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第8号 - 日本エネルギー学会

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第8号 - 日本エネルギー学会
第8号
2006.10.1 発行
GH ニュースレター
(社)日本エネルギー学会
天然ガス部会資源分科会
ガスハイドレート研究会
目次
MH 関連カレンダー(2006~2007)
1
研究開発動向
国際海洋極地工学会議(ISOPE-2006)参加報告
2
石油技術協会春季講演会参加報告
3
海上技術安全研究所
4
研究所訪問
GH 研究会会員名簿
6
GH 関連カレンダー(2006~2007)
2006.1.25-26
Intl. Conf. Sediment-hosted Gas Hydrates
ロンドン
2.16
第 23 回 GH 研究会
産業技術総合研究所(つくば)
2.20-24
海洋科学会議
ホノルル
3.5-9
メタンハイドレート研究開発ワークショップ
カウアイ島(アメリカ、ハワイ)
3.26-30
アメリカ化学会全国大会
アトランタ
4.9-12
アメリカ石油地質学会(AAPG)年次大会
ヒューストン
5.14-18
日本地球惑星科学連合 2006 年大会
幕張メッセ(千葉)
5.23
第 24 回 GH 研究会
海上技術安全研究所(三鷹)
5.26
MH21 コンソーシアム平成 17 年度研究成果報告会
オリンピック記念センター(東京)
5.28-6.2
第 16 回国際海洋極地工学会議(ISOPE-2006)
サンフランシスコ
5.30-6.2
石油技術協会春季講演会
仙台戦災復興記念館(仙台)
6.4-9
海洋極地工学国際会議(OMAE2006)
ハンブルク
6.5-9
第 23 回世界ガス会議
アムステルダム
6.11-15
第 12 回海洋科学技術に関する太平洋会議(PACON2006)
ヤンゴン(ミャンマー)
6.19-22
温室効果ガス抑制技術国際会議
トロンハイム
7.23-28
氷の物理・化学に関する国際会議
ブレーマーハーフェン(ドイツ)
8.3-4
日本エネルギー学会大会
工学院大学(東京)
8.27-9.1
第 17 回国際堆積学会
福岡国際会議センター(福岡)
9.8
第 25 回 GH 研究会
三井造船本社(東京)
9.16-18
日本地質学会第 113 年学術大会
高知大学(高知)
9.18-22
2006 年度日本機械学会年次大会
熊本大学(熊本)
10.9-12
第 5 回メタンハイドレート研究開発国際ワークショップ(Fiery Ice)
エジンバラ
10.22-25
アメリカ地質学会年次大会
フィラデルフィア
10.23-25
CODATA 国際会議
北京
11.1-3
結晶成長国内会議
大阪大学(大阪)
11.5-8
アメリカ石油地質学会(AAPG)国際会議
パース
11.14-18
2006 年度雪氷学会全国大会
秋田
11.24-25
日本機械学会熱工学コンファレンス
慶應義塾大学(横浜)
12.5-7
国際石油・ガス会議
北京
12.11-15
アメリカ地球物理学連合秋季大会
サンフランシスコ
2007.3.26-30
アメリカ化学会全国大会
シカゴ
4.1-4
アメリカ石油地質学会(AAPG)年次大会
ロングビーチ
5.22-25
アメリカ地球物理学合同総会
アカプルコ(メキシコ)
6.10-15
海洋極地工学国際会議(OMAE2007)
サンディエゴ
6.13-17
第 21 回環太平洋科学会議(Pacific Science Congress)
沖縄
7.1-6
第 17 回国際海洋極地工学会議(ISOPE-2007)
リスボン
10
第 7 回国際海洋極地工学会議海洋資源シンポ(ISOPE OMS-2007)
ハワイ
10.28-31
アメリカ地質学会年次大会
デンバー
研究開発動向
国際海洋極地工学会議(ISOPE-2006)
参加報告
2006 年5月 28 日から6月2日まで、国際
海洋極地工学会議(International Society of
Offshore and Polar Engineering Conference,
ISOPE-2006)が、サンフランシスコ国際会
議場で開催された。海洋および船舶工学の最
大級の国際研究集会であり、世界各国から約
800人の研究者が一同に会した。この中で、
ガスハイドレートのセッションが設けられ、
7件の講演が行われた。米国より3件、日本
より2件、韓国および中国より各1件のガス
ハイドレート研究の成果が発表された。米国
テキサス A&M 大学の Rogers らは、海洋の微
生物系とガスハイドレートの関わりについて
議論し、ガスハイドレートの生成や集積に微
生物およびその代謝物が大きく関与している
ことを示した。また、米国ロスアラモス国立
研究所の Temma、Zyvoloski らは、メタンハ
イドレート生産に必要なシミュレータ開発に
おける数値解析手法の研究成果を発表した。
産総研の坂本らは、上記のシミュレータ開発
に必要な各種パラメータの取得に関わる実験
結果および分解過程における数値シミュレー
ションの整合性を確認した。韓国ソウル大学
の Ahn らは、人工堆積物中の相対浸透率の測
定および解析結果について発表した。中国清
華大学の Lu らは、ガスハイドレート分解時
の数学モデルを提案し、実際の分解過程のシ
ミュレーションに適用した。産総研の川村ら
は、海洋より採取した試錐コア試料を用いた
分解実験を行い、ガス産出挙動および分解速
「生産手法」
・ 管路内流動系における炭酸ガスの溶解お
よびハイドレート生成特性(秋田大・九大)
・ 熱刺激法によるメタンハイドレート堆積
物からの分解ガス産出挙動(九大・産総研)
・ 同軸型地中熱交換器を用いた熱刺激法に
よるメタンハイドレート層からのガス生
産システムの検討(九大)
・ メタンハイドレート層からのガス生産律
速因子に関する検討
・ メタノール圧入によるメタンハイドレー
ト分解モデリングに関する研究(以上 2 件、
東大・産総研・JOE)
・ メタンハイドレート開発の経済性評価
・ 付加価値を考慮したメタンハイドレート
生産におけるリアルオプションの適用(以
上 2 件、早稲田大)
「その他」
・ 天然ガスハイドレート(NGH)輸送技術
の現状(JOGMEC)
・ 新ハイドレートインヒビターの採用につ
いて(石油資源開発)
石油技術協会春季講演会参加報告
MH21 プロジェクトと共に着実に進めら
石油技術協会は、石油・天然ガスの探鉱・
れている探査、生産手法に関する研究のほ
開発分野の研究開発を目的とした学会である。
かに、今年は経済性に関する検討や、ハイ
春季講演会が平成 18 年 5 月 31~6 月 1 日に
ドレートを利用したガスの輸送技術に関
仙台市戦災復興記念館にて開催され、地質・
する発表も見られた。また、従来の天然ガ
探鉱、作井、開発・生産および資源経済の 4
ス生産施設において、ハイドレートの生成
部門に分かれて研究発表が行われた。全 147
を防ぐために動力学的インヒビター
件の講演中、ハイドレートに関する発表は 13
(kinetic inhibitor)を使用した実績の報告
件行われた。以下にその題目と発表者の主な
もあった。
所属を分野ごとに挙げる。
(文責 長縄成実(東大)
)
「探査技術」
・ 三次元地震探査データを用いた東海沖~
熊野灘エリアの海底扇状地砂岩体の分布
解析
・ MH21(メタンハイドレート資源開発研究
コンソーシアム)における物理探査
・ 地震波属性を用いたメタンハイドレート
賦存層抽出の試み
・ 2 次元メタンハイドレート集積シミュレー
タの開発 -東部南海トラフにおけるメタ
ンハイドレートの集積要因の検討-(以上
4 件、JOGMEC)
度の測定結果について発表した。さらに、米
国ウエストバージニア大学の Siriwardane ら
は、ブレークリッジにおける斜面の安定性と
ガスハイドレートの関わりについて、海洋調
査を中心とした研究結果を公表した。
以上の研究発表は、海洋におけるメタンハ
イドレート開発に必要な基礎的な検討として
重要であり、いずれも今後の研究開発に大き
く寄与するものある。さらなる研究の発展を
期待したい。なお、このセッションのオーガ
ナイザーおよび座長は、産総研の駒井が担当
した。次回の ISOPE-2007 と OMS-2007 は、
2007 年7月1日から7日の予定でポルトガ
ルのリスボンで開催することが決定されてお
り、すでに論文アブストラクトの募集が開始
されている。下記のウェブサイトより、応募
していただきたい。
(文責:駒井 武(産総研))
http://www.isope.org/call4papers/call4paper
s.htm
研究所紹介
検討などを行いました。
海上技術安全研究所
海上技術安全研究所(以下、海技研)は、
船舶・海洋工学分野の研究開発を行う独立行
政法人の研究機関です。海技研では、ガスハ
イドレートに関連する研究として、天然ガス
ハイドレート輸送技術の開発と、CO2ハイド
レートを利用したCO2の深海貯留の研究を行
っています。本稿では、これら 2 つの研究と、
関連する研究施設をご紹介します。
天然ガスハイドレート輸送
現在、我が国に輸入される天然ガスは、全
て液化天然ガス(LNG)として輸入されてい
ますが、天然ガスを液化する代わりにハイド
レート化し、固体のばら積み貨物として輸送
することが検討されています。天然ガスハイ
ドレート(NGH)を輸送する場合、輸送期間
中の分解が少ないことが必要ですが、従来、
分解を防ぐためには、ハイドレートの相平衡
温度(約-80℃)以下で輸送する必要がある
と考えられてきました。ところが、相平衡温
度よりも遙かに常温に近い、-25~-5℃の温
度範囲において、メタンハイドレートの分解
速度が非常に遅くなることが発見され、自己
保存効果と名付けられました。自己保存効果
を利用して、常温に近い温度条件においてハ
イドレートを船舶輸送するアイデアをノルウ
ェーの Gudmundsson らが 1997 年に発表し、
以後、天然ガスハイドレート輸送の研究が開
始されました。
海技研では、三井造船及び大阪大学との共
同研究として、2001 年から天然ガスハイドレ
ート輸送の研究が開始されました。この研究
では、メタンハイドレートを図1に示すよう
なペレットに加工し、メタンハイドレートペ
レットとして輸送することを検討しました。
これは、粉末状のメタンハイドレートをペレ
ット化することにより分解を抑制することが
可能であり、貨物としてのハンドリングにも
優れているとの利点によるものです。本プロ
ジェクトでは、ハイドレートペレットの自己
保存性、力学的特性及び熱的特性についての
図1
メタンハイドレートペレットの外観
(三井造船殿ご提供)
ハイドレートペレットの自己保存性を検討
するため、図2に示すようにステンレス製の
容器にハイドレートペレットを封入し、一定
温度の恒温槽内で保存し、ペレットの分解率
を測定しました。温度条件を-25℃から-5℃
までの 5℃間隔で設定し、分解実験を行った
結果、-20℃で分解率は最低となりました。
図2 ハイドレートペレット分解実験装置
(ペレット封入容器を恒温槽内に設置)
また、力学的特性の検討では、船倉内にハ
イドレートペレットを積載した場合と同様の
静的及び動的加重をハイドレートペレットに
かけ、加重による分解の促進の有無を検討し
ました。その結果、静的加重による顕著な分
解がないことを確認し、動的加重については、
1000~1 万回までの繰り返し加重では顕著な
分解がない一方で、10 万回の繰り返し加重で
は分解の増加が示唆されるという結果が得ら
れました。
さらに、熱的特性の検討では、メタンハイ
ドレートペレットを図3に示すように層状に
配置し、ペレット層全体としての熱伝導率を
測定しました。また、示差走査熱量計(DSC)
と呼ばれる装置を用いて低温・高圧下でメタ
ンハイドレートの比熱を測定し、文献値と大
差ないことを確認しました。
で水深 6000m相当の水圧をかけることの出
来る高圧タンクという 2 つの大型実験施設が
利用されています。図4に示すように、高圧
タンクには液体CO2を注入するための注入管
や、内部の様子を観察するための 6 台のモニ
ターカメラ、さらに温度計やpHセンサーなど
の計測機器が設置されており、加圧装置、CO2
投入装置、温度調節装置などが付属していま
す。高圧タンクを利用して、CO2深海貯留の
陸上模擬実験を行い、CO2液滴の溶解速度や
周囲のpH変化についての検討を行っていま
す。
図4
図3
ペレット層の熱伝導率測定の様子
現在は、所内の基盤研究として、メタンハ
イドレートの分解速度等の研究を続けていま
す。また、安全基準などの輸送技術に関連す
る各種の研究も進めています。
CO2深海貯留
CO2深海貯留とは、地球温暖化を防ぐため
に火力発電所などの大規模なCO2排出源にお
いて排ガスからCO2を回収し、液化して水深
3500m以深の深海底に送り込み、長期間にわ
たって貯留するものです。海技研では、CO2を
深海へ送り込む技術の開発と、深海貯留が海
洋環境へ与える影響の評価の両面から研究を
行っています。この研究には、最大 35mの水
深を有し、世界で最も深い深海水槽と、最大
高圧タンクの概観
図5に水温約 5℃、圧力 30MPaの水中にお
けるCO2液滴の様子を示します。このような
温度・圧力条件では、液体CO2の密度が周囲
の水よりも大きくなるため、CO2液滴は自然
に海中を沈降し、海底に貯留されます。また、
液滴の表面にCO2ハイドレート膜が形成され
ることにより、液滴から海中へのCO2の溶出
が抑制されることが知られています。
図5
高圧タンク内のCO2液滴の様子
現在は、鉄道建設・運輸施設整備支援機構
(JRTT)の運輸分野における基礎的研究推進
制度により研究費の支援を頂き、深海貯留の
ための洋上投入システムの研究を行っていま
す。本研究では、浮体及び投入管からなる洋
上投入システムの模型試験等を深海水槽で、
液体CO2とドライアイスを混合したCO2スラ
リーを投入する投入ノズルの検討を高圧タン
クで行っています。地球温暖化防止という我
が国にとって喫緊の課題を解決すべく、今後
も研究に邁進していく所存です。
(文責 中島康晴(海技研))
海技研ホームページ http://www.nmri.go.jp
ガスハイドレート研究会会員名簿
(2006 年 10 月 1 日現在)
青木
内田
奥井
駒井
坂
佐藤
鈴木
棚橋
寺崎
長縄
平井
藤田
増田
山本
吉川
末包
中島
小田
前川
掘次
田崎
永森
豊
努
智治
武
光二
幹夫
英之
学
太二郎
成実
秀一郎
和男
昌敬
佳孝
孝三
哲也
康晴
浩
竜男
睦
義之
茂
㈱地球科学総合研究所
北海道大学
東京ガス㈱
産業技術総合研究所
㈱サカコンサルティング
産業技術総合研究所
東京大学
産業技術総合研究所
都市エネルギー研究所
東京大学
東京工業大学
芝浦工業大学
東京大学
産業技術総合研究所
北海道大学
東京工業大学
海上技術安全研究所
産業技術総合研究所
産業技術総合研究所
㈱日立製作所
関東天然瓦斯開発㈱
三井造船㈱
松林 修
産業技術総合研究所
羽田 博憲
産業技術総合研究所
井原 博之
エコ・エネ・リサーチ
鎌田 三司
三井造船㈱
新倉
茂
㈱グリーンエネルギー
羽藤 正実
資源・環境観測解析センター
藤永 好宣
NPO フォーエバーグリーン
八久保晶弘
北見工業大学
松尾 勝弥
飛島建設㈱
川崎 達治 石油天然ガス-金属鉱物資源機構
津島 将司
東京工業大学
松尾 誠治
東京大学
三木 啓史
㈱四国総合研究所
青木
猛
㈱東邦ガス
大川 賢紀
三菱重工業㈱
橋本 孝雄
エネルギー総合工学研究所
藤井 哲哉 石油天然ガス-金属鉱物資源機構
山本 晃司 石油天然ガス-金属鉱物資源機構
竹谷
敏
産業技術総合研究所
谷
篤史
大阪大学
今野 義浩
東京大学
川村 太郎
産業技術総合研究所
坂本 靖英
産業技術総合研究所
飯田 哲也
東京大学
所
千晴
早稲田大学
柏倉
博
大成建設
(社)日本エネルギー学会 天然ガス部会資源分科会
編集委員
中島康晴、佐藤幹夫
〒101-0021 東京都千代田区外神田 6-5-4
Tel 03 (3834) 6456
Fax 03 (3834) 6458
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http://www.jie.or.jp/ngas
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