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RoboCupサッカーにおける障害物認識
平成 24 年度電子情報通信学会東京支部学生会研究発表会 講演番号: 171 RoboCup サッカーにおける障害物認識 Obstacle Recognition for RoboCup Soccer 名嘉 拓矢 1 Takuya Naka 松下 健嗣 2 Kenji Matsushita 1 鈴木 秀和 1 Hidekazu Suzuki 2 東京工芸大学 工学部 Faculty of Engineering, Tokyo Polytechnic University 東京工芸大学 大学院 Graduate School, Tokyo Polytechnic University 1 緒言 RoboCup とは, “ 西暦 2050 年,サッカーの世界チャン ピオンチームに勝つ自律型ロボのチームを作る ”という 夢に向かって,人工知能やロボット工学などの研究を推 進し,様々な基礎技術として波及させることを目的とし たプロジェクトである.東京工芸大学チーム KOOGEIRV では中型サッカーリーグ(RoboCup MSL)に 4 年 連続出場している. RoboCup において,攻撃を行う際に必要となってく る動作としてドリブル,回避,パス,キックなどがある. 中でも,回避動作を行うことができればディフェンスを 避けて相手のゴール付近に接近しやすくなるため,得点 のチャンスが増し,試合を有利に運ぶことができる. 本報告では,本研究室のサッカーロボットに搭載され ている全方位カメラを用いて回避動作を行う際に必要と なる障害物の認識を行う. 図1 3 障害物認識 まず,フィールド抽出画像の中心から放射状に,一定 の角度ごとに緑色と白色ではない領域、つまり障害物の 領域を探索する.その際,小さな領域はノイズとして判 断し探索対象から除外する.画像中心から障害物を発見 するまで線を描画している様子を図 2 に,画像中心から 障害物までの画素数を各角度毎にプロットしたグラフを 図 3 に示す.図 3 より,グラフの谷の部分が障害物を認 700 180 160 median filter 600 140 120 距離[cm] 画素数[pixel] 500 2 全方位カメラによるフィールド抽出 全方位カメラとは,周囲 360[deg] を見渡せるカメラで あり,RoboCup MSL において広く使用されている.全 方位カメラから取得した画像を図 1 に示す. 障害物の認識は,フィールドの床の色情報を用いて行 う.フィールドとなる床の色は,フィールドの基本色で ある緑色と白線の白色の 2 色である.画像中でこの 2 色 以外の色の領域を障害物とする.そのため,まず全方位 カメラにより取得した画像から,緑色と白色を抽出する. その際,緑色を抽出する場合は画像を HSV に,白色を 抽出する場合は画像を YUV に表色系変換する.HSV は 色相,彩度,明度の 3 つの情報により色を表現する表色 系であり,YUV は,輝度信号,輝度信号と青色成分の 差,輝度信号と赤色成分の差の 3 つの情報により色を表 現する表色系である.そして,緑色と白色を表現するそ れぞれの情報をあらかじめ閾値として用意しておき,実 際の画素値と照らし合わせて抽出を行う.それらの抽出 結果の合成画像にノイズ処理を行った画像をフィールド 抽出画像とする. 図 2 物体の探索 全方位画像 100 80 400 300 60 40 200 270 障害物 20 0 90 180 角度[deg] 270 360 100 detect 360 0 90 180 角度[deg] 270 360 図 3 マシン中心から障害 図 4 マシン中心から障害 物までの画素数 物までの距離 識した方角であることが分かる. 次に,画像中心から障害物までの画素数より実距離を 求める.全方位カメラは双曲面ミラーを使用しているた め,画素数と距離の関係が非線形である.そのため,距 離校正式を用いて各画素と実距離とを対応付ける. マシン中心から障害物までの実距離データに対してノ イズ除去フィルタを適用し,各角度毎にプロットしたグ ラフを図 4 に示す.図 4 のグラフより, マシン中心から 障害物までの実際の距離と角度を認識できていることが 分かる. 4 結言 全方位カメラを用いて,フィールド上で障害物となる 緑色と白色以外の領域をマシン中心から放射状に探索を 行った.探索して得た画像中心から障害物までの画素数 を距離校正により実距離に変換した.そして, マシン中 心から障害物までの実際の距離と角度を認識することが できた. 今後は,探索して得た角度ごとの物体の距離データ からどのように障害物を識別するかを検討する.また, 様々な場面における認識率等を確認する必要がある. -171- Copyright © 2013 IEICE