...

情報通信関係の フォーラム活動に関する調査報告書

by user

on
Category: Documents
10

views

Report

Comments

Transcript

情報通信関係の フォーラム活動に関する調査報告書
情報通信関係の
フォーラム活動に関する調査報告書
(第 15 版)
2009 年 3 月
社団法人
情報通信技術委員会
技術調査アドバイザリグループ
技術調査アドバイザリグループ構成員
[リーダ]
鬼
丸
文 夫
日本電気株式会社
[サブリーダ]
川
西
素 春
沖電気工業株式会社
[メンバー]
受
川
猛
株式会社リコー
金
井
晃 子
ソニー株式会社
城
倉
義 彦
三菱電機株式会社
神
保
光 子
日本電気株式会社
鶴
田
英 一
株式会社東芝
長
津
尚 英
日本電信電話株式会社
灰
塚
凡 樹
富士通株式会社
田
村
潤 三
TTC
[事務局]
-2-
目
次
【Ⅰ】本文
1.まえがき
5
2.フォーラム活動の分類・整理
2.1
2008 年度新規・名称変更・削除フォーラム
7
2.2
対象分野による分類
9
2.3
活動目的による分類
12
2.4
参加メンバー数による分類
15
3.トピックス 3.1
はじめに
25
3.2
医療 ICT の概要と各国の取り組み
25
3.3
医療 ICT アプリケーション
34
3.4
共通プラットフォーム
42
3.5
技術標準化動向
46
3.6
おわりに
56
4.まとめ
58
【Ⅱ】資料
フォーラム一覧
-3-
本
文
-4-
1. まえがき
今年も、情報通信関係のフォーラム活動に関する調査報告書をお届けする。
本報告書は第 15 版を数え、毎年情報通信技術分野における標準化を取り巻く動向を、主に日米
欧の情報通信関連フォーラムの活動状況として捉え、皆様にご報告してきた。今回も情報通信関
連のビジネス分野の動きや標準化ニーズの変化を知るために、以下のような調査を行った。
まず、調査対象とするフォーラムは従来と同様、対象としているフォーラム全数につき調査、
分析を行った。
報告書の構成も従来と同様、本文と資料編の 2 部構成である。2 年前より冊子体による報告書
の発行を取りやめ、すべて TTC ホームページ(http://www.ttc.or.jp/j/forum/index.html)掲載と
し、インターネット経由で閲覧やダウンロードを頂くようにした。本文第 2 章フォーラム活動の
分類・整理においては、今年度新規に調査対象としたフォーラム、従来から調査対象としている
中で名称変更が行われたフォーラム、そして統廃合により調査対象から外したフォーラムを一覧
表として確認し、全体の動向を把握して頂く。続いて従来通りの対象分野、活動目的そして参加
メンバー数による分類により、詳細な動向を理解頂く。なお、本調査報告書で用いるフォーラム
活動の分類基準は昨年度見直したものを今回も継続使用している。
今号のトピックスは、
医療分野における ICT 関連の標準化動向である。
いわゆる Telemedicine、
Telehealth あるいは eHealth といった分野での標準化動向調査である。これまでのトピックスの
ように情報通信が即座に思い浮かぶ分野ではない。昨今 TTC でも新たに専門委員会を発足させた
ように ICT は環境分野でも標準化項目策定が始まっており、それに続く分野として医療分野も
ICT 関連の新たな標準化活動は存在しないのかという疑問からこの分野をテーマに採りあげた。
ICT 関係の標準化組織では ITU-T や ETSI が eHealth 関連活動を擁しているようである。調べる
と ICT を医療分野に導入した歴史は意外に古いようである。考えてみれば医療問題は先進国だけ
の問題ではなく、人のいるところ常に医療問題は様々な形で存在する。標準化も時代や地域や文
化の違いに応じて、それぞれに適応した形で行われるようである。この報告書では我々に身近な
所から手始めに調査を行ってみた。
-5-
表 改版履歴及びトピックステーマ
版数
発行年度
トピックステーマ
1
1994
トピックスはなし
2
1995
同上
3
1996
同上
4
1997
同上
5
1998
同上
6
1999
同上
7
2000
①IMT-2000 関係の動き、②ADSL 関係フォーラム、③インターネ
(注1)
ット関係の動き、④Bluetooth の動向
8
2001
①メンバー増減、②会費見直しの動向、③設立時期によるフォーラ
ム分類
9
2002
①モバイル・ワイヤレス関連フォーラムの動き、②フォーラムの吸
収・合併
10
2003
10 年以上継続しているフォーラム
①ATM フォーラム、②GSM Association、③ISOC、④OMG、
⑤PCISIG、⑥PCMCIA、⑦TMF、⑧マクロ的観点からの考察
11
2004
VoIP 標準化に関する考察
12
2005
ホームネットワーク関連フォーラム
13
2006
IPTV 関連フォーラム
14
2007
カーコミュニケーションの標準化
15
2008
医療分野における ICT 関連の標準化動向
(注2)
(注1)日本語版のみ
(注2)本報告書
-6-
2. フォーラム活動の分類・整理
2.1 2008 年度新規・名称変更・削除フォーラム
今年度新たに調査対象としたフォーラム(以下、
「新規フォーラム」という)
(13 フォーラム)、
名称変更のあったフォーラム(以下、
「名称変更フォーラム」という)
(1 フォーラム)
、調査の対
象から削除したフォーラム(以下、
「削除フォーラム」という)
(6 フォーラム)をそれぞれ表 2.1.1
~表 2.1.3 に示す。
この結果、昨年度の調査対象フォーラム数(109)に比し、今年度のそれは 109+13-6=116 とな
った。
表 2.1.1 新規フォーラム
略称
1
Symbian
Foundation
2
NGMN
3
LiMo
4
DCIA
5
HD-PLC
6
7
Home Grid
Forum
Transfer J
フォーラム名
目的
Symbian Foundation
デファクト標準化
Next- generation Mobile
Networks Alliance
Linux Mobile Foundation
Distributed Computing
Industry Association
プリ標準化
WHDISIG
OHA
10
ICF
デファクト標準化
Home Grid Forum
プリ標準化
TransferJet Consortium
デファクト標準化
11
OIDF
12
13
Continua
Health Alliance
IPTVFJ
Information Card
デファクト標準化
デファクト標準化
デファクト標準化
Foundation
Open ID Foundation
デファクト標準化
Continua Health Alliance
IPTV Forum Japan
-7-
(移動体通信)
(ソフトウェア関連)
その他
Open Handset Alliance
情報通信
相互接続性検証
Group
9
(移動体通信)
情報技術
HD-PLC Alliance
Interface Special Interest
情報通信
実装仕様化・
Wireless Home Digital
8
分野
情報技術
(コンピュータア関連)
情報技術
(LAN 関連)
情報技術
(LAN 関連)
情報技術
(LAN 関連)
情報技術
(LAN 関連)
情報技術
(ソフトウェア関連)
サービス
(インターネット関連)
サービス
(インターネット関連)
実装仕様化・
サービス
相互接続性検証
(宅内情報家電関連)
実装仕様化・
サービス
相互接続性検証
(マルチメディア関連)
表 2.1.2 名称変更フォーラム
旧略称
1
新略称
DSLF
新フォーラム名
Broadband Forum
Broadband Forum
表 2.1.3 削除フォーラム
略称
1
2
3
4
フォーラム名
IPsphere
IPsphere Forum
LIPS
Linux Phone Standards
Forum
DOPG
IDB
Forum
5
COMPA
6
MOPASS
Forum
目的
プリ標準化
デファクト標準化
分野
情報通信
(インフラ系)
情報技術
(ソフトウェア関連)
The Distributed Object
実装仕様化・
情報技術
Promotion Group
相互接続性検証
(ソフトウェア関連)
ITS Data Bus Forum
その他
ミリ波実用化に関する
コンソーシアム
Mobile PassPort
プリ標準化
その他
-8-
サービス
(ITS 関連)
情報通信
(移動体通信)
サービス
(マルチメディア関連)
2.2 対象分野による分類
表 2.2.1 はフォーラムを対象分野別に分類・整理し、過去 3 年間のデータと比較したものであ
る。
複数分野にまたがるフォーラムについては第 1 分類(活動優先順位が 1 位)を用いて比較した。
2.2.1 全体傾向
今年度調査対象としたフォーラム数は昨年より 7 増加して 116 となった。新規フォーラムは 13
ある。1 昨年から昨年に設立されたものが多く、各々、技術的に期待の大きいフォーラムや参加
メンバー/業種の数が多いフォーラム、消費者の期待が大きいフォーラムを取り上げている。逆
に活動が明らかに停滞している 6 フォーラムは削除した。
対象分野別では情報通信が1増(2 増 1 減)、情報技術が 4 増(7 増 3 減)、サービスが 2 増(4
増 2 減)となり、情報技術の増加が目立つ。
2.2.2 今年度の特徴
今年度の特徴を新たに調査対象に加えたフォーラムや対象外としたフォーラムなど動きのあっ
たところを中心にまとめると以下のようになる。
(1) 情報通信分野
フォーラム数は昨年とほぼ同じ(1 増)
。インフラ系は IP Sphere が TM Forum に吸収されたた
め調査対象外とした。加入者系では DSLF が Broadband Forum に名称変更しているが、実質変化は
ない。移動体通信系で新たに Symbian Foundation、NGMN を調査対象に加えた。Symbian Foundation
は携帯向けオープンソフトウェアを提供する団体として 2008 年 6 月に設立の意向が発表され、
2009 年前半に本格的な運営を開始するとされている。NGMN は、次世代モバイルネットワークの標
準化支援を目的に 2006 年に設立され、メンバーの殆どがベンダやオペレータだ。
(2) 情報技術分野
フォーラム数の増加が顕著(4 増)
。新規フォーラムが 6 に対し、削除フォーラムが 2 となって
いる。ソフトウェア関連では新たに 2007 年設立の LiMo を調査対象に加えた。一方で LIPS Forum
を対象外としたが、
このフォーラムの活動成果は LiMo に移管されている。
LiMo は携帯向けの Linux
ベースのオープンな OS の開発推進を目的としている。また最近の 3 年で活発な活動が確認できな
い DOPG を対象外とした。コンピュータ関連では新たに DCIA を追加した。設立は 2002 年だが、ネ
ットワーク上でのコンテンツの不法な流通を防ぐなど最近関心の高い問題の解決を目的とし、コ
ンテンツプロバイダからコンピュータメーカまでさまざまなメンバーが参加している。LAN 関連
は新たに HD-PLC、Home Grid Forum、Transfer J、WHDISIG を調査対象に加えた。いずれもホーム
ネットワークの関連フォーラムである。
(3) サービス分野
フォーラム数が 2 増加。
インターネット関連では新たに ICF と OIDF を調査対象に加えた。ICF は
2007 年に設立され、個人情報カードの利用を推進する。OIDF もオープン ID に関するフォーラム
だ。OIDF は各国に支部組織をもっており世界的に活動を展開している。マルチメディア関連では
新たに Continua Health Alliance、IPTVFJ を調査対象に加えた。Continua Health Alliance は
相互利用可能なヘルスケアソリューションシステムを確立することを目的としている。医療情報
関連はトピックスでもとりあげているが、今後注目したい分野だ。IPTVFJ は IPTV 受信機とサー
-9-
ビスの規格化・普及を推進する団体として 2008 年に設立された。EC 関連では変化がない。ITS 関
連は最近の活動が確認できない IDB Forum を調査対象からはずした。宅内情報家電も昨年から特
に変化がない。
表 2.2.1 対象分野による分類
対象分野
対象フォーラム
(2009/3 現在)
フォーラム数
2006/3
2007/3
2008/3
2009/3
10
10
14
13
3
4
4
4
11
11
14
16
小計
24
25
32
33
情報
ソフトウェ CELF, ODF Alliance, OGF, OMG,
14
15
14
14
技術
ア関連
12
13
10
11
7
10
13
16
小計
33
38
37
41
サー
インターネ ATIS IIF, ICANN, ICF, ISOC,
11
11
9
11
ビス
ット関連
情報
インフラ系 CP-TA, ENUM, FSAN, ICTFSS,
通信
(ネットワーク) IMS Forum, IP/MPLS Forum, IPv6,
MEF, MSF, OIF, PUCC, VLCC, VOIPSA
加入者系
Broadband Forum,
Cable Modem/DOCSIS,
DSL testing Consortium, MoCA
移動体通信 CDG, DECT Forum, Femto Forum,
FLO, GSA, GSMA, MCPC, mITF,
NGMN, OMA, PHS MoU,
SDR Forum, Symbian Foundation,
UMTS, WiMAX, WWRF
OpenSAF, SA Forum,
The Linux Foundation, LiMo, OHA,
TMForum, TOG, UbiqNet, Web 3D,
WfMC
コンピュー 1394TA, Business Grid, DCIA, IrDA,
タ関連
PCCA, PCISIG, PCMCIA, PCIMG, STA,
T-E, USBIF
LAN 関連
Bluetooth, CEPCA,
Ethernet Alliance, FCIA, HD-PLC,
Home Grid Forum, HPA, LONMARK,
OSGi, POF, Transfer J, UPA, UPnP,
WHDISIG, WiMedia, ZigBee
JAISA/BSC Committee,
Liberty Alliance, Marlin, MBA,
OIDF, W3C, WS-I
- 10 -
マルチメデ BSF, Continua Health Alliance,
ィア関連
7
8
9
10
10
10
11
11
EMF, IDF, IMTC, IPTVFJ, MPEGIF,
OGC, Open IPTV Forum,
SCOPE Alliance
EC 関連
CommerceNet, ECOM, EDIFICE, EIDX,
EPCglobal, GlobalPlatform, JEPPO,
JICSAP, NFC Forum, OASIS, SCA
ITS 関連
ERTICO,IIC,ITS America, ITS Forum
5
5
5
4
宅内情報
DLNA, ECHONET, HomePNA,
4
5
6
6
家電関連
SPIA, UOPF, WirelessHD
37
39
40
42
94
102
109
116
小計
合計
*赤字は今年度新規に調査対象に加えたフォーラム
- 11 -
2.3 活動目的による分類
表 2.3.2 にフォーラムの活動目的による分類を示す。尚、活動目的の分類に使用した基準は表
2.3.1 の定義に従った。
表 2.3.1 活動目的の定義
活動目的
デファクト標準化
定 義
市場創成・拡大を主目的に複数の企業が標準を策定すること(いわゆ
るコンソーシアム標準化、フォーラム標準化を含む)
プリ標準化
デジュール標準への寄与を目的とすること
(デジュール標準=ITU,ISO,IEC,ETSI,IEEE,TTC 等の公的、準公的
機関が策定する標準)
実装仕様化・
デジュール標準またはデファクト標準を補完し、実装仕様の作成およ
相互接続性検証
び相互接続性の確保を目的とすること
その他
上記以外(市場調査、普及啓蒙活動、情報交換、学術会議等を目的と
するもの)
- 12 -
表 2.3.2 活動目的による分類
活動目的
該当フォーラム
フォーラム数
(2009 年)
05/3
06/3
07/3
08/3
09/3
デファクト
Bluetooth, BSF, Cable Modem/DOCSIS, CEPCA,
18
16
18
20
25
標準化
DCIA, ECHONET, EPCglobal, GlobalPlatform,
12
12
10
12
11
38
38
43
44
48
35
28
31
33
32
103
94
102
109
116
HomePNA, HPA, ICF, IIC, ISOC, OHA, OIDF,
OIF, OSGi, PCCA, PCISIG, SPIA,
Symbian Foundation, Transfer J, USBIF,
WHDISIG, WirelessHD
プリ標準化
DECT Forum, FCIA, FLO, FSAN, HomeGrid
Forum, NGMN, OMG, PCMCIA, TMForum,
VLCC, ZigBee
実装仕様・
1394TA, ATIS IIF,
相互接続性
Braodband Forum(旧 DSLF), Business Grid,
検証
CELF,
Continua Health Alliance, CP-TA, DLNA, DSL
Testing Consortium,
EDIFICE, EIDX, ENUM,
Ethernet Alliance, Femto Forum, IDF, IMS
Forum, IMTC, IP/MPLS Forum, IPTVFJ, IrDA,
Liberty Alliance, LiMo, LONMARK, MBA,
MCPC, MEF, MoCA, MSF, NFC Forum, OGC,
OGF, OMA, Open IPTV Forum, OpenSAF,
PICMG, SDR Forum, T-E,
The Linux Foundation, TOG, UbiqNet, UMTS,
UOPF, UPA, UPnP, Web 3D, WiMAX, WiMedia,
WS-I
その他
CDG, CommerceNet, ECOM, EMF, ERTICO,
GSA, GSMA, HD-PLC,
ICANN,
ICTFSS,
IPv6,
ITS America, ITS Forum,
JAISA/ BSC Committee, JEPPO, JICSAP,
Marlin, mITF, MPEGIF, OASIS, ODF Alliance,
PHS MoU, POF, PUCC, SA Forum, SCA,
SCOPE Alliance, STA, VOIPSA, W3C, WfMC,
WWRF
合計
*赤字は今年度新規に調査対象に加えたフォーラム
- 13 -
調査対象フォーラム数は、2006 年以降、増加傾向にある。
「デファクト標準化」、
「プリ標準化」
、
「実装仕様・相互接続性検証」
、「その他」のそれぞれの活動目的ごとのフォーラム数の割合は概
ね各 2 割、1割、4 割、3 割と安定している。
以下に、活動目的別に見た今年の特徴を述べる。
(1) デファクト標準化
ここ数年、フォーラム数の増加が顕著である。2008 年以降に設立された 6 つのフォーラムのう
ち、4 つ(ICF, Symbian Foundation, Transfer J, WHDISIG)が本活動目的に該当する点が注目
される。さらにこれらの多くは移動体関連のサービスや技術に関係する団体であり、この分野に
おいて新たなサービスや技術を囲い込む動きが活発であることが伺える。
(2) プリ標準化
IPsphere が TMF に吸収・合併された他、新規フォーラムのうち Homegrid Forum と NGMN
が新たに本活動目的に分類される等の動きはあったが、ここ数年、該当フォーラム数自体に大き
な変化は見られない。
(3) 実装仕様・相互接続性
年々増加傾向にある。新規フォーラムのうち Continua Health Alliance、IPTVFJ、LiMo が本
活動目的に該当しており、実装についての需要の高まりを反映しているものと考えられる。この
うち IPTVFJ は、デジュール標準化機関である ITU-T が現状ハイレベルな IPTV 仕様の作成にと
どまっているのに対し、詳細な実装仕様を規定するために設立されている。今後、このように実
装仕様の詳細さの観点で補完的にフォーラムが設立されるケースが出てくるものと考えられる。
(4) その他
ここ数年、該当フォーラム数に大きな変化は見られない。
- 14 -
2.4 参加メンバー数による分類
情報通信関係のフォーラムをメンバー数で分類した。本部所在地が海外のフォーラム(89 フォ
ーラム)
、日本国内のフォーラム(24 フォーラム)および本部を設置していないフォーラムなど
(3 フォーラム)を以下の分類で整理した。
① 参加メンバー数 501 以上
② 参加メンバー数 401~500
③ 参加メンバー数 301~400
④ 参加メンバー数 201~300
⑤ 参加メンバー数 101~200
⑥ 参加メンバー数 51~100
⑦ 参加メンバー数 50 以下
⑧ 参加メンバー数不明
主要メンバー等、一部のメンバーは判明しているものの、各種資料等によりメンバー総数が
特定できないフォーラムについては、メンバー数不明として分類する。
メンバーのランク付け(例:正会員、準会員、賛助会員、等)があるフォーラムについては、
全ランクのメンバー数を参加メンバー数とした(但し、個人会員メンバーは含まない)。
表 2.4.1 に上記の分類結果を示すとともに、2006 年 3 月から今回の調査 2009 年 3 月までの期
間、フォーラムのメンバー数別変化を時系列に整理し、経年変化が見られるようにした。昨年の
本調査と比較すると、調査対象フォーラム総数は昨年の 109 フォーラムに対し、今回新規フォー
ラムが 13、削除フォーラムが 6 つあり、合計 116 フォーラムとなっている。ランクごとに昨年と
比較すると、参加メンバー数 401~500 のランクでは、上位、下位のランクに移動したフォーラ
ム、不明となったフォーラムが各々1あり、6 割減(5→2)となった。参加メンバー数 51~100
ランクとメンバー数不明ランク、50 以下ランクでは、フォーラム数が増加している。
2008 年 3 月報告以来、
メンバーの増減によって上記分類が変わったフォーラムは以下のとおり。
・メンバー増大により、ランク移動したフォーラム
ODF Alliance、EMF、TOG、Broad band Forum(旧 DSLF)、SDR Forum、OSGi、Femto
Forum、 FSAN、Global Platform、WirelessHD、Marlin
・メンバー減尐により、ランク移動したフォーラム
T-E、WfMC、WS-I、The Linux Foundation、IMTC
・メンバー数が不明に分類されたフォーラム。
EPCglobal、ITS America、IPV6、CELF、IMS Forum
・2007 年に設立され、昨年の段階ではメンバー数が不明となっていたが、現在、メンバー
数が示されたフォーラム。
IPTV Forum、OpenSAF
特に、参加メンバー数 50 以下ランクでは、メンバー数が増加して、51~100 ランクに移動し
たフォーラムが 6、逆に活動が終息した削除フォーラムが 5、また新規フォーラムのうち 8 が追
加されており、フォーラム活動の盛衰が顕著である。
また、参加メンバー数 200 以上の 4 つのランクでは、新規フォーラムはなく、また、削除フ
ォーラムもない。不明に分類されたもの 2 を除くと、昨年と今年のフォーラム数は 24 であり、
- 15 -
4 つのランクの間の移動が 5 フォーラム、これ以外のランクに移動したものが増減各1フォー
ラムあり、フォーラム活動が順調に進展していることをうかがわせる。
- 16 -
表 2.4.1 参加メンバー数による分類
分類
(注)
対象フォーラム(2008/3 現在)
海外
日本国内
501 以上 Bluetooth, GSMA, PCSIG,
UPnP, USBIF, ODF Alliance,
TMForum, WiMAX
401~500 W3C, OMG
JEPPO
301~400 OGC, WiMedia, OMA, EMF,
PICMC, TOG
201~300 OASIS, ZigBee, ATIS IIF, DLNA,
LONMARK , Broad band Forum
101~200 Continua Health Alliance, PCCA,
SCA, MEF,
Liberty Alliance, PCMCIA, NFC
Forum, WWRF, CDG, SDR
Forum, ERTICO, DCIA, 1394TA
51~100 Ethernet Alliance, OSGi, ISOC,
OIF, Femto Forum , ENUM, Web
3D, HPA, UMTS, EDIFICE, FLO,
MoCA, LiMo, Global Platform,
WS-I, NGMN, WirelessHD
T-E
MCPC
ICTFSS,
ECOM,
ITS Forum ,
IIC
SPIA ,
UbiqNet,
ECHONET,
mITF,
PHS MoU,
Marlin
50 以下 Open IPTV Forum, Cable
JICSAP,
Modem/DOCSIS, The Linux
POF,
Foundation, DECT Forum, IMTC, IPTVFJ,
OGF, HomePNA, IrDA, FCIA,
PUCC,
MPEGIF, SA Forum, SCOPE
VLCC,
Alliance, MSF, ICF, DSL Testing HD-PLC ,
Consortium, IP/MPLS Forum,
Transfer J,
STA, IDF, UPA, CP-TA, WfMC,
MBA,
GSA, CEPCA, HomeGrid Forum, UOPF,
BSF, OpenSAF, WHDISIG
JAISA/BSC
Committee,
Business
Grid
メ ン バ ー CommerceNet, CELF, EPCglobal,
数不明
EIDX, ICANN, IMS Forum, IPV6,
ITS America, OIDF, VOIPSA
不定
8
(8.5)
89 (76.8)
24 (20.7)
9
(8.8)
9
(8.3)
FSAN
20
25
19
24
(21.3) (24.5) (17.4) (20.7)
OHA,
30
33
39
40
Symbian
(31.9) (32.4) (35.8) (34.5)
Foundation
3
(3.2)
5
(4.9)
7
(6.4)
10
(8.6)
94
102
109
116
3 (2.6)
注: 個人会員メンバーは含まず、企業・団体メンバーのみ。並びはメンバー数の順序。
( )内は合計に対する百分率、赤字は新規フォーラムを示す。
- 17 -
9
(7.8)
5
5
5
2
(5.3)
(4.9)
(4.6)
(1.7)
3
5
5
7
(3.2)
(4.9)
(4.6)
(6.0)
6
7
7
6
(6.4)
(6.9)
(6.4)
(5.2)
19
13
18
18
(20.2) (12.7) (16.5) (15.5)
2009/3
合計
フォーラム数
(西暦各年 3 月現在の
フォーラム数)
06/3
07/3
08/3
09/3
表 2.4.2 は従来から掲載しているフォーラムについて、そのメンバー数を前年度比増減比率で
整理したもので、今回新規フォーラムおよび増減比率が特定出来ないものは除いている。
傾向としては、増加、減尐共に昨年に比較し、増減率 30%以上のフォーラム数は昨年の 16 に
比べ、11 と減尐している。
30%以上メンバー数が増加したフォーラムを挙げてみると、51~100 ランクの OSGi、Femto
Forum、FSAN、Marlin、 WirelessHD の 5 フォーラムである。このうち 200%以上増加したフ
ォーラムは、FSAN 以外の4フォーラムであり、青字で示している。FSAN は FTTH サービスが
世界的に普及し始めた影響なのか。WirelessHD(2006 年設立)
、 Marlin(2007 年設立)
、Femto
Forum(2007 年設立)は、設立から1~2 年で大幅に会員数を増やしている。家庭への高速大容
量通信、家庭内ネットワークや配信されるコンテンツに関する活動など、コンシューマ系のフォ
ーラム活動が順調に進展している状況をうかがわせる。
前年比 30%以上メンバー数増フォーラムの活動分野別分類:
サービス(宅内情報家電関係)
WirelessHD
サービス(インターネット関連)
Marlin
情報技術(LAN 関連)
OSGi
情報通信(インフラ系)
FSAN
情報通信(移動体通信系)
Femto Forum
30%以上メンバー数が減尐したフォーラムを挙げてみると、51~100 ランクの FLO、 WS-I、
50 以下ランクの CP-TA、 BSF、The Linux Foundation、WfMC の 6 フォーラムであり、50%
以上減尐した WS-I、 WfMC は青字で示している。WS-I、 WfMC はソリューション提供に関わ
るフォーラムであり、The Linux Foundation、BSF、FLO、CP-TA は企業指向のフォーラムで
ある。いずれにせよ、増加したものがコンシューマ系であるのに対し、企業系が減尐したように
見える。
前年比 30%以上メンバー数減フォーラムの活動分野別分類:
サービス(マルチメディア関連)
BSF
サービス(インターネット関連)
WS-I
情報技術(ソフトウェア関連)
The Linux Foundation、WfMC
情報通信(インフラ系)
CP-TA
情報通信(移動体通信系)
FLO
- 18 -
表 2.4.2 参加メンバー数変化による分類(前年比)
分類
30%以上
20~30%
増加
増加
501 以上
ODF
Alliance,
401~500
301~400
201~300
ZigBee
101~200
PCCA
51~100
50 以下
WirelessH
D ,OSGi,
Femto
Forum,
Marlin,
FSAN
20%増加~20%減尐
20~30%
30%以上
減尐
減尐
Bluetooth, TMForum, USBIF,
GSMA, UPnP, WiMAX,
PCISIG, JEPPO
W3C, OMG
TOG, EMF, OGC, WiMedia,
PICMG, T-E, OMA
Braodband Forum, ATIS
IIF,LONMARK, DLNA,
OASIS
MEF, SDR Forum,
NFC Forum, MCPC,
Liberty Alliance, ICTFSS,
PCMCIA , CDG, WWRF,
ERTICO, IIC, SCA, ITS
Forum, ECOM, 1394TA
Ethernet Alliance , ISOC,
GlobalPlatform, EDIFICE,
MoCA, OIF, SPIA , PHS
MoU, ENUM , HPA,
ECHONET ,UbiqNet,
UMTS ,mITF
DECT Forum , PUCC ,
SCOPE Alliance , OGF ,
Cable Modem/DOCSIS, STA ,
JICSAP, IP/MPLS Forum ,
UPA , UOPF , Business Grid,
HomePNA , VLCC , FCIA ,
MSF, IrDA , SA Forum ,
GSA , POF, IDF ,CEPCA ,
JAISA/ BSC Committee
Web 3D
FLO, WS-I
IMTC,
MPEGIF ,
DSL
Testing
Consortium
,MBA
CP-TA ,
BSF, The
Linux
Foundation
, WfMC
注 1:個人会員メンバー含まず、企業・団体メンバーのみ。
注2:増減比率が特定できないフォーラム(CommerceNet、CELF、EPCglobal、EIDX、ICANN、
IMS Forum、IPV6、ITS America、OIDF、VOIPSA、Open IPTV Forum、OpenSAF)
および新規フォーラム(Continua Health Alliance、DCIA、LiMo、NGMN、ICF、HomeGrid
Forum、 WHDISIG、IPTVFJ、HD-PLC、Transfer J、OHA、Symbian Foundation、
OIDF)は除き、増加欄の掲載は増加率の多い順に、逆に減尐欄は減尐率の尐ない順に掲載
した。
注3:変化量は 2009 年 3 月/2008 年 3 月の増減率を百分率で表示した。
- 19 -
表 2.4.3 では 2005 年から 2009 年の分野別のフォーラムメンバー数の変化を示す。各分野
合計は昨年に比べサービス分野ではメンバー数が減尐したフォーラムが増え、メンバー数が増
加したフォーラムは減尐している。情報技術分野ではメンバー数が増加したフォーラムが減り、
メンバー数が減尐したフォーラムが増加している。これは過去 3 年と同じ傾向である。情報通
信分野ではメンバー数が増加したフォーラムが増え、メンバー数が減尐したフォーラムは昨年
と同数である。
分野ごとに特徴的な項目を挙げると、サービス分野では EC 関連、宅内情報家電関係フォーラ
ムはメンバーが増加したフォーラムが減り、メンバーが減尐したフォーラムが増えている。情報
技術分野では LAN 関連、コンピュータ関連、ソフトウェア関連の増加フォーラムは減尐傾向に
ある。情報通信分野では昨年と同様にメンバー増加傾向であり、インフラ系、および加入者系フ
ォーラムに関しては大幅にメンバー増加フォーラム数が増えた。
表 2.4.3 分野別フォーラムメンバー数の変化(2006 年から 2009 年)
増加したフォーラム
減尐したフォーラム
2005
2006
2007
2008
2005
2006
2007
2008
~6
~7
~8
~9
~6
~7
~8
~9
サービス(EC 関連)
4
3
4
3
2
4
4
4
サービス(ITS 関連)
2
1
1
0
3
2
3
3
サービス(インターネット関連)
3
4
3
4
6
2
3
4
サービス(マルチメディア関連)
3
6
3
3
4
1
4
4
サービス(宅内情報家電関連)
1
0
3
2
2
3
2
3
サービス合計
13
14
14
12
17
12
16
18
情報技術(LAN 関連)
4
3
6
5
3
4
3
5
情報技術(コンピュータ関連)
7
5
4
3
2
6
5
5
情報技術(ソフトウェア関連)
9
9
5
4
5
2
6
5
情報技術合計
20
17
15
12
10
12
14
15
情報通信(インフラ系)
5
3
2
5
3
5
5
5
情報通信(移動体通信系)
7
5
9
6
3
5
3
6
情報通信(加入者系)
1
1
1
3
2
2
3
1
情報通信合計
13
9
12
14
8
12
11
11
総計
46
40
41
38
35
36
41
44
分野
- 20 -
視覚的に変化をご覧いただけるようにグラフをいくつか提示する。図 2.4.1 は表 2.4.1 をもとに参加メン
バーによる分類の変化を棒グラフで表したもので、メンバーランク別にメンバー数の経年変化が見られる。
メンバー数の少ないフォーラムが増加し、他のランクはほぼ横ばいということがわかる。
フォーラム数
45
2009/3
2008/3
2007/3
2006/3
40
35
30
25
20
15
10
5
図 2.4.1 参加メンバーによる分類の変化
- 21 -
明
不
上
50
1以
50
0
40
1~
40
0
30
1~
30
0
20
1~
20
0
10
1~
10
0
51
~
50
以
下
0
次に図 2.4.2 は活動目的とメンバー数の分類を表したグラフである。昨年の調査結果と同様に、
どの活動目的でも全般的にメンバー数 50 以下のメンバー数の尐ないフォーラムが多くを占める
が、デファクト標準化、プリ標準化を活動目的としているフォーラムにおいてはその傾向が顕著
である。また、デファクト標準化は 501 以上のメンバー数の大規模フォーラムも多く存在してい
るのが特徴的である。
フォーラム数
16
14
12
10
デ ファクト標準化
プリ標準化
実装仕様化・ 相互接続性検証
その他
8
6
4
2
その他
実装仕様化・ 相互接続性検証
プリ標準化
デ ファクト標準化
不明
5 0 1 以上
4 0 1 ~5 0 0
3 0 1 ~4 0 0
2 0 1 ~3 0 0
1 0 1 ~2 0 0
5 1 ~1 0 0
5 0 以下
0
図 2.4.2 活動目的とメンバー数分類
- 22 -
次に図 2.4.3 は、メンバー数ランク別にフォーラム所在地との関係を示す。昨年までと同様に、
全体的に北米に本部所在地を置くフォーラムが群を抜いて多く、特にメンバー数が 201 以上の大
規模フォーラムの所在地は北米に集中している。しかし、2005 年 3 月版の図 12.C-2(入手でき
た最も古い情報)と比較すると、メンバー数 50 以下のフォーラムにおいて、欧州に本部所在地を
置くフォーラムが増加したことと、メンバー数が 300 以上の大規模なフォーラムの本部所在地が
日本、欧州であるフォーラムが出現していることが特徴的であり、日本、欧州におけるフォーラ
ム活動が、成長していることを示している。
フォーラム数
45
40
35
30
不定
欧州
日本
北米
25
20
15
10
5
0
50以下
51~100 101~200 201~300 301~400 401~500 501以上
図 2.4.3 メンバー数とフォーラム所在地(2009 年 3 月)
フォーラム数
60
50
40
不定
欧州
日本
北米
30
20
10
0
50以下
51~100
101~200
201~300 301~400 401~500
501以上
図 2.4.4 メンバー数とフォーラム所在地(2005 年 3 月)
- 23 -
図 2.4.5 はメンバー数と設立時期の関係を示す。2008 年後半の世界経済混乱の影響が早くも現
れたのか、今回の調査結果では昨年までに毎年増加してきたことに比べ、2003 年以降フォーラム
設立数が減尐に転じている。このような時勢の中で、フォーラムの新規設立数が今後どのように
推移するか、またどのような新規フォーラムが設立されるか、注目したい。
フォーラム 数
8
7
6
5
4
3
2
不明
5 0 1 以上
4 0 1 ~5 0 0
3 0 1 ~4 0 0
2 0 1 ~3 0 0
1 0 1 ~2 0 0
5 1 ~1 0 0
5 0 以下
2008
2007
2006
2005
2004
2003
2002
2001
2000
1995~1999
1994年以前
0
不明
1
図 2.4.5 メンバー数と設立時期
- 24 -
50以下
51~100
101~200
201~300
301~400
401~500
501以上
不明
3. トピックス:医療分野における ICT 関連の標準化動向
3.1 はじめに
今年度のトピックスとして、医療分野における ICT(Information Communication Technology、
情報通信技術)の利用動向と、これに関連する技術標準化動向を取り上げた。医療 ICT に関連す
る技術は広範に及ぶため、本稿では医療アプリケーションが共通に利用する ICT プラットフォー
ムの中核となる Electronic Health Record (EHR)/Personal Health Record (PHR)ならびにユビ
キタスネットワークにスコープを絞り、これらに関する技術標準化動向を中心に調査した。また、
情報通信が医療 ICT 分野において貢献すべき領域を考察した。
3.2 医療 ICT の概要と各国の取り組み
本節では、
医療 ICT に対する米国、
欧州および日本の取り組み概要と主な標準化団体を紹介し、
調査のスコープを定めた。
3.2.1 米国の取り組み
医療における ICT の利用は古く、20 世紀初頭から専門家によって電信や電話を利用した遠隔医
療、医療映像や診療情報の伝達、教育等が実施され、Telemedicine と呼ばれてきた。米国では 1900
年代初頭の南極地方への無線通信を用いた医療サービス提供に始まり、1950 年頃には放射線映像
の伝送、テレビを利用した診察などが行われた。また NASA (National Aeronautics and Space
Administration:米国航空宇宙局)は宇宙飛行士の健康状態管理のため 1960 年代から種々の
Telemedicine プロジェクトに取り組んだ。1990 年代には地方と都市の医療サービス格差の課題
認識の高まりや、映像のデジタル化・圧縮技術の進展などにより、健康増進や疾病予防などを目
的として医師と患者間で電話等を利用した対話式の施術などが各州や政府で推進された。これは
Telehealth と呼ばれ新しい遠隔地医療の概念となった。
インターネットが普及した 2000 年頃以降は、通信ネットワークとコンピュータを利用した医
療関連サービス全般が e-Health と呼ばれ、遠隔治療だけでなく Web を利用した情報提供などを
含めた広範なサービスが行われるようになった。これにより医療情報提供、教育、医療などの商
用サービスに加えて、専門家、非専門家、企業、消費者自身などが直接提供する活動が広まった。
[1][3]
これを背景に、医療情報の相互利用を進めるため ANSI HL7、NEMA/DICOM、ASTM などの
米国内標準化が行われてきたほか、IEEE や民間フォーラムで医療機器間の相互接続などの標準
化が進められている。各標準化団体の概要に関しては第 3.5 節を参照されたい。
3.2.2 欧州の取り組み:eEurope から i2010 へ
欧州では 2000 年 3 月のリスボン欧州理事会(the Lisbon European Council)においてリスボ
ン戦略(The Lisbon Strategy)を策定し、2010 年までに情報知識を基盤として高い競争力を持った
活発な経済と社会を構築する計画を発表した。これを実現するための戦略的目標として eEurope
イニシャチブを掲げ、インターネットの普及、教育へのインターネット適用、電子商取引の促進、
セキュリティ向上、電子政府、オンライン健康管理 (Healthcare Online) 等の 10 項目について
達成目標を定めた。欧州の医療政策には、高品位のヘルスケアサービスを欧州市民へ効果的に提
- 25 -
供するという EU の基本理念と、欧州各国政府が直面する高齢化や医療費増大などの中長期の課
題解決と言う、二つの相矛盾するテーマがある。
「オンライン健康管理」はこれらを同時に解決す
るためのチャレンジと位置づけられ、市民がネットワーク経由で患者情報に安全にアクセスする
ためのスマートカードの導入や、保健衛生の専門家や管理者が予防・診察・処置等のために接続
する情報通信医療インフラの整備などが 2003 年~2004 年末までの目標に掲げられて、一定の役
割を果たした。[12]
2005 年にリスボン戦略の見直しに合わせて発表された新アクションプラン「eEurope 2005」
では情報化社会による経済の促進を目指し、個人投資と雇用の促進、個人向けサービスの充実、
全員がグローバル情報社会へ参加できる環境促進等の目標を定めた。 eEurope 2005 のアクショ
ンプランとして、オンライン公共サービス、e ビジネス環境、安価なブロードバンド、安全なイ
ンフラが挙げられ、オンライン公共サービスの具体例として eGovernment、eEducation と並ん
で eHealth が挙げられた。この中で eHealth とはヘルスケアに関わる ICT を使ったツールとサ
ービスで、専門家が利用し患者には見えない場合も、患者が直接使う場合も有るが、欧州市民の
健康の向上に著しく寄与するものとされている。また eHealth は患者と医療サービス提供者の連
関、医療機関の間でのデータ伝達、患者間または患者と専門家間のコミュニケーションなどで利
用され、例えば以下のようなアプリケーションが考えられている。
- 保健衛生に関する情報ネットワーク
- 保健衛生に関する電子情報(electronic health records)
- 遠隔診療サービス(telemedicine)
- ウエアラブルまたはポータブルな通信システム
- 保健衛生に関するポータル web サイト
- 疾病予防、診断、治療、健康モニタ、ライフサイクル管理等を補助する ICT ツール
また、EU の第6次研究枠組み計画(EU Sixth Framework Programme, FP6, 2002 年~2007
年)と第7次研究枠組み計画(EU Seventh Framework Programme, FP7, 2007 年~2013 年)
では、eHealth が主要テーマのひとつとされ、実用化へ向けた研究開発が行われている。
3.2.3 日本の取り組み
いつでも、どこでも、質の高い、安心・安全な医療サービスの提供は、日本国内においては尐
子高齢化社会の到来によりいっそう求められているが、その実現においてはさまざまな課題を抱
えている。
経済の伸びの低下、高齢化の進展に伴い医療費は増加する傾向にあり、医療費の適正化が急務
になっている。また、医療現場では医療従事者が不足しており、業務負担が限界に来ており、医
療事故につながる恐れも危惧されている。
こうした医療の現状に対して、個々人の考え方も変化してきており、自己のカルテやレセプト
の開示、セカンドオピニオンやインフォームド・コンセントは常識的な考え方となりつつあり、
安心・安全な医療サービスへの期待が高まっている。
このような現状をふまえ、医療分野の情報化により次の課題対策を進めている。
・
医療の質の向上
・
医療従事者の業務負担低減と効率化
・
医療の安全性と信頼性の向上
- 26 -
・
患者への適切な医療の提供
これまで、医療分野の情報化に関しては、政府、民間ともにさまざまな取組みを行っている。
前述したように2001年に「保健医療分野の情報化にむけてのグランドデザイン」
(以降「グラ
ンドデザイン」
、厚生労働省)
、2003年に「e-Japan戦略Ⅱ」
(内閣官房 IT 戦略本部)
の決定等がなされ、電子カルテやレセプトのオンライン化に関する具体化が進められている。具
体的には、
・
医療機関の情報提供
医療機関の情報提供により患者が適正に医療機関を選択できる環境の構築
・
電子カルテ等の普及促進
電子カルテやオーダリングシステムの普及、診断情報の電子化促進等による医療の質向
上と医療サービスの効率化を実現
・
医療情報の連携
医療機関をネットワークで結び、患者の医療情報を医療機関で連携活用する仕組みを確
立し、複数の医療機関で継続医療を受けられる仕組みの構築
・
遠隔医療の普及促進
遠隔医療サービスを全国で実現
・
レセプトの電算化・オンライン請求
レセプトの電算化及びオンライン請求を促進し、業務の効率化実施
の実現を図るべく活動が、官民連携して進められている。
まず、官庁側の対応として厚生労働省では、「診療録等の保存を行う場所について:病院以外、
紙以外も容認」、
「情報通信機器を用いた診療:遠隔治療の対象明示」、「診療情報に関する提供等
に関するガイドライン:患者に対する診療情報提供基準」、「医療情報システムの安全管理に関す
るガイドライン」、
「保健福祉分野のPKI認証局証明書ポリシ:セキュリティ」などの医療に関
する法整備やガイドラインの策定を実施し、医療分野の情報化を政策面で進めている。
経済産業省では2003年度から「医療情報システムにおける相互運用性の実証事業」を実施
し、異なるメーカー間の情報システムの相互接続性確保等に取り組んでいる。
総務省では2002年度から「P2P型高信頼情報流通に関する研究開発:P2P型情報シス
テムによる高精細立体画像の医療機関での共有」、2005年には「オンデマンド光ネットワーク
制御技術の研究開発:利用者が必要なサービス水準(優先度、緊急度、即時性など)を設定し利
用」を実施し、情報処理・通信面から推進している。
一方民間では、主に医療情報の交換・共有や診療情報連携に関する次のような取組みが行われ
ている。
「情報交換の際の互換性」に関しては、JAHIS(保健医療福祉情報システム工業会)
、JI
RA(日本画像医療システム工業会)や日本HL7 協会が、HL7(Health Level Seven)やD
ICOM(Digital Imaging and Communication in Medicine)の医療情報システムへの標準実装
を推進している。また、
「用語・コードの標準化」に関しては、MEDIS(財団法人医療情報シ
ステム開発センター)が実施しており、さらに医療情報交換のセキュリティ基盤である「ヘルス
ケアPKI(Healthcare Public Key Infrastructure)」の構築や実証事業なども行われている。[2]
最近では、内閣官房 IT 担当室が平成 20 年 6 月に「IT 政策ロードマップ」を策定し、IT 化の
推進に関する強化分野として 3 つの分野が抽出し、取組みの方向性の明確化を図っている。その
- 27 -
一つに、
「国民本位のワンストップ電子行政、医療・社会保障サービスの実現」があげられ、国民
が社会保障に関する自己の情報を安全かつ容易に入手・閲覧・活用ができるとともに、質の高い
医療を住み慣れた地域で受けることができる、毎日を安心して暮らすことが出来る社会の構築を
めざす方向とが示されている。
具体的には、IT を活用した医療・社会保障サービスの将来像を示し、2010 年までに基盤整備
を行い 2011 年から各施策の本格稼動と対象範囲の拡大を進めようとしている。関連して、総務省
でも公共ネットワークを活用した医療機関連携等について必要なシステムの要件整理と標準化に
ついて取り組んでいる。地域情報プラットフォームと連携したシステムとして、生涯健康情報基
盤(EHR や PHR)や介護ネットワークシステム、それに関連したネットワークセキュリティの
検討があげられる。
3.2.4 国際標準化団体の動向
医療 ICT に関連する国際標準化は、情報・通信関連の SDO(Standards Development
Organizations、 標準化団体)とヘルスケア関連の SDO がそれぞれの分野の標準化を行ってき
た。各国や地域では、これらの標準を組み合わせて必要な医療システムを構築可能とするための
コーディネート活動が行われている。また、WHO が e-Health Standardization Coordination
Group (eHSCG)を設立し、ISO, IEC, ITU が協調する枠組みを提供している。本節では、eHSCG
が認識している SDO を中心に、主な標準化活動を紹介する。
(1) ICT 関連の SDO
1) IEEE 1073 (Point of Care Medical Device Communication Standards)
IEEE (The Institute of Electrical and Electronics Engineers)はアメリカに本部を持つ電
気・電子技術の学会。学会活動に加えて技術標準化にも取り組み、コンピュータや LAN/WAN
関連の技術規格の制定を行う。IEEE 1073 委員会では医療機器に用いる医用波形のフォーマ
ットの標準化を検討する。
2) ISO TC 215 (Health informatics)
ISO (International Organization for Standardization)はスイスのジュネーブに本部を持つ
工業分野の国際標準化団体。電気分野は後述の IEC が担当し、ISO と IEC が共同で開発す
る標準もある。
個々の技術規格は TC (Technical Committee、
技術委員会)が検討する。
IEC TC
215 は医療機器間の相互運用とデータ互換性に関する医療 ICT 技術規格を検討する委員会。
3) IEC TC 62 (Electrical equipment in medical practice),
IEC (International Electrotechnical Commission)は電気電子関連技術を扱う国際的な標準
化団体。標準の一部は ISO と共同開発されている。TC62(医用電気機器)委員会では、画
像診断機、放射線治療機、核医学機器、線量計等の国際規格を制定する。
4) CEN TC 251 (European Standardization of Health Informatics),
CEN (Comité Européen de Normalisation)は電気、通信以外の分野における欧州規格を策定
する標準化団体。電気は CENELEC (Comité Européen de Normalisation Electrotechnique)、
通信は ETSI (European Telecommunications Standards Institute)が欧州規格を制定してい
る。CEN TC 251 は医療情報に関する欧州規格を検討する委員会。
5) ITU-T SG 16 (Multimedia services, systems and terminals)
ITU-T (International Telecommunication Union Telecommunication Standardization
- 28 -
Sector) は国際連合の専門機関である国際電気通信連合(ITU)の一部門でテレコミュニケー
ション分野の国際勧告を策定する。ITU-T は複数の Study Grop (SG)で構成されており、
SG16 は Multimedia coding, systems and applications をテーマとする。SG の検討課題は
Question (Q)に分類され、医療 ICT 関連では Q.28 (Multimedia framework for e-health
applications)が Telemedicine 等の e-health アプリケーションのマルチメディアフレームワ
ーク策定(既存標準の相互運用のためのコーディネーション等)を行う。また、WHO の
eHealth Standardization Coordination Group (eHSCG)に関与している。
6) ETSI (EP eHEALTH);
ETSI (European Telecommunications Standards Institute)は通信分野の欧州規格を策定す
る標準化団体。ETSI Project (EP) の一つである eHEALTH プロジェクトでは、eHealth に
関する ICT 関連の要求条件を収集し、該当する ETSI の技術委員会へインプットするための
コーディネーション活動を行う。主な視点はシステムとデータのセキュリティ、QoS、相互
接続検証、利便性など。
(2) ヘルスケア関連の SDO
1) Health Level 7 (HL7)
HL7 は米 ANSI (American National Standards Institute) 公認の標準化団体で、プロバイ
ダ、ベンダ、支払人、コンサルタント、政府機関等をメンバーに持ち、ヘルスケアに関する
臨床・管理データの標準化を行う。ISO OSI7レイヤのレイヤ7(アプリケーションレイヤ)
に関する標準化をスコープとし、データ構造に加えて、セキュリティ、利用者識別、有用性
確認、データ交換構造処理、などインターオペラビリティのための標準化を行っている。
(http://www.hl7.org/)
2) Integrating the Healthcare Enterprise
Integrating the Healthcare Enterprise (IHE) は、ヘルスケアで利用するコンピュータ間の
情報交換を目的とした保健医療の専門家と業界による活動。患者へ最適な看護の提供を支援
するため必要な具体的な臨床ニーズを解決するため、DICOM や HL7 などの既存標準を調整・
統合した利用方法の普及推進を行う。(http://www.ihe.net/)
3) Clinical Data Interchange Standards Consortium (CDISC)
CDISC は、臨床研究データとメタデータの入手、交換、開示、保管の為の標準を目的とした、
グローバルでオープンな諸専門分野からなる非営利団体である。CDISC のミッションは、医
学研究と関連する臨床医療領域における情報システムの相互接続性を実現とするためのグロ
ーバルでプラットフォームに依存しないデータ標準の開発である。CDISC 標準はベンダ中立
かつプラットフォーム非依存で、無償で入手できる。(http://www.cdisc.org/)
4) Digital Imaging and Communications in Medicine (DICOM)
米国放射線学会 (ACR) と北米電子機器工業会 (NEMA) が開発した、CT や MRI、CR など
で撮影した医用画像のフォーマットと、それらの画像を扱う医用画像機器間の通信プロトコ
ルを定義した標準規格のことである。(http://medical.nema.org/)
5) ASTM International
ASTM International は 1898 年に設立された American Society for Testing and Materials
(ASTM)が 2001 年に改名したもので、素材・製品・システム・サービスに関する工業規格の
国際標準を開発する世界最大クラスの非営利団体。
医療に関しては 1970 年に発足した ASTM
- 29 -
E31 委員会が Healthcare Informatics をテーマとして活動しており、医療や医療診断に用い
る患者固有情報知識を含む情報の、アーキテクチャ、コンテンツ、ストレージ、セキュリテ
ィ、機密性、機能、情報通信、等に関する標準を作成する。(http://www.astm.org/)
6) Healthcare Information and Management Systems Society (HIMSS)
HIMSS は、医療 IT と管理システムの最適な利用により医療の改善をグローバルに主導する
ことを目的とした、医療業界による会員制組織で、1961 年に米・欧・アジアで発足した。
HIMSS では業界支援活動、教育、専門的な技術開発等を行い、ヘルスケア政策と業界での
実践を立案・主導することで、医療情報と ICT システムが質の高い医療を提供する事に貢献
する。(http://www.himss.org/)
7) American Dental Association (ADA)
ADA は 1859 年に米国で設立された世界最大・最古の歯科医師会。(http://www.ada.org/)
8) Clinical Laboratory Standards Institute
Clinical and Laboratory Standards Institute (CLSI) は非営利の標準化団体で、医療コミュ
ニティの無償奉仕によって維持されている研究所(Laboratory)の利用基準およびガイドライ
ンを開発すると共に利用促進活動を行っている。(http://www.clsi.org/)
9) Continua Health Alliance
Continua Health Alliance は個人のヘルスケアの質の改善を目的としてヘルスケア関連企
業と技術系企業が 2006 年に設立した非営利の業界アライアンスで、体温計・血圧計等の個
人が使う健康管理機器と PC や携帯電話を相互接続することにより、個人の健康管理やこれ
を利用した医療サービス等の普及推進を目的とする。健康機器のインタフェースとデータフ
ォーマットのガイドラインを策定するほか、ガイドラインへの準拠を確認するテスト仕様を
提供し確認が取れた機器に対するロゴマークの付与を行っている。
(http://www.continuaalliance.org/)
10) OASIS
Organization for the Advancement of Structured Information Standards (OASIS)は 1993
年に発足したグローバルな非営利の協会で、主にセキュリティ、e-ビジネス関連の Web サー
ビスに関する標準の開発、統合および採用を推進する。医療 ICT 分野においては医療情報フ
ォーマットの Web サービスでの利用や、個人情報のセキュリティ管理などの検討を行ってい
る。(http://www.oasis-open.org/)
(3) ヘルスケア関連 ICT 標準のコーディネーションの動き
1) ANSI-sponsored Healthcare Information Technology Standards Panel (ANSI HITSP)
HITSP は米国においてヘルスケア関連情報の広範な相互運用を可能にする合意に基づく標
準化を促進するために、ANSI (American National Standards Institute)の後援により 2005
年に設立された。HITSP は HIMSS 等との協力により、ヘルスケア関連のソフトウエア・ア
プリケーション間で共有される健康情報の相互運用、正確な利用、アクセス、プライバシー
お よ び セ キ ュ リ テ ィ 等 に 関 す る 検 討 を 行 う こ と に よ っ て 、 米 国 の National Health
Information Network (NHIN)の開発を補佐する。
2) Joint Initiative on SDO Global Health Informatics Standardization (JI-SDO GHIS)
Joint Initiative on SDO Global Health Informatics Standardization は CEN TC 251, HL7,
ISO TC 215 が国際標準化に関して協力するための枠組みとして 2007 年に発足した。同イニ
- 30 -
シャチブへ参加する SDO は国際標準化ニーズの判断プロセスを相互に合意し、標準化戦略と
計画を整合し、各 SDO が重複・背反する標準を持つ場合は特定の決議を行ない、最終的に全
ての標準を ISO から発行する事を目標とする。Joint Working Group が作業を行ない、EHR
コミュニケーションアーキテクチャ、データタイプ、情報モデル要求条件、安全基準などが
検討対象となっている。(http://www.global-e-health-standards.org/)
3) WHO の e-health Standardization Coordination Group (eHSCG)
WHO の eHSCG は e-Health の標準化における技術領域の主要団体間でより強固な連携を推
進するプラットフォームとして、情報交換、標準化の共同開発などをサポートする。ISO, IEC,
ITU 等が参加しており、標準化が必要な領域の特定と標準化の責任分担の確認、実装ガイド
ラインやケーススタディーの提供、要求条件等を検討する。また、主要なヘルス関連アプリ
ケーションへ機能セットを提供する為に、異なる複数の既存標準のヘルス・プロファイルの適
切な開発パスに対する要求条件を検討する。
(4) 医療 ICT 技術領域と標準化団体の関係
図 3.2.1 は、これまでに紹介した標準化団体と 3.4 節で解説する標準化技術領域の関係を図示し
たものである。標準化が活発に行われている領域は、EHR 等で活用する医療情報・波形・画像等の
規格と、これを測定・収集する医療機器の相互接続に関する規格、ならびにこれらをつなぐユビキ
タスネットワークの規格である。図より、ISO/IEC 等のデジュール標準化団体が医療情報関連の
技術を広く取り扱っており、標準化団体間のコーディネーション活動も行われていることが判る。
また、医療画像・波形フォーマットやセキュリティに関する標準化は地域標準化団体が活発に活
動していることが判る。これは国民の健康管理という行政の重要課題に関わる技術であること、
患者毎の生涯医療情報の様な重要な内容を取り扱う事、特に欧米では州や EU 加盟国などの行政
機関をまたがる情報交換を視野に入れていることなどから、国家レベルの取り組みが行われてい
る為と考えられる。これらの取り組みの多くは 2000 年ごろから始まっており、技術標準化が一
段落した分野も多い。
一方、機器間の通信や接続に関する技術は民間フォーラムが中心に活動している事が伺える。
特に Web サービスの標準化を行う OASIS や、家庭用医療機器の相互接続を推進する Contina
Health Alliance などの民間フォーラムによる標準化は比較的新しい活動である。近年では
Contina Health Alliance が個人レベルで日常の健康管理を行うために個人健康機器と ICT 機器
とネットワークサービスにまたがる相互接続ガイドライン作りを推進して複数の業界から注目さ
れている事などから、医療 ICT は政府レベルの取り組みから民間へ広がってきている事が判る。
- 31 -
図 3.2.1 医療 ICT 関連の主な標準化技術と標準化団体
凡例:
AENOR
ANSI
ASTM
CEN
DICOM
EHR
eHSCG
EPC
HITSP
HL7
IEC
IEEE
ISO
ITU-T
JAHIS
JAMI
Spanish Association for Standardisation and Certification
American National Standards Institute
American Society for Testing and Materials
Comité Européen de Normalisation
Digital Imaging and Communications in Medicine
Electronic Health Record
eHealth Standardization Coordination Group
Electronic Product Code
Healthcare Information Technology Standards Panel
Health Level 7
International Electrotechnical Commission
The Institute of Electrical and Electronics Engineers
International Organization for Standardization
International Telecommunication Union Telecommunication Standardization Sector
Japanese Association of Healthcare Information Systems Industry
(保健医療福祉情報システム工業会)
Japan Association for Medical Informatics (日本医療情報学会)
JI-SDO GHIS
MFER
NEMA
OASIS
WHO
ZigBee SIG-J
Joint Initiative on SDO Global Health Informatics Standardization
Medical waveform Format Encoding Rule
National Electrical Manufacturers Association
Organization for the Advancement of Structured Information Standards
World Health Organization
ZigBee Special Interest Group Japan
- 32 -
3.2.5 医療における ICT 利用状況
図 3.2.2 は本トピックの調査スコープを図示したものである。本トピックでは医療 ICT 全体を
「ICT 活用アプリケーション」、
「共通プラットフォーム」、
「標準化技術」の 3 階層に分けて調査
した。最上位の「ICT 活用アプリケーション」は医療における ICT の利用シーンを 4 領域に分け
て例示したもので、3.3 項で紹介する。
「共通プラットフォーム」はこれらのアプリケーションが
共通に利用する技術基盤を指すもので、3.4 項に EHR/PHR とユビキタスネットワークの概要を
解説した。これを実現する為に進められている標準化動向を 3.5 節で紹介する。
図 3.2.2 医療 ICT 利活用アプリケーションの概要
- 33 -
3.3 医療 ICT アプリケーション
3.3.1 医療 ICT アプリケーションのスコープ
本項では、総務省が平成 18 年 4 月にまとめた「医療分野における ICT の利活用に関する検討
会報告書」[2] をベースにユビキタスネット時代の新たな医療の姿を実現しうるアプリケーショ
ンとしてご紹介する。医療 ICT が活用される場面ごとに「日常生活圏」、
「医療機関内」、
「地域医
療連携」、「災害・救急」という医療の4つのフィールドに分類して記述した。全体図を図 3.3.1
に示す。ユビキタスネットワークを通じ、誰でも、いつでも、どこでも最適な医療サービスを受
けることができ、また健康管理や予防医療が実現される姿だ。その中心には、個人が生涯を通じ
て健康情報などを活用できる基盤として、生涯電子健康記録(PHR)を蓄積するデータベースが
存在すると想定され、その医療データをもとに各フィールドにおいて適切な治療、健康管理、予
防医療がなされる。
図 3.3.1 ユビキタスネットワーク健康医療の全体像 [2]
3.3.2 日常生活圏
日常生活圏と称しているのは、家の中だけではなく家の近所や職場、場合によっては主張先を
含めたエリアを想定している。図 3.3.2 はアプリケーションイメージを示したもので、
患者と医療機関等をネットワークで結び、自宅や職場など患者が日常生活を送りながら、診療や
介護をうけられるようにしたり、検診データ等蓄積された自己の健康情報を活用した、健康管理
や予防医療の実現が検討されている。
図 3.3.2 では病院等に設置された、健診データ(EHR)をベースにしているが、将来的には地
域に設置された生涯電子健康記録(PHR)をコアにしたものも想定されている。
- 34 -
図 3.3.2 日常生活圏における ICT アプリケーション [2]
具体的なアプリケーションとしては次のようなものがあげられる。
(1) 在宅患者モニタリングシステム
医師等がリアルタイムに患者状況を把握し、在宅患者をサポートする。場合によっては、緊急
対応を実施したり、患者と同居していない家族もリアルタイムに患者の様子を確認できるシステ
ム。在宅療養患者が携行または装着する通信機能付測定器からリアルタイムで送信されるバイタ
ル情報(脈、血圧、血流、血中飽和酸素濃度、心電、体温、体動加速度等人体に関わる情報)
、自
宅に設置されているネットワーク対応カメラ映像などをネットワーク経由で伝送することにより
行う。
(2) 在宅健康管理支援システム
保健センターがサーバ上の設置された個人の健康管理情報をもとに、健康管理上のアドバイス
を実施する。ネットワーク上に設置された健康管理情報を格納するサーバと通信機能を内蔵した
バイタル情報(脈、血圧、血流、血中飽和酸素濃度、心電、体温、体動加速度等人体に関わる情
報)を測定する機器により構成され、サーバ上に格納された個人のバイタル情報をもとに、健康
管理上のアドバイスを実施する。
(3) 生涯健康情報管理システム
個人診察データのデータベース一元管理を実施し、健康管理スタッフと個人がインターネット
を介してデータベースを共有し、保健指導・相談を実施する。健康管理情報、ヘルスケアコンテ
ンツ情報等が格納されたデータベースを構築し、診察データや、個人相談データ等、医療、健康
関係の情報を一元管理する。一元管理されたデータベースをインターネットに接続し、ユーザと
健康管理スタッフを接続することによりおこなう。
(4) 介護予防システム
インターネットを介して、多地点間の相互通信(テレビ会議システム)を実施し、介護予防と
なる運動や保健師による面談、食事メニューの提供を行うシステム。
(5) 介護ネットワークシステム
介護関係施設を接続する情報共有システム。在宅介護支援センター、訪問看護ステーション、
デイサービスセンター、特別養護老人ホーム、ホームヘルプ事業者等をネットワークで接続し構
成され、ケア対象者の情報を共有するシステム。
- 35 -
また、このような健康情報データベースをもとにしたアプリケーションとは別に、図 3.3.3 に
示すように、生体内通信をおこなうものも考えられている。
図 3.3.3 生体内通信アプリケーション [2]
(6) 医療情報生体内検地システム
生体内に埋め込んだセンサーやカメラを常にネットワークに接続し常時健康状態を把握・伝送
し、医師はその情報により必要な医療を即時決定し、治療用のナノロボット等を用い自律的に患
部の治療を実施するシステム。通信機能を持つインプラント用のセンサーやカメラ、体内と外部
を接続する無線ネットワークにより構成される。
3.3.3 医療機関内
病院を中心とする医療機関内での ICT の利活用アプリケーションの具体例を紹介する。大別し
て、診療情報を医療機関内で各部門横断的に連携して共有する「医療情報」関連のアプリケーシ
ョンと、無線通信機能を持つセンサー技術を利用した「ユビキタス医療」関連のアプリケーショ
ンの2つに分類する。システムの構成としては、ともに患者の医療情報等を蓄積したサーバを中
心に各部門をつなぐ有線・無線ネットワークから構成される。
具体的なアプリケーションは総務省が平成 18 年 4 月にまとめた「医療分野における ICT の利
活用に関する検討会報告書」[2] を流用している。
(1) 医療情報システム
医療機関内の各部門をネットワークでシームレスに接続して、電子カルテ、オーダリング(薬
の処方、投与などの情報)
、レセプト、医事会計等の医療情報をリアルタイムにかつ正確に共有す
るシステム。各情報の収集・分析が容易になり、情報の各部門へのスピーディかつ正確な指示・
伝達が可能となることにより、
「患者サービスの向上」、
「医療従事者の負荷低減」、
「診療の質的な
向上」
、
「病院経営の健全化」に貢献できる。
標準化に関しては、医療情報データの標準化が進められている。
- 36 -
図 3.3.4 医療情報システム [2]
(2) ユビキタス医療システム
無線通信機能を持つセンサーノード(電子アクティブタグや無線通信機能を持つ機器)、無線
LAN 等のネットワークを使った病院内のユビキタスネットワークシステムにより構成され、アプ
リケーションを実現する。
患者、医療従事者、医療機器、医療資材、医薬品等の様々な人やモノから得られる情報を検出
して、ネットワークを通じてシステムにそれらを伝達して活用するアプリケーション。
(図 3.3.5)
標準に関しては、この領域では電子タグや無線ネットワークは一般的な標準化技術を活用し、
そのアプリケーションは医療機器メーカーが独自で提供しているようである。
- 37 -
図 3.3.5 病院内におけるユビキタス医療システム [4]
具体的なアプリケーションを以下に示す。
1) 医療機器管理システム
医療機器に電子タグを貼付し、施設内に設置したリーダを介して医療機器の位置情報を自動
検出し、メンテナンス状況や利用状況とともに所在を一元管理するシステム。手術時の医療
機器の体内への置忘れ防止への貢献も期待できる。
2) 医療従事者・患者情報管理システム
医療従事者、患者やベッド等に電子タグやセンサーを貼付し、施設内に対応したアンテナを
設置することで、医療従事者・患者の所在地や患者のバイタル情報を自動的収集・把握する
システム。容態急変、転倒した患者への迅速な対応に寄与する。
3) 空床管理システム
患者、ベッド、ベッドの近辺の壁・床などに電子タグを貼付して、入退院、転床、転棟、ベ
ッド移動ごとに看護師が電子タグを読み込ませることにより、患者とベッドの現在の所在地
及び履歴を管理するシステム。設備の有効活用に寄与する。
4) 調剤支援システム
医薬品に電子タグを貼付し、薬剤師が調剤する際、調剤内容が医師の処方と一致しているこ
とを確認し、医薬品の取り違えによる調剤ミスを防止するシステム。また、合わせて、有効
期限切れの医薬品の使用防止や、調合順序管理を実現する。
5) 医薬品トレーサビリティシステム
厳重管理、与薬履歴管理が義務付けられている生物由来製品等を中心とした医薬品に電子タ
グを貼付し、製造元から販売業者を経て、患者への与薬までの全ての流通・与薬履歴を管理
するシステム。一元管理により情報照会が容易になる。
6) 医療資材適正管理システム
厳重な管理が必要な医療資材等に電子タグを貼付し、医療資材棚にはアンテナを設置してお
き、医療従事者が認証を使って医療資材棚を解錠して取り出し状況等を自動的に把握するシ
ステム。
- 38 -
3.3.4 地域医療連携
地域内の医療機関をネットワークで繋ぐことにより、医療機関間での情報交換の円滑化、患者
の肉体的・精神的負担軽減を図ることを目的に検討されている。提供される医療の地域間格差解
消や医療資源効率化等への貢献も期待されている。
図 3.3.6 以下に地域医療連携の全体像を示し、
具体的なアプリケーションを後述に紹介する。基本的なシステム構成は、生涯電子健康記録(P
HR)データベースを中心に各医療機関を繋ぐネットワークと情報端末から成る。
図 3.3.6 地域医療連携支援システム [2]
(1) 地域医療連携支援システム
地域内の医療機関、保健所、薬局等を繋ぎ、患者紹介、診療・検査情報等の情報交換等で連
携して医療を提供する。医療の効率化、安心・安全な医療の提供等に貢献する。
(2) 遠隔診断システム
地域中核病院や診療所等を繋ぎ、診療・検査情報、手術映像等を伝送することにより、専門
医から診断などの医療行為を支援するシステム。医療の質の地域格差解消や医療の効率化に
貢献する。医療用ビデオカメラ、医療用モニタ等もシステム構成に加わる。標準化に関して
は、画像等のデータフォーマットなどがある。
(3) 診療情報閲覧システム
自己の健康管理のために診療情報の閲覧・活用、セカンドオピニオン等を実現するシステム。
健康管理意識の向上、予防医療の実現に役立てる。自宅で診療情報等を閲覧するなど、患者
の肉体的・精神的負担の軽減にも期待される。患者の固有情報を記録したICカードや、読
み取り機などもシステム構成に付加される。標準化に関しては、医療用ICカード等があり、
- 39 -
ISO TC 215 WG5 Health Cards で議論されている。
他にも、レセプト等から得られる情報を医療機関の枠を超えて収集・分析することによって、
疫学研究や健康管理・予防医療の実現も考えられる。また、介護ステーション等もネットワーク
に加え、情報共有することにより、質の高い介護サービスを提供することが出来ると同時に患者
予備軍を早期に察知し、予防医療への貢献も期待できる。
3.3.5 災害・救急医療
今後、高齢化等に伴い救急需要の増加が見込まれる反面、財政難等により人員や設備の整備が
困難な状況になっているという背景があり、救急車と医療機関等の情報共有の必要性が高まって
いる。また、地震などの災害医療の現場では、多数の救急患者を搬送するケースが発生すること
あるため、現場チームと被災地域以外の救急医療チームの連携が欠かせない。患者の医療情報収
集や地域間の連携強化の点で期待されている。災害・救急医療システムの全体像の図(図 3.3.7)
を示し、後述の具体的な医療 ICT の利活用策については以下の3つが挙げられる。また、関連す
る国際標準化機関での取組みとしては、ITU-R での、第 4 世代移動通信システム、広帯域無線アクセス
システム、緊急警報放送システム、防災無線システム等などが挙げられる。
図 3.3.7 災害・救急医療システム [2]
(1) 広域災害・救急医療情報システム
都道府県毎の広域災害・救急情報システムと連携し各種医療情報の入手を実現するシステム。
一斉通報により関係機関への緊急連絡、インターネットを通じた各種情報提供等が可能とな
る。現在は主に目的別に 2GHz, 12GHz, 40GHz 60MHz, 150MHz, 260MHz, 400MHz 帯等、
様々な周波数帯が防災無線、緊急無線などが利用されており、デジタル化が進んでいる。
厚生労働省による、災害救急医療に関するあらゆる情報提供が主にリンク集という形で、行
われているウェブサイトを参考に紹介する。
広域災害救急医療情報システム
- 40 -
Emergency Medical Information System
http://www.wds.emis.or.jp/
(2) 救急患者対応支援・患者特定システム
被災状況、被災者、搬送先情報等を関係機関間でのリアルタイムな情報共有を実現するシス
テム。安否確認、既往症情報を受けての適切な処置、緊急度に応じた救助(トリアージ)を
可能にする。GPS、カメラ機能搭載携帯電話、電子タグ、地方公共団体等の被災情報管理サ
ーバ、患者情報データベース、ネットワークなどで構成される。
(3) 車載式患者モニタリングシステム
救急車内で患者の容態を常時把握し、搬送先等に伝送するシステム。救急車内での適切な応
急処置が、さらに搬送先との迅速な情報共有により、救命率の向上に寄与できる。電子タグ
等の技術の活用が考えられる。
(本節は[13] [14] を元に執筆)
- 41 -
3.4 共通プラットフォーム
3.4.1 EHR/PHR
医療の IT 化のキーワードとして、従来の電子カルテ(EMR:Electronic Medical Record)と
いう概念に加え、現在は一歩進んだ EHR(Electronic Health Record)という生涯電子カルテの
概念が主流となってきている。
電子カルテ(EMR)あるいは電子カルテシステムの定義は、必ずしも確立しているとはいえな
いが、一つの医療機関内で運用されるシステムを指すことが多い。
それに対して、EHR は、地域での医療機関連携ネットワークを利用して、個人の医療・健康情
報の共有を目指すもので、さらに近年これに加えて、個人の生涯にわたる保健医療サービスの情
報管理基盤として位置づけられる PHR(Personal Health Record)が登場した。つまり、
・
EMR:Electronic Medical Record
一つの医療機関によって診療の為に作成、情報収集、管理され、診療に利用される個人
についての健康関連情報の電子医療記録
・
EHR:Electronic Health Record
複数の医療組織を横断して診療する為に作成、情報収集、管理され、診療に利用される
個人についての健康関連情報の電子医療記録
・
PHR:Personal Health Record
個人によって作成、情報収集、管理される複数の健康情報を、EHR に加えた個人につい
ての電子蓄積健康関連情報。医療機関だけでなく個人が健康管理や慢性病管理に利用可
能。
EHR や PHR は、患者を中心にした統合医療を実現するために一元化されたヘルス情報レコー
ドのことであり、元来、医療機関などの施設に閉じた情報管理と物理的な制約により隔絶されて
いた医療情報を、地域レベル、または国家レベルで共有し有効活用しようとするところにある。
HHR、PHR の導入により
・
リアルタイムでの患者情報へのアクセスと重複・不要検査の削減
・
複数の医療提供者間における情報シェアや相互連携
・
疾病ハイリスク予備軍に対する、特に慢性期疾患へのケア支援
・
医療過失の削減と地域単位でのケアパスの明示
・
患者教育、セルフケアに向けた意識変革
・
医療提供資源全体の効率化
が期待できる。
EHR や PHR の標準化は ISO/TC215(医療情報)
、CEN/TC215、HL7 等の医療情報
システムの国際的な標準化組織で、オーストラリア、カナダ、英国や米国等の各国メンバー中心
で実施されている。
EHR モデルの開発は、米国では HL7 を中心にフォーラム的な位置付けの HIMSS(Healthcare
Information and Management Systems Society)が連携し、欧州では 1991 年から 1995 年に 7
カ国 21 団体が参加して実施されたフォーラム的な位置付けの GEHR(Good European Health
Record)プロジェクトやその後 2002 年に設立された openEHR が CEN と連携して進めている。
HIMSS は医療情報普及を推進すべく、EHR 適用評価基準などを作成し米国を中心に活動して
- 42 -
いる。また、GEHR はマルチメディアデータアーキテクチャを、openEHR はオープンソースソ
フトウェア等を作成し CEN の規格作成の上で重要な役割を果たしている。
データベースの国際標準化は EHR をベースに実施されてきた。2004 年ころから ISOTC215
で EHR に関する会合も活発化し、ISO20514EHR 定義関連の審議が進んだ結果、図 3.4.1 の EHR
システム定義に示すように、EHR の基本部分を基本的包括的 EHR(Basic-General)
、その下層
に共用可能 EHR(Shareable)と共用不可能 EHR(Non-Shareable)、共用可能 EHR の下に統
合的診察 EHR(Integrated Care EHR)の 3 層構造として定義され、同時に技術関係の用語も厳
密に決められた。この構造が意味するところは、EHR には複数の医療関係機関で共用できる部分
とそうでない部分があるということである。そして、共有する部分には、診察で使用される統合
的診察 EHR を含まなければならない点、いわゆる従来の電子カルテ部分は、共有できなければ
ならない点である。
基本的包括的
EHR
共有可能
共用不可能
EHR
EHR
総合的診察
EHR
図 3.4.1 EHR システムの定義
また、PHR に関しては HL7 で EHR システム機能モデルのサブセットとして PHR システム機
能モデルを進めており、2008 年 5 月には ISOTC215 で審議が行われ、標準化は EHR から PHR
主体になっている。
3.4.2 ユビキタス医療ネットワーク
センサーネットワーク(センサー(RFID などの電子タグや無線通信機能を持つ機器等)と、
ネットワーク技術(ZigBee など)で構成)に、セキュリティ技術、認証技術、センサーネットワ
ーク管理ソフトなどで実現されるネットワーク。
センサーネットワークとは図 3.4.2 のように、無線機能をもつセンサーにより、刻々変化する
人、モノまたは環境状態を自動的に認識し、無線中継ネットワークを構築して認識した医療情報
を伝送、活用する仕組み。
- 43 -
図 3.4.2 医療におけるセンサーネットワークのイメージ [2]
ユビキタス医療ネットワークにより人(医師・患者等)やモノ(医療機器、医薬品等)が相互
に連携し、リアルタイムにかつ正確に情報伝達・共有・分析が可能となることにより、いつでも、
どこでも最適な医療サービス(2 項:医療 ICT アプリケーションなど)を受けることができる。
ユビキタス医療ネットワークの標準化は、センサーネット技術ような下位層は汎用の技術を使
っており、上位層(物流管理コードやデータフォーマット等)で医療独特の標準化が進められて
いるようである。
図 3.4.3 に米国におけるセンサーネットの資料を示す。細かな情報はないが、各社のホームペ
ージを見ると、標準化された汎用タグ(RFID)や汎用通信技術を組み合わせて、独自の管理ソフ
トで各社のシステムを実現しているようである。
但し、人体のセンシングには安全性を考えた無線通信方式の標準化が進められている。
(BAN)
- 44 -
図 3.4.3 米国におけるセンターネットワークの利用状況
- 45 -
[5]
3.5 技術標準化動向
3.5.1 医療情報データフォーマット関連標準化動向
本項では医療情報のデータフォーマット関連の標準化動向についてまとめた。
ヘルスケア領域での代表的な標準として、以下の3つが挙げられるであろう。文字情報データ
交換標準 HL7、医用画像と通信の標準規格 DICOM、医用波形標準化記述規 MFER である。
(1) HL7
HL7 標準とは、医療情報交換のための標準規約で、患者管理、オーダ、照会、財務、検査報告、
マスタファイル、情報管理、予約、患者紹介、患者ケア、ラボラトリオートメーション、アプリ
ケーション管理、人事管理などの情報交換を取り扱う。特定の部門やシステムに特化したもので
なく、施設間・システム間での臨床情報や管理情報を扱う、ヘルスケア領域でのデータ交換標準
である。HL7 は Health Level Seven の略で、「医療情報システム間の ISO-OSI 第7層アプリケー
ション層」に由来している。米国の HL7 協会本部では数多くの技術委員会を組織し、新しい標準
の研究・作成を行っており、会員(米国及び国際支部国)の承認後発行される。日本においても
大学病院などのシステム化や各種の標準化活動において本標準が採用されている。
図 3.5.1 HL7の構造イメージ
[6]
HL7 の組織は、
本部は米国ミシガン州にある ANSI 認可ヘルスケア分野の標準化機関のひとつで、
非営利団体である。会員には医療機関、コンピュータ会社、医療関連会社、コンサルタント会社
などと多岐に亘る。企業会員はヘルスケアシステムベンダが中心となっている。会員数は増加傾
向で、1500 を越える会員数で構成されている。以下に組織図を示す。
- 46 -
図3.5.2 HL7の組織図 [6]
約 20 の支部が各国に設置されており、日本には日本 HL7 協会[6]が、1998 年 7 月に日本医療情
報学会および保健医療福祉情報システム工業会(JAHIS)の主要メンバーが中心となり設立されて
いる。事務局は JAHIS 内に置かれている。2007 年 4 月時点、104 社が加入しており、会員種別は
事業法人会員、ユーザ法人会員、個人会員、学生会員の 4 種類となっている。
(2) DICOM 標準
DICOM(ダイコムと発音)とは、Digital Imaging and COmmunication in Medicine の略で、米
国放射線学会(ACR)と北米電子機器工業会(NEMA)が開発した医用画像と通信の標準規格である。
上位層サービスのみを定義しており、診断画像の医用画像診断装置と関連機器との通信が適用範
囲とされている。医療におけるデジタル画像と通信における、データ構造、符号化、媒体交換の
ための保存とファイルフォーマット、セキュリティプロファイルなどを定めている。
- 47 -
図 3.5.3 DICOM 規格の構成 [7]
DICOM 規格としては、米国電子機器工業会(NEMA)より発行されており、欧州では European
Committee for Standardization(CEN)が DICOM 規格をそのまま採用している。日本では日本画
像医療システム工業会(JIRA)が医用画像システム部会の中に DICOM 委員会を設置し、日本語サ
ポートを追加した DICOM 規格の普及促進、実装上の課題への対応等にも貢献している。1993 年に
現在の形の基本が完成し、画像や画像検査に関わる交換規約としては主要な標準となっているが、
複雑で理解されにくいという側面もあるようだ。(本節は[15]を参考に執筆)
(3) MFER
MFER(Medical waveform Format Encoding Rule)は、心電図、脳波、呼吸波形など医用波形を
相互利用するための、医用波形標準化記述規約のことである。医用波形は、先述の HL7 や DICOM
- 48 -
などでも記述できるが、医用波形のみに特化し、他のシステムとの協調を容易に行うために標準
化されている。HL7 や DICOM 等、他の規格との協調も視野に入れて開発されてきた。MFER は、デ
ジタル化された医用波形とその配列を説明するヘッダで構成されており、符号化ルールによりデ
ータが記述される。
図 3.5.4 MFER のデータ記述例
[8]
標準化に関しては、IS&C 委員会の中で電子保存を目的に取り組みが開始され、その後ネットワー
ク化に対応したデータ交換の実現が進められた。2002 年に日本心電学会で、MFER 委員会がオープ
ンコンソーシアム形式で発足され、ISO 化も視野に入れた活動が進められる。規格作成、仕様の
充実、普及促進、適合性などの検証などの活動を行い、MFER 医用波形記述規約が、IS0/TC125 Health
Informatice の TS11073-92001 に盛り込まれ、2007 年 8 月に ISO 規格として発行された。
(本節は[8]を参考に執筆)
従来はメーカー毎に異なるデータ記述方式を採用し、互換性が無く、新しいシステムへのデー
タの継承すらも困難であったが、これらのデータフォーマット標準の普及により、病院内・病院
間のデータ相互利用が促進されるだけでなく、患者の生涯にわたった診療情報が活用できる可能
性が広がる。
3.5.2 ユビキタスネットワーク関連標準化動向
本節では、医療で利用されるユビキタスネットワーク関連の技術として、電子タグ技術、医療関
- 49 -
係無線ネットワーク技術、ZigBee、BAN(Body Area Network)の標準化動向を紹介する。
(1) 電子タグ技術標準化動向
医療 ICT の電子タグとして RFID(Radio Frequency Identification)のアクティブタグ(内蔵
電池のエネルギーで自ら動作。交信距離は数m~数10m)が注目されている。RFID は ISO/IEC
SC31(技術的な標準化)
、ISO TC122/104JWG (SMC 標準化)、EPCglobal (RFID の国際
標準化の推進)で国際標準化が進められている。
医療用途に関連する RFID の標準化動向は、ハードやソフトなど技術面ではなくコードなどア
プリケーション面での標準化となると思われる。
ISO TC104/122 の日本窓口は JAISA(社団法人自動認識システム協会)の「物品識別標準化委
員会」である。JAISA の中には「技術委員会 医療自動認識委員会」の下で医薬品・医療材料で
のバーコードの普及・啓蒙は行われているが、RFID に関しては具体的な話は出ていない。一方
EPCglobal は、日本窓口である「財団法人 流通システム開発センター」のホームページから、
医療用途のバーコードの標準化が記載されており(欧州では EUROHCS(欧州病院・診療所サプ
ライ連合会)や EUCOMED(欧州医療機器 メーカー同盟)が GS1-128 表示を標準と制定し、
GS1-128 は世界のヘルスケア業界の標準バーコードとなっている [9])、医療用 IC タグの利用に
関しては緊急課題との記載のみとなっている。
2項のアプリケーションでは電子タグを活用した医療 ICT のアプリケーションが記載されてい
るが、現在は上記のようにバーコードが主流で、医療用途の電子タグ RFID の標準化は今後進め
られていく分野と予想される。
現在 RFID が活用されているセンサーネットワークは、メーカー個別方式で RFID が使用され
ているようである。
(2) 医療関係無線ネットワーク技術標準化動向
近距離無線通信技術である無線PANは、10mから20m以内のパーソナルなエリアをカバ
ーする無線網であり、ZigBee、Bluetooth、UWB(Ultra WideBand)などの通信方式が使用さ
れる(下表参照)
。
一般的にセンサーネットは伝達する情報量は尐ないが、
「ユビキタス健康医療」においては、人
のバイタル情報等大容量のデータ伝送が想定されることから、大容量のデータ伝送が可能なUW
Bへの期待も高い。
なお、
「ユビキタス健康医療」における無線PANに求められる特徴として、以下の項目が挙げ
られる。
1) 安全性: 誤動作、相互干渉への対策
2) 通信の信頼性向上: アドホックネットによる迂回ルートの自律的な構築
3) スケーラビリティ(拡張性)
: センサーノードの追加(種類、数量)への柔軟な対応
4) ローコスト、簡易設置: 既設施設への簡単な設置
- 50 -
図 3.5.5 医療関連の無線技術の比較 [2]
(3) ZigBee の標準化動向
1) ZigBee とは
ZigBee は短距離無線通信規格の一つで、他の短距離無線よりも低速で伝送距離が短いが、省電
力で低コストという利点がある。 主にセンサ等と組み合わせて無線でコントロール可能なネッ
トワークの構築に利用することが想定されており、家庭の照明などの制御やホームセキュリティ、
ビル管理等への応用が検討されている。
主な仕様は以下の通り。
①データ転送速度:最大 250kbps
②通信距離:屋内 30m 程度/屋外 70m 程度
③省電力: 60mW 以下、乾電池 1 本で半年から 1 年の連続駆動
④周波数: 2.4GHz (16 チャンネルに分割)
⑤ネットワーク: 最大 64,000 個の機器、各端末にルーティング機能あり
2) ZigBee の標準化
ZigBee の検討は ZigBee Alliance で行われている。図 3.5.6 に ZigBee Alliance の標準化フレ
ームワークを示す。ZigBee Alliance が新たに開発する標準は OSI レイヤ3(ネットワーク層)
以上の規格で、物理層と MAC 層には IEEE 802.15.4 が採用されている。ZigBee のネットワーク
- 51 -
層はルーチングやセキュリティ等の ZigBee ネットワーク構築に必要な機能の規格である。アプリ
ケーション層は ZigBee を利用するアプリケーション毎のプロファイルを策定する。日本国内では
有限責任中間法人 ZigBee SIG ジャパン(ZigBee SIG-J)が普及・啓蒙活動を行っている。
以下に各団体の概要を示す。
① ZigBee Alliance
(1) 2002 年設立、設立メンバー: BM Group, Ember, Free scale, Honeywell, Motorola, 三
菱電機, Philips, Samsung、全 159 社
(2) NW レイヤの仕様と Profile (API)を標準化
(3) 目的別プロファイル(例:照明機器用の「Lighting」
)
(4) 仕様は会員のみ入手可能(一部一般公開?)
② IEEE 802.15 TG4
(1) 物理層、MAC 層は IEEE 802.15.4
(2) 周波数: 2.4GHz, 868MHz, 9115MHz 帯(日本では 2.4GHz 帯のみ)
③ ZigBee SIG(Special Interest Group)ジャパン
2005 年設立、NPO、創設メンバー: 沖電気工業、OTSL、新光電気工業、Chipcon AS ジ
ャパン、日本電気エンジニアリング、フリースケール・セミコンダクタ・ジャパン、三菱電
機、村田製作所、山武、ルネサス テクノロジの 10 社。
3) ZegBee Alliance のアプリケーションプロファイル
ZigBee Alliance では、適用するアプリケーションとして、家電、エネルギー管理と効率化、ヘ
ルスケア、ホーム管理、ビル管理、工場管理をスコープとしてきた。例えば以下のような利用分
野が検討されている
①Energy Management and Efficiency
・電気、ガス会社などの安全管理、計測、など
②Home Automation
・電気、空調などの遠隔制御・管理
・省エネ(センサでエネルギー使用抑制)
・防犯・防災
③Building Automation
・電気、空調などの遠隔制御・管理
・省エネ
・防犯・防災
④Industrial Automation
・製造ライン、処理装置などの管理
・資産管理
・省エネ
・ラインの効率管理、自動データ取得
ヘルスケアアプリケーション向けの規定は、緊急性や精密性を要しない慢性的な疾病に関する
モニタや管理を行うことを想定した、セキュアで信頼性の高い相互接続可能な無線デバイスの国
際標準化をスコープとしている。家庭、スポーツセンタ、養護ホームなどでの利用と、消費者、
サービスプロバイダ、介護者、製品メーカー、政策決定者などの幅広いユーザを想定している。
- 52 -
図 3.5.6 ZigBee 標準化のフレームワーク [10]
(4) BAN (Body Area Network)の標準化動向
生体を媒体として通信を行う BAN(Body Area Network)の研究か進められている。BAN は、
複数通信端末が存在する状況で握手をした相手のみとの通信を可能としたり、ID カードを身に着
けていればドアノブを握るだけで開錠できたり等の新しいサービスを提供できる無線技術として
注目されている。
近年、BAN により、ペースメーカー、カプセル型内視鏡等、体内に埋め込まれている医療機器
からデータを収集したり、身に着けている各種医療機器を連携させ障害者支援したりと、情報通
信技術(ICT)と先端医療とを融合させた新たな医療 ICT の研究が活発化してきている。
IEEE802 標準化委員会においても、近距離無線通信(WPAN)を扱う 802.15 にて TG15.6 と
して Medical Wireless BAN(802.15.6)の標準化活動が進められている。802.15.6 は 2006 年 1
月に BAN-SG として活動を開始し、2007 年 11 月に TG15.6 に昇格した。 802.15.6 では、アプ
リケーション、法規制、チャネルモデル、技術要求条件等を検討している。身に着けている機器
間の通信としてのウエアラブル BAN と、体内医療機器との通信を行うインプラント BAN の2つ
のモデルが検討されている。
国内では、医療 ICT の本格化に必要な技術的課題、法制上の課題、標準化の課題に関し、NICT、
横浜国大を中心に研究が進められている。
インプラント BAN の関連技術として、米連邦通信委員会(FCC)にて MICS(Medical Implant
- 53 -
Communications System)が定義されている。400MHz 帯を使用した超小電力形の無線通信で、
体内のペースメーカーと外部のプログラマとの通信を主要アプリとしている。FCC では周波数、
帯域幅、送信電力、等の物理レベルの規定までとし、上位の通信プロトコル等はメーカー毎に独
自で実装しており、標準化の動きは無い模様。
欧州電気通信規格研究所(ETSI)でも同様の規格が規定されている(らしい?)。
国内でも特定小電力無線の範疇に“体内植込型医療用データ伝送”の規定があり、MICS に準
拠した検討が進められている。
以下に、平成 17 年 2 月 28 日付の情報通信審議会からの答申の概要を転記する。 (本節は[11]
を参考に執筆)
1) 「体内植込型医療用データ伝送システムの技術的条件」の答申概要
①システム定義
体内植込型医療用データ伝送システムは、体内に植え込まれ、又は一時的に留置された医
療用無線装置(以下「インプラント無線装置」という。
)とインプラント無線装置の制御を行
う外部の医療用無線装置(以下「プログラマ無線装置」という。
)との間で電波を利用して生
体信号及び装置の機能の始動、変更又は終始させることを目的とする信号等のデータ伝送を
行うシステムをいう。
②無線設備の主な技術的条件
無線設備の主な技術的条件
使用周波数
通信方式
電波の型式
占有周波数帯幅
空中線電力
402MHzから405MHzまで (二次業務)
単信方式、単向通信方式又は復信方式
A1D、F1D、G1D
300kHz以下
25μW以下(EIRP)
3.5.3 認証、セキュリティ
医療 ICT によるサービスの核になる EHR や PHR システムで扱う情報は、個人情報のそのも
のであり、認証やセキュリティは、非常に重要になる。その一方で、個人や医療従事者などの利
便性や効率性を損なうことなく、ネットワークやデータベースへのアクセスができるようにする
必要があり、認証や履歴管理、暗号化、電子署名、運用監視などの仕組みの標準化が必要になる。
要求される機能としては、秘匿性(無制限アクセス防止、ウイルス対策、データの保管)
、完全
性(情報改ざん破壊防止)
、可用性(サービス停止防止)、真正性(なりすまし防止)、責任追跡性
(証拠の確保)
、信頼性(品質・安全)を確保する技術であり、認証技術としては電子認証技術、
電子署名技術が上げられ、セキュリティ面からは、手書き入力と情報転写のための機密管理、保
存と情報伝送の機密管理技術、データベースへのアクセス権技術等が上げられる。
認証やセキュリティの標準化は次のような団体で進められている。
・
ISO
ISOTC215 のなかに8つのワーキンググループがあり、そのなかの WG4 が認証やセキ
ュリティ関係の標準を担当している。
・
CEN(The European Committee for Standardization)
CENTC251 のワーキンググループ WG-4 で、安全と品質、セキュリティ管理に関係す
- 54 -
るガイドライン、では主にヘルスケア通信のためのセキュリティ、説明責任、信頼性の
確保などに関する規格作成を実施している。
・
HL7(Health Level Seven)
医療情報システム間における情報交換のための、国際的標準規約の作成をしており、
DICOM と連携し、EHR や PHR といったコア部分の標準を作成し、ANSI から ISO へ
展開を図っている。その関係で、患者管理、オーダ、照会、財務、検査報告、マスタフ
ァイル、情報管理、予約、患者紹介、患者ケア、ラボラトリオートメーション、アプリ
ケーション管理、人事管理などの医療に関するほとんど全ての情報を扱うため、認証や
セキュリティの標準を検討するワーキンググループ(Security)がある。
・
DICOM(Digital Imaging and COmmunication in Medicine)
医用画像や画像検査情報を扱う医用画像機器間の通信プロトコルを定義した標準規格を
作成しており、HL7 と連携し ANSI や ISO の標準化へ積極的に寄与している。26の
ワーキングがあり、その中の WG-14 でセキュリティ関係の規格を作成している。ただ
し WG-14 は作業が殆ど完了しているため現在活動は活発ではない。
・
ASTM(American Society for Testing and Materials)
主に工業材料規格と試験法規格を作成しているこの団体。認証やセキュリティ関係では
主に、電子認証、電子署名、手書き入力と情報転写のための機密管理、保存と情報伝送
の機密管理、データベースへのアクセス権技に関する規格作成を実施している。
・
AENOR(Spanish Association for Standardisation and Certification)
スペインの標準化団体であるこの団体では認証やセキュリティ関係では主にソフトウェ
ア関係の安全性やセキュリティ、品質に関する規格作成を実施している。
- 55 -
3.6 おわりに
近年、eHealth の様な ICT を活用したソリューションの構築にはネットワーク技術が欠かせな
くなってきている。しかし、医療 ICT においても、ネットワーク技術に関しては一部の無線方式
等(BAN、救急無線等)を除き医療専用の技術標準化は行われておらず、一般に利用されている
ネットワーク技術がそのまま利用されることが多い。一方、データフォーマット等のアプリケー
ション領域では医療 ICT 向けの標準化が行われている事が判った。これは、ブロードバンドおよ
び無線ネットワークが一般化し、社会生活のインフラとして定着した事が一因と考えられる。こ
の様な ICT を活用したソリューション分野において ICT 標準化活動が貢献できる可能性のある領
域は、以下の 3 つが有ると考えられる。
領域1:アプリケーションレイヤ
医療アプリケーションが下位レイヤのネットワークを利用する際に必要となる、アプリケー
ション毎の差異を吸収するためのミドルウェア層(API、アプリケーションプロファイル等)
の標準化が考えられる。
領域2:医療用マルチメディア通信技術
医療 ICT が民間に広がるにつれて、例えばハイビジョン TV を利用したヘルスケアサービス
などの新たな要求が考えられる。広範なヘルスケア関連機器間のマルチメディア通信に必要
な画像圧縮技術、通信品質管理技術などの標準化が考えられる。
領域3:医療用通信プロトコル
今回の調査では必要性が明確になっていないが、医療 ICT の利用が進むに従って、ネットワ
ークへの要求条件が発生する可能性がある。たとえば、地域医療や病院内等におけるネット
ワークデバイドの解消策、誰でも容易にネットワークが利用できる医療用ヒューマンインタ
フェースなどが考えられる。
昨今の経済・社会事情を踏まえた各国政府の施策は、医療 ICT はグリーン ICT に次ぎ注力すべき
領域として取り上げられている。引き続き技術の進展と標準化の可能性をウォッチしてゆくべき
分野である。
【引用文献】
[1]
Maheu et al. (2001). “E-Health, Telehealth, and Telemedicine”, Jossey-Bass Inc., ISBN
0-7879-4420-3, pp1- 6.
[2]
総務省 (2006) 「医療分野におけるICTの利活用に関する検討会」報告書, 平成 18 年 4 月
18 日発表. (http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/2006/060418_1.html)
[3]
田中健司 (2002)「欧米における eHealth ビジネスの進展」, 『損保ジャパン総研クウォー
タリー Vol.40』, (株) 損保ジャパン総合研究所, 2002 年 5 月 31 日.
(http://www.sj-ri.co.jp/issue/quarterly/data/qt40-1.pdf)
[4]
NICT ホームページ、
「医療・健康分野への ICT 利用~より豊かな社会を目指して~」
http://www.nict.go.jp/publication/NICT-News/0609/research/02.html
[5]
田中博 (2007) 「ユビキタス医療 IT の現状と将来」, 第1回ユビキタス健康医療シンポジ
ウムキーノートスピーチ, 東京医科歯科大学情報医科学センター、 2007 年 3 月 9 日.
- 56 -
(http://www.scat.or.jp/mediubi/doc/02_tanaka.pdf)
[6]
日本 HL7 協会ホームページ,「HL7 入門」, (http://www.hl7.jp/)
[7]
(社)日本画像医療システム工業会ホームページ,「DICOM 規格 Part.1」,
(http://www.jira-net.or.jp/commission/system/fr_information_03-02.html)
(ftp://medical.nema.org/medical/Dicom/2008/08_01pu.pdf)
[8]
MFER 委員会ホームページ (http://ecg2.heart.or.jp/ikiw/),
「IT 時代の医用波形標準化の役割」(http://ecg.heart.or.jp/Jp/docs/041126paper)
[9]
財団法人流通システム開発センターホームページ, 「医療材料 GS1-128 システム」
(http://www.dsri.jp/baredi/gs1_128_medical.htm)
[10] ZigBee SIG ジャパンホームページ (http://www.zbsigj.org/outline.htm)
[11] http://www.soumu.go.jp/s-news/2005/050228_1.html#b1
[12] eEurope, An Information Society For All, Communication on a Commission Initiative for
the Special European Council of Lisbon, 23 and 24 March 2000
[13] 総務省電波利用ホームページ, (http://www.tele.soumu.go.jp/j/system/index.htm)
[14] 平成 20 年防災白書,
(http://www.bousai.go.jp/hakusho/h20/bousai2008/html/honbun/index.htm)
[15] 社団法人日本画像医療システム工業会, 「DICOM の世界」,
(http://www.jira-net.or.jp/dicom/index.html)
※URL は 2009 年 3 月現在。
【参考資料】
[1] 厚生労働省「保健医療分野の情報化にむけてのグランドデザイン」2001 年
[2] 内閣官房 IT 戦略本部「e-Japan戦略Ⅱ」2003 年
[3] 経済産業省 省令など
「診療録等の保存を行う場所について:病院以外、紙以外も容認」
「情報通信機器を用いた診療:遠隔治療の対象明示」
「診療情報に関する提供等に関するガイドライン:患者に対する診療情報提供基準」
「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」
「保健福祉分野のPKI認証局証明書ポリシ:セキュリティ」
[4] 内閣官房 IT 担当室「IT 政策ロードマップ」 平成 20 年 6 月
- 57 -
4. まとめ
ご高覧のように今年度のフォーラム活動調査の結果は、対象フォーラム数が 116、そのうち新
規調査対象フォーラム数が 13、活動終了や他フォーラムとの合併などで調査対象から外したフォ
ーラム数が 6 となった。この 116 フォーラムにつき第2章で分析を行った。
第 2 章の分析結果からは、まずデファクト標準化や実装仕様化・相互接続性検証を主な活動目
的とするフォーラムの増加が報告されている。フォーラム活動の活用目的が最近は定着している
ようであると共に、デジュール系活動との協調も良好に行われているように見える。
分野別の分析結果で増加が伝えられているホームネットワーク関連は、2005 年に本報告書でト
ピックス調査した分野でもある。Linux 関連は収束してきたが、Symbian やアンドロイドなどの
小型携帯機器用共通プラットフォーム関連の動きは相変わらず強い。同じく昨年採りあげたカー
コミュニケーション関連でもある ITS 関連は、特定フォーラム作りはなく、既存フォーラム内の
活動拡大というレベルで済ませているようである。
今後の新規ビジネス展開としては、かつて言われていたように、社会インフラや企業を対象と
する分野から、個人に向かう傾向が更に強まっているようである。多くの人に共通品を使っても
らう傾向から個人別ではあるが身近で常に使ってもらうという志向で適用分野を増やすこと、す
なわちパソコンから携帯電話、スマートフォンという機器レベルの動き、アプリケーション分野
はメール、Web 参照のインターネットから音楽・映像ダウンロード、そして更に裾野が広がる健
康管理分野へという傾向が見えるようだ。
これが良く窺えるのが Continua Health Alliance を取り巻く企業の動向である。多くの企業が
それぞれの得意分野で健康管理を主題としたアプリケーションを、この団体が決める規格をベー
スに開発を進めている。3 章で報告しているが、ここで注目すべきは、この団体が規定する標準
規格が、ISO/IEEE が医療分野の標準化を目的に策定した規格であることだ。医療用といったい
わば専門家集団が集まって策定した規格を、Continua Health Alliance メンバーである一般消費
者市場で活動する各社が、それぞれの得意分野でこの規格をベースに新しい事業展開を進めてい
る。
3 章の報告によれば、医療分野で策定や利用している規格は、その適用分野やレベルに応じて各
種の標準規格を独自に策定、あるいは、他の標準化分野から導入が行われている。TTC の会員の
多くが関わる ICT を中心とした分野でなじみのある標準規格が医療分野でも活用されている。こ
のように標準規格の異分野間での相互乗り入れは、往々にしてある異分野での類似規格の重複策
定とは異なり、極めて望ましい現象と考えられる。ICT 分野における低位レイヤーの標準は汎用
性の高いものであるが、医療分野のものは必ずしもそうではないケースが多いだろう。
TTC が国際標準化で関わっているアジア太平洋情報通信共同体標準化プログラム(ASTAP)で
策定された緊急通信方式も、広い意味で医療分野といえよう。また TTC のもう一つの標準化事業
である普及推進委員会でもデジタルデバイド解消策の一環として、ICT の医療への応用を検討し
ている。日本や米国でも昨今の大不況下における景気刺激策の一つとして医療分野への投資がう
たわれており、オバマ大統領は Health Record の電子化に 190 億ドルを投じるとされている。
。
高精細な画像情報や Health Record を高品位、高セキュリティをもって伝達する技術やそれを汎
用性の高い手法で共有する手段など ICT の医療への応用分野やニーズは広い。
今回の医療分野における ICT 関連の標準化動向のトピックス報告は当報告書作成 メンバーが
- 58 -
昨年のカーコミュニケーションに勝るとも劣らぬ時間と労力を注いだ結果であり、読者各位のご
意見を是非とも伺いたいところである。
本報告書は第 13 版より TTC のホームページ(http://www.ttc.or.jp/j/forum/index.html)のみ
への掲載で皆様にお届けしており、複雑化した図表のカラー化による視認性向上や関連 Web サイ
トへのハイパーリンク埋め込みにより利便性が向上している。
TTC 外でこの報告書を評価、活用される方も含め、皆様方の忌憚のないご意見をいただきなが
ら、今後も一層内容の充実を図っていく所存である。(コメント送付先
E-mail :
[email protected])
以上
- 59 -
資
料
- 60 -
フォーラム一覧
#
略称
フォーラム名
目的
分野
URL
1
1394TA
1394 Trade Association
実装仕様化・
相互接続性検証
情報技術
(コンピュータ関連)
http://www.1394ta.org/
2
ATIS IIF
ATIS IPTV Interoperability Forum
実装仕様化・
相互接続性検証
サービス
(インターネット関連)
http://www.atis.org/iif/index.asp
3
Bluetooth
Bluetooth
デファクト標準化
情報技術
(LAN 関連)
http://www.bluetooth.com/
4
Braodband
Forum
Broadband Forum (旧名称:DSL Forum)
実装仕様化・
相互接続性検証
情報通信
(加入者系)
http://www.broadband-forum.org/
5
BSF
Broadband Services Forum
デファクト標準化
サービス
(マルチメディア関連)
http://www.broadbandservicesforum.org/
6
Business Grid
ビジネスグリッド推進コンソーシアム
実装仕様化・
相互接続性検証
情報技術
(コンピュータ関連)
http://businessgrid.ipa.go.jp/consortium/
7
DOCSIS
Cable Modem Project
デファクト標準化
情報通信
(加入者系)
http://www.cablemodem.com/
8
CDG
CDMA Development Group
その他
情報通信
(移動体通信)
http://www.cdg.org/
9
CELF
The Consumer Electronics Linux Forum
実装仕様化・
相互接続性検証
情報技術
(ソフトウエア関連)
http://www.celinuxforum.org
10
CEPCA
Consumer Electronics Powerline Communication Alliance
デファクト標準化
情報技術
(LAN 関連)
http://www.cepca.org/home
11
CommerceNet
CommerceNet
その他
サービス
(EC 関連)
http://www.commerce.net/
12
Continua
Health Alliance
Continua Health Alliance
実装仕様化・
相互接続性検証
サービス
(宅内情報家電関連)
http://www.continuaalliance.org
13
CP-TA
The Communications Platforms Trade Association
実装仕様化・
相互接続性検証
情報通信
(インフラ系)
http://www.cp-ta.org/home
14
DCIA
Distributed Computing Industry Association
デファクト標準化
情報技術
(コンピュータ関連)
http://www.dcia.info/
- 61 -
15
DECT Forum
DECT Forum
プリ標準化
情報通信
(移動体通信)
http://www.dect.org/
16
DLNA
Digital Living Network Alliance
実装仕様化・
相互接続性検証
サービス
(宅内情報家電関連)
http://www.dlna.org/home
17
DSL Testing
Consortium
DSL Testing Consortium
実装仕様化・
相互接続性検証
情報通信
(加入者系)
http://www.iol.unh.edu/services/testing/dsl/
18
ECHONET
ECHONET Consortium
デファクト標準化
サービス
(宅内情報家電関連)
http://www.echonet.gr.jp/
19
ECOM
Next generation Electronic Commerce Promotion Council of
Japan
その他
サービス
(EC 関連)
http://www.ecom.jp/
20
EDIFICE
EDI Forum for Companies with Interest in Computing and
Electronics
実装仕様化・
相互接続性検証
サービス
(EC 関連)
http://www.edifice.org/
21
EIDX
Electronic Industry Data Exchange Group
実装仕様化・
相互接続性検証
サービス
(EC 関連)
http://eidx.comptia.org/
22
EMF
European Multimedia Forum
その他
サービス
(マルチメディア関連)
http://www.e-multimedia.org/
23
ENUM
ENUM Forum
実装仕様化・
相互接続性検証
情報通信
(インフラ系)
http://www.enumf.org/home.html
24
EPCglobal
EPC (Electoronic Product Code) global Inc
デファクト標準化
サービス
(EC 関連)
http://www.epcglobalinc.org/
25
ERTICO
The organization for intelligent transport system in Europe
その他
サービス
(ITS 関連)
http://www.ertico.com/
26
Ethernet
Alliance
Ethernet Alliance
実装仕様化・
相互接続性検証
情報技術
(LAN 関連)
http://www.ethernetalliance.org/home
27
FCIA
Fibre Channel Industry Association
プリ標準化
情報技術
(LAN 関連)
http://www.fibrechannel.org/
28
Femto Forum
The Femto Forum
実装仕様化・
相互接続性検証
情報通信
(移動体通信)
http://www.femtoforum.org/
29
FLO
FLO Forum
プリ標準化
情報通信
(移動体通信)
http://www.floforum.org/
30
FSAN
Full Service Access Network
プリ標準化
情報通信
(インフラ系)
http://www.fsanweb.org/
- 62 -
31
GlobalPlatform
Global Platform, Inc
デファクト標準化
サービス
(EC 関連)
http://www.globalplatform.org/
32
GSA
The Global Mobile Supplier's Association
その他
情報通信
(移動体通信)
http://www.gsacom.com/
33
GSMA
Global System for Mobile Communication Association
その他
情報通信
(移動体通信)
http://www.gsmworld.com/
34
HD-PLC
HD-PLC Alliance
その他
情報技術
(LAN 関連)
http://www.hd-plc.org/
35
HomeGrid
Forum
HomeGrid Forum
プリ標準化
情報技術
(LAN 関連)
http://www.homegridforum.org/
36
HomePNA
Home Phoneline Networking Alliance
デファクト標準化
サービス
(宅内情報家電関連)
http://www.homepna.org/
37
HPA
Homeplug Power Alliance
デファクト標準化
情報技術
(LAN 関連)
http://www.homeplug.org/home
38
ICANN
Internet Corporation for Assigned Names and Numbers
その他
サービス
(インターネット関連)
http://www.icann.org/
39
ICF
Information Card Foundation
デファクト標準化
サービス
(インターネット関連)
http://informationcard.net/
40
ICTFSS
次世代安心・安全ICTフォーラム
その他
情報通信
(インフラ系)
http://www.scat.or.jp/ictfss/index.html
41
IDF
The International DOI Foundation
実装仕様化・
相互接続性検証
サービス
(マルチメディア関連)
http://www.doi.org/
42
IIC
インターネット ITS 協議会
デファクト標準化
サービス
(ITS 関連)
http://www.internetits.org/ja/top.html
43
IMS Forum
IMS Forum
実装仕様化・
相互接続性検証
情報通信
(インフラ系)
http://www.imsforum.org/
44
IMTC
International Multimedia Telecommunications Consortium
実装仕様化・
相互接続性検証
サービス
(マルチメディア関連)
http://www.imtc.org/
45
IP/MPLS
Forum
IP/MPLS Forum
実装仕様化・
相互接続性検証
情報通信
(インフラ系)
http://www.ipmplsforum.org/
46
IPTVFJ
IPTV Forum Japan
実装仕様化・
相互接続性検証
サービス
(マルチメディア関連)
http://www.iptvforum.jp/index.html
- 63 -
47
IPv6
IPv6 Forum
その他
情報通信
(インフラ系)
http://www.ipv6forum.com/
48
IrDA
The Infrared Data Association
デファクト標準化
情報技術
(コンピュータ関連)
http://www.irda.org/
49
ISOC
Internet Society
デファクト標準化
サービス
(インターネット関連)
http://www.isoc.org/
50
ITS America
The Intelligent Transportation Society of America
その他
サービス
(ITS 関連)
http://www.itsa.org/
51
ITS Forum
ITS Info-communications Forum
その他
サービス
(ITS 関連)
http://www.itsforum.gr.jp/
52
JAISA/BSC
Committee
Japan Automatic Identification System Association/BSC
Committee
その他
サービス
(インターネット関連)
http://www.bsc-japan.com/
53
JEPPO
Japan Electronic Payment Promotion Organization
その他
サービス
(EC 関連)
http://www.jeppo.gr.jp/
54
JICSAP
Japan Ic Card System Application council
その他
サービス
(EC 関連)
http://www.jicsap.com/
55
Liberty
Alliance
Liberty Alliance Project
実装仕様化・
相互接続性検証
サービス
(インターネット関連)
http://www.projectliberty.org/
56
LiMo
Linux Mobile Foundation
実装仕様化・
相互接続性検証
情報技術
(ソフトウェア関連)
http://www.limofoundation.org/
57
LONMARK
LonMark International
実装仕様化・
相互接続性検証
情報技術
(LAN 関連)
http://www.lonmark.org/
58
Marlin
Marlin-DRM Users Forum Japan
その他
サービス
(インターネット関連)
http://www.marlinusers-japan.org/index.html
59
MBA
Mobile Broadband Association
実装仕様化・
相互接続性検証
サービス
(インターネット関連)
http://www.mobile-broadband.org/
60
MCPC
Mobile Computing Promotion Consortium
実装仕様化・
相互接続性検証
情報通信
(移動体通信)
http://www.mcpc-jp.org/
61
MEF
Metro Ethernet Forum
実装仕様化・
相互接続性検証
情報通信
(インフラ系)
http://www.metroethernetforum.org/
62
mITF
Mobile IT Forum
その他
情報通信
(移動体通信)
http://www.mitf.org/
- 64 -
実装仕様化・
相互接続性検証
情報通信
(加入者系)
http://www.mocalliance.org/
MPEG Industry Forum
その他
サービス
(マルチメディア関連)
http://www.m4if.org/ OR
http://www.mpegif.org/
MSF
MultiService forum
実装仕様化・
相互接続性検証
情報通信
(インフラ系)
http://www.msforum.org/
66
NFC Forum
The Near Field Communication Forum
実装仕様化・
相互接続性検証
サービス
(EC 関連)
http://www.nfc-forum.org/home
67
NGMN
Next Generation Mobile Networks Alliance
プリ標準化
情報技術
(移動体通信)
http://www.ngmn.org/
68
OASIS
Organization for the Advancement of Structured Information
Standards
その他
サービス
(EC 関連)
http://www.oasis-open.org/home/
69
ODF
Alliance
Open Document Format Alliance
その他
情報技術
(ソフトウエア関連)
http://www.odfalliance.org/
70
OGC
Open Geospatial Consortium,Inc
実装仕様化・
相互接続性検証
サービス
(マルチメディア関連)
71
OGF
Open Grid Forum
実装仕様化・
相互接続性検証
情報技術
(ソフトウエア関連)
http://www.ogf.org/
72
OHA
Open Handset Alliance
デファクト標準化
情報技術
(ソフトウェア関連)
http://www.openhandsetalliance.com/
73
OIDF
Open ID Foundation
デファクト標準化
サービス
(インターネット関連)
http://openid.net/foundation/
74
OIF
Optical Internetworking Forum
デファクト標準化
情報通信
(インフラ系)
http://www.oiforum.com/
75
OMA
Open Mobile Alliance
実装仕様化・
相互接続性検証
情報通信
(移動体通信)
http://www.openmobilealliance.org/
76
OMG
Object Management Group
プリ標準化
情報技術
(ソフトウエア関連)
http://www.omg.org/
77
Open IPTV
Forum
Open IPTV Forum
実装仕様化・
相互接続性検証
サービス
(マルチメディア関連)
http://www.openiptvforum.org/index.html
78
OpenSAF
Open Service Availability Framework
実装仕様化・
相互接続性検証
情報技術
(ソフトウエア関連)
http://www.opensaf.org/
63
MoCA
Multimedia
64
MPEGIF
65
over Coax
Alliance
- 65 -
http://www.opengeospatial.org/
79
OSGi
OSGi Alliance
デファクト標準化
情報技術
(LAN 関連)
http://www.osgi.org/Main/HomePage
80
PCCA
Portable Computer and Communications Association
デファクト標準化
情報技術
(コンピュータ関連)
http://www.pcca.org/
81
PCISIG
The Peripheral Component Interconnect Special Interest
Group
デファクト標準化
情報技術
(コンピュータ関連)
http://www.pcisig.com/
82
PCMCIA
Personal Computer Memory Card International Association
プリ標準化
情報技術
(コンピュータ関連)
http://www.pcmcia.org/
83
PHS MoU
Personal Handyphone System MoU Group
その他
情報通信
(移動体通信)
http://www.phsmou.org/
84
PICMG
PCI Industrial Computer Manufacturers Group
デファクト標準化
情報技術
(コンピュータ関連)
http://www.picmg.org/
85
POF
Plastic Optical Fiber Consortium
その他
情報技術
(LAN 関連)
http://www.pof-con.org
86
PUCC
P2P(Peer to Peer) Universal Computing Consortium
その他
情報通信
(インフラ系)
http://www.pucc.jp/PUCC/ToIndex.action
87
SA Forum
Service Availability Forum
その他
情報技術
(ソフトウエア関連)
http://www.saforum.org/
88
SCA
Smart Card Alliance
その他
サービス
(EC 関連)
http://www.smartcardalliance.org/
89
SCOPE
Alliance
The SCOPE Alliance
その他
サービス
(マルチメディア関連)
http://www.scope-alliance.org
90
SDR Forum
Software Defined Radio Forum
実装仕様化・
相互接続性検証
情報通信
(移動体通信)
http://www.sdrforum.org/
91
SPIA
Forum on Service Platform for Information Appliances
デファクト標準化
サービス
(宅内情報家電関連)
http://net2.intap.or.jp/SPIA/index.htm
92
STA
Small Computer System Interface Trade Association
その他
情報技術
(コンピュータ関連)
http://www.scsita.org/
93
Symbian
Foundation
Symbian Foundation
デファクト標準化
情報通信
(移動体通信)
http://www.symbianfoundation.org/
94
T-E
T-Engine
実装仕様化・
相互接続性検証
情報技術
(コンピュータ関連)
http://www.t-engine.org/japanese.html
- 66 -
95
The Linux
Foundation
The Linux Foundation
実装仕様化・
相互接続性検証
情報技術
(ソフトウエア関連)
https://www.linux-foundation.org/en/Main_Page
96
TMForum
TeleManagement Forum
プリ標準化
情報技術
(ソフトウエア関連)
http://www.tmforum.org/
97
TOG
The Open Group
実装仕様化・
相互接続性検証
情報技術
(ソフトウエア関連)
http://www.opengroup.org/
98
Transfer J
TransferJet Consortium
デファクト標準化
情報技術
(LAN 関連)
http://www.transferjet.org/
99
UbiqNet
Ubiquitous Networking Forum
実装仕様化・
相互接続性検証
情報技術
(ソフトウエア関連)
http://www.ubiquitous-forum.jp/
100
UMTS
Universal Mobile Telecommunications System Forum
実装仕様化・
相互接続性検証
情報通信
(移動体通信)
http://www.umts-forum.org/
101
UOPF
Ubiquitous Open Platform Forum
実装仕様化・
相互接続性検証
サービス
(宅内情報家電関連)
http://www.uopf.org/
102
UPA
Universal Powerline Association
実装仕様化・
相互接続性検証
情報技術
(LAN 関連)
http://www.upaplc.org/page_viewer.asp?category=Home&sid=2
103
UPnP
Universal Plug and Play Forum
実装仕様化・
相互接続性検証
情報技術
(LAN 関連)
http://www.upnp.org
104
USBIF
Universal Serial Bus Implementers Forum , Inc.
デファクト標準化
情報技術
(コンピュータ関連)
http://www.usb.org/
105
VLCC
Visible Light Communication Consortium
プリ標準化
情報通信
(インフラ系)
http://www.vlcc.net/
106
VOIPSA
VoIP Security Alliance
その他
情報通信
(インフラ系)
http://www.voipsa.org/
107
W3C
World Wide Web Consortium
その他
サービス
(インターネット関連)
http://www.w3.org/
108
Web 3D
Web3D Consortium
実装仕様化・
相互接続性検証
情報技術
(ソフトウエア関連)
http://www.web3d.org/
109
WfMC
Workflow Management Coalition
その他
情報技術
(ソフトウエア関連)
http://www.wfmc.org/
110
WHDISIG
Wireless Home Digital Interface Special Interest
Group
デファクト標準化
情報技術
(LAN 関連)
http://www.whdi.org/WHDISIG/
- 67 -
111
WiMAX
Worldwide Interoperability for Microwave Access Forum
実装仕様化・
相互接続性検証
情報通信
(移動体通信)
http://www.wimaxforum.org/
112
WiMedia
WiMedia Alliance
実装仕様化・
相互接続性検証
情報技術
(LAN 関連)
http://www.wimedia.org/en/index.asp
113
WirelessHD
WirelessHD
デファクト標準化
サービス
(宅内情報家電関連)
http://www.wirelesshd.org/
114
WS-I
Web Services Interoperability Organization
実装仕様化・
相互接続性検証
サービス
(インターネット関連)
http://www.ws-i.org/
115
WWRF
The Wireless World Research Forum
その他
情報通信
(移動体通信)
http://www.wireless-world-research.org/
116
ZigBee
ZigBee Alliance
プリ標準化
情報技術
(LAN 関連)
http://www.zigbee.org
- 68 -
情報通信関係の
フォーラム活動に関する調査報告書
(第 15 版)
発行日 2009 年 3 月
発行者 社団法人
情報通信技術委員会
〒105-0011
東京都港区芝公園 1-1-12
電
話:
ファクス:
芝公園電気ビル内
(03)3432-1551
(03)3432-1553
Ⓒ2009 無断転載厳禁
Fly UP