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EMI - NICT

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EMI - NICT
Vol.39 No.1
通信総合研究所季報
March 1
9
9
3
p
p
.15-22
研 究
EMI測定用アンテナの特性について
手島輝夫ホ1
行
*2
杉浦
森 川 容 雄4
(
1
9
9
2年 1
0月1
3日受理)
HEIGHTDEPENDENCEOFTHEVOLTAGERECEIVED
BYVARIOUSEMIANTENNA
By
Teruo TEJIMA, AkiraSUGIURA, andTakao MORIKAWA
Tuned d
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p
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e antennas and b
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ybelow6
0MHz.
[キーワード]
EMI測定,ハイ卜パターン,パイコニカル・アンテナ,半波長ダイポール・アンテナ,電界
強度.
EMI measurement, h
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g
h
tp
a
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t
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c
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la
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l
d
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t
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n
s
i
t
y
.
差異について,基礎的な測定調査を行ったので報告する
1
. はじめに
な お , 周 波 数 範 囲 は EMI測 定 で 最 も 関 心 の 高 い
3
0∼300MHzとし,パイコニカル・アンテナ及び半波
近年, EMI (
E
l
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c
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m
a
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r
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e
r
e
n
c
e:電磁
長共振ダイポール・アンテナを調査対象とした.
妨害)測定の自動化が急速に進んでおり,これに適した
アンテナとして,周波数毎にエレメントの調整を必要と
2
. 受信電圧とアンテナ・ファクタ ω
しない,パイコニカル・アンテナや対数周期アンテナ等
一般の EMI測定では,供試機器から規定の距離だけ
の広帯域アンテナが広く用いられている. したがって,
基準アンテナである半波長共振ダイポール・アンテナを
離れた位置に測定問アンテナを設置して,供試機器から
用いた EMI測定の結果と,これらの広帯域アンテナを
放射される妨害波の電界強度を測定している.ただし,
用いた測定結果の差異が問題になっている()ゆ.この原
供試機器は水平面内で向転させ,また,測定用アンテナ
因はアンテナの指向性やアンテナ・ファクタ及びアンテ
の高さを
ナ・インピーダンス特性が異なることから生ずるもので,
させて,妨害波の最大受信レベルを測定している.
1
∼4mまたは l∼6mの範囲内で上下に走査
特に測定距離が短い場合に問題となる.また,半波長共
供試機器を一つの放射源とみなし,これを送信アンテ
振ダイポール・アンテナと異なり,様々な形状及び特性
ナテナで置き換えると,上記の EMI測定は第 1図のよ
の広帯域アンテナが市販されており,ますます問題を複
うに地上に送受一ーつのアンテナが相対する場合の受信ア
ンテナ( ANT2
)の端子電圧を求める問題に帰着する.
雑にしている.
このような状況から,広帯域アンテナと半波長共振ダ
これをアンテナの自己インピーダンス C
Z
1
i
,Z
2
2)及び
イポール・アンテナによる受信電圧のハイ卜パターンの
アンテナ聞の相互インピーダンス C
Z
1
2
.Z
2
1
.Zu
,
’Z
2
2
,
’
l
事
唱
唱
Z
1
2
,
’ Z
2
1’)で表示すれば
Vi=W
1
1
I
1
+
W
1
2
I
2
V2=W
2
1
I
1
+
W
2
2
I
2
標準語l
j定 部 絞 正 検 定 課
標準測定部
標準測定部 i
J
l]定技術研究室
1
5
・
・
・
・
・
・
(1
)
.
・
(2
)
通信総合研究所季報
1
6
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2
I
=I
Z
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+W2
2
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h
e
Z
o
l
A
N
T
2
…
・
・
・
(7
)
で与えられ,これもアンテナの地上高によって変化する
)式から判るように,アンテナを垂直
ことが判る目なお( 4
に設置した場合,受信電圧は直接波及び大地反射波の入
射角に強く依存するため,水平偏波の場合と異なり,一
般的なアンテナ・ファクタを定義することは不可能であ
る
.
(
1
)
, (
2
)
, (
3)式より送信アンテナの入力インピーダンス
Z
1は
Z
1=Wu W1//CZo+W22)
l
l−
’W
1
z
2
/
C
Z
o
+
W
2
2
)
=Zu+α
・
…
・
・
(8
)
で与えられる. したがって,送信アンテナから発生する
電磁波の電界強度 E
2
1が,受信アンテナの影響を受け
第 1図
ないようにするには,( 8
)式の右辺第 l項,送信アンテナ
アンテナの配置とインピーダンス
の自己インピーダンス Zuを,第 3項の受信アンテナ
との相互インピーダンスによる影響より,出来るだけ高
1
2
.
=W
2
1及び
となる.ただし W
W11=Z11+α
1
1’
Zu’
Wu=Z
2
1+α
2
1’
Z
2
1
’ … …1
3
)
1を流すようにしなけ
くし,アンテナに常に一定電流 1
ればならない.
W
2
2=Z
2
2+α
2
2
’
Z
2
2
’
3
. 測定方法
であり, α
l
l’
∼α
2
2
’は大地の反射係数である.また 1
3)
式
の右辺第 2項,すなわち α
l
l’
Zu’等の項は大地反射波の
測定結果の再現性を確保するために,実際の供試機器
影響を表す項であり,アンテナの地上高によって変化す
の代わりに,第 2図のように,送信用アンテナに信号発
る
生器を接続したものを用い,これを供試機器として,放
l項の電圧 C
W
2
1
l
1)は受信アンテナの
出力端を開放 C
l
2=0)したときの端子電圧であるから,
角度 Bd及びθrで入射する直接波と大地反射波の電界
強度を Ed及び Erで表し,受信アンテナの実効長を
h
e
(
8
)で表すと 1
2)式は近似的に
V2={he(θd)Ed+he(8r)Eγ}
+w
2
2
1
2…… 1
4
)
射される電波を各種の測定用アンテナによって受信し,
(
2)式の右辺第
となる.ここで,ダイポール・アンテナを水平に設置し
た場合のように,受信アンテナが垂直面内で無指向性で
この時の受信電圧のハイトパタ
ンを測定した.以下に
その測定方法の概略を述べる
(
1
)
測定条件
測定場所:オープンサイト(金属大地面)
測定周波数: 3
0
,4
0
,5
0
,6
0
,7
0
,8
0
,9
0
,1
0
0
,1
5
0
,
2
0
0
,2
5
0
,3
0
0MHz(
全1
2波
)
偏波面:水平信波,垂直偏波
あれば, h
e
(
8
d
)= h
e
(
eγ)=he となって 1
4)式は次式の
測 定 距 離 : 3m
ように簡単に去すことができる.
送信用アンテナ高: lm (一定〕
V2=heE21+W22l2
CE21=Ed+Er)
……( 5
)
測定則アンテナ高: I
∼4m (掃引)
(
2)送信用アンテナ
受信アンテナに測定器(入力インピーダンス Z
o)を接
続すると,受信電圧 V2は
測定用アンテナ
「
可
V2=Z
o
l
2=heE21Z
/
。C
Z。
+W
2
2) … …1
6
)
になる.大地反射波の影響を考慮した自己インピーダン
送信用アンテナ
2
2はアンテナの地上高によって変化するが,その
スW
変化のしかたはアンテナによって異なるため,到来する
電磁波の電界強度 E
2
1が同じであっても,受信電圧の
ハイトパターンはアンテナによって異なることが予想さ
れる.
さらに( 6)式より,アンテナ・ファクタ A Fは
第 2図 測 定 の 概 要 図
Vol.3
9 No.1 March 1
9
9
3
1
7
供試機器の代わりをなす送信用アンテナとしては,ダ
②半波長ダイポール・アンテナ
イポール・アンテナを共振周波数より低い周波数で用い
る短縮ダイポール・アンテナとした.すなわち,具体的
には
(測定周波数)
(送信用アンテナ)
3
0
,4
0
,5
0
,6
0MHz
7
0
,8
0
,9
0
,1
0
0MHz
:150MHz共振長ダイポール
:2
5
0MHz共振長ダイポール
(外国製と国産各 1種類)
③短縮ダイポール・アンテナ
(エレメント長は,送信用アンテナと同じ)
J
定では測定用アンテナと接続ケー
である.なお,通常の浪j
フ’ルを整合させる目的で, lOdB程度の減衰器を付加す
ることが多いが,その効果を調べるために,減衰器を付
1
5
0
,2
0
0
,2
5
0
,3
0
0MHz :7
5
0MHz共振長ダイポール
加した場合と, しない場合についての測定も行った.
の 3通りである.
(
4
) 測定手順
なお,このような短縮ダイポール・アンテナを採用し
測定手順は,基本的にはサイトアッテネーションの測
た理由は,半波長より相当に短いアンヲt
ナを用いること
定と同じである.
によって送信用アンテナの自己インピーダンス Znを
①
高くし,測定用アンテナの影響を受けないようにするた
ル を直結し,測定周波数全てにおける損失を測定す
めである.この場合,送信用アンテナの自己インピーダ
ンスの抵抗分は lOQ以下と低いが,
リアクタンス分が
先ず,送信用及び測定用アンテナに接続するケープ
る
.
②
ケーフールをアンテナに接続し,アンテナを測定周波
500Q以上になり,全体として高いアンテナ・インピー
数に合わせ,測定用アンテナを上下しながら, lOcm
ダンスに保たれている.
おきに受信電圧を測定する.ただし,半波長ダイポー
(
3)測定用アンテナ(調査対象アンテナ)
ル・アンテナで垂直偏波の測定を行う場合には,アン
3
0∼3
0
0MHzの周波数範囲で, EMI測定に最も広く
テナの下端が地面に接しないよう地面との間隔を 2
5
使用されているのが,パイコニカル・アンテナと呼ばれ
cm以上になるようにした なお,送信用アンテナに
る広帯域アンテナである. したがって,本調査では一般
接続している信号発生器の出力を測定中一定に保った.
に広く使用されている外国製及び国産の 2種類のパイコ
③各測定周波数及び各偏波について,上記②の操作を
ニカル・アンテナを調査対象として選定した.
繰り返す.
また, EMI測定では,半波長共振ダイポール・アン
テナが基準とされているので,これも外国製及び国産の
④
さらに,測定則アンテナを取り換えて,②∼③の操
作を繰り返す.
2種類のアンテナについて,同様の調査を行った さら
4
. 測定結果と考察
に,真の電界強度分布を推定する目安として,高アンテ
ナ・インピーダンスの短縮ダイポール・アンテナも調査
対象とした.すなわち,調査対象の測定用アンテナは
①パイコニカル・アンテナ
(
1)受信電圧レベル
各種測定用アンテナによる受信電圧のハイトパターン
の例を第 3図∼第 6図に示す.図の縦軸は測定用アンテ
(外国製と国産各 1種類)
ナの地上高を,横納は各アンテナ高における受信電圧を
RV-Di-50-H
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受信電圧〔 d
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1
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')
〕
2日
受信電圧〔 d
8(
1
L
fI
')
〕
第 3図受信電圧ハイトパターン(水平偏波. 5
0MHz)
(
a
)
(
b
)
パイコニカル・アンテナ( 2種類)
半波長ダイポール・アンテナ( 2種類)
E
〔
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1
通信総合研究所季報
−可
RV-B;-200-H
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受信電圧〔 d8(
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a
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〕
)
40
5日
60
70
受信電圧〔 d8(1.~v )〕
第 4図受信電圧ハイトパターン(水平偏波, 2
0
0MHz)
(
a
)
パイコニカル・アンテナ( 2種類)
(
b
l 半波長ダイポール・アンテナ( 2種類)
E
〔
〔
Rv-s;-50-1
Rv-o;-so-v
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6日
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5日
5日
7日
受信電圧〔 d
B(
I;iv〕
)
受信電圧〔dB(
1
k
!v
〕
)
第 5図受信電圧ハイトパターン(垂直偏波, 5
0MHz)
(
a
J パイコニカル・アンテナ( 2種類)
(
b
l 半波長ダイポール・アンテナ( 2種類)
RV-D』− 200 /
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受信電圧〔 d8I
(.
,
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〕
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l
a
) パイコニカル・アンテナ( 2種類)
、
¥
40
50
受信電圧〔 d
3(
i
i
lv
〕
)
第 6図受信電圧ハイトパターン(垂直偏波, 2
0
0MHz)
(
b
l 半波長ダイポール・アンテナ( 2種類)
I
60
70
Vol.39 No.I March 1
9
9
3
示す.各図にはパイコニカル・アンテナと半波長ダイポー
1
9
字である.各地上高 h
rにおける受信電圧 ViC
f
,hr)
ル・アンテナの特性の差異を明確にするために,左側( a)
から,このアンテナ・ファクタを用いて電界強度
にパイコニカル・アンテナのパターン.右側(b)に半波長
EC
J
,hr)を推定すると
E(f,hr)=Vi
(
j
,hr)+AFi(j)(dB)
ダイポール・アンテナのパターンを表示した.また,図
には,それぞれのアンテナ形式について各 2種類のアン
=ViC
J
,hr)+E(f,2.5)-Vi(j,2
.
5
)(dB)
テナのハイ卜パターンを実線及ひ’点線で示した
.
.
・
・
・
・(
J
O
)
図
(b
)
の 2本の半波長ダイポール・アンテナのハイトパ
となる.ただし,ここでは簡単にするために,
ターンのうち,受信レベルの低い方は,公称 lOdBの
ECJ,2.5)=0dBとした 2.5m基準の相対値で考える
アッテネータ組み込みのパランを持った標準ダイポール・
すなわち
アンテナ(外国製)と呼ばれるものである このアンテ
E(f,hr)=V
i
(
f
,hr)+Vi(j,2
.
5
)(dB)……(1
1
)
ナは精密測定則として製作され,サイトアッテネーショ
となる.具体的には,水平偏波については第 3図∼第 4
ンの測定に広く使用されているものである.パランの損
図の全ての山線を地上高 2.5mで OdBになるように平
失の影響で,受信レベルは一般的な半波長ダイポール・
行移動させれは‘良い.また,垂直偏波の受信電圧のハイ
アンテナ(国産)より約 9dB低くなっている.
卜パターン(第 5図∼第 6図)に対しても,地上高 2.5m
図
(a
)及び( b)の比較から,約 60MHz以下の周波数で
における水平偏波のときの受信電圧 ViC
J
,2
.
5)を減
はパイコニカル・アンテナは半波長ダイポール・アンテ
ずれば,受信電圧から推定される垂直偏波の電界強度の
ナより受信レベルが約 lOdB以上低く感度が悪い.こ
ハイトパターンが得られる.
れはパイコニカル・アンテナの全長と半波長が等しくな
その結果を第 7図∼第1
0図に示す.この図でも,左側
る周波数より低い周波数では,短縮ダイポール・アンテ
(
a)がパイコニカル・アンテナ,右側(b
)が半波長ダイポー
ナと同様な電気的特性をもつためであり,また,これよ
ル・アンテナの受信電圧から推定した電界強度のハイト
り高い周波数では半波長ダイポール・アンテナに近い特
パターンである.各図には 3本の曲線が示されているが,
性をもち,同等の感度になるためと考えられる.
実線が短縮ダイポール・アンテナの受信電圧から推定し
また,パイコニカル・アンテナと半波長ダイポール・
た電界強度のハイ卜パターンである.短縮ダイポール・
アンテナではハイトパターンの形が異なっている.特に
アンテナはアンテナ・インピーダンスが高く,アンテナ
60MHz以下の周波数で水平偏波の場合,この差異が顕
の地上高を変えてもアンテナ・ファクタの変化が少ない
著である. しかし,同じ形式のアンテナであれば,外国
ので,おそらく真の電界強度のハイトパターンに近いも
製でも国産でも,ハイトパターンの形には余り差異は認
のと考えられる.また,点線と破線は,それぞれ外国製
められない
及び国産のアンテナの結果を示す.
(
2
)
アンテナの受信電圧から推定した電界強度
)のパイコニカル・アンテナの結果について
先ず,図( a
第 3図∼第 6図のハイトパターンは,それぞれ 2種類
考察すると,製造者が異なっても較正を行えば推定電界
のパイコニカル・アンテナ及び半波長ダイポール・アン
強度に差異がないことが判る.また,アンテナの受信電
テナを同じ電界強度の位置に置いたときの受信電圧を表
圧から求めた電界強度のハイトパターンは, 60MHzよ
している.ただし,この電界強度は周波数 fによって異
り低い周波数では短縮ダイポール・アンテナの測定結果
なり,この真値は不明である.
と良く一致している.
それぞれのアンテナの特性を統ーして検討するため,
図
(b
)の半波長ダイポール・アンテナの結果からは,ア
f
,2
.
5)とし,こ
地上高 2.5mにおける電界強度を E (
ンテナの製造者が異なっても,水平偏波については推定
の位置において全てのアンテナの較正を行い,アンテナ・
電界強度に差異がないことが判る.電界強度のハイトパ
ファクタを求めることにした 地上高 2.5mとしたの
ターンは,短縮ダイポール・アンテナと大きく異なって
は 30MHzの半波長ダイポール・アンテナを垂直偏波
0
0
いる.特に相互インピーダンスの影響を受け易い 1
で使用した場合でもも,アンテナの下端が地面に接しな
MHz以下の周波数で差が大きい.一方,垂直偏波にお
い高さに統ーしたためである なお,アンテナの較.
i
fは
けるアンテナの違いによる差は, EMI測定で対象とす
通常行われているように水平偏波で行った. したがって,
るハイトパターンの最大値に着目すると ldB程度であ
f
,2
.
5)とすれ
地上高 2.5mにおける受信電圧を Vi (
る
ば,アンテナ・ファクタ AFi(
j)は
AFiCJ)=EC
f
,2.5)-ViC
f
,2
.
5
)
C
d
B) … … ( 9)
から求まる.ここで, iはアンテナを区別するための添
全般的に,水平偏波の場合,アンテナの違いによる差
異が少ないが,これは地上高 2.5mにおいて,水平偏
波で推定電界強度を OdBになるようにアンテナを較正
2
0
通信総合研究所季報
4321
︹
10~
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(
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2種類:点線,破線)
(
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) パイコニカ Jレ・アンテナ(
(
b
) 半波長ダイポー Jレ・アンテナ( 2種類:点線,破線)
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(
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) 半波長ダイポール・アンテナ( 2種類:点、総l
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第1
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(
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したためである.
は全長が短いので,アンテナの中心を地上高 lmまで
EMI測定のときと同様に,受信電圧のハイトパター
ンの長大値に着目すると,図( a
)のパイコニカル・アンテ
下げることが可能であるが,半波長ダイポール・アンテ
ナによる測定値と,図( b)の半波長ダイポール・アンテナ
ナでは,アンテナの下端が地面に接しないようにすると,
による測定値が 2dB以上も違う場合がある 特に水平
75MHz以下の周波数では,アンテナの中心を lmま
で下げることは不可能である したがって,第 9図から
偏波の場合に,低い周波数においてその差異が顕著であ
判るようにアンテナ位置の迭し、から,パイコニカル・ア
る.短縮ダイポール・アンテナによる推定値が真の電界
ンテナによるハイトパターンの最大値が,半波長ダイポー
強度に近いとすれば,半波長ダイポール・アンテナの較
ル・アンテナによるハイトパターンの最大値より高くで
正をハイトパターンの最大値で行えば,上記の差異は解
る場合がある 基準アンテナである半波長ダイポール・
消されるものと思われる.ただ,現実には,較i
Eを各周
アンテナの測定値と合わせるためには,パイコニカル・
波数毎にハイトパターンの最大値の高さで行うことは相
アンテナを使用した場合でも,アンテナ地上高の掃引幅
当困難と考えられる.
垂直偏波の測定を行う場合,パイコニカル・アンテナ
を半波長ダイポール・アンテナと閉じ範囲に制限するこ
とも一つの方法と恩われる.
通信総合研究所季報
2
2
(
3
) 測定時に付加する減衰器について
通常の EMI測定では,測定用アンテナとケープルの
整合をとる目的で lOdB程度の減衰器を挿入すること
(
3)水平偏波より,垂直偏波の方が電界強度の推定値に
バラツキが大きい.
(
4
) 測定器とケープルの聞に,減衰器を付加することに
が多いようである.この効果を確かめるために, lOdB
よる効果は余り無いように思われる.かえって,その
の減衰器を付加した場合としない場合で,ハイトパター
減衰量だけ感度が悪くなり,低レベルの測定に不利で
1図に示
ンの変化の様子を調べた.測定結果の一例を第1
ある.
以上のことが判明した.この聞及び( 3
)の原因のーっとし
す.図から明らかなように,減衰器の有無は測定結果に
殆ど影響しないことが判った.これは測定器の入力回路
ては,今回の測定データの解析において,アンテナの較
に減衰器が組み込まれており,測定器とケープルの整合
正を水平偏波のみ,しかも,地上高 2.5mの一点のみ
が良くとれているためと思われる.
で行ったためと推測される. したがって,半波長ダイポー
5
. あとがき
ル・アンテナを含めて測定用アンテナは,複数の地上高
で較正を行う必要があると考える.
EMI測定では,基準アンテナである半波長ダイポー
謝 辞
ル・アンテナのほかに,最近ではパイコニカル・アンテ
ナ等の l
よ帯域アンテナが広く使用されている.しかしな
本測定調査の実施に際し,測定用サイトを提供して頂
がら,このようなアンテナによる測定値と,半波長ダイ
いた側無線設備検査検定協会と,測定に御協力頂いた同
ポール・アンテナによる測定値の違いが,これまで余り
協会の村上昭,渋谷和男の両氏に深く感謝致します.
明確には調査されていなかった.そこで,パイコニカル・
参考文献
アンテナと半波長ダイポール・アンテナによる受信電圧
のハイトパターンを測定し,その結果について検討を行っ
松岡,宮崎,渡辺,佐野,
“
EMI測定における広
8
9
5
6(
1
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8
9
).
結論としては
(
1
)
(
1
)
帯域アンテナの使用と問題点”,信学技報 EMCJ
た
.
今回調査を行った範囲では,アンテナの種類が同じ
であれば,製造者が異なっても,あまり電界強度の推
定値に差異がない.
(
2
) 60MHz以下の低い周波数においては,パイコニカ
ル・アンテナと半波長ダイポール・アンテナによる電
界強度の推定値は,最大数 dBの差がある.
(
2)佐藤,川上,
“アンテナ闘”,電磁環境情報
EMC,N
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