから E/D のハードコピーの提出を求められる 【図 3-4(5)】 4(5)】 阻害要因・現状 コンテナヤードでは貨物の輸出許可が下りているかどうかを確認するために、 Sea-NACCS で輸出許可が降りているものに対しては Sea-NACCS の情報で確認し、それ 以外のものについては E/D のハードコピーで確認している。しかしながら 100% Sea-NACCS で確認できない過渡的現況のなかでは、どちらの手順で確認するのか判別す ることは非効率的作業となることから、当分の間は E/D コピーの提出を一律に海貨業者に 要求している。 対応策 海貨業者、船社、船舶代理店、ターミナルオペレータ等が協議し、最も効率よく業務が 遂行できるような業務手順等の見直しを行うべきである。なお、この問題を取り進めるE DIネットワーク推進組織としては、POLISA が妥当である。 3.3.1.6 POLINET の定めている運用ルールが守られていない 【図 3-4(6)】 4(6)】 阻害要因・現状 POLINET の前身である SHIPNETS が運用開始したのは 1986 年 4 月である。そのと きに定められたEDI運用ルールでは、海貨業者は D/R 情報を船社(または船舶代理店) に送信し、船社はこの D/R 情報をターミナルオペレータに渡すことになっている。(現在 まで変更されていない) しかし、実際はそのルールが守られておらず、船社からターミナルオペレータへの D/R 情報の伝達が遅かったり、渡されていないところがある。その結果、ターミナルオペレー タは海貨業者に対して D/R のハードコピーを要求するようになった。 対応策 POLINET の現在の運用ルールに基づいて、D/R 情報を船社からターミナルオペレータ に伝達することを徹底しつつ、それが実務上困難な場合には、海貨業者が船社、船舶代理 店に送信した D/R 情報が同時にターミナルオペレータへも送信されるよう、POLINET の 運用ルールを見直すべきである。 また、EDIネットワーク組織にあっては、日頃より、この種(運用面)の問題把握及 び対応を的確且つ迅速に行うことが望まれる。 55 3.3.1.7 EDIネットワークと社内システムとのトランスレータ構築の費用負 担が大きい 【図 3-4(7)】 4(7)】 阻害要因・現状 トランスレータの基本概念は、図 3-13の通りである。ユーザが対応に苦慮していると ころは、自社システムから出力したフラットファイル(個別フォーマット)と標準フォー マット(UN/EDIFACT や POLINET 等)とのマッピング作業である。 トランスレータ(パッケージ) マッピングツール トランスレータ フラット ファイル 社内システム 標準フォーマ トランスレー ットのデータ ション メッセージ EDI ファイル 通信 ソフト 項目との対応 付け及びデー タ変換 DIRECTORY 図 3-13 トランスレーションの仕組み 対応策 一番の対応策として望まれているのは海貨業者の間で普及している港湾業務パッケ ージのベンダ企業が POLINET に対応したトランスレータや通信ソフトをオプションと して安価に提供することである。これには海貨業界や POLISA がベンダ企業に対して要請 を行うとともに、必要な情報を開示することが肝要であり、ベンダ企業の協力を期待した いところである。その際の具体的な要請としては、代表的な港湾業務パッケージソフトか ら出力されるフラットファイルと、POLINET 等の民間EDIネットワークで使用される データフォーマットとのトランスレータについて、業界として共同で発注、開発するとい ったことが考えられる。 次善の策としては、港湾業務パッケージソフトから出力されたフラットファイルをED Iネットワークの標準データに変換(トランスレーション)する ASP サービスの提供、 活用が求められる。 56 ■ 海貨業者と港湾業務パッケージソフト(参考) 現在、海貨業者の多くは港湾業務パッケージソフトを利用して、S/I 情報から D/R を 作成している。この港湾業務パッケージにはEDIネットワーク用のサーバソフトが用 意されているが、当該サーバソフトは 1999 年に運用が開始された更改 Sea-NACCS に 対応している。 当初、当該サーバソフトは、POLINET 等の民間EDIネットワークへの対応を予定 していた。海貨業者は、それ以前に海貨業者間で普及していた同じベンダ製の港湾業務 パッケージソフト(全銀手順対応用、DRESS 手順対応用)を利用していたことから、 その多くが当該サーバソフトを導入している。その後状況が変わり、当該サーバソフト の POLINET 対応が取り消され、今もってなおサポートされていないのが現状である。 このため、海貨業者は、図 c-1 に示すように、POLINET を利用するために港湾業務 パッケージソフト間のデータ変換ツールを別途用意し、以前の港湾業務パッケージソフ トにデータバック後、そのパッケージソフトから POLINET へデータを送信するという 非常に手の込んだ方法で対処しなければならないことになっている。 また、DRESS 手順に対応した港湾業務パッケージソフトには 2000 年問題が内在して いたことから、2000 年以降 POLINET が利用できなくなったり、或いは利用の際にデ ータの再入力項目が増える等不便な状況が発生した。これを解決するためには、全銀手 順対応の港湾業務パッケージソフトにバージョンアップする必要があるが、その際にか かる費用が高額であり、社内システム(会計システム等)との連携や荷主企業との独自 EDIシステム等を構築している場合のことを考えれば、バージョンアップを見送る企 業があるのも仕方のないことなのである。 バージョンアップ (数百万円) DRESS 手順 パッケージソフト (汎用機) 2000 年問題あり パッケージソフト 全銀手順 POLINET (汎用機) POLINET 用データの追加入力 バージョンアップ (数百万円) S/I データ渡し パッケージソフト (Windos NT) EDIソフト パッケージソフト用サーバソフト SeaNACCS (ゲートウェイコンピュータ) (変換システム構築に数十万円) Sea-NACCS 用データの入力 図 c-1 港湾業務パッケージの関係と海貨業者の対応 港湾業務パッケージの関係と海貨業者の対応 (海貨業者へのヒアリングより) 57 3.3.1.8 官民双方のEDIネットワークへの投資が負担である 【図 3-4(8)】 4(8)】 阻害要因・現状 海貨業者の多くは通関業者を兼ねることから、通関業務のために Sea-NACCS を導入し ている。これに加えて民間EDIネットワークに加入するとなると、双方に対するトラン スレータや通信ソフトを用意すると共に、EDIネットワークへの加入費用や利用料等も それぞれに支払う必要がある。この投資負担が特に中小海貨業者における民間EDIネッ トワーク参加への阻害要因となっている。 また、現状では Sea-NACCS を用いて一部民間業務のEDIを実施することができ、将 来的には海貨業者、船社、船舶代理店が必要とする全ての民間業務が Sea-NACCS でサポ ートされるのではないかとの期待もあり、民間のEDIネットワークに加入しない事業者 がいることも否めない。 対応策 Sea-NACCS における一番の問題は、民間業務に対する Sea-NACCS の取り組み姿勢が 明確にならないため、国際港湾物流分野に関わる多くの企業や他のEDIネットワーク運 営者が、EDIに関する今後の計画を立てにくいことにある。従って Sea-NACCS の民間 業務取り扱いについて、何よりもまずその基本姿勢を明確にすべきである。 荷主 船社A B/L情報他 S/I他 D/R他 D/R 海貨業者 通関業者 船社B D/R他 POLINET, S.C.NET, S.F.NET D/R他 D/R他 ターミナルオペレータ Sea-NACCS 船積確認事項登録 (D/R) D/R他 税 関 Sea-NACCS と POLINET が一部の業務で競合している (ここでは船社に対するD/Rの送信) 図 3-14 SeaSea-NACCS と POLINET の競合 さて、現状では Sea-NACCS と POLINET の間には、例えば図 3-14のように D/R 等、 一部の民間業務において競合が発生しており、この競合が関係業界に二者択一を迫るよう な雰囲気を醸し出している。更に民間業務のEDI対応が POLINET と Sea-NACCS に二 58 分されている上に、両ネットワーク間の協調が無いために、海貨業者、船社の何れも両ネ ットワークに対応せざるを得なくなり、非効率且つ経済的負担となって跳ね返っている。 一方、Sea-NACCS の本来の目的は税関に対する行政手続きのEDI化であり、当該行 政手続きを申請する事業者の多くが加入している。このためその普及率は民間ネットワー クとは比べものにならないぐらい高い。このような状況を活かし、今回の調査で官民ネッ トワークの相互接続を望む声も多くあったことからも、以下の方策を提言したい。 まず、我が国の港湾物流分野の情報化推進、EDI普及を図るためには、官民協調をと るべきである。将来的に Sea-NACCS が全ての民間業務を担うわけでないのであれば、 Sea-NACCS と POLINET は機能的な棲み分けを行い、例えば行政手続きのEDIは Sea-NACCS、民間取引のEDI化は POLINET 等とすることを基本とし、両者が競合す るのではなく、相互に補完する形をとることが望まれる。 そして、官のEDIネットワークと民間のEDIネットワーク双方のフォーマットやコ ードの整合性を図り、相互接続した上でワンストップ化を実現する。港湾物流業務のなか で必要となる官への手続き業務の一部 (例えば税関に対する船積確認事項登録 「D/R 情報」 ) を民間のEDIネットワークからも電送可能とする事により、官・民両EDIの促進に寄 与するものと考えられる。 マニフェスト情報他 荷主 S/I他 船社 B/L情報他 D/R他 海貨業者 D/R他 通関業者 POLINET, S.C.NET, S.F.NET ターミナルオペレータ Sea-NACCS 船積確認事項登録 E/D他 (D/R) 税 関 図 3-15 SeaSea-NACCS と POLINET の機能的相互補完 具体的な例としては図 3-15のように、海貨業者(通関業者兼業)の送信する D/R 情報 が POLINET で船社に送られるとともに、POLINET から Sea-NACCS を経由して税関に も送信されるといったワンストップサービスのような仕組みを作り、POLINET と Sea-NACCS の機能的な相互補完を実現することが望まれている。韓国、シンガポール、 オーストラリア等の諸外国においても、民間のEDIネットワークから官への手続き業務 を実施する仕組みを用意するなど、民間EDIの普及促進を図っている例がある。 そのために、Sea-NACCS 及び POLINET 双方への加入費用やサーバの兼用及びネット ワーク利用料金等、利用者の負担を軽減すべく話合いが両者に求められる。 59 3.3.1.9 SeaSea-NACCS 用コンピュータと POLINET 用サーバコンピュータとの 兼用が困難 【図 3-4(9)】 4(9)】 阻害要因・現状 海貨業者の多くは通関業者を兼ねることから、通関業務のために Sea-NACCS を導入し ている。 通関業務の停滞を防ぐために Sea-NACCS で使用するメール集配信サーバ及び NACCS 業務用 PC(以下、両者を併せて「Sea-NACCS 用コンピュータ」と呼ぶ)としては高性 能且つ高額な PC を割り当てている。 また、障害が発生した場合、Sea-NACCS 用メール集配信サーバに対しては、ベンダ企 業が直ちに復旧作業を行う保証契約を併せて行っているが、Sea-NACCS 用メール集配信 サーバに POLINET 用サーバソフトを併せて導入した場合、ユーザ企業が独自に導入した POLINET 用サーバソフトについては保証対象外となっていることが多い。このためシス テム障害による業務への支障を避けるためには、Sea-NACCS 用のサーバと POLINET 用 のサーバを個々に用意する必要があり、兼用できないのが現状である。 中小事業者にとって、これらの費用負担が大きな阻害要因となっている。 対応策 Sea-NACCS のEDI仕様に Sea-NACCS 用コンピュータをその他の EDI ネットワー クのサーバとして使用してはならない旨の明記があるわけではないので、兼用可能となる ような措置が望まれる。 3.3.1.10 対象業務が少ない 【図 3-4(10)】 4(10)】 阻害要因・現状 EDIネットワークに、必要とする業務(輸入業務、陸運関連業務等)に対応した標準 メッセージフォーマットが用意されていなかったり、ネットワーク機能の不十分性のため にペーパ処理が残ってしまうといったことがある。 対応策 EDIネットワーク運営組織は、常にユーザのニーズに対して敏感であるとともに現在 ある組織や委員会を活用したユーザニーズを吸い上げるシステムを築き、ユーザニーズを 積極的に出してもらうことが肝要である。 また、 ユーザから大きなニーズが出た場合には、 EDIネットワーク運営組織はユーザニーズに沿って、必要な標準メッセージフォーマッ ト及びネットワーク機能を用意すべきである。 逆に言えば、海貨業者は、標準メッセージフォーマット、ネットワーク機能として何が 欲しいのかをEDIネットワーク運営組織等を通じて表明する必要がある。特にネットワ ーク機能については抽象的な表現ではなく、具体的に要望を伝えることが望まれる。 60 一般にEDIネットワーク組織が、標準メッセージフォーマットやネットワーク機能の 追加をする際、その開発費用分を回収するために利用料金を高く設定するといったことが 行われる。そのことがEDIの普及促進を妨げることにもなっており、EDI普及段階の 開発費については、業界団体からの拠出や公的助成が必要である。 3.3.1.11 POLINET で船社に D/R を送信する際、30 を送信する際、30 分締め切り時間が早くな っている 【図 3-4(11)】 4(11)】 阻害要因・現状 海貨業者がターミナルオペレータに紙の D/R を提出する場合、締切時間は一般的に 17 時となっている。POLINET は運用ルール上、海貨業者が船社に D/R を送信し、船社がタ ーミナルオペレータに D/R の送信を行うことになっているため、船社からターミナルオペ レータへの情報送信の所要時間を 30 分とみて、16 時 30 分を締切時間としている。この ため、締め切りに間に合わなかった D/R は紙でターミナルオペレータに提出することにな り、2 通りの作業を強いられている。 対応策 POLINET の現在の運用ルールに基づいて、海貨業者が D/R を締め切りまでに船社に提 出することを徹底しつつ、それが実務上実施困難な場合には、船社の締め切り時間を紙の 場合と同様とし、海貨業者が船社、船舶代理店に送信した D/R が同時にターミナルオペレ ータへも送信されるよう、POLINET の運用ルールを見直すべきである。 EDIネットワーク組織にあっては、日頃より、この種(運用面)の問題把握及び対応 を的確且つ迅速に行うことが望まれる。 3.3.1.12 複数の取引先から個別対応を要求される(主に荷主企業) 【図 3-4(12)】 4(12)】 阻害要因・現状 海貨業者は S/I の標準フォーマット使用を荷主に期待しているが、取引の力関係におい て荷主の個別EDI対応要請に応えざるを得ない立場にある。従って、海貨業者において は、 S/I 等を受信する際に荷主毎に独自のデータフォーマットに対応するよう求められる。 この場合、荷主の独自フォーマット毎にトランスレータを開発する必要があり、この開発 費が海貨業者に対する負担となっている。 対応策 荷主に標準フォーマットを使用してもらうためには、荷主にとってメリットが必要であ る。近年、荷主は物流コスト削減のため 3P/L の利用や SCM を志向しつつあるが、その前 提としては、荷主/物流サービス業者間の信頼関係の基に情報共有化が不可欠である。こ の観点に立てば、荷主の標準フォーマット使用及び荷主を含めたEDI普及も決して遠い 61 道のりではない筈である。 3.3.1.13 異なるEDIネットワーク間のデータ項目、コードの整合性がとれな い 【図 3-4(13)】 4(13)】 阻害要因・現状 異なるEDIネットワークで使用される各フォーマットのデータ項目やコード体系が異 なり整合性が取れていないため、両者のマッピングが困難となる。 対応策 EDIネットワーク運営組織は相互に関係するフォーマットのデータ項目、コードの整 合性に気を配り、データ項目におけるマッピングの定義・公開、コード統一及びコード間 のトランスレータ開発・提供といった必要な協議を関係者と行うべきである。また、これ から社内システムを構築する海貨業者は、独自のデータ項目やコード体系を使用せず、極 力標準にならったデータ項目及びコード体系を導入することが肝要である。 62 3.3.2 船社、船舶代理店におけるEDI化促進方策 図 3-5∼図 3-7 に記載された船社、船舶代理店における阻害要因とその対応策は次の通 りである。 3.3.2.1 取り扱い業務量が少なく、EDIを導入するメリットがない 【図 3-7(1)】 7(1)】 阻害要因・現状 特に中小規模の船舶代理店に関しては、取引量が限られるために仮にEDIを導入した としてもメリットが得にくい。また、企業規模が小さいために社内システムが整備されて いない場合が多く、現状では民間業務におけるEDIの普及率が低い。船舶代理店は海貨 業者などを兼業している場合が多く、そのような企業の海貨部門の中には既に業務の電子 化に対応しているところがある。しかしながら代理店部門は海貨部門とは独立して活動す ることが多く、それぞれ別の業務システムを使用することが多いため、船舶代理店の業務 電子化は不充分で、EDI導入に至らないのが現状である。 対応策 ユーザは Web-EDI を利用することにより、低コストでEDIに対応する事が可能であ る。 3.3.2.2 社内業務システムが無い 【図 3-6(2)、 図 3-7(2)】 6(2)、 7(2)】 阻害要因の内容及び対応策は、海貨業者の「3.3.1.1 社内業務システムが無い」と同様 である。 3.3.2.3 システム運営に関わる人件費負担が大きい 【図 3-6(3)、 6(3)、図 3-7(3)】 7(3)】 阻害要因の内容及び対応策は、海貨業者の「3.3.1.2 システム運営に関わる人件費負担が 大きい」と同様である。 63 3.3.2.4 取引先相手のEDI参加が少ない(海貨業者) 【図 3-5∼図 3-7(4)】 7(4)】 阻害要因・現状 船社の主な取引先には、海貨業者、荷主、ターミナルオペレータがある。このうち海貨 業者のEDI参加が少ないことが、船社にとって大きな阻害要因となっている。 対応策 前述の「3.2 EDI阻害要因を解決するための道筋」に沿った対応を図る必要がある。 3.3.2.5 初期費用の負担が高い 【図 3-5(5)】 5(5)】 阻害要因・現状 EDIを導入する初期費用として、業務システムを持っている企業にとっては特にトラ ンスレーション機能が、業務システムを持っていない企業にとっては業務システムそのも のを構築するための費用負担が重荷になっている。 また、外船社の日本法人または総代理店が業務システムの構築やEDIを導入しようと した場合、本部(本社)の許可を得るのが通例であり、そのための適切な申請理由(手続 き)が不可欠となる。つまり、期待されるEDI化率、コストメリットを明言できるよう にする必要がある。 対応策 業務システムを持たない企業が民間EDIを導入するに当たっては、Web-EDI を利用 すると良い。 また、業務システムを持っているがトランスレーション機能の構築に負担を感じている 企業については、ASP サービスによるトランスレーション機能を利用することで、対応が 可能である 3.3.2.6 社内システムとローカルなEDIシステムとのインタフェースに費用 がかかりすぎる(社内システムとEDIシステムとのインタフェース構 築が負担である) 【図 3-5∼図 3-7(6)】 7(6)】 阻害要因・現状 船社は活動が全世界に及ぶことから、社内に独自のEDIシステムを構築していること が多い。また、船舶代理店には、船社専用端末が設置されており、この端末に船舶代理店 がデータを入力する場合が多い。この時、船社では社内システムとしてグローバルスタン ダードを採用していることが多く、例えば通信プロトコルに TCP/IP を使用している船社 では、全銀手順を使用している POLINET とはそのままでは接続ができなかったり、また、 データフォーマットについても、UN/EDIFACT を使用する海貨業者がいないために POLINET を使用できないといった問題が発生している。 64 対応策 標準フォーマットへのトランスレーション機能を有する ASP サービスの提供とそれを 利用することがこの問題を解決する。 因みに、POLINET では平成 13 年 2 月より、従来の SHIPNETS フォーマットを UN/EDIFACT に変換するサービスを開始した。UN/EDIFACT に変換できるのは一部の メッセージに過ぎないが、このような取り組みが実際には始まっている。しかしながら、 当該機能の存在が船社に認識されていない状況が見受けられるため、POLISA は、グロー バル標準対象業務の拡大を図りつつ、より一層幅広い啓蒙活動を行う必要がある。 3.3.2.7 官民双方のEDIネットワークへの投資が負担である 【図 3-5∼図 3-7(7)】 7(7)】 阻害要因の内容及び対応策は、海貨業者の「3.3.1.8 官民双方のEDIネットワークへ の投資が負担である」と同様である。 3.3.2.8 SeaSea-NACCS 用のコンピュータと POLINET 用のサーバコンピュータとの兼 用のサーバコンピュータとの兼 用が困難 【図 3-5∼図 3-7(8)】 7(8)】 阻害要因の内容及び対応策は、海貨業者の「3.3.1.9 Sea-NACCS 用コンピュータと POLINET 用サーバコンピュータとの兼用が困難」と同様である。 3.3.2.9 対象業務が少ない 【図 3-6(9)、 図 3-7(9)】 6(9)、 7(9)】 阻害要因の内容及び対応策は、海貨業者の「3.3.1.10 対象業務が少ない」と同様である。 なお、取引先から要望されている業務としては、荷主へのカーゴトレーシング情報の提 供が挙げられる。 3.3.2.10 利用料金が高い 【図 3-6(10)、 図 3-7(10)】 6(10)、 7(10)】 阻害要因・現状 EDIネットワークの利用料金には基本料などの月額固定料金とデータ量に応じた従量 制課金を組み合わせたものが多く、POLINET もこの方式である。利用者のデータ件数が 少ない場合、 固定料金部分の利用コストがハネ上がり、 料金に割高感を覚えることがある。 対応策 利用件数の少ない企業向けの割安なEDIシステムを利用することにより、EDIネッ トワークの利用料、及びアクセス回線の利用料が軽減される。これには、インターネット 65 を使う Web-EDI 及びエクストラネットを利用したEDIがある。なお、EDIネットワ ーク運営組織側としては、利用者が増加し、データ量が増加すれば事業収益は改善される ので、結果として料金の見直し、値下げ調整(ボリュームディスカウント)が可能となる。 3.3.2.11 書類作成に比べデータ入力項目が多すぎる 【図 3-6(11)、 6(11)、図 3-7(11)】 7(11)】 阻害要因・現状 EDIデータと紙の書類を比べると、送信先に関する情報やEDIネットワークに固有 の情報の入力等、紙の書類にはない情報をEDIデータに付加する必要がある。 この点について、アンケート調査で回答した企業数社に対し、具体的にどのような場面 が想定されるのかを確認したところ、輸入業務や輸出入時における港湾EDIにデータを 入力する場面であるとのことであった。但し、これらの企業は輸出業務のEDIを実施し ていない。 対応策 本来であれば総代理店やプリンシパルの理解のもとに、総代理店やプリンシパルがマニ フェスト等をEDIで提出することが望まれる。しかし、より現実的な方策としては、船 舶代理店における入力データ入力作業を軽減するような業務パッケージソフトがソフトウ ェアベンダ企業によって提供されることが望ましい。また、社内業務システムを持たない 事業者に対しては、ASP サービスによる社内業務アプリケーションの提供も検討に値する。 3.3.2.12 複数の取引先から個別対応を要求される 【図 3-5(12)】 5(12)】 阻害要因の内容及び対応策は、海貨業者の「3.3.1.12 複数の取引先から個別対応を要求 される」と同様である。 3.3.2.13 異なるEDIネットワーク間のデータ項目、コードの整合性がとれな い 【図 3-6(13)、図 6(13)、図 3-7(13)】 7(13)】 阻害要因の内容及び対応策は、海貨業者における「3.3.1.13 異なるEDIネットワーク 間のデータ項目、コードの整合性がとれない」と同様である。 66 3.3.3 非自営ターミナルオペレータにおけるEDI化促進方策 図 3-8 に記載された非自営ターミナルオペレータにおける阻害要因とその対応策は次の 通りである。 3.3.3.1 取り扱いコンテナ量が少なく、EDIを導入してもメリットが無い 【図 3-8(1)】 8(1)】 阻害要因・現状 現状、中小コンテナターミナルに置いては、取り扱いコンテナ量が少ないため、そもそ もEDIに対するニーズがない。 対応策 Web-EDIを利用することにより、低価格でEDIを導入することが可能である。 EDI推進団体は、Web-EDI の利点に関して、更なる啓蒙、普及活動が必要である。 3.3.3.2 取引先業界のEDI参加が少ない 【図 3-8(2)】 8(2)】 阻害要因・現状 ターミナルオペレータにおける取引先業界は海貨業者及び船社である。このうち、海貨 業者からの D/R については、一部を Sea-NACCS あるいは POLINET を使用して受け取 っている。しかしながらその割合は小さく、紙の D/R とEDI経由の D/R に対してそれ ぞれ作業手順を変えると作業が繁雑になるため、現状では D/R を Sea-NACCS あるいは POLINET 経由で受け取った場合でも、 D/R のハードコピー提出を海貨業者に求めている。 対応策 海貨業者から船社及び船舶代理店ヘ POLINET 経由で D/R が提出されている場合には、 船社及び船舶代理店は POLINET の運用ルールに従ってターミナルオペレータに D/R を 提出することが望まれているが、実際には船社、船舶代理店が POLINET に参加していて も、D/R がターミナルオペレータに速やかに提出されないことから、ターミナルオペレー タにとっては、船社及び船舶代理店が POLINET に参加していないのと同じになってしま う。POLINET の現在の運用ルールに基づいて、D/R を船社からターミナルオペレータに 伝達することを徹底するとともに、それが実務上実施困難な場合には、船社の締め切り時 間を紙の場合と同様とし、海貨業者が船社、船舶代理店に送信した D/R が同時にターミナ ルオペレータへも送信されるよう、POLINET の運用ルールを見直すべきである。 船社及び船舶代理店が実際に POLINET 等民間EDIネットワークに参加していない 場合には、前述の「3.2 EDI阻害要因を解決するための道筋」に沿った対応策を図る必 要がある。 67 3.3.3.3 利用料金が高い 【図 3-8(3)】 8(3)】 阻害要因の内容及び対応策は、船社、船舶代理店における「3.3.2.10 利用料金が高い」 と同様である。 3.3.3.4 EDIネットワークと社内システムとのトランスレータ構築 の費用負 担が大きい 【図 3-8(4)】 8(4)】 阻害要因の内容及び対応策は、海貨業者における「3.3.1.7 EDIネットワークと社内 システムとのトランスレータ構築の費用負担が大きい」と同様である。 3.3.3.5 安価で良質なパッケージソフトが無い 【図 3-8(5)】 8(5)】 阻害要因の内容及び対応策は、海貨業者における「3.3.1.7 EDIネットワークと社内 システムとのトランスレータ構築の費用負担が大きい」と同様である。 3.3.3.6 官民双方のEDIネットワークへの投資が負担である 【図 3-8(6)】 8(6)】 阻害要因の内容及び対応策は、海貨業者における「3.3.1.8 官民双方のEDIネットワ ークへの投資が負担である」と同様である。 3.3.3.7 SeaSea-NACCS 用コンピュータと POLINET 用サーバコンピュータとの兼用が 困難 【図 3-8(7)】 8(7)】 阻害要因の内容及び対応策は、海貨業者における「3.3.1.9 Sea-NACCS 用コンピュータ と POLINET 用サーバコンピュータとの兼用が困難」と同様である。 3.3.3.8 対象業務が少ない 【図 3-8(8)】 8(8)】 阻害要因の内容及び対応策は、海貨業者における「3.3.1.10 対象業務が少ない」と同様 である。 68 3.3.3.9 船社から個々個別対応(利用ネットワーク、データフォーマット、運 用方法等)を要求される 【図 3-8(9)】 8(9)】 阻害要因・現状 ターミナルオペレータと船社との間の通信形態としては、船社専用の端末がコンテナタ ーミナルに設置されていることが多い。このため、船社との間のEDIについてはそもそ もニーズが少ないのが現状である。 対応策 POLINET を利用して船社、船舶代理店に送信された D/R がルール通りターミナルオペ レータに提出されれば、個別対応の必要はなくなる。 3.3.3.10 異なるEDIネットワーク間のデータ項目、コードの整合性がとれな い 【図 3-8(10)】 8(10)】 阻害要因の内容及び対応策は、海貨業者における「3.3.1.13 異なるEDIネットワーク 間のデータ項目、コードの整合性がとれない」と同様である。 69 3.4 EDI化促進方策のまとめ ここまでの調査・整理・分析により、EDI化を促進する上での阻害要因の深堀りとそ の対応策を明らかにすることができた。しかしながら、これらの解決を図るにはそれを実 施する対象を明確にし、実際に手を打っていくことが大切である。 そこで、ここではEDI化促進方策を実施する対象ごと(EDIネットワーク運営組織、 EDIソフトベンダー、EDIユーザ及び業界団体、行政)に実施すべき内容を整理する とともに、その優先度を以下の基準で付けた。 優先度: 3.4.1 A … B … この対策を実施しなければ、EDIは普及しない この対策は、EDI普及を更に促進させるものである EDIネットワーク運営組織に求められる対応策 民間EDIネットワーク運営組織(POLISA 等)に求められる国際港湾物流分野におけ るEDI阻害要因の対応策は、以下の通りである。 表 3-1 EDIネットワーク運営組織に求められる対応策 優先度 対応策 対象 対応策の目的 (注) Web-EDI 等の提供及び機能 拡充 FF SL AG CT 業務システム未導入の事業者に対して、初期費用、利用コ ストの低い Web-EDI を提供することにより、EDI参加者 の増加を図る。また、既に提供中の Web-EDI に対しては、 取り扱い可能なメッセージの追加等、機能拡充を図り、利 用者の利便性を向上させる。 A トランスレーション機能 の ASP 提供 FF SL AG CT トランスレーション機能を ASP サービスにより提供するこ とによって、社内システム導入企業も含め、トランスレー ション構築が負担と感じている企業のEDI参加を図る。 B 標準フォーマット及びネ ットワーク機能拡充 FF AG CT ユーザニーズの高い標準フォーマット及びネットワーク 機能を採用し、EDIネットワークの導入メリットを高め る。また、ユーザニーズが把握できる体制を整え、素早い 対応を可能とする。 B グローバル標準対応ネッ トワークの啓蒙 SL POLINET は既にグローバルスタンダードに対応している が、このことが船社にあまり知られていない。従って、よ り一層幅広い啓蒙・普及活動を行うことにより、グローバ ル標準を主に使用している船社のEDI参加を促す。 A 70 Sea-NACCS と民間EDIネ ットワークとのサーバ兼 用の実現 FF SL AG CT Sea-NACCS のEDI仕様に Sea-NACCS 用コンピュータをそ の他のEDIネットワークのサーバとして使用してはな らない旨の明記があるわけではないので、兼用可能となる ような措置を見出す。 B 現状にあわせたEDIフ ロー改善 FF SL AG CT EDIネットワークが定める業務手順が実際と異なるこ とから遵守されていないことが判明したため、EDIネッ トワークの業務手順の見直しを行う。これにより、ワンス トップサービス等EDIの新たな展開とともにスムーズ な運用を実現する。 B 業務アプリケーションの ASP 提供 FF AG ASP サービスによる業務アプリケーションを提供すること で、社内システムを持たない企業の業務電子化並びにED I参加を図る。 EDIソフトウェアベン ダに対する POLINET 対応ソ フトウェア供給の要請 FF CT POLINET 等に対応した低価格で良質なEDIソフトの供給 をソフトウェアベンダに要請することにより、海貨業者で 起きているEDIへの二重対応問題を解決可能とし、ま た、民間EDIネットワークに対応した安価で良質なED Iソフトが市場に多く出回ることによって、港湾物流分野 のEDI化が促進される。 B Sea-NACCS と POLINET との 相互接続 FF AG SL CT 民間業務における Sea-NACCS と POLINET の競合問題を解決 し、相互接続を図ることによって、EDI導入メリットの 非常に高いインフラを提供することができる。 B 荷主にメリットがあるE DIサービスの提供 FF SL AG 荷主にメリットのあるEDIサービスを提供することで、 荷主の標準的なEDIへの参加が図れるとともに、海貨業 者は荷主から S/I 情報を標準フォーマットで受け取ること が可能となり、海貨業者にとってもメリットが増大する。 B データ項目、コード等に関 する協議 FF SL AG CT データ項目、コード等の整合性を図ることによって、異な るEDIネットワークに参加する企業のシステム負担を 軽減させる。 B B (注)対象業界の各記号の意味は次の通り。FF:海貨業者、SL:船社、AG:船舶代理店、CT:ターミナルオ ペレータ 71 3.4.2 EDIソフトベンダー企業に求められる対応策 港湾業務パッケージソフトを開発・提供するEDIソフトベンダー企業に求められる国 際港湾物流分野におけるEDI阻害要因の対応策は、以下の通りである。 表 3-2 EDIソフトベンダー企業に求められる対応策 優先度 対応策 A 民間EDIネットワーク に対応したパッケージソ フトの供給 B Sea-NACCS と民間EDIネ ットワークとのサーバ兼 用の実現 B 安価で良質なパッケージ ソフトの提供 対象 対応策の目的 (注) FF AG CT FF SL AG CT AG POLINET 等に対応した低価格で良質なEDIソフトの供給 を行うことにより、海貨業者で起きているEDIへの二重 対応問題が解決される。また、今後、民間EDIネットワ ークに対応した安価で良質なEDIソフトを市場に供給 することにより、港湾物流分野のEDI化が促進される。 Sea-NACCS のEDI仕様に Sea-NACCS 用コンピュータをそ の他の EDI ネットワークのサーバとして使用してはならな い旨の明記があるわけではないので、兼用可能となるよう な措置を見出す。 船舶代理店向けに、マニフェストのデータ入力が容易な業 務パッケージソフトを提供することにより、輸入業務にお ける船舶代理店のマニフェストデータ入力時の作業負荷 を軽減できる。 (注)対象業界の各記号の意味は次の通り。FF:海貨業者、SL:船社、AG:船舶代理店、CT:ターミナルオ ペレータ 72 3.4.3 ユーザ及び業界団体に求められる対応策 ユーザ及び業界団体に求められる国際港湾物流分野におけるEDI阻害要因の対応策 は、以下の通りである。 表 3-3 ユーザ及び業界団体に求められる対応策 優先度 対応策 A Web-EDI、エクストラネッ トによるEDIの利用 対象 対応策の目的 (注) FF SL AG CT Web-EDI やエクストラネットによるEDIを利用すること によって、EDIシステム構築の負担及び運用費用を軽く することができる。 A トランスレータの共同発 注 FF AG CT 代表的な港湾業務パッケージソフトから出力されるフラ ットファイルと、POLINET 等の民間EDIネットワークで 使用されるデータフォーマットとのトランスレータを共 同で発注、開発することにより、社内システムにおけるト ランスレーション構築の費用負担を軽減させるとともに、 EDI導入を容易にさせる。 B EDIネットワーク運営 組織に対する必要機能の 要請 FF AG CT どのような標準メッセージ及びネットワーク機能が欲し いのかをEDIネットワーク運営組織に具体的に要請す ることにより、対象業務が拡大し、EDIの範囲が広がり、 メリットのあるEDIを行うことができる。 B FF ASP サービスによるトラン SL スレーション機能の利用 AG CT 社内システムから出力されたフラットファイルを POLINET の標準データに変換する際、ASP サービスのトランスレー ション機能を利用することによって、社内にトランスレー タを設置する場合に比べ、費用負担を軽減することが可能 となる。 B 現行ルール遵守の再確認 FF SL AG CT 現状の業務手順と POLINET が定める業務手順に違いが生じ ている業務においては、まず、その運用ルールに基づく業 務を行うことを関係者間で再確認することにより、不便と 思われていたEDIネットワークが修復され、導入メリッ トが再び生まれる可能性がある。 B FF 港湾物流業界全体で最適 SL な業務手順の検討 AG CT 港湾物流分野全体の最適な業務手順について、海貨業者、 船社、船舶代理店、ターミナルオペレータ等の業界間で協 議することにより、時代とともに実際の手順と合わなくな ったEDIネットワークの業務手順を実務効率化のある ものとするとともに、EDI導入メリットを向上させるこ とができる。 B FF EDIによる D/R 提出締め AG 切り時間の延長協議 SL CT POLINET における D/R 提出の締め切り時間遵守が困難な場 合は、締め切り時間を紙の場合と同様 17 時まで延長する ことにより、二重オペレーションを防止し、ペーパーレス が図られる。 73 B プリンシパルからの電子 データ提供 AG 総代理店やプリンシパルの理解のもとに、総代理店やプリ ンシパルがマニフェスト等を船舶代理店にEDIで提出 することにより、船舶代理店におけるデータ入力負荷を削 減することができる。 B FF 標準データ項目、コードの AG 使用 CT これから社内システムを構築する事業者は、独自のデータ 項目やコード体系を使用せず、極力標準にならったデータ 項目及びコード体系を導入することで、EDIネットワー ク間でのデータ項目、コードの整合性を確保することが容 易になる。 B Sea-NACCS と民間EDIネ ットワークとのサーバ兼 用の実現 FF SL AG CT Sea-NACCS のEDI仕様に Sea-NACCS 用コンピュータをそ の他のEDIネットワークのサーバとして使用してはな らない旨の明記があるわけではないので、兼用可能となる ような措置を見出す。 B ASP サービスによる業務ア プリケーションの利用 FF AG ASP サービスによる業務アプリケーションを利用すること で、社内システムを持たない企業が業務電子化並びにED I参加を図ることができる。 (注)対象業界の各記号の意味は次の通り。FF:海貨業者、SL:船社、AG:船舶代理店、CT:ターミナルオ ペレータ 74 3.4.4 行政に求められる対応策 行政に求められる対応策 行政に求められる国際港湾物流分野におけるEDI阻害要因の対応策は、以下の通りで ある。 表 3-4 行政に求められる対応策 優先度 対応策 対象 対応策の目的 (注) A EDI普及に対する助成 FF SL AG CT B 民 間 業 務 に お け る Sea-NACCS の基本姿勢の明 確化 FF SL AG CT 民間業務の基本的な取り組み姿勢を Sea-NACCS が明確化す ることによって、各企業及び関係団体のEDIへの取り組 み方針が決定できる。 B Sea-NACCS と民間EDIネ ットワークとの相互接続 FF SL AG CT 民間業務における Sea-NACCS と民間EDIネットワークの 競合問題を解決し、相互接続を図ることによって、EDI 導入メリットの非常に高いインフラを提供することがで きる。 B Sea-NACCS と民間EDIネ ットワークとのサーバ兼 用の実現 FF SL AG CT 業界団体の拠出や公的な助成が行われることにより、民間 EDIネットワークの有効な機能改善が図れるとともに、 開発投資回収のための利用料金の値上げを防ぐことがで きる。 Sea-NACCS のEDI仕様に Sea-NACCS 用コンピュータをそ の他のEDIネットワークのサーバとして使用してはな らない旨の明記があるわけではないので、兼用可能となる ような措置を見出す。 (注)対象業界の各記号の意味は次の通り。FF:海貨業者、SL:船社、AG:船舶代理店、CT:ターミナルオ ペレータ 75 添付資料1 アンケート用紙 調査要綱(共通) 平成 12 年 12 月 15 日 港湾物流に携わる事業者の情報化推進のための「情報化現況調査要綱」 (運輸省委託調査) 運輸省委託調査) 本アンケート調査の目的は、民間港湾物流分野における EDI 導入、普及の伸び悩み状況 を打開し、情報化促進を図るため、関係業界の中でもとくに情報化対応に苦慮している中 小事業者について、EDI 化を阻害している要因を把握することを目指しています。 EDI とは、 Electronic Data Interchange(電子データ交換)の略で、 『異なる企業間 で、取引データを、通信回線を介して広く合意された標準的なルールを用いて、コンピ ュータ(端末を含む)間で交換すること』です。 企業A(送信者) 企業B(受信者) VAN or インターネット etc. 取引データ 取引データ 通信ソフト 通信ソフト トランスレータ トランスレータ 標準に基づいたデータ 調査対象 民間港湾物流分野は多岐に亘りますが、本アンケートにて対象とする “民間港湾物流分野”は、以下に示す業種・業務とします。 【業種】海貨業、海運業(船社)、船舶代理店業、ターミナル業 【業務】輸出入業務/定期船(コンテナ・在来)貨物 I/V、P/L、S/I 等 荷 主 S.C.NET S.F.NET POLINET 海 貨 B/L 等 船 社 D/R、CLP 等 D/R、CLP 等 ターミナルオペレータ ● S.C.NET:Shipper/Carrier(荷主・船社間)EDI ネットワーク ● S.F.NET:Shipper/Forwarder(荷主・海貨間)EDI ネットワーク ● POLINET:Port Logistics Information Network(海貨・船社・検量・検数 等 EDI ネットワーク) 1 調査要綱(共通) ▼ 調査の対象となる主な文書 船積指図書(S/I)、パッキングリスト(P/L)、マニフェスト、B/L、Invoice、 CLP(コンテナロードプラン)、ベイプラン、D/R、船積申告書(S/A、在来船用)、 A/N、請求明細書、支払明細書 アンケート回答方法 【手順①】アンケート調査票を関係部門へ転送 ● 本アンケートは、 第 1 部 、 第 2 部 の 2 部構成となっております。 ● 第 1 部は、貴社プロフィール(資本金、従業員数)に関する設問です。 ※ 適切な部門(総務、広報等)へご転送下さっても結構です。 ● 第 2 部は、海貨部門、船社・代理店部門、ターミナル部門にてご回答ください。 ※ 上記部門が、例えば港ごとにある場合は、貴方が各部門ごとに 代表的な部署を選定して、ご回答下さい。 【手順②】アンケート調査票のご回答(各部門にて) 【手順③】アンケート調査票の回収・ご提出 ● 各部門にてご回答いただいたアンケート調査票は、貴部門にてお取り纏めの上、 12月28日( 12月28日(木)までに FAX.にてご提出ください 貴部門 ① アンケート調査票を関係部門へ転送 任意部門(総務等) ② 第1部 調査票のご回答 海貨部門 (当該部門が無い場合は不要) 船社・代理店部門 ② 第2部 調査票のご回答 ② 第2部 調査票のご回答 ターミナル部門 ② 第2部 調査票のご回答 貴部門 ③アンケート調査票の回収・ご提出(FAX) 【 アンケート調査票ご提出先 】※ 下記あて FAX にてご返送ください。 (株)三菱総合研究所 ビジネスソリューション事業本部 FAX 担当:○○(××××) △△−△△△△−△△△△(または、□□−□□□□−□□□□) ※下記お問合せ先へ郵送 郵送も可。 郵送 【 お問合せ先 】 (株)三菱総合研究所 ビジネスソリューション事業本部 担当: ○○(××××)、□□(内線 XXXX とお申し付けください) 〒100-8141 東京都千代田区大手町2−3−6 TEL △△−△△△△−△△△△ Email: [email protected] 【ご返送期限 12月28日( ご返送期限】 】12月28日 (木) 2 アンケート 第 1 部/貴社プロフィール アンケート調査票送付先: (株 (株)三菱総合研究所ビジネスソリューション事業本部 FAX △△−△△△△−△△△△(または、□□−□□□□−□□□□) 担当:○○ ▼ 回答者についてご記入ください。(後日の確認、照会のため) 貴社名: 部課名・役職: 氏名: FAX: 電話・FAX: 電話: E-mail: Q.1 貴社の業務内容として、当てはまるものを全て 当てはまるものを全て選択してください。 当てはまるものを全て (2) (3) (4) (6)を選択した場合は、事業所数をご記入ください。 □ (1)一般港湾運送事業者 □ (2) 海貨業 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ □ (3)船舶代理店業 ・・・・・・・・・・・・・・・・ □ (4)海運業(船社)・・・・・・・・・・・・・・・・ □ (5)NVOCC(非船舶運送業) □ (6)ターミナル業 ・・・・・・・・・・・・・・・・ □ (7)倉庫業 □ (8)陸運業 □ (9)通関業 □ (10)その他( Q.2 )箇所 事業所数( )箇所 事業所数( )箇所 事業所数( )箇所 ) 貴社の資本金について、最も良く当てはまるものを一つ 最も良く当てはまるものを一つ選択してください。 最も良く当てはまるものを一つ □ (1)1,000 万円未満 □ (3)5,000 万円以上 1 億円未満 □ (5)3 億円以上 10 億円未満 Q.3 事業所数( □ (2)1,000 万円以上 5,000 万円未満 □ (4)1 億円以上 3 億円未満 □ (6)10 億円以上 貴社の従業員数(正社員のみ)について、最も良く当てはまるものを一つ 最も良く当てはまるものを一つ選択して 最も良く当てはまるものを一つ ください。 □ (1)20 人未満 □ (3)100 人以上 500 人未満 □ (5)1000 人以上 3000 人未満 □ (2)20 人以上 100 人未満 □ (4)500 人以上 1000 人未満 □ (6)3000 人以上 1 アンケート 第 1 部/貴社プロフィール Q.4 □ □ □ 貴社の業務システムについて、最も良く当てはまるものを一つ選択してください。 最も良く当てはまるものを一つ (1) 全社統一のセンタシステムを導入 (2) 業務あるいは事業部毎等の分散システムを導入 (3) 業務システムは無い お願い:ご回答にあたっては、調査要綱の「アンケート回答方法」をお読みください。 お願い アンケート調査票の 第 2 部は、Q1 で、(2) 海貨業、(3) 船舶代理店業、(4) 海運業( 船社 ) または (6) ターミナル業を選択した時のみ、各担当部門にご転送ください。 なお、上記部門が、例えば港ごとにある場合は、貴方が各部門ごとに代表的な部署を選 定し、ご回答下さい。 2 アンケート 第 2 部 / 海貨、船社、船舶代理店、ターミナル部門 ご回答にあたっては、それぞれの企業における判断基準や予測が存在していて、アンケ ート調査票の設問では答えるのが不可能な場合、あるいは、言い尽くせない場合には、平 文にて各設問の余白等に記載して下さるようお願い致します。 ▼ 回答者についてご記入ください。(後日の確認、照会のため) ※必ずご記入ください 貴部門: □ 海貨 □ 船社 □ 船舶代理店 □ ターミナル 部課名・役職: 氏 名: FAX: 電話・FAX: 電話: E-mail: 1.貴部門プロフィール Q.1 貴部門の従業員数(正社員のほか、派遣社員、パート・アルバイト等を含む)に ついて、最も良く当てはまるものを一つ 最も良く当てはまるものを一つ選択してください。 最も良く当てはまるものを一つ □ (1) 2 人未満 □ (2) 2 人以上 5 人未満 □ (3) 5 人以上 10 人未満 □ (4) 10 人以上 15 人未満 □ (5) 15 人以上 20 人未満 □ (6) 20 人以上 30 人未満 □ (7) 30 人以上 40 人未満 □ (8) 40 人以上 2.貴部門業務の電子化対応状況 Q.2 輸出入業務の電子化対応状況について、最も良く当てはまるものを一つ選択して 最も良く当てはまるものを一つ ください。 □ (1)自社独自の業務システムを構築し、ほとんどの業務を電子的に処理している。 □ (2)自社独自の業務システムを構築し、一部の業務を電子的に処理している。 □ (3)市販の業務パッケージ(アプリケーションソフトウェア)を利用しており、 ほとんどの業務を電子的に処理している。 → 輸出入業務パッケージ名をご記入ください。 □ (4)業務システムがなく、概ね紙を用いて行っている。 □ (5)その他(具体的にご回答ください。) 1 アンケート 第 2 部 / 海貨、船社、船舶代理店、ターミナル部門 Q.3 貴部門の輸出入業務システムの環境について、当てはまるものをすべて選択して 当てはまるものをすべて ください。 □ (1)メインフレーム系 →インターネット接続環境 □1)あり □2)なし □1)あり □2)なし □1)あり □2)なし □1)あり □2)なし □ (2)オフコン系 →インターネット接続環境 □ (3)パソコン(LAN) →インターネット接続環境 □ (4)パソコン(スタンドアロン) →インターネット接続環境 □ (5)その他 (下欄に具体的にご記入ください) Q.4 貴部門内での、コンピュータやネットワークシステムなどの管理に携わる要員の 人数(正社員のほか、派遣社員、パート・アルバイト等を含む)について、最も良 最も良 く当てはまるものを一つ選択してください。 く当てはまるものを一つ □ (1) 貴部門内に、コンピュータやネットワークシステムの管理を行う専門の部 署 がある 当該部署の人数 人 □ (2) 貴部門内には、コンピュータやネットワークシステムの管理を行う専門の 部署は無いが、全社統括のシステム部門がある。 当該部門の人数 人 □ (3) 貴部門内には、コンピュータやネットワークシステムの管理を行う専門の 部署は無いが、他業務と兼任の担当要員を置いている 担当要員の人数 人 □ (4) コンピュータやネットワークシステムの管理を外部業者(子会社を含む) へ委託している □ (5) コンピュータやネットワークシステムの管理を行う担当者は特に定めてい ない 2 アンケート 第 2 部 / 海貨、船社、船舶代理店、ターミナル部門 3.EDIの導入状況 Q.5 貴部門の輸出入業務におけるEDIの導入状況について、最も良く当てはまるも のを一つ選択してください。 のを一つ (1) 既に何らかのEDIを導入し、業務に利用している。 → Q.6 へお進みください (2) EDIを一旦導入したが、業務での利用は少ない。(活用しきれていない) → Q.6 へお進みください (3) 近々EDIを導入する予定がある。 → Q.8 へお進みください (4) EDIを導入したいと考えているが、現状では導入は困難である。 → Q.8 へお進みください (5) EDIは知っているが、導入する計画はない。 → Q.10 へお進みください (6) EDIを知らない。 → アンケートは終了です (7) その他(下欄に具体的にご回答ください。)→ → アンケートは終了です Q.6 設問 Q.5 に (1) (2) と回答した方に質問いたします。 貴部門において導入済みのEDIネットワークは何ですか。当てはまるものを全 当てはまるものを全 て 選択してください。 (1) POLINET (2) S.C.NET (3) S.F.NET (4) Sea-NACCS(税関) (5) 港湾 EDI(港長/港湾管理者) (6) JETRAS(外為 EDI) (7) BOLERO.NET(貿易金融の電子化システム) (8) 個別対応(自社のプロトコル(データ項目、コード等)を使用) (9) 個別対応(相手先企業のプロトコル(データ項目、コード等)を使用) (10) 電子メール(添付ファイル) (11) その他(具体的にご回答ください) 3 アンケート 第 2 部 / 海貨、船社、船舶代理店、ターミナル部門 Q.7 当てはまるものを全て選択し S.C.NET、S.F.NET、POLINET の満足度について、当てはまるものを全て 当てはまるものを全て てください。未利用の方も、客観的に評価してください。 ■ S.C.NET (1) 満足している (2) 不満な点がある □ □ □ □ 1) 3) 5) 7) 参加企業が少ない □ 2) 利用ソフトがない(少ない) 導入初期費用が掛かり過ぎる □ 4) 利用コストが高い 対象業務が少ない □ 6) 使い勝手が悪い その他(具体的にご記入ください) ■ S.F.NET (1) 満足している (2) 不満な点がある □ □ □ □ 1) 3) 5) 7) 参加企業が少ない □ 2) 利用ソフトがない(少ない) 導入初期費用が掛かり過ぎる □ 4) 利用コストが高い 対象業務が少ない □ 6) 使い勝手が悪い その他(具体的にご記入ください) ■ POLINET (1) 満足している (2) 不満な点がある □ □ □ □ 1) 3) 5) 7) 参加企業が少ない □ 2) 利用ソフトがない(少ない) 導入初期費用が掛かり過ぎる □ 4) 利用コストが高い 対象業務が少ない □ 6) 使い勝手が悪い その他(具体的にご記入ください) 4 アンケート 第 2 部 / 海貨、船社、船舶代理店、ターミナル部門 Q.8 貴部門において導入を予定している、あるいは導入したいと考えているEDIネッ トワークは何ですか。当てはまるものを全て 当てはまるものを全て選択してください。 当てはまるものを全て (1) POLINET (2) S.C.NET (3) S.F.NET (4) Sea-NACCS(税関) (5) 港湾 EDI(港長/港湾管理者) (6) JETRAS(外為 EDI) (7) BOLERO.NET(貿易金融の電子化システム) (8) 個別対応(自社のプロトコル(データ項目、コード等)を使用) (9) 個別対応(相手先企業のプロトコル(データ項目、コード等)を使用) (10) 電子メール(添付ファイル) (11) その他(具体的にご回答ください) 4.EDI導入の目的 Q.9 貴部門におけるEDI導入の目的は何ですか。当てはまるものを選択してください。 当てはまるものを (1) 業務効率化 →具体的にどのような効果がありますか。 1) 再入力作業の削減 2) 照合作業の削減 3) 入力ミスの削減 4) ペーパーレス化 5) 問合せの削減 6) 業務手続きの簡素化 7) 作業時間の短縮 8) 業務の標準化 9) 作業の平準化 (2) 経費節減 (3) 市場競争力の強化 →具体的にどのような目的ですか。 1) 取引先へのサービス向上 →その取引先業種は何ですか。 □ ①荷主 □ ②海貨 □ ③船社 □ ④ターミナル業者 ) □ ⑤その他(具体的に: 2) 取引先からのEDI導入要請への対応 →その取引先業種は何ですか。 □ ①荷主 □ ②海貨 □ ③船社 □ ④ターミナル業者 ) □ ⑤その他(具体的に: (4) その他(具体的にご回答ください) 5 アンケート 第 2 部 / 海貨、船社、船舶代理店、ターミナル部門 5.EDIの阻害要因 Q.10 民間業者間のEDIネットワーク(POLINET、S.C.NET、S.F.NET)を利用し ようとした時に感じる阻害要因、あるいは普及が進まない阻害要因としてあてはま るものをご回答ください。 Ⅰ 経済的な要因 □(1)初期費用の負担が高い □(2)利用料金が高い □(3)システム運営に関わる人件費負担が高い □(4)その他 (下欄に具体的にご記入ください) Ⅱ 社内体制の要因 □(5)社内システムが整備されていない □(6)社内のシステム保守体制が整備されていない □(7)経営トップ、本部、親会社の理解が得られない □(8)現業部門が賛同しない □(9)その他 (下欄に具体的にご記入ください) Ⅲ システム上の要因 □(10)書類作成に比べデータ入力項目が多すぎる □(11)EDIネットワークに対応した良質で廉価な市販のパッケージソフトが少 ない □(12)EDI利用対象業務が少ない □(13)EDIネットワークと社内業務システムとを接続するのが難しい □(14)異なるEDIネットワーク間のデータ項目、コードの整合性が取れない □(15)その他 (下欄に具体的にご記入ください) (選択肢は次ページへつづく) 6 アンケート 第 2 部 / 海貨、船社、船舶代理店、ターミナル部門 Ⅳ 取引先との関係(商取引慣習) □(16)EDIネットワークへの取引先の参加が少ない □(17)EDIを導入しても取引先から書面の提出を要求される □(18)複数の取引先から各々個別対応(利用ネットワーク、データフォーマット、 運用方法等)を要求される。 □(19)民間企業商取引において、EDIによる商取引ルールを明記したEDI 取引基本契約の締結が進まないため、トラブル対応が不安である。 □(20)その他(下欄に具体的にご記入ください) Ⅴ 制度的要因 □(21)法制度上、書類を無くすことができない → 書類の提出、保存を求められているものは何ですか、法規則名と併せて お答え下さい。 (例) 船荷証券(B/L) − 国際条約(統一規則)及び国際海上物品運送法 □(22)官のネットワーク(Sea-NACCS)に対応するために専用EDIサーバの使 用が要求されている。このサーバは他のネットワークに利用できないので、 民間EDIを進めようとすると、別途民間用のネットワーク対応の投資が必 要なことが非効率となっている。 □(23)その他 (下欄に具体的にご記入ください) アンケートはこれで終了です。 ご協力ありがとうございました。 ご協力ありがと うございました。 本アンケート調査票を、貴社の取り纏めご担当者にお渡しください。 7 添付資料2 中小事業者に対象を絞った アンケート分析結果 中小事業者に対象を絞ったアンケート分析結果 中小企業に限定した場合のアンケート調査結果の傾向は、アンケート調査結果全体と して見た場合の傾向に比べ、海貨業者において中小企業に限定した方がパッケージソフ トの導入率が高い等若干の違いはあるものの、傾向そのものは全体の場合も中小企業に 限定した場合でも、ほぼ同様のものが見られた。 以下に、資本金 5,000 万円未満、又は従業員数が 100 人未満という条件に合う事業部 門のみを抽出した場合の、アンケート分析結果を示す。 業種毎の回答件数は、表 1 の通りである。 表 1 中小企業からの回答件数 中小企業からの回答件数 業種 回答件数 海貨 36 船社 4 船舶代理店 21 ターミナル 2 不明 1 合計 64 ※ 業種はアンケート回答用紙への記載に基づく 1 第一部 Q2( Q2(資本金) 資本金) 第一部 Q2 に対する回答結果を、図 1 に示す。従業員数は 100 人未満であっても、資 本金は必ずしも低いわけではなく、中には 3 億円以上と回答している事業部門も見られ る。 1Q2 資本金について (複数回答 無し) 資本金について 問 (1) (2) (3) (4) (5) (6) 1,000万円未満 1,000万円以上5,000万円未満 5,000万円以上1億円未満 1億円以上3億円未満 3億円以上10億円未満 10億円以上 有効回答数 回答率 1.7% 60.0% 18.3% 15.0% 5.0% 0.0% 回答数 1 36 11 9 3 0 60 (5) 5.0% (4) 15.0% (3) 18.3% 図 1 第一部 Q2 回答結果( 回答結果(全体) 全体) 1 (6) 0.0% (1) 1.7% (2) 60.0% 2 第二部 Q2(輸出入業務の電子化対応状況) Q2(輸出入業務の電子化対応状況) 第二部 Q2 に対する回答結果(全体及び業種毎)を図 2∼図 6 に示す。図 2 を見ると、 全体としてほとんどの事業部門が何らかの形で港湾業務の電子化を行っているが、その 内、業務パッケージを使用している事業部門は、企業規模を限定しない場合には 12.8% であったが、中小事業者に限定した場合でも 17.2%に留まっている。 また、業種毎に見ると海貨業者の電子化対応状況は市販のパッケージを利用している 割合が比較的多い。船社では「(5)その他」を選択した以外は、全て(1)(2)、つまり自社 独自のシステムを使用していると回答している。これに対して船舶代理店では、「(2) 自社独自の業務システムを利用して業務の一部を電子化している」との回答が多く、 50%を越えている。また、ターミナルオペレータは回答数自体が少ないものの、全て(2) と回答している。 2Q2 輸出入業務の電子化対応状況 (複数回答 無し) 輸出入業務の電子化対応状況 問 (1) (2) (3) (4) (5) 自社独自の業務システムを構築し、ほとんどの業務 を電子的に処理している。 自社独自の業務システムを構築し、一部の業務を 電子的に処理している。 市販の業務パッケージ(アプリケーションソフトウェ ア)を利用しており、ほとんどの業務を電子的に処 理している。 業務システムがなく、概ね紙を用いて行っている。 その他(具体的にご回答ください。) 有効回答数 回答 回答率 15 25.9% 27 46.6% 10 2 4 58 17.2% 3.4% 6.9% (5) (4) 6.9% 3.4% (1) 25.9% (3) 17.2% (2) 46.6% 図 2 第二部 Q2 回答結果( 回答結果(全体) 全体) 2Q2 輸出入業務の電子化対応状況 (複数回答 無し) 輸出入業務の電子化対応状況 問 (1) (2) (3) (4) (5) 自社独自の業務システムを構築し、ほとんどの業務 を電子的に処理している。 自社独自の業務システムを構築し、一部の業務を 電子的に処理している。 市販の業務パッケージ(アプリケーションソフトウェ ア)を利用しており、ほとんどの業務を電子的に処 理している。 業務システムがなく、概ね紙を用いて行っている。 その他(具体的にご回答ください。) 有効回答数 回答 回答率 11 32.4% 13 38.2% (5) 5.9% (4) 0.0% (1) 32.4% (3) 23.5% 8 0 2 34 23.5% 0.0% 5.9% (2) 38.2% 図 3 第二部 Q2 回答結果( 回答結果(海貨業者) 海貨業者) 2 2Q2 輸出入業務の電子化対応状況 問 (1) (2) (3) (4) (5) (複数回答 無し) 回答 回答率 2 66.7% 1 33.3% 0 0 0 3 0.0% 0.0% 0.0% 自社独自の業務システムを構築し、ほとんどの業務 を電子的に処理している。 自社独自の業務システムを構築し、一部の業務を 電子的に処理している。 市販の業務パッケージ(アプリケーションソフトウェ ア)を利用しており、ほとんどの業務を電子的に処 理している。 業務システムがなく、概ね紙を用いて行っている。 その他(具体的にご回答ください。) 有効回答数 輸出入業務の電子化対応状況 (3) 0.0% (4) 0.0% (5) 0.0% (2) 33.3% (1) 66.7% 図 4 第二部 Q2 回答結果( 回答結果(船社) 船社) 2Q2 輸出入業務の電子化対応状況 (複数回答 無し) 輸出入業務の電子化対応状況 問 (1) (2) (3) (4) (5) 自社独自の業務システムを構築し、ほとんどの業務 を電子的に処理している。 自社独自の業務システムを構築し、一部の業務を 電子的に処理している。 市販の業務パッケージ(アプリケーションソフトウェ ア)を利用しており、ほとんどの業務を電子的に処 理している。 業務システムがなく、概ね紙を用いて行っている。 その他(具体的にご回答ください。) 有効回答数 回答 回答率 2 11.1% 10 55.6% 2 2 2 18 11.1% 11.1% 11.1% (1) 11.1% (5) 11.1% (4) 11.1% (3) 11.1% (2) 55.6% 図 5 第二部 Q2 回答結果( 回答結果(船舶代理店) 船舶代理店) 2Q2 輸出入業務の電子化対応状況 (複数回答 無し) 輸出入業務の電子化対応状況 問 (1) (2) (3) (4) (5) 回答 回答率 0 0.0% 2 100.0% 0 0 0 2 0.0% 0.0% 0.0% 自社独自の業務システムを構築し、ほとんどの業務 を電子的に処理している。 自社独自の業務システムを構築し、一部の業務を 電子的に処理している。 市販の業務パッケージ(アプリケーションソフトウェ ア)を利用しており、ほとんどの業務を電子的に処 理している。 業務システムがなく、概ね紙を用いて行っている。 その他(具体的にご回答ください。) 有効回答数 (1) (3) (4) (5) 0.0% (2) 100.0% 図 6 第二部 Q2 回答結果(ターミナルオペレータ) 3 3 第二部 Q5 及び Q6(部門の輸出入業務におけるEDIの導入状況) Q6(部門の輸出入業務におけるEDIの導入状況) (1) 輸出入業務におけるEDIの導入状況 第二部 Q5 の回答結果(全体)を図 7 に示す。図 7 を見ると、中小企業であって も全体として7割以上の事業部門が既にEDIを導入済みであると回答している。 2Q5 部門の輸出入業務におけるEDIの導入状況 (複数回答 無し) 問 (1) (2) 回答 部門の輸出入業務におけるEDIの導入状況 既に何らかのEDIを導入し、業務に利用している。 EDIを一旦導入したが、業務での利用は少ない。 (活用しきれていない) 近々EDIを導入する予定がある。 EDIを導入したいと考えているが、現状では導入 は困難である。 EDIは知っているが、導入する計画はない。 EDIを知らない。 その他 有効回答数 (3) (4) (5) (6) (7) 回答率 47 74.6% 5 4 7.9% 6.3% 0 7 0 0 63 0.0% 11.1% 0.0% 0.0% (5) 11.1% (4) 0.0% (3) 6.3% (6) 0.0% (7) 0.0% (2) 7.9% (1) 74.6% 図 7 第二部 Q5 回答結果( 回答結果(全体) 全体) (2) 導入済みEDIネットワーク 第二部 Q6 の回答結果(全体)を図 8 に示す。図 8 を見ると、企業規模を限定し ない場合と同様に、導入率が最も高いのは Sea-NACCS であり、何らかのEDI を導入済みであると回答した事業部門のうちの 80%以上が Sea-NACCS を導入し ている。また、電子メール(添付ファイル)や個別対応も導入率が高い。反面、 POLINET 等民間EDIネットワークの導入率は低い。 2Q6 導入済みEDIネットワーク (複数回答 有り) 第二部 Q6 (9) (10) (11) POLINET S.C.NET S.F.NET Sea-NACCS(税関) 港湾EDI(港長/港湾管理者) JETRAS(外為EDI) BOLERO.NET(貿易金融の電子化システ 個別対応(自社のプロトコル(データ項目、 コード等)を使用) 個別対応(相手先企業のプロトコル(データ 項目、コード等)を使用) 電子メール(添付ファイル) その他 有効回答数 回答 回答率 14 26.9% 2 3.8% 3 5.8% 44 84.6% 13 25.0% 2 3.8% 0 0.0% 9 17.3% 13 25.0% 36 2 52 69.2% 3.8% 50 回答数(件) 問 (1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) (8) 44 36 40 30 20 14 10 13 2 3 (2) (3) 0 (1) (注1) 有効回答数は第二部Q5における(1)及び(2) の回答件数 図 8 第二部 Q6 回答結果( 回答結果(全体) 全体) 4 9 2 (4) (5) 2 0 (6) (7) 選択肢 13 (8) (9) (10) (11) 次に、第二部 Q6 において、何れかの民間EDIネットワークを導入済みと回答 している回答件数、及び何れかの官-民EDIネットワークを導入済みと回答して いる回答件数を抽出し、業種毎に整理すると表 2 のようになる。表 2 には併せて、 業種ごとの全回答を母数とした民間EDIネッワーク、官-民EDIネットワーク の導入率を示した。 この表をみると港湾物流分野全体としてみた場合、官-民EDIネットワークに ついては 80%弱の事業部門が導入済みであるのに対して、民間EDIネットワー クを導入済みの事業部門は僅か 25%程度に留まっていることが分かる。 表 2 民間EDIネットワーク及び官民間EDIネットワーク及び官-民EDIネットワークの導入状況 業種 海貨 (n=36) 民間EDIを導入済 みの事業部門(注 1) 官-民EDIを導入済 みの事業部門(注 2) 船社 (n=4) 船舶代理店 ターミナル 不明 全体 (n=21) (n=2) (n=1) (n=64) 13 (36.1%) 1 (25.0%) 3 (14.3%) 0 (0.0%) 0 (0.0%) 17 (26.6%) 31 (86.1%) 2 (50.0%) 14 (66.7%) 2 (100.0%) 1 (100.0%) 50 (78.2%) (注 1)第二部 Q6 において、POLINET、S.C.NET、S.F.NET、Bolero.net の何れかを導入済みと回答した件数 (注 2)第二部 Q6 において、Sea-NACCS、港湾EDI、JETRAS の何れかを導入済みと回答した件数 また、第二部 Q6 の業者毎の回答結果を図 9∼図 12 に示す。業種別に見ると、海貨業 者では、圧倒的に Sea-NACCS の加入が多く、ほとんどの企業において導入済みである。 これに対して POLINET の導入率は 3 割程度であった。船社では回答数自体が少ない ものの、POLINET、S.C.NET の加入率が比較的高い。逆に船舶代理店ではこれら民間 EDIネットワークに加入しているところは少なく、ターミナルオペレータでは民間E DIネットワークへの加入者はいなかった。 5 2Q6 導入済みEDIネットワーク (複数回答 有り) (9) (10) (11) POLINET S.C.NET S.F.NET Sea-NACCS(税関) 港湾EDI(港長/港湾管理者) JETRAS(外為EDI) BOLERO.NET(貿易金融の電子化システ 個別対応(自社のプロトコル(データ項目、 コード等)を使用) 個別対応(相手先企業のプロトコル(データ 項目、コード等)を使用) 電子メール(添付ファイル) その他 有効回答数 回答 回答率 11 34.4% 0 0.0% 3 9.4% 31 96.9% 5 15.6% 1 3.1% 0 0.0% 5 15.6% 12 37.5% 22 0 32 68.8% 0.0% 回答数(件) 第二部 Q6 問 (1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) (8) 35 30 25 20 15 10 5 0 31 22 12 11 0 (1) (2) 5 3 5 1 (3) (4) (5) 0 (6) (7) 選択肢 0 (8) (9) (10) (11) (注1) 有効回答数は第二部Q5における(1)及び(2) の回答件数 図 9 第二部 Q6 回答結果(海貨業者) 2Q6 導入済みEDIネットワーク (複数回答 有り) 第二部 Q6 (9) (10) (11) POLINET S.C.NET S.F.NET Sea-NACCS(税関) 港湾EDI(港長/港湾管理者) JETRAS(外為EDI) BOLERO.NET(貿易金融の電子化システ 個別対応(自社のプロトコル(データ項目、 コード等)を使用) 個別対応(相手先企業のプロトコル(データ 項目、コード等)を使用) 電子メール(添付ファイル) その他 有効回答数 回答 回答率 1 50.0% 1 50.0% 0 0.0% 2 100.0% 0 0.0% 0 0.0% 0 0.0% 0 0.0% 1 50.0% 2 1 2 100.0% 50.0% 3 回答数(件) 問 (1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) (8) 2 2 2 1 1 2 1 1 1 0 0 (1) (2) (3) 0 (4) (5) 0 0 (6) (7) 選択肢 1 0 (8) (9) (10) (11) (注1) 有効回答数は第二部Q5における(1)及び(2) の回答件数 図 10 第二部 Q6 回答結果(船社) 2Q6 導入済みEDIネットワーク (複数回答 有り) 第二部 Q6 (9) (10) (11) POLINET S.C.NET S.F.NET Sea-NACCS(税関) 港湾EDI(港長/港湾管理者) JETRAS(外為EDI) BOLERO.NET(貿易金融の電子化システ 個別対応(自社のプロトコル(データ項目、 コード等)を使用) 個別対応(相手先企業のプロトコル(データ 項目、コード等)を使用) 電子メール(添付ファイル) その他 有効回答数 回答 回答率 2 13.3% 1 6.7% 0 0.0% 8 53.3% 7 46.7% 0 0.0% 0 0.0% 4 26.7% 0 0.0% 10 1 15 66.7% 6.7% 12 10 10 回答数(件) 問 (1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) (8) 8 8 4 2 4 2 1 0 (1) (2) 0 (3) 0 (4) (注1) 有効回答数は第二部Q5における(1)及び(2) の回答件数 図 11 第二部 Q6 回答結果(船舶代理店) 6 7 6 (5) 0 (6) (7) 選択肢 0 (8) 1 (9) (10) (11) 2Q6 導入済みEDIネットワーク (複数回答 有り) 第二部 Q6 (9) (10) (11) POLINET S.C.NET S.F.NET Sea-NACCS(税関) 港湾EDI(港長/港湾管理者) JETRAS(外為EDI) BOLERO.NET(貿易金融の電子化システ 個別対応(自社のプロトコル(データ項目、 コード等)を使用) 個別対応(相手先企業のプロトコル(データ 項目、コード等)を使用) 電子メール(添付ファイル) その他 有効回答数 回答 回答率 0 0.0% 0 0.0% 0 0.0% 2 100.0% 1 50.0% 0 0.0% 0 0.0% 0 0.0% 0 0.0% 1 0 2 50.0% 0.0% 3 回答数(件) 問 (1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) (8) 2 2 2 1 1 1 0 0 0 0 (1) (2) (3) 1 0 (4) (5) (6) (7) 選択肢 (注1) 有効回答数は第二部Q5における(1)及び(2) の回答件数 図 12 第二部 Q6 回答結果(ターミナルオペレータ) 7 0 0 0 0 (8) (9) (10) (11) 4 第二部 Q7( Q7(S.C.NET、 S.C.NET、S.F.NET、 S.F.NET、POLINET の満足度) 第二部 Q7 の回答結果(全体)を図 13∼図 18 に示す。これら既存の民間EDIネッ トワークに対する不満点として、どの民間EDIネットワークにたいしても共通で多数 回答されているのは、「(1)参加企業が少ない」である。また、「(5)対象業務が少ない」 についても 1 割程度の回答が見られた。 2Q7 S.C.NETの満足度 (複数回答 無し) 問 (1) (2) 満足している 不満な点がある 有効回答数 S.C.NETの満足度 回答 回答率 1 5.6% 17 94.4% 18 (1) 5.6% (2) 94.4% 第二部 Q7 S.C.NET の満足度(全体) 2Q7 S.C.NETの不満点 (複数回答 有り) 問 (1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) 回答 参加企業が少ない 利用ソフトがない(少ない) 導入初期費用が掛かり過ぎる 利用コストが高い 対象業務が少ない 使い勝手が悪い その他(具体的にご記入ください) 有効回答数 12 6 5 6 7 3 2 64 回答率 18.8% 9.4% 7.8% 9.4% 10.9% 4.7% 3.1% 第二部 Q7 S.C.NET 回答数(件) 図 13 14 12 10 8 6 4 2 0 12 6 6 5 3 (1) (2) (3) (4) 選択肢 図 14 第二部 Q7 S.C.NET の不満点(全体) 8 7 (5) (6) 2 (7) 2Q7 S.F.NETの満足度 (複数回答 無し) S.F.NETの満足度 問 (1) (2) 満足している 不満な点がある 有効回答数 回答 回答率 0 0.0% 20 100.0% 20 (1) 0.0% (2) 100.0% 図 15 第二部 Q7 S.F.NET の満足度(全体) 2Q7 S.F.NETの不満点 (複数回答 有り) 問 回答 第二部 Q7 S.F.NET 参加企業が少ない 利用ソフトがない(少ない) 導入初期費用が掛かり過ぎる 利用コストが高い 対象業務が少ない 使い勝手が悪い その他(具体的にご記入ください) 有効回答数 12 7 6 6 6 4 3 64 18.8% 10.9% 9.4% 9.4% 9.4% 6.3% 4.7% 回答数(件) (1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) 回答率 14 12 10 8 6 4 2 0 12 7 6 6 4 (1) (2) (3) (4) 選択肢 図 16 第二部 Q7 S.F.NET の不満点(全体) 9 6 (5) (6) 3 (7) 2Q7 POLINETの満足度 (複数回答 無し) 問 (1) (2) 満足している 不満な点がある 有効回答数 POLINETの満足度 回答 回答率 0 0.0% 29 100.0% 29 (1) 0.0% (2) 100.0% 図 17 第二部 Q7 POLINET の満足度(全体) 問 (1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) (複数回答 有り) 回答 回答率 参加企業が少ない 20 31.3% 利用ソフトがない(少ない) 7 10.9% 導入初期費用が掛かり過ぎる 10 15.6% 利用コストが高い 7 10.9% 対象業務が少ない 9 14.1% 使い勝手が悪い 6 9.4% その他(具体的にご記入ください) 7 10.9% 有効回答数 64 第二部 Q7 POLINET 25 回答数(件) 2Q7 POLINETの不満点 20 20 15 10 10 7 7 9 6 7 (6) (7) 5 0 (1) (2) (3) (4) 選択肢 図 18 第二部 Q7 POLINET の不満点(全体) 10 (5) 1.5 第二部 Q8(導入を予定している、あるいは導入したいと考えているEDI Q8(導入を予定している、あるいは導入したいと考えているEDI ネットワーク) 第二部 Q8 の回答結果(全体)を図 19 に示す。また、Q8 の回答結果を基にして整理 した、民間EDI(POLINET、S.C.NET、S.F.NET、Bolero.net)及び官-民EDI (Sea-NACCS、港湾 EDI、JETRAS)の導入検討状況を表 3 に示す。表 3 を見ると、 新たに民間EDIの導入を検討している事業部門は民間EDI未導入の事業部門の 2 割強であり、現状では少数派であることがわかった。 問 (1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) (8) (9) (10) (11) 導入予定・導入希望EDIネットワーク (複数回答 有り) 回答 POLINET S.C.NET S.F.NET Sea-NACCS(税関) 港湾EDI(港長/港湾管理者) JETRAS(外為EDI) BOLERO.NET(貿易金融の電子化シス テム) 個別対応(自社のプロトコル(データ項 目、コード等)を使用) 個別対応(相手先企業のプロトコル (データ項目、コード等)を使用) 電子メール(添付ファイル) その他(具体的にご回答ください) 有効回答数 第一部 Q1 8 3 6 11 7 2 4 回答率 12.5% 4.7% 9.4% 17.2% 10.9% 3.1% 6.3% 4 6.3% 7 10.9% 7 6 64 10.9% 9.4% 11 12 10 回答数(件) 2Q8 8 8 4 3 4 7 7 6 6 7 6 4 2 2 0 (1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) 選択肢 (8) (9) (10) (11) 図 19 第二部 Q8 回答結果(全体) 表 3 民間EDIネットワーク及び官民間EDIネットワーク及び官-民EDIネットワークの導入検討状況 民間EDI 官-民EDI 未導入の事業 部門数 未導入且つ導入希望・予 定のある業務部門数 未導入事 業部門 中、 導入希 望・予定のある業務部門の割 合 47(注 1) 14(注 2) 10(注 3) 2(注 4) 21.3% 14.3% (注 1)第二部 Q6 において、POLINET、S.C.NET、S.F.NET、Bolero.net の何れをも導入していないと回答した件数 (注 2)第二部 Q6 において、Sea-NACCS、港湾EDI、JETRAS の何れをも導入していないと回答した件数 (注 3)第二部 Q6 において POLINET、S.C.NET、S.F.NET、Bolero.net の何れをも導入していないと回答しており、 且つ第二部 Q8 において POLINET、S.C.NET、bolero.net の何れかを導入希望と回答している件数 (注 4)第二部 Q6 において、Sea-NACCS、港湾EDI、JETRAS の何れをも導入していないと回答しており、且つ Q8 において Sea-NACCS、港湾EDI、JETRAS の何れかを導入希望と回答している件数 11 6 第二部 Q9(EDI導入の目的) Q9(EDI導入の目的) 第二部 Q9 の回答結果(全体)を図 20 に示す。 EDI導入の目的に関しては企業規模で限定しない場合と同様、直接の目的である (1)業務効率化と共に、(3)市場競争力の強化も、大きな目的として考えられていること がわかる。 2Q9 導入目的 (複数回答 有り) 問 (1) (2) (3) (4) 回答 46 17 39 11 64 50 回答数(件) 業務効率化 経費削減 市場競争力の強化 その他 有効回答数 第二部 Q9 回答率 71.9% 26.6% 60.9% 17.2% 46 39 40 30 17 20 11 10 0 (1) (2) (3) (4) 選択肢 図 20 第二部 Q9 回答結果(全体) 7 第二部 Q10(民間EDIの阻害要因) Q10(民間EDIの阻害要因) 図 21 に第二部 Q10 の回答結果(全体)を示す。全体的にみて、阻害要因として最も 多くの回答があったのは、「(22) 官のネットワーク(Sea-NACCS)に対応するために 専用EDIサーバの使用が要求されている」であった。その他回答が多かったのは「(1) 初期費用の負担が高い」、「(16) EDIネットワークへの取引先の参加が少ない」、 「(5)社内システムが整備されていない」「(12) EDI利用対象業務が少ない」等であ り、総じてEDI対応のための作業負担及びコスト面での負担の大きさを阻害要因とし て回答する割合が多い。また、図 21 には阻害要因のカテゴリ毎に、全回答数を選択肢 の数で割った平均回答率を併せて記載した。これを見ると、制度的要因が 26.6%と一 番多く、以下、経済的な要因(25.8%)、システム上の要因(23.4%)、取引先との関 係(16.9%)、社内体制の要因(12.8%)の順であった。 また、図 22∼図 35 に業種毎の第二部 Q10 の回答結果を示す。海貨業者は全回答の 中でも大きな割合を占めるため、その傾向は全体の傾向と近いものとなっている。また、 船社及びターミナルオペレータも回答件数は少ないながら同様の傾向が見られる。船舶 代理店においては、特徴的な阻害要因として「(7) 経営トップ、本部、親会社の理解が 得られない」や、「(10) 書類に比べてデータ入力項目が多すぎる」、「(21) 法制度上 書類が無くせない」等が多く回答されている。 12 2Q10 EDIの阻害要因 (複数回答 有り) 回答 問 (1) (2) (3) 初期費用の負担が高い 利用料金が高い システム運営に関わる人件費負担が 高い その他 (下欄に具体的にご記入くださ い) 社内システムが整備されていない 社内のシステム保守体制が整備され ていない 経営トップ、本部、親会社の理解が得 られない 現業部門が賛同しない その他 書類作成に比べデータ入力項目が多 すぎる EDIネットワークに対応した良質で廉 価な市販のパッケージソフトが少ない EDI利用対象業務が少ない EDIネットワークと社内業務システムと を接続するのが難しい 異なるEDIネットワーク間のデータ項 目、コードの整合性が取れない その他 EDIネットワークへの取引先の参加が 少ない EDIを導入しても取引先から書面の提 出を要求される 複数の取引先から各々個別対応(利 用ネットワーク、データフォーマット、運 用方法等)を要求される。 民間企業商取引において、EDIによる 商取引ルールを明記したED取引基本 契約の締結が進まないため、トラブル 対応が不安である。 その他 法制度上、書類を無くすことができない 官のネットワーク(Sea-NACCS)に対応 するために専用EDIサーバの使用が 要求されている。このサーバは他の ネットワークに利用できないので、民間 EDIを進めようとすると、別途民間用の ネットワーク対応の投資が必要なこと が非効率となっている。 その他 有効回答数 (4) (5) (6) (7) (8) (9) (10) (11) (12) (13) (14) (15) (16) (17) (18) (19) (20) (21) (22) (23) 25 20 16 回答率 39.1% 31.3% 経済的な要因 25.0% 平均回答率 25.8% 平均回答率 12.8% 平均回答率 23.4% (商取引慣習) 平均回答率 16.9% 制度的要因 平均回答率 26.6% 5 7.8% 22 6 34.4% 9.4% 4 6.3% 5 4 15 7.8% 6.3% 23.4% 15 23.4% 22 17 34.4% システム上の要因 26.6% 17 26.6% 4 25 6.3% 39.1% 9 14.1% 11 17.2% 5 7.8% 1 14 31 1.6% 21.9% 48.4% 6 64 9.4% 社内体制の要因 取引先との関係 回答数(件) 第二部 Q10 35 30 25 20 15 10 5 0 31 25 22 20 22 16 15 5 25 6 15 17 17 9 4 5 4 4 14 11 6 5 1 (1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) (8) (9) (10) (11) (12) (13) (14) (15) (16) (17) (18) (19) (20) (21) (22) (23) 選択肢 図 21 第二部 Q10 回答結果(全体) 13 2Q10 EDIの阻害要因 (複数回答 有り) 回答 問 (1) (2) (3) 初期費用の負担が高い 利用料金が高い システム運営に関わる人件費負担が 高い その他 (下欄に具体的にご記入くださ い) 社内システムが整備されていない 社内のシステム保守体制が整備され ていない 経営トップ、本部、親会社の理解が得 られない 現業部門が賛同しない その他 書類作成に比べデータ入力項目が多 すぎる EDIネットワークに対応した良質で廉 価な市販のパッケージソフトが少ない EDI利用対象業務が少ない EDIネットワークと社内業務システムと を接続するのが難しい 異なるEDIネットワーク間のデータ項 目、コードの整合性が取れない その他 EDIネットワークへの取引先の参加が 少ない EDIを導入しても取引先から書面の提 出を要求される 複数の取引先から各々個別対応(利 用ネットワーク、データフォーマット、運 用方法等)を要求される。 民間企業商取引において、EDIによる 商取引ルールを明記したED取引基本 契約の締結が進まないため、トラブル 対応が不安である。 その他 法制度上、書類を無くすことができない 官のネットワーク(Sea-NACCS)に対応 するために専用EDIサーバの使用が 要求されている。このサーバは他の ネットワークに利用できないので、民間 EDIを進めようとすると、別途民間用の ネットワーク対応の投資が必要なこと が非効率となっている。 その他 有効回答数 (4) (5) (6) (7) (8) (9) (10) (11) (12) (13) (14) (15) (16) (17) (18) (19) (20) (21) (22) (23) 13 12 11 回答率 36.1% 33.3% 経済的な要因 30.6% 平均回答率 27.1% 社内体制の要因 平均回答率 14.4% 3 8.3% 16 3 44.4% 8.3% 0 0.0% 4 3 9 11.1% 8.3% 25.0% 11 30.6% 13 12 12 36.1% システム上の要因 33.3% 平均回答率 33.3% 2 16 5.6% 44.4% 8 22.2% 10 27.8% 4 11.1% 1 7 22 2.8% 19.4% 61.1% 3 36 8.3% 27.3% 取引先との関係 (商取引慣習) 平均回答率 21.3% 制度的要因 29.6% 平均回答率 第二部 Q10 回答数(件) 25 22 20 15 16 13 12 16 11 9 10 5 0 3 4 3 11 13 12 12 8 3 2 0 10 7 4 1 3 (1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) (8) (9) (10) (11) (12) (13) (14) (15) (16) (17) (18) (19) (20) (21) (22) (23) 選択肢 図 22 第二部 Q10 回答結果(海貨業者) 14 2Q10 EDIの阻害要因 (複数回答 有り) 回答 問 (1) (2) (3) 初期費用の負担が高い 利用料金が高い システム運営に関わる人件費負担が 高い その他 (下欄に具体的にご記入くださ い) 社内システムが整備されていない 社内のシステム保守体制が整備され ていない 経営トップ、本部、親会社の理解が得 られない 現業部門が賛同しない その他 書類作成に比べデータ入力項目が多 すぎる EDIネットワークに対応した良質で廉 価な市販のパッケージソフトが少ない EDI利用対象業務が少ない EDIネットワークと社内業務システムと を接続するのが難しい 異なるEDIネットワーク間のデータ項 目、コードの整合性が取れない その他 EDIネットワークへの取引先の参加が 少ない EDIを導入しても取引先から書面の提 出を要求される 複数の取引先から各々個別対応(利 用ネットワーク、データフォーマット、運 用方法等)を要求される。 民間企業商取引において、EDIによる 商取引ルールを明記したED取引基本 契約の締結が進まないため、トラブル 対応が不安である。 その他 法制度上、書類を無くすことができない 官のネットワーク(Sea-NACCS)に対応 するために専用EDIサーバの使用が 要求されている。このサーバは他の ネットワークに利用できないので、民間 EDIを進めようとすると、別途民間用の ネットワーク対応の投資が必要なこと が非効率となっている。 その他 有効回答数 (4) (5) (6) (7) (8) (9) (10) (11) (12) (13) (14) (15) (16) (17) (18) (19) (20) (21) (22) (23) 2 0 0 回答率 50.0% 0.0% 経済的な要因 0.0% 1 25.0% 0 0 0.0% 0.0% 0 0.0% 0 1 0 0.0% 25.0% 0.0% 0 0.0% 平均回答率 18.8% 平均回答率 5.0% 平均回答率 12.5% (商取引慣習) 平均回答率 16.7% 制度的要因 平均回答率 16.7% 社内体制の要因 0.0% システム上の要因 25.0% 0 1 0 0.0% 2 3 50.0% 75.0% 0 0.0% 1 25.0% 0 0.0% 0 0 1 0.0% 0.0% 25.0% 1 4 25.0% 取引先との関係 回答数(件) 第二部 Q10 4 3 3 2 2 1 1 0 3 2 2 1 (1) 0 0 (2) (3) (4) 1 0 0 0 0 (5) (6) (7) (8) 1 0 0 0 1 0 0 1 0 0 1 0 (9) (10) (11) (12) (13) (14) (15) (16) (17) (18) (19) (20) (21) (22) (23) 選択肢 図 23 第二部 Q10 回答結果(船社) 15 2Q10 EDIの阻害要因 (複数回答 有り) 回答 問 (1) (2) (3) 初期費用の負担が高い 利用料金が高い システム運営に関わる人件費負担が 高い その他 (下欄に具体的にご記入くださ い) 社内システムが整備されていない 社内のシステム保守体制が整備され ていない 経営トップ、本部、親会社の理解が得 られない 現業部門が賛同しない その他 書類作成に比べデータ入力項目が多 すぎる EDIネットワークに対応した良質で廉 価な市販のパッケージソフトが少ない EDI利用対象業務が少ない EDIネットワークと社内業務システムと を接続するのが難しい 異なるEDIネットワーク間のデータ項 目、コードの整合性が取れない その他 EDIネットワークへの取引先の参加が 少ない EDIを導入しても取引先から書面の提 出を要求される 複数の取引先から各々個別対応(利 用ネットワーク、データフォーマット、運 用方法等)を要求される。 民間企業商取引において、EDIによる 商取引ルールを明記したED取引基本 契約の締結が進まないため、トラブル 対応が不安である。 その他 法制度上、書類を無くすことができない 官のネットワーク(Sea-NACCS)に対応 するために専用EDIサーバの使用が 要求されている。このサーバは他の ネットワークに利用できないので、民間 EDIを進めようとすると、別途民間用の ネットワーク対応の投資が必要なこと が非効率となっている。 その他 有効回答数 (4) (5) (6) (7) (8) (9) (10) (11) (12) (13) (14) (15) (16) (17) (18) (19) (20) (21) (22) (23) 8 7 4 回答率 38.1% 33.3% 経済的な要因 19.0% 平均回答率 23.8% 平均回答率 11.4% 平均回答率 19.0% (商取引慣習) 平均回答率 11.1% 制度的要因 平均回答率 25.4% 1 4.8% 5 2 23.8% 9.5% 4 19.0% 1 0 6 4.8% 0.0% 28.6% 3 14.3% 8 3 38.1% システム上の要因 14.3% 4 19.0% 0 5 0.0% 23.8% 1 4.8% 0 0.0% 1 4.8% 0 7 7 0.0% 33.3% 33.3% 2 21 9.5% 社内体制の要因 取引先との関係 第二部 Q10 回答数(件) 10 8 6 4 2 0 8 8 7 5 4 1 7 6 4 2 3 1 0 3 7 5 4 0 1 0 1 2 0 (1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) (8) (9) (10) (11) (12) (13) (14) (15) (16) (17) (18) (19) (20) (21) (22) (23) 選択肢 図 24 第二部 Q10 回答結果(船舶代理店) 回答結果(船舶代理店) 16 2Q10 EDIの阻害要因 (複数回答 有り) 回答 問 (1) (2) (3) 初期費用の負担が高い 利用料金が高い システム運営に関わる人件費負担が 高い その他 (下欄に具体的にご記入くださ い) 社内システムが整備されていない 社内のシステム保守体制が整備され ていない 経営トップ、本部、親会社の理解が得 られない 現業部門が賛同しない その他 書類作成に比べデータ入力項目が多 すぎる EDIネットワークに対応した良質で廉 価な市販のパッケージソフトが少ない EDI利用対象業務が少ない EDIネットワークと社内業務システムと を接続するのが難しい 異なるEDIネットワーク間のデータ項 目、コードの整合性が取れない その他 EDIネットワークへの取引先の参加が 少ない EDIを導入しても取引先から書面の提 出を要求される 複数の取引先から各々個別対応(利 用ネットワーク、データフォーマット、運 用方法等)を要求される。 民間企業商取引において、EDIによる 商取引ルールを明記したED取引基本 契約の締結が進まないため、トラブル 対応が不安である。 その他 法制度上、書類を無くすことができない 官のネットワーク(Sea-NACCS)に対応 するために専用EDIサーバの使用が 要求されている。このサーバは他の ネットワークに利用できないので、民間 EDIを進めようとすると、別途民間用の ネットワーク対応の投資が必要なこと が非効率となっている。 その他 有効回答数 (4) (5) (6) (7) (8) (9) (10) (11) (12) (13) (14) (15) (16) (17) (18) (19) (20) (21) (22) (23) 2 1 1 回答率 100.0% 50.0% 経済的な要因 50.0% 平均回答率 50.0% 平均回答率 20.0% 平均回答率 33.3% (商取引慣習) 平均回答率 8.3% 制度的要因 平均回答率 16.7% 0 0.0% 1 1 50.0% 50.0% 0 0.0% 0 0 0 0.0% 0.0% 0.0% 1 50.0% 1 1 50.0% システム上の要因 50.0% 1 50.0% 0 1 0.0% 50.0% 0 0.0% 0 0.0% 0 0.0% 0 0 1 0.0% 0.0% 50.0% 0 2 0.0% 社内体制の要因 取引先との関係 第二部 Q10 回答数(件) 3 2 2 2 1 1 1 1 1 1 0 0 (1) (2) (3) (4) (5) (6) 1 0 1 1 1 1 0 1 0 0 0 0 0 (7) (8) (9) (10) (11) (12) (13) (14) (15) (16) (17) (18) (19) (20) (21) (22) (23) 選択肢 図 25 第二部 Q10 回答結果(ターミナルオペレータ) 17 0 0 0 0 添付資料3 個別ヒアリング録 海貨業者A社 ヒアリング録 ■ 日時: 平成 13 年 2 月 16 日(木) 13:00−15:00 ■ 場所: 海貨業者A社 本社 ■ インタビューイ 5 名: 代表取締役、専務取締役、常務取締役、通関部取締役部長、業務部次長 1.企業プロフィール (1) 業種 :海貨業者 (2) 資本金 :36,000,000 円(1999 年 2 月現在) 営業収入:約 9 億 4 千万円(1999 年決算) (3) 従業員数:45 名(1999 年 4 月現在) (4) 主要拠点:本社、東京支店 (5) 業務の概要 ・ 海貨業者A社では、従業員のなかで海貨業務に従事する人員は 20 人程度である。ま た、これとは別に 10 人程度の人員が通関行に従事している。 ・ 海貨業者A社では輸出業務を月に 800 件程度処理しているが、このうちの大きな割合 を大口顧客である数社の荷主との取引が占めている。 (6) 情報システム全体構成 ・ 社内システムとしては、ドキュメント業務用にN社製の港湾業務パッケージAを導入して いる。この港湾業務パッケージAは、1999 年に運用が開始された更改 Sea-NACCS システ ムへ対応するために導入されたものである。港湾業務パッケージA導入前は同じくN社製 の別の港湾業務パッケージBを使用していたが、一部業務のために港湾業務パッケージA に併せて現状でも港湾業務パッケージBを使用している。港湾業務パッケージAと港湾業 務パッケージBではデータの形式が異なるが、当社では港湾業務パッケージAに入力した データを、形式変換したうえで港湾業務パッケージBに入力するシステムを用意している。 この際、オペレータによる二重入力の必要は無い。当該システムの開発はN社が受け持ち、 100%のサポートが受けられるようになっているが、有償である。 2.民民間 EDI 導入の現況 当社において既に導入済みの EDI は以下のとおりである。 1 2.1 船社、ターミナルに対する D/R の提出 (1) EDI 導入業務 ・ 船社、コンテナターミナルに対して EDI を通じて D/R を提出する。 (2) 利用 EDI ネットワーク ・ Sea-NACCS 及び POLINET を使用している。どちらを使用するかは、相手となる船社毎 に異なる。利用頻度は高くはない。 ・ D/R と共に E/D を送る必要があるが、POLINET 使用時には E/D を別途送信する必要が ある。これに対してSea−NACCSを利用する場合には D/R に併せて E/D も Sea-NACCS 経由で送信可能であることから、当社としては Sea-NACCS を優先的に使用 したいと考えている。 (3) 社内業務システム ・ S/I 情報等を港湾業務パッケージAに入力した上で、Sea-NACCS を使用する場合には港 湾業務パッケージA上からデータを送信する。また、POLINET 利用時には、港湾業務 パッケージA上のデータを一旦港湾業務パッケージBに入力した上で、港湾業務パッケ ージBから POLINET にデータを送信する。 (4) EDI 導入目的 ・ D/R を EDI で送信することにより、D/R を船社、ターミナルに配送するための人員を削 減することができる。 (5) EDI 導入前の業務の状況 ・ 港湾業務パッケージA上で S/I 情報をもとにして D/R(情報)を作成する。 ・ D/R を紙の書類として印刷する。 ・ 紙の D/R を担当員が船社、ターミナルまで持参する。 (6) EDI 導入後の業務の状況 ・ 港湾業務パッケージA上で S/I 情報をもとにして D/R(情報)を作成する。 ・ Sea-NACCS を使用する場合には Sea-NACCS の船積事項登録機能を使用し、D/R(情報) を船社及びターミナルに送信する。 ・ POLINET 利用時には、港湾業務パッケージA上のデータを一旦港湾業務パッケージB に入力した上で、港湾業務パッケージBから POLINET にデータを送信する。 2 (7) EDI の阻害要因 ① 船社、コンテナターミナル毎に対応する EDI ネットワークが異なる ・ 船社、コンテナターミナル毎に Sea-NACCS、POLINET、紙のみの受付と対応する EDI ネットワークがまちまちである。従って、海貨業者としては現状ではどの EDI ネットワ ークに加入するべきなのかがわからない。但し、当社は荷主からの S/I、I/V の多くは紙 で受け取っており、また、POLINET、Sea-NACCS の双方を導入していることから、ど ちらを使うことになっても大きな問題はない。 ・ また、紙で D/R を船社に提出する場合でも、そのフォーマットは船社毎にまちまちであ る。 ② コンテナターミナルから紙の書類の提出を求められる ・ POLINET を利用して船社に D/R を送信した場合、規則では船社からコンテナターミナ ルに D/R が提出されることになっている。しかしながら実際には海貨業者が船社に D/R を送信したとしても、コンテナターミナルから紙の D/R の提出を要求されることがある。 2.2 荷主からのS/I、I/Vの提出 (1) EDI 導入業務 ・ 荷主から I/V の情報を受け取る。但し、件数としてはそれほど多くは無い。 (2) 利用 EDI ネットワーク ・ 電子メールの添付ファイルとして荷主から I/V の情報を受け取っている。 (3) 社内業務システム ・ 電子メールの添付ファイルとして受け取った I/V の情報は、一旦印刷した後、担当者によ って港湾業務パッケージAに手入力されている。 (4) EDI 導入目的 ・ 業務効率化のため。 (5) EDI 導入前の業務の状況 ・ 荷主から受け取った紙の船積書類の情報を、オペレータが手作業で業務システムに入力す る。 3 (6) EDI 導入後の業務の状況 ・ 荷主から電子メールの添付ファイルとして S/I や I/V の情報を受け取った場合には、一旦紙 の I/V として印刷を行う。印刷された I/V を見ながら、担当者が手作業で港湾業務パッケー ジAに情報を入力する。 (7) EDI の阻害要因 ① 荷主に協力を要請することが難しい ・ 海貨業者の側から荷主に対して EDI への対応を要請することはできない。 (顧客に負担は かけられない。 )また、荷主の側から積極的に S/I 情報、I/V 情報を電子的に提供する旨の 提案はほとんど無い。このため、当該業務の EDI 化は促進が難しいと思われる。 3.その他 ・ 官に対する手続きのなかで、従来はフロッピーディスクで電子時ファイルを提出すれば良 かった書類に対して、このところ紙での提出を要求されることがある。これは EDI 化推進 の立場に逆行するものだと思われる。海貨業者としては、 (業務上の)手続きをする相手と しては、民よりも官の方が多いため、官から紙の提出を求められることは問題である。 ・ 海貨業者の EDI 化促進のためには、ネットワークを用意するだけではなく、データフォー マットの変換を海貨業者ができるようになることが重要だと思われる。 ・ 一部の書類(情報)は、S.C.NET、S.F.NET、POLINET の間でもデータフォーマットが異な る。これらは統一すべきかと思われる。 以 上 4 海貨業者B社 ヒアリング録 ■ 日時: 平成 13 年 2 月 14 日(木) 13:00−15:00 ■ 場所: 海貨業者B社 本社 ■ インタビューイ 3 名:横浜支店取締役支店長、横浜支店副支店長、監査役 ■ 受領資料:①会社案内 ②社内コンピュータシステム概要 1.企業プロフィール (1) 業種 :海貨業者 (2) 資本金 :79,000,000 円(1999 年 9 月現在) 売上高 :約 36 億円(1999 年決算) (3) 従業員数:108 名(2000 年 1 月現在) (4) 主要拠点:本社、横浜支店、品川コンテナターミナル営業所(業務課、海務課) 大井海貨ターミナル営業所、青海海貨ターミナル営業所、松山営業所 (5) 業務の概要 ・ 海貨業者B社では海貨業務、コンテナターミナル業務、船舶代理店業務を行っており、 企業全体としてはコンテナターミナル業務がメインである。このうち横浜支店は海貨及び通 関業務に特化している。横浜支社の人数は 20 人強である。 ・ 横浜支社では毎月海上貨物の通関業務を 1,000 件程度行っており、このうち 80%∼85% が大手倉庫会社 B-a 社からの受注である。また、オフィス自体がこの大手倉庫会社 B-a 社と 同じフロアにある。この大手倉庫会社を通じて大手メーカからの貨物を扱うことが多い。 (6) 情報システム全体構成 ・ 社内システムとしては、ドキュメント業務用にN社製の港湾業務パッケージAを導入して いる。将来的には港湾業務パッケージAに入力された情報が経理システムに入力されるよ うにし、経理業務の利便性を高める計画である。社内業務電子化に対する投資額は、売り 上げの 5%程度である。 ・ 通関業務はほぼ 100% Sea-NACCS を通じて行われている。Sea-NACCS 利用時にはインタラ クティブ方式を利用しているが、これはインタラクティブ方式の方が対応が早いためであ る。Sea-NACCS の端末には、港湾業務パッケージAから出力されたデータをフロッピーデ ィスクを使用して入力している。 5 2.民民間 EDI 導入の現況 当社において既に導入済みのEDIは以下のとおりである。 2.1 輸出業務における、荷主からの船積書類情報の受信 (1) EDI 導入業務 ・ 輸出業務において、荷主から船積書類情報として S/I、I/V を電子的に受信している。対象 とする荷主は数社であり、受け取る船積書類全体のなかで EDI 経由のものが占める割合は 数%である。荷主の中には、大手メーカ B-b 社及び大手メーカ B-c 社が含まれる。 (2) 利用 EDI ネットワーク ・ 荷主からの S/I、I/V の受け取りには独自の EDI を利用している。そのためのシステムは海 貨業者B社の主要顧客である大手倉庫会社 B-a 社が個々の顧客企業に対して作成したもの であり、海貨業者B社も開発費用の一部を負担している。 (3) 社内業務システム ・ 一部の荷主からの S/I はデータのまま港湾業務パッケージAに入力が可能である。但し、提 出される S/I データは荷主独自のフォーマットに従うため、港湾業務パッケージAへの入力 前に変換処理を施している。 ・ 大手メーカ B-b 社からのデータを受信する端末はスタンドアロンとなっており、S/I のデー タを受信した後、印刷を行った上で港湾業務パッケージAに手作業で再入力をしている。 割合的には、電子的にそのまま入力可能なものが 20%、電子データを受け取り、印刷の後 手入力を行うものが 30%、紙で受け取り港湾業務パッケージに入力しているものが 50%で ある。 (4) EDI 導入目的 ・ EDI 導入は主要顧客である大手倉庫会社 B-a 社からの要請による。開発費の負担に加え、 開発作業に加わることもあった。 (5) EDI 導入前の業務の状況 ・ 荷主から受け取った紙の船積書類の情報を、オペレータが手作業で業務システムに入力す る。 (6) EDI 導入後の業務の状況 ・ 荷主からの S/I 情報を電子的に港湾業務パッケージAに入力可能な場合には、データを変換 の上港湾業務パッケージAに取り込む。データ変換時には、一件一件、変換結果を担当者 6 が目で確認する。 ・ 大手メーカ B-b 社のように、専用の端末にデータを受け取る場合には、フロッピーディス クに一旦データを出力した上で、データを変換後、港湾業務パッケージAに入力する。 (7) EDI の阻害要因 ① S/I 受け取りの遅れ ・ 船積み書類の情報を港湾業務パッケージAで扱うためには S/I の情報を入力する必要があ る。ところが荷主(あるいは大手倉庫会社)から I/V と S/I が同時に受け取れれば良いのだ が、実際には I/V のみが渡され、S/I は後から提出されることが多い。これが阻害要因の一 つになっている。 ・ 現状では I/V が届いた時点で Sea-NACCS を利用して通関から E/D を発行してもらい、業務 を進めている。S/I は、その後手元に届いた時点で港湾業務パッケージに入力をしている。 I/V に合わせて S/I も提出してもらうようにするためには、荷主側の業務手順の変更が必要 となり、困難である。 ・ 大手商社からは S/I と I/V が同時に提出されることが多いが、特にメーカ企業からは S/I の 提出が遅れることが多い。これには、大手商社では I/V と S/I を一ヶ所で作成しているが、 メーカでは I/V は工場で、S/I は本社等で作成されることも関係していると思われる。 ② S/I や I/V の書式・内容が荷主毎に異なる ・ 現状では S/I や I/V の書式、内容が荷主毎に異なることが多い。このため荷主からの S/I や I/V の情報を自社業務システムに取り込む際にはトランスレーション機能が必要となる。取 引のある荷主が固定されているような場合であれば EDI 化は比較的容易であるが、取引相 手の荷主が多い場合には、それぞれに対してトランスレーション機能を用意・運用するこ とは困難である。 ③ 荷主からの要望が無い ・ 港湾業務全体の EDI 化推進のためには、荷主から船積み書類の情報が EDI 経由で提出され ることが望まれる。しかしながら荷主側から EDI 導入の希望を受けることはほとんどない。 このため港湾業務全体の EDI 化が阻害されていると思われる。また、荷主に対して S/I や I/V の電子的な提出を要求すると、荷主から料金の値下げを要求される虞がある。 3.その他 ・ 現状では荷主から EDI による S/I、I/V 等の提出を希望することは少ないが、港湾業務の EDI 化推進は、荷主にとってもメリットが大きいと思われる。例えばある荷主(メーカ)は、 海外に対してネゴ用 B/L 等資料の印刷物を高額の費用を負担して送付している。 (当該資 7 料のコピーは海貨業者B社が受け持っているが、コピー用紙が月に 4,500 枚、用紙代だけ で月に 50 万円になる。 )資料としては、中の情報があれば良いのだから、これを電子的な データとして送信(あるいは送付)すれば、荷主にとっては大きなコスト負担になる。 (海 貨業者B社としても、コピー作業が無くなれば、少なくとも月に 50 万円以上のコストを削 減できる。 ) ・ 現状では船社に対して EDI で D/R を提出することはしていないが、この業務の EDI 化推進 の阻害要因としては、POLINET、Sea-NACCS 等、どの EDI に関しても参加する船社が少 ないことが挙げられる。 以 上 8 海貨業者C社 ヒアリング録 ■ 日時: 平成 13 年 2 月 28 日(水) 14:00−17:00 ■ 場所: 海貨業者C社 本社 ■ インタビューイ 3 名:取締役総務部長、輸出一課理事、定航部コンテナ一課 ■ 受領資料:①システム構成図 ②人員表 1.企業プロフィール (1) 業種 :海貨業者 (2) 資本金 :資本金 130,000,000 円(1998 年 12 月現在) 営業収入:約 21 億円(1998 年決算) (3) 従業員数:141 名(1998 年 12 月現在) (4) 組織体制、拠点数:本社(総務部、定航部、輸出一部、国際輸送部 名港事務所(船舶代理店部、輸出二部、輸入部) (5) 情報システム全体構成 ・ 海貨業者C社におけるドキュメント業務を行うシステムはN社製港湾業務パッケージAを 中心に構築されている。港湾業務パッケージA用サーバは名港事務所内に設置されており、 クライアント PC が 10BASE-T の Ethernet を介して接続されている。本社及びその他営業所 等と名港事務所間は専用線で接続されており、これら事務所内のクライアント PC からも 名港事務所内の港湾業務パッケージAサーバに接続が可能である。 ・ 当社では港湾業務パッケージA導入以前はドキュメント業務に対して同じくN社製の港湾 業務パッケージBを利用しており、その際は POLINET 及びその他独自 EDI システムとを 港湾業務パッケージBと接続した上で利用していた。しかしながら 1999 年の更改 Sea-NACCS システムに合わせて港湾業務パッケージAを導入したところ、導入後にこれら EDI システムとの接続は港湾業務パッケージAでは対応していないことが判明した。この ため当社では、港湾業務パッケージAと EDI システムとの接続のために現状でも港湾業務 パッケージBのサーバを併用している。例えば、POLINET 経由で港湾業務パッケージAか らデータを提供する場合には、以下のような手順を踏む。港湾業務パッケージAから港湾 業務パッケージBにデータをダウンロードする際には、一部必要なデータが自動的に入力 されないため、足らないデータをオペレータが再入力する必要がある。 9 港湾湾業務パッケージAに S/I データを入力 ↓ 変換ソフトを使用し、データ形式を変換した上で港湾業務パッ ケージAから港湾業務パッケージBにデータをダウンロード ↓ 港湾湾業務パッケージBから POLINET を通じてデータを送信 ・ 当社の社内システムと Sea-NACCS との接続に対しては NACCS-PACK を導入している。 NACCS センターへの接続時にはほぼ 100%メール処理方式を使用しているが、トラブル発 生時への備えとして、 2 台の端末ではインタラクティブ方式も使用できるようにしている。 ・ ドキュメント処理用の業務システムと財務会計システムとは接続されていない。請求情報 は業務システム上で作成され、月に一回の頻度でフロッピーディスク経由で財務会計シス テムにデータが入力される。 2.民民間 EDI 導入の現況 当社において既に導入済みのEDIは以下のとおりである。 2.1 輸入における荷主に対する請求書情報の提出 (1) EDI 導入業務 ・ 輸入時に荷主(2 社)に対して請求書情報を提出する。輸入における請求書は月に 700∼800 件発生するが、このうち EDI を使用して送信される請求書は 100 件程度である。 ・ 併せて、輸入時の貨物に対するカーゴトレーシング情報も提出している。 (2) 利用 EDI ネットワーク ・ 荷主独自フォーマットの請求情報を、独自仕様のソフトウェアを使用し、荷主企業内のサ ーバにダイアルアップ接続を行い送信している。 (3) 社内業務システム ・ 港湾業務パッケージA上で作成した請求情報を荷主独自のフォーマットに変換して送信し ている。 (4) EDI 導入目的 ・ 荷主からの要請による。 10 (5) EDI 導入前の業務の状況 ・ 港湾業務パッケージBから紙の請求書を出力する。 ・ 紙の請求書を荷主に提出する。 (6) EDI 導入後の業務の状況 ・ 港湾業務パッケージA上で請求情報を作成する。 ・ 請求情報を荷主独自のフォーマットに変換する。 ・ 荷主企業内のサーバにダイアルアップ接続をする。 ・ 請求情報を送信する。 (7) EDI の阻害要因 ① 他の荷主からの要望がない ・ 他の荷主からは、請求書情報の送信について要望がない。 ② 荷主独自フォーマットへの対応の必要性 ・ たとえ荷主から請求書情報の送信について要望が挙がったとしても、荷主独自フォーマッ トへの対応が求められる場合には、港湾業務パッケージA内のデータを荷主独自のフォー マットへ変換するトランスレータが必要となる。トランスレータの開発には高額の費用が 必要となるため、ある程度の取引量がある荷主でなければ当社としても対応は難しい。 2.2 船社に対する D/R の提出 (1) EDI 導入業務 ・ 船社に対して EDI を通じて D/R を提出する。 (2) 利用 EDI ネットワーク ・ POLINET を利用し、D/R を船社に送信する。邦船3社及び、自動車輸送用の船舶が対象で ある。 ・ Sea-NACCS の船積事項登録を利用して、D/R を船社に送信する。邦船3社及びその他が対 象である。 ・ 本社では(在来船の S/I、S/A も含め) 、月間 700∼800 件程度の D/R を、また名古屋港では 1200 件程度の D/R が処理されている。このうち POLINET 及び Sea-NACCS を合わせて、 全体の 10%程度の D/R が EDI で送信されている。 ・ 後述するように港湾業務パッケージAが POLINET に対応していないため、現状では POLINET 経由で送信される D/R はそれほど多くは無いが、港湾業務パッケージBを使用し 11 ていた際には、本社で扱われる D/R のうち約 1/4、また名古屋港で扱われる D/R の約半数 が POLINET 経由で送信されていた。 (3) 社内業務システム ・ Sea-NACCS の船積確認事項登録は、業務システムである港湾業務パッケージAから行われ る。 ・ POLINET を使用する場合には、港湾業務パッケージAが POLINET に対応していないため、 港湾業務パッケージA上のデータを一旦港湾業務パッケージBにダウンロードした後に、 港湾業務パッケージBから POLINET へと送信をしている。 (4) EDI 導入目的 ・ D/R を EDI で送信することにより、D/R を船社に配送するための人員を削減することがで きる。 (5) EDI 導入前の業務の状況 ・ 港湾業務パッケージB上に入力された S/I 情報をもとにして D/R(情報)を作成する。 ・ D/R を紙の書類として印刷する。 ・ 紙の D/R を担当員が船社まで持参する。 (6) EDI 導入後の業務の状況 ・ Sea-NACCS を使用する場合には、船積事項登録機能を使用し、港湾業務パッケージから D/R(情報)を船社及びターミナルに送信する。 ・ POLINET を使用する場合には、まず港湾業務パッケージA上に入力された S/I 情報をデー タ変換機能を使用して港湾業務パッケージB用のデータ形式に変換した上で、港湾業務パ ッケージBにデータを取り込む。この変換機能では、本船登録等港湾業務パッケージBで 必要なデータが 100%変換されるわけではないため、オペレータが足らない情報を港湾業務 パッケージBに再入力する。その後、港湾業務パッケージBより POLINET 経由で D/R を 送信する。 (7) EDI の阻害要因 ① 港湾業務パッケージAの POLINET 非対応 ・ 港湾業務パッケージAが POLINET に対応していないため、 現状では一旦港湾業務パッケー ジBを経由して POLINET を利用している。ところが、港湾業務パッケージA用のデータを 港湾業務パッケージB用のデータ形式に変換する機能が完全ではないため、この部分で二 重入力が発生してしまっている。 このため POLINET を使用すると多大な労力が必要となる ことから、現状ではかつてに比べ POLINET 利用件数が大幅に少なくなっている。 12 ・ この変換機能を完全なものにしようとすると、高額なコストが発生するため、対応が難し い。 ② 船社毎の EDI 対応状況の違い ・ 例えば POLINET、Sea-NACCS 等、船社毎に対応する EDI ネットワークが異なる。双方の EDI ネットワークに加入すると、コスト負担が大きくなってしまう。但し名古屋港では、 POLINET 経由で船社に D/R を送信する場合でも、ターミナルから併せて紙の D/R の提出 を求められることは無い。 ③ Sea-NACCS 接続における規則 ・ Sea-NACCS のサーバは専用のものを設置しなければならず、また Sea-NACCS に接続する システムはいわゆるインターネットと接続することができない。これではシステムの利便 性が低くなってしまう。例えば、ウィルスチェックや、ファイヤーウォールの使用を徹底 すれば良いという、もう少し緩やかな規則になれば利便性が高まると思われる。 (8) 解決策 ① ベンダ企業による港湾業務パッケージAの POLINET 対応 ・ 港湾業務パツケージAの POLINET 対応に関しては、 (オプションであるかもしれないが) パンフレット等にその旨が明記されている。ベンダ企業は責任を持って港湾業務パッケー ジAを POLINET に対応させるべきである。 ② 港湾業務パッケージAと港湾業務パツケージBの接続部分の共同開発 ・ ベンダ企業による港湾業務パッケージAの POLINET 対応が難しい場合には、 港湾業務パッ ケージA用のデータを港湾業務パッケージB形式に自動的に(従って再入力作業が無いよ うに)変換する機能が求められる。しかしながら前述のようにこの機能の実現には高額の 費用が必要となる。この変換機能は海貨業者毎にカスタマイズが必要なものではなく、ま た港湾業務パッケージAと港湾業務パッケージBの接続に問題を抱えている海貨業者は当 社以外にも多数いると思われるため、この機能を複数企業が共同で費用を出し合って開発 できないか(ベンダ企業に開発を依頼できないか)と考えている。 ③ EDI ネットワークの相互接続 ・ 船社に合わせて複数の EDI ネットワークに加入すると、コスト的な負担が大きい。海貨業 者としては、一つの EDI ネットワークに加入すると、そこを経由して別の EDI ネットワー クにデータが送信できるようになると良い。 13 3.その他 ・ S/I、I/V、P/L の情報は現状では全て紙でもらっている。海貨業者としては、荷主から標準 フォーマットで船積書類のデータを受け取れるようになればメリットは大きいのだが、メ ーカー∼仲介商社∼海貨という情報(書類)の流れがある場合は、メーカーから直接 EDI でデータを受け取ってしまうと元請けの企業を中抜きする形になってしまい、トラブルに 巻き込まれる。また、小規模な荷主企業に取っては、船積書類の情報を入力する作業は負 担になるものと思われるが、荷主に負担をかけることはできない。 ・ 当社で代理店業務を受け持っている韓国の船社 C-a 社では、船舶基本情報、船舶運航情報、 積荷目録、船積確認等の業務において、Sea-NACCS を利用している。メール処理方式を使 用しており、フォーマットは NACCS フォーマットを採用している(UN/EDIFACT ではな い) 。但し現状はテスト段階であり、紙とデータの両方を受けて見比べている。 ・ 韓国の船社 C-a 社で NACCS フォーマットを採用した理由、あるいは POLINET ではなく Sea-NACCS を採用した理由についてはわからないが、C-a 社では EDI の導入については支 店毎にある程度の権限があり、Sea-NACCS の導入についても東京支店が主導して進めた。 以 上 14 海貨業者D社 海貨業者D社 ヒアリング録 ■ 日時: 平成 13 年 3 月 1 日(木) 13:30−15:20 ■ 場所: 海貨業者D社 本社(大阪) ■ インタビューイ 2 名:営業部門、管理部門(システム担当) ■ 受領資料:会社案内 1.企業プロフィール (1) 業種 :海貨業者 (2) 資本金 :11 億 9,512 万円 (3) 従業員数:200 名 (4) 主要拠点:大阪本社、神戸支店、名古屋支店、東京事務所、堺営業所、摂津営業所 六甲物流センター、南港雑貨センター、南港物流センター、上海事務所 (5) 主要取引先:大手商事会社、大手電機会社グループ等、取引社数全体は 400∼500 社、 大口取引社数は約 20 社 (6) 輸出入取扱実績(平成 10 年度) 輸出 輸入 件数 30,890 15,182 収入実績(千円) 171,899 211,998 1.1 社内システムの概要 ・ 海貨業者D社におけるシステム担当は 2 名の人員を配置している。実際のシステム開発 は外部の情報ベンダに依頼する。 ・ D/R の作成には港湾業務パッケージAを用いている。港湾業務パッケージAの導入は NACCS の更改に合わせて計画し、NACCS 更改の 1 年前にカットオーバー予定であった が、実際には開発が遅れて NACCS 更改と同時期になった。 ・ それまではオフコンベースの独自システムを利用しており、港湾業務パッケージA導入 のためにオフコンからパソコン環境に移行した。それだけでも 900 万円程度の投資を要 した。 ・ 港湾業務パッケージAへの移行当初は、社内からかなりの不評が出た。ユーザインタフ ェースが悪くなった等の指摘が多かった。以前の独自システムでは利用者の声をよく聞 き、ニーズを十分に吸い上げて開発したが、港湾業務パッケージA導入では先にパッケ ージありきで仕様を決めていったので、不評が出るのはあらかじめ予測はしていた。港 湾業務パッケージAのようなパッケージの導入ではやむを得ないことと割り切っている。 15 ・ 港湾業務パッケージAの導入に際しては、各種コードの独自方式からできるだけ標準を 採用するよう心がけた。港コードは国連コードを、船社コードも標準を採り、また荷主 コードも従来の 4 桁から NACCS の 7 桁に紐付けた。 2.民民間 EDI 導入の現況 2.1 荷主との EDI 導入 ・ 大口取引先である大手電機会社 D-a グループ 2∼3 社とは、およそ 10 年前から I/V、P/L、 S/I の船積書類の EDI システムを導入している。フォーマットは顧客仕様である。 ・ 上記システムの開発は海貨業者D社が全額負担した。 ・ 他の大口取引先 10 社程度とは、請求システムとして請求書情報の EDI は行っている。 すべての取引先について、各々個別の仕様である。 ・ 上記について、S.C/S.F ネットの幹事会社であった大手商社 D-b 社とも EDI を行っている が、S.C/S.F ネットは一切利用していない。 ・ 船積書類の EDI システム、請求情報の EDI システムとも、導入の契機は顧客からの要求 である。海貨業者D社からの提案は一切なかった。 ・ 他の取引先で、かつ海貨業者D社からの提案を受け入れてくれる社とは、電子メールを 使っての情報交換をはじめている。 ・ EDI 導入による効果は概ね満足いくものである。大手電機会社 D-a グループとの取引業 務も、取扱量の割には少ない人員で対応できている。基本的に各社と接続するシステム の規模は各々の取引量に応じて構築しているため、システムに対する負担感は少ない。 2.2 コンテナ・ターミナルとの EDI 導入 ・ 海貨業者D社は大阪・神戸地区で 10 ヶ所のコンテナ・ターミナルを利用している。 ・ コンテナ・ターミナルへの D/R、CLP 等の提出方法は、①紙による提出、②紙と EDI (NACCS)の併用、③EDI(NACCS) 、の 3 つのパターンに分けられるが、②または③ の合計件数は全体の 1 割程度にすぎない。 ・ 上記①∼③のいずれの方法を採るかは、当該コンテナ・ターミナルまたは船社の考え方 による。しかし、実際には NACCS の更改に伴って雰囲気的に EDI を入れてみたという 程度であり、総じて EDI 化の目的が明確でなく、また船社からの強い要望があるわけで もないようである。 ・ 海貨業者D社としての強い要望はコンテナ・ターミナル間での方法の統一である。混在 する状況ではすべてを「①紙による提出」としたほうがむしろ効率的といえる。 16 2.3 その他 EDI について ・ 大手商社 D-c 社からの勧誘があって、同商社とスウェーデン企業が共同で運営する、求 貨求船の e-マーケットプレイスに参加している。単に年間 2 万円の会費を払っているの みで、それが実際の取引につながったことは無い。関連部門からは参加は無駄との指摘 がでているが、付き合いだと割り切って参加している。 ・ 気になる存在として、大手商社、銀行、保険会社、船社等が共同で立ち上げた貿易事務 電子化会社の動向には興味がある。中小の荷主企業に対して貿易ドキュメントの作成代 行や様々なアプリケーションサービスの提供(ASP) 、B/L の電子化を計画している。B/L の電子化では Bolero や TEDI と連携するとのことである。 3.民民間 EDI 導入ニーズ 3.1 取引先(荷主)との EDI 導入 ・ (上記2.1と関連して)I/V、P/L、S/I の EDI システムを導入している大手電機会社 A グループとは、当該データを港湾業務パッケージAにシステム的に入力し、D/R を一気 通貫に作成できるまでに至っている。他の取引先とも同様のシステム化を図りたい。 ・ その際に障害となるのは、そのような提案を実際には取引先に対して行えないことであ る。情報化については海貨業にイニシアチブが無いのが実情である。 3.2 コンテナ・ターミナルとの EDI 導入 ・ (上記2.2と関連して)海貨業者D社は港湾業務パッケージAを使って D/R の電子化 は既に行っているので、コンテナ・ターミナルが統一した方法での EDI 化を図ってくれ れば、積極的に対応する。 3.3 検量業、検数業との EDI 導入 ・ 取引先(荷主)およびコンテナ・ターミナルという海貨業にとっての特に重要な相手先 以外との EDI 導入では、検量業および検定業との EDI 化が上げられる。海貨業務の効率 化には有効と考える。 3.4 我が国の港湾の共通システム化 ・ 海貨業者として当社は、EDI システム、電子書式の標準化、統一仕様を熱望する。NACCS か POLINET か、との選択の問題ではない。要は一つのネットワーク接続により、官民 双方とやり取りができればよい。 ・ 情報化の問題を離れて、日本の港湾の競争力が低下している要因の一つにコスト問題が あるが、遠因としては、地方の国際港湾への分散、競合があり、スケールメリットが出 にくい環境が上げられる。近隣諸国のハブ港湾との競合を考えると、日本には 2∼3 港に 17 集中させ、情報化武装を行うべきと考える。 ・ EDI の促進には、輸出業務では上流に位置する荷主/海貨間の標準フォーマット導入に よる EDI が不可欠である。 以 上 18 海貨業者E社 ヒアリング録 ■ 日時: 平成 13 年 3 月 1 日(木) 9:00−11:00 ■ 場所: 海貨業者E社 本社 ■ インタビューイ 2 名:常務取締役、電算室副室長 ■受領資料:①会社案内 ②ネットワーク構成図及びシステム構成図 ③情報化現況調査に係わるヒアリングについて 1.企業プロフィール (1) 業種 :海貨業者 (2) 資本金 :55,000,000 円(1999 年 3 月現在) 売上高 :約 39 億円(1999 年決算) (3) 従業員数:112 名(1999 年 4 月現在) (4) 組織体制、拠点数:本社(総務部、経理部、電算室、輸入本部、輸出営業部、輸出業務部 通関部、作業部) 、ポートアイランド事務所、摩耶埠頭事務所 大阪支店、東京営業所 海貨業務は本社及び大阪営業所にて行われている。また、本社内にて海貨業務に携わる人員 は、約 90 名である。 (5) 情報システム全体構成 ・ 海貨業者E社におけるドキュメント業務を行うシステムはN社製港湾業務パッケージAを 中心に構築されている。港湾業務パッケージA用サーバは本社内に設置されており、クラ イアント PC が 10BASE-T の Ethernet を介して接続されている。また、ポートアイランド事 務所、大阪支店等のクライアント PC も専用線を用いて本社に接続されている。 ・ 当社では港湾業務パッケージA導入以前はドキュメント業務に対して同じくN社製の港湾 業務パッケージBを利用しており、その際は会計業務等、一部業務に対して自社独自のシ ステムを構築し、港湾業務パッケージBと接続した上で利用していた。しかしながら 1999 年の Sea-NACCS システム更改に合わせて港湾業務パッケージAを導入したところ、これら 社内システムと港湾業務パッケージAとはうまく接続することができなかった。このため 現在でも港湾業務パッケージAと一部社内システムとの接続のために港湾業務パッケージ Bのサーバを併用している。例えば、会計システムに対して港湾業務パッケージAからデ ータを提供する場合には、以下のような手順を踏む。港湾業務パッケージAから港湾業務 パッケージBにデータをダウンロードする際には、本船登録等、一部必要なデータが自動 的には入力されないため、人手が介在する必要がある。 19 港湾業務パッケージAに S/I データを入力する ↓ 変換ソフトを使用し、データ形式を変換した上で港湾業務パッケ ージAから港湾業務パッケージBにデータをダウンロードする ↓ 港湾業務パッケージBから会計システムにデータをダウンロードする ・ 当社の社内システムと Sea-NACCS との接続に対しては NACCS-PACK を使用している。港 湾業務パッケージAから NACCS-PACK へは、社内ネットワークを介して、NACCS-PACK のハードディスク上に外部ファイルとしてデータをアップロードしている。NACCS への接 続時にはほぼ 100%インタラクティブ処理方式を利用しており、アップロードされたデータ はこの時に通関の担当員によって内容の確認がなされている。港湾業務パッケージA導入 時にはメール処理方式を主として利用することを想定していたが、メール処理方式はトラ ブルが多く、数時間使用不能になることがあったため、現状ではインタラクティブ方式を 利用している。 2.民民間 EDI 導入の現況 当社において既に導入済みの EDI は以下のとおりである。 2.1 輸出業務における、荷主からの船積書類情報の受信 (1) EDI 導入業務 ・ 輸出業務において、荷主となる大手メーカ E-a 社から、S/I を電子的に受信している。EDI 導入当初は S/I に合わせて、I/V、P/L も電子的に受け取っていたが、現在は S/I のみを受け 取っている。 ・ 大手メーカ E-b 社との間では、2001 年 4 月から、S/I 情報を電子メールで送受信する予定で ある。このため、2001 年 3 月に、メーカ E-b 社独自フォーマットの S/I 情報を業務システ ムに取り込むためのトランスレーション機能の開発を行う。 (2) 利用 EDI ネットワーク ・ 当社の社内に E-a 社独自方式の端末が設置されており、E-a 社から送信された S/I 情報がこ の端末によって受信される。データフォーマットは E-a 社独自形式である。E-a 社からの S/I 情報は全てこの端末を介して受け付けており、件数は月間 250 件程度である。 20 ・ 大手メーカ E-b 社からの電子メール添付を利用した S/I データの受け取りについてはまだ開 始されていないが、現状メーカ E-b 社から紙の書類として受け取っている S/I は、月間 200 件程度である。 (3) 社内業務システム ・ E-a 社から提供されるデータと社内業務システムに入力すべき S/I 情報はフォーマットが異 なるため、トランスレーション処理を施している。このトランスレーション機能は港湾業 務パッケージAを利用していた頃に開発されたものであるため、E-a 社から提供された S/I 情報を社内システムに入力する際には、一度港湾業務パッケージBに入力した上で、港湾 業務パッケージA用のデータに変換の上、港湾業務パッケージAに取り込んでいる。 (4) EDI 導入目的 ・ 荷主からの要請による。 (5) EDI 導入前の業務の状況 ・ S/I を紙で受け取る。 ・ S/I 情報をオペレータが手作業で社内システムに入力する。 (6) EDI 導入後の業務の状況 ・ E-a 社の場合、まず社内の専用端末に S/I 情報を受信する。 ・ 専用端末にてテキスト形式でフロッピーディスクにデータを保存する。 ・ フロッピーディスクからトランスレータにデータを読み込み、テキスト形式のデータを IBM 形式に変換する。 ・ IBM 形式のデータを港湾業務パッケージBに取り込む。 ・ トランスレータによって港湾業務パッケージB形式のデータを港湾業務パッケージA形式 に変換する。 ・ 港湾業務パッケージAにデータを取り込む。 (7) EDI の阻害要因 ① 荷主毎に EDI フォーマットが異なる。 ・ 現状、電子的に船積書類情報を受け取る際には、相手先企業独自のフォーマットを使用し ている。EDI フォーマットを海貨業者側から指定することはできず、また、多くの荷主が 一般的な EDI フォーマットを敢えて使用することは考えられない。このため荷主毎にトラ ンスレータを作成する必要が生じるが、トランスレータの作成には高額の費用が発生する ために、ある程度の取引量がある荷主に対してでなければ、行うことができない。 21 ② 営業的な面で、荷主に顔を出す必要がある。 ・ たとえ荷主から EDI で船積み書類情報を受け取れるようになったとしても、営業上の目的 から高い頻度で荷主を訪問する必要がある。その際に船積書類情報を受け取ることも可能 である。このため、海貨業者にとって船積書類情報を EDI で受け取るメリットは少なく、 紙の書類から社内システムに手入力する部分が無くなる程度だと考えている。 ③ 業務上、データで受け取った I/V、P/L を印刷する必要がある。 ・ 船積書類のうち、I/V、P/L は仕分け作業が必要となる。このため、EDI で電子的に受け取 ったとしても、印刷の必要があり、大きな労力が必要となる。前述のように E-a 社からは、 かつては S/I に加えて I/V、P/L も電子的に受け取っていたが、当社からの申し出で、紙の 書類で受け取るように変更してもらった。 2.2 荷主に対する請求書情報等の提供 荷主に対する請求書情報等の提供 (1) EDI 導入業務 ・ 荷主に対して、請求支払情報を提供する。対象となる荷主は、大手メーカ E-a 社と大手商 社 E-c 社である。 (2) 利用 EDI ネットワーク ・ 大手メーカ E-a 社に対する請求支払情報の提供に対しては、情報を MS-Excel 形式の電子フ ァイルとし、電子メールに添付して送信している。頻度は月に一回であり、その際には電 子データに合わせて紙の請求書類も送っている。 ・ 大手商社 E-c 社に対する請求支払情報の提供に対しては、S.F.NET のフォーマットに従った データを、商社 E-c 社内に設置されたサーバに対して直接ダイアルアップ接続をして送信 している。こちらは請求支払が発生した際に、逐次データを送信している。 (3) 社内業務システム ・ 請求情報は港湾業務パッケージAに入力された情報をもとに港湾業務パッケージA上で作 成している。データ提供時には、港湾業務パッケージA上のデータを港湾業務パッケージ Bに取り込んだ後、送信相手に合わせたデータフォーマットに変換している。 (4) EDI 導入目的 ・ 顧客からの要請による。 22 (5) EDI 導入前の業務の状況 ・ 業務システムによって請求支払情報を作成する。 ・ 請求支払情報を紙の書類として印刷する。 ・ 印刷された請求支払書類を荷主へと渡す。 (6) EDI 導入後の業務の状況 ・ 大手メーカ E-b 社については、EDI を通じて受け取った S/I 情報をトランスレーション後、 業務システムに取り込む。また大手商社については紙で受け取った S/I の情報を手作業で業 務システムに入力する。 ・ S/I 情報をもとに業務システム上で請求情報を作成する。 ・ 港湾業務パッケージA上の請求支払情報を港湾業務パッケージB形式に変換し、請求支払 情報を港湾業務パッケージBに取り込む。 ・ 大手メーカ E-b 社に対しては港湾業務パッケージB上の請求支払情報をオペレータが介在 して MS-Excel 形式の電子ファイルに変換したうえで、電子メールに添付して送信する。 ・ 大手商社 E-c 社に対しては港湾業務パッケージB上の請求支払情報を S.F.NET 形式のデー タに変換後、社内システムから商社 E-c 社に対してダイアルアップ接続を行い、データを 送信する。 (7) EDI の阻害要因 ① 荷主からの要望がない ・ 現状では、上述の 2 社以外の荷主から、特に請求データを電子的に受け取りたいという要 望が無い。 3.民民間 EDI 導入ニーズ 当社において、 現状導入していないが、 今後導入したいと考える EDI は以下のとおりである。 3.1 船社、ターミナルに対するD/Rの提出 (1) EDI 導入業務 ・ 船社、コンテナターミナルに対して EDI を通じて D/R を提出する業務について、一日 のみのテストを実施した。但し当該業務について EDI を導入する具体的な予定は無い。 (2) 利用 EDI ネットワーク ・ Sea-NACCS の船積確認事項登録を利用して、D/R 情報をターミナルに送信する。 Sea-NACCS の船積確認事項登録はコンテナ船を対象としており在来船は対象とされて 23 いないが、当社で扱う貨物の 90%はコンテナである。 ・ POLINET と Sea-NACCS を比較した場合、海貨業者に対する普及率は Sea-NACCS の方 が高い。船社が POLINET と Sea-NACCS のどちらかを導入する場合、スケールメリッ トを考慮して Sea-NACCS を採用することが多いのではないか。 (3) 社内業務システム ・ 船 積 確 認事 項登 録 は、港 湾 業 務パ ッケ ー ジAに 入 力 され たデ ー タをも と に、 NACCS-PACK が導入された PC 上より行う。 (4) EDI 導入目的 ・ D/R を EDI で送信することにより、D/R を船社、ターミナルに配送するための人員を削 減することができる。 (5) EDI 導入前の業務の状況 ・ 港湾業務パッケージA上で S/I 情報をもとにして D/R(情報)を作成する。 ・ D/R を紙の書類として印刷する。 ・ 紙の D/R を担当員が船社、ターミナルまで持参する。 (6) EDI 導入後の業務の状況 ・ 港湾業務パッケージA上で S/I 情報をもとにして D/R(情報)を作成する。 ・ Sea-NACCS の船積確認事項登録機能を使用し、D/R(情報)を船社及びターミナルに送 信する。 (7) EDI の阻害要因 ① 荷主用 D/R 作成の必要性 ・ たとえ EDI を導入し、D/R を送信できるようにしたとしても、荷主に対して D/R を作成 する必要がある。当社から受け取った D/R 情報をもとにして荷主は予め情報に誤りが無 いか確認を行う。これは荷主が B/L を受け取った後の処理を迅速化するためであり、当 該 D/R に対する B/L が船社から提出された際には、荷主は B/L 独自の情報のみをチェ ックする。本来ならば、海貨業者から船社に D/R を提出した後、直ぐに荷主に D/R の 情報が提出されれば良いのだが、現状では船社から荷主に情報が伝わるまでにタイムラ グがある。このため、当社から直接荷主に紙の D/R を渡している。 ② EDI を使用した場合の締め切り時間の変化 ・ D/R を EDI を通じて送信すると、紙の書類で提出する場合に比べて締め切りが早くなる 場合があった。ターミナルに対して D/R を提出する場合、紙の書類を提出するのであれ 24 ば、通常午後 4 時の締め切りに間に合わなそうなときには、電話でその旨を連絡すれば 午後 5 時程度までは待ってもらうことができた。ところが、POLINET 経由で D/R を提 出する場合、これは、本来ターミナルに提出すべき D/R が船社経由でターミナルに提出 されるため、D/R を船社に午後 2 時 30 分までに提出する必要がある。 ③ 紙の書類を受け付ける船社の存在 ・ 当社の本社ビルと、取引先の船社が集まっている地区とは、若干の距離がある。仮に取 引のある船社のほとんどに対して EDI で D/R を提出できるようになったとしても、紙 の書類を提出しなければならない船社が一社でも残っていれば、結局のところ船社が集 まっている地区に担当者が赴かなければならない。これでは全て紙の書類で D/R を提出 する場合と労力はあまり変わらない。 以 上 25 海貨業者F社 ヒアリング録 ■ 日時: 平成 13 年 2 月 27 日(木) 10:00−12:00 ■ 場所: 海貨業者F社 本社 ■ インタビューイ 3 名:総務部電算システム課部長、総務・経理担当部部長 品質管理室室長 ■ 受領資料:①会社案内 ②現行社内コンピュータシステム概要 1.企業プロフィール (1) 業種 :海貨 (2) 資本金 :95,000,000 円(1999 年 3 月現在) 営業収入:約 77 億円(1999 年決算) (3) 従業員数:240 名(1999 年 7 月現在) (4) 組織体制、拠点数:神戸本社を始め、日本国内の6大港に営業所、倉庫等を持つ。 (5) 情報システム全体構成 ・ 海貨業者F社のコンピュータシステムは、勘定系業務、請求系業務、ドキュメント業務等 のためのコンピュータシステムと、顧客との E-Mail の送受信、Web 関連に使用するコンピ ュータシステムとの、大きく二系統のシステムに分かれている。これら二つのシステムは、 相互に接続はされてない。それぞれの業務システムは本社及びその他の拠点にばらまき個 別に構築されており、拠点間での接続は行われていない。 ・ ドキュメント業務用にはN社製の港湾業務パッケージAが導入されている。また、 Sea-NACCS への接続用に、NACCS パックを導入している。Sea-NACCS への接続時は、本 社ではほぼ 100%メール接続方式を使用しているが、トラブルに備えるために、インタラク ティブ方式が利用可能な PC も少数ながら用意している。 ・ また、当社では Web サイトの内容充実にも積極的であり、掲示板を始め、B.I.T.S.(Bulkcago Internet Tracing System)と呼ばれる、本船動静確認の提供も実施している。本船動静等の一 部情報は Web ブラウザ上での閲覧のみに留まらず、利用者の認証をしたうえで、MS-Excel 等の形式でダウンロードが可能である。 2.民民間 EDI 導入の現況 当社において既に導入済みの EDI は以下のとおりである。 26 2.1 輸出業務における、荷主からの船積書類情報の受信 (1) EDI 導入業務 ・ 輸出業務において、荷主から船積書類情報(S/I、I/V、P/L)を電子的に受信している。対 象とする荷主は数社であり、受け取る船積書類全体のなかで EDI 経由のものが占める割合 は数%である。 (2) 利用 EDI ネットワーク ・ 荷主との間の個別 EDI であり、フォーマットも荷主指定のフォーマットを使用している。 (3) 社内業務システム ・ 荷主から提供される船積書類情報と社内業務システム(港湾業務パッケージA)に入力す べき情報はフォーマットが異なるため、トランスレーション処理を施した上でデータを入 力している。 (4) EDI 導入目的 ・ 業務効率化のため。 (5) EDI 導入前の業務の状況 ・ 荷主から受け取った紙の船積書類の情報を、オペレータが手作業で業務システムに入力す る。 (6) EDI 導入後の業務の状況 ・ 船積書類情報を荷主より受け取る ・ 受け取った情報をフロッピーディスクに出力する。 ・ 出力された情報を専用のソフトウェアでフラットファイルに変換する。 ・ フラットファイルをフロッピーディスク経由で港湾業務パッケージAに入力する。 (7) EDI の阻害要因 ① 荷主毎に EDI フォーマットが異なる ・ 現状では荷主毎に EDI フォーマットが異なるが、これらを港湾業務パッケージAに取り込 むためのフラットファイルに変換するソフトウェアは自社で開発している。この開発は荷 主毎に行う必要があり、高額の費用が必要となる。 ② 荷主から船積書類データの提供を受けることが難しい ・ 荷主にとって何らかの利点が無ければ、わざわざ荷主が船積書類を電子化することは考え 27 にくい。例えば荷主が請求データを欲しがる場合など、ギブアンドテイクの関係が成り立 つ場合でなければ、船積書類を電子データとして受け取ることは難しい。 2.2 船社、ターミナルに対する D/R の提出 (1) EDI 導入業務 ・ 船社、コンテナターミナルに対して EDI を通じて D/R を提出する。現状では、名古屋港で のみ行われている。 (2) 利用 EDI ネットワーク ・ Sea-NACCS の船積確認事項登録を利用して、D/R を船社に送信する (3) 社内業務システム ・ Sea-NACCS の船積確認事項登録は、業務システムである港湾業務パッケージAを通して行 われる。 (4) EDI 導入目的 ・ D/R を EDI で送信することにより、D/R を船社に配送するための人員を削減することがで きる。 (5) EDI 導入前の業務の状況 ・ 港湾業務パッケージB上に入力された S/I 情報をもとにして D/R(情報)を作成する。 ・ D/R を紙の書類として印刷する。 ・ 紙の D/R を担当員が船社まで持参する。 (6) EDI 導入後の業務の状況 ・ 港湾業務パッケージAに S/I 情報を入力後、船積事項登録機能を使用し、港湾業務パッケー ジAから D/R(情報)を船社及びターミナルに送信する。 (7) EDI の阻害要因 ① D/R に紙の書類を添付する必要がある ・ 当社では化学薬品や石油など危険物の取り扱いが多いが、このような貨物の場合、D/R に 合わせて危険物明細を提出する必要がある。この危険物明細を FAX で受け付けてくれる船 社であれば、D/R を EDI で提出することは利点があるが、危険物明細を紙でのみ受け付け る船社があり、このような場合には D/R も危険物明細に併せて紙で提出する方が手間が少 ない。 28 ② Sea-NACCS の操作性が悪い ・ Sea-NACCS を利用して D/R を送信する機能は操作が複雑であり、作業者の熟練が必要とな る。このため、作業従事者が Sea-NACCS を使用した D/R の送信を実施したがらない。 ③ 船社の参加比率が低い ・ Sea-NACCS、POLINET 共に、現状では船社の参加比率が低い。このため、コストを負担し てこれら EDI ネットワークに加入したとしても、メリットが小さい。 ④ エラー時の対応が問題となる ・ 特にメール処理方式の Sea-NACCS 等を使用している際に、送信したデータに問題があった 場合に、相手からのレスポンスに時間がかかるため、修正が間に合わない可能性が考えら れる。 (8) 解決策 ① ヘルプデスクの充実 ・ 特に解決策ということでは無いかもしれないが、 Sea-NACCS には NACCS センターがあり、 これがヘルプデスクとなっている。POLINET も、このようなヘルプデスクを充実させると 良いのではないか。 ② EDI 使用時の優遇措置 ・ 例えば、EDI を使用して手続きをする場合は、締め切り時間が延びる等の優遇措置が適用 されると、EDI の利用が推進されるのではないか。 2.3 荷主に対する請求情報の提供 (1) EDI 導入業務 ・ 荷主に対して、請求書情報、及び倉庫からの入庫出庫情報を提供する。 (2) 利用 EDI ネットワーク ・ 請求情報に関しては、S.F.NET 経由で送信する荷主が 2 社、及び独自 EDI によって送信す る荷主が 1 社である。 ・ 入庫出庫情報に関しては、独自 EDI にて 4 社に提供している。入庫出庫情報に関しては、 リアルタイムでの提供は行っておらず、例えば月間の集計等、決まったタイミングでデー タを提供している。 29 (3) 社内業務システム ・ 請求情報は港湾業務パッケージAに入力された情報をもとに港湾業務パッケージA上で作 成している。 (4) EDI 導入目的 ・ 顧客からの要請による。 (5) EDI 導入前の業務の状況 ・ 業務システムによって請求支払情報を作成する。 ・ 請求支払情報を紙の書類として印刷する。 ・ 印刷された請求支払書類を荷主へと渡す。 (6) EDI 導入後の業務の状況 ・ 港湾業務パッケージA上で請求情報を作成する。 ・ データを荷主指定のフォーマットに変換する。 ・ 専門のオペレータが、データエラーのチェックを行う。 ・ 相手先にデータを送信する。 (7) EDI の阻害要因 ① EDI に対する理解の不足 ・ 荷主から EDI への対応を要請される際に、荷主が EDI に対する理解が十分に無いままに、 当該 EDI を導入することが見受けられた。そのような EDI は、導入はしてみたものの、実 際にはあまり有効ではない場合が多い。 以 上 30 船社G社 ヒアリング録 ■ 日時: 平成 13 年 2 月 22 日(木) 13:30−16:00 ■ 場所: 船社G社 東京本社 ■ インタビューイ 2 名:情報システム部長、FIS コーディネイター ■ 受領資料:①船社G社 Fahrplan Schedule February/March 2001 ②船社G社 コンピュータシステム(図 1) ③船社G社 システムフロー(図 2) 1.企業プロフィール (1) 業種 :船社 (2) 資本金 :105,000,000 円(2000 年 11 月現在) 売上高 :310 億マルク(約 17 兆円) (※世界全体、1999 年決算期) (3) 従業員数:100 名(2000 年 11 月現在) 3,300 名(※世界全体、1999 年 9 月現在) (4) 組織体制、拠点数:東京本社(ヨーロッパ輸出営業部、アジア輸出営業部、 マーケティング部、北米営業部、輸入営業部、ドキュメンテーション部) 横浜支店、清水代理店、名古屋支店、大阪支店、神戸支店、門司代理店 (5) 情報システム全体構成 (※世界全体) ・ 本部(ヨーロッパ)に、当社独自の業務システム FIS(Freight Information System)があ り、全世界の拠点とは AT&T 国際フレームリレーネットワークを介して接続されたエミ ュレート端末が設置されている。FIS にて全世界のデータの共有化がなされており、社 内間のデータ転送は不要である。FIS のプラットフォームは IBM ホストであるが、 Windows ベースへ移行中である。このほか、社内メールシステム MEMO(Internet との インタフェースも有り) 、財務会計システムとして SAP を導入している。 (図 1 参照) ・ EDI のゲートウェイサーバ(トランスレーション機能、通信機能等)も本部にあり、FIS と接続されている。EDI 標準として UN/EDIFACT および ASC X.12 を、通信手順として TCP/IP、SNA をサポートしている。ただし、EDI の通信手順としては TCP/IP を利用す る場合が多く、SNA はほとんど使われていない。これ以外の EDI 標準や通信手順をサ ポートしようとする場合、そのためのシステム開発が必要となる。 2 年前、シンガポールにもトランスレーションを行う EDI ゲートウェイサーバを設置し た。アジア・豪州・中近東地域との EDI 取引は、シンガポールを経由して本部と行って いる。シンガポール設置以前は日本など各国・地域に EDI ゲートウェイサーバがあった が、アジア・豪州・中近東地域のものをシンガポールへ集約した。 31 図 1 船社G社コンピュータシステム 本部 出典:船社G社資料 図 2 システムフロー 出典:船社G社資料 2.民民間 EDI 導入の現況 当社において既に導入済みの EDI は以下のとおりである。 2.1 輸出における、海貨業者からの D/R 情報の EDI 受信 (1) EDI 導入業務 ・ 輸出において、複数の海貨業者から D/R 情報を EDI で受信している。EDI 化率は 10% 程度である。 32 (2) 利用 EDI ネットワーク ・ Sea-NACCS(メール処理方式)を利用している。 ・ Sea-NACCS 更改前は POLINET を利用していたが、更改後は Sea-NACCS へ移行してお り、現在は POLINET を利用していない。その理由は、FIS のダウンサイジング、 UN/EDIFACT 導入、TCP/IP 採用、および海貨が積極的に Sea-NACCS へ対応したこと、 などがあげられる。本来、海貨業者は D/R を船社へ提出し、船社は CY へ D/R を転送す るルールになっている。POLINET も同様のプロセスとなっているが、船社−コンテナ ターミナル間の事情により、カット時間までに D/R の情報がコンテナターミナルへ届か ないため、POLINET を利用したときに、海貨業者が別途コンテナターミナルへ FAX で D/R のハードコピーを送っているという実態が一部にあると聞いている。Sea-NACCS を利用した場合、別途 D/R のハードコピーを CY へ提出するという運用は無いようであ り、海貨業者にとっては Sea-NACCS を利用したほうが便利との意見があるようである。 なお、POLINET 利用時の D/R の EDI 化率は 10∼13%程度であった。Sea-NACCS 移行 後も同程度の EDI 化率となっている。 ・ Sea-NACCS については、D/R 受信のほか、官向け業務として、輸入時の税関へのマニ フェスト入力を行っている。船舶動静情報や船舶基本情報については Sea-NACCS を利 用していない。 (3) 社内業務システム ・ 前述のように、D/R、B/L は本部の FIS にて一元管理されている。 ・ 日本にある Sea-NACCS 専用メールサーバは、シンガポールのサーバを経由して本部の FIS と接続されている。シンガポールには FIS データと NACCS フォーマット (UN/EDIFACT 準拠)とのマッピング機能を構築しており、トランスレーションが行わ れる。また FIS と NACCS サーバとのデータ連携においては、データ内容確認、ブッキ ングナンバ確認(未入力の場合) 、企業コード入力(未入力の場合)等の若干の手作業 が介入する。当社ではブッキングナンバ(8 桁)をキーとしてデータを管理しているた め、ブッキングナンバの入力は必須である。荷主に対しては、できるだけ書類へブッキ ングナンバを入力・記載するようお願いしており、最近はブッキングナンバの入った D/R が増えてきた。荷主からの問合せでもブッキングナンバを教えてくれることが増え てきた。 ・ また、Sea-NACCS はコンテナ単位のデータの持ち方をしているが、当社ではコンテナ 単位かつカーゴアイテム単位のデータの持ち方(CLP と同様)をしているため、両者の 変換が必要である。なお、SHIPNETS の時にもコンテナ単位であったため、このような 変換が必要であった。 33 (4) EDI 導入目的 ・ B/L を作成する際、海貨から EDI で受信した D/R 情報を自動転記できるため、業務を時 間的に平準化できる。また、作業ストレスを軽減できる。例えば、D/R データの信用度 が上がるため、B/L の記載ミスによる荷主からのクレームが減少した。D/R の内容が間 違えていたために B/L の内容を間違えた場合、荷主の責任ということになる。 ・ ただし、D/R の EDI 化率は 10%程度(すべて Sea-NACCS) 。残りの 90%は依然 FAX 等 で受信しており、当社として十分な業務効率化効果が得られているとは言えない状況で ある。EDI 化率が高まらない最も大きな阻害要因は、EDI ネットワークへの海貨の参加 が少ないことである(詳しくは後述) 。 ・ D/R 受信は、EDI 化率が高まれば、当社として最も EDI 導入効果の高い業務であり、 Sea-NACCS や POLINET の改善による海貨の参加、EDI 化率向上を期待する。 (5) EDI 導入前の業務の状況 ・ 海貨もしくはターミナルから FAX 等で D/R のハードコピーを受け取る。 ・ ドキュメントセンタのオペレータが、FIS 端末に D/R 内容を入力する。その際、ブッキ ングナンバ(FIS ではキー項目となっている。8 桁)や、荷主の企業コードが未記載の 場合、追加で入力している。 ・ 前述のように、D/R の EDI 化率は 10%程度となっており、残りの 90%は依然上記の業 務手順を行っている。現在、ドキュメントセンタの 8 人のオペレータが D/R 入力を行っ ている。 (6) EDI 導入後の業務の状況 ・ Sea-NACCS から D/R データを受信する。 ・ ドキュメントセンタのオペレータが、受信 D/R データを端末上に表示し、内容を確認す る。その際、ブッキングナンバ(FIS ではキー項目となっている。8 桁)や、荷主の企 業コードが未記載の場合、追加で手入力している。 ・ 現状、D/R の EDI 化率は 10%程度に止まっており、D/R 入力オペレータの削減までには 至っていない。 (7) EDI の阻害要因 D/R 受信業務における既存 EDI ネットワーク(POLINET、Sea-NACCS)の阻害要因は以 下のとおりである。 ① EDI ネットワークへの海貨の参加が少ない ・ 第一に、海貨業者の EDI ネットワークへの参加が少なく、D/R の EDI 化率が低い(10% 程度)ため、十分な業務効率化効果を得られないことがあげられる。この程度の EDI 34 化率だと、むしろ業務の二重化により二度手間となっている感がある。 ・ D/R 受信の EDI 化率を向上させるためには、海貨業者の協力が不可欠である。 Sea-NACCS、POLINET ともに、海貨業者が利用しにくくなっていることが、EDI 化率 の低迷を招いている。 ・ まず、Sea-NACCS の改善点についてであるが、業務システムを持たないような中小海 貨業者にとっては、E/D と D/R と同じような項目を二度入力しなければならず、データ の連携ができない仕組みとなっていることが問題である。E/D は通関上必須であるが、 D/R の入力は船社へのサービスであり、面倒と思われている。荷主から受け取った S/I 等の情報をもとに、D/R へトランスレーションできれば良いが、NACCS パック(イン タラクティブ方式)を使っているような中小海貨業者にとって、そのようなトランスレ ーション機能をシステム上に作りこむことは、コスト面、システム運用面において困難 である。港シ協が提供を予定している POLINET ASP サービスは、このようなトランス レーション機能を ASP で安価・簡易に提供するものであり、海貨業者の参加による D/R の EDI 化率向上に寄与できるのではないかと期待される。 ・ POLINET の改善点であるが、海貨業者が POLINET で D/R を送信したとき、船社だけ ではなくコンテナターミナルへも D/R が行くよう改善すべきである。なお、コンテナタ ーミナルがなぜ D/R を必要としているか調査してみるとよいのではないか。コンテナタ ーミナル自身は積込において D/R を使うことが少なくなっていると聞いたことがある。 コンテナターミナルではなく、税関が D/R を要求している可能性もある。 ② EDI 標準や通信手順が、本部の業務システムで対応できない ・ 現在、本部の業務システム FIS は、EDI 標準として UN/EDIFACT、ASC X.12 を、EDI のための通信手順として TCP/IP、SNA 等をサポートしている。これ以外の EDI 標準や 通信手順に対応するためには、ゲートウェイのシステム開発が必要となり、初期費用が 高くなる。 ・ POLINET は EDI 標準として SHIPNETS 標準だけでなく UN/EDIFACT もサポートしてい るが、桁数が足りないなどの問題があり、当社の FIS へ取り込もうとするとエラーとな る。また、通信手順については、POLINET の全銀協手順、Cyber-POLINET の全銀 TCP/IP とも現状の FIS では対応できない。EDI 通信手順としては TCP/IP を採用するケースが ほとんどであり、POLINET についても TCP/IP 対応を望む。 ・ 海貨業者の中にも、UN/EDIFACT の普及が進んできた。Sea-NACCS が UN/EDIFACT に 対応した影響が大きいのではないか。ちょっと前までは、UN/EDIFACT を知らない業者 や、対応が難しいと考える業者が多かった。 ・ 既存の EDI ネットワーク(POLINET、S.C.NET 等)でも、参加企業が増えて、効果が 上がるだけの EDI 化率が見込め、かつ、SHIPNETS 標準⇔UN/EDIFACT 変換機能の提供 や TCP/IP 対応といった技術的な改善が成されれば、当社の判断で本部へ対応を依頼す 35 ることも可能である。とくに、多数の海貨の参加による EDI 化率向上が最大の鍵である。 ③ Sea-NACCS のサーバが他業務で使えないため、非効率となっている ・ Sea-NACCS については、役所のシステムということで、これを使わざるを得ないため、 本部へ依頼し対応した。しかしながら、Sea-NACCS 専用のサーバとなっており、他の 業務へも使えれば良いと思う。 ・ Sea-NACCS の運用コストは思ったより高いという印象である。 2.2 輸出における、荷主への B/L 情報の EDI 送信 (1) EDI 導入業務 ・ 荷主 G-a 社(1 社)へ、B/L 情報を EDI で送信している。 ・ 荷主 G-a 社とは、今後、B/L 情報だけでなく、ブッキング情報、カーゴトレーシング情 報、運賃請求情報の交換をインターネット VPN を利用して行うための移行準備を進め ている。 (2) 利用 EDI ネットワーク ・ 荷主 G-a 社とは、荷主指定の VAN を利用している(S.C.NET ではない)が、前述のよ うに、インターネット VPN(独自)への移行準備を進めている。 ・ Email アタッチドファイルで B/L 情報を提供している荷主もある。フォーマットについ ては、当社からも提示するものの、荷主から指定される場合も少なくない。 ・ FIS にはデータを FAX 変換して自動配信する機能があり、FAX でも B/L 情報を提供し ている。 ・ 十数年前、荷主 G-b 社(1 社)からの要請により、S.C.NET を導入し、B/L 情報を送信 していたことがあったが、当社内の EDI システムのトラブルがあって以来中断したまま である。システムトラブル発生時、事情により荷主への連絡が遅れたが、それに対する 荷主からのクレームは無かった(未だに連絡していない) 。その荷主は B/L の EDI デー タを利用していなかったのではないかと思われる。 (3) 社内業務システム ・ 前述のように、B/L、D/R は本部の FIS にて一元管理されている。 (4) EDI 導入の目的 ・ 荷主との間の EDI は、荷主からの要請により導入する。B/L 情報送信に関して、当社か ら自発的に EDI の導入を荷主へ要請することは考えられない。 36 (5) EDI 導入前の業務の状況 ・ D/R データを自動転記し、B/L を発行したあと、B/L データを FIS に保存する。FAX 等 で B/L 情報を提供しているが、FIS から自動送信されるため、人手は介さない。 (6) EDI 導入後の業務の状況 ・ D/R データを自動転記し、B/L を発行したあと、B/L データを FIS に保存する。FIS から 荷主への B/L 情報の EDI 送信は、自動的に行われる。 (7) EDI の阻害要因 荷主への B/L 情報送信業務における EDI の阻害要因は以下のとおりである。 ① 荷主から個別対応(フォーマット等)を要求される ・ 荷主からフォーマット等を指定される場合が多く、対応せざるを得ない。変換テーブル を作ってしまえば、日々の運用は自動化できるが、初期導入時の変換テーブル作成費用 が個別にかかってしまう。なお、荷主から要求されたフォーマットの一部項目が FIS に 無く、そのフォーマットに対応できないというケースは稀である。 2.3 コンテナターミナル業者との間の、コンテナ積み卸し情報の コンテナターミナル業者との間の、コンテナ積み卸し情報の EDI 送受信 (1) EDI 対象業務 ・ 現状、コンテナターミナル業者との間で、コンテナ積み卸し情報(コンテナ搬出入情報、 本船コンテナ積み卸報告)の送受信に EDI を導入している。EDI 化率は約 95%である。 (2) 利用 EDI ネットワーク ・ ターミナルに FIS の端末を設置し、ターミナルのオペレータが端末からインターネット 経由で FIS へ直接ログインして入力する方式か、インターネットの E-mail アタッチドフ ァイルで受信する場合のどちらかである。 ・ アライアンスの中でコンテナ積み卸し情報のフォーマットを統一化しており、アライア ンス内のターミナルであれば、すべて同じフォーマットで積み卸し情報を受信すること ができる。UN/EDIFACT の CODECO、COARRI に準拠している。フォーマットの統一 化は当社がイニシアチブを取った。 ・ 不定期などで、アライアンス外の企業がオペレートする港を利用する場合は、Email ア タッチドファイルでコンテナ積み卸し情報を受信するか、FAX で受信するか、のどちら かである。アライアンス外の場合でも、UN/EDIFACT を採用している場合が多く、トラ 37 ンスレータを介せば EDI が可能なケースがほとんどである。日本の地方の港では FAX 受信により運用しているところもある。 (3) 社内業務システム ・ コンテナ積み卸し情報は本部の FIS にて一元管理されている。 (4) EDI 導入の目的 ・ ターミナル業者からのコンテナ積み卸し情報の受信については、95%が EDI 化されてお り、データ再入力作業削減などによる業務効率化効果は大きい。定期便については、当 社との EDI に対応できるターミナルを利用しているので、EDI 化率は高い。 (5) EDI 導入前の業務の状況 ・ 基本的には当初から EDI による運用を行う場合が多いが、EDI に対応できない港の場合 で、FAX によりコンテナ積み卸し情報を受け取った場合は、当社のオペレータが FIS へ 手入力している。 (6) EDI 導入後の業務の状況 ・ ターミナルより受信したコンテナ積み卸し情報は、自動的に FIS へ取り込まれるため、 人手によるオペレーションは発生しない。 (7) EDI の阻害要因 ・ 基本的には当社の要求をターミナル業者に聞いてもらうという関係であり、当社から見 て特段の阻害要因は無い。 ・ ターミナル業者にとっても、アライアンス内で UN/EDIFACT に基づいたフォーマット の統一化がなされており、かつアライアンス外でも多くの場合トランスレータを介せば EDI 取引が可能であるため、特段の阻害要因は無いのではないか。 3.民民間 EDI 導入ニーズ 当社において、 現状導入していないが、 今後導入したいと考える EDI は以下のとおりである。 すべて荷主との間の EDI 取引である。 3.1 荷主からのブッキング情報の EDI 受信 (1) EDI 導入業務 ・ ブッキング情報については、現状 EDI 化されていないが、当社としてメリットが大きい 38 ため、EDI 化したい業務である。 (2) 利用 EDI ネットワーク ・ 現在、当社の Web 上にてブッキングサービスを提供しているが、利用率は極めて低い。 ほぼ 100%電話が使われている。主に営業的な意味合いから、荷主にとっても、船社に とっても、電話の方が良いと考えられているのではないか。また、荷主にとっては、電 話のほうが、確実にブッキングできるという安心感があるのではないか。 ・ 前述の荷主 G-a 社(EDI 導入済)とは、現在、VAN を利用して B/L 情報のみの交換を 行っているが、今後、ブッキング情報、カーゴトレーシング情報、B/L 情報、運賃請求 情報の交換をインターネット VPN を利用して行うための移行準備を進めている。荷主 B社における SCM 導入の一環である。 (3) 社内業務システム ・ 本部の FIS にてデータを一元管理していることから、もし EDI 化するとしたら、EDI ネ ットワークと FIS とを接続することになる。 (4) EDI 導入の目的 ・ ブッキング情報の EDI 化については、当社としてメリットが大きく、EDI 化ニーズの高 い業務である。ブッキング情報を EDI で受信することができれば、FIS へ迅速にデータ を渡すことができるだけでなく、データ再入力作業を削減することもできる。FIS では、 ブッキングナンバをキーとしてデータを一元管理していることから、ブッキング情報を 迅速・正確に入力することが重要となっている。 ・ Web でのブッキングサービスについては、利用率がほとんどゼロに近く、また FIS と接 続されておらず、オーダが入るとオペレータが FIS へ手入力している状況のため、ブッ キングナンバ入力作業の削減には結びついていない。 (5) EDI 導入前の業務の状況 ・ 営業担当者がブッキングを電話で受けたあと、その内容を FIS へ手入力している。 (6) EDI 導入後の業務の状況 ・ 荷主よりブッキング情報を EDI で受信することができれば、FIS へ自動的にデータを渡 すことができる。 (7) EDI の阻害要因 ・ Web でのブッキングサービスは、近年多くの大手船社が提供してきているが、船社によ って入力項目が様々であり、入力項目数も多いため、荷主にとって使いにくいものとな 39 っているのではないか。 ・ ブッキング情報の EDI 化については、どちらかと言えば船社側にメリットのある業務で あることから、荷主の参加を促すための何らかの方策が必要であろう。複数船社の参加 によるコミュニティ的なブッキングサイトを立ち上げ、船社や航路間の比較ができるよ うにしてはどうかとのアイデアもあるが、実態として決まった船社へリピートオーダを 出すケースが少なくない中で、荷主の支持を得られるかどうか。 3.2 荷主へのカーゴトレーシング情報の EDI 送信 (1) EDI 導入業務 ・ カーゴトレーシング情報については、現状 EDI 化されていないが、最近、荷主からの EDI 化要請が増えている。 (2) 利用 EDI ネットワーク ・ 現在、FAX やテレフォンサービスのほか、当社の Web 上でもカーゴトレーシング情報 を提供しているが、利用率は極めて低い。大手荷主の中には、SCM の一環として、カ ーゴトレーシング情報を社内システムへ入力するところが増えており、Web による情報 提供では、大量処理に向かないためではないか。実際、荷主からの要請は EDI が多い。 その一部は既に個別に対応している。 ・ また、前出の荷主 G-a 社(EDI 導入済)とは、現在、VAN を利用して B/L 情報のみの 交換を行っているが、今後、ブッキング情報、カーゴトレーシング情報、B/L 情報、運 賃請求情報の交換をインターネットVPNを利用して行うための移行準備を進めている。 荷主 G-a 社における SCM 導入の一環である。 ・ ある荷主からは、北米の鉄道輸送と当社の船舶を一元化したカーゴトレーシング情報を 提供できないか、との要請もあった。 (3) 社内業務システム ・ 本部の FIS にてデータを一元管理していることから、もし EDI 化するとしたら、EDI ネ ットワークと FIS とを接続することになる。 (4) EDI 導入の目的 ・ 前述のように、最近、大手荷主の中には、SCM の一環として、カーゴトレーシング情 報をシステム的に管理しようとするところが増えてきており、カーゴトレーシング情報 の EDI 化は荷主にとってメリットが高まっているのではないか。実際、EDI 化要請が増 えている。当社としても、荷主に対する競争力強化の観点から、要請があれば対応して いる。 40 3.3 輸出における、荷主へのオリジナル B/L の EDI 送信 (1) EDI 導入業務 ・ いくつかの船社がオリジナル B/L の EDI 化に対応してきており、当社本部でも検討して いる。 ただし、 日本の荷主からのオリジナルB/Lの EDI化要請はほとんどないのが現状。 (2) 利用 EDI ネットワーク ・ オリジナル B/L を EDI 化する際には、BOLERO.NET を利用することが考えられる。 BOLERO の法制度上の問題等を検証している。 (3) 社内業務システム ・ 本部の FIS にてデータを一元管理していることから、もし EDI 化するとしたら、EDI ネ ットワークと FIS とを接続することになる。 (4) EDI 導入の目的 ・ 荷主にとっては、いわゆる B/L 危機の回避がある。船舶が高速化しているなかで、近距 離航路ではニーズが高まっているといえる。ただし、日本の荷主からオリジナル B/L の EDI 化要請はないのが現状。WayBill が増えてきている(当社では 50%以上が WayBill。 特に、北米向や欧州向けについては、9 割以上が WayBill)のと、電子データへの不信 感が原因ではないか(WayBill にサインを求められるケースもあるぐらい) 。WayBill が 増えているのは、大手メーカ中心に系列取引が少なくないことも一因となっている。 ・ WayBill の電子化要請も無いわけではないが、さほど強くはない。本部も、すぐに対応 しなければならない、とは考えていない。 ・ オリジナル B/L の電子化は、船社にとっても、①窓口業務の省力化、②決済業務の省力 化、というメリットがあるが、EDI 化率次第である。なお、日本国内の窓口は 7 箇所(本 社 1、支店・代理店 6)である。また、決済業務に関して、我が国では荷主毎に運賃を 設定している場合が多く、決済処理は複雑となっている。ただ、与信を与えて月次決済 を行っている場合もある。 3.4 その他の対荷主業務について ・ 輸出における、荷主への運賃請求情報の EDI 送信については、当社としてもメリットが 無いし、荷主からの要請もさほど無い。Web からのダウンロードサービスも提供してい る(PDF ファイル)が、さほど利用率は高くないようである。 ・ Arrival Notice (A/N) の EDI 化ニーズもさほど感じない。A/N 不要という荷主もあるよう であるが、当社については A/N の件数自体は減っていない。 以 上 41 船舶代理店H社 ヒアリング録 ■ 日時: 平成 13 年 3 月 2 日(金) 10:30−12:00 ■ 場所: 船舶代理店H社 東京支店 ■ インタビューイ 3 名:社長室付、取締役営業1部長、営業1部オペレーションチーム ■ 受領資料:船社 H-a 社(Shipping Route Guide) 1.企業プロフィール (1) 業種 :船舶代理店業 (2) 資本金 :277,000,000 円 (3) 従業員数:34 名 (4) 組織体制、拠点数:東京本社、大阪支店 サブエージェント → 東京代理店、横浜代理店、清水代理店、名古屋代理店 神戸代理店、門司代理店、函館代理店、室蘭代理店 小樽代理店 (5) 代理店引受船社:7 社 (6) 業務の概要 ・ 代理店H社が自ら行う(外注していない)主な業務範囲は、営業のほか、B/L、D/O 発行 を行う程度である。それ以外の貿易書類のドキュメンテーションは、基本的にサブエー ジェントが行っている。B/L の作成もサブエージェントである。B/L 作成はコンピュータ によらず D/R または S/A の切り貼り印刷方式である。 なお、 船社 H-a 社は輸出入とも CLP を廃止。 ・ 取引先荷主は、大手商社、大手メーカ、その他中小荷主である。大手商社・メーカにつ いては、延払いが増えている(主に月単位) 。 ・ 船社の中では、船社 H-a 社との結びつきが強い。 ・ イランとパキスタンについては在来貨物がある。その他はコンテナ貨物がほとんどであ る。 ・ WayBill の比率は全輸出入の 1∼2 割程度。その他は B/L である。 (7) 情報システム全体構成 ・ 代理店料管理業務は、Excel を利用している。市販の業務アプリケーションではなく、独 自に定めたカラム構成に基づき、シート内に関係データを入力している。経理業務も同 様に市販パッケージを使わず、社内のエキスパートが作った PC システムで処理してい る。端末は複数あり、LAN で接続されており、データの共有がなされている。 42 2.民民間 EDI 導入の現況 代理店H社は、輸出入ともに、民民間 EDI を導入していない。Sea-NACCS や港湾 EDI など の官民間 EDI も導入していない。 船社 H-a 社以外の船社については、日本と外地代理店との間の書類はハードコピーか fax.に よっている。 船社 H-a 社については、輸入マニフェスト等の画像データをインターネット経由でダウンロ ードするサービスがあり、代理店H社、サブエージェント、関連一部ターミナルが利用してい る。また、船社 H-a 社については極東外地港のベイプラン情報を船社 H-a 社のシステムにより データとして入手できる。 必ずしも EDI とは言えないが、本章ではこれらのシステムを紹介する。 2.1 輸入マニフェスト等の画像データのダウンロード ・ EDI とは言えないが、船社 H-a 社扱いの輸入貨物については、マニフェスト等の画像デ ータを、 船社 H-a 社の Document Server よりインターネット経由で入手することができる。 対象となるのは、香港、ブサン、ウルザン、バンコク、マニラから東京への貨物。代理 店H社の全輸入(B/L 件数ベースで約 1,500 件/月)の 4∼5 割は、この仕組みによりマ ニフェスト等の画像データをダウンロードしている。 ・ 具体的には、以下の手順でダウンロードする。 ① ブラウザから、船社 H-a 社の Document Server の URL にアクセスする。 ② 代理店A社の Login ID とパスワードを入力する。 ③ Vessel Code、Voyage No.、POL、POD を入力する。 ④ 該当する貨物のリストが表示される。 ⑤ B/L No.等を元に貨物を選択すると、マニフェスト等の画像データをダウンロ ードすることができる。 ⑥ 画像データのフォーマットは Ghostscript(http://www.cs.wisc.edu/~ghost/)である。 GStool というビューアでマニフェストデータを表示する。レーザプリンタで印刷 することもできる。 ・ マニフェストの画像データの様式は、ペーパベースとは異なる場合がある。韓国からの 貨物の場合には、韓国税関様式のマニフェストとなっている。マニラからの貨物の場合 には、別の様式となっている(フィリピン税関の様式と想像する) 。 ・ 代理店H社は、ダウンロードしてプリントアウトしたフレイト・マニフェスト情報を見 て、代理店管理業務に関わる項目(B/L No.、コンテナ No.、コンテナ種類、コンテナ運 賃、等)を Excel に入力している。Excel への入力は、アルバイト1名(専任)が行って いる(ペーパのマニフェストも併せて入力作業を行っている。合計約 1,500 件/月) 。 43 ・ マニラからの貨物については、Document Server 導入前は fax.等で情報を受け取っていた が、回線品質が悪く、内容が不鮮明で読み取れないことも少なくなかったが、Document Server へ移行してからは、書類内容が鮮明になった。 ・ サブエージェントのうち、清水と神戸については、直接船社 H-a 社の Document Server へアクセスし、マニフェスト等の情報をダウンロードしている。 ・ 日本を除く極東積地港によるマニフェストデータの入力は、おおむね出港後1日以内に は行われる。積地港によっても多少異なる。例えば、香港→東京間は航海日数が短いた めマニフェストデータの入力は急がれる。香港を木曜日に出港し、東京には月曜日に入 港するため、金曜の夕方までにはマニフェストを入手する必要がある。金曜の夕方まで に Document Server からのデータのダウンロードが間に合わず、韓国の本部へ電話で催促 することもある。 ・ マニフェスト等の確定データ (必要に応じて訂正も行った後のデータ) が Document Server へアップロードされると、Submit Notice(船社 H-a 社社内での呼び方)が Email で送ら れてくる。この中にはコンテナ本数も明記されており、ダウンロードサービスで入手し たマニフェストとの整合チェックを行えるようになっている。なお、日韓間貨物のみ Email による Submit Notice ではなく、電話での連絡となっている。 ・ このダウンロードサービスは、オンライン対応ができない対日本向けのサービスとして 船社 H-a 社が用意したものである。航行日数 3∼5 日間程度と比較的短距離の東南アジア ∼日本航路を対象に、マニフェスト等の書類の揚げ地への送付を、貨物到着に間に合う よう迅速化することが目的である。 ・ 香港−韓国間は EDI 化されており、マニフェストの情報がファイル転送ベースでやり取 りされている。UN/EDIFACT かどうかは不明。日本との間も EDI 化(オンライン化)す べく検討に入る予定である(次章参照) 。 2.2 外地港からのベイプラン情報のダウンロード ・ 大阪のサブエージェントと、神戸のサブエージェントは、船社 H-a 社の CASP サーバに アクセスすることにより、FTP でベイプラン情報を電子的に入手している。 2.3 その他 ・ Sea-NACCS や港湾 EDI への対応は、サブエージェントに任せてあるが、某コンテナター ミナル会社は、Sea-NACCS に参加しており、Sea-NACCS へデータを入力してくれない か、との要望があった。代理店H社分だけ手入力となるのは煩雑なため。 44 3.民民間 EDI 導入ニーズ 3.1 船社 B 社との EDI 取引 ・ 船社 B 社との間では、香港−韓国間と同様に、EDI 化の検討を行う予定である。7 月に 韓国本部の情報システム担当が来日し、ヒアリングを受けることになっている。ハード ウェアリクアイアメント、回線の組み方、データのセキュリティなどについてヒアリン グを受ける予定。本部で EDI 化のための費用見積を行うことが目的と思われる。この EDI 化のための費用は、ハード、ソフト、回線とも船社 H-a 社側となる見込み。 ・ EDI 対象業務は今後の検討事項であるが、マニフェスト情報の EDI 送信が対象業務に含 まれる場合、マニフェスト情報の入力を代理店H社が行うのか、サブエージェントが行 うのか、要検討事項となる。現状、サブエージェントへ手数料を支払って B/L およびマ ニフェストを作成してもらっているが、EDI データの入力も同じ手数料で行ってもらえ るかどうか。情報化投資に関するサブエージェントとの関係は、これまで実例が無いた め、今のところは具体的な方針は無いが、今後は検討が必要となるかもしれない。 3.2 その他民民間 EDI( EDI(POLINET、 POLINET、S.C.NET 等)の阻害要因と解決策について ・ 代理店H社が民民間 EDI を導入する場合には、費用の問題が大きい。民民間 EDI のため の費用は自己負担となり、プリンシパルが負担することは無いと思われる。投資に見合 った効果が得られるかどうか。また、代理店はプリンシパルにいつ逃げられるかどうか わからないというリスクを持っており、代理店H社からプリンシパルへ補助金を請求す ることも考えられる。 ・ サブエージェントが EDI ネットワークに参加することについての是非または問題点につ いては、代理店H社から明確なコメントを引き出すことはできなかった。サブエージェ ントへ払っている手数料の範囲の中でサブエージェントが考えれば良いと考えているよ うであった。 ・ 船社向け業務パッケージソフトウェアとして、TTSI 社の Tradeware(事務局注:現在は QIVA 社の IQShip)が比較的優れている。購入価格は約 1~5 千万円。IBM3270 や AS400 上で稼動する。EDI 機能もある。 このようなパッケージソフトウェアが普及すれば、船社としても POLINET や S.C.NET を導入しやすくなるのではないか。 以 上 45 船舶代理店I社 ヒアリング録 ■ 日時: 平成 13 年 2 月 26 日(月) 14:30−17:00 ■ 場所: 船舶代理店I社 東京支店 ■ インタビューイ 3 名:船舶代理店I社より代表取締役社長、東京支店業務長 代理店引受船社 I-a 社より E.D.P.セクション部長 ■ 受領資料:船社 I-a 社 Shipping Guide 1.企業プロフィール (1) 業種 :船舶代理店業 (2) 資本金 :80,000,000 円(2000 年 11 月現在) (3) 従業員数:40 名(2000 年 11 月現在) (4) 組織体制、拠点数:大阪本社、東京支店 サブエージェント → 横浜代理店、清水代理店、名古屋代理店、神戸代理店 門司代理店 (5) 代理店引受船社:2 社 (6) 情報システム全体構成 ・ 代理店I社、および船社 I-a 社のシステム構成は、図1のとおりである。 ・ 代理店I社の港湾業務システムは、東京支店に設置された業務サーバと、横浜、大阪、 名古屋、神戸に設置された業務端末により構成されている。東京のサーバと各地の業務 端末とは、マルチプレクサ方式により接続されている。このほか、東京支店にパソコン があり、マニフェストのプリント、VLP(Vessel Load Plan、CLP とは異なる内容) 、経理 関係等の業務を行っている。このパソコンは東京の業務サーバと接続されている。 ・ 東京の業務サーバは、香港に設置された船社 I-a 社の極東エリアを管理する業務サーバと フレームリレー回線を介して接続されている。船社 I-a 社は、香港を含め、世界4箇所に、 エリアを管理する業務サーバを設置しており、このサーバに各国・地域の業務サーバが 接続されている。例えば、香港の業務サーバは、東京のほか、シンガポール、オースト ラリア、中国、韓国、マニラのサーバと接続されている。 ・ 取引データは各エリアや国・地域に設置された業務サーバにて分散管理されており、ワ ールドワイドで1箇所が集中管理しているという形態ではない。例えば、神戸からロサ ンゼルスへの航路の場合、神戸の端末で入力された B/L データは、東京サーバ、香港サ ーバ、北米を管轄するエリアサーバを経て、ロサンゼルスへ到達し、マニフェストの出 力が行われる。 46 図1 代理店I社および船社 I-a 社の港湾業務システム構成 KOR MNR YOK SIN エリア 1 JPN (TYO) HKG OSA KBE NGO AUS エリア4:極東 CHN エリア 2 PC (TYO) エリア 3 エリアを管理する業務サーバ(設置場所) 国・地域を管理する業務サーバ(設置場所) クライアント(設置場所) 専用線 (※HKG-JPN間はフレームリレー) 公衆回線 マルチプレクサ LAN 出典:代理店I社 ・ 取引データが分散管理されているため、サーバ間をやり取りする取引データのフォーマ ット、コード、通信手順等については、船社 I-a 社の標準がある。東京の業務サーバもこ れに準拠している。 ・ 情報システム構築においては、一部船社 I-a 社からの制約を受けることになる。業務アプ リケーションの仕様は、基本的に、前述の船社 I-a 社のフォーマット、コード、通信手順 等に準拠しながら、その国・地域の業務の実情にあわせ、代理店が定めることができる。 システム投資の分担については、ハード、OS は船社 I-a 社負担、業務アプリケーション は代理店負担となっている。 ・ 船社 I-a 社は、アプリケーション(フォーマット、コード含む) 、ハード、通信を含む抜 本的な業務システムの入れ換えを検討中である。通信については現状のマルチプレクサ から、TA 方式へ移行する見込みである。 ・ 代理店I社の情報化投資規模に関しては、ほとんど予算に計上していない、というのが 実情である。船社 I-a 社などの代理店受入船社、あるいは荷主からリクエストがあれば情 報化投資を行う、というのが基本的なスタンスである。EDI に関しては、当社の取引件 47 数から見て効率化効果のある業務は見出せない。ただし、マニフェストについては電子 化の方向にあるものと思われる。 ・ カーゴトレーシングについては、船社 I-a 社が Web 上でサービスを提供している。コン テナ番号を入力して検索することができる。 ・ 極東エリアにおけるカーゴトレーシング情報のアップデートは、当社の女性社員が1人 で管理している。毎晩アップデート情報を世界各地へ発信している。 2.民民間 EDI 導入の現況 ・ 当社は、現在のところ、民民間業務へ EDI を導入していない。荷主、海貨等との全ての 取引はペーパベースで行っている。 ・ 荷主からの取引電子化・EDI 化の要求も今のところ無い。当社の取引先荷主は中小が多 いためかもしれない。 ・ なお、北米や英国の代理店の中には、D/R や CLP を電子データで受け取っているところ もある。 ・ また、船社 I-a 社は、シンガポールにおいて、輸入マニフェストを PortNet を利用して電 子的に提出している。船社 I-a 社の業務システムからマニフェストデータを一旦フロッピ ーディスクへダウンロードし、PortNet へアップロードしている。 ・ 官民間 EDI としては、2000 年 10 月に更改 Sea-NACCS を導入し、船舶基本情報登録を行 っていたが、現在は利用を停止している。メール処理方式を採用し、UN/EDIFACT に準 拠。メール集配信サーバは東京支店内に設置している。 ・ 東京と大阪では、業務サーバから船舶基本情報をフロッピディスクへ一旦ダウンロード し(この時ファイルフォーマット等のトランスレーションも行う) 、Sea-NACCS のサー バへアップロードする仕組みを構築したが、この業務作業を行える人材がいないため、 実際にはこの仕組みを利用せず、船舶基本情報を手入力していた。 ・ Sea-NACCS を導入した動機は、ある荷主1社から、コンテナ管理レベル向上のために、 将来的には Sea-NACCS への対応が必要になるとのアドバイスがあったため。適用業務に 船舶基本情報を選んだのも、テスト的な意味合いで、簡単な業務を選んだもの。 ・ 将来的には Sea-NACCS をフル活用したいと考えているが、船社 I-a 社が全面的なシステ ム更改を考えているため、その仕様決定後に検討を行うことになる。 ・ 港湾 EDI の利用については、各港のサブエージェントに任せており、東京支店では把握 していない。 48 3.民民間 EDI 導入ニーズ ・ 代理店I社の現状の取引件数から見て、EDI 導入による効果が見込める業務は無いとい うのが実情である。 ・ 当社の中でも比較的件数の多い書類として、B/L がある。日本全体で、輸出に月 700 件 未満(WayBill 含む) 、輸入に月 40 件程度の扱いがある。予め入力された D/R の情報を もとに B/L をコンピュータで発行することになるが、D/R の入力負荷は問題となるほど ではない。兼任のオペレータがこなせる作業ボリュームである。 ・ 当社が EDI を導入するとしたら、その動機は、荷主に対するサービス向上である。EDI に対応しなければ荷物が減る、ということになれば、EDI を導入せざるを得ない。 ・ 荷主の業務上の問題意識として、B/L を早く入手したい、ということがある。B/L をでき るだけ早く荷主へ届けるために、当社としても常に配慮している。 ・ B/L の早期入手という観点から、オリジナル B/L の EDI 化が考えられる。船社 I-a 社は Bolero の会員となり、前向きに検討しているようであるが、日本へはあまり情報が入っ てこない。また、日本の荷主から Bolero へ対応してほしいとの要請もない。 ・ B/L の EDI 化は、B/L 変更が多いこと、荷主や地域により運用が異なること、等にうま く対応していく必要があろう。 ・ そもそも、WayBill が増えており、B/L の意義自体が薄れつつある。現状、当社では B/L: WayBill=7:3 となっており、WayBill は増加傾向にある。対北米では 3∼4 割が WayBill である。ただし、WayBill を受け付けない国もある。 ・ 現状、民民間業務へは EDI を導入していないため、その阻害要因については一般論でし か議論することができないが、EDI の一般的な阻害要因として、第一に、初期費用が高 いことがあげられる。EDI は金がかかるとの印象が強い。費用対効果の問題ではあるが、 1,000 万円以上の初期投資はまず無理である。社内業務システムとの接続のためのマッピ ング費用も比較的高価と感じる。なお、Sea-NACCS の場合は、サーバ等のリース代が月 5∼6 万円、ランニングコスト(NACCS センタへ支払う料金)が月 2∼3 万円である。ラ ンニングコストは月額基本料であり、現状のようにまったく Sea-NACCS を利用していな くても一律に課金される費用である。 ・ 第二の阻害要因として、システム運営に関わる人材不足があげられる。EDI 導入初期に おいては、システムが安定するまで、2∼3 人程度のシステムサポート要因が必要となる が、当社のような数人程度の従業員規模の会社において、2∼3 人のシステム要因を確保 するのは難しい。 ・ 第三の阻害要因として、Sea-NACCS サーバの専用化がある。一つのサーバですべての EDI 業務を扱えるようにすべきである。 49 ・ 第四の阻害要因として、書類作成に比べデータ入力項目が多すぎる、ということがある。 書類では記載不要であるが、EDI データでは入力しなければならないという項目がある。 システムのためのデータだけでなく、取引情報においてもこのような項目がある。 以 上 50 コンテナターミナル業者J社 ヒアリング録 ■ 日時: 平成 13 年 3 月 1 日(木) 9:30−11:30 ■ 場所: コンテナターミナル業者J社 本社(大阪築港) ■ インタビューイ 2 名:総務部門、コンテナターミナル部門 ■ 受領資料:①営業案内(会社概要) ②港湾管理システム・基本設計書(一部) ③社内メール環境・システム構成図 1.企業プロフィール (1) 業種 :コンテナ・ターミナル・オペレータ業 (2) 資本金 :2 億 250 万円(2000 年 7 月現在) (3) 従業員数:52 名(2000 年 7 月現在) (4) 主要施設:大阪築港本社、大阪港第一突堤上屋、大阪港第一突堤野積場 大阪港第三突堤上屋、大阪南港コンテナ・ターミナル R1(バースは R2 利用) (5) ターミナル・オペレータ引受船社:船舶代理店 J-a 社(大連航路、毎週 1 船) ※ターミナル業者J社の主要株主でもある ※大連航路の扱い船社の日本総船舶代理店 船舶代理店 J-b 社(上海航路、隔週 1 船) (6) 情報システム全体構成 ・ コンテナ・ターミナル、ヤード管理システムにおける、画面(主要機能)一覧は、図1 のとおりである。 ・ ターミナル業者J社における、社内外とのメール環境は、図 2 のとおりである。 51 図 1 図 2 52 1.1 業務の概要 ・ 大阪南港の公共ターミナル R1 は、ターミナル業者J社が貸し切って利用している(複 数オペレータの共同利用でない) 。ただし、R1 バースは重量物専用バースのため、通常 は本船を R2 バース(船舶代理店 J-a 社)または C9 バース(船舶代理店 J-b 社)に着け、 そこから貨物の積み卸しを行う。 ・ 上海航路船のループは、大阪、神戸、水島、門司に寄港する。大連航路船は、2 ループ があり、大阪、神戸、門司の西日本航路と、大阪、神戸から東京、横浜、名古屋に寄港 する東日本航路となる。 ・ 荷役作業の週間のパターンは、Weekly の大連航路を中心に回っている。本船荷役は水曜 の昼∼夕方、それに合わせてコンテナ搬入は火曜午後で締め切る。搬入は本船入港の 1 週間前から受け付ける。 ・ 本船の規模は、セミフルコン船が主体である。 ・ コンテナ取扱数は、輸出:輸入=1:9 で圧倒的に輸入が多い。 ・ 荷役機器は、ガントリークレーンは大阪市港湾局から借りており、フォークリフトはタ ーミナル業者J社が自社のものを利用する。 ・ ターミナル R1 には、ターミナル業者J社の職員 2 名が常駐する。その他に上屋、沿岸、 船内の各荷役業者の作業員が 10 名前後配置されている。ターミナルにおけるターミナル 業者J社職員の主な役割は荷役作業の指揮であり、荷役計画やストウェジプランの作成 等は本社スタッフが行い、ターミナルに電話・FAX で指示する。 ・ ターミナル業者J社の売上高に占めるターミナル・オペレータ業(船舶代理店業も含む) の割合は約 3 割であり、港湾運送事業と並ぶ同社の収益の柱である。この他に陸上貨物 運送事業がこれらに次いでいる。 1.2 社内システムの概要 ・ コンテナ・ヤード管理システムは、97 年 11 月にカットオーバーした。システム構成は IBM パソコン(サーバ機)を用いたクライアント・サーバ方式であり、当時としては先 進的な試みであった。 ・ システム構築の背景として運輸省(当時)が示した統括管理基盤に準拠する必要に差し 迫り、仕様検討に 1 年半、開発に半年の合計で開発期間に約 2 年、開発費に約 40,000 千 円を要した。 ・ システムの仕様検討は、ターミナル業者J社が主体的に行った。その際にシステムに関 連した取引先との調整は行っていない。 ・ 当時も既にコンテナ・ターミナル運営のためのパッケージもあったが、ターミナル業者 J社としては、局所最適を目的とするパッケージよりも、将来的な全社システムへの展 開を意図して自社開発を行った。 53 ・ システム構築の第一の目的は、自社業務の効率化である。システムに対する満足度は 7 ∼8 割である。情報ベンダは所詮業務を知らないために、ターミナル業者J社としても どうしても伝えきれない仕様が残ってしまった。 ・ 社内のメール環境は 1998 年に構築した。各営業拠点におよそ 1 台がメール網につながっ ている。各拠点には他のパソコンもあるが、スタンドアローンとして用いている。 ・ メール環境の構築は取引先の要望が強かったためで、貨物やコンテナのダメージチェッ クで問題が生じた際などに役立てている。デジカメでダメージ内容を撮し、それをメー ル添付で取引先に送付し調整を行う。 ・ NACCS は専用端末として使っている。 ・ S.C/S.F ネット、POLINET は使用していない。そもそも現状の仕様をよく知らない。 ・ 入出港届等の提出(船舶代理店業務)では、港湾 EDI を使っている。 2.民民間 EDI 導入の現況 2.1 船社との EDI 導入 ・ B/L の発行はターミナルではなく、本社 1F(船舶代理店部門)で行う。パソコンで入力 したデータを、扱い船社 2 社の専用フォーマットの用紙に打ち出している。 ・ B/L をはじめとする、D/R、コンテナ搬入票、EIR、CLP、コンテナリスト等の船社保存 ドキュメントの船社への送付は、基本的には紙の郵送である。 ・ 一部のドキュメントについては、紙をスキャナで読み込んでファイル(イメージデータ) に変換し、それをメール添付で送ることもあるが、当然に相手船社では電子データとし ては利用できない。 ・ 最近になり、船社の要望により、電子データとしての送付の試みをはじめた。MS-EXCEL を使った簡単なデータ入力シートを作成し、そこにデータを手入力し、EXCEL ファイル をメール添付で送付する。ただし、これは輸出コンテナの数が 1 船あたり 20 本程度であ るゆえに可能なことであり、コンテナ本数の増加次第ではこの方法は続けられない。 2.2 港間の EDI 導入 ・ 中国の船舶代理店からのマニフェストは、メールに添付された MS-EXCEL を紙に出力し ている。大連から大阪まで 3 日で到着するため郵送では間に合わない。逆にターミナル 業者J社から次の寄港地へのマニフェストやベイプランの送付も同じ方法を採っている。 ただし業務上はメールのやり取りだけでは完結しないため、実際には電話、FAX は併用 しているが、メールの利用は有効である。 54 2.3 NACCS の利用、海貨業との EDI 導入 ・ マニフェスト情報の NACCS への登録は手入力で行っている。それに要員 1 名がとられ ているのが実情である。 ・ 前港からのマニフェストのファイル(CSV 形式)をそのまま NACCS に入力させる方法 もあるようだが、技術的に対応できていない。社内にそれを理解できる要員がいないし、 また外部に依頼する際にも港湾業務を熟知するベンダは稀である。現在の扱いコンテナ 数であれば、なんとか人で対応できることもあって、それ以上の検討は進んでいない。 ・ 手作業でもマニフェスト情報を NACCS に入力しているので、海貨業はそれで搬入確認 を行えるはずだが、実際はいまだ電話での確認が多い。それでも、NACCS が導入されて 通関までの時間も早くなり、海貨業もずいぶん楽になった。NACCS の恩恵だといえる。 ・ 搬入確認以外にも、海貨業との EDI は一切行っていない。 ・ 海貨業との間の D/R の EDI 化は、ターミナル・オペレータの立場としては、それをその まま船社に送れなければ意味がない。船社保存ドキュメントの EDI 化(上述参照)は、 顧客(船社)に対する満足度の向上になると思うが、それも量次第である。現状の扱い コンテナ数、また今後のコンテナ数の伸びが明確でない状況では費用対効果の観点から も EDI 化を進めることはできない。 ・ 税関には依然として E/D コピーを紙で提出している。NACCS に情報を入力しているの で、本来は不要なはずであるが、税関側の意識としてペーパーレスになっていない。 3.民民間 EDI 導入ニーズ 3.1 コンテナ・インベントリー管理の充実 ・ ターミナル業者J社のターミナル・オペレータ部門としては、コンテナの管理範囲を空 コンテナにまで拡張して、一連のコンテナ・インベントリー管理を充実させたいと考え ている。実入りコンテナについては EIR により現在のコンテナ・ヤード管理システムで 管理できているが、空コンテナは対象外である。 ・ 空までを含めたコンテナの管理は保管料を計算する際などに不可欠であり、現状でも負 荷がかかっている。 ・ 上記のことを行うため、EIR の他にも、ターミナル、海貨業、陸送業間でやりとりする すべてのコンテナ搬出入関係のドキュメントの EDI 化が理想である。 3.2 船社との EDI 導入 ・ (2.1節の内容に関連して)船社に対するドキュメント(D/R、コンテナ搬入票、EIR、 CLP、コンテナリスト等)送付の EDI 化が行えればよい。 55 ・ ただし、それは取扱量との兼ね合いであり、現状の扱いコンテナ数、また今後のコンテ ナ数の伸びが明確でない状況では検討はできない。 3.3 マニフェストデータの NACCS への一括登録 ・ (2.3節の内容に関連して)マニフェスト情報の手入力を廃止して、前港から入手し た電子データ(MS-EXCEL)を簡易な方法でそのまま NACCS へ一括登録を行いたい。 ・ 情報化を検討する際の共通した問題として、港湾業務を熟知した情報ベンダが非常に限 られていることが上げられる。よく事情を知らないベンダの担当者に逐一説明するので は、どうしても伝えきれない要件が残ってしまい、結局はよいものができない。 ・ また、なまじ業務を知る情報ベンダがいても、その数が限られているためにコストが割 高になってしまう。 3.4 D/O のペーパーレス化 ・ D/O の発行を電子的に行えれば、あるいは D/O 自体を無くすこと(D/O レスの港湾運送 形態への移行)ができれば、ターミナル・オペレータにとっては有効である。 ・ 現状では、B/L を持ち込んだ海貨業に対してターミナル業者J社(船舶代理店部門)が 紙の D/O を発行して、同じターミナル業者J社(ターミナル・オペレータ部門)がその 紙(D/O)を回収している。 3.5 アプリケーションサービスへの期待 ・ 既存 EDI ネットワークのことを尋ねられても、 よく分からないのが正直なところである。 ターミナル・オペレータ業にしろ、海貨業にしろ、ネットワークサービスは、それが有 効なものであれば何でもよい(ネットワークの線は何でもよい) 。むしろ、アプリケーシ ョン(例えばインベントリーサービスの提供等)としてのサービスを期待している。 以 上 56 コンテナターミナル業者K社 電話による追加ヒアリング録 電話による追加ヒアリング録 ■ 日時: 平成 13 年 3 月 21 日(水) ■ 相手: 大井埠頭 4 号、5 号のコンテナターミナル業者 ■ 問合せ内容:コンテナターミナルがハードコピーを必要とする理由 1.輸出コンテナをターミナルに搬入する時に、ターミナルに提示する書類 (1) 搬入票・E/R (2) D/R またはそのコピー (3) CLP(特に 1B/L、複数コンテナの場合は必須) (4) E/D コピー 2.ハードコピーを必要とする理由 (1) 搬入票・E/R ゲートにおけるチェックのために使用される。 (2) D/R またはそのコピー Sea-NACCS に参加しないか、Sea-NACCS で D/R 情報を送信しない場合のみ、自主記帳の ための文書として保管する。 (3) CLP Sea-NACCS または POLINET で EDI でデータが送受信されない場合は必須である。 また、日本船は、船員法で CLP の携帯が義務付けられているため、必須となる。 (4) E/D コピー Sea-NACCS に参加しないか、Sea-NACCS で D/R 情報を送信しない場合のみ、通関が切れ ているかどうかの確認のために必要。 ターミナルは、輸出実入りコンテナが搬入される前に予め船社から入手した Booking 情報と コンテナ No.(空コンテナリリース時に Booking No.に紐付けされてもの)をデータとして持っ ており、輸出実入りコンテナが実際に搬入されたときにコンテナ No.を確認することにより、 ターミナルが持っているコンテナ No.に対応するブッキング情報により貨物の内容を把握する 仕組になっている。 57 従って、純粋にターミナルオペレーション上必要なハードコピーは上記(1)及び(4)のみである。 上記(2)及び(3)の必要性は、純粋ターミナルオペーレーション以外の目的による。 海貨業者は、ほとんどすべて上記(1)∼(4)までの書類を提出しているのが実態であるが、前述 のとおりターミナルで本当に必要としている書類の基準から見ると、実際には不要な書類も多 いことになる。必要な場合と不要な場合とを区別して指示するのは、かえって煩雑で混乱を招 く惧れがあるため、提出された書類はそのまま受け取っているのが実態である。 3.Sea 3.SeaSea-NACCS 自主記帳との関連 更改 Sea-NACCS 運用開始前、ターミナルは自主記帳のために D/R、CLP、E/D のハードコ ピーをワンセットにして保管することが義務付けられていた。更改 Sea-NACCS では更改 Sea-NACCS でデータを送受信する場合には、データを保管しておけばハードコピーの保管は必 要なしというルールになっており、 更改 Sea-NACCS でデータが入手できない貨物については、 確実に書類が保管されるようチェックしている。 以上 58 コンテナターミナル業者L社 電話による追加ヒアリング録 ■ 日時: 平成 13 年 3 月 21 日(水) ■ 埠頭: 横浜大黒 C-4 のコンテナターミナル業者 ■ 問合せ内容:コンテナターミナルがハードコピーを必要とする理由 1.輸出コンテナをターミナルに搬入する時に、ターミナルに提示する書類 (1) 搬入票・E/R (2) S/I コピーまたは D/R コピー (3) CLP(特に 1B/L、複数コンテナの場合は必須) (4) E/D コピー 2.ハードコピーを必要とする理由 (5) 搬入票・E/R ゲートにおけるチェックのために使用され、これだけは省略できない。 (6) S/I コピーまたは D/R コピー 搬入コンテナの中身の確認のために使用される。 (7) CLP コンテナ内に詰められた貨物の明細情報把握のために使用し、特に 1B/L、複数コンテナの 場合は必須である。 (8) E/D コピー 通関が切れているかどうかの確認のために必要。 3.POLINET 3.POLINET( POLINET(D/R 情報)または SeaSea-NACCS(船積確認事項登録/輸出申告情報)の NACCS(船積確認事項登録/輸出申告情報)の EDI データ が送信されていても更にハードコピーを必要とする理由 (1) ターミナルはコンテナ/貨物の受渡し場所であり、貨物の受渡し確認を示す明細として何 らかの書類が必要である。単にコンテナを持込んだだけでは、その中身を確認することが できないので、EDI のデータとは別にコンテナ搬入時に貨物の明細を示す S/I コピーまたは D/R コピーを求めている。但し、実物のコピーを求めておらず、中身の明細が分かる書類 59 であれば良いという運用を行っている。 (2) E/D については、Sea-NACCS で輸出許可が下りた貨物の情報はターミナルでも把握できる が、Sea-NACCS に参加していないところもあり、Sea-NACCS の情報で確認できるものとそ うでないもの毎に対応しているとターミナル業務の効率が低下するので、Sea-NACCS の情 報が使えないところに条件をあわせて一律の基準で、E/D コピーの提出を求めている。 4.Sea 4.SeaSea-NACCS 自主記帳との関連 更改 Sea-NACCS 運用開始前、ターミナルは自主記帳のために D/R、CLP、E/D のハードコ ピーをワンセットにして保管していた。更改 Sea-NACCS では更改 Sea-NACCS でデータを送受 信する場合には、データを保管しておけばハードコピーの保管は必要なしというルールになっ ているが、 、以下の理由によりハードコピーによる保管を続けている。 (1) Sea-NACCS に参加していない通関業者がいたり、Sea-NACCS で D/R 情報を送ってくるのは 極めて少ない等、ハードコピーで保管するところを選別管理することが煩わしい。 (2) Sea-NACCS のシステムに 100%依存する業務体制はリスクがある。 “送った、送らない”と いう会話は日常頻発しており、また Sea-NACCS がシステムダウンしたときの対応を常に念 頭に念頭においた業務体制が必要である。 (3) 自主記帳の税関チェックが更改 Sea-NACCS 運用開始後、1 度もなく、本当にハードコピー の保管が不要かどうか具体的なケースで確認するまでは書類の保管をやめられない。 以上 60