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慣習法特許状の政治史的意義: ロリス特許状とカペ王権

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慣習法特許状の政治史的意義: ロリス特許状とカペ王権
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慣習法特許状の政治史的意義 : ロリス特許状とカペ王権
森山, 軍治郎
北海道大學文學部紀要 = The annual reports on cultural
science, 21(1): 99-151
1973-02-20
DOI
Doc URL
http://hdl.handle.net/2115/33377
Right
Type
bulletin
Additional
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Information
21(1)_PR99-151.pdf
Instructions for use
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けられる。こうし
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本稿では、 M ・プルヮの研究を手がかりにしながら、 つぎの二点を追求することにしたい。第一は、諸条項の内容
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(の笠宮曲目印﹀地方を中心とする八三カ村のモデルとなったロリス特許状を検討することは有益と思われる o
もたらすかについて検討することであろう o その意味からすれば、 とりわけ、国王が援与し、バリ南東部のガテイネ
理構成でつなぐかであり、政治史のダイナミズムのなかで、慣習法特許状がこの問題にどのような解決のいとぐちを
なければならないこと、これらはいまや常識である。問題は王権から末端の都市・農村の共同体までをどのような論
の成立との関係において同じ平面で把握されねばならないこと、領主制といえども権力構造全体との関連で理解され
主国的な規模での政治横造に深いかかわりをもたなかったはずがない。わが国では、中世の都市と農村が領主支配権
それが中世の王権であり中世都市であるか、ぎり、領主制や封建制と無関係でありえたはずがなく、 また、領主制も全
ラγなど社会経済史の側からするのとでは、
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政治史的視点が含まれるにしても、 それは領主制的小世界内の分析でしかないので
は慣習法特許状を王権やプレヴォ都市とまったく関連づけていない。
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こうしてみると、 ブラシス中世史学における慣習法特許状の位置づけには、法制史の側からするのとブロ
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現存する史料は一一五五年にルイ七世が援与したものにたいするフィリップ
ロリス特許状の基本性格
ロリス特許状の構成
てにわたって原文をそのまま追認したものであるから、事実上、これを一一五五年のものとみてさしっかえない。し
かし、最古のロリス特許状はルイ六世(一一 O 八│一一一一一七)によって授与されている。これが一一五五年のものと
が普及していること、
一一五五年の特許状の主要内容に類似したものがルイ六世による
同一物であるか否かについてはなんらのきめ手もないが、 ルイ六世時代にすでに周辺の数カ村に﹁ロリスの諸慣習﹂
︽口。ロ田口巾門戸門出口巾田円。同一江田己︾
別の証書にみられることはたしかである o したがって、本稿で諸条項の分析をする際に使う史料は一 一五五年の特許
状であるが、普及状況の検討にあたってはルイ六世時代も考患の対象に含められることになろう o
全三五カ条からなるルイ七世の特許状は、国王・プレヴオら支配層の諸権利と住民のそれとを明確に規定したもの
である o しかし、諸条項の配列には原則がないばかりか、同一条項内で双方の権利・義務関係が規定されているばあ
いもあり、同一内容が数カ条にまたがっているばあいもあり、 さらには、異なる性格の内容が同一条項内に混在して
いるばあいもある。それゆえ、全三五カ条を重複なく内容別に分類するのは困難であるが、 プルウは一応つ、ぎのよう
に分類している。
行政││九条項
北大文学部紀要
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慣習法特許状の政治史的慈義
i!六条噴
法身分
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│項条
条
要 項
の政治構造
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続言
サシ日常フノワ B シ
ル抑制ロワ ijy
下級役人の権限││六条摂
ブレグォの権限ー!i七条項
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住 民 の 政 治 的 権 利 ・ 義 務i
おすとつぎのようになる。
に中市(震議構に関し
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したものについては、 さらにつぎのように分類、
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と権主幣金投支務
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授与対象者については、︽ρEngfZロE
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F222Z(二条﹀のように一示されているのみで、特許状が授与
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される以前の住民の法身分は不明である。 g
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ロリスを離れることができる(十七条)から、土地に緊縛され
てはいない。ロリ丸内に住む騎士などの直接支配下にいる不自
由人は特許状の授与対象となりえず、結局、授与対象者はロリ
ス教区内に家をもち、国王に従属するものにかぎられる。その
ばあい、授与時にロリスに居住していた国王の不自由人も授与
対象者に含まれる。
この条項がもっ魅力を計算に入れて、他領からの人口集中を企
図したのであり、国王がロリス特許状によってねらったことの
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ひとつはここにあった。口町 -NbN -w 古田)-N]TN
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(おそらく都市城外教区居住耕作者
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H)m肖O
illプルウ)の運搬賦役以外に、賦役は存在しない(十五条)。
タイユの廃棄(九条)。家屋と土地一アルパンにつき六デ
ナリウスのサンスに定額化(一条)。御料林以外での枯木取得
(4)
自 己 の 生 活 必 需 品 に つ い て の 売 買 税 ︽ ぢ 己025︾、流通諸
権(二九条)。
(5)
に つ い て の 穀 物 税 ︽E
S
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w四22︾ 、 自 己 の 葡 萄 園 か ら 得 た 葡 萄
課税︽口055Z全 百ω︾ 、 本 人 と そ の 家 畜 の 労 働 に よ る 収 獲 物
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)、ミリィ(冨ニ一三、ム一フ
ンプ(開ggug)、 オ ル レ ア ン (O b
酒 に つ い て の 酒 税 ︽ 同DEmEB︾の免除(二条、三三条﹀。ェタ
(ZHZF凶 ) で の 売 買 税 の 免 除
オ ル レ ア ン で の 入 ・ 出 市 税 の 定 額 化 ( 二O 条 ) 。 自 己 の 塩 や 葡
ユ
しかし、なにより重要なのは移住民に関する規定である。
ン(冨orる ま で の 聞 で の 通 行 税 ︽ 匂 色 白mEB︾の免除(四条)。
︼同町 E
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ロ0 2 仏昂自国一口的。H
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己E
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萄酒をオル νアンに持出すばあいの税の定額化(二六条)。フエ
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と一日を経たものは国王の支配下に入り、既住民同様の身分保
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D ZB52HZ丘口町百官orpSHHF 0583-522ρ 己2 5
目
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也向日目見向付・︾(十八条﹀。すなわち、ロリス教区に移住して一年
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(二八条)。ロリス週市での売買税の未納については八日以内
ピュイゾ i (司己耳目戸同)、ニベル
に 支 払 え ば 罰 金 対 象 に な ら な い 戸 三O 条)。以上の諸条項は、
障を獲得すること、ができた。したがって、この規定によって、
の道をみいだすことができた。しかし、国王の側からすれば、
近隣諸領主の支配下にいた不自由人は従来の法身分からの解放
北大文学部紀要
-107-
慣習法特許状の政治史的意義
被告の誓約(河口出
g 門)、法廷決闘25一YEnEH巾)の三種があ
ロリス教区内だけでなく、広くガテイネ地方でのロリス住民の
り、とくに法廷決闘に関しては、それに至るまでの一二段階の解
訴訟の際の両当
自由な商業活動を保障するものである。また、ロリスの定期市
事者の権利・義務規定(十九条)。
決方法が規定されている(十四条、一二二条
)o
や週市への外来者が市の日に犯罪を犯さぬかぎり身柄は保障さ
以RZSLmpu内 mo-EE ι
︽肘片岡O円
凶
由
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権(圏﹀はプレヴォテ︽℃広芯沖合も
E30田町耳目︾とよばれた。
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印C
﹂の︽℃同戸巾℃ C M
国王直轄領の管理はプレヴォ︽℃芯︿。
FM)E40田町一︾ に委ねられ、 そ の 支 配 管 轄
た
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) 812・
、.
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の規定ばロリス特許状の影響と無関係に大多数の村で踏襲され
賦役についで重い負担であったので、罰金額の軽減に関するこ
口
一五百包凶口母ロmwHHCmZ
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-︾(七条)。罰金は byイユや
(7)
れる(六条)という規定があるように、外来者を保護すること
により、国王はロリスに商業的繁栄をもたらそうとしていた。
これら諸条項の背後には、ロリス教区内外での商業活動の活発
化を通じて、より安定した収入を確保しようとする国王のねら
8・
いがあった。円﹃・豆-popqb-RH-wH)・
(6)ω 公共の安寧を乱さぬかぎりでの犯罪について、両当事者
間の示談成立の可能性(十二条)。未決投獄の廃止(十六条﹀。
b
) の確立
4ひH
法廷での挙証手段 (5035号 冒2
40)には、証人(件。505)、
プレヴオテ(官ふ
と い う 用 語 自 体 は 部 族 法 典 や フ ラγク時代の教会関係史料にすでにあらわれているが、 そ れ が 国 王 直 轄 領 の 支 配 管 轄
フィエフを保有したり家臣をもつこともあった。そし
権 者 と し て は じ め て 史 料 に あ ら わ れ る の は ロ ベ ー ル 一 一 世 ( 九 九 六i 一
O 三一)の時代である o十二世紀中頃までのプ
レヴォは国王の役人でありながらなかば封建的な性格をもち、
一般の封建領主と同様に国王からの独立性を志向していた。また、プレヴォテの領域は流動的
て、彼らは、 フ ィ エ フ や プ レ ヴ ォ の 職 の 世 襲 化 と と も に 、 彼 ら に 委 ね ら れ た 職 権 ( 高 萩 裁 判 権 ・ 財 政 権 ・ 行 政 執 行 権
等)の濫用によって、
g
2︾
で あ る と 同 時 に 地 域 に よ っ て も 多 様 な 規 模 で あ っ た が 、 一 般 に 、 封 建 的 支 配 領 域 と し て の シ ャ テ ル ニ l ︽岳営巴
1
0
8
に照諒するもの勺あった。このように、初期の段階のブレヴォテはその実質的な支配権の内容からいっても領域的に
っていたであろ
十一世紀後半以来のガテイネ
いって Jh シャテルニ!"“""""城主支寵権(国間﹀としての性格をもっていたといえる。
、
官
で は 、 こ う し た 初 期 の 段 構 の ブ レ ヴ ォ テ と ppスへの慣習法特許状の
はどのよう
うか。
一世紀初頭にロリス特許状が成立した繋関をさぐるため、
それによ
は十二世紀の
の安定的増大化という財政政策的側留に力点がおか
アナル
いるように
について分祈念加えてはいるが、ヅ
の
出
M ・。フルウは
、領主聞のたえざ
による新タイ品課税などの金民収奪の強化と領主役人による掠奪。三、
ている。それによると以下の四点が特徴づけられる。
とくにブレヴォの権力務用への終止符 B
思われる。たしかに、プルゥはロリス特許状に規定される投入や聖界領主
北大文学部紀要
1
0
9-
破壊。二、戦乱での荒廃に加えて、
ピジス特許状の
の収入源もまた増大させようとした﹂から
であり、そのことによって、 一従来の
のもとで、
っため
の
開ワスのごく近緋鮮やとくにパリとオルレア
のプレグォの職権濫用による閑王産轄領の荒機と住民生活の破嫌。問、これらにた、
この
にも妥当したという確証はないが、
めて頻繁であった。
の濫用に
せ、したがって、
。
〉
て、がロりス
ルートの周辺で
に再び人口
十
シ ー を 克 服 す る 鴻 税 と 探 く 関 寵 し て い た の で あ る 。 し か し 、 彼 の 翠 解 に よ れ ば 、 ブ レ ヴ ォ テ と PFス特許状の関係は
を政治史的に位援づけた。すなわら、
,
一
散。これらの
つ め
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プルゥはロ P ス特許状の
ぎ
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あへ
慣習法特許状の政治史的意義
レヴォテ日シャテルニーという国王直轄領の支配単位のなかで、国王がどのような権力構造を構築しようとしたか、
サγ
Hブノワ U シュル H ロワ l ル
巳
口
付l
また、 そのことが全面的な王権の確立にとってどのような意味をもちえたか、 については充分な整理をしていない。
以下に、 ロリス特許状の諸条項げ分析を通じて、プレヴォ、下級役人、
20
プレヴォ
第八条﹁国王陛下の面前において裁判を受けんとする者は何人もロリスから出てはならない
内
OL
︽田口己-5225
ω
(
回
127FC可巾)修道院の権限の内容を明確にし、 さらに、 それらがどのような関連をもっ権力構造をなす
かにつ
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いて検討を加えることにしたい。
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第二七条﹁ロリス住民は
何人も、 エタ γプのプレヴォによっても、 ピティヴィエ(古同Ei2印)の。フレヴォによっ
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ても、全ガテイネにおいても、罰金を課されることはない o﹂︽巴ロロロgZBEZBFc
巾
唱
。
色
付
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ロリス
この二条項はロリス住民がロリスのプレヴォによってロリスで裁かれるという原則を確立しようとしたものであ
り住民の権利規定であると同時にプレヴォの権限を明確にしたものである。プレヴォの権限の側からいえば、
のプレヴォはそのプレヴォテ内の住民に関してのみ裁判権をもちうるのであって、隣接するプレヴォテにおいてはい
ささかの権限も与えられていない。
この当地裁判の原則ともいうべき規定は近隣諸地域の特許状にも多数みられるものである。地名をかえただけでロ
リス特許状の八条・二七条とまったく同文の条項をもつものには、 すくなくとも、ボワ H コマン(回三回lhog自己ロ
-110-
(
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25-F) など十四カ栴)(一一七五年)がある。
一八六年)やロリスのプレヴォテ内(宮、ミミミろのグクルセル((リ
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三、
/、LV4μ
(
切
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U ルー
γ ャγ パlュュ伯のプレグォによる当地裁
ロリス特許状には明確な規定はない。しかし、他村の
BoE) でも、
ロリス特許状の影響をうけたショlモγ(hEロ
判の原則が規定されている。
っ、ぎに、プレヴォ裁判権の性格であるが、この点について、
ロリスのばあいについても手がかりがえられるように思われる。
由
gEZ自 己σ 円O
主E L巾田口官。P2F282巾8
包巳広三回ゲ。
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B官同叩口片山田℃巾同凹OFBE向ロロH
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H 5 5 8舟2-宮EC
は原告の証言に反して自分の手だけによって︹誓約することにより︺自分の無罪を弁明することができる o﹂ ︽ 何 ?
第三二条﹁ロリス住民のだれかがなにごとかで告訴されたばあい、 それが証人によって立証されないならば、彼
特許状と比較してみると、
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この十四カ村の住民は当然にもロリスのプレヴォ裁判権に服したが、
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5己 や エ タ ン プ の プ レ ヴ ォ 裁 判 権 に 服 し た 。
それぞれポワシィ(句0
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一七四年)やル 1 マルシェ
のばあいも、
ャ小
sssミ言、宮町させに宮町)
(ωE己一円l巾ロ lchw片山口包田
(灯)
や ソ l Hザ γ Hガ テ イ ネ
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一一五三年) はルイ七
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叩 刃包)とそのシャテルニlの住民に授与された特許状にもこの原則がみられる。また、国王直轄領内で
当地裁判の原則についての規定をもっている。ブールジュ
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内 唱
世治下でプレヴォテが設置されるが、 それ以前の段階でも村を領域範囲とする (
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北大文学部紀要
"
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11
1-
年
慣習法特許状の政治史的意義
(沼)(勾)
特許状にはロリスの影響をうけたものとうけていないものとがあるが、両者はほとんど同文といってさしっかえない
ものである。
﹁プレヴォが国王の規定する叛罪について住民のだれかに尋問するばあい、もし証拠がないならば、彼は自分自
らの手だけによって︹誓約することにより︺否認することができるし免罪させられる。ただし、以下の重大犯罪事
件のぼあいは除く oすなわち、 つねにガテイネの慣習法により裁判される殺人、謀叛、婦女誘拐、それらに類する
もの o﹂
(川崎)
﹂の規定の後半は、 いわゆる高級裁判権に言及したもので、ここから、慣習法特許状成立の時点でも、 プレヴォ
プレヴォ
に高級裁判権が委ねられていたことは確実である o ただし、 それも十二世紀末頃までに限定されることである。
しかし、 いずれにせよ、 ロリス特許状成立の時点で、すでに、 プレヴォの収入分は定額化され(七条)、
の役人としての一般的権限も最終条項で厳密に規定されているのである。
第三五条﹁同時に以下のごとく定める。 村においてプレヴォが就任するたびごとに、 彼はこれら諸慣習法を厳
また、 新 規 諸 役 人 が 就 任 す る た び ご と に も 同 様 で あ る こ と o﹂︽中。古含
4出昨日戸Bra
4各戸昨日同)Has-zpcロロ由吉田仲田-gBB ︺日え湾問SE--Z門田巾H
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守することをそのつど誓約すること、
85tz-55EWρ5片山叩ロ由吉
ggC2EE巾凹唱え as--F2 ロ
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-83-g同巾♂官。片山内吉田目。4巾
。4
住民はプレヴォの問罪に
ロリス特許状三五条に類する規定条
﹁この誓約がなされる以前には、
といっそう具体的な規定が与えられている。
ソl Hザ γ Hガテイネのばあいは、右の内容に加えて、
応じて出頭するにはおよばない﹂、
項は前掲のほとんどの村についてみられることであって、 このことは、十一世紀にこの制度が創設されて以来封建領
-112-
主
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下級投入
レヴォがいを
﹁触れ殺人は、
護 投 入 も ま た 同 様 マ あ るJ 乞ロ
一般的に示しているむ
おいて、 いかなる︹収入も︺
だれでも、
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ることができない。警
において、
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慣習法特許状の政治史的意義
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この修道院はロリスの南西約二0 キロの地点にあり、 ガテイネ南部一帯に、 ロリスをはじめとする広大な散在所領
と多数の支修道院をもっ有力聖界領主であった。その勢力は、 アナルジl下にあっては世俗領主による所領・諸権利
2
の掠奪に抗し、 また、諸村の司祭推薦権をめ ぐって、 サンス大司教との長期紛争を展開しうるほどであった。それだ
けに、この有力聖界領主の住民支配にたいする王権の規制も厳格なものであった。
第三一条﹁サン lブノワ修道院所領において、家屋あるいは葡萄園あるいは牧場あるいは耕地あるいはまたなん
らかの建物をもっているロリス住民はだれでも、 サ γ 1ブノワ修道院長もしくはその役人によって裁判されること
(山崎)
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はない。ただし、十分の一税あるいはサシスについて違反したばあいは除く。しかし、そのばあいでも、裁判をう
けるためにロリスから出ることはないよ︽何件 HE--5}55EEHHFOR5♀ ゲ 同 ゲ2
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(
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再2
-E2) のばあいにも、 右と同文の規定条項がある。 この条項により、 かつての有力領主も国王直轄領において
しかも
は、もはやただの土地領主にすぎず、公権カや高級裁判権に関しては完全に排除されることになった。プルゥによれ
ぽ、﹁ロリス住民にたいして国王がとったこの二つの措置、すなわち、 住民をロリスでしか裁かせないこと、
プレヴォによってであること、これらは領主と国王役人の横暴から住民を保護した。同時に、国王は、住民がまき込
_-114-
まれる訴訟
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ったく同文の特許状を援与し
と 修 道 院 の 間 で ⋮らけ英関領主権契約﹂︽
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に﹁共同額主権契約﹂
i ル目、ドーグゥルトネにこのシャテル
については、
のシャテルエ;
開ベールはル H ム リ ネ の ジ ャ テ ル ニ ー が 経 持 で き な く な っ た た め 、
により、 は や く も ル イ 六 世 に よ っ て 狩 り ス 慣 習 法
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して実弟のど
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のプレヴォはシャテルニーに
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である。ただし、修道院長の
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死後、総統問煩から問問中部に市内紛が総念たのを契機に、これに子
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るものであった。したがって、このことはブレグォテ ( E Vャテル一一 i) を鋭
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らかに住民の警遅義務は存在していない。だが、このことはロリスに初発からこの負担が存在しなかったことを意味
しない。。フルゥは﹁大多数の村では警遅義務を果たすことが住民に義務づけられていた﹂として、近隣諸村の例証を
ブ l ル住民は慣行どおり村を警遅する﹂︽F 肖
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mg田町田巾凶ggZE4山口出白色口EgrE︾ (ロ向。ロロ巾円。ロ l
自
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下の要領で村を警遅しなければならない。すなわち、家とかまどをもつものは各々、 なんらかの正当な理由がないか
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このような往復
一日程度の軍役義務規定をもっ特許状は、国王直轄領内では、
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ロリスの影響の有無にかかわらず多
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分 の 家 に 戻 る こ と を 望 ん で 、 そ れ が 可 能 な ば あ い は 除 く o﹂
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第三条﹁何人も戦闘軍役(自宮島位。)も護衛軍役(巾宮町阻止。)も果たすことはない。ただし、 その日のうちに自
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軍役義務(日宮島片山。225
行が存在していたとの推定が可能になる。
。
慣習法特許状の政治史的意義
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数みられる o そのうち、ロリス特許状の影響をうけたものとしては、 γ ャベル H ラ H レヌ(一一 O 八│一一三七年三
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Hデタンプの特許状では、
ロリス特許状の軍役義務規定は
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許状の軍役義務規定も一種の限定付免除と解釈することができるから、将来における全面免除への過渡的段階とみる
ロリスなど国王直轄領における規定と比較してみることにしたい。
さて、 つぎに、国王直轄領周辺の諸侯や領主によって授与された特許状の軍役義務規定について検討し、 それらを
ことができよう。
ノ
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ソluザシ Hガティ持(一一五三年﹀、ル U ムリ打)(一一五九年)、ロリス Uプレヴォテ内十四カ的(一一七五年)、
ボワ U コマン(一一八六年)、アンジィ(﹀ロm可 一 一 八 六 年 ) な ど の 特 許 状 が あ る o ロリスの影響をうまでいないも
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のとしては、ロゾロ)(一一八一年﹀、ヴィルヌ 1ヴ Hサン H ムロ冷 ) ( J N叩
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ω 百千冨乙。ロ 二九六年)、
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ジユ・ダ γ Hル日ロワ(一一七五年、一一八一年)などの特許状がある o以上から、
同じく国王直轄領内にあるが、右のロリス第三条とやや異なる軍役義務規定をもっ村も少なくない。
国王直轄領内ではほとんど一般的であるといえる。
しかし、
一一二三年のマルシェ日ヌフ
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A崎町立 l勾町内礼的(一一一九年﹀ のばあいは、 共同体全体に義務づけられたときにかぎってこれを果たすにすぎない。
また、
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右のロリスと異なる例は年代的にみて限定付免除から無限定の軍役免除への推移を示している。しかし、 ロリス特
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いる。このほか、全面免除が認められた例もある。ルイ六世によるミミミ芯の特許状、
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な~
まず、 ジャンパーニュ伯領についてみよう o ジョソシュリ
(F572己以下回カ村(一一九八年)のばあいは、﹁戦
(回)
﹂の義務の頻度に制限はな
一一九九年) の特許状は部分的にロリスの影響をうけたものであるが、そこでは、住民は ﹁余(伯)の側か
闘 軍 役 と 護 衛 軍 役 に 出 る こ と ﹂ と 規 定 さ れ て い る だ け で 、 な ん の 限 定 条 件 も な い o ガテイネとの境界に近いエルヴィ
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(日)
ら求められたときはいつでも﹂果きなければならない、と明記されている o少なくとも、
H ナルゴソヌ(︿正日巾門田 lmHHl
﹀
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二O 八年)のばあいには、伯自身または伯の家内のものが陣頭指揮すると
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ぃ。また、ラ日ヴィルヌlヴ日オ Hシャトロ (F ︿己巾ロ 2H4白12H!
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(日)
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きにかぎって、軍役が義務づけられている。後者のばあいには、往復一日程度にあたる距離的制限が加わっている。
ニヴェルネ伯によって授与されたト γネlル(叶 Cロ
ロ22 一一七四年)の特許状のばあいも、住民は伯の召集があ
ればいつでも軍事行動に参加するか代理人を送らなければならず、義務不履行の際は罰則・罰金が課せられる、
れている。
北大文学部紀要
内ではみられなかったケlスである。第二に、 γ ャγバl ニュ伯やその家臣が与えた特許状では、時代が下るにつれ
事項をともなわない軍役義務規定が存在していることである。このことは、 わ れ わ れ が み た か ぎ り で は 、 国 主 直 轄 領
これらの規定からは以下の諸点を確認することができる。第一に、 シャンパ 1 ニュ伯領や-一ヴェルネ伯領には限定
ぃ。また、住民は能力に応じて武器を用意しなければならない。
と同様、往復一日程度の制限はあるが、規定の軍役日数を越えたばあいは、領主がその超過分を償わなければならな
円
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巾 一二四八年)以下八カ村に与えた特許状の規定はつぎのとおりである o ロリス
ル日ヨシヌ(の町田口50ロ
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ガテイネとシャンバ1ニュ伯領の境界地帯に位置する世俗領主 (シャンパlニュ伯の家臣) がショ 1 モン日シュ
と
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の細部定事官官が加わっていることで為り、
俊期間法特許状の政治史鈴意義
てロリス
}とは、
のばあいとほぼ間的様の傾向なふることができる。
められることである。思王室轄領では、
ら末ま
に、盟主査轄領
しかし、
ら全面免強への移行はルイ六世からツイザザプ日オーギ品スト治世の前半、 っし笈り、十二
の隈定
十二世紀後半か
世紀前半のことである。
いが強く、 また、
が全面免除政畿に
からロりス
みられるの
での時期にみられこれにたいして、-領主のいには、無限定の
付義務に
に依存す
よりも早く、 また、 できるだけ
十二・
ることはいかなるものを
、﹁也、。
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吋 、 し ゅ/ t v
︿部}
H ナルゴンヌの特許状において
め
に比べて、住誌
の確立期とされる十二世紀後半の時点で、国王は
の収入分を接絞
政策を直轄領内で襲環しようとしていたのである。
にある。被は
に盟問してなんらかの参加をしてい
戸リス持許設には共同体の自治組織については
のヴィリノユ官、ザン
-122
で捻じめた時点でせいぜい践定付免除をはじめているように、あをらかに、時間的・内容的な政紫上
織底した
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ブルゥによれば、
たしかに、
シャソパ!エユ
の欠都がただちにこの綴簸の実態的不在を意味するものではない。また、
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もってしても不
、
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ふれカ
の薬本的特質だったものでもなレ。
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1﹀話。浴室﹀の特許状においても、また、ロ
ボi モ γ fタン 4ナルゴソヌ︿
︿舶}
の
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ザスをひな型とした盟主直轄領外の雪一則状、や直轄録免だが開リスの霊管をうけていないブ i ルジ品の持許一ぬかばあい
将リスととも
も 許
状
にも、自治組織についてふれた条項は存在する。これら自治組織の存在を明確にする特許状と規定条項のないロリス
o
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ロリス特許状になんらの規定条項もないという事実、それ自体にある。はじめに述べたように、慣習法
のものとの内容的比較はそもそも不可能である。問題は、実態としての自治組織がロリスに存在したかどうかにある
のではなく、
特許状は、 授与者が支配者と住民の権利・義務関係について、 従来の慣行を確認・改定したものである
ロリス特許状におけるこの規定の欠如は、新しい慣行として公的機能を果す自治組織を認めまいとする援与者日
国王の政治的意図を表現したものにほかならない。
ロリス特許状における軍役義務規定は、周辺諸侯・領主のばあいに比べて、時間的にも内容的にも、国王の政策の
国王直轄領内においてさえも、
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サ γス大司教が二カ村。
一般の領
ユロイlズ日ド H V ョlモヅとその息子ピユlル川デ日バールが九カ村(うち三カ村については国
322HH乙位が六カ村。ジャンパーニュ伯が八カ村(ブロワ伯を含む
主層のばあいは、
、
OWM)
一般領主層はごく僅か
王も授与)に授与したほかは、各領主が一ないしニカ村に授与しているにす、ぎない。ここで特徴的なのは、国王が群
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を抜いて多く(五七%﹀、 ガテイネとそれに隣接する聖俗諸侯がそれについでおり(三
にすぎない(十三%)ことである
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エソンヌ、 ロワ l ル
、 ヨンヌ、 セIヌの諸
その西部と北東部に集中している
地理的分布においては、国王の授与地はつぎの二つに分類される。
河川に固まれるガテイネ地方とその周辺地帯(とくに、
o グ
ロリスからはるか
南のオ 1ヴェルニュ地方とマコン地方。シャンパlニュ伯領ではトロワ(吋H
C吉田)の南西部一帯に集中している
ヮルトネ領主のばあいはガテイネ内部とシェル流域とオセ I ル南部とにそれぞれ若干づっ授与している o サシセ I ル
伯はロワ l ル左岸のサンセ 1 ルを中心にその上・下流域に授与している。 一般領主のばあいは、ガテイネとシャンパ
ーニュの境界地帯ヨ γ ヌ流域に集中している以外は、 ほとんどガテイネの遠隔地に点在している。
年代的分布状況についてみると、国王援与地四七カ村中七割強にあたる一ニ四カ村がルイ六世からフイリ v プ 日 オ l
ルイ六世が授与しているのはこカ村だけであるか
ルイ七世治世の後半とフィリップ日オ lギュスト治世の前半の時代ということになる o したがっ
ギュスト治世の一二O 二年までの間に授与されている。 しかし、
実質的には、
代の後半期にガテイネとその周辺地帯の大多数の村に普及され、遠隔地のメネット (Z052忍 と マ コ γ 地方諸村は
十二世紀末│十二世紀初のフィリップ日オ lギュ l スト時代である。
北大文学部紀要
1
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7
、
一
一
、
て、国王がロリス特許状を集中的に普及させた時期は十二世紀後半である o その内容を地理的にみると、 ルイ七世時
ら
慣習法特許状の政治史的意義
シャンパ l ニ ュ 伯 領 の ば あ い 、 も っ と も 早 い も の で も 一 一 六 五 年 に 授 与 さ れ て い る に す ぎ ず 、 大 多 数 は 一 一 九O 年
代にガディネと接する地帯に授与されたものである。クゥルトネ領のばあいは、 ルイ七世治世の一一七0年代に三カ
村、他は十三世紀前半であり、 サγ セl ル 伯 領 の ば あ い も 十 二 世 紀 後 半 か ら 末 期 以 降 で あ る 。 サ γ ス大司教による二
カ村は一一七0年 代 で あ る 。 こ の よ う に 、 周 辺 諸 侯 の 集 中 的 援 与 期 は 、 国 王 の ば あ い よ り も や や 遅 れ て 、 十 二 世 紀 末
から十三世紀初である。
地図ーを参照。
(3) 表I 、表亙を参照。
一般領主層による普及の時期はさらに遅れて、早いものでも二三二年頃であり、他はすべて十三世紀中葉であむ
(2)
ロリス特許状普及の第一の目的は、政治機構の整備・確立を
-128-
(1) 表ーを参照。
国王直轄領への普及
ガテイネとその周辺
ロリス特許状をはじめ直轄領諸村に授与された慣習法特許状は、プレヴォテを領域的単位とす
地理的にも年代的にもほぼ一致している。したがって、
中f 二 カ 所 ま で が ガ テ イ ネ と そ の 周 辺 地 帯 に 集 中 し て い る 。 こ の 事 実 は ロ リ ス 特 許 状 の 国 王 直 轄 領 内 へ の 普 及 状 況 と
テが一一一ないし一一二カ所であったのにたいし、 ル イ 七 世 時 代 に 新 設 さ れ た も の が 十 六 カ 所 で あ る 。 し か も 、 十 六 カ 所
配 置 さ れ た の は ル イ 七 世 の 時 代 で あ っ た o ロベール二世からルイ六世までの四代、約一世紀聞に設置されたプレヴォ
る 王 権 の 支 配 体 制 の 法 的 確 立 を め ざ す も の で あ っ たo M ・パコ l の 研 究 に よ れ ば 、 プ レ ヴ ォ テ が 直 轄 領 内 に 組 織 的 に
すでにみたように、
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、
めざす新しい法的慣行を直轄領内に
以下に、この
ることであっ
による諸権利の
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それによる叡入増大を
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のとしては、
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もはや主権の
の中心課題は以下のように設扮されている。
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世紀後半における
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の普及は拓植政競と関門
一一カ村になり、 ルイ七世によって
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北大文学部紀要
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慣習法特許状の政治史的意義
ルイ七世時代に
フィリップ H オ I ギ ュ ス ト 時 代 に は 三 カ 村 で あ る o
以上の諸村のうち共同領主権契約︽官同佐官︾をともなうケ 1 スも少なくない。 プルゥによれば、
この契約をともなってロリス特許状が普及されたのは九カ村、
これらの契約の大多数は国王が聖界領主との聞に結んだものであるが、 弱 小 世 俗 領 主 と の 間 に 成 立 さ せ た も の も
ある o
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についての契約はルイ七世が陪臣にあたる世俗領主と
国王が陪臣の所領と領民にたいして直接支配を実現しようとしたものである。 すなわち、
一一七七年のフラジイ(盟認可)とピシュロ i (盟 各2
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締結したもので、
ピシュロ Iはユ
ロリス特許状の普及によってこの
ィは陪臣ユグリル H ノ ワ lルがその封主ジロ γ リド H モレから封として保有していたものであり、
グとその妻プァヴィアが封主ギベール日ド日カ γ ヌからうけていた封であった。
二村に人口を集中するために契約が成立したのであるが、 その際、 両封主の隷属民を永住させないという条件だけ
で、これらの村での全収入と裁判権が国王との聞で均分され、 共 同 で プ レ ヴ ォ と 諸 役 人 が 設 置 さ れ る こ と に な っ た
のである o
聖界領主との契約の例については、すでにルリムリネのケ 1 スを示しい官そのばあいも、国王は収入の半分を確保
するとともに、軍事権・裁判権に関する独占ないし優位を獲得したのであっ(問。
このように、共同領主権契約は国王が聖俗領主の所領と支配権を平和裡に奪取する有効な手段であり、同時に、 そ
の所領の住民にロリス特許状を普及することになれば、拡大された直轄領の支配体制の安定化を保障することにもな
っ時。したがって、ガテイネとその周辺一帯へのロリス特許状の普及は、国王直轄領の拓植政策による充実と共同領
主権契約政策による拡大をともないつつ、 その支配体制の法的確立・普及をめざす政策として展開されたのである。
-130-
ノネット (Zoロ
2芯)とマコン地方(宮町戸口 Oロロ出町)諸村
オlヴ ェ ル ニ ュ や ブ ル ゴ I ュュ等の諸侯領では、
北大文学部紀要
治情勢との関連で検討されなくてはならないと考える。
向-ロ同l
たしかに、この二村に普及されたのはフィリv
一一五九年以降、教皇アレクサンドル三世との
諸侯自身または有力領主たちが教会の所領・諸権利を強奪
ノネットやサン Hタンドレ日ル日デゼ l ルのような小村への普及といえども、右のようなカベ王権を中心とする政
南部のオ lヴェルニュ・ラ γグドック、南東部のブルゴ l ニュの攻略にかからねばならなかったのである o
(時)
いたことである。そこで、 ルイ七世は北部・東部の有力諸侯、 つまり、 フラ γドル伯やシャ γ パ l ニュ伯と同盟し、
配権を確立せんとしていたことであり、当然にも、彼らが地元の諸侯や有力領主を掌握して反カベの尖兵にしたてて
ュ等にプラ γタジュネットのヘンリ l二世が、東からはブルゴ l ニュにフリードリヅヒリバルバロッサがそれぞれ支
裁判権の行使とともに軍事介入にでたのである。しかし、 さらに情勢を複雑にしていたのは、 西からはオ lヴェルニ
し、あるいは、有力聖界領主との間で覇権を争っていた。これにたいし、教皇は教会掠奪者に破門を宣告し、国王は
当時、
ルイ七世が有力諸侯を制圧・掌握すべくとった政策の第一は、教皇権を利用した積極的な教会保護の政策である。
親密な関係が成立してからのことであった o
フラ γスを越えたのはすでにルイ七世のときからであり、 とりわけ、
プ HオIギュストのオ lヴェルニュとブルゴ l ニュへの遠征の二年後であった。しかし、 王権の拡大がイ l ル Hド日
ガテイネ一帯への普及とは異なる事情があるとの予想がつく。
(ことか
﹀ロ牛芯 lる
巾lりふ由巾立)村にロリス特許状が普及されたのは一一八八年である o ﹂れらの村が遠隔で孤立していω
直線距離でもロリスから三0 0キロはあるノネット村と二00キロはあるサン H タンドレ Hル Hデゼ l ル
。
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慣習法特許状の政治史的意義
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ロ己司教区教会の掠奪は激しく、両者の聞では、合計
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) のヴィコ γトが諸聖界所領を掠奪しつづけ
十二世紀のオ lヴェルニュ伯領では、伯自身やポリニャグ((旬。
ていた。とりわけ、ポリニャグ領主一門によるル日ピュイ
七回の﹁和約﹂が締結されている。四回目までは伯領内の他の諸司教・修道院長・伯の支配権を介して﹁和約﹂が成
一一六四年の五回目の和約ははじめて王権を媒介とし
立していたが、 いずれもポリニャク領主の掠奪を終止させうるものではなかった。教皇はこの掠奪者を破門したが効
果なく、結局、 ルイ七世に軍事介入を勧告することになった。
一一六九年、国王は再度進軍し、 ヴィコントの拠
たものであり、それによって、 しばし伯領の平和を保障することができた。しかし、プラ γタジュネvトの支援によ
って息をふきかえしたポリニャク領主が教会攻撃を再開したため、
﹂の判決内容は執行されるにいたらなかった。 そして、
一一七一年、
国王自らによ
点であるノネット城を奪取し、彼に援封していたすべての封の没収と一門の者の投獄をブロワ伯を通じて宣告した。
﹂れが六回目の和約であるが、
る 七 回 目 に し て よ う や く 長 期 に わ た る 紛 争 に 終 止 符 が う た れ る こ と に な っ た 。 そ の 和 約 の 内 容 は 、 ポリニャク一門が
ル日ピュイ司教に忠誠を誓うこと、 ヴィコントの地位を放棄すること、 八カ村の城砦や所領を司教に放棄することな
どであり、この一門の勢力を著しく弱めるものであった o こうして、 カベ王権によって平和が確立され、 さらに、こ
れを契機としてオ l ヴ ェ ル ニ ュ へ の 主 権 の 浸 透 が 可 能 に な っ た の で あ る が 、 カ ベ と ブ ラ シ タ ジ ュ ネ ャ ト の 聞 に は な ん
らの解決もみいだされておらず、フィリてフ日オ 1ギ ュ ス ト 治 下 の 一 一 八 六 年 に 紛 争 は 再 燃 す る 。 こ の と き 国 王 は 最
後の切礼としてノネット村にロリス特許状を与え、それによってカベ王権にたいする住民の安定した服従をわがもの
にしたのであった。
マコン地方諸村への普及も国王の政策としてはノネット村のばあいと基本的に同じ性格をもっている o
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フリードリッヒ日パルバロッサに支えられたマコ γ伯
、 シャロン伯等の有力諸侯・領主層がマコシ司教、
ジャロ γ
一一六六年と一一七一年の一一度にわた
司教、 グリュ一一 l修道院長等の聖界領主権力と対決し、 しばしば教会所領を掠奪していた。このばあいも、 ルイ七世
は初期の段階では裁判権を行使する程度であったが、 それも効なしとみるや、
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oロ凶)はじめ
る遠征によってこれら世俗領主を制圧し、 その代償として、諸教会からサシ川ジャシグゥ(∞田町三
l ルを獲得し、 そ こ に ロ リ ス 特
多 く の 村 に 関 す る 共 同 領 主 権 契 約 の 締 結 を か ち え て い る o フィリップ川オ l ギ ュ ス ト も 、 遠 征 の 成 果 と し て 、 サ γ リ
タγドレ H ル Uデゼ
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一二二三年)といったいずれも共同領主権契約によって獲得され
サン日夕ンドレのごく近隣のサンリジヤングゥ(援与年代不明)、
ジャン(∞戸山口付172) 修 道 院 と の 共 同 領 主 権 契 約 に よ っ て サ ンl
許状を普及した。 また、 G ・デュピイによれば、
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可 一二二O 年頃)、プリセ
た諸村にもロリス特許状が普及された。 さ ら に 国 王 の 普 及 政 策 の た め に 人 口 流 出 の 打 撃 を う け た コ ル ト ヴ エ
ロリスを部分的に模倣した特許状を同村に授与したのである o
ロリス特許状の国王直轄領内への普及が二つの意味をもっていたことがわかる。第一に、 ガ テ イ ネ と そ
JSW) の城主は、防禦策として、
以上から、
の周辺一帯への普及は、聖界領主や弱小世俗領主の所領・諸権利を平和裡に駆逐しながら、 王 権 の 物 質 的 基 礎 を 拡 大
ロリス特許状や共同領主権契約状が示しているように、彼ら領主層の支配権を弱めることによって、 王
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権を定着させるものであった。いいかえれば、﹁カベ直轄支配領﹂︽℃H
北大文学部紀要
ならなかった。 それゆえ、後者のばあいは、 封 建 王 政 の 確 立 に と っ て こ れ ま た 重 要 な 役 割 を 果 す こ と に な っ た の で
って獲得されたものであり、 そ こ へ の ロ リ ス 特 許 状 の 普 及 は 諸 侯 権 力 掌 握 の た め の 前 線 基 地 を 設 置 し た こ と に ほ か
ス特許状の普及は決定的な役割を果したのであった。第二に、遠隔の直轄領は地方的内乱を契機とする軍事介入によ
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慣習法特許状の政治史的意義
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そのヴィコントにす、ぎなかったア γジュ I家
(シャンパ 1 ニュ)家が有力封建諸侯として拍頭して、 東西から王権を脅かしたときであっ
己 5︾が解体し、
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ロベール家の フランシポ i テ︽官古口町出E
と ブ ロ ワ H シャルトル
た。同時に、国王の役人層や彼から援封されている貴族や騎士たちまでもが、国王ア γリ一世の母コンスタンスに唆
されて、反旗をひるがえして独立を志向し、 王権を足元からゆさぶっていた。とりわけ、 カベ支配領を東西と北から
包囲しているブロワのオド(開口仏2 同仏巾切目。山田﹀が南部のガテイネとサシス伯領をも併合せんとして、 王権伸長の出
口を完全に遮断しようと企てており、彼と王位纂奪をねらうコンスタンスが結託して王権に挑戦したときは、 王権は
ま さ に ど ん 底 で あ っ た 。 こ の 危 機 を 脱 し 南 部 と 南 西 部 の ﹁ 窓 し を か ろ う じ て 守 る こ と が で き た の は 一 O 三七年のこと
再び王権を包囲するに至った。
このような政治
一一二五年ティボ I Uル Hグランが即位するにおよんで、
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r その意味で、フィリップ一世が一 O 六九年にガテイネを獲得したことは王権にとって決定的であった。オド
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二世の死によってシャシパ1ニュ伯領は一時分散するが、
トロワ、 モi(γ九[巾山口附)、ブロヮ、 シャトルの各伯領は再統合され、
情勢から判断すれば、どの地域よりも出口としてのガテイネに強固な支配体制を確立することが、 主権にとって、生
死にかかわる課題であったことは疑いがない。
しかし、同じ課題は同時にシャンバ l ニュ伯の側にもあったのであり、 王権にせよ伯権力にせよ、 それぞれのプラ
γシポ l テ確立にあたって相互に競合関係にあった、 とみることもできるのである o
シャシパ l ニュ伯によってロリス特許状が普及された諸村はトロワ南西部に集中しており、 だいたい南北にならん
サンス大司教が授与したヴィルヌ Iヴ日ラ
で位置している。それらの西側には、十五キロから一一一0 キロ程の間隔をおいて、国王によって授与されたヴォワジヌ
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田Zg 一一八七年)とディスモン(ロヌgoE 一一九O 年)があり、
-136
サンスからモント ?l(冨。E22ロ)までの
1 ルが八カ村にわたって普及させている。この在地領主はシャ γパlニュ
ルシュベグ(︿巳巾ロ巾5
1巾l可﹀吋円}54hwρgw 一一七二年)がある o さらに、
ヨγ ヌ流域には在地領主エロイ 1ズとピエ
伯の家臣である o そ の 西 側 お よ そ 十 キ ロ か ら 十 五 キ ロ の 地 帯 ( ガ テ イ ネ 北 東 部 ) に は 国 王 が 普 及 さ せ た 諸 村 が 密 集 し
ている。
セlヌ・マルヌ聞はロリス特許状が普及していないいわば空白地帯である o しかし、この地域については、簡潔な
J ・ユベlルの研究がある。これによれば、 ムラン(冨己ロロ)のシャテル一一!とシャンパl一一ュ伯領の境界は十一世
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その地帯は︽ B
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tpzEEz--巾︾があるにすぎない。 しかも、それは境界線ではなく、 五キロから十五
。EF︾として形成されるが、実質的には、森林や沼地などで区分
紀なかばすぎまでに﹁封建的境界﹂︽同gE55 ぽ
される一自然的境界
キロ程度の幅をもっ ﹁境界地帯﹂︽N
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E 昨。E52︾をなしているのであって、
いる。そこでは、国王も伯も共通に諸権利を行使することができる o したがって、この幅がせばまって厳密な境界線
が形成、されるとすれば、 それは両者の力関係によってきまることである o 十二世紀と十三世紀前半に展開される開墾
運動は、その点で、決定的な意味をもち、 ﹁境界地帯﹂の性格を根本から変えていく。 地図E で一目瞭然のように、
そこには、国王も伯も競台して、多数の新村・修道院・騎士領を創設し、それらを防衛するために、石造城砦を建設
しているのである o このことは両者の拓植政策による境界の現実的確立を意味している。
すでに検討ずみのように、十二世紀後半のガテイネ一帯へのロリス特許状の普及は、国王の拓植・共同領主権契約
の政策と一体をなすものであった。そして、この普及政策は﹁カベ直轄支配領﹂の完成に決定的役割を果たしたが、
同じように、 シャンパ l ニュ伯も十二世紀後半から十三世紀初頭にかけて自己の領域的支配権を確立していったので
北大文学部紀要
-137-
償習法特許状の政治史的意義
ある。十二世紀後半、 とりわけ、九0 年代に集中して普及されたトロワ南西部の六カ村はそのような意味をもってい
たといえる。
ロリスのものである必要はない。プルゥはシャパlニュ伯によって授与された慣習法特許状をつぎの
しかし、 ガテイネとの境界地帯に位置するがゆえに、ロリス特許状が普及されたのであって、﹁内陸﹂部や別の境界
地帯であれば、
ように分類している。第一はロリスのものとほぼ全面的に同一内容のもの、第二は部分的にそれを借用しているもの、
一一七五年)、 モンタニュ
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向。口付mFmD叩
一
二O O年
﹀
、 ヴィリエ Uザン H ナ ル ゴ ン ヌ 三 二O 八年)は少
第三はロリスとまったく無関係のもの、 である o この第三の部類に属するヴィルヌlヴ Uオ U シャトロ(︿巳巾ロ251
EHl(UF勘定
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なくとも伯領の比較的﹁内陸﹂部あるいは東部に位置している o
アンリ二世、
ティボ 1一一一世の時代である o この時代は一一二五年に即位したティボ 1 1ルリグラシ以来の
シャンバ 1 ニュにおいて慣習法特許状が積極的に授与された時期は十二世紀末から十三世紀初頭のアンリ H ル川リ
ベラル、
一貫した領土拡大政策と支配構造の整備とが一応の完成をみる時期に照応している。すなわち、諸伯はトロワやそI
の司教区で︽門町。訂色町芯mEZ を行使し、諸修道院長の一叙任権を保持するとともに、数多くの共同領主権契約を締結
(釘)
し、また、伯領内の二九のシャテルニーにはそれぞれプレヴォを配置し、彼らが権力濫用によってヴィコントらと衝
突するようになると、早くも一一八九年には国王にならってバイイ制を採用する、 といったぐあいであった。
一
二O 七年には、 フィリップ日オIギュス
このように、 シャソパ l ニュ伯領においても、慣習法特許状の授与・普及と深く関連しながら、プラソシポ l テは
確立されていった o しかし、同時に、 カベ権力の浸透カも予想外に強く、
トとジャンパーニュ伯夫人ブラ γシュとの聞につぎのような協定が成立しているのである。
-138-
ロロ日仏)
にたいし以下のことを約束する。ディスモン、
マレ H ルリロワ
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山内同日開可-即刻
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o、同様にオルゥズ (055巾)川とヨンヌ川の聞にはさまれ
とぽロ可)、ヴォワジヌ、トリニィ (叶 VOH-m
ロ
(EgH-ryp
﹁余は親愛にして忠実なる余のシャ γパlニュ伯夫人ブラ γγ ュおよびギ Hガストブル(の己の田洋巾巴ろとア γリ
ドHモ
サリニィ
(お)
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た地域では、余はいかなる新村も建設しえないこと、 またいかなるものとの聞にも共同領主権契約を締結しえない
こ
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﹂
、 さらに、 サンス教会参事会と余の聞に結ぼれたトリニィに関する共同領主権契約の証書が以後はいかなる価
値も重要性ももたないことを、余は本証書によって望みかつ決定する。:::その代償として、彼ら自身は余にたい
して一 000リIヴル・パリジを貨幣で引き渡すこと﹂
この協定は境界問題に関してあきらかに国王側の優位を示している oすなわち、 トロワ西部の諸村からは多大な人
口がカベ側の特権地帯へと流出し、 そのために、 シャ γバ lニュ伯とこの地域の領主たちがこの協定に示されたよう
なかたちで主権の浸蝕を防止しようとしているからである。 ゴ 二 O 年にも、 フィリップ Hオ lギュストはブラ γγ
一二二九年にも、 サ γ Hルイが同様の約束をしており、もはや、事態は動かしがたいものとなったのである。
ュにたいし、彼女の息子ティボーが成人するまでは、 王権下の村に彼女の隷属民をうけ入れない、 との協定を結んで
いる。
カベの方はいちはやく主権としての確立をも達成していたのである o さ ら
カベ主家にせよジャンパーニュ伯家にせよ、慣習法特許状援与政策を積極的におしすすめながらそれぞれのブラシ
シポ l テを確立していったのであるが、
に、王権の優位性は、 サン H ルイ治下の一二三四年には、ブロワ伯、シャルトル伯、サンセ I ル伯にたいする宗主権
の国王への移譲によっていっそう進行し、二一八四年には、伯領の相続人ジャ γ ヌ Uド日ナヴ 7 1ルのフィリップ日
ルH ベルとの結婚におよんで、 いよいよ決定的なものとなっていくのである o 両者の聞の力関係を変えるに至った要
北大文学部紀要
-139-
慣習法特許状の政治史的意義
因については、多角的・総合的検討が必要であるが、 さしあたり、慣習法特許状援与政策を通してみるかぎり、それ
ぞれの特許状に示された直轄領支配の質的差異、特許状授与・普及政策の時間的ずれ、 ルイ七世の治世の後半以後の
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O H85.4p ミ ミ ミ お 旬 、 出 札 口 走 き ミ CHshh向た札凡な
在地領主がその支配権の不充分さを伯権力によって補完しても
人の裁判権に従うこと、などが規定されている。このことは、
ピェlルの妻および子供たちはサンスにに配備された伯の代理
直轄領支配の拡充を基盤とする有力諸侯の制圧など、 に求められよう。
b E 透明柏崎豆、同色町 hqag均三bpsuMV白3PNしもUNW3・5 申出。∞一
らわなければならなかったこと、逆にいえば、伯権力は家臣が
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この確認状は全部で二二条項からなり、そのうち十七条までは
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エ口イ l ズ ら に よ っ て 授 与 さ れ た 内 容 を 確 認 ・ 再 録 し た も の で
いて、シャンパ i ニユ伯は一一一六九年に確認状を与えている。
あるが、一八条以降はすべて彼らとその子孫の義務、伯との関
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係について規定したものである。そこでは、彼ら領主もプレヴ
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は他の史料や彼以降の研究成果によって補なってきた。慣習法特許状に関する*フロックやペラン等の研究成果や学説
一八八四年の時点でのプルウの研究は慣習法特許状の全
が社会経済史に限定されるかぎり否定されるものでないことはいうまでもない。だが、慣習法特許状がもっトータル
な意義は彼らの視点からはでてこない。その点で、すでに、
体像を基本的に提示していたといえよう o
さいごに、プルゥの結論部分にあたるロリス特許状の-評価について簡単にふれておくことにしたい。
﹁ロリス特許状普及の要因は:::それが授与された小都市の住民にとっても、 それを授与した領主にとっても、同
時に有益であったという事実にある o この特許状が住民にたいしてはいかなる種類の政治的権利も与えていないのは
北大文学部紀要
141-
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以上、 Maプルウの研究に拠りながら、可能なかぎりそれを史料に戻って確かめ、 また、 その不充分な点について
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る農誌は、 おそらく、行政への参加合ほとんど望まなかった。絞らにとって
の土地に新たに
々人の自由と夜らの財産
たちにとっては、
にくらべて
いかなる
していた。
しながらも、 ロリスと
については、その地位が考講さ
つは住民に
イユシアティ、ワルιとっ
たり修正したりしたのである。
の普及政策に
の間同題であり、もう
の名誉のために、農民の
については、
しば、 領主たちは
のものであったということを忘れてはならない。国王の家
の援与は、
あり、すでにみたように、後ら
他方、こ
せる手段であっ
に見出したので
は、あらゆる不当徴税か
の保整合
し後らの
なる以能に
に追随した
ルイ七世は、彼ら
一つは
品伯のばあいは、
に関する
本稿でみたように、 ジ ャ シ パ :
のプランシポ!日プ
への参加をほとん
のばあいでさえ
かった﹂と判較する
とみること
特許状の効力合シャシパ i-一品川但への
て﹁カベ藍轄領支寵領﹂との境界を争うほど
に﹁造罷﹂した
ては、 住民が
国王と同様に機智法特許状へのイ品シァティヴ会とりえ
Pイlズとピエールのような弱小領主は
は別加の独自
また品
の家臣日領主同胞の
の過大な縮少'そもたらすと考えられ
は主殺が彼らに訴し
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の政治的権利に
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さらに、 ロリス特許状が領主
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たとはとうてい考えられない。問題は門ドリス特許状においてな
也、住民の政治的権蒋な認めた僕習法特許状が存夜してい
るならば、当時の住民が経済的特権だけ
にゆえ政治的権科た懇めまいとしたのかにある。だが、この
の共同体政策との全面的検討を必裂とするであろう。ただ、シェノンが指摘するように、結果的に、十三世紀後半以
これと
の築権化が対{めして遂行していっ
叫
之官九旬、吋・ F M︾℃・∞閉山!岱明斗・
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とすれば、
詳口リス特許状は、
王様にとっ
M19 同窓口nE3﹀のタイプに接近いしたことが
降
、 28由都市がブレヴォ都市とよばれる単結特権の都市守日E 門欲的E
殺的傾向となり、
てすぐれで先駆的役割を演じたことになるであろう。
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受与。 ギの妥マオ l
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ル エ ド z クウノレトネの娘でその伯僚の相続人。
料ドこの三カ村;こはすでにサンコノレイも授与しているので総数回カト!の r
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-144
憤沼法特許状の政治史的意義
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