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スイス外国企業誘致局ニュースレター

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スイス外国企業誘致局ニュースレター
スイス外国企業誘致局ニュースレター
2013年12月
「スイス事業投資セミナー」大阪で開催
スイス外国企業誘致局は、10月25日、KPMGあずさ監査法人と共催で
「スイス事業投資セミナー」を大阪で開催した。
10月25日開催
「スイス事業投資セミナー」の様子
今年に入り、欧州の経済情勢が回復基調になったことにより、日本企業の欧
州ビジネスの動きも再活性化をみせている。その際、欧州、及びグローバル
展開を見据えた戦略的な立地としてスイスを活用するケースが増えてきた。
本セミナーは、今後スイスへの投資を検討されている企業、スイス・欧州で
の展開をさらに拡大することを視野に入れている企業向けに、スイス投資に
係る税制、及び欧州統括会社としてのスイスの優位性について紹介した。
同セミナーの要点は、以下の通り。
スイス経済の現況と日系企業の動向(三菱東京UFJ銀行のプレゼンから抜
粋)
·
2013年、通年で1.8%の経済成長を見込む(2012年の1.0%成長か
·
ら、回復傾向)
GDPに占める輸出の割合が35%と高く、海外市場との関係が深い
(日本は10数%程度)輸出が増加。特に北米・南米向けが好調。
·
KPMG スイス
総務パートナー シュテファン・クーン氏
失業率は、2013年の見通しで3.2%、物価は、スイスフラン高から
くるデフレ傾向
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·
ユーロ圏経済も2013年第2四半期に前年比+0.3%と、2011年第3四
半期以来のプラス成長 2014年の見通しは+1.0%
·
日系企業によるM&Aは、スイスでも活発で、英・独・仏に次ぐ4位
·
欧米企業と同様、欧州での統括機能をスイスに移転する動きが活発
化(2003年∼2011年までに、300社以上が本社機能をスイスに新
設・移転。そのうち、5割強が米国企業、3割強が欧州企業)
三菱東京UFJ銀行
デッセルドルフ支店 副支店長
阿倍 勝氏
スイスに事業・研究拠点を置くメリット
· 法人税は、連邦レベル、地方(州)レベルで徴収され、州に
より税率が違う(12∼24%)新設会社、ビジネスの拡大に
·
·
·
·
日東電工株式会社
研究開発本部 研究開発担当部長
藤村 保夫氏
あたり、タックスホリデー(税金猶予)が適用される可能性
も
柔軟性があり、企業ニーズに即した税制度(特定のビジネス
形態、または企業と州・連邦政府との協議によりさらに優遇
される:例/持株会社、ミックスカンパニー、プリンシパル
カンパニーなどの制度)
税務当局との良好な関係がある(設立プロジェクトにより、
税務当局と自由にディスカッションし、税率の取り決めやお
およその納税額を予想することが可能)
日本・スイス租税条約の改正により、日本の親会社への配当
や利子、使用料を0%にすることが可能
外国子会社配当益金不算入制度により、外国子会社から受け
取る配当の95%が日本で非課税となる
最後に、スイス・ローザンヌに拠点を置く日東電工株式会社・研究
開発担当部長の藤村保夫氏より、同社のスイスでのオペレーション
と経営戦略をお話いただいた。
次回のスイス事業投資セミナーは、M&Aをメインテーマに2014年3
月、国際協力銀行(東京・大手町)にて開催する予定。
日本企業のスイス進出
DMG 森精機株式会社、ウィンタートゥール市に本社を新設
工作機械大手のDMG 森精機株式会社は、 スイス・チューリッヒ近
くのウィンタートゥール市に欧州本社を新設する。2013年10月1日
から、工事が開始された。 21,000平方メートルに及ぶ大規模な
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敷地を有するDMG森精機欧州AGは、スカンジナビアからイタリアに及ぶ
ヨーロッパ17か国で活動する子会社、およびそこで働く950人の
スタッフを管理する本部となる予定。同社の最高経営責任者(CEO) シルビオ·レーマンは、ウィンタートゥール近郊の関連業界・企業と連携
する重要性を同所に選択した理由として強調している。また、必要な規
模の土地が利用可能だったこと、整備されたインフラ、アクセスが便利
なハブ空港、活発な技術協力とスキルの高い労働力を提供する大学など
の教育機関の存在も理由にあげた。
今回のDMG 森精機の投資は、同市の20年にわたる投資誘致活動の歴史
の中で最大かつ最も重要なプロジェクトの一つである。同社は4,000万
ユーロ以上の投資と、約200人の新規雇用を同市にもたらす。
ウィンタートゥール市は、古くから機械工業が盛ん。欧州内での移動が
便利で、インターナショナルスクールなど教育機関が充実し、公共サー
ビスが行きわたるなど、安全・安心で高レベルな生活環境を提供してお
り、多くの他国籍企業が同市を拠点に活動している。
事業展開拠点としてのスイス
株式会社商船三井 スイスにオフィスを新設
株式会社 商船三井(MOL)は、2014年1月、顧客と緊密な関係を構築
する戦略の一環として、スイス北部のバーゼル市にオフィスを新設す
る。
同社のエリアディレクター・ヨッヘン・フェルドマン氏は、この重要な
市場で新たなオフィスを開設することは、顧客との緊密な関係を築くた
めの商船三井の全社的な戦略の一環である、ということを述べている。 「これによって、私共は、これまで以上に顧客のニーズに応え、サービ
スの質を改善し、同地域においてより質の高いサービスネットワークの
構築が可能となる。」と語った。
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スイス在住を経て スイス滞在経験を持つ日本人に
インタビュー
熊本県 菊池市長 江頭実氏
スイスといえば「ゲマインデ」と呼ばれる町村レベルの自治体の力が
強く、「住民自治」が進んでいる国として世界的に知られている。国(連
邦政府)や州が方針を決めても、時として自治体が反対すれば実現できな
いことも多い。スイスならではの風土や伝統が守り続けられているのも、
こうした“強い”自治体の存在と無縁ではない。そんなスイスの風土の中で
生活したことが1つのきっかけとなって帰国後に自治体の長となった人がい
る。スイス在住経験者に聞くインタビュー・シリーズ。今回は江頭実・熊本
県菊池市長にご登場いただいた。
江頭さんが銀行にお勤めで、スイスに赴任されたのですね。住んでいたのは
いつごろでしょうか。
江頭 1998年5月から2002年3月の約4年間です。スイス富士銀行の社長と
して赴任しました。在任中に富士銀行が日本興業銀行、第一勧業銀行で合併
し、スイスの現地法人も統合しましたので、統合後は「スイスみずほ銀行」
となり副社長でしたね。
お住まいはチューリヒですか。
江頭 4年間はチューリヒ大学近くのVoegelsangstr.に住んでいました。初
めての単身生活だったので、料理が上手くなりました。週末は登山とスキー
三昧で、平日は毎日ジム通いでした。今振り返ると、かなり自由を謳歌して
いましたね。もちろん仕事もしていました。
スイス滞在中にマッターホルンに登頂されたそうですね。
江頭 登ろうと決めたものの、岩登りはまったく経験が無かったので、事前
に何回も岩場のトレーニングをしました。4000メートル級の山にも随分登
江頭 実(えがしら・みのる)氏
1954年4月、熊本県菊池市生まれ。菊池高校
りました。マッターホルンに挑戦したのは、2001年の8月でした。
畑を歩む 。スイス富士銀行社長、ロンドン支店長な
危険は感じなかったのですか。
江頭 準備に時間をかけましたので、危険は感じませんでしたね。落とし穴
だらけのバンカー生活の方が、マッターホルンより余程リスキーだと分かり
どを歴任。
ました(笑)。
から九州大学経済学部へ進み、1976年卒業、
富士銀行に入行。ニューヨーク、ロンドンなど海外
2009年∼12年ソフトバンク勤務。2013年4月菊池市
長に初当選。59歳。
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聞き手:元日本経済新聞社チューリヒ支局長
磯山友幸
その後、日本に帰国され、みずほ銀行からソフトバンクの業務監督部長に天
職されたのですね。
江頭 菊池は故郷ですが、社会人になってずっと離れていました。2010年
磯山友幸(いそやま・ともゆき)
1962年生まれ。早稲田大学政経学部卒。
1987年日本経済新聞社入社。証券部記者、
日経ビジネス記者などを経て2002年∼2004年
までチューリヒ支局長。その後、フランクフルト
支局長、証券部次長、日経ビジネス副編集長・
編集委員などを務めて2011年3月に退社、
経済ジャーナリストとして独立。
熊本学園大学招聘教授なども務める。
頃でしょうか。町おこしを手伝うようになって、月1回、菊池市を訪ねるよ
うになりました。今はモノがなかなか売れない時代ですが、一方で、命とか
自然、健康といったものは強く求められている。そうした支店でみると菊池
は「宝の山」なわけです。ところが地元に住んでいる人たちは、なかなかそ
のことに気付かない。ふるさとの宝の山をみていると、それが生かされてい
ないのが何とももったいない。色々なアイデアが湧いてくるわけです。それ
を実現するには自分が市長になるしかない、と思ったわけです。
選挙準備は万全だったのですか。
江頭 2011年の秋に決断し、2012年7月に会社を辞めて、9月に出馬表明
しましたが、地盤はゼロです。知名度もゼロ。それから街頭演説、いわゆる
辻立ちを始めました。まったくの素人ですから、県庁の記者クラブに出馬表
明の会見に行ったのですが、私と家族で行きました。後援会長や支持者が付
いて来ないのは珍しいと言われましたね。地方自治体は様々な「しがらみ」
があるのですが、そのしがらみがない点を強調し、ふるさとの再生を訴えま
した。
2013年4月の選挙では、予想以上の大差で勝利し、市長に就任されました。
その後、次々と斬新なアイデアを打ち出し、実行に移しています。
江頭 菊池は、江戸時代には「菊池米」が取引の基準になっていたほど、有
名な農業地帯でした。それは今も変わりません。農業を育んできたのは豊か
な自然です。とくに阿蘇からの伏流水は菊池の宝の代表格です。農業者の意
識は高く、無農薬栽培や自然農法などに取り組んでいる人もたくさんいま
す。菊池の農産物はブランドに磨きをかければまだまだ売れる。
そこで、無農薬など農産物の品質基準を独自に決め「菊池基準」として売り
出そうと考えています。健康志向や環境重視の都会の生活者にインターネッ
トショップを通じて売り込んでいきます。これまでもJAS基準や県の認証
制度はありますが、さらにその上を目指します。
農業が売り物ということですか。
江頭 約1800ある市町村のうち人口は560番目、税収は650番目ですが、
農業生産額は27位、畜産は7位です。菊池が勝負できるのは、農業と観光で
すね。菊池の農産物を食べてみて、行きたくなる。菊池にはすばらしい温泉
があります。さらっとしたお湯なのに、中に入って肌にふれるとヌルヌルす
る。美人の湯です。農業と観光などを組み合わせる6次産業化ですね。
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農1次の農業と2次の加工、3次のサービス産業で、1+2+3=6次産業
ということですね。業が売り物ということですか。
江頭 少子化の影響で市立小学校が閉鎖になっています。この旧校舎などを
使って「菊池農業未来学校」を作りたいと考えています。都会で農業にあこ
がれる人たちに入学してもらい、2年間勉強してもらう。先進的な農業を
やっているお年寄りなど菊池の農業者が先生です。
観光はどうやって盛り立てますか。
江頭 「自然への回帰」「心の時代」と言われます。まさに菊池にはぴった
り。自然の癒しを提供できる街へと変えていきます。まずは空き地などに木
を植えることを呼びかけます。雑木林を育て、森の中の街を市民の手で作っ
ていく。菊池川の堤防には桜の木を植え、並木を育てて行く。実は、私が子
供の頃、菊池の市街には水路が網の目のように張り巡らされ、きれいな水が
流れていました。今はすべて蓋をしています。これを少しずつはがしていき
たい。これに文化や音楽と組み合わせ、癒しの場を提供したいのです。スイ
スでは例えばツェルマットの町に入ると、窓辺に花が植えられていますよ
ね。しかも通りで色が統一されていたりします。とても綺麗です。そんな町
を作りたいのですが、これは行政だけでは無理です。市民の皆さんの力が必
要ですね。
市長になろうと考えられたのも、そんなスイス時代の経験があるのですか。
江頭 はい。スイスは美しい自然を保全しながら活用しています。そしてそ
れを住民が結束し守っています。世界中の人たちがそれを楽しみに集まる訳
です。世界中の人たちがそれを楽しみに集まる訳です。菊池も是非、そんな
町にしていきたいと思います。
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