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物理学の発展 ~近代科学の成立~

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物理学の発展 ~近代科学の成立~
自然科学概論 A(原科)
物理学の発展
~近代科学の成立~
中世までの科学
アリストテレスの自然学
観察と思弁
「目的論的世界観」
自然界にある全てのものは,本来の存在目的,
使命,基本的性質を持つ
物体は「自然な場所」
(地球の中心)に向かう
重い物体は軽い物体より速く落下する(?)
地球
惑星
力が働いている間だけ物体は動く(?)
天動説から地動説へ
人間中心的世界観
地球は動かない
周転円運動
天動説
天・・・神が支配する世界 ⇒ 完全 ⇒ 円
地球
惑星
星は地球を中心とする円運動をするはず
説明できない星がある → 惑星(複雑な動き)
→
周転円説
複数の円運動を組み合わせて惑星の動きを説明する
動きは説明できるが,非常に複雑になった
コペルニクス(1473~1543)
地動説を主張
惑星は(地球も)
,太陽を中心とする円運動
惑星の動きを,天動説よりうまく説明できたわけ
ではない。(誤差は同じ程度)
しかし,
地球(人間)中心的世界観の囚われから自由に
≪コペルニクス的転回≫
太陽
地球
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惑星
自然科学概論 A(原科)
近代科学への発展
デカルト(1596~1650)
近代思想の祖
世界を理解する手段として“理性”を重んじる
「私は考える,だから私は存在する」
客観的,合理的 → 数学を利用する
図形(幾何学)を数式で考える → 座標の発明
主体(観測者)と客体(自然)の分離
感覚はだまされる(錯覚)。理性で考える方が正しい(?)
科学者というよりは科学思想家か
ガリレオ(1564~1642)
『実験』と論理的思考
望遠鏡を自作
月の表面がデコボコ
木星の4つの衛星を発見
発見を他の人に説明する。論より証拠。
望遠鏡で地上の景色を見せる → 遠くのものが大きく,近くに見える
⇒ 本当だ
望遠鏡を月に向ける → デコボコが見える ⇒ 信じない
天にある月がデコボコのはずない ⇒ 望遠鏡が正しくない
「天界の法則と地上の法則は異なる」という根強い先入観
斜面の実験+思考実験
論理的思考
⇒
落体の法則
①落下速度は重さに関係しない
②落下距離は運動時間の2乗に比例する
重い
軽い
(定量的)
もっと重い
重いほど速く落ちると
すると・・・?
糸
もし空気がなかったら
速く落ちるのはどれ?
地面
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自然科学概論 A(原科)
カレンダーで地球の運動を考えよう
春分(3/20)と秋分(9/22)は昼と夜の長さが同じ。
春分の翌日~秋分の前日を“夏”
,秋分の翌日~春分の前日を“冬”とする。
1.“夏”の日数と“冬”の日数は同じ
2.“夏”が長い
春分‐3月 ‐4月 ‐5月 ‐6月 ‐7月
‐8月 9月‐秋分 :“夏”
11 日 +30 日 +31 日 +30 日 +31 日 +31 日
秋分‐9月 ‐10 月 ‐11 月 ‐12 月 ‐1月
3.“冬”が長い
+21 日= 185 日
‐2月 3月‐春分 :“冬”
8 日 +31 日 +30 日 +31 日 +31 日 +28 日
+19 日= 178 日
太陽を中心とする円運動ならば,
“夏”と“冬”の長さは等しいはず。
7日間の違い ⇒ 太陽を中心とする円運動ではない。
ケプラー(1571~1630)
観測データに基づき,惑星の運動に関する3つの法則を発見
惑星が太陽の周りを楕円運動しているなど
ニュートン(1642~1727)
微分・積分を発明,錬金術も研究
『プリンキピア(自然哲学の数学的諸原理)
』
・運動の3法則(力学の基本法則)
力が作用すると速度が変化する。など
・万有引力の法則(重力)
あらゆる物体の間には引力が作用している。
(星も含まれる)
何もない空間をへだてて物体に力が働く(遠隔作用説)
ややオカルト的
(ガリレオはこれを認めなかった)
楕円運動
りんご
引力
惑星
引力
太陽
地球
落体の法則も惑星の楕円運動も説明できる
⇒ 「地上の法則」と「天界の法則」という区別をなくした!
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自然科学概論 A(原科)
近代科学の特徴
ニュートン力学成立以降の,主に次のような特徴を備えた科学を
「近代科学」と呼ぶ
①事実・経験に基づく (⇔ 思弁的)
実証主義
実験を行う
②客観的・定量的
再現性を重んじる
(⇔ 主観的・感覚的)
数学を利用する
③分析的・要素分解
予測性・予言性 → 実験で確認
(⇔ 全体的・総合的)
要素・部分に分ける
(動物 → 器官 → 細胞 → タンパク質,DNA)
理想化・単純化する(「空気抵抗がなければ」,
「大きさを無視する」など)
⇒ 単純な要素を組み合わせれば,または要素を付け加えていけば,
複雑な全体が理解できると考える
近代科学の発展が人間の考え方や生活にも影響を与えた
世俗化(脱迷信)
占星術(星の動きで政治などを決める)からの脱却。
(運動の法則)
落雷は神の怒りではない。
(電気現象)
人間(観測者)と自然との分離 → 自然を操作できる対象とみなす
自然を人間のために利益を生み出す存在としてのみ見る傾向(?)
→ 自然の収奪,環境破壊
(⇔ 自然と人間は一体,エコロジー)
科学技術を万能視,楽観的未来像(19 世紀西洋,日本にも影響)
≪科学技術の進歩によってユートピアが現れる≫
→ 第一次世界大戦(1914~)で打ち砕かれる
(航空機による爆撃,ヨーロッパが焦土に)
次回「近代科学の自然理解1
力学」
☆本日のミニレポート課題
(300字以上,〆切までに提出)
① 近代科学の特徴をいくつか挙げよ。これらの特徴が,現代人のものの考え方,
理解の仕方,生き方,社会の仕組みなどに与えている影響について,例を挙げ
て,その功罪など意見を述べなさい。
(例えば,
「占いではなく,客観的な証拠
に基づいて裁判を行う」など。
)
また,近代科学の考え方を乗りこえようとする考え方について述べてもよい。
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