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1 第 10 章 制度調整をともなう累積的因果連関 4節 ボワイエモデル
12.07.20 現代経済理論演習 上利 第 10 章 制度調整をともなう累積的因果連関 4節 ボワイエモデル ・ボワイエモデル 内需ルート…○, 所得分配に関わる制度調整…○, 部門数…1 ・ミュルダールのモデル 内需ルート…×, 制度調整…×, 部門数…2 <記号> PR:生産性,Q:総産出=総需要,I:投資,C:消費 RW:実質賃金率,N:雇用 フォーディズムの回路 新生産過程 生産性(PR) 実質賃金(RW) 消費(C) 利潤(PR-RW) 投資(I) 需要=生産(Q) まず、フォーディズムの好循環の回路を図に示すと上記のとおりである。すなわち,大量 生産による生産性の上昇の成果が実質賃金の上昇に結びついて消費需要が拡大し,加速度 効果によって投資が増大すると共に,乗数効果によって需要が増加する。また,生産性の 上昇の一部は利潤として分配され,投資を押し上げる。こうして需要の拡大に刺激されて 生産が拡大し,より生産性の高い機械設備の導入と規模に関する収穫逓増との2つの効果 によって生産性が再び上昇するという好循環が生み出される。 1 次に,このモデルでは「閉鎖経済」を想定し、「財政」、 「金融」を捨象して、6つの方程式 によって表される。 (1) PR = a + bI + dQ 生産性関数(b:資本深化効果,d:フェルドーン係数) (2) I = f + vQ 投資関数(v:加速度係数) (3) C = c(N ∙ RW)+g 消費関数(c:消費の所得弾力性) (4) RW = kPR + b 賃金関数(k:生産性インデクセーションの程度) (5) Q = αC + (1 − α)I 定義式(α:総需要に占める消費の割合。0<α<1) (6)N = Q − PR 定義式(雇用成長率=産出成長率―労働生産性上昇率) 以上,6つの方程式は生産性体制と需要体制を表す2つの方程式に縮約できる。前者を「生 産性レジーム関数」 ,後者を「需要レジーム関数」と呼ぶ。 (1),(2)式より「生産性レジーム関数」が導き出される。 PR = A + BQ (A=a+bf B=bv+d) ここで,(B):需要の拡大が生産性の上昇に及ぼす効果を表す生産性体制の形状 フェルドーン係数(d)の他,投資の加速度効果(v),資本の深化効果(b)によって規 定される。 また,(5)に(2),(3),(4),(6)を代入すると「需要レジーム関数」が導き出される。 Q = C + DPR ∝ cb +g + 1−∝ f (C= 1−∝c− 1−∝ v ∝c(k−1) D=1−∝c− 1−∝ v ) ここで,(D):生産性の上昇が需要の拡大に及ぼす効果を示す需要体制の形状 所得分配を規定する要因(k,l)と投資の消費需要および利潤シェア変化への感応 度(v,u)との関係によって決まる。 ボワイエはこのモデルを使って19~20世紀末までの先進資本主義の時間的可変性を分 析した。 2