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(事例1~事例18)(PDF形式 1649 キロバイト)
Ⅰ
同業者連携の取組
事例
1
共有財産としての「柏崎鯛茶漬け」の開発・提供
事業者 柏崎地域観光復興推進協議会鯛プロジェクト部会
所在地 柏崎市駅前1-1-30 柏崎観光協会内
代表者 部会長 佐藤 秀則(㈱浪花屋 代表取締役社長)
事務局 柏崎観光協会 連絡先 0257-22-3163
4 活用した支援策
⑴ 復興基金の活用
(公財)新潟県中越沖地震復興基金からの補助金の活用
⑵ 東京新潟県人会の協力
東京新潟県人会から全国大会会場におけるボランティアスタッフ派遣の協力を得るとともに、
会報誌で会員に対し全国大会への来場及び応援を呼びかけ
1 取組のきっかけ(背景)
柏崎地域観光復興推進協議会(会長 柏崎観光協会長)(*)では、中越沖地震により落ち込んだ観
光交流人口を回復し、拡大させるため、地域の観光関係者、官民が一体となった地域の観光PRや情
報発信、各種イベントなどに取り組んできた。
こうした中、地域の鯛料理提供店を中心に結成した鯛プロジェクト部会は、地域の古くからの食文
化である「鯛」をツールとして地域の魅力発信を行うことで、柏崎を多くの人に知ってもらい訪れて
もらいたいと考え、「柏崎鯛茶漬け」の商品開発に取り組むこととなった。
2 取組の概要(ポイント)
⑶「柏崎鯛茶漬け食べ歩き手形」(冊子)の活用
柏崎観光協会及び柏崎地域振興局において、全国ご当地どんぶり選
手権グランプリ受賞の「柏崎鯛茶漬け」を食べられる店舗を紹介する
とともに、食事引換券及びクーポン券がセットになった冊子を発行・
販売
⑷ 地元高等学校とのコラボレーション
柏崎高等学校美術部とのコラボにより作成し
た缶バッジを配布・PR
5 取組の効果
⑴ 同業者の連携による商品開発
柏崎地域観光復興推進協議会の中に鯛プロジェクト部会を設け、多数の鯛料理提供店の参画を
得て、各店がそれぞれの得意分野等を活かしながら一体で商品開発
⑵ 全国大会の活用と地域を巻き込んだ展開
2010年から東京ドームで開催された全国ご当地どんぶり選手権(主催 ふるさと祭り東京実行
委員会(フジテレビジョン、文化放送、東京ドーム))に「柏崎鯛茶漬け」で参加し、来場者の
声などを踏まえ、毎年、商品の改善(ブラッシュアップ)を行う中、第4回大会(2013年1月)
ではグランプリを獲得するなど高い評価を得るとともに、知名度が全国区レベルに向上。また、
大会に併せ、市民の応援バスツアーを企画するなど地域を巻き込んだ展開に腐心するとともに、
子どもたちの地元食文化への理解促進にも尽力
(参考) ・第1回大会(2010年1月)7位 ・第2回大会(2011年1月)3位 ・第3回大会(2012年1月)2位
・第4回大会(2013年1月)1位 ・第5回大会(2014年1月)2位
3 商品・活動の特徴
鯛のうまさが3回味わえる、三位一鯛茶漬け
・鯛めし ・鯛の香り揚げ ・なめろう(鯛の薬味付きすり身)
⑴ 観光交流人口の拡大促進
全国ご当地どんぶり選手権でグランプリを受賞した「柏崎鯛茶漬け」を柏崎市内12店舗で提供
し、柏崎地域における新たな「食」の観光資源(共有財産)として定着を図りつつあり、県内外
からの誘客、売上増加の一助となっている。
また、グランプリ受賞の「柏崎鯛茶漬け」については、全国で飲食店を展開する㈱大庄とのコ
ラボレーションにより、全国(九州・関西地域を除く)の庄やグループ各店舗でも提供しても
らっており、柏崎地域の知名度向上、PRに役立っている。
⑵ 関係者の意欲の向上
個々の店舗の枠を越え、関係者が一体となって取り組めば大きな成果につながることが実証で
き、関係者の意欲やチャレンジ精神の向上につながっている。
6 今後の課題・展望
「柏崎鯛茶漬け」で知名度が上がり勢いのある中、「柏崎鯛茶漬け」を大事にしながら鯛茶漬けを
一つのステップとし、柏崎の「鯛」を活かし、和・洋・中華様々な分野で付加価値の高い料理、メ
ニューの開発を多くの店舗から参画してもらいながら積極的に行う必要があると考えている。
7 事業者からのひとこと
『観光振興に当たっては、自分の所だけでがんばっていても限度があることを皆が理解し、地域や
住民が一体となり取り組んでいくことの重要性を認識する必要がある。
「柏崎鯛茶漬け」プロジェクトは、市民も一体となって取り組んだ初めての事業で、皆でやること
の大切さを実感できる有意義なものとなった。
事業に当たっては、ハングリー精神が大事。事業の根本、エネルギー源である。』
グランプリ受賞の柏崎鯛茶漬け
1
全国ご当地どんぶり選手権の様子
柏崎駅に展示の金・銀・銅の受賞ドンブリ
2
Ⅰ
同業者連携の取組
事例
2
「柏崎鯛茶漬け」を核とした新コースメニューの開発・提供
事業者 柏崎鯛茶漬け新メニューを考える会 所在地 柏崎市新橋7-3 代表者 会長 村山 浩(㈱ムラヤマ 代表取締役社長) 事務局 柏崎地域振興局企画振興部 連絡先 0257-21-6206
⑴ 外部の専門家・ノウハウ等の活用
柏崎地域振興局専門職員の知識や大手飲食店のノウハウ等
を活用
⑵ パブリシティの活用
新コースメニューの発表に当たっては、マスコミや関係機
関を招聘し、記者等から実際に食してもらうとともに、新聞
記事として紹介してもらうことで広告宣伝に活用
1 取組のきっかけ(背景)
全国ご当地どんぶり選手権でのグランプリ受賞をはじめ上位入賞を重ねることで知名度が向上した
「柏崎鯛茶漬け」を核に、柏崎地域の他の郷土料理や産地食材とのコラボレーションを図ることで付
加価値の高い、魅力的なコース料理として拡充し、地産地消による地域振興や観光交流人口の拡大に
つなげるため、地元飲食店や柏崎観光協会等が連携して新コースメニューの開発・提供に取り組むこ
ととなった。
⑶ JRとの連携
平成26年春の新潟デスティネーションキャンペーン(以下
「新潟DC」という。)において、「JRびゅう」の旅行商
品の夕食に「飲み鯛コース」が採択
新コースメニュー発表会
5 取組の効果
2 取組の概要(ポイント)
⑴ 同業者の連携による商品開発
地元の飲食店有志が構成員となった開発チーム(「柏崎鯛茶漬け新メニューを考える会」)を
立ち上げ、議論や試作を重ねながら新メニューを開発
⑵ 優良事例視察
新コースメニューの創作に当たり、東京・日本橋にある老
舗の鯛めし会席料理店を関係者で訪問し、料理だけでなく、
見た目の美しさなども勉強
⑶ 行政やアドバイザー企業の活用
カロリーや塩分の計算に当たっては、柏崎地域振興局の栄
養士の支援を得るとともに、「柏崎鯛茶漬け」でコラボレー
ションの関係にある㈱大庄からアドバイス等の支援を得る。
4 活用した支援策
⑴ 観光交流人口の拡大促進
一連の取組により、通年で対応できるコース料理のベースが整うとともに、季節に応じ各店舗
が趣向を凝らした料理を提供することで「食」の観光資源の充実につながり、誘客及び売上増加
の一助となっている。
また、新潟DC期間中、JRの旅行商品に「飲み鯛コース」が採用されるなど、外部からも高
く評価され、柏崎地域の知名度向上、PRに役立っている。
⑵ 関係者の意欲の向上
新コースメニューの開発に当たっては、共通の枠組の下、関係者が創意工夫を発揮しながら取
り組み、大きな成果につなげることができ、関係者の意欲やチャレンジ精神の向上につながって
いる。また、地場産の野菜等に対する関心も高まり、地産地消の促進にもつながっている。
ヘルシーランチコース
6 今後の課題・展望
今回の新コースメニューの開発・提供に当たっては、行政の協力や支援に助けられた面もあるが、
今後は、行政に頼るだけでなく、市内の飲食業者の中から自主的に今年もやろうという声が出てくる
ような形をとっていければいいと考えている。
鯛茶漬けを一つのきっかけとして、新メニューや次のB級グルメの開発などに行政や関係者が各々
の役割分担の下、一丸となって取り組んでいく必要があると考えている。
また、こうした取組に当たっては、「かしわざき地場産ランチフェア」のように、価格設定を統一
せず、各店舗が地元野菜を自由に使用して料理を提供するといった各店舗の特色を発揮しやすい、楽
しい枠組づくりにも留意する必要があるとしている。
3 商品・活動の特徴
通年で、昼食や宴会など場面に応じた料理を提供
食材に、地元の「新道柿」や「笠島もずく」など使用
核となる料理は、「柏崎鯛茶漬け」又は「鯛めし」としている。
7 事業者からのひとこと
飲み鯛コース(宴会向き)
3
食べ鯛コース(昼食向き)
『それぞれの店舗において、独自の料理が提供されているところではあるが、柏崎という地域の中
で特色を活かした取組を行うことが柏崎の観光振興や食文化の深化、継承にもつながるので、こうし
た同業者の一体的な取組には、多くの店舗から参画して欲しい。
そのことによって様々な気付きが各店舗にフィードバックされ、各店舗の向上や特色の発揮など、
新たな展開にもつながるのでないか。』
4
Ⅰ
同業者連携の取組
事例
3
よ
っ
くら
の
み
たい
「四っ蔵飲み鯛」晩酌セットの開発・提供
事業者 かしわざき味堪能事業実行委員会 所在地 柏崎市中央町5-50 代表者 委員長 斉木 覚(東日本旅客 道㈱新潟支社柏崎駅長)
担当者 作業部会長 水地 学(柏崎鮮魚商協同組合理事) 事務局 柏崎市観光交流課 連絡先 0257-21-2334
1 取組のきっかけ(背景)
平成26年4月1日から6月30日まで開催の新潟デスティネーションキャンペーン(以下「新潟D
C」という。)や平成27年春の北陸新幹線開業を契機に柏崎地域へ観光客を呼び込み、県内外の多
くの方から柏崎の歴史や文化に根ざした「食」を堪能していただくためのプランを提供する飲食店を
募集するため、JR、観光協会、関係団体及び行政の関係者が実行委員会を立ち上げ、取り組むこと
となった。
2 取組の概要(ポイント)
⑴ 商品開発
鮮魚商協同組合の協力を得て試作品を開発するとともに、実行委員会作業部会を中心に試食会
を行うなど検討を重ねた。
⑵ 旅行業者の意見の反映
旅行業者を対象にしたモニターツアーを実施し、晩酌セットの試作品の試食を行い、アンケー
トを実施した。そのアンケート結果をプラン内容に反映した。
(例)量が多い、3,000円は高い。→量を減らすとともに内容の充実を図り、価格を2,000円に変
更。
⑶ 新潟DCとの同時展開
鯛の旬の季節と新潟DCの期間が重なっていることで、新潟DC期間に合わせて「かしわざき
味堪能キャンペーン」として展開し、「食」の観光資源をPRできた。
3 商品・活動の特徴
「四っ蔵飲み鯛」晩酌セット
・メイン一品 柏崎産の鯛を使用した料理(かぶと煮、かぶと揚げなど)
・副菜三品 柏崎の伝統料理、柏崎産の食材を使用した料理等
・酒 柏崎市内にある四つの蔵元(阿部酒造、石塚酒造、林酒造場、原酒造)の地酒(お
猪口1杯ずつ)
・料金 2,000円(税込み)
4 PR方法
⑴ PRツールの作成
パンフレットとポスターを作成し、広くキャンペー
ンの周知を図った。また、キャンペーンの目印として
ミニのぼり旗と吊り下げ旗を各提供店に配布し、PR
するとともに統一感を出した。
⑵ パブリシティの活用
柏崎市長記者会見場において実際に晩酌セット見本
を披露したほか、BSN「水曜見ナイト」、NST
「スマイルスタジアム」といったテレビ番組や新聞記
事で紹介してもらうことで広告宣伝に活用した。
柏崎市長記者会見場での様子
5 取組の効果
⑴ 地域資源の再確認
柏崎市内の飲食店やホテルなど11店舗の参画を得て、各店舗の強みや個性を発揮した商品を開
発し、期間中1,132セットを提供することができた。特に柏崎市民から多く利用いただき、地域資
源の魅力を再発見してもらうことができた。市民でも4つの蔵元や地元の食材、郷土料理を知ら
ない人が多く、関心を持ってもらうきっかけとなり、また、新たな販路も広がったことで小さな
まちおこしに繋がった。
提供店で実施したミニアンケート結果では、「よいと思う」及び「とてもよいと思う」の回答
比率が約9割となるとともに、JRや県観光協会からも高く評価され、柏崎地域のPRに役立っ
ている。
⑵ 柏崎の「食」のPRと関係者の意欲向上
晩酌セットは、鯛料理はじめ多様な郷土料理や地元食材を使用した料理、個性ある地元の4つ
の蔵元の地酒が提供され、柏崎の「食」のPRや地産地消に役立っている。
また、この取組を通じ提供店はじめ関係者に郷土料理(食文化)や地元食材、地酒に関心を
もってもらう契機になり、新たな料理の開発・提供への意欲向上に繋がっている。
6 今後の課題・展望
⑴ 利用者数増に向けた体制整備
さらに多くの方から利用いただけるよう、参加店の拡大等体制整備を図る必要がある。また、
柏崎市民からも多く利用してもらい、まずは柏崎には4つの蔵元があることや柏崎の食材を知っ
てもらい、市民から外へ向けて発信していくような流れをつくりたいと考えている。
⑵ 四っ蔵をきっかけとした他事業の展開
四っ蔵をきっかけに、晩酌セットだけでなく、他の事業にも広がりをみせており、さらなる柏
崎の地酒や食材のPRを図りたいと考えている。(四っ蔵スイーツ、地酒セットの開発等)
7 事業者からのひとこと
『当初は普段、予約制の店が参加して認知してもらえるか不安でした。しかし、ご来店のお客様か
ら「こんな企画があるなら、もっと早く知りたかった」「期間限定でもいいから継続して実施してい
くべきだ」等と声をかけられ、やって良かったと感じた。』
柏崎市内の四つの蔵元の地酒
5
「四っ蔵飲み鯛」晩酌セットの一例
モニターツアーによる晩酌セットの試食会
6
Ⅰ
同業者連携の取組
事例
4
か し わ ざ き
ストーリー
柏崎をお菓子のまちに!「菓子和咲スイーツ物語」の展開
・イベント風景
事業者 新潟県菓子工業組合柏崎支部 所在地 柏崎市西本町1-3-22 代表者 支部長 吉田 勝彦(㈱最上屋 代表取締役社長)
連絡先 0257-22-4145
1 取組のきっかけ(背景)
県菓子工業組合柏崎支部(以下「菓子組合」という。)では、2001年の組合創立60周年を記念し
た菓子まつりを開催して以来、スイーツイベントを毎年実施するとともに、2011年に組合創立70周
年を記念して県農業総合研究所の協力の下開発したスイーツ専用米「菓心伝心(かしんでんしん)
米」の栽培を柏崎市内の農業生産法人(*)に栽培委託し、小麦粉に代わる米粉として各店舗で和洋菓
子やパンの素材として利用してきた。
こうした中、2013年10月には、柏崎市で開催された「国際ご当地グルメグランプリ」の併催イベ
か し わ ざ き
ストーリー
ントとして「柏崎をお菓子のまちに!」を目標に掲げ「菓子和咲スイーツ物語」をテーマとしたイ
か し わ ざ き
ストーリー
ベントを開催するとともに、2014年においても、夏と秋に「菓子和咲スイーツ物語2014」を開催
し、様々な角度からスイーツの魅力を発信・展開している。
「菓子和咲スイーツ物語2014」(秋)
(26.11.15-16 かしかり虹まつり)
「試作会議」
4 活用した支援策
⑴ 県農業総合研究所の協力
スイーツ専用米の開発、商品化に当たり、県農業総合研究所の協力・支援
⑵ 関係団体の支援
イベント開催に当たり、柏崎市や柏崎観光協会、柏崎あきんど協議会等からの支援
5 取組の効果
2 取組の概要(ポイント)
⑴ 菓子組合の活動方針の下での取組
菓子組合の活動方針やコンセプトの下、各店舗の菓子職人が主体的に地元生産者の手で育まれ
た素材を活かし、「作り手と創り手」による素材の融合を図りながらに商品開発に当たるととも
に、こうしたコラボレーションにより誕生した各店舗のスイーツをイベントを通じ一体的に紹
介・提供
⑵ 地産地消の促進
柏崎地域内でのスイーツ専用米の栽培とその米粉の各店舗での利用や、柏崎産イチゴ「越後
姫」(*)など地元の素材を取り入れた商品開発による地産地消の促進
3 商品・活動の特徴
か し わ ざ き
「菓子和咲スイーツ物語2014」(夏)
(26.8.31 ぱくもぐフェア)
⑴ 観光交流人口の拡大促進
か し わ ざ き
ストーリー
「菓子和咲スイーツ物語」では、各店舗の趣向を凝らしたスイーツの提供などにより、地域内
外から多数の来場者で賑わい、「国際ご当地グルメグランプリ」や「かしかり虹まつり」との相
乗効果の中、誘客促進に大きな役割を果たすとともに、「お菓子のまち柏崎」を新たな観光資源
として柏崎地域の知名度向上、PRに役立っている。
また、各店舗の売上増加の一助となっている。
⑵ 関係者の技術力及び意欲の向上
各店舗の菓子職人が創意工夫の中で地元の素材を活用することで技術力の向上や、新たなス
イーツの創作に向けた意欲の向上につながっている。
また、イベントを通じ各店舗や職人間の意思の疎通が図られるとともに、連帯感の増進につな
がっている。
ストーリー
・これまでの「菓子和咲スイーツ物語」で開発された商品
6 今後の課題・展望
⑴ 素材の提供体制の整備
地産地消の観点からも地元の素材を使った、お客様に喜ばれるスイーツの開発が望まれるが、
スイーツの開発に適した多様な素材の提供体制について環境整備を図る必要があると考えてい
る。
7
和菓子「いもようかん」
洋菓子「抹茶オペラ」
パン「四っ蔵ロールパン」
【特徴】柏崎荒浜地区のさつまいもを
使った羊羹
【特徴】柏崎産米粉と抹茶という
「和」と、フランスの伝統菓
子である「オペラ」の組み合
わせ
【特徴】柏崎産米粉と柏崎の地酒を使
い、日本酒の香り漂うしっと
りロールパン
⑵ 会員全体のレベルアップにつながる環境整備
か し わ ざ き
ストーリー
「菓子和咲スイーツ物語」の展開は、各店舗の技術力や品質向上を図るとともに、売上増加に
つなげていこうとするものであり、各店舗が互いに切磋琢磨しながら会員全体のレベルアップ
(底上げ)につながるよう環境整備に努めたいと考えている。
7 事業者からのひとこと
『勇気を持って取り組むことが大切である。
自分たちの持っている技術力や人材などの“力”をベースにしながら、それらに磨きをかけながら
物事や事業を進めていかないと、いいものはできない。』
8
Ⅱ
農業6次産業化の取組
事例
5
JA柏崎越後姫生産部会による柏崎産越後姫の販路拡大と
特産品開発支援の取組
事業者 JA柏崎越後姫生産部会 所在地 柏崎市駅前1-3-22 代表者 部会長 堀 透
事務局 JA柏崎営農経済部営農指導課 連絡先 0257-21-2095
1 取組のきっかけ(背景)
越後姫をたっぷり使ったロールケーキ
平成22年に設立されたJA柏崎越後姫生産部会(柏崎地域の越後姫生産者6戸で構成。以下「部
会」という。)は、共同で越後姫(*)を市場に出荷しているが、収穫量が増えるにつれ規格外品(味
は良いが、小粒、熟し過ぎ等)の量も増加し、有効活用できないかと考えていた。また、稲作単作地
帯の柏崎に越後姫の新興産地が形成されつつあったが、新興産地のため、販路が不安定であった。
一方、県菓子工業組合柏崎支部(以下「菓子組合」という。)では、平成23年度に柏崎産米粉で
新商品を開発し、その後も米粉に次ぐ新商品を開発したいとの意向はあったものの、産地情報が不足
していた。
こうした中、JA柏崎や菓子組合はじめ、観光協会、商工団体、行政等関係者で構成する「柏崎地
域6次産業化推進ネットワーク会議」において、部会と菓子組合のマッチングが行われ、生産者と菓
子組合におけるWin・Winの関係を構築(6次産業化(*)の取組を推進)し、越後姫による特産
品の開発が進展している。
2 取組の概要(ポイント)
⑴ 出会いの場の設定
「柏崎地域6次産業化推進ネットワーク会議」が仲介役となり、菓子組合と生産者が出会い、
企画を練る場を形成した。
⑵ 通年出荷体制の整備
小粒や規格外の越後姫を冷凍保存し、通年出荷体制を整備し、市内菓子店の新商品開発へつな
げた。
<冷凍技術開発>
・事業活用による
冷凍施設整備
<原材料供給>
・必要量・供給量の把握
・冷凍出荷体制整備
<商品づくり>
・原材料供給
・試作品の検討
⑶ 試食会の開催
「かしわざき地場産ランチフェア」において、一般の方等から試食してもらうことで評価を商
品開発に反映した。
越後姫のいちご大福
越後姫を使ったジェラート
4 活用した支援策
⑴ 越後姫品質向上モデル産地育成事業(平成23年度県単独事業)
冷凍ストッカーレンタル料、試作用冷凍いちご代などの助成
⑵ 柏崎市の地場産ランチフェア
かしわざき地場産ランチフェアで柏崎産越後姫を使ったス
イーツについて一般消費者へのPR、試食の場を提供
越後姫を使ったシューアイス
5 取組の効果
⑴ 冷凍による通年出荷
平成25年に冷凍技術を活用することで柏崎産越後姫を加工原料として通年出荷できる体制が整
備された。(年間出荷量約2t)
⑵ 看板商品の誕生と産地PR
市内菓子店では、柏崎産越後姫を使った看板商品が誕生した。(以前は季節限定品のみだった
が、冷凍の通年供給が可能となり、定番商品になった。)
また、菓子店の店頭で「柏崎産越後姫使用」と表記することで、消費者に対して、地元に越後
姫の産地があることをPRできた。
⑶ 越後姫の品質向上
平成26年に開催された栽培技術のコンクール、新潟県施設園芸研究会「立毛品評会」のいちご
部門で、部会の2法人が入賞した。
6 今後の課題・展望
冷凍いちごの供給量はまだ余裕があり、販路の開拓が重要と考えている。
また、冷凍いちごの品質や供給体制に問題がないか検証し、菓子店等の皆さんが利用しやすいよう
にレベルアップしていきたいと考えている。
3 商品・活動の特徴
7 事業者からのひとこと
ハウスで栽培される越後姫
9
越後姫栽培の勉強会
県内の栽培技術コンクールで入賞した2法人
『越後姫の栽培は難しい面もあり、覚悟がないと入れる世界ではない。しかし、やりがいはすごく
ある。6か月、栽培作業で大変な思いをして収穫の時期に入るが、一番初めにいちごが実を結んだの
を見ると、ハウスの中で叫びたくなるほどうれしくなる。
少しずつ努力を重ねていくと、失敗もあるが、失敗を越えて、必ず成功がある。失敗は勉強になっ
て、先に進んでいく際の課題となる。少しずつ、成功が見えてくる。』
10
Ⅱ
農業6次産業化の取組
事例
6
よう じょう らん
ビタミン豊富な「養生卵」を活かした洋菓子の商品開発・販売
事業者 鎌田養鶏㈱ 所在地 刈羽村大字刈羽字西浦4273-3 代表者 代表取締役 立川 正好 担当者 専務取締役 立川 直樹 連絡先 0257-45-2476
1 取組のきっかけ(背景)
(*)
鎌田養鶏㈱は、1976年に設立された採卵養鶏業者で、日本初の「アニマルウェルフェア」
対応
鶏舎を導入するなど、衛生管理、栄養管理を徹底することで健康な鶏を飼育し、人に優しい健康卵の
生産に取り組んでいる。
よ う じょう ら ん
生産した鶏卵については、自社ブランドの『養生卵』として自社直売所等で販売するとともに、市
内菓子店等へ提供していたが、鶏卵については厳しい経営環境にある中、経営の多角化の一環とし
て、中越沖地震復興基金事業等を活用し、平成24年に刈羽村の直売所内に加工施設を導入し、かね
てから関心のあった自家製スイーツの製造、販売を開始した。
こうした中、エキシポ・イン・ミラノ(アイスクリーム世界大会)にて3年連続金賞受賞のバリス
タ横山千尋氏(㈱フォルトゥーナ専務取締役)に素材の良さを認められ、同氏の監修の下、ビタミン
豊富な養生卵をふんだんに使用した洋菓子「たまご屋さんのカタラーナ」の商品化をはじめ、付加価
値の高い商品開発と販路拡大に取り組んでいる。
2 取組の概要(ポイント)
⑴ 衛生管理・栄養管理の徹底
卵の真の品質とはその卵を産む健康な鶏を飼育するところからと考え、鶏の健康に配慮したア
ニマルウェルフェア対応鶏舎を導入するとともに、県産米や海藻、よもぎなど化学合成なしの素
材を独自の割合で配合した飼料(タチカワ・ブレンド)を与え、ビタミンE・Dを強化(ビタミ
ンE:普通卵の約11倍、ビタミンD:普通卵の約5倍)
⑵ 外部人材の活用と自社人材の育成
商品開発等に当たりノウハウがない中、マーケティングやモニタリング調査はじめ、事業計画
の策定、実践に関して6次産業化プランナー(*)を活用するとともに、支援制度を活用して自社内
における自家製菓子の製造技術者を育成した。また、「かしわざき地場産ランチフェア」におい
て、一般の方等から試食してもらうことで評価を商品開発に反映した。
4 活用した支援策
⑴ 雇用対策
雇用基金事業(平成23~25年度)
⑵ 6次産業化(*)対策
県の経営体発展支援事業(卵原料菓子「クレマカタラーナ」の商品開発(平成24年度)、販路
拡大(平成25年度))
⑶ 産業対策
中越沖地震復興基金事業(産業対策事業(被災中小企業経
営革新支援))(平成24年度)
⑷ 人材育成・販売対策
研修費用支援事業(自家製菓子製造技術習得)
(平成24年度)
販売等専門家派遣支援事業(平成24年度)
経営体企画・販売力向上支援事業(平成25年度)
※上記3つの事業すべて県単独事業
横山千尋氏(左)と商品開発打合せの様子
5 取組の効果
⑴ 経営の多角化・安定化
菓子事業の売上は、採卵養鶏事業の約1割を占め、年々ウエイトが高まり、売上高の増加とと
もに、会社を支える主要事業として成長している。
また、新たな雇用の場の創出につながっている。
⑵ 経営効率の向上
サイズが小さいなど規格外の鶏卵を、加工の分野に回せることで鶏卵全体の有効利用が可能と
なり、経営面での効率性アップにつながっている。
⑶ 鶏卵直売所への集客増加
鶏卵直売所において、菓子の販売を始めたことで相乗効果が生じ、お客様の増加につながって
いる。
また、自社で菓子製造を行っていることから、消費者の声やニーズを踏まえた商品開発、改善
等を迅速に行うことが可能となっている。
6 今後の課題・展望
菓子製造部門については、ようやく損益分岐点に立ったところで、今後、利益をどこまで伸ばして
いけるかが課題である。
お客様に飽きられない商品開発に努めなければならないと考えている。
また、スイーツに偏らず、商品の幅を広げるとともに、直売所としての付加価値を高めるため、オ
ムライスなどを提供する飲食店の経営も視野に入れていきたいと考えている。併せて、人材の育成に
も努めていきたいとしている。
3 商品・活動の特徴
7 事業者からのひとこと
アニマルウェルフェア対応鶏舎
11
加工施設でのスイーツ開発検討の様子
養生卵たまご屋さんのカタラーナ
『失敗したらどうしようと思うが、そのことを考えると足が止まる。リスクを頭に入れながらも、
自信を持ち、成功すると信じて取り組むことが大事。』
12
Ⅱ
農業6次産業化の取組
事例
7
かり
わ
ふし なり
「刈羽節成きゅうり」(伝統野菜)の復活・商品化
な
な いろ こう ぼう
事業者 刈羽節成きゅうりの会ふしなり加工部(にしなか菜々彩工房) 所在地 柏崎市橋場町13-12 代表者 部会長 堀 愛子 連絡先 0257-32-2233
1 取組のきっかけ(背景)
平成20年3月に、柏崎市西中通地区のコミュニティセンター活動として地元の歴史を伝える演劇
の上演の機会があり、その中で昭和初期まで採種用として当地で栽培され、国内はもとより世界に
かり わ ふしなり
「種」を輸出して地域経済を潤していた「刈羽節成きゅうり」の存在が明らかになった。
これを復活させ、特産化することで地域活性化に結びつけようと、平成20年7月に柏崎市の伝統
かり わ ふしなり
野菜(*)の認定を受けた「刈羽節成きゅうり」の栽培を拡大するため地元コミュニティセンターが中
心となって「刈羽節成きゅうりの会」が同月設立されるとともに、このきゅうりを活かした加工品
(漬物)を製造する「ふしなり加工部」が柏崎地域の女性農業者グループ7人により平成21年6月
に結成された。
な な いろ こう ぼう
平成22年8月には、本格的な商品化に取り組むための加工施設「にしなか菜 々 彩 工 房 」が完成
し、商品の製造販売を開始し、6種類の漬物のほか、塩漬け品、贈答用詰合せ、業務用、給食用など
を手がけている。
ロゴマークの商標登録や会員制度の発足、アンケート調査など、消費者を取り込んだ販売促進にも
力をいれている。
⑴ 地域の力の結集
平成19年からわずか5年間の中で、栽培の復活、加工品開発、商品化、商標登録という一連の
取組を、ふしなり加工部のメンバーを中心に、節成きゅうり発祥の地である西中通に愛着と誇り
を持つ住民はじめ関係機関が持てる力を発揮し、連携して展開
⑵ 商品化に当たっての研究や消費者ニーズの把握
刈羽節成きゅうりは、一般的なきゅうりに比べて皮が厚く、やや苦みと歯触りがある。
そのため漬物での食感が良いことを突き止め、漬物を中心とした加工、商品開発を進めた。ま
た、商品化に当たり地域の人々の思い出や歴史、消費者の要望を参考とし、味や商品の構成を検
討(「菜々彩くらぶ」会員の新商品アンケート協力)
3 商品・活動の特徴
13
総合学習として参加する地元小学6年生
にしなか菜々彩工房の皆さん
4 活用した支援策
⑴ 中越大震災復興基金事業
平成22年度地域復興支援事業(地域特産化・交流支援)補助金
⑵ 柏崎市単独補助事業
農林水産物地産地消支援事業(農林水産物等総合販売拠点開設・運営支援)補助金
地域営農支援事業(六次産業化支援)補助金
5 取組の効果
かり わ ふしなり
地元西中通地域の小学生も「刈羽節成きゅうり」を栽培し、イベントでは加工品の販売を手伝って
かり わ ふしなり
おり、これらを通じ、将来は自分も「刈羽節成きゅうり」の復活の取組のように地域の役に立ちたい
と思うなど、愛着と誇りの持てる地域づくり、地域の活性化につながっている。
2 取組の概要(ポイント)
演劇「刈羽節成きゅうり~今・昔~」上演
「刈羽節成きゅうり」の加工品(漬物)
刈羽節成きゅうり
6 今後の課題・展望
地元の若い人は会社勤めが多く、後継者の確保が課題と考えている。
かり わ ふし なり
また、「刈羽節成きゅうり」(平成24年6月商標登録)による地域ブランドの確立を進め、販路
開拓、新規商品の開拓による所得の向上を図ることも課題と捉えている。
7 事業者からのひとこと
『ふしなり加工部の7人は、それぞれ個性も違うが、皆が集まると力が強くなる。採算性の確保な
ど、まだまだ課題はあるが、かつて、きゅうりで地域経済を支えた先人たちに近づけるよう、7人の
カラーを大切にしながら活動していきたい。』
加工場での作業の様子
14
Ⅱ
農業6次産業化の取組
事例
8
刈羽産大豆を使用した村の特産物の商品開発
事業者 刈羽村商工会地域振興委員会
所在地 刈羽村大字刈羽111-2
代表者 委員長 太田 十志行(㈱刈羽電工 代表取締役)
事務局 刈羽村商工会 連絡先 0257-45-2386
1 取組のきっかけ(背景)
刈羽村内の農産物に、農業者、商工業者連携による高い付加価値を付けた商品開発・販路開拓に取
り組み、地域ビジネスの新たな展開と地域振興を図ることを目的として、平成23年10月、刈羽村商
工会農商工連携推進会議が発足し、関係者による検討が始まった。
こうした中、刈羽産大豆は、水田の転作作物として栽培面積が増加傾向にあり、また、村内の大豆
栽培の大部分が地元の農業生産法人(*)㈱TAC・KARIWA(タック・カリワ)に一本化され、品質、
収穫量ともに向上していたことから、刈羽産大豆の需要増を図るため、刈羽産大豆を100%使用した
豆腐の商品化に向けた取組を行うこととなった。
約1年半に渡って試作や原料大豆の供給体制の検討を重ね、平成25年4月から村内2軒の豆腐店
まめぐみ
(㈲森本食品、東屋商店)で「豆恵」の本格的な製造販売が実現した。
2 取組の概要(ポイント)
4 活用した支援策
柏崎地域振興局のフィルムデザイン費用補助
刈羽村のフィルム製作費補助(地産地消補助金)
刈羽村農業推進協議会の豆腐のPRポスター作成支援
パッケージ発表会
5 取組の効果
⑴ 原料の安定供給と生産者の所得確保
地元産大豆について、地域の6次産業化(*)のネットワークが整備されるとともに、栽培面での
適期作業の体制が整うことにより、品質、収量が向上して原料の安定供給と生産者の所得確保が
可能となった。
⑵ 転作田の有効活用と地域経済の活性化
米の需給調整に伴う水田転作作物として大豆の需要増が期待されるとともに、刈羽産大豆の特
徴を活かした刈羽村の特産物として経済効果が期待される。
また、6次産業化の進展に伴い、新たな雇用の場の創出も期待されている。
6 今後の課題・展望
⑴ 農・商工一体の連携体制による商品開発
農商工連携推進会議の下に「豆腐の商品化に向けた分科会」を設置し、生産と加工、そして販
売を繋ぐ仕組みづくりを関係者が一体となって構築し、商品開発を推進
⑵ 地元住民の力の活用
農業祭等での試食販売でアンケートを実施し、商品づくり(食味・価格等)の参考とするとと
まめぐみ
もに、商品名を刈羽小学校5年生から募集し、40以上の案の中から「豆恵」に決定。また、パッ
ケージについては、村内の若手のデザイン業者に依頼するなど、村内の地域資源をフルに活用
まめぐみ
まめぐみ
刈羽の豆腐「豆恵」をさらに広めるため、次のステップである「豆恵を使った刈羽名物料理づく
り」へ進んでいる。平成26年5月に行われた試食会では、豆腐とおからを材料にした試作品として、
おからこんにゃくの唐揚げ、豆腐ハンバーグ等が紹介され、また、11月の刈羽村収穫祭では、豆腐
バーガーの試作品が販売されたところである。
特産品の開発に当たっては、手間がかかる、集客の問題など課題も多いが、地元の名産品を生み出
していこうとの熱い思いの下、関係者の関心を高めるとともに、連携を深めながら特産品づくりに努
めていきたいと考えている。
また、刈羽村は、刈羽スポーツ・文化コミッション事業の一環として「合宿めし」に取り組んでい
るが、商工会としても、側面から応援したいと考えている。
3 商品・活動の特徴
5月の試作品試食会
㈱TAC・KARIWAによる大豆生産
地元豆腐店による豆腐製造
おからこんにゃくの唐揚げ(左)
豆腐ハンバーグ(右)
11月の刈羽村収穫祭での
豆腐バーガーの販売
「豆恵」のパッケージデザイン
7 事業者からのひとこと
『これをやると面白いと感じることでないと長続きせず、やっていけない。何かやるときには、仲
間づくりが大事。大勢の仲間がいればいるほど様々な知恵が出てくる。自分一人でやるのには、限界
がある。』
15
16
Ⅱ
農業6次産業化の取組
事例
9
森のクレープ屋さん ~米粉クレープの移動販売~
事業者 ㈲山波農場
所在地 柏崎市大字水上467
代表者 代表取締役社長 山波 剛
連絡先 0120-29-2442
クレープ生地は、米粉独特のしっとり、もちもちの食感が楽しめる。
チョコバナナ生クリームなど甘いクレープのほか、軽食としても味わえるチャプチェ、サラダク
レープなど13種類のメニューが楽しめる。
1 取組のきっかけ(背景)
農業生産法人(*)である㈲山波農場では、土づくりから収穫・精米まで一貫して自社で事業展開す
るとともに、コシヒカリをはじめ、切り餅などにも加工してホームページを通じ全国に販売してい
る。
意欲的な経営や技術改善の取組、地域社会の発展への貢献などが評価され、平成7年度の第25回
日本農業賞(JA全中、NHK等主催)では大賞を受賞している。
こうした中、市内、県内の消費者の皆様にもっと農場をPRし、米の消費拡大につなげたいとの思
いで、社長自らが好きだったクレープに着目し、山波農場産コシヒカリ1等米の米粉を100%使用し
たクレープの移動販売を始めた。
特注の移動販売車は子ども達の目を引く「クマ」をイメージした仕様となっており、活動は「イベ
ント」への出店である。
2 取組の概要(ポイント)
⑴ 米粉の活用に向けた研究
6次産業化プランナー (*)や柏崎農業普及指導センターの助言の下で試作、研究をかさねてク
レープ生地を完成
⑵ 原材料のこだわり
クレープの生地は、自社生産の主食用のお米「コシヒ
カリ1等米」を使用
⑶ 移動販売方式
「森のクレープ屋さん」というクマをイメージした移
動販売車を用意し、柏崎地域の様々なイベントへ出展
し、いつでもある感を創出
なお、イベント出店の告知は、同社のホームページで
随時行っている。
ル・レクチェシナモン生クリーム
チーズピザ
バナナアイス生クリーム
4 活用した支援策
⑴ 6次産業化プランナー(*)及び柏崎農業普及指導センターの支援
味、食感等で納得のいく「米粉クレープ生地」を見いだす
⑵ 柏崎市農林水産業費補助金(地域営農支援事業:6次産業化支援)
5 取組の効果
「米粉クレープの移動販売」は、対面販売することにより、消費者の声を直接伺うことができると
ともに、「安心・安全な農産物を生産する。」「地域農業を守っていく。」という農場の想いを伝え
ることができ、一般消費者への山波農場のPRに繋がっている。
また、主力商品である「米」の販売拡大にも繋がっている。
6 今後の課題・展望
⑴ 地域連携の拡充
イベントへの出店のほか、昨年3月には観光いちご園とタイアップした活動も行った。将来的
には、米粉クレープの中身に連携農場の農産物を活用していくような地域連携も考えている。
(有)山波農場の稲刈り
⑵ 集落の活性化・雇用の場の創出
農業体験、蛍見学ツアーなど集落と都会の人との交流も積極的に行っており、集落の雇用の場
の創出や魅力と活気ある集落づくりに取り組みたいと考えている。
3 商品・活動の特徴
7 事業者からのひとこと
『移動販売により、様々な場所で、様々な人と接することで、いろいろなことを聴かせていただけ
る。
一番うれしかったことは、小麦粉のアレルギーの子にクレープを食べさせてやれたこと。うちが
あって初めてその子が食べられたわけだから、これほどうれしいことはない。』
移動販売車「森のクレープ屋さん」
17
柏崎市内のイベントへの出店
18
Ⅱ
農業6次産業化の取組
事例
10
国内初のリゾット用米品種を活用した商品開発
事業者 ㈲ファーミング・スタッフ
所在地 柏崎市西山町内方326
代表者 代表取締役 安野 広明 担当者 生産本部長 力間 幹彦
連絡先 0257-48-2281
4 活用した支援策
⑴ 農研機構との共同研究契約
なご
新品種の栽培に当たって、「和みリゾット」を開発した農研機構中央農業総合研究センター北
陸研究センター(上越市)の指導や、現地実証圃場における栽培方法の検討
⑵ 国のソフト事業の活用
6次産業化ネットワーク活動交付金による新たな商品開発に係る経費の補助
1 取組のきっかけ(背景)
㈲ファーミング・スタッフは、平成2年に設立された農業生産法人(*)で、稲作を基幹として、野
菜栽培と餅加工を組み合わせた複合経営に取り組んできた。
こうした中、米の新規需要の拡大を図るため付加価値の高い加工品を開発・販売することにより、
米価下落に対するリスク軽減と経営の安定化に役立てようと、平成24年から(独)農業・食品産業
技術総合研究機構(以下「農研機構」という。)や大学、民間企業とリゾット(*)用米の調理適性に
関する契約を調印し、現地実証圃場として栽培実証を実施してきた。
5 取組の効果
まだ、事業は初期段階であり、取組効果はまだ出ていない。
なご
市内外のレストランと連携し、柏崎国産リゾット米協議会が企画した「和みリゾットフェア」や、
なご
柏崎市主催の「かしわざき地場産ランチフェア」等の取組がメディアに取り上げられ、「和みリゾッ
ト」が関係者や市民に認知されつつある。
6 今後の課題・展望
2 取組の概要(ポイント)
農林水産省から平成26年5月30日に認定を受けた六次産業化・地産地消法に係る総合化事業計画
の概要(計画)は、以下のとおりである。
なご
⑴ 国内初のリゾット用米「和みリゾット」(平成25年10月品種登録出願公表)を、イタリア料理専
門店向けに精米販売するほか、手軽に調理できる「リゾットセット」や「調理済みリゾット(乾
燥及びレトルト)」を商品開発し、生協、米穀販売業者及びネット販売業者を通じて一般消費者
に販売する。
栽培については、区画ごとに肥料の種類や量を変えるなど試行錯誤の状況であるが、一歩ずつ栽培
技術を確立していきたいと考えている。
当社では、生産したリゾット用米を用いて家庭で手軽に本場イタリアのリゾットの食感を再現でき
る「リゾットセット」等の開発を行っている。当社だけでなく、柏崎刈羽の多くの生産者や、多様な
業種の方々と関係者が知恵と工夫を出しながら、柏崎の特色を活かした新たな特産品づくりを目指し
ている。
また、「柏崎国産リゾット米協議会」の会員を増やし、会員のネットワークを活かして、商品のブ
ラッシュアップや新たなレシピ開発、販路の拡大も目指している。
⑵ 農研機構との利用許諾契約により種子を確保し、平成26年は2ha作付けしており、平成30年に
は4haまで作付けを拡大し原料米の確保に努める。
7 事業者からのひとこと
3 商品・活動の特徴
・柏崎国産リゾット米協議会の活動
当社、研究機関(新潟大学)、市内・外のイタリア料理店等の関係者により柏崎国産リゾット米協
議会を設立し、他産業とのネットワークを構築した。関係者が得意分野を活かして連携・協力しなが
ら、栽培から商品化までの一連の取組を実践している。
左:和みリゾット 右:コシヒカリ
19
柏崎産真鯛(左)とサフランのリゾット
『米づくりだけでなく、そこから先の事業まで参加させてもらっている。企業の方と意見交換し、
商品開発等に取り組んでいるが、こうした中で、これまで知らなかった生産以降のお客様に届くまで
の過程がわかり、勉強になるとともに、自社の成長にもつながっている。従来の米の加工・商品開発
だけでなく、他の作物にも発展、応用できるのでないかと思っている。
一方、新事業展開へのチャレンジには資金も必要となる。自社の基本部分(本業)である水稲栽培
や枝豆栽培がしっかりしていて、新しいものへのチャレンジもできるものと考えている。』
リゾット米の試食会
20
Ⅱ
農業6次産業化の取組
事例
11
有機JAS認証コシヒカリ100%の米粉による生パスタ
(麺)の商品開発
事業者 ㈱孫作
所在地 刈羽村大字赤田北方704-2
代表者 代表取締役 水品 栄人
連絡先 0257-35-8035
⑴ 経営体育成支援事業(国補助事業)
製麺機及び付随機器の整備
⑵ 外部人材の活用
6次産業化プランナー(*)(米粉の活用及び製麺技術の改善指導)
刈羽村商工会青年部(販売方法等のノウハウ支援)
1 取組のきっかけ(背景)
㈱孫作は、米の生産・販売を行う農業生産法人(*)である。消費者に安全・安心な農産物を提供す
ることをモットーに、徹底した栽培管理や有機JAS認証(*)を受けるなどの取組を行ってきた。
こうした中、米価の下落等、外部環境が厳しくなってきており、米の生産・販売以外の新たな取組
による経営の多角化が必要であるとして、社内で検討を行ってきた。
その結果、全くの異業種への進出は莫大な費用とリスクを負うことになることから、自社生産した
農産物を加工し、新たな価値と需要を生み出していく意向を固めた。
現在、有機肥料とミネラル肥料を使用して栽培し、有機JAS認証を受けたコシヒカリ100%の米
粉を原料にした生パスタ(麺)の商品開発に取り組んでいる。
5 取組の効果
⑴ 自社評価の向上
イベント等での試食販売により自社の認知度が向上
⑵ 米の品種による麺の特性理解深化
パスタの試作・試食・求評を重ねることにより、現在使用しているコシヒカリ100%の米粉によ
る生パスタは粘りが強すぎる特性があることがわかるなど、米の品種による麺の特性理解の深化
につながっている。
6 今後の課題・展望
2 取組の概要(ポイント)
⑴ ベースとなる米作りに当たっては消費者の健康志向や安全・安心のこだわりを重視
⑵ 付加価値を付けるため化学合成農薬や化学肥料を使用せず、手作業で草取りなどを行った有機
JAS認証を受けたコシヒカリ100%原料を使用
⑶ 自社生産米の米粉や野菜を使用した生パスタの開発
⑷ 様々な分野のプロと連携し、商品開発や販路を検討
商品が徐々にできあがってくる中で、「販売先」の問題が生じてくる。
飲食店への卸売、既存の顧客への直売、インターネット販売、直売所、スーパー、高速道路のサー
ビスエリアなど、様々な販路に対応できるように商品の開発や販路拡大を進めていきたいと考えてい
る。
また、米粉麺などの商品が、地域の活性化や町おこしにつながっていくよう、行政との連携も強め
ながら取り組んでいきたいと考えている。
7 事業者からのひとこと
3 商品・活動の特徴
21
4 活用した支援策
『これまで一農家として田のことや米のことしか考えてこなかったが、米粉の加工という新たな取
組を始めることで、製麺機メーカーなどこれまで接点のなかった多様な分野のプロと連携することが
できた。
様々な分野を知ることにより、全体の中での自分(農家)の位置づけがわかるようになり視野が広
がるとともに、新たなビジネスチャンスを見いだす機会にもつながっている。』
有機栽培米の栽培
原料の米粉
コシヒカリ100%の「米の粉」を
手に持つ水品社長(中央)
パスタ製造機械
ホウレン草を練りこんだ麺
県内のイベントへの出店
22
Ⅲ
建設業から新分野進出の取組
事例
12
柏崎地域初の建設業からの農業参入・観光いちご園の展開
事業者 ㈱ファームくじらなみ
所在地 柏崎市鯨波乙568-6
代表者 代表取締役 吉原 みや子 担当者 取締役 吉原 明(㈱吉原工業 代表取締役)
連絡先 0257-24-7555
4 活用した支援策
⑴ 雇用対策
雇用基金事業(平成23・24年度)
⑵ 生産対策
新潟県農林水産業総合振興事業(越後姫特認)(平成22、23、25年度)
*鉄骨ハウス 20m×50m×4棟の建設支援
⑶ 経営対策
中山間地域新規就農者確保モデル事業(県単独事業、平成23年度~)
1 取組のきっかけ(背景)
㈱吉原工業(建設業)は、減少を続ける建設事業への対応と冬期間の除雪人員を確保するため新規
部門として平成21年度に特定法人貸付事業で農業に参入し、水稲49㌃のほか、ブルーベリー40㌃で
農業を始めた。
(*)
平成22年度には有限責任事業組合(LLP)
柏崎いちご農園を同社を含む4経営体で設立し、鉄骨
ハウス1棟(10㌃)で越後姫(*)の栽培を開始した。
平成22年9月に、新たに農業法人(*)㈱ファームくじらなみを創設し、水稲・ブルーベリー部門を
同社に一元化するとともに、平成23年度には、㈱ファームくじらなみが鉄骨ハウス2棟(20㌃)で
越後姫の栽培を開始した。
現在、4棟の鉄骨ハウス(LLP所有1棟+㈱ファームくじらなみ所有3棟)で越後姫を栽培してお
り、「柏崎の冬を元気にしたい」との強い思いの下、観光いちご園を主体として、販売・加工に取り
組み、園芸部門の拡大を目指している。
5 取組の効果
⑴ 経営の多角化の推進
農業法人の売上高は着実に増加しつつあり、経営の安定化につながるとともに、年間を通じた
雇用の場の確保に役立っている。
⑵ 観光交流人口の拡大促進
平成26年2月から6月までの観光いちご園への入場者数は約15,000人と冬場においても多くの
客でにぎわい、観光いちご園が新たな観光資源として柏崎地域の知名度向上、PRに役立ってい
る。
また、車いすでも対応できる施設のため、社会福祉施設からの来場者も多く、福祉の向上にも
貢献している。
2 取組の概要(ポイント)
⑴ 地域の声に応えて農業を営み発展する会社
安全でおいしい農産物の提供、中山間地域の農地保全、観光スポットの創出のために、水稲+
園芸(越後姫・ブルーベリー)の複合経営を展開している。
⑵ 中山間地における“こだわり米”の直接販売による所得確保
水稲については、中山間地域の農地を中心に受託することにより耕作放棄地の発生防止と生産
環境を活かした高付加価値米の生産に努めている。
⑶ 越後姫・ブルーベリーの生産・加工及び観光産業と連携した事業展開
園芸については、越後姫を活用した観光いちご園に加え、観光ブルーベリー園も開園するな
ど、地域の園芸振興のみならず、観光振興にも貢献している。
3 商品・活動の特徴
6 今後の課題・展望
⑴ 規模の拡大
3棟の観光用ハウスでは連休期間中に量が足りなくなり、逆に平日は来客が少ないためいちご
が残って熟しすぎてしまうなど観光農園の難しさを感じている。平日の来客確保の対策をとると
ともに、平成26年度の来客者や出荷状況などを見極めながら、平成27年度以降の増築を視野に入
れ取り組んでいきたいと考えている。
⑵ 人材の育成
農業や園芸に関しては一から始めたもので、適正な技術を有する社員の確保や育成が重要と考
えており、県はじめ関係機関からの支援も活用しながら技術力の向上を図りたいと考えている。
併せて、車いすのお客様へのサポート等、接客に関する社員教育の徹底に努めたいと考えてい
る。 7 事業者からのひとこと
『新たな事業を展開するに当たっては、「柏崎の冬を元気にしたい」など、企業理念を持って取り
組まないと農業経営環境が厳しい中で積極的な取組ができない面もある。
こうした中、お客様から「おいしかった」という言葉をかけていただいたり、ハウスの中で赤いい
ちごを見て、喜んでいただいている姿を見ることは、新事業を展開してよかった、仕事冥利に尽きる
と感じている。』
観光いちご園外観
23
通路が広く高設栽培のため車いすでも
来場できる
いちご狩りを楽しむ子供たち
24
Ⅲ
建設業から新分野進出の取組
事例
13
4 活用した支援策
日本海の石地沿岸で育てるワサビ栽培革命
⑴ 先行同業者からの指導、助言等の支援
事業者 日本海 石地わさび園(㈱土佐工務店)
所在地 柏崎市西山町大崎1788-6
代表者 代表取締役 土佐 邦夫
連絡先 0257-47-7028
⑵ 支援機関及び県の支援策の活用
新分野新出・施設整備に当たり、にいがた産業創造
機構の建設企業経営革新支援事業及び県農林水産業総
合事業を活用
1 取組のきっかけ(背景)
㈱土佐工務店(建設業)は、公共工事が削減され、経営の多角化を模索する中、同業の㈱渋谷建設
(糸魚川市)が先行して手がけているわさび栽培に着目し、自社の土地やミネラル豊富な地下水がわ
さび栽培に適していることがわかり、㈱渋谷建設の技術提供を受けながら平成23年に1棟目のわさ
び栽培ハウスを建設した。
以後、安定栽培が見込めると判断し、平成24年には栽培ハウスの増設と併せ、加工場等の建設を
進め、平成25年4月に開園した。
現在、全4棟の栽培ハウスで7種類約2万本のわさびを栽培するとともに、平成26年7月には
バーベキュー施設を設置した。
新たな地域の特産品であるわさびの栽培から加工・販売まで一貫して取り組み、海水浴や観光で遊
びに来た家族等に楽しんでいただける新潟でオンリーワンの観光わさび園を目指している。
2 取組の概要(ポイント)
⑴ 新分野進出事例の研究と自社資源の活用
新分野進出に当たり同業者(建設業者)の先行事例を研究するとともに、自社の有する資源の
強みを活かし、最適の進出分野を選択
⑵ 先行同業者及び支援機関の活用
⑶ ロケーションを活かした観光わさび園構想
周辺の県内有数の海水浴場や雪割草の里などに訪れる観光客を視野に入れながら、家族等が楽
しめる新潟でオンリーワンの観光わさび園を目指す。
⑶ 本場長野県での試食による評価の獲得
わさび生産量全国1位の長野県に赴き、すし店で試食
してもらいお墨付きを得る。
石地わさび園外観
5 取組の効果
⑴ 経営の多角化の推進
わさび園における売上高は、順調に伸びており、安定経営・多角化に向け着実に前進してい
る。
⑵ 観光交流人口の拡大促進
平成26年度(4月~9月)のわさび園への入場者数は約9,000人と、施設の拡充に伴い増加して
おり、わさび園が新たな観光資源として柏崎地域の知名度向上、PRに役立っている。
6 今後の課題・展望
⑴ 地元観光資源との連携
隣接する石地、大崎等の海水浴場や、ゴルフ場、雪割草、温泉施設等の観光資源と連携し、観
光わさび園への来客増加を図るとともに、施設の拡充を図り、付加価値を高めた事業を展開する
ことで地域の観光事業の発展に貢献したいと考えている。
⑵ 販路開拓・地産地消の促進
わさびについて、市内飲食店への供給のほか、加工業者へも提供し、自社のほか、他の業者で
も本農園で生産されたわさびを活用して新たな価値を創造し、所得の向上を目指したいと考えて
いる。
3 商品・活動の特徴
7 事業者からのひとこと
わさびの栽培ハウス
25
生わさび
直売所(売店)
『新事業展開を検討する事業者は、本業に対する負担が大きいため、新分野への進出には消極的に
なり、実際には進出が難しいのが現況と捉えている。
しかしながら、本件事業のように他にはない環境でのわさび栽培、斬新な観光農園販売事業などオ
ンリーワンの要素を持つことで、事業の拡大や雇用の安定につなげることは十分可能と考えている。
また、中小零細企業が新規事業を立ち上げ効果的な収益をあげるまでには、設備投資資金や人材、
情報など多岐にわたる課題が存在する。行政機関には、こうした様々な課題を解決するための支援制
度の拡充を期待したい。』
26
Ⅳ
地元大学の知的資源を活かした取組
事例
14
地元2大学の学生がまちの活性化に取り組む「まちかど研究室」
事業者 新潟産業大学 所在地 柏崎市軽井川4730 代表者 学長 北原 保雄
担当者 経済学部講師 権田 恭子 連絡先 0257-24-6655(総務課)
事業者 新潟工科大学 所在地 柏崎市藤橋1719 代表者 学長 長谷川 彰
担当者 建築学科准教授 長 聡子 連絡先 0257-22-8110(キャリア・産学交流推進課)
⑴ 柏崎市の柏崎の個性・魅力づくり調査研究委託事業(*)
(空き店舗活用事業)
⑵ 柏崎市の元気なまちづくり補助金事業(*)
5 取組の効果
1 取組のきっかけ(背景)
柏崎駅前のニコニコ通り商店街の空き店舗を活用した「まちかど研究室」(以下「まち研」とい
う。)が新潟産業大学・新潟工科大学と柏崎市の連携事業として平成24年7月に設立された。
まち研は、①柏崎市中心部の賑わいづくりを目指し、両大学の学生たちが地域の方々と交流・連携
してまちづくり活動を行うとともに、②郊外に立地する大学の魅力(研究成果や学生活動等)をまち
なかで発信する拠点となっている。
経済学や工学を学ぶ学生がそれぞれの専門分野を活かしながら、学生の視点でまちづくり活動に取
り組んでいる。
2 取組の概要(ポイント)
⑴ 専門知識を活かした空き店舗の有効利用
空き店舗の内装を新潟工科大学の建築の知識・技術を活かして改修するとともに、駄菓子屋の
営業(平成25年度)に当たっては、新潟産業大学の経営面の知識を活かし、駄菓子の仕入れや運
営の仕組みを考えながら展開するなど両大学の専門知識を活用
⑵ 商店街との関係性の深化
ニコニコ通り商店街で以前実施されていた「七夕」を、商店街とまち研で共同開催するなど協
働のプロジェクトを実行することで商店街との関係性を深化
また、活動資金の調達に当たっては、柏崎市の元気なまちづくり補助金事業(*)に商店街と一体
となって応募し、採択され、当該補助金を活用
⑶ 周囲を巻き込むイベント(「柏崎最高プロジェクト」)の展開
柏崎の最高にすばらしい所やものを写真や動画、絵画等の作品として市民に応募してもらい、
こうした活動を通じて柏崎の魅力を多くの人と共有することをねらいとする「柏崎最高プロジェ
クト」(まち研主催)について、審査や表彰式、作品展示などで商店街はじめ関係者の協力の
下、一体となり展開
3 商品・活動の特徴
⑴ 空き店舗を利用した駄菓子
屋の運営(平成25年度)
4 活用した支援策
⑵ ニコニコ通り商店街の再生に
向けた「七夕イベント」の復活
⑶ 柏崎市の魅力を共有・発信する
「柏崎最高プロジェクト」の展開
⑴ 商店街の活性化に向けた気運醸成
「柏崎最高プロジェクト」では、幅広い年齢層をターゲットに作品の応募を呼びかけ応募数の
増加につなげるとともに、副賞である賞品券の利用可能商店街や店舗を学生が交渉して拡充する
などし、商店街の活性化につなげる取組を展開している。
「柏崎最高プロジェクト」をはじめ、一連のまち研の取組を通じ、学生がこれまで足を向ける
ことがなかったまちなかに訪れ、活動する姿を見せることができるようになったことで、商店街
の再生、活性化に向けた気運醸成の一助となっている。
(注)「柏崎最高プロジェクト」における応募作品数の推移は、以下のとおり。
・第1回(平成23年)9作品 ・第2回(平成24年)57作品 ・第3回(平成25年)98作品
・第4回(平成26年)47作品 ※第1回は動画のみ、第4回は写真のみの募集
また、商品券は、ニコニコ通り商店街のほか、駅前商店街、駅仲商店街で利用可能となっている。
⑵ 大学の魅力発信・産学連携の促進
大学と地域が直接つながる機会が増えることで、大学の魅力発信や産学連携の取組が着実に進
展するとともに、まち研がこうした窓口であることの認知度が向上している。
6 今後の課題・展望
まち研の取組については、学生の地域活性化活動として大学の魅力発信に寄与しているが、大学の
通常の研究活動や学生活動の魅力発信には不十分な状況である。
このため、情報発信基地としてのまち研の有効活用方法を検討し、大学の本来の機能としての知的
資源を地域に公開したり、共有したり、さらには、地域と連携して有効活用することにつながるきっ
かけづくりにまち研を有効利用できればよいと考えている。
7 商店街等からのひとこと
『商店街の様々なイベント実施に当たり、まち研の学生は不可欠の存在。まち研のおかげで、小中
学校の児童、生徒等との関わりを増やすことができた。学生のやる気や一生懸命さが我々にも伝わ
り、まだまだ何かをやっていけるのではないか思う。』 (ニコニコ通り商店街 小川理事長)
『学生たちとまち(商店街)の繋がりが、このまち研にあるのはすばらしいと思う。
まち研をきっかけに何かに繋がっていってほしい。』 (駅仲商店街 植木理事長)
『学生たちのみずみずしい感性には、日頃の仕事で手一杯の私には驚かされることがいっぱいで
す。』 (駅前商店街 中澤理事長)
『6年生は、総合学習でまちづくりに取り組んでいる。まち研の学生たちとの関わりは、柏崎のま
ちへの思いや、まちづくりへの意欲を高めることにつながった。積極的に活動している姿は、6年生
にとっては身近な良い手本となっている。』 (柏崎小学校 宮澤先生)
27
28
Ⅳ
地元大学の知的資源を活かした取組
事例
15
新潟産業大学と地元老舗菓子店とのコラボレーションによ
る商品開発・販売
事業者 新潟産業大学 所在地 柏崎市軽井川4730 代表者 学長 北原 保雄
担当者 経済学部教授 阿部 雅明 連絡先 0257-24-6655(総務課)
事業者 ㈱新野屋 所在地 柏崎市駅前1-5-14 代表者 代表取締役社長 新野 京一
担当者 専務取締役 新野 良子 連絡先 0257-22-2337
1 取組のきっかけ(背景)
新潟産業大学経済学部経済経営学科 阿部ゼミナールでは、研究テーマ「地域通貨を使った棚田保
全と地域経済の活性化」の一環で、柏崎市の農家の協力の下、手植えで、無農薬、はざ掛け天日干し
の米づくりを行っている。
例年、学園祭で米の販売を行うだけだったが、この美味しい米を使ったお菓子を作りたいと考え、
あ じろやき
べい
地元の老舗菓子店「新野屋」に協力を依頼し、柏崎銘菓「網代焼」をベースに『風の味たな米』を商
品開発した。
大学の研究室などが関わった食品を“大学発”のうまいものとして展示・販売するイベント、「大
学は美味しい!!フェア」(平成26年5月28日~6月3日 新宿高島屋で開催)に参加し、学内の複
数のゼミナールがそれぞれの専門を活かしながら、協力して出品し、来場者から高い評価を得た。
⑴ 大学内の総合力の発揮
阿部ゼミナールが栽培した原料米を基に開発したお菓子
を、権田ゼミナール(マーケティング、広報・PR)、梅比良
ゼミナール(アグリ・フードビジネス)の学生が商品の魅力
を伝えるための店頭ディスプレイ、販売等を担当し、大学の
教員、学生が一体となり総合力を発揮
5 取組の効果
⑴ 大学側
「大学は美味しい!!フェア」への参加大学は農学部な
どが多い中、新潟産業大学は経済学部であり、流通やま
ちづくりにどう役立てられるかという面も含め実践例を
通じて検証でき、今後の大学の授業のあり方等を考えて
いく上でも有意義なものとなっている。
また、学生自身がお客様相手に直接販売することで、
学生の現場感覚を養う貴重な勉強の場となっている。
「大学は美味しい!! フェア」の産業大コーナー
⑵ 企業側
産学連携は、直ちに企業側の利益のつながるものでは
なく、むしろ負担やリスクが大きい場合もあるが、自社
柏崎いいとこどり「お米編」
6 今後の課題・展望
⑴ 大学側
この産学連携の事業は始まったばかりであり、まだまだ、地域活性化に貢献するという状態で
はないが、今後、地元商店のご協力をいただきながら、取組を発展、深化させると同時に、理論
と実践の両輪から即戦力となる人材の育成に努めたいと考えている。
学生たちによるお米づくり
3 商品・活動の特徴
べい
⑵ 企業側
産学連携の入口で、お互いにリスクを背負いすぎると先に進まなくなる。産学連携を促進する
には、外に目を向け、他者と組んでみようという気持ちを持ち、徐々に、いい関係を持続させる
ために互いに模索していくことが大切と考えている。
また、企業は利益を追求しないと生き残れない組織ということを大学側も十分理解し、企画の
段階から互いの立場を理解し合い、一つの目的に向かうプロセスが重要と考えている。
7 事業者からのひとこと
『風の味たな米』
新潟産コシヒカリに、学生が柏崎で栽培した
天日干し米を加えた網代焼
有機醤油のたれをかけた小魚型のせんべい
ふう りん
『とびっきりの網代焼 風輪』
風の味たな米のピリ辛味の姉妹品
柏崎市の柏崎の個性・魅力づくり調査研究委託事業(*)
(地域通貨「風輪通貨」による地産地消の推進) を活性化する上で連携し、外に目を向けていくことは重
要であり、また、そうした企業の姿勢は、関係業者から
は視野が広い企業と認められるなど肯定的な評価を得ら
れ、有意義な取組となっている。
2 取組の概要(ポイント)
⑵ 地元菓子店の理解・協力
既にJA柏崎とのコラボレーションにより柏崎産こしいぶ
きを使用した網代焼の製造販売を行うなど、外部との連携に
実績のある新野屋の理解と協力の下、産学連携がスタート
4 活用した支援策
柏崎銘菓「網代焼」
⑴ 大学側
『本学は経済学部を有する大学であり、学生は経済理論、経営理論を中心に学んでいるが、本
事業では、教室で学ぶことができない、地域社会での実践的な経済活動を学ぶことができる。本
事業によって、学生の成長と地域の発展が同時に達成されることを期待している。』
⑵ 企業側
『大学(学生)との連携は、若い人たちの感性や、ニーズを取り込む機会にもなる。また、学
生と一緒に取り組むのは楽しい。企業側ももっと関心を持ち、目を向けてはどうか。今後、連携
先が地域に広がることを期待したい。』
29
30
Ⅴ
かしわざき広域ビジネス応援ネットワークを活かした取組
事例
16
地域プラットホームを活用した新潟工科大学と酒造会社の
コラボレーションによる日本酒ラベルのデザイン・商品化
事業者 かしわざき広域ビジネス応援ネットワーク 所在地 柏崎市東本町1-2-16 代表者 柏崎信用金庫 理事長 佐藤 俊雄 担当者 柏崎信用金庫 融資部次長 山田 秀貴 連絡先 0257-24-3321
事業者 新潟工科大学 所在地 柏崎市藤橋1719 代表者 学長 長谷川 彰
担当者 建築学科准教授 黒木 宏一 連絡先 0257-22-8110(キャリア・産学交流推進課)
事業者 石塚酒造㈱ 所在地 柏崎市高柳町岡野町1820-2
代表者 代表取締役 石塚 政子 連絡先 0257-41-2004
酒造見学会
1 取組のきっかけ(背景)
石塚酒造では、先代社長が平成24年に急逝され、現社長が急遽代表者に就任された。
こうした中、現社長から柏崎信用金庫へ経営についての相談が持ち込まれ、同社と柏崎信用当金庫
との二人三脚での経営支援が開始された。
柏崎信用金庫では、まず、同社の経営支援として同社商品のマーケティング分析を行い、調査結果
から、商品の味には定評があったものの、20代から40代向けの若い層の商品ラインアップが無かっ
たことから、パッケージのリニューアルによる若者向け新商品開発、地元イベント開催による地域活
性化、販路開拓等の支援を実施することとなった。
2 取組の概要(ポイント)
柏崎信用金庫では、同社の支援及び高柳町地域の面的再生を視野に入れて考えていたため、地元に
愛される商品、企画を立案し、いかに地域を本企画に巻き込むかということに重点を置き、関係者の
連携と役割分担の下で事業を展開した。
【連携体制と役割】
柏崎信用金庫:企画、運営、商品化、販路拡大支援
新潟工科大学:学生によるパッケージデザイン、大学内プレゼンテーション及び
公開プレゼンテーション
高柳町商工会:大学生への現地紹介、地元イベント開催(公開プレゼンテーション)
デザイン会社:学生が作成したパッケージデザインの修正、商品化
デザインコンテストから商品になった
「きつね参り」
4 活用した支援策
(*)
による外部連携を活用
「かしわざき広域ビジネス応援ネットワーク」
(代表機関 柏崎信用金庫)
5 取組の効果
⑴ 売上高の向上
本商品は平成26年6月13日に限定1,000本で発売されたが、10月には完売し、現在は増産して
販売中というヒット商品となり、売上高増加の一助となっている。
⑵ 大学の生きた教材との評価
ラベルデザインに先立ち、せっかくならば全学年を対象とした学内コンペ形式で作品を応募し
ようという企画が持ち上がり、建築学科に入ったばかりの1年生にとっては、デザインソフトの操
作方法からデザインの生み出し方まで一連のトレーニングを行いながらのラベルデザインとなっ
た。
また、ラベルデザインに当たり、高柳町商工会、石塚酒造の協力を得て、高柳の風土、文化、
観光、酒造などについて現地見学会を開催し、ラベルデザインのヒント、モチーフを得る貴重な
機会となり、地域の生きた教材を活かしたデザイン教育の場となった。
⑶ 地域振興策として定着
地元高柳町商工会に連携を依頼した中、地域の方々の投票によるデザインコンテストを実施し
たところ、大きな反響を呼び、高柳町デザインコンテストとして毎年開催されることが決定し
た。
6 今後の課題・展望
3 商品・活動の特徴
地元大学生が日本酒ラベルをデザインし、日本酒ラベルコンテストを実施
コンテストは、地域の方々による投票で行われ、グランプリ作品を商品化
新潟工科大学 建築学科2年 内山由貴さんの作品がグランプリ
狐の夜祭りをモチーフに高柳町の四季を彩った、若者層を
ターゲットとしたラベル
商品名:きつね参り(本醸造)
内容量/価格:720ml(1,200円)限定1,000本
180ml(300円)
原材料:米、米麹、醸造アルコール
〈ラベルデザイン〉
味の特徴:ソフトなすっきりとした味わい。常温、お燗
高柳は特に自然に囲まれていて四季の感
でも美味しく頂ける。
じられる地域なので、丸い格子窓からの風
景と小物を季節ごとにデザインした。
31
石塚酒造での商品発表会
かしわざき広域ビジネス応援ネットワークでは、高柳町地域再生、振興の観点から、高柳町デザイ
ンコンテストを継続的な地域おこしイベントとして確立していけるかが、今後の課題と考えている。
7 事業者からのひとこと
『石塚酒造における取組のきっかけは、かしわざき広域ビジネス応援ネットワーク(プラット
フォーム)の柏崎信用金庫との出会いである。それまで取引があったわけではないが、担当者にも恵
まれ良い結果につながったと受け止めている。
この取組でうれしかったことは、高柳町の多くの方がラベルのコンテストに参加、協力していただ
いたことで、地域の一体感醸成に役立てたのではないか。
新事業展開を考えている方には、頭の中で考えているだけでなく、プラットホームに足を運んで相
談し、企画を練り上げたら実行して行くことが大事と伝えたい。』
32
Ⅵ
地域住民が一体となった取組
事例
17
日本のふるさと・原風景を未来につなげる小さな集落荻ノ
島の挑戦
⑵ 再生家屋を活かした若者等の定住促進と仕事づくり
事業者 荻ノ島地域協議会 所在地 柏崎市高柳町荻ノ島1053-1 代表者 会長 春日 俊雄 連絡先 0257-41-3290
事業者 特定非営利活動法人 かやぶき集落荻ノ島 所在地 柏崎市高柳町荻ノ島969 代表者 春日 俊雄 連絡先 0257-41-3295
1 取組のきっかけ(背景)
荻の島の暮らしを体
験する移住ハウス
若い芸術家を支え
る滞在型創作拠点
(アート・イン・レ
ジデンス)の取組
⑶ 集落の小さなブランドづくり
荻ノ島集落では、昭和63年から20年以上にわたり、茅葺き環状集落の景観を地域資源と位置づ
け、都市との交流を軸に、集落一体となってイベントや茅葺き宿の運営、景観保全などに取り組み、
その結果、交流人口が飛躍的に増加するとともに、多くのマスコミから取材を受け、全国的にも認知
度が高くなった。
しかし、その一方で、集落の高齢化が一段と進み、茅葺き屋根の補修もそれぞれの世帯では難しく
なってきた。また、人口減少から空き家が増えるとともに、取り壊す事例が目立つようになってき
た。
こうした状況を打開するため、平成22年度に集落としての再生産を目指し「荻ノ島地域協議会」
を設立するとともに、翌年度には「荻ノ島集落の新たな10年を目指すビジョン」(以下「ビジョ
ン」という。)を策定し、持続可能な集落を目指している。
また、平成25年度には、荻ノ島集落の保全・再生・活用を支援し、持続的な活力ある集落づくり
を推進するとともに、各地における農村集落及び都市住民との交流を通じてこれからの農村集落のあ
り方等について研究することを目的とする「NPO法人かやぶき集落荻ノ島」が設立され、一体的な
取り組みが行われている。
都内丸善書店
物産展示・販売
直売所「つばくろ」
のチラシ
4 活用した支援策
柏崎市地域活性化支援員の受入、柏崎市の支援による茅葺き景観の保全事業
国土交通省の「歴史的風致維持向上推進等調査」
(一財)ハウジングアンドコミュニティ財団の「住まいとコミュニティづくり活動助成」
新潟工科専門学校との古民家再生連携協定
UAゼンセン新潟県支部(流通、繊維などの労働組合)との荻ノ島里づくり連携協定
新潟産業大学との農地維持・資源向上活動に係る連携
5 取組の効果
2 取組の概要(ポイント)
ビジョンが目指すものは、集落としての再生産であり、具体的には、以下の観点で取り組んでい
る。
⑴ 外部人材との連携による茅葺きの空き家再生と再活用
⑵ 再生家屋を活かした若者等の定住促進と仕事づくり
⑶ 集落の小さなブランドづくり
3 商品・活動の特徴
ビジョン策定の翌年度から、若手大工や建築を学ぶ学生などを対象に、地元の建築士等専門家の協
力を得ながら、空き家となった茅葺き家屋の修繕作業を行う「茅葺き古民家ワークショップ」プロ
ゆ
ジェクトがスタートし、集落の人々と参加者との交流を通じて地域内外の新たな“結い”(*)を構築
し、茅葺きの環状集落の景観を保全していく取り組みが進んでいる。
また、空き家を芸術を志す若者の創作と発表の場にし、芸術を通して地域住民との交流を進め、活
性化を図ろうとするアーティスト・イン・レジデンス
(若い芸術家を支える滞在型創作拠点)
の取組や古民
家レストラン実施計画の策定準備も進められるなど、ビジョンに基づく取組が着実に進展している。
6 今後の課題・展望
⑴ 外部人材との連携による茅葺きの空き家再生・再活用と景観保全
集落の再生産に向け、若者が定住できる持続型の事業を立ち上げたり、それを支える地域経済につ
ながる交流
(量より質を重視)
の確立が課題と捉えており、景観保全はそのための舞台装置作りと考え
ている。来年度は、むらのレストラン整備が本格的に動き出すなどビジョンの折り返しの年になるこ
とから、協議会としても引き続き、関係者と連携して作業が進むよう努めていきたいと考えている。
一方、改修に当たっては資金調達が大きな課題となるが、これまで培ってきた人的ネットワークの
活用と併せ、クラウドファンディング(*)などの仕組みも活用したいと考えている。また、寄付金の
お返しに集落のコメや野菜を発送することで地域内の経済循環にもつながるとともに、そこで生まれ
る交流から新たな荻ノ島のファンづくりへつなげていければと考えている。
建築を学ぶ学生による茅葺き空き家の修繕
にいがたイナカレッジ(農山村体験型
インターンシップ・プログラム)の受入
道路わきの草刈りを行う
UAゼンセンと地元の人たち
7 事業者からのひとこと
『インターンシップの若者や学生が一生懸命に取り組む姿は、それだけで集落が明るくなり、村の
人も感激している。若い人と一緒に作業をすることで、自分たちも元気になれるし、村の空気が変
わったと感じている。』
33
34
Ⅵ
地域住民が一体となった取組
事例
18
商店主や住民の知恵と力を集めたえんま通り商店街の再生
「セブンさぽーたーズえんまの手鏡」が手がけたグッズ、マップ
事業者 協同組合 柏崎東本町二丁目振興会(えんま通り商店街) 所在地 柏崎市東本町2- 7-53
代表者 理事長 星野 弘(㈱ホシノ 代表取締役) 連絡先 0257-24-8298
事業者 合同会社まちづくりえんま 所在地 柏崎市東本町2-7-42
代表者 代表社員 長谷川 敏栄(ライブデザイン㈱ 代表) 連絡先 0257-47-7104
事業者 セブンさぽーたーズえんまの手鏡 所在地 柏崎市東本町2-7-37
代表者 世話人代表 石川 眞理子(㈱石川薬局 代表取締役) 連絡先 0257-24-2235
えんま通りにちなんだ手拭い等
えんま通りをデザインしたTシャツ
1 取組のきっかけ(背景)
「えんま市」が開かれるなど市中心部の賑わいづくりを担ってきたえんま通り商店街は、平成19
年7月16日に発生した中越沖地震により多くの店舗が全半壊し大きな被害を受けたが、この間、復
興ビジョン(「新生えんま通りプロジェクト」)及び「えんま通りまちづくりガイドライン」に沿っ
て閻魔堂の復旧工事をはじめ、介護福祉施設の整備や店舗の建替え、分譲マンションの建設、防災機
能を兼ね備えた公園整備が行われるなど、復興、再生に向けた取組が着実に進展している。
こうした中、商店街の賑わいを取り戻し、活性化を図ろうとする地元商店主や住民の取組も活発化
しており、商店主の有志は貸店舗を運営する合同会社(*)を設立するとともに、女性グループはえん
ま通りにちなんだグッズ販売やマップ製作に力を入れるなど、商店街の人たちの知恵と行動力が街の
元気を生み出している。
2 取組の概要(ポイント)
⑴ 合同会社の設立・活動
合同会社まちづくりえんまは、閻魔堂周辺地区の賑わいづくりに関する実施主体として、東本
町二丁目振興会(えんま通り商店街)をはじめ、振興会の有志などが出資し、平成24年8月に設
立したもので、閻魔堂所有の土地を借り、木造2階建て(広さ延べ約90㎡)の店舗施設「まちの
駅@えんま」を平成25年5月開設した。
「まちの駅@えんま」は、飲食店、喫茶兼物品販売店など3店舗が入店する複合施設で、和風
の中にも新しい雰囲気を持つ建物としてしつらえた。イベントなどのソフト事業は、えんま通り
商店街が同社などと協同して行うこととしている。
⑵ 女性有志グループの設立・活動
女性有志グループ「セブンさぽーたーズえんまの手鏡」は、中越沖地震発生の翌年、商店街の
元気を出そうと地元の女性たちが集まり設立したもので、現在、約20人。七夕飾りをはじめ、昔
ながらの行事を活かした取組や、通りのシンボル閻魔堂をモチーフにしたグッズの企画・販売、
柏崎市内の閻魔大王を紹介したマップの製作等を行っている。
3 商品・活動の特徴
柏崎市内の閻魔大王を紹介した
「柏崎えんまっぷ」
4 活用した支援策
中越沖地震復興基金事業の活用
柏崎市の元気なまちづくり補助金事業(*)
5 取組の効果
⑴ 合同会社まちづくりえんま
振興会という組織に比べ、合同会社という形態・仕組みは民間以外の出資を入れられたり、意
思決定が迅速にできるなど機動性にも富むもので、レスポンスもよく様々な取組等がやりやすく
なっている。
⑵ セブンさぽーたーズえんまの手鏡
グッズの企画・販売等を通じ、世代を越えた関係者のつながりが生まれるとともに、えんま通
りががんばっている姿を、各種イベント等を通じ外部にPR、発信できている。
6 今後の課題・展望
⑴ 合同会社まちづくりえんま
えんま堂という商店街の中心部分から、ガイドラインに沿った街並みの統一などを図っていく
上で、合同会社が主体的にえんま通りらしさを探究し、モデル的、先導的な役割を果たせるよう
努力していきたいと考えている。
また、こうした合同会社による形態の取組は、東日本大震災で被災した東北地域の商店街復興
に当たっても、ケース・スタディ、見本になるのではないかと捉えている。
⑵ セブンさぽーたーズえんまの手鏡
商店街の枠を越えて、それ以外の地域の方も含む幅広い人たちから活動に参加してもらい、柏
崎のまちを盛り上げることが必要と考えている。
7 事業者からのひとこと
「まちの駅@えんま」の全景、テナント
⑴ 合同会社まちづくりえんま
『同じ志を持った人たちが力を合わせることがまちづくりを進めていく上で大きな推進力にな
ると思う。合同会社は20代から70代までの男女の幅広い人たちの集まりで、商店街以外からも参
画しており、皆で協力しながら、これからの商店街活性化を目指していきたい。』
⑵ セブンさぽーたーズえんまの手鏡
『えんま通りの名前を忘れられないよう、元気な商店街になるよう、小さいことを積み重ねて
いくことを大切にしたい。えんま通り商店街の復興を形にすることで、そのノウハウを東北の被
災地にも伝えることができるのでないか。』
まちの駅@えんま
35
MArchi Cafe(まちカフェ)
えんまのタン焼「呑舌」(のんたん)
36
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