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回転台を用いた3次元形状の全周同時獲得システム - 大沢研究室

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回転台を用いた3次元形状の全周同時獲得システム - 大沢研究室
回転台を用いた3次元形状の全周同時獲得システム
指導教官
大澤 裕 教授
平成16年2月13日 提出 工学部情報システム工学科 50721
角野 裕樹
埼玉大学工学部情報システム工学科 大澤研究室
埼玉県浦和市下大久保 目次
序論
研究の背景
研究の目的
研究の課題
提案手法
論文構成
第章
関連研究
簡易に利用できる 次元計測システム
全周 次元獲得システム
単眼カメラ 次元計測システム
システム構成
形状の獲得
マーカ座標のレーザ平面のキャリブレーション
回転台を用いた全周 次元計測システム
システム構成
回転台の作成
ディテクト
回転軸の算出
第 章
第章
第章
回転角の算出
デプスをボクセルに格納
回転角を用いてデータを回転
投票によるボクセルからの形状生成
実験
実験内容
のディテクト
結論
結果
今後の課題
第章
第章
謝辞
表目次
回転台材料
回転角度
図目次
計測された土器
計測された人の顔
オクルージョン部分の計測
計測システム
レンジファインダ
達の研究
達の研究
達の研究
ラインレーザポインタ
計測風景
計測
座標システム
表面位置の評価
レーザ平面のキャリブレーション
回路図
の位置
回転軸の算出
のディテクト
ボクセルデータ
回転角を利用して回転
回転させたボクセルデータを統合
ボクセルデータへの格納方法
形状生成プロセス
回転前データ
回転前データ 回転前データ 回転後データ
回転後データ 回転後データ 全てのデータを回転させて統合
修正結果
概要
本論文では,ラインレーザポインタと単眼ビデオカメラを用いた 次元形状獲得シ
ステムを利用して,回転台を用いて効率的に対象物体の全周の 次元形状を獲得す
るシステムを提案する.
利用する 次元獲得システムは,計測対象にレーザを当て,そのレーザの位置と,
レーザ計測機器に付いている マーカを単一のビデオカメラでキャプチャし,そ
の の画像上での 次元ピクセル位置からレーザ計測器の 次元空間での位置
姿勢を推定することで,レーザに照らされた表面のカメラからの距離を計測する.
また,このシステムでは表面のそれぞれの部分の形状を確認しながら,リアルタイ
ムに物体の3次元形状を計測することができる.
一般に 次元計測システムでは,計測対象の一方向からの形状しか計測することが
出来ない.そこで本論文では,回転台に計測対象を乗せ計測対象を回転させること
で全周囲を計測する手法を提案する.その際,回転テーブルの回転軸が既知である
必要があるため,キャリブレーションパターンを用いて回転軸を算出する手法につ
いて述べる.また,計測している回転台に取り付けた マーカを用いて,基準点
からの回転自動計算を行う方法についても述べる.最後に本システムに適したデー
タ形式を提案し,実験結果について述べる.
第 章
序論
研究の背景
技術の発展とそのデータの需要増に伴い,効率的な 次元モデル構築方法が
求められてきている.そのため,多くの現存する物体を計測し,モデル化するため
の様々なシステムがこれまで提案されてきた.例えば衛星や飛行機による地形の計
測から,半導体の凸凹を検査する微小なシステムまでその範囲は極めて広い.
技術の使用も年々変化してきている.それらはデジタルアーカイブやゲーム・
映画に渡るまでまで多岐に広がりを見せている.その中でも,持ち運びが容易で低
価格の高精度な 次元計測機器の需要が高まりつつある.
現在利用可能なレーザレンジファインダを見てみると,ロングレンジかつ正確で高
密度なデプスイメージが獲得可能である のも存在する.しかしながら特別に設
計されたデバイスを用いるゆえ高価である.中小距離での計測機器を見てみると,
構造化されたステレオベースのライトやレーザステレオシステムを使用し,より正
確で高密度な計測を可能としている ものなどが利用可能である.こちらも,総
合的なコストが高価である他に,特別な光源や対象の配置等が必要となることがあ
る.
一方,ステレオビジョンやモーションステレオシステムは,一般にデジタルスチー
ルカメラやビデオカメラを使用するため低コストである.またビルや陸地といった
ようなスケールの大きなものや,建築物などのモデルを構築することも可能である
.その反面,それらのほとんどは画像ベースの特徴点を用いるため,精密な形
状を得ることは一般に難しい.
近年, や といったインターフェースが発達し,スチールカメラや
ビデオカメラのデータをコンピュータで簡単に取得できるようになった.そのため,
これら機器を用いた低コストで簡単に使用可能な3 計測システムが多数提案され
ている. 研究の目的
本論文では,ビジョンベースの低コストな計測システムを基にした, 次元形状の
全周獲得システムを提案する.本システムに必要となる装置は単眼ビデオカメラと,
位置ディテクトのために使用する を付属したラインレーザポインタと,
の付属した回転台である.使用するレーザポインタや は一般的に価格が低い
ため,システムのコストも高くならずにすむ.また物体の計測時に特別なプラット
フォームを準備する必要がない.このため持ち運びが容易で,安価にシステムを構
築することが可能である.また,文化遺産の土器(図 ),人の顔(図 )といっ
た形状なども計測可能である.
一般に 次元システムでは,計測時には計測対象を一方向の形状しか計測できない
(図 ).そこで本論文では,計測した形状をリアルタイムに確認しながら物体の 次元形状を計測することが可能なレーザ スキャナを用いて,回転台に計測対象
を乗せ,回転しながら計測することで,全周計測を行うシステムを提案し実現する.
図 図 計測された人の顔
計測された土器
レーザ計測機器
カメラのスクリーン
オクルージョンの部分
図 オクルージョン部分の計測
研究の課題
全周計測を実現するシステムを実現する際,利用する スキャナの利点である,
リアルタイム性・インタラクティブ性を損なわないようにする必要がある.そのた
め,回転台に を貼り付け,画像ベースで回転角の推定を行うことでシステム
の実現を可能とする.下記のプロセスで研究を行う.
提案手法
提案する全周計測システムでは,計測時に対象を回転台の上に乗せ,単眼ビデオ
カメラによって形状を獲得しながら対象を回転し,レーザ光線(平面)を照射する
ことで行われる.
(図 )このため,計測者はどの部分がデプスイメージの欠けた
データであるのかを直接画面で確認しながら,インタラクティブに計測を行うこと
が出来る.
このシステムを実現するためのプロセスを下に示す.
回転台の作成
ディテクト
回転軸の算出
回転角の算出
デプスイメージをボクセルデータに変換
回転角を用いてボクセルデータを回転させ結合
論文構成
この論文は全部で 章の構成である.第 章は序論である.研究の背景や目的を
書いている.第 章は関連研究について書いている.参考文献などを読み,関連研
究の調査を行った.第 章,第 章はこの研究について書いてある.第 章は利用
する スキャナのシステムの説明,第 章は卒業研究で追加した機能の説明であ
る.第 章では実験について述べる.第 章で実現した機能の実験を行った.この
結果は第 章に書いてある.最後に参考文献となっている.
図 計測システム
第章
関連研究
一般に 次元座標入力装置のレンジファインダは非接触で立体を計測する装置であ
る.
立方体にレーザ光を照射し,光パルスが対象物に当たって反射して帰ってくるまで
の時間を測定して距離を求める方式や,光の強度を変調したレーザ照射光と対象物
からの反射光との位相差を検出して距離を得る方式がある.
また,古くから距離情報を取得する方法として三角測量の原理がよく知られている.
これは対象物体を異なる方向から 台のカメラで撮影した画像から,それぞれ対応
する転の位置を検出し,その点の 次元位置を得るものである.この方式では,
枚の画像から対応する点を検出することが難しいため,カメラの 台をレーザを照
射する装置に変えて,対象物に照射されたレーザスポット光を異なった角度からカ
メラで観測してスポットの 次元位置情報を得る方式が用いられている.しかしこ
の方法では,得られた 枚の画像からはスポットの 点だけの位置情報しか得られ
ないので,対象物全体の測定に時間がかかる.そこで,最近では, 本のスリット
光を照射して 回の測定で対象物を切断するときの切断線像を測定し,このスリッ
ト光を移動して対象物全体を測定する光切断法を用いた装置が広く使われている.
スリット光発生装置
レーザ光源
対象物
カメラ
図 レンジファインダ
簡易に利用できる 次元計測システム
近年の論文を見てみると,多くの低コストで簡単に利用できる 次元計測システ
ムが提案されている.低コストにするために,ほとんどの 次元計測システムはメ
カニカルなシステムを使用しない傾向にある.メカニカルなシステムを用いずに 次元情報を取得するためには上で述べたように三角測量を用いて行う.そのために
は,それぞれのセンサの位置を推定することが必要となるため,様々なタイプのポ
ジショニング方法が提案されている.
と !"# はカメラとライトの光源点を影を用いて計測する手法である.
物体の影をキャストし,それから計測したパラメータを使用して 次元デプス値を
推定する方法を用いている $図 %.&'(" 達 の研究はこのアイデアの修正であ
る.
と )# は別の解決法を提案している.彼らはカメラの視野の中に立方体の
フレームを置き,このフレームの中に物体を置く.そして計測対象にラインビーム
を照らし,ビーム平面と3 情報の位置を推定するため立方体上に映しだされたポ
イントをディテクトする $図 %.
達 はよりアクティブな方法を用いている.彼らはセンサ自身に マーカを取り付け,そしてセンサの位置を一台のカメラを使用して取得する $図 %.
レーザポインタをセンサとして使い,そしてディテクトされた マーカを用い
て効率的な3 データの計算を行うという画期的な方法を提案している.
*' と (# 達 は一台のみのカメラを用いた有能なステレオアルゴリズムを成
し遂げるために,鏡を使用してステレオビジョン技術に適用している.本システム
では マーカをレーザプロジェクタに取り付け,プロジェクタの距離を評価す
るためにビデオカメラにつけたマーカを取得する.つまり使用した 次元計測シス
テムの方法は の研究 に近い.
デスク平面
光源
イメージ平面
カメラ
図 達の研究
スリット光
レーザ平面機器
ビデオカメラ
図 達の研究
全周 次元獲得システム
物体の全周形状モデリングは次の ステップにより行われる.
単一方向からデプスの獲得
異なる視点から獲得した複数デプスの位置あわせ
複数デプスの統合
$ % のスキャンに関しては,ステレオ法などのパッシブ方式と光レーダ法や三角
測量法といったアクティブ方式がある.ステレオ法はカメラ等を左右に 台並べて,
三角測量の原理で計測を行う.カメラの配置方法によって両眼視・三眼視・カメラ
移動型などの様々な手法がある.アクティブ方式には光レーダ法やスリット光投影
法や空間コード化法などがある.また,その他にもレンズ焦点法・単眼視法・干渉
赤色のレーザスポット
レーザポインタ
緑色のLED
イメージ平面
カメラ
図 達の研究
法・モアレ法などといった計測法もある .
$% の位置あわせ手法としては,! や点とポリゴン間の距離による方法 がある.また,+," により同時位置合わせ手法も提案されている.
$% の統合手法に関しては,メッシュの重なり合う部分を予め削除することで つ
の範囲イメージを並べる方法 や,マーチング・キューブス法 , 次元サー
フェスモデルの陰極表現関数に特化したマーチング・キューブス法 などがある.
上記のシステムではそれぞれの処理が独立しているため,位置あわせ後に計測が出
来なかった部分が明らかになると,最初から $ % と $% の処理を繰り返す必要があ
る.そのため,全周計測を行うには $ % と $% の処理を繰り返し実行しなければな
らず,計測効率は低いものとなる.これを解決するため,-'#'.'/0 達 はイ
ンタラクティブスキャニングシステムの重要性について述べている.本論文でもそ
のことを踏まえて,システムではリアルタイム性の実現を目指した.
提案する手法では,
のついた回転台を用いて対象を回転することで全周の獲得
を行う.リアルタイムなシステムのため,$ % と $% の処理が同時に実現できるよう
になっており,効率的な計測が可能である.
第章
単眼カメラ 次元計測システム
回転台を用いた全周獲得システムをポータブル計測機器, ワンド を利用して
行う.
このシステムの他にも 次元計測器は多数存在する.本論文でこのシステムを採用
した理由として次の 点が挙げられる.
¯ 計測時に複雑なセッティングが不必要
¯ 手軽に計測ができ,扱いが容易
¯ 計測確認を行いながらの計測が可能
本章では,この 計測システムの説明を行う.
システム構成
このシステムは単眼ビデオカメラとラインレーザポインタから構成される.ライ
ンレーザポインタはレーザ平面を放射する.計測時にはレーザ計測機器を手に持ち,
計測対象をレーザで直接照射する.レーザ平面が計測対象上にレーザのスリット光
を作るため,計測器を動かすことでこのスリット光が対象の表面全体を覆うように
スキャンが出来る.このレーザによるスリット光を単眼ビデオカメラを用いて撮影
し,ビデオ映像を分析することで対象物体の 次元形状を取得可能となる.
使用したシステムでは,レーザ計測機器は「 ワンド」 を図 に示す.また
その計測風景を図 に,計測原理を図 に示す.
レーザ計測機器の位置姿勢は,レーザポインタに取り付けてある 個の マー
カにより推定される.複雑なイメージプロセシングを用いて不安定になるのを回避
するため,レーザポインタに 個の マーカが図 に示すように平面上に取り
付けてある.
図 ラインレーザポインタ
これらのマーカから 次元空間のローカル座標系を定義する.1マーカ座標系2 の
原点は 個のマーカによって形作られた正方形の中心に位置する.
マーカ座標系の座標軸は つのベクトル,
½ ¾ ¿ を用いて定義される.マーカ
¼
¼
¼
図 計測風景
によって作られた正方形の角と平行となる方向に座標軸 ½ と ¾ を定める.座標
軸 ½ ¾ はレーザプロジェクタと平行となるように定められ,残りの座標軸 ¿ は
½ ¾ と直角となるように定める.カメラ座標系は,水平および垂直方向にそれぞ
れ平行である ½ ¾ ,イメージ平面とカメラの後方の方向に向かっている ¿ を用い
て,
½ ¾ ¿ と定義する.図 は座標システムの定義について示している.分か
りやすいように, つの平面には名前をつけている. つ目は ½ と ¾ によって計
測される,1マーカ平面2 と呼ばれる平面である. つ目は 1レーザ平面2 と名づけ
られた,ラインレーザが映し出した平面である.もしマーカが正確にレーザ計測機
器に取り付けられていると仮定した場合,マーカ平面とレーザ平面はお互いにオー
バーラップする.
対称物体の形状をスキャンする時,レーザポインタに取り付けられたマーカはビデ
オフレームで取得される.ビデオフレームのマーカの 次元空間から,カメラ座標
系とマーカ座標系間の変換パラメータの推定を行う.
¼
¼
¼
¼
¼
¼
¼
¼
¼
レーザプロジェクタ
対象物体
LEDマーカ
映し出された縞
ビデオカメラ
図 計測
形状の獲得
本システムは,レーザ平面とほぼ等しいマーカ平面を使用して,三角測量の原理
により表面点の位置を獲得する.図 は三角測量によってどのように表面位置を
評価するかを表している.
対象物体上に映されたスリット光がカメラ画像から検出され,視線とレーザ平面の
交点から表面の 次元位置の推定を行う.全ての計算はリアルタイムで行われ,評
価されたデプス値はリアルタイムに画像上に 次元表示される.その表示された画
像を見ることで,計測者は,各ピクセルに対して推定されたデータ値を即座に確認
することが出来る.これにより,インタラクティブに効率的なスキャンを行うこと
ができる.
また,本システムは繰り返し同じピクセルをスキャンすることで,統計的に精度を
向上することが出来る.
e'
3
e'
e'
2
1
マーカ座標系
e
2
e
1
e
3
カメラ座標系
図 座標システム
マーカ座標のレーザ平面のキャリブレーション
マーカ平面およびレーザ平面ができるだけ正確にオーバーラップするように マーカーはレーザポインタに取り付けされる.取り付け作業を手動で行うため,
の配置に誤差が生じる. 次元表面の計測時に誤差を生じさせないように,レーザ
平面とマーカ平面間の関係を計測する方法を用いてその誤差を解決する.
この関係はマーカ座標で表現されるレーザ平面のパラメータとして定義されている.
もしマーカが正確に取り付けされたなら,マーカ座標系の座標軸 $½ ¾ ¿ % で表現
されるレーザ平面の方程式は ¿ 3 である.
測定の準備として,以下の計測を前もって行う必要がある.はじめに,サイズの分
かっている長方形の平行六面体,もしくは箱型の物体を取得する.カメラからの画
像を用いて,物体の位置と形状はカメラキャリブレーションの手法を用いて評価す
る.物体の形状から,箱を包む平面の方程式が評価される.
本システムでは対象物体の表面にレーザ光を映し,光っている表面とマーカの取得
を行う.マーカから,マーカ座標系とカメラ座標系との間の変換行列が前の章で述
評価されたレーザ平面
評価された3 D点
レーザ反射の視線
ディテクトされた
レーザ反射
図 表面位置の評価
べたように決定される.その変換行列を用いてマーカ座標系で表現されるレーザ平
面から,カメラ座標系のレーザ平面の計算を行う.
次に,レーザ平面の交差しているラインと物体を形作っている箱の表面の計算が行
われる.つまり,本来のラインのイメージが決定されるということである.このラ
インはもし与えられたレーザ平面が正確ならば,光の縞が映しだされると ”推測 ”
された位置である.
レーザ反射の正確な位置は画像からディテクトが可能である.もしレーザ平面に与
えられたパラメータ中にエラーがあるならば,図 に示すようにレーザ反射の計
算された位置が正しい位置とは合致しない.
実際のスリット光のピクセルと前合計されたスリットのピクセルとの間の方向の合
計の計算によって,本システムはこれらのスリットが合致する方法を推定するシス
テムである.そのキャリブレーションはレーザ平面のパラメータの非線形最適化を
用い,この値を最小化することで行われる.そしてイメージにきちんと合ったスリッ
ディテクトされた
レーザ反射
評価されたレーザ平面から
予想されたレーザの縞
図 レーザ平面のキャリブレーション
ト光のマーカ座標系のレーザ平面パラメータを得ることができるのである.初期パ
ラメータとして平面 ¿ 3 に対するパラメータを使用して非線形の最適化用のア
ルゴリズム を下回る簡単な手法を適用し,用いているのである.
第章
回転台を用いた全周 次元計測
システム
システム構成
提案するシステムは,前章で述べたビデオカメラとレーザ計測機器に,計測対象
を回転するための回転台を加えたものである.回転台にはキャリブレーションパター
ンと が設置してある.計測対象を回転台の上に載せ,回転させ計測したデー
タを最後に結合することで行う.
キャリブレーションパターンは回転台の回転軸の計算に用い,また,
は回転台
の回転角度を求めるため使用する.計測データを格納するデータ形式にはボクセル
形式を用いる.
回転台の作成
回転台の作成には,次の材料を用いる.キャリブレーションパターンの貼り付い
た,計測対象を置くための台を作るための木材,それを回転するための回転テーブ
ル,台に取り付ける である.まずは,回転テーブルを用意した.中華テーブ
ルみたいなものを始めは使用しようとしていたのだが,テレビ回転台という便利な
ものがあることを知り,それを用いることとなった.次に,キャリブレーションパ
ターンがある台の作成に取り掛かった.木材を購入し,それを購入先でカットして
もらった.金づちと釘を用いて,カットした木材を高さ /4,縦横 /4 の台にし
た.それに ¾ のキャリブレーションパターンを貼り付けた.続いて,
の
取り付けを行った.次に表す図 のように回路を組んだ.
抵抗器
LED
抵抗器
LED
抵抗器
LED
スイッチ
断路器
図 回路図
回転台の材料を表 に示す.
,抵抗,スイッチ,これらを並列につなぎ,
を上の部分が開いている光の漏れない小さな筒に入れて上を白いアクリル版
で閉じてある.回転台に取り付けられた は,計測時に回転各によって物体の
陰に隠れることがある.そのことにより回転角の推定を行えないということを防ぐ
ために,回転台には回転の中心と点対称になる位置に別の を取り付けてある.
そして,それらの 箇所の は区別できるようになっている.向かい合うように
取り付けることで, 箇所に設置した すべてが計測対象に隠れてしまうといっ
た事態が起こらないようにしているのである.
は見る角度によって見え方が異ならないように,白のアクリル板で拡散させ輝
表 回転台材料
材料
木材 $ /45 /4%
木材 $ /45 /4%
電池 $単 %
抵抗
スイッチ
キャリブレーションパターン
テレビ回転台
個数
度を一定に保つよう工夫してある.さらに,回転テーブルの回転軸の中心とキャリ
ブレーションパターンの中心は,計測の効率化のため厳密に一致させてある.
ディテクト
キャプチャ画像から,今回作成した回転台に取り付けられた を検出する.
図 の位置
台に取り付けてある の色は,レーザ計測機器にもちいた (青・緑)及
びレーザ(赤)と区別する必要がある.この対となる 箇所の の識別方法に
は,異なる色を使用することも可能ではあるが,色を閾値に用いて識別すると検出
が不安定になることがある.そのため,これらの の識別方法を個数で区別す
る手法を始めは用いた.対となる の一方の の設置数は 個,反対側の設
置数は 個といったように区別していたのである.しかしながらビデオカメラの画
像上で をディテクトする時, 個並べた側の 間の距離が近すぎたため角
度によっては上手くディテクトが出来ないという問題が発生した.そこで, 個並
べた をある程度距離を離して再び取り付けるという作業を行う必要が出てき
た.しかしながらその場合,今以上に複雑なディテクトを行う必要が出てくる.そ
こで,回転台の回転の中心位置からの距離を異なるものとすることで識別を実現し
ている.中心からの距離を /4 ほど差をつけ,回転台の回転軸を中心に点対称に設
置した の検出の識別を行うことが可能である.
回転軸の算出
回転軸の算出は,回転台を回転して撮影した複数のキャリブレーションパターン
画像を用いて実現できる.撮影した画像列を用いて,カメラの外部パラメータを推
定する.これを用いて,カメラ座標系と回転台座標系の つの座標系の変換行列を
計算することが出来る.
回転台座標系は回転軸を 軸とし,キャリブレーションパターンが張られた平面を
平面として定義した.
図 回転軸の算出
回転角の算出
カメラ座標系から見た回転テーブル上の の位置を,回転台座標系の 位
置に変換することで回転角を推定する. で求めた,カメラ座標系から回転台へ
の変換行列を とする.
画像上での 座標を $ % とし,焦点距離を 6 とすると,カメラ座標系での画像
上の 座標は $ % となる.これを とすると,回転台座標系での座標は となる.また,同様にカメラ座標系の原点 は となる.カメラ座標系の原点を
通り,画像中の のピクセルを通る直線は,回転台座標系の 3 平面と交わ
るため(図 ), 3 3 とすると交点は,
$ % ¡
¡
¡ $ %
$ %
となる.式 $ % より求められた座標と,回転座標系での基準ベクトル $ 77% との
差として,回転角を計算することが出来る.
Y
カメラの画面
Z’
X
Y’
カメラに映っている
LED
回転台上の
LED
X’
回転台
図 のディテクト
デプスをボクセルに格納
次元計測の際,デプス値は,距離画像として格納されることが多い.本システ
ムでは,計測対象を回転しながら全周方向を計測するため,距離画像として保存す
ることが困難である.そこで,本論文ではボクセルとして保存を行う.ボクセルは
/4 四方を ¢ ¢ の解像度で表現したものである.計測したデータはリ
アルタイムで回転台座標系へ変換され,算出された回転角を用いて 軸で回転した
後,ボクセルに格納される.これにより,全周形状データを表現することが可能と
なる.
図 ボクセルデータ
回転角を用いてデータを回転
基準から何度回転しているかを算出し,ボクセルデータを回転台の座標系の 軸
まわりに回転させる.
基準点を用いることで, つ以上の の角度を求めやすくなっている.それぞ
算出した回転角度
図 回転角を利用して回転
れの回転させたボクセルデータを統合することで,最終的に一つの全周獲得された
ボクセルデータを作り出すことが可能となる.
図 回転させたボクセルデータを統合
投票によるボクセルからの形状生成
計測の際,実際にはノイズや計測誤差により,計測対象以外の形状を取得してし
まうことがある.本論文では投票によりこれを解決する.
計測したデプス値が変換後,どのボクセルに格納されるかが決まると,対応する各
ボクセルに対して投票を行う.形状生成の際には,投票が閾値を超えたボクセル部
分にのみ頂点を生成する.これにより,信頼度の高い点のみを生成することが出来
る(図 ).
ボクセルデータには
回数が格納
図 ボクセルデータへの格納方法
1
2
2
11
10
9
15
1
2
8
17
1
19
2
3
1
ボクセルへ投票
メッシュ生成
頂点生成
図 形状生成プロセス
第章
実験
実験内容
この実験の目的は,計測対象の今まで測定できなかったオクルージョン部分がき
ちんと計測できるようになることである.
実験は以下の手順で行う.まず始めに,回転台のみを回転させた画像を複数枚撮影
する.そして撮影したキャリブレーションパターンの画像を元に,回転軸を計算す
る.次に回転台の上に計測対象を乗せ,対象の計測を行う.回転台を少しずつ手で
回転しながら,全周計測が出来るまで連続して計測を行う.
のディテクト
による回転角の推定精度を確認するために,回転台を回転している間は計
測を行わず,回転台を一旦固定した後に,計測を行う,という作業を複数回行った.
表 回転角度
データ番号 回転角度 $度)
誤差
8
9
9
9
8
9 9 9
表 は,それぞれ回転したデータと元のデータとの比較を行い,誤差をまとめ
たものである.誤差の評価は,推定した回転角で対象物体を回転し,これが正しい
物体と何度ずれているかを調べることで行った.
その結果,データ番号 ,, のデータの誤差が大きいことが分かる.これは,
本システムでは,計測時に計測対象によって,回転台に設置した が隠された
場合にも,回転角を算出できるように,回転の中心から点対称の位置に別の を設置しているが,その の位置が実際の位置とずれているため起こったと考
えられる.そこでこの偏差を利用して再計算を行ったところ,誤差を解消すること
が出来た.結果を図 に示す.これは,計測結果を真上から見た図である.修正
前は各オブジェクトに隙間が開いているのに対し,修正後は改善されているのが分
かる.
図 回転前データ
図 回転前データ 図 回転前データ 図 回転後データ
図 回転後データ 図 回転後データ 図 全てのデータを回転させて統合
修正前
修正後
図 修正結果
第章
結論
結果
本研究の目的は,単眼 次元計測システムを用いて全周の形状を獲得することで
あった.このため,回転台を用いて全周の形状をリアルタイムに 次元計測するシ
ステムを提案した.回転角は を回転台に設置することで,画像処理によりリ
アルタイムに計算される.推定した回転角を用いて, 次元データを回転・変換し,
ボクセルに格納することで効率よく全周形状を計測することが出来た.また,回転
台に取り付けられた の設置誤差を修正する方法を提案した.その結果,リア
ルタイムに計測対象の全周を精度良く計測することが出来た.
今後の課題
を用いた画像処理による回転角の推定には誤差が残るため,最終的な形状
に悪影響を及ぼすといった問題が挙げられる.今後は を増やすなどの手法に
より,精度の良い回転角を求めることが必要と考えている.
謝辞
研究ならびに生活面においてご指導を賜りました大澤 裕教授,研究の遂行にご協
力頂きました川崎 洋助手,本当にありがとうございました.
また,先輩としていつもよきアドバイスをくださいました,櫻井 政幸氏,郭 微氏,
(#: 氏,根岸 幸生氏,宮本 充徳氏,山崎 将志氏,山崎 治美氏,丸山
達生氏,徐 慶大氏,青木 秀晃氏,大島 雄太氏,桑原 浩氏, そして苦労を共にし
た尾池 次郎氏, 渡辺 新氏,鄭 泉氏 ,石崎 公一氏,そして同期学生の皆様,並び
に私を暖かく見守って頂いた両親をはじめとする周囲のすべての皆様に深く感謝致
します.
関連図書
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