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大人になる前のスキンケア ∼ニキビどうする∼
第38回 日本小児皮膚科学会学術大会 The 38th Annual Meeting of The Japanese Society of Pediatric Dermatology ランチョンセミナー3 大人になる前のスキンケア ∼ニキビどうする∼ 7月6 日(日)12:20∼13:20 日 時 2014 年 場 所 セルリアンタワー東急ホテル 第1会場(ボールルームABC) 東京都渋谷区桜丘町26-1 座長 山本 一哉 講演 皮膚外用剤の正しい使い方 1 講演 2 先生 愛育病院 皮膚科 部長 大谷 道輝 先生 東京逓信病院薬剤部 副薬剤部長 思春期のニキビ診療とスキンケア 馬場 直子 先生 神奈川県立こども医療センター 皮膚科 部長 共催 第38回日本小児皮膚科学会学術大会/佐藤製薬株式会社 第38回 日本小児皮膚科学会学術大会 The 38th Annual Meeting of The Japanese Society of Pediatric Dermatology 大人になる前のスキンケア ∼ニキビどうする∼ 講演 1 皮膚外用剤の正しい使い方 大谷 道輝 先生 東京逓信病院薬剤部 副薬剤部長 皮膚外用剤は同じ主薬であっても軟膏、 クリーム、 ゲルおよびローションなど多くの剤形や基剤 が揃っているが、 これら剤形や基剤の使い分けについては十分に理解されていないで選択されて いる場合がある。一般に乳化をしているクリームは軟膏に比べて皮膚透過性が優れるが、 その要因 として基剤だけでなく、基剤への主薬の溶解性が指摘されている。皮膚外用剤は基剤に溶けてい る主薬が主として皮膚を透過する。酢酸ヒドロコルチゾンを用いた検討では、基剤への溶解度はク リームが油脂性軟膏の約4倍高く、皮膚透過量は250倍も優れている。 軟膏とクリームは皮膚透過性に大きな違いがあるが、軟膏とクリームを混合する処方をよく見か ける。特に、 ステロイドの軟膏と保湿クリームの混合が最も多い。軟膏とクリームを混合すると、基 略歴 1982年 城西大学薬学部薬学科卒業 1982年 東京大学医学部附属病院薬剤部 1996年 東京逓信病院薬剤部 1997年 薬学博士(東京大学薬学部)取得 1999年 日本医療薬学会認定薬剤師、同指導薬剤師 2000年 東京逓信病院薬剤部 副薬剤部長 現在に至る 東京薬科大学客員准教授、慶応大学薬学部非常勤講師 剤が軟膏からクリームに近づくことで、 ステロイドの濃度は減少するものの、皮膚透過性が亢進す る。逆にクリームは基剤が軟膏に近づくことで、効果が減少する。 そのため、皮膚外用剤の安易な混 合は避けるべきである。 皮膚外用剤の添付文書の記載は曖昧な点が多く、正しく使うことや説明が困難な場合がある。塗布 回数に関する添付文書の記載では、半数は「1日数回」 と記載されている。保湿剤に関しても 「1日1∼ 数回」など記載されており、何回塗ればいいのか不明である。塗布方法もステロイド外用剤では「塗 布」 と記載されているのに対し、保湿剤は「塗擦」 と記載され、擦り込むように指示されている。 しかし、 この塗布と塗擦の皮膚透過性に関する検討も行なわれていない。入浴後の保湿剤の使用時期では入 浴直後が推奨されているが、最近の報告では入浴直後と一定時間後で差が無いことが示されている。 今回はこれら皮膚外用剤の正しい使い方について我々の研究結果を含めて、最近の論文のデー タを用いて紹介する。 講演 2 思春期のニキビ診療とスキンケア 馬場 直子 先生 神奈川県立こども医療センター 皮膚科 部長 子どもの皮膚の乾燥度を年齢別にたどってみると、新生児期の一過性の皮脂過剰分泌時代が一 略歴 気に去ると、生涯で最もカサカサしやすい乾燥性皮膚の時代に移り、小学校高学年ともなると乾燥 1983年 1983年 1985年 1986年 1988年 1989年 1990年 1991年 1993年 1994年 肌が少し潤ってきて、同時に額や頬にポツリポツリと可愛いニキビができはじめ、 さらに中・高校生 ともなると赤い大きな膿をもったニキビが噴き出してくる。 この時期にニキビを気にするあまり不 登校などの問題が出てくる子もいる。 そもそもニキビを主訴に皮膚科を受診する人はどのくらいの割合であろうか。私のいるこども医 療センター皮膚科では、小さい頃から診ていたアトピー性皮膚炎や母斑の子どもが中学生くらい になって、急にニキビに悩み始めて相談を受けることが圧倒的に多い。 ニキビは皮膚科を受診する 人よりも、口コミや民間療法で試行錯誤している人がきっとたくさんいるのだろう。 それでうまくい かずに、 あるいは親が見かねて皮膚科へ連れてくるというケースもある。 思春期のニキビ患者さんへの対応で気をつけるべきことは、 まずニキビを気にしているのは母 親なのか、本人なのかということである。前者の場合には単に薬を処方してもあまり良くならない。 まずは自分が気にしていて、是非とも治したい、 どうすればいいのか?と言わせることが大切であ る。 つまり治療のモチベーションを高めておいて、 じゃあ、 ニキビはなぜできるのか、 どうしたらよい のかを、本人に心からよくわかるように説明する必要がある。正しい洗顔法、規則正しい生活や睡 眠、化粧や髪形などの注意点、食生活や便通の重要性など、 スキンケアと生活指導が何よりも大切 である。 その上で、外用薬の塗り方指導を行うと効果的である。尋常性痤瘡診療ガイドラインの中 で、抗菌外用薬は単独でも、 またアダパレンとの併用でも推奨度Aとして勧められている。本日は、 思春期のニキビ診療のコツとスキンケア指導について日常経験の中で思うことをお話ししたい。 滋賀医科大学医学部 卒業 横浜市立大学医学部病院ローテート研修 同 皮膚科 入局 横須賀共済病院 皮膚科勤務 横浜市立大学皮膚科 医務吏員 皮膚科専門医取得 横浜市立大学 学位取得 横浜市立大学皮膚科 助手 同 講師 神奈川県立こども医療センター皮膚科 部長 兼 横浜市立大学皮膚科非常勤講師 日本皮膚科学会会員・専門医 日本小児皮膚科学会運営委員・学校保健委員・日小皮会誌編集委員 日本臨床皮膚科医会会員 無痛無汗症の会「トゥモロウ」賛助会員 厚生労働省「先天性無痛症の診断・評価および治療・ ケア指針作成のための研究班」研究分担者 厚生労働省「保育所におけるアレルギー対応ガイドライン」作成委員