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ドナルド・リチー追悼映画シリーズ ドナルド・リチー追悼

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ドナルド・リチー追悼映画シリーズ ドナルド・リチー追悼
<プレス・リリース>
プレス担当:
塩原邦子([email protected] / 212-715-1249)
シャノン・ジャウエット([email protected] / 212-715-1205)
ジャパン・ソサエティー(JS
ジャパン・ソサエティー(JS)
JS) 映画部
国際交流基金共催
2013-14
2013-14年
3-14年(秋・冬)
秋・冬)月例映画シリーズ
『ドナルド・リチー追悼映画シリーズ:パート1
ドナルド・リチー追悼映画シリーズ:パート1
リチーが世界に
リチーが世界に紹介した5
紹介した5人の監督たち:黒澤、溝口、小津、柳町、是枝』
A TRIBUTE TO DONALD RICHIE (1924-2013), PART 1
RICHIE'S FANTASTIC FIVE:
KUROSAWA, MIZOGUCHI, OZU, YANAGIMACHI, & KORE-EDA
2013
2013年10月
10月18日(
18日(金
日(金)~2
)~2月19日(
19日(水
日(水)
ジャパン・ソサエテイー(JS)映画部は国際交流基金との共催で、日本映画や文化の紹介で世界的に著名
な批評家・作家で、JSとの関係も深かった故ドナルド・リチー氏の功績を称え、2013年10月から2014年
春までドナルド・リチー追悼映画シリーズを開催します。本シリーズの開催にあたり、今年の2月に逝去した
リチー氏とは長年にわたり友人でもあった、元JS映画部門ディレクターの平野共余子(ひらの きょうこ)氏
がキュレーターを務めます。
平野氏はリチー氏について次のように述べています。
「日本映画や文化を紹介したという意味で、リチーは比類なき存在である。リチーの数多くの著作通じて、海
外の多くの人々が日本に興味を持つようになった。リチーはJSの映画、講演、フェロー・プログラムにも関
わり、示唆に富んだ愉しい語り口で観客を魅了した。そして多くのアメリカ人フェローが日本に赴くと、最初に
リチーを訪ねて日本についてのガイダンスを受けて日本社会や文化に関わっていく任務を全うすることがで
きたのである。
黒澤明、小津安二郎、溝口健二、成瀬巳喜男といった日本映画の巨匠を世界に紹介したばかりでなく、リチ
ーは常に新しい才能や動きに注目していた。1960年代には大島渚、篠田正浩、羽仁進、今村昌平などの
ヌーヴェル・ヴァーグの作家の破壊的エネルギーを賞賛し、柳町光男、原一男、森田芳光、是枝裕和などの
個性溢れる作品を折に触れて世界に向けて紹介してきた。北米や西欧を越えてリチーの著作は世界で広く
読まれ、日本映画のファンを広げている。リチーの影響は映画にとどまらず、日本文化はリチーを通じて世
界で親しまれてきた。リチーはノン・フィクションばかりでなく小説・戯曲・詩を書き、実験映画を作り、作曲を
し、絵も嗜んだ多才な人物であった。」
10月から始まる最初の追悼シリーズでは、黒澤や小津のようにリチー氏によって海外に紹介された作家の
映画を5作品、10月18日から2月19日のリチーの命日まで毎月1作品上映します。2014年3月には、追
悼シリーズのパート2を開催し、リチー氏によって考察された、日本の文化や社会のさまざまな側面を表現
した映画7作品を上映する予定です
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【上映スケジュール&作品紹介】
*以下、上映順・全作品英語字幕つき
*以下、上映順・全作品英語字幕つき
『天国と地獄』
天国と地獄』 High and Low
10月
10月18日
18日 金曜日 午後7
午後7時
*本特集キューレター平野共余子による作品紹介、上映後のレセプションあり。
リチーの言:
「緊迫感溢れるスリラーの形をとりながら、教訓を与える作品ともなっている。たたき上げの男(三船敏郎)が
嫉妬心に狂った名もなき男(山崎努の最初の重要な役となった)によって破滅させられるが、道徳的選択を
する。最後にはこの二人には相違点より類似点のほうが多いことをカメラが捕らえる。映画の半ばの疾走す
る特急を使ったクライマックスは、映画史に残る名場面となっている。」
キュレーター解説:
リチーの大著『The Films of Akira Kurosawa』(1965年カリフォルニア大学出版、1984年に修正版。、邦訳
『黒澤明の映画』三木宮彦訳、キネマ旬報社、1979年、のち現代教養文庫)によって、ダイナミックでありな
がらヒューマニズムに溢れる黒澤の映画が不朽なものとなった。リチーはその中で、黒澤映画のパワーと道
徳的観点について論じている。『天国と地獄』では、誘拐された子供の救出を図る靴会社の重役と警察の必
死の努力が、息をもつかせぬペースで展開する。それとともに黒澤は、丘の上に立つ富裕な重役の家を怒
りをこめて凝視する持たざる者との階級差の問題も直視する。
1963年|144分|35mm|白黒|監督・黒澤明|出演・三船敏郎、香川京子、仲代達矢、木村功、山
崎努、三橋達也。
『西鶴一代女』
西鶴一代女』 The Life of Oharu
11月
11月16日
16日 土曜日 午後6
午後6時
*ジョエル・ネヴィル・アンダーソン(ロチェスター大学大学院博士課程)による作品紹介あり。
リチーの言:
「17世紀の作家・西鶴の軽喜劇的ピカレスク・ロマンを基に、溝口はより深刻な視点で御殿女中から夜鷹ま
でに転落する女性を描く。依田義賢の脚本、ヒロインを演ずる田中絹代、水谷浩の美術、日本の伝統的な
楽器を使用した斎藤 一郎の音楽のすべてが、この溝口の映画を優雅で美しい作品としている。」
キュレーター解説:
リチーは1961年のカンヌ映画祭で溝口監督特集に関わり、この巨匠を世界に紹介した。『西鶴一代女』は、
女性を犠牲にする封建制度や身勝手な男たちを容赦なく断じている。人生の節目ごとに周囲の男に翻弄さ
れ続ける女を演ずる田中絹代の演技は、鬼気迫るものがある。リチーが述べているように、映画を支える各
パートの技術的完成度の高さは、日本映画の黄金時代を代表するものである。
1952年|133分|35mm|白黒|監督・溝口健二|出演・田中絹代、山根寿子、三船敏郎、浜田百合
子、宇野重吉、菅井一郎
『秋日和』
秋日和』 Autumn Afternoon
(この日に当初予定されていた小津安二郎監督「彼岸花」の上映が、都合により同監督の「秋日和」に変更となりました)
当初
12月
12月12日
12日 木曜日 午後7
午後7時
*12月12日にNHKBSプレミアムで放映される小津監督についてのドキュメンタリー製作をした船橋淳監
督による紹介付き。
*今年の12月12日は小津監督(1903-1963)の110周年の誕生日であり、50周年の命日。それを祝
って上映後、レセプション、映画にちなむ品々の福引も有り。
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リチーの言:
「適齢期の娘が未亡人の母のことを思い、結婚に踏み切れない。このストーリーは小津監督自身の「晩春」
(49)のリメイクとも言え、秋の寂莫感に包まれながらも前作同様に感動的な作品となっている。」
キュレーター解説:
ドナルド・リチーは1963年のベルリン国際映画祭で小津監督特集を企画し、その特集はその後欧州を巡
回し、小津監督が海外のファンにも知られるようになった。リチーの1974年の大著「Ozu: His Life and
Films」(カリフオルニア大学出版、邦訳『小津安二郎の美学-映画のなかの日本-』山本喜久男訳、フィル
ム・アート社、1978年、のち現代教養文庫)は、その後長く続く評論家や学者による国際的な小津論の口
火を切った著作の一つである。「秋日和」では、1949年の小津監督による「晩春」で父のことを思い結婚を
ためらう適齢期を過ぎた娘を演じた原節子が、司葉子演ずる娘に案じられる未亡人の母を演じている。美し
い未亡人を囲み思案する亡夫の三人の友人(佐分利信、中村伸郎、北竜二)たち、おっとりした娘のチャキ
チャキとした女友達(岡田茉莉子)の描写に小津監督特有のユーモアが愉しく発揮されるが、一人残される
母の姿で終わる本作にはそこはかと寂しさも漂う。小津の晩年の名作。
1960年|128分|35mm|カラー|監督・小津安二郎|出演・原節子、司葉子、岡田茉莉子、佐田啓
二、佐分利信、笠智衆
『火まつり』
火まつり』 Himatsuri
1月24日
24日 金曜日 午後7
午後7時
*イアン・ブルマ(作家、バード・カレッジ教授)による作品紹介あり。
リチーの言:
「近代的な男性優位主義の木こりが自然の脅威に直面する、といった荒筋ではとても表現しきれない、とて
つもなく深いパワーを描く映画である。光の妖しさを映し出す田村正毅の撮影、豊潤な武満徹の音楽、北大
路欣也の木こりと中本の弟分、すべてが素晴らしい。」
キュレーター解説:
処女作のドキュメンタリー『ゴッド・スピード・ユー! BLACK EMPEROR』(76年)よりリチーは柳町監督の才
能に注目し、1990年のトロント映画祭での柳町監督特集などを通じて世界に紹介してきた。『火まつり』は、
小説家・中上健二のオリジナル脚本。日本誕生の神話の地・熊野を舞台に、木こりの愛と絶望が山や海に
侵食していく。
1985年|126分|35mm|カラー|監督・柳町光男|出演・北大路欣也、中本良太、太地喜和子、三
木のり平、宮下順子
『ワンダフルライフ』
ワンダフルライフ』 After Life
2月19日
19日 水曜日 午後7
午後7時
*ドナルド・リチー氏一周忌
リチーの言:
「思慮深く感動的なエレジーである。ストーリーは、あの世へ旅立つ死者たちが集まる施設を描く。死者たち
は自分の人生の中から思い出を一つ選んで、旅立たなければならい。選ばれた思い出は、施設のスタッフ
によって映像として再現されるが、スタッフとは自分の思い出を選び出せなかった者たちなのだ。」
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キュレーター解説:
リチーはデビュー作『幻の光』(95年)より、若き是枝監督の才能を高く評価していた。是枝の第二作『ワン
ダフルライフ』は、監督のオリジナル脚本により人間の個々の体験を十二分に考察した作品となっている。
監督は数百人の人々をインタビューし、彼等の体験を基に脚本としたが、インタビューされた何人かは映画
に登場している。
1998年|118分|35mm|カラー|監督・是枝裕和|出演・ARATA、小田エリカ、寺島進、内藤剛志、
谷啓、由利徹、原ひさ子、白川和子
【ドナルド・リチー(Donald Richie, 1924-2013)略歴】
アメリカ・オハイオ州リマ生まれ。少年時代から映画に関心を持ち、8ミリで映画を作り始める。1947年、ア
メリカ占領軍のタイピストとして初来日。占領軍文化財部勤務を経て、米軍に関連する新聞『Stars &
Stripes』に映画評を書き始める。日本映画を見始めるとともに、川端康成、鈴木大拙などの文化人との知
遇も得る。49年に帰国、53年にコロンビア大学英文科卒業。54年再来日し、『Japan Times』や『Variety』
誌などで映画評や書評を執筆。また日本映画、黒澤明、小津安二郎などについての本を刊行し、日本の映
画監督を国際映画祭で特集上映して紹介する。69年から72年はニューヨーク近代美術館(MoMA)映画
部門キューレター。早稲田大学、ミシガン大学、テンプル大学ジャパンキャンパスなどでも教鞭をとる。83年
海外に日本映画を広めた功績で第一回川喜多賞を受賞。そのほか、89年ニューヨーク大学総長賞、93年
東京都文化賞、95年国際交流基金賞、2001年ジャパン・ソサエテイー賞、2004年旭日小綬章など受
賞・受章多数。映画作家として土方巽と協力した『戦争ごっこWargames』(62年)や日本マイム協会と協力
した『五つの哲学的童話 Five Philosophical Fables』(67年)など。2013年2月19日、東京都内で死去。
88歳。
【平野共余子 (ひらの きょうこ) 略歴】
映画史研究家。1986年より2004年までジャパン・ソサエテイー映画部門キューレター。1988年にニュー
ヨーク大学で博士号(映画学)取得。ニューヨーク大学、ニュー・スクール大学、ウィリアム・パターソン大学、
リュブリャナ大学、東京大学、慶應義塾大学、映画専門大学院大学、テンプル大学ジャパンキャンパス、明
治学院大学で非常勤講師を務めた。『Mr. Smith Goes To Tokyo: Japanese Cinema Under the American
Occupation 1945-1952』(Smithsonian Institution Press)、『天皇と接吻 アメリカ占領下の日本映画検閲』
(草思社)、『マンハッタンのKUROSAWA 映画字幕版はありますか?』(清流出版)など著書多数。
*チケット・インフォメーション
*チケット・インフォメーション*
インフォメーション*
入場料: 一般 12ドル/会員・シニア・学生 9ドル
*グループ(10人以上)割引あり。詳細は [email protected] までお問い合わせください。
会場: JS (333 E. 47 St., between 1 and 2 Avenues)
チケット購入: ボックス・オフィス(212-715-1258 月曜~金曜 午前11時~午後6時/土日 午前1
1時~午後5時)もしくはオンライン www.japansociety.org
上映作品のタイトルおよび上映開始時刻は予告なしに変更されることがありますのでご了承ください。最新
情報、詳細は www.japansociety.org をご覧ください。
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本映画シリーズは、国際交流基金と共催します。
また下記の個人から支援を受けています。
Dr. John K. Gillespie
JS映画部(2013年ー2014年度)は、以下の団体・基金及び個人より支援・後援を受けています。
ライラ・ワレス・リーダーズ・ダイジェスト基金
The Globus Family
Kenneth A. Cowin
Mr. and Mrs. Omar H. Al-Farisi
David S. Howe
Laurel Gonsalves
Geoff Matters
Dr. Tatsuji Namba
*取材お申し込み*
取材をご希望の方は、プレス担当・塩原/ジャウエットまでEメール([email protected] /
[email protected])にてお申し込み下さい。尚、プレス席には限りがございます。満席の場合は
ご容赦下さい。
【JSについて】
JSは、1907年(明治40年)にニューヨークに設立された米国の民間非営利団体です。全米最大の規模を
誇る日米交流団体として、両国間の相互理解と友好関係を促進するため多岐に渡る活動を続け、2007に
創立100周年を迎えました。活動範囲は、政治・経済、芸術・文化、日本語教育など幅広く、各分野での催
し物や人物交流などを通じて、グローバルな視点から日本理解を促すと同時に、日米関係を深く考察する
機会を提供しています。今日、JSは経済界のリーダー、アーティスト、教育関係者、企業家から学生まで
様々な方々を招聘し、日米の個人・法人館員をはじめとする多くの人々を対象に年間100以上のプログラ
ムを提供しています。1907年の創立以来、JSが企画・開催した展覧会、舞台公演、映画上映会、講演会、
試食・試飲会、シンポジウム、国際会議、セミナー、ワークショップは数千件にのぼります。
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